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ICT とアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察 姫路日ノ本短期大学(4月就任予定) ICT とアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察 -タブレット PC と民間英語アプリの活用- 津田 敏 A study of the primary schoolchild English education teaching by using the App and ICT using the private English App and Tablet PC Satoshi Tsuda 要旨 2020(平成 32)年より英語教育の義務化が実施される運びとなっている。2018(平成 304 月からの義務化は、それに先駆け義務化完全実施の準備として導入される。 5 6 年生はす でに外国語活動として義務化されているが、34 年生においても必修化される運びである。 本稿は、これまでの学校英語とグローバル社会が求める英語力について論じ、これからの小 学校英語教育は、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力の育成に重きを置いた実践 的な英語を身につけることをねらいとしていることを踏まえ、ICT を特にタブレット PC と民 間英語アプリを活用することは、小学校英語教育を補完するとともに小学生にとっては充実し た英語指導となるものであることを示唆した。 1.これまでの日本の英語教育 21 世紀を迎え、国際化、情報化時代の進展と共に日本人の英語運用能力の必要性は高まる ばかりである。」「英語第二公用語論等も真剣に議論されるようになってきている。」 (1) 15 近く前から英語教育の在り方が話題になり議論されていた。もちろん英語教育が停滞していた 訳ではない。英語教育の方向性や提言がなされ指導改善は行われて来た。しかし、「入試のため に教えるという意識が強く、知識中心の文法訳読式の指導法から脱却しきれていない状況」 (2) と指摘されているように日本の英語教育は大きくは変化がなかったと言えるのである。もちろ ん、改善がなされ大学入試センター試験においてリスニングが取り入れられたことから、中学 や高校においてもその教育はなされて来た。しかし、その比重は小さい (3) と言わざるを得ない のである。 比重の小ささを数値で示しているデータがある。英語力の指標として TOEFL の成績国際比 較(2015 年)があるので示す。(表 1結論から述べれば、日本の学校英語教育はグローバル社会で通用する英語力には及んでいな いということである。日本はアジア 30 か国の中でトータルにおいて 26 位である。1 位のシン ガポールとはトータルで 26 点の差がある。リーディング、リスニング、スピーキング、ライ ティング 4 領域で平均 6.5 点の差があることになる。 30 点満点なので、6.5 点の差は 100 点に

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

姫路日ノ本短期大学(4月就任予定)

ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

-タブレット PCと民間英語アプリの活用-

津田 敏

A study of the primary schoolchild English education teaching by using the App and ICT

- using the private English App and Tablet PC -

Satoshi Tsuda

要旨

2020(平成 32)年より英語教育の義務化が実施される運びとなっている。2018(平成 30)

年 4月からの義務化は、それに先駆け義務化完全実施の準備として導入される。5・6年生はす

でに外国語活動として義務化されているが、3・4年生においても必修化される運びである。

本稿は、これまでの学校英語とグローバル社会が求める英語力について論じ、これからの小

学校英語教育は、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力の育成に重きを置いた実践

的な英語を身につけることをねらいとしていることを踏まえ、ICTを特にタブレット PCと民

間英語アプリを活用することは、小学校英語教育を補完するとともに小学生にとっては充実し

た英語指導となるものであることを示唆した。

1.これまでの日本の英語教育

「21世紀を迎え、国際化、情報化時代の進展と共に日本人の英語運用能力の必要性は高まる

ばかりである。」「英語第二公用語論等も真剣に議論されるようになってきている。」(1)と 15年

近く前から英語教育の在り方が話題になり議論されていた。もちろん英語教育が停滞していた

訳ではない。英語教育の方向性や提言がなされ指導改善は行われて来た。しかし、「入試のため

に教えるという意識が強く、知識中心の文法訳読式の指導法から脱却しきれていない状況」(2)

と指摘されているように日本の英語教育は大きくは変化がなかったと言えるのである。もちろ

ん、改善がなされ大学入試センター試験においてリスニングが取り入れられたことから、中学

や高校においてもその教育はなされて来た。しかし、その比重は小さい(3)と言わざるを得ない

のである。

比重の小ささを数値で示しているデータがある。英語力の指標として TOEFLの成績国際比

較(2015年)があるので示す。(表 1)

結論から述べれば、日本の学校英語教育はグローバル社会で通用する英語力には及んでいな

いということである。日本はアジア 30か国の中でトータルにおいて 26位である。1位のシン

ガポールとはトータルで 26 点の差がある。リーディング、リスニング、スピーキング、ライ

ティング 4領域で平均 6.5点の差があることになる。30点満点なので、6.5点の差は 100点に

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津田 敏

換算すると 21.6ポイントの差ということになる。アジア 30か国中最下位のラオスと比較する

と、トータルにおいて 5 点の差でしかなく 4 領域では平均 1.1 点の差であり、3.6 ポイントの

差ということになる。大学入試センター試験において取り入れられて来たリスニングについて

見ると、下位 2位という成績である。スピーキングは 30か国中最下位の成績である。

次に、2015(平成 27)年 6月末から 7月末まで全国国公立の高校生約 81,000人を対象に実

施された「英語教育改善のための英語力調査」を見る。英検準 2級以上の「読む」のレベルに

達しているのは 30.8%、「聞く」で 25.0%、「書く」で 18.5%、「話す」に至っては英検 3級か

ら 5級レベルで 0点が 18.5%もいた(4)という結果である。

これら TOEFL成績国際比較の結果や英語力調査を見る限り、「未だに受験英語が優先され

ているのが現状」「使えない受験英語」(5)と指摘されても致し方ない英語力であり、英語教育と

いうことである。

2.グローバル社会で求められる英語力

未だに受験英語が優先されている日本の英語教育であるが、現状世界情勢は国境を越えて高

速に「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」が移動し、全世界規模で対応するグローバル化状況となっ

ている。これらの状況下で生き抜く力を持った人材すなわちグローバル人材を育成・活用して

いかなければならないと国はその対策を講じようといているのである。グローバル人材は次の

ような要素で概念づけられている。(6)

表1:TOEFL iBT2015 アジア各国項目別スコア&ランキング

№ 国(地区) Tota l (120点) Reading (30) Li s tening (30) Speak ing (30) Wri ti ng (30)

1 シンガポール 97 24 25 23 25

2 パキスタン 91 22 23 24 23

3 インド 90 22 23 23 23

4 フィリピン 90 21 22 23 23

5 マレーシア 89 22 22 21 23

6 バングラデシュ 85 21 21 21 22

7 香港 85 20 21 21 22

8 スリランカ 85 20 22 22 21

9 インドネシア 84 21 21 21 22

10 韓国 83 22 21 20 21

11 アゼルバイジャン 81 19 20 21 20

12 カザフスタン 80 19 20 21 20

13 北朝鮮 80 20 20 20 20

14 ミャンマー 80 19 20 20 21

15 台湾 80 20 20 20 20

16 ベトナム 80 20 19 19 21

17 中国 78 20 18 19 20

18 トルクメニスタン 78 18 20 21 19

19 ウズベキスタン 78 18 19 21 20

20 マカオ 77 18 19 19 20

21 タイ 77 19 19 19 20

22 キルギス 76 17 19 21 19

23 ネパール 76 17 18 20 20

24 モンゴル 75 18 19 19 19

25 ブータン 72 15 17 21 19

26 日本 71 18 17 17 18

27 アフガニスタン 69 14 16 20 18

28 カンボジア 68 15 16 19 18

29 タジキスタン 68 15 16 20 18

30 ラオス 66 14 16 19 18

出所:Test and Score Data TOEFL iBT 2015 -Asia- より

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

図 2:上場企業の英語使用部門での各技能使

用割合

出所:2013年「上場企業における英語活用

実態調査」報告書P5より

図 3:上場企業が海外進出する上で重要視す

るもの

出所:2013年「上場企業における英語活用

実態調査」報告書P5より

図 1:上場企業の業務での英語利用

出所:2013年「上場企業における英語活用

実態調査」報告書P5より

要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能力

要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感

要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ

要素Ⅱ・Ⅲは数値化することは容易ではないが、要素Ⅰについては測定が容易でありかつグ

ローバル社会にあってはなくてはならない能力である。語学の中でも英語は、母国語とする国

の人たちの言語から、グローバル社会の基盤となるリテラシーの一つへと変わって来ている。

広範なコミュニケーションのための重要な能力であるばかりか思考力や表現力などの基盤とな

るものでもある。(7)

我が国の企業においてもグローバル社会で求めら

れる英語は重要と位置づけている。

IiBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーシ

ョン協会)は、2013(平成 25)年、「上場企業におけ

る英語活用実態調査」報告書を発表している。

上場企業の 75.0%が業務で英語を使用している

ことが解かる。(英語を使用する部署・部門がある

45.7%、特定部署・部門はないが英語使用はある

29.3%)(図 1)

次に、英語の技能(リーディング、スピーキング、

ライティング、リスニング)についての調査結果で

ある。リーディングは 27.2%とやや高い使用割合と

なっているが、スピーキング 23.2%、ライティング

26.5%、リスニング 23.1%と英語の 4技能ともバラ

ンスよく使用されていることが解かる。(図 2)

次に、企業が海外進出する上で最重要視するもの

についてである。

海外で勤務出来る人材の育成を推進する 52.2%、

本社で国籍を問わず優秀な人材を採用する 19.7%

とあり合わせると 71.9%となる。上場企業は海外で

勤務可能なグローバル人材の育成なり採用を高く挙

げていることが解かる。(図 3)

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津田 敏

図 4:上場企業の国際部門での業務遂行にお

ける英語力

出所:2013年「上場企業における英語活用

実態調査」報告書P5より

図 5:企業が求める英語力とビジネス

パーソンの英語力比較

出所:https://doda.jp/guide/ ranking

/056.html 2017.10.02

次に、上場企業の国際部門での業務遂行における英

語力についてである。

上場企業が国際部門で業務をスムーズに遂行でき

る英語力としては、68.6%の企業がTOEIC700点以

上としている。上場企業の 1割以上に当たる 11.1%

の企業は、900 点以上を挙げ、グローバル社会では

高い英語力が必要であることを示している。(図 4)

もちろん、グローバル化による英語力を求める企業は上場企業ばかりではない。

次に、求人情報・転職サイトDODA(デューダ)が、インターネット調査「グローバル採用

の実態調査 2012」を行い、25歳〜34歳の正社員・契約社員 5,000件の有効回答数を得て報告

されたデータがあるので示す。(図 5)

この調査報告から、企業の 61.0%が英語の初級レベ

ルを求めているのに対し、ビジネスパーソンの 23.8%

が保有しているがその差は 37.2%である。中級レベル

は 31.8%の企業が求めているのに対し 22.2%が保有

している。その差は 9.6%である。上級レベルは 29.2%

の企業が求めているのに対し 13.8%が保有しその差

は 15.4%という報告である。初級レベルはTOEICテ

スト 500点以下、中級レベルは 800点以下、上級レベ

ルは 800点以上を目安として調査した英語力である。

これらのことから解かるように、企業の多くが英語

力を求めているのに対し、ビジネスパーソンの英語力

は企業が求めるレベルに達していないということであ

る。初級レベルにおいて 37.2%と企業とビジネスパー

ソンとには差があり、日本人の現在のビジネスパーソ

ンの英語力の低さが明らかとなっているのである。

3.グローバル社会の求める英語力を培う英語教育

これまで英語教育の方向性や提言がなされ指導改善は行われて来た。しかし、グローバル社

会の求める人材の育成特に英語力に関しては成果が微々たるもので、「グローバル化の波は容赦

なく押し寄せ、教育界においてもその対応に迫られている。」(8)と指摘されていたが、文科省は

教育改革に動いたのである。2020(平成 32)年から英語教育の義務化を決め、義務化完全実

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

施の準備として 2018(平成 30)年から小学校で英語教育の義務化をスタートさせるのである。

また、2020(平成 32)年から現行の大学入試センター試験に代わり英語については民間の検

定資格を活用するとしたのである。現行の「受験英語」から脱却し、「外国語を通じて、言語や

文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情

報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケー ション能力を養う。」(9)こ

とを目標とする英語教育に改善するとしたのである。

小学校の 5・6 年生に対する英語教育では英語の特質を踏まえ、聞くこと、読むこと、話す

こと[やり取り]、話すこと[発表]、書くことの 5領域を設定し目標の実現を目指すとし(10)、3・

4 年生の外国語活動についてはコミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成するこ

とを目指す(11)としているのである。

大学入試に民間検定資格を活用することについては、スコアを取得していれば入試の一発勝

負をしなくても済むことや受験がしやすいこと、また留学を始めとする国際的な様々なことに

ついて互換性があること、TOEIC を利用している民間企業が多いので就職後必ず得をするこ

と等をあげ大学入試の民間検定資格活用は意義があり効果があると評価(12)しているのである。

しかしながら、これまでも英語教育の方向性や提言がなされ指導改善は行われて来たが、「受

験英語」の域から脱却できなかったのである。2020(平成 32)年からの教育改革を実あるも

のにするにはどのような英語教育を成して行かなければならないかということである。これま

での英語教育は、地域や学校、教員により外国語活動に差が生じていたこと、また、ALT(外

国語指導助手)を採用しても担任との連携がうまく出来なかったり ALT に指導を任せたりと

指導において課題が存在したこと、小学校では、楽しむことや親しむことが優先され体系的な

学習が行われてこなかったこと、小学校での学習が中学校でまた中学校での学習内容を高校で

発展的に生かされて来なかったこと等の課題があり改善に取り組んでいくことが大切である。

しかしながら、一番の指導改善は、グローバル社会を生き抜く英語力を培う指導法である。「外

国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、コミュニケーショ

ンを図る基礎となる資質・能力の育成」を成し遂げる英語教育の確立である。

4.ICT活用と小学校英語教育

高等学校、中学校の英語科は英語教育職員免許状(教員免許)を保持している教員が授業を

担当している。しかしながら、2018(平成 30)年からの小学校での英語の義務化に伴う英語

を担当する教員が英語教員免許を所有しているのはごく少数である。2015(平成 27)年の文

科省による小学校教員の英語免許状所有の調査では教員総数 350,136 人の 4.9%に当たる

17,259人が英語教員免許を所有しているとのことであった。また、英語能力に関する外部試験

(英検、TOEFL、TOEIC)受験経験者は 36.6%の 128,059人であり、英検準 1級以上の取得

者は 1.0%の 3,433 人であった。海外留学経験者は、5.4%の 19,016 人、半年以上の留学経験

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津田 敏

図 6:ICT機器活用状況(%)

出所:平成 24年度 教育 ICT活用事例集 P7より

5.0

6.7

11.7

35.0

41.7

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0

その他

実物投影機

PC

電子黒板

タブレットPC

者は 1.5%の 5,122人であった。(13)

このデータから明らかなように、グローバル社会が求める英語力を培うための基礎となる資

質・能力の育成を現状の小学校教員に求めるのには課題が多いと言わざるを得ないのである。

よって文科省は、現職教員への英語研修、小学校教員志望者への英検 2級程度の英語力を身に

つける目標の設定(14)、ALT(外国語指導助手)の採用等、児童の英語力向上のための試みを提

案実施している。これら文科省の提案実施は即効性のあるものではないが期待して待つしかな

いのである。

課題は、現状の小学校教員の英語力で英語の 4領域、特に聞く、話すをどのような指導で効

果を上げるかということである。言語の特性からして簡潔に述べれば、4 領域特に聞く、話す

については数多く繰り返すことが習得に結び付くことは確かなことである。小学生に対する英

語の指導については、ICT機器と英語専用アプリを活用することにより現状の教員環境下での

英語指導を補完することが出来るのではないかと思われるのである。

2013(平成 25)年 3月、一般財団法人 日本視聴覚教育協会が文科省委託「国内の ICT教

育活用好事例の収集・普及・促進に関する調査研究事業」で「平成 24年度 教育 ICT活用事

例集」を発表している。その中で ICT機器の活用状況(図 6)及び ICT活用スタイルを記して

いるので示す。

図 6で明らかなように、ICT機器

活用状況においてはタブレット

PC が 41.7%でトップ、ついて電

子黒板 35.0%、PC11.7%と続いて

いる。PC との差が 30.0%ありど

うして PC よりもタブレット PC

の活用が多いのかということであ

る。この事由は次の ICT活用スタ

イル(表 2)及び児童生徒実践型

における「主に活用した ICT機器」(表 3)より明らかとなる。

表2:ICT活用スタイルの集計(%)

教師説明型 3.3

児童生徒実践型 40.0

同時進行型 26.7

児童生徒発表型 23.3

児童生徒自主学習型 6.7

合計 100.0

出所:平成24年度 教育ICT活用事例集P8より

表3:児童生徒実践型における「主に活用したICT機器」(%)

タブレットPC 45.9

PC 20.8

実物投影機 18.5

電子黒板 13.5

その他 1.3

合計 100.0

出所:平成24年度 教育ICT活用事例集P8より

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

ICT活用スタイルを見ると、児童生徒実践型が 40.0%、同時進行型が 26.7%、児童生徒発表

型が 23.3%と続くが、児童生徒が ICT を主に活用しているであろう児童生徒実践型及び児童

生徒発表型を合わせると 63.3%となり ICT 活用スタイルは文科省が推奨しているアクティブ

ラーニング教育に直結する教育法であることが解かる。そして、その児童生徒実践型において

主に活用した ICT 機器がタブレット PC で 45.9%、次いで PC の 20.8%となっている。タブ

レット PCの活用が PCの 2倍以上の活用である。つまり、タブレット PCの活用は児童生徒

参加型のアクティブラーニング教育において児童生徒は高い評価をしているということである。

タブレット PCが授業で使用するのに好ましいと挙げられるのは、パソコン教室といった特

別教室に移動することなく普通教室で利用が可能であること、起動が早いので授業の合間でも

利用することが出来ること、画像・音声を利用した電子書籍として利用が出来ること、タッチ

パネル方式で児童のような小さな手でも扱いやすいこと、手に持ってアプリケーションが利用

できること(15)等があるということであろう。「手に持って操作するというパソコンにはない使

い方は、教育機器としてのタブレット端末の価値を大いに高める利用法」(16)とタブレットの特

徴を評価できるからである。

次に文科省により、2015(平成 27)年 3 月、「教育の情報化について-現状と課題-」で、

タブレット端末を活用した統計学的な結果を発表しているので示す。

客観テストの結果は、小・中学校ともに、知識理解、思考判断表現、技能の全ての観点にお

いて成績が伸びているとの結果である。(図 7)

児童・生徒の意識調査の結果においても、タブレット端末を活用した方が高い評価を示す結

果である。(図 8)

図 7:客観テストの結果

出所:文科省「教育の情報化について-現状と課題-」P21より

図 8:児童生徒の意識調査の結果

出所:文科省「教育の情報化について-現状と課題-」P21より

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津田 敏

図 10:小学校外国語活動テキスト

「Hi, friends! Plus」

出所:

https://www.tokyo-shoseki.co.jp/

hi_friends/friends.html 2017.10.11現在

図 9:小学校外国語活動テキスト

「Hi,friends !1・2」

出所:

https://www.tokyo-shoseki.co.jp/

hi_friends/friends.html 2017.10.11現在

文科省は、2014(平成 26)年 5月、「英語教育における ICTの活用」を発表しているが、英

語教育における ICT活用の利点として、

①英語に対する興味関心を高める

・動的、インタラクティブなコンテンツの提供

・一人一人の能力や特性に応じた学びが可能

②学習効果を高める

・Native音声による教材

・コミュニケーションツール等の活用により他地域・海外との交流学習

③進捗確認/課題発見に役立つ

・デジタルなログ管理

・家庭学習、他学校等との連携

を挙げている。

これら調査結果や利点を見る限り ICT活用による教育効果は上がると判断できる。特に、タ

ブレット PC のように小さな児童でも使用できる機器が手元にあれば、使う機会が増え効果が

上がることは確かなようである。しかし、児童生徒に評価が高いタブレット PCであっても、

優れたソフトウェアが保存され、活用する機会を多くしてこそ教育効果が上がるのである。文

科省は、「英語教育における ICT の活用」で利点として、動的、インタラクティブなコンテン

ツの提供、Native音声による教材を挙げている。画像・音声を利用した電子書籍やアプリとい

ったソフトウェアは重要であるということである。小学生英語教育にとって、異文化の言語に

興味関心を持ち自主的に学習をして、聞く、話すというような学習行動を取ることは大切なこ

とである。いつでも手軽にタブレット PCが使え、英語の 4領域を学習できれば小学生の英語

教育はかなり効果を発揮できるものと思われるのである。

文科省は、2012

(平成 24)年 4月よ

り小学校 5・6 年生

の外国語活動のテキ

スト「Hi, friends!

1・2」(図 9)を文部

科学省著作物として

配布提供している。

小学校教員は、文科省から配布の「英語ノート」を活用して授業を進めて来たのである。さら

に、2015(平成 27)年 4月、新たな補助教材として、「Hi, friends! Plus」が「Hi, friends!」

の内容に映像や音声を活用した「文字指導」「語順に対する気付き」を付け加え作成され提示さ

れた。(図 10)デジタル教材(CD-ROM)も作成された。

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

図 11:3年生用補助教材

出所:文科省 中学年を対象

とした絵本活用に関する基

本的な考え方より

図 12:4年生用補助教材

出所:文科省 中学年を対象

とした絵本活用に関する基本

的な考え方より

また文科省は、2018(平成 30)年からの小学校英語の義務化に伴い、新たに外国語教育に

おける補助教材「Hi, friends story books」として、3年生用に「In the Autumn Forest」(図

11)、4年生用に「Good Morning」(図 12)を開発した。新教材のポイントとして、「児童の興

味関心が高い題材のもとで、児童

にとって身近な場面設定をし、簡

単な語句や表現を使って、自分の

ことや身の回りのことについて友

達に質問したり、質問に答えたり

しながら、外国語によるコミュニ

ケーションを体験し、コミュニケ

ーション能力の素地育成に資するもの」「小学校中学年児童の発達段階に応じた「聞くこと」「話

すこと」の体験を中心とした外国語活動において活用する「絵本」及び「音声を含んだデジタ

ル教材」」としている。(17)教室用大型絵本と児童用小型絵本の 2 種類とデジタル教材「Hi,

friends! Story Books」(DVD)を配布するとしている。

文科省は、絵本教材の活用として、「コミュニケーションは、「話す」ことというより、相手

の話を「聞く」ことから始まる。聞いて相手の話していることがわかる体験を児童にさせるこ

とが大切である。」(18)とし、絵本の読み聞かせをし、絵本の絵から情報を読み取り、状況を理

解させ、「聞いてわかる」体験をさせるためのテキストとして活用するとしている。「外国語の

効果的運用に必要な外国語知識を身につけるための基盤の形成」(19)のためとしているのである。

それでは、どのくらいの時間を掛けて英語教育が実施されるのか、2018(平成 30)年 4 月

からの小学校外国語教育の年間単位時間について見てみよう。(表 4)

2018(平成 30)年の 4月より 2年間は、3・4年生の年間単位時間は 15単位、5・6年生は

50 単位である。5・6 年生は 1 週に 1.4 単位は授業として英語学習があり、成績として評価さ

れることになっている。3・4年生の外国語活動は、5・6年生の 3割弱の単位時間であり、2.3

週に 1単位くらいの授業である。2020(平成 32)年からは、3・4年生は 15単位から 35単位

に、5・6年生は 50 単位から 70単位に増える予定になっている。3・4 年生は 1 週に 1単位、

表 4:外国語教育における新学習指導要領の円滑な実施に向けての移行措置(案)

2018(H30)年度 2019(H31)年度 2020(H32)年度 2021(H33)年度 2022(H34)年度

高等学校

小6(15→50) 中1 中2 中3 高1

小5(15→50) 小6(15→50) 中1 中2 中3

小4(15) 小5(15→50) 小6(70) 中1 中2

小3(15) 小4(15) 小5(70) 小6(70) 中1

小3(15) 小4(35) 小5(70) 小6(70)

小3(35) 小4(35) 小5(70)

※( )は年間単位時間 出所:文部科学省移行措置(案)参考資料1より抜粋作成

小学校全面実施

中学校全面実施

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津田 敏

5・6年生は 1週に 2単位の授業となるのである。この単位時間で「外国語の効果的運用に必要

な外国語知識を身につけるための基盤の形成」をするとし、3・4年生には聞くこと、話すこと

(やり取り)、話すこと(発表)の 3領域の育成を目標に、絵本の読み聞かせをし、「聞いてわ

かる」体験学習を、5・6年生には 3・4年生の 3領域に読むこと、書くことを加えた 5領域の

育成を目標に実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な英語力を身につけさせる

授業をするのである。

5.小学校英語教育を補完するタブレットPCと民間英語アプリ

英語教育が義務化され、2020(平成 32)年より 3・4 年生で 1 週 1 単位を、5・6 年生は 1

週 2単位を確保されることは、これまでの英語教育を鑑みると大きな改善と評価できるであろ

う。さらに、「視聴覚教材やコンピュータ、情報ネットワーク、教育機器などを有効活用し」(20)

と表記され、統計学的結果から効果ありとされたタブレット端末を活用した教育、また一人一

人の能力や特性に応じた学びが可能とした「英語教育における ICTの活用」等が評価され、タ

ブレットPCや ICTを活用して英語教育の充実を図るものとしている。

これら文科省の小学校英語教育の方針は、今までにない英語教育の成果が表れることを期待

するものである。しかしながら、2018(平成 30)年の 4月より 2年間は、3・4年生は 2.3週

に 1単位くらいの授業、5・6年生は 1週に 1.4単位の授業である。2020(平成 32)年より 3・

4年生で 1週 1単位、5・6年生は 1週 2単位に増えるが、これらの単位時間や小学校教員の英

語力、さらには一人一人の能力や特性に応じた学び、家庭学習について考慮した時、グローバ

ル社会が求める英語力を培うための基礎となる資質・能力の育成としては課題があると思われ

るのである。これら小学校英語教育の課題を補完するものとして次のことを提示する。

児童のタブレット PCを利用した民間英語アプリの活用

現在、NHK総合が制作する子ども向け英語学習番組「えいごであそぼ」、英国の公共放送局

BBCが制作した子ども向けコンテンツサイト「BBC School」、カナダの公共放送局CBCが制

作した子ども向けコンテンツサイト「CBC_CA/KIDS」、英国の幼児向けアニメーション「Bob

the Builder」のサイト等がWebサイトで見ることが出来る。また、民間で開発した英語読み

あげ絵本、図鑑、歌絵本、ストーリといった幼児児童向けの英語アプリが多く出ている。公共

放送局が主なWebサイトでの学習は、ネットワーク環境、セキュリティや有害サイト等の問題

があるため全児童生徒には勧め難い向きはある。これらの問題が克服されるようであれば児童

生徒の英語力を培うにはかなり有益なコンテンツサイトである。

民間の開発した英語学習教材の活用であるが、民間開発ということで公立学校等での活用に

おいては問題視される向きがあるかも知れない。しかし、「ネイティブ・スピーカーや英語が堪

能な地域人材の協力を得る等、指導体制の充実を図るとともに、指導方法の工夫を行うこと。」

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

(21)を拡大解釈して、児童がいつでもどこもでも安心して英語学習が出来るというコンセプトで

あれば、タブレット PC を使用した民間英語アプリの活用は有益な活用ではないかということ

で提示する。タブレット PC を使用した民間英語アプリの活用は、学校教育での単位時間の少

なさや小学校教員の英語力、さらには児童一人一人の能力や特性に応じた学び、家庭学習を補

完することが出来、グローバル社会が求める英語力の基礎となる資質・能力の育成につながる

のではないかということである。

次のような民間英語アプリがある。

〇えいご上手Kids さわって えいご [開発]:CAI MEDIA CO.,LTD.

「えいご上手」は、App Storeの『殿堂入りApp』に選出され有名な英語リ

スニング学習アプリ。そのキッズ版でフラッシュカード・絵あわせなど楽し

い要素いっぱいのキッズ向け英語学習アプリである。

iPhone版|Android版無し

〇キク★キッズ【中級編】 [開発]:MOSPRO, INC.

大人の英語学習者や TOEIC を受ける人なら知っている「キクタン」アプリ

のキッズ版である。特に、「ちゃんつ」と呼ばれる機能は好評で、「チャンツ

音楽」のリズムに乗りながら、見出し語と定義を「耳」と「目」で確認する

ことができる。単語のイラストがアニメーションするので、楽しく確認する

ことができる。iPhone版|Android版(未発表)

〇うたえほん英語版 [開発]:エクシング

累計 120万DLを超えた超人気シリーズ「タッチ!うごくうたえほん」の英

語版。うたをベースに遊びながら、英語や知育の発達を促す子供向け英語教

材アプリである。現役ママ達が我が子のために企画したアプリで、キッズ英

会話教材としては有名になりつつあるアプリである。

追加教材は有料 iPhone版|Android版

〇キッズ英語リズム童謡 “Songbirds Club(ソングバーズクラブ)” [開発]:Kakao Kids

世界中で愛される 50 曲の英語の童謡をミュージカルスタイルの鮮やかな歌

や 3D アニメーションで、楽しみながら英語学習ができる。有名な Mother

Goose(マザーグース)を教材として英語学習ができる。

教材は有料 iPhone版|Android版

〇Toy Story Read-Along [開発]:Disney Publishing Worldwide Applications

・英語による音声読み上げ機能

・映画のアニメーションと音楽が流れる。

・落下傘ゲームと迷路ゲームの 2つのミニゲームのほか、同作のキャ

ラクターのぬりえなどを収録。

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津田 敏

〇Abby Phonics - First Grade HD Free Lite [開発]:Arch Square

・英語圏の小学 1年生向けに作られたフォニックスを学ぶ

・アルファベットと音のルールをもとに知らない単語でも読める

・アルファベットを並べ替えてイラストにあった英単語を完成させる

・4つの単語と 4つのイラストをマッチング、ゲーム感覚で学べる。

〇楽しいABCフォニックス [開発]:SMARTSTUDY PINKFONG

・アニメーションや歌、ゲームで楽しく学べる

・口ずさみたくなるアルファベットソングで、親子で歌って楽しめる

・画面をなぞってアルファベットを書く練習もゲーム感覚で進む

〇しまじろう Hi, Shimajiro! [開発]:Benesse Corporation

・しまじろうが英語で話しかけてくれてアニメで英語に親しめる

・月ごとにコンテンツが変わるから、毎月新鮮な気持ちで楽しめる

・「会員専用アプリ」だけど会員じゃなくても問題なくプレイ可能

〇よみあげ絵本 [開発]:dcWORKS Inc

・音声で朗読してくれるので子供だけで読み聞かせが楽しめる

・英語での読み上げ機能で英語学習としても使える

・無料で 7冊の名作絵本が読める

〇Best Storytime [開発]:SMARTSTUDY PINKFONG

・童話を全て英語で楽しむことができ、子供に興味を持ってもらえる

・赤ずきん、3匹の子豚などを収録

・話はアニメ形式。キャラがコミカルに動き子供に勉強気分にさせない

〇LolaのABC パーティー [開発]:BeiZ

・単なアルファベット、単語の認識をミニゲーム感覚で学べる

・ネイティブスピーカーによるゲーム進行でヒアリングも向上

〇A Charlie Brown Christmas [開発]:Loud Crow Interactive Inc. 490円

・大人気漫画ピーナッツの音声付き絵本

・本物の絵本のようなページめくりや飛び出すアクションが楽しめる

・音声と対応して字幕が強調され英語学習にも最適

〇Fun English: 英語学習 [開発]:Studycat

・3歳から 10歳のお子様向け、言語学習の専門家がデザインしている

・パズルやカードめくりなど、ゲーム感覚で英語を楽しく勉強できる

・色や動物、食べ物等カテゴリ分けで、勉強したい内容が探しやすい

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

〇こどもえいごずかん [開発]:学研

・身の回りのものの言葉を英語と日本語で紹介

・チャンツ、はめ絵ゲーム、シルエットクイズで遊べ、子どもの好奇心

を刺激しながら英語が楽しく身につく。

出所:https://android.app-liv.jp/lifestyle/housekeeping/0965/

出所:http://juken.oricon.co.jp/rank-kids-english/special/education/free_site_appli_sns/

ここに挙げた民間英語アプリは、幼児児童向けに製作開発されたアプリである。小学生高学

年の教材としては幼児向きのアプリでもあり不向きと評価されるかも知れない。しかし、幼児

児童向けに開発されているアプリであるので、児童にとって楽しく興味・関心を持ってネイテ

ィブの英語を聞くことに関しては有益なアプリである。小学生が英語を勉強する場合、まず興

味を持つ内容でなければならず、毎日少しずつ継続してネイティブの英語を聞き、使いたいと

思う英語に触れることである。これら民間英語アプリは児童がそのように思うようなに工夫を

凝らされた内容になっている。<楽しい>をコンセプトに、音楽のリズムに乗りながら、うた

をベースに遊びながら、アニメーションと音楽で、パズルやカードめくり等ゲーム感覚でと言

ったアプリがあり、<読み聞かせ>をコンセプトとして、漫画や童話、絵本を読み聞かせる、

ゲーム進行でヒアリング向上をねらいとしたアプリがある。<話す>をコンセプトにしたもの

では、英語で話しかけてくれるアプリがある。そして、<英単語>の理解をコンセプトにした

ものには、アルファベットを並び替えてイラストにあった英単語に、単語の認識をミニゲーム

感覚でとらえられるといった工夫を凝らしたアプリがある。これら目的にあったアプリをタブ

レット PCに保存し、児童に自由に自主的に学習させれば、聞くこと、話すことの育成が、ま

た読むこと、書くことの育成にもつながると思われるのである。

英語は言語であり外国語である。ネイティブの音声に毎日少しずつ継続して多く触れること

は、小学生英語教育の育成につながるはずである。タブレット PC は児童にとって取り扱いや

すい ICT機器であり、民間英語アプリの活用は勉強という強制感なく児童が活用できる教材で

ある。タブレット PCを使用した民間英語アプリ活用は、小学校英語教育を補完するとともに

小学生にとっては充実した英語指導となるものである。

[註]

(1)岩田 淳「1.学校教育における英語教育の課題 -これまでの英語教育、これからの英語教

育-」2003年 放送大学研究報告 P.1

(2)公益財団法人 日本教材文化研究財団編『グローバル人材に求められる英語力の育成』調査

研究シリーズ№64 平成 28年 9月 P.4

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津田 敏

(3)サンライズキッズエデュケーション「日本の英語教育いまむかし」

http://www.sunrisekids-education.jp/useful/first_edu/ 2017.09.29

(4)東京都教育委員会編『東京都英語教育戦略会議 報告書』Ⅱ 英語教育及びグローバル人材

の育成に関する現状と課題 1 英語教育に関する現状と課題 平成 28年 9月 P.6

(5) サンライズキッズエデュケーション「日本の英語教育いまむかし」

http://www.sunrisekids-education.jp/useful/first_edu/ 2017.09.29

(6)公益財団法人 日本教材文化研究財団編『グローバル人材に求められる英語力の育成』調査

研究シリーズ№64 平成 28年 9月 P.5

(7)前掲 P.4

(8)前掲 P.4

(9)文部科学省『高等学校学習指導要領解説 外国語編 英語編』平成 21年 12月 P.6

(10)文部科学省『小学校学習指導要領』平成 29年 3月 第 10節 外国語 第 2 各言語の目

標及び内容等 英語 1目標 P.137

(11)文部科学省『小学校学習指導要領』平成 29年 3月 第 4章 外国語活動 第 1目標 P.154

(12)特定非営利活動法人全国検定振興機構編『民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜に

おける活用実態に関する調査研究事業調査結果報告書』平成 27年度文部科学省委託事業

齋藤 潔「Ⅱ. インタビュー内容要約」P.20

(13)「平成 27年度公立小学校における英語教育実施状況調査の結果について」2.小学校教員の

英語免許状所有の状況 3.小学校教員の英語力の状況

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/_icsFiles/afieldfile/

2016/04/05/1369254_4_1.pdf

(14)日本経済新聞 電子版「小学校教員、英検 2級目標 20年度の教科化にらみ」

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H4T_R20C17A3CR0000/ 2017.10.03

(15)上田晴彦「小・中学校におけるタブレット端末を活用した教育実践とその効果の検証」情

報処理学会研究報告Vol.2012-CE-113№2 2012年 2月 P.2

(16)前掲 P.3

(17)文部科学省「小学校の新たな外国語教育における補助教材(Hi,friends! Story Books)作

成について(第 3・4学年用) 2.新教材のポイント

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1370103.htm 2017.10.03

(18)文部科学省「中学年を対象とした、絵本活用に関する基本的な考え方」1.絵本教材の活用

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/_icsFiles/afieldfile/

2016/05/02/1370109_1_1.pdf

(19) 文部科学省「中学年を対象とした、絵本活用に関する基本的な考え方」4.ことばの気付き

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/_icsFiles/afieldfile/

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ICTとアプリ活用による小学生英語教育指導の一考察

2016/05/02/1370109_1_1.pdf

(20)文部科学省『小学校学習指導要領』平成 29年 3月 第 10節 外国語 第 2 各言語の目

標及び内容等 英語 3指導計画の作成と内容の取扱い (2)オ P144

(21)前掲 (1)キ P143

[参考文献]

*文部科学省『教育の情報化について -現状と課題-』平成 27年 3月 2020年代に向けた

教育の情報化に関する懇談会 第 1回文部科学省資料 資料 3

*文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課『教育の情報について』平成 27 年 7 月 文化審

議会著作権分科会法制・基本問題小委員会

*文部科学省 国際教育課『英語教育における ICTの活用』2014年 5月

*文部科学省『学びのイノベーション事業 実証研究報告』第 6章 ICTを活用した教育の効

果 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/_icsFiles/afieldfile/

2014/04/11/1346505_07.pdf

*一般財団法人 日本視聴覚教育協会編『教育 ICT活用事例集」平成 24年度文部科学省委託

「国内の ICT教育活用好事例の収集・普及・促進に関する調査研究事業』平成 25年 3月

*文部科学省『今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英

語教育改革の五つの提言~』平成 26年 10月

*文部科学省『外国語教育における新学習指導要領の円滑な実施に向けた移行措置(案)』参考

資料 1 平成 29年 6月 5日版

*OXFORD UNIVERSITY PRESS編 ダイアナ・バニスター、ショーン・ウィルデン「学校

教育におけるタブレットと専用アプリ」導入の成功事例 2013年 12月発行

*文部科学省「教育の情報化ビジョン 21世紀にふさわしい学びと学校の創造を目指して」平

成 23年 4月

*栃木県那須塩原市編『ICT活用や英語教育を軸とした小中一貫教育で21世紀型人材を育む』

2015年 VIEW21教育委員会版 Vel.4

*総務省『教育分野における ICT 利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン

(手引書)2014』教育における ICT活用事例 平成 25年

*塚脇真由「グローバル化と日本の英語教育 -コミュニケーション志向の観点から-」2014

年 3月 京都女子大学大学院文学研究科研究紀要 P26-56

*日本経済新聞 電子版『大学入試真テスト最終案 英語民間試験へ移行期間4年』2017年 7

月 10日 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H36_Q7A710C1000000/