Mda framework for sig bg 20130202

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MDAFramework MDAフレームワーク Kenneth Chan(ケネス・チャン) @chankenneth

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Slide for SIG-BG MDA workshop in Feb 2, 2013

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MDAフレームワーク Kenneth Chan(ケネス・チャン)

@chankenneth

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ゲームを語ろう

• ゲーム、それは楽しいもの

• なんで楽しい?

• どうやって楽しい?

• 何が楽しい?

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ゲームの共通言語

• …なんてものは存在していない

• 「FF楽しいよね!」 – グラフィック綺麗だし – 物語が面白いし – キャラクターかわいいし – ゲームのテンポがいいし – バトル仕様の設計がうまいし

• で、なんで楽しいの?

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意識の共有に必要な「コンテクスト」

• Context • 定義:文脈や背景となる分野によってさまざまな用例がある言葉であるが、一般的に「文脈」と訳されることが多い。文脈により「脈絡」、「状況」、「前後関係」、「背景」などとも訳される。

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コンテクストを共有しよう

• コンテクストがなければゲームは作れない – 共通認識がないから

• コンテクストがなければゲームは分析できない

– 共通認識がないから

• MDAはゲームにおいてコンテクストを与えてくれる思想プロセスの土台である

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MDAフレームワークの紹介

• Marc LeBlancが提唱するゲームの構造のコンテクストを共有するための思想プロセス、総論

• 2004年に論文化されている

• GDCで毎回ワークショップを開催している

• ゲームの設計、分析、研究をつなげるフレームワーク

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ゲームの基本構造

ルール

システム

楽しさ・面白さ

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MDAにおけるゲームに基本構造

[M]echanics

[D]ynamics

[A]esthetics

メカニックス

ダイナミックス

アスセティックス

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MとDとAの定義

• Mechanics (メカニックス) • データ、アルゴリズムレベルのゲームの根本的な仕組み

• Dynamics (ダイナミックス) • 様々なMechanicsの相互作用。プレイヤーの操作によって生まれてくる展開

• Aesthetics (アスセティックス・表現) • ゲームとインタラクションを通してプレイヤーが感じる望まれる感情

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作り手と消費者:2つの異なる観点

[M]echanics

[D]ynamics

メカニックス

ダイナミックス

アスセティックス

[A]esthetics

製作者視点

消費者視点

どっちの視点も大事!

製作者視点はコンテクストの共有をすっ飛ばしやすい!

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Aesthetics:それは楽しさ

• FFは楽しいよね

• Haloは楽しいよね

• Simsは楽しいよね

• 楽しいゲームがいっぱいだね!

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Aestheticsを具体化しよう

• Sensation (知覚):知覚的な喜びを与えるゲーム • Fantasy(ファンタジー):仮想世界として楽しめるゲーム • Narrative(物語):物語として楽しめるゲーム • Challenge(挑戦):障害を乗り越える楽しみを味わえるゲーム • Fellowship(仲間意識):ソーシャルフレームワークとしてのゲーム

• Discovery(探検):見知らぬ領域を探検する楽しみを味わえるゲーム

• Expression(表現):自己発見としてのゲーム • Submission(服従):暇つぶしとしてのゲーム

• まだまだた色んな「面白さ」と「楽しさ」がある!その場での共同認識が取れればコンテクストになる!

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Aestheticsをモデル化しよう

• FFの楽しさは:ファンタジー、物語、表現、探検、挑戦

• Haloの楽しさは:挑戦、知覚、競争、ファンタジー

• Simsの楽しさは:探検、ファンタジー、表現、物語

• まずこれでコンテクストを共有しよう!

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Dynamics:それは「ゲーム性」

• Mechanicsによって生み出される展開

• プレイヤーの行動理由とその結果を探る際に検討される項目

• プレイヤーの行動予測、ゲームバランスの想定などには必要不可欠!

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Dynamicsをモデル化しよう

• 2d6のモデル

• とても簡単な分布図

• 何万回もサイコロを投げた場合の値の的中確率 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

確率

合計

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Dynamicsのモデルを分析しよう

• モノポリーのモデル

• 多人数の相互作用が働く

• 負ければ負けるほど、負ける

• 勝てば勝つほど、勝つ

• 考え方によればバランス崩壊とも取れる?!

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Mechanics:それはゲーム世界のルール

• 必要なDynamicsを実現するためのカラクリ – 不要なDynamicsを実現させないためのカラクリ

• トランプのMechanics:カードシャッフル、賭け、カードを見せないなど

• FPSゲームのMechanics:弾薬、復活ポイント、自動充電型シールドなど

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Mechanicsには必ず意味がある!

• Dynamicsを生み出すためのカラクリだから!ゲームの循環には必要不可欠!

• Mechanicsによって直接生み出すDynamicsは比較的に予測しやすい

• Mechanicsによって間接的に生み出される

Dynamicsは予測しにくい

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MechanicsとDynamicsの関係

• 直接に生み出されるDynamics – モノポリーでは金を稼いで土地を買って、更に金を稼ぐゲームプレイが展開される

– FPSゲームに弾切れと弾薬回復アイテムを入れることで、戦闘が長引けば弾薬をめぐる戦いが始まる

• 間接的に生み出されるDynamics

– モノポリーの貧富の差の問題 – FPSゲームの弾薬回復アイテム出現ポイントに芋るやつらが現れる…

芋:FPSなどで展開を無視してずっと同じところに篭るプレイヤーのこと。人権が認められない。滅ぶべし。

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MDAの実践

• 想定しているAestheticsを実現するために、どんなDynamicsが必要か?

• そのためにどんなMechanicsが必要か?

• Mechanicsが予想外のDynamicsを生み出していないか?

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MDAの実践サイクル

[M]echanics

[D]ynamics

[A]esthetics 結果

処理

手段

③意図した処理が実現可能なのか? 意図していない処理が働かないか?

②どんな手段をとれば意図した処理が実現できるか?

①どんな処理があれば望まれる結果が得られるか?

④望まれる結果はちゃんと得られたか?

製作する際も分析する際も同じプロセス!

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MDAによるコンテクストの明確化

• Aestheticsを軸にした思考プロセスはぶれない – スタート地点とゴールが一緒だから、プロセスのサイクル回数をこなすほどコンテクストが強くなる!

• 仕様ではなく、最終的な目標を明確に定義することで参加者全員同じ方向に向かって走るようになる

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製作者側のMDA

• こんなAestheticsを持つゲームが作りたいね!

• そのためにはきっとこういうDynamicsが必要だ!

• じゃあ、こんな感じのMechanicsとかはどう?

• そうか!確かにそれはいけるね!じゃあ、変な間接Dynamicsがないか色々検証してみよう!

• 検証終わり!すべて予想通り!ゲームのロジックに破綻はない!これで勝つる!

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分析者側のMDA

• このゲームのAestheticsはこうだ!

• このゲームの展開を見れば、Dynamicsこういう風にAestheticsを実現していることがわかるんだ!

• このゲームのMechanicsはこういう風にDynamicsを生み出しているんだ!

• だからつくりがうまいんだ!だから楽しく感じるんだ!ぶれないゲームってすごいね!

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たとえばこんなこともできる

• 既存のゲームを分析し、コンテクスト込みでいいところ取りして自分のゲームに入れられる

• 自分のゲームを分析して改良の計画をより簡単に立てられる

• 自分が思ったことをより簡単に他人と共有できる

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MDAの欠点

• 共通言語とは程遠い – 議論の土台であり、思考が脱線しないようなプロセスでしかない

• Dynamicsの分析は人次第

• MDAを使ったとしても、すべての人が必ず同じ結論を出すとは限らない

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それでもMDAを使う!

• 重要なのはMDAを通して、ロジックの通し方の共有ができること

• 意見が異なったとしても、「お前のロジックはここで破綻している!」や「お前のロジックのここの部分に賛成できない!」など、ピンポイントな議論ができる

• 思想が脱線せずに、仲間と一緒意識を共有できる

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MDAに重要なのは実践

• さっそくやってみよう!

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MDA Frameworkリソース

• MDA Framework提唱者Marc Leblanc氏のホームページ: – http://8kindsoffun.com/ – GDCのスライド、ワークショップのマテリアル、セミナー資料なだが載っています

• MDA Framework論文: – http://goo.gl/jtYM5 (英語) – http://goo.gl/Wojlq (論文の一部の日本語訳)

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