第6課: 平衡        ...

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第6課: 平衡         2005年11月28日                   . 授業の内容は下の HP に掲載されます。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html. 今回のキーワード. サハの式  (Saha Equation). Negative Hydrogen. 前回5.2.に間違いがありました。. 誤:合成軌道角運動量L=∑lの名前は、  L= 1  2  3  4 - PowerPoint PPT Presentation

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第6課: 平衡         2005年11月28日                   

サハの式  (Saha Equation)

Negative Hydrogen

授業の内容は下の HP に掲載されます。

http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html

今回のキーワード

誤:合成軌道角運動量L=∑lの名前は、

 L= 1  2  3  4

    S    P    D    F    主量子数nと一緒にして 2 S 軌道などと言う。正:合成軌道角運動量L=∑lの名前は、

 L= 0  1  2  3  

名前  S    P    D    F    主量子数nと一緒にして 2 S 軌道などと言う。

前回5.2.に間違いがありました。

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例   H2-2H=0             水素の解離

     HーH+-e=0           水素の電離

     CO-C-O=0          一酸化炭素の形成

孤立系(エネルギーU、体積V、粒子数Nが一定)では、エントロピー極大が平衡に対応するが、温度T,圧力Pが一定の環境では、ギブスの自由エネルギー  G=U-TS+PV =ΣμjNj が 極値をとる。( μ jは j - 種粒子の化学ポテンシャル)

6.1.化学平衡

上の反応では、1回の反応で Δ Nj=ajの変化が起きるから、dR回では、

dN j =a j dR。そこで、T,P一定下での化学反応(Niが変化)を考えると、

     dG=-SdT+VdP+ Σμ jdNj= Σμ jdNj= ( Σμ jaj)dR=0 

したがって化学平衡の条件は、

a 1A1 +a 2A2 + a 3A3 + … . = Σ aj A j =0   

最初の例では、 a1=1, A1=H2, a2=-2, A2=H である。

nj=n( Aj)=Aj の数密度 を求める問題を考えよう。

Σ aj μ j=0 

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 (質量作用の法則)

  粒子の内部自由エネルギー F in  は、内部分配関数 Zin  と

  F in =- kT ln Z in =- kT ln [Σexp ( - Ein/kT)]  で結ばれているから、

   Π n j a j = Π[ nQ jνj   exp(- a j F inj/kT)]  と書く場合もある。

     nj=Nj/V=  Aj の数密度(個 / cm3)、

     nQ、j=( 2πm j kT/ h2)3 / 2= Aj の量子密度(個 / cm3)、

     Z in,j = Σexp ( - Ein,j/kT)=Aj の内部状態分配関数 

 である。  前節の平衡条件、

jinjQ

jj Zn

nkT

,,

ln  一般に、気体の化学ポテンシャル μ

jは、

jinjQjjj

jj

Znana

a

lnln

0 に上の μ jの式を代入すると、

TKZnn jjj a

jina

jQaj

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  Π n j a j = n i1 n j - 1

Π[ nQ ja j Z inj

a j ]= [ nQ i1 Z ini

1 ] [ nQ j-1 Z inj

-1 ] = Z ini1 Z

inj-1 ]

例1: 励起準位  Ai-Aj=0下図のような、j 準位と i 準位の間の遷移を反応の一つと見なす。

 a i =1, Zi =g i exp( - Ei/kT),   aj =-1,   Zj =g j exp( - Ej/kT)

この場合、 Zi , 、 Zj  の表式に∑記号がないことに注意。

さらに、 nQ=( 2πmkT/ h2)3 / 2=共通なので、質量作用の法則を書き下すと、

    = 励起原子の数密度

gi      

n i

gj n

j

go n

0

統計重み 数密度

E j

E i

kT

EE

g

g

kT

EkTE

g

g

n

n ji

j

i

j

i

j

i

j

i exp

exp

exp

kT

E

g

gnn ii

i exp0

0

特にj=0(基底状態)の時、

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例2: 水素の(第1励起/基底)比

on

n1

n

n0

g1=8

E 1=10.15eV

T.

T

kT

.exp

51156

1041510

5040

104

1510

2

8

eV

g0=2T

.on

nlog

5115660201

10

-2-4-6 0

1 2 3 4( 51156 /T)

5

log(n1/no)

T= 30000

B0型

T= 10000

A0型T= 42000

O5型

T<10000K(A0より晩期型星)では、(n1 / no)<-5で大変小さいことが分かる。

T=85000Kで n1=no となり、

T∞では n1 / no=4 に接近する。

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g2 E

g1 E

g o E=0

例3:ボルツマンの式 (Boltzmann’s formula)

kTiEexp

ogig

onin

前節の例1で示したように

なので

ある原子の総数密度を n とし、うち基底状態にno、第1励起状

態にn1、第2励起状態にn2,...あるとする。 n=no+n1

+n2 +...である。

...

kT

Eexpg

kT

Eexpg

kT

EexpgogZ 3

32

21

1 とすると、

Zogon...

kT

Eexpg

kT

Eexpgog

ogon

nnonn

22

11

21 ...

したがって、

ZkTiEexp

ignin

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内部エネルギーの相対的な値の決め方には注意がいる。

   自由電子と陽子の内部エネルギーをそれぞれ0とする。 すると、中性水素

  原子の内部エネルギーは ‐Ⅰ となる(基底状態のみ考えている)。Ⅰは電離

  エネルギーで水素では13.6eVである。

  電子のスピン上向き、下向きの2状態を考えるので、(原子核の方は無視)

  電子とH原子のZinには2が入ってくる。  

例4: 水素原子の電離  H++e-H=0  (I=inization energy)

      H +     + e ー    H  = 0  

E  : 0 0 -I

g : 1          2  2

Zin :  1 2         2 exp(I / kT)

nQ : ( 2π mH kT/ h2)3 / 2  ( 2π m ekT/ h2)3 / 2   ( 2π

mH kT/ h2)3 / 2  

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H (中性水素原子)を I 、  H +(水素イオン)を II と表す。  

a II=1, a(e)= 1, a I =‐1 だから、質量作用の法則は、

kT

I

h

kTm

kTI

hkTm

hkTm

hkTm

Z

ZZ

n

nn

n

nn

exp2

exp2

2

2

22

3

23

e

23

2I

23

2e

23

2II

I in,

e in,II in,

I Q,

e Q,II Q,

I

eII

TKZnn jjj a

jina

jQaj  (質量作用の法則)を前頁の電離に適用す

る。

 : サハの電離式  (Saha equation)

kT

I

h

kTm

n

nnexp

23

23

e

I

eII

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例5: 水素分子の解離 2H-H2

=0

a(H)=2、  a(H2)=-1 であるから、質量作用の法則は、  n( H) 2 / n( H 2 ) = [ ( 2π mH kT/ h2)3 /(2π 2mH kT/ h2)3 / 2 ][ 22 / 4exp(D/kT) ]

= (π mH kT/ h2)3 / 2 exp(‐D/kT)

      2 H     ー    H  = 0  

E  : 0 -D ( -4.476eV)

g :       2  4(S=0  ortho ,1 para )

Zin :  2          4 exp( D/kT)

nQ : ( 2π mH kT/ h2)3 / 2      ( 2π2 mH kT/ h2)3 / 2  

電離の時とは違って、今度は水素原子の内部エネルギーを0とする。すると、水素分子基底状態の内部エネルギーは-Dである。Dは解離エネルギー    (Disociation Energy)で、水素ではD=4.47eVである。

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6.2.サハの式  (Saha equation)

原子の電離度はサハの式によって決まる。

 ni,0= i 回電離イオン基底状態の数密度

 ni+1,0= (i+1) 回電離イオン基底状態の数密度

 ne= 電子の数密度  

 Ii,0  = i 回電離イオン基底状態からの電離エネルギー とすると、

kT,iIexp

,ig,ig

h

kTem

,inen,in 0

0

013

2322

0

01

 ni= i 回電離イオンの数密度(基底状態+励起状態)

 ni+1= (i+1) 回電離イオンの数密度(基底状態+励起状態)

 に対しては、上式を少し変えた以下の式が成立する。

kT,iIexp

iZiZ

h

kTem

inenin 01

3

23221

Zi= Σ gi・exp(-E / kT)(=i回電離イオンの分配関数) は前出のZinと同じ

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すべての電子が水素から供給されている場合、n( H +)=n(e)なので、

水素原子の電離に関しては、

kT

I

h

kTm

n

nnexp

23

23e

H

eH

  exp(‐I/ 2 kT) の因子がボルツマン型の exp(‐I/kT) と異なることに注意。

 n(e)が全てHから供給されている必要はない。

 実際、低温環境では電子はアルカリ金属(Na,K)の電離が主な

 供給源である。

 しかし、高温になると水素の電離で作られる電子が圧倒的となる。

kT

I

h

kTmnn

2exp

22/3

4/3e2

1

He

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例1: 水素のみから成る星の大気

  Saha eq. をガス圧 P=nkT で表して、

PII Pe / PI = [(2πme)3/2 (kT)5/2 / h3] [2 ZII(T) / ZI(T)] exp ( -E / kT )

早期型星大気でのガス圧として、  log Pg(erg/cm3)=3.5  と仮定する。

Pe=PII 、 Pg=PI+PII+Pe  を代入すると、 

log10(PII2 / PI) = - 13.6(5040/T) + 2.5 logT - 0.48 + log [2 ×1 /2]

209.12

exp915.10

exp42

1

...kT

eV

kT

eVZ

Z

I

II

( 励起状態を無視 )

48.0log5.268544

2log 10

2

10

TTPPg

P

II

II

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B0       B0 A0 F0 G0 K0

T   30500 9500 7500 6300 5350

PII2 / (Pg – 2 ×PII) 3.0E8   177.5 1.17   0.0137   1.07E-4

PII (erg/cm3) 1600 590 60 6.6 0.58

PI 0.0083 1980 3040 3150 3160

NII/NI 1.9×105 0.30 0.020 0.0021 1.8×10 - 4

NII/(NI+NII)    1 0.2 3 0.02 0.0021 1.8×10 - 4

log T4.04.5 3.5

-1

0

-2

-3

-4

III

II

NN

N10log

B0

A0A0

K0

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   バルマー線は水素原子主量子数 n=2 i への吸収線である。

H α線

H β線

n0

n1

n2

n3

したがって、星のバルマー線強度はn1が大きくなるほど強くなる。混乱しやすい慣用法なので注意しておくが、n1の1は第1励起状態の1で、主量子数はn=2である。基底状態の数密度は no 主量子数n=1である。

例1の結果は、最大の数密度を占める基底状態noに対して、第1励起状態の数n1が高温の星ほど高くなることを示している。例えば、B0型のn1/ noはA0型の1000倍も高い。

では、バルマー線は高温度星ほど強いであろうか?

次ページに示すスペクトルの例から、B0型のバルマー線強度が本当にA0型の1000倍になるか調べてみよう。

例2 バルマー線 (Balmer lines) 強度と星のスペクトル型

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バルマー線強度変化を考えてみることにしよう。

 水素のみからなる大気を仮定する。

      NI0=基底状態(n=1)水素原子の数密度

      NI1=第1励起状態(n=2)水素原子の数密度 

       NI = NI 0 + NI 1 + NI2 + ...= 水素原子の数密度

  NII = 水素イオンの数密度     Ne= 電子の数密度

      NH = NI + NII = 水素(原子+イオン)の数密度

  Pg = PI + PII + Pe = NI kT+ NII kT+ Ne kT= 総ガス圧( erg/cm3 ) 

 バルマー線は  n=2  から  n= 3, 4,…  へのジャンプで生じる吸収

線である。し  たがって、( NI1 / NH ) が バルマー線強度の指標と

して適当である。

(1)主系列星大気の総ガス圧を、 log10Pg(erg/cm3)=3.5 と仮定し、星の有効温度を log10T ( K)   = 3.5、3.6、...、4.5と変化させ

る。この時に、 log10 ( NI1 /NI )、   log10 ( NI/NH )、 log10 ( NI

/NH ) がどう変わるか表とグラフに示せ。

(2) 8.3例2に見るように、バルマー線の強度が A 型星で最強となる理由を     定性的に説明せよ。

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ATTPPg

P

II

II

48.0log5.268544

2log 10

2

10

PI=水素原子の分圧、PII=水素イオン(陽子)の分圧とおくと、

Pe=PIIであり、サハの式は以下のようになる。

まず、 Pg=103.5 に対し、 上の式を解いてP II を求め、

次に、 P I =P II 2・10-A  から P I  を決める。

次に、

      NI1 /NI = g1exp(-E1/kT) / [g0+ g1exp(-E1/kT) +…]

         ≒ 4・ exp(-E1/kT) / [ 1 + 4・ exp(-E1/kT)]

     NI/NH = P I/ P H =P I/ (Pg- PII )

     NI1 /N H =( NI

1 /NI )・( NI/NH )

を計算して次ページの表を得る。

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logT 3.5  3.6  3.7  3.8  3.9  4.0  4.1  4.2  4.3  4.4  4.5

 A -13.405 -8.697 -4.906 -1.843 +0.640 2.665 4.325 5.695 6.834 7.791 8.602

PII 1.11E-5 2.52E-3 0.198 6.72 113 832 1526 1578 1581 1581 1581

P I   3162   3162 3162 3149 2936 1498 110 5.02 0.366 0.0404 6.25E-3

Log(NI1 /NI )

    -15.685  – 12.380 –9.779 –7.737 -6.133 -4.871 -3.877 -3.092 -2.472 -1.981 -1.592

Log(NI/NH)

0.0 0.0 0.0 0.0 -0.016 -0.192 -1.172 -2.500 -3.635 -4.592 -5.403

Log(NI1 /NH)

-15.685 -12.380 -9.779 -7.737 -6.149 -5.063 -5.049 -5.592 -6.107 -6.573 -6.995          

Page 18: 第6課: 平衡         2005年11月28日                   

 3.5  3.6  3.7  3.8  3.9  4.0  4.1  4.

2  4.3  4.4  4.5                   

    logT   

-5

-10

-15

Log(NI1 /NH)

Log(NI/NH)

Log(NI1 /NI )

水素(原子+イオン)中の第1励起原子の割合

         スペクトル型

M  K  G  F   A     B            

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H α

H βH αH β

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6.3.電子の供給源恒星大気の温度が高い時には、大量に存在する水素の電離が自由電子の供給源となる。しかし、低温になると水素の電離度が下がり、電子を供給できなくなる。そうすると、存在比は水素より小さいが電離エネルギーが小さくて電離しやすいアルカリ金属が電子供給の役割を担うようになる。

種族IIの星のように低金属量の星では低温でも依然として水素の役割が大きい。

高温大気 低温大気

水素

アルカリ金属

水素原子水素イオン

電子

アルカリ金属イオン

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アルカリ金属、 Li, Na, K, Sc,.. 、電離エネルギーが低い。

存在比は小さいが、電離しやすいので、 Te < 5 000 K ( K型より晩期 ) ではKと Na が電子の主な供給源である。

電離エネルギー

0

5

10

15

20

25

30

0 5 10 15 20 25 30原子番号

電離

エネ

ルギ

Li Na K

He

Ne

Ar

B

Al

H

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3.6

3.8

4.0

4.2

4.4

log10Te (K)

log1

0Pg

( erg/

cm3 )

そこで、簡単なモデルで大気中の電子がどのくらい存在するかを調べてみよう。下図の実線は主系列星大気の典型的な( τ≒ 0.6)ガス圧である。

電子供給源として、水素HとナトリウムNaのみを考え、それぞれが独立に電子を出した時どこで役割が入れ替わるかを計算してみる。元素組成は、NH:NHe:NNa=1:0 . 1:2 × 10-6 とする。

主系列星大気のガス圧 Pg の表面温度 Te による変化

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  PH=PHII+PHI とおくと、  PHe=0.1PH

  Pe=PHII     なので、  Pg=Pe+1.1PH

  したがって、 PHI=PH-Pe=(Pg-Pe) / 1.1-Pe=(Pg-2.1Pe) / 1.1

  圧力で書いたサハの式は、Pg=Pe+PHII+PHI+PHe を用いると、

ATTPePg

Pe

P

PeP

HI

HII

48.0log5.268534

1.2

1.1loglog 10

2

1010

前ページのグラフとPg=Pe+PHII+PHI+PHe から上の式を解くと、

 温度    Pg (erg/cm3)    A Pe  (erg/cm3)   NHI 

 4000     100000 2.450× 10- 9 0.015

5000      85000 1.144× 10-5  0.94

 6000 62000      3.478× 10-3  14.0

 7500 17000 1.170 134.4

10000 1300 462.4 419.6

25000 1900 5.929×107 904.7

水素が電子供給源の場合

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Naの電離エネルギーは5 . 14 eV と低い。Na存在比が低いので、PgへのPeの影響は考えなくてよい。したがって、PNa=PNaI+PNa

IIとし、

PNa=Pg × 2 × 10-6 / 1 . 1    PNaII=Pe       PNaI=PNa-Pe

に注意して、サハの電離平衡の式をNaに対して書くと、BT

TPePg

Pe

P

PeP

NaI

NaII

48.0log5.225905

1082.1loglog 106

2

1010

T     Pg(erg/cm3)   B PNa (erg/cm3) Pe (erg/c

m3)

 4000     100000 111.9 0.182 0.182

5000      85000 3858   0.155 0.155

 6000 62000     44450 0.113 0.113

 7500 17000 567100 0.031 0.031

10000 1300 8.501× 106 0.0023 0.0023

25000 1900 3.011×10 9 0.0034 0.0034

  どの場合もNaが完全電離としての解、Pe=PNa=Pg × 2 × 10-6 / 1 . 1   

電子がNaから供給されるとき

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3.6

3.8

4.0

4.2

4.4

-3

log10Te (K)

log1

0Pe

( erg/

cm3 )-2

-1

結局、T<4500KではNaT>4500KではH が電子の供給源となっていることが分かった。

Na起源の電子圧

H起源の電子圧

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6.4.一般の原子の電離

  イオンと原子の質量はほぼ等しいので、nQ(A+)=nQ(A)

 電子のスピン上向き、下向きの2状態を考えるので、Z(e)=2。

  自由電子とイオンの内部エネルギーをそれぞれ0とする。 すると、中性原子

  の内部エネルギーは ‐Ⅰ となる(基底状態のみ考えている)。Ⅰは電離

  エネルギー。 Z(A+)=u(A+)、Z(A)=u(A) exp(I/kT) 

    u(A+)=g0+g1 exp(-E1/kT)+g2 exp(-E2/kT) +….  

A++e-A=0  (I=inization energy)

質量作用の法則まで戻ると、

a1=1   a2=1   a3=-1

n(A+)n(e)/n(A)= [ nQ(A+)nQ(e)/nQ(A) ]

[ Z(A+)Z(e)/Z(A) ]

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結局、

n( A+)n(e) / n ( A ) = [u (A+)2/ u (A) ] ( 2π mekT/ h2)3 / 2 exp(‐I/kT)  

天文ではPe(電子圧)を与えて計算する例が多い。

Pe=n(e)kTを使い、数値を入れて

log [ n( A+) / n ( A ) ]

=log[ u (A+)/ u (A) ] +log 2 +(5/2) log T -log Pe-Ⅰ (eV)(5040/T) - 0.48

                               (Peの単位は  erg/cm3 )

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  H+e - H -=0   Wildt 1939. ApJ, 89, 295.”Electron affinity in Astrophysics”

  水素負イオンはⅠ=0.754eVという非常に浅い準位を持つ。したがって、

  高温の星の大気には存在しない。G型より晩期の星では非常に重要な

  光の吸収源である。

Negative Hydrogen H‐ (水素負イオン)

  水素負イオンの束縛状態は、二つの電子がスピン上向き、下向きの両方を

  占めるので、総スピン=0であり、統計重みg=1である。

  自由電子と中性水素の内部エネルギーをそれぞれ0とする。 すると、Negative

   Hydrogen H - (陰性水素とは言わない)イオンの内部エネルギーは ‐Ⅰ となる

  (基底状態のみ考えている)。

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6.5.解離平衡分子雲や晩期型星大気では分子の形成を考慮する必要がある。

A + B ⇔ C という分子形成を考えよう。 注意すべきは、この反応式は実際には起きていなくても構わないことである。

水素分子形成を例にとると、 H+H = H2  という反応は直接には起こらず、水素分子は実際には星間ダストの上で形成されると考えられている。それでも、平衡を考える際には A, B, C の持つエネルギーの高さだけが問題となる。化学平衡での A, B, C の数密度 n A, n B,  n C は質量作用の法則で決まる。

C in,

B in,A in,

3

23

C

3

23

B3

23

A

C in,

B in,A in,

C Q,

B Q,A Q,

C

BA

2

22

Z

ZZ

hkTm

hkTm

hkTm

Z

ZZ

n

nn

n

nn

数密度 n から圧力 P =nk T の表示に変えると、

)(2

2

PC in,

B in,A in,252

3

2

C in,

B in,A in,

C2

BA

C

BA

C

BA 23

TKZ

ZZkT

h

M

Z

ZZ

mh

kTmmkT

kTn

kTnkTn

P

PP

                 

 

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宇宙標準組成比では原子数の比は、H:C:O=1:0 . 36 × 10-3 :0 . 85 × 10-3

したがって通常のM型星の大気中には、 O が C の約2倍存在する。 M 型星大気の

温度は4000 K 以下であり、このように低い温度では CO が安定な分子種である。

CO の乖離エネルギーは DCO=11.1eV と大きいことが原因である。

このため、CはCOとして消費されつくす。後に残るOがOHやH2Oの Oが入った分

子を作る。

炭素星ではC:O比が逆転している。炭素星では CO として消費されつくすのは O で

残ったCがC2やCHを作る。

このように、 M 型星と C 型星では大気中に形成される分子の種類が異なり、それは

スペクトルの形に大きく影響している。

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解くべき方程式は、PH2=PH2 / KH2

PO2=PO2 / KO2

PC2=PC2 / KC2

POH=POPH / KOH

PCH=PCPH / KCH

PCO=PCPO / KCO

PH2O=POHPH / KH2O

POH=PH +2PH2 +POH+PCH+ 2PH2O

POC=PC+2PC2 +PCH+PCO

POO=PO+2PO2 +POH+PCO+PH2O

求める未知数はPH、PO、PC、PH2 、PO2 、PC2 、POH、PCO、PCH、

PH2Oの10個

である。高温では原子優勢、低温ではH2とCO、H2Oが大量にできる。

H,C,Oが全て原子であったと仮定した時の仮想圧力をP HO 、P C

O、

P OO、

とする。P CO、P O

O << P HOである。

与えられた、P HO、P C

O、P OO と T に対し、 PH、PC、PO、

PH2、……PH2O を

決める問題を考えてみよう。

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    TC

1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 4,000 5,000 6,000

H2 -11.09 -3.56 0.42 2.82 4.40 6.36 7.70 8.48

O2 -13.32 -4.79 -0.13 2.35 4.11 6.27 7.71 8.59

C2 -18.54 -8.48 -2.87 -0.04 2.04 4.61 6.31 7.29

OH -11.05 -3.65 0.21 2.61 3.95 5.94 6.44 8.16

CH -6.53 -0.67 2.26 4.31 5.55 7.06 8.14 8.76

CO -42.98 -24.74 -14.33 -9.43 -5.67 -0.89 2.12 3.92

H2

O-13.61 -5.05 -0.53 2.17 3.95 6.13 7.62 8.46

log10Kp(T) を下の表に示す。Kp(T)の単位はdyn/cm2 である。

CO に対するKp(T)が小さいことに注意せよ。

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6 A .ビッグバン宇宙の初期には水素は完全電離の状態にあった。その時期、輻射     

   と物質とは自由電子の散乱を介して強い結合状態にあった。しかし、その後

   温度が低下するにつれて、自由電子と陽子が水素原子になる反応が優勢と

   なり、電離ガスの中性化が急速に進行した。これを水素の再結合と呼ぶ。

      NI = NI 0 + NI 1 + NI2 + ...= 水素原子の数密度

  NII = 水素イオンの数密度     Ne= 電子の数密度

      NH = NI + NII = 水素(原子+イオン)の数密度 とする。

    NH と温度Tは、現在の宇宙背景輻射の温度 To,  水素原子数密度 N

o を、

      To=2.7K,      No= 5 × 10-7cm-3

   として、 T=To/a 、 NH = No /a3  と表される。

   宇宙の物質が水素のみで電子は全て水素原子の電離から供給されると仮定

   する。サハの式を解いて電離度X= NII / ( NI + NII )がX=0.99、0.9、0.5、

   0.1、 0.001となる赤方偏移Zを求めよ。a=1/(1+Z)である。

問題6 2005年11月28日        提出 6 A または6 B 12月5日        

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6 B.  巨星大気の典型的な値として、

    POH=103dyn / cm2、POO=1dyn / cm2、POC=0 .5dyn / cm2 を考える。

    PH、PO、PC、PH2、PO2、PC2、POH、PCH、PCO、PH2O

    をT=6000,5000,4000,3000、2500,2000、1500 1000K

    に対し計算し、表とグラフで示せ。

    グラフの縦軸は log P(dyn/cm3), 横軸は T ( K)  とする。

    解法もレポートに書き込むこと。

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10変数の連立式なので、一般には、

  (1)適当な初期値からスタートして、

  (2)ヤコビ行列の逆行列を作り、

  (3) F1=0, F2=0, …   F9=0, F10=0 が満たされるまで、PH、PO、...PH2Oを

変えていくのだが、逆行列がうまく求まらない場合があるので注意が必要。

例えば、PH、PO、PC のみを独立変数と考え、残りの分圧は平衡式から厳密

に求め、 F8 =0 ,   F9 =0 ,   F10=0  を満たすPH、PO、PC を探す方法などもある。

F1=PH2ーPH2 / KH2、 F2 =PO2ーPO2 / KO2、…、

F10= POOー(PO+2PO2 +POH+PCO+PH2O)とするとき、

ある温度 T で与えられたKH2、KO2、…、PO O に対して、

F1=0, F2=0, …   F9=0, F10=0 となるPH、PO、PC、...PC

H、PCO、PH2O

を求める問題である。

6 B のヒント