トップアスリートの資産運用についての研究 - Waseda …...NHL Wayne Gretzy...

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2018年度 修士論文 トップアスリートの資産運用についての研究 The Study of how Top Athletes deal with Asset Management 早稲田大学 大学院スポーツ科学研究科 スポーツ科学専攻 トップスポーツビジネスコース 5017A059-9 藤本 洋平 研究指導教員: 平田 竹男 教授

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2018年度 修士論文

トップアスリートの資産運用についての研究 The Study of how Top Athletes deal with Asset Management

早稲田大学 大学院スポーツ科学研究科

スポーツ科学専攻 トップスポーツビジネスコース

5017A059-9

藤本 洋平

研究指導教員: 平田 竹男 教授

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⽬次 1. 序論.....................................................................3 1.1. 背景.................................................................3 1.1.1. トップアスリートの現状.............................................3 1.1.2. 問題意識...........................................................4

1.2. 先行研究.............................................................4 1.3. 研究目的.............................................................5

2. 研究手法.................................................................5 2.1. アンケート調査.......................................................5 2.1.1. 調査対象...........................................................5 2.1.2. 調査項目...........................................................6

2.2. インタビュー調査.....................................................7 2.2.1. 調査対象...........................................................7

2.3. インタビュー項目.....................................................7 2.4. 文献調査及び WEB 調査.................................................7 2.4.1. 日本人トップアスリート資産運用成功例...............................7 2.4.2. 日本人トップアスリート資産運用失敗例...............................7 2.4.3. 米国トップアスリート資産運用成功例.................................7 2.4.4. 米国トップアスリート資産運用失敗例.................................7

3. 研究結果...................................................................7 3.1 アンケート調査結果.......................................................7 3.1.1.直近 3年六大学野球部出身のプロ野球選手.............................7 3.1.2テニス日本代表選手................................................10 3.1.3. ラグビートップリーグ プロ契約選手................................10 3.1.4 B1 リーグ所属選手.................................................13 3.1.5 サッカーJ1 リーグ選手.............................................15 3.1.6 回答アスリート全体................................................17

3.2. インタビュー調査結果................................................19 3.2.1. スポーツマネジメント会社の社長へのインタビュー....................19 3.2.2. アスリートのアセットマネジメント関連業務をされている先生へのインタビ

ュー ..........................エラー!ブックマークが定義されていません。 3.2.3. 国内・国外を経験している元トップアスリートのインタビュー..........23 3.2.4. 日本人アスリート資産運用成功例....................................25 3.2.5. 日本人アスリート資産運用失敗例....................................25 3.2.6. 海外アスリート資産運用成功例......................................27

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3.2.7. 海外アスリート資産運用失敗例......................................29 4. 考察....................................................................30 4.1. トップアスリートはどのように資産運用捉えているか....................30 4.2. トップアスリートの関係者はどのように資産運用を捉えているか..........31 4.3. トップアスリートの資産運用の実態....................................31 4.4. 資産運用とセカンドキャリアの関係性..................................31 4.5. 日米トップアスリートの資産運用の差..................................32 4.6. トップアスリートの資産運用の未来....................................32

5. 結論....................................................................33 5.1. 研究の意義..........................................................33 5.2. 研究の限界..........................................................33

謝辞..........................................................................34 参考文献......................................................................35

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1. 序論

1.1. 背景

1.1.1. トップアスリートの現状

2019 年現在、日本はラグビーW杯と 2020 年東京オリンピック・パラリンピック

を控えている。また 2016 年に日本政府が発表した「日本再興戦略 2016」を 2016

年に閣議決定し、スポーツ産業の GDP を 5.5 兆円から 2025 年に 15.2 兆円を目指

すと発表した。また世界的に見てもスポーツ産業は世界 GDP 以上の成長スピード

で発展している。1995 年の高収入上位 40 選手の年収総額は 490 億ドル(現在価値

766 億ドル)であるのに対し、2015 年の年収総額は 1900 億ドルである。インフレ

前のアメリカの平均サラリーマンは 3.7%昇給しているのに対し、上位 40 選手は

7.1%上がっている。

スポーツの発展には必ず時代の変化も伴ってきた。1960 年代にテレビが世の中

に広まり、数千人から数十万人にメジャーリーグファンは広がった。1970 年代に

入り、NHL のボビー・ハルが 10 年総額 1 億円というスポーツ市場初の億単位の契

約を交わした。そして 1978 年には MLB デーブ・パーカーが 5年総額5億円の契約

をピッツバークパイレーツと交わし、初の年収1億円プレーヤーとなった。1980 年、

1990 年代では年俸がさらに上がっていった。それでも当時プレーした歴史上最高

のバスケットボール選手、マイケル・ジョーダンの年俸は 2〜3億ドルのシーズン

が大半だった。一方 1997 年シーズンにジョーダンは単年契約 33.1 億ドルという

歴代単年最高額を手にしている。20 世紀に入ると、年俸は青天井のように上がっ

ていった。1970 年代の MLB 平均年俸は 2万ドル(現在価値おおよそ 12 万ドル)に

対し、2017 年には 400 万ドルを突破した。1995 年から 2015 の各スポーツ年俸推

移を比較した表を 1.1 に示す通り、アイスホッケーの NHL 以外のスポーツは全て

上がっていることが一目瞭然である。

表11995 年vs2015 年各スポーツ年俸推移

MLB Cal Ripken Jr (1030 万ドル) Jon Lester (3410 万ドル)

NBA Michael Jordan (4390 万ドル) Lebron James (6480 万ドル)

ボクシング Mike Tyson (4000 万ドル) Floyd Mayweather (3 億ドル)

NFL Drew Bledsoe (1290 万ドル) Ben Roethlisberger (4890 万ドル)

ゴルフ Jack Nicklaus (1510 万ドル) Phil Mickelson (5080 万ドル)

NHL Wayne Gretzy (2270 万ドル) Sidney Crosby (1650 万ドル)

サッカー Unknown (620 万ドル以下) Cristiano Ronaldo (7960 万ドル)

テニス Andre Agassi (1600 万ドル) Roger Federer (6700 万ドル)

日本のスポーツ界でも同じように、年俸の高騰は起こっている。日本一高給のプ

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ロスポーツであるプロ野球では 1980 年の平均年俸は 602 万(サラリーマン平均年

収 269 万円)であったが、2018 年は 3955 万円(サラリーマン平均年収 414 万円)と

なっている。プロ野球以外のプロスポーツはまだ歴史が浅く、企業スポーツが主流

だった日本だが、Jリーグを初め、最近では Bリーグや Tリーグなどプロスポーツ

が増えている傾向にある。また日本から海外に挑戦するテニスやゴルフを含める

と、20 代から 30 代の間に平均サラリーマンの生涯賃金を凌ぐ稼ぎ方をするプロ

スポーツ選手が多くなっている。

1.1.2. 問題意識

まず、本論文では自らのスポーツ競技による成果収入のみで生活を送っているア

スリートをトップアスリートと定義する。つまりスポンサー収入や企業スポーツの

選手は除外する。

トップアスリートになるためには当然ながらその競技を極めなければならない。

そのため幼少期から生活の中心は競技であることは言うまでもない。アスリートは

プロに変わった瞬間から賞金や年俸を手にする。競技レベルを上げた途端、世間が

それに対して付加価値をつけて評価する。今までお金を払ってスポーツをしてきた

側からお金を受け取りスポーツができる側へと変わる。問題はその突然手にするこ

とになったお金の使い道である。

高度経済成長期から今日に至る日本のサラリーマンは、結婚、出産、不動産購入

などのタイミングで初任給から右肩上がりで給料は増えていき、退職のタイミング

では退職金が出る。一方トップアスリートは現役でいる期間が限られていて、プロ

野球選手のように契約金という名の「退職金」を契約時に渡されるケースもある。

プロ野球選手の平均引退年齢は 29 歳とされていて、J リーグの平均引退年齢は 26

歳(上代,2013)となっている。

サラリーマンのように右肩上がりに給料が上がらない、はたまた一時所得が無く

なってしまう可能性があるアスリートはどのようにキャリアを考えることが望まし

いか。人生の折り返し地点にも届かない年齢で大金を手にしたアスリートがファー

ストキャリアである現役生活を終えるタイミングで、セカンドキャリアを充実させ

るための資産形成を行えるかがアスリート自身のためであり、スポーツがこれから

人々の生活に繁栄していくために重要であると考えた。

1.2. 先行研究

スポーツ選手のセカンドキャリアは昨今問題視されることが多々あり、先行研究は

多かった。中でもサッカー選手のセカンドキャリアに関する論文が多く、光岡(2014)

や小林(2014)では協会や選手の声を整理し、問題点の一部を明らかにしている。また

相原(2014)では JOC が取り組んでいるセカンドキャリア問題解決へのステップを整

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理するとともに、これからはビジネスの面だけに留まらず、選手が現役中に支えても

らった恩返しを社会にするために社会起業などに取り組む必要性について論じてい

る。

上記のように様々な角度からアスリートのセカンドキャリアを充実させるために

必要な側面を説いている論文は多く存在するが、日本国内でアスリートの資産運用に

着目した論文は見当たらないのが現状である。

1.3. 研究目的

本稿における研究目的は二つある。一つ目は、現役トップアスリートが資産運用を

どのように捉えているかを明らかにすることである。二つ目は、現役トップアスリー

トが行っている資産運用の実態を調査することである。

この目的を達成するために、トップアスリート周りのステークホルダーが、資産運

用をどのようにサポートしているかインタビュー調査を行なった。次章では、アンケ

ートとインタビュー調査の詳細を示す。

資産運用の定義についてであるが、金融広報中央委員会によると、「お金や金融の

様々なはたらきを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分

の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主

体的に行動できる態度を養う教育」を金融教育としている。

その金融教育の定義を踏まえた上で、本研究では「資産運用」を「現役選手として

報酬を受ける期間が限定的であることを踏まえ、自己資産の管理を通して中長期的な

経済的安定を図ること。自分自身の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活や

よりよい社会の実現に向けて主体的に行動すること」と定義した。

また「トップアスリート」の定義は 1.1.2 で述べたように自身の競技実績に基づい

た賞金や年俸で生活をしているアスリートとする。

2. 研究手法

2.1. アンケート調査

2.1.1. 調査対象

調査対象者は以下の通りである。

1) 全調査対象40 名

2) 直近 3年で東京六大学野球部部卒からプロ野球にドラフトされた選手

20 名(育成は除く)うち 11 名が回答

2)テニス日本代表経験者5 名

3)ラグビートップリーグ プロ契約者5 名

4)B1 リーグ所属選手5 名

5)サッカーJ1 リーグ選手5 名

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*いずれも現役選手のみを対象としている。

2.1.2. 調査項目

1) 今、現在資産運用をしていますか。

①はい

②いいえ

2) 「はい」とお答えになった方へ。どなたが資産運用していますか。

①自分で運用している

②第三者に運用を任せている

3) 始めたきっかけを教えてください。

①第三者からの紹介

②先輩選手から聞いた・習った

③記事や本を読んだ

④所属協会や所属連盟に教えてもらった

⑤その他

4) 資産運用は下記のどれをされていますか。

・株

・投資信託

・保険

・不動産

・その他

・第三者に任せているため、知らない

5) 第三者は下記のどなたに当たりますか。

①友人

②親

③マネジメント会社

④その他

6) 質問 1)で「いいえ」を選んだ方は、なぜ資産運用をしないのですか。

(複数回答可)

①親がストップをかけている

②危ないと思っている

③機会が今までなかった

④周りに知識がある人がいない

7) 資産運用についてどのようなイメージをお持ちですか?(複数回答可)

①お金持ちがすること

②怖い

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③知識がないとできない

④減ってしまうかもしれない

⑤その他

2.2. インタビュー調査

2.2.1. 調査対象

調査対象は以下の通りである。

1)国内でスポーツ選手のマネジメントを行なっている PR 会社

2)アスリートのアセットマネジメント関連業務を行なっている先生

3)国内・国外を経験した元トッププロアスリート

2.3. インタビュー項目

1)アスリートの資産運用について

2)時代によるアスリートの考え方への変化の有無

3)セカンドキャリア問題と資産運用の関係について

4)海外との比較

5)アスリートの資産運用についての今後の展望

2.4. 文献調査及び WEB 調査

2.4.1. 日本人トップアスリート資産運用成功例

2.4.2. 日本人トップアスリート資産運用失敗例

2.4.3. 米国トップアスリート資産運用成功例

2.4.4. 米国トップアスリート資産運用失敗例

3. 研究結果

3.1 アンケート調査結果

3.1.1.直近 3年六大学野球部出身のプロ野球選手

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3.1.2テニス日本代表選手

3.1.3. ラグビートップリーグ プロ契約選手

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3.1.4 B1 リーグ所属選手

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3.1.5 サッカーJ1 リーグ選手

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3.1.6 回答アスリート全体

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3.2. インタビュー調査結果

3.2.1. スポーツマネジメント会社の社長へのインタビュー

本項では日本でスポーツマネジメント業務を行なっている社長にインタビュー調

査を行なった。

・株式会社スポーツビズ山本社長へのインタビュー

1) アスリートの資産運用について

株式会社スポーツビズでは所属アスリートの法務、税務、フィジカル、海外移

籍といった専門性が必要とされる分野に対してサポートする業務推進課とい

う部署がある。この部署では外部企業とアスリートを繋げる橋渡し業務をし

ていることが多い。マネジメント会社という立場上、最優先は所属アスリート

への公平性である。契約しているプロアスリートに対しては、会社からアプロ

ーチをかけるより選手自身からの資産運用の疑問等を解決する。また専門的

な質問は業務提携をしている会計士の先生と解決する。マネジメント事務所

としては資産運用も一つの業務であると捉えながら、誰と一緒に業務を行う

かが重要だと考えている。但し、資産運用をする余裕資金がある選手は少ない

ため業務として行うことは少ない。野球やサッカー以外のプロスポーツで

3000 万以上稼いでいるのは一握りであり、バスケットボールとバレーボール

選手の中でもトップ選手だけである。

2) 時代によるアスリートの考え方への変化の有無

アスリート全体の風潮として IT 化により情報量が増したことで、様々なこと

に関心が強まっている。特に地域貢献という点では東日本大震災後アスリー

ト自らの存在意義を問う意識は高まっている。また SNS で自らの考え方や行

動を公に示すことにより、スポンサーを獲得するなど現代に適合できるかが

アスリートの新たな課題になっている。

3) セカンドキャリア問題と資産運用の関係について

日本のサラリーマンとアスリートの給与体系は全く違う。これまで日本のサ

ラリーマンは、年々所得が増加していった。一方、アスリートは短期間で高収

入を得る。生活資金以外の資産をどのよう運用にしていくかについては、協会

とマネジメント会社が両輪でアスリート自身に教育していく必要がある。ア

スリート自身の意思でマネジメント会社と選び契約することから、マネジメ

ント会社は協会よりアスリートに近い存在であるケースが多い。

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4) 海外との比較

海外の方が資産運用は進んでいる。IMG などは世界的にアスリートを抱えてい

て、資産運用などもしている印象がある。

5) アスリートの資産運用についての今後の展望

マネジメント事務所としては、アスリートと契約する際に短期的な視点およ

び長期的な視点を考える。短期のビジネス、長期の将来性というライフキャリ

アの観点で判断する。ライフキャリアという観点から見ると、彼らの資産運用

も大事である。

・株式会社オーバーイージー矢柄亮直社長へのインタビュー

1) アスリートの資産運用について

まず資産運用という観点の業務は当社では行なっていない。日本国内女子プ

ロゴルフ選手の場合、50 位以内のシード選手は賞金で最低 2000 万円ほど稼い

でいる。それに加えて選手によって変動はあるものの、500 万円〜3,000 万円

ほどのスポンサー収入がある。プロツアー(39 試合)に1年間参戦するため

に必要な経費は約 1,000 万円となっている。税理士事務所やファイナンシャ

ルプランナー、プライベートバンカーの紹介は行なっている。マネジメント会

社の一番の業務はテーブルの上に選択肢を並べ、アスリートにとってベスト

な選択ができるように準備をしてあげることだと思っている。

2) 時代によるアスリートの考え方への変化の有無

時代の変化という点であまりアスリートの考え方が変わったとは思っていな

い。ただ競技特性は昔からあると思っている。個人スポーツであるテニスやゴ

ルフ、フィギュアスケートは家庭が比較的裕福なケースが多い。これには理由

があり、アマチュア時代は遠征や練習に両親が帯同しなければならないため

経費がチームスポーツより多くかかるからである。

3) セカンドキャリア問題と資産運用の関係について

マネジメント会社としては引退時期の提案や相談はしている。そのため、そこ

から逆算してライフキャリアを考えれば、自ずと資産形成がどのように必要

かが見えてくる。また興味がある分野に通ずる人の紹介なども行なっている。

4) 海外との比較

海外、特にアメリカでは選手年金制度が充実している。プロゴルフの場合、協

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会や選手会がしっかりしている印象がある。そのため選手は困ったことがあ

れば、協会に問い合わせると問題が解決されることがほとんどだ。

5) アスリートの資産運用についての今後の展望

選手の意識が変わることがとても大事であり、意識が変わらないと前へ進ま

ない。そして日本のマネジメント事務所は知識をもっと蓄え、トータルキャリ

アで選手をサポートできるようにならなければならない。選手は信頼できる

人を側におき、間違った方向に進まないように注意すべきである。

3.2.2.アスリートのアセットマネジメント関連業務をされている先生へのインタビュー

本項では日本でアスリートのファイナンシャルプランニング業務を行なっている社長にイ

ンタビュー調査を行なったものである。

・株式会社オフィス 921 國井隆社長へのインタビュー

1) アスリートの資産運用について

日本で資産運用をできる資金を手にできるプロスポーツは限られている。野

球、サッカー、ゴルフ、テニスと近年プロ化が進みプロになった卓球、バスケ

ットボール、バトミントンのトップ選手だけである。またアスリートのみなら

ず、全般的に諸外国より日本はお金の教育がなされていない。そのため尚更ア

スリートのように一つのことに特化している業種はリテラシーが劣る。

2) 時代によるアスリートの考え方への変化の有無

時代の変化ではなく、どの時代も感度が高いアスリートは存在する。感覚とし

ては1/10程度のアスリートが一定の潜在的資産運用リテラシーを感じること

がある。また親の教育部分がアスリートの考え方への影響は大きい。結婚後は

結婚相手の資産運用への理解度がその後に影響することは少なくない。

3) セカンドキャリア問題と資産運用の関係について

サラリーマンのように勤続年数に応じて上がる年収と違い、一時的に高所得

になるアスリートはこの違いを認識し、それが永続的ではことを理解する必

要がある。

4) 海外との比較

一部の有名なメジャーリーグの選手では DeferredPayment という年俸の一部

を球団から引退後に「後払い」することがある。これは一種の年金のようなシ

ステムで、男子プロテニス協会である ATP も似たようなモデルを実践してい

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る。欧米ではこのような施策が制度化されている。税引き前か税引き後に資産

運用をするかも一つ重要な論点である。

ならびに日本は預金中心社会である。欧米諸国はインフレーションに合わせ

て資産運用しなければならず、それも海外との差の一つと言えるだろう。

5) アスリートの資産運用についての今後の展望

球団型スポーツである野球やサッカーのようなスポーツでは、上記の4)で述

べたような球団などが主体となり、資産運用を制度化するのも一つである。ま

たゴルフとテニスのように転戦型スポーツでは協会が主体となることも必要

である。

また情報をしっかり選手同士で共有することも大事である。野球は縦社会要

素が強いため、情報共有がサッカーのような横社会スポーツより遅れてしま

う傾向がある。資産運用に限らず良質な情報が全アスリートに届くようにし

ていくことが今後大切である。

・税理士法人猪股会計の代表・猪股宏之氏へのインタビュー

1) アスリートの資産運用について(現在の業務内容)

主にプロ野球の球団と契約し、税金と資産形成等の野球に集中できる環境の

話を選手にしている。入団会見後やキャンプ前の自主トレ期間中に選手向け

と両親向けの二回分けて行うことが多い。まず会社員とは違い、個人事業主に

なるということで税金のシステムの違いを説明する。アスリートのサポート

は税金のサポートと以下の6つにカテゴライズできる。貯蓄、運用、保険、セ

カンドキャリア、スキル、サポート体制。貯蓄、運用、サポート体制の項目は

両親が主に最初は管轄することが多い。特にプロ野球選手の場合は高校卒業

後や大学卒業後に多額の契約金をもらうためご家族が管理したいという意向

が強いようである。個人的な見解ではあるが、選手は素直にアドバイスを聞き

入れて貯蓄に励むということ、そして活躍している選手の方が税金等のこと

も全てを人任せにせず理解しようとする傾向が強いとのこと。

2) 時代によるアスリートの考え方への変化の有無

比較的選手からの質問、問い合わせが多くなったこと、そして将来を見据えた

貯蓄と現実的な選択をする選手が増えてきたように感じる。選手の配偶者同

士で資産運用や節税の方法論などが口コミで情報が回っている。また選手と

球団という観点では、以前の方が選手と球団の距離が近く、選手は球団に相談

すること多かったように思う。

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3) セカンドキャリア問題と資産運用の関係について

セカンドキャリアでまずやるべきことは貯蓄である。プロ野球選手の場合、引

退までに数億円を貯めることを目標にするようにと促している。またセカン

ドキャリアに何をしたいかと問うと、高卒の選手のほうが書けないことが多

く(考えたことがないためか)、社会人出身者は大学進学、就職といった岐路

で考えることを経験してきているためしっかりした回答が多い印象である。

入団時に描いたセカンドキャリア像をそのまま継続する選手は少なく、現役

期間中にどんどん変遷していく。最終的に球団関係、野球関係の仕事に就く選

手が多いのも現状である。

4) 海外との比較

メジャーの選手もサポートしているが、海外での状況は選手や海外の会計事

務所経由での情報なので詳細はわからないが経済状況(インフレーション)の

関係で、海外では貯蓄では不十分で積極的な資産運用をしている印象がある。

5) アスリートの資産運用についての今後の展望

成功パターンをつくることが重要。某メジャーリーガーの場合は、チームを作

って野球に集中できる環境を作っている。そのメンバーを人選する際は自分

に加えて親族にも会ってもらって人間的に信頼できるかを判断している。信

頼する親族の目利きをもとに、騙されるリスクを軽減した。貯蓄や運用をサポ

ート、保険の管理、セカンドキャリアを考えるサポート、スキル(オフ期間の

練習管理や体のケア)、そしてトータルサポート(衣食住)に各プロフェッシ

ョナルを配置した。これが一つ理想ケースであり、競技に集中できる環境をつ

くるのが大切だ。このようなモデルを標準化し、ステークホルダーをあまり多

く介入させないことが鍵である。

3.2.2. 国内・国外を経験している元トップアスリートのインタビュー

本項では、日本国内と海外リーグでプレー経験のある元トップアスリートにイン

タビュー調査を行なった。

・小宮山悟さん(現早稲田大学野球部監督)

1) アスリートの資産運用について

アスリートの資産運用は自身で行う場合もあるが、第三者に任せる場合の

方が多数。多くはマネジメント会社や関係者に任せる。その際に大切になって

くることは、アマチュア界からプロの世界に入った際にいる周りの人。つま

り、周りの人でアスリートの資産運用の大部分は決まる。そこで大事になって

くる要素は目利きである。目利きとは自分が信頼すると決めるひとが善人か

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悪人であるかの判断だ。そしてその目利きはどのような家庭環境で育ったか

で決まる要素が多い。

2) 時代によるアスリートの考え方への変化の有無

昭和40年代のプロ野球では球団がお金ではなく土地などの資産を契約金の

代わりとして渡すことがあった。当時の球団の親会社は鉄道関係が多かった

ことから駅周辺の土地を所有していたということが起因していると思う。当

時から現在まで地価は上がり、当時の選手は恩恵を受けている。

3) セカンドキャリア問題と資産運用の関係について

セカンドキャリアの問題の大部分はエージェントで決まる。また競技によ

っても現役年数は違う。野球とサッカーでも平均引退年齢は3歳から4歳違

うことから、セカンドキャリアへの捉え方も多少変化する。これをエージェン

トとアスリートが歩み寄り、しっかり道を考えて行くことが大切だ。但し、新

人一年目のルーキーにセカンドキャリアの話をしても聞く耳を持たない。誰

しもが球界ナンバーワンを目指しプロの世界に入る。そのことは忘れてはい

けない。

4) 海外との比較(メジャーリーグと日本プロ野球)

アメリカではエージェントが全てを管理する。エージェントは資産運用の

ためのスペシャルチームを組む。日本では税制システムもプロ野球制度も違

うことからできることが限られている。民族間の差はあり、日本人はリスクを

取らない一方、MLB ではリスク覚悟で次から次へとチャレンジしていく。その

中で、日本プロ野球は日本の良さを考えながら施策を打っていくことが大切

である。

5) アスリートの資産運用についての今後の展望

トップアスリートは「どうにかなる」から「どうにかなってきた」という時

代背景がある。誰かがきっと最後は手を差し伸べてくれるだろうという期待

もあり、自ら学ぶという意欲が薄いということもある。しかし、それでいいの

かという問題もある。根本的にアスリートの考え方を改めさせるためには、考

え方を変えなければならないことを周辺から匂わせることだ。それは球団や

球界全体はもちろん、周辺関係者から包括的にする必要がある。

資産運用という文脈では失敗の具体例をアスリートに提示するなどが必須。

またアスリートが他と違うことに挑戦しようという際に、その行為に前例が

なくても大義名分があるときに周りがサポートしてあげることが大事である。

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3.2.4. 日本人アスリート資産運用成功例

1) 川合俊一

1963 年 2 月 3日生まれ。新潟県糸魚川市出身の元プロバレーボール選手、プロビーチバレ

ー選手。また、元バレーボール日本代表。

現在は、日本ビーチバレーボール連盟会長などでプロバレーボールの第一線で活動しなが

ら、ワタナベエンターテインメントに所属し、バレーボール関係の試合解説者やタレント

活動を行なっている。

加えて、株式会社ケイ・ブロスの代表取締役を務め、プロバレーボール選手やプロビーチ

バレーボール選手の芸能活動やスポーツ振興活動を目的とした選手マネジメントを行なっ

ている。

・資金管理と運用について

富士フィルム勤務時代 25 歳の頃から株式投資を開始する。

元資金は 140 万円と極端に多いわけではないが、1990 年に現役引退する際に元資金を倍額

にして一旦投資をやめる。結婚後に株式投資を再開した。

資産運用において極端に成功しているわけではないが、芸能活動や元アスリートという立

場を利用したスポーツ振興活動の幅広さと継続性はトップレベルである。アスリートとし

てのファーストキャリアを引退した後の活躍を踏まえると、アスリート出身者としての資

産管理については成功していると言える。

2) イチロー

1973 年 10 月 22 日生まれ。愛知県西春日井郡出身のプロ野球選手。日米にて数多くの新記

録を樹立し、プロ野球選手として活躍。現在はシアトル・マリナーズ会長付特別補佐。

・資金管理と運用について

イチロー選手の場合、基本的には自身ではなく弓子夫人が資産管理や運用を行なってい

る。イチロー選手を代表取締役として弓子夫人は取締役に就任し、共同で株式会社 IYI コ

ーポレーションを設立した。法人は資産管理会社としてイチロー選手が稼いだお金を元に

弓子夫人がニューヨークでの不動産投資やセレブ向けエステサロンの経営を行なってい

た。結果的に、イチロー選手のヤンキース移籍を機にサロンの経営権を手放している。

3.2.5. 日本人アスリート資産運用失敗例

1)新庄剛志

新庄剛志1972 年 1 月 28 日生まれ

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長崎県対馬市出身、福岡県福岡市南区育ちの元プロ野球選手。1993 年に阪神タイガースに

入団以降、読売ジャイアンツや北海道日本ハムファイターズやアメリカでも活躍を続け、

2006 年に現役を引退。引退後に発覚した知人との金銭トラブルにより現役時代の資産を多

く失うが、その後タレント・実業家として活動。

・資金管理と運用について

2017 年に放送されたテレビ番組(しくじり先生・テレビ朝日)にて自身の経験について新

庄選手本人の話では、現役時代に貯蓄したはずの資産の大半を知人に使われてしまった。

日米で野球選手として活躍していた約 17 年前後の間、母親の紹介で知り合った知人に自

身の全ての資金管理を任せていた。その間、自身で給与明細や銀行預金残高を見ることは

なく、現役引退後に管理していたお金の返還を要求したところ、知人が会社の自己資金と

して新庄選手の報酬を使い込んでいたことが判明した。税金を除いた約 22 億円の大半を

失い、返還された金額は 2200 万円だった。その後裁判を起こし、慰謝料として 8000 万円

を得るも、相手の自己破産申請により裁判が終了した。

知人との金銭トラブルを経て本人は、現役活動中の球団からの年棒やタレント活動収益の

管理を全て知人に任せ、確認を怠ったことを自分の責任だと認めると共に、知人との人間

関係や稼いだお金を失ったことを残念に思うコメントを残した。

2)小久保裕紀

小久保裕紀1971 年 10 月 8日生まれ

和歌山県和歌山市出身の元プロ野球選手。1997 年、日本球界で勃発した集団的な脱税に加

担していたとしてコミッショナー処分等を受ける。その後は福岡ソフトバンクホークスや

読売ジャイアンツにてプレーし、主将として活躍。2013 年より野球解説者としても活動を

開始し、また、侍ジャパン監督にも就任。現在も野球解説者・評論家・野球指導者として

幅広く活動を続ける。

・資金管理と運用について

1997 年、プロ野球選手やコーチが関わっていた脱税事件が発覚し、小久保選手も主犯格と

してこの事件に関わっていた。

脱税自体は 1994 年ごろ行われていたが、1997 年に発覚した。最終的に懲役 1年、執行猶

予 2年、罰金 700 万円の有罪判決が確定した。また、コミッショナー処分として 1998 年

シーズン開幕より 8週間の出場停止と制裁金 400 万円の支払いが命じられた。

このような事件を招いてしまった要因として、リーグや球団による選手の管理不足、選手

たち自身の人間関係や金銭面での自己管理不足、日本野球界の独特の文化や体質の三つが

大きな原因としてあげられる。

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特に日本野球界の文化的側面では、出身チームに対する金銭的謝礼だけでなく、選手と指

導者の上下関係が大きく関係している。

小久保選手のケースでは、当選手はリトルリーグ時代の恩師のことを盲信的に慕ってい

て、そのコーチの影響もあり脱税に手を染めたと供述していた。日本プロ野球界では慣例

的に、チーム入団時の契約金の一部を謝礼金として出身チームや球団スカウトに対して支

払われていた。

小久保選手の場合、大学卒業と同時にプロ野球入りを果たしたが、読売ジャイアンツと福

岡ダイエーホークス(現在の福岡ソフトバンクホークス)からのオファーを受けてダイエ

ーを逆指名し、ダイエーからのドラフト 2位指名にて球団を決定している。競合を経た入

団決定だったこと、小久保選手自身が将来を嘱望されていたこともあり、契約金が 1億

6000 万円と非常に高額な契約となった。

その際の契約金の管理についての指示があったかは非常に不明確であり、前述した日本野

球界の慣習を踏まえると金銭面での自己管理が非常に難しい状況にあったとも言える。

3.2.6. 海外アスリート資産運用成功例

1)RobGronkowski

ロブ・グロンコウスキー1989 年 5 月 14 日生まれ

アメリカ合衆国ニューヨーク州出身のアメリカンフットボール選手。

・資金管理と運用について

Patriots 所属時代の 5年間の選手としての収入は全て貯金し、サイニングボーナスや契約

金には手をつけていないとインタビューや自身のサイトにて発言している。チームによる

広告収益や肖像権益などをもとに生活していると話している。

彼の場合、Patriots の主力選手であり、NFL 全体で見ても人気度が高いため、テレビコマ

ーシャルによる莫大な広告収益がある点では特殊な例といえるが、6年契約の年俸と契約

金に手をつけず生活をしていることは、

ただ、本選手の場合、自身のウェブサイトの記事を参照すると、資産運用については情報

がなく、資産運用ではなく貯蓄をしている可能性も大きい。

2)DerekJeter

デレク・ジーター1974 年 6 月 26 日生まれ

アメリカ合衆国ニュージャージー州ペカノック出身、ニューヨーク・ヤンキースに所属し

た元プロ野球選手。広告収入やコマーシャルによる収益、株式投資運用益を合計すると自

己総資産は 500 億円近くと言われており、選手として活躍しただけでなく、資産運用やビ

ジネスマンとしても成功しているトップアスリートの一人。

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・資金管理と運用について

2009年の NBAドラフトでLosAngelesClippersに第一ラウンドで選ばれたBlakeGriffins

は現在パートナーと共に映画会社 MortalMedia を経営し、そのほかにも HyperIce、Winview

Games などにも投資している。

2017 年には実業家ブルース・シャーマンとの共同出資によりマイアミ・マーリンズを買収

し、CEO に就任した。

ProjectWolverine(マーリンズへの潜在投資家へ向けた統計などを集めたドキュメント)

によるとマーリンズが利益を上げるごとに年間ボーナスを受け取ることが定められており、

2018 年に200 万ドル、2019 年に 170 万ドル、2020 年に 110 万ドル、2021 年に 200 万ドル、

2022 年に 200 万ドルを受け取る予定である。加えて CEO として年間 500 万ドルの報酬を得

ている。

荘厳かつ規律ある人間性から野球界、ビジネス界、そしてファンの人気を得た上で、自身の

バックグラウンドである野球界への貢献をしている点では世界中のトップアスリートと比

較しても稀有な存在である。本稿で定義しているアスリートの社会的な価値を踏まえても、

独特の才覚ある資産運用だけでなく、その投資を通した野球界や社会の発展を追求する姿

こそがアスリートのセカンドキャリアとして成功を収めていると考えられる。

3) ShaquilleO’Neal

シャキール・オニール1972 年 3 月 6日生まれ。

アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアーク出身の元プロバスケットボール選手。

1992 年のドラフト 1位でルイジアナ州立大学からオーランド・マジックに入団。入団初年

度に新人王を獲得。1996 年オフにロサンゼルス・レイカーズに移籍し、1999 年に NBA チ

ャンピオンを達成すると同時に、レギュラーシーズン・オールスターゲームの双方で MVP

を獲得。2004 年にマイアミ・ヒートに移籍し、移籍初年度からヒートのイースタンリーグ

史上最高成績の達成に貢献。その後数クラブを転々とした後、2011 年に現役引退を表明。

・資金管理と運用について

彼の場合、本人曰く、義父の PhilipHarrison から良い影響を受けたと話している。両

親と自身への車と自宅の購入、借金の返済以降は貯蓄を開始。資産については現役時代に

運用はせず継続的に貯蓄を行い、現役引退後に投資家として活動を開始。

アスリート生活の序盤での多額な出費に関しては非常にリスクが高いが、その後の貯蓄

と投資活動については NBA 選手の中でも随一の結果を残している。Google や Ring に投資

を含めて多くのスタートアップに投資し、4億ドル以上の純資産を所有(2016Forbes)

している。

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3.2.7. 海外アスリート資産運用失敗例

1)TerrelOwens

テレル・オーウェンス1973 年 12 月 7日生まれ。

アラバマ州アレクアンダーシティ出身の元 NFL 選手。15 年間の現役生活の中でプロボウル

やオールプロにて複数回選出された経験を持つ、NFL 界屈指の WR である。1996 年のドラフ

ト 3 巡目で 49ers に入団し主力として活躍。その後数クラブを経験した後、自由契約とな

り、シーホークスにて登録メンバーを目指すも解雇される。一方で 2002 年より独立系プロ

バスケットリーグ USBL のアンディロンダック・ワイルドキャットと契約し、出場を果たし

た。

・資金管理と運用について

計 15 シーズンという NFL 選手としてはかなり長期で活躍し、現役生活中に約 8000 万ドル

を稼いだが、2012 年に自己破産申請。8000 万ドルを稼いだが 2012 年に破産した。破産の背

景としては、現役生活の消費が多かったことに起因している。彼を含めて多数の選手が引退

後に破産することを受けて、NationalFootballLeaguePlayersAssociationは 2009 年

より FinancialWellnessProgramを始動し、所属クラブを通して、選手の財政的安定性確

保に努めている。

2)MikeTyson

マイク・タイソン1966 年 6 月 30 日生まれ。

アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市出身の元プロボクサー。

弱冠 20 歳で WBC, IBF, そして WBA の世界最年少チャンピオンとなり、20 年のキャリアを

通じて 100 試合以上を経験した。現役引退後は、総合格闘技団体 WCFC のレフリーや総合格

闘技団体 UFC と深い交流を持った。一方で、複数回の薬物所持やレイプなどの犯罪により収

監された。

・資産管理と運用について

キャリアを通じて4億ドル以上稼いだが、引退後の 2003 年に自己破産申請。前述のオーウ

ェンス選手同様に、過度な消費を行なっていたことが主な原因とされている。自己破産後の

発言では、貯蓄する性向はなく、引退後の生活を重要視していなかったと話している。また

本人はその破産の原因の一つとして悪徳なプロモーターたちを挙げている。1998 年に元プ

ロモーターDonKing 氏が 1000 万ドル以上を自身から騙し取ったとして、約 100 万ドルの賠

償金を求めて訴訟を起こした。

3)DiegoMaradona

ディエゴ・マラドーナ1960 年 10 月 30 日生まれ。

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アルゼンチンブエノスアイレス出身、元サッカーアルゼンチン代表選手。

・資産管理と運用について

現役時代、数度の移籍を経験した彼は多額の移籍金を数度受け取っていて、近年はドバイに

あるアル・ワスル FC の監督に 2 年契約で就任し、年間 990 万ポンドの報酬を受けている。

しかし、イタリア政府によると彼は約 5000 万ドルの未納の税金があるとしている。薬物依

存、女性問題などが取り沙汰されることも多く、その高い消費性向から、資産を失ったとい

える。

4) AntoineDevonWalker

アントワン・デヴォン・ウォーカー1976 年 7 月 12 日生まれ。

ケンタッキー大学出身。1996 年ドラフトでボストン・セルティックスに入団。アメリカ合

衆国イリノイ州シカゴ出身、2006 年にマイアミ・ヒートにて自身初の NBA 制覇を達成。

・資産管理と運用について

キャリアを通して 1億ドル以上を稼いだが、最終的に自己破産申請を行なった。彼は入団当

初よりクラブから紹介されていたファイナンスプランナーの忠告は聞き入れなかった。

6人兄弟の長男として育ったこともあり、入団後、ルーキー時の給料を全額家族のため

に使用した。家族のための家、複数台のラグジュアリーカーを購入した。その後、その消費

の範囲は、家族だけでなく友人にまで広がった。また、彼は他の NBA プレイヤーたちとギャ

ンブルに興じ、2年間で$646,900 を失った。

投資も行なっていた彼はシカゴの南部に 140 以上の不動産を購入し、引退後の運用に当

てる予定だった。しかしバブル崩壊を経て土地の価格は暴落し、数多くのローンの保証人と

して負債を被った。最終的に、2010 年に資産が底をつき、破産を申告した。1200 万ドルの

負債、428万ドルの資産を残していた。

現在は複数の番組でバスケットボールアナリストをしており、講演やスポーツサイニン

グなどで生計を立てている。他の選手たちが自分と同じように資産管理に失敗しないよう

講演活動などを行ったり、ドキュメンタリーをリリースしたりしている。

4. 考察

4.1. トップアスリートはどのように資産運用捉えているか

背景で述べたようにトップアスリートは自身のスポーツに学生時代の時間を注いでいる

ため、学ぶ時間が少ない。また研究結果①で示すように「知識がないとできない」と「機会

がなかった」という回答が多かった。

この回答結果を考えた際に、一番大事なことは機会提供である。前述したように主に学業

より自身のスポーツ中心の生活を送ってきたトップアスリート達にどのような場で学ぶ機

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会を与えるかを考える必要がある。六大学野球連盟では進路を野球継続で進む選手にも企

業合同説明会への強制参加を促している。ここでは主に企業への一般就職を考えている同

級生と一緒に企業の説明を聞く。資産運用について話す企業はいないが、プロ野球に進む選

手にとっては知見を広げるという意味ではとても大切なことである。またドラフト会議に

ドラフトされた選手に対して税理士先生が税金の話をする場が設けられる。現状の取り組

みが最善であるとは思わないが、このように多岐に渡り「考える」場面を提供することで自

ずとキャリアや資産運用についての意識が変わっていくだろう。

4.2. トップアスリートの関係者はどのように資産運用を捉えているか

本論でインタビューをさせて頂いたマネジメント事務所や資産運用に関わる税理士先生

や公認会計士先生方の共通認識はこの分野が日本では未成熟だということだ。日系のマネ

ジメント事務所内で資産運用を扱っているところは現状では無いと思われる。それは日本

のトップアスリートのアセット規模が欧米諸国のトップアスリートに比べ少ないことで、

資産運用に回せる資産が少ないということが一因だ。しかし、これからスポーツ産業が成長

を遂げれば、トップアスリートの収入も比例して上がるだろう。その準備を今からすること

が必要なのではないだろうか。

4.3. トップアスリートの資産運用の実態

トップアスリートと元トップアスリートの成功例と失敗例を引き合いにいかに自身のス

ポーツで成功を納めていることと資産運用で成功しているとは相関関係はないと思われる。

アメリカの有名スポーツ紙である Sports Illustrated(2009)では以下のように紹介されて

いる。

「78%の NFL 選手は引退 2年以内に自己破産または無職や離婚によるファイナンシャルス

トレスで苛まれている。また約 6 割の NBA 選手は引退 5 年以内に資産がなくなるという見

解がある」。

現役トップアスリートはスポーツでは第一線を極めているが、資産運用という分野では

素人のケースが多い。またトップアスリートになることは、周りにステークホルダーが増え

るということだ。増えていくステークホルダーの中には当然のことながら善人と悪人がい

る。そこの部分の目利きが上記で述べたような成功例と失敗例の分かれ目だと考える。自分

の資産が狙われているという意識をトップアスリートは全員持つことが絶対的に必須であ

る。

4.4. 資産運用とセカンドキャリアの関係性

アスリートはファーストキャリアからのトランジションがいつ来るか予想できない。そ

れは突然の怪我に見舞われることもあれば、チームから解雇の知らせが通達されるなど

様々なケースがある。突然の出来事が訪れた時、周りの人がキャリアトランジションに手助

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けしてくれることもあるが最終的に自分で道を切り開かなければならない。

IOC は現役アスリート期間中から利用できるアスリートキャリアプログラムというオン

ライン講座や就職先紹介などのサービスを行なっている。また日本でも JOC はアスナビと

いう就職紹介サービスなどを実施している。アスリートの次の仕事場を見つけるという側

面では成功している例があるが、極端に言えば世間に昨日まで注目されていたトップアス

リートが翌日から一般企業で働くことは容易ではない。

現役生活を終えたあとに、時間を置いてライフキャリアを考え直せるように資産を貯蓄

しておくことが鍵となってくる。研究結果②で猪又先生が示すように、貯蓄をしておくこと

で悪いことはない。特に日本の現状では金利が他国より低いため、貯蓄していても金利差か

らの機会損失は少ない。もちろん今後日本、そして世界経済がどのように進むかによって自

分の資産運用を考え直す必要性はあるだろう。

4.5. 日米トップアスリートの資産運用の差

文献調査で明らかになったことは資産運用という点で欧米の方が圧倒的に先をいってい

るということだ。特にアメリカでは選手年金制度やリーグ自体が選手教育に力をいれてい

る。日本プロ野球では選手年金制度が 2012 年に終了している。

米国の4大スポーツでは日本に比べ大幅に平均年俸が高い。そのため、現役時と引退後の

収入格差から生まれるファイナンシャルストレスによる問題が横行した。そういった背景

もあり、リーグ全体で施策を打っているのが米国である。

またリーグや連盟以外でも米国では様々な取り組みがなされている。例えば世界的に有

名なハーバードビジネススクール(通称 HBS)では生徒が現役選手のメンターとなり、資産

運用などについて教えるプログラムがある。生徒は自分が学んだことを実践する場を与え

られ、選手は無償で優秀な学生達からメンタリングを受講できるのだ。これが日本に適合で

きるかは定かでないが、産学官の三者が協力してくことで新たな形は創れる可能性は広が

る。

全ての点で欧米リーグの資産運用形態を真似することはない。しかし、これからスポーツ

産業が成長すれば、アスリートの資産も増えていく。先輩アスリートが犯したミスを繰り返

さないように、リーグはもちろんスポーツ界全体としてこの問題には取り組んでいく必要

がある。

4.6. トップアスリートの資産運用の未来

失敗例が示すように、学ぶ意欲を逆手に取られ知人に騙されてしまうケースがある。アス

リートは自分が狙われている意識、そして競技外の時間は積極的に異業種と交流をするこ

とで人を見定める目利きを養ってほしい。交流が苦手な場合、自分の代わりに目利きをして

くれる事務所であり、家族や友人を側近におくことが必要だ。その場合でも、都度自分の資

産が現在どのように運用されているかチェックを怠らないことである。

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またアスリート周りの関係者が一体となって、本論の問題であるトップアスリートの資

産運用問題について議論を積極的にして頂きたい。それはチームや連盟、そしてマネジメン

ト事務所や資産形成のアドバイスをする先生方と選手自身が議論することにより、未来の

トップアスリート達が同じような過ちを犯さないことに繋がると信じている。

5. 結論

5.1. 研究の意義

トップアスリートの多くは 20 代にして生涯最高年収を手にすることがある。幼い頃から

お金を払って競技をしてきた側からある日を境にお金を受け取り、競技を続けることにな

る。アスリートとしてトップを極めると限られた現役生活中に得る総額は平均サラリーマ

ンの生涯年収を凌ぐ。

しかし、研究で示した通り大金の使い道が分からず、資産を持続的に形成できず失ってし

まうケースが多々ある。少年少女の憧れであるアスリートが輝きを失ってしまうことは社

会的損失と言えるだろう。怪我などで現役生活を余儀なくして引退する場合は所得が一時

的にゼロになる可能性がある。突然の出来事にも備えや現役生活後のキャリアを考え、資産

は有限であることを理解することが非常に重要である。今からアスリートができることは

自分で貯蓄のルールを決め、収入の一部は必ず貯金することにある。

本論ではアスリートの資産がどのように運用されているかを明らかにすることで、先人

が犯したミスから学び、未来のアスリートがその反省を活かしていくことに意味がある。資

産が安定的に運用されることで本来トップアスリートが持つ社会的知名度を利用し、相原

(2014)が示すように社会に還元する社会起業に用いることができる。トップアスリートの

資産運用に着目して研究を進めたが、あくまでトップアスリートの使命は自身のスポーツ

を極めることにある。その極めるという行為に集中できる環境整備をこれから日本のみな

らず世界的に改革が必要である。先輩アスリートが後輩アスリートに新たなトップアスリ

ートの形を示していくことで徐々に変わっていくのではないか。

5.2. 研究の限界

本研究では直近 3年以内六大学野球部出身者でプロ野球に進んだ選手 20 名中 11 名、テニ

ス日本代表経験者 5 名、ラグビートップリーグでプロ契約選手 5 名、B1 所属選手 5 名、サ

ッカー日本代表経験者 5 名にアンケートを取った。また日本のスポーツマネジメント会社

やアスリートの資産運用に関わるセクターの税理士や公認会計士の方々にインタビューを

行った。しかし、これが全てのアスリートが行っている資産運用とは言い切れない。また彼

らが感じている「知識不足」がどのような方法で改善できるかなど具体例を示していない。

現状の一部分を明らかにすることはできているが、これからこの分野では情報量の蓄積と

実践が求められる。

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謝辞

本論文は、筆者が早稲田大学大学院スポーツ科学研究科スポーツ科学専攻トップスポー

ツマネジメントコース修士課程に在籍中の研究成果をまとめたものである。同大学院スポ

ーツ科学学術院の教授である平田竹男先生には、指導教官として本研究の遂行から本論文

の執筆にいたるまで、終始ご指導をいただいた。ここに感謝の意を表する。また、同大学院

スポーツ科学学術院の教授である中村好男先生、日下部大二郎先生、児玉ゆう子先生には、

副査として助言をいただくとともに、研究や論文の細部にわたりご指導を頂戴した。また、

アンケート調査・インタビュー調査にご協力頂いた方々。御礼申し上げる。最後に、同専攻

の平田研究室の各位には、ゼミでの発表等を通して有益な議論の場や助言を頂いた。ここに

謝意を表する。

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