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99 第Ⅴ章 バイオガス改質・エネルギー機器導入の為の実証計画 1 発生するバイオガスの問題点の整理 (1) 問題点の整理 ① 発生熱量の不安定性と不純物の混入 ② バイオガス利用機器 ③ 発生エネルギー利用方法

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第Ⅴ章 バイオガス改質・エネルギー機器導入の為の実証計画 ・ 現在バイオガスプラントより発生するバイオガスの利用について、多岐にわたる問題点があげられている。バイオガスを効率的に改質し、積極的な利用を推進する中で、問題点の対策を検討する事が必要とされている。本章においては、バイオガスの利用上の問題点を整理し、現在可能な対策を検討し、安定したエネルギーとしての利用方法を策定する。

1 発生するバイオガスの問題点の整理

・ 現在、バイオガスの利用にあたっては、発生熱量の不安定性と不純物の混入、バイオガス利用機器・エネルギー利用方法等に問題があることが指摘されている。これらの問題点により効率的なエネルギーの利用が難しい状況にある。本項目については、発生バイオガスの問題点の詳細についての整理を行った。

(1) 問題点の整理

① 発生熱量の不安定性と不純物の混入 ・ バイオガスのメタン濃度が一般利用されているガスより低く、また濃度が不安定である。 ・ 硫化水素等の不純物が多く、使用機器等に腐食を起こす原因となっている。 ・ バイオガス中に含まれる飽和水分量が多く、温度差により結露水が大量に発生する。そのため、冬期間に凍結を起こし、配管の亀裂損傷及び機器などの水分による腐食、作動不良など故障に起因する。

② バイオガス利用機器 ・ 国内ガス利用機器(ボイラー・ガス発電機等)メーカーでは、汎用機器は無く又バイオガスを利用することによる機器使用について保証がない。 ・ バイオガスを使用した機器では、海外メーカーは保証対応が可能であるが、アフターメンテナンス体制に不備がある。

③ 発生エネルギー利用方法 ・ バイオガスを電気・熱エネルギーに変換した場合、販売することが難しく、牛舎・プラント内だけの消費に限られている。 ・ バイオガスを発電機により発電し売電することは可能であるが、売電単価が安い、導入設備のイニシャルコストが高い、維持管理費が高い等売電するメリットが少ない。 ・ バイオガスを燃料として用いる場合、近隣に大口需要家が存在するなどの、有利な条件がない限り、コスト面で一般のLPG、灯油等と競争することは難しく、初期投資、ランニングコストを含めた、手厚い支援が必要である。 ・ これらの問題点により、バイオガスのエネルギーとしての利用が難しい状況である。これらの問題点の詳細については、後記で詳しい説明を行う。

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(2)発生熱量の不安定性と不純物の混入

① メタン濃度の不安定性

・ プラントより発生するバイオガスのメタン濃度は、市販されているガスより熱量が低く、またメタン濃度に安定性が無い。酪農学園大学プラント(図表Ⅴ-1、Ⅴ-2)のメタン濃度については 1日の変動は大きい。また、ガス発生量については、日及び月についても安定的なものではない。 ■図表Ⅴ-1 1日当りのバイオガス発生状況

■図表Ⅴ-2 月当りのバイオガス発生状況

・ 測 定 日:平成 18年 2月 19日 ・ 発酵温度:37.6℃ ・ 原 料:乳牛ふん尿 11.0m3 (二回投入AM9:00、PM16:00)

・ 測 定 日:測 定 日:平成 17年 12月 ・ 発酵温度 :37.7℃(外気温 –7.2℃) ・ 原 料:乳牛ふん尿 10.0~11.0 m3 ・ ガス発生量:14,679.6 m3(平均 489.3 m3) ・ メタン濃度:51.7%(平均値)

5284.0kW/

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② 不純物の混入

・ 特にガス中に含まれる硫化水素※は、腐食性が強く、バイオガス燃焼時に結露水分と反応し硫酸を生成する。ガス燃焼機器内部で発生した硫酸は、機器を内部から腐食させ、機器の耐用年数を大幅に短くする。よってバイオガスの燃焼前に十分な脱硫(10ppm以下)を行う必要がある。 ■図表Ⅴ-3 乳牛原料のバイオガス一般的成分 成 分 含 量 メタン(CH4) 50~55% 二酸化炭素(CO2) 40~50% 窒素(N) 0~4% 硫化水素(H2S) 2,000~6,000ppm

※ 硫化水素の特性 空気より重く、無色、水によく溶け弱い酸性を示し、腐敗した卵に似た特徴的な強い刺激臭があり、目、皮膚、粘膜を刺激する有毒な気体であり、悪臭防止法に基づく特定悪臭物質のひとつとされている。人為的な発生源には石油化学工業などがあり、また、下水処理場、ごみ処理場などにおいても、硫黄が嫌気性細菌によって還元され硫化水素が発生する。またふん、屁にも若干含まれる。

■図表Ⅴ-4 硫化水素濃度による人体への作用(単位:ppm※1) 濃 度 作用

1,000~2,000 即死

600 約 1時間で致命的中毒

200~300 約 1時間で急性中毒

100~200 症状:臭覚麻痺

50~100 症状:気道刺激、結膜炎

10 労働安全衛生法規制値(許容限界濃度)

3 不快臭

0.02~0.2 悪臭防止法に基づく大気濃度規制値

0.03 臭いの閾値※2 ※1 ppm=parts per million:100万分の1,1ppm=0.0001% ※2 閾値(しきいち)=ある刺激によってある反応が起こる時、刺激がある値以上に強くなければ、その反応は起こらない限界値のこと。

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③ 水分の混入

・ バイオガス中に含まれる飽和水分量が多く、温度差により結露水が大量に発生する。その為、冬季間に凍結を起こし、配管の亀裂損傷および機器等の水分による腐食、作動不良等故障に起因する。現在、導入プラントの発酵温度は 55℃を想定している。発酵槽から発生するバイオガス水分量について、想定される理論結露水量の算出を行う。 ■想定項目: 1)発生するバイオガス温度は、発酵温度と同じと考える。 2)バイオガス中の飽和湿りは、空気と同じものとして算出を行う。 3)発生する結露水量は、乳牛 100頭規模から発生するバイオガス 236.4m3/日(81.5kg/頭×29m3/t×100頭)を想定する。 ■図表Ⅴ-5 飽和湿り空気表 温度

(℃)

飽和湿り量

(kg/空気 kg)

比客積

(m3/空気 kg)

含水分量

(kg/m3)

5℃ 0.005399 0.7948 0.006793

55℃ 0.1144 1.1010 0.103906 結露水量 ― ― 0.097113

・ 乳牛 100 規模のバイオガスプラントより発生するガス量を 236.4m3/日とすると、55℃から 5℃までガス温度が低下した場合、22.96㎏/日(236.4 m3/日×0.097113kg/ m3)の結露水が発生する。

・ 発生した結露水は、バイオガス中の硫黄と結合し硫酸を生成する。また、結露水によるガス配管の閉塞(エアロック)や凍結による配管の破損、またガス燃焼機器に混入した場合機器の故障原因となる。今後、バイオガスの除湿は、効率的な利用を検討する上で重要な課題の一つである。

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(3)バイオガス利用機器

① バイオガス利用機器の国内メーカー保証

・ 国内ガス利用機器(ボイラー・ガス発電機等)メーカーでは、バイオガスを利用することによる機器使用について保証がない。図表Ⅴ-3より、労働安全衛生法における人間の作業環境に影響を及ぼす硫化水素濃度は 10ppm 以上である。燃料として利用するガス中に含まれる硫化水素量については法的規定が無いが、各種ボイラー・ガス発電機メーカーは、安全性のために 10ppm 以下のガスでなければ使用できないとの自主規制を行っている。そのため、バイオガスを利用できる機器メーカーは少なく、保証も行っていない。新エネルギー利用にむけて各メーカーはバイオガス利用に対する独自の研究(燃焼効率・脱硫等)を行っているが、バイオガスを燃料として利用する機器を積極的に販売する段階には至っていない。

② バイオガス利用機器の海外メーカーの対応

・ バイオマス先進国であるドイツ・デンマークのメーカーでは、国の政策上バイオガス利用に積極的であり、バイオガス利用機器の市場も大きい為、機器のバイオガス利用が保証対応の範囲に入っている。現在ドイツやデンマークで導入されているバイオガスプラントは、 ドイツ :戸別バイオガスプラント 500基以上 デンマーク:共同型バイオガスプラント 20基、戸別バイオガスプラント 18基 デンマークで発生するバイオガスは年間 410万m3 ・ このため、バイオガス利用のインフラ整備が進んでおり、それに伴う機器の維持管理が充実している。別海におけるバイオガスプラントの導入に当っては、同様な維持管理体制が必要である。

(4)発生エネルギー利用方法

① 発電によるエネルギー利用

・ バイオガスを発電機により電気・熱エネルギーに変換した場合、エネルギーの販売が難しく、牛舎・プラント内だけの消費に限られている。ドイツやデンマーク等の西ヨーロッパ諸国では、バイオマス利活用施設から発生する電気について、政策として発生電気に付加価値を付け販売することができる。また発生熱についても、スチーム暖房が盛んであり、発生熱を販売することが可能である。しかし、別海町においては、低圧連携における売電が難しく、また発生する熱を提供する手法が確立されていない。よって、バイオガスで発生するエネルギーの利用方法は、牛舎の電気と洗浄水への熱利用等の自家消費の可能性しかなく、発生するエネルギーを 100%利用できない状況にある。バイオガスプラントから発生するエネルギーの電気・熱だけではなく、新たな利用方法を検討する必要がある。

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② 売電単価の想定

・ バイオガスを発電機により発電し売電することは可能であるが、売電単価が安い・導入設備のイニシャルコストが高い・維持管理費が高い等売電するメリットが少ない。バイオガスプラント 100頭規模における年間発電量を算出し、他の発電コストと比較を行った。 ・ 年間発生熱量 103,205kW/年(68,803m3/年(年間ガス発生量)×5,160kcal/m3×0.25(発電効率)÷860kcal/kW))

■図表Ⅴ-6 ガス発電機の年間発生経費(7年間で償却する場合) 項 目 施 設 費 計 算 式 発電機 1,143千円/年 8,000千円/台(30kWh発電機)÷7年 低圧連携機器 286千円/年 2,000千円/台÷7年 維持管理費 550千円/年 定期点検及びメンテナンス費 合 計 1,979千円/年 ※ 長期借入金利・保険料等の費用は含まれていない。 ・ よって最低売電単価は、1,979,000円/年 ÷ 103,205kWh/年 ≒ 19円/kWh となる。

・ バイオガス発電にコストとその他発電方式とコストを比較すると、図表Ⅴ-7の通り割高となっている。しかし、その他有機性廃棄物の投入によるガス発生量の増加、二酸化炭素削減による助成金の交付、発生電気の利用方法検討により、今後 kWh 単価の低価格化が期待できる。地域電源としての発生電気の利用方法については、第Ⅵ章で述べる。

■図表Ⅴ-7 発電方式による発電コストの比較 ※プラントへの投入ふん尿成分、ガス発生量、プラント規模により、kWh単価は変化する。

通常発電方式 新エネルギー発電方式 発電方式 発電コスト

(円/kWh) 発電方式

発電コスト

(円/kWh ) 水力発電 13.6 太陽光発電 70 火力発電(石油) 10.2 風力発電 18 原子力発電 5.9 バイオガス発電 19

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2 発生するバイオガスの活用の検討

・ 本項目においては、1より挙げられた各問題点について、対策の検討を行った。

(1)発生熱量の不安定性と不純物の混入の対策

① メタン純度の引上げ

・ バイオガス中のメタン純度を上げ、濃度の均一化を図る。 1)圧縮冷却による分離を行い、二酸化炭素を液化除去しメタン純度を上げる。 2)化学薬品により二酸化炭素を吸着反応させ、二酸化炭素を取り除きメタン純度を上げる。 3)PSA(Pressure Swing Adsorption)吸着分離方法で吸着させ、二酸化炭素を取り除きメタン純度を上げる。 4)膜分離装置にガスを通し、メタンを優先に糸膜を通過させメタン純度を上げる。

② 硫化水素の除去について ・ 安定的な硫化水素除去を行うため、各方式を複合したシステムの検討を行う。ガス中に含まれる硫化水素は、安全性を考慮し、0ppmまで除去を行う。 1)生物脱硫方式:酸化硫黄菌の働きにより、硫化水素を取り除く。 2)乾式脱硫方式:硫化水素を酸化鉄触媒に吸着させ硫化水素を取り除く。 3)膜分離方式 :微量の硫化水素を取り除く。

③ 水分の除去

・ バイオガスの発酵槽出口温度が高く、水分は飽和状態にあるため、大量の水分を含んでいる。ガス中の水分除去は、システムを運営していく上で重要な課題であり、各方式を複合したシステムの検討を行う。 1)バイオガスの温度を下ることにより水分を結露させ取り除く。 2)乾燥剤にバイオガスを通過させ水分を取り除く。 3)バイオガスの分圧を上げて水分を凝縮させ取り除く。 4)膜分離装置にガスを通し、水分を取り除く。

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(2)バイオガス利用機器に関する対策

・ 2010年までに各都市ガスメーカーの生成ガスは、ハイカロリー化となり、ガスの種類は天然ガスとLPGに限られてくる。従来、都市ガスメーカーが生産するガスの種類(13種)に合わせ、機器メーカーも対応していたが、今後は天然ガスおよび LPG に対応した機種の生産に特化する流れとなる。低カロリーのバイオガスは、利用機種の選定が極めて難しい状態となり、バイオガスも天然ガスと同等な成分とする様な改質案を検討する必要がある。 ・ 燃焼汎用機器の使用可能なガスに改質するためには、都市ガス基準の燃焼範囲がウオッペ指数、燃焼速度が基準に達している事が必要となる。また、天然ガスと同等な改質をされたガスは、実際に燃焼汎用機器にて燃焼試験を行い問題のない事の確認を行う必要がある。 ・ これら改善ができれば、燃焼汎用機の使用が可能となり、機器の調達およびアフターメンテナンスに対して問題が解決される。 ・ 具体的なバイオガスの改質案については、3項に記述する。

(3)発生エネルギー利用方法に関する対策

・ 酪農家の電気利用状況は、搾乳時間帯に集中している(図表Ⅴ-8)。バイオガスを自家発電機により燃焼した場合、搾乳時と搾乳以外の時間帯で電気利用幅が大きく、安定した発電機の運転が難しい。よって、効率的な発電機の利用を考えると、搾乳以外の時間帯に発生する電気については売電を検討しなければならない。しかし、現状の売電価格は 8.3 円/kWhと安く、維持管理費を加味すると採算が合わない。また、小型発電機(10kWh)以下の発電機での発生電気は、単相(家庭用電源、ヒーター)のみとなるため使用範囲が極めて少ない。従って、電気以外でのバイオガスの活用を視野に入れて検討する必要がある。 ・ 発電以外のバイオガス利用方法は、温水ボイラー・暖房・厨房器具での直接燃焼や温室暖房・乳製品の加工等の新規熱エネルギー利用施設を設置する方法が考えられる。しかし、発生する熱エネルギーを全て消費することは、一戸の酪農家では難しい。このため、バイオガスプラントの発酵温度維持エネルギー以外の余剰熱量分を、直接ガスとして外販することで、エネルギー活用の方策を検討していく。 ■図表Ⅴ-8 酪農家の1日当りの電気使用状況

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3 バイオガスの改質方法

・ 本項目では、バイオガスの利用方法を拡大する上で、外販できるバイオガスへの改質方法の可能性について検討を行った。

(1)基本方式 ■図表Ⅴ-9 改質バイオガス工程基本フロー図 発酵工程 メタン発酵 メタン発酵槽(55℃) 除 去 精製・圧縮工程 生物脱硫 除 湿 乾式脱硫 低圧圧縮 精製装置 LPGガス添加 添加 ガスホルダ- LPG 充填工程 高圧圧縮 高圧圧縮機 13A相当ガスボンベ 家庭 工場

・硫化水素 ・水分 ・二酸化炭素

改質改質改質改質・・・・圧縮圧縮圧縮圧縮ガスガスガスガス ガス成分 ・メタンガス 90% ・二酸化炭酸 10% ・硫化水素ガス 5ppm以下 ガス水分、温度 ・ 露点-50℃

バイオガスバイオガスバイオガスバイオガス ガス成分 ・メタンガス 60% ・二酸化炭素 35~40% ・窒素ガス他 0~4% ・硫化水素ガス 2,000ppm~6,000ppm ガス水分、温度 ・40~50℃ 飽和

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■図表Ⅴ-10 改質バイオガス工程におけるガス発熱量係数の推移 ガ ス 発 熱 量 ガス項目 総発熱量 真発熱量 メタンガス 60%発熱量 6.7kWh/m3 (5,760kcal/m3) 6.0kWh/m3 (5,160kcal/m3) 精製メタン 90% 10.0kWh/m3 (8,640kcal/m3) 9.0kWh/m3 (7,740kcal/m3) LPG発熱量 27.9kWh/m3 (24,000kcal/m3) 25.6kWh/m3 (22,000kcal/m3) LPG添加発熱量 4.3kWh/m3 (3,695kcal/m3) 3.9kWh/m3 (3,387kcal/m3) 改質バイオガス 12.8kWh/m3 (11,040kcal/m3) 11.6kWh/m3 (9,940kcal/m3)

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(2)乳牛100頭規模での改質バイオガス量の算出

■図表Ⅴ-11 乳牛100頭規模における改質バイオガスの基本フロー図

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■図表Ⅴ-12 乳牛100頭規模における改質バイオガス量の算出(真発熱量での算出) 項 目 夏季間(4~9月) 冬季間(10~3月) 年平均 ふん尿量(ふん尿量・敷料・雑排水) 8.15t/日 8.15t/日 8.15t/日 バイオガス発生量 29 m3/t 29m3/t 29m3/t バイオガス発生量 236.4 m3/日 236.4 m3/日 236.4m3/日 バイオガス精製量(60%効率) 141.8m3/日 141.8 m3/日 141.8m3/日

LPG添加量 25.8m3/日 25.8 m3/日 25.8m3/日 改質バイオガス量 167.6/ m3日 167.6m3/日 167.6m3/日 バイオガス発生熱量 1,986kWh/日 (1,219,566kcal/日)

1,986kWh/日 (1,219,566kcal/日)

1,986kWh/日 (1,219,566kcal/日) 改質バイオガス発生熱量 2,712kWh/日 (1,550,640kcal/日)

2,712kWh/日 (1,550,640kcal/日)

2,712kWh/日 (1,550,640kcal/日) 改質バイオガス自家使用熱量

848kWh/日

42.7% (520,755kcal/日)

1,114kWh/日

56.1% (684,177kcal/日)

981kWh/日

49.4% (602,466kcal/日) 改質バイオガス余剰熱量

1,864kWh/日

68.7% (1,144,662kcal/日)

1,598kWh/日

58.9% (981,240kcal/日)

1,731kWh/日

63.8% (1,062,951kcal/日) 余剰改質バイオガス量 115m3/日

3,450m3/月

99m3/日

2,970m3/月

107m3/日

3,210m3/月 製造能力(100m3/日) 稼働率 70%想定 月間製造能力 年間製造能力

100 m3/日

70 m3/日

2,100 m3/月

25,200 m3/ 年

99m3/日

70 m3/日

2,100m3/月

25,200m3/年

100m3/日

70m3/日

2,100m3/月

25,200m3/年 ※ ( )内は kcalベースの表示

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(3)乳牛1,000頭規模での改質バイオガス量の算出

■図表Ⅴ-13 乳牛1,000頭規模における改質バイオガスの基本フロー図

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■図表Ⅴ-14 乳牛1,000頭規模における改質バイオガス量の算出(真発熱量での算出) 項 目 夏季間(4~9月) 冬季間(10~3月) 年平均 ふん尿量(ふん尿量・敷料・雑排水) 81.5t/日 81.5t/日 81.5t/日 バイオガス発生量 290 m3/t 290 m3/t 290 m3/t バイオガス発生量 2,364 m3/日 2,364 m3/日 2,364 m3/日 バイオガス精製量(60%効率) 1,418m3/日 1,418m3/日 1,418m3/日

LPG添加量 258m3/日 258m3/日 258m3/日 改質バイオガス量 1,676/ m3日 1,676/ m3日 1,676/ m3日 バイオガス発生熱量 19,860kWh/日 (12,195,660kcal/日) 19,860kWh/日 (12,195,660kcal/日) 19,860kWh/日 (12,195,660kcal/日) 改質バイオガス発生熱量 27,120kWh/日 (15,506,400kcal/日) 27,120kWh/日 (15,506,400kcal/日) 27,120kWh/日 (15,506,400kcal/日) 改質バイオガス自家使用熱量

8,480kWh/日

42.7% (5,207,550kcal/日)

11,140kWh/日

56.1% (6,841,770kcal/日)

9,810kWh/日

49.4% (6,024,660kcal/日) 改質バイオガス余剰熱量

18,640kWh/日

68.7% (11,446,620kcal/日) 15,980kWh/日

58.9% (9,812,400kcal/日)

17,310kWh/日

63.8% (10,629,510kcal/日) 余剰改質バイオガス量 1,150m3/日

34,500m3/月

990m3/日

29,700m3/月

1,070m3/日

32,100m3/月 製造能力(100m3/日) 稼働率 70%想定 月間製造能力 年間製造能力

1,000 m3/日

700 m3/日

21,000 m3/月

252,000 m3/ 年

990m3/日

700m3/日

21,000m3/月

252,000m3/年

1,000m3/日

700m3/日

21,000m3/月

252,000m3/年 ※ ( )内は kcalベースの表示

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4 改質バイオガスの圧縮・充填設備による実証試験を計画

平成 18年度より、別海町で現在稼動中の共同型バイオガスプラント((独)北海道開発土木研究所 別海資源循環試験施設)から発生するバイオガスを使用し、改質・圧縮・充填作業を試験的に行う予定である。試験結果を基に、町において積極的なバイオマスエネルギーの利用方法を模索していく。

(1) 試験施設システムフロー

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(2)実施試験項目について

① 改質バイオガスが外販出来る設備の構築を行う ・ 発生するバイオガスは発生に合わせた設備を必要とするため、無人で機械が運転・停止、異常時停止および最高充填圧力での自動停止を行う。 ・ 添加する LPGの混合成分安定化および規定熱量の確保を行う。 ・ 付臭による臭いの確認を行う。 ・ 安全性の確認を行う。 ② 改質バイオガスのコスト試算を行う ・ 発生するバイオガスのランニングコストの算出を行う。 ・ 設備するイニシャルコストの算出を行う。 ・ 販売に関るコスト算出(容器、配送費、供給設備等)を行う。 ・ 販売量の可能性および販売先、販売範囲によるコスト算出を行う。 ・ 販売コスト算出を行う。 ・ 販売先の検討および既存エネルギーとの切替によるコスト算出を行う。 ・ インフラ整備の検討を行う。 ・ 既存エネルギーとのコスト比較(電気、灯油、重油、LPG、都市ガス等)を行う。 ③ 流通体制・流通距離の構築を行う ・ 配送車および台数、配送範囲の検討を行う。 ・ 配管施工方法、配管サイズおよび配管距離、使用先選定を行う。 ④ ガス供給設備の構築を行う ・ 設備機器の選定(調整器、ガスメーター、ガス漏れ警報機等) ⑤ 改質バイオガス使用機器の燃焼試験を行う ・ 燃焼試験による性能試験および経時変化の確認を行う。 ・ 燃焼機器のノズル性能確認および燃焼状態の確認を行う。 ⑥ 法に対する調査を行う ・ 高圧保安法およびガス事業法の適用確認を行う。 ・ ガス器具認定確認を行う。