医薬品添加剤の残留溶媒の管理と...

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医薬品添加剤の残留溶媒の管理と 関連する重要事項 日局17 通則34 及び 一般試験法 2.23 残留溶媒に対応して 日本医薬品添加剤協会 レギュラトリー委員会 小笠原 由明 (日本合成化学工業)

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医薬品添加剤の残留溶媒の管理と 関連する重要事項

日局17 通則34 及び

一般試験法 2.23 残留溶媒に対応して

日本医薬品添加剤協会 レギュラトリー委員会

小笠原 由明

(日本合成化学工業)

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本日の内容

医薬品添加剤製造業者が提供すべき添加剤の残留溶媒 に関する情報について

海外での現状

医薬品添加剤の残留溶媒に関するアンケート結果 (医薬品添加剤協会で実施)

局方収載の医薬品添加剤に対する残留溶媒の調査 局方外の医薬品添加剤に対する残留溶媒の調査 まとめ

第17改正日本薬局方 通則34 医薬品に係る残留溶媒

残留溶媒の管理等に関する通知

残留溶媒の管理等に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)

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医薬品添加剤製造業者が提供すべき添加剤の残留溶媒に関する情報

ICH Q3C (1997), EP (2000),USP (2008) 3.5 REPORTING LEVELS OF RESIDUAL SOLVENTS

Manufacturers of pharmaceutical products need certain information about the content

of residual solvents in excipients or drug substances in order to meet the criteria of

this guideline. The following statements are given as acceptable examples of the

information that could be provided from a supplier of excipients or drug substances to

a pharmaceutical manufacturer. The supplier might choose one of the following as

appropriate:

平成10年3月30日医薬審第307号 「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」

3. (5) 報告すべき残留溶媒のレベル

医薬品の製造業者は、本ガイドラインの要請に応えるために、医薬品添加物中又は原薬中の

溶媒の含量に関する情報を必要としている。下記の項目は、医薬品添加物又は原薬の供給業者

が医薬品の製造業者に提供すべき情報の例として記載したものである。医薬品添加物又は原薬

の供給業者は、下記の記載の中から該当するものを選択すればよい。

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日局17 一般試験法 2.46 残留溶媒試験法 - 医薬品添加剤の供給業者の報告すべき残留溶媒のレベル -

5. 情報として必要な残留溶媒のレベル

医薬品の製造に当たっては,原薬又は添加剤の溶媒の含量に関する情報が必要となる.下記の項目は,原薬又は添加剤の溶媒の含量に関して必要となる情報の例として記載したものである.

(以下は、ICHQ3, EP, USP及びJP17ですべて同じ)

(ⅰ) クラス3の溶媒のみが存在すると考えられる場合:乾燥減量が0.5%以下であること.

(ⅱ) クラス2の溶媒のみが存在すると考えられる場合:

存在する溶媒の名称と,それらの全てがオプション1の限度値以下であること.

(ⅲ) クラス2の溶媒及びクラス3の溶媒が存在すると考えられる場合

クラス2の溶媒がオプション1の限度値以下であり,かつクラス3の溶媒が0.5%以下であること.

クラス1の溶媒が存在すると考えられる場合には,それらの溶媒を同定し,定量する必要がある.

「存在すると考えられる」という表現の対象は,製造の最終工程で使用された溶媒及び最終工程よりも前の工程で使用されたが,バリデートされた工程によっても常に除くことができるとは限らない溶媒である.

クラス2又はクラス3の溶媒の残留量が,それぞれオプション1の限度値又は0.5%を超えている場合には,それらの溶媒を同定し,定量する必要がある.

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医薬品添加剤の供給業者の報告すべき残留溶媒のレベル

存在すると考えられる溶媒 添加剤供給業者が提供すべき情報

(i) クラス3の溶媒のみ (酢酸、酢酸エチル,アセトン,エタノールなど)

乾燥減量が0.5%未満であること

(ii) クラス2の溶媒 (X, Yなど)のみ (アセトニトリル,クロロホルム,メタノールなど)

すべての溶媒がオプション1の限度値未 満であること(具体的な溶媒名とともに)

(iii) クラス2の溶媒 (X, Yなど) 及び クラス3の溶媒

クラス2の溶媒がオプション1の限度 値未満であり、かつクラス3の溶媒が 0.5%未満であること

(iv) 残留溶媒を含まない クラス1,クラス2,クラス3 或いはその他の 溶媒を使用していない

クラス1の溶媒 (ベンゼン,四塩化炭素,1,2-ジクロロエタンなど)

溶媒を同定し、定量する

クラス2又はクラス3の溶媒が、そ れぞれオプション1の限度値又は 0.5%を超えている場合

溶媒を同定し、定量する

: ステートメント

: ロットごとに提供(試験成績書)

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海外での現状

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ICH Q3C 医薬品の残留溶媒ガイドラインの3局方(USP/EP/JP)におけるタイムライン

年 3局方(USP/EP/JP)の動き

1997年 ICH Q3CのFDA,EMEA,MHLWによる合意 (新医薬品が対象)

1998年 EMEA通知:2000年7月よりQ3Cを既存の医薬品にまで適用

1998年 医薬審第307号「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」の通知

2000年 Ph.Eur.(欧州薬局方)に 5.4 残留溶媒及び 2.4.24 残留溶媒試験法が収載される (既存医薬品への適用)

2005年 USP(米国薬局方)提案:Organic Volatile Impurities をResidual Solventsに変更 ⇒ 企業側がQ3Cとの違いについて問題提起

2006年 JP15 一般試験法<2.46>残留溶媒試験法及び参考情報 -医薬品の残留溶媒ガイドライン、残留溶媒試験法及び 医薬品各条記載例を収載

2008年 USP <467>Residual Solventsを収載。 欧州薬局方同様、既存の

医薬品にまで適用

2011年 JP 16 一般試験法<2.46>残留溶媒試験法及び参考情報 - 医薬品の残留溶媒ガイドライン及び残留溶媒試験法記載例の全面見直し

2011年3月 厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 薬食審査発0330第7号

2016年 日局 通則34の追加及び一般試験法2.46の改定

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米国における添加剤中の残留溶媒に関する情報提供の現状(FDA Q&A)

Q3: What information should be submitted to demonstrate compliance with USP <467>?

A: For each excipient (for exceptions see Q9) used in the formulation, information in the

submission should include:

Excipient manufacturer’s statement regarding residual solvents (See Q4)

ANDA sponsor's verification of excipient manufacturer’s statement (See Q5)

http://www.fda.gov/downloads/AboutFDA/CentersOffices/CenterforDrugEvaluationandResearch/ucm119607.pdf

Residual Solvents in ANDAs: Questions and Answers (October 28, 2008)

FDA , IPEC Americas, IPEC Europe, GPhA, CHPA, PhRMA, and SOCMA BPTF

Q3: USP<467>に適合していることを示すために提出すべき情報は? A: 製剤に使用される各添加剤(例外はQ9を参照)については、以下の情報を 申請書中に含むこと:

• 残留溶媒に関する添加剤製造業者のステートメント • 添加剤製造業者のステートメントのANDA申請者による確認

GPhA: Generic Pharmaceutical Association, CHPA: Consumer Healthcare Products Association

PhRMA: The Pharmaceutical Research and Manufacturers of America, SOCMA BPTF: The Bulk Pharmaceuticals Task Force

(BPTF), an affiliate of the Society of Chemical Manufacturers and Affiliates (SOCMA),

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米国における添加剤中の残留溶媒に関する情報提供の現状 (FDA Q&A)

Q4: What should an excipient manufacturer’s statement regarding residual solvents contain?

A: An excipient manufacturer’s statement regarding residual solvents should contain: All Class 1 solvents used or generated,

All Class 2 solvents “likely to be present”,

Whether Class 3 solvents are “likely to be present” and the identity of all Class 3 solvents present at greater than 0.5%, and

All other solvents “likely to be present”, as applicable.

Examples of acceptable statements include:

Only Class 3 solvents are likely to be present. Loss on drying is less than 0.5 percent.

Only Class 2 solvents X and Y are likely to be present. All are below the Option 1 limit. (Here the excipient manufacturer would name the Class 2 solvents represented by X and Y.)

Only Class 2 solvents X and Y and Class 3 solvents are likely to be present. Residual Class 2 solvents are below the Option 1 limit and residual Class 3 solvents are below 0.5 percent.

No Class 1, Class 2, Class 3, or other solvents are used.

Q4: 残留溶媒に関する添加剤製造業者によるステートメントに含まれるべき事項

ICH Q3C, USP,EP及びJP17ですべて同じ内容である。

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ステートメントの一例

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分析すべきもの USP <467> RESIDUAL SOLVENTS

Testing of drug substances, excipients, and drug products for residual solvents should be

performed when production or purification processes are known to result in the presence of

such residual solvents. It is only necessary to test for residual solvents that are used or

produced in the manufacture or purification of drug substances, excipients, or products.

EP 5.4. RESIDUAL SOLVENTS

2. SCOPE OF THE GUIDELINE

Therefore, testing should be performed for residual solvents when production or purification

processes are known to result in the presence of such solvents. It is only necessary to test for

solvents that are used or produced in the manufacture or purification of active substances,

excipients, or medicinal product.

ICH Q3C

2. SCOPE OF THE GUIDELINE

Therefore, testing should be performed for residual solvents when production or purification

processes are known to result in the presence of such solvents. It is only necessary to test for

solvents that are used or produced in the manufacture or purification of drug substances,

excipients, or drug product.

2.46 残留溶媒

原薬、医薬品添加物若しくは製剤の製造又は精製の工程で使用されるか生成する溶媒についてのみ試験を行えばよい。

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海外の現状 “Not likely to be present”(存在すると考えられない)に関する定義

米国の業界合同とFDA(CDERのOGD及びOPS)の間の会議議事録

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海外の現状 “Not likely to be present”(存在すると考えられない)に関する定義

Q6. クラス2及びクラス3の溶媒に関しては、バリデートされたプロセスによ

り、どのレベルをもって除去されたかが明らかでない。溶媒が除去されたか、

その限度値の10%未満で存在する場合、「存在すると考えられない(Not

likely to be present)」と見なすことができるか?

A. FDAジェネリック医薬品部(OGD)としては、リストされた溶媒で、除

かれたか、あるいはリストされた限度値の10%未満で存在する場合、「存在

すると考えられない」と見なすことになるでしょう。したがって、これらの溶

媒は申請時に残留溶媒の適合性情報に報告する必要はありません。

米国の業界合同 (IPEC Americas, IPEC Europe, GPhA, CHPA, PhRMA,

SOCMA BPTF)とFDA(CDERのOGD及びOPS)の間の会議議事録

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海外の現状 欧州 ‐ EMEA ANNEX 2005年2月10日 -

B Class 2 solvents used prior to the last step of the synthesis

Class 2 solvents used prior to the last step in the synthesis may be exempted from

routine control in the final active substance and in a suitable intermediate only if it has

been demonstrated, on a suitable intermediate or on the final active substance, that the

content of Class 2 solvents is not more than 10 % of the acceptable concentration

limit (e.g., acetonitrile 41 ppm) stated in the relevant aforementioned ICH/VICH Guideline on

Impurities: Residual Solvents. If tested, the content of Class 2 solvents in the final active

substance should of course meet the requirements of the relevant aforementioned Guideline.

EMEA ANNEX:原薬中のクラス1及びクラス2残留溶媒の規格について

Annexes to:

CPMP/ICH/283/95 Impurities: Guideline for Residual Solvents &

CVMP/VICH/502/99 Guideline on Impurities: Residual Solvents

ANNEX I: SPECIFICATIONS FOR CLASS 1 AND CLASS 2

RESIDUAL SOLVENTS IN ACTIVE SUBSTANCES

合成の最終段階の前に使用されるクラス2溶媒が、許容濃度限度値の10%以下であることが証明された場合、日常的な管理から免除してもよい。

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添加剤の残留溶媒アンケート調査

詳細は当協会ホームhttp://www.jpec.gr.jp/)に掲載

第一回アンケート:日局収載の医薬品添加物に対する残留溶媒の調査 実施: 2012年 2月- 3月

第二回アンケート:日局以外の医薬品添加物に対する残留溶媒の調査

実施:2013年11月- 2014年 2月

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日局収載の医薬品添加物に関する残留溶媒の調査 アンケートの質問事項

1.日本薬局方収載の添加剤を製造又は販売されていますか?

2.製造又は販売されている日本薬局方収載の添加剤の販売名と一般名を別紙に記載してください。

3.製造又は販売されている添加剤に有機溶媒が存在すると考えられますか?

4.質問3.で、有機溶媒が存在すると考えられるとご回答された添

加剤についてお尋ねします。その有機溶媒の残留量について、御社で把握しておられますか?

下記の選択肢の番号を記載ください。

① 有機溶媒の残留量を把握しており、その残留量はICHの残留溶媒ガイドラインの限度値(クラス2の溶媒の場合はオプション1の限度値)以下である。

② 有機溶媒の残留量を把握しているが、その残留量はICHの限度値(クラス2の溶媒の場合はオプション1の限度値)を超えている。

③ 有機溶媒の残留量を測定しているが、管理はしていない。

④ 有機溶媒の残留量を測定したことはあるが、管理はしていない。

⑤ 有機溶媒の残留量を測定したことがない。

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日本薬局方収載の医薬品添加物の残留溶媒に関するアンケート調査結果

アンケート数 品目 製品

87 133

質問3 品目 製品

① 考えられる 16 33

② 考えられない 66 89

②‘ 考えられるが、残留

が考えられるものは、

クラス2及び(又は)

クラス3の溶媒で、限

度値(オプション1)

の10分の1以下である

6 10

③ 不明 1 1

質問4 品目 製品

① 有機溶媒の残留量を把握して

おり、その残留量は限度値(クラ

ス2の場合オプション1)以下で

ある

11 17

② 有機溶媒の残留量を把握して

いるが、その残留量は限度値(ク

ラス2の場合オプション1)を超

えている

2 2

③ 有機溶媒の残留量を測定して

いるが、管理はしていない 0 0

④ 有機溶媒の残留量を測定した

ことはあるが、管理はしていない 3 14

⑤ 有機溶媒の残留量を測定した

ことがない。 0 0

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第一回アンケート集計結果 -局方収載品-

残留溶媒アンケート結果 - 質問3 - 残留溶媒アンケート結果 - 質問4 -

① 限度値以下 (17製品)

② 限度値以上 (2製品)

③ 測定している/管理なし (0製品)

④ 測定したことはある/管理なし (14製品)

⑤ 測定したことがない (0製品)

① 12.8%

② 1.5%

④ 10.5%

25%

7%

67%

1%

① 存在すると考えられる: 33 製品

②' 限度値の10%以下である: 9 製品

② 存在すると考えられない: 90 製品*

③ 不明 1 製品

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日局以外の医薬品添加物に関する残留溶媒の調査 アンケートの質問事項

質問1~4: 省略

質問5. 御社で製造又は販売されている添加剤(添加剤用途に使用されていると認識されているもの)の販売名、一般名(公定書収載の場合はその正名)、及び準拠する公定書名(略名で可)などを別紙に記載して下さい。

質問6. 御社で製造又は販売されている添加剤に有機溶媒が存在すると考えられますか?

① 考えられる

② 考えられるが、残留が考えられるものは、ICHの残留溶媒ガイドラインのクラス2及び/又は

クラス3の溶媒であり、また濃度は低く、限度値(オプション1)の10分の1以下であること

を確認している。

③ 考えられない

④ 不明

質問7. 質問6で、有機溶媒が存在すると考えられる、とご回答された添加剤についてお尋ねします。その有機溶媒の残留量について、御社で把握しておられますか?販売名毎、溶媒毎に別紙に下記の選択肢の番号を記載下さい。

① 有機溶媒の残留量を把握しており、その残留量はICHの残留溶媒ガイドラインの限度値(クラ

ス2の溶媒の場合はオプション1の限度値)以下である。

② 有機溶媒の残留量を把握しているが、その残留量はICHの限度値(クラス2の溶媒の場合はオ

プション1の限度値)を超えている。

③ 有機溶媒の残留量を測定しているが、管理はしていない。

④ 有機溶媒の残留量を測定したことはあるが、管理はしていない。

⑤ 有機溶媒の残留量を測定したことがない。

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日本薬局方以外の医薬品添加物の残留溶媒に関するアンケート調査結果

アンケート数 品目 製品

185 260

質問 7 品目 製品

① 有機溶媒の残留量を把握し

ており、その残留量は限度値

(クラス2の場合オプション

1)以下である

15 15

② 有機溶媒の残留量を把握し

ているが、その残留量は限度値

(クラス2の場合オプション

1)を超えている

5 6

③ 有機溶媒の残留量を測定し

ているが、管理はしていない 1 1

④ 有機溶媒の残留量を測定し

たことはあるが、管理はしてい

ない

15 15

⑤ 有機溶媒の残留量を測定し

たことがない。 38 68

個別に回答したい 4 9

質問 6 品目 製品

① 考えられる 66 108

② 考えられるが、残留が考え

られるものは、クラス2及び

(又は)クラス3の溶媒で、

限度値(オプ ション1)の

10分の1以下である

20 21

③ 考えられない 89 110

④ 不明 19 20

無回答 1 1

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第二回アンケート集計結果 -局方外品-

42%

8%

42%

8%

① 考えられる (108 製品)

② 限度値の10分の1以下 (21 製品)

③ 考えられない (110 製品)

④ 不明 (20 製品)

白紙 (1 製品)

残留溶媒アンケート結果 - 質問6 -

① 限度値以下 (15 製品)

② 限度値以上 (6 製品)

③ 測定している/管理なし (1 製品)

④ 測定したことはある/管理なし (15 製品)

⑤ 測定したことがない (68 製品)

個別回答したい (9 製品)

② 2.3%

③ 0.4%

個別回答 3.5%

④ 5.8%

① 5.8%

⑤ 26.2%

残留溶媒アンケート結果 - 質問7 -

第二回アンケート集計結果 -局方外添加剤-

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市販局方製剤(2227製剤)中の添加剤

生薬等を除く市販局方製剤 (錠剤、散・顆粒・細粒、カプセル 注射、軟膏・ローション、点眼剤) 中に使用されている添加剤

局方収載の添加剤 132 品目

局方以外の添加剤 113 品目

薬添規 90 品目 局外規 5 品目 食添 3 品目 外原規 2 品目 省令 7 品目 使用前例 6 品目

日本薬局方 収載品目調査 (2012年実施)

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局方収載の錠剤(市販1316錠剤)に使用されている添加剤 (赤字は今回のアンケート調査で実施した品目)

上位20品目すべて、また30品目中29品目が今回のアンケート調査でカバーされた。

市販日局錠剤中に使用されている添加剤 規格 使用錠剤数 1316錠剤

中,% 1 ステアリン酸マグネシウム JP 874 66.41 2 乳糖水和物 JP 803 61.02 3 ヒドロキシプロピルセルロース JP 756 57.45 4 ヒプロメロース JP 705 53.57 5 酸化チタン JP 704 53.50 6 トウモロコシデンプン JP 563 42.78 7 タルク JP 528 40.12 8 結晶セルロース JP 525 39.89 9 カルナウバロウ JP 495 37.61 10 マクロゴール6000 JP 328 24.92 11 ステアリン酸 JP 315 23.94 12 軽質無水ケイ酸 JP 222 16.87 13 カルメロースカルシウム JP 207 15.73 14 ポビドン JP 199 15.12

15 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース JP 181 13.75 16 D-マンニトール JP 170 12.92 17 三二酸化鉄 JPE 156 11.85 18 黄色三二酸化鉄 JPE 147 11.17 19 カルメロース JP 146 11.09 20 デンプングリコール酸ナトリウム JP 120 9.12

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残留溶媒アンケート調査のまとめ I

日局収載の医薬品添加剤の現状

「残留溶媒が存在するとは考えられない」と回答されたものは全体の約3/4(99製品)であった。

(オプション1の限度値の10分の1以下であるものを含む)

一方、「残留溶媒が存在すると考えられる」と回答されたものは全体の約1/4(33製品)で、その内、ガイドラインのオプション1の限度値を超えるものは僅かに2品目(2製品)であった。また、この2品目については最大使用量を考慮した場合、ガイドラインのオプション2に適合するとの回答であった。

• したがって、今回の調査では局方表示された医薬品添加剤のほとんどがICH Q3Cのガイドラインを満たすことがわかり、日局通則に残留溶媒が規定された場合、大きな混乱は起こらないものと思われる。

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残留溶媒アンケート調査のまとめ II

局方外(局外規、薬添規、食添、使用前例等)の医薬品添加剤の現状

「残留溶媒が存在するとは考えられない」ものは全体の1/2(131製品、

オプション1の限度値の10分の1以下のものを含む)であった。

一方、「残留溶媒が存在すると考えられる」ものは全体の42%(108製品)であり、その内、オプション1の限度値を超えるものは6製品であった。また、残留溶媒を測定したことがないものが68製品であった。

今回の調査で、局方外の医薬品添加剤には残留溶媒について管理していないものが全体の約30%であり、添加剤供給業者は自社の製品について、あらかじめ残留溶媒に関する実態調査をする必要があるものが存在することがわかった。

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日本薬局方収載医薬品に係る 残留溶媒の管理等について

厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知

平成27年11月12日 薬生審査発1112第1号

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残留溶媒の管理等の取り扱い

一般的な留意事項

1. 製剤の製造工程において、エタノール以外の有機溶媒を使用する場合は、そのクラスに関わらず、製剤の規格及び試験方法として、原則、承認書の規格及び試験方法において、当該残留溶媒の規格を設定すること。

2. 製造販売業者は、原薬、添加剤及び製剤中に残留する有機溶媒(以下「残留溶媒」という。)について適切な管理を行い、製剤の製造工程中の溶媒の除去工程の特定など、その管理状況について説明できることが求められること。

3. 原薬・添加剤製造業者も、残留溶媒について適切な管理を行い、製造販売業者等に対して可能な限り情報提供を行うこと。

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クラス1の溶媒は、治療上著しい利点を持つ医薬品を 製造するために、その使用が避けられない場合を除 き、医薬品(成分)及び製剤の製造工程において用い るべきではない。

クラス2の溶媒は、起こり得る有害な作用から患者を 守るためにその残留量を規制すべきである。

クラス3の溶媒は、低毒性と考えられる溶媒であり、 健康上の理由からは曝露限度値の設定は必要ない。

基本的な考え方(1) - 溶媒の種類 に対して -

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基本的な考え方(2) ‐運用上の取り扱い‐

クラス1の溶媒 医薬品(成分)及び製剤の製造工程において、使用さ れるか、生成する場合は、溶媒を同定し、定量すること。

クラス2の溶媒 残留量が恒常的に濃度限度値の10分の1以下に管理可 能である場合、原則として、溶媒が残留するとは考え られないものとして扱うこと。

クラス3の溶媒 残留量が恒常的に0.05%以下に管理可能である場合、 原則として、溶媒が残留するとは考えられないものと して扱うこと。

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基本的な考え方(3)-原薬及び添加剤中の残留溶媒の管理 -

クラス1の溶媒 医薬品(成分)の製造業者は、原薬及び添加剤中の残留溶媒をロットごとに適 切な方法により管理すること。また、当該医薬品(成分)を使用する製造販売 業者は、製剤のリスクに応じて、医薬品(成分)の規格及び試験方法として設 定するほか、適切な方法により管理すること。

クラス2の溶媒 残留量が恒常的にオプション1の濃度限度値以下、かつ濃度限度値の10分の1 を超える範囲にある場合、医薬品(成分)の製造業者は、医薬品(成分)中の 残留溶媒を適切な方法により管理することし、当該医薬品(成分)を使用する 製造販売業者においては、製剤のリスクに応じて、医薬品(成分)の規格及び 試験方法又は工程内試験として設定するほか、適切な方法により管理すること。

クラス3の溶媒 残留量が0.5%以下、かつ0.05%より大きい場合、医薬品(成分)の製造業者 は、医薬品(成分)中の残留溶媒を適切な方法により管理すること。製造販 売業者は、製剤のリスクに応じて、医薬品(成分)の規格及び試験方法又は工 程内管理試験として設定するほか、適切な方法により管理すること。

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基本的な考え方(4) ‐ 残留溶媒が濃度限度値を超える場合 ‐

クラス1の溶媒 該当する医薬品(成分)は、原則として、製剤の製造に使用することは認めら れない。なお、医薬品(成分)の製造業者及び当該医薬品(成分)を使用する 製造販売業者は、その医薬品(成分)の使用について特に正当化できる理由が ある時は、規格及び試験方法として設定し管理する。

クラス2の溶媒 医薬品(成分)の製造業者は、医薬品(成分)中の残留溶媒を適切な方法によ りロットごとに管理すること。製造販売業者は、オプション2によりPDE値を 超えないことを確認した上で、製剤のリスクに応じて、医薬品(成分)の規格 及び試験方法又は工程内試験として設定するほか、適切な方法により管理する。 なお、PDE値を超えた場合、その原薬等の使用について特に正当化できる理由 がある時は、規格及び試験方法として設定し管理すること。

クラス3の溶媒 医薬品(成分)の製造業者は、医薬品(成分)中の残留溶媒を適切な方法によ りロットごとに管理すること。製造販売業者は、クラス2溶媒のオプション2 の考え方を準用し、これらの溶媒の残留量が50 mg/日を超えないよう適切な 方法により管理する。 50 mg/日を超える場合、その医薬品(成分)の使用に ついて特に正当化できる理由がある場合は、規格及び試験方法として設定し管 理すること。

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日本薬局方収載医薬品に係る残留溶媒の管理等 に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)

厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課

事務連絡 平成27年11月12日

医薬品添加剤に関連するQ&Aについて (医薬品添加剤に関係するものを解説)

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質疑応答集(Q&A)について

Q2「恒常的」に管理とは、どのような管理を示しているのか。

(答) 「恒常的」とは、限定されたロットで残留溶媒の残留量 を確認することのみではなく、実生産の中で、適切な 管理が行われていることを意味している。

(解説)実生産の中で、適切な管理とは、 欧米では、バリデートされた工程で製造された連続3ロット(パイロットスケールでは6ロット)の実測値に基づく管理(但し、定期的な確認が必要)であるが、日本では恒常的に管理するため、実生産におけるパラメータ等による乾燥工程の制御等の管理が必要。

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質疑応答集(Q&A)について

Q3 日本薬局方医薬品(以下「日局品」という。)として販売する医薬品(成分)は、残留溶媒が濃度限度値以下のものでないと製造販売できなくなるのではないか。

(答)医薬品(成分)中の残留溶媒が、濃度限度値を超えていた場合においても、第十七改正日本薬局方の通則34の考え方に基づき適切に管理されているものであれば、製剤化することによってオプション2が適用できるケースもあり得る。

(解説) 医薬品(成分)とは、原薬及び添加剤のこと。 ・・製剤及び医薬品(成分)・・

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Q4 通則に残留溶媒の管理に関する規定が記載されると、日局品だけでなく、すべての医薬品が適用対象とならないか。

(答) 今回の残留溶媒の管理に関する規定は、日局品以外には適用されるものではない。

(解説) 日局品においては、当面、クラス1の残留溶媒管理、日局17第一追補からはクラス2及びクラス3の残留溶媒管理が必要。 但し、日局は当局の医薬品審査における基本的な考え方を示すものである。

質疑応答集(Q&A)について

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質疑応答集(Q&A)について

Q7 日本薬局方外医薬品(以下「局外品」という。)に使用される局方収載の医薬品(成分)については、どのような管理を行えば良いか。

(答) 当該医薬品は、今般の第十七改正日本薬局方の通則34の考え方に基づき、残留溶媒について適切に管理することが求められるので、局外の添加剤を使用する場合であっても、同様に適切に管理をすることが望ましい。

(解説) ・・・・・

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質疑応答集(Q&A)について

Q5 医薬品(成分)中の残留溶媒に関して、クラス2溶媒が濃度限度値を超える場合、及びクラス3溶媒の残留量が0.5%を超

える場合における「適切な方法によりロット毎に管理する」とはどのような管理をすれば良いか。

Q5 医薬品(成分)中の残留溶媒に関して、クラス2溶媒が濃度限度値を超える場合、及びクラス3溶媒の残留量が0.5%を超える場合における「適切な方法によりロット毎に管理する」とはどのような管理をすれば良いか。

(答) 医薬品(成分)中の残留溶媒をロット毎に定量して、試験結果を試験成績書に記載し、評価すること。

(解説) 当然ですが、このケースの場合は、ステートメントは使用できない。

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質疑応答集(Q&A)について

Q10 日本薬局方の医薬品各条において、既に純度試験として残留溶媒が設定されているものについて、どのように取り扱うのか。

(答) 医薬品各条において、残留溶媒が設定されているものについては、個別に審議されたものであり、そのまま既存の規格及び残留溶媒試験法を適用して差し支えない。なお、設定された溶媒以外の有機溶媒が使用されている場合は、新たに検討すること。

(解説)

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質疑応答集(Q&A)について 【ステートメント等】

Q14 医薬品(成分)中の残留溶媒の情報について、製造業者が、溶媒の使用なし等の情報を記載した証明書(ステートメント)又は試験成績書を発行した場合、その情報を利用して管理方法を設定してよいか。

(答) 良い。ただし、企業のステートメント又は試験成績書が信頼できるものであることを供給者管理の一環として確認する必要がある。

(解説) 製販業者による供給業者管理の一環として、製造業者への監査の際、ステートメントに関する確認がなされるので根拠データは必須。

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質疑応答集(Q&A)について 【ステートメント等】

Q15 医薬品(成分)の製造業者(又は輸入業者)が発行する残留溶媒管理に関する証明書(ステートメント)とは何か。また、その記載内容に関する要件としてはどの様なものがあるか。

(答)証明書(ステートメント)は、第十七改正日本薬局方通則34に基づき、一般試験法〈2.46〉残留溶媒に規定される残留溶媒の管理に関する事項について記述されるものを指す。ステートメントの記載には、例えば、残留溶媒の分類と溶媒名、残留溶媒がオプション1の濃度限度値以下での管理がなされているかどうか、残留溶媒が存在するとは考えられないかどうか、等の情報が含まれる。

(解説):日本医薬品添加剤協会 レギュラトリー委員会ではステートメントに関する原案文例を作成中

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一般試験法〈2.46〉残留溶媒 I.残留溶媒の管理

5. 情報として必要な残留溶媒のレベル

医薬品の製造に当たっては,原薬又は添加剤の溶媒の含量に関する情報が必要となる.下記の項目は,原薬又は添加剤の溶媒の含量に関して必要となる情報の例として記載したものである.

(ⅰ) クラス3の溶媒のみが存在すると考えられる場合: 乾燥減量が0.5%以下であること.

(ⅱ) クラス2の溶媒のみが存在すると考えられる場合: 存在する溶媒の名称と,それらの全てがオプション1の限度値以下であること.

(ⅲ) クラス2の溶媒及びクラス3の溶媒が存在すると考えられる場合: クラス2の溶媒がオプション1の限度値以下であり,かつクラス3の溶媒が 0.5%以下であること.

クラス1の溶媒が存在すると考えられる場合には,それらの溶媒を同定し,定量する必要がある.「存在すると考えられる」という表現の対象は,製造の最終工程で使用された溶媒及び最終工程よりも前の工程で使用されたが,バリデートされた工程によっても常に除くことができるとは限らない溶媒である. クラス2又はクラス3の溶媒の残留量が,それぞれオプション1の限度値又は0.5%を超えている場合には,それらの溶媒を同定し,定量する必要がある.

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ケース別ステートメントの文例1

1) 溶媒を全く使用していない場合 本品の製造工程では、クラス1、クラス2、クラス3、又は他の溶媒は使用しておらず、本品にこれらの溶媒が存在することは考えられません。 2) 製造工程でクラス1、クラス2及びクラス3の溶媒を使用しておらず、且つこれらの溶媒が製造工程での生成或いは原料由来で存在することが考えられない場合

1. 本品の製造工程では、クラス1の溶媒は使用しておりません。 2. 本品にクラス1、クラス2、クラス3又は他の溶媒が存在することは考えられません。

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ケース別ステートメントの文例2

3) クラス2の溶媒(X、Yなど)のみが存在すると考えられる場合で、すべての溶媒がオプション1の限度値未満である場合

1. 本品では、クラス2の溶媒X(溶媒名)及びY(溶媒名)の みが存在すると考えられます。 2. 本品のこれら溶媒それぞれの含量は、日局一般試験法 2.46 残留溶媒試験法のそれぞれのオプション1の限度未 満です。

4) クラス3の溶媒のみが存在すると考えられる場合で、その残 留量が 0.5% 未満である場合

1. 本品では、クラス3の溶媒X(溶媒名)のみが存在すると考えられます。

2. 本品のクラス3(溶媒名)の含量は0.5%未満です。

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5) クラス3の溶媒のみが存在すると考えられる場合で、その残留量が 0.5% 未満で且つ、乾燥減量で水分の関与が無視できる場合

1. 本品では、クラス3の溶媒X(溶媒名)のみが存在すると考えられます。 2. 本品の乾燥減量は0.5%未満です。

6) クラス2の溶媒(X、Yなど)及びクラス3の溶媒が存在すると考えられる場合で、クラス2の溶媒がオプション1の限度値未満であり、かつクラス3の溶媒が0.5% 未満である場合

1. 本品では、クラス2の溶媒X(溶媒名)及びY(溶媒名)並びに

クラスの溶媒Z(溶媒名)のみが存在すると考えられます。 2. 本品のクラス2の溶媒それぞれの含量は、日局一般試験法2.46 残留溶媒試験法のそれぞれ のオプション1の限度未満であり、 クラス3の溶媒の含量は0.5%未満です。

ケース別ステートメントの文例 3

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7) クラス2の溶媒(X、Yなど)及びクラス3の溶媒が存在すると 考えられる場合で、クラス2の溶媒がオプション1の限度値未満 であり、かつクラス3の溶媒が0.5% 未満で乾燥減量で水分の関 与が無視できる場合 1. 本品では、クラス2の溶媒X(溶媒名)及びY(溶媒名)並びにク

ラス3の 溶 媒Z(溶媒名)のみが存在すると考えられます。 本品のクラス2の溶媒それぞれの含量は、日局一般試験法 2.46 残留溶媒試験法のそれぞれのオプション1の限度未満であり、本品の乾燥減量は0.5%未満です。

ケース別ステートメントの文例 4

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質疑応答集(Q&A)について

Q17 製剤に使用する添加剤の添加量が少ないものや、インク等の残留溶媒について、管理は必要か。

(答) 製剤に使用する添加剤の管理が適切であれば、製剤への添加量が0.1%以下の添加剤やインク等の場合、製剤のリスクに与える影響は低いものと判断し、残留溶媒に関する管理は省略可能である。

(解説) 微量(0.1%以下)は日本のみの考え方。

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質疑応答集(Q&A)について

Q19 残留溶媒が純度試験項目として、承認書に規格設定されている場合、自社で測定できず、外部試験機関に委託することは可能か。その場合、承認書にも外部試験機関の記載を追加する必要はあるか。

(答) 残留溶媒試験に限らず、外部試験機関を利用することは可能である。その場合、承認書に外部試験機関の情報を記載すること。

(解説) 外部委託する場合は、その外部試験機関の適格性について確認しておく必要がある。

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ご清聴ありがとうございました。

日本医薬品添加剤協会 レギュラトリー委員会