金属鉱業情報 平成20年6月4日 Vol.15 No.22 ニュース・フ...
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ニュースフラッシュ 1
金属鉱業情報 平成 20 年 6 月 4 日 Vol.15 No.22 ニュース・フラッシュ
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 金属資源情報センター
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[中南米] チリ:CODELCO の株式会社化論再燃 チリ:El Teniente 銅山は暴風雨により 2 日間生産
停止 アルゼンチン:Santa Cruz 州のコミュニティーがシ
アン使用の禁止を訴える アルゼンチン:Neuquen 州政府が同州鉱山公社の活
動を再開 アルゼンチン:Pinguino 鉱床の資源量を Argentex
社が公表予定 ブラジル:Centaurus Resources 社が Minas Gerais
州のマンガン・プロジェクトを取得 ペルー国会、一般鉱業法改定を検討 ペルー:デルカスティージョ首相、鉱山労働者スト
宣言を強く批判 ペルー:左派政党が余剰利益税法案再提出の構え エクアドル:元鉱山次官が鉱業指令を批判 メキシコ:2008 年 3 月主要非鉄金属生産量、金・銀
は好調、ベースメタルは不振 メキシコ:Cerro Jumil 金プロジェクトの探鉱状況 メキシコ:Cerro del Gallo 鉱床の評価作業が順調
に進捗 メキシコ:STMMRM が全国ストを実施
[北米] カナダ:Titan Uranium Inc.、JOGMEC と探鉱契約 カナダ:ウラン探鉱ジュニア会社、モンゴルプロジ
ェクトを巡り M&A カナダ:BC 州政府のウラン探鉱開発モラトリアム宣
言に対し、商工会議所反発 カナダ:Goldcorp、ジュニア資産獲得に向け布石 カナダ:High River Gold Mines Ltd.、ロシアの銀
資産を売却 カナダ:Hudbay 社、マニトバでの新鉱山開発に前向き カナダ:Kinross Gold、ジュニア企業数社の株式を
取得し今後に布石 カナダ:Goldrea Resources と Molycor Gold 両社は、
BC 州の旧鉱山近傍で高品位モリブデンを確認 カナダ:Great Western Minerals Group、レアアー
スプロジェクトからリンを副産 カナダ:NovaGold Resources Inc.、Galore Creek
の今後の展開について言及 カナダ:炭素税は産業の大きな負担となると各産業
界代表が結束して政府に提言 カナダ:BC 州の炭素税導入まであと 2 か月、他州の
反応と取組み
[欧州・CIS] 欧州:欧州議会、「廃棄物枠組指令」改正案を採決。
金属スクラップ輸出規制の緩和に期待 英:海洋資源開発に向け、大西洋南部Ascension島付
近の海底 20 万km2の取得を国連に申請
[オセアニア] 豪:サウジアラビアの Cristal 社、ミネラルサンド
生産会社の豪 Bemax 社に対し買収オファー 豪:Murchison 社、Midwest 社へ合併提案 豪:Redbank Mining 社、NT 準州の Redbank 銅開発プ
ロジェクトの DFS ボーリング結果を発表 豪:Access Economics 社、豪州の鉱業生産予測を発表 豪:Rio Tinto、自社の長期成長予測を発表 豪:Olympic Dam 銅・ウラン鉱山の拡張に関するコ
ストは増大する見通し
[アジア]
ラオス:Oxiana の Sepon 銅山で小規模火災 タイ:Oxiana、4 県で鉄鉱石の探鉱権を申請 フィリピン:BHP Billiton、Hallmark(Pujada)ニッ
ケル開発事業で権利喪失か インド:Vedanta 子会社の Sterlite 社、ASARCO 社を
26 億 US$で買収 インドネシア:Rio Tinto、インドネシアの Sulawesi
Nickel プロジェクトの資源量 162 百万 t と発表
ニュースフラッシュ 2
インドネシア:Martabe 金鉱開発、PT Antam 新たな
敵対的買収劇の始まりか 中国:四川大地震による鉱業への影響続報
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チリ:CODELCO の株式会社化論再燃
地元各紙の報道によると、与野党の国会議員、元大
臣、元 CODELCO 総裁、経済学者、鉱業関連の学識経験
者等が連名で CODELCO の改革案を提起した公開状を
作成し、5 月 25 日付地元有力紙に掲載したため、大
きな反響を呼んでいる。
この公開状は、近年 CODELCO を苦しめている下請従
業員によるストライキ問題、民間企業と比べ高い生産
コスト、新規プロジェクト開発に必要な資金調達が困
難で、国の短期的政策に大きく左右される経営状況等
の CODELCO の問題点を指摘したもので、これらの諸問
題を解決するには、CODELCO を株式会社化して株式の
一部を民間に開放し、国内及び海外の株式市場に上場
する以外に道はないと結論付けている。
これに対し、UDI(野党)の Matthei 上院議員は、「公
開状の意見に 100%同意する。CODELCO を株式会社化
すれば証券監督局に財務諸表を報告する義務を負う
ので、現在は公開されていない CODELCO 財務情報等の
透明化が進むとともに、経営がより効率化する。一刻
も早く株式会社化し、上場を実現すべきだ。」と述べ
ている。一方、PPD(与党)の下院議員で下院鉱業委員
会会長の Leal 氏は「現在の経営方式を変更すること
には賛成だが、それ以上の改革を行うことは CODELCO
の民営化に繋がるため反対である。」との意見を表明
している。
Perez Yoma内務大臣、Vidal内閣官房長官、Gonzalez
鉱業大臣は「CODELCO の経営方式を変更する必要があ
ることは認める。ただし、国民の大部分が民営化を望
んでいないこともあり、現政権が民営化に踏切ること
はあり得ない」と語っている。カトリック大学が行っ
た世論調査の結果では、チリ国民 75%が CODELCO の
民営化に反対、25%は賛意を表明している。
(2008. 6. 3 サンティアゴ 平井浩二)
チリ:El Teniente 銅山は暴風雨により 2日間生産停止
5 月 29 日付の地元業界紙によると、5 月 22 日発生
したチリ首都圏南部の暴風雨の影響により、El
Teniente 銅山の生産が停止した。これは河川の増水
と地滑りにより同鉱山へのアクセス道路や橋が被害
を受けたことによるもので、5 月 23 日より 2 日間鉱
山操業が完全に停止した。
CODELCO 発表によると、5 月 25 日より操業は再開さ
れている。
(2008. 6. 3 サンティアゴ 平井浩二)
アルゼンチン:Santa Cruz 州のコミュニティーがシ
アン使用の禁止を訴える
5 月 29 日付の地元業界紙によると、アルゼンチン・
Santa Cruz 州の住民が同州議会下院に、鉱業におけ
るシアンの使用を禁止する法律を策定するよう要求
した。
この要求は主に Puerto Deseado 地域の住民から構
成されるコミュニティーによるもので、同地域での鉱
業禁止を主張しているほか、Cerro Moro プロジェク
トにおけるシアン使用の可能性について情報を提供
するよう要求している。
Cerro Moro プロジェクトは Puerto Deseado 市の西
約 30km に位置する金・銀探鉱プロジェクトで、これま
でカナダのジュニアカンパニーExeter Resource 社が
権益 100%を保有していたが、2008 年 3 月に周辺鉱区
を保有する Fomicruz(Santa Cruz 州鉱業公社)との JV
契約(Exeter Resource 社:80%、Fomicruz:20%)を締
結している。
(2008. 6. 3 サンティアゴ 平井浩二)
アルゼンチン:Neuquen 州政府が同州鉱山公社の活動
を再開
5 月 23 日付の地元業界紙によると、アルゼンチン
Neuquen州政府は同州鉱山開発公社である Cormineの
活動再開に係る手続の準備中で、本件に係る法案を近
日中に州議会に提出する。
Neuquen 州政府によると、Cormine は約 100 件の金
属・非金属の鉱区を保有していたが、数年前に鉱区は
民間に売却・譲渡された。州政府は Cormine を新組織
として再開させ、探鉱開発に関与したい意向であるが、
組織や活動内容の詳細については発表していない。
(2008. 6. 3 サンティアゴ 平井浩二)
ニュースフラッシュ 3
アルゼンチン:Pinguino 鉱床の資源量を Argentex 社
が公表予定
5 月 23 日付の地元業界紙によると、カナダのジュ
ニアカンパニーArgentex Mining 社(本社:バンクー
バー)は、アルゼンチン・Santa Cruz 州に位置する
Pinguino 多金属鉱床の予測鉱物資源量を算出するた
めのボーリング調査を実施し、2008 年末までに結果
を公表する見込みであることを明らかにした。
同社はこれまで Pinguino 地区においてボーリング
を延 17,500m 実施しており、着鉱幅 10.8m、品位
Au:3.1g/t、Ag:679g/t 及び、着鉱幅 10.7m、品位 In:
34g/t、Ag:68g/t、Zn+Pb:7.3%等の結果を得ている。
また、2008 年中に選鉱試験を実施する予定である。
(2008. 6. 3 サンティアゴ 平井浩二)
ブラジル:Centaurus Resources 社が Minas Gerais
州のマンガン・プロジェクトを取得
5 月 30 日付の地元業界紙によると、豪州 Centaurus
Resources 社(本社:パース)はブラジル Minas Gerais
州の Ipe マンガン・プロジェクトを取得した。Minas
Gerais 州のいわゆる鉄鉱石・四角地帯に位置する Ipe
プロジェクトは、地表地質マッピングの結果、年間 600
~1,000 万 t 規模のマンガンを生産可能と見込まれる。
Centaurus 社は、前の所有者である Banco Rural 社に 330
万 Reais(200 万 US$)を支払った。コンサルタント会社
の Metal Data II Geologia e Mineracao 社は、Ipe 鉱
区は Minas Gerais 州でのマンガン生産の数少ない投資
機会のうちの一つであると結論付けている。
Ipeマンガン鉱区は、2 つの採掘鉱区(一つは許可取
得済み、他は申請中)併せて 48km2(12km×4km)と、6
つの探鉱鉱区併せて 44km2から成る。これまでの採鉱
の記録は限られているが、数年前までは年間 5 万tの
小規模採掘が実施されていた。
Centaurus 社は Minas Gerais 州鉄四角地帯におい
て、既に Liberdade と Itambe に鉄鉱石プロジェクト
を有している。
(2008. 6. 3 サンティアゴ 菱田 元)
ペルー国会、一般鉱業法改定を検討
業界紙等によると、カラスコ・エネルギー鉱山委員長
(政権与党のアプラ党)は、施行後 20 年近くが経過して
いる一般鉱業法の改定を行う考えを明らかにした。
同委員長は、国家・企業・国民間の緊密な友好関係、
信頼関係の上に成り立つ鉱業投資を一層促進するた
め、一般鉱業法をより適切な形に整える必要があり、
諸手続の軽減や更新すべき条項を盛込むべきと主張
している。また、同委員会では、社会や環境に配慮し
零細鉱業にも手を差し伸べることも重要であるとの
意見もあるという。
一方、イサシ鉱山次官は、国会に提出される一般鉱
業法の改正草案について、現在内容を検討中であると
したほか、行政手続の簡素化や透明性に関しては既に
改善が図られているとコメントした。また、チャベス
INGEMMET(地質鉱業冶金研究所)所長は、エネルギー鉱
業投資のさらなる促進を目的とした鉱業法改正に賛
成を表明した。
(2008. 5. 26 リマ 西川信康)
ペルー:デルカスティージョ首相、鉱山労働者スト宣
言を強く批判
業界紙等によると、ペルー鉱山労働者連盟は、鉱山
労働者に対する利益配当の上限を撤廃する法案が承
認されない場合、6 月 16 日から無期限ストを実施す
る旨発表した。なお、鉱山労働者連盟によると、全国
で利益配当を受けていない鉱山労働者は8万5千人に
上るとされる。
これに対してデルカスティージョ首相は、政府は法
案を国会に提出するという約束を果たし、今週にも審
議が行われることは決定事項であるにもかかわらず、
ストを脅迫の道具としているとして連盟の姿勢を批
難した。
同法案の改正ポイントは、利益配当の対象を正社員
だけでなく派遣労働者に拡大すること、労働者当りの
年間利益配当上限を18か月分から80か月分に引上げ
ることなどである。現行の法律 892 において鉱山の利
益のうち 8%を労働者に配当することが規定されて
いるが、労働者に配当後の余剰金額については、鉱山
が存在する県内におけるインフラ事業に充当するこ
とが規定されている。その額は全国で年間 7 億
N.Soles(約 2.5 億$)に上るといわれている。
これに対し、鉱山の存在する地方政府は本法案に対
し強く反発している他、国会の中にも、本法案の可決
ニュースフラッシュ 4
によって地方における政治的・社会的混乱を招くとし
て、反対を表明している議員もいる。
(2008. 5. 27 リマ 西川信康)
ペルー:左派政党が余剰利益税法案再提出の構え
業界紙等によると、左派 UPP 党のラモス議員は、近
く国会のエネルギー鉱山委員会に対して鉱山会社へ
の余剰利益税法案を提出する考えを明らかにした。同
法案は 2006 年にも国会に提出されたが、当時自発的
拠出金の導入との関係で否決された経緯がある。ラモ
ス議員は、昨今の鉱山会社の莫大な利益を考慮した場
合、自発的拠出金はあまりにも小額であるばかりでな
く、拠出金の支払いを拒否する企業さえ存在している
とし余剰利益税導入の必要性を訴えた。
これに対し、バルディビア・エネルギー鉱山大臣は、
余剰利益税の導入は、法的安定性の原則に反するもの
で、中長期的に鉱業投資が減退していく恐れがあり、
ペルーの銅生産が世界一の産銅国チリに追いつくこ
とは不可能になるとの見解を示し、同法案に対し、明
確に反対する立場を示した。
(2008. 5. 28 リマ 西川信康)
エクアドル:元鉱山次官が鉱業指令を批判
地元業界紙等によると、元鉱業次官で、Ecua
Corrient 現広報担当の Leonaldo Elizalde 氏は、4
月に成立した Mandato Minero(鉱業指令)を、イデオ
ロギーと政治的な圧力から発布されたものであり、法
制の不安定、投資に対する不安、失業の増加をもたら
してしまったとして強く批判した。
同氏は、本来、国の鉱業政策は、適切な行政の下、
持続可能な発展に向けて強い問題意識と冷静さをも
って策定されなければならないにも拘わらず、今回の
鉱業指令は、既存の鉱業権を「安売り」したと決め付け
る先入観をもって論議が進められた。多くの鉱業権が
あればそれだけ優良鉱床の発見の確率が増えるにも
拘わらず、そのような考え方は、無視された。例えば、
現実主義の政策をとっているペルーでは、23,000 件
の鉱業権益があるのに対して、エクアドルは 4,000
件に過ぎないと主張した。
また、現在、鉱山開発について地域住民の参加、事
前合意が討論されているが、これは国家の重要プロジ
ェクトを阻止しようとするグループに入り込む余地
を与えるもので、この点について十分な対策も講ずる
べきであると懸念を表明した。一方で、同氏は、今後、
本格的な議論が開始される新鉱業法について、主要な
鉱業開発企業は、エクアドル鉱業の真の原動力となる
べく優れた新鉱業法成立の機会と理解し、政府や地域
住民との対話を継続し、コンセンサスが得られるよう
努力すべきであると述べた。
(2008. 5. 29 リマ 西川信康)
メキシコ:2008 年 3 月主要非鉄金属生産量、金・銀
は好調、ベースメタルは不振
INEGI(メキシコ国立統計地理情報院)は5月30日付
け HP にて、2008 年 3 月のメキシコ主要非鉄金属生産
量(速報値)を、下表のとおり発表した。2008 年 3 月
の生産量(速報値)は、前年同月比で金 17.2%増、銀
12.6%増、鉛 20.8%減、銅 24.3%減、亜鉛 15.1%減
となっている。前月よりは持ち直したものの、ベース
メタルの生産不振が続いている。
2007 年
3 月
2008 年
2 月/p
2008 年
3 月/p 前年同月比 前月比
2007 年
1~3 月期
2008年
1~3月期/p 前年比
金(kg) 3,430 3,023 4,020 17.2% 33.0% 9,603 10,264 6.9%
銀(kg) 192,343 198,332 216,536 12.6% 9.2% 562,391 575,952 2.4%
鉛(t) 9,319 5,757 7,381 -20.8% 28.2% 25,414 23,499 -7.5%
銅(t) 37,316 19,958 28,250 -24.3% 41.5% 102,422 63,896 -37.6%
亜鉛(t) 37,107 31,086 31,519 -15.1% 1.4% 113,243 91,549 -19.2%
(注)p:速報値
(2008. 5. 30 メキシコ 小島和浩)
メキシコ:Cerro Jumil 金プロジェクトの探鉱状況
Esperanza Silver Corp.(本社:バンクーバー)は、
メキシコ・モレロス州に保有する Cerro Jumil 金プロ
ジェクトの探鉱状況を 5月 28日付け同社 HPに発表し
た。同 HP の発表によると、同プロジェクトでは既知
鉱床域における総延長 31,420m の試錐探査が完了し
ニュースフラッシュ 5
たところであり、資源量評価の公表は 2008 年第 3 四
半期を予定している。また、2007 年に実施した。金
回収率 72%を達成したヒープリーチ試験に続いて、
現在、冶金試験を実施中である。上記資源量評価及び
冶金試験は、2008 年下半期に実施を予定している開
発計画策定のためのスコーピング・スタディの基礎と
なる。
(2008. 6. 2 メキシコ 小島和浩)
メキシコ:Cerro del Gallo 鉱床の評価作業が順調に
進捗
San Anton Resources Corp.(本社:トロント)は、
メキシコ・グアナフアト州に保有する Cerro del
Gallo(セル・デル・ガジョ)鉱床の評価作業が順調に
進捗している旨、5 月 30 日付け同社 HP に発表した。
同鉱床はグアナフアト市の東北東 23km に位置する
San Anton鉱区の主要鉱床であり、San Anton社が 55%、
Goldcorp が 45%の権益を保有する。同鉱床の資源量
は金属量ベースで、金 124t、銀 5,320t、銅 454 千 t
と見積もられている。同 HP の発表によると、評価作
業に必要な全ての冶金試験を完了し、現在試験結果の
取り纏め中であるが、評価作業は計画どおりに 2008
年第 3 四半期に完了する見込みである。本鉱床評価は、
銅精鉱及び金銀ドーレを鉱山サイトで生産すること
を前提に実施されている。
(2008. 6. 2 メキシコ 小島和浩)
メキシコ:STMMRM が全国ストを実施
業界紙等によると、STMMRM(メキシコ鉱山冶金労働
組合)は、5 月 26 日に召集された全国規模の 24 時間
ストに労組員の約 95~97%が参加したと発表した。
本ストは、5 月 9 日開催の同労組総会で選出された
Napoleón Gómez 委員長(再任)を含む新執行部の承認
を労働省が拒否したことに対する抗議行動としてい
る。一方、労働省発表の速報によると、本ストには同
労組の 58 支部、合計 19,500 人が参加した。また、製
鉄会社 Ahmsa 社のスポークスマンは、同社雇用の労組
員 17,000 人の内 300 人のみがストに参加したとコメ
ントした。
(2008. 6. 2 メキシコ 小島和浩)
カナダ:Titan Uranium Inc.、JOGMEC と探鉱契約
Titan Uranium Inc.(本社:サスカツーン)は 5 月
23 日、SK 州アサバスカ盆地での JOGMEC とのウラニ
ウム共同探鉱「Virgin Trend プロジェクト」に正式
調印した。JV 期間は 3 年で JOGMEC が 900 万$の探鉱
経費を負担、Titan Uranium Inc.がオペレーターを
担当する。
JOGMEC はこの契約で、プロジェクトの権益 50%を
取得し、商業生産に入る段階で 600 万$を追加支出し
て以後 10 年間のウラン独占販売権を取得することに
なっている。
この調印式に参列した SK州 Lyle Stewart企業誘致
大臣は、SK 州政府は日本のよきパートナーでありウ
ラン産業への新規投資を歓迎するとともに、この協力
関係を支援すると挨拶した。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:ウラン探鉱ジュニア会社、モンゴルプロジェ
クトを巡り M&A
ウラン探鉱ジュニアの Khan Resources Inc.(本
社:バンクーバー、以下 Khan 社)は、5 月 12 日に、
全額株式交換による Western Prospector Group
Inc.(本社:バンクーバー、以下 Western 社)買収を提
示したところであるが、27 日に Western 社から買収
拒否の回答を受け取ったと発表した。
Western 社は、買収拒否の理由として、Western 社
1 株当り Khan 社 0.685 株が不当に安いこと(37 百万
C$相当)、モンゴルプロジェクトについて Khan 社が期
待する 100 百万 C$のシナジー効果は得られないこと
等を挙げている。
当該 2 社は、モンゴルにおけるウラン探鉱・開発の
先駆者である。Western社は、モンゴルSaddle Hills
のGurvanbulagウラン鉱床で探鉱を行っており、予測+
概測鉱物資源量として 10.1 千tのU3O8を既に確認して
いる。一方、Khan社が 58%の権益を保有するDormod
鉱床はその北西 15kmに位置しており、プレFSを実施
中であり 3~4 年後の生産開始を目標としているとい
われている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
ニュースフラッシュ 6
カナダ:BC 州政府のウラン探鉱開発モラトリアム宣
言に対し、商工会議所反発
BC 商工会議所は、BC 州政府がウラン及びトリウム
の探鉱開発を禁止したことに対して反発を強め、先週
行われた総会で反対決議を行った。
BC 州はエネルギー計画の中で原子力反対の立場を
とっていることから、放射性物質であるウラン及びト
リウムについて現行の The Mineral Tenure Act(鉱物
所有法)を改正し、同法の対象外とすることを 4 月 24
日付けで発表した。これは、ウラン、トリウムの探鉱
開発禁止を意味している。
これに対し、BC 商工会議所は、既にウラン探鉱が
行われ、開発準備が進んでおり、今までの投資が無駄
になるとの立場から反対している。
BC 州 Krueger 担当大臣は、今回の見直しに関連し
て、ウランを含む鉱区申請は現在 200 件程度あるが、
これはウラン価格高騰に伴い企業が鉱種見直しを行
った結果であること、企業がこれからウランに対し多
大な投資をする前に明確な決断をしたこと等を述べ
ている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:Goldcorp、ジュニア資産獲得に向け布石
カナダジュニア Terrane Metals Corp.は、Goldcorp
の保証の下で、Mt.Milligan 開発資金の一部として 40
百万 C$を銀行から調達した。期間は 18 か月となって
おり、Goldcorp はその期間内であれば Mt.Milligan
の権益 30~60%(埋蔵量ベースで金 143t、銅 73 万 t
相当)を取得するオプション権を行使できることとな
っている。
信用収縮により、投資家はリスクを取ることに躊躇
しており、ジュニアの株価も総じて低迷気味であり、
ジュニアによる開発プロジェクトの資金調達が厳し
くなってきている現状である。
Goldcorp は、Terrane Metals Corp.の大株主であ
るため若干事情は異なるが、今回のようにシニア企業
によるジュニアの資金調達支援の見返りとして開発
案件の権益を要求するといったケースが今後増えて
くる可能性がある。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:High River Gold Mines Ltd.、ロシアの銀
資産を売却
High River Gold Mines Ltd.(本社:トロント)は 5
月 28 日、自社が保有するロシアの Prognoz 銀プロジ
ェクトの権益 50%全てを Roscan Minerals Corp.(同)
に売却すると発表した。
Prognoz はロシアのサハ州に位置し、世界 大級の
未開発高品位銀鉱床といわれており、概測鉱物資源量
として銀 2,224t(品位 636g/t)、予測鉱物資源量とし
て銀 1,219t が見込まれている。
売却価格は NI43-101 の資源量試算方法に基づき、
銀 55¢/oz( 低カットオフ品位 50g/t)をベースに算
出されており、110 百万$(銀 6,221t 相当)に上ると見
られる。
High River Gold Mines Ltd.は TSX に上場し、ロシ
ア、ブルキナファソで金の探鉱活動を展開している。
Roscan Minerals Corp.は、TSXV 上場のジュニア企業
であり、今回のプロジェクト取得に関連し、新しいマ
ネジメントチームを組織すると述べている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:HudBay 社、マニトバでの新鉱山開発に前
向き
地元紙によると、HudBay 社は、無借金経営、現預
金 758 百万 C$を背景に、マニトバ州での Lalor Lake
開発に前向きな姿勢をとっている。
マニトバ州緑色岩帯に位置する Lalor Lake プロジ
ェクトは、既設道路から 3km、HudBay 社の選鉱場から
も 15km と近いことから、開発費も新規鉱山と比べる
と半分程度に収まると考えている。現時点での埋蔵量
は 20 百万 t(亜鉛品位 7.7~8.8%、亜鉛含有量 177
万 t)に上っており、当該地域では 大規模となって
いる。同社は 2008 年も 43百万 C$の探鉱費を計上し、
当該地域を中心に探査する計画。
HudBay社は 2008年末までに開発に移行するか否か
の決断を行う予定。なお、投資額は 250~300百万 C$、
3 年以内の生産開始を考えている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
ニュースフラッシュ 7
カナダ:Kinross Gold、ジュニア企業数社の株式を
取得し今後に布石
北米第 3 位の金生産者 Kinross Gold(本社:バンク
ーバー)は 5 月 27 日、Riverside 社(同)が発行する私
募債を一株当り1.2C$で1.25百万株取得(全株の7%、
1.5 百万 C$相当)したと発表した。
Riverside 社はメキシコ Durango 州で El Capitan
金プロジェクト、AZ 州で Sugarloaf Peak 金プロジェ
クトを展開しており、調達した資金はこれらのプロジ
ェクトに使われる。
Kinross Gold は、今まで Amax Gold、TVX Gold、Bema
Gold 等、シニア企業の M&A を手がけてきた。しかし
ながら、2008年4月にはジュニアであるBC Gold Corp.
シェアの 12.5%に当たる私募債を 1.05C$で、5 月に
は Rye Patch Gold Corp.のシェア 15%を 1.25 百万
C$で取得している。このように、少額、マイナーシェ
アではあるが将来への布石としてジュニア企業の株
式取得を継続している。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:Goldrea Resources と Molycor Gold 両社は、
BC 州の旧鉱山近傍で高品位モリブデンを確認
Goldrea Resources Corp.(本社:BC 州ホワイトロ
ック)と Molycor Gold Corp.(同)は 5 月 28 日、BC 州
オカナガン中央部の Empress モリブデン鉱区(旧
Brenda 銅・モリブデン鉱山の南方 15km に位置する)
で、新たに 3 孔のボーリングを行い、モリブデン品位
0.055~0.158%の鉱化帯を確認したと発表した。
会社は 2007 年から 730m×360m の地域で 9 孔のボ
ーリングを行い、今まで 30m 以上の着鉱幅で 高
0.93%までのモリブデン鉱化帯を確認してきたが、
今後も対象地域を広げボーリング調査を継続すると
述べている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:Great Western Minerals Group、レアアー
スプロジェクトからリンを副産
Great Western Minerals Group(本社:サスカツー
ン)は 5 月 23 日、サスカチュワン北部ウラニウムシテ
ィ近くにあるHoidas Lakeレアアースプロジェクトか
らリンを副産物として精製、販売する方針を明らかに
した。
同社は、当該地区でのレアアース酸化物は約
700C$/t(鉱石)の価値があるが、世界的な肥料の需要
増を受けて価格が上昇しているリンを副産物として
回収することにより 170C$/t の付加価値が期待され、
収益性も上がると述べている。
リン含有量の詳細については、2007~08 年冬及び
2008 年夏のボーリングにより評価すると述べている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:NovaGold Resources Inc.、Galore Creek の
今後の展開について言及
地元紙によると、NovaGold Resources Inc.の CEO
は、5 月 27 日の年次株主総会前のインタビューに応
じ、Galore Creek の今後の開発計画について、秋ま
でに鉱山施設の立地に関し 2~3 の代替地候補に絞り
込み、その後 FS を行う。所要許可取得には 1~2 年を
要すると述べた。
代替地候補として、当初検討していた Galore
Valleyに比べて乾燥した Valleyまで鉱石をコンベヤ
若しくはスラリー化して搬送し処理する案も含まれ
ている。その他、Galore Valley に疎水坑道若しくは
排水溝を作り、抜水することにより尾鉱ダムへの負担
を下げる方法も検討中。当初計画の尾鉱ダム堰堤は尾
鉱及び降雨に耐えるよう 292m の高さを想定していた。
同氏は、1990~92 年間に 500 本のボーリングを行
った Kenecottが Galore Creekへの参画を断念した理
由として、排水管理が困難であったことを挙げている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 武富義和)
カナダ:炭素税は産業の大きな負担となると各産業界
代表が結束して政府に提言
カナダ・BC 州の炭素税導入実施(2008 年 7 月 1 日施
行予定)を控え、同州主要産業の代表が、政府の言う
中立税収を求めるならば、企業により多く還元される
べきであると政府に要求していくことで団結を確認
した。これは、現在の炭素税の構成は 70%が企業に
よって納付されるが、法人税減税分として還元される
のはたった 30%で、残りは個人所得税減税分として
還元されるもので、著しくバランスを欠いた割合とな
っていることや業界全体の負担が、炭素量または排出
ニュースフラッシュ 8
物の炭素換算ベースで、30C$/t とした場合、関連業
界に係るコストは年間 5 億 C$に上ると算出されたこ
とによる(2008年 7月からの施行初年度は、10C$/t(ガ
ソリン 1ℓ 当り 2.41¢)で、その後 2012 年までに
30C$/t(ガソリン 1ℓ 当り 8.27¢)まで段階的に引上
げられる)。
そこで、鉱業、セメント業、林業、製錬業の各産業
界代表は、5 月 30 日(金)、ビクトリア州政府に出向
き、制度の変更をもとめて気候変動事務局との協議に
臨んだ。各産業界の代表は、もし、このままの制度内
容で炭素税を導入した場合、鉱山やセメント生産企業
が倒産する事態に追込まれること、既に厳しい状態を
強いられている林業が更なる打撃を受けることなど
を事務局に直訴した。
産業界の反応として、BC 州鉱業協会副会長(環境健
康安全担当)の G. Dirom 氏は、「これでは誰に対して
も中立な税収とはならない。この 70:30 の割合を 50:
50 か 60:40 にすることで道理に叶ったものとなる。」
と述べている。
他方、BC 州財務大臣の C.Taylor 氏は、インタビュ
ーで「産業界の嘆願についてはどこまで効果があるの
かは疑問とし、産業界代表と気候変動事務局との会議
が炭素税変更の「交渉」或いは「協議」であるとされて
いることに苛立っている。新法においては全ての炭素
税収入は他の税の減税という形で還元され、それ以外
の歳出は一切出来ないとされている」と答え、更に「政
府は 2008 年、10 億 C$を環境施策に投資することを誓
約しており、産業界に対し有益な対策への扉を全て閉
ざしたわけではなく、これはまだ発展途中の制度であ
り、前進とともに、柔軟な対応ができる。一部の産業
界では財務省とアイデアを出し合い、新しい解決策を
模索している。これが BC 州の前進する方向である。」
とも述べている。
(2008. 6. 2 バンクーバー 大野隆幸)
カナダ:BC 州の炭素税導入まであと 2 か月、他州の
反応と取組み
5 月 27 日、カナダ・ON 州の Dalton McGuinty 州首
相は会見で、「BC 州では北米地域初の燃料等消費者に
課せられる炭素税制度を7月1日から施行されようと
しているが、私は、必ずしも燃料や他の製造物に課せ
られる炭素税が、気候変動に立向う 善の道とは考え
てはいない。むしろ、cap-and-trade system(キャッ
プ・アンド・トレード制度、以下 CATS)の方が好まし
いと思う」と述べた。
同州首相の気候変動への取組みは、一定のレベルを
超える炭素量を排出している企業が罰金を払う形式
を支持しており、全国的な炭素税制度導入を提案して
いるカナダ自由党のStephane Dion党首とも対立して
おり、「炭素税制度、CATS、あるいは両方を併用する
などのやり方があるが、ON 州では CATS が好ましい」
と述べている。CATS では許容範囲内に炭素量の排出
を押さえた企業は使用されなかった許容範囲内の分
を、範囲を超えた炭素量の排出をした企業に売却する
ことが出来ることから、「欧州視察の際も話し合った
が、この制度の導入当時は色々な問題があったが、今
では効果が見られるようになっている」と述べた。こ
の件に関しては、歴史的に初となる ON 州と QC 州との
合同閣僚会議を 6 月 2 日に開催予定。この席では 2
州がどのような形で CATS の基盤作りを出来るかが話
し合われる。
しかし、一方で、同州首相は、連邦の炭素税意向へ
の圧力と、ON 州独自の CATS への戦略は決して互いに
背反するものではないとしている。
「炭素税へ移行する計画を行うのと同じように、全
国的な CATS 導入の可能性を考え、各州の気候変動に
対する反応を見極めて考えていきたい。欧州の国々の
経験も参考とし、両方の戦略を重ね合わせ、気候変動
問題に取り組んでいく」と述べた。
(2008. 6. 2 バンクーバー 大野隆幸)
欧州:欧州議会、「廃棄物枠組指令」改正案を採決。金
属スクラップ輸出規制の緩和に期待
業界紙によると、欧州議会は 6 月 17 日、欧州連合
によって定められている「廃棄物枠組指令」の一部改
正案を採決する予定だ。本指令が改正されると、欧州
諸国からの金属スクラップの輸出規制が緩和される
可能性があるものとして欧州スクラップ輸出業者か
らの期待が高まっている。
現状では、金属スクラップは廃棄物として分類され、
本指令によって輸出規制が課され、貿易を阻害してい
るケースが多い。BMRA(英国金属リサイクル協会:
ニュースフラッシュ 9
British Metals Recycling Association)によると、
本指令によって、欧州の金属スクラップ輸出業者は、
非・欧州連合加盟国のアジア諸国及び米国を含む、重
要な顧客を減らしている。また、OECD 諸国以外への
スクラップ輸出に関しては、欧州における WSR(廃棄
物輸送法:Waste Shipment Regulations)に基づき、
廃棄物に分類された物質は、輸出相手国の地方政府が
「廃棄物」として認可した場合のみ輸送が認められて
いる。BMRA は、金属スクラップを「廃棄物」と定義し
ないように、欧州議会に呼び掛けている。
(2008. 6. 2 ロンドン フレンチ香織)
英:海洋資源開発に向け、大西洋南部Ascension島付
近の海底 20 万km2の取得を国連に申請
英国政府によると、英国は海洋資源開発を目的に大
西洋南部に位置する英国領土Ascension島沖の海底
20 万km2の鉱区取得を国連議会に申請している。この
申請は国連議会のCLCS(大陸棚限界委員会)によって
8 月に審査される予定であり、他国から本大陸棚は申
請されていない。
Ascension 島より半径 350 マイル(563km)以内に在
する起伏の多い海底には、広大な範囲に鉱物資源鉱床
があると推測されている。大西洋中部の中央海嶺では、
鉱液が噴き出て沈殿しているブラックスモーカーが
確認されている。しかしながら、Ascension 島周辺域
の海底は一般的に太平洋での確認地域より深く、本海
域での探鉱開発は現在の先端技術でも及ばないので
はないかと懸念されている。
英国は現在、Ascension 島近辺のほかに南極近くの
Folkland諸島、大西洋北部の Rockall及びフランス、
アイルランド、スペインと共同で Biscay 湾の一部に
ついても大陸棚限界の延長申請を提出している。また、
アルゼンチン及びチリも南極沖の大陸棚の取得を計
画しており、国連海洋法条約に基づいて各国が自国の
大陸棚に関する情報を提出する期限が 2009 年 5 月に
近づいているなか、世界全体、特に南極及び北極周辺
の獲得競争が高まっている。
(2008. 6. 1 ロンドン フレンチ香織)
豪:サウジアラビアの Cristal 社、ミネラルサンド
生産会社の豪 Bemax 社に対し買収オファー
Bemax Resources Ltd.(本社:ブリスベン、以下
Bemax 社)は、サウジアラビアの酸化チタン製造会社
の National Titanium Dioxide Company(以下 Cristal
社)から、買収オファーを受けた。
Cristal 社は、現在、Bemax 社の株式 34.54%を所
有しており、残りの株式に対し、総額 301 百万 A$に
上る 0.32A$/株の買収オファーを行った。
同オファーは5月23日終値の45.4%のプレミアムで、
低90%引受けを含む多くの条件を付している。Bemax社の役
員会は、満場一致でこのオファーを受入れるよう勧告した。
Bemax 社は、NSW~QLD 両州境の Murray Basin でミ
ネラルサンドを採掘しており、2007 年の生産量は、
粗鉱生産量 11.5 百万 t、精鉱生産量 799 千 t、イルメ
ナイト 400 千 t、白チタン石 63 千 t、ルチル 58 千 t、
ジルコン 66 千 t であった。
(2008. 5. 27 シドニー 永井正博)
豪:Murchison 社、Midwest 社へ合併提案
5 月 26 日、Murchison Metals Ltd.(本社:パース、
以下 Murchison 社)は、Midwest Corporation Ltd.(本
社パース、以下 Midwest 社)と協定の形での合併を提
案した。提案は、Midwest 社株 0.575 当りに Murchison
社株1を発行するというもので、Midwest社株7.17A$/
株のオファーに相当する。
合併が成立すると、新会社の権益比率は、Midwest
社が 47.8%で Murchison 社が 52.2%となる。この合
併により、Murchison 社の Jack Hills 鉄鉱山と
Midwest 社の Weld Range 鉄鉱山の共同開発ができ、
約 400 百万 A$の統合効果が見込まれている。
また、5 月 28 日、Midwest 社は中国の Sinosteel
Corporation(以下 Sinosteel 社)社は買収オファーの
期限を 6 月 13 日 17 時まで延長したが、Midwest 社株
6.38A$/株のオファーを上げないであろうと述べた。
株主に対し、Sinosteel 社のオファーは Sinosteel 社
が少なくとも 50.1%の引受を前提としたものであり、
オファーを終了する前にこの条件が満足されなけれ
ば Sinosteel 社は、受入れを撤回し株主は 5.60A$/株
を受入れることになるであろうと述べた。
(2008. 5. 29 シドニー 永井正博)
ニュースフラッシュ 10
豪:Redbank Mining 社、NT 準州の Redbank 銅開発プ
ロジェクトの DFS ボーリング結果を発表
Redbank Mining 社(本社:豪パース、以下 Redbank
社 ) は 、 Redbank 銅 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト の
DFS(Definitive Feasibility Study)ボーリング結果
を発表した。
Redbank鉱床の酸化銅帯で着鉱幅35m、Cu 8.4%等、
Arurite 鉱床の酸化銅帯で着鉱幅 12m、Cu 4.42%等の
好結果を、それぞれ把握した。
Redbank は、マッカーサーリバー・ベーズン中の角
礫パイプに胚胎する鉱床で、1916 年と 1960 年代に開
発された経緯がある。Redbank 社は 2005 年に本プロ
ジェクトを獲得して以来、開発に向けて準備を進めて
おり、現在は、DFS の第一段階として酸化銅帯の評価
を実施しており、順次、硫化鉱帯の評価を実施する予
定である。
(2008. 5. 28 シドニー 増田一夫)
豪:Access Economics 社、豪州の鉱業生産予測を
発表
経済コンサルタント会社のAccess Economics社は、
豪州の鉱業成長予測を発表した。
本調査は豪州鉱業協会の委託によるもので、世界的
な資源需要は 2020 年まで続くことが予想され、この
需要増に対応するため、豪州は鉄鉱石、石炭、ニッケ
ル、亜鉛、銅をはじめとする資源の供給量を増大させ
ていく必要があるが、一方、豪州鉱業界をとりまく設
備不足と不十分な法整備により、現在の資源需要への
対応が遅れた結果、過去 5 年間で 170 億 A$の経済的
損失があったと試算しており、今後も、人材不足や設
備不足は大きなリスクとなりうると指摘している。豪
州政府が鉱業への投資促進に向け現在抱えるリスク
を 小化できれば、豪州は 2020 年までに 1,290 億
A$の国民所得(現在の国民所得 12%増)を得られると
結論付けている。
(2008. 5. 29 シドニー 増田一夫)
豪:Rio Tinto、自社の長期成長予測を発表
Rio Tinto の Tom Albanese 社長が、5 月 29 日の投
資セミナーで発表した長期拡張見通しによれば、世界
の金属需要は 2022 年までに倍増する見通しで、Rio
Tinto はこれに対応する準備を進めていると述べ、以
下の同社の有望プロジェクトを紹介した。
・Simandou(鉄鉱石、ギニア)資源量 22.5 億 t。
・La Granja(銅、ペルー)予測鉱物資源量 28 億 t、Cu
0.51%m、Zn 0.1%。
・Resolution(銅・モリブデン、米国 AZ 州)予測鉱物
資源量 13 億 t、Cu 1.51%、Mo 0.04%。
・Sulawesi(ニッケル、インドネシア)予測鉱物資源量
162 百万 t、Ni 1.62%、Co 0.08%。実施中の探査
により更に資源量増大を期待。
・Bingham Canyon(銅、米国 UT 州)資源量は 637 百万 t、
Cu 0.48%。
Rio Tinto は 2015 年までに、同社の年間生産量は
8.6%増大することを見込んでいる。
地元紙によれば、BHP Billiton は、Rio Tinto の今
後 5 年間の年間生産量は 6%の増大が見込まれるが、
BHP Billitonの 6.9%の増大を下回ると主張している。
Rio Tinto の強気ともいえる成長予測は、 BHP
Billiton の買収提案を拒否する理由を訴える狙いが
あるものと考えられる。
(2008. 5. 30 シドニー 増田一夫)
豪:Olympic Dam 銅・ウラン鉱山の拡張に関するコス
トは増大する見通し
地元紙によると、BHP Billiton の Olympic Dam 銅・
ウラン鉱山の拡張に関して、人材不足及び設備供給不
足により、コストが増大していると伝えた。
BHP Billiton のウラングループ社長は、計画当初
よりもコストが増大していることは認めたが、具体的
な金額については言及を避けた。世界的な資源ブーム
による技術者及び設備不足に加え、 近の燃料コスト
の増大が大きく影響しており、計画当初では、60 億
US$と見積もられていたが、2007 年の Merrill Lynch
及び JP Morgan Chase の試算ではコストは 150 億
US$となり、ウラン鉱山としては世界 高、銅山とし
ては世界で第 4 番目に高い投資額になる。
(2008. 5. 30 シドニー 増田一夫)
ラオス:Oxiana の Sepon 銅山で小規模火災
5月 27日、Oxiana(本社:メルボルン)のラオスSepon
銅山で小規模の火災があった。
ニュースフラッシュ 11
火災の原因は、磨鉱機のスパークとみられ、 初に、
タンクハウスの天井と外装材が燃え、電気ケーブルに
もダメージがあった。火災は 40 分後に消止められ、
主要装備に延焼はなかった。
修復作業のため、SxEw プラントの操業は、10~15
日停止されることから当初生産計画 SxEw カソード
60,000~65,000t/年のところ、1,800~2,500t の減産
となる見通し。
(2008. 5. 27 シドニー 永井正博)
タイ:Oxiana、4 県で鉄鉱石の探鉱権を申請
地元紙によればSuwit Khunkitti産業相は 5 月 31
日 、 Navakun Mining 社 が Rayon 、 Chon Buri 、
Chachoengsao、Chanthaburiの 4 県において総面積
4,800km2を対象に鉄鉱石の探鉱権を申請したことを
明らかにした。Navakun Mining社はOxianaの 100%現
地子会社である。OxianaのP.Boonyathada広域探査部
長は、Oxianaはラオスで銅・金鉱山の開発に成功しカ
ンボジアで大規模な探鉱を行っており、鉄鉱石の炭鉱
開発はタイ進出の足掛かりと述べている。2 年間の探
鉱投資額は 200~500 万A$を見込む。鉄鉱石は、タイ
国内及び中国向けに輸出する計画である。同産業相は、
Oxianaによる鉄鉱石探鉱は、タイの鉄鋼産業育成に貢
献し、鉄鋼産業の上流分野へ新たな投資を呼込むきっ
かけになると賛意を示すとともに、タイの政治的緊張
が外国投資に悪影響を及ぼしていないとする見解を
示し、鉱業権の交付に前向きな発言を行っている。タ
イの鉄鋼生産者は、現在、海外からビレット、スクラ
ップ、スラブなど原料を輸入しているが、将来、国内
鉱山から調達できる可能性があると述べている。
(2008. 6. 3 ジャカルタ 池田 肇)
フィリピン:BHP Billiton、Hallmark(Pujada)ニッ
ケル開発事業で権利喪失か
地元紙によれば Makati 地方裁判所は 5 月 20 日、
Hallmark(Pujada)ニッケルプロジェクトの運営会社
Asiaticus 社と BHP Billiton の両社ニッケル開発事業
をめぐる対立について、両者の合弁契約は事実上破綻し
ているとして、BHP Billiton の権利喪失を認める判決
を下した。Hallmark ニッケルプロジェクトは、Hallmark
Mining 社及び Austral-Asia Link Mining 社が 2004 年
にMPSA(鉱物生産分配契約:Mineral Production Sharing
Agreement)を獲得し、実業家 Peter Tan 氏が社長を努め
る Asiaticus 社が運営会社として登録されている。今回
の法廷論争は、Asiaticus 社が BHP Billiton の現地子
会社 Queensland Nickel(QN)社と 2002 年に締結した合
弁契約において、BHP BillitonはQN社を通じ15億US$を
投じ製錬所を建設することをコミットしていたが、その
後進展がないため、Asiaticus 社が合弁契約の無効を提
訴していたもの。環境天然資源省鉱山地科学局の鉱業開
発プロジェクト・プロファイルによれば、Hallmark ニ
ッケルプロジェクトは、Tavao Oriental 州 Mati 市の
Pujada に位置する。鉱区面積は 11,799ha で Catmonan、
Magum、Tumagdo の 3 つのニッケル・ラテライト鉱床が
ある。埋蔵量は、鉱量 2 億 t、ニッケル品位 1.3%、資
産価値 227 億 US$と試算される。投資総額は 10億 US$と
見込まれる。フィリピン政府及び Asianticus 社は、2009
年に商業生産開始を見込んでいたが、BHP Billiton の
プロジェクト・パイプラインによれば 2019 年以降の開
発に位置付けられている。Asiaticus 社は、BHP Billiton
との契約を白紙撤回後、直ちにニッケル・ラテライト鉱
を採掘し輸出したいとしている。
(2008. 6. 3 ジャカルタ 池田 肇)
インド:Vedanta 子会社の Sterlite 社、ASARCO 社を
26 億 US$で買収
Vedanta Resources Plc(本社:ロンドン)の 75.9%
子会社、Sterlite Industries(India)社は 5月 31日、
ASARCO 社(本社:米国)が保有する全資産を現金 26 億
US$で買収する契約に基本合意したと明らかにした。
契約は、Texas 州南管区破産裁判所の審査を受けなけ
ればならないが、この販売により破産法第 11 条に基
づく ASARCO 社の会社更生手続が完了することになる。
旧 ASARCO 社資産は現在、精製銅生産では米国第 3 位
で、2007 年の売上高は 19 億 US$、精製銅生産量は 23
万 5,000t で、同社保有の埋蔵量は、含有銅量ベース
で 500 万 t である。ASARCO の買収は、Sterlite 社の
自己資金及び融資により実施される。ASARCO の資産
は、AZ 州の露天掘 3 銅山(Ray、Silver Bell、Mission)
と Hyden 製錬所、Texas 州の Amarillo 精錬所、ロッ
ドケークプラント、貴金属回収プラントからなる。今
後、Sterlite 社が、アスベスト・環境対策を講じた
ニュースフラッシュ 12
後、これら鉱山の操業を行うことになる。Sterlite 社
の現在の銅溶錬能力は 40 万 t/年、銅ロッド生産能力
は 24 万 t である。
(2008. 6. 3 ジャカルタ 池田 肇)
インドネシア:Rio Tinto、インドネシアの Sulawesi
Nickel プロジェクトの資源量 162 百万 t と発表
Rio Tinto は、インドネシアの Sulawesi Nickel プ
ロジェクトのボーリング結果により、予測資源量でラ
テライト鉱 162 百万 t、品位:Ni 1.62%、Co 0.08%
を確認したことを発表した。
同プロジェクトは、2015 年までに生産開始(Ni 純分
46,000t/年)し、将来は 100,000t/年に拡張するとい
う FS の 終段階にあり、輸送ルートなどインフラ調
査が始まっている。Rio Tinto は、現在、インドネシ
ア政府と操業期間と労働契約交渉の 終段階にある。
(2008. 5. 29 シドニー 永井正博)
インドネシア:Martabe 金鉱開発、PT Antam 新たな
敵対的買収劇の始まりか
地元紙によれば国営鉱山会社 PT Antam は 5 月 29
日、Pongkor 金山の鉱量枯渇に伴う新たな金鉱資産の
買収戦略の一環として、Oxiana 社が手掛ける Martabe
金山開発に権益参加する計画を検討していることを
明らかにした。
Martabe 金山については Agincourt Resources 社が、
2006年9月に同鉱の運営会社(COWカンパニー)である
Newmont Horas Nauli(NHN)社の権益 90%を保有する
Newmont South East Asia Pte(NSEA)社の全株式を
Newmont Mining から買収し、Martabe 金山の権益を取
得した。その後、Oxiana が Agincourt Resources 社
の全株式を 4 億 1,500 万 A$で公開買付し、Martabe
金山開発の権利を獲得したため、現在、Oxiana が
Agincourt Resources社の株式100%を保有している。
PT Antam は、この Agincourt Resources 社の株式
25%を買収して Martabe 金山開発に参加したいとし
ているが、先のインドネシア企業 Trinergy 社、
Dharmawangsa Group 社による Agincourt Resources
社の株式 30%の買収計画発表を受けて、これに対抗
した敵対的買収を行うのではないかとの憶測を呼ん
でいる。Trinergy 社は、政商 Ahmad Nugraha Juanda
が経営し、同氏は石炭大手 Sitrade Nusa Globus 社の
社主 Herman Afif Kusuma 氏の側近と言われる。
Dharmawangsa Group 社 は 、 石 炭 大 手 PT Adaro
Indonesia 社の大株主(32%)である Sadiaga S. Uno
が支配する。両社ともに Agincourt 社の権益 15%を
求め Oxiana と協議を行っている模様である。
Martabe の埋蔵量は、金 187t、銀 1,866t で、金生
産量で 6t/年、銀生産量で 62t/年である。PT Antam
は、経営基盤強化・株主利益 大化経営戦略の一環と
して Dairi 鉛・亜鉛鉱開発を手掛ける Herald
Resources 社の買収をめぐり Bumi Resources 社と敵
対的買収劇の 中にあるが、Martabe の権益参加に当
ってもインドネシア企業と新たな戦いを強いられて
いる。
(2008. 6. 3 ジャカルタ 池田 肇)
中国:四川大地震による鉱業への影響続報
(1)金属シリコンの生産に影響
中国有色金属工業協会発行の中国金属通報によれ
ば、四川省の金属シリコン生産量は国内の 1/5 を占め
ている。地震が発生後、シリコン生産企業数社が地震
により損害により、生産停止となっている。これによ
り、7~8 万 t の生産量の損失が生じる見込みで、四
川省がシリコンの主要生産地となっていることから、
金属シリコン市場に影響があるものと見られる。
シリコン生産ラインの修復におおよそ半年を要し、
更に輸送及び電力の被害も大きく、金属シリコンの供
給停止が長引けば、シリコン価格上昇が見込まれ、雲
南省などにあるシリコン生産企業は、現在フル生産を
行っている。
(2)甘粛省成県の鉛・亜鉛鉱山の生産停止
安泰科によれば、甘粛省成県(四川省との省境)地域
に位置する鉛・亜鉛鉱山の生産が、地震により停止し
ている。5 月 12 日の四川大地震後、余震が続いてい
るため採掘作業員の安全を保障できず、設備も破壊さ
れており、現時点では生産再開の見通しが立たない。
甘粛省の成県及びその周辺地域は、国内の主要鉛・
亜鉛鉱産地帯の一つで、年間鉛・亜鉛生産量は国内総
生産量の 20%を占めている。市場関係者の話による
と、現在、国内の亜鉛在庫量は過剰で、一時的に鉛・
亜鉛生産中断しても、金属価格の急上昇は生じないも
ニュースフラッシュ 13
のと見られている。
甘粛省の成県にある幣家山鉛・亜鉛鉱山の話では、
余震がなくなっても、坑道と設備が破壊されているの
で通常の生産能力に戻るのは少なくとも半月を要す
ると予想されている。同山の通常時の鉛・亜鉛バルク
精鉱生産量は 200t/日である。
(3)宝鶏チタン工業公司、操業を部分的に再開
安泰科によれば、宝鶏チタン工業公司からの情報と
して地震の影響により 5 月 19 日より操業をストップ
していた陝西省漢中地区、宝鶏(漢中から北 140km)地
区にある同社のミル・プラントやチタン合金工場は、
5 月 29 日、部分的に操業を再開した。
地震による被害と損失はそれほどでもないが、本格
操業は 6 月中旬と見込まれ、第 2 四半期の生産計画に
影響を与えると予想されている。宝鶏チタン工業公司
は、チタン及びチタン合金製造の大手企業である。
(2008. 6. 2 北京 土屋春明)
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