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平成18年7月 平成18年 情報通信に関する現状報告 特集 「ユビキタスエコノミー」 <概要>

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平成18年7月

総 務 省

平成18年 情報通信に関する現状報告

特集 「ユビキタスエコノミー」

<概要>

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<全体構成>第1章 特集「ユビキタスエコノミー」

第1節 情報通信市場の動向

第2章 情報通信産業の現況 (情報通信産業の現状を示すデータを掲載)

第3章 情報通信政策の動向 (総務省の取組を中心に記述)

第2節 ユビキタスネットワークの普及促進第3節 通信・放送の融合・連携の動向第4節 ユビキタスネットワークによる新しい潮流第5節 消費者発信型メディアの台頭第6節 消費購買行動の変化

第7節 企業の新しい広告戦略第8節 市場効率性の向上第9節 コンテンツ流通の新しい動き第10節 ネットワークによる金融取引の進展第11節 労働経済への影響第12節 企業ネットワークの深化

ユビキタスネット社会実現に向けた経済パフォーマンス

ユビキタスネットワークによる社会経済への影響

~主に利用者の観点~

ユビキタスネットワークによる社会経済への影響

~主に企業や市場の観点~

○ 我が国は、人口減少、少子高齢化をはじめとする社会経済環境の変化に伴い、様々な社会生活・経済活動上の問題に直面する。

○ そのため、ユビキタスネットワークの進展が、我が国の社会経済システムを変革し、経済活力を創生するメカニズムについて検討する。

○ 我が国は、人口減少、少子高齢化をはじめとする社会経済環境の変化に伴い、様々な社会生活・経済活動上の問題に直面する。

○ そのため、ユビキタスネットワークの進展が、我が国の社会経済システムを変革し、経済活力を創生するメカニズムについて検討する。

特集テーマ「ユビキタスエコノミー」

1 目 的

※「ユビキタスネットワーク」;いつでも、どこでも、ネットワーク、端末、コンテンツ等を自在に安心して利用できる情報通信ネットワークであり、利用者の生活領域にまで広く浸透することに特色。

第13節 ユビキタスネット社会実現に向けた課題 ユビキタスネット社会における「影」の部分への対応

※ 「ユビキタスエコノミー」;ユビキタスネットワークの進展により生じる社会経済の特質

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(1)ユビキタスネット社会実現に向けた経済パフォーマンス(マクロレベル)

○情報通信産業は、情報通信製造業を中心に次第に回復力を強めており、また、実質GDPの変化に対する寄与度は高い。

○他方、各産業の情報通信資本ストックの深化は進んでいるが、生産性の向上はいまだ顕在化していない。

→ ユビキタスネットワークの進展による影響は、まずは次のミクロレベルの社会経済活動で顕在化し、その後マクロレベルに波及するものと考えられる。

(1)ユビキタスネット社会実現に向けた経済パフォーマンス(1)ユビキタスネット社会実現に向けた経済パフォーマンス(マクロレベル)(マクロレベル)

○情報通信産業は、情報通信製造業を中心に次第に回復力を強めており、また、実質GDPの変化に対する寄与度は高い。○情報通信産業は、情報通信製造業を中心に次第に回復力を強めており、また、実質GDPの変化に対する寄与度は高い。

○他方、各産業の情報通信資本ストックの深化は進んでいるが、生産性の向上はいまだ顕在化していない。○他方、各産業の情報通信資本ストックの深化は進んでいるが、生産性の向上はいまだ顕在化していない。

→→ ユビキタスネットワークの進展による影響は、まずは次のミクロレベルの社会経済活動で顕在化し、その後マクロレベルユビキタスネットワークの進展による影響は、まずは次のミクロレベルの社会経済活動で顕在化し、その後マクロレベル

に波及するものと考えられる。に波及するものと考えられる。

(2)ユビキタスネットワークによる社会経済活動への影響(ミクロレベル)

①多様な情報流通社会の実現

通信・放送融合の進展により、利用者ニーズの拡大等が期待される。また、Web2.0等の新潮流により、ロングテール現象(小規模で多様な需要が取引として実現すること)等が生じたり、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等の消費者発信型メディアの台頭により、多様な知識、意見等の社会への提供、還元が促進される。

②情報ミスマッチの解消

インターネット広告、ポータルサイト、検索エンジン等の進展により、情報供給者と情報需要者のミスマッチが解消され、利用者の満足の向上、企業の競争力強化、市場の効率化等が図られる。

③社会の生産性、人的資本力の向上

オープンソース化に見られるように、ネットワーク化の進展は、知識の集積や知識に基づく協働(コラボレーション)を容易にし、社会全体の生産力を向上させる可能性がある。また、企業ICT化の進展に伴い、独創性や希少価値を生み出すスペシャリストに対する労働需要が高まる。

(2)ユビキタスネットワークによる社会経済活動への影響(2)ユビキタスネットワークによる社会経済活動への影響(ミクロレベル)(ミクロレベル)

①多様な情報流通社会の実現①多様な情報流通社会の実現

通信・放送融合の進展により、利用者ニーズの拡大等が期待される。また、Web2通信・放送融合の進展により、利用者ニーズの拡大等が期待される。また、Web2..0等の新潮流により、ロング0等の新潮流により、ロング

テール現象(小規模で多様な需要が取引として実現すること)等が生じたり、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーテール現象(小規模で多様な需要が取引として実現すること)等が生じたり、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等の消費者発信型メディアの台頭により、多様な知識、意見等の社会への提供、還元が促進される。キングサービス)等の消費者発信型メディアの台頭により、多様な知識、意見等の社会への提供、還元が促進される。

②情報ミスマッチの解消②情報ミスマッチの解消

インターネット広告、ポータルサイト、検索エンジン等の進展により、情報供給者と情報需要者のミスマッチが解消さインターネット広告、ポータルサイト、検索エンジン等の進展により、情報供給者と情報需要者のミスマッチが解消さ

れ、利用者の満足の向上、企業の競争力強化、市場の効率化等が図られる。れ、利用者の満足の向上、企業の競争力強化、市場の効率化等が図られる。

③社会の生産性、人的資本力の向上③社会の生産性、人的資本力の向上

オープンソース化に見られるように、ネットワーク化の進展は、知識の集積や知識に基づく協働(コラボレーション)オープンソース化に見られるように、ネットワーク化の進展は、知識の集積や知識に基づく協働(コラボレーション)

を容易にし、社会全体の生産力を向上させる可能性がある。また、企業ICT化の進展に伴い、独創性や希少価値を生を容易にし、社会全体の生産力を向上させる可能性がある。また、企業ICT化の進展に伴い、独創性や希少価値を生み出すスペシャリストに対する労働需要が高まる。み出すスペシャリストに対する労働需要が高まる。

2 ポイント

『『ユビキタスエコノミーユビキタスエコノミー』』

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ICTによる技術革新ICTによる技術革新

社会経済システムの変革

○多様な情報流通社会の実現○情報ミスマッチの解消○社会の生産性、人的資本

力の向上

社会経済システムの変革

○多様な情報流通社会の実現○情報ミスマッチの解消○社会の生産性、人的資本

力の向上

利活用の進展・浸透

利活用の進展・浸透

ユビキタスネットワークユビキタスネットワーク

ブロードバンド

ブロードバンド

モバイル

モバイル

電子タグ

電子タグ

センサーネット

ワーク

センサーネット

ワーク

個人個人

企業企業

ロングテール

ロングテール

消費者発信型

メディア

消費者発信型

メディア

オープンソース化

オープンソース化

ユビキタスエコノミー

情報通信産業情報通信産業

経済パフォーマンス経済パフォーマンス

(ユビキタスネットワークの進展により生じる社会経済の特質)

ユビキタスエコノミー 検討の視点

【参考】

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「デジタルエコノミー」から「ユビキタスエコノミー」へ

【参考】

ユビキタスネットワークの進展= 一般利用者の生活領域まで

ネットワークが広く浸透

※1998年の米国商務省の報告書「THE EMERGING DIGITAL ECONOMY」にて用いられた。

デジタルエコノミー ユビキタスエコノミー

例:・ブログ、SNS等消費者発信型メディアによる自由活発な情報発信

・携帯電話によるオークションへの出品・ブロードバンドによる映像コンテンツ配信・Web2.0環境下のB2C電子商取引

★主に企業、産業分野でICT化が進み、従来型サービスの効率化が進展

★利用者はICTの利便性を受動的に享受

⇒ライフスタイルは本質的に不変

例:・銀行の別を問わないATM端末からの現金引き落とし

・個人のプロフィールを瞬時にデータベースから引き出して対応するコールセンター

・従来型のB2C電子商取引

★幅広い一般利用者の生活領域においてもICT化が進展

★利用者は能動的に新しいICTの利便性を享受⇒ライフスタイルが本質的に変化

企業

利用者

企業

企業

企業

〔企業、産業分野〕

利用者利

用者

利用者利

用者

利用者利

用者利

用者

利用者利

用者

従来型サービスの効率化

企業

企業

企業

企業

〔社会経済全体〕

・多様な情報流通・市場の効率化・社会の生産性向上

ライフスタイルの変化を起点とした社会経済構造への波及・新しい市場や雇用の創出・従来の市場の縮小や変容・企業行動、企業組織の変化 等

・新しいインターネットサービスの充実:Web2.0による新しい潮流等

・モバイル化の進展:携帯電話の普及・高機能化等

・ブロードバンドネットワークの浸透・ユビキタスツール(電子タグ等)の普及

など

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79.0

7.618.7 23.6

213.4

133.6

34.3

95.0

0

50

100

150

200

250

2002 2003 2004 2005 (年)

非接触型ICカード バイオメトリクス関連

(億円)

895.4

4,227.75,600.6

8,532.3

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

2002 2003 2004 2005 (年)

(万枚)

1 情報通信市場の動向

(1)情報通信産業の動向

図1 情報通信産業の活動指数の推移

<ポイント>

○2004年後半から2005年半ばにかけて、情報通信産業は、情報通信サービス業が上昇する一方、世界的なICT関連

財の在庫調整の影響により情報通信製造業が減少し、全体の回復が一時的に緩和した。〔図1①〕

○2005年半ば以降、半導体等の情報通信製造業の回復を反映し、情報通信産業全体は再び回復している。〔図1②〕

○半導体生産の拡大の背景には、電子タグ、非接触型ICカード等のユビキタス関連財の出荷増がある。〔図2~3〕

経済産業省「全産業活動指数」、「鉱工業指数」及び「第3次産業活動指数」により作成

-4

-2

0

2

4

6

8

10

12

2003

年1月

2003

年4月

2003

年7月

2003

年10

月20

04年

1月20

04年

4月20

04年

7月20

04年

10月

2005

年1月

2005

年4月

2005

年7月

2005

年10

月20

06年

1月

情報通信製造業 情報通信サービス業 ICT関連産業活動指数

(%) (前年同月比) ① ②

図2 電子タグの出荷枚数の推移

図3 非接触型ICカード及びバイオメトリクス関連の出荷金額の推移

(社)日本自動認識システム協会資料により作成

(社)日本自動認識システム協会資料により作成

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<ポイント>

○情報通信が経済成長に与える効果として、次の3効果に分類。

第1効果;情報通信産業が成長することによる効果

第2効果;情報通信資本ストックが深化することによる効果(情報通信関連の投資の増大による効果)

第3効果;産業、企業のICT化の進展(情報通信資本ストックの深化)により、各産業の生産性が向上す

ることによる効果

○各々の効果は以下のようになっている。

【第1効果】情報通信産業の実質GDP成長に対する寄与率は40.0%で、経済成長に与える影響は大きい。〔図4〕

(第2効果及び第3効果については次ページ)

1 情報通信市場の動向

(2)情報通信が経済成長に与える影響(その1)

図4 実質GDP変化に対する情報通信産業の寄与度

(出典)「ICTの経済分析に関する調査」

1.0 0.70.3 0.3 0.5

0.90.4

0.7 1.0

0.90.8

-1.9

-0.7

1.6

-0.9

0.3

1.31.5

1.91.5

-1.6

-0.4

2.1

0.0 0.7

2.0

2.5

-2.0

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

情報通信産業 その他の産業 全産業

(%)

(年) 0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

民間情報資本ストック 民間資本ストックにしめる情報通信資本比率

(2000年価格、10億円) (%)

図5 (実質)情報通信資本ストックの推移

(出典)「ICTの経済分析に関する調査」

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1.26

1.11

0.52

-0.05

-0.04

3.66

2.87

0.42

0.13

0.04

-0.46

-0.79

-3.38

-0.40

0.31

-0.12

-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

情報通信産業

電気機械

(除情報通信機器)

卸売

小売

建設(除電気通信施設建設)

輸送機械

運輸

鉄鋼

1995年~2000年 2000年~2004年

(%)

<ポイント>

【第2効果】情報通信資本ストックの経済成長に対する寄与率は18.5%で、情報通信資本ストックが民間資本ストッ

クに占める割合が2~3%であることを考えると、経済成長に与える影響は大きい。〔前ページ図5、図6〕

【第3効果】1990年代半ば以降、情報通信資本ストックの深化が進んでいるものの、各産業の生産性(TFP)を見

ると、情報通信産業と電気機械を除いて、必ずしも生産性の向上は顕在化していない。 〔図7〕

→ ミクロレベルの分析では、企業のICT化は組織改革等を伴うことで生産性向上につながることを確認。

〔21ページ図43〕

1 情報通信市場の動向

(2)情報通信が経済成長に与える影響(その2)

図7 産業別全要素生産性上昇率

(出典)「ICTの経済分析に関する調査」

0.54

-0.44 -0.31 -0.34

1.46

0.21 0.54 0.21

2.41

0.85 0.73

0.38

-0.21

0.94 0.540.89

1.150.97

4.79

1.51

-1

0

1

2

3

4

5

6

1985-1990 1990-1995 1995-2000 2000-2004(年)

労  働 情報通信資本 一般資本 TFP 経済成長率

(%)

図6 経済成長率への情報通信資本の寄与度

(出典)「ICTの経済分析に関する調査」

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2 ユビキタスネットワークの普及促進

(1)モバイル化の進展

<ポイント>

○インターネット利用者数は2005年末で8,529万人に達した。個人のインターネット利用端末については、携帯電話

等の移動端末利用者が前年から18.8%増の6,923万人となり、パソコン利用者を初めて逆転するなど、モバイル

化が更に進展している。〔図8~9〕

○携帯電話端末、デジタルオーディオプレーヤー、PDA等の携帯型情報通信端末は、音楽再生機能や電子マネー

機能への期待が高く、高機能化が進展している。〔図10〕

39.4

20.2

30.5 27.7 29.722.4

6.26.28.5

20.913.6

25.4

87.2

6.07.47.8

42.7

26.8

34.4

69.8

36.9

26.1

0

20

40

60

80

100

カメラ

機能

アプ

リ機

能(ゲ

ーム

等)

二次

元バ

ーコ

ード

リーダ

ー機

動画

ファ

イル

再生

機能

音楽

プレ

イヤ

ー機

能TV

電話

機能

GPS/ナ

ビゲ

ーシ

ョン機

PCサ

イトビ

ュー

ワー

機能

TV放

送受

信機

おサ

イフ

ケー

タイ

機能

FMラ

ジオ

放送

受信

機能

利用している機能 今後利用意向のある機能

(%)

(出典)「ユビキタス財利用状況調査」

図9 各インターネット利用端末の推移

図10 携帯電話・PHSの利用している機能と今後利用意向のある機能

図8 インターネット利用端末の種類(世帯構成員)

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

3,723

4,8905,722

6,164

138 307 364 339 127 163

6,4166,601

6,923

5,825

2,439 2,5044,4842,794

0

2,000

4,000

6,000

8,000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年末)

(万人)

パソコン 携帯電話・PHS及び携帯情報端末 ゲーム機・TV等

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

パソコンのみ

1,585 万人 【18.6%】

携帯電話・PHS及び

携帯情報端末のみ

1,921 万人 【22.5%】

ゲーム機・TV等のみ

1 万人 【0.0%】

ゲーム機・TV等

163 万人 【1.9%】

パソコン

6,601 万人 【77.4%】

携帯電話・PHS及び

携帯情報端末

6,923 万人 【81.2%】

合計 8,529 万人

パソコン、携帯電話・PHS及び

携帯情報端末併用

4,862 万人 【57.0%】 20 万人

【0.2%】 133 万人

【1.6%】

7 万人

【0.1%】

※【 】内は、6歳以上のインターネット利用者総数に占める割合

また、利用者数は四捨五入を行っているため、内訳の和は合計又は小計に必ずしも一致しない

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2 ユビキタスネットワークの普及促進

(2)モバイルコンテンツ産業、情報通信機器市場の現状

<ポイント>

○モバイル化の進展は、モバイルコンテンツ産業の拡大にも現れており、2005年に7,224億円(対前年比39.0%増)

に達し、うち、モバイルコンテンツ市場は3,150億円(同21.0%増)、モバイルコマース市場は4,074億円(同

57.1%増)となっている。〔図11〕

○我が国の情報通信機器のグローバル市場におけるマーケット・シェア(2005年)は、カーナビゲーション72.4%、

デジタルカメラ70.4%、DVDレコーダー62.6%と映像関係機器で高いものの、ネットワークの運用、管理等の

機能を有する機器では、サーバー7.8%、ルーター2.5%、スイッチ2.5%と低くなっている。 〔図12〕

1,793 2,1332,603

3,150

1,193

1,709

2,593

4,074

2,986

3,842

7,224

5,196

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

2002 2003 2004 2005

モバイルコンテンツ市場 モバイルコマース市場

(年)

(億円)

図11 モバイルコンテンツ産業の市場規模

62.6

46.8

43.9

28.8

15.4

70.4

72.4

10.2

4.2

7.8

2.5

2.5

37.4

53.2

56.1

71.2

84.6

29.6

27.6

89.8

95.8

92.2

97.5

97.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

DVDレコーダー

プラ ズマテレビ

液晶テレビ

ブラ ウン管テレビ

携帯電話機

デジタルカ メラ

カ ーナビゲーショ ン

ノートパソコン

デスクトップパソコン

サーバー

ルーター

スイ ッチ

日本 海外合計

図12 我が国の世界の情報通信機器におけるマーケット・シェア

総務省「モバイルコンテンツ産業構造実態に関する調査研究報告書」により作成

サーバー、ルーター及びスイッチ以外は、富士キメラ総研資料、サーバー、ルーター及びスイッチは、ガートナー データクエスト(2006年2月(サーバー)、4月(ルーター)、2月(スイッチ))により作成

※ サーバー、ルーター及びスイッチ以外は生産台数ベースサーバー、ルーター及びスイッチは出荷金額ベース

※ ルーターの日本のシェアは、全体の上位10位までに含まれる日本企業の合計※ ルーターは企業向けルーターを対象

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3 通信・放送の融合・連携の動向

<ポイント>○通信・放送産業は、2004年度の市場規模が約20兆円であるが、通信・放送融合・連携の加速化により、新規参入や事

業者間競争が進展し、我が国の経済成長に貢献するリーディング産業として成長することが期待される。〔図13〕

○通信・放送融合・連携の加速化は、国民、産業を含むあらゆる領域にIP化等の技術革新のメリットを浸透させるとともに、我が国の文化等に関する世界に向けた情報発信力(ソフトパワー)の強化に貢献する。

○現在、通信・放送連携による多様なサービス(トリプルプレイ、ワンセグ等)が提供されている。〔図14〕

○2006年1月に設立された「通信・放送の在り方に関する懇談会」(座長:松原聡東洋大学教授)においては、「ブロードバンド、モバイル、テレビ大国」の実現を目指し、融合法制の整備、通信関連規制の見直し、放送の規制の緩和、NHK改革等について、総合的な検討を行った。

図13 通信・放送産業の市場規模(売上高)の推移

「通信産業基本調査」により作成

図14 トリプルプレイサービスの現況

(出典)「通信・放送の在り方に関する懇談会」資料

10

14.816.3 17.6

19.116.2 16.1 14.6

3.43.5

3.73.8

3.7 3.84.0

0

5

10

15

20

25

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

電気通信 放送事業

(兆円)

(年度)

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4 ユビキタスネットワークによる新しい潮流

(1)Web2.0による新しい潮流

図15 Web2.0の概要

○ユビキタスネットワークの進展による利用者のすそ野拡大に対応した新しいコンセプト「Web2.0」が脚光。

○Web2.0は、ウェブをプラットフォームとして、「利用者参加」と「オープン志向」により、多様な知識の集積と様々な協働(コラボレーション)を実現。 〔図15〕

→ 典型例として、不特定多数の利用者により共同制作されるフリーの百科事典「ウィキペディア」がある。〔図16〕

11

インターネットの潜在的能力を有効に活用することによって、従来(Web1.0)とは異なる新しいウェブの世界を構築する概念

→ウェブをプラットホーム(共通基盤)化することで、ソフト・ハード等の区別による制約を排除し、多様な知識の集結、多様な形態の協働を実現

基本コンセプト

①利用者参加: 消費者発信型メディアによる情報発信ex. ブログ、SNS、オンライン百科事典(Wikipedia)

②オープン志向: 蓄積された情報(データベース)及び情報技術等の公開ex. グーグル、アマゾン等のデータベース及びAPI(自社システムへのアクセス方法等)の公開

特色

Web2.0の特色を活用し、

多様で小規模な商品需要(ロングテール)の市場化ex.アマゾンの書籍販売〈全体の売上の約1/3が、一般の書店では販売困難な書籍〉

グーグルの広告商品〈多数の消費者発信型メディア(ブログ等)を広告対象〉

ロングテール現象

図16 ウィキペディアの概要

インターネット

ウィキペディア

○○は・・・△△という意味もある

○○は・・・△△という意味もある

○○とは・・・××という意味である△△という意味もある

○○とは・・・××という意味である△△という意味もある

追加・修正

追加・修正を反映

ウィキペディア(Wikipedia)インターネット上の不特定多数の利用者によって共同制作されるフリーの百科事典

★誰でも随時、項目の追加や内容の追記・修正を行うことが可能

★一つの項目について多くの人が関わることで、絶えず改善・成長

★無料でありながら、既存の辞書にはない幅広い情報をカバー

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4 ユビキタスネットワークによる新しい潮流

(2)ロングテール現象

○Web2.0の環境下では、多様で小規模な需要が集積し、市場として成立する。(ロングテール現象)〔図17〕典型例はアマゾンの書籍販売で、通常の書店で在庫を保有することが困難な需要の少ない書籍の売上が全体の3分の1を占める。

→ アマゾンの書籍販売は以前から行われているサービスであるが、カスタマーレビューで多くの利用者による評価を需要の掘り起こしに利用している点や、自社のデータベースや自社のシステムへのアクセス方法を示すAPIを公開してサービスの改善や拡大を図っている点等で、Web2.0のコンセプトを利用した事業展開を目指している。

○オリコンチャート上位曲の売上枚数が生産枚数に占める割合は年々低下傾向にあり、多様化が進展している。〔図18〕 このことは、今後Web2.0が進展する中で、コンテンツ配信サービスにおいてロングテールのビジネスモデルが成立しやすいことを示唆している。

図17 ロングテール現象

12

45.1%

50.6%

40.8% 39.1% 38.4% 38.0%

44.5%41.7%

35.1%

29.3% 27.6%

69.4%72.5%

62.4%59.2% 57.8% 57.3%

65.1% 64.5%59.4%

48.9%46.4%

20%

40%

60%

80%

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

上位100位まで 上位500位まで

図18 オリコンチャート上位100位及び500位の累計売上枚数シェアの推移

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4 ユビキタスネットワークによる新しい潮流

(3)オープン化の流れとコラボレーションの進展

<ポイント>

○昨今、ネットワークのグローバル化やあらゆる領域への普及に伴い、社会に分散する様々な知識を集積し、協働

(コラボレーション)を行う場としてOSS(オープンソースソフトウェア)が進展している。〔図19〕

○他方、利用面については、ソフトウェアの一般的な性質として、ネットワーク効果(注1)やロックイン効果(注2)が

働きやすく、一社による市場占有率が高まる傾向がある。〔図20〕

○なお、我が国のソフトウェア分野は、売上高が8兆3,000億円、輸入は輸出の約10倍の約3,600億円であり、業界構造

は、元請、下請、孫請等の多層構造で形成されているという特色がある。〔図21〕

93 93 92

2,5512,963 2,901

3,646

320

0

1,000

2,000

3,000

4,000

2001 2002 2003 2004(年)

(億円)輸出 輸入

図21 ソフトウェア輸出入の推移

図20 世界におけるOSの市場占有率(2005年)

Perl、Python、Ruby、Tcl/Tkスクリプト言語

Mozilla(ブラウザ)StarOffice/OpenOffice.org(オフィススイート)GIMP(グラフィックス・エディタ)

デスクトップ・ソフトウェア

GNOME、KDEデスクトップ統合環境

MySQL、PostgreSQLデータベース

Apache(WWWサーバー)BIND(DNSサーバー)Sendmail(メール・サーバー)Zope(アプリケーションサーバー)Samba(ファイル共有サーバー)

インターネットサーバー

Linux、FreeBSD、Darwinオペレーティングシステム

オープンソース・ソフトウェアの例分類

図19 システム別のOSSの例

(社)電子情報技術産業協会、(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会、(社)情報サービス産業協会「2005年コンピュータソフトウェア分野における海外取引および外国人就労等に関する実態調査」により作成

ソフトウェア情報センター「オープンソース・ソフトウェアの現状と今後の課題について」により作成

13

(注1)ネットワーク効果:ある財やサービスから得られる個人の効用が、それを利用する者の人数に依存すること。他の典型例はFAX等。

(注2)ロックイン効果:長期間継続して、同じ財やサービスを利用することで、乗り換え費用が高まり、容易に他の財やサービスに乗り換えることができなくなること。他の典型例はキーボード等。

その他32.4%

B社(英国)67.6%

その他4.1%

A社(米国)95.9%

【パソコンOS】 【高機能携帯電話OS】

Gartner Dataquest資料により作成※出荷台数ベース

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5 消費者発信型メディアの台頭

<ポイント>

○ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等が台頭し、消費者は、専門的な知識がなくても自由

活発に情報発信することが可能になった。〔図22〕

○消費者発信型メディアによって形成されるコミュニティの影響力(消費者の意見、評価等の影響力)が高まり、

消費者主権の流れが後押しされている。〔図23〕

ex) 口コミサイト、カリスマ消費者

○ブログ、SNS等を通じて、企業を含む様々な主体が積極的に情報を発信することにより、多様な知識、意見等

の社会への提供・還元が促進される。〔図24〕

図22 ブログ・SNSの登録者数の推移

(出典)「ブログ及びSNSの登録者数」

8.7%

6.1%

6.0%

2.8%

1.7%

2.1%

3.2%

3.2%

3.0%

2.1%

3.0%

2.5%

0% 5% 10% 15%

広報など企業イ メージの向上

社内のコミュニケーショ ン、ナレッジマネジメント

販売促進

顧客の囲い込み

顧客満足、商品の評判の調査

新製品の開発

自社で開設 自社以外のものを利用

11.9%

9.3%

9.0%

4.9%

4.7%

4.6%

図24 企業のブログ・SNS利用状況

14(出典)「企業のICTネットワーク利用状況調査」

335

473

868

111

399

716

-

200

400

600

800

1,000

2005年3月 2005年9月 2006年3月

ブログ SNS(万人)

24.12

27.45

57.97

56.08

17.91

16.47

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

信用できる発信者の発言だけを参考にする

企業やマスコミの公式情報と照らし合わせて確認する

重要視している やや重要視している 重要視していない

図23 信頼できるネット上の口コミ情報を得るためにしていること(2005年3月)

(出典)gooリサーチ「口コミについてのアンケート」

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6 消費購買行動の変化

図26 情報収集の活用手段

<ポイント>

○ユビキタスネットワークの進展は、消費者を含む各主体の情報検索コスト(サーチコスト)を低下させる。〔図25〕

○6割以上の消費者が、商品購入前の情報収集においてインターネットを利用している。消費者はインターネットの利

用により各店舗の比較が容易となることで、情報ミスマッチの解消が進み、高い満足を獲得できる。〔図26~27〕

図27 価格満足度と店舗比較件数の関係(平均からの差分)

15

-0.075-0.066

0.057

0.095

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

1件 2件 3-5件 5件以上

店舗比較件数(店頭+オンライン)

価格

に対

する

満足

度(出典)「ICTと購買行動調査」

図25 単位情報量当たりの支出(情報コスト)の推移

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7 企業の新しい広告戦略

図28 企業活動別のインターネットの活用状況

<ポイント>

○多くの企業は、消費者との直接的な接点として、広告活動にインターネットを活用している。〔図28〕

ex) インターネット広告、ポータルサイト、検索エンジン

○個別の好みをより的確に把握可能なインターネット広告が急速に成長している。〔図29〕

; 2004年にラジオ広告を上回る。

○インターネット広告、ポータルサイト、検索エンジン等を活用した企業の効果的なマーケティングにより、情報

供給者と情報需要者のミスマッチの解消が図られ、利用者の満足の向上や企業の競争力強化が期待される。

図29 インターネット広告費の推移

86.4

83.6

73.6

48.5

36.6

29.5

29.0

22.8

5.8

6.7

7.7

14.5

13.6

11.0

14.3

16.8

8.0

14.9

15.4

12.3

18.4

18.0

5.9

6.7

8.4

19.3

28.0

43.2

31.9

35.4

6.5

3.9

7.0

1.5

2.3

0.4

0.7

2.3

2.8

6.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

自社の会社概要・IR情報の掲載・告知

自社の製品・サービス情報の掲載・告知

自社の人材募集(求人・採用)

自社の顧客サポート(問合せ・カスタマーサービス対応)

他企業からの調達(企業向けの電子商取引調達)

一般消費者への販売(消費者向けの電子商取引販売)

他企業への販売(企業向けの電子商取引販売)

製品評価・顧客ニーズ収集のためのコミュニティ運営

インターネットを活用している インターネットの活用を検討している インターネットを活用する予定はない

そのような企業活動は行っていない 分からない

電通資料により作成

16 60 114241

590735

845

1,183

2,808

1,81457,715

59,961

57,71156,996

61,10260,580

59,625

58,571

56,84157,032

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005(年)

50,000

52,000

54,000

56,000

58,000

60,000

62,000

インターネット広告費 総広告費

(億円) (億円)

16(出典)「企業のICTネットワーク利用状況調査」

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8 市場効率性の向上

図32 ネットショッピングでの購入品目

<ポイント>

○ネットワークによる取引(電子商取引)は、地理的制約のある供給者と消費者を直接結びつけ、情報ミスマッチ

による不確実性を減少させるとともに、多様な商品の生産や取引を可能とするなど市場効率性の向上に貢献。

; 価格比較サイトやポータルサイトを利用しているネットショップは、実店舗より低い価格を設定しており、市場メ

カニズムが円滑に機能していることを示唆している。〔図30〕

; B2C電子商取引(一般消費者向けの電子商取引)の市場規模 5兆6,430億円(2004年)

○ネットワーク化の進展により、消費者間の直接取引(ネットオークション)が活発化している。〔図31〕

○B2C電子商取引は、「ロングテール現象」が見られる「書籍・CD・DVD」で最も多い。〔図32〕

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

図31 ネットオークションの利用状況

31.1%

68.9%

ネットオークション利用者

ネットオークション未利用者

11.8

17.6

1.7

0 5 10 15 20

出品・落札利用者

落札のみ利用者

出品のみ利用者

(%)

(出典)「消費者のICTネットワーク利用状況調査」

17

図30 ネットショップと実店舗の価格の違い

11,989

6,418

11,562

7,284

3,729

-2,042

-4,000

0

4,000

8,000

12,000

A社製

ノートPC

B社製

ノートPC

C社製

ノートPC

A社製

デスクトップPC

B社製

デスクトップPC

C社製

デスクトップPC

(円)

※実店舗の平均価格からネットショップの平均価格を引いた価格

40.4

38.1

33.7

26.3

25.3

21.9

21.5

14.9

11.4

13.8

20.7

27.7

18.2

3.4

8.5

8.2

8.3

4.2

0 10 20 30 40 50

書籍・CD・DVD

趣味関連品・雑貨

衣料品・アクセサリー類

各種チケット・クーポン・商品券

パソコン関連

食料品

旅行関係

金融取引

その他

パソコン 携帯電話等

(%)

(出典)「ICTと購買行動調査」

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9 コンテンツ配信を巡る新しい動き

図33 コンテンツ市場の現状

<ポイント>

○コンテンツ市場全体はほぼ横ばいに推移している一方、インターネットを通じたコンテンツ流通(通信系ソフト)

の割合は増加している。〔図33~34〕

○携帯型デジタルオーディオプレーヤー(iPod等)の普及や携帯電話端末への配信開始等により急速に成長する

音楽配信サービス市場では、「視聴」や「価格」に加えて「品揃えの豊富さ」が重視されており、ロングテール部

分の市場化が市場の成長を支えていることを示唆している。〔図35〕

図35 有料音楽配信サービス利用時の重視点

0

2

4

6

8

10

12

2000年 2002年 2003年 2004年

兆円

1.7兆円

(15.1%)

0.3兆円

(2.7%)

10.9兆円 10.8兆円

1.9兆円

(17.6%)

0.4兆円

(3.7%)

通信系

ソフト

デジタル系

ソフト

メディア・ソフト

市場

10.9兆円

2.1兆円

(19.6%)

0.5兆円(4.9%)

2.3兆円

(21.1%)

0.7兆円(6.2%)

11.1兆円

(出典)総務省情報通信政策研究所「メディア・ソフトの制作及び流通の実態調査」(出典)「ユビキタス財利用状況調査」

18

図34 通信ネットワークによる流通状況

15.117.6

19.6 21.1

2.7 3.7 4.9 6.2

0

10

20

2000 2001 2003 2004 (年)

(%)

デジタル系ソフト 通信系ソフト

8.8

6.9

6.7

4.5

1.9

0.3

24.2

20.3

26.6

25.0

14.8

13.3

12.5

12.5

15.6

10.0

11.0

9.3

13.6

17.2

17.4

17.6

18.1

0.0

1.6

5.5

6.3

7.0

0 10 20 30

視聴が充実していること

最新の曲が充実していること

楽曲の単価が安いこと

幅広いジャンルの曲があること

無料ダウンロードできる曲が充実していること

アーティストや楽曲の検索機能が使いやすいこと

マイナーな曲が充実していること

ダウンロードした楽曲が自由にコピーできること

昔の曲、懐かしい曲が充実していること

アーティスト情報が充実していること

アーティストや楽曲の紹介が充実していること

ランキング情報が充実していること

独自の視点でのアーティストや楽曲の紹介があること

その他

(%)

全体 30代

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2.8% 5.5%

31.9%

17.3%

20.8%

21.7%

500円未満 1,000円未満 3,000円未満

5,000円未満 10,000円未満 10,000円以上

10 ネットワークによる金融取引の進展

図36 電子マネーの利用額(1ヶ月当たり)

<ポイント>

○ユビキタスツール(非接触型ICカード等)やネットワークの特性を活かした金融サービスとして、電子マネー、

ネットバンキング、ネットトレード等が急速に普及している。〔図36~37〕

○決済手段の一つとしてプリペイド型電子マネーが普及し、利用者は低コストで利便性の高い金融サービスを身近で

利用することが可能になった。また、ネットトレード、ネットバンキング等のネットワーク金融取引は男性・若年

層を中心に利用が進展している。〔図38〕

49.8%

86.7%

76.3%

62.6%

50.0%

39.8%

55.5%

61.9%

48.6%

47.6%

33.3%

28.7%

9.0%

10.5%

19.0%

24.3%

36.9%

34.6%

20.7%

31.2%

27.6%

38.8%

12.8%

6.3%

8.6%

15.3%

11.4%

15.6%

23.3%

8.8%

12.2%

17.1%

8.1%

16.1%

8.8%

9.2%

1.4%

5.3%

2.7%

1.4%

4.6%

7.9%

7.3%

3.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

20代男性

30代男性

40代男性

50代男性

60代男性

20代女性

30代女性

40代女性

50代女性

60代女性

インターネット経由での利用 各機関の窓口・外交員の利用

電話の利用 その他の手段の利用

図38 有価証券の取引手段

19

図37 主なインターネット専業銀行の預金残高及び口座数

83

144

199

266

10,583

7,201

3,943

1,936

0

50

100

150

200

250

300

2002年3月 2003年3月 2004年3月 2005年3月

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

預金残高(右軸) 口座数(左軸)

(億円)(万口座)

各社IR資料により作成

※ジャパンネット銀行、ソニー銀行、イーバンク銀行、セブン銀行(旧アイワイバンク銀行)の4行

(出典)「消費者のICTネットワーク利用状況調査」(出典)「消費者のICTネットワーク利用状況調査」

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52.0

20.4

10.1

7.3

6.7

3.9

2.5

46.5

0 20 40 60

定型的業務の効率性(生産性)の向上

勤務者の移動時間の短縮

顧客満足度の向上

付加価値創造業務の創造性の向上

勤務者にゆとりと健康的な生活の実現

オフィスコストの削減

優秀な人材の雇用確保

通勤弱者への対応

(%)

11 労働経済への影響

図40 テレワークの導入目的

<ポイント>

○労働市場におけるネットワークの活用は、求人・求職情報の流通コストを低下させ、摩擦的失業の減少、失業期

間の短縮化、離職率の低下等に寄与することが期待される。〔図39〕

○テレワークは、柔軟な就業環境の提供と多様な人材の供給を可能とするもので、定型業務の効率性の向上による

生産性の向上が期待される。〔図40〕

○企業のICT化の進展により、雇用者に対する情報通信リテラシーの要求水準が高まるとともに、特に役職者を

中心に「情報を活用する能力」が求められ、非定型的な労働需要(独創性や希少価値を生み出すスペシャリスト

に対する需要)が増大する傾向がある。〔図41〕

25

50

75情報関連機器を使いこなす能力

ソフトウェア・アプリケーション等を使いこなす能力

情報を収集する能力

収集した情報を整理・分析する能力整理・分析したものを基に新たな企画

を生み出す能力

プレゼンテーション能力

収集した情報に基づく迅速な判断力

一般社員クラス 部長クラス

(%)

:情報を活用する能力

図41 情報化によって重要となる能力(役職別)

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

20

(出典)「勤労者のICT利用状況調査」

13.6

17.7

11.1

10.9

11.7

10.3

13.8

20.4

10.5

10.7

11.5

13.9

16.1

26.0

22.8

25.7

23.4

26.0

21.0

26.3

32.2

24.8

15.7

10.5

13.9

14.7

15.1

14.3

13.4

9.4

13.3

13.9

13.047.7

38.0

46.1

47.2

43.9

49.9

44.6

49.9

47.3

51.6

55.9

3.1

5.1

3.8

2.0

2.9

2.0

3.0

1.6

1.7

4.1

0.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企業イメージの向上・投資家向け情報提供の強化

人材募集(求人・採用)

新規顧客の獲得

顧客満足度向上

新規取引先の開拓・既存取引先との関係強化

製品・サービスの品質向上・高付加価値化

ビジネスの地理的範囲の拡大

コスト削減・業務効率化・業務スピードアップ

売上高・事業収入の増加

新規ビジネスの展開

市場/技術動向・顧客ニーズの把握、商品開発力強化

十分に効果があった ある程度は効果があった あまり効果はなかった

まったく効果はなかった 効果はわからない

計69.5

計69.3

計58.4

計60.8

計56.3

計60.2

計57.7

計67.6

計56.6

計48.7

計59.2

13.6

17.7

11.1

10.9

11.7

10.3

13.8

20.4

10.5

10.7

11.5

13.9

16.1

26.0

22.8

25.7

23.4

26.0

21.0

26.3

32.2

24.8

15.7

10.5

13.9

14.7

15.1

14.3

13.4

9.4

13.3

13.9

13.047.7

38.0

46.1

47.2

43.9

49.9

44.6

49.9

47.3

51.6

55.9

3.1

5.1

3.8

2.0

2.9

2.0

3.0

1.6

1.7

4.1

0.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企業イメージの向上・投資家向け情報提供の強化

人材募集(求人・採用)

新規顧客の獲得

顧客満足度向上

新規取引先の開拓・既存取引先との関係強化

製品・サービスの品質向上・高付加価値化

ビジネスの地理的範囲の拡大

コスト削減・業務効率化・業務スピードアップ

売上高・事業収入の増加

新規ビジネスの展開

市場/技術動向・顧客ニーズの把握、商品開発力強化

十分に効果があった ある程度は効果があった あまり効果はなかった

まったく効果はなかった 効果はわからない

計69.5

計69.3

計58.4

計60.8

計56.3

計60.2

計57.7

計67.6

計56.6

計48.7

計59.2

図39 企業におけるインターネット利用の効果

(出典)「企業のICTネットワーク利用状況調査」

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12 企業ネットワークの深化

(1)企業のICT化と生産性

図43 企業のユビキタス化・組織改革と生産性

<ポイント>

○ユビキタスツールの導入状況は、現時点では先進企業による導入が中心となっている。〔図42〕

○企業のICT化は、組織改革等(※)を伴うことで、生産性の向上につながる。〔図43〕

→ 今後、情報通信産業と電気機械以外の各産業についても、生産性(TFP)の向上が波及し、マクロレベルでの効率性

の向上が顕在化する可能性を示唆。 〔7ページ図7〕

(※)いわゆる「インタンジブル・アセット」(目に見えない資産)

図42 企業のユビキタスツール導入状況

3.0 7.9

14.7

14.8

79.1

71.2

0.2

2.6

3.4

3.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

電子タグ

非接触型ICカード

全社的に導入している 一部の事業所又は部門で導入している

導入していないが、今後導入する予定がある 導入していないし、今後導入する予定もない

無回答

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

21

(出典)「企業のICTネットワーク利用状況調査」

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12 企業ネットワークの深化

(2)ソフトウェアの開発・利用

<ポイント>

○企業の情報システムに関するソフトウェアは、業務内容に差異が生じやすい業務(例:物流)や自社の中核に位置

づけられる事業(例:運輸・卸小売業における調達・仕入れ等)でオーダーメイドの割合が高い。〔図44~45〕

○開発コスト削減のための海外アウトソーシング(オフショアリング)が進展している。その相手先としては、ソフ

トウェア産業の成長が著しく、地理的近接性、言語・文化面の共通性が高い中国が約63%(2004年)と最もシェア

が高く、また、中国のソフトウェア輸出先としては、日本が約59%(2005年)と最もシェアが高い。〔図46~47〕

22

図44 情報システムにおけるソフトウェア利用の状況

図45 業種別情報システムの構築方法(オーダーメイドの割合)

図46 中国ソフトウェア産業の売上高の推移

図47 中国のソフトウェア輸出先の主な内訳(2005年)

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21.7

20.6

7

1.2

1.1

0.2

0.1

45.3

28.1

22.6

11.7

1.3

1.8

0.3

0.1

35.3

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

ウィルスを発見又は感染

迷惑メールを受信

ウィルスに1度以上感染

個人情報の不正利用、漏えい

不正アクセス

ウェブ(BBS等)上での誹謗中傷

その他(著作権の侵害等)

特に被害はない

2005年調査 2004年調査

(%)

13 ユビキタスネット社会実現に向けた課題

<ポイント>

○ユビキタスネットワークが進展する一方、いわゆる「影」の部分の問題として、情報セキュリティとデジタル・ディバ

イドがある。

○情報セキュリティについては、ウィルス感染等が社会問題化しており、それを反映して、個人・企業ともに対策が急務

となっている。〔図48〕 また、企業の個人情報保護対策は、個人情報保護法の施行等に対応し、特に大企業で進展。

○デジタル・ディバイドについては、属性別インターネット利用格差は、全体として縮小傾向にあるが、世代間等で依然顕著である。〔図49〕 また、地域間のブロードバンドの提供状況には、依然格差が存在する。〔図50〕

図49 年齢別インターネット利用状況

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

23

図48 個人のセキュリティ被害状況

(出典)「平成17年通信利用動向調査」

49.0

27.3

6.9

93 .9 90 .6

75 .3

5 5 .2

42 .0

19 .3

7 .2

90.7

62.8

92.3 90.584.8

65.8

15.4

92 .89 5 .0

65 .9

0

20

40

60

80

100

6-12歳 13-19歳 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-64歳 65-69歳 70-79歳 80歳以上

(%)

2004年末 2005年末

図50 人口規模別ブロードバンドサービス提供状況

67.6

76.0

84.6

78.2

69.7

61.8

28.3

24.0

15.4

21.8

30.2

29.5 8.7

4.1

0.1

0.0

0.0

0.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

全市町村

30万人超

10万人以上30万人未満

5万人以上10万人未満

1万人以上5万人未満

1万人未満

すべての地域で加入可能 一部の地域で加入不可能 すべての地域で加入不可能(%)

(光ファイバ、ADSL、ケーブルインターネット等 )

11.0

36.0

36.1

29.1

10.3

4.5

27.1

64.0

63.9

67.5

35.5

7.8

61.9

54.2

87.7

3.4

0.0

0.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

全市町村

30万人超

10万人以上30万人未満

5万人以上10万人未満

1万人以上5万人未満

1万人未満

すべての地域で加入可能 一部の地域で加入不可能 すべての地域で加入不可能

(%)

<ブロードバンドの整備状況>

<光ファイバの整備状況>

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24

平成18年版 情報通信白書より抜粋

1 u-Japan政策の推進と社会経済システムの変革

我が国は、人口減少、少子高齢化をはじめとする社会経済環境の変化に伴い、様々な社会生活・経済活動上の問題に直面することが予想されている。このような状況に対処し、克服していくためには、既存のプロセスの合理化、効率化にとどまらず、社会経済システム全体が多様性、創造性、生産性、信頼性の高いものへ変革していくことが要請される。

「2005年までに世界最先端のIT国家となる」という目標を掲げたe-Japan戦略が2001年1月にスタートして以降、インフラ整備等が順調に進展し、世界最先端というべき水準の低廉かつ高速なブロードバンド環境が実現した。また、2003年7月にはe-Japan戦略の見直しが行われ、利活用促進に重点をシフトし、ユビキタスネットワークの形成が新しい社会基盤整備の目標像として位置づけられた。こうした状況を受け、総務省では、2004年12月に、2010年を目途に「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながり、情報の自在なやりとりを行うことのできるユビキタスネット社会(u-Japan)の実現を目指すu-Japan政策の取りまとめを行った。ここでは、これまでのキャッチアップ型の目標を脱し、情報通信技術による先行的社会システム改革の推進等、情報通信技術におけるフロントランナーとして世界を先導していくことを目標として掲げた。その後、2006年1月には、「いつでも、どこでも、誰でも情報通信技術の恩恵を実感できる社会の実現」を目指し、情報通信技術の構造改革力を追求するIT新改革戦略が、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)において決定された。

ユビキタスネットワークは、人々がネットワークの存在を意識することなく、いつでも、どこでも、ネットワーク、端末、コンテンツ等を自在に安心して利用できる情報通信ネットワークであり、その特徴として、接続性の飛躍的向上、すなわち、人と人、人とモノ、モノとモノのコミュニケーションが至る所で可能となり、また、固定と移動の融合等、シームレスで自在なコミュニケーションの実現が挙げられる。ユビキタスネットワークが本格的に普及したユビキタスネット社会では、情報通信技術が社会経済活動すべての側面の隅々にまで及ぶことから、分散する社会構成要素がネットワークを通じて統合される可能性を有する。ユビキタスネットワークの深化が、社会経済のあらゆる局面で知識・技術の集積を進展させ、既存の社会経済システムの変革や、経済活力の源泉である技術進歩を加速させることに寄与することが期待されるのである。

総論 ユビキタスエコノミー

【参考】

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25

平成18年版 情報通信白書より抜粋

2 ユビキタスネットワーク進展により生じる社会経済の特質

従来、情報通信技術は主として企業等で利用され、利用者はその利便性を受動的に享受する立場であることが多かった。これが企業等の外側、すなわち一般利用者の生活領域にまで広く浸透することが、ユビキタスネットワーク進展の意味するところと考えることができる。携帯電話端末の高機能化、電子タグの普及、コンテンツのブロードバンド配信、ブログ・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等の消費者発信型メディアの台頭等がその象徴である。

従来、企業等での情報通信技術の利用は、経理処理から発注、在庫管理、そして顧客管理と拡大してきた。これらは企業等の効率性を向上させるとともに、利用者の利便性を上昇させた。例えば、銀行の別を問わないATM端末からの現金引き出しや、利用者からの電話問い合わせに対して、瞬時に利用者のプロフィールをデータベースから引き出して受けこたえするコールセンター等がその実例である。しかし、この場合、企業等が情報通信技術を能動的に使いこなすのであって、利用者は従来型の便益をより便利に享受する立場にある。個々の利用者から見る限り、このような変化は、従来からあったサービスが今より効率的に安価に実現されることであり、ライフスタイルの本質的な変化にまでは及ばない。

しかし、近年、情報通信技術の利用は、企業等だけではなく、一般利用者の生活領域にまで広く浸透している。例えば、携帯電話を使ったオークションへの出品、ブロードバンドによる映像コンテンツの視聴、ブログ・SNS等を利用した自由活発な情報発信による社会に対する一定の影響力の行使等は、これまでの利用形態の延長上にない新しいタイプの利用形態であり、ライフスタイルの変化を伴うものである。そして、このようなライフスタイルの変化から、新しい市場や雇用が生じる一方、旧来の市場は縮小、あるいは変容し、企業等はこれに対応しなければならない。ユビキタスネットワークの進展により生じる社会経済の特質を表すものとして、「ユビキタスエコノミー」という用語をあえて使う意義はこの点にある。

総論 ユビキタスエコノミー

【参考】

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26

平成18年版 情報通信白書より抜粋

3 ユビキタスエコノミーの検討の視点

本白書では、2010年のユビキタスネット社会(u-Japan)の実現に向けて、ユビキタスネットワークの進展により生じる社会経済の特質、すなわち「ユビキタスエコノミー」を特集テーマとする。そして、ユビキタスネットワークの進展により、企業から個人・世帯へ情報通信技術の利用が広がることで、新しく多様な情報通信技術の利用形態(通信・放送の融合・連携の進展、Web2.0等の新しい潮流、ブログ等の消費者発信型メディアの進展等)が生み出され、我が国の社会経済システムを変革し、経済活力を創生するメカニズムについて、次の(1)及び(2)の視点から検討を行う。

(1) ユビキタスネット社会実現に向けた経済パフォーマンス情報通信産業の現状を見れば、ICTバブル崩壊という景気後退を経験したものの、インターネットを活用

した新規ビジネスの登場等、情報通信分野の技術革新を起点とする「創造的破壊」のプロセスはいまだ健在であると考えられる。事実、情報通信産業の活動状況は、情報通信製造業の回復を反映して、次第に回復力を強めており、また実質GDP変化に対する影響を見ても、情報通信産業の寄与度は高く、良好な効果を及ぼしている。

他方、ユビキタスネットワークの進展により個人・世帯においても情報通信技術の利用が浸透しつつあるが、現在のところ、マクロレベルでは効率性の向上が顕著に現れるまでには至っていない。例えば、我が国における各産業の情報化投資と情報通信資本ストックの深化は進んでいるものの、各産業の生産性(TFP)を見ると、情報通信産業と電気機械を除いて、必ずしも生産性の向上が顕在化しているものではない。ユビキタスネットワークの進展による変化は、まずは、マクロレベルではなく、次に述べるミクロレベルの社会経済活動に現れる。

総論 ユビキタスエコノミー

【参考】

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27

平成18年版 情報通信白書より抜粋

(2) ユビキタスネットワークによる社会経済活動への影響ユビキタスネット社会では、企業・産業分野が中心だった1990年代と異なり、個人・世帯を含めた全ての

領域におけるICT化、ネットワーク化が進展する。それにより、企業と個人、あるいは供給者と消費者との間に今までになかった直接的な接点が生まれ、新たな相互関係が生じるとともに、社会の様々な主体に分散して存在する多様な知識が統合されるなど、各主体の社会経済活動や相互関係に大きな影響を与える可能性がある。

そのため、本白書では、次の3点から検討を行う。

①多様な情報流通社会の実現通信・放送の融合・連携の進展により、新たな市場開拓、利用者ニーズの拡大等が期待される。また、

Web2.0等の新しい潮流により、供給者と消費者のネットワーク取引においてロングテール現象(小規模で多様に存在する需要が取引として実現すること)等が生じ、ニッチ市場が開拓されるとともに、利用者の様々なニーズが充足される。さらに、ブログ、SNS等の消費者発信型メディアの台頭により、様々な主体が安価に情報発信を行うことが可能となり、多様な知識、意見等の社会への提供、還元等を促進する。

②情報ミスマッチの解消インターネットでのパーソナル広告、ポータルサイト、検索エンジン等による利用者の情報検索費用の低

下や、それらを活用した企業等の効果的なマーケティングの展開により、情報供給者と情報需要者のミスマッチの解消が図られ、利用者の満足の向上や企業の競争力強化、市場の効率化、取引のグローバル化等に貢献することが期待される。

③社会の生産性、人的資本力の向上オープンソース化の流れに見られるように、ネットワーク化の進展は、知識の集積やそれによる協働(コラ

ボレーション)を容易にし、社会全体の知識の生産力を大幅に向上させる可能性がある。また、労働市場においては、テレワーク等の柔軟な就労環境を通じて多様な労働供給が可能となること

が期待される。他方、企業は、企業ICT化の進展に伴い、競争優位の源泉として知識、人材等を重要視するとともに、独創性や希少価値を生み出すスペシャリストに対する需要を高める。このようなスペシャリスト化は、経営資源のコア業務への集中を促し、アウトソーシングを進展させる。

総論 ユビキタスエコノミー

【参考】

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28

平成18年版 情報通信白書より抜粋

4 本白書の構成

このような問題意識の下、本白書は、次の3章構成とする。

第1章では、特集テーマとして、ユビキタスエコノミーについて調査・分析を行い、報告を行う。まず第1節では、ユビキタスネット社会実現に向けた経済パフォーマンスとして、情報通信産業の動向について示したのち、情報化投資と情報通信資本ストックの深化がマクロ経済と産業の生産性へ与える影響について検討を行う。また、第2節から第6節までは、主に利用者の観点から、第7節から第12節までは、主に企業や市場の観点から、ユビキタスネットワークによる社会経済活動への影響について検討を行う。さらに、第13節では、ユビキタスネットワーク進展における「影」の部分の問題として、情報セキュリティとデジタル・ディバイドについて取り上げる。

第2章では、ユビキタスエコノミーを支える情報通信産業の現状等について調査・分析する。第3章では、情報通信政策の基本的動向について取りまとめを行う。

2010年に向けて実現を目指すユビキタスネット社会が我が国の社会経済の発展に大きく貢献するものとすることが重要であり、そのための様々な施策の展開に寄与することを本白書の目的とするものである。

総論 ユビキタスエコノミー

【参考】

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用語解説

29

ネットワーク上でサービスや情報を提供するコンピュータ。インターネットではウェブサーバ、DNSサーバ、メールサーバ等があり、ネットワークで発生する様々な業務を、内容に応じて分担し、集中的に処理する

サーバーさ

文字・画像・動画・音声・ゲーム等の情報全般、またはその情報内容のこと。電子媒体やネットワークを通じてやり取りされる情報を指して使われる場合が多い

コンテンツこ

ケーブルテレビ用のケーブルを用いて提供するインターネット接続サービス。これにより高速の常時接続サービスを提供

ケーブルインターネットけ

インターネット上で公開されている情報を、キーワード等を使って検索することができるシステム検索エンジンけ

主としてコスト削減を目的に、国外の企業へシステム開発やデータ入力等の業務を委託することオフショアリングお

一般には、ソフトウェアの設計図に該当するソースコードを、インターネット等を通じて無償で公開し、誰でも改良、再配布することができるようにしたソフトウェアを指す。厳密な定義はOSI(Open Source Initiative)という団体によって与えられている

オープンソースソフトウェア(OSS)お

インターネット等を通じて、ソフトウェアの設計図であるソースコードを無償で公開し、誰でもソフトウェアの改良や再配布を行なえるようにすること。また、そのようなソフトウェアのこと

オープンソースお

インターネットを使った広告。ウェブサイトに広告主のサイトへのリンクを設定した画像を掲載するバナー広告や、メールマガジンに広告主のウェブサイトの宣伝を掲載するメール広告等がある

インターネット広告い

Total Factor Productivityの略。全要素生産性。経済成長を論じる手法の一つであり、技術進歩による経済生産増への寄与度としてよく使われる

TFPT

Social Networking Service(Site)の略。インターネット上で友人を紹介しあって、個人間の交流を支援するサービス(サイト)。誰でも参加できるものと、友人からの紹介がないと参加できないものがある

SNSS

Personal Digital Assistantsの略。パソコンの持つ幾つかの機能を備えている個人向けの携帯情報端末PDAP

Fiber To The Homeの略。各家庭まで光ファイバケーブルを敷設することにより、数10~最大100Mbps程度の超高速インターネットアクセスが可能

FTTHF

Digital Subscriber Lineの略。デジタル加入者回線。電話用のメタリックケーブルにモデム等を設置することにより、高速のデジタルデータ伝送を可能とする方式の総称

DSLD

Business to Consumerの略。一般にインターネット等を活用した企業-消費者間商取引のこと。電子商取引を分類するときに、B2B(企業間商取引)とB2Cに分けることが多い

B2CB

Application Program Interfaceの略。OSやミドルウェア向けのソフトウェアを開発する際に使用できる命令や関数。また、それらを利用するためのプログラム上の仕様やインターフェイス

APIA

用語解説用語索引

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用語解説

30

携帯電話等の移動通信機器向けに配信される地上デジタル放送。地上デジタル放送では、一つのチャンネルが13のセグメントに分割されており、そのうちの1セグメントを用いることからワンセグと呼ばれる

ワンセグわ

異なるネットワーク同士を相互接続するネットワーク機器。ネットワークを流れてきたデータについて、宛先アドレスから通信経路を選択し、他のネットワークへ中継を行うもの。この経路を制御することをルーティングという

ルーターる

本来、「識字力=文字を読み書きする能力」を意味するが、「情報リテラシー」や「ITリテラシー」のように、その分野における知識、教養、能力を意味することに使われている場合もある

リテラシーり

インターネットへの入り口となる巨大なウェブサイト。検索エンジンやリンク集を核として、ユーザーがインターネット上で必要とする機能を総合的に提供している

ポータルサイトほ

政府機関、企業、団体等の内部のコンピュータ・ネットワークに外部から正規の手続を経ずに不正に侵入する行為

不正アクセスふ

情報通信技術を利用するための基盤となるハードウェア、ソフトウェア等プラットフォームふ

Weblog(ウェブログ)の略。ホームページよりも簡単に個人のページを作成し、公開できる。個人的な日記や個人のニュースサイト等が作成・公開されている

ブログふ

アンテナが内蔵され、外部の読み取り装置が発信する弱い電波を利用してデータを送受信するICカード。読み取り装置に近づけるだけで高速なデータ処理が可能。動作原理は電子タグと同様

非接触型ICカードひ

指紋、顔、声紋、網膜、署名等の生物個体が持つ特性により人物を認識する技術。暗証番号やパスワード等に比べ、なりすまししにくい認証方式である

バイオメトリクスは

電話(音声)・通信(データ)・放送(映像)という三つの通信機能を一つの回線で提供するサービス形態のこと

トリプルプレイと

メモリカードや不揮発メモリ、小型ハードディスク等を内蔵した、小型の携帯音楽プレイヤー。圧縮されたデジタル音楽データの記録・再生等ができる

デジタルオーディオプレーヤーて

インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者の間に生じる格差デジタル・ディバイドて

ICチップとアンテナで構成され、電波を用いてICチップに格納された識別データや履歴情報等の読み取りが可能であり、書き込みが可能なものもある

電子タグて

インターネット上の電子商取引等で利用される、貨幣価値を電子化したものの総称電子マネーて

資産関連設備すべてを金額に換算した数値資本ストックし

用語解説用語索引