独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 運営費交付金 ...独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 運営費交付金 (金属鉱業一般勘定、投融資等金属鉱産物備蓄勘定)
非鉄金属市況と需給動向 -...
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非鉄金属市況と需給動向平成29年11月(銅、亜鉛、ニッケル、金・白金)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
非鉄金属市況と需給動向平成29年11月
■ベースメタル
当該期間、銅は6,918US$/tで開始。中国の銅輸入量が6か月ぶり低水準となったことや同国
経済の先行き懸念拡大により、15日には6,715.5US$/tまで下落した。その後はペルーやチ
リの銅鉱山でのストライキ報道やLME在庫の減少等が支援材料となり24日には
6,967.5US$/tの高値をつけ、月末は中国経済先行き懸念で下落し6,761.0US$/tで越月した。
亜鉛価格は3,332 US$/tでスタート、11月上旬はドル高傾向で弱含みに推移したところ、中
国経済先行き不透明感から一段安となり、15日には3,200 US$を下回った。その後もLME在
庫減少に下支えされつつも27日には再び下落傾向に転じ、29日には1ヵ月半ぶり安値を付け
3,197US$/tで越月。ニッケルは12,695US$/tでスタート、11月上旬はEV向け硫酸ニッケル
需要拡大期待から堅調推移したが、インドネシアPT Antamの鉱石輸出枠増加報道や中国需
要先行き不透明感が弱材料となり17日には11,500US$/tを下回った。その後はドル安傾向に
下支えされたものの、下旬は再び中国鉄鋼需要鈍化懸念で下落し、11,295US$/tで越月した。
■貴金属
金は1,278.2US$/oz、プラチナは929US$/oz、パラジウムは997.5US$/ozでスタート。米
国10月雇用統計が市場予測を下回ったものの、その他の経済指標が好調だったことから米国
経済の力強さが意識され、金・プラチナに対しては弱材料、パラジウムに対しては支援材料
となった。中旬には米国税制改革の先行き不透明感等を背景にドル安傾向となり、金・プラ
チナは堅調推移、1ヵ月半ぶり高値へ上伸。パラジウムは1,000US$/oz前後で横ばい推移し
たところ月末に再び米国経済の好調さが意識され、29日は1,019US$/ozの高値をつけた。
米国経済 11月の製造業PMI改定値は53.9(前月確定値:54.6)。12/8労働省発表の11月非農業部門雇用者数は前月比+22.8万人(前月:+26.1万人)と9月のハリケーン被害の影響等による雇用低迷から回復。失業率は4.1%(前月:4.1%)と16年半ぶり低水準を維持した。
中国経済 11月製造業PMIは、国家統計局発表が51.8(前月:51.6)と上昇、財新/Markit発表の速報値は50.8(前月:51.0)と5ヶ月ぶり低水準。
欧州経済 11月製造業PMIは、確定値60.1(前月確定値:58.5)と17年ぶり高水準へ上昇。
(JOGMEC作成)
総括
主要非鉄金属の価格推移
(2003年5月=1)
製造業購買担当者景況指数(PMI)
0.00
2.00
4.00
6.00
8.00
10.00
May-0
3
Apr-
04
Mar-
05
Feb-0
6
Jan-0
7
Dec-0
7
Nov-0
8
Oct-
09
Sep-1
0
Aug-1
1
Jul-
12
Jun-1
3
May-1
4
Apr-
15
Mar-
16
Feb-1
7
銅 ニッケル 鉛 亜鉛 金
44
46
48
50
52
54
56
58
60
62
64
2016/1 3 5 7 9
11
2017/1 3 5 7 9
11
欧州 米国 中国(国家統計局) 中国(財新)
非鉄金属市況と需給動向平成29年11月
■LME価格
① ドル高、中国銅需要縮小の懸念:1日、6,918US$/tで開始。3日に発表された米国10
月ISM非製造業景況指数が12年ぶり高水準に達したことから12月追加利上げ観測が
広がりドル高地合いになったこと、中国の10月銅輸入量が6か月ぶりの低水準であっ
たことによる需要縮小懸念、同国10月鉱工業生産が市場予想を下回ったことによる
同国経済の先行きの懸念を受けて、6,715.5US$/t(15日)まで緩やかに下落。
② 中国経済への期待感と南米のストライキ:しかし、18日発表の中国10月新築住宅価格
が堅調な内容を維持したことから同国経済の好調さが意識され、価格は上昇に転じ
た。更に、21日ペルー・Cuajone銅鉱山やToquepala銅鉱山でのストライキによる一
時操業停止、チリ・Escondida鉱山でのストライキ実施計画の報道、LME在庫の減少
を受けて価格はさらに上昇、24日6,967.5US$/tの当該期間最高値をつけた。
③ 中国金融取締りと電力網投資減速懸念:その後、中国による高リスクな金融の取締ま
り強化の中で、投資家がリスク資産への資金投入割合を減らしたことで売りの動きが
強まった。また、中国の電力網投資減速懸念も加わり価格は下落。月末、中国11月
製造業PMIの上昇やドル安による上方要因があったものの6,761.0US$/tで越月。
■需給動向
✍ 国際銅研究会(秋季)予測は2017年15.1万tの供給不足、2018年10.4万tの供給不足。
✍ DRコンゴのKamoa銅鉱山Kakula鉱山露天採掘工事が正式に開始。2020年にKamoa
銅鉱山第1期工事の建設を完了し、生産開始を図る。Kamoa銅鉱山は、アフリカで最
も埋蔵量の大きい銅鉱山であり、世界トップ3に入ることが期待されている。
✍ ペルー・Cuajone銅鉱山やToquepala銅鉱山で無期限ストライキによる一時操業停止。
Sothern Peru Copper社は、生産に影響は無いとしているものの、平成29年12月4日
現在で、ストライキ終了の見通しは立っていない。
銅
中国経済への期待、南米ストで7,000US$/t近くまで上昇するが、6,761US$/tで越月
(出典:ICSG)
当該期間の値動きLME価格(US$) LME在庫(千t)
銅地金の需給バランスと在庫の動き
150
200
250
300
350
6,000
6,200
6,400
6,600
6,800
7,000
7,200LME在庫 LME価格
非鉄金属市況と需給動向平成29年11月
亜鉛
■LME価格
① ドル高地合いで弱含みに推移:亜鉛価格は3,332.0US$/tでスタート、11月上旬は米国
の経済指標が好調だったことから利上げ観測が高まりドル高傾向となり、亜鉛相場を圧
迫し、3,200US$台で弱含みに推移した。
② LME在庫減少が価格下支えするも中国経済不透明感が弱材料:11月中旬は、14日の中
国の鉱工業生産の発表内容が弱かったことで同国経済の先行き不透明感から軟調に推移
し、15日には3,200US$を下回った。その後も3,200US$/t前後で横ばい推移したが、
22日にはLME在庫減少等を支援材料に3,271.5US$/tへ上昇。しかし、中国政府の金融
取り締まり強化から投資家の活動が鈍り始めたことや同国経済の先行き懸念から、27
日には再び下落傾向に転じ、29日には1ヵ月半ぶり安値となる3,146.0 US$/tへ値を下
げた。30日には買い戻しの動きで値を戻し、3,197US$/tで越月した。
■需給動向
✍ 国際鉛亜鉛研究会(秋季)の予測では2017年は39.8万tの供給不足、2018年は22.3万t
の供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:Nyrster社は2015年に操業停止した加・Myra Falls鉱山(年産30
万t)や米国・Middle Tennessee鉱山(年産50万t)で操業再開、2017年は増産傾向。
Rampura-Agucha鉱山やAntamina鉱山でも高品位鉱体開発により増産。Teck社は
Red Dog鉱山の亜鉛生産量について、選鉱設備改善により今後5年間は年間525~550
千tに達する見通し及びマインライフ延長を発表(2017年9月18日)。MMG社は豪・
Dugald River鉱山の鉱石出荷開始を発表(同11月8日)、また2015年末に閉山した
豪・Century鉱山の尾鉱からの亜鉛採掘計画を明らかにした(同11月28日)。
LME在庫減少続くも、中国経済先行き懸念で価格は下落傾向辿る
当該期間の値動きLME価格(US$) LME在庫(千t)
SHFE在庫(t)SHFE在庫の推移
(2017年1月~2017年11月)
200
220
240
260
280
300
2,800
2,900
3,000
3,100
3,200
3,300
3,400LME在庫 LME価格
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
2017年
1月
2017年
2月
2017年
3月
2017年
4月
2017年
5月
2017年
6月
2017年
7月
2017年
8月
2017年
9月
2017年
10月
2017年
11月
非鉄金属市況と需給動向平成29年11月
(20)
(10)
0
10
8 9
10
11
12
2017/1 2 3 4 5 6 7 8 9
需給バランス
需給バランス
ニッケル
■LME価格
① EV向け需要拡大への期待感から上昇:Trafigura社が「EV向け硫酸ニッケルの需要は
2030年までに300万tになる」と強気の見通しを示したことを受けて、1日に
12,695US$/tの値をつけて11月がスタート(前日の10/31は11,850US$/t)。その後
も冬季の中国におけるニッケル銑鉄生産減少によるステンレス原料供給ひっ迫懸念から
上昇し、6日には2015年6月以来の高値となる12,830US$/tを付けた。その後はインド
ネシアPT Antamの鉱石輸出枠増加等の報道を受けて、同国からの鉱石供給増加見通し
が下方圧力となり、加えてEV需要拡大への期待感が一服したことから下落。
② 中国需要減退懸念から下落:中旬は、ほぼ横ばい推移が続いた後、15日には前日に発
表された中国10月鉱工業生産が市場予想を下回ったことを受けて、同国ステンレス鋼
需要の見通しが悪化し11,580US$/tまで急落。その後はドル安基調が価格を下支えし
横ばい推移。
③ 中国ステンレス見通し悪化により続落:下旬は、ドル安の進行が好感され上昇した場面
はあったものの、中国鉄鋼需要鈍化懸念が広がる中ステンレス鋼の需要減退が意識され
て続落し、11,295US$/tで越月。
■需給動向
✍ 国際ニッケル研究会(秋季)の予測では2017年は9.7万tの供給不足、2018年は5.3万t
の供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:フィリピンニッケル鉱山生産者8社に操業停止命令(2016年7月7日
~8月11日)、フィリピンニッケル鉱山生産者15社を含む20社に操業停止勧告(2016年9
月27日)。フィリピン環境天然資源省が国内23鉱山の閉鎖・5鉱山の生産一時停止を命令
(2017年2月2日)。ValeがカナダBirchtree鉱山閉鎖計画を発表(2017年5月17日)。
First Quantum Mineralsが豪Ravensthorpe鉱山の9月閉鎖を発表(2017年8月11日)
✍ フィリピン新環境天然資源大臣にRoy Cimatu氏を任命(2017年5月8日)
EV向け需要拡大への期待感から高値圏でスタートするも中国需要減退懸念を受け下落
当該期間の値動きLME価格(US$) LME在庫(千t)
(出典:INSG)
需給バランス /
LME在庫(千t)
340
360
380
400
420
440
10,000
10,500
11,000
11,500
12,000
12,500
13,000LME在庫 LME価格
非鉄金属市況と需給動向平成29年11月
金・プラチナ・パラジウム
■金
① 米国経済動向・税制改革の行方に注目:当該期間1,278.2US $/ozでスタート、11月
初旬はFRB次期議長指名の発表や、米国10月雇用統計が市場予想を下回るもその他経
済指標が好調だったことからもみ合い推移。6日以降は、サウジアラビアの政情不安
や米国トランプ政権が掲げる税制改革の先行き不透明感から安全資産需要が高まり緩
やかに上昇傾向を辿った。
② ドル安傾向に下支えされ緩やかな上昇傾向辿る:11月半ば以降は、利益確定売りで値
を下げる局面がありつつも、ドル安傾向で割安感が出たことが支援材料となり、また
株安や原油安から投機資金が流入したものと見られ1,280US $台で堅調推移した。
27日には1,294.8US$/ozの1ヵ月半ぶり高値をつけたところ、米国経済指標の好調さ
やイエレンFRB議長の議会証言に係る発言原稿で米国経済の力強さに言及されたこと
からドル高に転じたことで金価格は下落し、1,281.2US$/ozで越月した。
■プラチナ・パラジウム
① プラチナ:ドル安・安全資産需要拡大で堅調な値動き:プラチナは929US$/ozでス
タート。金同様、ドル安傾向や安全資産需要の高まりを支援材料に堅調推移し、28日
には2ヶ月ぶり950US$台へ上伸。月末はドル高に下押しされて940.5US$/ozで越月
した。
② パラジウム:米国経済の力強さを好感:パラジウムは997.5US$/ozでスタート、自
動車排ガス触媒需要が8割を占め産業用途の多いパラジウムは米国経済の好調さを好
感し、9日には1,017.5US$/ozへ上昇した。その後は米国株安等から様子見相場とな
り、1,000US$/ozを挟み横ばい推移した。11月下旬には、再び米国経済の好調さが
意識され、29日には1,019US$/ozと2001年2月以来の高値を更新、1,014US$/ozで
越月した。
金・プラチナはドル高ユーロ安で上値抑えられるも、パラジウムは1,000US$台へ上昇
当該期間の値動き
(US$/oz)
(European Central Bank)
ユーロに対する為替の値動き(米ドル・南アランド)
外貨高・ユーロ安
(US$/€) (R/€)
850
950
1,050
1,150
1,250
1,350
11/1
11/2
11/3
11/6
11/7
11/8
11/9
11/1
0
11/1
3
11/1
4
11/1
5
11/1
6
11/1
7
11/2
0
11/2
1
11/2
2
11/2
3
11/2
4
11/2
7
11/2
8
11/2
9
11/3
0
金 プラチナ パラジウム
14.6
14.9
15.2
15.5
15.8
16.1
16.4
16.7
17.0
17.3
1.12
1.14
1.16
1.18
1.20
11/1
11/3
11/5
11/7
11/9
11/1
1
11/1
3
11/1
5
11/1
7
11/1
9
11/2
1
11/2
3
11/2
5
11/2
7
11/2
9
USD ZAR
非鉄金属市況と需給動向平成29年11月
銅 亜鉛 ニッケル 金 プラチナ パラジウムLME現物 LME現物 LME現物 AM・PM平均 AM・PM平均 AM・PM平均
(US$/t) (US$/t) (US$/t) (US$/oz) (US$/oz) (US$/oz)
本報告期 期 初 6,918.0 3,332.0 12,695.0 1,278.2 929.0 997.5
期 末 6,761.0 3,197.0 11,295.0 1,281.2 940.5 1,014.0
最高値 6,967.5 3,332.0 12,830.0 1,294.8 950.5 1,019.0
11月24日 11月1日 11月6日 11月27日 11月28日 11月29日
最安値 6,715.5 3,146.0 11,295.0 1,271.3 920.0 979.5
11月15日 11月29日 11月30日 11月3日、6日 11月6日 11月15日
平 均 6,825.6 3,236.2 11,992.7 1,282.7 933.5 999.6
先物(11月30日)
3か月 - - -
Dec 1 - - -
Dec 2 - - -
2017年 期 初 5,574.0 2,552.5 10,205.0 1,149.8 917.5 695.0
(当年) 期 末 6,761.0 3,197.0 11,295.0 1,281.2 940.5 1,014.0
最高値 7,063.0 3,370.0 12,830.0 1,348.6 1,029.5 1,019.0
10月16日 10月4日 11月6日 9月8日 2月27日 11月29日
最安値 5,466.0 2,434.5 8,715.0 1,149.8 893.0 695.0
5月8日 6月7日 6月2日 1月3日 7月11日 1月3日
平 均 6,105.2 2,867.2 10,313.0 1,257.0 952.3 855.7
2016年 期 初 4,645.0 1,600.0 8,515.0 1,077.5 885.5 550.0
(前年) 期 末 5,501.0 2,563.0 10,100.0 1,159.1 917.5 695.0
最高値 5,935.5 2,907.0 11,735.0 1,361.7 1,179.5 770.5
11月28日 11月28日 11月11日 8月3日 8月10日 12月1日
最安値 4,310.5 1,453.5 7,710.0 1,077.5 815.5 467.5
1月15日 1月12日 2月11日 1月4日 1月21日 1月12日
平 均 4,863.1 2,083.2 9597.6 1,248.2 987.0 612.5
非鉄市況