PMMA系レジン成形品の 吸水特性制御法³»レジン成形品の 吸水特性制御法...
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従来技術とその問題点(1) - 成形法 -
・ 熱可塑性樹脂の成型法 = 工業的には射出成形が主流 ⇒ 大掛かりな設備が必要である。 ⇒ 多量に同一形状の成型品の作製: ○ オーダーメイドの成型品の作製: × ・ 歯科では、MMA液材がPMMA粉材を膨潤溶解して 可塑性を有する混和物となることを利用して、任意の 形状に成形後に重合して義歯床を作製している。 ⇒ 大掛かりな設備は不要である。 ⇒ 多量に同一形状の成型品の作製: × オーダーメイドの成型品の作製: ○
一般型混練機 加圧式混練機 加熱して混ぜ合わせる 圧力を加えつつ加熱して混ぜ合わせる
従来技術とその問題点(2) - 物性改善 -
・工業的には、複数ポリマーを熔融混練することにより物性 改善(ポリマーアロイ) ⇒ 大掛かりな設備が必要
・歯科で応用されるPMMA粉材とMMA液材系混合物の重合 体はPMMA ⇒ 物性改善は不可能
ポリマー粉材とその粉材を膨潤溶解出来るモノマー液材の分子構造
側鎖にエステル基を持つポリマー
OO
n
l =0, 1, 3
主鎖にエステル基を持つポリマー
O
O
nO
O
n
O
O
O
O
nm
O
O
n
ポリマー(ポリエステル)粉材
O
O
Rビニルエステル
O
O
R
アクリル酸エステルO
O
R
メタクリル酸エステル
モノマー(ビニルエステル)液材
一般的な重合性基を持つモノマー
一般型混練機 加圧式混練機
従来技術とその問題点(3) - 吸水特性の改善 -
従来法 ☆ フッ素などの撥水性元素や 芳香環などの撥水性原子団 の導入 ⇒ 水を弾く ☆ 元素や原子団の特性を利用
☆ 低吸水性 = 疎水性(撥水性)
= 親水性
本法 ☆ 極高密度架橋構造を形成が可能な 架橋性モノマーによる 剛直なセミ-相互侵入網目構造の構築 ⇒ 吸水膨張の抑制 ⇒⇒ 吸水特性の抑制 ☆ マクロ構造を利用
☆ 低吸水性 = 疎水性(撥水性)
= 親水性
新技術の紹介(2) - 吸水特性の検討 -
セバシン酸ジビニル(DVS)
アジピン酸ジビニル(DVA)
グルタル酸ジビニル(DVG)
メタクリル酸ビニル(VMA)
アクリル酸ビニル(VA)
C=C間距離に基づくMFVEの選択
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
12
8
7
2 2
C=Cの原子数
- HLBGから離反するモノマーの発見 - 粉液混和型PMMA/MFVEレジンの飽和吸水率
- HLBGの影響-
HLBG of MFVE
6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0
見掛け飽和吸水率
(m
ass%
)
1.3
1.4
1.5
1.6
1.7
1.8
1.9
2.0
2.1
MMA
VMA
VA
Acron (GC)
O
O
O
O
DVG
DVA
DVS
SWU(mass%) = 0.186HLBG + 0.118
R 2 = 0.96
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
新技術の紹介(3) – 更なる高密度化架橋構造 -
O
O
R
H or CH3
(メタ)アクリロイル基
R O
O
ビニルエステル基 アリルアルコール基
R
O H
≧ >
O
O O
H or CH3 H or CH3
無水(メタ)アクリル酸
O O
O
炭酸ジビニル
O
O
メタクリル酸ビニル (VMA)
O H
1,4-ペンタジエン-3-オール (14PD3OH)
- 高架橋密度構造を目指した新しい重合性基を持った架橋性単量体の導入 -
>
可塑性混和物
重合
PMMA系レジン成形品 (ポリマーアロイ)
液材
成形
粉材
粉液混和型低吸水性PMMA系レジン成形品の調製法
PMMA
14PD3OH
+
VMA
O
O
O H
* *
O O
n O
O
MMA
混和
湿った砂状態
糸引き状態
↓
↓
P/L=2.0
- 14PD3OHの添加効果 -
見掛け飽和吸水率
(m
ass%
)
0 10 20 30 40 50 60
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
0.6
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
VMA-14PD3OH液材中の14PD3OH (mass%)
粉液混和型PMMA/VMA-14PD3OH系混和物重合体の飽和吸水率
+ O
O O H
5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
VMA-14PD3OH液材のHLBG
見掛け飽和吸水率
(m
ass%
)
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
VMA
SWU(mass%) = 0.186HLBG + 0.118
R 2 = 0.96
+ O
O O H
粉液混和型PMMA/VMA-14PD3OH系混和物重合体の飽和吸水率 - HLBGによる整理 -
曲げ強さ
VMA-14PD3OH液材中の14PD3OH (mass%)
0 2 4 6 8 10
曲げ強さ
(MP
a)
0
20
40
60
80
100
120
140
160
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
粉液混和型PMMA/VMA-14PD3OH系混和物重合体の曲げ特性
破断試験体数/全試験体数
0 2 4 6 8 10
曲げ弾性係数
(GP
a)
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
VMA-14PD3OH液材中の14PD3OH (mass%)
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
曲げ弾性係数
0 2 4 6 8 10
最大撓み量
(mm
)
0
6
8
10
12
14
2
4
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
最大撓み量
VMA-14PD3OH液材中の14PD3OH (mass%)
0 2 4 6 8 10
破断エネルギー
(KJ
/m
2)
0
10
20
30
40
50
60
70
破断エネルギー
VMA-14PD3OH液材中の14PD3OH (mass%)
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
5/5
0/5
1/5
1/5
2/5
4/5
5/5
粉液混和型PMMA/MMA-14PD3OH系混和物重合体の飽和吸水率 - 14PD3OH分率の影響、BPO添加の影響 -
14PD3OH分率 (mass%)
0 2 4 6 8 10
見掛け飽和吸水率
(m
ass%
)
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
BPO無添加系
BPO添加系(2 mass%)
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
+ O
O O H
粉液混和型PMMA/MMA-14PD3OH系混和物重合体の曲げ特性 - 14PD3OH分率の影響、添加BPOの影響 -
曲げ強さ
市販義歯床用アクリルレジン (Acron, GC)
14PD3OH分率 (mass%)
0 2 4 6 8 10
曲げ強さ
(MP
a)
0
20
40
60
80
100
120
140
160
BPO無添加系
BPO添加系(2 mass%)
曲げ弾性係数
14PD3OH分率 (mass%)
0 2 4 6 8 10
曲げ弾性係数
(GP
a)
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
最大撓み量
14PD3OH分率 (mass%)
0 2 4 6 8 10
最大撓み量
(mm
)
0
2
4
6
8
10
12
破断エネルギー
14PD3OH分率 (mass%)
0 2 4 6 8 10
破断エネルギー
(KJ/m
2)
0
10
20
30
40
50
60
新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来、ポリマー粉材とモノマー液材を混和した餅状物を成形し重合することによってレジン成形品を得る手法では、モノマー液材が限られていたが、ビニルエステル基の優れたポリマー膨潤溶解能によって、多様な分子構造を持つビニルエステルモノマー(VE)を選択することが可能となった。
• エステル基を分子内に持つ種々のポリマー粉材の選択が可能となり、多様な特性を持ったポリマーアロイを容易につくることが出来る。
• 従来、ポリマーアロイ成形品は加熱熔融混練法によるが、本技術により加熱することなくポリマーアロイ成形品が可能となった。
• 重合性基として、(メタ)アクリロイル基やビニルエステル基に換えてアリルアルコール基に着目し、C=C間の極めて近い14PD3OHをVE液材に添加することにより,ポリマー粉材表層に形成されるセミ-相互侵入網目構造の架橋密度を高めながら、低吸水性と靭性の賦与が可能となった。
想定される用途
• PMMA粉材とVE液材とを混和して餅状物を成形し重合して得られる粉液混和型PMMA/VE系レジンは、粉液の種類や組成を換えることによって、容易に多様な特性をPMMA系レジン成形品賦与することが出来る。特に、VMA液材に14PD3OHを添加した粉液混和型PMMA/VMA-14PD3OH系レジンは、従来のPMMA/MMA系義歯床用レジンと同様の操作で低吸水性と高靭性を併せ持つポリマーアロイとなるので、義歯床やノンクラスプデンチャー用レジン素材として期待される。
• 更に、ポリマー粉材をポリ乳酸などに換えると生分解性ポリマーアロイとなり、骨セメントなどの骨補填材といったインプラント分野や用途に展開することも可能と思われる。
• また、重合方式を光重合型とすれば、加熱熔融することなく成形品を作れるので、家庭で容易にボタンやペンダントトップなどのレジン成形品などを造ることが出来る手芸キット用レジン素材も可能である。
実用化に向けた課題
• メタクリル酸エステルポリマー及び生分解性ポリマー粉材とVE液材と創られるポリマーアロイの機械的特性についてはほぼ検討済み。
• 現在、コモノマーとして有効な14PD3OHの共重合反応性の解明が不十分である。
• 今後、14PD3OHの共重合反応性を向上させる条件設定を明らかにして行く。
• 生分解性ポリマーアロイについては、生体内での吸収性に関する実験データを取得し、骨補填材に適用していく場合の条件設定を行っていく。
企業への期待
• 現在主流の粉液混和型PMMA/MMA系義歯床は破折や吸水に伴う着色などの問題を抱えている。強度を損なうことなく高靭性と低吸水性の賦与を目指している企業には、本技術の導入が有効であると思われる。
• 重合反応コントロールに関する技術を持つ企業との共同研究を希望。
• また、インプラントや成形外科分野への展開を考えている企業にも、本技術の導入が有効と思われる。
本技術に関する知的財産権
・発明の名称: 組成物及びその製造方法 ・出願番号 : 特願2014-60281 ・出願人 : 国立大学法人 岡山大学 ・発明者 : 田仲持郎
・発明の名称: 歯科・整形外科用樹脂組成物,その製造方法及び 歯科・整形外科用成型品の製造方法 ・出願番号 : 特許4517148号 ・出願人 : 国立大学法人 岡山大学 ・発明者 : 田仲持郎、鈴木一臣
・発明の名称: 医療用樹脂組成物及びその製造方法並びに医療用キット ・特許番号 : 中華人民共和国特許第ZL201180014342.3号 ・出願人 : 国立大学法人 岡山大学 ・発明者 : 田仲持郎
【その1】
【その2】
【その3】
お問い合わせ先
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