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Oracle Enterprise Manager 10 g および Oracle Siebel HelpDesk を使用した ITIL ベスト・プラクティス Oracle ホワイト・ペーパー 2007 5

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Oracle Enterprise Manager 10gおよび

Oracle Siebel HelpDesk を使用した

ITIL ベスト・プラクティス Oracle ホワイト・ペーパー 2007 年 5 月

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Oracle Corporation 発行「ITIL Best Practices with Oracle Enterprise Manager 10g and Oracle Siebel Help Desk」の翻訳版です。

Oracle Enterprise Manager 10gおよび Oracle Siebel HelpDesk を使用した ITIL ベスト・プラクティス

概要 IT とビジネスにおける目的の統合と調整は、今日の経営者と IT マネージャが直面

する主要な問題の 1 つです。標準化プロセスを使用した通信を容易にすることで、

ITIL(IT Infrastructure Library)フレームワークを使用して、IT とビジネス・コミュニ

ティのギャップを埋めることができます。ITIL が強調する標準化と原則に注目す

ることで、企業は、サービスの品質と整合性を改善し、IT サービスを提供する継

続コストを削減できます。ただし、ITIL プロセス・ライフ・サイクルをサポート

する統合ソリューションの不足が、その普及を妨げる要因となっています。IT マ

ネージャは、他のプロセスとシームレスに統合されない単一の ITIL プロセスのポ

イント・ソリューションの採用を懸念しています。Oracle Enterprise Manager は、

ITIL に対する豊富で包括的なサポートを提供し、Oracle Siebel HelpDesk との統合

によって、ITIL プロセスをシームレスにサポートします。 ITIL は、IT サービスを管理するための、統合されたプロセス・ベースのベスト・

プラクティス・フレームワークを示す一連のガイドラインです。これによって、

IT 企業固有のビジネス要件を満たすことができます。ITIL は情報テクノロジへの

依存の高まりに対応するため、1980 年代後半に英国政府によって作成されました。

時間が経過するにつれて、ITIL は、サービス管理における事実上の業界標準に発

展しました。 ITIL フレームワークは、一般的な定義と用語とともに幅広いサービス管理の推奨

事項を提供します。ITIL ガイドラインとアーキテクチャを採用すると、組織は、

IT プロセスとビジネス・プロセスを連携させることができます。また、IT によっ

て、適切なビジネス・ソリューションを提供できます。このような連携を通じて、

企業は、リスク管理、変更管理、サービスのプロビジョニングなどの分野で大き

な利点を得ることができるのです。このため、主要なビジネスの目標を効率的に

実行および実現できます。 ITIL フレームワークを採用してベスト・プラクティスを実装すると、組織は次の

利点を得ることができます。 • サービス・レベルとサービス品質の改善による顧客満足の向上

ITIL は、IT サービスを管理するための、

統合されたプロセス・ベースのベスト・

プラクティス・フレームワークを示す一

連のガイドラインです。これによって、

IT 企業固有のビジネス要件を満たすこと

ができます。

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Oracle Corporation 発行「ITIL Best Practices with Oracle Enterprise Manager 10g and Oracle Siebel Help Desk」の翻訳版です。

• ビジネス要件、予測、目的に関する IT サービスとプロセスの密接な連携 • 計画的な変更および計画外の変更の影響を詳細に把握できる変更管理ライ

フ・サイクル • IT の総所有コスト(TCO)の削減につながる全体の管理とサポートのコスト

削減 • 企業の増益につながるサービスの可用性とパフォーマンスの向上 ITIL は、IT サービス管理(ITSM)に関連します。ITSM は、IT 企業による戦略的

なビジネス価値と高品質の IT サービスを提供するといったニーズに向けて、具体

的に対応する ITを管理するためのトップダウンのビジネス駆動型アプローチです。 通常、ITSM は、2 つの主要な領域(サービス・サポートとサービス・デリバリ)

に分割されます。サービス・サポートでは、効果的な IT サービスの提供を実現す

るための原則を適用します。サービス・デリバリでは、IT サービス自体を管理し

ます。このホワイト・ペーパーでは、サービス・サポート・プロセスに注目しま

すが、サービス・デリバリ・プロセスのサービス・レベル管理も取り上げます。 サービス・サポート

サービス・サポートは、以下のプロセスとこれらへの Oracle ソリューション・マッ

プで構成されます。

• インシデント管理 • 問題管理 • 構成管理 • 変更管理 • リリース管理

ITIL フレームワークの実装を成功させるには、プロシージャ・レベルのプロセス

と機能を、効果的に管理および制御する適応性のあるソフトウェア・ベースのツー

ルが不可欠です。オラクルは、重要なサービス・サポート機能とサービス・デリ

バリ機能を管理および自動化する統合ソリューションを提供します。IT 企業は、

多くの標準機能を使用して、ITIL ベスト・プラクティスを実装できます。このホ

ワイト・ペーパーでは、5 つの主な ITIL サービス・サポート・プロセス(インシ

デント管理、問題管理、構成管理、変更管理、およびリリース管理)による、組

織が目的を実現するためのオラクルのサポート方法を中心に説明します。また、

シームレスな ITIL ソリューションのサービス・サポート・プロセスに密接に統合

されるサービス・デリバリ・プロセスのサービス・レベル管理も説明します。

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インシデント管理 ITIL 用語における'インシデント'の定義は、以下のとおりです。 サービス品質の妨害あるいは低下を引き起こす、あるいはその可能性があるサー

ビスの通常オペレーションに含まれないイベント インシデント管理の目的は、できるだけ迅速に通常のサービス・オペレーション

を回復し、業務への悪影響を最小限に抑えることです。 オラクルでは、ITIL インシデント管理プロセスをサポートする多くのベスト・プ

ラクティス機能を標準で提供します。 Oracle Enterprise Manager は、ビジネス・アプリケーションの完全なエンドツーエ

ンドの監視を提供して、インシデントを引き起こす可能性のあるイベントを事前

に検出します。そのイベントとはエンド・ユーザーが通常経験するような、基盤

となるテクノロジ・スタック(アプリケーション、ミドルウェア、データベース、

ストレージ、サーバー)が原因によるアプリケーションの停止です。ルーター、

サーバー・ロード・バランサ、ファイアウォールなどのデータ・センター・イン

フラストラクチャ・コンポーネントも、サービスの可用性に影響する可能性があ

ります。このため、同じように Oracle Enterprise Manager で監視され、データ・セ

ンターの全体の状態を表示する、完全に統合されたビューが提供されます。Oracle Enterprise Manager で検出されたインシデントは、システム・ダッシュボードで視覚

的に監視できる'アラート'として生成されます。これらの通知も適切な管理者に送

信できます。Oracle Enterprise Manager の通知システムを使用すると、特定のアラー

ト(インシデント)を特定の管理者にマッピングできます。このため、このよう

なインシデントが検出される際に適切なスキルを持つ管理者に通知できます。 既知のソリューションを持つアラート(インシデント)は、'修正処理'によって自

動的に解決できます。修正処理を使用すると、管理者は、アラートが検出される

場合(プロセスを使用できなくなり、プロセスを再起動する場合など)に実行さ

れる修正タスクを指定できます。これによって、オペレータの介入が必要なくな

り、エンド・ユーザーに影響を与える前にインシデントをタイムリーに解決でき

ます。 Oracle Enterprise Manager によって検出されたアラートの解決にオペレータの介入

が必要な場合、Oracle Enterprise Manager と Oracle Siebel HelpDesk 間のインタフェー

スを提供する Oracle Management Connector* を使用して、Oracle Siebel HelpDeskインシデント・チケットを自動的に(または手動で)生成できます。生成したイ

ンシデント・チケットには、インシデントを発生させたソフトウェア・コンポー

ネント、エラー・メッセージ、インシデント時間、優先順位など、アラートの重

要な詳細情報が含まれます。また、アラートの属性に基づいて、最初にチケット

を自動的に分類できます。たとえば、アラートが検出されたコンポーネントのタ

イプは、チケットの分類を設定する基礎として使用できます。このため、データ

ベースで検出されたアラートは、'データベース'領域の下にチケットを分類できま

す。アプリケーション・サーバーで検出されたアラートは、'アプリケーション・

サーバー'領域の下にチケットを分類できます。 * Oracle Management Connector for Siebel Help Desk については、日本で出荷を検討

中です。

ITIL インシデント管理プロセスの主な目

的は、できるだけ迅速に通常のサービ

ス・オペレーションを回復し、業務への

悪影響を最小限に抑えることです。これ

によって、可能な限り最高レベルのサー

ビスの品質と可用性を維持できます。

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図 1:Oracle Enterprise Manager は、検出されたアラート(インシデント)と それらに開かれたチケットに関する情報を示します。チケット ID をクリックして、 Oracle Siebel HelpDesk を起動できます。

また、Oracle Siebel HelpDesk は、適切なヘルプデスク・アナリストを割り当てて、

インシデント・チケットを通知できるワークフロー機能を提供します。必要に応

じて、インシデント・チケットを詳細に分類したり優先順位をつけたりできます。

ヘルプデスク・アナリストは、特定のインシデントの影響と緊急性を評価できる

ので、適切な解決日時およびエスカレーション日時で優先度を推奨できます。そ

の間、Oracle Enterprise Manager は、インシデント・チケットが作成されたコンポー

ネントの監視を続けます。悪条件によってさらに重大度の高いアラートが生成さ

れる可能性があります(警告から重大になる場合など)。この重大度の変更は、

Oracle Management Connector を通じて Oracle Siebel HelpDesk チケットに自動的に

伝播されます。 インシデント・チケットの特定のエスカレーション時間が経過すると、ワークフ

ローを使用して、優先度を上げるか、インシデント所有者のマネージャに通知で

きます。ビジュアル・インジケータは、インシデントがアクティブであるか、ク

ローズしているか、または関連する品質保証契約(SLA)に違反しているかを簡

潔に示します。

図 2:Oracle Enterprise Manager で検出したアラート(インシデント)に基づく Oracle Siebel HelpDesk チケットアラート情報は、チケットに自動的に渡されます。

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サービス・リクエストに割り当てられたヘルプデスク・アナリストは、ナレッジ・

ベースを使用して、インシデントの既知の'修正処理'を検索できます。ソリュー

ションが識別されると、チケットに Oracle Enterprise Manager へのリンクが提供さ

れます。これによって、アナリストは、Oracle Enterprise Manager の管理機能に簡

単にアクセスし、ソリューション(データベースの再起動やデータファイルの追

加など)を実装できます。 Oracle Enterprise Manager の監視システムはインシデント・チケットに関連するコ

ンポーネントの監視を続けるので、ソリューションが実装された後、問題が存在

しない(解決した)ことを確認します。続けて、Oracle Siebel HelpDesk チケット

が自動的に閉じる場合があります。 既存のオラクル以外のヘルプデスク・ソリューションを使用している顧客は、統

合された IT サービス管理ソリューションに Oracle Enterprise Manager Connector ソリューションを活用できます。たとえば、Oracle Management Connector for Remedy Help Desk を使用すると、IT 企業は、事前にインシデントを検出して対処すること

で、高品質のサービス・レベルを維持できます。Oracle Management Connector は、

事前にアラートを検出して解決する機能とインシデントを管理および解決する

シームレスなワークフロー(アラートに基づくチケットの作成、インシデントを

解決する双方向のコンソール・リンク、アラートを消去する自動的なチケットの

クローズなど)を提供する Remedy Help Desk のヘルプデスク機能を統合します。

問題管理 ITIL 問題管理プロセスの主な目的は、IT インフラストラクチャ内のエラーの悪影

響を最小限に抑えて、これらのエラーに関連するインシデントの再発を防止する

ことです。問題管理では、1 つ以上のインシデントに応じて問題を迅速に解決す

るのがリアクティブな目的です。またインシデントが発生する前に問題を識別お

よび解決して、全体のインシデント数を削減することが、プロアクティブな目的

となります。 ITIL 用語における問題の定義は、以下のとおりです。 1 つ以上のインシデントの未知の根本原因 同様に、既知のエラーの定義は、以下のとおりです。 診断に成功して回避方法が確認された問題 ITIL 問題管理プロセスは、問題の根本原因を分類し、状況を改善または修正する

アクションを開始することによって、インシデントの再発を防止します。最適な

解決方法がすぐに識別されない場合は、Oracle Siebel HelpDesk 内で新しい問題を

生成し、自動的にインシデントに関連付けることができます。問題とインシデン

トを関連付けると、親子関係が自動的に確立されます。

ITIL 問題管理プロセスの主な目的は、ITインフラストラクチャ内のエラーの悪影

響を最小限に抑えて、これらのエラーに

関連するインシデントの再発生を防止す

ることです。

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問題のレコードを閉じると、ボタンのシングル・クリックで関連するすべてのイ

ンシデントがクローズされます。 インシデントの根本原因の確認をサポートするため、Oracle Enterprise Manager は、

豊富な診断機能を提供します。これらの機能は、インシデントが発生する可能性

のある最近の構成変更の確認から、アプリケーション・コール・スタックでの処

理時間が多い場所の確認やアプリケーションのトランザクションでパフォーマン

スが低下する SQL 文の確認までを網羅します。アプリケーション障害の場合、

Oracle Enterprise Manager は、障害を引き起こした可能性のある原因を識別する根

本原因分析を自動的に実行します。この情報は、問題を処理する管理者が基本と

なるアプリケーション・スタックとその依存性に精通していない複雑なアプリ

ケーションにおいて特に重要です。修正が実装された後、Oracle Siebel HelpDeskで問題のレコードが閉じ、それに関連するすべてのインシデントもクローズされ

ます。 問題管理は、プロアクティブな対応として、インシデントが発生する前の問題と

既知のエラーの識別および解決にも関連します。この目的のアクティビティのタ

イプには、特定タイプの問題の再発を識別する傾向分析があります。Oracle Enterprise Manager の構成管理データベース(CMDB)は、インシデントが発生し

たコンポーネントと環境の構成情報とともに、検出されたすべてのインシデント

の履歴情報を保存します。CMDBとともに Information Publisher機能を使用すると、

管理者は、時間またはタイプごとに最も一般的なインシデントを確認する傾向分

析レポートを生成できます。また、これらを構成情報に関連付けて、根本原因分

析とこれらのインシデントの予防策を実行できます。

図 3:Oracle Siebel HelpDesk での複数のインシデントと単一の問題の関連付け

同様に検索機能によって、サポート担当者は、問題と既知のエラーの両方の履歴

情報を取得できます。この情報は、調査プロセス中に使用できます。

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CMDB は、インシデントが自動的に作成される際にインシデント・レコードを構

成アイテム(CI)の属性情報に自動的に移入して、インシデント管理と問題管理

を容易にします。また、CMDB を使用すると、ヘルプデスク・オペレータは、CIの影響を受ける変更履歴および SLA を確認して、インシデントの優先順位を付け

ることができます。CI 間の関係を維持することによって、CMDB は、既知のエラー

を CI に関連付けるインシデントのマッチングを容易にします。変更によって新し

いインシデントが導入される場合があるので、CMDB は、簡単な問合せおよびレ

ポートのために、インシデント、問題、変更レコードを追跡します。

構成管理 ITIL 構成管理プロセスの主な目的は、他のすべての主要なプロセスをサポートす

る正確な情報を提供し、IT インフラストラクチャのすべてのコンポーネントの構

成レコードを説明および検証することです。 ITIL 用語における構成管理の定義は、以下のとおりです。 構成管理は、存在する構成アイテム(CI)のバージョンと相互の関係を識別、管

理、保守、および検証することで、インフラストラクチャまたはサービスの論理

モデルを提供します。 構成管理は、次の 4 つの主要なタスクで構成されます。

• 識別 - すべての IT コンポーネントの指定および識別と CMDB への格納 • 管理 - 各構成アイテムの管理 • ステータス - CMDB のすべての構成アイテムのステータスの記録とこの

情報の保守 • 検証 - CMDB に含まれる情報の正確性を保証するレビューと監査を含む

Oracle Enterprise Manager の構成管理ソリューションは、構成の検出の管理、構成

変更の実施、および IT プロセスの自動化を行います。エージェント・テクノロジ

およびエージェントレス・テクノロジを使用して、企業のすべてのハードウェア

およびソフトウェア・リソース、パッチ、それらの関係と関連付け、トポロジ、

システムとサービス、可用性、およびパフォーマンスのメトリックに関する詳細

な構成情報を検出および収集します。 これには、以下の情報が含まれます。

• ハードウェア(CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークなど) • オペレーティング・システムのパッケージ、パッチ、およびカーネル・

パラメータ設定 • '使用関係'、'親子関係'、'接続関係'の対象などを含む CI 間の関連 • 暫定パッチ、パッチ・セット、他の構成設定、コンポーネント、データ

ベース・パラメータを含むインストール済みのオラクルのソフトウェア • システム、サービス、およびグループ

構成管理の主な目的は、存在する構成ア

イテム(CI)のバージョンを識別、管理、

保守、および検証することによって、ITインフラストラクチャまたはサービスの

論理モデルを提供することです。

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• トポロジ • メトリックと通知 • 変更履歴 • 特に、SQL Server や DB2 などのデータベース、NetApp や EMC などのス

トレージ、Juniper や Cisco などのネットワーク・ソリューション、BEA Weblogic、IBM WebSphere、IBM WebSphere MQ5 などのミドルウェアを

含むサード・パーティのソフトウェア また、Oracle Enterprise Manager の CMDB は、パッケージ・アプリケーションの構

成情報を収集します。たとえば、Oracle E-Business Suite の場合、CMDB は、100を超える構成メトリックを収集し、トポロジの根本原因分析を容易にします。

PeopleSoft の場合、500 を超えるメトリックで、構成ポリシー管理の自動化とアプ

リケーション関係の検出を収集します。 構成は、定期的に自動収集され、Oracle Enterprise Manager CMDB リポジトリに保

存されます。アドホックな収集もサポートされます。Oracle Enterprise Manager は、

CI のスナップショットを取得する機能だけではなく、バージョン番号を CI ベー

スラインに割り当てて構成のずれを管理するためにそれを保存する機能も提供し

ます。

図 4:サーバーCI の詳細:ハードウェア、オペレーティング・システム、およびアプリケーション

Oracle Enterprise Manager は、ハードウェアとソフトウェアのインストールおよび

構成に対するすべての変更も追跡します。これは、マシンが最後に正しく機能し

ていたときより後の変更を管理者が素早く簡単に把握できるため、問題管理や根

本原因分析で重要になります。この機能は、コンプライアンスの管理にも重要で

す。すべての構成変更を取得および保存することによって、Oracle Enterprise Managerは、変更分析(変更者、変更内容、変更時期、および変更値)を容易にします。

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図 5:詳細な構成履歴は、すべての CI に対して計算され保存されます。

また、Oracle Enterprise Manager は、企業全体のシステムを詳細に比較するツール

を提供します。これによって、管理者は、潜在的な違いをすばやく簡単に特定で

きます。比較は、ハードウェアからアプリケーションまでとスタック全体に及び

ます。これによって、システムの同期が維持され、'構成のずれ'が少なくなります。

また、RAC クラスタのノードなど、同一と思われるシステムの動作が異なる原因

の調査を簡素化します。選択した複数(1~n)のターゲットと'標準となる'構成に

ついて、参照構成、保存した構成ベースライン、または使用中の構成に対して、

非定型または定型的な比較を行うことができます。

図 6:2 つのデータベース・インスタンス間の Oracle Database SGA パラメータの比較

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Oracle Enterprise Manager には、すべてのターゲットの特定の構成値を検索し、標

準となる構成とのずれを検証する機能があります。これによって、問題のある構

成が使用されているか、適切なパッチが適用されているかを判断できます。 つまり、Oracle Enterprise Manager は、CI 情報のプライマリ・リポジトリとして役

立つ豊富で包括的な構成管理データベースだけではなく、インシデント管理、問

題管理、変更管理、およびリリース管理を含む他の主要な ITIL プロセスもサポー

トします。

変更管理 変更管理とは、サービス品質の変更に関連するインシデントの影響を最小限に抑

えるため、組織の IT インフラストラクチャのすべての変更を効率的かつ迅速に処

理するために使用される標準化されたメソッドとプロシージャを実装するプロセ

スです。これには、各変更に関するビジネス面の理由の確認、変更の影響を受け

る特定の構成アイテムと IT サービスの識別、変更の計画、変更のテスト、および

変更によって構成アイテムが予期しない状態になる場合の取り消し計画の使用が

含まれます。 ITIL 用語における変更の定義は、以下のとおりです。 承認済みのサポート・ハードウェアまたは基本ハードウェア、ネットワーク、ソ

フトウェア、アプリケーション、環境、システム、デスクトップ構築、または関

連ドキュメントの追加、変更、削除 オラクルは、包括的で完全な変更ライフ・サイクル管理ソリューションを提供し

ます。これによって、インシデント、問題、既知のエラー管理をさらに効果的に

解決できます。

図 7:変更要求(RFC)の詳細

変更管理の目的は、変更に関連するイン

シデントの影響を最小限に抑え、ルーチ

ン処理を向上させるため、すべての変更

を効率的かつ迅速に処理するために使用

される標準化されたメソッドとプロシー

ジャを実装することです。

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オラクルの変更管理では、組織の IT インフラストラクチャに対するすべての変更

を効率的かつ迅速に処理する標準化されたメソッドとプロシージャを施行します。

また、変更に関連するインシデントのサービス品質への影響を最小限に抑え、日

常業務を改善します。 オラクルの変更管理

• 計画的な変更の影響を受ける可能性のある IT インフラストラクチャ・コ

ンポーネントおよびビジネス・サービスに可視化を実現します。 • 受信する変更リクエストの正確な分類を容易にします。 • 変更リクエストのマルチレベルの承認を追跡して自動的にルーティング

します。 • 変更リクエストのライフ・サイクルを監視および追跡します。 • タスクの割当て、エスカレーション・プロセス、通知、および最適な人

員配置の承認を自動化します。 変更管理ソリューションによって、組織のインフラストラクチャに対して IT の変

更が与える影響の全体像が提供されます。このソリューションは、豊富で詳細な

構成情報を検出するだけではなく、構成アイテム間の詳細な関連付けおよび関係

も検出します。親/子など、これらの関係の問合せの実行は、計画的な変更の影響

を把握する上で重要です。これは、依存関係が明白ではない、分散・疎結合なサー

ビス指向アーキテクチャ(SOA)環境ではさらに重要です。このプロセスによっ

て、構成アイテムの識別を可能にし、適切な時期に実行するアクションをスケ

ジューリングする機能を備え、必要に応じて変更を取り消す手段を提供します。

また、既存のオブジェクトでの変更により効果が得られます。ビジネスとリスク

の評価への影響に基づいて、変更に優先順位が付けられ分類されます。ヘルプデ

スクは、計画的な変更を実装するために、必要なリソースの可用性を決定できま

す。IT のインフラストラクチャと担当者への変更の影響を識別することによって、

IT マネージャとビジネス・マネージャは、IT 担当者を効率的に割り当ててビジネ

スへの影響を最小限に抑えるスムーズな変更プロセスを連携して保守できます。

承認プロセスは自動化され、承認が適切な担当者に送信されます。また、遅延を

回避するために追跡できます。自動割当てとエスカレーション・ルールを定義し

て、代わりの担当者および地域に承認と通知をルーティングできます。包括的な

コラボレーション環境を使用すると、プロジェクト管理ツールの統合に基づいて、

変更諮問委員会(CAB)プロセスと変更スケジュールを管理できます。 過去に行われた同様の変更を確認して、計画的な変更の実装に必要な作業の調査

とともに分析を使用できます。

リリース管理 リリース管理とは、組織内のすべてのソフトウェアに関する構成アイテムの管理

です。ソフトウェア開発の管理や組織のソフトウェア製品のインストールおよび

サポートを行います。

リリース管理の目的は、ソフトウェアの

配布とインストールに必要な手順の計画、

作成、および実装とロールアウト・プロ

セスの管理です。

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ITIL 用語におけるリリース管理の定義は、以下のとおりです。 承認済みのサポート・ハードウェアまたは基本ハードウェア、ネットワーク、ソ

フトウェア、アプリケーション、環境、システム、デスクトップ構築、または関

連ドキュメントの追加、変更、削除 リリース管理の手順には、ソフトウェアの構成アイテムのライフ・サイクル管理、

それらの配布、および本番環境への実装が含まれます。これには、次の機能が含

まれます。

• IT システムへの変更の配布とインストールに必要な手順の作成および実装

• IT システムへの変更の配布とインストールの管理 Oracle Enterprise Manager は、企業内のソフトウェアの調整されたロールアウトを

管理する詳細なソリューションを提供します。ソフトウェア・ライブラリのリリー

ス・プロセスを一元化することによって、適切な計画と管理を実現できます。変

更管理プロセスの下流プロセスとして、他のソフトウェア・リリースの影響や競

合を自動的に識別できます。また、サービスの削除、停止、および起動を順序付

けることによって、リリース・ロールアウト・プロセスを統合します。ソフトウェ

アを実装している間、Oracle Enterprise Manager は、関係者にステータスの変更を

通知します。これによって、修正処理を行う機会が提供されます。リリース・プ

ロセスがリリースの目的を満たさなかった場合、Oracle Enterprise Manager は、組

込み機能を使用して、リリース操作をロールバックおよび再試行します。ソフト

ウェアが実装された後、Oracle Enterprise Manager は、CI の構成変更が CMDB で

更新されていることを確認します。 リリース管理プロセスの最初のステップでは、確定版ソフトウェア・ライブラリ

(以降、DSL)の標準のソフトウェア・コンポーネントを構築、保存、および構成

します。Oracle Enterprise Manager は、ソフトウェアの計画、管理、および適切な

実装を容易にする一元化された DSL のインフラストラクチャを提供します。DSLを使用すると、参照インストールから組織の'標準イメージ'を作成できます。 DSL は、コンポーネントやイメージなどのソフトウェア・エンティティの階層を

サポートします。コンポーネントは、イメージの要素として使用できます。複数

のコンポーネントを組み合わせて、'標準イメージ'を作成できます。また、DSL は、

異なるイメージおよび関連操作で再利用できるバージョニングされたスクリプト

を保存できます。スーパー管理者は、これらのイメージを作成および保守できま

す。各管理エンティティの管理者は、新しい出力先にソフトウェアを配置するた

め、何度もそれらのイメージを使用できます。オラクルは、これらのイメージに

関連付けることができる標準のテンプレートを提供しています。参照しやすくす

るため、イメージにカスタム・タグやバージョンを割り当てることもできます。

これによって、ユーザーは、認定された信頼性の高い再利用可能な多くのソフト

ウェア・パッケージを構築して、元のソースとは異なる場所に再配置できます。

次の図は、DSL の異なるソフトウェア・エンティティの分類法を示しています。

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Oracle Enterprise Manager 10g および Oracle Siebel HelpDesk を使用した ITIL ベスト・プラクティス

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Oracle Corporation 発行「ITIL Best Practices with Oracle Enterprise Manager 10g and Oracle Siebel Help Desk」の翻訳版です。

ITIL 標準の DSL を提供することによって、Oracle ソリューションは、一貫性のある

統合された方法でオラクル、サード・パーティ、または社内のアプリケーションの

ソフトウェアを配置するために、"標準イメージ"の作成もサポートします。インテ

グレータと同様にデータ・センターでも、カスタム・ソリューションを繰り返し可

能なソリューションにパッケージ化して配置用に展開できます。

図 8:DSL コンポーネント

Oracle Enterprise Manager リリース管理の DSL は、完全リリース、デルタ・リリー

ス、パッケージ・リリースの作成を容易にします。少数のファイルを修正する

Oracle 暫定パッチは、デルタ・リリースの一例です。パッケージ・リリースは、

オペレーティング・システム、データベース、およびアプリケーション・サーバー

を 1 つのイメージに格納します。完全なデータベース・ソフトウェア・インストー

ルは、完全リリースの一例です。 リリース管理プロセスの別の主要な要件は、IT システムへの DSL のイメージの配

布とインストールを管理することです。スケジューリングと計画、自動検証、通

知と通信、最新の CI ステータスを反映する CMDB の更新を含む全体の配布とイ

ンストールを自動化する標準の繰り返し可能なプロセスは、標準化プロセスを使

用したソフトウェアと関連ハードウェアの適切な実装に役立ちます。これによっ

て、更新されるソフトウェアが追跡可能になり、認可およびテストされた正しい

バージョンのみがインストールされます。 Oracle Enterprise Manager Provisioning Pack は、Oracle Enterprise Manager によって統

合される一連の手順で構成された標準のデプロイメント・プロシージャのベスト・

プラクティスを提供します。顧客の要件に応じて、デプロイメント・プロシージャ

を拡張およびカスタマイズできます。単一のインスタンスのデータベースにパッ

チを適用するデプロイメント・プロシージャは、RAC 環境またはアプリケーショ

ン・サーバーにパッチを適用する場合とは異なります。デプロイメント・プロシー

ジャは、顧客毎またはインストール毎(テスト・インストールから本番インストー

ル)で異なる場合があります。デプロイメント・プロシージャは、層ごとに複数

の依存性が存在する複雑な現実のさまざまな環境を考慮します。既存の運用プラ

クティスによって、状況がさらに複雑になります。

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通常のデータ・センターのデプロイメント・プロシージャは、デザイン・タイム・

アクティビティ(通常は、上位管理者によって実行)およびランタイム・アクティ

ビティ(通常は、オペレータによって実行)を含めることができます。通常のデ

プロイメント・プロシージャには、全体のソフトウェア・スタックまたは個別のコ

ンポーネントのパッチ手順を含めることができます。プロビジョニング手順には、

オペレーティング・システムのプロビジョニング、データベースとミドルウェア

のプロビジョニング、スケールアウト、およびパッケージ・アプリケーションの

クローニングを含めることができます。 ステップまたはフェーズの挿入または削除、あるいは有効化または無効化を実行

するデプロイメント・プロシージャを編集できます。 つまり、Oracle Enterprise Manager のリリース管理ソリューションは、包括的な管

理とトレーサビリティを実現するリリース・コンポーネントとパッケージのバー

ジョニングとともに、ソフトウェア、ドキュメント、および手順の計画、管理、

および適切な実装を容易にします。

サービス・レベル管理 サービス・レベル管理(SLM)とは、顧客と IT サービス・プロバイダの連携によ

るサービス・レベルの定義、交渉、承認、監視、およびレポートの一定のサイク

ル・プロセスです。サービス・レベル管理プロセスは、品質保証契約(SLA)を

中心とします。品質保証契約(SLA)の目的は、顧客のビジネス目標を満たすた

めに IT サービス品質の継続的な保守および向上を実現することです。このプロセ

スによって、サービス品質への悪影響を最小限に抑えられます。 ITIL 用語におけるサービス・レベル管理の定義は、以下のとおりです。 SLA の計画、調整、作成、承認、監視、レポートのプロセス、およびコストに見

合う必要なサービス品質を維持した徐々に改善するためのサービスの実現に向け

た継続的なレビュー Oracle Enterprise Manager は、ITIL SLM プロセスをサポートするいくつかの最適な

機能を提供します。Oracle Enterprise Manager の SLM 方法によって、IT サービス・

プロバイダは、ビジネス目標に基づく SLA の定義、豊富なメトリックを使用した

サービス品質の監視および実際のサービス・レベルのレポートを実行できます。 サービスを監視する前に、サービス・コンシューマまたは顧客において、サービ

スを正確にモデル化および定義する必要があります。実際のサービスは、エンド・

ユーザーの観点から Oracle Enterprise Manager でモデル化および定義されます。サー

ビス自体も IT リソースにマッピングされます。エンド・ユーザー・タスクは、Oracle Enterprise Manager のサービス・レベル管理機能による 365 日 24 時間態勢でサービ

スを事前に監視する'サービス・テスト'としてモデル化されます。サービス・テス

トは、サービスの可用性とパフォーマンスを評価するために使用されるエンド・

ユーザーのビジネス・プロセスまたはアクションを表します。サービス・テスト

は、代表的で重要なエンド・ユーザーの場所に通常配置されるリモート・エージェ

ント(ビーコン)から、定期的に定義および再実行されます。Oracle Enterprise Manager を使用すると、これらのサービス・テストまたはサービスの重要なシス

テム・コンポーネントの可用性によって、サービス・レベルの目的を定義および

決定できます。

サービス・レベル管理の目的は、顧客の

ビジネス目標を満たす承認、監視、およ

びレポートの一定のサイクルを使用した

IT サービス品質の維持および向上です。

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主要なサービス・インジケータを使用して、可用性、パフォーマンス、使用状況、

およびサービス・レベル・コンプライアンスを監視します。豊富なメトリックは、

サービス・レベルの定義と測定に使用できます。サービスのテストおよびトラン

ザクション、またはシステム・コンポーネントから派生するパフォーマンスのメ

トリック、システム・コンポーネントのスループット・アクティビティの監視か

ら派生する使用状況のメトリックが含まれます。また、Oracle Enterprise Managerは、期待されるサービス・レベルの目的のパーセンテージ、可用性、およびサー

ビス日時を含む他の重要なサービス・レベル基準を定義する機能を提供します。 サービス・レベルの一元化されたレポートと表示は、最近 24 時間、7 日間、また

は 31 日間などの間隔で、SLA コンプライアンスを監視できるカスタマイズ可能な

サービス・ダッシュボードを通じて、リアルタイムおよび過去の履歴から提供され

ます。サービス・ダッシュボードからのドリルダウンによって、サービス・レベ

ルの詳細がわかります。サービス・ダッシュボードは、すべての重要なサービス

に対する'ワンストップ'の管理コンソールと、サービス全体の状態と SLA ステー

タスを表示する統合ビューを提供します。

図 9:サービス・ダッシュボードで監視および表示されるサービス・レベル・ コンプライアンス

さまざまな標準のサービス・レポートの提供以外に、Oracle Enterprise Manager のInformation Publisher 機能を使用して、サービス・レポートのカスタマイズが可能

です。標準のレポートおよびカスタマイズ可能なレポートは、経営者と管理者に

対して柔軟性のあるレポート・オプションを提供します。

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まとめ ここまで、ITIL 推奨プロセスを説明してきました。また、リソースの効率性の向

上と IT 処理コストの削減とともに、Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control とOracle Siebel HelpDesk を使用して、提供サービスのレベルを大幅に改善する方法

も説明しました。組織は、ITIL フレームワークの採用によって、IT とビジネスの

目的を調整し、IT 投資利益率を改善できます。 ITIL は一般的なベスト・プラクティスの基本ガイドラインを提供していますが、

実際の実装は、組織の変更要件によって異なります。Oracle Enterprise Manager とOracle Siebel HelpDesk は、完全に統合された ITIL ソリューションを実装するため

に組織で使用できる標準機能を用意して、IT 企業による ITIL フレームワークの配

置をサポートする必須ツールを提供します。 ITIL®は、英国商務庁の登録商標および欧州共同体商標であり、米国特許商標庁に

登録されています。 http://www.itil.co.uk/

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Oracle Enterprise Manager 10g および Oracle Siebel HelpDesk を使用した ITIL ベスト・プラクティス 2007 年 5 月 著者: Ratnesh Sharma 共著者: Ana Maria McCollum、Melinda Uhland、Sudip Datta、Julie Wong、Walter Romanski Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A. 海外からのお問合せ窓口: 電話: +1.650.506.7000 ファクシミリ: +1.650.506.7200 www.oracle.com Copyright © 2005, Oracle.All rights reserved. 本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は

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