TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering...

15
環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Tower (等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ 芸術家賞(1991年)をはじめ、多数の受賞に輝く。総合情 報センター前に設置されている同オブジェは、“浮遊する圧 縮”の構造を特長とする彼の作品の中でも、引っ張る部分の ワイヤが表面上で等辺三角形を形成しており、ユニークな ものです。 私達が見つめているのは いつも時代の一歩先です。 大阪府立大学 大学院工学研究科 いま、そこにある未来を一緒に 創りましょう。 2015 年 6 月発行

Transcript of TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering...

Page 1: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

環境とヒトに優しい未来へ̶̶

TECHNOVATION

Equilateral Quivering Tower(等辺振動塔):ケネス・スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ芸術家賞(1991年)をはじめ、多数の受賞に輝く。総合情報センター前に設置されている同オブジェは、“浮遊する圧縮”の構造を特長とする彼の作品の中でも、引っ張る部分のワイヤが表面上で等辺三角形を形成しており、ユニークなものです。

私達が見つめているのは いつも時代の一歩先です。

大阪府立大学 大学院工学研究科

いま、そこにある未来を一緒に

創りましょう。

2015 年 6月発行

Page 2: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

1 2

教育理念・アドミッションポリシー Concept

TECHNOVATION科学技術の発展に貢献する世界水準の研究者を̶

私たちが見つめているのは、いつも時代の一歩先です。

目 次

教育理念 アドミッションポリシー…………………………01

工学研究科概要…………………………………………………03

機械工学分野……………………………………………………05

航空宇宙工学分野………………………………………………07

海洋システム工学分野…………………………………………09

数理工学分野……………………………………………………11

電子物理工学分野………………………………………………13

電気情報システム工学分野……………………………………15

知能情報工学分野………………………………………………17

応用化学分野……………………………………………………19

化学工学分野……………………………………………………21

マテリアル工学分野……………………………………………23

量子放射線工学分野……………………………………………25

施設紹介…………………………………………………………27

工学研究科 アドミッションポリシー

人間の生活を豊かにするための学問である「工学」が生み出す高度な科学技術は、天然資源の乏しい我が国においてとりわけ重要視され、これまで世界をリードする大きな発展を遂げてきました。工学研究科では、その科学技術(Technology)に革新(Inovation)をもたらすことを教育・研究の目標として、「Technovation(テクノベーション)」を標榜しています。また、大阪府立大学が目指す「高度研究型大学~世界に羽ばたく地域の信頼拠点~」の中心的存在として、革新的な研究成果、創造的な技術・研究人材をここ大阪から世界に送り出しています。大学の使命は、教育と研究と社会貢献にあります。工学研究科では、現代の社会が直面する様々な課題を解決するために「真理の探究と知の創造を重視し、自然環境と調和する科学技術の進展を図り、持続可能な社会の発展と文化の創造に貢献する」という基本理念のもと、200名余りの多様で優秀なスタッフが、最先端の研究を続けながら高度な教育を行っています。それぞれの学問分野での教育活動を通じて、社会の変化や科学技術の著しい進歩に主体的に対応できる幅広い視野、基礎学力、柔軟な思考力を身につけた、真に社会に貢献できる技術・研究人材を育成しています。また、教育・研究のための施設も充実し、常にそれらが進化しています。工学域は「電気電子系」「物質化学系」「機械系」の3学類からなっており、革新的研究や基盤的研究の礎となる科学や工学の基礎の習得を目指しています。いずれかの学類で1年間の学際的な学びを終えた後、より専門性の高い10課程が用意

されています。大学院工学研究科は「機械工学系」「航空宇宙海洋系」「電子数物系」「電気情報系」「物質・化学系」「量子放射線系」の6専攻からなり、工学域の10課程に繋がった10分野に一つの独立専攻が加わった11分野からなっています。学域の課程と研究科の分野が直結することで、各専門の一貫教育ができる機能的なシステムとなっています。工学研究科を巣立った多くの卒業生が実社会で活躍しており、様々な分野における技術革新に大いに貢献しています。そのため、人材輩出・研究連携両面で、特に産業界との太いパイプが構築されています。また工学研究科が中心となって、「ことづくり」思考から「ものづくり」を発想する「システム発想型物質科学研究リーダー養成プログラム」という5年一貫の学位プログラムをスタートさせました。将来産業界で大きな研究チームを牽引するグローバル研究リーダーを育成してまいります。工学研究科・工学域では、向学心、探究心の旺盛な皆さんをお待ちしています。

「研究型大学」としての先端科学教育に最適な環境と

施設を備えた大学院工学研究科では、先端科学技術の挑戦者として、

TECHNOVATION(テクノべーション)を掲げました。

techn o l o g y(科学技術)、techn op o l i s(技術集積都市)と、

innov a t i o n(改革、挑戦)、innov a t e(新生面を開く、刷新する)を

組み合わせた言葉です。

1.技術者、研究者として社会に貢献しようという意欲を持った方。

2.技術が人・社会・自然に及ぼす影響について、深く考えようとする姿勢と強い責任感を持った方。

3.科学技術の著しい進歩に対して、主体的、積極的に新しい分野を切り拓こうとする姿勢と熱意を持った方。

4.高い基礎学力と豊かな専門分野の基礎知識を持ち、自ら未知の問題解決のために立ち向かおうとする意欲のある方。

5.異なる文化を理解し、多彩で国際的なコミュニケーションを図ろうとする意欲を持った方。

 本研究科は、いにしえの国際自由都市“堺”に立地し、「自由と進取の気風、新しい文化と産業の創造、世界への雄飛」をモットーに、科学と技術の融合である工学の領域において、真理の探究と知の創造を重視し、自然環境と調和した科学技術の進展を図り、持続可能な社会の発展と文化の創造に貢献することを基本理念としています。 この基本理念のもとで、人と社会と自然に対する広い視野と深い知識を持ち、豊かな人間性、高い倫理観、高度の専門能力を兼ね備え、工学における重要な課題を主体的に認識して問題の解決に努め、社会の発展、福祉の向上、および文化の創造に貢献できる技術者、研究者の育成を教育研究の理念としております。 このような教育研究の理念の達成・実現に向けて、本研究科は次のような資質と能力、意欲を持った学生を求めています。

工学研究科長・工学部長

辰巳砂 昌弘

Page 3: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

3 4

マイクロマシンからヒューマノイドまで、極限のマシンづくりへの挑戦を̶̶ マイクロマシン(超微細マシン)やヒューマノイド(人間型ロボット)に代表される先端的極限マシンづくりを実現するためには、工学部で学んだ基礎知識に基づいた上で、新たな挑戦が必要です。 機械系専攻大学院課程では、高度な研究設備を用いた実験、高性能コンピュータを利用した解析などの研究活動を通して、機械工学分野における先端的な材料、構造・振動・熱・流体等に関する力学、計測工学、制御工学、環境科学、エネルギーシステム等に関する知識を教育するとともに、これまで実現されていない極限のマシンを設計、開発することができる高度な技術者、研究者を育てます。

海へ、空へ、宇宙へ̶̶ フロンティア精神に限界はありません。 海洋・空・宇宙では、地上とは異なる極限環境状態が大きな問題になります。これをクリアするためには、その環境特性に関する高度な知識と、学部で学んだ基礎知識を発展・融合させることが必要です。 本専攻では、先端設備を用いた実験、高性能コンピュータを活用した計算などの研究活動を通じ、海洋・空・宇宙環境の保全・創造技術、そこで活躍する新世代のマシンやシステムを設計・開発できる人材を育てます。フロンティア精神に限界はありません。

充実した基礎科目群の習得で、生活や産業活動を支える“新サイエンス”を開拓しましょう。 家電製品から産業機器まで、いまやあらゆるものに集積回路などの電子部品が搭載され、また半導体レーザーなどの光学素子も広く普及しています。このような回路や素子の超集積化、高機能化を図り、21 世紀の豊かな生活や多様な産業活動を実現するためには、既存の技術を発展させるのみではなく、ナノサイエンスをはじめとする新分野を積極的に開拓していく必要があります。このためには、学部で習得した基礎知識を一層拡充すると同時に、高度な専門教育が必要です。 本専攻では、電子工学、数学、物理学の基礎と応用に関する知識とその展開力を身につけた人材を育成します。さらに、高度な研究活動に参画させることを通じ、ナノサイエンスをはじめとする“新サイエンス”創成に寄与できる研究者を育成します。

ソフトとハードの融合で、インテリジェントネットワーク社会を担います。 地球環境問題や高度情報化社会の進展に伴う問題への関心が高まるなかで、ソフト・ハード両面にわたる電気、情報、通信から生産に至るシステムの設計・計画・運用を体系的に理解し、これらの諸問題を積極的に解決する人材が社会から強く求められています。 本専攻では、電気電子システム、先端エネルギーシステム、情報通信システム、生産システム、コンピュータソフトウェア、情報ネットワーク、認識と学習などに関する専門知識を持ち、人と環境に優しいインテリジェントネットワーク社会を担う研究者・技術者を育成します。

見えないところが、見せどころ。現代文明の縁の下の力持ち、それが物質・化学です。 航空機・生命体からコンピュータ・ナノ材料まで、現代の文明を支えているものはそれらを作り上げている物質に他なりません。 本専攻では有機化合物、セラミックス、半導体、金属に及ぶ幅広い物質群を対象に、原子・分子レベルにさかのぼった構造の解析から始まり、電気的・光学的・化学的あるいは機械的性質と機能を評価し、それらの物質を作り上げるミクロの科学を学びます。目で見えない世界を観るのが魅せどころです。 特に大学院では学域で学んだ基礎科学を世界に通用する最先端研究にまで高め、研究者としての第一歩を踏み出します。 また、国際会議などに積極的に参加し意見交換を行い、自分自身の専門を深めるとともに「物質・化学」に関する幅広い知識と技術を身に付け、それを世界の繁栄に役立てることを学びます。

機械系専攻

航空宇宙

海洋系専攻

電子・

数物系専攻

電気・

情報系専攻

物質・

化学系専攻

量子放射線は、製造業・医療・食品・環境・エネルギー等の幅広い分野で役立っています。量子放射線工学は、原子力工学分野の基盤であり、高度な科学と技術が融合した学際領域です。現代の産業、医療や原子エネルギーを支える量子線、放射線の広い活用分野を視野に、持続可能な社会の発展と安全を基本とする文化の創造に貢献します。量子放射線と物質との相互作用の素過程を解明し、関連施設を活用した実地教育・研究を実践すると共に、最先端技術に触れ、応用知識を深めて研究開発能力を身につけます。量子放射線工学は、広く社会とかかわり、安全とその文化の構築が不可欠であり、人間性や高い倫理観を基に、社会に貢献できる技術者・研究者を育成します。

量子放射線系

専攻

工学研究科概要 Engineering Concept

大学院までの一貫教育体制が優れた科学技術者を創出します。

集束イオンビーム加工装置とスーパークリーンルーム

 最近は、大学を卒業後直ちに実社会で職業に就く学生に比べて、より高度で専門的な学習・研究を行う大学院へ進学してから就職する人が多くなっています。 大学院工学研究科博士課程の標準的な修業年限は 5 年で、標準 2 年の博士前期課程と標準3年の博士後期課程に区分されています。博士前期課程を修了すると修士(工学)の学位を、博士後期課程を修了すると博士(工学)の学位を取得することができます。年度や学年によって若干の相違はありますが、最近では 4 年生の約 80%が博士前期課程へ進学し、さらにその中の約 10%が博士後期課程に進学しています。 工学研究科は、6 つの専攻で構成されています。それぞれの専攻はさらにいくつかの専門分野から構成され、それは工学域の各課程に対応しています。学生は、いずれかの専攻・分野に属して講義・演習・実験等を通して各教員の指導を受け、個別の研究テーマに沿った研究を行います。 学業成績の優秀な学生には口述試験(筆記試験免除)のみで受験できる制度を導入しています。また 3 年生から大学院に進学することも可能であり、さらに大学院の修業年限の短縮も可能です。この他、社会人技術者を在職のまま受け入れる社会人特別選抜制度や、博士後期課程の 10 月入学制度、大阪府立大学工業高等専門学校専攻科からの口述試験制度も実施しています。 これからの博士後期課程修了生は、産業界などにおいて、社会を牽引する人材となることが期待されています。工学研究科では、文部科学省の支援を受け「地域・産業牽引型高度人材養成プログラム」に加えて「地域・産業牽引型研究リーダー養成プログラム」を実施し、博士後期課程学生の人材育成に力をいれています。

超高速艇の性能試験

物質・化学系専攻

電気・情報系専攻

電子・数物系専攻

航空宇宙海洋系専攻

機械系専攻量子放射線系専攻マテリアル工学

化学工学

応用化学

知能情報工学 電子物理工学

海洋システム工学

機械工学量子放射線工学

電気情報システム工学

数理工学

航空宇宙工学

大学院工学研究科博士前期・後期課程

Page 4: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

5 6

材料力学特論弾性力学特論機械生産工学機械材料強度学数値応用力学特論加工学特論機械計測工学特論システム制御学特論Ⅰ振動工学特論システム制御学特論Ⅱ防振・防音工学特論エネルギー変換工学特論

内燃機関工学流体力学特論熱エネルギー工学燃焼現象流体工学特論エネルギーシステム工学特論環境工学特論Ⅰ環境工学特論Ⅱ環境保全工学特論Ⅰ環境保全工学特論Ⅱエネルギーシステム計画学特論

授 業 科 目

発光レポーターによる遺伝子発現診断システムの開発

環境に配慮した高効率新世代ジェットエンジンV2500-A5 (提供:財団法人日本航空機エンジン協会)

 マイクロマシン、高機能ロボット、環境にやさしい次世代自動車、燃料電池に代表される新エネルギーシステム、植物工場など、動くモノから社会を支えるモノまで、最先端の機械システムを設計し、製造するには多くの知識と経験が必要です。たとえば、壊れないこと(強度)、軽いこと(材料)、省エネであること(空気抵抗、効率)、人間と環境にやさしいこと(ユニバーサルデザイン、低エミッション)などを考えることが必要です。 そのために、機械工学分野では4つのグループに分かれて高度な教育と先端的な研究開発を行っています。機械の材料、強度、製造法などに関する機械基礎工学、機械の高機能化、知能化のために必要な機械の力学、制御、計測などに関する高機能機械システム、

各種のエネルギー機械、流体機械、エンジンなどに関する熱流体・動力工学、大規模なエネルギー供給システムおよび環境システムなどに関するエネルギー・環境工学です。機械工学分野の学生はこれらのグループに所属して、先端的な機械システムを設計して製造するための基礎となる理論を学ぶとともに、高度な研究設備を用いた実験、高性能コンピュータを利用した解析などの研究テーマに各自取組むことで、機械工学の具体的な手法を体得します。 これらの教育を修了した卒業生は、自動車、電機、重工業など機械技術関連のトップ企業に就職し、先端的機械システムの設計、開発に活躍しています。

動くモノ、それはすべて機械工学の対象です。

IHI、オムロン、オリンパス、川崎重工業、関西電力、京セラ、クボタ、神戸製鋼所、小松製作所、シャープ、スズキ、住友電気工業、住友精密工業、ダイハツ工業、

ダイキン工業、デンソ-、東芝、トヨタ自動車、西日本旅客鉄道、日産自動車、パナソニック、日立製作所、日立造船、マツダ、三菱自動車工業、三菱重工業、

三菱電機、森精機製作所、ヤマハ発動機、国公私立大学教員、国家・地方公務員 他。

就 職 先 一 覧

燃料電池内流動の多次元レーザー計測風景

地震振動台による粒状体制震メカニズムの解明実験

微小重力状態における燃焼実験

 人間型ロボット・燃料電池自動車・F1・福祉設備・各種エンジン・発電システム・環境保全設備など、動くモノから社会を支えるモノまで、すべて機械工学の対象です。 機械工学分野では、これらの各種のマシンのライフサイクル、すなわち設計・開発・製造・使用・リサイクル・廃棄を行うために必要となる工学的知識を体系的に学ぶことができます。

人に優しく地球に優しいフロンティアマシンを—そのスピリットが産業と科学技術の発展を支えています。

Mechanical Engineering機械工学分野

(順不同)

Page 5: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

7 8

気体力学特論航空宇宙流体力学特論航空宇宙構造工学特論軽量構造工学特論航空推進工学特論宇宙推進工学特論航空宇宙システム工学特論飛行力学特論航空宇宙制御工学特論宇宙情報通信システム工学特論宇宙環境利用工学特論宇宙機工学特論

衛星システム設計学特論弾性力学特論機械材料強度学数値応用力学特論機械計測工学特論システム制御学特論Ⅰシステム制御学特論Ⅱ内燃機関工学流体力学特論環境工学特論Ⅱ構造信頼性工学特論

授 業 科 目

超音速機モデルの超音速風洞試験 小型無人航空機の開発国際宇宙ステーションきぼう船外実験プラットフォームのSMILES

小型衛星まいど1号:ブーム先端からの撮影

 航空機や宇宙航行体の開発、宇宙の利用等のため、渦や衝撃波を研究する流体力学、構造の強度と軽量化を研究する構造工学、ジェットエンジンなどを研究する推進工学、自動操縦や航法装置についての制御工学、微小重力の利用を研究する宇宙環境利用工学、総合的な評価と設計のためのシステム工学、宇宙から地球を観るリモートセンシングなどを教育研究の専門領域としています。 各分野の先端的技術課題の研究を通じて、航空機や宇宙航行体などを設計・製造・運用するための基礎理論と先端技術の教育を行い、創造的で柔軟性に富む技術者・研究者の養成をめざしています。 航空宇宙工学分野の基盤的技術に立脚して人類の持続可能な発展と地

球環境の保全との調和をめざす先端的工学分野を開拓し、未来をになう人材を育成します。航空宇宙の専門分野を深く極めると同時に、航空宇宙工学分野の特質である、物事を総合的に考える能力、およびシステムデザイン能力の育成を目的としています。そのため、航空宇宙学講座と航空宇宙システム講座を設け、航空機や宇宙航行体の開発・設計、宇宙環境利用、地球観測等に関する教育・研究を行います。 研究グループも専門分野別に、航空宇宙流体力学、航空宇宙構造工学、航空宇宙推進工学、航空宇宙システム工学、航空宇宙制御工学、宇宙環境利用工学に分かれて技術を修得します。

人類初飛行から 110 年-空と宇宙への夢と技術に限界はありません。

IHI、川崎重工、キヤノン、住友精密工業、新明和工業、スズキ、全日本空輸、ダイハツ、デンソー、東芝、トヨタ自動車、日産自動車、日本電気、日立製作所、

富士重工、本田技研、パナソニック、三菱電機、三菱自動車、三菱重工、ヤマハ発動機、宇宙航空研究開発機構、鉄道総合技術研究所 他。 (順不同)

就 職 先 一 覧

 航空機、ロケット、宇宙往還機、人工衛星の開発から宇宙の利用へ- 空と宇宙のフロンティアをめざす人類の挑戦は続きます。航空宇宙工学分野では、複雑な構造の強度などをコンピュータで計算する手法、巨大なシステムの開発手法、技術等の教育・研究を通して夢を育てつつ、リアリティーを失わない、システムデザイン能力の向上をめざしています。

空と宇宙への挑戦が、世界を、未来を変える。

Aerospace Engineering航空宇宙工学分野

宇宙往還機まわりの流れ

まいど1号のフライトモデル製作

Page 6: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

※イメージ写真中の帆船は㈱舵社提供

9

授 業 科 目

10

ソーラー水中グライダー「SORA」

海洋システム計画学特論海洋システム設計工学特論海洋環境学特論海洋環境情報特論海洋物理工学特論海洋輸送工学特浮体運動学特論船舶流体力学特論海洋空間利用工学特論構造信頼性工学特論海洋資源工学特論造船産業技術特論

 地球は水の惑星であり、人類はその誕生以来、水の源である海洋から豊な恵みを受けてきました。これからもその資源を持続的に、しかも有効に活用していくためには海洋環境を護り、海と共生していく人間活動のあり方を探らなければなりません。 海洋システム工学分野では、この考えを基にして、海洋環境の評価と保全などに関する基礎知識を修得すると共に、安全で効率的な海洋輸送システムや海洋資源や海洋空間の利用システムに関する基礎理論を学び、自然と技術の共生を考究するためのシステム科学に関する基礎理論と、実験・実習・フイールド計測などを通して具体的な方法論の展開を推進していきます。海洋システム工学の第一の目的は、人類がこれまでに発展させてきた工学技術の上に成り立った人間活動と、海という自然との共生・調和です。

そのためには、地球システムの中に位置づけられる海洋を多面的に理解し、自然と技術の統合システムを創造することや海で使われる工学技術の新たな展開を図らなければなりません。 海は大昔から交通路として利用されてきましたが、船舶などによる安全で効率のよい海洋輸送システムの創造、食料供給や鉱物資源の宝庫である海洋を有効に活用するためのシステムの創造、海が有している広大な空間利用システムなどは、現在具体的に取り組んでいる技術課題です。これらの先端的工学技術を、単に自然に配慮した技術としてでなく、自然との共生・調和を基本とした持続的発展に有効なものにすること、それが海洋システム工学の目指すところです。

水の惑星「地球」、海は人間との共生を求めています。未来のためのシステムを創りましょう。

トヨタ自動車、ダイハツ工業、川崎造船、デンソー、三菱重工業、ユニバーサル造船、本田技研工業、今治造船、三井造船、日本海事協会、武田薬品工業、

三菱自動車、三菱電機、クボタ、神戸製鋼所、IHI マリンユナイテッド、栗本鐵工所、幸陽船渠、サノヤス・ヒシノ明昌、名村造船、新来島どっく、川崎重工業、

野村総合研究所、大阪ガス、野村證券、スズキ、マツダ、キヤノン、NEC、島津製作所 他。

就 職 先 一 覧

 海洋システム工学は、地球システムの要素である海洋と、海で行われる人間・社会活動との関わり方を探る学問です。 豊かで美しい海を守り続けるための技術や、広大な海洋空間での安全で効率の高い海洋輸送システムと豊富なエネルギーおよび資源の利用等を持続的かつ発展的に利用するシステムを研究します。

海と人とをつなぐ創造が人類の知恵を生み出します。

Marine System Engineering海洋システム工学分野

(順不同) 次世代PCC ロボットによる溶接熱加工試験の様子

波浪中試験(スラミング発生時)

スラミング時のコンテナ船の応力分布

実海域における海洋調査

超高速艇の性能試験

Page 7: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

11 12

 数理工学分野では、現代工学全般の根幹をなす数理工学の基礎と応用に関する知識と展開力を十分に修得し、社会貢献への使命と工学倫理を身につけた高度技術職、専門職、研究職への人材育成を目指します。具体的には、自然現象や社会現象を数理的モデルによって解明し、その結果を工学的に応用するための高度の知識と研究開発能力をもつ技術者・研究者、および、物性物理・半導体物理に関する実験的・数理工学的解明を進め、新しいエレクトロニクス・デバイスを創製し高度情報化社会を支えていくために必要な高度の知識と研究開発能力を身につけた技術者・研究者を育成します。 また、微分方程式の定性的研究、実験計画法における計画の存在性と構成法、数理経済モデルの構築と解析、誤り訂正符号と暗号理論の研究、非平衡非線形系の動力学の理論的研究、超伝導 ・ 磁性 ・光学的性質などの物性理論研究、軟X線 ・ 光電子分光による固体の電子状態の実験的研究、非平衡統計力学 ・ 複雑系の理論的研究などを中心に基礎的な研究・教育も充実しており、中学 ・ 高校の数学と理科の教員免許(専修)が取得できるのも本分野の特色です。

自然科学とうまくつきあう—数学・物理の基礎から応用までを科学・技術開発に活かします。

授 業 科 目

INAX、宇宙開発事業団、NEC、NEC 情報システム、NEC ソフト、NTT データ、NTT 西日本、オージス総研、大林組、沖ソフトウェア関西、オムロンソフトウェア、

カナテック、川崎重工業、キヤノン、神戸製鋼所、コニカミノルタ、三洋電機、CSK、シャープ、住友金属工業、セイコーインスツルメンツ、ソースネクスト、ソニー、

第一生命保険、デンソー、東芝、東レ、日本 IBM、日本 IBM ビジネスソリューション、日本総合研究所、パナソニック、パナソニック電工、日立製作所、

日立造船情報システム、福原工業、富士通、富士通関西システムズ、富士通フロンテック、みずほ銀行、三菱重工業、三菱電機、村田製作所、りそな銀行、

YKK、防衛庁、中学・高校教員、国公立大学 他。 (順不同)

就 職 先 一 覧

数理工学分野では、身のまわりで起こる様々な自然現象や社会現象を数学および物理学の理解と素養の上に立ってモデル化し解明することを目標としています。

専門分野としては、微分方程式・数理統計学・応用数理・離散数学・非線形動力学・複雑系・量子物理・固体物理などがあり、各分野で最先端の研究が行われています。

数学 ・ 物理学を駆使し、様々な自然 ・ 社会現象を解明します。

Mathematical Sciences数理工学分野

光電子・逆光電子分光実験

数理解析セミナー風景

数理工学特論A数理工学特論B応用解析特論応用数学特論数理解析特論統計解析特論数理統計学特論実験計画法特論多変量解析特論数値解析学特論応用数理特論非線形解析特論非線形動力学特論応用動力学特論

量子場の理論量子力学特論固体電子論特論光物性特論凝縮系物性学特論離散数学特論非平衡系の動力学特論情報システム特論ソフトウェアシステム特論ニューロサイエンス特論非線形システム解析特論数理計画法特論計算知能特論情報セキュリティ特論 等

鳥の群れの中の追尾関係ネットワーク

3次元超伝導ネットワーク中の磁束構造

Page 8: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

13 14

授 業 科 目

電子物理工学特論電磁気物性特論低温物性特論光物理工学特論有機エレクトロニクス特論ナノエレクトロニクス特論半導体プロセス特論荷電粒子工学特論非線形光学特論機能デバイス物性特論半導体物理特論量子場の理論量子力学特論

固体電子論特論光物性特論パワーエレクトロニクス特論電磁エネルギー変換工学特論情報通信システム特論光波電子工学特論電磁波工学特論無機材料化学特論有機機能化学特論電気化学特論材料物性学特論結晶物理学特論

NEC、NTT 研究所、TDK、TOTO、オムロン、川崎重工業、関西電力、キーエンス、キヤノン、京セラ、コニカミノルタ、四国電力、島津製作所、シャー

プ、住友化学、住友電気工業、セイコーエプソン、ソニー、ダイキン工業、大日本印刷、中部電力、デンソ-、東芝、トヨタ自動車、日産自動車、パナ

ソニック、日立製作所、日野自動車、富士通、ブリヂストン、古河電気工業、マツダ、三菱ケミカルホールディングス、三菱電機、村田製作所、ヤマハ、

リコー、ローム 他。 (順不同)

就 職 先 一 覧

分光エリプソメトリー測定による物性評価

電子顕微鏡マニピュレータによるナノサイエンスの研究(右図はナノ粒子を操作するナノピンセット)

 電子物理工学は、気体、液体、固体内の電子現象を探求し、新しい機能を持つ電子デバイスの開発をめざす工学分野であり、21 世紀社会において、ますます重要となる学問領域です。 本分野では、力学、統計力学、電磁気学、量子力学などの基礎物理学と超伝導、磁性、量子光学、半導体物理、ナノサイエンス、ナノテクノロジーなどの応用物理学を総合的に学習するだけでなく、これら物理学に立脚する電子回路、情報理論、通信工学などの電子工学の基礎理論も学習します。 本分野には、量子物性、ナノ光物性、有機エレクトロニクス、ナノテクノロジー、半導体ナノプロセス、量子・光デバイス工学、機

能デバイス工学を主に研究する7つのグループがあります。それぞれが専門分野に特化した研究・開発を行い、急速に進展している科学技術の各分野において、十分に活躍できる人材を養成しています。

物理の諸原理をエレクトロニクス社会に活かす電子物理工学

超高真空レーザー蒸着法による単結晶薄膜の作製

高速時間分解計測のための超短パルスレーザーの開発

 物理学を基礎として発展してきたエレクトロニクスは、現代社会の豊かな生活を支える基礎技術になっています。電子物理工学は、無限の可能性を秘めた学問領域で、斬新な発想が大きな刺激となります。電子工学、基礎物理、応用物理を総合的に学習し、ナノテクノロジー、ナノサイエンスに関連した幅広い世界最先端の研究を強力に推進しています。

ナノサイエンスは21世紀産業の“礎”(いしずえ)です。

Physics and Electronics電子物理工学分野

ナノピンセット用マニピュレータとナノピンセットによる染色体の操作

Page 9: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

15 16

授 業 科 目

パワーエレクトロニクス特論電磁エネルギー変換工学特論電力システム解析特論電力システム制御特論電気システム制御工学特論非線形システム解析特論数理計画法特論知的生産システム特論情報通信システム特論通信ネットワーク特論光波電子工学特論

電磁波工学特論ディジタル通信特論モバイル通信特論応用解析特論応用数学特論数値解析学特論情報システム特論ディジタルシステム特論計算知能特論システム工学特論

 オフィスでも家庭でも、いつどこにいてもネットワークの恩恵を受けられるようになってきました。ネットワークをより高速に、大容量化し、様々な電気システム、生産システムと接続し、より良い社会生活基盤を構築していくためには学部で学んだ基礎知識をもとに、時代が求めるニーズに対応するだけではなく、ニーズを創り出す専門知識と常に最先端の情報収集が大切です。この敏感なアンテナを養成していくのも本分野のテーマです。

 本分野では、ソフト、ハード両面にわたる電気、情報、通信から生産に至るシステムの設計・計画・運用を体系的に理解し、実践できる人材を育成すると同時に、自然環境との調和やネットワーク技術を重視した研究活動を通じ、インテリジェントネットワーク社会をリードする研究開発を行います。

電気自動車の実験

綿密な理論と大胆な発想—ハードとソフトを自在にあやつる技術者・研究者の育成を目指して

NTT研究所、NTTドコモ、NTT西日本、NTTファシリティーズ、NHK研究所、大阪ガス、関西国際空港、関西電力、キーエンス、九州電力、近畿日本鉄道、

シャープ、JAXA、住友電気工業、ダイキン工業、デンソー、トヨタ自動車、豊田自動織機、南海電気鉄道、西日本旅客鉄道、日産自動車、日本電気、野

村総合研究所、パナソニック、阪神電気鉄道、日立製作所、船井電機、古河電気工業、北陸電力、本田技研工業、三菱自動車工業、三菱重工業、三菱電機、

リコー 他。 (順不同)

就 職 先 一 覧

 自然・社会環境に適応したエネルギーシステムやエコカー、人のように滑らかに動くロボット、あらゆる情報にいつでも・どこでも・だれでも瞬時にアクセスできる光・無線技術の融合された次世代ネットワークやマルチメディア応用システム、効率的に製品を生み出す生産システムなど、幅広い分野にまたがって、快適な日常生活を支える次世代革新技術を創出する分野の教育と研究に取り組んでいます。

電気情報システム系複合領域の次世代革新技術を創出します。

Electrical and Information Systems電気情報システム工学分野

小型協調移動ロボットの実験

太陽光・風力発電出力特性測定

光IPネットワークの実験高速光A/D変換デバイスの特性評価

Page 10: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

17 18

ソフトウェアシステム特論画像工学特論進化型計算特論知能メディア処理特論情報セキュリティ特論ディジタルシステム特論システム工学特論ニューロサイエンス特論人間情報システム特論機械学習特論ナレッジマネジメント特論計算知能特論

情報システム特論知能情報特論離散数学特論数理解析特論数理統計学特論実験計画法特論数値解析学特論情報通信システム特論通信ネットワーク特論ディジタル通信特論モバイル通信特論

授 業 科 目

個人化されたモバイル情報推薦システムのデモWebカメラを用いた文書検索のデモ

 近年コンピュータは飛躍的にその処理能力が高まり、社会のあらゆる部分にその影響を及ぼしています。そして複雑化する社会に対応するため、コンピュータの担うべき役割がますます重大なものになってきています。そのなかで、人に優しく安全で快適な情報化社会の実現のため、知識と技術の修得を本分野では目的としています。 知識情報処理システム、知能化システム、情報通信ネットワークシステムなど情報処理技術の飛躍的な発展は、社会構造と生活様式に革新的な変革を引き起こしつつあります。知能情報工学分野では、情報を高度に活用する技術を開発し、豊かな未来社会を築くため、ハードウェアの実現から、応用面にわたる情報処理技術に関する基礎的知識と、その応用能力を身につけ、幅広い人間性と倫理観を持った技術者・

研究者の育成をめざします。 また本分野では、数学・物理学ならびに情報回路、論理設計、情報理論、信号処理論など情報工学・知能工学に関する基礎学力を身につけ、これらの基礎の上に、アルゴリズムとデータ構造、コンピュータアーキテクチャ、データベース、情報システム、ソフトウェア工学、プログラミング言語などコンピュータに関する専門知識とシステム工学、数理計画法、メディア情報処理、人工知能、ネットワーク工学、計算知能など情報処理応用技術に関する専門知識を修得し、創造性豊かで自ら課題探求のできる自立した技術者・研究者の育成を図っています。

ロボカップサッカーシミュレーションの体験風景

数理的思考に基づいた最先端のソフトとネットワーク技術で、インテリジェント社会を創造します。

駐車場の車両検知:カメラ画像から満車空車を判断するシステム

ソニー、パナソニック、日立製作所、東芝、三菱電機、シャープ、三洋電機、パイオニア、日本電気、富士通、日本IBM、日本 HP、パナソニック電工、

住友電工、NTT西日本、NTTドコモ関西、NTTデータ、キヤノン、富士ゼロックス、コニカ、トヨタ自動車、川崎重工業、デンソー、京セラ、村田製作所、セコム、

リクルート、コナミ、楽天、凸版印刷、朝日新聞社、日本生命保険相互会社、三菱東京 UFJ 銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ、りそなホー

ルディングス、日興コーディアル証券、野村総合研究所、日本総合研究所、関西電力、大阪ガス、官公庁などの公務員 他。 (順不同)

就 職 先 一 覧

スポーツ中継の分析や人の動きの追跡、文字認識などマルチメディア認識技術の開発から、データマイニング、ロボカップサッカー、進化シミュレーション、交通システム、インターネット取引など大規模システムの分析まで、快適で安全な高度情報化社会を切り開くために、国際的な視野で最先端の情報科学分野の教育・研究を行っています。

人に優しく快適な情報化社会を創造する学問です。

Computer Science and Intelligent Systems知能情報工学分野

Page 11: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

19

授 業 科 目

20

工業分析化学特論無機材料化学特論反応物理化学特論電気化学特論環境化学特論有機分子化学特論高分子合成化学特論有機機能化学特論有機合成化学特論生体高分子化学特論分子認識化学特論応用化学特論Ⅰ

応用化学特論Ⅱ応用化学特論Ⅲ水圏環境化学特論

 応用化学分野では、物質を構成する分子だけでなく、その中の原子とそれらを結びつけ、化学反応をつかさどる電子の動きまでさかのぼり、新しい物質を創製するのに必要な学問を学びます。 人類は、天然資源を有効に利用するとともに、新しい物質を創造することで今日の豊かな生活を築いてきました。このような発展を支えてきたのは優れた科学と技術であり、なかでも物質の構造、性質、反応を原子・分子レベルで理解し利用しようとする学問、すなわち化学が重要な役割を果たしています。 本分野には、分析化学、無機化学、物理化学、有機化学、高分子化学、電気化学、環境化学など広範な化学分野について、講義のみならず、演習や実験を取り入れた多彩なカリキュラムが用意されており、化学の基礎から高度な先端化学までを総合的に学ぶことができます。 実際には、太陽光で汚染物質を分解する光触媒や燃料電池の研究など環境調和型の化学に関する研究から新素材や医用材料の開発研究まで最先端の研究グループから構成されています。学生は修了研究を通じて「物質を合成し、その性質を知る」喜びを身をもって体験し、研究者あるいは技術者としての一歩を踏み出すことになります。 また本分野では、国際的に活躍できる研究者を養成するため、学生が国際会議に参加したり、海外の著名な研究者の講演に接する機会を積極的に設けています。

走査型電子顕微鏡による電極材料の表面観察および組成分析

魅力ある新物質の創製—21世紀の化学は君たちによって造られます。

旭化成、宇部興産、ダイセル、積水化学工業、ダイキン、カネカ、帝人、三菱レイヨン、三菱化学、三井化学、住友化学、花王、グンゼ、武田薬品工業、

アステラス製薬、塩野義製薬、東レ、クラレ、トヨタ自動車、本田技研工業、日立製作所、日本触媒、ブリジストン、テルモ、パナソニック、シャープ、

東芝、京セラ、キヤノン、富士フィルム、オムロン、凸版印刷、ハウス食品、山崎製パン、INAX、大阪ガス、関西電力、資生堂、P&G 他。

就 職 先 一 覧

 地球に優しいものづくりの魅力、それが化学です。私たちの身の回りは天然物から人工のものまですべて化学物質から成り立っています。応用化学分野では、「環境に調和した地球に優しい化学」をキーワードに 21 世紀の世界をリードすべく、新物質・新素材の製造、エネルギー変換、環境浄化など基礎から最先端にいたる幅広い分野の教育・研究に取り組んでいます。

人類の福祉に役立つ素材を提供する学問です。

Applied Chemistry応用化学分野

超撥水性を持つゾルゲル法より形成されたベーマイト「AlO(OH)」微結晶薄膜

(順不同)

自動合成装置を用いた新しい有機化合物の合成

Page 12: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

※写真素材提供:ダイセル(株)

21

授 業 科 目

22

粉体工学特論反応工学特論化学工学流体力学特論プロセスシステム工学特論分離工学特論材料プロセス工学特論化学工学特論資源工学特論物質循環科学・工学特論エネルギー循環科学・工学特論

化学工学特別学外実習電気化学特論有機分子化学特論環境化学特論有機機能化学特論無機材料化学特論

水と緑の地球と共に—未来を拓く最先端「化学技術」の創造に取り組んでいます。

アサヒ飲料、旭化成、味の素、アステラス製薬、宇部興産、エーザイ、大塚製薬、花王、カネカ、川崎重工、キーエンス、キヤノン、京セラドキュメントソリューションズ、

協和発酵キリン、キリンビール、サントリーホールディングス、JSR、JFE スチール、塩野義製薬、資生堂、シャープ、昭和電工、新日鉄住金エンジニアリング、住友化学、

住友ケミカルエンジニアリング、住友精化、ソニー、ダイセル、大日本住友製薬、武田薬品工業、田中貴金属工業、東レ、DIC、トヨタ自動車、日清製粉グループ本社、

日東電工、日本触媒、日本たばこ産業、ネスレ日本、パナソニック、P&G ジャパン、日立製作所、日立造船、富士フイルム、ブリヂストン、三井化学、三菱化学、明治、

森永乳業、ライオン、公務員、大阪府立大学 他。

就 職 先 一 覧

都市鉱山からのレアメタル回収実験

環境と調和した社会を—夢をカタチにします。

 私たちの地球は、美しい山、綺麗な海、澄んだ大気、豊かな森に囲まれています。しかし、この小さな惑星「地球」の資源もエネルギーも限りのあるものです。 私たちの未来は、環境に調和した新しい科学技術、特に化学・物理・生物の力を結集した総合的な“ものづくり”や循環システムの構築にかかっています。

Chemical Engineering化学工学分野

(順不同)

バクテリア細胞が作る貴金属ナノ粒子

バイオテクノロジーを駆使した酵素の設計・開発

ナノ粒子の二次元配列制御

流動層造粒プロセスによる医療用薬物粒子の設計

めっき法による半導体デバイス用微小接点

各種分析装置

固液分離装置の開発

マイクロリアクターによる新規化学プロセスの創出

有機性廃棄物からのバイオガス製造プロセスの開発

 化学工学は、化学の基礎だけでなく、物理学や生物学の基本的な考え方も学び、化学に基づく新しい科学技術を創造し、私たちの生活・社会に役立つものにするための方法論を体系化した学問です。 私たちの住んでいる地球環境の中で「化学技術」を生かしていくためには、極めて多様で複雑なシステムを総合的に取り扱う必要があります。そのために、化学工学は物質とエネルギーのバランスを軸に、化学反応に関わる全てのシステムやプロセスを研究対象とし、高度な化学合成技術、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーを駆使した新規物質や新材料の合成とその生産システム、

環境調和型の新しいエネルギーシステム、循環型社会のための革新的なリサイクル技術などの研究・開発に取り組んでいます。その成果は、化学産業のみならず、医薬、医療、食品、住宅、衣料、エレクトロニクス、機械、鉄鋼、エネルギー、環境、リサイクルなどの様々な分野に波及しています。 化学工学分野では、資源循環を総合的に考慮した化学プロセスの構築を基本理念とした化学工学の先端的、体系的知識に基づき、循環型社会の要請に応え得る、専門知識と応用能力を身に付けた人材を育成します。

Page 13: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

23

授 業 科 目

24

材料物性学特論結晶物理学特論材料プロセス学特論高温材料学特論プロセス反応学特論材料組織制御学特論機能性材料設計学特論材料強度学特論結晶構造評価特論環境材料評価学特論

材料環境物性学特論格子欠陥学特論ナノ材料科学特論無機材料化学特論反応物理化学特論電気化学特論生体高分子化学特論反応工学特論化学工学特論

高分解能透過型電子顕微鏡。0.1nmの原子の世界を観察することができます。力学スペクトロスコピー。独自に設計製作した装置で振動エネルギー損失を精密に測定し、結晶中に含まれる微量の欠陥の性質を調べています。

水溶液ソフト合成法による機能性ナノ粒子の合成

 “It’s not design limited. It’s materials limited” これはある著名な米国の大学教授が、現在の科学の達成のスピードが設計の難しさにあるのではなく、要求された特性を満たす材料が存在しないことにあることをアピールするために語った言葉です。ナノテクノロジーやクリーンエネルギーが国策として掲げられている今、それを支えるのはマテリアルサイエンスに他なりません。

 マテリアル工学分野では、無機物質・高分子・金属・セラミックスなどを対象とし、新物質・新素材・新材料の創成やその工業生産のための新技術・新概念の創出、さらに資源循環を総合的に含む生産プロセスの構築を目指した先導的な研究教育を推進しています。

見えないところで暮らしと時代を支え続ける、それがマテリアル工学です。

旭硝子、イビデン、オムロン、川崎重工業、京セラ、クボタ、神戸製鋼所、堺化学工業、ジェイテクト、シャープ、新日鐵住金、スズキ、住友精密工業、

住友電気工業、ソフトバンク、ダイキン工業、大同特殊鋼、ダイハツ工業、竹中工務店、タツタ電線、椿本チエイン、TDK、トヨタ自動車、豊田通商、

テルモ、日亜鋼業、日産自動車、パナソニック、日立建機、本田技研工業、三井化学、三菱重工業、村田製作所、淀川製鋼所、LIXIL、公的研究機関、教育機関、

公務員 他。 (順不同)

就 職 先 一 覧

 コンピュータ、自動車、人工関節、これらに共通するものは何でしょうか?それは現代の文明を象徴するこれらの機械や装置が、目的に応じたいくつもの「材料」によって構成されていることです。どの素材が欠けても装置全体の機能は発揮できません。時代の進歩は新しい材料の設計と開発にかかっているのです。

地球と人に優しい材料の研究・開発を行います。

Materials Scienceマテリアル工学分野

その場観察光小角散乱システム

Page 14: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

25 26

 総合科学である量子放射線工学は、物理・化学・機械・電気・物質・材料・情報などの先端技術の上に立脚してその扱う領域は極めて広く、工学の多くの分野の先端的な科学や技術が融合した高度な学際分野です。量子放射線工学分野では、工学研究科博士前期・後期課程の教育研究上の理念・目的を踏まえ、様々な分野での学士課程で学んだ学問分野における基礎および専門を基盤として、広く科学技術を学びながら、学際化・総合化の過程を経て、高度化・専門化を推し進めます。  本分野においては、長年継承された加速器、他大学にはない放射線関連施設と安全技術、特徴的なクリーンルーム施設を教育研究に活用して、現代の科学技術において重要な量子放射線工学分野の人材を育成します。高い専門性が求められる放射線、量子ビームの高度利用、原子力施設の安全運転・維持管理やその監督・指導を行うための深い学識及び卓越した能力を培い、放射線関連産業や安全規制行政機関などで指導的役割を果たすことができる高度専門技術者、研究者の養成を行います。

製造業、医療、食品、環境、エネルギー等の幅広い分野に量子放射線が役立っています。

量子科学特論最新放射線安全管理学特論放射線物理工学特論放射線化学 ・バイオ応用理工学特論放射線医学 ・ 防護学特論高度光量子科学技術特論高度粒子線科学技術特論最新量子放射線機器工学特論原子力エネルギー工学特論放射線計測学特論放射線の社会学特論量子放射線応用科学技術フロンティア格子欠陥学特論

エネルギー循環科学・工学特論荷電粒子工学特論 光物性特論 宇宙環境利用工学特論電磁気物性特論低温物性特論量子場の理論量子力学特論固体電子論特論凝縮系物性学特論

授 業 科 目

 レントゲンによる X 線の発見からわずか 110 年、量子放射線は、X 線検診、がん治療、滅菌殺菌など医療分野や非破壊検査、超微細加工、半導体技術、高分子重合などの工業分野、品種改良などの農業分野において広く活用されており、その経済規模は今日では数兆円に達するほど大変大きくなっています。イオン加速器から得られる荷電粒子ビームや二次ビームとしての放射光や中性子線などの量

子ビームは、今日の最先端の科学研究分野で積極的に利用されています。量子放射線工学分野ではこのような産業や科学の重要な基盤をなす研究を行い、先端科学である量子放射線の知識を広く有した人材を育成します。

現代社会を支える量子放射線工学の世界。

量子放射線工学分野

社会への知識啓蒙活動

電子線形加速器

クリーンルーム室内写真

ガンマ線照射のための水プール施設とコバルト60線源から放出されるチェレンコフ光

Bacillus属細菌芽胞の増殖回復過程の顕微鏡観察から放射線滅菌のメカニズムに迫る

培養 1 時間後   2 時間後 4 時間後位相差顕微鏡観察

蛍光顕微鏡観察

Quantum and radiation engineering

Page 15: TECHNOVATION...環境とヒトに優しい未来へ TECHNOVATION Equilateral Quivering Towe(r等辺振動塔):ケネス・ スネルソン作 アメリカ建築協会カンザス市ビエンナーレ

27 28

施設 Facilities

地域連携研究機構 地域連携研究機構は、大阪府立大学の教育・研究を地域社会につなぎ、シンクタンク機能や生涯教育機能、産学官連携など本学の地域貢献活動を総合的に推進することを目的としています。 このため機構に地域活性化研究センター、地域福祉研究センター、女性学研究センター、地域文化学研究センター、放射線研究センター、生涯教育センターの 6 つのセンターを配置するとともに産学官連携を推進するため産学官研究連携戦略室(産学官研究連携推進センター)を置き、さらに先端科学研究センター、生物資源開発センター、科学技術共同研究センターの附属研究施設を配置しています。

放射線研究センター 放射線研究センターは、日本で有数の規模の放射線施設やクリーンルーム施設をはじめとして、共同で利用するための多くの設備や機器を管理運営するとともに、これらの研究施設を利用して、放射線及び量子線分野の教育研究を行っています。専門分野を異にする研究者の連携による学際研究に取り組みながら、科学技術分野における教育研究を通して地域貢献、社会貢献に努めています。 平成 25 年度から、これらの施設を大学院教育にも生かすため、量子放射線系専攻を新設しました。

小型宇宙機システム研究センター関西から初めて宇宙へ飛び立った小型衛星 SOHLA-1(「まいど 1号」)の設計・開発・運用に大阪府立大学の学生たちが参加したことを契機に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との包括協力協定が締結されて、JAXA の支援の基に 2005 年 4 月に設置されたセンターです。センターでは、学生を主体とした、非燃焼型ロケット、CANSAT、 小型衛星などの設計・開発などを通して、衛星システム設計教育と「ものづくり」をベースとする人材育成(プロジェクト・ベースト・ラーニング)などを目的として活動しています。

ものづくりイノベーション研究所ものづくりイノベーション研究所は、ものづくり中小企業の研究開発を支援するために、工学研究科教員を中心として平成 25 年 7月に開設されました。ものづくり中小企業の活性化は、我が国の経済・産業の活性化にとっても重要な鍵であり、今後、ますます多様化するものづくり中小企業の研究開発に対応するには、大学が保有する高度専門的知識が必要となります。当研究所では、産業の基本となる「ものづくり」に必要な最先端基盤技術の研究と、それらを用いた新しい「ものづくり」産業の振興に資することを目的とするほか、中小企業における経営と技術を統括できる人材育成もその使命としています。

21 世紀 COE 資源循環科学・工学研究教育拠点ベンチプラント実験棟 大阪府立大学 21 世紀 COE プログラムは、基礎から応用、実用化まで数多くの成果をあげて平成 18 年度に研究期間を満了しましたが、平成 19 年度以降は資源循環工学研究所に継承され、資源循環科学・工学に関する研究教育を続けています。最近では、学内で発生する有機廃棄物を資源・エネルギーとして有効利用する「キャンパスゼロエミッション」の一環として、本学・生協食堂で発生する残飯を原料として本実験棟においてバイオガス(メタン)を生産し、学内巡回車(郵便物等の運搬に使用)などの燃料として活用する大阪府立大学「キャンパスゼロエミッション」を実践しつつあります。

植物工場研究センター 植物工場は、大別して「完全人工光型」と「太陽光利用型」に分けられますが、当センターは、完全人工光型に特化した先進的な植物工場としては国内最大の研究施設です。本学の産学官連携の実績を生かし、植物工場構築のための基盤技術開発、植物工場の開発・運営を担う人材の育成、植物工場を利用した新しい研究開発領域の創生、そしてこれらを通した地域産業の振興などを設置目的としています。

金属系新素材研究センター 金属系新素材研究センターは、東大阪地域と南大阪(堺・泉州)地域の企業群の持っている材料・新素材に関する技術開発のポテンシャルを一層高めるため、産・学・官の垣根を超えた連携研究進を推進しています。日本の新素材材料・加工産業を支える「材料系ものづくり」の拠点になることを目指して活動を進めています。

生産技術センター 他大学には余り類を見ない非常に充実した工作能力を誇るセンターです。学生に対する教育、教員の研究活動、特に実験をともなう研究に対して支援活動を展開しており、本大学において欠かすことのできない役割を担っています。機械加工・溶接・鋳造・印刷・ガラス工作の専門分野で大学における教育・研究への総合的な支援活動を行っています。

施 設 紹 介

生産技術センターの機械加工実習

超小型衛星 OPUSAT と開発

植物工場研究センター

大阪府立大学における「ものづくり」の知の拠点となるものづくりイノベーション研究所