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横浜市総合リハビリテーションセンターでは、横浜市の単独事業で ある在宅リハビリテション事業(以下 リハ)なっています はじめに ある在宅リハビリテ ション事業(以下リハ)なっていますこの事業では、横浜市在住の障害児・者および高齢者の方々の在宅 生活における生活上の困りごとに対して、リハビリテーションの視点 から支援を行っています。 その中でも、在宅でお会いする機会の多い筋萎縮性側索硬化症 (ALS)やパーキンソン病といった疾患の方では、発症早期からのリハ ビリテションが重要じていますビリテ ションが重要じていますリハビリテーションというと「機能訓練」というイメージがあるかもしれ ません。しかし、在宅生活のリハビリテーションは機能訓練・動作訓練 から、食事などの日常生活活動におけるちょっとした工夫や福祉用具 の活用、住環境整備、社会参加の支援まで様々な内容を含みます。 このコラムでは、日常生活で簡単に行えるリハビリのほか、これまで の「ってきた活場面ごとに紹介ています。 「在リハ」の利用の仕方に関して、詳しくは横浜市総合リハビリテー ションセンターのホームページhttp://www.yokohama-rf.jp/index.html の「在宅リハビリテーション」をご覧ください。 内容 横浜市総合ビリ ALSの方、パーキンソン病の方向けに、食事や排泄、入浴、コミュニ ケーション、寝起きや乗り移り、歩行や外出などの生活場面ごとの工 夫を掲載していきます。 内容 横浜市総合ビリテーョン地域リハビリテーション部 地域支援課

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横浜市総合リハビリテーションセンターでは、横浜市の単独事業である「在宅リハビリテーション事業(以下 在リハ)」を行なっています

■ はじめに

ある「在宅リハビリテ ション事業(以下、在リハ)」を行なっています。この事業では、横浜市在住の障害児・者および高齢者の方々の在宅生活における生活上の困りごとに対して、リハビリテーションの視点から支援を行っています。その中でも、在宅でお会いする機会の多い筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病といった疾患の方では、発症早期からのリハビリテーションが重要と感じています。ビリテ ションが重要と感じています。リハビリテーションというと「機能訓練」というイメージがあるかもしれません。しかし、在宅生活のリハビリテーションは機能訓練・動作訓練から、食事などの日常生活活動におけるちょっとした工夫や福祉用具の活用、住環境整備、社会参加の支援まで様々な内容を含みます。このコラムでは、日常生活で簡単に行えるリハビリのほか、これまでの「在リハ」で行ってきた様々な工夫を、生活場面ごとに紹介していき在リ 」 行 きた様 な 夫を、 活場面 紹介し きます。

「在リハ」の利用の仕方に関して、詳しくは横浜市総合リハビリテーションセンターのホームページhttp://www.yokohama-rf.jp/index.htmlの「在宅リハビリテーション」をご覧ください。

■ 内容

横浜市総合リ ビリ シ セ タ

ALSの方、パーキンソン病の方向けに、食事や排泄、入浴、コミュニケーション、寝起きや乗り移り、歩行や外出などの生活場面ごとの工夫を掲載していきます。

■ 内容

横浜市総合リハビリテーションセンター地域リハビリテーション部

地域支援課

~ ALSの方・食事編 ~

■ 腕の力を補う工夫

ALSでは、運動麻痺や筋力低下により、食

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

食器を持ち上げる、スプーンや箸を持つ・操作するといった動作が難しくなったり、飲み込みにくさが生じる場合があります。肩や肘の力を補う工夫には、テーブルに肘を載せる、テーブルの上に小さな台を置き食器を顔に近づけるなどがあります。また、軽いスプーンや柄の長いスプーンを使う、食物を小さな塊にするなども有効です。ばねの力を利用する福祉用具で、腕を持ち上げる補助をする場合もあります。飲み込みにくさに対しては、食物形態の変更や食べ方の工夫が有効ですので、主治医に相談してみましょう。

ばねの力で腕の力を補う福祉用具の例

■ 利用できる福祉用具あれこれ

食器を押さえにくくなってきたら、滑り止めや、食器自体に滑り止めが付いているものを使うと、スプーンなどですくう際にひっくり返る心配がなくなります。すくう動作が難しい場合、ふちの片側が高く立ち上がっている皿を利用するとすくいやすくなります。スプーンが持ちにくいときは柄を太くする、カフを用いて手のひらに固定するなどの方法があります。箸は持ち手部分で2本がつながっているものなどが使いやすい場合があります。使いやすさは、実際に用具を試してみて確認すると良 すが お試 が出来る場合 少なると良いのですが、お試しが出来る場合は少ないと思います。身近にいる作業療法士、理学療法士、看護師、保健師、ケアマネジャー、ケースワーカーなどに相談してみましょう。 上 滑り止め、ふちの片側が高い皿

下 カフとフォーク、柄の太いスプーン、箸

~ALSの方 着替え・身だしなみ編~

■ 着替えの工夫

ALSでは、運動麻痺や筋力低下により、か

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

ぶる、脱ぐ、引き上げるといった腕を大きく動かす動作や、衣服をつまみ引っ張る・ボタンをかけるといった指先の細かい動きが難しくなります。腕を大きく動かすことが難しい場合は、ゆったりしたデザインの服を選ぶほか、かぶるときは肘をテーブルや膝の上に置いて頭の方を手に近付ける(左写真上)などの動作の工夫で脱ぎ着しやすくなることがあります。手先のつまみなどが難しい場合は、ボタンはマジックテープにする、ベルト通しやループを付けて指先にひっかけるなどの工夫が有効なこともあります(左写真下)。

動作の工夫(上)と衣服の工夫(下)の例

■ 身だしなみ動作の工夫

顔を洗う・歯磨き・ひげそり・化粧などいずれも腕を上に持ち上げることが必要な動作です。肘をテーブルや膝に置いて顔を近づけ、顔・頸を動かす、歯磨き粉をつけるときは道具を置いて手のひらで押す(右写真上)などの動作の工夫が有効なこともあります。道具は食事編と同様に軽くしたり柄を太くしたり、重さの問題がなければ電動歯ブラシを利用したりという工夫があります。

この動作は水を使うことが多く、水洗金具を自動式に変更したり、水洗レバーを延長することで操作しやすくなることもあります(右写真下)。

肢 軽度 筋力低 も くくな 期上肢の軽度の筋力低下でもやりにくくなり早期に介助に移行しやすい動作ですが、少しの工夫で自立できる可能性もあります。

上 歯磨き粉を付ける動作の工夫下 水洗レバーを延長した例

~ パーキンソン病の方・運動編 ~~ ALSの方・入浴編 ~

■ どの動作を補うか整理しましょう自宅で入浴する場合は、脱衣場までの移動→脱衣→洗い場への移動→洗体→浴槽の出入りといった一連の動作の流れがあります。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

入りといった 連の動作の流れがあります。ALSの症状(歩きにくくなった、手や腕が動きにくくなった)により、どの部分の動作に支障があるかを確認し、それにあった工夫を検討していきましょう。浴室内は滑りやすい環境なので転倒などによるリスク管理も重要です。「すのこの設置や改修で段差をなくす」、「手すりを設置して体を改 」、支える」などの環境整備をおこなうことも有効です。 改修による段差解消、手すりの設置

■ 洗体(洗髪)動作の工夫体を洗うには、入浴用チェアを用いると姿勢が安定し立ちやすくなります。座面の高さ調整機能や背もたれ、肘かけ付きなど様々なものがありますが動きやすさだけでなく 浴室内のがありますが動きやすさだけでなく、浴室内のスペースや扉の開閉方向なども考慮すると良いでしょう。肩・肘や指先の筋肉が弱くなると、手が頭まで届かなくなったりします。肘かけに肘をついて頭皮洗浄ブラシを用いるなどの工夫をしてみましょう。

■ 浴槽への出入りの工夫

入浴用チェア 肘かけやブラシの活用

浴槽への出入りは不安定になりやすい動作です。浴槽の縁に挟み込む浴槽用手すりを用いると動作の安定を図ることができます。下肢の筋力やバランスの低下によって浴槽からの立ち上がりが困難な場合には、座面が浴槽内で昇降する据置き型リフトを利用する方法があす れ 福 が

■ 浴槽への出入りの工夫

浴槽用手すり 据置き型リフト

ります。これらの福祉用具については設置が可能かどうか浴室内の環境を確認する必要がありますので、出来る限り実際に使用する場面で検討することが望ましいです。

~ パーキンソン病の方・運動編 ~

■ 排泄の方法を整理しましょう排泄方法には、トイレやポータブルトイレ、尿器、オムツなどいくつかの方法があります。ご本人の症状や排泄の時間帯、介護者の要件などにより、いくつかの方法を組み合わせている方も多くいらっしゃいます。まずは、排泄方法を確認し、動作のどこに支障があるのかを検討し、それに合った工夫を考えましょう。

■ 動作の工夫いろいろ(足編)

筋力低下により、電灯をつける、扉の開閉、衣類の処理、お尻を拭くなどの動作が難しくなります。電灯は、人感センサー付き電灯への変更や、子供用の便利グッズ(写真右)も有効です。扉は、ドアノブをレバー式に変更する事が有効で、工事不要の用具(写真左下)も販売されています。衣類を下す時は、ウエスト部分やポケットに指をひっかけたり、上げる時は、フックと踏み台を利用されている方がいます(写真左上)。これには、踏み台昇降が安全にできる足の機能が重要です。機能を十分に評価してもらうようにしてください。お尻を拭く動作は、温水洗浄便座が有効ですが、スイッチを押すことが難しい場合は、リモコンを足で操作できるよう、床や床近くの壁に設置しているご家庭もあります。

~ ALSの方・排泄編 ~

筋力低下により、歩くことや立ち上がりが難しくなった場合、トイレに行くことや立しゃがみ動作が難しくなります。私たちは、高い椅子から立ち上がった方が、楽に立ち上がることができます。そこで、便座の高さを高くする用具が有効です。便座の上に置くタイプ(写真右)や、電動で昇降するタイプ(写真左)があります。これらの福祉用具については設置が可能か、ご自宅の環境を確認する必要があります。

■ 動作の工夫いろいろ(腕編)

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

台に乗ってフックにズボンをかけて台から降りてズボンを上げる

電動昇降便座 補高便座

後付けできるレバーハンドル

手が届かなくても電気のスイッチがおせる、子供用の便利グッズ

~ パーキンソン病の方・運動編 ~

■ はじめにコミュニケーションというと、声でのやり取りを思い浮かべる方がほとんどだと思います。病気により、大きな声が出しにくくなったり、ことばの発声が不明瞭になったり、疲れやすくなったりすると、うまく意思の疎通が図れず、ご本人も介護者もイライラしたり、諦めてしまうという場合も多いようです。ことばの発声以外に、コミュニケーション(ご本人の思いや気持ちを伝える)を取る方法について、数回に分けてご紹介したいと思います。

■ コミュニケーションを取る状況について整理しましょう

~ALSの方・コミュニケーション編その①~

●誰に…家族・主治医・ヘルパーさん・訪問看護師さんなど、関わる機会が多い人なのか。遠い親戚・お見舞いの方・久しぶりに会う友人なのか。

●何を…看護・介護に関する事、お願いしたい事、何気ない日常会話なのか。メールやお手紙の返事なのか、自分の気持ちやメッセージなど書き溜めておきたい事なのか。

●いつ…相手の顔が見える距離(対面)で、その場で伝える必要がある時なのか。(自分や介護者に)時間のある時ならいつでもいいのか。

●どこで…家や部屋など、対面できる環境の人になのか。外出先や離れている人になのか。

●どうやって…口形を読み取る (読唇)、表情、目線、ジェスチャー。筆談、コミュニケーション・

ボード(文字盤など)をはじめとしたコミュニケーションエイドなど、何らかの道具を用いる。ご利用者ごとに、場面ごとに、複数の方法を併用するなど。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

まず、どのような状況で意思の疎通を図りたいのか? を整理してみましょう。相手や伝えたい(聞き取りたい)内容、どのような環境かにより、伝え方(聞き取り方)は変わります。誰に・何を・いつ・どこで・どうやって伝え(聞き取り)たいのか整理しましょう。以下をヒントにしてみてはいかがでしょうか?

発声以外で、コミュニケーションを取ることは、発信側・受け手側双方にとって時間とエネルギーが必要になります。また、発声でやり取りしていた時より、お互いの伝えたい、聞き取りたいという熱意がなにより大切になります。複数の方法を臨機応変に使用できるよう準備しておきましょう。次回は、「どうやって」の部分について、もう少し詳しくお伝えしたいと思います。

~ パーキンソン病の方・運動編 ~

コミュニケーション編その①では、コミュニケーションを取る状況の整理について書きました。今回は、どうやって相手に伝えるか、伝える方法について触れていきたいと思います。

■ どうやって伝えるか

用事ができたら、まず、人を呼ぶ必要があります。病院でいうナースコールです。屋内の別の部屋にいる介護者を呼ぶための工夫です。離れている距離にもよりますが、何かしらの工夫で音を出せばいいのです。体の一部をたたいて音を出す方、鈴(写真右上2点)やベル(写真右下)を鳴らす方、足で扉や壁を蹴って音を出す方もいます。また、市販の赤ちゃんモニターや、屋内用コールを利用されている方もいらっしゃいます。これらについては、コミュニケーション編その③で詳しくご紹介します。

~ALSの方・コミュニケーション編その②~

■ まずは、人を呼びましょう

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

コミュニケーション編その①の、「どうやって」の部分をもう少し詳しく説明します。●声が出しにくくても、口の形を読み取る方法(読唇)があります。加えて、指さしや目線・ジェスチャー、空中や床などに指や足で書く方法(空書)などを合わせることで、より伝わりやすくなります。●携帯電話やスマートフォンのメモ機能・メール機能などを利用している方もいらっしゃいます。●書いて伝える方法(筆談)では、広告の裏(写真①)やホワイトボード(写真②はノート型のホワイトボード)、お子さんのお絵描おもちゃ(写真③)や磁気を使った筆談器(写真④)の利用も有効です。最近では、iPadの筆談用アプリなども増えてきています。●書く物は、鉛筆・ボールペン・サインペンなど筆圧によって書きやすいものに変えていきます。また、グリップ部分が細いと手先に力が必要なため、持ちにくそうであれば、太い物(写真⑤)にしたり、グリップをつけたり(写真⑥)、クリップをつけて(写真⑦)持ちやすくする工夫も効果的です。●文字盤等の利用については、コミュニケーション編その④でご紹介します。

写真①

写真⑥

写真③

写真⑤ 写真⑦

写真②

写真④

~ALSの方・コミュニケーション編その③ ~

■ 屋内での人の呼び方

ALSでは、手足の筋力低下だけではなく、大きな声が出しにくくなる場合があります。その場合、家庭内で家族を呼びたいときになかなか気づいてもらえない、ご家族も常にご本人からの発信に気を張っているなど、お互いに負担となることがあります。屋内で他者を呼ぶ方法として、いくつかの方法を紹介します。

●手足の操作が可能な場合、アナログな方法としてはコミュニケーション編②でご紹介したような鈴やハンドベルを利用することも有効です。●離れた部屋にいる家族を呼ぶ方法としては、携帯電話の利用も有効です。携帯電話のボタンを押す操作が困難な場合は、スマートフォンに変更すると指で触れるだけで操作が可能となります。通話設定をスピーカーにすると、スマートフォンを持たなくても会話が可能です。●病院でよく見かけるナースコールも、離れた部屋にいる介助者を呼ぶことが可能です。ナースコールの発信機、受信器を複数の場所に設置することができるので、寝室だけでなく、トイレなどからも呼び出しが可能です。ナースコールを押す操作が困難な場合は、ご本人の機能に合わせて入力方法を工夫することも可能です。市販のナースコールの多くには、電波の届く距離が記載されていますが、建物の構造などの影響により、電波が届きにくい場合があります。導入の際には、注意が必要です。

■ 屋外にいる人の呼び方

単身生活をされている方や家族が外出して一人になる時間が生じる場合、緊急時の対応に不安が生じます。緊急時に支援者や家族、消防署などへ連絡する方法を紹介します。

●屋内の呼び出し方法と同様に携帯電話の利用は有効です。(屋内での人の呼び方参照)●ワンプッシュで外部への連絡が可能となる方法として、緊急通報装置の導入が有効です。複数の連絡先登録が可能な機種もあります。首から下げたペンダントのボタンを押す入力方法が主流ですが、通常のボタン操作が困難な場合は、ご本人の残存機能に合わせた工夫も可能です。導入に際しては自治体の補助が受けられる場合や、介護保険で夜間対応型訪問介護を利用されている場合はサービス事業所から支給されることもありますので、確認をお勧めします。

ナースコール

緊急通報装置

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

今回はコミュニケーション編①、②を踏まえ、具体的な「人の呼び方」について紹介をしていきます。機器の導入に関しては、お住まいの自治体や担当のケアマネジャーにご相談ください。

~ALSの方・コミュニケーション編その④~

■コミュニケーションボードによる会話口の形を読み取る方法(読唇)や筆談などでコミュニケーションをとっていても、なかなか伝わらない場合に、コミュニケーションボードを使うことで、日常的なやり取りが可能になることがあります。種類は、50音を記載しているもののほか、体の部位や介助してほしい内容が記載されているもの、用途に合わせてカードに分けているものなどがあります(写真右)。コミュニケーションボードは厚紙やクリヤケースを使用して50音を記載したもの、学習用の教材、市販のものを利用する場合があります。大きさは、使い方や見え方によって異なりますが、B5からA3サイズのものがよく使われています。文字の並びは、使いやすい方で良いかと思いますが、コミュニケーション支援機器の多くは左側から『あ行』が並んでいるので、左側からの順に慣れておく利点はあります。

■ どのような状況で使うかご本人に関わる機会が多い、家族・ヘルパーさん・訪問看護師さんなどへお願いしたいこと、日常的な会話などで使われています。持ち運びしやすいため、外出先で使われることもあります。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

■ 使い方や工夫本人がボードを指さす(写真左中央)、聞き手がボードを指さして聞きとる(写真左下)、目の動きを利用する(写真左上) などの方法があります。本人が指さす場合、ボードを手の届きやすい範囲に置くことのほか、姿勢を安定させたり、肘の高さをタオルなどで調整することで、使いやすくなる場合があります。聞き手がボードを指さす場合、「行」ごとに指して、伝えたい文字がある「行」にきたら合図をしてもらい、次に文字ごとに指さして、伝えたい文字にきたら合図をしてもらい文字を確定して、一文字ずつ文章にしていく方法があります。目の動きを利用する場合、ご本人と聞き手の視線が一直線にくるようにすると、文字を読むことができます。

~ ALSの方・起居編 ~

■ 寝具選びのポイント

寝返りや起き上がり動作を容易にするため、現在使用している寝具に設置できる床置き式起き上がり用手すりの利用の他、電動ベッド(写真3)の利用を考えてみてはいかがでしょうか。電動ベッドを利用する場合、背上げ機能、脚上げ機能、高さ調整機能がありますが、背上げ機能を利用することで起き上がりが容易になります。ベッドマットは、柔らかすぎると動作がしにくくなる可能性があります。動きやすい時期は硬めのマット、動きにくくなってきたら寝心地に優れたものやエアマットが適していると言われていますが、実際に試しながら自分に合うものを選びましょう。最近では動きやすさと寝心地の両方を兼ね備えたウレタンとエアのハイブリッドタイプのマットレスもあります。

■ 寝返り、起き上がり動作の工夫

寝返りや起き上がりを容易にする工夫として、ベッド柵や手すりの利用が有効です。ベッド柵などにつかまると、寝返りや起きあがりが容易になる場合があります。上肢の力を助けるために、下肢をベッド柵やベッド縁に引っ掛けることが有効な場合もあります。起き上がりは横向きやうつ伏せなど、力が発揮しやすい姿勢を経由して行うと良いでしょう。電動ベッドを利用していない場合でも、もともと使用しているベッドや布団の横に「床置き式起き上がり用手すり」を設置する工夫があります(写真1)。掛け布団が重いために動作が困難な場合、掛け布団の重みを軽減することも良い工夫です。横向きに寝返ることができても、仰向けに戻ると背中の掛け布団を引き込んでしまう場合、布団に紐をつけてベッド柵に縛ることも良い工夫です。「離被架」を利用することでも布団の引き込みを回避できます(写真2)。

【写真3:電動ベッド】

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

【写真2:離被架】

【写真1:床置き式起き上がり用手すり】

~ ALSの方・立ち座り編 ~

■ 床からの立ち座りの工夫

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

立ち座り動作には、「床からの立ち座り」「椅子からの立ち座り」などがあります。動作の工夫、福祉用具の活用、生活様式の変更などで、安全に生活を継続されている方が多くいらっしゃいます。

■ 椅子からの立ち座りの工夫■ 床からの立ち座りの工夫足の力が弱くなると、床からの立ち上がりが大変になったり、どしんと座ってしまったりすることがあります。楽に安全に行うためには、手で固定物を握ったり、壁にもたれたりします。固定物は、家具の配置を工夫して家具を利用したり、「床置き式起き上がり用

■ 椅子からの立ち座りの工夫立ち上がり動作は、浅く座り、足を引き、おじぎをして立ち上がるという手順からなり、座るときはその逆となります。この動作を意識して行うことや、両手で太ももを押したり、椅子の肘掛けを押したり、手すりを使うことで楽に安全に行うことができます。

手すり(写真1)」や天井と床の間で突っ張るタイプの「握りバー(写真2)」を用いたりすることがあります。しかし、手に頼り過ぎてしまうと、痛めてしまうこともあります。また、時間を掛けて、精一杯頑張ってしまうと、立ち上がった後の動作に支障が出てしまうことがあります。その際、「起立・着座補助機構付き

が が

首や腕の力が弱くなると、おじぎをしたり、腕の力を使って立ち座りをすることが大変になる場合があります。その際、「起立・着座補助機構付き座椅子(写真3)」を使って座面を高くして、楽に安全に行うこともあります。

また、立ち上がりが大変となる頃から、座るときに、どしんと座ってしまうことがあり、腰痛を発生する危険があります 注意が必要 す座椅子(写真3)」という、座面が床まで下が

る椅子を用いたり、生活様式を和式(布団やこたつ)から洋式(ベッドや椅子)に変更したりすることも有効です。

生する危険がありますので、注意が必要です。

■ 椅子の選び方について市販品を選ぶ時のポイントとして、立ち上がり易さという点では、ある程度の座面の硬さと高さが必要になります。また、肘掛けがあると、立ち座りの時に腕の力を使うことが出来ます。

ただ 椅 を動か す と う点 軽量

写真1:床置き式起き上がり用手すり

浅く座り、足を引く おじぎをする

ただし、椅子を動かしやすいという点で軽量なものや脚の狭いものを選ぶと、片側の肘掛けに体重をかけた時に転倒する危険がありますので、注意が必要です。

写真2:握りバー 写真3:起立・着座補助機構付き座椅子

~ ALSの方・移動編 ~

移動には歩く、車いすを使う、床を這うなどさまざまな方法があります。今回は、移動の中でも歩く時の工夫について紹介します。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

■ 家の中で安全に歩く工夫

【写真1:室内用シューズ】

■ 家の中で安全に歩く工夫

つま先が上がりにくく、スリッパが脱げやすくなると、すり足で歩き、段差にひっかかりやすくなります。その場合、かかとまで覆われている室内用シューズや滑り止め付きの靴下の使用が有効です。(写真1、2)また、足の力が弱くなり、足で体重を支えてバをと 歩く が難し 場合に 腕 力

【写真2:滑り止め付き靴下】

ランスをとって歩くのが難しい場合に、腕の力で足の力を補うことがあります。簡単な方法として、歩く通路上にテーブルや棚など、重くて安定した家具を置き、触りながら歩く方法が有効なことがあります。また、杖や歩行器など、歩行補助具の利用も有効です。写真3のような四輪歩行器はタイヤがついているため 手や腕の力が弱く 歩行器を持ち上げるのめ、手や腕の力が弱く、歩行器を持ち上げるのが大変な場合に有効なことがあります。 【写真3:四輪歩行器】

■ 安全で楽に移動できる方法を選ぶ

身体の機能や歩く能力に合った移動方法を選択し 安全かつ楽に移動できることが大切です 場し、安全かつ楽に移動できることが大切です。場合によっては、身体機能の変化に合わせて、移動方法を見直し、変更していく必要もあります。どのような様子がみられたら、用具や方法を変更する時期か、ケアマネジャーや保健師など身近な支援者とあらかじめ相談しておくとよいでしょう。

また、疲れてしまうと、日頃安全に行えている移動が不安定になることがあります。体力に配慮し、動が不安定になることがあります。体力に配慮し、長距離の移動は車いす(写真4)を使用し、施設やお店の中は杖を使って歩くなど、移動手段をうまく使い分けて、出かける機会を作っていきましょう。

【写真4:車いすの杖入れ】

~ ALSの方・外出編 ~※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

■ 外出前の準備外出する時は活動目的に合わせた服装をすることが必要です。指の筋力低下でワイシャツやブラウスのボタンがとめにくい時は、ボタンエイド(写真1)を利用するとスムーズな場合があります。鞄が持ちにくい場合は、ショルダーバッグやウエストポーチ、デイパックを試してみましょう。革靴などのかかとが広げにくい時は、椅子に座って写真2のような靴べらを使うと履きやすい場合があります。

■ 外出経路、支払いの工夫外出先で効率よく活動するためには、移動に使うエネルギーを少なくして過労をさけることが必要です。通勤で駅まで長い距離を歩く必要がある場合は、バス停が近くにあればバスを利用して最寄り駅に行くことが考えられます。駅構内ではできるだけエレベーターを利用し、歩く距離を短くできる経路を選びましょう。電車に乗る時は、空いている車両を選んで座席に座りましょう。通勤ラッシュを避けるため、時差通勤の利用を職場と相談してみるのもよいでしょう。運賃や買物の支払いで財布から小銭を出すのが大変になってきたら、携帯コインホルダー(写真5)や小銭が取りだしやすい財布(写真6)を試したり、ICカードや携帯電話のチャージ機能を利用します。ICカードは紐の付いたパスケースに入れてバッグにつけておくと、取りだしやすいでしょう。

【写真1 ボタンエイド】

■ 玄関から道路まで玄関の鍵がつまみにくい時は、鍵の頭の部分を大きくすると良いでしょう(写真3)。脚の筋力低下により、玄関の上がり框や外階段の昇降でバランスが取りにくい時は、手すり(写真4)をつけると手でバランスを取るのに役立ちます。

【写真2 靴べら(かかとに取り付けるタイプ)】

【写真4 手すり】【写真3 鍵の頭の工夫】

【写真5 コインホルダー】 【写真6 ギャルソンウォレット】

~ パーキンソン病の方・運動編 ~

■ はじめに活動量を維持するためには、生活の中で体を動かすことが大切です。特別な訓練というより、次の日に疲れの残らない範囲で、自分でできることは自分で行い、難しいことはやり方を変えたり、介助を依頼しましょう。但し、呼吸機能については早期から積極的にトレーニングをしておきたい内容です。自分で行う「呼吸リハビリ」の方法について、いくつかご紹介します。

■ 呼吸リハビリの方法

~ALSの方・ホームエクササイズ編~

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

①リラクゼーション:肩を持ち上げ5秒間保った後、すばやく力を抜きます。②頸部筋ストレッチ:首を前方、横、回旋方向に動かした位置で20秒間保ちます。③腹式呼吸・口すぼめ呼吸:リラックスした姿勢で手をお腹に当て、鼻から息を吸って口からはきます。口をややすぼめ、ゆっくり長めにはきだします。お腹が動くことを意識します。

④ハッフィング:痰を出す練習です。「ハァッ、ハァッ」とすばやく3~4回息をはきだします。⑤胸部分のストレッチ:息を吸いながら両手を上げ、吐きながらゆっくり下ろします。

※やり方がよく分からない場合や、息苦しさがある場合は自己流にならないよう、主治医や看護師、理学療法士などの専門家に相談しましょう。

①リラクゼーション ②頸部筋ストレッチ

③腹式呼吸・口すぼめ呼吸 ④ハッフィング ⑤胸部分のストレッチ

肩を持ち上げて5秒数える

すばやく力を抜く同時に口から息を吐く

前方 横(左右) 回旋(左右)

鼻から吸って 口をすぼめはく腹部が動いているか手を当てて確認

ハァッ

息を吸いながら両腕を上げる

息を吐きながら両腕を下ろす

(10回くりかえす)

(ゆっくり10回くりかえす)

痛みのない範囲でストレッチ

~ALSの方 パソコン・IT機器を楽しむ~

■ キーボード操作の工夫キーボード操作のやりにくさを感じ始めたら、まずは、肩が楽な位置で両肘がテーブルに乗るように、テーブルやいすの高さを調整してみましょう。手首の動きとキーを押す指の力が保たれていれば、この工夫だけでも操作しやすくなります。それでも、キーボード全範囲を操作しにくい場合は、小型のキーボードやタブレット端末を利用するのも一つの方法です。また、マウスやタッチパネルの操作が可能であれば、OS内蔵の画面に表示可能なキーボード(図1)や市販のキーボードアプリケーションも有効です。さらに操作範囲が限られる場合は、腕の重みを支え水平方向や垂直方向の動きを補助してくれる福祉用具(写真1・2)を使用することで解決することもあります。「Shift」「Ctrl」など2つのキーの同時操作も困ることの一つですが、Windowsでは、コントロールパネルメニューにある簡単操作機能*

で「固定キー」を設定してみましょう。「Shift」や「Ctrl」を一度押せば押し込んだ状態と認識し、1つずつのキー操作で可能になります。*:Windows7版のメニュー名称です。他のバージョンにも「固定キー」機能はありますが、メニュー名称が異なります。

■ マウス操作の工夫マウスのクリック操作のやりにくさに対しては、コントロールパネルメニュー内のマウスメニューで各種調整ができます。具体的には、左右のクリックの入れ替えやダブルクリック速度の変更、ドラックの難しさを補うクリックロック機能があります。指の筋肉の緊張で位置がずれる場合は、指の位置を保ちやすくする福祉用具(写真3)の利用も有効です。マウスのクリック操作そのものが難しい場合は、クリックを自動で行ってくれるアプリケーションもあり、ダウンロードで入手できます。

図1: 画面に表示可能なキーボード(上図はWindows7内臓のスクリーンキーボード)

写真2ばねの力で腕を吊り上げ、水平・垂直方向の動きを助ける福祉用具

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

写真3指の位置を安定させる福祉用具

写真1: 腕を下から支え、水平方向の動きを助ける福祉用具

パソコンやIT機器を長く楽しむためにも、極度の肩こりや痛みの予防が大切です。背もたれや肘掛け、クッションなどを利用して安楽な姿勢をとり、適度な休息を心がけましょう。