世界の鉱業の趨勢 2019

1

ペルー

主要データ

国名（英名） ペルー共和国（Republic of Peru）

面積（km2） 1,285,216

海岸線延長（km） 2,414

人口（百万人） 31.3

人口密度（人／km2） 24.4

GDP（bUS$） 214.2

一人当たり GDP（US$） 6,836.63

主要鉱産物：鉱石 銅、亜鉛、鉛、金、銀、錫、モリブデン、鉄

主要鉱産物：地金 銅、鉛、亜鉛、錫、カドミウム

鉱業管轄官庁 エネルギー鉱山省（Ministerio de Energía y Minas：MINEM）

鉱業関連政府機関 鉱 山 地 質 冶 金 研 究 所 （ Instituto Geológico Minero y

Metalúrgico：INGEMMET）

鉱業法 鉱業一般法（1992年）

ロイヤルティ 最高政令 NO.180-2011-EF（ロイヤルティ法（2004年法律

NO.28258）の施行細則を改正する最高政令））

外資法 民間投資法

環境規制法 （環境影響調査制

度、環境・排出基準の有無等）

環境一般法（法律第 28611 号、2005 年）、国家環境管理システム

のフレームワークについての法律（法律第 28245 号、2004 年）、

環境影響評価の国家システム（SEIA）についての法律（法律第

27446号、2001年）等

鉱業公社（環境） Activos Mineros S.A.C.（AMSAC）

鉱業活動中の民間企業 BHP、Glencore、Freeport McMoRan、Anglo American、Nexa、

Buenaventura等

近年の鉱業関連問題 （資源ナ

ショナリズム、労働争議、環境

問題等）

・政府による Tía Maríaプロジェクトへの建設許可付与をきっか

けに抗議活動が激化、銅精鉱の約 6 割を扱う Matarani 港からの

輸出が一時停止する事態に発展。鉱業審議会は許可を追認したが

地元の了解は得られず建設開始の見通しは立たない。

・Las Bambas鉱山に抗議する地域住民による道路封鎖により、同

鉱山の操業がほぼ停止状態に。政府は非常事態宣言を発出し、国

家警察により封鎖を解除。地域住民の理解に向けて協議を継続。

・河川汚染問題が指摘されていた Arasi金鉱山（Aruntani社）に

対し、政府は操業停止と閉山を決定。

2018年のトピックス

・2018 年の鉱業投資額は 4,947mUS$と前年比 26.0％増となった

一方、探鉱費用は 413mUS$と前年から 14.8％大幅減。

・探鉱活動に対する一般売上税（IGV）還付制度が 2022年末まで

3年間延長。 ・2019年 4月 25日付けで鉱山副大臣を辞任した Incháustegui氏

の後任として、同年 5 月 31 日付けで Augusto Cauti Barrantes

が就任。また、10月 3日に発足した Zeballos内閣で Juan Carlos

Liu氏がエネルギー鉱山大臣に就任。

世界の鉱業の趨勢 2019

2

1．鉱業一般概況

ペルーは、我が国の非鉄金属資源確保上、最も重要な国の一つであるとともに、銅精鉱等の鉱産物が

同国の総輸出額の約 60.2％（2018年）を占める鉱業国である。ペルーは多様な鉱物資源に恵まれてお

り、埋蔵量では銀（世界第 1位）、銅（同 3位）、亜鉛（同 3位）、モリブデン（同 3位）、セレン（同 3

位）、鉛（同 5位）、金（同 5位）、錫（同 10位）等が世界 10指に入り（Mineral Commodity Summaries

2019、USGS）、2018年の産出量では銀（世界全体の 16.7％）や銅（同 11.7％）、亜鉛（同 11.3％）が世

界第 2位、鉛（同 5.4％）が同 3位、錫（同 4.9％）とモリブデン（同 10.3％）が同 4位、金（同 4.3％）

が同 7位であった。

同国の鉱業投資額は、2013年に過去最高額（8,864mUS$）となった後、2014年以降は減少を続けてい

たが、2017 年第 2 四半期に 12 四半期ぶりとなる対前年同期比増となって以降回復傾向にあり、2018

年は 4,947mUS$と前年比 26.0％増となった。この内訳としては、プラント設備費が 1,412mUS$と前年

（287mUS$）から 392.4％の大幅増となったほか、鉱業機器費用が 657mUS$と前年（491mUS$）から 33.7％

増となった一方、探鉱費用は 413mUS$と前年（484mUS$）から 14.8％減となった。

2018 年の鉱業投資額を州別にみると、上位から Ica 州（818mUS$、前年比 117.9％増）、Moquegua 州

（678mUS$、同 87.8％増）、Tacna州（489mUS$、同 5.7％減）、Arequipa州（457mUS$、同 13.6％減）と

なった。また企業別に見ると、上位からSouthern Peru Copper社（615mUS$）、Anglo American Quellaveco

社（510mUS$）、Shougang Hierro Peru社（509mUS$）、Cerro Verde社（285mUS$）、Antamina社（276mUS$）

となっている。

2．鉱業政策の主な動き

2018 年 3 月に発足した Vizcarra 政権は、鉱業投資の促進が貧困対策と環境保全の唯一の方法であ

るとの見解のもと、エネルギー鉱山省、環境省、農業省が恒常的に連携を図りつつ、停滞している鉱業

プロジェクトの推進に重点をおくとの考えを示していた。

これに沿う形で、環境影響評価の期限が迫る Tia Mariaプロジェクトに対し、「必要な手続きは満た

している」との判断から、エネルギー鉱山省はプロジェクトを所有する Southern Copper 社に対し一

度は建設許可を付与したものの、各地で大規模な抗議行動に発展したことを受けて、同省の鉱業審議

会が建設許可に関して最大 120 日間の停止を決定した。その後、同審議会は建設許可を追認する決定

をしたものの、抗議活動の中心であるペルー南部の複数州の首長が、「鉱業セクターでの度重なる社会

争議は現行の鉱業一般法に要因がある」と主張、さらに Vizcarra大統領が独立記念日の演説で「新た

な鉱業一般法の制定」に言及したことから、同法の改正が既定路線となり、その検討が行われている。

他方エネルギー鉱山省は、これまで同省は探鉱プロジェクトよりも鉱山建設段階の案件により注力

してきた面があったとして、探鉱におけるボトルネックの解消を目的として、先住民事前協議の専門

家チームの結成、探鉱活動における一般売上税（IGV）等の還付制度延長に加え、探鉱プロジェクトの

追跡を行うためのプラットフォーム Proyecta MINEMの導入や、鉱業促進・持続総局による探鉱プロジ

ェクト支援を行う方針を表明している。

（1）探鉱活動に対する⼀般売上税（IGV）還付制度の延⻑ 政府は 2019年 12月 5日、鉱業や炭化水素セクターの探鉱活動に対する一般売上税（IGV）や自治体

促進税の還付制度（法律 27623 と法律 27624）を 2022年 12 月 31 日まで延長することを目的として、

（国会解散中のため）緊急政令 021-2019を公布した。

なお、本還付制度は 2002年に公布された時限法により開始され、これまで数度にわたり期限の延長

が行われてきており、2018年末には制度廃止の動きがあったが、最終的に国会により 2019年末まで期

限が延長されていた。

世界の鉱業の趨勢 2019

3

（2）持続鉱業開発委員会の発足

政府は 9月 24日、大統領決議 145-2019-PCMにより、「持続的な鉱業開発を目的とした政策・規則の

提案」を目的として「持続鉱業開発委員会」を設立した。本委員会は、エネルギー鉱山省鉱山副大臣室

を事務局として 10月 15日に発足後、120日間かけて鉱業一般法の改正に向けた取り組みを行い、メン

バーは元鉱山大臣などを含めた 8 名によって構成される（10 月 12 日付け大統領決議 190-2019-PCMに

よりメンバーを一部変更）。

（3）デジタル単一窓口（VUD）の設置

政府は9月19日、エネルギー鉱山省（MINEM）におけるデジタル単一窓口（Ventanilla Única Digital、

VUD）の設置を定めた大統領令 DS016-2019-EMを公布した。

VUDは、MINEMと地質鉱業冶金研究所（INGEMMET）、持続可能環境投資許可庁（SENACE）、国家財監督

庁（SNB）、文化省（MINCUL）、国家登記庁（SUNARP）の 5 機関をつなぎ、第 1段階において、MINEMが

実施する 6 つの手続き（1．探鉱活動許可、2．採掘活動許可、3．鉱物処理権付与、4．鉱物処理権変

更、5．大・中規模鉱山閉山計画評価、6．廃滓再利用）への対応が計画されている。

本大統領令は、エネルギー鉱山大臣のほか、環境大臣、文化大臣、法務・人権大臣、住宅・建設・上

下水道大臣らによって署名されており、今後、MINEMを筆頭に関係省庁が設置に必要な取り組みに参加

すること、MINEMの予算で設置され MINEMにより管理されることなどが定められており、VUDの導入に

より必要な許認可の取得に要する期間が 50％短縮されるとの見通しが示されている。

3．主要鉱産物の生産・輸入・消費・輸出動向

（1）主要金属鉱石生産量

エネルギー鉱山省によると、2018 年のペルーの銅生産量は 2,437 千 t で、前年（2,446 千 t）から

0.4％減となった。2018年の世界の銅生産量は、前年比で 4.8％増の 20.71mtであり、ペルーの世界生

産順位は、チリ（5.80mt、28.0％）に次ぐ第 2位（世界生産量の約 11.8％）を堅持した。2018年の銅

の輸出先は、第 1位が中国 63.9％（9,536mUS$）、第 2位が日本 8.8％（1,309mUS$）、第 3位が韓国 5.8％

（865mUS$）となっている。

2018 年亜鉛生産量は 1.47mt で、前年（1.47mt）から横ばいとなり、中国（4.4mt、33.8％）に次ぐ

世界第 2 位（世界生産量の 11.6％）を維持した。2018 年の亜鉛の輸出先は、第 1 位が中国で 24.9％

（639mUS$）、第 2位がスペイン 16.1％（414mUS$）、第 3位が韓国 15.9％（408mUS$）で、日本が第 5位

（214mUS$、8.3％）となっている。

2018年金生産量は 143ｔで、前年（152t）から 6.1％減となり、中国（400t、約 12.30％）、豪州（310t、

約 9.5％）、ロシア（295t、約 9.1％）等に次ぐ第 6位（世界生産量の約 4.4％）である。ペルー第 1位

の金生産者である Yanacocha 社は 2009 年以降減産傾向にあり、2018 年は前年比 3.80％減であったほ

か、第 2 位の Barrick Misquichilca 社は前年比 34.7％減と大幅な減少となった。また銀生産量は

4,163tで前年（4,418t）から 5.8％減となり、メキシコ（6,100t、22.7％）に次いで第 2位（世界生産

量の約 15.5％）であった。

表 3-1．主要金属鉱石生産量

鉱種 2016年 2017年 2018年 対前年増

減比(％)

世界シェア

(％)

ランク

銅（千 t） 2,353.9 2,444.7 2,437.4 -0.3 11.7 2

亜鉛（千 t） 1,334.3 1,473.0 1,474.7 0.1 11.3 2

鉛（千 t） 314.4 306.8 289.2 -5.7 5.4 3

世界の鉱業の趨勢 2019

4

錫（千 t） 18.8 17.8 18.6 4.6 4.9 4

鉄（千 t） 7,663.1 8,603.3 9,533.9 10.8 0.5 17

モリブデン（千 t） 25.8 28.1 28.0 -0.4 10.3 4

金（t） 153.5 166.7 142.6 -14.5 4.3 7

銀（t） 4,273.0 4,303.5 4,161.3 -3.3 16.7 2

出典：ペルー・エネルギー鉱山省、World Metal Statistics Yearbook 2019

（2）主要金属地金生産量

表 3-2.主要金属地金生産量

鉱種 2016年 2017年 2018年 対前年増

減比(％)

世界シェア

(％)

ランク

亜鉛（千 t） 341.5 312.3 333.7 6.8 2.5 8

錫（千 t） 19.4 17.9 18.3 1.9 5.0 5

セレン（t） 78.0 65.0 51.0 -21.5 1.3 14

出典：World Metal Statistics Yearbook 2019

（3）主要金属地金消費量

僅少

（4）主要金属輸出量

ペルーの 2018年の輸出総額は 48,942mUS$で前年（45,275mUS$）に比べて 8.1％増加した。このう

ち鉱産物輸出額の合計は、輸出総額の約 58.9％に当たる 28,823mUS$であり、前年（27,477mUS$）に

比べて 4.9％の増加となった。

表 3-3．主要金属輸出量

鉱種 2016年

（千 t）

2017年

（千 t）

2018年

（千 t）

対前年

増減比(％)

主な輸出相手国

鉄鉱石 12,859.6 15,585.9 2,153.2 17.9 中国、日本、米国

銅

鉱石 1,948.0 2,050.1 2,153.2 5.0 中国、日本、韓国

地金 276.3 294.5 291.9 -0.9 中国、イタリア、ブラジル

錫地金 19.0 18.0 17.3 -4.0 米国、オランダ、スペイン

鉛

鉱石 580.9 488.4 476.5 -2.4 韓国、中国、カナダ

地金 6.5 11.6 9.7 -16.8 コロンビア、米国、ブラジル

亜鉛

鉱石 1,902.9 2,174.0 2,171.1 -0.1 韓国、中国、スペイン

地金 271.3 246.2 255.0 3.6 米国、コロンビア、日本

出典：World Metal Statistics Yearbook 2019, World Metal Statistics April 2019,

International Trade Centre

世界の鉱業の趨勢 2019

5

（5）主要金属輸入量

表 3-4．主要金属輸入量

鉱種 2016年

2017年

2018年

対前年

増減比(％)

主な輸入相手国

クロム鉱石（千 t） 3.8 4.4 4.6 4.7 南ア、スペイン、オランダ

チタン鉱石（千 t） 0.4 0.4 0.5 25.0 メキシコ、豪州、ウクライナ

マンガン鉱石（千 t） 0.3 0.4 0.8 100.0 メキシコ、中国、インド

モリブデン鉱石（千 t） 0.03 0.04 0.09 125.0 チリ、中国、スウェーデン

銅鉱石（千 t） 7.8 14.2 29.4 106.7 チリ、エクアドル、ブラジル

フェロニオブ（t） 27.0 2.0 7.0 250.0 米国、ブラジル

出典：Global Trade Atlas

世界の鉱業の趨勢 2019

6

4．鉱山・製錬所状況

銅、亜鉛、金等の主要鉱山について、表 4-1に、また、主要製錬所について、表 4-2に示す。

表 4-1．鉱山一覧

鉱山名 権益所有企業（権益：％） 鉱種 2018年

生産量(千 t) 備考

Cerro Verde Freeport McMoRan（53.56）、Buenaventura（19.58）、住友金属鉱山（16.8）、住友商事（4.2）他

銅（精鉱中含量） 銅（SxEw） 銅（合計）

455 40 494

Antamina BHP（33.75）、Glencore（33.75）、Teck Resources（22.5）、三菱商事（10）

銅（精鉱中含量） 亜鉛 鉛

460 475 7

Las Bambas MMG 銅（精鉱中含量） 385

Toromocho Chinalco 銅（精鉱中含量） 亜鉛

208 23

Antapaccay Glencore 銅（精鉱中含量） 205

Cuajone Southern Copper（Grupo México） 銅（精鉱中含量） 銅（SxEw） 銅（合計）

160 2

163

Toquepala Southern Copper（Grupo México） 銅（精鉱中含量） 銅（SxEw） 銅（合計）

144 24 168

Constancia Hudbay Minerals 銅（精鉱中含量） 122

Cerro Lindo Nexa Resources 銅（精鉱中含量） 亜鉛 鉛

40 136 15

Corquijirca Buenaventura（53.76） 銅（精鉱中含量） 亜鉛 鉛

47 48 24

Cerro Corona （Carolina）

Gold Fields 銅（精鉱中含量） 金(t)

33 5

San Cristóbal Volcan 銅（精鉱中含量） 亜鉛 鉛

2 57 5

Carahuacra Volcan 銅（精鉱中含量） 亜鉛 鉛

1 40 3

Yauricocha Corona 銅（精鉱中含量） 亜鉛

10 38

Chungar（Animón）

Volcan 亜鉛 鉛

77 19

Raura Minera Raura 亜鉛 鉛

47 20

El Porvenir Nexa Resources 亜鉛 鉛

60 19

Americana Casapalca 亜鉛 鉛

36 7

Yanacocha Newmont（51.35）、Buenaventura（43.65）、住友商事（5）

金(t) 16

M.D.D Madre de Dios 金(t) 9

Lagunas Norte Barrick Gold 金(t) 8

Poderosa de Trujillo

Poderosa 金(t) 8

Retamas Aurifera Retamas 金(t) 6

Tantahuatai Southern Copper(44.2)、Buenaventura（40.1）他

金(t) 5

Parcoy Consorcio Minero Horizonte 金(t) 5

La Arena Tahoe Resources 金(t) 5

San Rafael Minsur 錫 19

Shougang Shougang 鉄 9,097

出典：エネルギー鉱山省

世界の鉱業の趨勢 2019

7

表 4-2．製錬所一覧

製錬・精錬所名 権益所有企業（権益：％） 鉱種・形態 2017年

生産量(千ｔ） 備考

Ilo Grupo México(80.9％) 銅（製錬）

銅（精錬）

328

266

La Oroya Doe Run

銅（精錬）

亜鉛（精錬）

鉛（精錬）

0

0

0

操業停止、精算手続き中

Cajamarquilla Nexa Resources 銅（精錬）

亜鉛（精錬）

4

334

Funsur Minsur 錫（精錬） 18

出典：エネルギー鉱山省

図 1．主要鉱山、製錬所位置図

世界の鉱業の趨勢 2019

8

5.探鉱状況等

表 5-1.主要プロジェクト一覧

（百万 US$）

出典：エネルギー鉱山省

建設開始 操業開始 プロジェクト名 企業名 県 主鉱種 現状 投資額

2019 Relaves B2 San Rafael Minsur S.A. Puno 錫 建設中 209

2020 Mina Justa Marcobre S.A.C. Ica 銅 建設中 1,600

2020 Quecher Main Minera Yanacocha S.R.L. Cajamarca 金 建設中 300

建設中 2021 Ampliación Toromocho Minera Chinalco Perú S.A. Junín 銅 建設中 1,355

2021 Ariana Ariana Operaciones Mineras S.A.C Junín 銅 建設中 125

2022 Quellaveco Anglo American Quellaveco S.A. Moquegua 銅 建設中 5,300

2022 Ampliación Santa María Compañía Minera Poderosa S.A. La Libertad 金 建設中 110

2020 2021 Optimización Inmaculada Compañía Minera Ares S.A.C Ayacucho 金 F/S 136

2020 2022 Integración Coroccohuayco Compañía Minera Antapaccay S.A. Cusco 銅 F/S 590

2020 2023 Ampliación Pachapaqui ICM Pachapaqui S.A.C. Áncash 亜鉛 F/S 117

2020 2023 Corani Bear Creek Mining S.A.C. Puno 銀 詳細設計 585

2020 2023 San Gabriel (Ex Chucapaca) Compañía de Minas Buenaventura S.A.A. Moquegua 金 Pre F/S 431

2020 2023 Yanacocha Sulfuros Minera Yanacocha S.R.L. Cajamarca 銅 F/S 2,100

2021 2024 Pampa de Pongo Jinzhao Mining Perú S.A. Arequipa 鉄 詳細設計 2,200

2021 2024 Zafranal Compañía Minera Zafranal S.A.C. Arequipa 銅 F/S 1,157

2022 2023 Magistral Nexa Resources Perú. S.A.A. Áncash 銅 F/S 480

2022 2025 Haquira Minera Antares Perú S.A.C. Apurímac 銅 Pre F/S 1,860

2022 2025 Los Chancas Southern Perú Copper Corporation,Sucursal del Perú Apurímac 銅 Pre F/S 2,800

Ampliación Bayóvar Compañía Minera Miski Mayo S.R.L. Piura リン F/S 300

Antilla Panoro Apurímac S.A. Apurímac 銅 Pre F/S 250

未定 未定 Ayawilca Tinka Resources S.A.C Pasco 亜鉛 Pre F/S 262

AZOD (Accha y Yanque) Exploraciones Collasuyo S.A.C. Cusco 亜鉛 Pre F/S 346

Bayovar 12 Juan Paulo Quay S.A.C Piura リン Pre F/S 168

Cañariaco (Norte) Cañariaco Copper Perú S.A. Lambayeque 銅 F/S 1,437

Cañón Florida (Ex Bongará) Nexa Resources Perú. S.A.A. Amazonas 亜鉛 F/S 214

Conga Minera Yanacocha S.R.L. Cajamarca 金 F/S 4,800

Cotabambas Panoro Apurímac S.A. Apurímac 銅 Pre F/S 1,533

Don Javier Junefield Group S.A. Arequipa 銅 Pre F/S 600

El Galeno Lumina Copper S.A.C. Cajamarca 銅 Pre F/S 3,500

El Padrino e Hilarión Nexa Resources Perú. S.A.A. Áncash 亜鉛 Pre F/S 470

Fosfatos Mantaro Mantaro Perú S.A.C. Junín リン Pre F/S 850

Fosfatos Pacífico Fosfatos del Pacífico S.A. Piura リン F/S 831

Hierro Apurímac Apurímac Ferrum S.A. Apurímac 鉄 Pre F/S 2,900

La Granja Rio Tinto Minera Perú Limitada S.A.C. Cajamarca 銅 Pre F/S 5,000

Los Calatos Minera Hampton Perú S.A.C Moquegua 銅 Pre F/S 655

Macusani Macusani Yellowcake S.A.C. Puno リチウム Pre F/S 800

Michiquillay Southern Perú Copper Corporation,Sucursal del Perú Cajamarca 銅 Pre F/S 2,500

Ollachea Minera Kuri Kullu S.A. Puno 金 F/S 165

Pukaqaqa Nexa Resources Perú. S.A.A. Huancavelica 銅 Pre F/S 706

Quechua Compañía Minera Quechua S.A. Cusco 銅 F/S 1,290

Quicay II Corporación Minera Centauro S.A.C. Pasco 金 Pre F/S 400

Racaycocha Sur Minera Peñoles de Perú S.A. Áncash 銅 Pre F/S 1,000

Río Blanco Rio Blanco Copper S.A. Piura 銅 F/S 2,500

Rondoní Compañía Minera Vichaycocha S.A. Huánuco 銅 Pre F/S 250

San Luis Reliant Ventures S.A.C. Áncash 銀 F/S 100

Shalipayco Nexa Resources Perú. S.A.A. Junín 亜鉛 Pre F/S 91

Tía María Southern Perú Copper Corporation,Sucursal del Perú Arequipa 銅 詳細設計 1,400

Trapiche El Molle Verde S.A.C. Apurímac 銅 Pre F/S 1,000

合計 48件 57,772

世界の鉱業の趨勢 2019

9

エネルギー鉱山省によると、2019 年 1 月時点の鉱山拡張、鉱山開発、探鉱などの主要プロジェクト

は 48件あるとされ、これらの実施期間中の総投資予定額は合計で 57,772mUS$に上る（表 5-1）。

これらプロジェクトのうち、鉱山拡張が 8件で占められ投資予定額 4,845mUS$（総額の 8.3％）とさ

れている。ステージごとにみると、開発工事中が 7 件（投資予定額 8,999mUS$、15.6％）、詳細設計が

3 件（同 4,185mUS$、7.2％）、経済性評価が 15 件（同 16,217mUS$、28.1％）、プレ経済性評価が 23 件

（同 28,371mUS$、49.1％）であり、探鉱が初期段階であるものや小規模なものは含まない。

これらプロジェクトの内、25件は銅を主対象とするプロジェクトで投資予定額は 40,988mUS$（総投

資予定額の 70.9％で、次いで金が 7 件で投資予定額は 6,342mUS$（同 11.0％）である。これを親会社

の国別資本で見ると、第 1位は英国（12,066mUS$、20.9％）、第 2位は中国（10,155mUS$、17.6％）、第

3位はカナダ（8,498mUS$、14,7％）となっている。また、州別では、第 1位が Cajamarca州（18,200mUS$、

31.5％）、第 2位 Apurímac州（10,343mUS$、17.9％）、第 3位 Moquegua州（6,386mUS$、11.1％）と続

き、前年から順位に変動はない。

地質鉱業冶金研究所（INGEMMET）によれば、2018年における鉱区申請件数は 6,944件で前年（5,831

件）に比べて 19.1％増加した。

6．我が国との関係

（1）日本への金属鉱物等輸出

①銅鉱石

2018 年の日本への銅鉱石（精鉱を含む）の輸出実績量は 804.2 千 t、輸出実績額は 130,001 百万円

で、それぞれ前年比 3.6％減、9.3％減となった。2018年の日本の銅鉱石（精鉱を含む）の総輸入量 5,248

千 tの 15.3％を占め、チリの 2,397千 t（45.7％）に次ぐ第 2位の輸入相手国となっている。

②亜鉛鉱石

2018年の日本への亜鉛鉱石（精鉱を含む）の実績輸出量は 230.1千 t、輸出実績額は 26,232百万円

で、それぞれ前年比 22.3％増、20.2％増となった。2018年の日本の亜鉛鉱石（精鉱を含む）の総輸入

量 895千 t の 25.7％を占め、ボリビア（268 千 t、30.0％）に次ぐ第 2 位の輸入相手国となっている。

③鉛鉱石

2018 年の日本への鉛鉱石（精鉱を含む）の実績輸出量は 25.1 千 t、輸出実績額は 5,757 百万円で、

前年比 312.3％増、174.8％増となり、大幅な減少となった前年から回復をみせた。2018年の日本の鉛

鉱石（精鉱を含む）の総輸入量 130千 tの 19.3％を占め、豪州の 37.3千 t（28.6％）、米国の 32.7千

t（25.0％）に次ぐ、第 3位の輸入相手国となっている。

表 6-1．日本への精鉱及び地金輸出量（グロス量）

鉱種 2016年

（千 t）

2017年

（千 t）

2018年

（千 t）

対前年

増減比

(％)

銅

鉱石 762.0 834.6 804.2 -3.6

地金 - 0.5 - -

亜鉛

鉱石 180.2 188.1 230.1 22.3

地金 6.2 7.1 9.1 28.8

鉛

世界の鉱業の趨勢 2019

10

鉱石 30.7 6.1 25.1 312.3

地金 - - - -

錫地金 1.5 1.3 1.6 26.5

鉄鉱石 536.5 678.1 613.1 -9.6

出典：財務省貿易統計

（2）日本企業による投資状況等

表 6-2．日本企業による投資状況

段階 鉱山名 州 鉱種 操業開始年 日本企業（権益：％） 外国企業（権益：％）

操業中 Antamina Ancash Cu, Zn 2001 年 三菱商事（10％） Glencore （ 33.75％）、BHP（ 33.75％）、Teck

Resources（22.5％）

操業中 Cerro Verde Arequipa Cu 1977 年 住友金属鉱山（16.8％）、

住友商事（4.2％） FCX（53.56％）、Buenaventua（19.58％）

操業中 Huanzala Ancash Zn 1968 年 三井金属鉱業（100％）

操業中 Pallca Ancash Zn 2006 年 三井金属鉱業（100％）

操業中 Yanacocha Cajamarca Au 1993 年 住友商事（5％） Newmont（51.35％）、Buenaventua（43.65％）

準備中 Quellaveco Moquegua Cu 2022 年

（見込み） 三菱商事（40％） Anglo American（60％）

準備中 Zafranal Arequipa Cu 三菱マテリアル（20％） Teck Resources（80％）

準備中 Quechua Cusco Cu PPC（100％）

7．その他トピックス

（1）社会争議関連

1）Tía Maríaプロジェクト（Arequipa州）

プロジェクトの二度目の環境影響調査（EIA）の期限（2019 年 8 月末）に迫る 2019 年 7 月 9 日、

Southern Copper社は、政府から建設許可が付与されたことを発表し、プレスリリースにおいて地元社

会とのより幅広い合意形成が行われるまで鉱山建設は行わない旨を公表するとともに、プロジェクト

での淡水化海水利用、物資や生産物の輸送用鉄道の敷設、教育・医療等の改善プログラムの継続、地域

住民の優先雇用や無償の技術研修プログラムの実施などを約束した。

しかしながら、同日夜にはプロジェクトの位置する Islay郡 Cocachacra区でプロジェクトに反対す

る住民数百人がデモ行進を実施、Arequipa 州の Cáceres 知事は「地元住民との対話メカニズムは未だ

形成されておらず、プロジェクトを実施する状況が整っていない」として開発の拒絶を表明した。さら

に 7 月 15 日には抗議活動が拡大、Islay 郡 Tambo 渓谷を中心に無期限の抗議デモが開始され、郡内の

小中学校は生徒・職員の安全確保のため全 75校で休校等の措置が取られる中、建設許可の取り消しを

求めデモ行進やパンアメリカンハイウェイの一部封鎖等が行われた。

ペルー政府や Southern Copper社は、「建設許可はあくまでも法規に基づく行政手続であり、交渉可

能な性質のものではない、「地域社会との合意がなければ鉱山建設は行わない」と再三にわたり対話を

呼びかけたものの、反対派は強硬な姿勢を崩さず、7月 25日には Islay郡の Matarani港とそのアクセ

ス道の封鎖により同港の入出荷が停止する事態に発展した。これを受けて政府は 8 月 4 日、軍隊を投

入して治安回復にあたったほか、Cáceres知事ほかによる 3件の建設許可見直し請求（行政手続き）に

対して審査機関である鉱業審議会（エネルギー鉱山省）が建設許可の一時停止（最大 120日間）を決定

したことを受けて抗議活動は沈静化、同港の利用も再開した。なお、Matarani 港はペルー南部の主要

世界の鉱業の趨勢 2019

11

4鉱山が銅精鉱の輸出にあたって利用しており、その取扱量はペルー全体の約 6割にあたる。鉱業石油

エネルギー協会（SNMPE）は、輸出契約不履行によってもたらされた損害額は 390mUS$にのぼると伝え

た。

鉱業審議会は 10月 7 日、見直し請求を行った 3 団体（Arequipa 州政府、Chucarapi Pampa Blanca

製糖所労働者・小規模株主保護戦線、Tambo渓谷利用者協会）や Southern Copper社など当事者による

公聴会を実施した結果、建設許可は所定の法規に基づいて付与されたことが確認できたとして、許可

を追認する決定をした。この決定を受けて Cáceres 知事は、司法の判断を仰ぐための手続きを開始す

るとしている。

2）Las Bambas鉱山（Aprímac州）

同鉱山については、鉱山建設に伴う移転先として建設された Nueva Fuerabambaコミュニティや精鉱

輸送道路近隣の住民により断続的に抗議活動が行われているところ、同鉱山を操業する MMG 社は 2019

年 2月 25日、同年 2月 4日に始まった道路封鎖を受けて輸出港（Matarani港）の精鉱在庫が減少して

おり、一部の出荷を遅らせざるを得ないとの見通しを表明した。

政府側からの対話協議への働きかけに住民側が応じない状況が続く中、3 月 21 日に MMG 社に対する

恐喝容疑で Nueva Fuerabamba村の Rojas村長とその顧問弁護士 2人が逮捕（その後、全員釈放）され

たことを受けて抗議活動が拡大、MMG社は 3月 30日、「8,000名以上の従業員やスタッフの出入りがで

きず、基本的人権に影響・懸念が及んでいる」、「原料搬入や精鉱輸送が阻止され数日以内に操業停止の

見込み」、「アクセス道の通行料に関する見解」など争議の影響や背景に関する見解を示す声明を発表

した。

これに対し政府は、非常事態宣言を発出して道路封鎖の解除にあたる一方、ハイレベルのメンバー

による協議を模索、4 月 6 日にリマにおいて Del Solar 首相を筆頭とする政府代表者と Rojas 村長、

MMG 社代表者らが協議を行い、「非常事態宣言の解除」、「MMG 社による争議和解金の支払い」、「地元住

民雇用の履行」等を条件に道路封鎖を解除することが合意された。

また、後日の交渉により、抗議デモに参加した住民への起訴や司法プロセスの取り消し等を協議す

る「司法・人権委員会」が設置されたほか、雇用・賃金面では「①2014 年時の名簿登録者 507 名のう

ち 367名に一律 50,000PEN（約 14,970US$）、残り 140名は 2017年に実施された 20,000PEN（約 5,988US$）

の支給金の該当有無により差額支払い」、「②2014 年以降の登録住民 153 名には一律 35,000PEN（約

10,479US$）支払い」等が実施されることとなった。

（2）Colcaプロジェクト・Jalaocaプロジェクトの入札

地質鉱業冶金研究所（INGEMMET）が、5月 31日に Colca及び Jalaocaプロジェクトの入札を実施し、

両プロジェクト共に Minera Chinalco Perú社によって落札された。

このうち、最低入札価格 1,570PEN（約 468.4US$）の Colcaプロジェクトには 5社が応札し、Minera

Chinalco Peru社が 4,950,020PEN（約 1,476,736US$）を提示、以下 Hanaq Peru社（1,250,000PEN）、

Rio Tinto Mining and Exploration社（748,000PEN）ほかの提示額を大きく上回り落札した。

一方、Jalaocaプロジェクト（最低入札価格 856PEN（約 255.4US$））については、応札企業が Minera

Chinalco Peru社のみであったことから、提示額の入った封筒は開封されずに同社の落札が決定した。

なお、Jalaocaプロジェクトは、Apurímac州 Aymaraes郡と Antabamba郡に位置し、2013年から 2014

年に実施された地質調査や物理探査により、Pucasallaターゲットでは斑岩・スカルン型銅・金鉱化作

用が、Llamojaターゲットでは斑岩型銅・モリブデン鉱化作用が確認されている。一方、Colcaプロジ

ェクトは、Apurímac 州 Cotabambas 郡に位置し、INGEMMET の地質調査や物理探査において、金や銅の

重要なアノマリーや深部での斑岩型やスカルン型の鉱化作用の可能性が言及されている。

これら両プロジェクトは、2019 年 2 月まで投資促進庁（PROINVERSION）によって管理され、同庁に

よる入札が予定されていたが、応札者がなかったことから自由な鉱区申請対象エリアとして INGEMMET

世界の鉱業の趨勢 2019

12

に返却され、一般の鉱区とほぼ同レベルの最低入札価格のもと入札が実施された。

（2019.12.18 リマ事務所 栗原健一）