Pet 治療プレゼン2

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機 能 画 像 と 放 射 線 治 療 の 展 望 株式会社リジット 代表取締役 山本修司 第 4 回 放 射 線 治 療 シ ス テ ム 研 究 分 科 会

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治療効果判定の視点からPETをもちいた放射線治療の効果判定への合理的/物理的解釈および展望について講義を行った。

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機 能 画 像 と 放 射 線 治 療 の 展 望

株式会社リジット 代表取締役山本修司

第 4 回 放 射 線 治 療 シ ス テ ム 研 究 分 科 会

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本日の発表内容

近年の研究文献から放射線治療計画とPET-CTとの融合治療システムにおいて、

1. PET-CTを治療計画に用いる場合の利点と欠点2. 最適なPET-CTによる治療計画システム設計3. PET-CTを用いた治療効果判定法

について解説をします。

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一般的な放射線治療計画のステップ

 TNMステージを示した悪性腫瘍を治療するためにオンコロジストをオブザーバとした学際的な委員会によって決定された治療計画ステップが既に確立されている。

現況では、このプロセスにおける標的体積(TVs)とリスク臓器(OARs)は、典型例としては、造影CTもしくはMRIを使用するのが定番である。

PETが治療計画に入り込む余地は?

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PETの一般的な特徴

 

・腫瘍の生理/病理学的経路の可視化・代謝、増殖、低酸素、アポトーシス、遺伝子発現などの検証などに使用される。 (実臨床というよりは、医学研究として盛んな研究成果)・低解像度、低バックグランドコントラスト(トレーサに依存する)

臨床研究の段階として治療計画のためのPETの利用は、食道、肺、頭頸、脳、前立腺、肛門管の腫瘍例など、個別の腫瘍などを対象に報告されているが、PETが治療計画に必須であるといった厳密な結論付けはされていない。

放射線治療計画にPETを利用した論文の傾向

放射線治療計画にPETを使用するためのキーワード

①最適な検査プロトコル ②画像再構成 ③領域抽出

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PET-CTオーダメイド放射線治療計画の期待

 

・PETを使用することで、特定の腫瘍および特定患者の放射線治療計画をすることが可能・腫瘍の一般的診断はもとより、ステージング、再発の検出、治療効果判定など、治療前後にPET-CTを施行することにより治療予後のトレースができる利点も大きい。ー> PERCISTの施行

治療計画での利点

ハイパーメタボリックコンポーネントが形態情報より小さい場合は、PET-CTによってGross Tumor Volumeを小さくすることができる。これによってリスク臓器への負担が少なくなるだけではなく、腫瘍体積の変化を予測することが可能もある。

ターゲットとなる腫瘍の組織代謝変化は、形態的変化より早期におきる

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PETの落とし穴

特異度は、同一の代謝経路が腫瘍と非腫瘍組織で活性化される場合は、制限される。また、診断精度は、炎症反応とトレーサの生理的分布パターンが類似する場合の問題点もある。

例として肉芽腫性の所見は、浸潤性腫瘍と同様に高いFDGアップテイクを示す。また、肝臓内の11C-Colineの高いバックグランドアップテイクは、転移による浸潤を隠してしまうこともある。

濃淡値の問題として

解像度の問題として

例としてマイクロ塞栓リンパ節転移 が見落とされ、微小転移を評価する方法としては精度が低い。また、異なる核種は、異なる腫瘍の画像化に使用されることによって、例えば前立腺癌は11C -コリンは高感度で検出することができるが、 膀胱がんは、FDG-avidではないことが知られている。 (次ページ図を参照)

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治療計画としてのPET/CTの落とし穴

・動きによるミスレジストレーション(特に下肺野、減弱補正PETにUnderEstimation)

・FOVに適合しない場合:トランケーションエラー

・CT造影などによる高濃淡値領域: オーバー補正による転移などの見逃し

・メタルアーチファクト

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症例1 (文献引用)

Arturo Chiti, Margarita Kirienko, Vincent Grégoire,Clinical use of PET-CT data for radiotherapy planning: What are we looking for? Radiotherapy & Oncology, Volume 96, Issue 3 , Pages 277-279, September 2010

膀胱がんのFDG-PETとCT (CTでは、+、PETでは‐)

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症例2 (文献引用)

Arturo Chiti, Margarita Kirienko, Vincent Grégoire,Clinical use of PET-CT data for radiotherapy planning: What are we looking for? Radiotherapy & Oncology, Volume 96, Issue 3 , Pages 277-279, September 2010

前立腺がん転移例(11C-Coline使用:CTで-, PETで+:右大腿骨起始部

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放射線治療計画での薬剤の特徴

11 C-メチオニン: 脳腫瘍 18 F-フルオロエチルチロシン: 脳腫瘍

FMISOFAZACu-ATSM

を含む低酸素腫瘍細胞のトレース

腫瘍低酸素は癌の放射線治療成績不良の一因とされている。また近年、低酸素は特異的な遺伝子発現を誘導することにより、腫瘍増殖、血管新生、転移を促進する可能性が指摘されている。→低酸素がん細胞を標的とする遺伝子治療モデル、標的抗がん剤などの開発が期待されている。

18 F-フルオロチミジン thymidine kinase activityのモニタリング細胞の分裂増殖の指標のひとつ。血液悪性増殖性疾患での治療効果および,予後の判定の指標などに有用な検査である。

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Roland Haubner:PET radiopharmaceuticals in radiation treatment planning – Synthesisand biological characteristics, Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 280–287より引用

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PETおよびPETーCTの減弱補正について

PETとPETーCTの減弱補正法の違いについて

B. Sattler et al. / Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 288–297から図を引用

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CTによるPET画像減弱マップ変換(減弱補正)

PETの減弱補正法について

四月朔日聖一:PETとPET/CTにおける減弱補正法の基礎と有用性,日本放射線技術学会雑誌

(1)と(2)を掛けてC0(x)を求める。

被写体(薬剤有)

被写体(薬剤無)

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CTによるPET画像減弱マップ変換(減弱補正)

PET/CTの減弱補正法の違いについて

四月朔日聖一:PETとPET/CTにおける減弱補正法の基礎と有用性,日本放射線技術学会雑誌

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治療計画用に改造された PET/CT

PET/CT (and CT) instrumentation, image reconstruction and data transfer,B. Sattler et al. / Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 288–297の図3を転載引用

BigBore PET/CTの利用FOV:85cmco axial imaging range: 195cmCTとPETの機械的なアライメント誤差: 0.5mm

肺塞栓を偶然にCTで見つける確率が約4パーセント

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PET/CTのプロトコルガイドライン(ドラフト)

Delbeke D et al. Procedure guideline for tumor imaging with 18 F-FDG PET/CT 1.0. J Nucl Med 2006;47:885–95.

Krause B et al. FDG-PET/CT in oncology, German Guideline. Nuklearmedizin, 2007;46:291–301.

Boellaard R et al. EANM procedure guidelines for tumour PET imaging: version 1.0. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2010;37:181–200.

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PET-CTのCTプロトコル例(治療計画用)

PET/CT (and CT) instrumentation, image reconstruction and data transfer,B. Sattler et al. / Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 288–297

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PET-CTのCT側の被曝の目安

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PET-CTのPETプロトコル例(治療計画用)

PETの日は絶食、砂糖なしのお茶など、体重に応じて参照値のトレーサ使用

PET/CT (and CT) instrumentation, image reconstruction and data transfer,B. Sattler et al. / Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 288–297

CTは、前項参照、吸収補正と解剖ランドマーキングのための低線量CTを撮影

造影は、治療計画の場合、腫瘍の浸潤や組織の描画のために必要

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PET-CT 造影時の注意点

造影は治療計画のために行われるべきであるが、PET上でSUVを図る場合は、造影剤の高コントラスト領域は、SUVも顕著に高い。(臨床的には、腫瘍のステージング評価に影響しないとされているが、転移などと誤診しないための考慮が必要)

可能であれば、胸部や腹部の造影のときは、腕の挙上が望ましい。腋窩静脈や鎖骨下静脈をスムーズに造影剤が流れ、さらに、造影後の静脈炎などを防ぐために造影後、30ml-40mlの生理食塩水で押し流すことも行われる

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肺がんにおける治療計画用PET-CT

肺がんは、PET-CTで減弱補正すると横隔膜付近の減弱補正PETがunder estimationとなり治療計画にも影響を与える

Retrospectiveに線形もしくは非線形のレジストレーションを施した二次補正データを用いて減弱補正を行う。

治療時では、 full-inspiration breath-hold treatmentを行う

他のトレーサ

研究段階がほとんど

internal radiation threapy planningの可能性

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PET-CTー放射線治療計画データ転送システム

GTVのVOI or ROIのコンツーリング

DICOM-RT structure set as described in Supplement 11 to Part 3 of the DICOM-Standard

GTVデータ

PACS は、DICOM RT-IODs.をサポート

PET/CT (and CT) instrumentation, image reconstruction and data transfer,B. Sattler et al. / Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 288–297

レーザの位置情報をRT Planに転送

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PETからのGTVの選択

(GTV, CTV, PTV, etc.)の描画に関してもっと頻繁に使用される輪郭抽出方法は、 しきい値ベースの方法で、PETから抽出する場合は、 maximum specific uptake value (SUV) などを用いるのが一般的であるが、S/Nが低い場合は、contrast-oriented methods[1]やgradient-based methods[2] で補正する。

[1] MacManus MP, Hicks RJ. Where do we draw the line? Contouring tumors onpositron emission tomography/computed tomography. Int J Radiat Oncol BiolPhys 2008;71:2–4.[1] Nestle U et al. Comparison of different methods for delineation of 18 F-FDGPET-positive tissue for target volume definition in radiotherapy of patientswith non-small cell lung cancer. J Nucl Med 2005;46:1342–8.[2] Geets X et al. A gradient-based method for segmenting FDG-PET images:methodology and validation. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2007;34:1427–38.

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4D-PETからのCTVの選択

V. Bettinardi et al. Detection and compensation of organ/lesion motion using 4D-PET/CTrespiratory gated acquisition techniques/ Radiotherapy and Oncology 96 (2010) 311–316

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標的病変の大きさの定義について

FDG-PET: CTの補足のために治験責任医師によって使用される

 ベースラインで陰性のFDG-PETと追跡検査での陽性のFDG-PETは、PDを意味する

 ベースラインでFDG-PETなし、追跡検査で陽性のFDG-PETの場合、もし、CT上で病変の新しい場所を同定したときは、PD

 CT上で病変の新しい場所がなく、疑わしいとき。もし、新しい場所が次のスキャンで現れたとき、観察をCTで繰り返す。この場合、PDの日時は、初期の異常例のFDG-PETスキャン時である。

GTVは原発巣とリンパ節転移巣の体積CTVはGTVに微視的な腫瘍浸潤を含む体積ITVとはCTVに呼吸、嚥下、心拍動、蠕動などの体内臓器の動きによる影響を含めた標的体積

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がん治療効果判定におけるPETの有用性

がん治療効果判定におけるPETの有用性(PERCISTの提唱)

・効果的な治療においても、腫瘍径の変化が最小限度しか変化しないリンパ腫、肉腫、肝癌、中皮腫、消化管間質腫瘍などは、メタボリックな定量解析が有効。

PET Response Criteria In Solid Tumors, or PERCIST 1.0Richard L. Wahl, Heather Jacene, Yvette Kasamonand Martin A. Lodge,From RECIST to PERCIST: Evolving Considerations for PET Response Criteria in Solid Tumors,J Nucl Med. 2009 May;50 Suppl 1:122S-50S.

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SUV bw: SUV with patient body weightSUV ibw: SUV with ideal body weightSUV lbm: SUV with lean body massSUV bsa: SUV with body surface are

理想体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

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治療効果の判定にSUV値を利用(Standard Uptake Value)

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参考文献[1] ICRU. International Commission on Radiation Units and Measurements. Prescribing, recording and reporting Intensity-Modulated Photon-Beam Therapy (IMRT). In: ICRU Report 83, J. ICRU. Oxford: Oxford University Press.[2] Thorwarth D, Alber M. Implementation of hypoxia imaging into treatment planning and delivery. Radiother Oncol 2010. doi:10.1016/ j.radonc.2010.05.012.[3] Moule RN, Kayani I, Mouddin SA, Meer K, Lemon C, Goodchild K, et al. Thepotential advantages of 18 FDG PET/CT-based target volume delineation in radiotherapy planning of head and neck cancer. Radiother Oncol 2010.doi:10.1016/j.radonc.2010.04.025.[4] Muijs CT, Beukema JC, Pruim J, Mul VE, Groen H, Plukker JT, et al. A systematic review on the role of FDG-PET/CT in tumour delineation and radiotherapy planning in patients with esophageal cancer. Radiother Oncol 2010.doi:10.1016/j.radonc.2010.04.024.[5] Henriques de Figueiredo B, Barret O, Demeaux H, Lagarde P, De-Mones-Del- Pujol E, Kantor G, et al. Comparison between CT- and FDG-PET-defined target volumes for radiotherapy planning in head-and-neck cancers. Radiother Oncol2009;93:479–82.[6] Seppälä J, Seppänen M, Arponen E, Lindholm P, Minn H. Carbon-11 acetate PET/CT based dose escalated IMRT in prostate cancer. Radiother Oncol 2009;93:234–40.[7] Muijs CT, Schreurs LM, Busz DM, Beukema JC, van der Borden AJ, Pruim J, et al. Consequences of additional use of PET information for target volume delineation and radiotherapy dose distribution for esophageal cancer.Radiother Oncol 2009;93:447–53.[8] Schinagl DA, Hoffmann AL, Vogel WV, van Dalen JA, Verstappen SM, Oyen WJ, et al. Can FDG-PET assist in radiotherapy target volume definition of metastatic lymph nodes in head-and-neck cancer? Radiother Oncol 2009;91:95–100.[9] MacManus M, Nestle U, Rosenzweig KE, Carrio I, Messa C, Belohlavek O, et al. Use of PET and PET/CT for radiation therapy planning: IAEA expert report 2006–2007. Radiother Oncol 2009;91:85–94 [Review]. [10] Nguyen BT, Joon DL, Khoo V, Quong G, Chao M, Wada M, et al. Assessing the impact of FDG-PET in the management of anal cancer. Radiother Oncol 2008;87:376–82.[11] van Loon J, Offermann C, Bosmans G, Wanders R, Dekker A, Borger J, et al. 18 FDG-PET based radiation planning of mediastinal lymph nodes in limited ETC..