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41 ニュージーランドの鉱業事情 シドニー事務所 はじめに ニュージーランドは、石炭、金の他、漂砂鉱床等の賦存が知られている。2010年5月、経済開発省に、それまで鉱 業政策を担当していた「Crown Minerals」に替り、 New Zealand Petroleum & Minerals」が設立された。 本稿は、ニュージーランドの投資環境について取りまとめたものであり、以下にその概要を報告する。 なお、詳細については、別途投資環境調査報告書が刊行されるので、参照いただきたい。 1. 地質と鉱物資源 (1)地質の概要と鉱化作用 1 ニュージーランドは、ゴンドワナ大陸の東縁部、プ レート境界(南島を北東-南西に通るAlpain断層を境 に、北西側はインド-オーストラリアプレート、南東 側は太平洋プレート)に位置することから複雑な地質 構造を呈し、様々なタイプの鉱床が分布する。ニュー ジーランドの地質は、主に以下の3種類に分類される。 1. 古生代初期~中期(Western Province2. 古生代後期~白亜紀初期(Eastern Province3. 白亜紀後期~新生代の堆積岩類及び火成岩類 1及び2は基盤を構成し、プレート運動により複雑な 構造をなしている。Western ProvinceEastern Province は、ゴンドワナ大陸縁の周辺で形成され、中央バソリ ス(Median Batholith)で分断されている。これらの基盤 は、新生代後期にAlpine断層に沿って480km移動した もので、これに従い、ニュージーランドを太平洋プレ ートとオーストラリアプレートに二分する現在のプレ ート境界の一部が形成された。 白亜紀後期~新生代の地層が基盤を覆い堆積盆を形 成している。堆積盆は白亜紀後期にニュージーランド がゴンドワナ大陸から離れリフティングした際に形成 されたものと考えられている。この堆積盆はニュージ ーランドの主要な石油・石炭・石灰岩資源の形成の場 となっている。中新世以降には、火山活動によって広 域に鉱化作用が生じ、火山岩や基盤岩の浸食により漂 砂鉱床が形成された。 (2)鉱物資源 金属鉱物 2 ①アルミニウム ニュージーランドでは、ボーキサイトの採掘は経済 性が伴わないため行われていない。Kerikeri北部にお いて、20百万t程度の低品位のアルミニウム資源が確 認されているが、鉱床規模、品位ともに経済性に欠け ている。一方、アルミニウムはTiwai Point製錬所(南島) で年間30万t以上が生産されている。 ②アンチモン アンチモンはニュージーランドに広く分布し、金の 副産物として生産されるポテンシャルがあるものの、 現在のところニュージーランドでは採掘も探査も行わ れていない。過去には合計3,900tが生産された。 ③ベリリウム Charleston West Coast)付近、Paterson InletStewart Islandにペグマイト鉱床が認められる。 ④クロム クロムはクロム鉄鉱として産出、20世紀初頭までは Nelson東部のDun Mountainオフィオライト帯で約6,000 t生産されていた。 ⑤銅 ニュージーランドには様々なタイプの小規模な銅鉱 床があり、これまで7,500tの銅鉱石が生産されてい るが、経済性のある大規模鉱床は知られていない。 ⑥ガリウム Taupo火山帯にある地熱地帯の泥やシンターに認め られる。 ⑦金 ニュージーランドの金鉱床は、主に古生代のメタグ レイワッケや中生代の片岩に形成された中熱水性鉱 床、新生代の火山岩に形成された浅熱水性鉱床、さら 1 ウェブサイトhttp://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/minerals/publications/fact-sheets/CO11916_1_GeologyAndMin2.pdf 2 経済開発省New Zealand Mineral Resources Fact Sheet - Metallic Mineral Occurrences (ニュージーランド鉱物資源白書-金属鉱物の産出)ウェブ サイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/mineral-resources> 4052012.11 金属資源レポート

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ニュージーランドの鉱業事情

シドニー事務所

はじめにニュージーランドは、石炭、金の他、漂砂鉱床等の賦存が知られている。2010年5月、経済開発省に、それまで鉱

業政策を担当していた「Crown Minerals」に替り、「New Zealand Petroleum & Minerals」が設立された。本稿は、ニュージーランドの投資環境について取りまとめたものであり、以下にその概要を報告する。なお、詳細については、別途投資環境調査報告書が刊行されるので、参照いただきたい。

1. 地質と鉱物資源(1)地質の概要と鉱化作用1

ニュージーランドは、ゴンドワナ大陸の東縁部、プレート境界(南島を北東-南西に通るAlpain断層を境に、北西側はインド-オーストラリアプレート、南東側は太平洋プレート)に位置することから複雑な地質構造を呈し、様々なタイプの鉱床が分布する。ニュージーランドの地質は、主に以下の3種類に分類される。

1. 古生代初期~中期(Western Province)2. 古生代後期~白亜紀初期(Eastern Province)3. 白亜紀後期~新生代の堆積岩類及び火成岩類

1及び2は基盤を構成し、プレート運動により複雑な構造をなしている。Western ProvinceとEastern Province

は、ゴンドワナ大陸縁の周辺で形成され、中央バソリス(Median Batholith)で分断されている。これらの基盤は、新生代後期にAlpine断層に沿って480km移動したもので、これに従い、ニュージーランドを太平洋プレートとオーストラリアプレートに二分する現在のプレート境界の一部が形成された。白亜紀後期~新生代の地層が基盤を覆い堆積盆を形成している。堆積盆は白亜紀後期にニュージーランドがゴンドワナ大陸から離れリフティングした際に形成されたものと考えられている。この堆積盆はニュージーランドの主要な石油・石炭・石灰岩資源の形成の場となっている。中新世以降には、火山活動によって広域に鉱化作用が生じ、火山岩や基盤岩の浸食により漂砂鉱床が形成された。

(2)鉱物資源金属鉱物2

①アルミニウムニュージーランドでは、ボーキサイトの採掘は経済

性が伴わないため行われていない。Kerikeri北部において、20百万t程度の低品位のアルミニウム資源が確認されているが、鉱床規模、品位ともに経済性に欠けている。一方、アルミニウムはTiwai Point製錬所(南島)で年間30万t以上が生産されている。

②アンチモンアンチモンはニュージーランドに広く分布し、金の副産物として生産されるポテンシャルがあるものの、現在のところニュージーランドでは採掘も探査も行われていない。過去には合計3,900tが生産された。

③ベリリウムCharleston(West Coast)付近、Paterson Inlet、Stewart

Islandにペグマイト鉱床が認められる。

④クロムクロムはクロム鉄鉱として産出、20世紀初頭までは

Nelson東部のDun Mountainオフィオライト帯で約6,000t生産されていた。

⑤銅ニュージーランドには様々なタイプの小規模な銅鉱床があり、これまで7,500tの銅鉱石が生産されているが、経済性のある大規模鉱床は知られていない。

⑥ガリウムTaupo火山帯にある地熱地帯の泥やシンターに認め

られる。

⑦金ニュージーランドの金鉱床は、主に古生代のメタグレイワッケや中生代の片岩に形成された中熱水性鉱床、新生代の火山岩に形成された浅熱水性鉱床、さら

1 ウェブサイトhttp://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/minerals/publications/fact-sheets/CO11916_1_GeologyAndMin2.pdf2 経済開発省New Zealand Mineral Resources Fact Sheet - Metallic Mineral Occurrences(ニュージーランド鉱物資源白書-金属鉱物の産出)ウェブ

サイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/mineral-resources>

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に漂砂鉱床で認められるが、その他にも斑岩銅鉱床、火山性塊状硫化物鉱床等も認められる。最近は北島のHauraki Goldfield、Northland及びTaupo火山帯、南島のWestland及びOtago地域で探鉱が行われている。

⑧鉄鉱石鉄鉱石は、主に漂砂鉱床中の砂鉄として産出。その起源は、安山岩質或は流紋岩質火山岩であり、Kaipara

港から Wanganuiの南へと480km続く海岸線沿いに多く 分 布 す る。1971か ら1987年 ま でWaipipi鉱 山(Wanganui付近)で15.7百万tの精鉱を生産し、日本、韓国へ輸出された。現在、Waikato North Head鉱床、Taharoa鉱床から約40百万tの精鉱を生産、国内のGlenbrook製鉄所に供給されるほか輸出もされている。

⑨鉛・亜鉛鉛・亜鉛鉱床は、Hauraki goldfields地域にあるように、主に金や銀も伴う熱水性鉱床に認められる。過去には

採掘が行われていたが、現在は国内での生産はない。主要採掘鉱物として採掘されたのは、1974年に閉山となったTui鉱山(Te Aroha付近)のみでのようである。

⑩リチウムTaupo火山帯にある地熱地帯の塩水中に発見されて

いる。

⑪マンガン小規模なマンガン鉱床が広域に存在する。かつてはこれらの鉱床で採掘が行われていたものの、今後、陸地では経済性のより高い鉱床が発見される可能性は低い。海底には、排他的経済水域内に多くのマンガン団塊が分布する。

⑫水銀水銀は生産されていないが、Northlandや Coromandel

には低温の熱水(200℃以下)の熱水に関連した鉱床が存

図1. ニュージーランドの地質

(出典:New Zealand Mineral Resources(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/mineral-resources))

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在する。

⑬モリブデンNorthwest Nelsonにモリブデン鉱床があるが、

Kahurangi国立公園内にあるため、探鉱は行われてない。ニュージーランドではモリブデンは生産されたことがない。

⑭マグネシウムマグネサイトはNorthwest Nelson、Westland、Otago

北部、Southland等で、超塩基性岩類の中にタルクと共に認められる。かつては小規模な採掘が行われていたが、1981年以降は生産されていない。

⑮ニッケルNorthwest Nelsonにニッケル・銅硫化物鉱床があるが、規模は小さい。現在は採掘されていないが、大規模な白金族鉱床が発見されれば、副産物として生産さ

れる可能性はある。

⑯白金族(PGM)塩基性-超塩基性複合岩体にクロマイトを伴い認められる。また、漂砂鉱床も確認されている。漂砂鉱床はLongwood Rangの南方30kmの範囲及びSouthland海岸の東100km範囲に分布する。

⑰レアアースレアアースが商業的に生産されたことはないが、

WestportやBarrytownの付近ではイルメナイト鉱床中に少量のモナザイトが発見されており、これらが副産物として回収される可能性がある。

⑱銀銀は主に金とともに産出する。特に、Hauraki

goldfield地域ではその傾向が強い。Waihi地域のMartha

で産出している。

図2. ニュージーランドの主要鉱床(金を除く)

(出典:New Zealand Mineral Resources(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/mineral-resources))

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⑲錫主にStewart島とWestlandで確認されている。19世紀後半には、漂砂鉱床から約1tの錫精鉱が生産されたが、現在では生産はない。

⑳チタン南島の西海岸320kmの範囲に、イルメナイトを含む

漂砂鉱床が断続的に発見されており、BarrytownやWestport付近にある鉱床が最大のものとなっている。北島では、西海岸にTiO2品位7~8%のチタン磁鉄鉱の鉱床が分布する他、Coromandel半島東海岸にはイルメナイト鉱床がある。

�タングステンOtagoとMarlboroughに片岩を母岩とする石英/灰重石鉱床が分布する。1936年までにMacraes鉱床で約1,000tの灰重石が生産されたが、現在は経済性が伴わないと

されている。

�ウランBuller Gorge及びPororari River付近に砂岩タイプのウラン鉱床がある他、WestlandのTaramakau川とGillespies

海岸の漂砂型金鉱床において閃ウラン鉱が記録されている。Nelson西部やFiordlandでも、放射性の岩脈や花崗岩が認められる。しかしながらニュージーランドでは、ウランの生産はこれまで一度も行われたことはない。また今後も、国が非核政策であることや、Minerals Programmでウランやトリウムの調査、探査、採掘の全てが禁じられていることからも、生産は行われないものと考えられる。

�ジルコン北島と南島で広域範囲に分布するチタン磁鉄鉱やイルメナイトの漂砂鉱床が認められる。

図3. ニュージーランドの主要鉱床(金鉱床)

(出典:New Zealand Mineral Resources(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/mineral-resources))

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2. 鉱業政策3

ニュージーランドの石油、ガス、鉱物、石炭といった天然資源はCrown Mineral Estate(国の鉱物資産)と呼ばれ、ニュージーランド経済開発省(Ministry of

Economic Development)の付属機関であるNew Zealand

Petroleum & Mineralsによって管理されている。New

Zealand Petroleum & Mineralsは、Crown Minerals に替わる機関として2010年5月2日に設立され、ニュージーランドの鉱物に関する政策についての提言や投資促進を行っているが、以下の点が新たな特徴となっている。・商業面により注目・より広い範囲の部門や産業でリーダーシップを発揮・高スキルな専門識者をより多く配置その他にもNew Zealand Petroleum & Mineralsは、国有天然資源の鉱業許可(Mineral Permitと呼ばれる。調査許可、探鉱許可、採掘許可の種類がある)の管理を担当している。

(1)鉱業法4

New Zealand Petroleum & Mineralsは、1991年制定国家鉱物法(Crown Minerals Act 1991。CMAとも呼ばれる)5のもと、鉱業許可の付与をはじめ、様々な業務を担当している。国家鉱物法は、ニュージーランドの公有地の地上または地下に埋蔵される、石油、石炭、金、

銀、ウラン等はじめとする全ての鉱物の調査、探鉱、採掘に関する法規を定めるものである。鉱業許可の付与に関する詳細は、鉱物プログラム(Minerals

Programme)で定められ、これに関連する法規がいくつか存在する。鉱物資源の環境面での規則は、1991年制定天然資源管理法(Resource Management Act 1991。RMAとも呼ばれる)で定められている。これに従い地方自治体は、天然資源や物理的資源の持続可能性(使用や開発等)の維持目的のもと、資源許可(Resource Consents)を発行する。しかしながら、土地利用は国家鉱物法のもとに付与される認可や、天然資源管理法のもとに付与される資源許可をもって保証されるものではなく、土地所有者との直接交渉を通じて決定される。すなわち、土地で何らかの鉱業作業を行う場合は、以下を取得しなくてはならない。・New Zealand Petroleum & Mineralsが1991年制定国家鉱物法に従い発行する鉱業許可(Mineral Permit)・土地の所有者及び居住者が、土地の鉱業利用を認可するアクセス・アレンジメント(Access

Arrangement)・地方自治体が、1991年制定天然資源管理法に従い発行する資源許可(Resource Consents)

図4. ニュージーランドの白金族金属鉱化関連岩体

(出典:New Zealand Mineral Resources(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/mineral-resources))

3 NZ Petroleum & Mineralsによる2011年11月18日発刊 Business Unit(ビジネス・ユニット)経済開発省NZ Petroleum & Mineralsウェブサイト <http://www.nzpam.govt.nz/cms/about>

4 経済開発省NZ Petroleum & Minerals 2011年12月19日発刊 Legislation ウェブサイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/coal/legislation>5 参照ウェブサイト

<http://www.legislation.co.nz/act/public/1991/0070/latest/DLM242536.html?search=ts_act_Crown+Minerals+Act+1991_resel&sr=1>

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(2)鉱物プログラム(Minerals Programme)1991年制定国家鉱物法のもと、エネルギー省は鉱業

許可の配分に関する方針や手順を定めた鉱物プログラム(Minerals Programme)を作成することが義務付けられている。その最新版は2008年2月1日から施行が開始された「2008年制定鉱物(石油を除く)プログラム(Minerals Programme for Minerals(Excluding Petroleum)2008)」6であり、以下の重要政策に基づいている。鉱物の調査、探査、採掘への継続的な投資が、以下

の方法を通じて行われるようにする。a. 良質な探鉱及び採掘が促進される。b. 鉱業許可の効率的な配分が行われる。c. 国家が、国有鉱物から正当な利益を得られるようにする。

d. ワイタンギ条約の原則に従う。e. 国家的義務のいかなるものも遵守する。

(3)鉱業関連法規2007年制定国家鉱物(鉱物及び石炭)法規(The Crown

Minerals(Minerals and Coal)Regulations 2007)7には、鉱

山会社や探鉱会社が以下を行う上での要件や手順が定められている。・1991年制定国家鉱物法に基づく鉱業許可の申請・鉱業許可変更の申請・ロイヤルティの申告及び納入・鉱物の調査及び探査に関する、国家への報告・ボーリングのコアやサンプルの国家への提出

2006年制定国家鉱物(鉱物手数料)法規(The Crown

Minerals(Minerals fees)Regulations 2006)8は、1991年制定国家鉱物法によって鉱物/石炭事業に課される手数料について定めるものである。2011年制定鉱物及び石炭デジタルデータ提出基準

(The Mineral and Coal Digital Data Submission Standards

2011)9は、鉱物の調査、探査、採掘で収集された合法的デジタル情報の適切な提出方法について定めるものである。

(4)鉱業許可と土地アクセス10

国有鉱物に関する事業を行う際に土地の調査または

表1. ニュージーランドの主な鉱業関連法規

(出典:NZ Petroleum & Minerals(http://www.nzpam.govt.nz/cms)New Zealand Legislation 2012(http://www.legislation.govt.nz/default.aspx))

カテゴリー 法    規 所管官庁

探鉱・採掘

Crown Minerals Act 1991:CMA (鉱業法) Ministry of Economic DevelopmentMinerals Programme for Minerals (Excluding Petroleum)

(2008) Ministry of Economic Development

Crown Minerals (Minerals and Coal) Regulations 2007 Ministry of Economic DevelopmentCrown Minerals (Minerals fees) Regulations 2006 Ministry of Economic DevelopmentThe Mineral and Coal Digital Data Submission Standards 2011

Ministry of Economic Development

環境 Resource Management Act 1991:RMA (資源管理法) Ministry for the Environment先住権 The Treaty of Waitangi(ワイタンギ条約)外国投資 The Overseas Investment Act 2005 (海外投資法) Treasury

労働

The Employment Relations Act 2000 (雇用関係法) Department of LabourCompanies Act 1993 (会社法) Ministry of Business, Innovation

and EmploymentFinancial Markets Authority Act 2011 Ministry of Economic DevelopmentSecurities Act 1978 (and Securities Regulations 2009) Ministry of Economic DevelopmentFinancial Reporting Act 1993 Ministry of Economic DevelopmentCommerce Act 1986 Ministry of Economic DevelopmentHistoric Places Act 1993 Ministry for Culture and Heritage

6 ウェブサイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/minerals-legislation/minerals-programme-for-minerals-2008>

7 ウェブサイト<http://www.legislation.co.nz/regulation/public/2007/0399/latest/DLM1120013.html?search=ts_regulation_Crown+Minerals+%28Minerals+and+Coal%29+Regulations+2007_resel&p=1&sr=1>

8 ウェブサイト<http://www.legislation.co.nz/regulation/public/2006/0226/latest/DLM403149.html?search=ts_regulation_Crown+Minerals+ %28Minerals+fees%29+Regulations+2006_resel&sr=1>

9 ウェブサイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/minerals-legislation/mineral-coal-digital-data-submission-standards_2011>

10 NZ Petroleum & Minerals 2012 Fact Sheet - Permits and Land Access(白書-鉱業許可及び土地アクセス) ウェブサイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/folder.2007-05-17.4547411750/NZP-M%20Permits%20and%20land%20access%20web%20version.pdf>

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開発を行う場合は、1991年制定国家鉱物法に従い、鉱業許可をニュージーランド政府から事前に取得しなければならない。鉱業許可は、以下のような探査許可、探鉱許可、採掘許可の三種類となっている。

・探査許可鉱物探査のために、土地への影響が少ない作業(マッピング、手作業によるサンプル採取、航空調査等)を指定範囲内の土地で行うために取得する認可である。期間は通常、2年以内であるが、最高4年間の延長が可能である。

・探鉱許可11

鉱化帯をより詳細に探査し、かつ、採掘が経済的に可能であるかを決定するために様々な作業を行う上で取得する認可である。有効期間は5年間であるが、その後、当該鉱業地の50%を削減することを条件に5年間の延長が可能である。

・採掘許可12

国有鉱物の採掘に取得しなければならない認可である。有効期間は最長40年間である。

11 NZ Petroleum & Minerals 2012年発刊Fact Sheet - Permits and Land Access(白書-鉱業許可と土地アクセス) ウェブサイト<http://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/folder.2007-05-17.4547411750/NZP-M%20Prospecting%20and%20Exploration%20web%20version.pdf>

12 NZ Petroleum & Minerals 2012年 発 刊 Fact Sheet - Mining( 白 書 - 採 掘 )  ウ ェ ブ サ イ ト <http://www.nzpam.govt.nz/cms/pdf-library/folder.2007-05-17.4547411750/NZP-M%20Mining%20web%20version.pdf>

表2 ニュージーランドの探査・探鉱・採掘許可の概要

探査許可(Prospecting Permits) 探鉱許可(Exploration Permits) 採掘許可(Mining Permits)目的 (新たな)鉱物資源ポテンシャルを把

握する鉱床の特定及び採掘の可能性評価 経済性のある鉱物資源の回収と資源

量の確定対象 既存調査が実施されていない地域 ・既存探鉱許可が付与されていない

地域・影響の大きな調査を実施する場合

鉱床の性状や広がりが特定されている鉱物資源

許可の内容 影響が極めて低い調査(文献調査、地質図作成、サンプリング、空中探査等)

ボーリング、バルク・サンプリング、F/S調査等

鉱物資源の採掘

付与 ・受け入れ可能な申請に対して付与 ・受け入れ可能な申請に対して付与・探査許可に引続いて探鉱許可を付与

・受け入れ可能な申請に対して付与・探鉱許可に引続いて採掘許可を付与

排他性 排他的権利 排他的権利 排他的権利期間 ・2年間有効

・2年間延長可能・5年間有効・5年間延長可能(当初設定地区の

半分面積に関して)

・40年間有効 (通常は20年以下のことが多い)

規模 制限なし-作業内容による 制限なし-作業内容による 鉱床の広がりと作業内容によるロイヤルティ なし なし 特定率ロイヤルティ(ベースメタル、

石炭等)強粘結炭、準強粘結炭:販売量1t当たり1.40NZ$一般炭、非微粘結炭:販売量1t当たり0.80NZ$褐炭:販売量1t当たり0.30NZ$

従価ロイヤルティ(貴金属、白金族金属等)年間利益が1.5百万NZ$以下の場合は利益の1%、それ以上の場合は2%

法令 ・Crown Minerals Act 1991 (CMA)・Crown Minerals (Minerals and Coal)Regulations 2007・Crown Minerals (Minerals Fees)Regulations 2006・Minerals Programme for Minerals (other than coal & petroleum)1996・Minerals Programme for Coal 1996・Minerals Programme for Minerals (Excluding Petroleum)2008

土地アクセス権 ・都市部など特別な土地を除き、影響が少ない場合には10日前の通知が必要・土地所有者及び占有者との交渉

(出典:NZ Petroleum & Minerals(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/permits/What%20are%20the%20different%20types%20of%20permit))

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①環境鉱業許可の取得者は、認可された活動を始める前に、

1991年制定資源管理法に従い、地方自治体から資源許可(Resource Consent)を取得しなくてはならない。

②アクセス・アレンジメント(Access Arrangements)鉱業許可や資源許可は、これらの対象となる土地へ

のアクセスを自動的に可能とするものではない。特に、事業によって土地に影響が及ぶ場合は、それが最小限のものである場合を除き、全てアクセス・アレンジメントの取得が必要である。アクセス・アレンジメントは、鉱業許可の保有者と、土地の所有者及び居住者との間で交わされる協定であり、これを取得して初めて両当事者間で合意された活動をその土地で行うことが可能となる。

(5)ロイヤルティ「2008年制定鉱物(石油を除く)プログラム」で定められるように、ニュージーランドのロイヤルティには、ベースメタルや石炭に適用される従量式の特定率ロイヤルティ(SRR)と、貴金属や白金族あるいは指定された鉱物(合成燃料、化学品、肥料の製造目的で採炭される褐炭等)に適用される従価ロイヤルティ(AVR)の二種類がある。石炭に課せられるSRRの炭種別内訳は以下に記され

るとおりだが、実質価値のロイヤルティが徴収されるためにも、これらの率はPPI(生産者価格指数)の成長率が加味される場合がある。

AVRは、鉱区の年間販売正味利益が1.5百万NZ$以下の場合はその1%、それ以上の場合は2%である。また、採掘許可が付与される前に、上記とは別のロイヤルティがニュージーランド政府のエネルギー省によって設定されることがある。これは特に、合成燃料、化学品、肥料の製造を目的とする褐炭の採炭や、in-situ

でのガス化技術を使用したガス生産を目的とする採炭を行う場合である。一方、ロイヤルティの支払いが免除されることもある。これは、SRRによるロイヤルテ

ィの場合、12月末の年間ロイヤルティ額が2,000NZ

$未満、ロイヤルティの適用期間が1年未満の際はロイヤルティの月平均額が167NZ$未満の時である。AVRによるロイヤルティの場合は、鉱業許可(一箇所の生産ユニットで複数の認可やライセンスが取得されている場合はそれらの全て)の対象鉱区での12月末の年間販売正味利益が20万NZ$未満、ロイヤルティの適用期間が1年未満の際は月平均額が16,666NZ$未満の時である。

(6)衛生安全13

鉱業の衛生安全の行政は、1992年制定雇用衛生安全法(Health and Safety in Employment Act 1992)及び、爆発物の取扱いについて定める1996年制定有害性物質及び新生物法(Hazardous Substances and New Organisms

Act 1996)のもと、事業革新雇用省(MBIEまたは労働省とも呼ばれる)が行っており、同省のHigh Hazard

Unit(高度危険物質部門)が、鉱物/石炭産業の衛生安全の責任機関となっている。鉱業の衛生安全と関連する法規には、以下がある。・1999年制定衛生安全雇用(鉱業-地下)法規(Health

and Safety in Employment(Mining - Underground)Regulations 1999)・1999年制定衛生安全雇用(石油探鉱及び採掘)法規(The Health and Safety in Employment(Petroleum

Exploration and Extraction)Regulations 1999)・1992年制定衛生安全雇用(パイプライン)法規(The

Health and Safety in Employment(Pipeline)Regulations 1992)

3. 税制ニュージーランドでは、内国歳入局(IRD)が税制管

理を担当しており、企業の全てはIRD番号と呼ばれる9桁の個別番号を同局から取得しなくてはならない。個人に関してはこの番号の取得が特に義務付けられるわけではないが、未取得者には、取得者よりも高い所得税率が適用される。ニュージーランドの課税年度は

表3. 探査・探鉱・採掘権者の報告義務とその期限

報告要件 期   限探査・探鉱活動によって取得或は準備した全ての記録及びレポート類

探査許可・探鉱許可取得の1年後から40労働日以内

探査・探鉱活動の年間作業概要報告 探査許可・探鉱許可取得の1年後から40労働日以内年間探査・探鉱支出報告 探査許可・探鉱許可取得の1年後から40労働日以内許可放棄の報告 許可区域の一部を放棄した時点ボーリングコア、サンプルの提出 当局から提出を求められた時点、もしくは許可保有者がコ

ア、サンプルを廃棄する場合(出典:NZ Petroleum & Minerals(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/permits/what-are-my-obligations))

13 NZ Petroleum & Minerals ウェブサイトhttp://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/legislation/other-statutory-requirements?searchterm=health Enterprise Northland ウェブサイトhttp://www.enterprisenorthland.co.nz/downloads/Explore_Northland_Minerals_Information_Memorandum_2012_02.pdf

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レポート

ニュージーランドの鉱業事情

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4月1日から翌年の3月31日までである。ニュージーランドでは、税率の改正や、キャピタルゲイン税の廃止といった、数多くの税制改革が行われているが、今後はニュージーランドと日本の間での二重課税防止条約の改正も行われる可能性がある。

(1)法人税14

ニュージーランドで会社を設立する場合は、会社法(Companies Act)のもと、会社登記所を通して行い、会社登録料を支払いうことが必要となる。2012年所得年度の法人税率は28%である。

(2)所得税15

以下は、2012/13会計年度のニュージーランドでの個人所得税率である。

(3)物品サービス税(GST)16

ニュージーランドでは、ほとんどの物品やサービスに一律15%の物品サービス税(GST)が課されるが、寄付品、NPOによるサービス、罰則としての利息、一部の財務サービスはその対象外となる。事業者は、過去あるいは今後12ヶ月間の利益が

60,000NZ$以上となったあるいはその予定である場合、または60,000NZ$未満であるが自社商品の価格にGSTを含める場合は、GSTの登録を行わなくてはならない。IRDは、「ほとんどの事業者の場合、その利益とは販売額と所得の合計である」と見なしている。

4. ニュージーランドでの投資(1)外資投資法(The Overseas Investment Act)17

ニュージーランドでは、同国を拠点とする企業が投資を行う場合はこれといって特別な認可を取得する必要はないが、海外企業が、センシティブな(敏感な)問

題を含む土地(農地や史跡)や大型資産(1億NZ$以上の資産)の25%以上を買収する場合は、2005年制定外資投資法(The Overseas Investment Act 2005)で定められる要件が課される。ニュージーランド政府は2009年3月、外資投資法の見直しを開始した。この見直しは、外資投資の自由化及び準拠コストの節減を目的としたもので、2010年の後半に完了した。

(2)石油と鉱物ニュージーランド貿易経済促進庁(NZTE)18の調べによると、現在、以下のような石油/鉱物埋蔵地に投資機会が生じている。

①石油Taranakiベーズン-北島の西海岸に位置する。ニュージーランドの中心的なガス探鉱/生産地であるが、国内ではガス田の探鉱があまり行われていないことからも、未発見の資源が多く埋蔵されている可能性がある。ニュージーランド南部のGreat Southベーズンにも、資源が埋蔵される可能性がある。

②砂鉄ニュージーランドにはチタン磁鉄鉱が何十億tと埋蔵されていると言われており、北島西海岸の480km範囲では、河口部と海底に堆積鉱床がある。

③非在来型エネルギーニュージーランドはメタンハイドレートの埋蔵量が世界でも有数とされており、特にHikurangi Margin鉱床は非常に有望である。国内には150億tの炭層メタン(Coal bed methane)の埋蔵量があるとされている。

④石炭及び褐炭ニュージーランドで生産される石炭(年産量約5百万t)の半分は、低灰分かつ低硫黄分の瀝青炭であり、コークスに適している。褐炭は、ニュージーランドで最も多く埋蔵される化石燃料であり、国内で技術的及び経済的に採炭可能な埋蔵地の上位10位の埋蔵量を合計すると、60億t以上になる。

⑤金Waihi(北島北部)とMacraes Flat(南島)に硬岩の金鉱

山が一つずつある。これらの鉱山では近年、探鉱活動が活発化しており、2008/09年度の生産量は1970年以来最大となった。

課税対象所得 課税率ACC所得者税率

(ACC earners levy)を除いた率

課税率ACC所得者税率

(ACC earners levy)を含めた率

≦14,000NZ$ 10.50 12.2014,001NZ$~

48,000NZ$ 17.50 19.20

48,001NZ$~70,000NZ$ 30.00 31.70

≧70,001NZ$ 33.00 34.70IRD番号を未取得の場合 45.00 46.70

2012/13年度のACC earners levyは1.70%

14 ウェブサイトhttp://www.ird.govt.nz/business-income-tax/paying-tax/tax-rates/ 15 ウェブサイト http://www.ird.govt.nz/income-tax-individual/ 16 ウェブサイト http://www.ird.govt.nz/gst/  17 ウェブサイトhttp://business.newzealand.com/auspac/en/invest-in-new-zealand/ 18 ウェブサイト http://business.newzealand.com/auspac/en/invest-in-new-zealand/ 

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(3)探鉱のオンラインデータベースNew Zealand Petroleum and Mineralsは、同機関ウェ

ブサイトのOnline Exploration Databaseのページ(https://

data.nzpam.govt.nz/GOLD/system/mainframe.asp)で、空中地球物理探査のデジタルデータを無料で提供している。

5. 主な鉱物生産・輸出・輸入ニュージーランドで探鉱される鉱物は主に石炭、金、

銀、砂鉄である。以下は、これらの鉱物についての概要である。

(1)金属鉱物の生産19

ニュージーランドで採掘される主な金属鉱物には、金、銀、チタン磁鉄鉱の砂鉄があり、2011年のこれらの生産量は、貨幣価値にして合計7億4,764万3,535NZ

$であった。同年の金の生産量は11,761kgと、前年の13,494kgから13%減となっている。これらの生産量は主に硬岩鉱山のMacraes Flat金鉱山とWaihi金鉱山によって占められ(前者47%、後者25%)、残りは中小規模の漂砂鉱床のものとなっている。銀の生産量は、2011年で14,325kg(前年比16%減)であったが、これらのほぼ全て(97%以上)はWaihi鉱山産で占められている。砂鉄は主にWaikako North Head鉱山とTaharoa鉱山で生産され、2011年の生産量は235万7,440t(前年比3%減)であった。ニュージーランドでの1993~2011年の金年産量は、

次のグラフにも示されるように、平均で10t以上のレベルを保っている。中でもMacraes鉱山は、操業が開始された1990年後半以来、国内最大かつ世界有数の規模を誇るようになっている。

(2)石炭生産20

ニュージーランドでの石炭生産量は2011年、合計494万4,800tとなり、うち233万400tは南島の西海岸

で生産された瀝青炭、229万4,200tは北島のWaikato

炭鉱で主に生産された亜瀝青炭、32万100tは南島の炭鉱で生産された褐炭であった。

19 2011年 Mining Production Statistics(鉱業生産統計)New Zealand Petroleum & Minerals20 2011年 Mining Production Statistics(鉱業生産統計)New Zealand Petroleum & Minerals

図5. ニュージーランドの金生産量推移(1993〜2011年)

(出典:New Zealand Petroleum & Minerals)

表4. ニュージーランドの主要鉱物資源生産量及び生産額

(出典:New Zealand Petroleum & Minerals 2012, 2011 New Zealand Coal, Industrial Minerals and Metallic Minerals Production Survey(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/facts-and-figures#Production))

2010年 2011年生産量(t) 生産額(NZ$) 生産量(t) 生産額(NZ$)

Gold 13.49 664,041,617 11.76 726,946,126Silver 17.14 15,085,224 14.32 20,697,409Magnetite(Ironsand) 2,438,641 - 2,357,440 -Coal 5,330,500 - 4,944,800 -

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(3)輸出入ニュージーランドの鉱物資源の主要輸出品目は、アルミニウム・その製品(2011年輸出金額1,260千NZ$、

ニュージーランド輸出額10位)、準宝石・貴金属(903千NZ$、同13位)、鉄鉱・鉄鋼(同662千NZ$、17位)、鉄鉱・鉄鋼製品(284千NZ$、同28位)などとなっている。

6. 鉱山会社活動状況(1)金①Glass Earth Gold21

Glass Earth Goldは、ニュージーランドで金の探鉱及び生産を行う企業であり、国内9,000km2の範囲に鉱業許可を保有している。Hauraki地域、Central Volcanic地域(共に北島)、Otago地域(南島)の三地域で探鉱を行う。

Hauraki地域では、Waihiの Martha Hill金鉱山周辺で探査と開発を広範囲に行っている。Waihi-West JV とHauraki JVは、Newmont Mining(米国コロラド州デンバー拠点)との共同によるもので、現在、活発な探鉱が行われている。Central Volcanic地域でのMuirs Reef

プロジェクトでは、過去に39万oz(12t)の金資源量が確認されており、現在ボーリング調査が行われている。Otago地域では、漂砂鉱床からの金の生産及び中熱水金鉱床の探査が行われている。

②New Talisman GoldNew Talisman Gold(旧Heritage Gold)はNTLの証券コードで豪州証券取引所(ASX)とニュージーランド証券取引所(NZSX)の両方に上場している。HaurakiゴールドフィールドでのTalisman金プロジェクトでは、探鉱許可と採掘許可を保有する。このプロジェクトではJORC規定の概測資源量が金20万5,000oz(品位6.9g/

t)、銀が80万oz(品位27g/t)となっており、現在はプレF/S調査で採掘方法と処理方法が検討されている。また、完全子会社のCoromandel GoldはGolden Valleyの鉱区40-736(Newmontが操業を行うWaihi鉱山に隣接しており、一部の地質的構造が類似している)で探鉱を行う他、Northlandで金とベースメタルの探鉱許可を申請中である。

③Oceana Gold22

Oceana Goldは、金の生産、探鉱を行う会社で、南島のMacraes鉱山(露天採掘)、Frasers鉱山(坑内採掘)、Reefton鉱山(露天採掘)の三鉱山で操業を行っている。

表5. ニュージーランドの主要鉱物資源輸出額

表6. ニュージーランドの主要鉱物資源輸入額

(出典:Statistics New Zealand, Merchandise trade by commodity)

(出典:Statistics New Zealand, Merchandise trade by commodity)

(単位:千NZ$)

(単位:千NZ$)

品目 HSコード 2010年 対全輸出(%) 2011年 対全輸出(%) 順位アルミニウム・その製品 76 1,064,689 2.6 1,260,314 2.7 10準宝石・貴金属 71 812,812 2.0 908,147 2.0 13鉄鉱・鉄鋼 72 582,845 1.4 662,381 1.4 17鉄鉱・鉄鋼製品 73 271,431 0.7 283,509 0.6 28銅・その製品 74 125,669 0.3 152,502 0.3 38非鉄金属製品 83 56,368 0.1 53,363 0.1 51鉛・その製品 78 31,563 0.1 35,088 0.1 60錫・その製品 80 9,275 0.0 10,262 0.0 78非鉄金属その他 81 1,248 0.0 2,478 0.0 88亜鉛・その製品 79 1,834 0.0 1,160 0.0 93ニッケル・その製品 75 121 0.0 470 0.0 96

品目 HSコード 2010年 対全輸入(%) 2011年 対全輸入(%) 順位鉄鉱・その製品 73 661,454 1.6 759,935 1.7 10鉄鉱・鉄鋼 72 400,846 1.0 489,237 1.1 20準宝石・貴金属 71 305,552 0.8 334,414 0.7 28アルミニウム・その製品 76 291,502 0.7 292,563 0.6 33銅・その製品 74 191,429 0.5 211,513 0.5 42非鉄金属製品 83 156,549 0.4 173,845 0.4 47錫・その製品 80 41,311 0.1 54,020 0.1 70亜鉛・その製品 79 39,413 0.1 38,808 0.1 74ニッケル・その製品 75 3,120 0.0 5,196 0.0 92鉛・その製品 78 3,373 0.0 4,485 0.0 95

21 Glass Earth Gold Ltd.ウェブサイトhttp://www.glassearthgold.com/s/Home.asp22 Oceana Goldウェブサイトhttp://www.oceanagold.com/assets/documents/Presentations/ogcfactsheetAug2012.pdf

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④Newmont Waihi GoldNewmont Waihi Goldは、Newmont Miningの完全子会社であり、WaihiでMartha鉱山(露天採掘)、Favona鉱山(坑内採掘)、Trio 鉱山(新規鉱山・坑内採掘)の操業を行う。

(2)鉄鉱石及び鉄鋼①New Zealand Steel23

New Zealand Steelは、BlueScope Steel(メルボルン拠点)の完全子会社で、鉄鉱石の採掘と鉄鋼生産の両方を行っており、ニュージーランドで建物、建設、製造品、農業用品向けの圧延鋼板を生産する唯一の会社である。同社のGlenbrook製鉄所では、年間65万t/年の鉄鋼が生産されている(うち約60%は海外輸出)が、これらの原料は南18kmに位置する自社鉱山Waikato

North Headから地下パイプラインで供給される。Taharoa鉱山での鉄鉱石生産も行っており、これらの大半を北アジア諸国に輸出している。

New Zealand Steelは、ニュージーランドで豊富に埋蔵される鉄鉱石を利用した鉄鋼産業を確立するという目的のもと、1965年に私企業として設立された。翌1966年にはGlenbrook 製鋼所の建設が開始され、1968年に同製鋼所での商業的な生産が始まった。同社は設立以来、数度、所有者が替わっており、そ

の度に社名も変更された。1986年には資本再編によりその大半がニュージーランド政府の所有となったが、翌1987年にはEquiticorpに買収されている。その後1989年にはBHP Billiton等の数社で構成されるHelenus

Corporationに買収され、1992年にはBHPが権益の81%を買い上げたことによって、社名も BHP New Zealand

Steelとなった。だが2002年には、BHP Steelが上場した(同社の社名は2003年にBlueScope Steel へと変更された)ため、再びNew Zealand Steelの社名に戻っている。

(3)石炭及び燃料①Solid Energy New Zealand24

Solid Energyは、石炭、廃棄木材バイオマス、木材ペレット、バイオディーゼル、炭層ガス発電、太陽熱利用温水等を供給及び輸出するニュージーランド国営企業であり、以下の6炭鉱で石炭を生産している。

◦Rotowaro炭鉱(Huntly)◦Huntly East炭鉱(坑内採掘・Huntly)◦Spring Creek炭鉱(坑内採掘・Greymouth)◦Stockton炭鉱(Westport)

◦New Vale炭鉱(南島南部)◦Ohai炭鉱(南島南部)

これら6炭鉱の年産量合計は約4百万tであるが、2011年はその約2分の1が海外に輸出された。輸出先は、インド(54%)、日本(23%)、中国(14%)、南アフリカ(9%)である(括弧内のパーセンテージは各国内訳比率)。一方、国内向けは、そのほぼ全てがGenesis

EnergyのHuntly発電所とNew Zealand Steelとなっている。

Solid Energyは、2012年9月24日、Spring Creek炭鉱がメンテナンス休業に入る見通しであることを発表した25。現在の非微粘結炭(SSCC)価格(120NZ$/t)では、操業コストが賄えないことがその理由である。同炭鉱が利益や投資回収を得るためには、SSCC価格が少なくとも180~200NZ$/tとなる必要がある。

②New Zealand Oil & Gas26

New Zealand Oil & Gasは、ウェリントンを拠点に石油/ガスの探鉱及び生産を行う独立系企業で、ASXとNZSXの両方に上場している。主な資産は、Tui Area

油田(権益保有率12.5%)とKupeガス/コンデンセート田(権益保有率15%)であるが、有望な探鉱ポートフォリオも国内外(インドネシアとチュニジア)に持つ。

(4)その他①Neptune Minerals27

Neptune Mineralsは、海底塊状硫化物(SMS)鉱床の探鉱と採掘を目的に、2011年1月5日に設立されたネバダ・コーポレーション(米国ネバダ州で設立された会社を指す。同州での会社設立は、資本金や取締役責任の面で有利な条件が揃っている)である。以下は同社ウェブサイトに掲載される事業活動である。

◦Neptune Minerals(英国拠点)を買収。同社はニュージーランドと日本で、合計3,447km2の鉱区での鉱業権を取得している他、合計84,000km2の鉱区での鉱業権を申請中である。

◦香港のDorado Ocean Resourceを買収し、経営権を獲得する。同社は、80,494km2の鉱区面積で鉱業権を獲得している他、合計83,484km2の鉱区でも鉱業権を申請中である。

◦高品位な多金属SMS鉱床の探鉱プログラムを実施中

23 New Zealand Steel ウェブサイトhttp://www.nzsteel.co.nz/ "History and operations"タブ参照24 Solid Energy New Zealandの2011年年次報告書 同社ウェブサイトの参照によるhttp://www.coalnz.com/index.cfm/3,186,393/solid_energy_

annual_report_2011.pdf25 Solid Energy New Zealand 2012年9月24日発表 "Solid Energy seeks turnaround in extreme downturn…"同社ウェブサイト記事<http://www.

solidenergy.co.nz/index.cfm/1,469,0,0/Solid-Energy-seeks-turnaround-in-extreme-downturn.html>26 New Zealand Oil and Gasウェブサイトhttp://www.nzog.net/aboutus27 Neptune Mineralsウェブサイト http://www.neptuneminerals.com/index.php

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7. 主な操業鉱山(1)金及び銀①Macraes金鉱山28,29

地域:   Otago地域(南島)位置:   Dunedin北100km

緯度:   南緯45.373度経度:   東経170.458度所有者:   Oceana Gold 100%生産鉱物  金、銀埋蔵量   金 141万oz(43.9t)資源量   金 455万oz(141.5t)生産規模: 金12.5万~14.5万oz/年(3.9~4.5t)      (Macraes露天採掘)      金4万~5万oz/年(1.2~1.5t)      (Frasers坑内採掘)生産開始年:1990年生産    2019年まで鉱床:    割れ目を充填する石英脈に金を伴う。中

熱水鉱床

採掘法: 従来式の露天採掘/アップホール・リトリート・ストーピング(uphole retreat stoping)方式による坑内採掘

概要:   Macraesプロジェクトは南島のOtago地域に位置し、金の生産量はニュージーランドで最大である(2011年の生産量は17万4,851oz(5.4t))。操業が開始されたのは1990年で、それ以来生産が続けられる大規模な露天採掘鉱山(資源量金量455万oz

(141.5t)、埋蔵量金量141万oz(43.9t))と、2008年に生産開始となった坑内採掘のFrasers鉱山(資源量金量119万oz(37.9t)、埋蔵量金量18万oz(5.5t))がある他、処理プラント(硫化鉱を処理するための加圧酸化プラント等)がある。 Macraesの探鉱/採掘鉱区は2万7,492ha

に及ぶ。現在の探査はMacraes鉱体の深部延長の確認に集中している。

②Waihi Operations-Martha鉱山(露天採掘)、Favona鉱山及びTrio鉱山(坑内採掘)地域:   Coromandel半島(北島)位置:   Waihi(オークランド南東110km)緯度:   南緯37.386度経度:   東経175.843度所有者:   Newmont Mining(Newmont Waihi Gold)

100%

埋蔵量:  推定金埋蔵量320万oz(99.5t)       (金品位0.112oz(3.5g)/t、2011年12月31

日現在)生産規模: 金 9万7,000oz(3.0t)(2011年)操業開始年 1988年(金生産)鉱床:   浅熱水鉱床採掘法:   露天採掘概要:   Waihiでの金の歴史は、この地で金が発

表7. ニュージーランドで活動する主要企業の概要

(出典:各社年次報告、Webサイト)

企業名 本社 総収入 純利益 純資産 株式時価総額 備考Glass Earth Gold Ltd. ウェリントン 752 229 18,857 21,637 単位:千CA$New Talisman Gold Mines Ltd. オークランド 36 ▲538 9,321 7,215 単位:千NZ$OceanaGold Ltd. メルボルン 396 179 478 874,601 単位:千AU$Solid Energy New Zealand Ltd. クライストチャーチ 829,000 183,716 519,375 60,900 単位:千NZ$New Zealand Oil and Gas Ltd. ウェリントン 116,375 63,600 355,011 356,043 単位:千NZ$

28 OceanaGold ウェブサイトhttp://www.oceanagold.com/our-business/new-zealand/macraes-open-pit/29 2010年作成 Technical Report for the Macraes Project(Macraesプロジェクト技術レポート)2012年2月12日参照

ウェブサイトhttp://www.oceanagold.com/assets/documents/Technical-Reports/macraes-technical-report-2010.pdf

表8. Macraes金鉱山鉱山生産諸元

(出典:OceanaGold 2012(http://www.oceanagold.com/))

項目 2008年 2009年 2010年 2011年採掘 採掘量(百万t) 4.3 4.8 6.4 6.6 金品位(g/t) 1.52 1.67 1.26 1.07処理量 鉱石処理量(百万t) 5.5 5.6 5.5 5.8 金品位(g/t) 1.31 1.47 1.28 1.12 金回収率(%) 78.6 78.6 81.3 83.3 金生産量(oz) 183,680.00 213,049.00 182,759.00 174,851.00

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見された1878年から始まる。中でもMartha鉱山は、その後50~60年の間、世界で有数の金/銀鉱山となり、一時閉山となる(金安値が主な理由)1952年までの合計生産量は金5.6百万oz(174.2t)、銀38.4百万oz(1,194t)であった。1970代~1980年代になると金価値が再び上昇し、Martha鉱山の操業は1988年にWaihi Gold

Miningによって再開された。そして2002年には、経営者がNewmont Waihi Gold

(Newmont Miningの完全子会社)に交替し、現在ではMartha露天採掘鉱山、 Favona坑内採掘鉱山、Trio坑内採掘鉱山の操業が行われている。

(2)鉄鉱石及び砂鉄① Taharoa砂鉄鉱山30

地域:   Waikato(北島)位置:   Hamilton南西70km

緯度:   南緯38.174度経度:   東経174.707度所有者:   New Zealand Steel(BlueScope Steelの完全

子会社)生産鉱物: 砂鉄(チタン磁鉄鉱)埋蔵量:   不明操業開始年:1972年鉱床:   漂砂鉱床(チタン磁鉄鉱系ミネラルサンド)採掘法:  浮遊式ドレッジ。採掘された鉱物は、隣

接する浮遊選鉱プラントに運ばれ、選鉱される。

概要:   Taharoa鉱山は、地元のマオリ族の土地所有者からリースされたもので、その面積は1,300haに及ぶ。生産された鉱物は、主に中国や日本等をはじめとする北アジア諸国に向けて輸出される。精鉱は、鉱山から2km離れたストックパイルまでスラリー輸送され、その後パイプラインでSBMオフショア(モノブイ)に運ばれ、特別な脱水設備の付いた大型船舶に積み入れされる。最近までは、143,000 DWT

Bulk Carrier一隻のみが使用されていたが、2012年5月には更に大型のTaharoa

Destinyで輸出が行われた。このような新船舶の使用と積み入れ能力の拡大により、2012年度の輸出量は978千tと、前年の818千tから増加している31。

②Waikato North Head砂鉄鉱山32

地域:   北島位置:   オークランド南東80km

緯度:   南緯37.353度経度:   東経174.73度所有者:   New Zealand Steel(BlueScope Steelの完全

子会社)生産鉱物: 砂鉄埋蔵量:  不明生産規模: 最高1.2百万t /年操業開始年:1996年鉱床:    漂砂鉱床(チタン磁鉄鉱系ミネラルサンド)採掘法:  ドレッジング概要:   採掘された砂鉄は現場で選鉱される。磁

鉄鉱精鉱は、Waikato川に隣接するラグーンから引かれた真水と50:50の比率で混ぜ合わされスラリーに加工され、18kmの地下パイプラインを通じてGlenbrook製鉄所まで輸送される。このパイプラインによる輸送は、環境を考慮しているだけではなく、New Zealand

Steel独自の革新的な技術によるものである。BlueScope Steelの2012年の業績発表によると、2012年3月12日には、中国への輸出も開始されている。

(3)主な製鉄所/製錬所①Glenbrook製鉄所33

地域:   北島位置:   Glenbrook(オークランド南東60km)緯度:   南緯37.208度経度:   東経174.71度所有者:    New Zealand Steel(BlueScope Steelの完全

子会社)操業開始年:1968年生産規模: 鉄鋼生産量650千t/年製品:    鉄鋼(熱間/冷間圧延鋼材、パイプ、中空

製品、亜鉛メッキ製品、亜鉛/アルミニウムメッキ製品)

市場:   国内及び海外概要:   地元で生産された砂鉄や石炭を原料に鉄

鋼を生産する。砂鉄は、18km南のWaikato North Headから地下パイプラインを通じて供給される。

②Tiwai Pointアルミニウム製錬所34

地域:    南島

30 New Zealand Steelウェブサイトhttp://www.nzsteel.co.nz/about-new-zealand-steel/operations/taharoa-mine-site31 Bluescope Steel 2012業績プレゼンテーション http://www.bluescopesteel.com/files/dmfile/FY2012-Support-Presentation.pdf32 New Zealand Steelウェブサイト http://www.nzsteel.co.nz/about-new-zealand-steel/operations-/waikato-north-head-mine-site33 New Zealand Steelウェブサイトhttp://www.nzsteel.co.nz/about-new-zealand-steel/operations-/glenbrook-steel-site34 New Zealand Aluminium Smeltersウェブサイト http://www.nzaluminium.co.nz/

(418)2012.11 金属資源レポート

レポート

ニュージーランドの鉱業事情

Page 15: レポート ニュージーランドの鉱業事情mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...New Zealand Petroleum & Mineralsは、1991年制定国 家鉱物法(Crown

55

位置:    Invercargill(Southland)緯度:    南緯46.588度経度:   東経168.38度所有者:   New Zealand Aluminium Smelters(Pacific

Aluminium79.36% 、住友化学20.64%)操業開始年: 1971年生産規模: 35万4,029t(2011年)製品:    アルミニウムインゴット/ビレット/ 圧延

製品市場:    国内及び海外(日本をはじめとするアジ

ア諸国、欧州、北米)概要:   ニュージーランドで唯一のアルミニウム

製錬所であり、一定期間に一定原料の製錬を下請けするtolling plantとして一次ア

ルミニウムを生産する。原料のほぼ全てはYarwun Alumina RefineryとQueensland

Alumina Refinery(いずれも豪州QLD州Gladstone付近)から調達され、製品の約90 % は 海外輸出される。生産は、SouthlandのGDPの約9% を占め、年間売上は約10億NZ$である。 2012年9月5日、経済状況の悪化を理由に既存プラントの規模縮小を発表した。縮小に伴う人員削減は、当初は自然減による先5年間の100名削減であったが、現在は企業再編を2012年11月まで完了させるべく、加速化している35。

(2012.11.6)

表9. ニュージーランドの主要鉱山生産

(出典:New Zealand Petroleum & Minerals 2012, 2011 New Zealand Coal, Industrial Minerals and Metallic Minerals Production Survey(http://www.nzpam.govt.nz/cms/minerals/facts-and-figures#Production))

(金)

鉱山名2010年 2011年

生産量(kg) 生産額(NZ$) 生産量(kg) 生産額(NZ$)

Waihi 3,098.13 180,169,512.42 2,971.88 191,361,390.77

Macraes 5,795.22 306,813,224.08 5,519.16 341,579,583.07

Other hard rock 2,766.07 146,228,438.87 2,500.17 154,225,341.04

Placer Westland 1,563.63 19,656,170.38 669.13 33,523,358.00

Placer Otago/Southland 238.83 9,422,750.59 89.89 5,604,134.82

Placer Marlbrough 0.36 13,244.05 0.22 13,163.15

Placer Tasman 31.91 1,738,276.90 10.91 639,155.42

計 13,494.15 186,869,997.00 11,761.36 202,296,690.81

(銀)

鉱山名2010年 2011年

生産量(kg) 生産額(NZ$) 生産量(kg) 生産額(NZ$)

Waihi 15,472.00 14,669,298.00 13,915.64 20,136,605.40

Macraes 288.59 256,793.93 266.37 366,078.25

Other 1,375.32 159,132.32 142.51 194,724.98

計 17,135.91 15,085,224.25 14,324.52 20,697,408.63

(砂鉄)

鉱山名2010年 2011年

生産量(t) 生産額(NZ$) 生産量(t) 生産額(NZ$)

Waikato North Head NA NA

Taharoa NA NA

計 2,438,641 2,357,440

35 New Zealand Aluminium Smelters ウ ェ ブ サ イ ト "New Zealand Aluminium Smelters Limited continues to streamline operations" 05/09/12 http://nzaluminium.co.nz/files/20120913154042-1347507642-0.pdf

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