プッシャーバージシステムと その課題 - Hiroshima...
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プッシャーバージシステムとその課題
広島大学名誉教授
常石造船(株)顧問
小瀬 邦治
インドネシア・カリマンタンのマハカム川での曳航バージによる石炭輸送
南米パラグアイで始まりつつある常石グループのバージコンボイの建造
最近の新造船発注量の経緯
2002 20032004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
O = 8.7×104 E - 2.3×109
O= 4.5×103 E - 8.6×107
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
18,000 20,000 22,000 24,000 26,000 28,000 30,000
1998-20101975-1995,2011,2012
A
C
B
A:平均航海距離が極めて少ない場合
B:平均航海距離が通常の場合
C:平均航海距離が大きい場合
2011
2012
20012000
発注量 O (百万DWT)
平均航海距離 E (マイル)
O = 5×106
広大・濱田等
System Dynamics Modelによる建造量予測
0.00
0.20
0.40
0.60
0.80
1.00
1.20
2000 2010 2020 2030 (year)
成長率3%
NYK予測
実績
建造量 C億DWT
広大・濱田等
船舶の生涯コストの推計例
2011年度三菱重工(株)船舶・海洋事業部報告
水上輸送におけるプッシャーバージシステム
• 技術発展における分化・単能化と再結合– 単能化された機能の高度化を経た再結合
• 船舶の貨物艙機能と推進・操縦機能の分離– 推進・操縦機能の効率的運用
• バージ交換による推進・操縦機能部のフル活用
– 貨物積載機能• 航行環境に応じた積載容量の調整
• 荷役能力に応じた効率的運用
• 両機能の再結合における利害得失– 曳航方式
– 押航方式
輸送効率の向上を如何に実現するか
• アジアでは曳航方式がいまだに主流、押航方式への転換が急務である。
• 船価に対する生涯燃費の割合が突出する時代を迎えている。
• 運航状態を大きな違いを考慮して、運航の全局面における効率を考える。– 河川輸送では遡上時は喫水は小さいが、対水速力は大きい。下りでは満載ではあるが、対水速力は小さい。
– プッシャーの使い方も全く違い、下りでは操縦性が重要。
• 抵抗軽減策の開発が急務– 構造的不連続が流体的不連続にならない工夫– 浅喫水の平底構造の場合の空気潤滑の可能性
今後の課題
• 国際経済の発展によりインフラの整備されていない地域でのプッシャーバージの重要性が増加。
• この分野の技術は日本の経験の乏しい領域、謙虚に学び、世界に通用する企画が求められる。
• 日本には経験できる現場が少ない、ニーズのある現地の条件と経験を如何に学ぶか。
• JICA等の国際支援による現地との共同の重要性– 輸送システムにはソフト、ハードの基盤整備が大切。
• MSDI(Maritime System Development Initiative)の企画力、コンサル力と現場力の分担と結合– 創造性のあるシステム企画は先進国産業の役割