平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図...

20
NEDO委託事業 褐炭改質技術,石炭灰利用技術,バイオマス利用技術 の統合によるインドネシアの石炭低品位化対応 ソリューション事業の案件発掘調査 平成26年7月24日 (一財) 石炭エネルギーセンター 技術開発部 橋本敬一郎 平成25年度JCOAL事業成果報告会 1

Transcript of 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図...

Page 1: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

NEDO委託事業

褐炭改質技術,石炭灰利用技術,バイオマス利用技術の統合によるインドネシアの石炭低品位化対応

ソリューション事業の案件発掘調査

平成26年7月24日

(一財) 石炭エネルギーセンター

技術開発部 橋本敬一郎

平成25年度JCOAL事業成果報告会

1

Page 2: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

報告内容

1.FSの概要2.HASNUR社概要3.HASNUR社との協議実績4.バイオマス発電5.プラント統合結果6.事業およびファイナンスのスキームの検討7.まとめと課題謝辞

2

Page 3: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

3

褐炭

石炭灰土壌改良剤

石炭灰土壌改良剤

パーム椰子

電力

改質炭

未利用資源(低品位炭,石炭灰,EFB)を活用した好循環型“地産地消”ビジネスの実現

オイルミル工場

パームプランテーション

EFBガス化発電プラント

PLN発電所

褐炭鉱山

褐炭改質プラント

土壌改良剤プラント

1.FSの概要 (1)期待される効果・展開

フライアッシュ

(褐炭焚きボイラ発電プラントを附属)

EFB :パーム椰子空果房

パームオイルの絞り滓

Page 4: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

1.FSの概要 (2)事業スキーム

4

③EFBガス化発電

・高水分,高塩分のEFBにも対応可能

・EFBを多筒型ロータリーキルン炉へ投入,熱分解し,

ガスエンジンを使って電力と熱を高効率回収

→褐炭改質に必要なエネルギーの一部を代替

②土壌改良材製造

・酸性土壌の改良効果

・肥料効果

・重金属類溶出抑制効果

     褐炭   褐炭(一部) EFB

土壌改良剤

熱・電気

熱・電気

      改質炭

FS対象の事業範囲PLN等 石炭火力で高効率利用

①褐炭改質

褐炭焚ボイラ ②土壌改良剤製造

褐炭採掘

  土壌改良剤

炭鉱未利用地(緑化,農地化)

パームプランテーション

パートナー会社の炭鉱エリアでの現事業範囲

外販褐炭燃焼灰(フライアッシュ)

[埋立処分回避]

③EFBガス化コジェネ

褐炭

ブリケット

水分=40-60%発熱量<4,000kcal/kg

水分=10-20%発熱量=5,000-5,500kcal/kg

改質処理

①褐炭改質

・自然発火,再吸水抑制

・省エネ

・シンプルな操作

・既存火力発電所で亜瀝青炭

と同等のハンドリング

わが国技術要素を統合 ⇒ 事業性向上による実現へ

③EFBガス化発電

(パーム椰子空果房)

JCOAL(中外炉工業)丸紅宇部興産

北陸電力

HASNUR社

Page 5: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

5

①技術・プラント統合の効果

1.FSの概要 (3)期待される効果・展開

②将来の展開

石炭灰土壌改良剤

未利用資源の活用 石炭灰活用による石炭灰土壌改良剤製造炭鉱跡地等の緑化・農地化EFB(パーム椰子空果房) によるガス化発電

資本支出の低減 設備・機器の統合

運営の低減化 管理部門・ユーティリティ・運転員の統合・融通

非常時対応の充実 事故等における相互支援

CO2 削減効果アップ 褐炭改質事業とEFBガス化発電との統合

CO2 の更なる削減 ・ 炭鉱経営の安定化 ・ 地域雇用の拡大

EFB発電増加

パーム椰子園拡大

褐炭改質事業拡大

Page 6: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

EBL炭鉱

石炭輸送道路56km

オイルミル工場

パームプランテーション(1.5万ha)

Barito川

Jetty

BRE炭鉱

6

2. HASNUR社概要 (1)位置図

(南カリマンタン州)

Page 7: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

7

2. HASNUR社概要 (2)炭鉱・港湾の概要

調査項目 調査結果

炭鉱会社・炭鉱名 PT Energi Batubara Lestari,EBL炭鉱

資本構成 PT Hasnur Jaya Energi:100% (Hasnur社の100%子会社)資源量・可採埋蔵量 55百万㌧ (潜在資源量は150百万㌧), 31百万㌧ (JORCベース)石炭品位 TM 36~38% (ar)

Ash 6% (adb)S 0.26% (adb)CV 3,800~4,000kcal/kg (gar)

生産実績・計画 2.4百万㌧(H25年),5.0百万㌧(H26年),7.0百万㌧(H27年以降)操業体制 採炭・破砕・運搬全てコントラクター起用 (コントラクター:300名,直営:50名)輸送インフラ ①運搬道路 → 山元~Jetty間 56kmの専用石炭運搬道路を保有

(他炭鉱も通行料を支払い利用)②Jetty(積出港) → 専用Jetty (積込能力:33.8百万㌧/年)を保有(他炭鉱も使用料を支払い利用)③バージ → 8隻の専用バージ (輸送能力:3.4百万㌧/年)を保有

その他 HASNUR社EBL炭鉱に隣接するBRE炭鉱 (品位は粗EBL炭同等)の権益50%を保有し,改質プラントへの供給も可能

Page 8: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

8

①HASNUR社オイルミル工場, パームプランテーション調査

[南カリマンタン州, H25年11月18, 19日]

・入手データは設計・事業性検討に適用

・工場隣接地は設備建設候補地になり得る事を確認

・石炭灰土壌改良剤のフィールド試験区画をマーキング

②経営層とキックオフ会議開催 [本社(ジャカルタ市), H25年11月20日]

・本NEDO事業に対する経営層の協力意思を確認

・現事業の課題確認 (褐炭の価格水準・輸送時発火性, EFBの処分法, 炭鉱跡地の有効活用, 酸性土壌農地の活用等)

・秘密保持契約の締結を合意→11月29日締結(日本側代表はJCOAL)

③実務者の討議 [本社(ジャカルタ市), H26年1月20日]

・同社プロジェクトチームと事業性検討に必要な諸元等に関する討議

④実務者の討議 [本社(ジャカルタ市), H26年5月22日]

・同社プロジェクトチームとプラント設計結果、事業性検討結果に関する討議→実現性向上に向けて協力していくことで合意

パームプランテーション(1.5万ha)

3. HASNUR社との協議実績

Page 9: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

9

4. バイオマス発電 (1)基本設計方針

①H社工場から採取したEFBの分析結果

・水分: 50~60% (非常に高い)

・発熱量:2,200kcal/kg (非常に低い)

・灰: Ca,Mg,Na,K,S,Pを含有(肥料として利用可能)

・EFB発生量:4年後,360トン/日規模

②仕様

・灰を肥料として再利用→褐炭混焼しない

・ガス化発電方式で詳細検討実施

(CFB[循環流動層ボイラ]→細粉砕困難,ストーカー式→利用可能性を調査予定)

EFB分析値

Page 10: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

10

4. バイオマス発電 (2)EFBの現況

オイルミル工場建屋

EFB捨て場

EFBの山(パーム椰子殻)

Page 11: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

乾燥機

脱塵

改質炉 ガス精製

熱風発生炉

ガスエンジンガス化炉

排熱回収

排熱回収

EFBチップ

炭化物

ボイラ水

電気

空気

排ガス

空気排ガス

高温空気

ガス化

ガス

蒸気

ガス化

ガス

ガス化

ガス

蒸気タービン発電機(横手:温水利

用機器)

粗粉砕機 空気

大気へ

大気へ排ガス

熱風

4. バイオマス発電 (3)プロセスフロー

EFB

バイオマスガス化発電プラント(JCOAL,横手市)

・横手プラントと同じシステムで対応可能

・チップサイズ50mmキュービック大(最大 長さ300mmまで実績あり)

・水分63%まで運転実績あり(針葉樹)

・灰を肥料として再利用した実績あり

11

Page 12: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

4. バイオマス発電 (4)配置図

12

ガスエンジン発電

EFBガス化炉蒸気タービン発電

Page 13: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

13

4. バイオマス発電 (5)性能、建設費

ガス化発電

EFB投入量(㌧/日) 350

EFB水分(%) 55

送電量(kW) 4,500

蒸気送気量(㌧/時) -

灰発生量(㌧/日) 12

ガス化炉形式×基数 ロータリーキルン×5

ボイラ形式×基数 -

建設費(億円) 48

Page 14: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

14

EFB灰の分析値in EFB(パーム椰子空果房)

ガス化発電←性能は良いが建設費が高い

コストダウン目標:36億円以下(25%ダウン)

(ガス化発電単独で収益が出せるレベル)

・重要機器の現地調達拡大(日系企業の工場で製作)

・ガス化炉単体能力アップによる系列数削減(5→2~3へ)

さらなる、経済性向上のため、

ストーカーボイラ←建設費は安いが検討課題がある

・低温燃焼下の安定運転検討(燃焼システム改善)

・高水分原料の安定運転検討(事前乾燥)

1.Siが多く含まれているためクリス

トバイライトの発生に注意(要低温燃焼)2.Kが多く含まれているため火炉へのダメージに注意(要低温燃焼)

4. バイオマス発電 (6)事業性の向上検討

Page 15: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

15

5. プラント統合結果 (1)建設候補地

オイルミル工場(既設)

(工場裏がEFB捨て場)

褐炭改質+石炭灰土壌改良剤+EFBガス化発電プラント予定地 (空地 7.5ha )

500tバージが曳航可能な運河&プラントの水源

Page 16: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

5. プラント統合結果 (2)全体配置図

16

運河

EFBガス化発電

褐炭改質褐炭改質

褐炭焚きボイラ

共通ユーティリティ

石炭灰土壌改良剤

↑CPOミル(既設)

Page 17: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

5.プラント統合結果 (3)経済性及びCO2削減量検討結果

17

Page 18: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

6.事業およびファイナンスのスキームの検討

18

Page 19: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

7.まとめと課題

19

まとめ(1) 事業実現の可能性を確認。経済性,CO2削減量を改善できる示唆も得た。(2) 低品位炭鉱の近傍にパーム農園事業が隣接する地点が多数存在→本ソリューション事業がインドネシアで広域的に水平展開可能なことが判明(3) インドネシア政府は,改質事業を含む低品位炭有効利用を推進する立場であり,2014年末公表に向けて法規制整備の検討を進めていることを確認(4) インドネシアの中品位炭需要は、2020年には50百万t/年超まで伸びる一方,供給力は需要を下回ると予想→改質炭の潜在的需要が大きいことを確認(5) 石炭灰土壌改良剤の機能性・安全性に関する検証データを蓄積。競合する土壌改良剤の価格水準を把握し,製品認定・規格作りの重要性を認識(6) アブラヤシのEFBを有効活用し,CO2削減に大きく貢献できる可能性を確認(7) HASNURは,事業化に関心を持ち,引き続き,本調査に協力する意向

課題(1) 事業実現性の確度・蓋然性を高め,各社の投資基準を満たすため,調査の深掘りを行い,事業性評価の精度を高める必要(2) 初期投資額を抑制し,事業採算性を高める方策の検討が必要(3) 改質炭製品普及のため,政策・法規制等を詳細調査するとともに,潜在的需要をより具体化するために個別ユーザーの掘り起しが不可欠(4) 石炭灰土壌改良剤の施用効果検証を強化するとともに,認知度向上とニーズ開拓の取組み,製品としての認定手続・規格検討の働きかけが必要

Page 20: 平成25年度JCOAL事業成果報告会· Jetty BRE炭鉱 6 2.HASNUR社概要(1)位置図 (南カリマンタン州) 7 2.HASNUR社概要(2)炭鉱・港湾の概要 調査項目

謝辞

20

本成果は、NEDO「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業 基礎事業石炭高効率利用システム案件等形成調査事業」に係る(平成25年度~平成26年度)

委託業務として北陸電力㈱殿、宇部興産㈱殿、および、丸紅㈱殿と共同実施したものであります。本成果の発表を許可いただいたNEDO殿、並びに、共同実施会社殿に感謝いたします。