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部門別 管理会計 損益管理...1 管理会計 部門別損益管理...
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部門別損益管理
管理会計
Ⅰ 部門別に分解すると見えてくる損益貢献度
1.損益計算書による原価管理
2.固定費と変動費を分解した部門別損益計算書
3.傾注すべき部門の判断
4.撤退すべき部門の判断
5.部門別損益管理を人事評価・予算管理に応用
Ⅱ 部門別損益管理のためのABC1.部門別原価管理で問題となる間接費の配賦
2.部門別管理に最適な間接費配賦方法
3.ABCの計算の仕組み
4.商品別の採算性を判断するのに最適なABC
Ⅲ 原価低減を通じ企業利益向上を目指すABM
1.顧客・企業双方の利益を向上させるABM
2.ABMの基本的な仕組み
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管理会計 部門別損益管理
会社の経営状態を把握する最も一般的な方法が、損益計算書によるものです。
損益計算書は、以下のような書式によって示されます。
このうち、「売上原価」とある項目がいわゆる「原価」にあたり、「売上総利益」が「粗
利」となります。
しかし、会社全体の損益計算書のみを利用して損益を管理しようとしても、複数部門が
ある場合には、そのうちどの部門が会社の利益に貢献し、どの部門がしていないかまでは
分かりません。
売上とそれに対応する原価を部門別に算出し、部門別の貢献度を把握することが、経営
上の重要な課題の1つとなります。
部門別の採算性次第では、時には不採算部門を整理することが、効率的な経営を行うた
めに必要不可欠だからです。
しかし、部門別の採算性を把握するにあたって、損益計算書を部門別に分けただけで全
てを判断しようとすると、大きな判断ミスを犯す可能性があります。
Ⅰ 売上高 1000
Ⅱ 売上原価 500
売上総利益 500
Ⅲ 販売費及び一般管理費 250
営業利益 250
Ⅳ 営業外収益 100
Ⅴ 営業外費用 50
経常利益 300
Ⅵ 特別利益 100
Ⅶ 特別損失 150
税引前当期純利益 250
法人税、住民税及び事業税 100
当期純利益 150
Ⅰ
1
部門別に分解すると見えてくる損益貢献度
損益計算書による原価管理
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管理会計 部門別損益管理
(1)部門別損益計算書を作成
判断ミスを犯してしまう可能性について、分かりやすくするため、以下のような2部門
に分けた損益計算書を例にとって見てみましょう。
ここにおいては、計算は営業利益までとし、経常利益および当期純利益は計算していま
せんが、仕入割引や固定資産除却損など、部門に関係してくる営業外収益や特別損失もあ
りますので、臨機応変に対応するようにしましょう。
この部門別に集計した損益計算書を見る限りでは、部門単独で営業利益を上げている部
門Aは他部門に優先して売上拡大に力を入れ、一方、営業利益がマイナスとなっている部
門Bは縮小、もしくは撤退を検討するのが正しい経営判断に思えます。
この判断が正しいのかどうかを確認する手段として、売上原価の「固定費」と「変動費」
を分解するという方法を利用することにします。
部門A 部門B
売上高 100 100
売上原価
材料費 25 15
労務費 10 15
経費 5 20
売上原価合計 40 50
売上総利益 60 50
販売費及び一般管理費
販売費 25 15
給与 15 25
本社費配賦額 10 15
販売費及び一般管理費合計 50 55
営業利益 10 △ 5
2 固定費と変動費を分解した部門別損益計算書
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管理会計 部門別損益管理
(2)部門別損益計算書を固定費と変動費に分解
「固定費」とは、部門の売上に関わらず発生する費用であり、「変動費」とは、売上に比
例して増減する費用を指します。限界利益とは、「固定費を回収するのに貢献する利益」の
ことであり、限界利益率が高いほど売上を伸ばしたときに営業利益が増加しやすいという
構造にあります。
こうやって分解すると、部門 A は売上原価に含まれる変動費の割合が高く、一方固定費
の割合が低いことが分かります。部門Bはその逆です。
上記のように、損益計算書の費用を固定費と変動費に分解したことによって、一体何が見
えてくるのでしょうか。
部門 A 部門 B
売上高 100 100
変動費
材料費 25 15
販売費 25 15
変動費合計 50 30
限界利益 50 70
(限界利益率) (50.0%) (70.0%)
固定費
経費 5 20
労務費 10 15
給与 15 25
本社費配賦額 10 15
固定費合計 40 75
営業利益 10 △ 5
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管理会計 部門別損益管理
変動費と固定費を分解した部門別損益計算書を利用して、本当に売上に貢献している部
門はどこなのかを見極めます。
先ほど、計算書の中にある「限界利益」とは、「固定費を回収するのに貢献する利益」の
ことであり、限界利益率が高いほど売上を伸ばしたときに営業利益が増加しやすい構造で
あることを確認しました。つまり、限界利益率が高い部門は、売上を伸ばしていくことで
一気に黒字へと転じる可能性があります。
A・Bそれぞれの売上高を2倍に伸ばした以下の例を見てみましょう。
変動費は売上高に比例して伸び、一方固定費は据え置きです。売上を2倍に伸ばした段
階では、部門Bの営業利益が部門Aの営業利益を上回ることが分かります。
以上見てきたように、限界利益率が高い部門Bに力を入れて伸ばす方が、実は利益は改
善することが分かります。
部門 A 部門 B
売上高 200 200
変動費
材料費 50 30
販売費 50 30
変動費合計 100 60
限界利益 100 140
(限界利益率) (50.0%) (70.0%)
固定費
経費 5 20
労務費 10 15
給与 15 25
本社費配賦額 10 15
固定費合計 40 75
営業利益 60 65
3 傾注すべき部門の判断
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管理会計 部門別損益管理
(1)部門を撤退させた場合について考える
これまでに、限界利益率が高い部門からは容易に撤退すべきではないことが分かりまし
た。
このほかにも、撤退させてしまった場合に起こる不都合についてここで確認します。
従業員ごと部門Bが撤退した場合、売上高並びに材料費、販売費、経費、労務費、給与
の費用がなくなります。ただし、本社費は部門Bに関係なく存在するため、本社費 15 と
いう数字はそのまま部門Aへ配賦することになります。
その結果、売上高 100 に対して費用は 105 発生し、赤字となってしまうことが分かり
ます。これにより、固定費は部門で発生しているものと部門の有無に関わらず発生してい
るものとを分けて考える必要があることが分かります。
4 撤退すべき部門の判断
部門 A
売上高 100
変動費
材料費 25
販売費 25
変動費合計 50
限界利益 50
固定費
経費 5
労務費 10
給与 15
本社費配賦額 25
固定費合計 55
営業利益 △5
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管理会計 部門別損益管理
(2)固定費を個別と共通に分解
そこで、先の図をさらに個別固定費と共通固定費とで分離させて示したのが以下の図で
す。
これにより、共通固定費を配賦する前の部門利益が、本社費配賦額を回収するための利
益となっており、部門Bも会社全体の利益に貢献していることが分かります。
部門利益がプラスである限りは、その事業からは徹底すべきではないということが言える
でしょう。
(1)人事評価に部門別の損益管理を応用
損益計算書を部門別に分け、さらに固定費と変動費を分解することで部門単位での損益
が見えてくることが分かりました。
会社全体の損益については経営者にその責任の所在がありますが、部門別損益の責任の
所在はそれぞれの部門長にあります。では、部門ごとの利益を表した上記の図は、部門長
の成績を評価する際の指針としてそのまま使えるでしょうか?
部門長の仕事は部門全体を管理することにありますが、部門の中でも、部門長が管理で
きる数字と管理できない数字とがあります。
5 部門別損益管理を人事評価・予算管理に応用
部門 A 部門 B
売上高 100 100
変動費
材料費 25 15
販売費 25 15
変動費合計 45 30
限界利益 50 70
個別固定費
経費 5 20
労務費 10 15
給与 15 25
個別固定費合計 40 60
部門利益 20 10
共通固定費配賦額
本社費配賦額 10 15
営業利益 10 △ 5
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管理会計 部門別損益管理
例えば、全社体制で導入しているITシステムを部門にも導入した場合、多大な費用が
かかったとしても、部門ではその費用を管理することはできません。
このような、部門で管理可能な個別固定費と管理不可能な個別固定費を分けて示したの
が以下の図です。ここでは、先ほどの図に新たに部門Cが設立されたと仮定しています。
部門Cは、最終的な損益がマイナス 15 であり、部門利益の段階でもマイナス 10 とな
っています。ただし、固定費を管理可能なものと管理不可能なものとを分けた場合、管理
可能利益に関してはプラスとなっています。
(2)予算管理に部門別の損益管理を応用
ここまで分解することで、部門別の予算管理に活用するのに有効な部門別損益計算書が
できあがりました。
各部門が管理することができない項目まで各部門で予算を作るのでは、予算を形骸化さ
せることに繋がり、意味を持ちません。例えば、人件費については各部門に裁量権がなく、
人事を担当する部門で一括して管理しているような場合には、各部門の人件費を人事担当
部門の予算で管理するようにします。このことで、各部門の管理可能な範囲と責任範囲の
整合性を図ることができ、合理的な予算計画を組むことができるようになります。
部門 A 部門 B 部門 C
売上高 100 100 100
変動費
材料費 25 15 20
販売費 25 15 20
変動費合計 45 30 40
限界利益 50 70 60
管理可能個別固定費
経費 5 10 20
個別固定費合計 5 10 20
管理可能利益 45 60 40
管理不能個別固定費
経費 0 10 20
労務費 10 15 20
給与 15 25 10
管理不能個別固定費合計 25 50 50
部門利益 20 10 △10
共通固定費配賦額
本社費配賦額 10 10 5
営業利益 10 △ 5 △15
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管理会計 部門別損益管理
第1章で見てきたように、部門別の採算性を見るためには、部門別に固定費と変動費を
分割する必要があります。ということは、部門ごとにきちんと費用の計算をしていなけれ
ば、正しい分析を行うことが不可能ということになります。
部門別に費用の計算をする際に問題となってくるのが、「間接費」の配賦についてです。
原価の計算をする際には、どの部門にも所属していない費用については何らかの基準を用
いて各部門に配賦することになります。
例えば、製造業において、設計や部品調達、生産管理のために発生する費用は商品別に
把握できないため、間接費として商品別の製造数などの比率で配賦されています。
しかし、このような従来の配賦方法では、間接費を実際に消費した割合と配賦基準との
関係は、必ずしも比例の関係とはなりません。
サービス業など、ほとんどが間接費となる業態では、間接費の配賦基準次第では最終的
にはじき出される損益が全く実態を反映していないものになってしまう可能性があります。
このような間接費の配賦問題を解決するために考え出された原価を計算するための手法
がABC(Activity-Based Costing:活動基準原価計算)です。
ABCとは、以下のような特徴をもった原価を計算するための手法です。
活動を基準として活動原価を細分化することで、そこに集計された間接費と活動基準と
の比例関係が明確になります。
例えば、設計活動であれば、設計業務の範囲と難易度、設計回数、設計変更回数などで
費用の発生額が決定します。従来の配賦基準が間接費の増減に無関係な操業度であるのに
比べ、活動基準は間接費を商品別原価に配賦する合理性を確保できます。
Ⅱ 部門別損益管理のためのABC
1 部門別原価管理で問題となる間接費の配賦
2 部門別管理に最適な間接費配賦方法
ABCとは 従来の配賦基準に替えて、間接費を活動(activity)と呼ばれる新しい基準で分解し、
活動原価として細分化することにある。
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管理会計 部門別損益管理
ABCの特徴は、「活動(アクティビティ)」と「コスト・ドライバー」という概念が用
いられていることにあります。
ABCでは、まず間接費という経営資源(リソース)を、各活動がどれだけそれぞれの
経営資源を消費したかという観点で各活動に配賦します。さらに、製品・サービスがその
活動をどれだけ消費したかという観点で製品・サービスに配賦していくという流れになり
ます。
コスト・ドライバーとは、コストの発生を引き起こす原因のことで、コストの発生を引
き起こした分だけ、その引き起こした活動や製品・サービスにコストを負担させようとい
う考え方に基づいて作られたのがABCです。
従来の配賦基準は、各部門がどれだけ間接費を消費したかという因果関係については無
視して配賦を行っていたため、部門別の原価計算を行う際には実態を反映できていないと
いうジレンマがありました。
ABCという手法が開発されたことにより、消費量と配賦の内容に因果関係が生まれ、
より実態に則した原価計算を行えるようになりました。
3 ABCの計算の仕組み
間接費 (経営資源) 活動 製品サービス
コスト・ドライバー コスト・ドライバー
A1
A2
A3
R1
R2
R3
C1
C2
C3
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管理会計 部門別損益管理
(1)伝統的な原価計算とABCの比較
ABCを下記の製造業の事例で具体的に見ていきましょう。
原価計算の部門設定で、製造部門に金属加工部門と樹脂加工部門を、補助部門に修繕部
門、運搬部門、管理部門を設けました。
補助部門はすべて間接業務で活動の目的が明確なので、そのままでも活動原価となりま
す。しかし、1つの活動原価に異なる活動基準が混在すると判断される場合には、細分化
を行います。例えば、工場管理を生産管理活動と資材調達活動の2種類の活動原価に分割
します。製造部門でも間接費(間接材料費、間接労務費、間接製造経費)が発生しますの
で、必要に応じて活動原価を設定します。
■従来の商品別原価計算(月間)
A商品 B商品 合計
直接材料費 100万円 70万円 170万円
直接労務費 74万円 156万円 230万円
直接製造経費 270万円 130万円 400万円
製造間接費 600万円
直接作業時間 640時間(36%) 1,140時間(64%) 1,780時間
製造間接費 216万円 384万円
商品別原価 660万円 740万円
(1個当たり) 3,300円 3,700円
4 商品別の採算性を判断するのに最適なABC
商品
補助部門 製造部門
修理部門 運搬部門 管理部門 金属加工部門 樹脂加工部門
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管理会計 部門別損益管理
従来の原価計算では、補助部門に集計した間接費を製造部門に配賦しました。上記事例
の配賦基準は、修繕部門は修繕作業時間、運搬部門は運搬回数、管理部門は人員割となっ
ています。その結果、これを間接作業時間の割合でA商品とB商品に配賦しました。
しかし、せっかく修繕作業時間等で部門別に配賦しても、最終段階の商品別原価では、
間接費の発生要因とは直接的に関係しない直接作業時間の割合で配賦しています。
■ABCの商品別原価計算
A商品 B商品 合計
生産数量 2,000個 2,000個 4,000個
直接費合計 444万円 356万円 800万円
製造間接費 600万円
活動原価1 15万円 22万円
活動原価2 34万円 12万円
活動原価3 77万円 39万円
… … …合計 286万円 314万円
商品別原価 730万円 670万円
(1個当たり) 3,650円 3,350円
■従来の原価計算とABCの原価計算の採算判断
従来の原価計算 ABCの原価計算
A商品 B商品 A商品 B商品
販売価格 3,800円 4,000円 3,800円 4,000円
製造原価 3,300円 3,700円 3,650円 3,350円
売上総利益 500円 300円 150円 650円
売上総利益率 13.2% 7.5% 3.9% 16.3%
ABCの原価計算では、間接費を部門別に割り当てないで、集計した活動原価を活動基
準で商品別原価計算に配賦します。その結果、A商品が負担すべき間接費は286万円で、
B商品は314万円となりました。
従来の原価を計算する手法で利益率13.2%と高い評価を受けていたA商品が、ABCで
見直すと利益率は3.9%であることが分かります。一方、生産を打ち切るべきかの判断を
迫られるような利益率だったB商品では、ABCでは16.3%という高い利益率であること
が分かりました。
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管理会計 部門別損益管理
(2)商品戦略に有効なABC
ABCは商品の収益性に関する情報を改善し、商品戦略に有益な情報を提供します。収
益性の低い商品から撤退を検討したり、収益性の高い商品から撤退するという誤った意思
決定を防ぐことにも役立ちます。ABCは原価を計算するための制度として実施するより
も、商品戦略を検討するための分析手法として多く用いられます。
ただし、ABCを利用する際には以下の点に気をつける必要があります。
■ABC利用時の注意点
●情報収集や計算の手間がかかる
●実施することによってコスト増となる可能性がある
●配賦基準が現実に即していなければ結局現実との乖離が発生する
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管理会計 部門別損益管理
ABCは商品の収益性に関する情報を改善してくれますが、収益性が低いという理由だ
けで、その商品から撤退を決定して良いとは限りません。場合によっては、経営者は業務
改善を行い社内の無駄を排除し、継続的に原価低減活動を実施することで、その商品の収
益性を向上させることを選択することもあります。
ABM(Activity-Based Management:活動基準管理)はこのような問題意識のもとで
登場した手法です。
ABMは商品製造の過程における活動に注目する点ではABCと共通していますが、そ
の目的はABCと異なります。
ただ原価を低減させるだけならば、製品の品質を低下させることによって容易に達成で
きますが、ABMは原価低減を通じて企業の利益を改善させながら、顧客が受け取る価値
も向上させることを目指しています。
ABMは多くの場合ABC情報にもとづいて実施され、次のような特徴があります。
■ABMの特徴
①活動の集合体であるプロセスに注目する
②非付加価値活動に注目する
Ⅲ 原価低減を通じ企業利益向上を目指すABM
1 顧客・企業双方の利益を向上させるABM
2 ABMの基本的な仕組み
正確な原価の算定を通じて商品 戦略に役立つ情報を提供する
ABCの目的
原価低減活動の実施
ABMの目的
ABMとは 活動の管理を行うことによって、顧客が受ける価値と企業の利益という2つの価値を同
時に向上させることを狙いとする技法。
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管理会計 部門別損益管理
ABMはコスト・プールである活動を管理対象とし、活動そのも
のとその活動に集計される原価(Activity Cost)の分析を行います。
ABCの前提は「原価計算対象が活動を消費し、活動が資源を消費
する」ことでした。この前提に従えば、原価は活動が経営資源を消
費することによって生じることになります。資源作用因にもとづい
て経営資源の消費分を活動別に集計すれば、ある特定の活動にいく
らの原価をかけているかが分かります。ABMは企業がどのような
活動を行っているか、その活動が他の活動とどのように関連してい
るかに注目します。
企業は社内でさまざまな活動を行っています。ほとんどの活動は、
商品を製造・販売するという企業の目的において必要不可欠な、顧
客に対して価値を提供する活動です。このような活動を付加価値活
動といいます。しかし、企業が行っている活動の中には、顧客に対
して価値を提供していないものもあります。このような活動を非付
加価値活動と呼びます。
ABMではプロセスに注目して非付加価値活動を明らかにし、こ
れを排除することを狙いとします。なぜならば、非付加価値活動を
排除できれば、顧客が受け取る価値はそのままに、非付加価値活動
に要した原価を排除できるからです。
非付加価値活動の排除は、以下の3つのステップで行います。
■非付加価値活動排除の3つのステップ
活動の集合体で
あるプロセスに
注目する
非付加価値
活動に
注目する
活 動
業績の測定・管理
重要な活動かどうか
業界水準と比べてどうか
重要
不必要
水準以上
水準以下
イ)活動分析
ロ)原因作用因分析
ロ)原因 作用因分析 ハ)業績分析
重要な活動
水準以上の活動
不必要な活動
水準以下の活動
改 善
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管理会計 部門別損益管理
イ)活動分析
企業が行っている活動に注目し、企業が行う活動のうち重要な活動と不必要な活動を明
らかにします。重要な活動に関しては、それが果たして効率良く実施されているかを確認
する必要があるので、業界の最善の業務と比較します。重要でありながら水準以下の活動
および不必要な活動は、改善の対象となります。
ロ)原価作用因分析
活動分析により明らかにされた不必要な活動、および業界の水準以下の活動を観察し、
無駄な要因を識別します。
検討の対象となった活動の原価作用因を明らかにし、なぜその原価作用因が発生するの
か、どうしたらこの原価作用因を削減できるのかを検討することで、非付加価値活動、お
よびそれに伴う原価を削減できます。
ハ)業績分析
原価低減活動は1度だけの分析ではなく継続的な作業として認識し、ABMで発見され
た問題点に対しては、継続的に取り組む必要があります。業績分析の段階では、その企業
が重視すべき問題点を確定するとともに、その重視すべき問題に関連する活動の尺度を決
定し、継続的に業績を測定・管理します。