貿易の自由化と日本農業 - maff.go.jp...貿易自由化の背景は?...

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貿易の自由化と日本農業 東海農政局 小平 平成28年11月14日 愛知学院大学 1

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貿易の自由化と日本農業

東海農政局 小平 均

平成28年11月14日

愛知学院大学

1

お話しする内容

貿易自由化について

農産物貿易の特徴

TPP合意の概要

日本農業の現状と対応

2

貿易の自由化とは?

貿易とは、国を超えてモノやサービスなどを取引すること

貿易自由化とは、関税や輸入数量制限などの非関税障壁を緩和・撤廃し、貿易面での国際間の交流を自由にすること

3

貿易自由化の背景は?

• 1930年代の「経済ブロック化」が第二次世界

大戦の原因の一つになったという反省

• 1947年 GATT(関税及び貿易に関する一般

協定)設立

• 累次の多角的貿易交渉の実施(例:ウルグアイ・ラウンド

1986~1994年)

• 1995年 WTO 発足

4

○ 「ラウンド」とは、全ての加盟国が参加して行われる貿易自由化交渉

○ ウルグアイ・ラウンドでは、初めて本格的な農業分野のルールを策定

○ WTO体制(1995年設立)の下で初めて開始されたのがドーハ・ラウンド

GATTやWTOにおけるラウンドとは

WTOとかFTA/EPAってなに?

WTO

World Trade Organization(世界貿易機関) 1995年に作られた国際機関 世界で自由に貿易が出来るようにするためのルールや、貿易に関して起こったメンバー間のもめごとを解決するためのシステムづくり

FTA

Free Trade Agreement(自由貿易協定) 特定の国・地域の間で、原則10年以内に、輸出・輸入にかかる関税や、輸入(輸出)許可を行う際の厳しい基準や条件などを取り払うことを、取り決めた協定

EPA

Economic Partnership Agreement(経済連携協定) FTAのような貿易の自由化だけではなく、人の移動や、投資の自由化、知的財産権の保護等、幅広い分野のルールについて取り決めた協定

【経済産業省 キッズページより抜粋】

○ 我が国は、アジアを中心に15の国や地域とEPAを締結。 ○ 現在、RCEP、日中韓、日EU等のEPAが交渉中。 TPPは2016年2月に協定に署名。

日本 スイス 韓国

GCC

モンゴル EU

中国

メキシコ

チリ

ペルー

コロンビア

カナダ

米国

豪州

NZ

インド

トルコ

締結

交渉中

湾岸協力理事会

加盟国:バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦。

RCEP:東アジア地域包括的経済連携。ASEAN10か国にEPA/FTAを有する日中韓印豪NZ6か国が交渉に参加する広域経済連携。

ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、 シンガポール、タイ、ベトナムの10ヶ国

TPP TPP協定交渉参加国:シンガポール、NZ、チリ、ブルネイ、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ、日本

署名

GCC

RCEP

ASEAN

日中韓

TPP RCEP

食料貿易を巡る環境はどうなっているの?

需要 供給

取り巻く環境

8

世界の将来人口及び食料需要

世界の人口は、2000年に約61億人でしたが、2050年には約96億人まで増加する見通しとなっています。また、世界の食料需要は、2000年に約45億トンでしたが、2050年には約69億トンまで増加する見通しとなっています。

■世界人口の将来推計

61.3億人

95.5億人

0

20

40

60

80

100

120

2000年 2050年

1.6倍

(億人)

資料:国連「World Population Prospects:The 2012 Revision」

11.6 14.8

22.8

33.2

10.3

21.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

2000年 2050年

先進国 中間国 開発途上国

69.3億トン

44.7億トン

1.6倍

(億トン)

■世界全体の食料需要量の変化(所得階層別)

資料:農林水産省「2050年における世界の食料需給見通し」 ベースライン予測結果

9

畜産物の生産には多くの穀物が必要

11kg

7kg

牛肉

4kg

豚肉

3kg 鶏卵

鶏肉

畜産物1kgの生産に必要な穀物

10

2.78

1.89

2.18

1.30

1.49

1.34 1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

単収の年平均伸び率(幾何平均)

【図】 穀物の収穫面積、単収等の推移

(予測値)

天候が平年並みに

推移した場合の予測

(実績値)

2.78%

1.42t/ha 1.82t/ha 単収の年平均伸び率(幾何平均)

2.22t/ha 2.63t/ha 2.99t/ha 3.61t/ha

1.89% 2.18% 1.30% 1.49%

資料:USDA「PS&D」(2015.7)、国連「World Population Prospects:The 2012 Revision」、農林水産政策研究所「2024年における世界の食料需給見通し」をもとに農林水産省で作成。

注:グラフの数値は、2014年までは実績値、2015年は見通し、2016年から2024年までは予測値。単収の年平均伸び率の( )は2024年を除き、3年平均単収である。

平均 単収

1.34% (1.29) (2.48) (2.82) (3.27) (3.94t/ha) (1.66) (2.00)

(%)

○ 生産量の増加は、単収の向上で支えられてきたが、単収の伸びが鈍化。 ○ 中長期的には、単収は遺伝子組換え作物導入などで一定の伸びが期待されているが、地球温暖化、水資源の制約、土壌劣化などが不安要素。

世界の穀物の収穫面積、単収等の推移

300.8

270.5

111.2

332.7

305.3

109.0

9.7 8.7

5

10

15

20

25

80

100

120

140

160

180

200

220

240

260

280

300

320

340

1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020

1人当たりの収穫面積(右目盛)

収穫面積

生産量

単収

(1960年=100) a/人

2024

11

23

9 13

39 49 48

0

20

40

60

80

100

小麦 米 とうもろこし 大豆 乗用車 原油

農産物は、貿易割合が低い

(資料)米国農務省「PS&D」 (2014年6月)(2012/13の数値)、IEA「Key World Energy Statistics 2012」(2012年の数値)、(社)日本自動車工業会調べ(2012年の数値)を基に農林水産省で作成。

12

我が国の主要農産物の輸入は特定の国に依存

■我が国の主要農産物の国別輸入割合(2015年)

農産物全体 6兆5,629億円

小麦 2,000億円

牛肉 3,379億円

豚肉 4,251億円

資料:農林水産省「農林水産物輸出入概況」 13

とうもろこし 3,916億円

大豆 2,062億円

いざという時は自国内の供給が優先

ヨルダン

アルゼンチン

バングラデシュ

ブラジル

中国

ロシア

インド

ミャンマー

パキスタン

カザフスタン ウクライナ ベラルーシ

イラン

ボリビア

カンボジア カメルーン

エジプト

エクアドル

エチオピア

ギニア

ホンジュラス

ベトナム

ケニア

レバノン

シリア

マラウィ

ネパール

セルビア

スリランカ

タンザニア

ザンビア

(資料)FAO「 Crop Prospects and Food Situation, No. 5, December 2008 」により、2007年中頃から2008年12月中旬の間に実施された輸出規制を対象に農林水産省で作成。

輸出数量の規制(25か国)

輸出価格の規制(1か国)

両方を実施(5か国)

14

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1970年 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

小麦

とうもろこし

大豆

穀物等の国際価格の動向 ドル/トン

世界同時不作

アメリカの高温・乾燥

中国、イランにおける米の不作

アメリカの熱波

日本の米の大不作

ヨーロッパ天候不順

オーストラリア大干ばつ

15

食料需給に影響を与える構造的な要因

ファンダメンタルズ

バイオ燃料向け等 農産物の需要増加

所得の向上に伴う 畜産物等の需要増加

需 要

中国等の急激な 経済発展

砂漠化の進行 水資源の制約

収穫面積 の動向

供 給

家畜伝染病 の発生

異常気象 の頻発

基 礎 的 な 要 因

近年、大きな影響を与えている要因

世界人口の増加 単位面積当たり 収量の増加

穀物等の国際価格高騰

穀物市場への投機資金流入

(金融資金の運用先)

自国の需給や物価安定が優先

(輸出国における輸出規制)

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TPP合意の概要をみてみましょう その前に、関税について知りましょう

17

関税について

関税とは、歴史的には古代都市国家における手数料に始まり、国内関税、国境関税というような変遷を経てきましたが、今日では一般に「輸入品に課される税」として定義されています。

関税が課せられると、その分だけコストが増加し、国産品に対して競争力が低下することから、関税の国内産業保護という機能が生まれます。現在では、この産業保護が関税の重要な機能となっています。

(出典)財務省ホームページからの抜粋を加工

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関税のしくみ(関税の種類)

○ 国定税率 = 法律に基づいて定められる税率

関税定率法 → 基本税率

関税暫定措置法 → 暫定税率

特恵税率

○ 協定税率 = WTO協定で約束(譲許)している税率

EPAの対象国に対する税率

課税のイメージ

19

開発途上国・地域からの輸入

品に対し、最恵国待遇の例外として課税

関税の高さ 国定 > 協定 > 特恵

優先的適用 国定 < 協定 < 特恵

• 従価税

輸入価格に対して、□%の関税を課す

• 従量税

輸入される量に対して、□円/kgなどの関税を課す

【従価税と従量税の組み合わせなどの混合税もある】

• 関税割当

一定の量までは、低い関税を課し、

これを超える分は高い関税を課す

((輸入量)

輸入価格

関税

課税後価格

輸入数量

関税のしくみ(主な関税率の形態)

○我が国の農産物の関税構造

我が国の農産物平均関税率は、貿易加重平均では約12%、単純平均では約19%。 野菜をはじめ、多くの農産物が無税または低税率であり、一部の産品について高関税という特徴を持った関税構造。

実行税率 品目数

品目例

0% 434 大豆、コーヒー生豆、菜種、飼料用とうもろこし(※5) 0%超10%未満 421 生鮮野菜(一部品目を除く)、冷凍野菜(一部品目を除く)、熱帯果実(パパイヤ、ドリアン)

10%以上20%未満 273 緑茶、みかん(生鮮)、りんご(生鮮)、鶏肉 20%以上30%未満 220 トマトジュース、トマトケチャップ、オレンジジュース、鶏卵

30%以上 27 牛肉、プロセスチーズ、あられ・せんべい 従量税等 166 パスタ、豚肉、たまねぎ(生鮮)、ぶどう酒、砂糖、オレンジ(生鮮)

関税割当品目 (国家貿易品目を含

む) 366

米・麦類、小豆、落花生、こんにゃく芋、とうもろこし(コーンスターチ製造用等)、 バター、脱脂粉乳

合 計 1,907

○各国の農産物平均関税率

※1.農産物は、WTO農業協定対象 品目(他省庁所管物品を含む)。 ※2.実行税率は、2015年4月ベース。 ※3.品目数は、2015年4月のHS9桁 ベース。 ※4.従量税等には、従量税の他、 差額関税、スライド関税、選択 税、指定糖調整金及び季節関税 が含まれている。 ※5.税関の監督の下で飼料の原料 として使用するとうもろこしに 限る。

※ 左記は、WTO加盟国が実際に適用している関税率。 二国間EPA/FTA締約国間における税率は反映しておらず、例えば、韓国については、米国やEUとのFTAで大半の関税の撤廃(鉱工業品等については、最終的に全ての関税の撤廃)を約束している。

注1:単純平均関税率は実行税率の単純平均値。 貿易加重平均関税率は実行税率を貿易量で加重した平均値。

(出典)WTO “World Tariff Profiles 2014” 単純平均値は2013年度、貿易加重平均値は2012年度の値

注2:従量税については、各年の輸入単価のデータを用い従価換算の上、平均関税率を計算している。

我が国高関税品目の例

0%

600%

400%

200%

800%

コメ 小麦 大麦 脱脂粉乳 バター でん粉 粗糖 雑豆

55円/kg(252%)

29.8%+ 985円/kg(360%)

71.8円/kg(328%)

21.3%+ 396円/kg(218%)

119円/kg

タピオカでん粉(583%)

341円/kg (精米:778%)

39円/kg(256%)

354円/kg 小豆(403%)

※()内は従価税換算値。従価税換算値は、ドーハ・ラウンドで各品目の関税 削減率を検討するため、加盟国で合意された統一ルールに従い、99~01年の輸入価格等を基に換算したもの。

○ 国土条件などにより、外国と国内で特に価格差が大きいコメ、小麦、乳製品等一部の品目は高関税となっている。これは、GATTウルグアイ・ラウンド交渉合意を踏まえ、内外価格差に基づいて、従来の国境措置が関税化されたもの。

TPP協定交渉の経緯

23

時期 できごと

2010年 3月 10月

ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ(P4協定加盟4カ国)、米国、豪

州、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉開始 マレーシアが交渉参加(計9カ国に)

2012年11月 メキシコ、カナダが交渉参加

2013年3月 7月

安倍総理「交渉参加」表明 日本が交渉参加

2015年10月 2016年2月

大筋合意 TPP協定署名

○ TPPは平成27年10月に大筋合意、平成28年2月に署名。21世紀のアジア太平洋にフェアでダイナミックな「一つの経済圏」を構築する試み。世界のGDPの約4割、人口の1割強を占める巨大な経済圏。

○ 物品関税だけでなく、中小企業も含めたわが国企業の海外展開を促進するルール、約束を数多く実現する新たなルールを幅広い分野で構築。

○ サービス・投資等の主なルール

TPP計36.3%

TPP以外63.7%

日本5.9%

米国22.3%

カナダ2.3%

オーストラリア1.8%

メキシコ1.6%

EU23.6%

中国13.3%

ブラジル3.0%

インド2.6%

ロシア2.4%

韓国1.8%

その他17.4%

<投資>

・投資先の国が、投資企業に対し技術移転等を 要求することを禁止

<貿易円滑化> ・急送貨物の迅速な税関手続を確保するため、

「6時間以内の引取」を明記

・関税分類等に関する事前教示制度を義務付け

<知的財産>

・模倣・偽造品等に対する厳格な規律 ・地理的表示の保護を規定

<原産地規則> ・ 原産地規則の完全累積制度の実現

○ TPP協定交渉参加国が世界のGDPに占める割合(2014年)

出典:World Economic Outlook Database April 2014より作成

GDP 割合

米国 16,768 60.4%日本 4,920 17.7%

カナダ 1,839 6.6%豪州 1,502 5.4%メキシコ 1,262 4.5%マレーシア 313 1.1%シンガポール 302 1.1%チリ 277 1.0%ペルー 202 0.7%NZ 185 0.7%ベトナム 171 0.6%ブルネイ 16 0.1%合計 27,757 100.0%

TPP協定の発効規定

25

2016年2月が署名の日の場合

【例】

ケース①

全ての原署名国が国内法上

の手続を完了した旨を通報し

た日。

[理論上は、署名日からその2

年後まであり得る]

発効 日①

ケース② 署名の日から2年の期間内

に「要件」(※)が満たされた

日。

発効日②

ケース③

署名の日から2年の期間を

経過した後に「要件」(※)

が満たされた日。

発効日③

60日 60日 60日

2年

2016.2 2018.2 2018.4

※要件:原署名国のGDP(2013年)の合計の85%以上を占める、尐なくとも6

の原署名国が国内法上の手続を完了した旨を通報すること。

ケース①

ケース②

ケース③

以下の各シナリオは、署名の時期がいつになるのかによって変わる。

理論上は、2016年4月から2018年4月まであり得る。

協定の国会承認、国内法改正等

【参考】TPP交渉参加国の GDP(2013年) (単位:10億米ドル)

※前文に加え、以下の30章で構成。

(1)冒頭の規定及び一般的定義

協定が締約国間のその他の国際貿易協定と共存することができることを認める。また、本協定の二以上の章において使用される用語の定義を定める。

(2)内国民待遇及び物品の 市場アクセス

物品の貿易に関して、関税の撤廃や削減の方法等を定めるとともに、内国民待遇など物品の貿易を行う上での基本的なルールを定める。

(3)原産地規則及び原産地手続

関税の減免の対象となる「TPP域内の原産品(=TPP域内で生産された産品)」として認められるための要件や証明手続等について定める。

(4)繊維及び繊維製品

繊維及び繊維製品の貿易に関する原産地規則及び緊急措置等について定める。

(5)税関当局及び貿易円滑化

税関手続の透明性の確保や通関手続の簡素化等について定める。

(6)貿易上の救済

ある産品の輸入が急増し、国内産業に被害が生じたり、そのおそれがある場合、国内産業保護のために当該産品に対して、一時的にとることのできる緊急措置(セーフガード措置)等について定める。

(7)衛生植物検疫(SPS)措置

食品の安全を確保したり、動物や植物が病気にかからないようにするための措置の実施に関するルールについて定める。

(8)貿易の技術的障害(TBT)

安全や環境保全等の目的から製品の特性やその生産工程等について「規格」が定められることがあるところ、これが貿易の不必要な障害とならないように、ルールを定める。

(9)投資

投資家間の無差別原則(内国民待遇、最恵国待遇)、投資に関する紛争解決手続等について定める。

(10)国境を越える サービスの貿易

国境を越えるサービス提供に関する内国民待遇,最恵国待遇,市場アクセス(数量制限等)、拠点設置要求禁止等に関するルールを定める。

(11)金融サービス

金融分野の国境を越えるサービスの提供について、金融サービス分野に特有の定義やルールを定める。

(12)ビジネス関係者の 一時的な入国

ビジネス関係者の一時的な入国の許可、要件及び手続等に関するルール及び各締約国の約束を定める。

(13)電気通信

電気通信サービスの分野について、通信インフラを有する主要なサービス提供者の義務等に関するルールを定める。

(14)電子商取引

電子商取引のための環境・ルールを整備する上で必要となる原則等について定める。

(15)政府調達

中央政府や地方政府等による物品・サービスの調達に関して、内国民待遇の原則や入札の手続等のルールについて定める。

(16)競争政策

競争法令の制定又は維持、競争法令の執行における手続の公正な実施、締約国間及び競争当局間の協力等について定める。

(17)国有企業及び指定独占企業

国有企業と民間企業との間の対等な競争条件の確保のための国有企業の規律について定める。

(18)知的財産

特許、商標、意匠、著作権、地理的表示等の知的財産の十分で効果的な保護、権利行使手続等について定める。

(19)労働

貿易や投資の促進のために労働基準を緩和しないこと等について定める。

(20)環境

貿易や投資の促進のために環境基準を緩和しないこと等を定める。

(21)協力及び能力開発

協定の合意事項を履行するための国内体制が不十分な国に、技術支援や人材育成を行うこと等について定める。

(22)競争力及びビジネスの 円滑化

サプライチェーンの発展及び強化、中小企業のサプライチェーンへの参加を支援すること等について定める。

(23)開発

開発を支援するための福祉の向上等や、女性の能力の向上、開発に係る共同活動等について定める。

(24)中小企業

中小企業のための情報、中小企業が協定による商業上の機会を利用することを支援する方法を特定すること等を定める。

(25)規制の整合性

締約国毎に複数の分野にまたがる規制や規則の透明性を高めること等を定める。

(26)透明性及び腐敗行為の防止

協定の透明性・腐敗行為の防止のために必要な措置等に関するルールに関わる事項等を定める。

(27)運用及び制度に関する規定

協定の実施・運用等に関するルールなど協定全体に関わる事項等を定める。

(28)紛争解決

協定の解釈の不一致等による締約国間の紛争を解決する際の手続について定める。

(29)例外及び一般規定

締約国に対する協定の適用の例外が認められる場合等について定める。

(30)最終規定

協定の改正、加入、効力発生、脱退等の手続、協定の正文等について定める。

TPP協定の概要

27

・ 我が国の全品目(農林水産物、鉱工業品)の関税撤廃率は95%、農林水産物の関税撤廃率は82%。 ・ 農林水産物の重要5品目を中心に、国家貿易制度や枠外税率の維持、関税割当やセーフガードの創設、長期の関税削減期間の確保等の有効な措置を獲得。

各国の関税撤廃率(品目ベース)

国 日本 米国 カナダ 豪州 NZ シンガポール

メキシコ

チリ ペ

ルー マレーシア

ベトナム

ブルネイ

全品目 95% 100% 99% 100% 100% 100% 99% 100% 99% 100% 100% 100%

農林水産物

82% 99% 95% 100% 100% 100% 97% 98% 97% 100% 99% 100%

(注)日本以外の国の農林水産物については、国際的な商品分類(HS2012)において1~24、44及び46類に分類される農林水産物であって、農林水産省所管品目とは一致しない(日本のライン数には含まれていない財務省所管の酒・たばこ類が含まれる)。

28

我が国の関税を残すライン

総ライン数 関税を残すラ

イン 備考

全品目 9,321 459

うち農林水産物 2,594 459

うち関税撤廃したことがないもの

901 455

うち重要5品目 (594) (424)

うち重要5品目以外 (307) (31) 雑豆、こんにゃく、しいたけ、海藻等

うち関税撤廃したことがあるもの

1,693 4 ひじき・わかめ

交渉結果の概要(抜粋)

29

品目 現在の関税率 合意内容

米 枠内税率:無税+マークアップ

枠外税率:341円/kg

• 現行の国家貿易制度を維持するとともに、枠外税率(341円/kg)を維持。

• その上で、既存のWTO枠(77万玄米トン)の外に、米国・豪州に対して、SBS方式の国別枠を設定。

米国: 5万実トン(当初3年維持)→ 7万実トン(13年目以降) 豪州:0.6万実トン(当初3年維持)→ 0.84万実トン(13年目以降)

小麦 枠内税率:無税+マークアップ

枠外税率:55円/kg

• 現行の国家貿易制度を維持するとともに、枠外税率(55円/kg)を維持。

• 既存のWTO枠に加え、米国(15万㌧(7年目以降))、カナダ(5.3万㌧(同))、豪州(5万㌧(同))にSBS方式の国別枠を新設。

• マークアップを9年目までに45%削減。

牛肉 38.5%

• 16年目に最終税率を9%とし、関税撤廃を回避(米国等の近年のFTAでは類例を見ない「関税撤廃の例外」を獲得)。

• 16年目までという長期の関税削減期間を確保。 • 輸入急増に対するセーフガードを措置(関税が9%となる16年目以降、4年間

連続で発動されない場合にはセーフガードは終了)。

豚肉

差額関税制度 ・524円/kg<輸入価格の場合:

4.3% ・524円/kg≧輸入価格の場合:

546.53円/kgと輸入価格の差額

・64.53円/kg≧輸入価格の場合:482円/kg

• 差額関税制度を維持するとともに、分岐点価格(524円/kg)を維持。 • 10年目までという長期の関税削減期間を確保。(従量税50円/kgは近年の平

均課税額23円/kgの約2倍に相当し、従価税(4.3%)は撤廃)。 • 11年目までの間、輸入急増に対するセーフガードを措置。

品目 国 市場アクセス

現行[EPA税率] 交渉結果

コメ 米国 1.4セント/kg 5年目撤廃

牛肉

米国 枠外26.4% 枠内(200トン、4.4セント/kg)

15年目撤廃 (無税枠:3,000トン(1年目)→6,250トン(14年目))

カナダ 26.5% 6年目撤廃

メキシコ 枠外20~25% 枠内[6,000トン、2.0~2.5%] 10年目撤廃

ブリ・サバ・サンマ ベトナム 18% 即時撤廃

味噌 米国 6.4% 5年目撤廃

ベトナム 20% 5年目撤廃

醤油 米国 3% 5年目撤廃

ベトナム 30%[16.4%] 6年目撤廃

りんご ベトナム 15%[7.3%] 3年目撤廃

なし

米国 無税又は0.3セント/kg 即時撤廃

カナダ 無税又は2.81セント/kg (ただし10.5%以上) 即時撤廃

茶 ベトナム 40%[22.5%] 4年目撤廃

チョコレート 米国 2%~(52.8セント/kg+ 8.5%) 即時~20年目撤廃

ベトナム 13~25% 5~7年目撤廃

切り花 米国 3.2%~6.8% 即時撤廃

カナダ 無税~16% 即時撤廃

○主要品目の対日関税の交渉結果 ○ 農林水産物の輸出の重点品目

輸出額(億円)

割合 主な輸出品目

1,696 27.7% -

 米国 932 15.2% ホタテ、ぶり、ソース混合調味料、日本酒、真珠

 ベトナム 292 4.8% ホタテ、植木、さば、かつお・まぐろ類、いか

 シンガポール 189 3.1% 小麦粉、ソース混合調味料、菓子、緑茶、牛肉

 豪州 94 1.5% 清涼飲料水、ソース混合調味料、醤油、ホタテ、ビール

 カナダ 74 1.2% ごま油、ゼラチン、みかん、ソース混合調味料、さば

 マレーシア 68 1.1% さば、ソース混合調味料、いわし、配合調製飼料、たばこ

 NZ・メキシコ・チリ・ペルー・ブルネイ計 45 0.7% たら、播種用の種等、魚油、メントール、ソース混合調味料

4,421 72.3% -

 香港 1,343 22.0% 真珠、乾燥なまこ、たばこ、菓子、小麦粉

 台湾 837 13.7% たばこ、りんご、さんご、ソース混合調味料、豚の皮

 中国 622 10.2% ホタテ、さけ・ます、丸太、すけとうたら、植木等

 韓国 409 6.7% ビール、ホタテ、ソース混合調味料、丸太、配合調製飼料

 EU 332 5.4% 播種用の種等、ソース混合調味料、ホタテ、醤油、緑茶

その他 879 14.4% -

6,117 100.0%輸出先計

輸出先国

TPP参加国計

TPP参加国以外

○ 牛肉、水産物など、我が国の農林水産物・食品の輸出拡大の重点品目の全てで関税撤廃を獲得。

水産物、加工食品、コメ・コメ加工品、林産物、花き、青果物、牛肉、茶

農林水産物の輸出に占める TPP参加国の割合は約3割

H27年11月に取りまとめた「総合的なTPP関連政策大綱」に基づき、①協定発効による影響が生じるまでの期間を活用して行う体質強化対策、②協定発効に合わせた経営安定対策の充実等を講ずるとともに、③H28年秋を目途に12の検討継続項目の具体的内容を詰める。

・ 農政新時代に必要な人材力を強化するシステムの整備

・ 生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し

・ 生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立

・ 真に必要な基盤整備を円滑に行うための土地改良制度の在り方の見直し

・ 戦略的輸出体制の整備

・ 原料原産地表示

・ チェックオフ制度の導入

・ 以前から行っている収入保険制度の導入に向けた検討の継続

・ 農家が安心して飼料用米に取り組めるよう、食料・農業・農村基本計画に明記された生産努力目標の確実な達成に向け、生産性を向上させながら、飼料用米を推進するための取組方策

・ 配合飼料価格安定制度の安定運営のための施策

・ 肉用牛・酪農の生産基盤の強化策の更なる検討

・ 農村地域における農業者の就業構造改善の仕組み

攻めの農林水産業への転換

経営安定・安定供給のための備え 検討の継続項目

・次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成 ・国際競争力のある産地イノベーションの促進 ・畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトの推進 ・高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓 ・合板・製材の国際競争力の強化 ・持続可能な収益性の高い操業体制への転換

・消費者との連携強化 ・規制改革・税制改正

・米: 政府備蓄米の運営の見直し ・麦: 経営所得安定対策の着実な実施 ・牛肉・豚肉、乳製品: 牛マルキン及び豚マルキンの法制化 牛・豚マルキンの補填率の引上げ 豚マルキンの国庫負担水準の引上げ 肉用子牛保証基準価格の算定方式の見直し

液状乳製品(生クリーム等)を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加し、補給金単価を一本化※。

当該単価を経済状況の変化を踏まえた見直し。 ・甘味資源作物: 加糖調製品の調整金の対象化

成長産業化に取り組む生産者がその力を最大限発揮するため

生産者の不安払拭のため 夢と希望の持てる農政新時代を創造するため

○農林水産分野におけるTPP関連対策

※:準備が整い次第、協定の発効に先立って実施。

国内生産量 (2013年産、水稲)

主な生産地(2013年産、水陸稲) (生産量シェア)

860万玄米トン うち主食用 818万玄米トン

新潟県 66万玄米トン

(8%)

北海道 63万玄米トン

(7%)

秋田県 53万玄米トン

(6%)

輸入量 (2013年度)

主な輸入先国 (輸入量シェア)

77万玄米トン 米国 36万玄米トン

(47%)

タイ 35万玄米トン

(46%)

豪州 4万玄米トン

(5%) 【うちTPP参加国 40万玄米トン】

価格・生産量・輸入量の推移(円/精米kg・万玄米トン)

2010 2011 2012 2013 2014

国内価格 220 264 286 246 202

国際価格 69 67 63 72 107

国内生産量 824 813 821 818 789

輸入量 77 77 77 77 77

関税率 国境措置の概要

一次税率 無税

輸入差益上限

292円/kg

二次税率 341円/kg

○ 枠内 国家貿易によるミニマム・アクセス

(MA)米の輸入(輸入差益の徴収) ○ 枠外

高水準の関税(341円/kg)

品目/ 現在の関税率

合意内容

一次税率 無税+マークアップ

二次税率 341円/kg

• 現行の国家貿易制度を維持するとともに、枠外税率(341円/kg)を維持。

• その上で、既存のWTO枠(77万玄米トン)の外に、米国・豪州に対して、S;S方式の国別枠を設定。

米国: 5万実トン(当初3年維持) → 7万実トン(13年目以降) 豪州:0.6万実トン(当初3年維持) → 0.84万実トン(13年目以降)

基 礎 デ ー タ

交 渉 結 果 結 果 分 析

(注1)国内価格は、相対取引価格の年産平均から消費税等を含まない価格を試算したものであり、玄米の価格を精米換算したもの。 (年産ベース) (注2)国際価格は、カリフォルニア州産短粒種の現地精米所出荷価格(暦年ベース)。(注3)国内生産量は、主食用米の生産量。 (注4)輸入量は、MA米の輸入契約数量。

出典:作物統計(農林水産省)、米をめぐる関係資料(農林水産省)等

• これまでの基本的な輸入の枠組みは変更せず、関税撤廃の例外や現行の国家貿易制度の維持など、多くの例外措置を獲得。

• したがって、国家貿易以外の輸入の増大は見込み難い。

• 他方、国別枠により輸入米の数量が拡大することで、国内の米の流通量がその分増加することとなれば、国産米全体の価格水準が下落することも懸念されることから、備蓄運営による外国産米の主食用米生産に対する影響の食い止めの検討や、更なる競争力の強化が必要。

経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)

関税削減等に対する農業者の懸念と丌安を払拭し、TPP協定発効後の経営安定に万全を期すため、生産コストの削減や収益性の向上への意欲を持続させることに配慮しつつ、協定発効に合わせて経営安定対策の充実等の措置を講じます。

消費者により鮮度の高い備蓄米を供給する観点も踏まえ、毎年の政府備蓄米の運営を見直し(原則5年の保管期間を3年程度に短縮)、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れます(※)。

国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に不える影響を遮断します。

(※1)備蓄米は今後も平時には最終的に非主食用(飼料用、加工用、援助用)として売却。 (※2)具体的な運用方法については、協定発効に向けて今後検討。

(イメージ図)

国別枠の輸入 市場に流通する主食用米

国別枠の輸入量に相当する国産米を政府備蓄米として買入

牛 肉

基 礎 デ ー タ

品目/ 現在の関税率

合意内容

牛肉 38.5%

• 16年目に最終税率を9%とし、関税撤廃を回避(米国等の近年のFTAでは類例を見ない「関税撤廃の例外」を獲得)。

• 16年目までという長期の関税削減期間を確保。

• 輸入急増に対するセーフガードを措置(関税が9%となる16年目以降、4年間連続で発動されない場合にはセーフガードは終了)。

交 渉 結 果

• 関税撤廃を回避し、長期の関税削減期間を確保するとともに、セーフガードを措置。

• 国内産牛肉(和牛、交雑種、乳用種)のうち、和牛・交雑種牛肉は、品質・価格面で輸入牛肉と差別化されており、競合の度合いは小さいのではないかと見込まれる。

• したがって、当面、輸入の急増は見込み難い。

• 他方、関税の引下げにより、長期的には、米国・豪州等からの輸入牛肉と競合する乳用種を中心に国内産牛肉全体の価格の下落も懸念される。このため、国内の肉用牛生産について、規模拡大等による生産コストの削減や品質向上など国産の優位性の確保等の体質強化対策に加え、経営の継続・発展のための環境整備を検討することが必要。

結 果 分 析

国内生産量 (2013年度)

主な生産地(生産量シェア) (飼養頭数ベース:2014年2月1日現在)

354千トン 北海道 516千頭(20%)

鹿児島県 343千頭(13 %)

宮崎県 250千頭(10 %)

輸入量 (2013年度)

主な輸入先国 (輸入量シェア)

536千トン 豪州 278千トン(52%)

米国 201千トン(38 %)

NZ 28千トン(5%) 【うちTPP参加国535千トン】

価格・生産量・輸入量の推移(円/kg・千トン)

年度 2010 2011 2012 2013 2014

国内価格(和牛) 2480 2203 2487 2750 2977

国内価格(交雑) 1649 1383 1560 1741 1893

国内価格(乳用) 934 723 884 1113 1251

国際価格 404 405 445 508 633

国内生産量 358 354 360 354 352

輸入量 512 516 506 536 517

関税率 国境措置の概要

一次税率 38.5%

二次税率 -

ウルグアイ・ラウンドにおける関係国との協議結果に基づき、協定税率(50%)よりも低い38.5%の暫定税率を設定

出典:食肉流通統計、畜産統計、貿易統計

(注)部分肉ベース、国内は去勢牛の価格 国内価格:中央10市場平均、国際価格:CIF平均単価

・ 肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)を法制化する ・ 協定発効に合わせて、牛マルキンの補填率を引き上げる(8割→9割)

牛肉

平均的な生産コスト

差額の9割 を補てん

物財費等

家族 労働費

粗収益

(枝肉価格等)

補塡金 積立金

補填率を8割 から引上げ

経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)

国3:生産者1

攻めの農林水産業への転換

36

何をつくる

37

そこで重要なことは・・・・

マーケットイン

VS プロダクトアウト

ニーズを優先し、顧客視点で商品の企画・開発を行う

「顧客が望むものをつくる」

「売れるものづくり」

商品づくりで、作り手の理論を優先させること

「作り手がいいと思うものをつくる」

「作ったものを売る」 38

食の多様化の中で外部化・簡便化が進行

生鮮食品 47 42 37 31 29

加工食品 31 31

31 31 32

調理食品 4 6

8 11 12

外食 9 13 16 17 17

飲料・酒類 9 8 9 10 10

0

20

40

60

80

100

昭和45年 55 2年 12年 21年

(資料)総務省「家計調査」、「消費者物価指数」を基に農林水産省で試算

最終消費

仕向け

32% 食品産業

仕向け

62%

外食産業

仕向け

6%

9.4兆円

(資料)総務省他9省庁「産業連関表」を基に

農林水産省で試算(平成17年)

国産農水産物の2/3が 食品産業仕向け

39

米の消費

• 主食用の米は、消費量が減尐傾向の中、外食・中食向けの消費割合が増加傾向

• 飼料用米等の非主食用米の消費量が増加

40

農林水産省(2009)

合計 274万t

(即席麺・パスタ等)

小麦の消費

41

外国産小麦の 銘柄

カナダ産ウェスタン・レッド・スプリング

(1CW)

アメリカ産ダーク・ ノーザン・スプリング

(DNS)

アメリカ産ハード・ レッド・ウィンター

(HRW)

オーストラリア産 スタンダ-ド・ホワイト

(ASW)

アメリカ産ウェスタン・ ホワイト(WW)

輸入数量 512万トン

107万トン 125万トン 84万トン 86万トン 77万トン

小麦粉の種類 強力粉 準強力粉 中力粉 薄力粉

主な用途

食パン

中華麺

ギョウザの皮

うどん、即席麺

ビスケット、和菓子

カステラ、ケ-キ 和菓子、天ぷら粉

ビスケット

たんぱく質の 含有量

11.5~13.0% 10.5~12.5% 7.5~10.5% 6.5~9.0%

小麦の種類と用途

○ 原料として使用される小麦の種類は、小麦粉の種類・用途に応じて異なっているところ。

○ 小麦粉の種類は、たんぱく質の量によって、強力粉(パン用)、準強力粉(中華麺用)、中力

粉(うどん用)、薄力粉(菓子用)に分類。

注1:輸入数量及び国内産小麦流通量は、過去5年(H22~H26年度)の平均数量である。 注2:輸入数量は、5銘柄以外の銘柄(デュラム小麦等)33万トンを含む。 注3:国内産小麦流通量は、集荷団体からの聞き取り数量である。

用途 パン用品種 中華麺用品種 日本麺用品種等

国内産小麦流通量 70万トン

6.3万トン(9.0%)

北海道産春よ恋(4.3万トン) 北海道産ゆめちから (4.8万トン)

福岡県産ちくしW2号【ラー麦】 (0.4万トン)

62.9万トン(90.4%)

北海道産きたほなみ(43.8万トン) 香川県産さぬきの夢 (0.5万トン)

0.4万トン(0.5%)

(参考) H26年度流通量

42

[分類名]

[パーセン

テージ]

[分類名]

[パーセン

テージ]

耕地面積(平成27年)

田 畑

245

205

畑の内訳

普通畑 樹園地 牧草地

115 29

61

単位:万ha

水田本地 水稲作付

231 151

水稲作付面積(万ha)

43

450万ha

耕地利用の面から見ると・・・・

食料自給率・食料自給力の維持向上に向けた水田のフル活用 ~ 需要に応じた戦略作物等の振興 ~

<平成25年度の制度内容> <今後の方向>

マーケットインの発想に基づき、飼料用米・麦・大豆などの戦略作物等について、生産性の向上や高付加価値 化を後押しし、水田のフル活用を図る。これにより、食料自給率・食料自給力も維持向上。

○ 水田における飼料用米・麦・大豆など

水田活用の直接支払交付金※

・ 戦略作物助成

→ 作付面積に応じて一定額

を交付

・ 産地資金

→ 地域が取り組み内容(作物)、 単価を設定

意欲ある生産者にとって経営の選択肢が拡大

食料自給率・食料自給力の維持向上を図る観点から、水田のフル活用

・需要のある飼料用米等の生産性の向上と本作化

地域における作物振興の設計図となる 「水田フル活用ビジョン」の作成と地域の裁量による戦略的な交付金(旧:産地資金)の活用

数量払いの導入と多収性品種の取組へのインセンティブの付与

・ニーズの高い麦、大豆などの振興

・地域の裁量に委ねられた戦略的な交付金(旧:産地資金)により、6次産業化に向けた特色のある魅力的な産品の産地づくり

目指す姿

マーケットインの発想に基づき、飼料用米・麦・大豆など需要のある作物を振興し、所得を増大

生産コストの削減、農業経営の規模拡大・構造改革に寄与

生産拡大と生産性の向上を後押し

※ 生産数量目標に従っているか否かに関わらず交付

・ 主食用米と作期をずらして飼料用米に取り組み、機械や労働力を最大限に活用

・ 稲作全体について、生産性の大幅な向上と生産コストの削減

・ 経営規模の一層の拡大や農地の集約化

水田のフル活用により、食料自給率・食料自給力を維持向上

44

農林水産業の輸出力強化戦略 -ポイント-

〔基本的考え方〕 国内の食市場が縮小する中で、アジアを中心に世界の食市場は拡大。我が国のおいしくて、安全な農林水産物や

食品は高い評価。

輸出は、農林水産物・食品の販路拡大につながる重要な手段。高い技術力により、四季がある日本で旪の農林水

産物や多様な食品を提供できるということは我が国の農林水産業・食品産業の強み。海外のニーズに合った高品

質な日本産品を多く輸出できるようになれば、農林漁業者や食品事業者の所得向上も期待。また、生産拡大の環

境が整うことで、意欲ある若い担い手が新たに参入し、創意工夫にあふれた経営を実践していくことで、農林漁業の

閉塞感の打開にもつながる。

輸出の主役は、農林漁業者や食品事業者。 民間のチャレンジや創意工夫が一層引き出され、意欲的な取組が行

われるよう、側面から支援していくことが政府の基本姿勢。同時に、民間では対応できない外国の規制等への対応

について、政府として全力で取り組む。

■ 情報の一元的提供

■ 日本産の「品質の良さ」を世界に伝える

■ 「ライバル国に負けない」ための戦略的販売(リレー出荷・周年供給)を進める

■ 農林漁業者自身が海外において

販売拠点を設ける取組をサポ―ト

■ 既存の規制を見直し、国内の卸売市場を輸出拠点へ

■ 諸外国の規制の緩和・撤廃のため、省庁横断でチームをつくり、戦略的に対処

■ 国内の輸出関連手続を改革

民間の意欲的な取組を支援する「7つのアクション」

□ 国・地域別の農林水産物・食品の輸出拡大戦略を提示

□ 品目別の輸出力強化に向けた対応方向を提示

意欲ある農林漁業者や食品事業者に届ける「2つのメッセージ」

○ 平成27年輸出額の国・地域別内訳

〇 農林水産物・食品の輸出額は、平成32年に1兆円とする目標の前倒し達成を目指す。 ○ 平成27年の農林水産物・食品の輸出額は、7451億円で3年連続で伸びており、昭和30

年に輸出額の統計を取り始めて以来の最高値となった。

○ 農林水産物の輸出額

資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省作成

・輸出額の約4分の3をアジア諸国が占める。 ・北米が約16%、欧州が約6%と続く。

誰がつくる

47

○ 農林水産業就業者数は年々減尐し、平成26年で230万人。 ○ 全産業就業者数に占める割合は3.8%で、 イタリアと同程度。主要国でもこの割合は低下。

農林水産業就業者数の推移

○農林水産業就業者数の推移

○主要国における農林水産業就業者数の全産業就業者数に占める割合

資料:総務省「労働力調査」

米国 カナダ EU (28)

ロシア 豪州 中国 韓国 日本

仏 独 伊 英

全産業就業者数対比

(%)

1995(平7) 2.9 4.1 - 4.9 3.2 6.6 2.0 15.7 4.8 48.5 12.4 5.7

2013(平25) 1.5 1.8 4.9 3.1 1.4 3.6 1.1 9.5 2.6 31.4 6.1 3.8

1,340

886

577

451 326

282 255 230万人

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

昭35 45 55 平2 12 17 22 26

万人

全産業就業者数

6,351万人の3.6%

全産業就業者数

4,436万人の30.2%

48

○基幹的農業従事者の年齢構成(平成26年) ○各国の農業従事者の年齢構成

出典: 英仏独は、EUROSTAT(2014):農業に従事した世帯員 米は、米国農務省「2012年農業センサス」:農業に従事した世 帯員 日は、農林水産省「2010年世界農林業センサス」:基幹的農業 従事者

(用語の解説)

基幹的農業従事者:自営農業に主として従事した15歳以上の世帯員(農業就業人口)のうち、ふだん仕事として主に自営農業に従事している者で、主に家事や育児を行う主婦や学生等を含まない。

資料:「農業構造動態調査」(組替集計)

基幹的農業従事者数 168万人 平均年齢 66.8歳

基幹的農業従事者数全体に 占める割合(右目盛)

農業従事者の高齢化

49

新規就農者の動向

○農業生産法人数の推移

資料:農林水産省調べ

○新規就農者数の推移

平成

資料:農林水産省調べ

○ 新規就農者は、新規自営農業就農者(農家子弟で実家に就農)が大半。 ○ 農業生産法人数は近年増加しており、新規就農者の雇用の受け皿になっている。

(単位:千人)

H20 H22 H24 H26

合計 60.0 54.6 56.5 57.7

うち 40歳以下

19.8 18.0 19.3 21.9

新規自営農業就農者

49.6 44.8 45.0 46.3

うち 40歳以下

12.0 10.9 10.5 13.2

新規参入者 2.0 1.7 3.0 3.7

うち 40歳以下

0.9 0.9 2.2 2.7

新規雇用就農者 8.4 8.0 8.5 7.7

うち 40歳以下

7.0 6.1 6.6 6.0

50

青年等就農計画制度について

市町村

【基本構想】 青年等の目標とすべき農業経営の指標

基本構想に照らし適切な青年等就農計画を認定

認定新規就農者

【青年等就農計画】

都道府県

【基本方針】 青年等の目標とすべき農業経営の

基本的指標

基本方針に即した基本構想に同意

青年等就農計画の認定の仕組み 1.青年等就農計画の対象者

計画申請者は、その市町村の区域内において新たに農業経営を営もうとする青年等※で

あって、青年等就農計画を作成して市町村から認定を受けることを希望する者

※ 青年(原則18歳以上45歳未満)、知識・技能を有する者(65歳未満)、これらの者が役員の過半を占める法人

※ 農業経営を開始してから一定期間(5年)以内のものを含み、認定農業者を除く

2.青年等就農計画の認定 ○認定の要件

市町村は、申請された青年等就農計画が次の要件を満たす場合にその認定を実施。

① その計画が市町村の基本構想に照らして適切であること

② その計画が達成される見込みが確実であること 等

○審査体制

審査に当たって市町村は、経営改善計画や青年就農給付金(経営開始型)の審査体制

の活用が可能。また、第三者組織、当該青年等の指導等に当たっている農業者(指導農

業士等)、普及指導センター等の意見を考慮することが望ましい。

3.認定新規就農者のメリット措置

・ 青年等就農資金(無利子融資) ・ 青年就農給付金(経営開始型)

・ 経営所得安定対策(27年産から) ・ 認定新規就農者への農地集積の促進

○ 新規就農者を大幅に増やし、地域農業の担い手として育成するためには、就農段階から農業経営の改善・発展段階まで一貫した支援が重要。このため、平成26年度から、青年等就農計画制度を農業経営基盤強化促進法に位置づけ、市町村が青年等就農計画を認定。

○ 市町村の認定を受けた認定新規就農者に対して、早期の経営安定に向けたメリット措置を集中的に実施。

1)雇用就農者育成タイプ 農業法人等が就農希望者を新たに雇用して実施する研 修に対して支援 (年間最大120万円、最長2年間)

2)法人独立支援タイプ 農業法人等が独立を目指す就農希望者を新たに雇用し、 農業法人設立・独立に向けて実施する研修に対して支援 (年間最大120万円、最長4年間、ただし3年目以降は年間 最大60万円)

・実施規模 新規採択 5,000人程度

【募集予定:H27年1~2月、3~4月、4~5月、7~8月、9~10月】

農業法人等の研修を支援 <農業法人等の要件>

○ 新規就農者の雇用就農を促進するため、農業法人等が就農希望者を雇用し、農業技術や経営ノウハウの習得を図る実践的な研 修等の実施を支援 (雇用就農者育成タイプ)。 ○ 農業の発展に資する優良な法人を増やしていくため、農業法人等が就農希望者を一定期間雇用し、生産技術、経営力等を習得さ せた上で、新たに農業法人として独立させるために実施する研修に対して支援 (法人独立支援タイプ)。

全国農業会議所

研修実施計画の申請 交付ルート

補助金 審査・採択

研修実績報告・交付申請

助成金の交付

の交付

1 概ね年間を通じて農業を営む事業体(農業法人、農業者、農業サービス事業体等)であること

2 正職員として雇用すること(法人独立支援タイプは期間の定めのある雇用でも

可)

3 雇用就農者を農畜産物の生産や加工販売等の業務に従事させ、就農・独立に

必要な技術、経営力等を習得させるための実践的な研修を行えること(青年就

農給付金(経営開始型)を受給している経営体ではないこと)

4 雇用就農者との間で、原則として過去に雇用契約が無いこと

5 労働保険(雇用保険、労災保険)に加入すること

6 過去に雇用及び研修に関して、法令に違反する等のトラブルがないこと

7 国による雇用就農者の人件費に対する助成、雇用奨励金(例:特定求職者雇

用開発助成金、地域雇用開発助成金)等を受給していないこと

8 雇用就農者が青年就農給付金(準備型)で研修を受けた経営体と同じ経営体

でないこと

9 過去に本事業の対象となった雇用就農者が複数いる場合、1/3以上が農業法

人等の原因により離職していないこと

1 原則45歳未満の者であること

2 農業就業経験が5年以内であり、研修修了後も就農を継続(法人独立支援タイ

プは農業法人として独立)する強い意欲を有する者であること

3 雇用就農者が過去に本事業の対象となっていないこと

4 法人独立支援タイプの場合、研修終了後1年以内に農業法人として独立する

こと

<雇用就農者に関する要件>

雇用就農に向けた支援(農の雇用事業)

農業法人等

どこでつくる

53

農地面積の各国の比較

資料:平均経営面積:「農業構造動態調査」、USDA/NASS資料、EU 農業センサス2010、 Australian Commodity Statistics 2014 農地面積及び国土面積に占める割合:「耕地及び作付面積統計」、FAOSTAT 注1:平均経営面積について、日本は2014年、米国は2012年、豪州は2013年、EUは2010年。 注2:農地面積について、日本は2014年、それ以外の国は2012年。 注3:日本の平均経営面積及び農地面積には、採草・放牧地等を含まない。 注4:日本の平均経営面積は一経営体当たりの経営耕地面積(農業経営体)。 注5:日本の「国土面積に占める割合」は、北方領土等を除いた国土面積に対する割合。

日本 米国 EU(28)

豪州

ドイツ フランス イギリス

平均経営面積(ha)

2.45 (1)

175.6 (72)

14.2 (6)

55.8 (23)

53.9 (22)

90.4 (37)

3,076.4 (1,256)

農地面積 (万ha)

452 40,871 18,658 1,666 2,884 1,718 40,547

国土面積に占める割合

(%)

12.1 41.6 42.6 46.7 52.5 70.5 52.4

54

稲作と酪農、都府県と北海道

0.6 3.4

0.8 4.1

1.1

73.4

1.5

23.2

0

20

40

60

80

水稲(ha) 乳用牛(頭) 都府県(ha) 北海道(ha)

昭和40年

平成25年(水稲22年)

55

○ 平成27年3月末現在における担い手が利用している農地面積(所有権又は賃借権等の集積面積:ストック)は227万haとなっており、農地面積全体の約5割を占めている。 ○ 今後10年で8割を目指し施策を展開している。

(万ha) (%)

86 134

181 221 219 222 221 227

504 483 469 459 455 456 454 452

17.1

27.8 38.5

48.1 47.9 48.8 48.7 50.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

0

100

200

300

400

500

600

8年3月末 13年3月末 18年3月末 23年3月末 24年3月末 25年3月末 26年3月末 27年3月末

農地面積のうち担い手の利用集積面積 農地利用集積率

担い手の利用面積の割合

農地面積

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」、「集落営農実態調査」(組替集計)、農林水産省調べ 注:「担い手の利用面積」とは、認定農業者(特定農業法人含む)、新規認定就農者、市町村基本構想の水準到達者、集落営農経営が所有権、 利用権、農作業受託(集落営農経営は、農作業受託のみ)により経営する面積

担い手への農地利用の集積

56

農地中間管理機構の活用

地域内の分散・錯綜した農地を借り受ける

農地として管理する(必要な場合には基盤整備等を実施)

担い手がまとまりのある形で農地を利用できるように貸付ける

関係者の中心となって、農地を集積し、耕作放棄地を解消する

分散・錯綜した農地利用 担い手ごとに集約化した農地利用 コスト削減

; <

借受け

貸付け

農地中間管理機構(都道府県に1つ)

担い手

農地の出し手

55

農地の大区画化・汎用化 対 策

水田の整備状況 生産性の低い狭小・排水不良の水田

水田面積 247万ha

30a程度以上に区画が整備されたもの

156万ha (63%)

農地の整備と集積の関係

規模拡大を進めている担い手農家であっても、狭小・不整形の水田は敬遠

担い手農家が耕作の依頼を断った理由

(%)

22

16

40

54

73

0 20 40 60 80

その他

現状以上の規模拡大は困難

湿田(汎用化されていない)

離れた場所にあるほ場

区画が狭小又は未整備

排水不良の水田

有孔パイプ

大区画化・汎用化の推進

大区画化の推進

暗渠排水による水田の汎用化

現 状 課 題

狭小・不整形の水田

農地中間管理機構との連携等により農地の8割を担い手に集積

14 20

24 33

37

64

82

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

未整備 20%未満 20~40 40~60 60~80 80~100 100%

農地集積率

農地整備率

農地整備率と担い手への農地集積率(2010

年) (%)

58

○ 日本学術会議が農業の多面的機能を評価。貨幣評価が可能な機能について金額に換算すると、 洪水防止機能で3兆5千億円など。

機能の種類 評価額

洪水防止機能 3兆4,988億円/

河川流況安定機能 1兆4,633億円/

地下水涵養機能 537億円/

土壌侵食(流出)防止機能

3,318億円/年

土砂崩壊防止機能 4,782億円/

有機性廃棄物分解機能 123億円/

気候緩和機能 87億円/

保健休養・やすらぎ機能

2兆3,758億円/年

(注) 農業の多面的機能のうち、物理的な機能を中心に貨幣評価が可能な一部の機能について、日本学術会議の特別委員会等の討議内容を踏まえて評価を行ったものである。

資料:日本学術会議「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価 について(答申)」(平成13年11月)及び関連付属資料

農業・農村の有する多面的機能

かん かん

59

地域活動、農業生産活動の継続と多面的機能の発揮 ~日本型直接支払制度~

○農業・農村の有する多面的機能の発揮のため、また、担い手の育成等構造改革を後押しするため、国はそれを支える以

下の取組みを支援しています。(※平成27年4月に「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」が施行)

① 地域で共同して行う地域資源の適切な保全管理活動 ・・・・・・ 多面的機能支払(農地維持・資源向上)

② 中山間地域など条件丌利地域における農業生産活動の維持 ・・・・・・ 中山間地域等直接支払

③ 有機農業など環境保全効果の高い農業生産活動の促進 ・・・・・・ 環境保全型直接支払

これらをあわせて「日本型直接支払制度」と呼んでいます。

■ 日本型直接支払の対象となる主な活動

農地法面の草刈り、水路の泥あげ 農道の路面維持・補修 年度活動計画の策定

水田魚道の設置(生態系保全) 条件不利地域における生産活動 植栽による景観形成 60

どのようにつくる

61

新たな品種・生産技術を活用した「強み」のある農畜産物の創出の加速化

「強み」を活かす〈Utilize〉

1 2 「強み」を生み出す〈Breed〉

3

〈品種開発の加速化〉 〈産地化支援〉 〈知的財産の保護・活用〉

「強み」を守る〈Protect〉

実需者・産地と連携したマーケットイン型育種への転換、DNAマーカーによる育種のスピードアップにより、ニーズに応えた優れた品種等を次々と生み出す。

埋もれた品種の発掘や新品種の導入、IT等の新技術の活用による栽培・品質管理の高度化などにより、「強み」を活かした産地を全国に形成。

育成者権、商標権等の知財を組み合わせるなど知財の戦略的な保護により産地の「強み」を保護。

品種開発から産地化まで一連の取組を戦略的に推進するための コンソーシアムを各地に形成

品目別の新品種・新技術の開発・保護・普及の方針

62

6次産業化とは?

• 農業を1次産業としてだけでなく、加工の2次産業、サービ

スや販売の3次産業まで含め、1次産業から3次産業まで

一体化した産業として農業の可能性を広げるもの。

• 1次×2次×3次=6次

• 自らの経営に2次、3次を取り入れたり、

• 2次、3次産業と連携するなどさまざま。

63

六次産業化・地産地消法の概要(6次産業化関係)

○ 農林水産大臣は、農林漁業経営の改善を図るために農林漁業者等が行う総合化事業について、計画の認定を行い、各種法律の特例の対象とすることにより支援。

○ このほか、補助金や農林漁業成長産業化ファンドによる出資等を措置し、農林漁業者等に対する6次産業化プランナーの派遣や6次産業化ネットワーク活動交付金、農林漁業成長産業化ファンド等により、新商品開発や加工・販売施設等の整備等を支援。

・ 総合化事業計画を策定して国の認定を受け、総合化事業を実施

・ 農林漁業者等以外の者(促進事業者)による取組を総合化事業計画に位置付けることも可

・ 総合化事業計画を認定し、各種の支援を実施

農林漁業者及びその組織する団体

総合化事業計画の認定の申請

総合化事業計画の認定

農林水産大臣

○ 各種法律の特例措置 ・ 農業改良資金融通法等の特例 (償還期限及び据置期間の延長等) ・ 野菜生産出荷安定法の特例

(指定野菜のリレー出荷による契約販売に対する交付金の交付) 等

○ 6次産業化ネットワーク活動交付金 ・ 新商品開発、販路開拓等に対する補助

・ 新たな加工・販売等へ取り組む場合に必要な施設設備に対する補助

○ 6次産業化プランナーの派遣 ・ 中央・都道府県段階に6次産業化プランナーを配置し、6次産業化に取り組む農林漁業者等に対して新商品の販路開拓や加工技術の習得等に関するアドバイスを実施

○ 農林漁業成長産業化ファンド ・ 農林漁業者等が主体となって、流通・加工業者等と連携して取り組む6次産業化の事業活動に対し、出資等を実施

<主な支援策>

64

6次産業化の取組の進展

○ 農林漁業の6次産業化の取組は着実に進展しており、平成27年8月12日現在で、六次産業化・地産地消法 に基づく総合化事業計画の認定は2,100件を超え、その売上げも増加。 ○ 農林漁業成長産業化ファンドの活用件数も着実に増加。平成27年8月12日現在で65件の案件が組成され、 計画ベースで約1,200名の雇用見込み。

○ 総合化事業計画の認定件数と内訳 ○ 総合化事業計画認定事業者の売上高の伸び

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

50%

概ね1年 497

50百万円

注:平成26年度の認定事業者に対するフォローアップ調査から集計(調査時点:平成26年3月)。

概ね2年 546

69百万円

概ね3年 269

70百万円

119%

128%

143% (対計画認定時点比)

120%

140%

100%

130%

110%

(件)

平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成27年度 平成27年度 (平成27年8月12日現在)

709

1,321

1,811

2,061 2,105

農畜産物関係 1,853

林産物関係 93

水産物関係 159

法人1,444

個人526

その他135

平均事業期間 事業者数

平均売上げ

65

地域の食文化と結びついた 新品種の開発・導入と商品開発

○ 東海地域における品種切替の状況

(岐阜県)平成29年産までには「農林61号」を「さとのそら」へ全量切替する計画。

(愛知県)「イワイノダイチ」及び「農林61号」から「きぬあかり」、「ゆめあかり」に切替する計画。

(平成30年産までに「農林61号」を、平成31年産までには「イワイノダイチ」を全量切替する計画)。

(三重県)「農林61号」から「さとのそら」に切替完了(平成26年産から)。

資料:農林水産省調べ

(ha)

○ 東海地域の小麦の品種別作付動向 愛知県において生産拡大が見込まれる品種

生地を強くするグルテン遺伝子を4種類持ち、アミロース含量がやや尐ないため、コシがありなめらかな麺ができる。

シンボルマークを商標登録し、「きぬあかり」を使用した商品の包装等に活用

きぬあかり Facebook ページより 66

農林水産業・食品産業におけるロボット革命の実現

○ ロボット技術など革新的技術の導入により生産性の飛躍的な向上を実現することが必要。 ○ ロボット新戦略に基づき、ロボット技術の研究開発及び生産現場における実証を推進するとともに、安全確保

策のルールづくり等を進める。

ロボット新戦略 (平成27年2月日本経済再生本部決定)

・GPS自動走行システム等を活用した作業の自動化

・人手に頼っている重労働の機械化・自動化

・ロボットと高度なセンシング技術の連動による省力・高品質生産

重点的に取り組むべき分野 (農林水産業・食品産業関係)

・2018年までに、ほ場内での農機の自動走行システムを市販化

・2020年までに遠隔監視で無人シス

テムを実現できるよう、制度整備等を行う

研究開発・導入実証

導入促進に向けた基盤づくり

作業ピーク時の夜間作業や複数台同時走行を実現するGPS自動走行システム

中山間地で除草や水管理などの作業を軽労化するロボット

農林水産業・食品産業におけるロボット革命

収穫適期の果実を見分けて収穫する葉菜類・果菜類収穫ロボット

漁獲物の水揚げや林地での作業等を軽労化する アシストスーツ

森林内を自動走行し、伐採した丸太を運搬するロボット

ドローン等小型無人機を活用した農薬等の散布

未来投資に向けた官民対話 における安倍内閣総理大臣の発言 (平成28年3月4日)

・安全性確保のルールづくり等、ロボットの導入促進に向けた基盤づくりを推進

・地域の競争力強化に向け、ロボット等先進技術を生産現場に導入し革新的な技術体系を実証

・生産性の限界を打破する次世代の先導的なロボットの開発

67

愛知県は、施設園芸において、スマホなどを用いて簡易に施設内の環境(温度、湿度、二酸化炭素濃度など)をモニタリングできるシステム「あぐりログ」を開発。 施設内にいなくても、いつでも施設内の温度等を知ることが可能。さらに、施設内に異常が発生した際にメールで知らせる警告メール機能、他ユーザーの環境情報を閲覧できるグループ機能など栽培管理に役立つ機能を搭載。

生産現場におけるICTの活用事例

資料:愛知県農業総合試験場 68

トヨタ自動車は、米生産農業法人向けの農業IT管理ツール「豊作計画」を開発し、愛知県等の大規模農家に提供。自動車事業で培った生産管理手法や工程改善のノウハウを農業分野に応用。 「豊作計画」は、農家や地主ごとに広範囲に分かれて存在する水田を集約的に管理し、効率的な農作業を支援。作業工数・ミスの低減や資材費削減、経営管理レベルの向上などに大きな成果。

生産現場におけるICTの活用事例

資料:2014年4月4日付けトヨタ自動車(株)のプレスリリースより作成 69

農村地域の関連所得の増大

生産コストの縮減

○農地集積の加速化

○資材費等の縮減

○技術開発

○基盤整備 等

6次産業化等の推進による雇用・所得の増大

○農業者主体の加工・直売の取組の推進

○食品企業等の誘致・起業による就業機会の確保

○介護食品や機能性食品の開発等新たな市場

の開拓

○太陽光、小水力などの再生可能エネルギーの

導入やバイオマスの利活用

○農家民宿の開業などによる都市と農村交流の

促進 等

農業所得の増大 生産額(価格(P)×生産量(Q))-生産コスト(C)

生産額の増大

○需要拡大の推進

○米国・EUなど大きな

市場も重視した輸出拡大

○需要を踏まえた耕作

放棄地や水田の一層の

活用 等

農業・農村の所得増大に向けて

東海管内の動き

71

大規模農家への農地の集積の進展

20ha以上への集積割合

農業経営体の農産物販売金額 <東海3県(岐阜、愛知、三重)>

73

東海3県の農業経営体による農産物販売金額は4,579億円

農業経営体数の3%に当たる3,000万円以上の経営体が、販売金額の6割を占める

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

農業経営体 販売金額

50万円 未満

50~100

100~200

200~500

500~1,000

3,000万円 以上

3% 1,000~3,000

60%

(%)

農産物販売金額3,000万円以上の農業経営体数

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

北海道

愛知

茨城

熊本

鹿児島

長野

宮崎

群馬

千葉

栃木

福岡

岩手

静岡

新潟

宮城

佐賀

青森

埼玉

山形

岐阜

長崎

秋田

大分

福島

三重

兵庫

広島

高知

岡山

富山

(経営

⑳ ㉕ ㉚

愛知県 1,745経営

岐阜県 479経営 三重県

350経営

農政改革の推進について

74

農政改革の進捗状況

○ 25年12月に決定された「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、産業政策と地域政策を車の両輪とする農政改革を進めてきたところ。

○ 新たな国際環境の下でも、生産者の持つ可能性と潜在力をいかんなく発揮できる環境を整えることで、次の世代に対しても日本の豊かな食や美しく活力ある地域を引き渡していく。

地域政策:美しく活力ある農山漁村の実現

多面的機能 の維持・発揮

林業の成長産業化 ・ 水産日本の復活

「農林水産業・地域の活力創造プラン」(H25.12決定、H26.6改訂)

産業政策:農林水産業の成長産業化

生産現場 の強化

『攻めの農林水産業への転換』 成長産業化に取り組む生産者が

その力を最大限発揮

『検討の継続』 夢と希望の持てる農政新時代を創造

『経営安定・安定供給のための構え』 生産者の不安を払拭

~農政新時代~ 生産者の持つ可能性をいかんなく発揮できる環境整備

日本の豊かな食や美しく活力ある地域を次世代へと継承

「強くて豊かな農林水産業」と

「美しく活力ある農山漁村」を実現

「食料・農業・農村基本計画」(H27.3改訂)

TPP大筋合意

H27.10

「総合的なTPP関連政策大綱」(H27.11決定)

バリューチェーン の構築

米政策の見直し

経営所得安定対策の見直し

日本型直接支払制度の創設

人口減少社会における 農山漁村の活性化

農協・農委等の改革の推進

農地中間管理機構の創設

需要フロンティア の拡大

食の安全と消費者の 信頼の確保

6次産業化の推進

新たな国内ニーズへの対応

FBI戦略による輸出拡大

ICTを活用した スマート農業の推進

75

76