みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · )...

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みずほ日本経済情報 20193月号 トピック 働き方改革の効果と課題 働き方改革への対応として、多くの企業は労働時間の削減 を先行して進めている。今後は改革を通じた生産性の向上 と、その恩恵をいかに従業員に還元していくかが重要。 景気判断 景気は弱含んでいる 海外経済の弱含みにより、輸出が減少している。これを受 けて、鉱工業生産が弱含んでいる。 みずほ日本経済情報は 3 月号が最終となります。長年のご購読ありがとうございました。 4 月以降はみずほ経済・金融マンスリーに各国経済及び金融市場の動向を掲載し、当社ホー ムページに掲載致します。今後とも宜しくお願い致します。

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みずほ日本経済情報

2019年3月号

◆ トピック

働き方改革の効果と課題

働き方改革への対応として、多くの企業は労働時間の削減

を先行して進めている。今後は改革を通じた生産性の向上

と、その恩恵をいかに従業員に還元していくかが重要。

◆ 景気判断

景気は弱含んでいる

海外経済の弱含みにより、輸出が減少している。これを受

けて、鉱工業生産が弱含んでいる。

みずほ日本経済情報は 3 月号が最終となります。長年のご購読ありがとうございました。

4 月以降はみずほ経済・金融マンスリーに各国経済及び金融市場の動向を掲載し、当社ホー

ムページに掲載致します。今後とも宜しくお願い致します。

Page 2: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

1.総 括

日本経済の現状と先行

日本経済は弱含んでいる。海外経済の弱含みにより、輸出が減少している。

これを受けて、鉱工業生産が弱含んでいる。経済の活動水準は、潜在生産量

程度で推移している。

先行きの日本経済は、横ばいで推移するだろう。公的需要などの内需が下

支えとなるものの、海外経済の弱含みにより、輸出や鉱工業生産が当面、停

滞するとみられる。経済活動の水準は、潜在生産量程度で推移するだろう。

トピック

「働き方改革の効果と

課題」

2019年 4月、「働き方改革関連法」が施行される。労働時間の上限規制見直

しや年次有給休暇の取得義務化、高度プロフェッショナル制度の創設等が予

定されている。こうした働き方改革には 2 つの側面がある。ひとつは、多様

な働き方を実現することにより、働き手の生活の質や健康の向上を図るとい

う面。もうひとつは、雇い手の視点で、人手不足が深刻化するなかで必要な

人材を確保すると同時に、生産性を高めるという面だ。

現在、働き方改革に関連する企業の対応は、労働時間の削減や休暇取得の

促進が中心となっている(図表 1)。従業員向けのアンケート調査をみると、

働き方改革によるプラスの変化として、労働時間の減少や休暇取得のしやす

さが多く指摘されている(図表 2)。一方、生産性の向上については、上記 2

つに比べると変化の実感が乏しい模様である。さらにマイナスの変化では、

収入(残業代)の減少を挙げる従業員が多い。多くの企業は労働時間の削減

を先行して進めている様子であり、今後は働き方改革を通じた生産性の向上

と、その恩恵をいかに従業員に還元していくかが重要となる。

生産性向上への取り組みとしては、業務の見直しやITツールの利活用に

よる業務効率化の推進、学び直しの機会提供による働き手のスキルアップ、

多様性を土台としたイノベーションの創出等が挙げられるだろう。(風間春香)

図表 1 働き方改革の取り組み(事業所調査) 図表 2 働き方改革による変化(従業員調査)

(資料)厚生労働省「労働経済動向調査(2017年 11月)」 より、

みずほ総合研究所作成

(注)複数回答による回答割合。マイナスの変化は逆目盛りとなっている。

(資料)NTTデータ経営研究所(2018)「働き方改革 2018 テクノロジーの

活用と労働時間に対する意識」 より、みずほ総合研究所作成

4

5

7

11

23

28

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41

46

54

60

0 10 20 30 40 50 60 70

朝型勤務・「ゆう活」の実施

「テレワーク制度」の導入

「限定正社員」等の雇用形態の導入

その他の働き方改革の取組

「フレックスタイム」等の

柔軟な就業時間管理の導入

働き方・休み方に関する

労使の話合いの機会の設定

「働き方改革」に対する

経営トップのメッセージの発信

「ノー残業デー」の実施

育児・介護中の職員が

働きやすいような環境整備

休暇取得の促進

長時間労働削減のための

労働時間管理の強化

(%)

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

40

労働時間

休暇

気持ちの余裕

生産性

健康状態

プライベートとの両立

やらされ感

継続意向

ハラスメント

マネジメント

成長・昇進意欲

収入

その他

プラスの変化

マイナスの変化

プラ

スの

変化

マイ

ナス

の変

(%)

1 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 3: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

図表 3 景気判断

(注) 1.矢印の向きは景気の方向性を示している。上向きが拡大局面、横向きが横ばい局面、下向きが後退局面を意味する。

2. 矢印の色は生産の水準感を示している。白は潜在生産量を上回る、紺は潜在生産量を下回る、白紺の縦縞は潜在生産量

程度の生産量を意味する。

3. 先行き判断は、3 カ月程度先の動きに関する判断を示している。

(資料) みずほ総合研究所

図表 4 景気の全体観を示す主要統計

(注) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3 次産業は第 3 次産業活動指数の値。

2. 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。

3. 四半期の値は、季節調整済みデータが公表されている月までの平均値。前期比・前期差は、その前四半期に対する変化率。

(資料) 内閣府「景気動向指数」、「四半期別GDP速報」、経済産業省「全産業活動指数」、「鉱工業指数」、「第 3 次産業活動指数」

2月

(現状判断) (現状判断) (先行き判断)

経済活動の方向性 力強さに欠ける 弱含んでいる 横ばいで推移する

経済活動の水準 潜在生産量程度で推移している 潜在生産量程度で推移している 潜在生産量程度で推移する

海外経済 弱含んでいる 弱含んでいる 弱含む

輸出 弱含んでいる 減少している 横ばいで推移する

輸入 持ち直している 持ち直しが一服している 横ばいで推移する

生産・サービス活動 緩やかに持ち直している 持ち直しが一服している 横ばいで推移する

企業収益 力強さに欠ける 弱含んでいる 横ばいで推移する

企業マインド 弱含んでいる 弱含んでいる 横ばいで推移する

設備投資 底堅く推移している 力強さを欠いている 横ばいで推移する

雇用者所得 緩やかに回復している 緩やかに回復している 底堅く推移する

消費者マインド 弱含んでいる 悪化している 横ばいで推移する

個人消費 緩やかに回復している 緩やかに回復している 底堅く推移する

住宅着工 緩やかに持ち直している 減少している 緩やかな回復傾向で推移する

公的需要 減少している 減少している 緩やかに持ち直す

国内企業物価 プラス幅が縮小している プラス幅が拡大している 伸び率が低下する

消費者物価 プラス幅が一時的に拡大している プラス幅が一時的に拡大している プラス幅が緩やかな縮小傾向で推移する

金融政策 金融緩和を進めている 金融緩和を進めている 現行の政策を維持する

企業部門

家計部門

政府・物価

3月

総括

対外部門

FY2016 FY2017 2018Q3 2018Q4 2019Q1 2018/10 2018/11 2018/12 2019/01 2019/02

景気動向指数 CI 先行指数 前期差、Pt - - - - - ▲ 0.2 ▲ 0.6 ▲ 1.5 ▲ 1.3 n.a.

CI 一致指数 前期差、Pt - - - - - 2.6 ▲ 1.8 ▲ 1.3 ▲ 2.7 n.a.

CI 遅行指数 前期差、Pt - - - - - 0.0 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.1 n.a.

DI 先行指数 % - - - - - 27.3 36.4 18.2 11.1 n.a.

DI 一致指数 % - - - - - 83.3 61.1 50.0 14.3 n.a.

DI 遅行指数 % - - - - - 50.0 50.0 50.0 50.0 n.a.

全産業活動指数 全産業 前期比、% 0.6 1.7 ▲ 0.8 1.0 n.a. 2.2 ▲ 0.5 ▲ 0.4 n.a. n.a.

鉱工業 前期比、% 1.0 4.1 ▲ 1.3 1.9 ▲ 4.1 2.9 ▲ 1.0 ▲ 0.1 ▲ 3.7 n.a.

第3次産業 前期比、% 0.4 1.1 ▲ 0.5 1.0 0.0 2.2 ▲ 0.3 ▲ 0.5 0.4 n.a.

建設業 前期比、% 1.8 2.9 ▲ 2.4 ▲ 1.7 n.a. ▲ 1.4 1.1 ▲ 2.1 n.a. n.a.

国民経済計算 実質GDP 前期比、% 0.9 1.9 ▲ 0.6 0.5 n.a. - - - - -

前期比年率、% - - ▲ 2.4 1.9 n.a. - - - - -

民需 寄与度、%Pt ▲ 0.1 1.3 ▲ 0.4 0.7 n.a. - - - - -

公需 寄与度、%Pt 0.2 0.1 ▲ 0.1 0.1 n.a. - - - - -

外需 寄与度、%Pt 0.8 0.4 ▲ 0.1 ▲ 0.3 n.a. - - - - -

名目GDP 年率、兆円 536.8 547.4 547.5 549.7 n.a. - - - - -

前期比、% 0.7 2.0 ▲ 0.5 0.4 n.a. - - - - -

GDPデフレーター 前年比、% ▲ 0.2 0.1 ▲ 0.4 ▲ 0.3 n.a. - - - - -

内需デフレーター 前年比、% ▲ 0.5 0.7 0.6 0.5 n.a. - - - - -

2 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 4: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

2.対外部門

海外経済 海外経済は弱含んでいる。2018年 2月の製造業景況感指数は、米欧中全て

の国で低下した(図表 1)。これまで堅調だった米国の鉱工業生産も、1 月は

拡大が一服した。

今後の海外経済は引き続き弱含む見込みである。ユーロ圏経済は、域外受

注の減退により、減速するだろう。中国経済は、景気対策の効果が発現して

くるとみられる年央までは低調に推移しよう。米国経済は、個人消費を中心

に引き続き底堅く推移する見込みだ。なお、米中の貿易摩擦については、双

方で関税撤廃等について協議が進められているとの報道があり、今後の展開

には注視する必要がある。

輸出 (※)みずほ総研による季節調整値

輸出は減少している。1月の輸出数量指数(※)は前月比▲6.2%と急減し

た(図表 2)。この時期は、春節の影響による振れを考慮する必要があるもの

の、例年の同時期と比べても急激に低下しており、中国などの景気減速も影

響していると考えられる。財別でみても全ての財が低下した。1 月を 10~12

月期比でみると、▲7.5%と大幅なマイナスとなっている。

先行きは、横ばいで推移するだろう。2 月については、春節要因による 1

月の反動減から、持ち直す可能性はある。しかし、IT需要が停滞しているほ

か、産業用ロボット(図表 3)や工作機械の受注が中国向けを中心に急減して

いることなどから、資本財を中心に輸出の停滞は当面続く見込みだ。

インバウンド 訪日外客数は、緩やかに持ち直している。1月は、昨年よりも春節時期が前

倒しとなったことや中国人向けビザ緩和が開始されたことなどから、前年比

+7.5%と前月(同+4.4%)から伸びが加速した。当面の訪日外客数は中国

人向けの新たなビザ緩和開始などにより、緩やかな持ち直し傾向が続くだろ

う。なお、1月から施行された中国の電子商取引法による転売業者の商品大量

購入規制により、百貨店免税売上高は26カ月ぶりの前年比マイナスとなった。

輸入 (※)みずほ総研による季節調整値

輸入は持ち直しが一服している。1月の輸入数量指数(※)は、電気機器や

鉱物性燃料が押し下げ、前月比▲1.9%と 3か月連続で低下した。1月を 10~

12月期比でみると、▲2.7%と上昇基調に一服感が生じている。

先行きは、横ばいで推移するだろう。国内の生産活動が弱含んでいること

などから(図表 4)、輸入全体では横ばいとなる見込みである。

経常収支 経常収支(季節調整値)は黒字幅が緩やかな拡大傾向にある。1月の経常黒

字は、22兆円(年率換算値)と 3カ月連続で拡大した。第一次所得収支が 23.8

兆円と、2014 年 10 月(23.6 兆円)を超える過去最高額となり、全体を押し

上げた。

先行きは、第一次所得収支の大幅な黒字傾向を背景に、現状程度の黒字幅

で推移するとみている。貿易収支は輸入価格が下落する一方、輸出数量が弱

含むことで小幅な黒字が続くだろう。中国の電子商取引法の影響により、旅

行収支の受取額が低下するリスクには留意が必要だ。

3 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 5: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

図表 1 米欧中の景況感(製造業) 図表 2 輸出数量指数

(注) 指数が50超のとき業況拡大を示す。加重平均に用いた輸出額は後方

12カ月移動平均値。

(資料)米サプライマネジメント協会、Markit、国家統計局より、

みずほ総合研究所作成

(注)みずほ総合研究所による季節調整値。

(資料)財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成

図表 3 産業用ロボットの受注(外需) 図表 4 輸入数量と鉱工業生産

(注)黒線は3カ月移動平均。

(資料)内閣府「機械受注統計」より、みずほ総合研究所作成

(注)生産は月次、輸入は3カ月移動平均の値。

(資料)経済産業省「鉱工業生産指数」、財務省「貿易統計」より、

みずほ総合研究所作成

図表 5 対外部門の主要統計

(注) 1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。

2.四半期の値は、季節調整済みデータが公表されている月までの平均値・合計値。前期比は、その前四半期に対する変化率。

3.輸出数量及び輸入数量はみずほ総合研究所による季節調整値。

(資料) 財務省「貿易統計」、日本銀行「実質輸出入」、「国際収支統計」、「外国為替相場」、日本政府観光局「訪日外客数」、観光庁「訪日外国人

消費動向調査」、米サプライマネジメント協会、Markit、中国物流購買連合会、CPB Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis

46

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54

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60

62

16/03 16/09 17/03 17/09 18/03 18/09

米国製造業PMI

欧州製造業PMI

中国製造業PMI

輸出額加重平均

(年/月)

(指数)

80

90

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110

120

130

140

15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 19/1

世界 米国 EU 中国

(2015年=100)

(年/月)

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

09/01 11/01 13/01 15/01 17/01 19/01

(百万円)

(年/月)

90

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110

12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 17/01 18/01 19/01

生産 輸入

(2015=100)

(年/月)

補正値

FY2016 FY2017 2018Q3 2018Q4 2019Q1 2018/10 2018/11 2018/12 2019/01 2019/02

海外経済 CPB生産指数 前期比、% 2.2 3.7 0.4 0.1 n.a. 0.5 ▲ 0.3 ▲ 0.2 n.a. n.a.

米国 前期比、% ▲ 1.2 2.4 1.2 1.0 n.a. 0.3 0.3 0.4 n.a. n.a.

ユーロ圏 前期比、% 1.8 3.5 ▲ 0.0 ▲ 1.3 n.a. 0.3 ▲ 1.5 ▲ 0.7 n.a. n.a.

アジア 前期比、% 4.9 5.0 0.6 0.6 n.a. 0.8 0.2 ▲ 0.3 n.a. n.a.

製造業の業況

米国(ISM) DI - - - - - 57.5 58.8 54.3 56.6 54.2

ユーロ圏(PMI) DI - - - - - 52.0 51.8 51.4 50.5 49.3

中国(PMI)「国家統計局版」 DI - - - - - 50.2 50.0 49.4 49.5 49.2

実質実効為替レート 前年比、% 11.6 ▲ 5.9 0.8 2.7 n.a. 2.6 2.2 3.3 5.9 n.a.

輸出 輸出数量 前期比、% 2.4 4.5 ▲ 3.4 0.1 ▲ 7.5 5.1 ▲ 2.9 ▲ 0.6 ▲ 6.2 n.a.

米国向け 前期比、% ▲ 0.1 5.2 ▲ 2.7 3.4 1.9 3.5 ▲ 1.9 3.1 0.5 n.a.

欧州向け 前期比、% 4.8 1.7 ▲ 2.9 4.5 ▲ 2.9 7.2 ▲ 0.7 4.3 ▲ 5.3 n.a.

アジア向け 前期比、% 3.0 1.9 ▲ 1.3 ▲ 2.3 ▲ 7.6 2.4 ▲ 3.3 ▲ 2.6 ▲ 4.8 n.a.

 うち中国向け 前期比、% 7.6 11.0 ▲ 2.7 ▲ 2.7 ▲ 9.8 2.7 ▲ 1.6 ▲ 3.6 ▲ 7.1 n.a.

実質輸出 前期比、% 4.1 6.0 ▲ 1.9 1.3 ▲ 5.5 6.2 ▲ 3.0 1.1 ▲ 5.3 n.a.

インバウンド 訪日外客数 前年比、% 16.2 19.9 1.8 3.1 n.a. 1.8 3.1 4.4 7.5 n.a.

訪日外国人旅行消費額 前年比、% 2.3 19.8 ▲ 12.7 ▲ 0.5 n.a. - - - - -

輸入 輸入数量 前期比、% 0.1 4.8 ▲ 0.3 2.7 ▲ 2.7 5.8 ▲ 1.2 ▲ 0.7 ▲ 1.9 n.a.

実質輸入 前期比、% ▲ 0.2 4.3 1.3 3.5 ▲ 2.0 7.3 ▲ 2.2 ▲ 1.8 ▲ 0.1 n.a.

対外収支 経常収支 年率、兆円 21.0 21.8 18.2 17.5 22.0 16.3 16.7 19.6 22.0 n.a.

貿易・サービス収支 年率、兆円 4.4 4.1 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.4 ▲ 2.5 ▲ 2.4 2.6 ▲ 0.4 n.a.

第一次所得収支 年率、兆円 18.7 19.9 21.2 20.1 23.8 21.0 20.6 18.7 23.8 n.a.

4 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 6: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

3.企業部門

生産・サービス活動 生産・サービス活動は持ち直しが一服している。1月の鉱工業生産指数は前

月比▲3.7%と 3カ月連続で低下した(図表 1)。春節等の影響を考慮する必要

はあるものの、自動車工業や電気・情報通信機械工業、生産用機械工業など

12 業種でマイナスとなった。1 月の第 3 次産業活動指数は、前月低下してい

た生活娯楽関連サービスや卸売業が上昇し、前月比+0.4%と 3カ月ぶりプラ

スとなった。もっとも、1月を 10~12月期比でみると横ばいで、力強さに欠

ける。 先行きは横ばいで推移するだろう。サービス活動は、個人消費の底堅い推

移を受けて高水準で推移しよう。鉱工業生産は、中国向けを中心とした資本

財輸出の減少を受けて、これまで生産をけん引してきた汎用・生産用・業務

用機械工業の出荷在庫バランスが悪化しており、当面は弱含むだろう(図表 2)。

企業収益 企業収益は弱含んでいる。法人企業統計では、10~12月期の経常利益(金

融業・保険業除く、季節調整値)は前期比▲5.1%と 2四半期連続の減少とな

った。また、前年比ベースでみても、▲7.0%と 10四半期ぶりのマイナスと

なった。売上高は前年比プラスを維持したものの、人件費の上昇などコスト

増が収益を下押しした格好だ(図表 3)。

先行きは、横ばいで推移する見通しだ。個人消費など内需の持ち直しや原

油価格の下落が下支えする一方、海外経済の減速や人手不足に伴う人件費高

騰が重石となろう。

企業マインド

企業マインドは弱含んでいる。1~3月期の法人企業景気予測調査では、貴

社の景況感 BIS(季節調整値、大企業)は▲0.3%Pt(10~12 月期:+2.4%

Pt)と、海外経済の減速やIT需要の低迷を受けて製造業を中心に景況感が

悪化した。

先行きの企業マインドは横ばいで推移するだろう。景気ウォッチャーの先

行き判断DIは前月から▲0.5%Ptの悪化となっている。改元や大型連休に伴

う特需が期待される一方、人手不足に伴う人件費増や内外経済の先行き不透

明感が下押し要因となろう。加えて、米中摩擦の動向や、今後本格化する日

米交渉の動向にも留意が必要だ。

設備投資

設備投資は力強さを欠いている。1 月の資本財総供給は前月比▲9.3%と 3

カ月連続で低下した(図表 4)。建設財総供給も前月比▲3.9%と 2カ月連続の

マイナスとなった。

先行きの設備投資は横ばいで推移する見通しだ。1~3月期の法人企業景気

予測調査における設備投資計画(ソフトウェア含む、土地除く)は、前年比

▲6.2%と 1~3 月期調査としては例年並みの伸びとなっている。一方、先行

指標である機械受注(船舶、電力除く民需)をみると、1月は前月比▲5.4%

と 3 カ月連続で減少した。今後は、人手不足に伴う省人化・自動化投資など

が投資の下支えとなる一方、海外経済の減速などを背景に収益やマインドの

悪化から設備投資姿勢が慎重化するだろう。

5 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 7: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

図表 1 鉱工業生産、第 3次産業活動指数 図表 2 一般機械の出荷在庫バランス

(注)「鉱工業生産・サービス活動統合指数」は、経済産業省「全産業活動指数」のウエ

イトを用いて同「鉱工業生産」および「第3次産業活動指数」を統合して作成。

(資料) 経済産業省「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」より、みずほ総合研究所 作成

(注)一般機械は、汎用・業務用機械工業および生産用機械工業を統合。

(資料)経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成

図表 3 経常利益(金融・保険業除く全産業) 図表 4 設備投資関連指標

(資料)財務省「法人企業統計」より、みずほ総合研究所作成 (注)いずれも3カ月後方移動平均。機械受注は企業物価の資本財で実質化。

(資料)経済産業省「鉱工業総供給表」、内閣府「機械受注統計」、日本銀行「企業物

価指数」より、みずほ総合研究所作成

図表 5 企業部門の主要統計

(注) 1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。

2.四半期の値は、季節調整済みデータが公表されている月までの平均値。前期比・前期差は、その前四半期に対する変化率。

(資料) 経済産業省「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」、「鉱工業総供給表」、「特定サービス産業動態統計調査」、財務省「法人企業統計」、日本銀行「全国企業

短期経済観測調査」、内閣府「景気ウォッチャー調査」、「機械受注統計調査報告」、国土交通省「建築着工統計調査報告」、内閣府「法人企業景気予測調査」

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14/01 15/01 16/01 17/01 18/01 19/01

(2010年=100)

(年/月)

鉱工業生産(2010年=100)

鉱工業生産(2010年=100)

第3次産業活動指数

鉱工業生産・サービス活動統合指数

予測指数

生産計画

補正値

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 19/1

出荷

在庫 (逆符号)

出荷在庫バランス

(前年比、%)

(年)

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

40

50

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

15 16 17 18

(前年比、%)

(期)

(月)

販管費

営業外損益

売上総利益

経常利益

100

105

110

115

120

125

130

135

140

95

97

99

101

103

105

107

109

111

15/01 15/07 16/01 16/07 17/01 17/07 18/01 18/07 19/01

資本財総供給

建設財総供給

実質機械受注・民需(船舶・電力除く、右目盛)

(2015=100)

(年/月)

(2010=100)

FY2016 FY2017 2018Q3 2018Q4 2019Q1 2018/10 2018/11 2018/12 2019/01 2019/02

生産・サービス鉱工業生産指数 前期比、% 0.8 2.9 ▲ 1.3 1.9 ▲ 4.1 2.9 ▲ 1.0 ▲ 0.1 ▲ 3.7 n.a.

活動 鉱工業出荷指数 前期比、% 0.6 2.2 ▲ 1.9 1.8 ▲ 4.4 3.5 ▲ 1.2 0.0 ▲ 4.0 n.a.

鉱工業在庫指数 前期比、% ▲ 1.4 5.2 ▲ 0.7 0.1 ▲ 0.3 ▲ 1.3 0.1 1.7 ▲ 1.5 n.a.

出荷・在庫バランス %Pt 2.0 ▲ 3.0 ▲ 4.0 ▲ 0.9 n.a. 6.4 0.3 ▲ 5.0 ▲ 2.1 n.a.

製造工業設備稼働率指数 前期比、% ▲ 0.1 n.a. ▲ 1.7 3.8 n.a. 4.0 1.0 ▲ 1.9 n.a. n.a.

第3次産業活動指数 前期比、% 0.4 1.1 ▲ 0.5 1.0 ▲ 0.0 2.2 ▲ 0.3 ▲ 0.5 0.4 n.a.

収益 経常利益 前年比、% 10.0 6.9 2.2 ▲ 7.0 n.a. - - - - -

前期比、% - - ▲ 14.5 ▲ 5.1 n.a. - - - - -

製造業 前年比、% 9.8 17.0 ▲ 1.6 ▲ 10.6 n.a. - - - - -

非製造業 前年比、% 10.2 2.0 4.6 ▲ 4.9 n.a. - - - - -

マインド 大企業業況判断DI %Pt - - 21 21 n.a. - - - - -

製造業 %Pt - - 19 19 n.a. - - - - -

非製造業 %Pt - - 22 24 n.a. - - - - -

景気ウォッチャー調査DI %Pt - - - - - 48.6 49.5 46.8 45.6 47.5

設備投資 名目設備投資(ソフトウェア除く) 前期比、% 2.7 2.9 ▲ 4.4 3.3 n.a. - - - - -

製造業 前期比、% 4.0 1.0 ▲ 7.4 8.8 n.a. - - - - -

非製造業 前期比、% 2.1 4.0 ▲ 2.7 0.2 n.a. - - - - -

資本財出荷(除く輸送機械) 前期比、% 0.3 7.1 ▲ 1.5 2.0 ▲ 10.0 5.4 ▲ 3.9 ▲ 1.2 ▲ 8.0 n.a.

資本財総供給(除く輸送機械) 前期比、% 1.2 5.4 1.5 3.8 ▲ 11.7 7.0 ▲ 3.1 ▲ 2.4 ▲ 9.3 n.a.

機械受注(船舶・電力除く民需) 前期比、% 0.5 ▲ 0.8 1.5 ▲ 3.2 ▲ 5.6 7.7 ▲ 0.1 ▲ 0.3 ▲ 5.4 n.a.

建築物着工床面積(非居住用) 前期比、% 2.7 3.9 1.8 3.8 ▲ 1.8 4.8 ▲ 4.2 7.4 ▲ 5.0 n.a.

ソフトウェア受注額 前年比、% 1.1 ▲ 0.4 1.2 4.7 n.a. 4.6 4.6 4.8 6.1 n.a.

6 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 8: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

4.家計部門

雇用者所得 (※)2018年 1月のベンチマーク

更新による公表値の上振れを補正

したみずほ総合研究所試算値。な

お、上記の影響は 2018 年 12 月で

剥落したため、2019年 1月からは

公表値を参照している。

雇用者所得は緩やかに回復している。1 月の実質雇用者所得は前年比

+2.3%と、前月(同+1.7%、実勢値※)から加速した(図表 1)。主因は、

名目賃金の伸びが拡大したことだ。とりわけ、給与全体の 7 割強を占める所

定内給与の伸びが同+0.6%と拡大したことが押し上げに寄与した。賃金の基

調は底堅いと言えよう。1月の完全失業率は 2.5%と上昇した。失業者数が前

月差+8 万人と増加したほか、就業者数が同▲32 万人と 2 カ月連続で減少し

た。就業者を就業形態別にみると、自営業者等が同▲25万人、雇用者が同▲7

万人といずれも減少した。雇用者数は均してみると高水準を維持しており、

足元では良好な雇用環境が継続しているとみている。

先行きの雇用者所得は、底堅く推移するだろう。国内経済は力強さに欠け

る展開が予測されることから、これまで人手不足を補うために急ペースで拡

大してきた非正規雇用者の増勢が鈍化するとみられ、雇用者数の伸びは減速

するだろう。一方、物価の伸び鈍化を背景に実質賃金が持ち直しに向かうこ

とがプラスに働くとみられる。

消費者マインド 消費者マインドは悪化している。2 月の消費者態度指数は、前月差▲0.4Pt

と低下し、2016年 11月以来の低水準となった。内訳では、「雇用環境」が上

昇したものの、「暮らし向き」、「耐久財の買い時判断」が低下した(図表 2)。

新聞価格や自動車保険料の上昇が家計の体感物価に影響を与えた可能性があ

る。

先行きについては、エネルギー価格の伸びが減速することから実質賃金が

持ち直しに向かうとみられる一方、内外経済の先行き不透明感がマイナス要

因となり、消費者マインドは横ばいで推移するだろう。

個人消費 個人消費は緩やかに回復している。1月の実質消費活動指数(旅行収支調整

済)は、前月比+0.1%と小幅に上昇した(図表 3)。内訳をみると、自動車な

どの耐久財や、電気・ガス、衣料品などの非耐久財が低下した一方、サービ

スが上昇して全体を押し上げた。足元(2月)では、新車登録台数が小幅に減

少した一方、大手百貨店は 5社中 3社が増収となった。

先行きの個人消費は底堅く推移するだろう。マインドが低調に推移する一

方、雇用者所得が底堅く推移することが下支えとなろう。

住宅着工 住宅着工は減少している。1月の着工戸数は、前月比▲9.3%の年率87.2万戸

と大幅に減少した(図表 4)。内訳をみると、持家が横ばいで推移した一方、貸家と

分譲住宅が押し下げに寄与した形だ。

先行きは、持家を中心とした小規模な駆け込みが生じるものの、消費増税

後に住宅購入支援策の実施が予定されていることなどから需要が平準化され、

住宅着工は緩やかな回復傾向で推移しよう。アパートローンの監視強化や、

首都圏のマンション在庫の積み上がりにも注意が必要だ。

7 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 9: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

図表 1 実質雇用者所得の内訳 図表 2 消費者態度指数

(注)2018年12月以前の実質雇用者所得、名目賃金はみずほ総合研究所が試算

した実勢値。2019年1月以降は公表値。

(資料)総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計」より、みずほ総合

研究所作成

(資料)内閣府「消費動向調査」よりみずほ総合研究所作成

図表 3 消費活動指数 図表 4 新設住宅着工戸数

(注)実質ベースの季節調整値。破線は後方3カ月移動平均。

(資料)日本銀行「消費活動指数」より、みずほ総合研究所作成

(注)季節調整値。

(資料)国土交通省「建築着工統計」より、みずほ総合研究所作成

図表 5 家計部門の主要統計

(注) 1. 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。

2. 2018年の賃金・雇用者所得はみずほ総合研究所による実勢値。2019年以降は、厚生労働省による再集計値。

3. 新車販売台数はみずほ総合研究所による季節調整値。

4. 四半期の値は、季節調整済みデータが公表されている月までの平均値。前期比・前期差は、その前四半期に対する変化率。

(資料) 総務省「労働力調査」「家計調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」「毎月勤労統計」、内閣府「消費動向調査」「消費総合指数」、日本銀行「消費活動指

数」、国土交通省「建築着工統計」、日本自動車販売協会連合会等

▲2

▲1

0

1

2

3

4

5

18/1 18/4 18/7 18/10 19/1

物価要因雇用者数名目賃金実質雇用者所得

(前年比、%)

(年/月)

38

40

42

44

46

48

50

16/3 16/9 17/3 17/9 18/3 18/9

消費者態度指数 暮らし向き

収入の増え方 雇用環境

耐久財の買い時判断

(ポイント)

(年/月)

102.0

102.5

103.0

103.5

104.0

104.5

105.0

105.5

17/1 17/4 17/7 17/10 18/1 18/4 18/7 18/10 19/1

消費活動指数(旅行収支調整済)

3カ月移動平均

(2011年=100)

(年/月)

80

85

90

95

100

105

110

13 14 15 16 17 18 19

合計(年率、万戸)

(年)

20

25

30

35

40

45

50

13 14 15 16 17 18 19

持家

貸家

分譲住宅

(年率、万戸)

(年)

FY2016 FY2017 2018Q3 2018Q4 2019Q1 2018/10 2018/11 2018/12 2019/01 2019/02

雇用・所得 完全失業率 % 3.0 2.7 2.4 2.4 2.5 2.4 2.5 2.4 2.5 n.a.

就業者数 前期差、万人 65 88 6 41 ▲ 38 20 21 ▲ 20 ▲ 32 n.a.

有効求人倍率 倍 1.40 1.55 1.63 1.63 1.63 1.62 1.63 1.63 1.63 n.a.

新規求人数 前期比、% 5.3 4.8 ▲ 0.9 ▲ 0.3 2.5 0.0 ▲ 0.4 ▲ 0.1 2.7 n.a.

名目賃金(再集計値) 前年比、% 0.4 0.7 0.9 1.5 n.a. 1.1 1.7 1.5 1.2 n.a.

実質賃金(再集計値) 前年比、% 0.5 ▲ 0.2 ▲ 0.3 0.6 n.a. ▲ 0.6 0.8 1.1 1.1 n.a.

名目雇用者所得(再集計値) 前年比、% 2.0 2.1 2.8 3.3 n.a. 3.1 3.7 3.3 2.4 n.a.

実質雇用者所得(再集計値) 前年比、% 2.0 1.1 1.5 2.5 n.a. 1.4 2.8 2.9 2.3 n.a.

名目賃金(実勢値) 前年比、% 0.5 0.5 0.2 0.7 n.a. 0.7 1.4 0.3 1.0 n.a.

実質賃金(実勢値) 前年比、% 0.5 ▲ 0.4 ▲ 1.0 ▲ 0.2 n.a. ▲ 0.9 0.4 ▲ 0.0 0.9 n.a.

名目雇用者所得(実勢値) 前年比、% 1.9 1.9 2.1 2.6 n.a. 2.7 3.4 2.1 2.3 n.a.

実質雇用者所得(実勢値) 前年比、% 1.9 1.0 0.8 1.7 n.a. 1.1 2.4 1.7 2.2 n.a.

マインド 消費者態度指数 ポイント 42.2 44.0 43.4 42.9 41.7 43.0 42.9 42.7 41.9 41.5

個人消費 消費活動指数(実質・旅行収支調整済) 前期比、% 0.1 0.7 0.2 0.8 0.2 1.3 ▲ 0.6 0.5 0.1 n.a.

消費総合指数(実質) 前期比、% ▲ 0.2 1.1 ▲ 0.2 0.6 n.a. 0.9 ▲ 0.4 ▲ 0.6 n.a. n.a.

実質消費支出(二人以上の世帯) 前期比、% ▲ 1.4 0.8 1.5 0.2 2.2 1.5 0.2 ▲ 0.1 2.2 n.a.

新車販売台数(乗用車) 年率、万台 424.3 435.0 440.4 447.2 431.3 464.9 454.8 421.9 433.5 429.1

住宅着工 合計 年率、万戸 97.4 94.6 95.0 95.5 87.2 95.0 95.5 96.1 87.2 n.a.

持家 年率、万戸 29.2 28.2 28.1 29.1 29.4 29.1 28.7 29.4 29.4 n.a.

貸家 年率、万戸 42.7 41.0 40.4 37.9 34.3 38.3 38.6 36.7 34.3 n.a.

分譲住宅 年率、万戸 24.9 24.8 26.0 27.6 24.8 26.7 27.5 28.7 24.8 n.a.

8 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 10: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

5.政府部門・物価

公的需要 公的需要は減少している。12 月の公共工事出来高は、前月比▲0.3%と 2

カ月ぶりのマイナスとなっており、10~12月期でみても、前期比▲1.7%と 3

四半期連続で減少した(図表 1)。先行きの公共投資は、昨年 11月に成立した

2018年度第 1次度補正予算による災害復興事業の進捗等で増加する見通しだ。

先行指標である 2 月の公共工事請負金額は、前月比+13.9%と 2 カ月ぶりに

増加している。ただし、人手不足による供給制約が強まった場合には、工事

の進捗が遅れるリスクがある点には留意が必要だ。政府消費は社会保障給付

の拡大で増加傾向が続き、公的需要全体では緩やかに持ち直すとみている。

経済政策 1月 30日の経済財政諮問会議において、2019年度予算案を盛り込んだ最新

の「中長期の経済財政に関する試算」が内閣府から提出された。実質 2%、名

目 3%以上の経済成長率を見込む「成長実現ケース」で昨年 7月の前回試算か

らの変化をみると、2021年度以降は前回試算を上回ってPBが改善し、黒字

化が 1年早い 2026年度に実現する見通しとなっている(図表 2)。改善の要因

は、①2021年度以降の政策経費で臨時・特別の措置が無くなること、②長期

金利の上昇が前回の 2021 年度から 2022 年度へ後ズレすること、の 2 点を想

定していることによる。①については、増加した歳出を元に戻すことには政

治的な困難が伴う点に留意が必要だ。②については、低金利環境が続く中で

意識されにくくなっているものの、巨額な債務残高を抱える我が国の財政が

金利の影響を強く受けるという構造の裏返しであり、中長期的な金利上昇リ

スクを念頭に置いておく必要がある。2015年に策定された「経済・財政再生

計画」が 2020年度のPB黒字化を目指しながら結局挫折したという苦い経験

を活かし、より慎重な経済見通しを踏まえた財政運営が必要となるだろう。

国内企業物価 国内企業物価は前年比プラス幅が拡大している。2月の企業物価指数は前年

比+0.8%と 7カ月ぶりに伸びが拡大した(図表 3)。米中通商協議への進展期

待等を受けたリスクオフムードの後退により、円高の一服とともに原油価格

が下げ止まり、輸入物価の低下が一服したことが影響した。今後は、中国な

ど世界経済の減速によって資源や素材の需給が緩和することで、原油価格の

伸び(前年比)は低下し、国内企業物価指数の伸び率も低下する見込みだ。

消費者物価 消費者物価は前年比プラス幅が一時的に拡大している。1 月の全国コア

CPI(生鮮食品を除く)は前年比+0.8%と、4カ月ぶりに伸びが拡大した。エ

ネルギーの伸びが縮小したものの、正月休みからの日並びの良さを受けた宿

泊料の一時的上昇のほか、自動車保険料(任意)などが押し上げに寄与した形だ

(図表 4)。今後は、エネルギー価格の伸び鈍化を受けて、全国コアCPIの

プラス幅は緩やかな縮小傾向で推移するだろう。

金融政策 日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に即して、現状程度の金

利水準を維持すべく金融緩和を進めている。3月 14~15日に開催された金融

政策決定会合では、現状の政策を維持することが決定され、また必要な時点

まで継続するとの認識が示された。日銀は現行の政策を維持する見通しだ。

9 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 11: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

図表 1 公共工事出来高・請負金額 図表 2 PBの見通し(内閣府試算)

(注) みずほ総合研究所による季節調整値。

(資料) 国土交通省「建設総合統計」、保証事業会社3社「公共工事前払金保証統計」

より、みずほ総合研究所作成

(注)復旧・復興対策の経費及び財源を除いたベース。「前回」とは2018年7

月の内閣府による試算。

(資料) 内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(2018年7月、2019年1月)

より、みずほ総合研究所作成

図表 3 企業物価指数 図表 4 消費者物価指数

(注)エネルギーは石油・石炭製品と電力・都市ガス・水道の合計。

(資料)日本銀行「企業物価指数」より、みずほ総合研究所作成

(資料)総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成

図表 5 政府部門・物価の主要統計

(注) 1. 四半期の値は、季節調整済みデータが公表されている月までの平均値。前期比・前期差は、その前四半期に対する変化率。

2. 公共工事出来高、公共工事請負金額はみずほ総合研究所による季節調整値。

3. 公共工事出来高は2017年4月より新推計値に変更された。既公表系列と新公表系列を接続させるため、新推計値に基づく2016年度の参考数値と、既公表

値の比率により2017年4月以降の系列の水準を調整している。

4. 税収は、5月まで旧会計年度基準、6月から新会計年度基準に基づく計数。

5. 物価指数は実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。

(資料) 国土交通省「建設総合統計」、保証事業会社「公共工事前払金保証統計」、財務省「租税及び印紙収入、収入額調」、日本銀行「企業物価指数」

「日本銀行国際商品指数」、総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成

0.9

1.0

1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2

15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7

公共工事出来高

公共工事請負金額(右目盛)

(兆円)

(年/月)

(兆円)

12月

▲1.1 ▲0.9

▲0.2

0.7

▲3.0

▲2.5

▲2.0

▲1.5

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

2017 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

目標 (PB黒字化)(対名目GDP比、%)

(年度)

実績

(▲1.1兆円)

(5.1兆円)

(▲6.8兆円)

(▲6.2兆円)

成長実現ケース(実質2%、名目3%以上の成長)

ベースラインケース(実質1%強、名目1%台後半

程度の成長)

前回

前回

▲ 6

▲ 5

▲ 4

▲ 3

▲ 2

▲ 1

0

1

2

3

4

16/1 16/4 16/7 16/10 17/1 17/4 17/7 17/10 18/1 18/4 18/7 18/10 19/1

(前年比、%)

農林水産物 その他

化学製品 非鉄金属

鉄鋼 飲食料品

エネルギー 国内企業物価

(年/月)

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1

2016 2017 2018 2019

その他 宿泊料 通信料(携帯電話)

自動車保険(任意) 生鮮除く食料 エネルギー

コアCPI

(月)

(年)

(前年比、%)

FY2016 FY2017 2018Q3 2018Q4 2019Q1 2018/10 2018/11 2018/12 2019/01 2019/02

公的需要 公共工事出来高 前期比、% ▲ 4.5 3.8 ▲ 2.6 ▲ 1.7 n.a. ▲ 1.2 0.1 ▲ 0.3 n.a. n.a.

公共工事請負金額 前期比、% 4.1 ▲ 4.3 ▲ 8.3 6.1 ▲ 3.7 3.7 ▲ 5.2 5.0 ▲ 11.3 13.9

税収 一般会計租税・印紙収入 兆円 - - - - - 3.8 8.0 3.7 5.3 n.a.

会計年度累計、兆円 55.5 58.8 - - - 21.3 29.4 33.1 38.4 n.a.

同・前年比、% ▲ 1.5 6.0 - - - 4.2 4.7 4.7 3.6 n.a.

対外交易環境 対外交易条件 前年比、% 3.9 ▲ 4.5 ▲ 8.2 ▲ 6.9 n.a. ▲ 8.1 ▲ 8.1 ▲ 4.5 ▲ 1.7 ▲ 0.9

輸出物価 前年比、% ▲ 6.9 4.7 2.5 0.0 n.a. 0.8 0.5 ▲ 1.5 ▲ 3.4 ▲ 1.7

輸入物価 前年比、% ▲ 10.6 9.6 11.6 7.3 n.a. 9.8 9.3 3.1 ▲ 1.8 ▲ 0.7

国内企業物価 総平均 前年比、% ▲ 2.4 2.7 3.1 2.3 n.a. 3.0 2.3 1.5 0.6 0.8

企業向け 総平均 前年比、% 0.4 0.7 1.2 n.a. n.a. 1.3 1.2 1.1 1.1 n.a.

サービス価格 (消費増税の影響を除く) 前年比、% 0.4 0.7 1.2 n.a. n.a. 1.3 1.3 1.0 1.1 n.a.

国際運輸を除く 前年比、% 0.5 0.7 1.1 n.a. n.a. 1.2 1.2 1.0 1.1 n.a.

消費者物価 総合 前年比、% ▲ 0.1 0.7 1.1 0.8 n.a. 1.4 0.8 0.3 0.2 n.a.

生鮮食品を除く 前年比、% ▲ 0.2 0.7 0.9 0.9 n.a. 1.0 0.9 0.7 0.8 n.a.

生鮮食品及びエネルギーを除く 前年比、% 0.3 0.2 0.4 0.3 n.a. 0.4 0.3 0.3 0.4 n.a.

酒類を除く食料・エネルギーを除く 前年比、% 0.2 0.0 0.1 0.1 n.a. 0.2 0.1 0.1 0.3 n.a.

都区部・総合 前年比、% ▲ 0.2 0.5 1.1 0.9 n.a. 1.5 0.8 0.4 0.5 0.6

都区部・生鮮食品を除く 前年比、% ▲ 0.4 0.4 0.9 1.0 n.a. 1.0 1.0 0.9 1.1 1.1

10 みずほ日本経済情報(2019 年 3 月号)

Page 12: みずほ日本経済情報 · 2019-03-15 · ) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3次産業は第3次産業活動指数の値。

2019年 3月 15日 発行

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