第2部
2014年2月13日 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 データアナリスト 安井翔太
簡単な自己紹介
氏名: 安井 翔太 (Shota Yasui)
所属: インターネット広告事業本部 ディスプレイ戦略局
経歴
・2006-2011 立教大学 経済学部 経済学科
・2009-2010 アメリカ合衆国ウェスタンミシガン大学交換留学
統計学・計量経済学を勉強し始める。
・2011-2013 Norwegian School of Economics, Master of Science in Economics
経済学修士号取得
・2013 サイバーエージェント入社
こんなことしてました。
専門 • 環境経済学
• 資源経済学
• 計量経済学
研究 • 養殖サーモン価格の周期性の研究
• 最適な環境税の計算
アジェンダ
1. ウェブとマス広告の関係性を見る必要性
全体最適:マスとウェブの予算配分
個別最適:マス広告の効果を加味したウェブ広告運用
2. 事例
マス広告のウェブ広告への効果可視化
3. 可視化した情報の利用例
何故ウェブ広告とマス広告の 関係が大事なのでしょう?
究極的には・・・
より効率的なマーケティングをするため。
二つの道
個別最適化
理想的には・・・
マス含む全ての広告の効果を分析し、効率の良い物から順に予算を振りたい。 →ウェブ広告だけで行ったものがいわゆる「アトリビューション分析」
アトリビューション分析
ウェブ内の全体最適を考えるときに用いられる。 ユーザーの行動データから広告のネットワークを考える。 (マルコフ連鎖やベイジアンネットが応用される)
Aに100万円投じると、広告Bのクリックを1000、広告Cのクリックを500誘発し、それがCVを30生み出す。 こういった結果をもとにそれぞれの広告への予算配分を計算する。
ウェブマーケターとしては
この手法にマスも含めるという “トータルなアトリビューション” への拡張を考えるのが自然。
理想の話(アトリビューションの拡張)
もしすべてのユーザーにおいてマス広告の視聴の有無がわかったら・・・
広告A
広告B
広告C
CV
この様なデータの入手は非常に困難
広告A
広告B
広告C
CV
北米なんかでは・・・
Marketing Mix Modelingという 前からある考え方を改善する流れが強い。
よくあるモデル例
売上𝑡 = 𝜙0 + 𝜙1テレビ𝑡 + 𝜙2ラジオ𝑡 + 𝜙3新聞𝑡 + 𝜙4ネット𝑡 + 𝜀𝑡
現状は色々な調査会社が改善案を出して競っている状況。 →決定的な分析方法はまだない。
ただ日本では浸透していない
マーケティングの部署が 縦割りになっていたり・・・
データ分析に馴染み が無かったり・・・
現実的な道
個別最適化
オンラインマーケ単体で何が出来るのか?
<目標> マス広告の予算は既に決まっている状態で、 マス広告からの効果を効率的に利用する事を目指す。 <問題> 効果があるのは解ってるのだけど、 どこにどの程度あるのか?が解らない。 <解決へのステップ> ①効果を可視化する。(計量時系列分析の応用) ②それに基づいた運用・プランニングを考える。
分析事例①
事例①
目的:TV・TVショッピング・新聞のインターネット広告への影響を可視化する。
検索
ディスプレイ
アフィリエイト
CV
折込チラシ
テレビCM
テレビショッピング
①TVCMからKW検索数
<仮説> • 「ある種の商品」に興味のあって本来他社も出稿する様なKWで検
索する人が、CMで「特定の商品」に興味を持ってその訴求で検索。
テレビCM 商品名訴求
競合KW
分野に興味があって検索! CMで特定の商品に 興味を持って検索!
競合KW 商品名KW
分野に興味があって検索!
商品名 GRP投下量 上昇
当日(t)
商品名
明日への効果
当日の効果
社名 TVCM
社名
明後日への効果
その他
翌日(t+1)
その他
商品名
社名
その他
2日後 (t+2)
こういったインパルス応答 を見てみました。
例)サイバーエージェント
例)アメーバピグ
例)無料ゲーム
事例①
①TVCMから検索数
<結果の解釈> • その他KW(キーワード)で検索していた人が、訴求軸であった「商品名」ではなく「社名」に流れていた。
テレビCM 商品名訴求
競合KW (その他)
競合KW (その他)
社名KW
分野に興味があって検索! CMで特定の会社に 興味を持って検索
分野に興味があって検索!
①CMでサイトPV/UUは伸びるか?
<仮説> • テレビCMによって興味が喚起されてサイトへの流入が増加する。 • スマホでも検証
テレビCM
ページ観閲
自社サイト 自社サイト
UU増?
PV増?
①CMでサイトPV/UUは伸びるか?(PC)
<結果の解釈> • ユニークユーザー数の増加効果は検出されるには小さすぎる。 • PVは増加されているので一度来訪しているユーザーが再度来訪す
るきかっけになっている?
テレビCM
ページ観閲
自社サイト 自社サイト
ページ観閲
UUは増えない
PVは増加していた
①CMでサイトPV/UUは伸びるか?(スマホ)
<結果の解釈> スマートフォンにおいてはページ観閲数もユニークユーザーも増加。
テレビCM
ページ観閲
自社サイト 自社サイト
UU増加
PV増加
<結果の解釈> TVショッピングで十分な情報を与えられ、そのまま電話などでCVしていると考えられる。
テレビショッピング
ページ観閲
自社サイト 自社
サイト
?
十分な情報を得たので サイトに来訪しない
電話でCV してるかも
UU減
PV減
事例①
分析事例②
目的:時間別のデータを分析してより短期的なCMの効果を計測したい。
GRP投下 UU数 TVCM
UU数
t
t+1
t+2
t+3
UU数
UU数
t+4
UU数
事例②
<仮説> TVCMを視聴したことによってサービスに興味を持ってもらい、より多くのユーザーに利用してもらえる。
テレビCM
サービス利用
自社サイト 自社サイト
サービス利用
事例②
<結果の解釈> TVCMを視聴したことによってサービスに興味を持ってもらい、より多くのユーザーに利用してもらえていた。
テレビCM
サービス利用
自社サイト 自社サイト
サービス利用
事例②
こういった結果を どう生かすか?
マスの訴求がユーザーを訴求通りに動かしているかを見る
●狙った訴求に行っていない場合がある。 ●そもそも効いていない広告もある。 ●競合KWに行っている場合には無駄なコストが掛かる可能性がある。
テレビCM
訴求KW 競合するKW
狙ったKWで検索していれば・・・
RTG
時間
リターゲティングの強化 • 入札を強める • 予算上限設定 マスを見たユーザーにちゃんと広告が表示されるようにする。
リタゲ広告の強化のタイミングは 分析結果を参照して決める
まとめ
まとめ(2部の流れ)
1. マスとネットを含んだ全体の予算配分を考慮するのであればMarketing Mix Modelingを行う。(全体最適)
2. マスからネットへの影響を可視化して、運用の効率を上げましょう。(個別最適)
3. 個別最適に関する可視化の事例。
4. 可視化した情報の利用例。
Q&A
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