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文理融合の新しいSTEMプログラム: 米国,シンガポール,日本の ... ·...
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文理融合の新しいSTEMプログラム:米国,シンガポール,日本の事例を中心に
2017年度課題研究集会 課題研究シンポジウム
2017年12月3日 於関西国際大学
山田礼子(同志社大学)
本日のアウトライン
• 21世紀におけるSTEMへの期待
• STEM分野と21世紀型教養
•スタンフォード大学BOSPプログラム
•シンガポール工科デザイン大学(SUTD)
•同志社大学サイエンス・コミュニケーター養成副専攻プログラム
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21世紀におけるSTEMへの期待
問題意識
•世界的に知識経済のインパクトが高まるなかでのイノベーションへの期待と要請が増大
各国の教育および科学技術政策にSTEMが重要政策として
位置付けられるように
STEM領域の役割がアップ4
各国のSTEM関係の政策
•米国 大統領科学技術諮問委員会PCAST 2010, 2012
•オーストラリア CHIEF SCIENTIST, 2014
•英国 HOUSE OF LORDS, 2012
•日本 文科省 理工系人材育成戦略 2015,
第5期科学技術基本計画 2015
• シンガポール STEP 2015 (A*STAR)5
STEM分野と21世紀型教養
AAC&Uが示すSTEM分野での21世紀で必要とされる能力・スキルと学士課程教育の改革方向
AAC&U LEAPから
• 専門分野の知識だけでなく,世界の複雑な文化に根差した問題に専門知識を応用する力,
• 問題や解決の重要性を効果的に伝える力
• 学士課程段階でのSTEM 分野は,
• 1) 実際の世界での問題に関するより深い知識(エネルギー地球温暖化,環境汚染等)
• 2) こうした直面している世界の問題をいかに持続可能性につなげていくか
• 3) 社会問題を深く理解し,分析し,解決に向けて,市民や専門家として何を選択して行動していくか等の機会を提供するような改革を行うことが望まれる 7
JABEEにおけるデザイン教育改善の努力
• デザイン教育の観点 JABEE
• 1. デザイン能力に関して具体的な達成目標を設定しているか
• 2. 学生がデザインあるいは問題解決策についての学習体験をしているか
• 3. 学生に以下のような能力を育成できる内容を含む複合的な課題を提示して いるか
(1) 解が一つでなく複数のアイデアを提示できる
(2) 大学で学ぶ複数の知識を応用できる
(3) コミュニケーション力ならびにチームワーク力を発揮できる
(4) 創造性が発揮できる
(5) コスト等の制約条件について考察を行える
(6) 自然や社会への影響(公衆の健康・安全,文化,経済,環境,倫理等)に ついて考察できる8
日本の学生データから見る学習成果
1.501.551.601.651.701.751.801.851.901.952.00
人文系 社会科学系 STEM系 医療系 全体平均
• 2010年JCSS上級生調査
• 4.0が最高点
• 入学後に身についた能力・スキル
• STEM分野の学生に見られる21世紀型教養の習得における苦戦
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p<.0001
理工系における文理融合プログラムの動向:博士課程教育リーディングプログラム
• 特徴と育成すべき能力・スキルは?
• 専門分野の枠を超えた学際性を基軸に人文・社会領域の視点の組み入れ
•①グローバルに行動する力
•②自ら課題を発見し,仮説を構築し,知識を駆使し独創的に課題に挑む力
•③高い専門性や国際性,幅広い知識をもとに物事を俯瞰し本質を見抜く力
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文理融合プログラムの意義
• VANCE K等 (2014):多様な人々とのチームワーク力の育成
• CHIPPERFIELD等 (2015) :STEM系学生のグローバル社会に対しての認識力と対応力を評価する方法を提示したうえで学際的なプログラムを通じてこうした能力・スキ
ルを育成
• HORNとMURRAY(2012) :社会を持続可能にしていくためには,STEMにおける専門知識だけではなく,社会,倫理,環境への意識などが不可欠であり,これらを学際
的な教養教育を通じて習得
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・異分野融合を可能にするスタンフォードDスクール・文理・年齢を問わない多様な集団による議論の場とデザイン思考を可能にする場の提供・失敗してもやり直せるものづくり
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文理融合プログラムを通じて期待される学習成果
・現在の21世紀型プログラム
文理融合型プログラムおもに,大学院レベルリーディング大学院プログラム
特徴:新たな21世紀型教養を組み入れ学際性,市民性,多文化や異文化の知識や体験にもとづく応用型スキル
スタンフォード大学BOSPプログラム
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スタンフォード大学学生のスタディ・アブロードの経験
• 50%の学士課程学生がおおよそ3か月の留学経験
•海外センターが世界の9都市に設置
• (ブリスベン,ベルリン,ケープタウン,フローレンス,京都,マドリード,オックスフォード,パリ,サンティアゴ)
•加えて,10%の学生が教員引率の海外研修セミナーに参加
• それ以外の多様な海外プログラム16
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BING OVERSEAS STUDIES PROGRAM(BOSP)の概要
• プログラム:海外で1~2学期を学び,インターンシップの経験(HIP)
• 対象:上級学年
• 目的:大学の工学課程を通じて専門的な知識,技能を修得して将来エンジニア(技術者)と
して社会で働く予定の学生が,外国での学習,仕事そして経験を通じて,異文化や
多文化に関する知識や経験だけでなく,国際的なセンスを修得すること
• BOSPプログラムを履修する学生は1年生時点でアドバイザーと相談し,履修計画を確定
・専門分野である工学部の専攻で必修とされている科目の履修
・海外センタープログラムが提供されている国の言語を学び一定のレベルに達する
ことが求められる18
BOSP導入の背景:スタンフォード大学の認識
• エンジニアという職種が極めて国際的に通用性のあるものであると認識
• 卒業生の多くが海外での何年間かにわたる駐在経験,あるいは他の国での技術面でのコンサルタントを行う,あるいは他国で会社を立ち上げて経営に関わるなどの国際的な要素から構成されている業務
にかかわっている従事
• こうした仕事上で求められる要素の分析
早期段階での学士課程教育を通じて修得される「文化的リテラシー」(CULTURAL LITERACY)と「異文化リテラシー」が土台
スタディ・アブロードプログラムは不可欠であると位置付けられる19
京都プログラムの概要
• 特徴:言語,技術,そして政策といった要素が包摂された学際的な内容から構成
• 京都プログラムには,日本のエネルギーと環境に関する技術および経済政策策定の背景にある政治学を学び,同時に現代日本社会や文化的土台をも学ぶという学際的な要素が組み込まれている
• 夏期インターンシップを履修する際に,求められる「日本語」能力の要件は,技術に関わるインターンシップを経験するか,しないかによって違い
・技術的なインターンシップへの参加希望学生は,3学期(1年間)にわたって,各
5単位の「日本語1」「日本語2」「日本語3」を履修して合格することが必須条件
・技術に関わらないインターンシップ参加希望学生には,多少緩やかな日本語科目の
履修要件
• インターンシップは,宿泊費,奨学金(生活費)等全て学生に提供される形で実施され,6月後半から10週間にわたって日本のベンチャー企業および大企業で実施
• すべての分野の学生が参加 実際は70%がSTEM分野の学生 20
京都プログラムの成果目標
• 狭く深いだけでなく幅の広い経験に焦点
• 異なる文化への密度の濃い体験と帰国後に他の国や世界をより理解し,その経験を応用できること
• 机上での学習と実際の世界との差異を理解すること,そしてそれを経験すること
• プログラムを通じて,思考を活性化し,物事に挑戦すること,そして経験をすること
• T型人材の育成:特定の分野を究め,その深い専門知識と経験・スキルの蓄積を自らの軸に据えつつ,さらにそれ以外の多様なジャンルについても幅広い知見を併せ持っ
ている人材
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シンガポール工科デザイン大学(SUTD)
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SUTDの概要
• MITと中国の浙江大学の協力によって2009年に設置された理工系の新しい国立大学
• SUTDの学生数2016年現在1300名
• 大学全体でデザイン志向が教育の基本
• 教育の特徴 :
(1)統合的,学際的なアプローチ
(2)実社会での経験をすることをカリキュラム上に包摂するといったことにより知識主体の教授法からデザイ
ン中心の教授法を積極的に導入
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カリキュラムの特徴
• カリキュラムは工学,科学のみならず人文科学が土台となって組まれており,これらの科目を1年次と2年次の第一学期で履修するように構築
• 1・2年という低学年で文理融合のアプローチを基本とする科目履修をすることにより,デザイン思考を醸成することが可能
• 卒業までにかかる期間は3年と4か月 8学期間で構成 3回のINDEPENDENTACTIVITY PERIOD (IAP)と夏休み MIT,スタンフォード大学等海外の提携校へSTUDY ABROADあるいはシンガポール国内外の企業でインターンシップ
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教育方法・教授法の特徴
• コーホート単位による学習とアクティブ・ラーニングが基本
• コーホート教室の利用
• デザイン・プロジェクトの導入
建築,工業製品,ソフトウェア,システム等工学に
関連するすべてのデザイン
・分野横断的プロジェクトの推奨
・履修したすべての授業に加えて授業以外での学び
を取り入れたプロジェクトの推奨:課外活動,インター
ンシップ,留学経験など25
同志社大学サイエンス・コミュニケーター養成副専攻プログラム
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文理を横断する副専攻プログラム
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サイエンス・コミュニケータ養成副専攻プログラムの概要
目的:学部生を対象に文理を横断するサイエンスコミュニケーターを育成
(生命医科学部設置、経済学部、社会学部の学生も履修可能)
科学分野でおこる社会問題を正しく読み解き,解説できる科学リテラシー
を持つ人材を育成
理系学生:社会の要請を感じ取り,正確にわかりやすい表現で説明する能力を習得
文系学生:社会問題につながる科学技術分野,特に健康と環境に係る分野の基礎理解
と評価力を習得
本副専攻での科学リテラシーとは?
自然界で起こる様々な事象や変化を正しく理解し,自己の意思決定をするために,
科学的知識を用いて問題を明確にしたうえで結論を導きだす能力28
具体的な履修体系
•終了必要単位数:20単位
•サイエンスリテラシー科目群 12単位以上
• コミュニケーター関連科目群
•選択(1) 生命系, 選択(2)社会・心理系 選択(3)政策系,
選択(4)経済系
合計8単位以上
各選択グループの上限はグループごとに4単位まで29
サイエンスリテラシー科目とは?
• 科学技術概論I-科学技術社会論-
• 科学技術概論II-調査方法論・統計学-
• アウトリーチ実習-科学技術表現実習-
• サイエンスライティング
• サイエンス・ナウ1-生命科学-
• サイエンス・ナウ2-生命医科学入門-
• サイエンス・ナウ3-報道と広報の現場-
• サイエンス・ナウ4-科学史,原子力,感染-
• サイエンス・ナウ5-インターンシップ基礎講義-
• サイエンス・ナウ6-生命科学と社会-
• インターンシップ
• ビジネスワークショップ
• メディカルワークショップ
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科目の具体的内容の例
• アウトリーチ実習-科学技術表現実習-
• アウトリーチとは,大学などの公的機関が行う,地域への出張サービスのことで,近隣の
人たちとの接点を求めて出張授業を行い,
科学に関心のある人(または子どもたち)を
積極的に増やす活動のことをいう。本授業
では,自分の興味ある分野の研究または実
験をわかりやすく説明する能力を開発するこ
とを目的とする
• 少なくとも科学が苦手の社会人が理解できるようになるまで発表技術を学ぶ
• 模擬実験技術とポスター発表技術の習得
• インターンシップ
• 重症心身障害児施設および医療少年院におけるインターンシップと,神経難病指定疾
患である多発性硬化症,視神経脊髄炎の患
者会への参加プログラム
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3つの事例から見えるSTEMの動向
• 知識基盤社会への移行のなかで,米国ではSTEM系の研究や教育課程重視政策が進められ,当該分野を希望する学生も増加している現状において,STEM学生への国際性に焦点化した教育プログラムの充実が進行
• 具体的な職業やキャリアという視点から「異文化リテラシー」を捉えることが不可欠→HIGH IMPACT PRACTICESの重要性
• 専門分野の深い理解と地シミのみならず異分野融合による幅の広さを目指した学習成果の習得を目標に
• 文理融合による科学リテラシーの習得が社会での科学リテラシー普及への第一歩という発想の誕生
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参考文献• AAC&U, (2011)THE LEAP: VISION FOR LEARNING, OUTCOMES, PRACTICES, IMPACT, AND EMPLOYERS
VIEWS, LIBERAL EDUCATION & AMERICAS PROMISE, WASHINGTON D.C.: AAC&U.
• KELLY, D.(2010) STUDENT LEARNING IN AN INTERNATIONAL SETTING,NEW DIRECTIONS FOR HIGHER EDUCATION,NO.150, SUMMER 2010, 97-107.
• HTTPS://WWW.AACU.ORG/SITES/DEFAULT/FILES/FILES/LEAP/LEAPCHALLENGEBROCHURE.PDF
• HTTP://WEB.STANFORD.EDU/GROUP/UGHB/CGI-BIN/HANDBOOK/INDEX.PHP/OVERSEAS_PROGRAMS_AND_ENGINEERING
• HTTP://BIOMEDICAL.DOSHISHA.AC.JP/SCIENCE_COMMUNICATOR/SCIENCE_COMMUNICATOR.HTML
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