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近頃、お寺やお坊さんについてのTV番組を目にする機会が増えてきました。バラエティー色の強 いモノやクイズ形式で教養を深める作りのモノなど様々で、世間の関心がお寺のほうに向いている ことの証(あかし)でしょうか? ただ、知識や対処法的な知恵を提示するモノが多く、お寺の在り方に対して否定的な論調も目立 ちます。 昨今の葬儀・法事への僧侶派遣などの動きも、社会においてお寺やお坊さん(宗教)の必要性が 低下している現状を示しています。 そんな現状に対して、お寺やお坊さんは何をするべきなのか?何が出来るのか?…その答えを探 すべく、寺院活動推進部は活動しております。 とは言え、各組の取り組みや各寺院で直面している問題点などを意見交換する場…時には、愚 痴を言い合い聞き合う場と化すこともあります。 「若院がなかなか結婚しないので寺院の存続が心配だ」、「ホームページを作ったは良いが絶賛 放置中だ」、「ヨガ教室や子育て相談を開催して好評を得ている」、「(お寺の)会計のことで頭を悩ま せていたが税理士に依頼してから楽になった」、「自分のお寺で精一杯で教区・組の活動へはとても 協力出来ない」…。 僧侶同士が日頃気にしている事を語り合う場所・機会は少ないので、活発な意見交換が行われ ます。この場で出た意見の中から、何か皆さんにご提示出来たらと考えています。 寺院活動推進部部長 澗 信輔(三重組眞楽寺) 「御同朋の社会をめざす運動」東海教区委員会 広報部 〒460-0018 名古屋市中区門前町1番23号 東海教区教務所内 TEL 052-321-0028 FAX 052-332-4097 [email protected]

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近頃、お寺やお坊さんについてのTV番組を目にする機会が増えてきました。バラエティー色の強

いモノやクイズ形式で教養を深める作りのモノなど様々で、世間の関心がお寺のほうに向いている

ことの証(あかし)でしょうか?

ただ、知識や対処法的な知恵を提示するモノが多く、お寺の在り方に対して否定的な論調も目立

ちます。

昨今の葬儀・法事への僧侶派遣などの動きも、社会においてお寺やお坊さん(宗教)の必要性が

低下している現状を示しています。

そんな現状に対して、お寺やお坊さんは何をするべきなのか?何が出来るのか?…その答えを探

すべく、寺院活動推進部は活動しております。

とは言え、各組の取り組みや各寺院で直面している問題点などを意見交換する場…時には、愚

痴を言い合い聞き合う場と化すこともあります。

「若院がなかなか結婚しないので寺院の存続が心配だ」、「ホームページを作ったは良いが絶賛

放置中だ」、「ヨガ教室や子育て相談を開催して好評を得ている」、「(お寺の)会計のことで頭を悩ま

せていたが税理士に依頼してから楽になった」、「自分のお寺で精一杯で教区・組の活動へはとても

協力出来ない」…。

僧侶同士が日頃気にしている事を語り合う場所・機会は少ないので、活発な意見交換が行われ

ます。この場で出た意見の中から、何か皆さんにご提示出来たらと考えています。

寺院活動推進部部長 澗 信輔(三重組眞楽寺)

「御同朋の社会をめざす運動」東海教区委員会 広報部

〒460-0018 名古屋市中区門前町1番23号 東海教区教務所内

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「子どもや孫に迷惑をかけたくないので、どうしたらいいでしょうか」

最近こんなお尋ねを受けることが度々あります。

終活という言葉が出はじめ、後々の負担にならないよう、自分が元気

なうちにお墓(墓じまい)・お仏壇の整理をしたい。核家族化、少子化で

仏事について継承することが困難なご門徒の切実な悩みです。今ま

で、当り前の様に受け継がれてきた仏事が受け継がれなくなってきた

事よりも、受け渡すことに躊躇される姿にどうお答えすべきなのか戸惑

ってしまいます。「そうですね」「そんなに慌てなくてもいいのではないで

すか?」と答えにならない受け答えをする私の姿があります。普段は「無

常」と説いているのに、なんとか護っていただきたいという願いは尽き

ません。

又、長生きになった反面、介護の問題に直面するようになりました。「何も出来なくなって、子どもや

周りに迷惑ばかりかけて申し訳ない」とお参りに伺った折にあるご門徒が、悲しそうな表情を浮かべ

ながら吐露されました。「そんな風に思わなくてもいいですよ」と答えたものの、長生きが出来る様に

なって幸せなのか、長生きはしたいけれどその上に健康が付かなければいけないのかと、改めて考

えさせられました。悲しみの思いにどう寄り添うべきか迷ってしまうことがあります。

どちらも迷惑をかけたくない・・・との思いでの悩みです。私たちの多くは人に迷惑をかけてはいけ

ないと子どもの頃に親に言われてきたのではないでしょうか。私自身もそう言われ又、当り前の様に

子どもに言ってきました。それでは迷惑とは何でしょうか。

「迷惑」・・・①どうしてよいか迷うこと

②困り苦しむこと、難儀すること

③他人からやっかいな目にあわされ困ること 『広辞苑』より

自分がどうしてよいか迷い、他人からの行為で不快な思いをしたり、不利益を被ることとなるので

しょう。そうしたことを望まない思いが迷惑をかけたくないとの言葉として出るのでしょう。

仏教ではあらゆる物事は相互に関係し合って成り立っていると説きます。「迷惑をかけるな」と教

えるのは大事なことであっても、「迷惑をかけずには生きられない」と教わるのが宗教です。

精一杯自分の出来ることをし、お念仏のみ教えを迷惑ではなく、次へと受け渡す生き方をしたいと

思います。

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北から厳しい寒気が入り報恩講らしい寒さになり始めた 12 月初旬、西から寂しい便りが入りまし

た。母方の祖父がお浄土へ参ったという便りでした。その週末に自坊の報恩講を控えていたので、

母と父と弟と入れ替わりで長崎の母の実家へ、その間に私と妹で報恩講の準備をするという一週

間でした。

お通夜とお葬儀が過ぎ、慌ただしく報恩講へ。三日間の報恩講のうち、二日目の夜座では、ご法

話の後、ご門徒さんと住職(父)と坊守(母)と妹での歌のセッション。当初から練習していた曲が、さ

だまさしさんの『いのちの理由』と二階堂和美さんの『いのちの記憶』。その歌詞を追いながら、この

度お浄土へ参った祖父との思い出があふれてきました。

ちょうど、11 月の出来事です。母の実家のお寺の報恩講

を手伝うことがあり、その時に入院中の祖父の病院にお見

舞いへ。久しぶりに見る祖父の姿。スマホで写真を見せ、「布

教使いただきました」と枕もとで報告しました。すると、それま

で少し元気のなかった目が、大きく開き輝いて、「よかった」

という顔で頷いてくれました。

そんなことを思い出していると、「必ずまた会えるなつかし

い場所で」という『いのちの記憶』の歌詞が一段と沁みてき

ました。必ずまた会える、お浄土があってよかったね。寂しさ

の中でですが、また会える確かさとありがたさを感じる報恩

講となりました。

「認知症サポーター」をご存じだろうか?これは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、認知

症の人やその家族に対して、できる範囲で支援する人のことで、この「認知症サポーター」になるに

は、地域や職域等で開催される養成講座を受講し修了する必要がある。

私がこの講座を受講するきっかけとなったのは、知人を介してある医師より「当院が運営している

施設の認知症カフェで、お坊さんとしてお話をしてくれないだろうか?」との依頼を受けたことに始ま

る。当時の私は認知症についての知識がまったくなかったので、ある程度勉強をした上でその依頼

を受けることにした。そこで「認知症サポーター養成講座」を受講・修了し、その後は、認知症に関す

るボランティア活動に参加しながら、今も様々に学ばせていただいている。

そんな中、先日、認知症カフェでご法話をした後に、ある男性がこんな

話をしてくれた。「僕ね、先生の話を聞いていて、子どもの頃にお寺で教え

てもらった“帰命無量寿如来”を思い出したよ」って。私はハッとし、同時に

とても恥ずかしくなった。私の中にはいつの間にか「認知症の人に話して

もわかってもらえるんだろうか…」といった、相手を見下した教化者意識が

芽生えていたのだ。でもそうではなかった、この私こそが聞法者であった、

ということを彼から聞かせていただいた、そんな尊いご縁を頂戴しました。

南无阿弥陀仏

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東海教区とご縁の深い児童養護施設金城六華園。

折々の行事で園児たちとも会ってきましたが、普段

はどんな風に過ごしているか、改めて考えるとよく

知らないことに気づきました。そこで、2月某日六華

園を訪ね見学をさせていただきました。

六華園では、未就学児 6人、小学生 15人、中学

生 14 人、高校生 8 人の計 43 人が生活していま

す。現在は家族的養育を進めているということで、

未就学児・小学生以上の男の子・小学生以上の女

の子で生活フロアを分け、小学生以上は 1 ユニット

6 人程度を生活の基本単位にしています。六華園

では各ユニットが縦割りで構成されており、各担当

が 1名ずつ配置されています。

6:30 起床

宿直の職員さんが園児の登校時間を考慮しなが

ら各部屋をまわって起こしていきます。1度ではなか

なか起きられない子もいる中で、職員さんは起きて

きた園児に朝の準備を促したり、体調を確認したり、

朝食の配膳準備をしたり、やっぱり朝は相当慌ただ

しいと感じました。起きてきた子たちは各自で着替

えや布団の片付けをしていました。

7:10 朝食

この日の朝食はご飯とお味噌汁、茹でたブロッコ

リーに鮭フレークでした。調理員さんが作った食事を

各ユニットで配膳し、およそ揃って食べるのですが、

中高生で登校時間の早い子たちは先に食事を済ま

せ、お昼のお弁当も詰めて出発します。ちなみに、こ

っそり苦手なおかずをお弁当箱に詰めないようにし

ていることは、私にもばれてしまう公然の秘密です。

7:50 登校・登園

8 時前後に小学生は登校します。六華園からの

集団登校ですが、準備のできた子から出ていくこと

もあるようで、この日はたまたま4グループに分かれ

ていました。幼稚園児は六華園から少し離れた通

園バス乗り場まで送っていきます。子どもたちがい

なくなると職員さんは掃除や園の管理、事務仕事を

されていました。園児の様子は各ユニットの引き継

ぎノートや各フロアでの会議、毎日の朝礼や、毎月

ある全職員でのミーティングで共有しているようで

す。

15:30 下校

15 時ごろから小学生が下校してきます。帰って

きた子はまず宿題をして、連絡帳提出、翌日の準備

をして職員さんの確認を受けます。それからは自由

時間となり、ホールで卓球をしたり自室で本を読ん

だりと思い思いに過ごしていました。ただ、取材当日

は小学校低学年の女の子の歯が割れてしまうなど、

色んなことが起こり、職員さんも忙しくしていました。

夕食前には掃除の時間があり、自室や共有場所に

掃除機をかけたり拭き掃除をしています。

18:00夕食

朝食と同様に栄養士さんの考えたメニューを調

理員さんが作りますが、流し場や冷蔵庫、炊飯器は

ユニット毎にあるので、ご飯を盛ったり配膳は自分

たちで準備します。「いただきます」をするときに食

前のことばを言える子もいて、嬉しさを感じました。こ

の日の夕食は鳥ささみのフライとマカロニサラダ、

ご飯におつゆと育ち盛りにとっては少しもの足りな

かったかもしれません。食べ盛りの子の中には夕食

前からお菓子や海苔を食べたり、夜食にカップ麺や

おにぎりを食べる子もいました。

六華園では 2 週間で約 100 ㎏のお米を食べる

そうです。現在も多くの方が寄贈をして下さっていま

すが、全てを賄える訳ではありません。お米や保存

のきく食料などの支援は大変助かります、と施設長

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さんよりお聞きしました。ただ、一方で企業などから

の支援の中には、クリスマスのケーキのようにある

一時期に食べきれないほどの量が集中することも

あるようです。日持ちのしないものや、年中行事に

関係するものなどを寄付されるときには、事前に相

談して下さると大変有り難いとのことでした。

19:00 学習支援

食事と前後してお風呂に順番に入っていました。

それから、取材当日は福祉とうかいの協力で行わ

れている学習支援の該当日でした。週 2 回家庭教

師が六華園を訪れ小学生への学習支援を行ってし

ます。15人の小学生を 1人の家庭教師がみるので、

順番に先生がまわりながらプリントなどを使って学

習支援をしていました。じっと座って勉強するのが

楽しいはずもないけど、それでも取り組んでいる姿

は立派に感じました。六華園で小学生への家庭教

師をつけているのは、早いうちに学習習慣を身につ

けて欲しいとの思いがあってとのことでした。中学

生になると塾に通い始めるそうです。園外の中学生

も含めて高校に進学する子が多い中、受験に精一

杯取り組んで欲しいと学習支援に力を入れている

そうです。ただ、高校卒業後は就職を考えている子

もいて、勉強のモチベーションもそれぞれになり、そ

の子にあった学習支援を行う難しさもあるとお伺い

しました。

20 時になり家庭教師の時間が終わると自由時

間になりました。各自が少しゆっくりした時間を過ご

していると、まだ明日の準備の終わっていない子が

発覚しました。「先に準備しなさい」という先生と、

「寝るまでにやればいいんでしょ」という園児がやり

取りする一幕もありました。

21:00 就寝

小学生の就寝時間である 21時になったところで

バイバイをしてきました。

取材を終えて

六華園の 1 日を取材して、集団で生活するから

こそルールや決め事も多く、園児たちがその中で生

活している姿は立派にも感じました。私自身が小・

中学生の頃は毎日掃除をしたり、帰宅後いの一番

に宿題と翌日の準備なんてしていませんでした。た

だ高校 3 年生と話をしていると、高校卒業後は進

学・就職に関わらず基本的に六華園を出て一人暮

らしをしなければならないとのことでした。その時に

家事を含めて自分で生活していくならば、思うより

ずっと早く自立しならなければいけないし、そのため

にも覚えなければならないことが沢山あるという現

状も感じました。

また施設長さんからは、就職しようとする時に、園

児たちが身近に仕事をしている大人の姿を見る事

が少ないとのお話をお聞きしました。職業体験の場

をもっと作ってあげたいので、もし可能なら学校の

長期休暇にそれぞれのお寺とご縁のある職場を体

験させてもらえるような支援があると大変嬉しい。そ

の時にはショートステイのような形でいつもと違った

家庭生活をお寺でできればと、お話し下さいました。

ご検討いただける方は是非東海教区教務所【䑓(う

てな)】までご連絡下さい。

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「もし許されるなら、再び家庭を持ちたい。そして許されるなら、幸せになりたい」

このように語ったのが、妻子を殺人事件で亡くした男性であると、誰が想像できるでしょう。「光市

母子殺害事件」と聞いて、事件に関する一連の出来事が、日本の司法制度や国民一人ひとりに、多

大な影響を与えた事を思い起こす方は、けっして少なくはありません。事件の発生は 1999 年 4 月

ですから、20年が経過した現在でも同様です。

殺人という言葉ではとても表現しきれない、凄惨な事件でした。残業を終えて帰宅した夫が見た

のは、押し入れの中の妻の遺体。第一発見者として事情聴取を受ける中、11 か月の娘は押し入れ

の天袋から遺体で発見されました。そして事件発生から 4日後、逮捕されたのが 18歳の「少年」で

あったことから、表題のとおり3300日もの苦闘の日々が始まるのです。

殺害された妻子や遺族の尊厳を守るため、命が尊いと信じるからこ

そ、その命を奪った罪は命でしか償えないとする夫の前に、少年法や司

法の前例主義、「死刑反対派」弁護士による法廷戦術が立ちはだかり

ます。しかし夫が誰よりも何よりも怒りを感じていたのは、愛する妻と娘

を助けることができなかった、自分自身に対してなのでした。

筆者の9年間にわたる密着取材によって、事件の関係者すべてが紡

ぎあげた結末に至るまでを克明に記録した本書には、知られざる逸話

も多く付されています。絶望の中にある人が、その果てに何を見出した

のか、何がその道程を支えたのか、20 年を節目に改めて確認してみて

ください。

いつもひとりぼっちのハリネズミは、秋も深まるある日「自分もみんなと仲良くなりたい」と動物たち

を自分の家へ招待しようと思い立ちます。けれども「招待状を出しても誰も来てくれないんじゃない

か」と、ためらってしまいます。そこから「あの動物を呼んだらどうなるだろうか、この動物を呼んだらど

うなるだろうか」とハリネズミの想像の世界がどんどん繰り広げられていきます。でも、頭の中でどん

な動物を家に招いてもうまくいきません。その度に「やっぱり招待状を出すのはやめよう」と、どんど

ん自分のカラに閉じこもっていきます。そんなとき、招待状も出していないのにリスがハリネズミの家

に遊びにやって来ます。この予期せぬ訪問によってハリネズミの冷えた心

は温められていきます。

あと一歩踏み出したいけれど、いろいろ取り越し苦労をしてもどかしい

思いをしているハリネズミがいじらしく、思わず抱きしめたくなります。そし

て、「誰か早くこのハリネズミをなんとかしてあげて」と思ってしまうのは、ハ

リネズミに自分自身を重ねていたからかもしれません。自分の中に閉じこ

もってしまいたい気持ちを開いてくれるのはいつだって「不請の友」。こち

らからお願いせずとも向こうからやってきてくれるもの、それに私たちは助

けられるんだ。そんなことを感じた一冊です。読む人の立場によって感想

が変わってくるかもしれません。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?