週刊経済指標 - ネット証券(株・FX・投資 ... · 発行日 : 2011/12/6...

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発行日 2011/12/6 金も原油も横ばい 週刊経済指標 経済の動きをグラフで見てみましょう。 毎週火曜日夕方発行 5日のNY金2月限は16.80ドル安の1734.50ドル。利食いやテクニカル要因による売りから反落した。早朝か ら売り圧力が高まり、安寄りした。おおむね堅調に推移した前週の反動でこの日は値固め局面となったこともあり、 売りが先行した。相場はその後、一時的に上昇した。仏独首脳が会談後の共同記者会見で財政統合へ向けた新条約制 定を目指すとの方針を発表し、週後半の欧州連合(EU)首脳会談を前に欧州債務危機対策の進展が期待されたこと から、外国為替市場でユーロ買いが活発化。ドルが売られたことからドル建て商品の金塊に割安感が生じた。また、 この日発表された10月の米製造業受注や11月の非製造業景況指数など、米経済指標の発表内容が低調だったこと も金の買いを支え、相場は一時1750ドル台まで値を戻した。ただ、買い一巡後は再び下落基調となった。 5日のNY原油1月限は0.03ドル高の100.99ドル。約2週間ぶり の高値を付けた後、ユーロ圏各国の格付け見直しをめぐる報道を嫌気 して上げ幅を縮めた。独仏両国首脳が同日の会談後、ユーロ圏諸国 の金融危機の克服に向け、欧州連合(EU)の財政統合に向け新た な条約制定を目指す方針を表明した。これを受けて8、9両日に開催 されるEU首脳会議で、進展するとの期待が先行。投資意欲が強ま る中、ユーロは対ドルで買われ、ドル建てで取引される原油相場も 割安感から買いが膨らんだ。さらに日中の米株価上昇やイラン核開 発をめぐる地政学的リスクも相場の支援材料となり、電子取引では 一時102.44ドルと約2週間ぶりの高値まで上伸した。ただ、買い 一巡後は値を消す展開となった。英紙が、米格付会社大手スタンダ ード・アンド・プアーズ(S&P)がドイツなど欧州6カ国の格付 け見通しを「ネガティブ」に変更すると報道。このため、リスク投 資を巻き戻す動きが台頭し、一気に前週末終値付近まで上げ幅を 縮めた。 0 1 2 3 4 5 6 7 8 5 2 6 2 7 2 8 2 9 2 1 0 2 1 1 2 1 2 2 出所:Reuter 欧州各国の10年物国債利回り ドイ フラ ンス イタ リア スペ イン - 1 -

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Page 1: 週刊経済指標 - ネット証券(株・FX・投資 ... · 発行日 : 2011/12/6 金も原油も横ばい 週刊経済指標 経済の動きをグラフで見てみましょう。

発行日 : 2011/12/6

金も原油も横ばい

週刊経済指標経済の動きをグラフで見てみましょう。

毎週火曜日夕方発行

5日のNY金2月限は16.80ドル安の1734.50ドル。利食いやテクニカル要因による売りから反落した。早朝か

ら売り圧力が高まり、安寄りした。おおむね堅調に推移した前週の反動でこの日は値固め局面となったこともあり、

売りが先行した。相場はその後、一時的に上昇した。仏独首脳が会談後の共同記者会見で財政統合へ向けた新条約制

定を目指すとの方針を発表し、週後半の欧州連合(EU)首脳会談を前に欧州債務危機対策の進展が期待されたこと

から、外国為替市場でユーロ買いが活発化。ドルが売られたことからドル建て商品の金塊に割安感が生じた。また、

この日発表された10月の米製造業受注や11月の非製造業景況指数など、米経済指標の発表内容が低調だったこと

も金の買いを支え、相場は一時1750ドル台まで値を戻した。ただ、買い一巡後は再び下落基調となった。

5日のNY原油1月限は0.03ドル高の100.99ドル。約2週間ぶり

の高値を付けた後、ユーロ圏各国の格付け見直しをめぐる報道を嫌気

して上げ幅を縮めた。独仏両国首脳が同日の会談後、ユーロ圏諸国

の金融危機の克服に向け、欧州連合(EU)の財政統合に向け新た

な条約制定を目指す方針を表明した。これを受けて8、9両日に開催

されるEU首脳会議で、進展するとの期待が先行。投資意欲が強ま

る中、ユーロは対ドルで買われ、ドル建てで取引される原油相場も

割安感から買いが膨らんだ。さらに日中の米株価上昇やイラン核開

発をめぐる地政学的リスクも相場の支援材料となり、電子取引では

一時102.44ドルと約2週間ぶりの高値まで上伸した。ただ、買い

一巡後は値を消す展開となった。英紙が、米格付会社大手スタンダ

ード・アンド・プアーズ(S&P)がドイツなど欧州6カ国の格付

け見通しを「ネガティブ」に変更すると報道。このため、リスク投

資を巻き戻す動きが台頭し、一気に前週末終値付近まで上げ幅を

縮めた。

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出所:Reuter

欧州各国の10年物国債利回りドイ

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TOPICs 12月5日付金融週報 by 三菱東京UFJ銀行

今週の注目点 = 引き続き「欧州債務問題」

8日~9日の「EU首脳会議」と「ECB

理事会」で具体的な対応策が出るかが

注目される。

EU首脳会議の主な議題

① 財政規律

② 財政統合(含むユーロ債)

③ 安全網(含むEFSFとIMF活用)

④ 第二次ギリシャ金融支援 等

EC理事会の主な議題

① 国債の大量購入

② 流動性供給・資本増強

③ 利下げの可能性

これらが期待はずれな場合は再びリスク回避の動きが再燃する

可能性がある。

TOPIICs 12月2日付 欧州スペシャルレポート by 野村証券

ユーロ圏資産の買いの減退 + 銀行による債務削減の動き(債券売り圧力)= 全面的なユーロ売り = ユーロ

崩壊リスク

⇒ 債務削減スパイラル

担保として提供されている国債価格の変動 + カウンターパーティー・クレジットリスク = 担保価値の削減率

(ヘアカット)の増大 = 担保不足 = 割高な資金調達 ⇒ 流動性の減少 ⇒ 債務削減の動き増幅 ⇒ 債

務削減スパイラル

<考えられる12月8日のECBの対応策>

利下げ ▲0.25% (主要リファイナンス金利1.00%、預金金利0.25%、限界貸出金利1.75%)

コリドー(主要利ファイナンス金利との格差)を0.75%から0.50%に縮小=金融機関の貸し出しの促進

⇒ 銀行間取引を圧迫

流動性の追加投入

12、13か月の資金供給オペ ⇒ 24~36カ月の資金供給オペ

担保基準の緩和

より信用力の低い資産を担保として受け入れる。or 掛け目の引き上げ。

AAA格以外の資産担保証券(ABS)や銀行劣後債、より格付けの低い社債を的確担保の対象に追加、

企業、家計向けローンも担保対象に含める等。

これらの措置によって流動性が顕著に低下する年末を乗り越えらるかどうかが問題

大規模な量的金融緩和は12月までは無いだろう。あるとしても1~3月の間のどこかの時点だろう。

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TOPICs 12月5日付 藤戸レポート by Mitsubishi UFJ Morgan Stanley

欧州ではクレジットクランチ(信用ひっ迫)の様相が強まって

いる。CDSスプレッドはイタリアの大手銀行ウニクレディトの

ように600bpをブレークするケースもある。欧州の銀行は相互

の経営内容に対して疑心暗鬼に陥っている。こうした銀行間の貸

し渋りを表す指標として、EURIBOR/OISスプレッドという指標

がある。翌日物無担保コールレートと固定金利を交換する金利の

格差を表すものである。この貸し渋り指標は、リーマンブラザー

ズ破綻の2008年10月には2.069%の最高値をマークした。

「超貸し渋り」と言っても良い方今日で、欧米の大手金融機関が

事実上の破綻に追い込まれたのは記憶に新しい。その後、各国中

央銀行の超金融緩和政策・流動性供給と、各国政府の財政出動に

よる景気刺激策で信用リスクが低下し、今年3月には0.137%ま

で低下していた。ところが、8月の砲声によって急速に鎌首をも

たげ、12月1日には1.006%までの上昇となった。リーマン破

また、欧州の銀行がドル建てで借り入れる際の「上乗せ金利」も急上昇している。欧州金融機関の信用リスクの

高まりから、ドル融資には消極的ないしは謝絶する金融機関が少なくない。銀行ばかりでなく、投信やMMFの中に

も、欧州のエクスポージャーを嫌う傾向が強まっている。そこで欧州金融機関はドル需要を賄うために金利を上乗

せする必要に迫られることになる。

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発行元 :

欧州債務問題は、首脳会議を前に独仏首相による財政規律強化等の共同提案骨子を発表した。事態は流動的

であり、こうした対策が適切なもので、危機を回避することができるかどうかは予断を許さず、評価するにも

時期早尚であろう。

もう大丈夫というところまでは未だ到達していないことだけは確かであり、仮に金融不安が収まったとして

も欧州の景気悪化は避けられず、それは世界的な不況となって拡がっていくだろう。

そうしたことを前提に金や原油価格を考えると、金は長年の上昇基調にもかかわらず(ある新聞記者からこ

れだけ長い間価格が上昇している商品は他にあるのかという質問と、上がれば下がるという原則は金の場合は

当てはまらないのかという質問を頂戴した)金価格はまだまだ上昇の余地があり、逆に原油価格は金と同じ不

安要因で価格が上がるとしても、需給要因でいつ100ドルを下回って下落してもおかしくないと言わざるを得

ない。

今後の見通し

TOPICs 中国からの欧州向け輸出は減少傾向

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出所:中国国家統計局

中国の欧州諸国向輸出状況英国向 フランス向ドイツ向 オランダ向 40,697

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出所:中国国家統計局

中国のヨーロッパ向輸出状況

欧州向けの中国からの輸出は8月以降減少に転じている。

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