シームレスな歯科医師の養成に向けた 取組の現状と …シームレスな歯科医師の養成に向けた 取組の現状と課題 医道審議会歯科医師分科会
全国共同調査結果報告 歯科診療所における ヒヤリ …...[実施期間]...
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歯科診療所におけるヒヤリ・ハットに関する実態調査
—昨年実施の医科調査との比較を含めてー
全国共同調査結果報告
全国保険医団体連合会
歯科診療所でのヒヤリ・ハット発生の
現状と取り組みの実態を明らかに
調査の目的
ヒヤリ・ハットやアクシデントを減らすための具体的な改善事例を集約し共有化
[実施期間]
2012年5~6月
[対象者]
全国の保険医協会・保険医会の歯科開業医会員から10%を無作為抽出した3,529人を対象に郵送で実施
[回答数]
有効回答 956 / 回収率 27.09%
調査方法
調査結果主たる診療科
「歯科」(97.5%)がほとんどで、「小児歯科」が1.6%、「矯正歯科」が0.3%、「歯科口腔外科」が0.1%
<医 科> <歯 科>
「内科」(50.7%)が圧倒的多数で、以下、「整形外科」(9.6%)、「眼科(6.3%)、「小児科」「皮膚科」(5.8%)と続く
50.7%5.8%
2.9%9.6%
5.4%5.8%
2.6%0.3%
6.3%4.6%
0.5%3.6%
0.0%1.9%0.2%
0.0 20.0 40.0 60.0
内科小児科
外科整形外科
産科・婦人科皮膚科
泌尿器科肛門科
眼科耳鼻咽喉科脳神経外科
精神・神経・心療内科リハビリテーション科
その他無回答
97.5%1.6%
0.1%
0.3%
0.3%
0.2%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
歯科
小児歯科
歯科口腔外科
矯正歯科
その他
無回答
院所の処方形態
「院内処方」(80.8%)が圧倒的多数で、「院外処方」は18.5%にすぎない
<医 科> <歯 科>
「院外処方」(55.3%)が「院内処方」(43.8%)を上回る
院内処方
43.8%
院外処方
55.3%
無回答
0.9%
院内処方
80.8%
院外処方
18.5%
無回答
0.7%
従業員数
「2~3人」(35.3%)がトップで、以下、「4~5人」(30.1%)、「6~7人」(11.8%)、「0~1人」(8.6%)
<医 科> <歯 科>
「5人~9人」(40.5%)がトップで、以下、「5人未満」(32.3%)、「10~14人」(10.9%)
8.6%
35.3%
30.1%
11.8%
4.8%
8.8%
0.6%
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0
0~1人
2~3人
4~5人
6~7人
8~9人
10人以上
無回答
32.3%
40.5%
10.9%
5.8%
8.3%
2.2%
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0
5人未満
5~9人
10~14人
15~19人
20人以上
無回答
先生の年齢
「50~60歳未満」(36.2%)がトップで、以下、「40~50歳未満」(27.0%)、「60~70歳未満」(19.6%)
<医 科> <歯 科>
「50~60歳未満」(35.8%)がトップで、以下、「60~70歳未満」(29.8%)、「40~50歳未満」(17.9%)
0.0%
3.7%
17.9%
35.8%
29.8%
12.6%
0.2%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
30歳未満
30~40歳未満
40~50歳未満
50~60歳未満
60~70歳未満
70歳以上
無回答
0.6%
12.9%
27.0%
36.2%
19.6%
3.6%
0.2%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
30歳未満
30~40歳未満
40~50歳未満
50~60歳未満
60~70歳未満
70歳以上
無回答
先生の開業歴
「20~30年未満」(29.4%)がトップで、以下、「10~20年未満」(25.7%)、「30年以上」(17.5%)
<医 科> <歯 科>
「10~20年未満」(31.9%)がトップで、以下、「20~30年未満」(19.6%)、「5~10年未満」(17.5%)
14.6%
17.5%
31.9%
19.6%
15.5%
0.9%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
5年未満
5~10年未満
10~20年未満
20~30年未満
30年以上
無回答
13.3%
13.6%
25.7%
29.4%
17.5%
0.5%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
5年未満
5~10年未満
10~20年未満
20~30年未満
30年以上
無回答
1日の平均外来患者数
「20人未満」(29.1%)と「30人未満」(28.7%)がほぼ同数で1位、2位、続いて「40人未満」(15.9%)
<医 科> <歯 科>
「30~50人未満」(28.0%)がトップで、以下、「50~70人未満」(21.7%)、「30人未満」(19.3%)
8.4%
29.1%
28.7%
15.9%
8.4%
9.0%
0.6%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
10人未満
20人未満
30人未満
40人未満
50人未満
50人以上
無回答
19.3%
28.0%
21.7%
11.3%
17.8%
1.9%
0.0 10.0 20.0 30.0
30人未満
30~50人未満
50~70人未満
70~90人未満
90人以上
無回答
報告体制の有無
「体制ない」(52.5%)が過半数で、「体制あり」(46.9%)を上回る
<医 科> <歯 科>
「体制あり」(54.9%)が過半数
ある
54.9%
ない
44.4%
無回答
0.7% ある
46.9%
ない
52.5%
無回答
0.6%
検討委員会の有無
「ない」(83.8%)が「ある」(15.9%)を大きく上回る
<医 科> <歯 科>
「あり」が27.4%で、歯科を10ポイント以上上回る
ある
27.4%
ない
72.1%
無回答
0.5% ある
15.9%
ない
83.8%
無回答
0.3%
担当者の有無
「いない」(65.2%)が「いる」(34.3%)の2倍近い
<医 科> <歯 科>
「いる」(41.0%)が4割にのぼる
いる
41.0%
いない
58.3%
無回答
0.7%いる
34.3%
いない
65.2%
無回答
0.5%
院内での広報、周知の有無
「いない」(53.5%)が「いる」(45.8%)を上回って入るが、5割近くが広報・周知
<医 科> <歯 科>
「いる」 (53.3%)が過半数を上回り、「いない」は45.5%
いる
45.8%
いない
53.5%
無回答
0.7%いる
53.3%
いない
45.5%
無回答
1.2%
患者参加のシステムの有無
「ない」(87.4%)が圧倒的多数で、「ある」は8.2%にすぎない
<医 科> <歯 科>
「ない」(80.8%)が多数だが、「ある」も18.5%に達する
ある
18.5%
ない
80.8%
無回答
0.7% ある
8.2%
ない
91.4%
無回答
0.4%
この1年間の報告の有無
「なかった」(62.2%)が6割超だが、「あった」(36.3)も4割近くにのぼっている。患者数が多くなるほど、「あった」との回答が多い
<医 科> <歯 科>
「あった」(50.7%)が過半数を占める
あった
50.7%
なかった
47.0%
無回答
2.3% あった
36.3%
なかった
62.2%
無回答
1.5%
1カ月の報告件数
ほとんどが5件未満(95.7%)
<医 科> <歯 科>
5件未満(87.3%)が圧倒的多数だが、15件以上も3.1%(16件)
87.3%
8.0%
1.0%
3.1%
0.6%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
5件未満
5~10件未満
10~15件未満
15件以上
無回答
95.7%2.9%
0.6%
0.6%
0.3%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
5件未満
5~10件未満
10~15件未満
15件以上
無回答
ヒヤリ・ハットの行為
「処置・手術」(49.0%)、「対応」・「説明」・「接遇」(41.2%)、「補綴、保存」(32.3%)がトップ3で、以下、「注射・麻酔」(18.2%)、「投薬」(16.4%)
<医 科> <歯 科>
「投薬」(61.0%)が圧倒的に多く、以下、「対応、説明、接遇」(25.9%)、「注射、点滴」(23.3%)、「転倒、転落」(21.2%)
61.0%
19.2%
23.3%
20.0%
8.6%
21.2%
5.3%
25.9%
11.8%
0.2%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0
投薬
採血
注射、点滴
検査
処置
転倒、転落
設備、備品など
対応、説明、接遇など
その他
無回答
2.6%
49.0%
18.2%
32.3%
16.4%
4.3%
8.9%
13.8%
41.2%
5.8%
0.9%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
検査
処置・手術
注射・麻酔
補綴、保存
投薬
訪問診療
転倒、転落
設備、備品など
対応、説明、接遇など
その他
無回答
ヒヤリ・ハットの場所
「診察室」(88.5%)、「受付」(25.1%)、「待合室」(14.1%)がほとんどで、圧倒的に診察室が多い
<医 科> <歯 科>
「受付」(48.4%)が最も多く、以下、「診察室」(37.8%)、「処置室」(35.3%)の順
2.3%
2.0%
14.1%
25.1%
88.5%
1.4%
1.4%
1.2%
0.6%
3.5%
4.3%
0.6%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
駐車場
玄関
待合室
受付
診察室
検査室
トイレ
階段
廊下
在宅
その他
無回答
2.0%5.1%
14.7%48.4%
37.8%35.3%
2.2%9.6%
2.4%0.2%3.3%2.5%
19.8%1.0%
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
駐車場玄関
待合室受付
診察室処置室手術室検査室トイレ階段廊下在宅
その他無回答
ヒヤリ・ハット発生の原因
「確認不足」(63.7%)が多数で、以下、「観察不足」(27.7%)、「患者への説明不足」(20.5%)、「判断ミス」(18.7%)、「職員間のコミュニケーション不足」(18.7%)
<医 科> <歯 科>
「確認不足」(82.7%)が圧倒的多数で、以下、「観察不足」(24.9%)、「職員間のコミュニケーション」(15.1%)
82.7%
24.9%
14.9%
8.4%
13.9%
5.3%
15.1%
10.4%
1.4%
1.0%
6.1%
6.7%1.2%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
確認不足
観察不足
判断ミス
記録不備
患者への説明不足
知識・能力不足
職員間のコミュニケーション不足
多忙・人員不足
心身不調
環境変化
手順の不備
その他
無回答
63.7%27.7%
18.7%
9.5%
20.5%
15.3%
18.7%
12.7%
4.6%
1.4%
15.9%
9.8%0.3%
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0
確認不足
観察不足
判断ミス
記録不備
患者への説明不足
知識・能力不足
職員間のコミュニケーション不足
多忙・人員不足
心身不調
環境変化
手順の不備
その他
無回答
この1年間の医療事故の有無
「なかった」(94.0%)がほとんどだが、「あった」との報告も5%(48件)みられた。件数では、「1件」(70.8%)と大半を占める
<医 科> <歯 科>
5.5%(54件)が「あった」と回答。件数では、「1件」(57.4%)と最多、「6件以上~10件未満」も5.6%(3件)
あった
5.5%
なかった
93.7%
無回答
0.8% あった
5.0%
なかった
94.0%
無回答
0.9%
後遺障害が残った事例
歯科は、「あった」との回答は1.50%(10件)。件数は、「1件」(71.4%)が最多
<医 科> <歯 科>
医科は、「あった」との回答が1.0%(10件)で、件数はほとんどが1件
あった
1.0%
なかった
95.5%
無回答
3.5% あった
1.5%
なかった
95.1%
無回答
3.5%
死亡した事例
歯科は、「あった」との回答は0.5%(5件)。件数は「無回答」(80.0%)が最多
<医 科> <歯 科>
医科は、0.5%(5件)が「あった」と回答
あった
0.5%
なかった
95.9%
無回答
3.6% あった
0.5%
なかった
96.0%
無回答
3.5%
医療安全管理の独自の工夫
「ない」(64.6%)との回答が多いが、「ある」との回答も33.2%にのぼる
<医 科> <歯 科>
34.7%が「ある」と回答
ある
34.7%
ない
61.1%
無回答
4.2% ある
33.2%
ない
64.6%
無回答
2.2%
医療安全管理で困ったこと
「ない」(76.4%)との回答が多いが、「ある」との回答も16.0%
<医 科> <歯 科>
13.0%が「ある」と回答
ある
16.0%
ない
76.4%
無回答
7.6%ある
13.0%
ない
78.3%
無回答
8.6%
○レントゲン撮影での防護着の忘れ・レントゲン装置の手前に、目に付くように防護着を置く
・レントゲン撮影前にスタッフ一同で確認する
○撮影部位の間違い・撮影時にPtにも撮影部位を確認する
・次回の治療内容予定を確実に紙に記入する
ヒヤリハットを減らすための改善事例
<検 査>
○歯冠修復物の誤飲防止・治療の際、チェアを水平にせず起こして行う
・口腔内にガーゼを置く
・患者に左右どちらかに向いてもらうと、頬部に落ちて気道には落ちない
○口腔内へのファイル、インレー等の落下・口呼吸の患者には鼻呼吸するように促す
・咽頭の開閉をチェックし、ガーゼを当てながら治療する
<処置・手術> ①
○処置(治療)部位の間違い・治療前に前回の記録、パノラマ、口腔内、患者への確認を徹底する
・治療する部位を鏡で患者に見せて、患歯を患者にも確認してもらう
○BP製剤、ワーファリン・バッファリン等血栓予防の服用者の抜歯
・問診、服用薬剤のチェックをしっかりしてから抜歯
・手術前に患者の病歴、飲み薬を良く聞く
<処置・手術> ②
○針刺し・麻酔用注射針のキャップをつけるときは片手で行う
・リキャップしない
○麻酔などによるショック症状・朝礼にて、その日の来院患者の病歴状態と治療のチェック
<注射・麻酔>
○補綴物の誤飲・のどのところにガーゼを広げて置いておく。半座位での治療をしない
○補綴物の取り違え・患者のフルネームを記載。年齢までしっかり記入
<補綴・保存>
○薬剤アレルギーのある患者への抗生物質の投与・カルテに目立つように表示し診療前に確認する。受付でも確認しダブル
チェックする
○薬剤の間違い・入れる容器をはっきり分かるように違うものにする。名前を大きく書く
・色別に分ける
<投 薬>
○高齢者の方のチェアから離れる時の転倒・診察室から出られるまで目を離さない
○段差での転倒・高齢者や足の不自由な方には、スタッフが付き添う
○階段での転倒・手摺りを両側に付けた
<転倒・転落>
○同姓同名の患者など患者誘導の間違い・生年月日、フルネームでの確認
・カルテに赤字で同姓同名ありと記入
○保険証の返却忘れ、返却間違い・確認したらすぐ返す
・診察券とクリップなどでとめておく
・本人であることを確認して返却
<対応・説明・接遇> ①
○技工物ができていない日にアポイント・予約前にパソコン及びスタッフ間で確認
○診療内容・方針の誤解によるトラブル・口腔内カメラを用いて診療経過について説明、インフォームドコンセントの
徹底
・支払いに関するトラブルは、印刷物の提供など金額や内容について理解を
深めてもらう
<対応・説明・接遇> ②
◇ 医 科
「院外処方」、従業員「5~9人」、年齢「50~60歳未満」、開業歴「10~20年未満」、1日の外来患者数「30~50人未満」が最も多い
◇ 歯 科
「院内処方」、「2~3人」「50~60歳未満」「20~30年未満」「20人未満」が最も多い
結果のまとめ
回答者は、医科は院外処方、歯科は院内処方が多数
検討委員会や担当者、院内での広報・周知などを含めた
報告体制については、全体として、医科のほうが歯科より
体制が構築されている傾向
◇ 報告体制 「あり」 ・・・ 医科 54.9% 歯科 46.9%
◇ 検討委員会 「あり」 ・・・ 医科 27.4% 歯科 15.9%
◇ 担当者が 「いる」 ・・・ 医科 41.0% 歯科 34.3%
ヒヤリ・ハットの報告体制は医科で過半数、歯科で46.9%
◇ この1年間で「報告あり」
歯科は36.3%だが、医科では50.7%と過半数を超える
◇ 1カ月の報告件数
「5件未満」が医科(87.3%)歯科(95.7%)とも圧倒的多数だ
が、医科では「15件以上」も3.1%(16人)
ヒヤリ・ハットの報告の有無や件数は、医科が歯科を上回る
医科は、「投薬」(61.0%)が圧倒的に多く、歯科では「処置・手
術」(49.0%)がトップ
次に多いのが、医科(25.9%)歯科(41.2%)とも「対応、説明・
接遇」で、続いて、医科は「注射・点滴」(23.3%)、歯科は「補
綴」(32.3%)
ヒヤリ・ハットの行為は、医科は「投薬」、歯科は「処置・手術」
医科は、「受付」(48.4%)、「診察室」(37.8%)、「処置室」(35.3%)の順で、歯科は、「診察室」(88.5%)が圧倒的に多い
以下、「受付」(25.1%)、「待合室」(14.1%)
ヒヤリ・ハットの場所は歯科では「診察室」が圧倒的に多い
「確認不足」が医科(82.7%)、歯科(63.7%)ともトップ
続いて、医科は「観察不足」(24.9%)、「職員間のコミュニケーション不足」(15.1%)、歯科は「観察不足」(27.7%)、「患者への説明不足」(20.5%)の順
ヒヤリ・ハットの原因は医科も歯科も確認不足、観察不足
医科(34.7%)、歯科(33.2%)ともに3割強が「あり」と回答
医科歯科ともに3割強が医療安全管理で独自の工夫