木版画(5年) 彫刻刀を使って生み出した白と黒の …nankis/5nenhanga.pdf木版画(5年) 彫刻刀を使って生み出した白と黒の世界
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SCULPTURETokyo University of the Arts東 京 藝 術 大 学 美 術 学 部 彫 刻 科
はじめに
彫刻を志す皆さんと私たちは、時を忘れ夢中に造り続けるという感覚を共有しているのではないでしょうか。何時何処であれ、それを体感した皆さんは、既に創造者になり得る機会を手に入れていると言えます。しかし、数多ある表現の中から敢えて彫刻を志すのであれば、創造することの喜びや苦しみが共存する世界に自ら挑む勇気を持つことが大切です。彫刻を制作する上で欠かせない強い身体と精神だけでなく、行き詰った窮地を脱するための術が必要となります。 本学学部4年間で修得する基礎的な造形感覚と技術は、拡がり続ける彫刻の領域において、また未知なる世界においても必ずや皆さんにとって不可欠なものとなるでしょう。そしてその研鑽は皆さんを、単に思い描いていたものを具現化するという場から、彫刻との対話を通じてこれからの展開を創造していく場へと誘うのです。 この冊子はカリキュラムや施設、学生の視点など、藝大彫刻科がどのような処なのかを紹介しています。 この資料が、僅かでも皆さんが求めている「これから」の指針となれば幸いです。
東京藝術大学 美術学部 彫刻科
教育研究理念
彫刻科では、幅広い造形の研究に重点をおき、過去の美術の歴史や日本美術の伝統を踏まえながら、世界に視野を広げ将来の美術を展望できるような豊かな感性を持つ人材の養成が重要であると考えています。将来作家として独創性あふれる自由な創作活動が行え、また美術にかかわる諸分野での指導的役割が果たせるような人材の養成にも努めています。 そのために本科は安易に時代に流されることなく、確固とした信念のもとでの教育研究が必要と考えています。そして、来るべき時代の美術、彫刻の可能性を探っていくことのできる、独創的かつ創造性あふれる人材を養成することを、教育研究理念としています。
教授・准教授 北郷 悟 林 武史 原 真一 森 淳一 大巻 伸嗣 小谷 元彦 大竹 利絵子
非常勤講師 増井 岳人 本郷 芳哉 山口 桂志郎 鈴木 貴雄 鈴木 友晴
助教 北山 翔一
教育研究助手 大森 記詩 小倉 慎太郎 森 木ノ実 稲垣 慎 猿渡 真緒 鈴木 弦人 島田 佳樹
指導教員一覧
彫刻科の歴史において、その礎となった東京美術学校は、岡倉天心及びアーネスト・F・フェノロサらの熱心な芸術教育運動により、1887(明治 20)年に日本で唯一の官立美術学校として開設されました。当初は、絵画(日本画)・彫刻(木彫)・美術工芸(彫金、漆工)の三科で開校され、彫刻科の歴史が始まりました。その後、1899(明治 32)年には塑造科が開設されています。 1949(昭和 24)年、学制改革により東京藝術大学となり新制大学として再出発しました。1977(昭和 52)年には美術研究科博士後期課程が開設されています。2004(平成 16)年 4 月1日から国立大学法人化され、国立大学法人東京藝術大学となりました。 現在の上野校地に所在する彫刻棟は 1971(昭和 46)年に竣工されました。一方、1991(平成 3)年の取手校地開設に伴い彫刻科の大学院、博士課程の一部が同校地で制作・研究活動を開始しています。
沿革
1年次 1:塑造 2:石膏取り 3:木彫実習制作風景 4:石彫実習制作風景 5:テラコッタ実習風景 (焼成)
1、2年次では、基礎課程として塑造をはじめ、木・石・テラコッタ・金属と、彫刻において世界的に広く使われてきた素材の扱い方と基礎的な造形法を学びます。
カリキュラム 1年次
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2年次 1:金属実習 制作風景 2:塑像(人体) 講評風景 3:古美術研究旅行 4:実材選択実技* (石彫) 制作風景 5:実材選択実技 (木彫) 講評会
*実材選択実習:石彫・木彫・金属・テラコッタの 4 つの素材の中から学生が選択し制作をする実習です。
2 年次においては自ら素材を選んだ上で、発展応用させ作品を制作し、古美術研究旅行を通して日本彫刻の展開に直に触れ、専門的な学習をします。
カリキュラム 2年次
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3年次1- 2- 3:石彫 / 金属 / 木彫制作風景 4: 選択表現講評風景 彫刻選択実技 / 構成 学生作品 5:《花》 葛城 龍哉 6:《no title》 久保田 樹
3年次前期は、選択表現 A・B と題し、彫刻科教員 7 名がそれぞれに特色のあるプログラムを組み、彫刻表現の多様性、素材の可能性などについての考察を行っています。後期からは、3つの講座と各素材及び専門領域に分かれ、それぞれの指導教員のもと研究を深めます。
カリキュラム 3年次
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4年次 卒業制作1:《二人の双子》 古谷 由布 2:《忘失》 田中 綾子 3:《火星のふたり》 臼田 貴斗
4年次ではそれまで学んできた集大成として、学生が主体的にテーマを見つけ卒業制作に取り組み、一般公開となる卒業制作展へ臨みます。
カリキュラム 4年次
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大学院修士課程では、より集中して専門的な創作研究をすることができます。修了制作展では大学美術館・彫刻棟を会場として、より専門性の高い作品発表を行います。
大学院 修士課程
大学院修士課程 修了制作1:《起点》 出倉 誠一 2:《ほんものは誰だ》 野村 絵梨 3:《記憶を歩く》 成田 麻美子
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大学院博士後期課程 修了制作1:《Tacit organs Ⅰ》 2:《Tacit organs Ⅱ》 高嶋 啓
大学院博士課程では、修士修了学生がさらにその表現の研究を深めながら実践的な制作活動を通して、より高度な彫刻研究を行います。作品制作と同時に博士論文を執筆、大学美術館を会場とした博士審査展にて発表します。
大学院 博士課程
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彫刻科には伝統的に扱われてきた素材を専門的に扱うための研究室と設備があり、各研究室教員の指導のもと、学生が自由に、かつ主体的に作品制作に臨むことができます。また、取手校地では、主に大学院生以上の学生が制作し、より高度で専門的な加工を可能とする共通工房を使用することができます。
彫刻科の設備
石彫実習室 木彫実習室
鞴
金属実習室
バンドソー、自動カンナ盤他 シャーリング
フォークリフト 大鋸 フライス盤
取手共通工房外観
取手石材工房
3階アトリエ
窯
土練機 石材切断用丸ノコ
取手石彫場
取手アトリエ
取手2階アトリエ
学生の視点から 彫刻科の学生が藝大彫刻科に通う中で、実際に感じていることを聞きました。
◯ 学部2年生 斉藤 恵理子 藝大に入学し二年目となりました。彫刻科では二年生の始めまではいろいろな素材について学び、試す期間です。一年生のうちは慣れないことばかりでしたが、二年生になり少しずつ自分の作品について考える時間が増えました。 藝大は一つの学年にさまざまな年齢や経歴の学生がいるので、いろいろな意見を聞き視野を広げることができます。また、同級生と素材や作品についての知識を共有し意見し合うのはとても刺激になります。作品制作に対して熱意のある学生が多く、お互いを高め合っていけるというのも藝大彫刻科の魅力ではないでしょうか。 私は今、これまでに得た知識を元に自分の作品を今後どのように展開していくか考えています。自分が思い描くビジョンに対して先生方は真摯に向き合ってくださいますし、作家の方の話を身近で聞けるのはとても貴重な経験です。 彫刻科での生活は日々可能性に満ちていて、とても有意義な時間です。
◯ 学部 3 年生 冨樫 風月 三年次に進級するタイミングで一年間休学し、交換留学でイスラエルに渡りました。藝大へ入学する前から、金銭的に厳しかったものの留学は視野にいれていました。入学前受験候補だった 2 校と比べ当大学は交換留学の協定先が圧倒的に多く、ベツァルエル美術アカデミーがある日本の大学は藝大のみだったのも入学の決め手でした。 学部三年という時期は留学するには経験が浅くまだ早いと先生からご意見が上がりましたが、むしろ私はそうした指摘のおかげで留学への明確なビジョンを言葉にすることができました。そのことが最終的に先生方による後押しにつながりました。 留学では、授業内容と学生から、課外では文化の違いと、対する共通する点を見いだすことが自分の置かれている状態をよりクリアにさせる要因になりました。それを踏まえ今後 2 年間の制作も見極められたものにしたいと思っています。
◯ 修士1年生 林 玖 高校生二年生の頃部活を辞めて空いた時間に行った美術館でドナルドジャッドの作品を知り、自分がやりたいことってこういう事なんじゃないか?と思った。四角い箱が等間隔に壁に配置されていて、よくわからないけれど憧れた。たとえば今の自分の生活とスマートフォンやインターネットの距離は自分が高校生の頃よりもどんどん近いものになっていて、自分がどんなものに興味があり面白いと思うのか、そんなこともパソコンの方から教えてくれる。どうしても流されているんじゃないかなんて感じてしまう、けれど大学で木や粘土など古くからの素材に触れたり造形することと格闘している時間と、スマートフォンに依存する毎日に妙なコントラストが浮き彫りになる瞬間があり、高校生の時に感じた憧れと大学に入って感じる違和感は僕の土台となって制作を支えていると思います。 大学に入り鉄や木、石、粘土を彫刻素材として実習で触っていき素材自体が持つ強さを感じていきますが、自分はもう少し弱く脆いものを作っていきたいと考えるようになっていきました。学部四年の卒業制作では プラスチックの観葉植物を素材と見立て作品を作ることに挑戦し、またある種の強さを痛感します。その流れで短い二年間ではあるものの研究室ごとにに分かれる大学院に進み、もう少し自分の制作について試行錯誤する時間が欲しいと思うようになっていきました。現在は、大学院に入って間もない期間ではありますが、自身の彫刻表現の展開を目指し今一度初心に戻るような感覚でアカデミックな木彫という技法を扱っています。
◯ 博士後期課程2年生 根本 祐杜 私は現在彫刻科の博士課程に在籍している学生です。 大学を卒業後は、チョコレート工場で働いていたのですが、チョコレート工場で働くことに嫌気がさし、もう一度大学にて、高度な彫刻を学びたいと考えるに至り、博士課程進学を決意しました。チョコレート 工場では正社員にならないかと社員の方に誘われていましたが、その誘いを断り進学しました。 再び学生という身分を手に入れた私は、学生限定のアートアワード「CAF 賞 」とい ZOZOTOWN 主宰のコンペディションにて最優秀賞を獲得することができました。これもすべて、東京藝術大学の彫刻科に進学したおかげです。現在は恵まれた環境の中、生活をしております。 この恵まれた環境というのは伝統ある彫刻科において作品を制作し思考することを指します。また東京藝術大学には充実した留学制度があり、私も留学制度を利用して、今度留学予定です。現在は留学の為の英語の試験に受かるように TOEIC の勉強をしています。
《鉄板の上の日常》
《無題》
《モーニング・スクランブル》
《ホウさん》
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《land》
学部卒業生の多くは、より専門的な研究を続けるために大学院美術研究科へ進学します。中には修士課程を修了後さらに、博士後期課程へ進む者もいます。また、彫刻科での経験を生かし一般企業に就職する学生も増えています。国公立・私立大学、高校、中学校の教員も主な進路としてあげられます。
卒業生の進路
近年の主な就職先
株式会社カプコン株式会社京都科学株式会社サイバーエージェント株式会社スクウェア・エニックス株式会社 TBS テレビ株式会社ソニー・インタラクティブエンタテイメント大日本印刷株式会社東京国立博物館日産自動車株式会社日本科学未来館株式会社 俄 NIWAKA任天堂株式会社株式会社博報堂株式会社ビー・ファクトリー株式会社平成建設株式会社ポリフォニー・デジタル本田技研工業株式会社株式会社ミキモト他
教育機関
【国公立大学】
愛知県立芸術大学秋田公立美術大学沖縄県立芸術大学金沢美術工芸大学静岡大学都留文化大学富山大学広島市立大学三重大学他
【私立大学】
女子美術大学多摩美術大学東京造形大学武蔵野美術大学他
(五十音順)
《疎通の奥行き》
1:
2:
3:
4:
5:《after fever》
6:
7:
8:
タイトル無し
パンフレットに掲載されている情報は2019 年 6 月のものです。図版及び文章の無断転載を禁じます。編集・発行 :東京藝術大学 彫刻科〒 110-8714 東京都台東区上野公園 12-8
http://geidaichoukoku.com
彫刻科ホームページ