20131219 オープンデータ・カフェ「繋がるオープンデータ「LOD」で、身近な...

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1 平成 25 年度 岐阜県 オープンデータを活用した新サービス創出・研究 オープンデータ・カフェ 大垣 「繋がるオープンデータ「LOD」で、身近 な話題を解決しよう」 開催報告書 株式会社 CCL オープンデータ・カフェ事業 平成 25 年 12 月

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株式会社CCL 大垣支社が2013年12月19日に行った「オープンデータ・カフェ」の開催報告書です。

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平成 25 年度 岐阜県 オープンデータを活用した新サービス創出・研究

オープンデータ・カフェ 大垣 「繋がるオープンデータ「LOD」で、身近な話題を解決しよう」

開催報告書

株式会社 CCL

オープンデータ・カフェ事業

平成 25年 12月

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1.第1回オープンデータ・カフェ開催の概要 「オープンデータ・カフェ」は、オープンデータに関するインプットやディスカッションを通じて、サービス創出に向けたアウトプットづくりを目指すオープンな勉強会。様々なゲストを招いてディスカッションを行うとともに、アイデアソンや企画づくりなどのワーク等、オープンデータ利活用につながる場づくりをソフトピア地区(岐阜県大垣市)を中心に県内外で広く展開する。 今回は、社会課題とその背景情報、社会課題とその解決目標、大目標と部分目標等をLinked Open Data(LOD)の枠組みで繋げて行く仕組みとその有用性についての講話と身の回りの社会課題や解決目標を考えるワークを通して、白松氏が現在開発中のWebアプリ「ゴオルシェア(仮)」に参加者が課題データ・目標データを入力する試みを行った。 日時:2013年 12月 19日(木) 19:00-21:00 会場:ドリームコア 2F メッセ(大垣市今宿 6-52-16) 主催:岐阜県、株式会社CCL 参加費:無料 出席者数:17名 当日のプログラム: 19:00-19:10 オープニング 本事業のご紹介(オープンデータ化による自治体の「免責」について)(取締役・原) 19:10-19:50 後援「身近な課題とその解決目標を共有するオープンデータ」(白松氏) 19:50-20:00 休憩 20:00-20:15 システムのデモ(白松氏) 20:15-20:30 グループワーク 「課題解決のためのアイデアを整理してみよう」 20:25-20:55 実際に「ゴオルシェア(仮)」を使ってみよう 20:55-21:00 感想共有 クロージング 登壇者紹介(敬称略) スピーカー: 白松 俊(しらまつ しゅん) 名古屋工業大学工学研究科 助教 1976年、千葉県四街道市生まれ。 2003年に東京理科大学理工学研究科修士課程修了後、産業技術総合研究所にてCREST研究補助員。 2005年から京都大学情報学研究科博士課程へ進学、話し言葉における話題の流れを可視化する研究に従事。

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2008年に博士(情報学)を取得後、学振特別研究員(PD)を経て、2009年より名古屋工業大学工学研究科助教。 現在に至る。2011年ごろより、Linked Open Dataを用いた住民参画支援システムの研究に従事。 苦手なものはマヨネーズと各種締切。 株式会社CCLについて: フリーエージェント・スタイルで地域の課題を多様な主体や領域が交わり、対話を通じて解決する場(フューチャーセンター)を創造し、関わる全ての人・組織・地域の主体性と創造力を引き出すための事業を展開しています。 URL:http://cc-lab.co.jp/

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2.講演内容 まず、オープニングとして取締役・原より「オープンデータ化によって自治体のデータ提供におけるスタンスが変わる」という話題提供。 これまで「データを保持している」ことにより自治体に伴っていた様々な「責任」が、オープンデータ化によって市民に開放されることで「免責」となるということが説明された。

2-1.講演 続いて、名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教の白松 俊氏による講演。 まずは、氏の経歴とオープンデータとの出会いについてプレゼン。

白松氏は、2010年ごろまで「人間の言葉を自動解析する研究」を、その1年後、「地域課題に疎い一般市民が議論に参加できるには」という課題から、「住民参画支援システム」の研究をスタート。 その研究アプローチは、ニュース記事やWeb上の意見などの「議論の種」を分類、「構造化」し、Web上の「地域の議論の場」にできないか?というもの。しかしそれでは、身近な地域課題に関する背景情報が確実に拾えるとは限らない上、システムに集積した情報をただ「議論の種に使ってください」と提示しても、建設的な解決方法の議論には発展しづらい。そこで、それらの問題点を見いだした氏は、【Web上にまだない身近な

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課題や解決目標を、地域の人々が自ら公開する仕組みが必要ではないか?】という、現在のシステム研究に至る課題にたどり着き、これがオープンデータとの出会いとなった。 2012年7月の政府の「電子行政オープンデータ戦略」策定を皮切りに、2012年後半から今年にかけて、日本国内のオープンデータ運動が隆盛を迎えた。 2013年7月からは、大垣のソフトピアジャパンにて「オープンデータ・カフェin大垣」がスタート。2013年は、日本各地でオープンデータを題材にした「ハッカソン」が毎週のように開催されている。 この「ハッカソン」に関していえば、オープンデータが題材のものだと、市民の技術力で地域の課題を解決する「シビックテック」の分野にあてはまる。 その「シビックテック」推進のため動きの紹介も。 【Code for AMERICA】 ・シビックテック推進のためのアメリカの非営利団体・2009年から活動,各地の自治体も巻き込んで成果・市民協働の仕組みづくりの例‒地域住民の意見を取り入れるためのWebサイト開発‒街の課題をスマートフォン等で報告するシステム開発 -地域課題の解決に向けた開発イベント(ハッカソン) 【CODE for JAPAN】 ・日本でもやろう!と2013年6月ごろから始動。 ‒関治之さん(ジオリパブリック社)が中心・一般社団法人として法人化(10月25日) 【日本各地のCode for X】も紹介。 ことに東海地方の団体は、 ・CODE for GIFU (岐阜県, CCL 志知篤) ・CODE for TOKAI (東海地方, 名大 河口信夫先生) ・CODE for NAGOYA (名古屋市, Yahoo 河合太郎さん) ・CODE for SHIZUOKA (静岡県, NCD 大石康晴さん) そんな【Code for X】のために必要なことは、 ①解決すべき地域課題を共有するための仕組み ②地域住民が組織を超えて協力できる仕組み の2つ。 身近な課題や解決目標を、地域の人々が自ら公開する仕組みを作ろう!ということで、白松先生の研究がスタート。 その研究で活躍するのが、Linked Open Data(LOD)。 Linked=ひも付けられた Open Data=オープンデータ ということで、オープンデータを互いに繋げて組織横断的にデータを二次利用しやすくするデータ公開方法のこと。必要最低限のオープンデータの条件から発展し、URIで物事を示すことで他者がリンクできるようにしたり、データへリンクすることがその条件になる。 白松氏は、まず「震災復興」というテーマでデータを試作。復興関連資料から人手で復興目標を抽出してみた。 例えば、【大目標】震災復興【部分目標】「東北に観光客を誘致」⇒ 【部分目標】「新たな旅行商品をつくる」 大目標の幹から、だんだんと細かくて身近な部分目標に分かれるという、言ってみれば「木構造」のシステム。

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しかし、再び課題が浮上。それは、 ・対象地域の違う類似目標 ・部分目標がどの粒度まで細分化されるかは元の資料によってバラバラ この課題を受け、実現したいのは、 ・協業の相手となりうる他の人々を捜すため、下記の2条件のどちらかを満たす人々を検索可能に 1.目指す目標や注目する課題が似ている(多くの人の間で) 2.スキルやリソースを補い合える(2人の間で) ・ 抽象的な目標を部分目標に細分化できる ・「困ったこと」は認識しているが、自らがその解決を目指すのはためらうような住民でも参加可能 の3点。 これを解決するため開発したのが、Webアプリ「ゴオルシェア(仮)」。 2通りの使い方を想定している。 ①本人が身近な課題/解決目標を入力する ②影響力ある人の課題や目標を第三者が入力する 入力の手順は、 1.課題(困ったこと/解決したいこと の入力) 2.その解決のための大目標の入力 3.大目標を具体化した部分目標の入力

2-2. 実践・ワーク編 講話の後半には、参加者が実際に「ゴオルシェア(仮)」の入力を体験。 まずは、アプリのしくみを知るためにも、机上でアイデアを出しながら、木構造を作成。 グループごとに、各自ポストイットに「大垣地域の課題」を書きだす。「ソフトピアに駐車場が少ない」、「企業同士の交流が少ない」、「夜になると暗い(街灯が少ない)」、「駅まで歩く時間が長い」など、10分足らずで様々な意見が出された。

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続いて、出た課題からひとつを選び、その課題を解決するための「部分目標」を考えていく。部分目標を解決するための目標をいくつも出す事で、細分化していく。

ツリーができたら、実際にWebに入力。まだ開発中のシステムとあって、 少し戸惑う方もいたが、「ここはこうなったらもっと良い」などの意見も出しあいながらの活発なワークとなった。 最後に、先生が考える「ゴオルシェア(仮)」で期待する波及効果として 将来「ゴオルシェア(仮)」が完成して広く使われると、 ①協力者を探しやすくなる! ‒可能性のある人と目標を比較して協業の可能性を検討 ②世の中の動向がわかりやすくなる! ‒影響力ある人達がいつまでに何を成し遂げようとしているのかがクリアになる (はずだと信じて完成するまで頑張ります):白松氏談

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3.「ゴオルシェア(仮)」に関するアンケート結果 Q1「ゴオルシェア(仮)」が正式にサービス開始したら,協力できる可能性のある人を探すために使いたいと思いますか。

Q2「ゴオルシェア(仮)」に課題や目標のデータが蓄積されたら,世の中の動向がわかりやすくなると思いますか。

Q3「ゴオルシェア(仮)」に課題や目標のデータが蓄積されたら,地域事情に通じていなかった人でも参加・貢献しやすくなると思いますか。

回答の選択肢 –

回答数 –

1 全く思わない 0% 0

2 あまり思わない 8.33% 1

3 どちらとも言えない

25% 3

4 そう思う 50% 6

5 強くそう思う 16.67% 2

合計 12

回答の選択肢 –

回答数 –

1 全く思わない 0% 0

2 あまり思わない

0% 0

3 どちらとも言えない

33.33% 4

4 そう思う 41.67% 5

5 強くそう思う 25% 3

合計 12

回答の選択肢 –

回答数 –

1 全く思わない 0% 0

2 あまり思わない

0% 0

3 どちらとも言えない

16.67% 2

4 そう思う 66.67% 8

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Q4「ゴオルシェア(仮)」について、用途や必要な機能などのご意見・ご要望がありましたら、ご自由にお書き下さい。 ・タグ等をつけて部分目標をカテゴライズする機能があるとGOOD。 ・Facebook上でグループを作ってください。お誘いお待ちしています。 ・タグ付けができればいいのでは?木構造を表示する際は見やすくしてほしい。 ・行政サイドが課題を出して、市民の皆さんにいろんな解決策を提示していただくツールとして利用できると思います。 ・Web上で木構造を作るのは難しいかもしれません。目標のグルーピングとタグ付け機能がつくとよい。あと地域から課題を選べるようになると良い。「シビックテック」に取り入れやすくする事ができる。 ・ 構造の可視化(Visualization of data structure)をお願い致します。 ・「課題」はさておき「目標」「部分目標」の位置づけが分かりにくいと思います。「部分目標」を「手段」「方法」にするなど動的なイメージにした方が伝わりやすいのでは。 ・利用者を増やすためのアクションを起こしていけるとよいと思います。例として (1) イベントを重ねる、(2) 実際の地域の課題解決に大きく貢献する事例を作る、(3) それらの活動を全国メディアで取り上げてもらう など。 以上のような結果となった。このアンケートは設問を白松氏からいただき、こちらで回収・集計したもの。結果はフィードバック済みである。

オープンデータ・カフェ 大垣 「繋がるオープンデータ「LOD」で、身近な話題を解決しよう」

開催報告書

平成 25年 12月

株式会社 CCL 住所 〒020-0133 岩手県盛岡市青山 2丁目 15-1小坂ビル 2階

TEL:019-643-0235 ホームページ http://www.cc-lab.co.jp

5 強くそう思う 16.67% 2

合計 12