表紙: 組合せ最適化問題を解くコヒーレントイジングマシン · エネルギー状態探索を介して組合せ最適化問題の解を求めるイジングマシンの研究が行われている。
総合問題・数学 解答解説 - edu.pref.fukuoka.jp ·...
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第1問(総合問題)
[出題のねらい] 現在,人類はエネルギー問題に直面している。
依存している化石燃料の枯渇,原子力発電の危
険性の問題などである。一方で,新しいエネル
ギー開発・研究も進んでいる。エネルギー問題
をテーマとして,問題文を読む理解力,思考力
などを問う出題をした。 [解答]
問1 (1) ⑤ (2) 1.9 m3 問2 (1) 産業革命による大量の化石燃料の
消費が始まったため。 (2) 人の多い環境では,その測定は局地的な
ものになるが,人の少ない環境では大気の
循環による二酸化炭素の拡散により,地球
全体の平均値を測定できるため。 (3) 夏と冬では,植物による光合成量に差が
あり,二酸化炭素の消費量にも差があるた
め。 問3 (1) 2.8MeV
(2) リチウム原子核:Mm
m
Q
アルファ粒子:Mm
M
Q
問4 (1) Ⅰ;25,Ⅱ;50,Ⅲ;5,Ⅳ;30 (2)
[解説]
先進国の経済や生活は,化石エネルギーに依
存している。化石燃料は何億年もかかってつく
られた有限の資源であり,あと数十年で枯渇す
ると言われている。しかし年々消費が増加,途
上国も経済拡大をめざし,枯渇がさらに早まる
ことは確実になってきている。
世界のエネルギー資源
資 源 採掘寿命
石 油 46 年
天然ガス 63 年
石 炭 119 年
ウラン 69 年
(OECD エネルギー統計 2009)
埋蔵量の少ない産油国はあと 20 年で原油資
源の枯渇が見込まれており,その時,産油国
(OPEC)は大幅な輸出削減に走ると見られてお
り,石油に過剰に依存している世界経済の崩壊
は避けられない状態になっている。 さらに化石エネルギーの大量消費で二酸化炭
素が急激に増加し地球温暖化が進行し,異常気
象,海面上昇,洪水,食糧不足,環境難民増加
など深刻な問題が発生するという事も考えられ
ている。 問1 近年,メタンハイドレートと呼ばれるメタン
の水和物が,日本近海の海底に多量に存在する
ことが明らかになった。メタンハイドレートは
新しいエネルギー資源としてその有効利用に大
きな期待が寄せられている。 氷の中では水分子の酸素原子は,ダイヤモン
ドの中の炭素原子に似た配列をとる。すなわち
図 1 に示すように 1 つの酸素原子のまわりに 4つの水素原子が正四面
体状に配置している。
水素原子は近接する 2つ
の酸素原子の間に位置
し,水分子間に水素結
合が形成されている。 水中における水分子は,水素結合によって周
りの水分子と会合し,分子の集団を形成する。
このような分子の集団はクラスターと呼ばれる。
液体の水を冷却すると,水分子間の水素結合が
切断されにくくなるため,クラスターのサイズ
が大きくなり,やがて氷の結晶へと成長する。
水中にメタンのような疎水性分子が存在する と,水分子は疎水性分子
を取り囲むようにしてク
ラスターを形成する (図2)。メタンハイドレート
の結晶では,水分子がメ
タン分子の周りを“かご”状に取り囲んだ構造をと
ることが知られている。
(0.5 キロルクス) (12 キロルクス)
- 3 -
メタンハイドレートの見た目は氷に似ている。
1 m3のメタンハイドレートを1気圧の状態で解
凍すると 164 m3 のメタンガスと水に変わる。
解凍する前のメタンはメタンハイドレートの体
積の 20 %に過ぎず,他の 80%は水である。分
子式は CH4•5.75H2O と表され(CH4 8 個につ
き H2O は 46 個),密度は 0.91 g/cm3である。
火をつけると燃えるために「燃える氷」と言わ
れることもある。 現在,日本近海等に多量の鉱床が見つかって
いるが,低温・高圧の条件でなければ CH4が海
中から空気中に放出されてしまうため(下図)に,
現有の採掘技術では回収できないという問題点
もある。
コスト面の問題もあるため,これからの課題
はいかに効率よく回収できるか,ということに
なる。 (1) メタンの構造は次の電子式でもわかるよ
うに,正四面体形であることが知られている。
C HH
HH
C
H
H
ClCl
もし,メタンが次のような正方形であった
なら,ジクロロメタン CH2Cl2には 2 種類の
異性体が存在することになるが,実験的事実
からジクロロメタン CH2Cl2 には異性体が存
在しないことがわかっているので,メタンは
正方形ではなく,正四面体形であることがわ
かる。
C
H
Cl Cl
H
C
HCl
ClH
メタンが正方形なら2 種類の異性体が存在する。
(2) 単位格子 1.70×10-21 cm3中に 8 個の CH4
と 46 個の H2O を含んでいるので,8CH4・
46H2O が 1 組と考えると,1 mol の個数は
6.0×1023 個,分子量は 8×16 + 46×18 = 956 よ
り,メタンハイドレートの密度 d〔g/cm3〕を求
めることができる。 1.70×10-21×d〔g〕 → 1 組 956 g → 6.0×1023組 比例計算より, 1.70×10-21×d×6.0×1023 = 956×1 ∴ d ≒ 0.937 g/cm3 つまり,メタンハイドレート 10 kg は,
0.937
1010 3cm3の体積をもつことになる。
また,単位格子 1.70×10-21cm3中に CH4は,
23106.08
mol 含まれているので,0.937
1010 3cm3
では,
2321
3
106.08
101.701
0.9371010
≒ 83.7 mol
よって,標準状態における CH4は, 83.7×22.4 = 1874 L ≒ 1.9 m3
[別解] 分子量より,メタンハイドレート 956 g 中
に CH4を 8 mol 含むことになるので,10 kg
では, 8956
1010 3
≒83.7 mol 含む。
問2 産業革命以降,特に 20 世紀に入ってからは
急速に,二酸化炭素,メタン,人工物質である
ハロカーボン類などの温室効果ガスが増加しつ
つあり,これがもたらす地球温暖化は,自然の
生態系や人間社会に大きな影響を及ぼし,人類
の生存基盤を揺るがす問題となっている。 このため,現在では,気候変動に関する政府
間パネル(IPCC)第 27 回総会(2007 年,スペイ
ン・バレンシア)において,IPCC 第 4 次評価報
告書統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに,統合報告書本編が受諾さ
れた。これら大気成分の濃度変化について世界
各国の協調のもとで組織的な観測・監視が行わ
れている。 工業化以後における大気中の二酸化炭素濃度
上昇の主要な原因は化石燃料の使用であり,土
地利用の変化も重要ではあるがその影響は小さ
い。化石起源の二酸化炭素の年間排出量は,
1990 年代の年当たり炭素換算で 64 億 t(二酸化
- 4 -
炭素換算で235億 t)から,2000~2005年には,
年当たり炭素換算で 72 億 t(二酸化炭素換算で
264 億 t)に増加した。土地利用の変化に関連す
る,1990 年代の二酸化炭素の平均排出量は,年
当たり炭素換算で 16 億 t(二酸化炭素換算で 59億 t)と推定されるものの,この推定には大きな
不確実性を伴う。(IPCC,2007 報告書より)。 (1) 大量の化石燃料の消費が始まるのは,18世紀後半のイギリスに始まる産業革命以降で
あるが,大気中の二酸化炭素濃度もそのころ
から増加が始まっている。さらに近年になる
と,図に見られるように,化石燃料からの二
酸化炭素排出量の増加に対応してその大気中
濃度は増加し続けていることは明らかである。 (2) 都会では二酸化炭素の排出量が多く,その
地域での観測は局地的な二酸化炭素濃度の測
定になってしまうが,人の少ないところでの
観測では大気の循環によって二酸化炭素が拡
散され,地球大気全体の平均値を測定できる。 問3 「ホウ素中性子捕捉治療」では,ガン細胞に
ホウ素 B105 を取り込ませて,放射線の一種であ
る中性子線n (熱中性子)を人体に影響が少ない
低エネルギーで照射する。すると,ホウ素と中
性子が反応してアルファ粒子 42Heが出る(次図)。
105B + n → 7
3Li + 42He ・・・(a)
アルファ粒子には細胞を殺す強いはたらきが
あり,飛距離は,細胞 1 個分以下と短いので,
まわりの正常細胞に影響を与えず,そのガン細
胞だけを殺すことができる。一般的な放射線療
法は,ガン組織全体に治療効果のある放射線を
当てるため,ガン細胞周辺の正常細胞も傷つく
が,ホウ素中性子捕捉療法は,原理的には,ガ
ン細胞だけを選択的に殺して,正常細胞をほと
んど傷つけない画期的な治療法といえる。 ガン細胞は増殖力が強いため,正常細胞より
もホウ素化合物を多く取り込みやすいという性
質を利用し,アミノ酸とホウ素の化合物
BPA(p-Boronophenylalanine)を患者に点滴す
ることにより患部にホウ素を取り込ませる。 また,中性子の発生源は,これまで原子炉だ
けであったが,最近では中性子源として小型加
速器の開発も進んでいる。加速器は,陽子や電
子などの粒子を加速して飛ばす装置で,円形や
直線の加速器でつくった陽子線を,ベリリウム
やリチウムなどの金属に当てたときに生じる中
性子線を利用する。加速器は原子炉よりも操作
が簡単で,病院の建物内にも設置できる。臨床
研究が飛躍的に進み,実用化への大きな一歩に
なると期待されている。 (1) (a)において,ホウ素10
5Bの原子核 1 個が反応
するときの反応の前後での質量の減少分⊿m は, ⊿m=(10.01020+1.00866)-(4.00151+7.01436)
=0.00299〔u〕 1u の質量をエネルギーに換算すると
9.3×102MeV であることから,放出されるエ
ネルギーQ は, Q=⊿m×9.3×102 = 0.00299×9.3×102 ≒2.8〔MeV〕
(2) 反応後のリチウム原子核の速さを V,アル
ファ粒子の速さを v とする。このとき,問題
文よりわかる関係を整理すると,次のように
なる。 ・リチウム原子核の運動量の大きさとアルファ
粒子の運動量の大きさが等しい(運動量保
存則) MV=mv
・Q がすべてリチウム原子核とアルファ粒子
の運動エネルギーに変換された(エネルギ
ー保存則)
Q= 21 MV2
+ 21 mv2
これらの式より,
21 MV2
=Mm
m+
Q
21 mv2
=Mm
M+
Q
- 5 -
問4 バイオマスエネルギーは,石油のような枯渇
性資源を代替しうる非枯渇性資源として注目さ
れている他,二酸化炭素(CO2)の総排出量が増
えないと言われていることから,おもに自動車
や航空機を動かす石油燃料の代替物として注目
されている。しかし,バイオマスエネルギーが
普及するにあたり,以下の課題が存在している。 バイオマスエネルギーは植物を利用する(有
力なのがサトウキビ,小麦,トウモロコシ等で
ある)。大量に増産するには当然ながら作物が大
量に必要となるが,作物の耕作面積が急速に増
えることはありえない。そのため,現在の生産
量の中から穀物を利用することになるわけだが,
全体的な生産量が上がっていない状態で需要だ
けが伸びることにより,穀物の値段の高騰を引
き起こしている。特に日本の場合,食料自給率
は 40%程度であり,結果的に,日本は輸入穀物
の価格の高騰による影響を受けている。 そこで,食用作物以外での生産技術の開発が
望まれている。今,次世代の燃料として関心を
集めているのが藻類などから作り出すバイオマ
スエネルギーである。ユーグレナ(和名:ミドリ
ムシ)は,光合成によって二酸化炭素を固定して
成長するとき,油脂分を作り出していて,これ
がバイオマスエネルギーの元として利用可能で
ある。 ミドリムシは体長 50~100マイクロメートルの単細胞生
物で,おおよそ紡錘形である。
二本の鞭毛をもつが,一本は
非常に短く細胞前端の陥入部
の中に収まっている。一方の
長鞭毛を進行方向へ伸ばし,
その先端をくねらせるように
動かしてゆっくりと進む。細胞自体は全体に伸
び縮みしたり,くねったりという独特のユーグ
レナ運動を行う。鞭毛運動をする動物的性質を
もちながら,同時に植物として葉緑体をもち光
合成を行うため,動物・植物の区別が難しい,
という話の好例として挙げられる。 (1) 問題文にあるように,ミドリムシの細胞成
長では,細胞は細胞周期をくり返して増殖す
る。細胞周期は G1期,S 期,G2 期の順に進
行し,この間に細胞核1個当たりの DNA 量
が 2 倍になる。DNA 量が 2 倍になった細胞
は 後に M 期(分裂期)に入って分裂する。
光を当てたとき,光がどのような強さであ
っても,S 期,G2期,M 期の速さは全く変化
せず,各々,3 時間,1 時間,2 時間を保つ。
これに対し,G1期は光が強くなるに応じて
短 6 時間まで短くなり,光合成量に依存する。
つまり,ミドリムシの細胞成長は主に G1 期
に行われていることがわかる。細胞周期の,
どの時点においても,G1 から M 期のいろい
ろな時期のミドリムシが混在している。 例えば,細胞周期が 12 時間で進行するな
ら,S 期(3 時間),G2期(1 時間),M 期(2 時間)の長さは変化しないため,G1期は 12-(3 + 2 + 1) = 6 時間ということになる。よって,
Ⅰ S 期は, 25(%)100123
Ⅱ G1期は, (%)5100126
0
また,細胞周期が 60 時間の場合には,S期は 3 時間で変化しないので,
Ⅲ S 期は, 5(%)100603
図4より,細胞周期を見積もると,細胞数
が 2 倍になる時間を見ればよいことになるの
で,およそ 30 時間であることがわかる。 Ⅳ 30 時間 (2) 0.5 キロルクスではみかけの光合成速度は
負になるため,G1 期が著しく長くなり,細
胞周期の進行が事実上停止すると予測され
る。 12 キロルクスでは光飽和の状態であり,
G1 期は 短の 6 時間になるため,細胞周期
は 12 時間になると予測される。
(相対値)
- 6 -
第2問(専門問題)
[出題のねらい]
数を並べた円順列という素朴なテーマを題
材にして,具体的な試行錯誤から解決の方向性
を発見する力,論理的に推論を組み立てる論証
力をみる。
特に問3については,「最大数が 14 となるこ
とはない」という命題をどのように翻訳するか
という数学的センスを問う。
[解答]
問1 下図のように,a,b,c,d,e,f,g を定
める。ただし,各文字は,2,4,5,6,7,8,
9 のいずれかである。
このとき,
0 8a b
15a b c
3 12b c
3 14c d
3 15d e
1 13d e
1 14e f
1 15f g
0 14f g
0 15g a
第 1 式,第 2 式から, 7c
これを第 3 式に代入して, 2b
以下同様にして,
4d , 8e , 5f , 9g , 6a
よって,
問2 0 から 9 までの整数を環状に並べた円順
列の数字を,0 から順に左回り(右回りでも
よい)に読み取り,それを
0 0a , 1a , 2a , 3a , 4a , 5a , 6a , 7a ,
8a , 9a
とし, ia ( , , , , 0 1 2 9i )とその両
隣の数を足してできる□で囲まれた数を iA
とする。
このとき,
0 9 10A a a
1 1 20A a a
2 1 2 3A a a a
3 2 3 4A a a a
4 3 4 5A a a a
5 4 5 6A a a a
6 5 6 7A a a a
b15 a 0
g
f
1ed
3
c12 15
1414
14
158
1315
215 6 0
9
5
184
3
712 15
1414
14
158
1315
0a9a8
a3a4
a1a6
a2a5
a7
A9A8
A0
A1
A2
A3
A5
A4
A6
A7
- 7 -
7 6 7 8A a a a
8 7 8 9A a a a
9 8 9 0A a a
よって,
0 1 9 1 2 93A A A a a a
ところで,
1 2 9 45a a a
であるから,
0 1 9 3 45 135A A A ここで,すべての i に対して ≦13iA であると
仮定すると,
≦ 0 1 9 13 10 130A A A
となり矛盾する。
以上から,「□で囲まれた数からなる円順列」
の構成要素には,必ず 14 以上の数がある。
(証明終わり)
問3 すべての iに対して ≦14iA であると仮定
すると,
≧ 2 1 2 314 A a a a
≧ 5 4 5 614 A a a a
≧ 8 7 8 914 A a a a これらの辺々を加えると,
≧ 2 5 814 3 A A A 1 2 3 4 5 6 7 8 914 3 a a a a a a a a a
14 43 5
これは矛盾である。
よって,15 以上となる iA が存在する。
したがって,「□で囲まれた数からなる円順
列」における構成要素の最大数が 14 となる
ことはない。
(証明終わり)
第3問(専門問題)
[出題のねらい]
辺の長さが 3,4,5 の直角三角形は非常に有
名であるが,この三角形の内角について議論さ
れることはほとんどない。そこで,その内角の
ある具体的な角度による評価ができるかどう
かを問う問題である。図形の基本的な性質を理
解しているかどうか,また,その知識をどう組
み立てられるかという図形考察力を問うこと
がねらいである。
[解答]
解法 1(2 倍角,3 倍角の公式を利用する解法)
36 とおくと,
5 180
3 180 2
よって,
cos3 cos 180 2
すなわち,
cos3 cos2 2 倍角,3 倍角の公式により,
3 24 cos 3cos 2cos 1
3 24 cos 2cos 3cos 1 0 2cos 1 4 cos 2cos 1 0
cos 0 より, cos 1 0 であるから,
24 cos 2cos 1 0
1 5cos4
cos 0 より,
1 5cos cos364
ここで, 4cos5
であるが,
1 5 5 5 11 125 1214 04 5 20 20
よって, 1 5 44 5
すなわち,
cos36 cos
- 8 -
cos x は 0 90x において単調に減少するから,
36
(証明終わり)
解法 2(内角が 36,72,72の二等辺三角形
を利用する解法)
A 36 , B C 72 の二等辺三角形 ABC
を考える。
Bの二等分線と辺ACとの交点をDとすると,
△ABD はDA =DBの二等辺三角形
△BCD はBC=BDの二等辺三角形
となる。 AB a, BC b とすると( 1b とし
て考えてもよい), AD=BD=BCであるから,
CD a b
△ABC∽△BCD であるから,
AB: BC=BC: CD
: :a b b a b
2a a b b
2 2 0a ab b
2
1 0a ab b
0ab
より, 1 52
ab
したがって,
1 5cos362 4ab
ここで, 4cos5
であるが,
1 5 5 5 11 125 1214 04 5 20 20
よって, 1 5 44 5
すなわち,
cos36 cos
cos x は 0 90x において単調に減少するから,
36
(証明終わり)
解法 3(直線の傾きを利用する解法)
点 O を原点とする座標平面上に,辺の長さが 3,
4,5 の直角三角形 ABQ,ODP,ODC と,
AO= AQ 5 の二等辺三角形 AOQ を図のよう
にとる。
不等式
36
を示すためには,
180 5 すなわち, 5902
を示せばよい。
(図では,●が ,○が 12 を示している。)
点 P から直線 OC に垂線 PH を下ろし, OH u,
PH vとすると,
△PHC∽△ODC
であるから,
CH : HP : PC 3: 4 : 5 すなわち,
5 : : 6 3 : 4 : 5u v
これより,
75
u , 245
v
A
B C
D
a
a-b
b
b
36c
5
5
5
5
4
4
3
3
3
A
O
B
C
D
P
Q
H
y
x
- 9 -
したがって,OQ と OP の傾きを比較すると,
の傾き = 5 4OQ 33
の傾き = 24OP7
vu
よって,
の傾き の傾きOQ OP であるから,
190 22
すなわち,
5902
以上から, 36 は示された。
(証明終わり)
第4問(専門問題)
[出題のねらい]
先を見通して要領よく工夫して,与えられた
公式に帰着させる計算処理能力を問う。また,
最小値をとるときの点の位置を考察するとき
に,最小値を取り得るかどうかの精緻な議論が
できるかどうかを問う。
[解答]
問1 1 1 1 11 12
S u a uu u a
1 12
a uuu u
Sa
1 1 1
2u a a
aS
u
1 12
ua
S au
……(*)
ここで,1 u a より 0ua ,1 0
u であるか
ら,相加平均と相乗平均の大小関係により,
≧1 1 22u ua u a u a
等号が成り立つのは,
1ua u かつ 1 u a
から, u a のときである。
1 02
a であるから,S は =u a のときに最
小となる。
以上から, , P 0a
〔(*)以降で,u についての実数解条件を用い
る別解〕
21
2a u aS
a u
ここで,2u a tu とおくと,
2 0u tu a ……①
u についての 2 次方程式①は実数解をもつこ
- 10 -
とが必要であるから,
≧2 4 0t a
0t であるから, ≧2t a
=2t a のとき,①の実数解(重解)を求める
と,
2tu a
となり,これは 1 u aを満たしている。
よって,2u atu は =u a のときに最小と
なる。
1 02
aa であるから,S は =u a のときに最
小となる。
以上から, , P 0a
〔(*)以降で,S を u で微分して増減を調べる
別解〕
21
2a u aS
a u
であるから,S を u で微分して,
2
2
1 2 12
a u u u aSa u
2
2
12
a u aa
Su
0S とすると, u a
1 02
aa であるから,1 u a における S の
増減表は次のようになる。
極小
1
0
u a a
S
S
よって,S は u a のときに最小となる。
以上から, , P 0a
問2
(1) ≧ 3
3
31 1 1 3p q r pqrp q r pqr
≧3
3
31 1 13p q r pqrp q r pqr
……② 3p x , 3q y , 3r z とおくと, 3
pqr xyz
より,②は,
≧3 3 33 3 3
31 1 13x y z xyzxyzx y z
……③
となる。
ここで, 1p , 1q , 1r のとき,
1x , 1y , 1z
である。この条件のもとで,③を示す。
③ 2 2 2x y z x y z xy yz zx
≧2 2 2
1 1 1 1 1 1 1 1 1x y z xy yz zxx y z
2 2 2x y z x y y z z x
≧2 2 2
1 1 1 1 1 1 1 1 1x y z x y y z z x
ここで,
≧2
2 1 1x yx y
……④
を示す。
2
2 1 1x yx y
22
2
x yx y
xy
2
2
11x yxy
≧
22
2
10
xyx y
xy
……⑤
( 1x , 1y より)
これより,④は成り立ち,同様にして,
≧2
2 1 1y zy z
, ≧2
2 1 1z xz x
も成り立つ。
- 11 -
よって,
2 2 2x y y z z x
≧2 2 2
1 1 1 1 1 1x y y z z x
また, 1x , 1y , 1z より,
1 1 1 0x y zx y z
以上から,③,すなわち,与えられた不等式
は成り立つ。
③の等号が成り立つのは,⑤から,
x y z すなわち, p q r
のときに限る。
(証明終わり)
(2) 1 1 1 11 12
T u v uu u v
99
1 1 a vv a
であるから,
1 1 12 1 1T u v uu u v
99
1 1 a vv a
9
9
12 v u a vuu u v v a
T
……(※)
9
92 1v a u vu
u v u vT
a
ここで, 91 u v a より,
1vu ,
91a
v
であるから,
p u , vqu
,9arv
とすると,
1 1 12T p q rp q r
(1)より,
≧ 3
3
12 3T pqrpqr
9
39
3
12 3 v auu v v au
u v
T
33
2 13 aTa
よって, ≧ 33
3 12
T aa
等号が成り立つのは,
p q r
つまり,9v au
u v のときである。
2u v , 9uv a より, 3 9u a
これより, 3u a , 6v a 以上から,T は,
3u a , 6v a のとき,最小値 33
3 12
aa
をとる。
したがって,T が最小となるときの点 P,R
の座標は,
, 3P 0a , , 6R 0a
〔(※)以降で,T の増減を微分法で調べる別解〕
まず,v を固定すると,問1より,T が最小
になるのは, u v のときである。
このとき,
9
9
1 12 a vT v vv av v
次に,v を 91 v a において変化させる。
v t とおくと,
9 2
2 9
1 222
a tT tt t a
T を t で微分して,
9
2 3 9
1 2 2 222
a tTt t a
4 9 3 9 18
9 3
t a t a ta t
T a
0T とすると,
4 9 3 9 18 0t a t a t a
- 12 -
3 9 9 9 0t t a a t a 9 3 9 0t a t a
9 3 2 3 6 0t a t a t a t a 91 t a より, 3t a 91 t a におけるTの増減表は次のように
なる。
極小
3 91
0
t a a
T
T
よって,T は 3t a のとき最小となる。 3t a のとき, 3v a から, 6v a
また, 3u v a
したがって,T が最小となるときの点 P,R
の座標は,
, 3P 0a , , 6R 0a