5章 プロジェクトチームの 役割と基本戦略の策定37 5.プロジェクトチームの役割と基本戦略の策定 5 役割と基本戦略の策定プロジェクトチームの
三つの基本戦略と市場地位別の戦略柔道戦略(Judo Strategy)...
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第4回
三つの基本戦略と市場地位別の戦略
❖業界構造分析等を通じて、望ましい市場・セグメントに自社を位置付けたとしても、その後競争が激化する
⇒資源に基づく競争優位性の確立
「資源ベース視点」との組み合わせを検討する
⇒戦略的な「立ち位置」の確立
他社と異なる戦略展開のあり方を検討する
1.3つの基本戦略の検討
2.市場地位別の戦略の検討
戦略的な「立ち位置」の決定
戦略的な立ち位置:3つの基本戦略(1)
戦略の有効性
戦略ターゲット
独自性 低コスト
広範
特定
差別化戦略 コスト・リーダー
シップ戦略
(集中差別化戦略) (集中コスト戦略)
❖コスト・リーダーシップ戦略 ♦ 競争相手よりも低コストで製品・サービスを提供する
♦ 規模の経済性・経験効果の活用
❖差別化戦略 ♦ 競争相手とは異なる製品・サービスを提供する,あるいは異なるユニークなやり方で製品・サービスを提供する
♦ 高付加価値、価格プレミアム
♦ 差別化のポイント ▸製品・サービスそのもの ▹ 性能,品質,デザイン…
▸補助的サービス ▹ アフターサービス,納期,納入方法 ▹ 支払条件,購入の便利さ…
戦略的な立ち位置:3つの基本戦略(2)
❖集中戦略
♦ 製品種類(製品)の絞込み
♦ 顧客ニーズ(顧客)の絞込み
♦ 顧客アクセス(地理)の絞込み
♦ 絞り込んだ分野でのコスト戦略
♦ 絞り込んだ分野での差別化戦略
3つの基本戦略(3)
❖具体的な業種を選んで、コストリーダーシップ、差別化、集中の核戦略を志向していると考えられる企業例を挙げてください。
♦ 自動車業界
♦ ハンバーガー業界
♦ その他
3つの基本戦略の具体例
♦ 条件が一定のもとでは、いずれか一つを選択
♦ 特定の戦略を一貫性・整合性を持って追及すること
♦ 移動困難性、差異の維持
❖ Stuck-in-the-middle
♦ 中途半端な戦略
♦ 二兎を追うものは一兎をも得ず
中途半端な戦略(Stuck-in-the-middle)
❖低コスト化と差別化とのトレードオフ
❖重点の選択と戦略的一貫性・整合性
マーケットシェアと収益性との関係
❖企業の業界内における市場ポジションに応じて、 とるべき戦略は異なる
❖市場ポジションによる企業の類型
市場地位に応じた戦略
リーダー シェア1位か
攻撃的か
独自の生存領域を持っているか
チャレンジャー
ニッチャー
フォロワー
yes
no yes
no yes
no
❖身近な業界を取り上げて、リーダー企業、チャレンジャー企業、ニッチャー企業、フォロワー企業の具体例を挙げてください
リーダー、チャレンジャー、ニッチャー等の例
❖トップ・シェアの魅力
♦生産コストの優位性 ▸ 規模の経済性
▸ 経験効果
♦流通業者に対する交渉力(シェルフ・スペースの確保など)
♦市場支配力(価格決定権など)、業界への影響力
♦顧客へのアピール度,ブランド認知
♦研究開発への投資
♦情報収集力
♦人材獲得
リーダー企業の強みと弱み
❖「規模の大きさ」ゆえの弱み
♦最小最適規模が大きい
❖「強さ」ゆえの弱み
♦ 「判官びいきの顧客」への対応
❖「持てるもの」ゆえの弱み
♦確立された生産・販売システム
♦豊かな顧客の存在
リーダー企業の潜在的な弱み
❖シェアの拡大?
❖シェアの防衛 ♦直接対決:価格戦略,プロモーション戦略
♦ハラスメント?
♦ フル・カバレッジ戦略
♦同質化(2番手戦略)
❖新市場・需要の創造 ♦新しい用途・顧客ニーズの開拓
♦新しいユーザーの獲得
♦ 1回あたりの使用量の増加
リーダー企業の戦略
❖チャレンジャー企業の競争戦略
♦ 差別化
♦ 模倣困難性の組み込み ▸ リーダーが持っていない経営資源の利用
▸ リーダーが模倣できない事業の利用
❖ニッチャー企業の競争戦略
♦ 隙間セグメントへの集中 ▸ リーダー企業の最小最適規模の大きさゆえの隙間の発見
❖フォロワー企業の競争戦略
♦ 経済性セグメントへの集中 ▸他社にとって戦略的重要度の低い市場セグメントの発見
▹ 世代落ち,低級品,残存市場……
リーダーでない企業の競争戦略
❖事例
♦ J&Jの「リーチ」
♦ キューサイの「青汁」
♦ アスクルの「ダイレクトモデル」
❖リーダー企業が持つ資産の負債化
♦ 強みを弱みに変える
♦ 柔道戦略(Judo Strategy)
リーダーが真似のできない戦略
❖「PCダイレクトモデル」
♦ 中間流通業者を「中抜き」する直販システムは、それまで中間流通業者に依存して事業を拡大させてきた既存のPCメーカーには難しい対応を迫る
cf. アスクルの「文具通信販売」
❖「低価格サーバー戦略」
♦ 「1990年代半ばになると、ライバルの一部が、利益の半分以上をサーバー分野で稼いでいることが明らかになった。さらに、彼らのサーバーは、優れた製品であったが、他の最も収益性の低いPC事業を支えるために、法外に高い価格で販売されていた。これは、信じがたいほど大きなチャンスだった」。
デルの柔道戦略