7²¢ - JA長野厚生連...

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長野松代総合病院だより 第 112 号  4 Double level osteotomy 使2018 年患者数 外来:55,806 人 (1 日平均 210.0 人) 入院:27,852 人 (1 日平均 76.4 人) 2018 年手術件数:1353 件 外傷:706 件 (上肢 200 件、下肢 495 件、 脊椎など 11 件) 疾病:647 件 (上肢 197 件、下肢 336 件、 脊椎など 114 件) 人工膝関節手術の術式 UKA(単顆置換型) ■膝内側のみ置換する TKA (全置換型) BCR 型(両十字靭帯温存型) ■前十字・後十字靭帯ともに温存する CR 型(後十字靭帯温存型) ■後十字靭帯のみを温存する CS 型、PS 型(十字靭帯代償型) ■損傷した十字靭帯の機能を補う 整形外科は、骨・関節・筋肉・靭帯・腱・脊髄・神経の疾患および 外傷による損傷を治療します。首から腰にかけての脊椎、上肢およ び下肢の疾病、外傷を主に扱う診療科です。 瀧澤  勉 小藤田能之 山㟢 郁哉 豊田  剛 北原  淳 松永 大吾 尾㟢 猛智 中村 順之 小山 勇介 望月 正孝 Double level osteotomy 大腿骨 遠位端骨切り術→ 高位脛骨 骨切り術→ 水谷 康彦 UKA TKA(BCR 型)

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  • 長野松代総合病院だより 第112号  4

     

    整形外科では、それぞれの医

    師の専門性を重視し、長野医療

    圏の整形外科の拠点および最終

    病院として、急性外傷から慢性

    疾患まで、メディカルスタッフ

    も参加したチーム医療を行って

    います。

     

    関節外科では、膝関節や股関

    節など下肢関節疾患を中心に診

    療を行っています。変形性膝関

    節症に対しては、「関節鏡手術」

    「膝周囲骨切り術」「人工膝関節

    置換術」などの手術を、患者さ

    んの年齢や活動レベル、ニーズに

    応じて選択しています。特に、

    膝周囲骨切り術は比較的活動性

    が高い患者さんに行っている手

    術で、ここ数年で劇的にその適

    応が拡大され、手術手技や固定

    器具が改良されています。

     

    また、従来、変形性膝関節症

    の患者さんには高位脛骨骨切り

    術を行ってきましたが、最近で

    は、高位脛骨骨切り術に大腿骨

    遠位端骨切り術を組み合わせた

    Double level osteotom

    y

    という

    手術も行っています。長野県で

    はまだほとんど行われていませ

    んが、術後にその患者さん本来

    の膝機能を発揮しやすくなると

    考え、当院では適応を選んで積

    極的に取り入れています。

    《人工関節センター》

    人工膝関節置換術

     

    当院が得意とする手術の一つ

    で、年間約160関節に施行し

    ています。近年、様々な特徴を

    持った人工関節が開発されてお

    り、変形の程度や年齢・活動性

    を考慮し、また機能している部

    分を最大限温存できるように、

    術式を使い分けています。

    整形外科

    関節外科

    診療最前線

    脊椎・椎間板

      肢

      肢

    2018 年患者数外来:55,806 人

    (1 日平均 210.0 人)入院:27,852 人

    (1 日平均 76.4 人)2018 年手術件数:1353 件外傷:706 件

    (上肢 200 件、下肢 495 件、脊椎など 11 件)疾病:647 件

    (上肢 197 件、下肢 336 件、脊椎など 114 件)

    人工膝関節手術の術式

    UKA(単顆置換型) ■膝内側のみ置換する

    TKA(全置換型)

    BCR 型(両十字靭帯温存型) ■前十字・後十字靭帯ともに温存するCR 型(後十字靭帯温存型) ■後十字靭帯のみを温存するCS 型、PS 型(十字靭帯代償型) ■損傷した十字靭帯の機能を補う

    整形外科は、骨・関節・筋肉・靭帯・腱・脊髄・神経の疾患および外傷による損傷を治療します。首から腰にかけての脊椎、上肢および下肢の疾病、外傷を主に扱う診療科です。

    瀧澤  勉

    小藤田能之

    山㟢 郁哉

    豊田  剛

    北原  淳松永 大吾

    尾㟢 猛智

    中村 順之

    小山 勇介

    望月 正孝

    Double level osteotomy

    大腿骨遠位端骨切り術→

    高位脛骨骨切り術→

    水谷 康彦

    UKA

    TKA(BCR 型)

  • 5  第 112号 長野松代総合病院だより

    療します。肩関節では腱板断裂、

    五十肩、変形性肩関節症、肘で

    は変形性肘関節症、肘部管症候

    群、手関節および手では腱鞘炎、

    手根管症候群、母指のCM関節

    症、変形性手関節症などの変性

    疾患に対する治療を行います。

    また肩、肘、手関節のスポーツ

    障害、反復性肩関節脱臼、肩、肘、

    手関節及びそれらの周囲の骨折、

    さらに上腕、前腕、手指の骨折、

    変形治癒骨折に対しても治療を

    行っています。

     

    高齢社会となり、加齢に伴う

    脊椎脊髄疾患(骨粗鬆症、脊椎

    圧迫骨折、脊柱管狭窄症、靭帯

    骨化症、頚髄症などの疾患)が

    増加しています。問診と詳細な

    人工股関節置換術

     「前方アプローチ(DAA)」と

    いう股関節前方から行う手技は、

    皮膚切開が短く、筋肉・神経・

    血管への負担も少なく早期から

    リハビリテーションを行えるた

    め、世界でも徐々に普及してい

    ます。当院ではDAAに工夫を

    加えたAMISという手技を導

    入し、年間約70〜80例に施行し

    ています。安定して脚を保持で

    きる装置(レッグポジショナー)

    を使用し、レントゲン透視画像

    を確認しながら人工関節をより

    正確に設置することで、安定し

    た手術成績を収めています。

     

    上肢の外科はおもに肩関節か

    ら手指までの疾患及び外傷を治

    診察に、X線、MRI、CT、

    骨密度などの画像解析を加え診

    断します。治療はまず手術以外

    の方法による症状緩和、あるい

    は日常生活上のアドバイス、薬

    物療法、運動療法、リハビリテ

    ーション、および当院ペインク

    リニックと連携したブロック治

    療などの保存療法を行います。

    それでも症状が改善しない場合

    に手術療法を選択し、顕微鏡や

    高解像能透視装置、術中脊髄誘

    発電位、脊椎内視鏡を駆使して

    低侵襲で安心安全な除圧術・固

    定術・矯正術を行います。

     

    スポーツによる外傷や障害全

    般を対象としており、県内外か

    ら多くの患者さんが来院します。

    治療の中心はリハビリテーショ

    ンと外科的治療(手術)で、患

    者さんの競技種目や身体特性を

    考慮して最適な治療法を選択し

    ています。特に前十字靭帯再建

    術・半月板縫合術・軟骨移植術

    など膝関節や足関節の関節鏡視

    下手術の件数は全国的にも突出

    しています。

     

    当科の理念は「時間がかかっ

    ても最高の状態に持っていく」

    ことであり、早期競技復帰を望

    む患者さんからすればもどかし

    く感じる場合もあるかもしれま

    せんが、流行に流されることな

    く、高みを目指して診療にあた

    っています。

    上肢の外科

    脊椎外科

    スポーツ整形外科

    整形外科初診患者さんはかかりつけ

    医からの紹介状(診療情報提供書)

    が必要です

     

    整形外科は完全予約制で、初診患者さ

    んは紹介状が必要です。

     

    なお、緊急入院を要する場合は従来ど

    おり、紹介状がなくとも救急診療にて対

    応いたします。

    術中は、レッグポジショナーを用いて下肢の動きを抑制します。

    腰椎分離すべり症の X 線画像

    きめ細やかで充実したリハビリテーションを提供しています。

    デュピュイトラン拘縮に対し、手術治療だけでなく注射による治療も行っています。

    エイミス

    術後

    術前