バイオガス事業の栞 2019 - Biogasバイオガス事業の栞 2019 3...

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バイオガス事業の栞 しおり 2019 バイオガス事業推進協議会

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バイオガス事業の栞しおり

2019

バイオガス事業推進協議会

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バイオガス事業の栞 20192

1 バイオマス・バイオガスプラントの概要

 「バイオマス」は、動植物を起源とする再生可

能な有機性資源であり、代表的なバイオマスには、

「家畜排せつ物」「稲わら」などの農産残渣、木質

バイオマス由来の「工場残材」「林地残材」、「サ

トウキビ」「トウモロコシ」などの農産資源、家庭

から排出される「生ごみ」、工場から排出される「調

理屑」、スーパー・コンビニ等から排出される「廃

棄食品」などの食品残渣があります。

 国内には未利用のバイオマスがまだ多く賦存し

ており、化石燃料の代替エネルギー源、さらには

バイオマス原料としての利用が期待されています。

 「バイオマス」のエネルギー利用には、直接バイ

オマスを燃焼させる直接燃焼のほかに、バイオマ

スを、微生物の力を利用して分解する「メタン発酵」

があります。

 「メタン発酵」によりメタンを主成分とするガス

が得られ、このガスを「バイオガス」と呼びます。「バ

イオガス」は、燃焼させても大気中の二酸化炭素

量を増加させないクリーンなエネルギーです。こ

の「バイオガス」を生産する施設を「バイオガス

プラント」と呼びます。( 図1 )

 家畜排せつ物・食品加工残渣等の「バイオマス」

を、プラスチックなどの異物を除去後、発酵槽に

投入し一定期間発酵することでバイオガスを得ます。

発酵後の残渣を消化液と呼びます。

 「バイオガス」は、発電機、ボイラー、コージェ

ネレーション(熱併給発電)等の燃料に使用する

ことができます。また、成分を調整することで都

市ガス代替や自動車用燃料にもなります。消化液

は、窒素やリン、カリウム等の肥料成分を含み、

液肥(肥料)として畑地や水田のほか、牧草地の

肥料として利用できます。このように、「バイオガ

スプラント」は、電力、熱、肥料と、さまざまな

再生資源を生み出すことができます。

2 バイオガス発電を取り巻く状況

 バイオガスで発電した電気は、2012年度から

開始された再生可能エネルギー固定価格買取制度

(以下「FIT制度」)を利用して、一般電気事業者

や特定規模電気事業者等へ固定価格で売電するこ

とが可能です。FIT制度では、発電を行う発電事

業者が、バイオガスプラントの電気の接続契約の

申込みの書面を電気事業者が受領した時、または

経済産業省に認定された時点のいずれか遅い時点

を基準時とし、当該年度の調達価格・調達期間が

適用されます。2019年度のバイオガスの調達価

格は税抜39円/kWh、調達期間は20年で、2021

年度まで適用されることになっていますが、この

調達価格・調達期間は毎年見

直されます。

 FIT制度では、バイオガスプ

ラントのうち、発酵槽、ガス

ホルダー、発電機などがFIT

認定設備です。FIT認定設備の

稼働に必要な電気は、設備で

発電した電気を使用(自家消費)

することになっていますので、

自家消費以外の発電電力を固

定価格で販売することになり

ます。( 図2 )図1 バイオガスプラントの例

生ごみ・食品残渣

家畜排せつ物

バイオガス

消化液

家畜排せつ物

受入槽

発酵槽 ガスホルダー 発電機

ボイラー

消化液貯留槽

温水

電気

液肥

生ごみ・食品残渣

バイオガス事業とは?1

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バイオガス事業の栞 2019 3

 我が国は2012年12月に「バイオマス活用推進

基本計画」を閣議決定し、バイオマス関係7府省

の連携のもと、「バイオマス事業化戦略」(2012

年9月)を推進しています。

 また、農林水産省では、「食料・農業・農村基

本計画」(2015年3月)や「家畜排せつ物の利用

の促進を図るための基本方針」(2015年3月)で、

地域産業活性化施策として家畜排せつ物等を用い

たメタン発酵を挙げ、消化液等の副産物の有効活用、

バイオガスのエネルギー利用を推進することとし

ています。

 さらに、農林水産省と環境省が連携して取り組

んでいる「食品循環資源の再生利用等の促進に関

する法律(食品リサイクル法)」に基づく基本方針

の改定(2015年7月)においても、食品廃棄物

をメタン発酵し消化液等を肥料利用する場合は、

肥料化の一部として、再生利用順位が上がってい

ます。しかし、メタン発酵で消化液等を肥料利用

しない場合は、再生利用順位は飼料化、肥料化に

次ぐ3番目になります。

 バイオガス発電を取り巻く環境は、発電事業者

に有利な状況ですが、実際に事業を行う場合は地

域性やメリット・デメリットをよく検討し多角的

な検討を行うことが必要です。

 下の 表1 にバイオガスプラントに関する一般

的なメリット・デメリットをまとめました。

メリット デメリット

・家畜排せつ物の臭気対策となる。・消化液を肥料(液肥)として農地還元利用し、化学肥料の削減が可能。・消化液の農地への散布は、スラリー散布に比べてCO2発生量が少なく地球温暖化抑制に貢献できる。・メタン発酵残渣は敷料として利用が可能。・FITにより売電収入が得られる(39円/kWh・税抜〈2019年度〉)。・直接熱利用、ないし発電+廃熱利用として熱電併給ができる。・都市ガス導管注入等によりガスとして利用できる。

・消化液を液肥として農地散布できなければ、排水処理施設の設置など排水基準に適合した消化液排水対策を講じる必要がある。・下水汚泥を混ぜると「特殊肥料」としての届出がができない。・可燃物混合回収を行っている地域で、生ごみと他の可燃物とを新たに分別するためには、住民に負担を強いる可能性がある。

表1 バイオガス事業の一般的なメリット・デメリット

図2 固定価格買取制度におけるバイオガスプラントの認定設備範囲

液 肥

肥 料敷 料

電気の売電、熱の供給電気、熱の場内利用

FIT認定設備範囲

発酵不適物

脱臭設備

家畜排せつ物生ごみ・食品残渣下水汚泥など

受入設備

前処理設備

脱硫装置

ガスホルダー

メタン発酵槽

発電装置

ボイラー

殺菌設備

好気性発酵設備

エネルギー利用設備メタン発酵設備

畜排せつ物

原料受入・

前処理設備

固液分離設備

消化液処理設備(窒素制御 ・ 除去)

固分液分

河川放流下水放流

液肥貯留設備

好気性発酵設備

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 全国の主なバイオガス事業の取り組み例を、原

料に利用するバイオマスの種類と処理規模別に分

けて、 図3 に記載します。

 稼働している施設の規模は、家畜排せつ物を利

用した小規模施設から100 t/日を超える施設まで

様々です。近年、一般廃棄物処理施設(ごみ焼却

施設)にメタン発酵施設を併設する施設も建設され、

兵庫県の南但クリーンセンター、新潟県の長岡市

生ごみバイオガス発電センター、山口県の防府市

クリーンセンターなどが運転を開始しています。

図3 バイオガス発電施設の発電規模の状況

家畜排せつ

物等利用

生ごみ・食品・

飲料廃棄物等利用

下水汚泥

等利用

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

処理規模16 50 100 (t/日)

北海道㈱町村農場

士幌町新田地区バイオガスプラント

北海道野村牧場

栃木県酪農試験場

千葉県ジャパンリサイクル㈱

北海道砂川保健衛生組合

兵庫県南但クリーンセンター

富山グリーンフードリサイクル㈱

稚内市バイオエネルギーセンター

北海道別海町資源循環センター 南丹市八木バイオエコロジーセンター

鹿追町環境保全センター

北海道別海バイオガス発電㈱

兵庫県コープこうべ

北海道北空知衛生センター

新潟県瀬波バイオマスエネルギーセンター

北海道中空知リサイクルセンター

長岡市バイオガス発電センター

防府市クリーンセンター

東京都バイオエナジー㈱

宮崎県霧島酒造㈱

鹿児島県サザングリーン協同組合

土浦市神立資源リサイクルセンター

北広島下水道処理センター

珠洲市バイオマスメタン発酵施設

山鹿市バイオマスセンター

日田市バイオマス資源化センター

神戸市東灘処理場

横浜市北部汚泥資源化センター

愛知県鴨田エコパーク

上越市汚泥再生センター

福岡県おおき循環センター

恵庭市生ごみ・し尿処理場

北海道㈱ノアール

佐賀県鳥栖環境開発総合センター

新潟市舞平清掃センター

北海道㈲小林牧場

北海道㈲仁成ファーム

北海道コーンズ名寄発電所

みやま市バイオマスセンター

東京都㈱アルフォ

秋田バイオガス発電所

■ バイオガス事業の構想から実施までバイオガス事業を実施するにあたって、企画段階からバイオガスプラントの完成・稼働までのフローを、以下に一例として示します。

バイオガスの発生量は、原料のバイオマスの種類によって大きな違いがあります。

収集方法の調査・検討

バイオマスの種類、量、質、

利用方法の調査・検討

バイオガス、消化液の

1 2施設立地条件・環境条件の調査

3基本計画の作成と事業性検討

4基本設計・実施設計

5建設工事

6施設の完成・実負荷運転・性能確認

7通常運転

8

事前の系統接続容量の確認

事業化判断、

﹇電力供給開始﹈

﹇ ﹈はFIT適用に関する注記

系統接続申請

FIT設備認定、

﹇バイオガス事業の例2

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 日本国内におけるバイオガスプラントの立地状況

を 図4 図5 に示します(いずれもバイオガス事

業推進協議会の調査結果〈2014年8月末時点〉)。

  図4 はバイオガスを発酵槽加温等の熱利用に

使用している全国の下水処理施設を示しており、

全国で294施設が稼働しています。 図5 は家畜

排せつ物、生ごみ(一般廃棄物と産業廃棄物)、

し尿を用いて発電を行っている施設、下水処理施

設でバイオガス発電を行っている施設等を示して

おり、全国で94施設が稼働しています。一部の

施設では、FIT制度を利用して売電を行っています。

今後もFIT制度を活用して売電を行う施設は増加

する傾向にあります。

:家畜排せつ物等利用施設:一般廃棄物・し尿等利用施設:下水道施設

☆:その他

図4 下水処理施設(熱利用) 図5 バイオガス発電施設

■ バイオガスの利用・消化液の利用[バイオガスの利用方法]■発電・プラント稼働に要する電力供給、売電等・ガスエンジン式発電機、マイクロガスタービン、燃料電池等による発電

■バイオガス燃料や熱の利用方法・所内利用(発酵槽加温、施設内暖房等)、温室暖房、温水プール、工場内熱利用、地域暖房、堆肥発酵の加温促進、融雪、汚泥乾燥等に活用

・バイオガスを精製して自動車燃料や都市ガス等に供給

[消化液の利用ないし処理]■消化液の肥料利用・水処理 メタン発酵後の消化液は、直接「液肥」として利用するケースと、固液分離して固形物を堆肥や敷料にし、

液肥散布の例

液分は液肥として利用するか排水処理後に河川や下水道等に放流するケースがあります。消化液の液肥利用としては、北海道では牧草地や畑地、本州以南では水稲の肥料に利用している事例が多く見られます。

■堆肥化と堆肥の利用 メタン発酵消化液の固形分は、脱水処理後に好気性発酵することにより65℃程度の高温になり、雑草の種子を死滅させ大腸菌等を殺菌した良質な堆肥や牛舎の敷料になります。

日本のバイオガスプラントの立地状況3

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● 北海道鹿追町 ●鹿追町環境保全センター

日本最大規模の資源循環型バイオガスプラントで、バイオガスは発電等に、消化液は肥料として牧草地等に還元されています。

●原料 乳牛ふん尿:85.8 t/日、敷料等:4.0 t/日、    車両洗浄水:5.0 t/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 94.8 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量290 kW)

● 北海道鹿追町 ●瓜幕バイオガスプラント

鹿追町内2基目となる集中型バイオガスプラントで、バイオガスは発電に、消化液は肥料として利用しています。

●原料 乳牛ふん尿:149.0 t/日、豚ふん尿:8.0t/日、    敷料:6.2 t/日、雑排水・洗浄水:45.1 t/日、    残滓:1.7 t/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 210.0 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量750 kW)

● 北海道足寄町 ●JAあしょろバイオマスセンター

フリーストール農家3戸をはじめとして町西部を収集エリアとするJAあしょろ直営のプラントです。中山間地のため消化液散布に機動性のある機材を導入し効率的なシステムの確立を目指します。消化液を固液分離して敷料を製造し、資源の循環利用と農家の負担軽減を図ります。

●原料 乳牛ふん尿(成牛換算1,000頭)、    農産加工残渣(0.3 t/日)●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 79.6 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量300kW)

● 北海道興部町 ●興部北興バイオガスプラント

市街地を抱える興部北興地区の酪農家6軒の乳牛ふん尿を処理する集中型バイオガスプラントです。本施設では乳牛ふん尿のほか、町内で発生する下水汚泥、生ごみ、食品加工残渣の混合発酵処理を実施しています。

●原料 乳牛ふん尿(成牛換算560頭)、下水汚泥、生ごみ、    食品加工残渣●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 37.89 t/日●エネルギー利用 メタン発酵ガス販売(民間事業者がFIT         発電)

1 会員市町村の取り組みの一例

協議会会員のバイオガスプラント4

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● 岩手県葛巻町 ●畜ふんバイオガスプラント

家畜排せつ物などを原料に、熱や電気、有機肥料を回収・有効利用できる注目のリサイクルシステムです。

●原料 家畜排せつ物(乳牛ふん尿)、生ごみ●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 13 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量37 kW)

● 京都市 ●鳥羽水環境保全センター

下水汚泥を汚泥消化タンクでメタン発酵させて、発生したバイオガスを汚泥焼却炉等の燃料に利用しています。平成30年度に汚泥消化タンクの再整備が完了し、処理能力およびバイオガス発生量を増加しています。

●原料 下水汚泥●発酵方式 湿式高温メタン発酵●処理能力 1,100 m3/日(濃縮汚泥)●エネルギー利用 汚泥焼却炉等の燃料として利用

● 北海道士幌町 ●士幌町新田地区バイオガスプラント

大規模酪農のフリーストール牛舎から排出される家畜ふん尿を処理する個別型バイオガスプラントです。

●原料 家畜排せつ物(乳牛ふん尿)●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力  12 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量40 kW)

● 北海道別海町 ●別海バイオガス発電㈱

酪農家から供給される家畜排せつ物を主原料にして、メタン発酵によるバイオガス発電と消化液及び再生敷料を製造する施設です。

●原料 家畜糞尿排せつ物:280 t/日、    食品・水産系残渣:5 t/日●発酵方式 湿式高温メタン発酵●処理能力 285 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量1,800 kW)

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● 福岡県大木町 ●おおき循環センター“くるるん”

町内全域から排出される生ごみ、し尿、浄化槽汚泥をメタン発酵技術により循環利用する施設で、「道の駅」に併設しています。消化液は全量を液体肥料として利用しています。

●原料 生ごみ:3.8 t/日、し尿:7.0 ㎘/日、    浄化槽汚泥:30.6 ㎘/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 41.4 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量50 kW)

● 大分県日田市 ●バイオマス資源化センター

生ごみや豚糞尿などの有機物をメタン発酵処理し、発生したバイオガスで発電を行う施設です。

●原料 家畜排せつ物、生ごみ、産業廃棄物●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 80 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量340kW)

● 京都府南丹市 ●八木バイオエコロジーセンター

乳牛・豚のふん尿やオカラを原料にして、メタン発酵を行い、バイオガスは発電に、消化液中の液分は「八木バイオグリーン液」、固形分は「八木バイオグリーン」として液肥、堆肥として利用しています。

●原料 家畜排せつ物、おから●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 65.2 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量230 kW)

● 福岡県みやま市 ●みやま市バイオマスセンター“ルフラン”

従来型のごみ処理施設とは違い、生ごみなどをバイオマス資源として循環利用するための施設です。更に、循環のまちづくりの拠点として、循環型社会などを学習、安全安心な農産物の地産地消を推進し、豊かな地域食材の提供、地域住民の皆さんが憩い、集うための機能を持った施設です。

●原料 家庭・事業系生ごみ:10 t/日、し尿:42 t/日、    浄化槽汚泥:78 t/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 130 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量25 kW×4基)、温水

協議会会員のバイオガスプラント4

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● 角川建設㈱/KEHバイオ㈱ ●フロンティア発電所1号

未利用資源を利用したバイオガス発電所。二槽直列式発酵槽と二重メンブレン、汚泥等の原料撹拌をエアレーションで実施するなど、斬新な設計となっています。

●原料 サイレージ等:25.5 t/日、汚泥等:9.25 t/日、    植物性残渣:4 t/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 39.5 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量382 kW)

● ㈱大林組/三菱化工機㈱ ●稚内市バイオエネルギーセンター

廃棄物埋立の減量化と温室効果ガス削減や自然エネルギー活用を行う施設です。

●原料 生ごみ:11.5 t/日、下水汚泥:5.73 t/日、    紙類:1.4 t/日、廃食用油:0.08 t/日、    水産汚泥:1.37 t/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 20 t/日(最大受入量34 t/日)●エネルギー利用 発電(発電機容量200 kW)、車両用燃料

● クボタ環境サービス㈱ ●西天北クリーンセンター

し尿・浄化槽汚泥、生ごみを受け入れ、バイオガスをボイラー燃料として利用しています。また、下水汚泥を乾燥し堆肥としてリサイクルしています。

●原料 し尿・浄化槽汚泥:20 ㎘/日、生ごみ:5 t/日●発酵方式 湿式高温メタン発酵(膜メタン)●処理能力 5 t/日●エネルギー利用 熱利用(ボイラー能力480 ㎏-蒸気/h)         および脱臭炉補助燃料として利用

● ㈱コーンズ・エージー ●小林牧場

臭気除去による地域環境の保全。バイオガスからは電気と熱を生成。消化液を固液分離し、液分は肥料として撒布、固分は敷料として利用します。

●原料 家畜排せつ物(牛ふん尿)●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 9.0 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量75 kW)

● JFEエンジニアリング㈱ ●長岡市生ごみバイオガス発電センター

下水処理施設に隣接し、メタン発酵消化液は下水道放流、汚泥はバイオマス燃料として場外へ搬出しています。

●原料 生ごみ●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 65 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量560 kW)

2 会員企業が整備・管理運営に関わるプラントの一例

● JFEエンジニアリング㈱ ●Jバイオフードリサイクル

JFEエンジニアリンググループとJR東日本グループが共同で設立した食品リサイクル・バイオガス発電事業。JR東日本グループの駅ビルなどから発生する食品廃棄物を、ワンストップ(収集運搬から処理、売電まで)でバイオマス由来の電気エネルギーとして活用しています。

●原料 食品廃棄物●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 80 t/日(一般廃棄物40 t/日、産業廃棄物40 t/日)●エネルギー利用 発電(発電機容量1,800 kW)

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● ㈱豊橋バイオウィル●PFI事業[代表企業:JFEエンジニアリング㈱]

豊橋市バイオマス利活用センター下水汚泥、し尿・浄化槽汚泥、生ごみを集約してメタン発酵処理し、発電する国内最大規模の複合バイオマスエネルギー化施設です。メタン発酵残渣も炭化して燃料化することで、完全エネルギー化を実現します。

●原料 下水汚泥、し尿・浄化槽汚泥、生ごみ●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 下水汚泥351m3/日、      し尿・浄化槽汚泥121 m3/日、生ごみ59 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量1,000 kW)

● 水ingエンジニアリング㈱ ●オオブユニティ㈱ 横根バイオガス発電施設生ごみ、有機性廃棄物のメタン発酵処理を行う食品リサイクル法に則った都市型の施設です。発生したバイオガスは発電し、固定価格買取制度(FIT)にて売電しています。

●原料 生ごみ、廃棄食品・廃飲料、有機泥状物等●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 70 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量625 kW)、熱利用

● 水ingエンジニアリング㈱ ●黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設下水汚泥と食品残澄等を原料にメタン発酵し、発生させたバイオガスを汚泥燃料化、発電、足湯に有効利用、化石燃料を使用しない“自立型システム"を構築。下水処理場での官民連携(PFI事業)では国内初。

●原料 下水汚泥、ディスポーザー生ごみ、コーヒー粕等●発酵方式 湿式高温メタン発酵●処理能力 下水汚泥等26,248m3/年、      コーヒー粕2,100 t/年●エネルギー利用 熱利用・発電(発電機容量95kW)

● 住友重機械エンバイロメント㈱ ●中田食品㈱ 梅調味液バイオガス発電所

中田食品㈱および近隣の梅加工企業の製造工程で発生する調味廃液をバイオマス原料として受け入れ「バイオガス発電所」で、廃液を処理し、あわせて処理工程で発生するメタンガスを燃料に使いガスエンジンで発電を行います。発電された電力は、固定価格買取制度(FIT)を活用し売電を行います。

●原料 梅調味廃液●発酵方式 嫌気性廃水処理設備(EGSB)●処理能力 20 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量60 kW×6基)

● ㈱タクマ ●南但広域行政事務組合 南但クリーンセンターバイオガス化施設と焼却施設(熱回収施設)によるコンバインドシステムを導入した国内で初めての施設です。

●原料 可燃ごみ●発酵方式 乾式高温メタン発酵●処理能力 36 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量382 kW)

● バイオエナジー㈱ ●東京都大田区城南島工場

生ごみ100%を原料としたバイオガス発電と都市ガス供給事業を行っています。2006年4月より稼働開始、あらゆるトラブルを克服して発電電力はすべてFIT適用電力として売電しています。

●原料 固形生ごみ125 t/日、液状廃棄物5t/日●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 130 t/日●エネルギー利用 発電(28,880 kWh/日)、         都市ガス供給(2,400 m3/日)

協議会会員のバイオガスプラント4

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● 日立造船㈱ ●新潟市舞平清掃センター

し尿、浄化槽汚泥、生ごみを受け入れ、メタンガスはボイラー燃料として利用、発酵残渣は堆肥としてリサイクルを行っています。

●原料 し尿脱水汚泥:2.85 t/日、生ごみ:1.8 t/日●発酵方式 湿式高温メタン発酵(メビウスシステム)●処理能力 4.65 t/日●エネルギー利用 熱利用(ボイラー能力1,500 ㎏-蒸気/h)

● 日立造船㈱ ●秋田バイオガス発電所

食品廃棄物等の有機性廃棄物を、希釈水を用いず高速メタン発酵させ、発生したメタンガスを電気・熱エネルギーとして再資源化しています。

●原料 食品廃棄物●発酵方式 湿式中温メタン発酵(WTMシステム)●処理能力 50 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量730 kW)

● ㈱町村農場 ●町村農場バイオガスプラント

環境施策の一環として、平成12 年よりバイオガスを自社プラントで生産し、事業に使われるエネルギーの一部に充てています。

●原料 乳牛ふん尿、パーラー排水●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 14 m3/日●エネルギー利用 発電(発電機容量95 kW)

● 三井E&S環境エンジニアリング㈱ ●三浦地域資源ユーズ㈱ 三浦バイオマスセンター原料を発酵槽に投入し、バイオガスは発電や熱利用します。消化液は脱水して堆肥として利用します。

●原料 し尿・浄化槽汚泥、農作物収穫残渣、    水産残渣、公共下水道汚泥など●発酵方式 湿式中温メタン発酵●処理能力 89.5 t/日●エネルギー利用 発電(発電機容量25 kW)、熱利用

バイオガス事業推進協議会のご紹介 有機性資源をメタン発酵させてバイオガスを生成し利用することは、地球温暖化防止に貢献し、また、廃棄物の減量及び再生利用の促進に役立ち、再生可能なエネルギーの増大、環境保全及び循環型社会の構築に寄与するものであります。 バイオガス事業推進協議会は、バイオガス事業の導入推進に関する、成功事例の普及、技術情報の伝達、課題解決に向けての一体的かつ効率的な調査検討、事業推進のための率直な意見交換等を行い、わが国における合理的・効果的・継続的な有機性資源のバイオガス化事業の発展を図り、持続可能な社会の実現と地球温暖化の防止に資することを目的に、市町村、事業者、学識経験者及び関係者により、2002(平成14)年10月30日に設立されました。 協議会ホームページ(www.biogas.jp)でも多くの情報を発信していますので、ぜひご覧ください。

Page 12: バイオガス事業の栞 2019 - Biogasバイオガス事業の栞 2019 3 我が国は2012年12月に「バイオマス活用推進 基本計画」を閣議決定し、バイオマス関係7府省

[連絡先・発行]

バイオガス事業推進協議会Biogas Process Council

事務局 一般社団法人 地域環境資源センター 内〒105-0004 東京都港区新橋5-34-4

 TEL:03-3432-6285  FAX:03-3432-0743ホームページ:www.biogas.jp  Eメール:[email protected]

事務局長 岡庭 良安(Yoshiyasu Okaniwa)

2019.8.1