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©Cardinal Health Japan G.K. 2018 問い合わせ先 CHD0291-01-20186/NM OD [製造販売元]日本バイオセンサーズ株式会社 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-1-7 [発売元]Cardinal Health Japan 合同会社 〒163-1034 東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー 明石医療センター 循環器内科 黒田 優 先生 冠動脈病変を有する大動脈弁狭窄症に対してBioFreedom TM 留置1か月後にOCTで評価したのちTAVIを施行した2症例 経過 Case1およびCase2どちらの症例も1か月後のフォローアップ OCTでBioFreedom TM ステントストラットの良好な内膜被覆を 確認したのち、プラスグレルを中止した。バイアスピリン単剤 としてから1週間後に穿刺法による経大腿動脈アプローチ TAVIを施行した。抗血小板剤を1剤にできたため、穿刺部の出 血はごく少量で成功終了しえた。 OCTの結果 2症例ともステント留置1か月後のステントストラットの被覆率 はそれぞれ92.0%および89.1%と高率であった。Case1では、 Malapposed strutsは認めず、比較的均一な新生内膜の被覆 が得られていることが確認できた。Case2では、石灰化を伴う 高度狭窄病変であったが、Malapposed strutsはごく少数認 めるのみで、Uncovered strutsも8%と低値であり比較的良好 な血管治癒を確認した。 考察 近年の報告によるとTAVIを受ける患者の40~70%に冠動脈疾患が存在する [1] 。しかし、PCIの適切なタイミングについてはまだ 明確になっていない。当院では、術前精査のCAGで介入が必要な冠動脈狭窄を認めた場合、基本的にTAVIの前にPCIを施行し ている。そこで問題となるのは、抗血小板療法の期間である。TAVIは外科的大動脈弁置換術より低侵襲であるとはいえ、合併 症により開胸手術への移行や、大口径のシースを使用するためアプローチ部位からの出血などが懸念されるため、TAVI施行前 からのDual antiplatelet therapy (DAPT)はできるだけ避けたい。LEADERS FREE試験やそのサブ解析から高出血リスク群に おけるPCIにおいて、BioFreedom TM は早期にDAPT中止が選択できるステントとして、その有用性が報告されている [2] 。TAVIの 対象患者は、超高齢がほとんどであり出血リスクが高いことから、TAVI前に用いるステントとしては、DAPTの早期中止が選択で きるBioFreedom TM が有用であると考えられる。今回の症例は、冠動脈病変を有する大動脈弁狭窄症に対してBioFreedom TM 置1か月後にOCTで評価したのちTAVIを施行した2症例である。Case1および2ともに、被覆率は90%前後と高く新生内膜の被覆 が良好であり、一方で、新生内膜のthicknessは平均50μm前後と過剰な増生を認めず比較的均一であった。これらの所見か ら、Uncovered strutsに起因するステント血栓症のリスクが低いと判断し、DAPTからアスピリン単剤に変更しPCIから1か月後 に安全にTAVIを施行することが可能であった。今回の2症例のように、TAVIなど観血的な手技の前にPCIが必要な症例におい て、DAPTの早期中止が選択できるBioFreedom TM は有用な選択肢であると考えられた。 使用製品 BioFreedom TM 販 売 名:BioFreedom薬剤コーテッドステント 承認番号:2 2 9 0 0 B Z X 0 0 2 5 1 0 0 0 ※製品のご使用にあたっては、添付文書をご確認ください [1] Paradis JM, Fried J, Nazif T, Kirtane A, Harjai K, Khalique O, Grubb K, George I, Hahn R, Williams M et al:Aortic stenosis and coronary artery disease:what do we know? What don't we know? A comprehensive review of the literature with proposed treatment algorithms. European heart journal 2014, 35(31):2069-2082. [2] Urban P, Meredith IT, Abizaid A, Pocock SJ, Carrie D, Naber C, Lipiecki J, Richardt G, Iniguez A, Brunel P et al:Polymer-free Drug-Coated Coronary Stents in Patients at High Bleeding Risk. The New England journal of medicine 2015, 373(21):2038-2047. Table OCT frame number analyzed OCT strut number analyzed Lumen area (mm 2 Stent area (mm 2 Neointimal area (mm 2 Case1 Case2 24 224 13.3 13.7 0.19 29 211 7.4 7.7 0.21 注意:BioFreedom TM は、国内において「薬剤溶出ステント」として、HBRに限定 しない一般的な既存のDESとして承認されています。従って、DAPTに ついてはPCIガイドラインに 従い、個々の患者のリスクを考慮した上で 至適DAPT期間を選択してください。 Mean (Min, Max) Intima-strut coverage, n (%) Uncovered struts, n (%) Malapposed struts, n (%) Neointimal thickness (μm) 54 (10,350) 206 (92.0%) 18 (8.0%) 0 (0%) 50 (10,400) 188 (89.1%) 17 (8.1%) 6 (2.8%) Lesion 動画見れます 「COCOAR2」 をダウンロードしてこのアイコンのある画像に写真をかざすと動画がご覧いただけます。 ※COCOAR2は無料アプリです。 「App Store」もしくは「Google Play」で 「COCOAR2」 と検索し、インストールしてください。 または、左側のQRコードを読み込み、 「COCOAR2」 アプリをインストールしてください。 STEP 1 「COCOAR2」 アプリのインストール 「COCOAR2」 アプリを起動し、 指定画像にかざしてスキャンしてください。 STEP 2 「COCOAR2」 を起動してかざす カメラマークを押すとCheck 撮影することもできます。 Check Case1 Case2 Clinical Update FOCUSING ON CURRENT CARDIOVASCULAR CLINICAL PROCEDURES li li ical U date C C

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© Cardinal Health Japan G.K. 2018

問い合わせ先 :

CHD0291-01-20186/NM OD

[製造販売元] 日本バイオセンサーズ株式会社 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-1-7

[発売元] Cardinal Health Japan 合同会社 〒163-1034 東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー

明石医療センター 循環器内科 黒田 優 先生

冠動脈病変を有する大動脈弁狭窄症に対してBioFreedomTM

留置1か月後にOCTで評価したのちTAVIを施行した2症例

■経過Case1およびCase2どちらの症例も1か月後のフォローアップOCTでBioFreedomTMステントストラットの良好な内膜被覆を確認したのち、プラスグレルを中止した。バイアスピリン単剤としてから1週間後に穿刺法による経大腿動脈アプローチTAVIを施行した。抗血小板剤を1剤にできたため、穿刺部の出血はごく少量で成功終了しえた。

■OCTの結果2症例ともステント留置1か月後のステントストラットの被覆率はそれぞれ92.0%および89.1%と高率であった。Case1では、Malapposed strutsは認めず、比較的均一な新生内膜の被覆が得られていることが確認できた。Case2では、石灰化を伴う高度狭窄病変であったが、Malapposed strutsはごく少数認めるのみで、Uncovered strutsも8%と低値であり比較的良好な血管治癒を確認した。

■考察近年の報告によるとTAVIを受ける患者の40~70%に冠動脈疾患が存在する[1]。しかし、PCIの適切なタイミングについてはまだ明確になっていない。当院では、術前精査のCAGで介入が必要な冠動脈狭窄を認めた場合、基本的にTAVIの前にPCIを施行している。そこで問題となるのは、抗血小板療法の期間である。TAVIは外科的大動脈弁置換術より低侵襲であるとはいえ、合併症により開胸手術への移行や、大口径のシースを使用するためアプローチ部位からの出血などが懸念されるため、TAVI施行前からのDual antiplatelet therapy (DAPT)はできるだけ避けたい。LEADERS FREE試験やそのサブ解析から高出血リスク群におけるPCIにおいて、BioFreedomTMは早期にDAPT中止が選択できるステントとして、その有用性が報告されている[2]。TAVIの対象患者は、超高齢がほとんどであり出血リスクが高いことから、TAVI前に用いるステントとしては、DAPTの早期中止が選択できるBioFreedomTMが有用であると考えられる。今回の症例は、冠動脈病変を有する大動脈弁狭窄症に対してBioFreedomTM留置1か月後にOCTで評価したのちTAVIを施行した2症例である。Case1および2ともに、被覆率は90%前後と高く新生内膜の被覆が良好であり、一方で、新生内膜のthicknessは平均50μm前後と過剰な増生を認めず比較的均一であった。これらの所見から、Uncovered strutsに起因するステント血栓症のリスクが低いと判断し、DAPTからアスピリン単剤に変更しPCIから1か月後に安全にTAVIを施行することが可能であった。今回の2症例のように、TAVIなど観血的な手技の前にPCIが必要な症例において、DAPTの早期中止が選択できるBioFreedomTMは有用な選択肢であると考えられた。

■使用製品BioFreedomTM

販 売 名:BioFreedom薬剤コーテッドステント承認番号:22900BZX00251000

※製品のご使用にあたっては、添付文書をご確認ください

[1] Paradis JM, Fried J, Nazif T, Kirtane A, Harjai K, Khalique O, Grubb K, George I, Hahn R, Williams M et al: Aortic stenosis and coronary artery disease: what do we know? What don't we know? A comprehensive review of the literature with proposed treatment algorithms. European heart journal 2014, 35(31):2069-2082.

[2] Urban P, Meredith IT, Abizaid A, Pocock SJ, Carrie D, Naber C, Lipiecki J, Richardt G, Iniguez A, Brunel P et al: Polymer-free Drug-Coated Coronary Stents in Patients at High Bleeding Risk. The New England journal of medicine 2015, 373(21):2038-2047.

Table

OCT frame number analyzed

OCT strut number analyzed

Lumen area (mm2)

Stent area (mm2)

Neointimal area (mm2)

Case1 Case2

24

224

13.3

13.7

0.19

29

211

7.4

7.7

0.21

注意:BioFreedomTMは、国内において「薬剤溶出ステント」として、HBRに限定しない一般的な既存のDESとして承認されています。従って、DAPTについてはPCIガイドラインに 従い、個々の患者のリスクを考慮した上で至適DAPT期間を選択してください。

Mean

(Min, Max)

Intima-strut coverage, n (%)

Uncovered struts, n (%)

Malapposed struts, n (%)

Neointimal thickness (μm)

54

(10,350)

206 (92.0%)

18 (8.0%)

0 (0%)

50

(10,400)

188 (89.1%)

17 (8.1%)

6 (2.8%)

Lesion

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STEP 1 「COCOAR2」アプリのインストール「COCOAR2」アプリを起動し、指定画像にかざしてスキャンしてください。

STEP 2 「COCOAR2」を起動してかざす

カメラマークを押すとCheck 撮影することもできます。Check

Case1 Case2

Clinical Update

F O C U S I N G O N C U R R E N T C A R D I O V A S C U L A R C L I N I C A L P R O C E D U R E S

lili ical U dateCC

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Clinical Update

OCTにて良好な新生内膜によるステントストラットの被覆が確認できたため、DAPTからバイアスピリン単剤にし、安全にTAVIを施行できた。

OCTにて良好な新生内膜によるステントストラットの被覆が確認できたため、DAPTからバイアスピリン単剤にし、安全にTAVIを施行できた。

病変部も含めて、OCTで良好な新生内膜の被覆を確認できた。

IVUSでは高度狭窄を認め、一部は180~270°の高度石灰化が存在した。

病変は全周性の石灰化を認めたものの、BioFreedomTM留置後のIVUSでは比較的良好な拡張を得て終了している。

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冠動脈病変を有する大動脈弁狭窄症に対してBioFreedomTM留置1か月後にOCTで評価したのちTAVIを施行した2症例

■現病歴:大動脈弁狭窄症に対して近医でフォローされていたが、心不全症状の悪化および心エコー図検査での大動脈弁狭窄症の増悪を認め当院に紹介となった。ハートチームでの検討にて経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の適応と判断した。術前精査の冠動脈CTにて右冠動脈近位部に高度狭窄が疑われた。心臓カテーテル検査にてRCA#1:90%を認め、TAVI施行前にPCIを実施する方針とした。OCTで病変を確認し、3.5mmのスコアリングバルーンで拡張後にBioFreedomTM

(3.5x24mm)を12atmで3回拡張し留置した。OCTで拡張不良および圧着不良を認めたため、4.5mmのノンコンプライアントバルーン20atmで追加の後拡張を行った。最終のOCTで良好な拡張を確認しTIMI 3で終了とした。抗血小板剤はプラスグレルおよびバイアスピリンの2剤を投与開始した。

■現病歴:大動脈弁狭窄症に対して当院で定期フォローしていたが、心エコー図検査で大動脈弁狭窄症の増悪およびBNP:200pg/mlと上昇を認めた。ハートチームでの検討にてTAVIの適応と判断した。術前精査の冠動脈CTにて右冠動脈中間部に高度狭窄が疑われた。心臓カテーテル検査にてRCA#3-4AV:90%を認め、TAVI施行前にPCIを実施する方針とした。IVUSで病変を確認し、2.5mmのセミコンプライアントバルーンで拡張後にBioFreedomTM (3.0x28mm)を10atmで3回拡張し留置した。#4PDに対しては狭窄があったため2.25mmのバルーンで拡張後にDrug coated balloonで拡張した。最後に#4AVのステントを3.25mmのノンコンプライアントバルーン20atmで拡張した。最終的にIVUSでステントが適切に拡張されているのを確認し、TIMI 3で終了した。抗血小板剤はプラスグレルおよびバイアスピリンの2剤を投与開始した。

CASE 1

治療前

治療直後

1ヶ月後

Follow-up CAGの1週間後にTAVI施行

 ■年齢:80歳代 男性■既往歴:大動脈弁狭窄症、高血圧、高脂血症、慢性閉塞性肺疾患

CASE 2 ■年齢:80歳代 女性■既往歴:大動脈弁狭窄症、心不全、高血圧、高脂血症、糖尿病

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