相続税・贈与税に関するQ...

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相続税・贈与税に関するQ & A

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相続税・贈与税に関するQ&A

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I N D E X

相続税・贈与税に関するQ&A

相続税・贈与税に関するQ&A

① 申告期限までに遺産分割が確定しなかった場合の税務上の取り扱い(P4)

② 特別受益と寄与分(法定相続分の修正)(P5)

③ 換価分割を行った場合の税務上の取り扱い(P7)

④ 養子縁組をしている場合の留意点(P10)

⑤ 生活費、教育費等の贈与に関する贈与税の基本的な考え方(P17)

⑥ 国外財産の評価(P21)

⑦ 国外財産の相続手続き(P21)

⑧ 意思能力(P29)

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n

当冊子は平成27年4月1日現在の法律に基づき、一般的な取り扱いをまとめたものです。制度改正や個別事情に応じ、記載内容と異なる取り扱いがされることがあるため、ご留意ください。対策の実行にあたっては、事前に専門家とご相談いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

※当冊子の無断転載は著作権法に違反しますので、固くお断りいたします。

01 相続手続きのスケジュールを教えて下さい。02 相続人と相続分について教えて下さい。03 遺産分割協議の流れを教えて下さい。04 相続税の計算方法を教えて下さい。05 財産の評価方法を教えて下さい。 06 小規模宅地等の評価減の特例について概要を教えて下さい。07 贈与税の計算方法を教えて下さい。08 贈与の各種特例について概要を教えて下さい。 09 国外に財産がある場合や国外に受贈者・相続人がいる場合の留意点を教えて下さい。10 相続税の税務調査について概要を教えて下さい。11 遺言の種類と作成上の留意点について教えて下さい。 12 遺留分について教えて下さい。13 相続対策の基本的な考え方を教えて下さい。(参考)相続税額の早見表、贈与税額の早見表

(参考)相続税概算計算シート

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相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1.遺言書の確認(相続発生後)  遺言書の有無によって、相続発生後の手続きが異なるため、遺言書の有無を早めに確認する 必要があります。また、遺言書が「公正証書遺言」以外の場合、家庭裁判所の「検認」手続きを 受ける必要があります。

2.相続放棄・限定承認の申立(相続発生から3ヶ月以内)  相続放棄とは、プラスの財産も債務などのマイナスの財産も一切引き継がない手続きで、 債務が明らかに多い場合に有効です。限定承認とは、プラスの財産の範囲内で債務などの マイナスの財産を引き継ぐ手続きで、プラスの財産と債務を比べ、どちらが多いか分からないような 場合に有効です。相続放棄または限定承認をしようとする相続人は、相続発生から3ヶ月以内に、 家庭裁判所に一定の書類を提出する必要があります。

4.遺産分割の確定  遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人全員の合意により遺産分割を 決め、遺産分割協議書を作成する必要があります。また一般的に、ご夫婦の相続のうち、先の相続を 「1次相続」、残された配偶者の相続を「2次相続」といいますが、2次相続においては、配偶者の 税額軽減の特例が適用できないなど、1次相続と比べ相続税負担が重くなるケースがあります。 したがって、1次相続のみならず2次相続までの相続税を考慮して遺産分割を検討する必要があります。

相続手続きのスケジュールを教えて下さい。

相続手続きの主なスケジュールは、次のとおりです。A

3.所得税等の準確定申告(相続発生から4ヶ月以内)  相続人は原則として、相続発生から4ヶ月以内にその年1月1日から相続発生日までの被相続人の 所得について、確定申告を行い所得税および消費税を納付する必要があります。

相続発生 1.

遺言書の確認

4.

遺産分割の確定

6.

税務調査

3ヶ月以内 4ヶ月以内 10ヶ月以内

限定承認の申立

2.相続放棄・

準確定申告

3.所得税等の

申告・納付

5.相続税の

名義変更等の事後手続き

相続財産および債務の把握・評価、遺産分割協議、相続税申告書の作成、納付方法の検討

0101

0102

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相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

遺産分割による合計税額の違い

【前 提】・被相続人(夫)の相続人3人(妻、子A、子B)・夫の相続財産:1億円・妻の相続財産:3,000万円

相続前 1次相続税0円

2次相続税1,360万円

1次相続後

1次相続

2次相続

ケース① 妻が財産をすべて相続した場合

夫(財産1億円)

妻(財産1億3,000万円)

妻(1億円)

妻(財産3,000万円)

子A(6,500万円)

子B(6,500万円)

1,360万円合計税額

相続前 1次相続税535万円

2次相続税30万円

1次相続後

1次相続

2次相続

ケース② 妻が財産の15%を相続した場合

565万円合計税額

夫(財産1億円)

妻(財産3,000万円)

子A(4,250万円)

子B(4,250万円)

妻(1,500万円)

妻(財産4,500万円)

子A(2,250万円)

子B(2,250万円)

ケース①の遺産分割を行った場合 ・・・ 合計税額 1,360万円ケース②の遺産分割を行った場合 ・・・ 合計税額  565万円

差額795万円

5.相続税の申告・納付(相続発生から10ヶ月以内) (1)申告・納付    相続または遺贈により財産を取得した者は、相続発生から10ヶ月以内に、被相続人の財産   および債務について被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税申告書を提出し、相続税を   納付する必要があります。 (2)納付方法の特例(延納および物納)    相続税は金銭一括納付が原則ですが、一定の要件を満たす場合には、相続税を分割で納付   する「延納」制度と、相続財産で納付する「物納」制度が認められています。   延納および物納の適用を受けるためには、相続発生から10ヶ月以内に申請を行う必要があります。

0103

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mn  相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立していない場合は、その未分割財産について、いったん

法定相続分で財産を取得したものとして、申告・納付を行う必要があります。その際、未分割財産については、小規模宅地等の評価減の特例および配偶者の税額軽減の特例などは適用できませんので注意が必要です。 ただし、原則として、申告期限から3年以内に遺産分割協議が成立した場合には、分割確定から4ヶ月以内に申告(更正の請求)を行うことで、これらの特例の適用を受けることができます。

コラム①申告期限までに遺産分割が確定しなかった場合の税務上の取り扱い

相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

納付方法のフローチャート

6.税務調査については、Q10をご参照下さい。

原則 : 金銭による一括納付 例外 : 延納による分割納付 例外 : 相続財産による物納

金銭での全額納付が困難

延納でも金銭納付が困難

0104

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1.相続人の種類と順位 相続人には、配偶者相続人と血族相続人がいます。配偶者は常に相続人となりますが、血族相続人は相続できる順位があります。その順位は次のとおりです。

2.法定相続分 相続人が複数いる場合には、各相続人について、民法の規定により各相続分が規定されており、この相続分を法定相続分といいます(ただし、相続人全員の遺産分割協議により、法定相続分によらない取得方法も可能です)。法定相続分は次のとおりです。

順 位 配偶者相続人血族相続人第1順位

配偶者は常に相続人となる

子(子が先に亡くなっている場合には、孫などの代襲相続人)

第2順位 直系尊属(父母等)

第3順位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合には、甥姪である代襲相続人(一代限り))

配偶者相続人の法定相続分 子1/22/33/4

直系尊属 兄弟姉妹血族相続人の法定相続分 備 考

※配偶者以外の相続人の相続分は、原則として人数に応じて均分します。

1/2

1/3

1/4

配偶者がいなければ子がすべて相続配偶者がいなければ直系尊属がすべて相続配偶者がいなければ兄弟姉妹がすべて相続

 遺産分割協議を行う場合、「特別受益」や「寄与分」が認められると、法定相続分が修正されます。 相続人の中に、被相続人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいる場合、その受けた利益のことを「特別受益」といいます。特別受益がある場合、特別受益の額をいったん相続財産に戻し、これを基礎として相続分を算出したうえで、そこから相続人の特別受益の額を差し引いてその相続人の具体的相続分を計算します。すなわち、生前贈与等で多く財産を受け取った相続人がいる場合には、遺産分割ではそれを考慮して配分を決めることになっています。 これに対して、相続人の中に、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした相続人がいる場合、その相続人の貢献の度合いに応じて、相続分を増やして具体的相続分を計算します。これは「寄与分」と呼ばれるものです。他の相続人は何もしなかったのに、自分は最期まで被相続人の面倒を見たなど、寄与分の主張がなされることは多くあります。もっとも、寄与分を主張するためには、「特別の寄与」、すなわち、親族間で通常期待される程度を超えた貢献が必要とされています。

相続人と相続分について教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

相続人と相続分について教えて下さい。

相続人(相続できる人)および相続分(取得割合)については、民法により定められています。

A

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コラム 特別受益と寄与分(法定相続分の修正)

0202

0205

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1.遺産分割協議の段階

 (1)任意の交渉

   相続が開始すると被相続人の財産をどのように分割するか相続人間で協議を行うことになります。

  この段階で合意が成立すれば遺産分割協議書を作成し、相続財産の名義変更を行います。

 (2)調停

   遺産の分け方などを理由に(1)で合意できない場合には、各相続人は遺産分割調停を家庭

  裁判所に申し立てることができます。調停を行うのは家事審判官(裁判官)と調停委員ですが、

  調停が成立するためにはあくまで(1)と同様に相続人全員の合意が必要です。

 (3)審判

  (2)でも合意ができない場合には、調停は不成立となり、審判に移行します。審判を行う

  のは家事審判官(裁判官)です。家事審判官は遺産に属する物又は権利の種類及び性質、

  各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、遺産分割

  の方法を決定し、審判がなされます。この場合、相続人の合意は不要です。

2.遺産分割方法

  遺産分割の方法は現物分割・換価分割・代償分割の3つの方法があります。

 (1)現物分割

   遺産そのものを原状のままの状態で、相続人間に分割帰属させる分割方法です。

遺産分割協議の流れを教えて下さい。

遺産分割協議には①相続人間での任意の交渉、②家庭裁判所における調停、 ③家庭裁判所による審判があります。

A

0303

遺産分割協議の流れ

具体例

相続発生

相続人間での話し合い 家庭裁判所での話し合い

あくまで相続人の合意必要

家庭裁判所による決定

相続人の合意不要

遺産分割協議開始

遺産分割調停の申立て

遺産分割審判の申立て合意できず 合意できず 審判

(相続人A・B・Cがいて、遺産として不動産①②③がある場合)

相続人Aは不動産①を、相続人Bは不動産②を、相続人Cは不動産③をそれぞれ取得する。

遺産分割協議の流れを教えて下さい。

相続税・贈与税に関するQ&A0306

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 (2)代償分割

   1人もしくは数人の共同相続人にその者の相続分を超える遺産を現物で取得させ、代わりに、その

  取得者から相続分に満たない遺産しか取得しない他の相続人に対し、代償金を支払うべき債務を

  負担させる分割方法です。

具体例

相続人Aが不動産①②③を取得し、相続人Aは代償金として相続人B及び相続人Cに対して、

一定の金銭を支払う。

 (3)換価分割

   遺産を処分してその対価を相続人で分配する分割方法です。

具体例

不動産①②③を全て売却し、その売却代金を相続人A・B・Cで分割する。

colum

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 相続財産のうち、相続人全員が相続する意思のない財産や、土地のように評価額が大きく、そのままでは分割が難しい財産がある場合には、相続財産を売却し、その売却代金を相続人間で分配することがあります。このような遺産分割を換価分割と言います。 換価分割が行われた相続財産の相続税計算上の課税価格は以下のように計算します。

 また、換価分割の対象となった相続財産を売却換金した場合に譲渡所得が生じるときは、売却時に譲渡所得税等がかかります。 なお、換価分割のための譲渡が、相続開始の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年以内に行われた場合には、譲渡所得金額の計算上、取得費加算の特例の適用を受けることができます。

コラム 換価分割を行った場合の税務上の取り扱い

各相続人の取得財産の課税価額 =             × 換価分割の対象となった相続財産の相続税評価額

各相続人が取得した換価代金

換価代金の合計額

遺産分割協議の流れを教えて下さい。

相続税・贈与税に関するQ&A0307

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手順1 課税価格の合計額の計算 手順1では、相続税が課税される財産の価額を計算します。具体的には相続人等ごとに、次の(1)~(4)の財産の価額の合計額から、(5)~(6)の債務などの金額を差し引いた金額を計算し(以下、「課税価格」といいます)、相続人等ごとにそれぞれに計算された課税価格を合計します。この合計した金額が「課税価格の合計額」です。

相続税計算のフローチャート

本来の相続財産(プラスの財産)

課税遺産総額 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

純資産価額

みなし相続財産

算出税額 算出税額

2割加算・各種税額控除

算出税額

各人の納付税額 各人の納付税額 各人の納付税額

相続時精算課税贈与財産

非課税財産

課税価格の合計額

相 続 税の総 額

相続発生前3年以内贈与財産

債務 ・ 葬式費用(-)

法定相続分

法定相続分にかかる税額

×税率法定相続分

法定相続分にかかる税額

×税率法定相続分

法定相続分にかかる税額

×税率

(-)

(+)手順1

手順2

手順3

(1)本来の相続財産 (2)みなし相続財産

(5)非課税財産 (6)債務・葬式費用

(3)相続時精算課税贈与財産 (4)相続発生前3年以内贈与財産

課税価格

相続税の計算方法を教えて下さい。

相続税の計算は3つの手順に大きく分けて行いますが、その流れをフローチャートで示すと、次のようになります。

A

0404

相続税の計算方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0408

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項 目

本来の相続財産(1)

概 要

相続などにより取得したもので、現預金、有価証券、不動産など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。

みなし相続財産(2)被相続人が保険料を負担していた死亡保険金または生命保険契約に関する権利、被相続人の死亡に伴って支給された死亡退職金(被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの)などをいいます。

債務・葬式費用(6) 債務には、借入金、未払医療費、未払税金、預かり保証金などが該当し、葬式費用には、お通夜、お葬式に要した費用などが該当します。

非課税財産(5)

墓所、仏壇、仏具などをいいます。また、相続人が受け取った死亡保険金または死亡退職金のうち、以下の算式により計算した金額まではそれぞれ非課税となります。

相続時精算課税贈与財産(3) 相続時精算課税(Q07.ご参照)により、被相続人から取得した贈与財産をいいます。

相続発生前3年以内贈与財産(4) 相続または遺贈により財産を取得した者が、相続発生前3年以内の贈与により、被相続人から取得した贈与財産をいいます。

手順2 相続税の総額の計算 手順2では、手順1で計算した課税価格の合計額に対して課税される「相続税の総額」を計算します。相続税には、一定の「基礎控除額」が定められており、課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合に、相続税が課税されます。基礎控除額は、以下の算式により計算します。

 基礎控除額を超える部分の金額は、各法定相続人が法定相続分にしたがって財産を取得したものと仮定し、それぞれの取得金額に相続税の税率を乗じて各法定相続人の法定相続分に応じた相続税額を計算します。これを合計した金額が「相続税の総額」です。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

各相続人が取得した金額

10% 1,000万円以下

15% 50万円1,000万円超 3,000万円以下

20% 200万円3,000万円超 5,000万円以下

30% 700万円5,000万円超 1億円以下

40% 1,700万円1億円超 2億円以下

45% 2,700万円2億円超 3億円以下

50% 4,200万円3億円超 6億円以下

55% 7,200万円6億円超

相続税の速算表

税率 控除額

相続税の計算方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

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手順3 各人の納付税額の計算 手順3では、手順2で計算した相続税の総額を基に、「各人の納付税額」を計算します。まず、手順2で計算した相続税の総額を、各相続人等の実際の相続取得割合(課税価格の割合)で按分し、各相続人等の算出税額を計算します。次に、各相続人等の個別事情を勘案した税額調整を行い、「各人の納付税額」を計算します。なお、税額調整の概要は次のとおりです。

税額調整

相続税の2割加算

概 要

財産を取得した相続人等が被相続人の兄弟姉妹など、被相続人の一親等の血族(孫養子を除く)および配偶者以外の場合には、算出税額として計算された税額にその2割を加算します。

相次相続控除 被相続人が相続発生前10年以内に発生した相続により財産を取得して相続税の納税をしていた場合には、短期間における相次ぐ相続による税負担を考慮して、一定の金額を控除します。

外国税額控除 相続により国外財産を取得した場合において、その国外財産につき国内および国外で相続税が課税されたときは、国際間での二重課税排除のため、一定の金額を控除します。

贈与税額控除 課税価格の計算において、相続発生前3年以内の贈与財産が加算され、課された贈与税がある場合には、二重課税排除のため課された贈与税を控除します。

相続時精算課税分の贈与税額控除

課税価格の計算において、相続時精算課税により取得した贈与財産が加算され、課された贈与税がある場合には、課された贈与税を控除します。なお、相続税から控除しきれない贈与税があるときは、その控除しきれない贈与税は還付されます。

配偶者の税額軽減

配偶者については、被相続人の財産形成に対する寄与などを考慮して、以下の算式により計算した金額を控除します。

相続税の課税価格の合計額 × 配偶者の法定相続分 (当該金額が1億6,000万円に満たない場合は、1億6,000万円) 配偶者の課税価格

未成年者控除

財産を取得した相続人等が未成年者で一定の要件を満たす場合には、以下の算式により計算した金額を控除します。

障害者控除

財産を取得した相続人等が障害者で一定の要件を満たす場合には、以下の算式により計算した金額を控除します。

相続税の総額 ×次の または のいずれか少ない金額

相続税の課税価格の合計額

10万円 × 20歳に達するまでの年数

10万円※ × 85歳に達するまでの年数  ※特別障害者の場合は20万円

 養子は、法定相続人に該当し、相続人と同じ権利義務を有しますが、基礎控除額、死亡保険金の非課税限度額などの相続税の計算上、法定相続人の数に算入できる養子の数には、次のとおり制限があります。

 また、孫養子は、原則として相続税の2割加算の対象となりますが、被相続人の子が既に亡くなっていることなどにより、代襲して相続人となっている孫養子(相続を放棄している場合を除きます)は、相続税の2割加算の対象となりません。

コラム④ 養子縁組をしている場合の留意点

被相続人に実子※がいる場合・・・・・1人被相続人に実子※がいない場合・・・2人

※民法上の特別養子および配偶者の実子で養子となった者などは、実子とみなされます。

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相続税の計算方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0410

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ケーススタディー

財産の種類

不動産現預金生命保険金生命保険金の非課税金額3年以内贈与財産

課税価格

1億円9,700万円2,000万円△2,000万円300万円

2億円

6,000万円

6,000万円

4,000万円4,000万円1,000万円△1,000万円300万円

8,300万円

3,700万円1,000万円△1,000万円

3,700万円

2,000万円

2,000万円

長男 次男 孫

【父の財産構成】・不動産:1億円・現預金:9,700万円・生命保険金:2,000万円・長男への3年以内贈与財産:300万円(納付済贈与税額:19万円)

父 毋

長男 次男

(被相続人)

養子緑組

【遺産分割の状況】評価額 母

①相続税の総額(注)②相続取得割合③算出税額(①×②)④相続税の2割加算⑤贈与税額控除⑥配偶者の税額軽減⑦納付税額

100.0%2,434万円48万円△19万円△730万円1,733万円

30.0%730万円

△730万円0万円

2,434万円41.5%

1,011万円

△19万円

992万円

18.5%450万円

450万円

10.0%243万円48万円

291万円

長男 次男 孫

【納付税額の計算】

(注)相続税の総額の計算

合計 母

課税価格の合計額(2億円)

(-)

課税遺産総額 1億4,600万円 基礎控除額 5,400万円(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

×税率30%-700万円=1,490万円

×税率15%-50万円=314.9万円

×税率15%-50万円=314.9万円

×税率15%-50万円=314.9万円

相続税の総額(2,434万円)

母の法定相続分(  )7,300万円

12 (  )

2,433.3万円

16 (  )

2,433.3万円

16

(  )2,433.3万円

16

相続税計算のフローチャート

【親族図】

長男の法定相続分

次男の法定相続分

孫の法定相続分

相続税の計算方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

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1.土地および土地の上に存する権利・家屋

財産の評価方法を教えて下さい。

財産は取得の時における時価、債務はその時の現況により評価します。A

0505

2.預貯金・債券・株式

宅地(自用地)宅地の評価方法は、路線価方式と倍率方式があり、どちらで評価するかはその宅地の所在地ごとに決められています。 (1)路線価方式…市街地的形態を形成する地域にある宅地 (2)倍率方式…上記(1)以外の宅地

借地権 自用地評価額 × 借地権割合

自用家屋 家屋の固定資産税評価額 × 1.0

貸家 家屋の固定資産税評価額 × 1.0 × (1 - 借家権割合× 賃貸割合)

貸宅地 自用地評価額 × (1 - 借地権割合)

貸家建付地 自用地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

貸家建付借地権 自用地評価額 × 借地権割合 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

広大地

(1)定義 : その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法に規定する  開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地(道路、公園等)の負担が必要と認められるものをいいます。(2)評価方法 : 広大地の面する路線の路線価 × 広大地補正率※ × 地積

※広大地補正率(下限0.35) = 0.6 -0.05 × 広大地の地積1,000

預貯金(1)定期預金、定期郵便貯金、定額郵便貯金 = 預貯金の残高 + 解約する場合の既経過利子 - 源泉税(2)(1)以外の預貯金で既経過利子が少額なもの = 預貯金の残高

利付公社債(1)上場されているもの = 最終価格 + 既経過利息 - 源泉税(2)売買参考統計値が公表されているもの = 課税時期の平均値 + 既経過利息 - 源泉税(3)(1)・(2)以外のもの = 発行価額 + 既経過利息 - 源泉税

証券投資信託の受益証券

(1)日々 決算型のもの(中国ファンド、MMFなど)   1口当たりの基準価額 × 口数 + 未収分配金(源泉税控除) - 信託財産留保額および解約手数料(2)上場されているもの = 上場株式等に準じて評価(3)(1)・(2)以外のもの   1口当たり(または1万口当たり)の基準価額 × 口数(または口数 ÷ 1万口)- 源泉税 - 信託財産留保額および解約手数料

割引公社債

(1)上場されているもの = 最終価格(2)売買参考統計値が公表されているもの = 課税時期の平均値(3)(1)・(2)以外のもの = 発行価額 + {(券面額 - 発行価額) ×              }

上場株式等 課税時期の終値と、課税時期の属する月以前3ヶ月の終値の月中平均のうち、いずれか低い金額

発行日から課税時期までの日数

発行日から償還期限までの日数

3.その他財産

ゴルフ会員権

(1)取引相場のあるもの  取引価格 × 70%(取引価格に含まれない預託金等がある場合はその返還までの期間に応じた  基準年利率による複利現価の額を加算する)(2)取引相場のないもの  株式制の会員権 = 株式として評価した金額  預託金制の会員権 = 預託金等の金額(上記(1)の預託金等と同様に評価)  ・ 以外の併用制会員権 = +(3)(1)・(2)以外のプレー権のみの会員権 = 評価しない

書画骨董 売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価

財産の評価方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0512

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購入価額 計5億円 (※1)建物の固定資産税評価額は、建物価額の7割と仮定しています。(※2)土地は、面積 250㎡、 時価 120万円/㎡、 路線価 96万円/ ㎡ と仮定しています。(※3)借地権割合 70%、借家権割合 30%と仮定しています。(※4)小規模宅地等の評価減の特例は考慮しておりません。

建物2億円

固定資産税評価▲6,000万円

30%減

土地3億円

路線価評価▲6,000万円

20%減

建物1億4,000万円

建物9,800万円

土地建物評価減

2億1,240万円

建物9,800万円

土地1億8,960万円土地

1億8,960万円

貸家評価減▲4,200万円

30%減

土地2億4,000万円

貸家建付地評価減▲5,040万円

21%減

賃貸不動産(建物2億円+土地3億円)を購入した場合の相続税評価額のイメージ

 相続税を計算する際、土地については、時価ではなく、路線価を基にして評価額を計算します。路線価は時価の8割程度を目安として決められています。また、土地に貸家が建っている場合には、貸家建付地として評価され、評価額が約2割(借家権割合と地域ごとに設定されている借地権割合等により減額される割合は異なります※)減額されます。 建物については、建築価額や購入価額ではなく、固定資産税評価額を基にして評価額を計算します。固定資産税評価額は、一般的には建築価額等より低く評価されます。さらに、建物が貸家の場合には、評価額が3割※減額されます。

※計算式についてはP12参照

(参考)不動産の相続税評価額

財産の評価方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0513

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1.適用要件等  適用対象宅地、減額割合および限度面積等をまとめると次のようになります。

33080%配偶者33080%継続継続同居親族33080%継続別居親族※2

40080%継続継続役員である親族20050%継続継続役員でない親族

40080%継続継続親族

被相続人等の居住用

被相続人等の事業用(不動産貸付用を除く)

20050%継続継続親族被相続人等の貸付用被相続人等の貸付用(同族会社※3に賃貸)

限度面積※1減額割合居住または事業所有

継続要件(申告期限まで)相続発生直前の状況 取得者

※1 適用対象宅地が居住用および事業用(同族会社※3への賃貸含む)宅地の場合には、それぞれの限度面積まで完全併用することができます。※2 ここでいう別居親族とは、配偶者も同居相続人もいないケースで、相続発生前3年以内に日本国内にあるその親族またはその親族の配偶者が  所有する家屋に居住したことがない者などをいいます。※3 不動産貸付業を営んでいる同族会社を除きます。

※限度面積400 までの部分についてのみ、特例の適用があります。

計算例(1)減額金額の計算

被相続人の居住用宅地を配偶者が取得した場合(評価額 : 6,000万円、面積 : 198 )

被相続人の事業用宅地を長男(後継者)が取得した場合(評価額 : 1億円、面積 : 500 )

減額金額

6,000万円 ×     × 80% = 4,800万円198

198

減額金額

1億円 ×      × 80% = 6,400万円400

500

198

400 100

小規模宅地等の評価減の特例について概要を教えて下さい。

小規模宅地等の評価減の特例とは、被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用または事業の用に供されていた宅地等を相続した場合において、一定の要件を満たしたときに、その宅地等の評価額を限度面積の範囲内で80%または50%減額することができる特例です。

A

0606

小規模宅地等の評価減の特例について概要を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0614

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2.申告要件  小規模宅地等の評価減の特例は、特例の適用を受けようとする宅地について遺産分割を終え、 相続税の申告書にこの特例の適用を受けようとする旨を記載し、その他必要な書類を添付して、 相続税の申告を行った場合に限り適用を受けることができます。したがって、小規模宅地等の 評価減の特例を適用することにより、課税価格の合計額が基礎控除額以下となり、結果として 相続税が発生しない場合においても、相続税の申告を行う必要がありますので注意が必要です。

※適用対象宅地が居住用宅地および事業用宅地の場合には完全併用可能

※限度面積200 までの部分についてのみ、特例の適用があります。

被相続人の貸付用宅地(同族会社以外へ賃貸)を長男(後継者)が取得した場合  (評価額 : 4,500万円、面積 : 300 )

減額金額

4,500万円 ×      × 50% = 1,500万円200

300

200 100

ケース1 : 適用対象宅地が(1)の 居住用宅地と 事業用宅地の場合

事業用宅地の減額金額…1億円 ×     ×80% =6,400万円 400500

居住用宅地の減額金額…6,000万円 ×     ×80% =4,800万円 198198

※居住用宅地について、限度面積の60%(198 /330 )まで特例を適用しているため、貸付用宅地の特例適用 面積は200 ×(1-60%)=80 となります。 なお、ケース2では、居住用宅地から特例を適用していますが、居住用宅地または貸付用宅地のいずれから特例を 適用するかについては、有利選択を行った上で、判断する必要があります。

ケース2 : 適用対象宅地が(1)の 居住用宅地と 貸付用宅地の場合

貸付用宅地の減額金額…4,500万円 ×     ×50% =600万円 80300

居住用宅地の減額金額…6,000万円 ×     ×80% =4,800万円 198198

(2)複数の宅地について適用が可能な場合の限度面積の計算   適用対象宅地が居住用および事業用(同族会社※3への賃貸含む)宅地の場合には、それぞれの  限度面積までこの特例を完全併用することができますが、不動産貸付用の宅地を含めた複数の宅地について特例の適用を受ける場合には、特例を適用できる面積について上限があります。

小規模宅地等の評価減の特例について概要を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0615

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 以下の算式により贈与税を計算しますが、累計で2,500万円までの贈与については特別控除があり贈与税はかかりません。また、贈与財産の額が特別控除額を超える部分については、一律20%の税率により贈与税を計算します。

贈与税の速算表

1.暦年課税制度 以下の算式により贈与税を計算します。

【暦年課税制度を選択した場合の計算例】 ケ-ス1 : 20歳以上の者が父親から500万円、祖母から500万円の贈与を受けた場合     (1,000万円 - 110万円) × 30% - 90万円 = 177万円

 ケース2 : 叔父から1,000万円の贈与を受けた場合     (1,000万円 - 110万円) × 40% - 125万円 = 231万円

2.相続時精算課税制度 次の要件を満たす場合には、暦年課税制度に代えて相続時精算課税制度を選択することができます。

贈与税の計算方法を教えて下さい。

暦年課税制度と相続時精算課税制度のいずれを選択するかにより計算方法が異なります。

A

0707

贈与税額 =( 贈与財産の額 - 基礎控除(110万円) )× 税率 - 控除額

贈与税額 =( 贈与財産の額 - 特別控除(2,500万円) )× 20%

贈与財産の額 - 基礎控除

20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合

10% 200万円以下

15% 10万円200万円超 400万円以下

20% 30万円400万円超 600万円以下

30% 90万円600万円超 1,000万円以下

40% 190万円1,000万円超1,500万円以下

45% 265万円1,500万円超3,000万円以下

50% 415万円3,000万円超4,500万円以下

55% 640万円4,500万円超

税率 控除額 贈与財産の額 - 基礎控除

左記以外の場合

10% 200万円以下

15% 10万円200万円超 300万円以下

20% 25万円300万円超 400万円以下

30% 65万円400万円超 600万円以下

40% 125万円600万円超 1,000万円以下

45% 175万円1,000万円超1,500万円以下

50% 250万円1,500万円超3,000万円以下

55% 400万円3,000万円超

税率 控除額

贈与者要件 贈与をした年の1月1日において60歳以上の親または祖父母であること

受贈者要件 贈与をした年の1月1日において20歳以上の子または孫であること

申告要件 申告期限までに相続時精算課税選択届出書を提出すること

贈与税の計算方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0716

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扶養義務者間の金銭の贈与のうち、「通常必要と認められる生活費・教育費等」については、必要な金額をその都度贈与すれば、贈与税の対象外となります。

 ただし、生活費等として金銭を贈与したとしても、その金銭を預貯金や不動産の購入資金にした場合は、それらは「生活費等に充てられなかった部分」として、贈与税の対象になります。

colum

n

コラム⑤ 生活費、教育費等の贈与に関する贈与税の基本的な考え方

種類 贈与税の課税対象とならないもの生活費 通常の日常生活を送るために必要な費用

結婚費用

出産費用

教育費

披露宴等の内容や招待客との関係、地域の慣習等の事情に応じて、本来負担すべき人が 負担している費用結婚後の通常の日常生活のために必要な家具・寝具等およびその購入資金子供の出産に関する検査・検診・分娩・入院等の費用赤ちゃんの通常の日常生活のために必要な寝具等およびその購入資金教育上通常必要と認められる学資・教材費・文具費・通学のための交通費・学級費・修学旅行参加費等

3.暦年課税制度と相続時精算課税制度の比較

暦年課税制度贈与者要件 制限なし受贈者要件 制限なし

相続時精算課税制度60歳以上の親または祖父母20歳以上の子または孫

控除額 年間110万円 累計2,500万円税率 10~55%の超過累進税率 一律20%

相続時の加算の範囲 相続発生日前3年内の贈与財産 すべての贈与財産

 なお、贈与財産はその贈与者に相続が発生した場合の相続財産に、贈与時の価額で加算され、支払った贈与税額があるときは、相続税額から控除します。 相続時精算課税制度は一度選択すると撤回することができず、以後、暦年課税制度を適用することができませんので、選択の際は慎重な検討が必要です。なお、相続時精算課税制度の選択は贈与者ごとに行うことが可能なので、例えば、父親からの贈与は相続時精算課税制度を選択し、母親からの贈与は暦年課税制度を選択することは可能です。

【相続時精算課税制度を選択した場合の計算例】 ×1年 : 20歳の子が60歳の父親から相続時精算課税制度を選択して、2,000万円の贈与を受けた場合     2,000万円 - 2,000万円※ = 0円 ※2,000万円 ≦ 2,500万円(特別控除額) ×2年 : 翌年に父親からさらに1,000万円の贈与を受けた場合    (1,000万円 - 500万円※) × 20% = 100万円 ※2,500万円(特別控除額)- 2,000万円 = 500万円

4.贈与税の申告・納付(贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間) (1)暦年課税制度    暦年課税制度により取得した財産の価額の合計額が110万円を超えた受贈者は、受贈者の   住所地を所轄する税務署に贈与税申告書を提出し、贈与税を納付する必要があります。 (2)相続時精算課税制度    相続時精算課税制度により財産を取得した受贈者は、受贈者の住所地を所轄する税務署に   贈与税申告書を提出し、贈与税を納付する必要があります(適用初年度は、相続時精算課税選   択届出書およびその他添付書類も提出する必要あり)。

贈与税の計算方法を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0717

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1.贈与税の配偶者控除  配偶者から自宅または自宅を取得するための資金の贈与を受けた場合において、次の要件を 満たすときは、その贈与財産の額から2,000万円を控除することができます。

2.住宅取得等資金の贈与税の非課税制度  平成31年6月30日までに、親や祖父母等から自宅を取得するための資金の贈与を受けた場合に おいて、次の要件を満たすときは、その贈与金額のうち、一定額までについては非課税となります。 なお、相続時精算課税制度を選択している場合にも適用できます。

贈与の各種特例について概要を教えてください。

A

※消費税率8%の適用を受けて住宅を取得した人および個人間売買により中古住宅を取得した人等

贈与者・受贈者

申告

備考

婚姻期間が20年以上

受贈者が贈与税申告書を税務署に提出

贈与の対象となる範囲

居住用不動産※、または居住用不動産を購入するための金銭 ※家屋またはその敷地をいい、家屋のみまたはその敷地のみの贈与でも可

控除することができる金額 2,000万円

贈与に関する主な特例には、1.贈与税の配偶者控除、2.住宅取得等資金の贈与税の非課税制度、3.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、4.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、5.特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の贈与に係る贈与税の非課税制度があります。

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その居住用不動産に居住しており、かつその後も 引き続き居住する見込みであること・同じ配偶者から過去にこの特例を受けていないこと

贈与者

非課税となる贈与金額適用期限

申告

備考

直系尊属(父母、祖父母等)20歳以上の直系卑属(子、孫等)、合計所得金額が2,000万円以下

最大2,500万円(良質な住宅用家屋は最大3,000万円)※契約時期により金額は異なる

・贈与の翌年3月15日までに新築、取得、増改築等をすること・贈与の翌年3月15日までに居住すること等

受贈者

贈与の対象となる範囲

新築住宅、中古住宅、一定の増改築等に充てるための住宅取得等資金(床面積、耐震基準、増改築費の金額の条件あり)

平成31年6月30日まで

受贈者が贈与税申告書を税務署に提出

<平成27年以降の非課税となる贈与金額の限度額>

H27

H28.1~H28.9

H28.10~H29.9

H29.10~H30.9

H30.10~H31.6

3,000万円

1,500万円

1,200万円

2,500万円

1,000万円

700万円

1,500万円

1,200万円

1,200万円

1,000万円

800万円

1,000万円

700万円

700万円

500万円

300万円

契約年消費税率10%が適用される人 左記以外の人※

良質な住宅用家屋 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅左記以外の住宅

0808

贈与の各種特例について概要を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0818

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3.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度  平成31年3月31日までに、親や祖父母等から教育に充てるための資金の贈与を受けた場合に おいて、所定の要件を満たすときは、その贈与金額のうち、1,500万円(学校等以外に支払われる金銭 は500万円を限度とする)までについては非課税となります。

5.特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の贈与に係る贈与税の非課税特定障害者(特別障害者および一定の障害者)が、特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権

の贈与を受けた場合において、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社の営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出したときは、その贈与する信託受益権の価額のうち、6,000万円(特定障害者のうち、特別障害者以外の者は3,000万円)までについては非課税となります。

6.生前贈与加算について相続または遺贈により財産を取得した者が、相続開始日前3年以内に取得した贈与財産は、贈与者

である被相続人の相続財産に加算され、相続税の課税対象となりますが、これらの特例の規定の適用を受けた贈与財産は、加算する必要はありません(教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度および結婚・子育て資金の一括贈与(※)に係る贈与税の非課税制度について、受贈者が一定年齢に達した場合の使い残し部分につき、贈与税課税を受けたものを除く)。※同制度については、相続時の残額は相続税の対象となる。

4.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度  平成31年3月31日までに、親や祖父母等から結婚・子育て費用に充てるための資金の贈与を 受けた場合において、所定の要件を満たすときは、その贈与金額のうち、1,000万円(結婚費用は300万  円を限度とする)までについては非課税となります。

贈与者教育資金の一括贈与 結婚・子育て資金の一括贈与

贈与の対象となる範囲

非課税となる贈与金額

直系尊属(父母、祖父母等)

直系卑属(子、孫等)30歳未満

平成31年3月31日まで金融機関に信託等をする

贈与税の対象(30歳に達したとき)

贈与税の対象外

同左20歳以上50歳未満

同左同左

同左

受贈者

適用期限贈与方法

申告

教育資金に充てる金銭・学校等に直接支払われる入学金等・学校等以外に支払われる金銭のうち一定 のもの1,500万円(学校等以外に支払われる金銭は500万円が限度)

金融機関を通じて、受贈者が非課税申告書を税務署に提出

扶養義務者相互間において通常必要と認められる費用をその都度贈与する場合、贈与税の対象外

1,000万円(結婚費用は300万円が限度)

結婚・子育て費用に充てる金銭・結婚費用(婚礼、結婚披露、住居、引越等)・子育て費用(妊娠、出産、子の医療・保育料 等)

同左

相続税の対象(ただし、2割加算の対象外)

贈与税の対象(50歳に達したとき)

同左

同左

備考

残額の取扱い

贈与者が死亡し た 場 合

受贈者が死亡し た 場 合

受 贈 者 が一 定 年 齢に達した 場 合

贈与の各種特例について概要を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

0819

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1.贈与税・相続税の納税義務者と課税対象となる財産の範囲

納税義務者と課税対象となる財産の範囲をまとめると次のようになります。

例えば、贈与者・被相続人が日本に居住している場合には、受贈者・相続人の住所地にかか

わらず、国内財産・国外財産ともに、日本の贈与税・相続税の課税対象となります。

2.国外転出時課税制度の創設

  平成27年7月1日以後に国外転出をする一定の居住者が1億円以上の有価証券等を所有して

 いる場合には、その有価証券等の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されることとなりました

 (国外転出時課税制度)。

  この国外転出時課税制度の創設に伴い、1億円以上の有価証券等を所有等している一定の

 居住者から、非居住者に対して贈与・相続等によりその有価証券等の移転があった場合にも、その

 有価証券等の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されます。

  ただし、一定の手続きを行う場合には5年間(最長10年間)の納税猶予を受けることができ、また

 納税したのち国外転出・贈与・相続等の日から5年を経過する日までに帰国等した場合には、4ヶ月

 以内に更正の請求により課税を取り消すことができます。

国外に財産がある場合や国外に受贈者・相続人がいる場合の留意点を教えて下さい。

贈与・相続等により国外にある財産を取得する場合には、その贈与者・受贈者、被相続人・相続人の国内における住所の有無及び日本国籍の有無によって、国外にある財産について贈与税・相続税が課税されるかどうかが決まります。また、贈与・相続等により一定の有価証券等を国外に住んでいる受贈者・相続人が取得した場合には、贈与・相続等の対象となった有価証券等の含み益に対して所得税及び復興特別所得税が課税されます。

A

0909

贈与者・被相続人

国内に住所あり

国内に5年以内に住所あり

国内に5年以内に住所あり

左記以外

国内に住所あり

国内に住所なし

国内に住所なし

日本国籍あり日本国籍なし

国外転出時課税制度による納税猶予期限の延長を受けている

上記以外

受贈者・相続人

国内財産・国外財産ともに課税

国内財産のみ課税

国外に財産がある場合や国外に受贈者・相続人がいる場合の留意点を教えて下さい。

相続税・贈与税に関するQ&A0920

Page 23: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

 国外財産であっても、原則として国内財産と同様の方法で評価しますが、財産によっては評価が難しい場合があります。例えば、土地について、国内に所在する土地は路線価や固定資産税評価額といった指標を用いて評価しますが、国外ではそれらの指標がないことが多いため、国外に所在する土地は、売買実例価額や精通者意見価格により評価することとなります。この場合、一般的には、その土地が所在する国の専門家等に鑑定を依頼します。

コラム 国外財産の評価

colum

n

 日本では、相続人が相続財産を受け取るにあたり、相続人の間で争いがない場合等を除き、裁判所の関与は必要ありません。しかし、財産の所在地がアメリカやシンガポール等であれば、原則として、裁判所の管理下での手続き(以下「プロべート」)を経なければ相続人は相続財産を受け取れません。裁判所の許可を得て被相続人の死亡確認、遺言検認、財産目録の作成、債務の支払というプロセスとなります。財産の所在する国、財産の種類や規模にもよりますが、プロベート手続きが数年に及ぶこともあります。

コラム 国外財産の相続手続き

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国外転出時課税制度の概要

適用対象者

次の2つの要件のいずれにも該当する居住者が対象者となります。①国外転出時・贈与時・相続時における有価証券等の時価と未決済デリバティブ取引等の 含み損益の評価額の合計額が1億円以上である者②国外転出・贈与・相続等の日前10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間の合計が 5年超である者

納税猶予

課税の取り消し

みなし譲渡課税

有価証券等・未決済デリバティブ取引等の範囲

①有価証券等とは、所得税法上に規定する有価証券又は匿名組合契約の出資持分をいいます。 有価証券とは、金融商品取引法第2条1項に規定する有価証券及び所得税法施行令に規定する ものをいい、公社債、株式(上場・未上場)、新株予約権証券、投資信託・貸付信託の受益 証券等をいいます。②未決済デリバティブ取引等とは、未決済のデリバティブ取引・信用取引・発行日取引をいいます。

適用対象者は、その国外転出・贈与・相続等の時に、時価で有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなされ、譲渡所得等に対して所得税が課税されます。

国外転出・贈与・相続等の日から5年を経過する日までに帰国等した場合において、国外転出・贈与・相続等の時以後引き続き有していた有価証券等については、4ケ月以内の更正の請求の手続きにより還付※を受けることができます。※本制度によりその有価証券等について課税された所得税の額

適用対象者が国外転出・贈与・相続等の日の属する年分の確定申告書に納税猶予の適用を受けようとする旨の記載をし、納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供して、納税管理人の届出※をする等、一定の手続きをした場合には5年間(最長10年間)の納税猶予を受けることができます。※贈与の場合、贈与者が日本居住のままであるときは納税管理人の届出はなし。

3.国外財産調書の提出

その年の12月31日において、5,000万円を超える国外財産を有する居住者(非永住者を除きます。)

は、その国外財産の種類、数量及び価額等を記載した「国外財産調書」を、その年の翌年の3月15日

までに、住所地等の所轄税務署に提出しなければなりません。

国外に財産がある場合や国外に受贈者・相続人がいる場合の留意点を教えて下さい。

相続税・贈与税に関するQ&A0921

Page 24: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

一般的な税務調査の流れ

1.相続税の税務調査の時期と流れ  相続税の税務調査は、一般的に納税者の同意に基づき、納税者の自宅にて行われる調査(臨宅 調査)のことを言います。 また、相続税の税務調査は一般的に、相続税の申告期限から5年以内に行われます。

2.税務調査において問題となりやすい事項  国税庁が発表している統計データによれば、相続税の税務調査で申告漏れを指摘される 相続財産は、現金・預貯金等が最も多く、続いて有価証券、土地の順となっております(4.税務調査の 実績より)。 このような背景には、次のような事例が考えられます。

相続税の税務調査について概要を教えて下さい。

相続税の税務調査は、納税者の申告が法律に従って正しく行われているかどうかを確認することを目的として実施されます。具体的には、申告額が過少であると想定されるもの、または申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどを対象として実施されます。

A

事前調査 税務署内において相続税の申告書や事前に収集した資料をもとに、調査対象先の選定が行われます。

資料の確認 臨宅調査では確認しきれなかった事項について、税務署内で資料を確認し、引き続き調査が行われます。

事前通知 税務署から相続人代表者および申告を代理した税理士に対して、税務調査を行いたい旨の電話等があります。※事前通知なしに税務調査が行われる場合もあります。

臨宅調査大きく午前と午後の部に分けられます。【午前の部】被相続人およびその親族の状況などについて、主にヒアリングにより調査に必要な情報の収集を行います。【午後の部】事前に税務署内で調査した項目のうち、確認すべき事項について質問および証拠資料の収集を行います。

調査終了 調査結果の通知    修正事項がある場合 : 修正申告書の提出           修正事項がない場合 : 是認(修正なし)

相続発生 法定申告期限申告書の提出

修正申告書提出または是認

10ヶ月 一般的に5年以内

資料収集

事前調査 資料の確認 調査終了臨宅調査または電話調査

1010

相続税の税務調査について概要を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1022

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 事例 :相続発生直前に引き出した預貯金のうち、手許に残った現金を計上していなかった。 事例 :被相続人の預貯金や有価証券を、生前に親族名義の口座に移していたが、     贈与があった事実を説明できなかったため、被相続人の財産とみなされてしまった。  事例 について、税法の基本的な考え方に「実質課税の原則」があり、この原則によれば、 財産の所有者の判断にあたっては、名義が誰であるかは関係ありません。 よって、生前に財産の名義を親族に変更していたとしても、実質の所有者が被相続人と 判断されたものについては、被相続人の財産に含めて相続税申告をする必要があります。

3.税務調査において指摘を受けないための確認事項 (1)手許現金   相続発生日において、手許にある現金は、「手許現金」として財産に含めて申告し、   相続発生直前に引き出した現金のうち、相続発生日までに使用したものについては、   金額や内容の説明ができるように、領収書やメモを残しておくことが大切です。 (2)名義財産   生前に贈与を受けた財産については、財産の名義を変えるだけでなく、   贈与を受けた受贈者が贈与の事実を説明できるようにしておくことが大切であり、   具体的には次のようなことが考えられます。    (例)預金の場合

贈与の証拠 : 贈与契約書の作成、贈与税申告など       所有の事実 : 通帳および印鑑の所有、管理・運用・処分などの手続きの実施など

4.税務調査の実績

相続税の調査実績

12,210件実地調査件数申告漏れ等の非違件数非違割合( / )重加算税賦課件数

重加算税賦課割合( / )申告漏れ課税価格のうち重加算税賦課対象

本税加算税追徴税額合計

実地調査1件当たり

申告漏れ課税価格( / )

9,959件81.6%1,115件11.2%3,347億円436億円527億円83億円610億円2,741万円500万円

97.5%98.5%0.8ポイント95.2%

▲0.4ポイント92.2%82.5%88.8%85.2%88.3%94.6%90.5%追徴税額( / )

平成24事務年度 平成25事務年度 対前事務年度比項 目

申告漏れ相続財産の金額の推移4,5004,0003,5003,0002,5002,0001,5001,0005000

(事務年度)

(億円)

その他現金・預貯金等有価証券家屋土地

21 22 24 2523(出典:国税庁「平成25事務年度における相続税の調査状況について」より抜粋)

11,909件9,809件82.4%1,061件10.8%3,087億円360億円467億円71億円539億円2,592万円452万円

1,187

1.319

80980631

1,175

1,332

63181719

1,179

1,426

63176630

4,026 3,937 3,942

1,010

3,033

1,189

35541266

1,028

3,323

1,236

43168560

相続税の税務調査について概要を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1023

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1.遺言の種類と特徴 3種類の遺言書の特徴をまとめると、次のようになります。

種類

書く人

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言

2.遺言書の検認 遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者または発見者は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を受けなければなりません。 検認とは、相続人に対して遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きであり、遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。

概 要自分で遺言の全文、作成日・氏名を自書し押印する

本人と証人2人が公証人役場に行き、本人が遺言内容を口述し、それを公証人が記述する

本人が証書に署名・押印した後、封筒に入れ封印をして公証人役場で証明してもらう

メリット・ 作成が容易・ 遺言内容を秘密にできる

・ 公証人作成のため、内容が正確で 証拠能力が高い・ 遺言の存在と内容を明確にできる

・ 遺言の存在を明確にできる・ 遺言内容を秘密にできる

デメリット・ 遺言書紛失等のおそれがある・ 方式の不備によって遺言が 無効となる可能性がある

・ 作成に費用がかかる ・ 公証人が遺言内容に関与しない・ 方式の不備によって遺言が 無効となる可能性がある

本 人 公証人 本人が望ましい署名・押印 本人のみ 本人・証人・公証人 本人・証人・公証人公証人 不 要 必 要 必 要証 人 不 要 証人2人以上 証人2人以上検 認 必 要 不 要 必 要

遺言の種類と作成上の留意点について教えて下さい。

民法で定める遺言の方式には、 自筆証書遺言、 公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

A

1111

遺言の種類と作成上の留意点について教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1124

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3.遺言の有効性 遺言は、以下の理由で無効となることがあります。(1)遺言能力 意思能力がない場合、年齢が15歳未満である場合、成年被後見人が事理を弁識する能力を回復していない場合は、いずれも遺言能力を欠くとされ、無効となります。

(2)方式違背 民法所定の方式に従って作成されていない遺言は、無効となります。とりわけ自筆証書遺言は作成方法が厳格に定められているため、方式違背により無効となりやすいといえます。

4.遺言執行者 遺言の執行は相続人や受遺者自身が行うことができ、必ずしも遺言執行者が就任しなければならないわけではありません。しかし、遺言の執行を確実に行うために、遺言執行者が就任することがあります。遺言執行者は、①遺言により指定される場合と②家庭裁判所により選任される場合があります。 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な行為をする権利義務を有し、そのために相当かつ適切と思われる行為をすることができます。

①全文の自書②日付③氏名④押印⑤その他

遺言者が全文を自らの手で筆記しなければなりません。日付も自書が必要であり、年月日によって表示されなければなりません。氏名も自書が必要であり、スタンプ等を用いることはできません。押印のない遺言書は無効となります。加除訂正については厳格な方式が定められています。

【自筆証書遺言の方式】

(3)その他 公序良俗に反する遺言、確定性を欠く遺言、実現不可能な遺言も無効となることがあります。

遺言の種類と作成上の留意点について教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1125

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1.遺留分の考え方

 被相続人は,遺言や生前贈与により自己の財産を自由に処分することができますが、配偶者、子、

親といった、生前被相続人と関係が深かった相続人については、法律上被相続人の財産から一定割

合の財産を受け取ることが保障されています(遺留分権利者と遺留分の割合は下記参照)。

遺留分について教えて下さい。

遺留分制度とは、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合を受け取ることを一定の法定相続人に保障する制度です。

A

1212

 なお、遺留分が問題となるのは,あくまで遺言または生前贈与があるときだけです。遺言または生前

贈与がない場合に行われる遺産分割協議では、遺留分は問題となりません。

遺留分と遺言、生前贈与との関係はそれぞれ次の通りです。

 (1)遺言と遺留分

    例①の場合、遺言で全財産を子Aに相続させようとしても、子Bは遺留分の2,500万円をもらう

   権利を子Aに対して主張することができます。

配偶者相続人の遺留分 血族相続人の遺留分※

1/4

1/3

1/4

1/2

1/6

順位 相続人の組み合わせ

第1順位

第2順位

配偶者および子

子のみ

配偶者および直系尊属

1/2

1/3

遺留分なし

遺留分なし第3順位

直系尊属のみ

配偶者および兄弟姉妹

兄弟姉妹のみ

1/2 配偶者のみ

※血族相続人は,配偶者以外の法定相続人を指します。 被相続人の兄弟姉妹や兄弟姉妹の子(甥や姪)は,法定相続人である場合でも,遺留分権利者とはなりません。

遺留分権利者と遺留分の割合

例① 遺言と遺留分

当初財産額1億円

相続人は子A・Bの2人

子B

子A 遺言

1億円

0円

遺留分

2,500万円

(1億円 × 1/2〔遺留分〕 × 1/2〔法定相続分〕)

遺留分について教えて下さい。

相続税・贈与税に関するQ&A1226

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 (2)生前贈与と遺留分

   遺留分を計算する際の基礎となる財産は、相続発生時点の財産のほか、一定の生前贈与(「特

  別受益」といいます)も含めて計算されます。具体的には、次の算式で計算されます。

    例②では生前に行った2,000万円の贈与を相続財産の8,000円に加算した1億円をもとに遺留

   分の計算を行うこととなり、Bさんの遺留分は2,500万円となります。つまり、Aさんに生前贈与を

   行って財産を減らしても、Bさんの遺留分の額は減らないということになります。

例② 生前贈与と遺留分

生前贈与

当初財産額1億円

相続人は子A・Bの2人

2,000万円

0円

遺言

8,000万円

0円

遺留分

子B

子A

相続時の財産  +  相続開始前1年間の贈与※  +  相続人に対する贈与(年数問わない)

※相続人以外の者への過去1年以上前の贈与であっても遺留分を侵害することをわかってされた贈与は加算します。

2.遺留分減殺請求の効果

   遺留分を行使するか否かは遺留分を侵害された者の意思に委ねられており、遺留分を侵害された

  相続人が遺留分減殺請求権を行使して初めて効果が発生します。実務上は、請求したことの証拠を

  残すため、内容証明郵便の形で送付します。

   遺留分減殺請求により、遺贈・贈与された財産のうち、遺留分割合は遺留分請求者の所有になります。

  遺留分減殺請求をされた相続人は、遺留分割合に応じて、遺贈や贈与により取得した財産を現物

  返還するか、または価額弁償(現金での支払い)をすることになります。

3.遺留分減殺請求の手続

   遺留分請求者は、遺留分減殺請求を行った後、相手方と合意できれば合意書を作成します。相手

  方が応じない場合には、家庭裁判所への調停申立てまたは民事訴訟の提起をすることになります。

  なお、遺留分減殺請求権は、被相続人の相続開始および遺留分減殺すべき贈与や遺贈があったこと

  を知ってから1年以内に行使しないと、時効により消滅します。相続があったことを知らない場合でも、

  相続開始から10年以内に行使しないと時効により消滅します。

遺留分について教えて下さい。

相続税・贈与税に関するQ&A1227

2,500万円

(1億円 × 1/2〔遺留分〕 × 1/2〔法定相続分〕)

Page 30: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

1.納税財源確保対策  相続税は金銭一括納付が原則です。不動産または自社株式などの売却による現金化、 生命保険への加入、金融機関からの借入など、相続人ごとに、相続税の納税財源をどのように 確保するかを事前に検討しておくことが大切です。

2.評価引き下げ対策  財産の評価方法については、Q05.のとおりですが、不動産などについては、一般的に評価額が 時価よりも低くなり、さらに賃貸物件の場合、借地権および借家権割合を考慮するため評価額が 下がります。このように、相続税の計算における評価額と時価との乖離のある財産を自己の財産に  組み込むことがポイントになります。

3.財産移転対策  財産移転として有効な方法に、財産を生前に配偶者や子、孫などへ移転させる生前贈与が あります。相続税率と贈与税率は異なりますので、税率差を考慮し、誰に?いくら?どれ位の期間?  など計画的に贈与を行うことで大きな効果が得られます。また、贈与税の各種特例(贈与税の配偶者 控除、住宅取得等資金の非課税など)を上手に活用することもポイントです。

4.遺産分割対策  相続後における相続人間での争いを防止するためには、遺言によって事前に財産の取得者を 指定しておくことが有効です。遺言書を作成する場合には、遺留分、納税、2次相続などを考慮した 上で作成することが大切です。

相続対策の基本的な考え方を教えて下さい。

相続対策の基本的な考え方として、納税財源の確保、評価の引き下げ、財産の移転、遺産の分割があげられます。またその第一歩として、自己の相続財産、評価額、相続税額の現状をしっかりと把握することが大切です。

A

1.納税財源確保対策

2.評価引き下げ対策3.財産移転対策

4.遺産分割対策

4つの対策は相互に関連性を有しますのでバランスよく行うことが大切です

1313

相続対策の基本的な考え方を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1328

Page 31: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

 意思能力とは、自分の行う行為の法的な意味を理解する能力をいいます。 相続対策を考えていても本人が認知症になっており意思能力を欠いた状態だと、生前贈与や遺言等の相続対策を行うことができません。意思能力を欠いた状態での贈与や遺言作成は無効と考えられているためです。したがって、認知症になる前に相続対策を実行に移す必要があります。 また、相続人の中に、認知症の相続人がいたり、重度の知的障害を持つ相続人がいたりする場合にも、注意が必要です。遺産分割協議は意思能力を欠いた状態では行うことができませんので、成年後見人を選任した上で、成年後見人を代理人として遺産分割協議を行わなければなりません。相続人の中に意思能力を欠く相続人がいる場合には、被相続人が遺言書を作成していると、遺された相続人の手間が大きく軽減されます。

colum

n

コラム⑧ 意思能力

認知症有病率(男女別・年代別)

出典:国立国会図書館「認知症対策の現状と課題」『調査と情報-Issue Brief-』846号

100%

80%

60%

40%

20%

0%

3.8% 4.9%

男性 女性

11.7%16.8%

24.2%

43.9%

35.0%

49.0% 50.6%

83.7%

65.1%

14.4%

3.9%2.8%

 65~69歳 70~74歳 75~79歳 85~84歳 85~89歳 90~94歳 95歳~

相続対策の基本的な考え方を教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A

1329

Page 32: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

子供の数1人 2人 3人 4人 5人課税価格

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

188

530

1,033

1,595

2,243

2,930

3,660

4,410

5,203

6,913

8,830

10,830

12,830

14,830

26,208

38,083

50,500

63,000

385

920

1,670

2,460

3,460

4,460

5,460

6,480

7,605

9,855

12,250

14,750

17,250

19,750

32,895

46,645

60,395

74,145

315

748

1,350

1,985

2,860

3,735

4,610

5,493

6,555

8,680

10,870

13,120

15,435

17,810

30,315

43,440

56,630

70,380

262

665

1,217

1,800

2,540

3,290

4,155

5,030

5,962

7,838

9,885

12,135

14,385

16,635

28,500

41,182

54,307

67,433

225

588

1,125

1,688

2,350

3,100

3,850

4,600

5,500

7,375

9,300

11,300

13,400

15,650

27,200

39,500

52,050

65,175

子供の数1人 2人 3人 4人 5人課税価格

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

400

1,100

1,850

2,800

3,800

5,200

6,700

8,200

9,700

13,100

17,100

21,100

25,100

29,100

51,300

76,000

101,000

126,000

1,220

2,860

4,860

6,930

9,180

11,500

14,000

16,500

19,000

24,000

29,320

34,820

40,320

45,820

73,320

100,820

128,320

155,820

770

1,840

3,340

4,920

6,920

8,920

10,920

12,960

15,210

19,710

24,500

29,500

34,500

39,500

65,790

93,290

120,790

148,290

630

1,440

2,460

3,960

5,460

6,980

8,980

10,980

12,980

16,980

21,240

25,740

30,240

35,000

60,000

85,760

113,260

140,760

490

1,240

2,120

3,120

4,580

6,080

7,580

9,080

11,040

15,040

19,040

23,040

27,270

31,770

55,500

80,500

105,730

133,230

相続税額の早見表(平成27年1月1日以後相続開始の場合)(参考)

※1 課税価格=相続財産ー債務・葬式費用※2 配偶者有では配偶者の税額軽減を法定相続分まで活用するものとする。※3 子供はすべて成人とし、孫の養子はないものとする。①配偶者有 (単位:万円)

(単位:万円)②配偶者無

相続税・贈与税に関するQ&A30

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贈与税額の早見表・税負担率表

贈与価額

万円

60

110

140

160

180

200

220

240

260

280

300

320

340

360

380

400

450

500

550

600

650

700

750

800

850

900

950

1,000

1,500

2,000

3,000

4,000

5,000

10,000

万円

0

0

3

5

7

9

11

13

15

17

19

21.5

24.5

27.5

30.5

33.5

43

53

67

82

97

112

131

151

171

191

211

231

470

720

1,220

1,720

2,220

4,720

0

0

2.1

3.1

3.9

4.5

5.0

5.4

5.8

6.1

6.3

6.7

7.2

7.6

8.0

8.4

9.6

10.6

12.2

13.7

14.9

16.0

17.5

18.9

20.1

21.2

22.2

23.1

31.3

36.0

40.7

43.0

44.4

47.2

税額 税負担率

平成26年12月31日以前の贈与の場合

万円

0

0

3

5

7

9

11

13

15

17

19

21.5

24.5

27.5

30.5

33.5

43

53

67

82

97

112

131

151

171

191

211

231

450.5

695

1,195

1,739.5

2,289.5

5,039.5

0

0

2.1

3.1

3.9

4.5

5.0

5.4

5.8

6.1

6.3

6.7

7.2

7.6

8.0

8.4

9.6

10.6

12.2

13.7

14.9

16.0

17.5

18.9

20.1

21.2

22.2

23.1

30.0

34.8

39.8

43.5

45.8

50.4

万円

0

0

3

5

7

9

11

13

15

17

19

21.5

24.5

27.5

30.5

33.5

41

48.5

58

68

78

88

102

117

132

147

162

177

366

585.5

1,035.5

1,530

2,049.5

4,799.5

0

0

2.1

3.1

3.9

4.5

5.0

5.4

5.8

6.1

6.3

6.7

7.2

7.6

8.0

8.4

9.1

9.7

10.5

11.3

12.0

12.6

13.6

14.6

15.5

16.3

17.1

17.7

24.4

29.3

34.5

38.3

41.0

48.0

税額 税負担率 税額 税負担率一般贈与平成27年1月1日以後の贈与の場合

特例贈与(注1)一般贈与

(注1)20歳以上の者が直系尊属から受ける贈与(注2)「一般贈与」・「特例贈与」の税額はその年の受贈金額が「一般贈与」のみ、または「特例贈与」のみである場合

の金額とする。

(参考)

相続税・贈与税に関するQ&A 31

Page 34: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

相続税概算計算シート

①相続財産の明細

相続税・贈与税に関するQ&A32

②相続税の総額

③各負担額

現 金 ・ 普 通 預 貯 金

定 期 預 貯 金

生 命 保 険 金

退 職 手 当 金

ゴ ル フ 会 員 権

宅 地

自 宅

自用地(駐車場・空地等)

貸 家 建 付 地

貸 宅 地

借 地 権

家 屋

自 用

貸 家

上 場 株 式

未 上 場 株 式

債 務 ・ 葬 式 費 用

課 税 価 格

基 礎 控 除 額

課 税 遺 産 総 額( A )

(1)(2)(3)(4)(5)

(1)(2)

手許保有高・預金残高預入元本+既経過利息×80%受取保険金-500万円×法定相続人の数推定退職金-500万円×法定相続人の数取引相場×70%

路線価×地積-路線価×地積(330㎡まで)×0.8路線価×地積        路線価×地積×(1-借地権割合×借家権割合)路線価×地積×(1-借地権割合)路線価×地積×借地権割合

固定資産税評価額固定資産税評価額×70%その日の取引価格×所有株数1株当たりの相続税評価額×所有株数

3,000万円+600万円×法定相続人の数

評価額(単位:千円)財産の種類 価額の見積り方法(注1)

(注1)概算計算のため、一部簡素化している。(注2)平成26年12月31日以前の相続については240㎡。(注3)配偶者、同居親族等以外が取得した場合は、一定の場合を除き適用なし。(注4)平成26年12月31日以前の相続については5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

法 定 相 続 人(     )( )( )

法定相続分(     )( )( )

税 率( %)( %)( %)

×××

---

控 除 額(     )( )( )

(A)の金額(B)

相続税の総額× 計

相 続 人(     )( )( )

(     )( )( )

===

(B)の金額

納付税額

×

取得した財産の割合

→→→

※但し、配偶者について、法定相続分(または1億6,000万円)までの財産

 の取得は納付税額ゼロ。

(注2)

(注3)

(注4)

Page 35: 相続税・贈与税に関するQ A...相続手続きのスケジュールを教えて下さい。相続税・贈与税に関するQ&A 1.遺言書の確認(相続発生後)

人員数 : 458名(平成27年9月1日現在)東京本部〒100-0005東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館8階(受付14階)電話:03(6212)1660 FAX:03(6212)1661

金沢事務所〒920-0856石川県金沢市昭和町16-1 ヴィサージュ9階電話:076(234)1511 FAX:076(234)1512

京都事務所〒600-8008京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾町20番地 四条烏丸FTスクエア9階電話:075(257)7673 FAX:075(257)7674

福岡事務所〒810-0001福岡県福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル6階電話:092(713)8261 FAX:092(713)8262

神戸事務所(平成27年11月に開設予定)〒651-0086兵庫県神戸市中央区磯上通8丁目3番5号 明治安田生命神戸ビル11階(受付:6階)電話:078(232)1331 FAX:078(232)1332

広島事務所〒730-0013広島県広島市中区八丁堀14-4 JEI広島八丁堀ビル9階電話:082(511)4100 FAX:082(511)4101

札幌事務所〒060-0001北海道札幌市中央区北一条西4-2-2札幌ノースプラザ8階電話:011(223)1553 FAX:011(223)1554

東北事務所〒980-0021宮城県仙台市青葉区中央1-2-3仙台マークワン11階電話:022(714)6760 FAX:022(714)6761

静岡事務所〒420-0857静岡県静岡市葵区御幸町11-30エクセルワード静岡ビル13階電話:054(205)3210 FAX:054(205)3211

山田&パートナーズコンサルティング株式会社-東京本部-〒100-0005東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館8階(受付14階)電話:03(6212)1660 FAX:03(6212)1661●シンガポール ●上海 ●ベトナム

弁護士法人Y&P法律事務所〒100-0005東京都千代田区丸の内1-8-1丸の内トラストタワーN館8階(受付14階)電話:03(6212)1663 FAX:03(6212)1662

優成コンサルティング株式会社〒100-0005東京都千代田区丸の内1-8-1丸の内トラストタワーN館8階(受付14階)電話:03(6212)1655 FAX:03(6212)1661

山田&パートナーズアカウンティング株式会社〒100-0005東京都千代田区丸の内1-8-1丸の内トラストタワーN館8階(受付14階)電話:03(6212)1650 FAX:03(6212)1651

名古屋事務所〒450-6046愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4JRセントラルタワーズ46階電話:052(569)0291 FAX:052(569)0292

関西事務所(平成27年11月より大阪事務所に名称変更予定)〒541-0044大阪府大阪市中央区伏見町4-1-1明治安田生命大阪御堂筋ビル12階電話:06(6202)5881 FAX:06(6202)5882

■事業実績(平成26年度)●顧問件数:1,387件 (うち、上場会社数:37件 うち、医療機関数:99件)●相続税申告数:701件●M&A実績:47件●企業再編・企業再生実績件数:88件

●国際税務関与件数:141件●相続・事業承継コンサルティング件数:775件●経営コンサルティング件数:64件 (うち、医療系コンサルティング:24件)●セミナー回数:2,503回