カリフォルニア産ハードロックのカリスマBUCKCHERRYの新...

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カリフォルニア産ハードロックのカリスマBUCKCHERRYの新作は “七つの大罪”をテーマとした壮大なコンセプト・アルバムに! 2008年のLOUD PARK来日時に、ギターのKeith Nelsonにイン タビューをさせてもらった。“ロックはセックスできないけど、ロック ンロールはセックスできる”という名言が飛び出し、目から鱗が落ち たものだ。そう、BUCKCHERRYの奏でるロックンロールは、一貫 してセクシーでグラマラス。タトゥーだらけのシェイプされたボディで 腰を振り、満員のフロアに“Cocaine!!!”と大声で叫ばせる。キケン と隣り合わせにある、徹底したロックンロールの美学を追求している バンドなのだ。 BUCKCHERRYの歴史は、今から18年前の1995年から始まった。 JoshとKeithはタトゥー・アーティストを通じて知り合い、ロサンゼルス で活動を始めた。1997年にリリースされた1stアルバム『Buckcherry』 には、不滅のアンセム「Lit Up」が収録されており、一躍その名が知 れ渡ることとなる。2000年にはグラミー賞にもノミネートされた。 しかし2ndアルバム『Time Bomb』がリリースされた翌年の2002 年、メンバーの脱退が相次ぎ、残されたKeithは解散の決定を余儀なく される。Joshはソロ活動もしていたが、2005年にはBUCKCHERRY の再結成が発表された。2006年の3rdアルバム『15』をオールタ イム・ベストに選ぶリスナーは多く、よくありがちな、バンドの再結 成後のがっかり感なんて、彼らには無縁なのだということを世に知ら しめた。非常によく出来たアルバムで、なんと300万枚のセールスを 記録。そして2008年に『Black Butterfly』、2010年には『All Night Long』と、アルバムをコンスタントにリリース。バンドの個性は、今 や他の追随を一切許さない確固たるものとなった。 そして2013年。遂にニュー・アルバム『Confessions』がリリース された。既に聴いたリスナーも多いだろうが、皆さんはどう感じただ ろうか?いやはや、随分と冒険したなと思ったのではないだろうか。 今作はJoshの半生がテーマとなっており、それがキリスト教で言う ところの“七つの大罪”という壮大なテーマへと結びついたという。 Joshはこのテーマで映画の脚本も手掛けたそうだが、確かに1曲1 曲が、映画の1シーンを見ているかのような気持ちにさせられるもの ばかりだ。アルバム全体を通して語られるストーリーに重点が置か れており、音で情景を表現するそれぞれの楽器のメロディやアレン ジ、どれをとっても秀逸だ。1曲ごとのファースト・インプレッション という意味では、これまでのアルバムに比べるとそこまで高いもの ではないのだが、何度も聴いていく内にアルバムの世界観にどんど ん引きこまれていく。喜怒哀楽の“哀”の感情が印象的に描かれて おり、Joshはレコーディング時に感情移入をし過ぎて、一時歌録り を中止する場面もあったそうだ。これだけ素のJoshを曝け出した作 品は初めてなのだから、計り知れないほどの苦悩を経て制作された のだろう。ド頭を飾るBUCKCHERRY印のアッパーなロックンロー ル・ナンバー「Gluttony」を始め、意味深な歌詞の「Seven Ways To Due」、ドラマチック過ぎる「Sloth」、そしてよく練られたメロディが 頭に残る「Lust」など、従来のBUCKCHERRYファンだけでなく、 全てのロック・ファンに聴いて欲しい良曲が揃っている。ストーリー・ テラーとしてのBUCKCHERRY。大きな新基軸を打ち出した意欲的 なアルバムだ。 KAORU BUCKCHERRY 『Confessions』 [UNIVERSAL INTERNATIONAL] NOW ON SALE!! UICN-1027 \2,600(税込)

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カリフォルニア産ハードロックのカリスマBUCKCHERRYの新作は“七つの大罪”をテーマとした壮大なコンセプト・アルバムに!

2008年のLOUD PARK来日時に、ギターのKeith Nelsonにイン

タビューをさせてもらった。“ロックはセックスできないけど、ロック

ンロールはセックスできる”という名言が飛び出し、目から鱗が落ち

たものだ。そう、BUCKCHERRYの奏でるロックンロールは、一貫

してセクシーでグラマラス。タトゥーだらけのシェイプされたボディで

腰を振り、満員のフロアに“Cocaine!!!”と大声で叫ばせる。キケン

と隣り合わせにある、徹底したロックンロールの美学を追求している

バンドなのだ。

BUCKCHERRYの歴史は、今から18年前の1995年から始まった。

JoshとKeithはタトゥー・アーティストを通じて知り合い、ロサンゼルス

で活動を始めた。1997年にリリースされた1stアルバム『Buckcherry』

には、不滅のアンセム「Lit Up」が収録されており、一躍その名が知

れ渡ることとなる。2000年にはグラミー賞にもノミネートされた。

しかし2ndアルバム『Time Bomb』がリリースされた翌年の2002

年、メンバーの脱退が相次ぎ、残されたKeithは解散の決定を余儀なく

される。Joshはソロ活動もしていたが、2005年にはBUCKCHERRY

の再結成が発表された。2006年の3rdアルバム『15』をオールタ

イム・ベストに選ぶリスナーは多く、よくありがちな、バンドの再結

成後のがっかり感なんて、彼らには無縁なのだということを世に知ら

しめた。非常によく出来たアルバムで、なんと300万枚のセールスを

記録。そして2008年に『Black Butterfly』、2010年には『All Night

Long』と、アルバムをコンスタントにリリース。バンドの個性は、今

や他の追随を一切許さない確固たるものとなった。

そして2013年。遂にニュー・アルバム『Confessions』がリリース

された。既に聴いたリスナーも多いだろうが、皆さんはどう感じただ

ろうか?いやはや、随分と冒険したなと思ったのではないだろうか。

今作はJoshの半生がテーマとなっており、それがキリスト教で言う

ところの“七つの大罪”という壮大なテーマへと結びついたという。

Joshはこのテーマで映画の脚本も手掛けたそうだが、確かに1曲1

曲が、映画の1シーンを見ているかのような気持ちにさせられるもの

ばかりだ。アルバム全体を通して語られるストーリーに重点が置か

れており、音で情景を表現するそれぞれの楽器のメロディやアレン

ジ、どれをとっても秀逸だ。1曲ごとのファースト・インプレッション

という意味では、これまでのアルバムに比べるとそこまで高いもの

ではないのだが、何度も聴いていく内にアルバムの世界観にどんど

ん引きこまれていく。喜怒哀楽の“哀”の感情が印象的に描かれて

おり、Joshはレコーディング時に感情移入をし過ぎて、一時歌録り

を中止する場面もあったそうだ。これだけ素のJoshを曝け出した作

品は初めてなのだから、計り知れないほどの苦悩を経て制作された

のだろう。ド頭を飾るBUCKCHERRY印のアッパーなロックンロー

ル・ナンバー「Gluttony」を始め、意味深な歌詞の「Seven Ways To

Due」、ドラマチック過ぎる「Sloth」、そしてよく練られたメロディが

頭に残る「Lust」など、従来のBUCKCHERRYファンだけでなく、

全てのロック・ファンに聴いて欲しい良曲が揃っている。ストーリー・

テラーとしてのBUCKCHERRY。大きな新基軸を打ち出した意欲的

なアルバムだ。 KAORU

BUCKCHERRY『Confessions』

[UNIVERSAL INTERNATIONAL]

NOW ON SALE!!

UICN-1027

\2,600(税込)