4. 破面 : 延性ストライエーション 延性ストライエ シンス ......4. 破面 : 脆性ストライエーション 脆性ストライ シントライエーション
圧延機用ACドライブシステム - Hitachi · 2015-03-27 · 小特集...
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小特集 パワーエレクトロニクスによるACドライブシステム
圧延機用ACドライブシステムAC Motor Drive SYStemSfor Ro=ng M‖s
止D・C・る21.313.333-58:〔占21.314.572.072.る
:る81・325〕:占21.771-83
AC可変速ドライブの高性能化が急速に進展しておr),鉄鋼プラントでのAC化の
適用は補機用から主機用へと拡大している。AC化のねらいは省力化と省エネルギー
化に加え,従来のDCドライブ以上の高精度化と高応答化を実現することによって,
究極目的である圧延製品の高品質化と歩留まりの向上にある。
今回,日立製作所は,圧延主機用全ディジタル72アームサイクロコーンバータの製
品化を行なった。マルチプロセッサ構成及びシグナルプロセッサをコプロセッサと
して使用し,コントローラの仝ディジタル化と処理速度の大幅な高速化を図るとと
もに,高分解能サインエンコーダによる高精度な速度検出方式を確立した。これら
により,非干渉希り御やオブザーバなどの現代制御理論の適用を可能とし,従来のDC
ドライブに対し質的な性能向上を実現した。
これらの成果を株式会社中山製鋼所納め熟間圧延用5,000kWサイクロコンバータ
に採用し,社内組合せ試験により所期の性能を確認した。
t】 緒 言
AC可変速ドライブシステムは,パワーエレクトロニクス及
びヤイクロエレクトロニクスの進歩,発展による小形化,低
価格化により適用範囲がますます拡大している。ベクトル制
御技術1)・2)やディジタル制御技術の適用3)・4)により,ACドライ
ブシステムの制御性能は著しく高性能化し,ACドライブシス
テムはDCドライブシステムに取って代わろうとする勢いにあ
る。圧延主機ドライブシステムの性能は,従来,直流機の整
流条件により制約されていたが,AC化により大幅な高性能化
が可能となり,圧延製品の高品質化と歩留まりの向上が期待
されている。これらが実現可能となってきたのは,電動機の
完全ブラシレス化とコントローラの仝ディジタル化に加えて,
非干渉制御やオブザーバなどの現代制御理論の適用を可能と
する高速ディジタルコントローラの進歩と発展によるもので
ある。
凶 AC化の背景と適用
2.t AC化の背景
従来,AC化は直i充機のもつ整i充機構の保守面,信頼面の改
善を目的として採用され始めたが,オイルショ\ソク後の省電
力化のニーズから急速に進展した。その後,制御性能の面で
はベクトル制御が実用化され,高速・大容量サイリスタ,GTO
(Gate Turn Off)サイリスタやパワートランジスタなどを用
いた正弦波形可変周波電源技術,マイクロプロセッサ適用の
佐藤 潔*
魚生川 隆**
竹村 明**
松竹 貢***
山品光則***
奥山俊昭****
大前 力*****
好か0占ゐ7ふ~′∂
7滋々αSゐg S〃々(新王イブ〟
AゑJm 7滋ゑg〃ヴ甜′Ⅵ
〟Zね~伊 〟α由〟ゎんe
〟g缶〟乃のr才i匂椚αSん才〃〟
7もsゐ~αゐ~0血(γα椚〟
7七びわ7乃〃()07Wg
ディジタル制御技術とその応用技術や多変数制御技術などに
支えられ,AC可変速ドライブの高性能化と高度化が急速に進
展してきた。その結果,鉄鋼プラントのAC化の適用は圧延補
機から圧延主機へと拡大している。
圧延製品の高品質化,生産性向上や歩留まり向上を図るた
めに,主機用ドライフすシステムには可変速範囲の大幅拡大と
高精度,高応答性が要求され,日立製作所は大容量かご形誘
導電動機をベクトル制御サイクロコンバータにより低トルク
脈動で駆動するシステムを製品化した。高精度速度センサと
して高分解能サインエンコーダを開発するとともに,トルク
電流′。と励磁電流′。の非干渉制御,軸振動抑制負荷トルクオ
ブザーバを採用し,可変速度範囲の拡大,高精度化,高応答
化を実現した。熱間圧延用としては電子原設備が簡素である無
循環電子充方式を採用し,冷間圧延用としては,トルク脈動低
減に有効な循環電i充方式を採用する。この場合,負荷一循環
電流の非干渉制御により両者の干渉を防く、lとともに,循環電
流の極少化を図り,電源力率の向上を図った。
2.2 用途と適用
鉄鋼プラント用AC可変速ドライブは,負荷の基本仕様から,
用途区分として高性能用と汎用に大別される。高性能用はベ
クトル制御付きとし,従来のDC可変速ドライブの代替となる。
表1に主な用途で区分した日立製作所のAC可変速ドライブ方
式を示す。また,同表を容量(kW)と回転速度(rpm)に展開す
表l 各種AC可変速ドライブ ACドライブには各種の方式があり,プラント全体とLての統一性はもとより,用途に適した方式の選定が重要である。
区 分・ No.主 回 路
出力電〉荒波形最高周波数
(Hz)電動機 主 な 用 途
方 式 使用素子
高性能
(ベクトル制御付き)
l
電圧形INVPTRS 正弦;皮 i20 lM
●プロセッシンクうイン
●圧延補機(圧下,テーブル他)●連続鋳造
2 GTO 正弦波 120 lM
3
電流形INVGTO 正弦フ度 120 lM
4 THY 方形波又は階段濾 60 lM ●大・中容量圧延主機,補機(ビレット,線材ミル,リール,シヤー他)5 サイクロコン/ヾ一夕 THY 正弦波 50 lM,SM ●低速,大容量主機(ホットストリップミル.タンデムコールドミル他)6 電流形サイリスタモータ THY 方形波又は階段濾 100 SM ●高速,大・中容量圧延主機,補横(線材ブロックミル他)
汎 用7 電流形INV THY 方形波又は階段濾 100 lM
●各種テーブル
(∨/ト定制御) ●フアン,ポンプ
注:略言吾説明【NV(インバータ),PTRS(パワートランジスタ),THY(サイリスタ),GTOサイリスタ(Gate Turn Offサイリスタ),lM(誘導電動機),SM(同期電動機)
*株式会社中山製鋼所新形鋼上場 **
H立巷望作帝大メ人か工場***
口_、ヒ吾竺什三巾日立_1二場****
日立製作析R立研ノ先所*****
日立製作所日立研究所工学博上
11
620 日立評論 VOL.68 No.8(1986-8〉
ると図1に示すマップとなる。現時点では機種が多く,マッ
プ上互いに重なっている部分があるのは,容量,回転数によ
りコストミニマムを実現する方式が異なるためである。
田 ACドライブにおける高性能化技術
圧延主機駆動用には,広い可変速範囲で高精度かつ急速な
加減速運転が要求される。国2にべクトル利手卸を用いたかご
形誘導電動機のサイクロコンバータドライブシステムの構成
を示す。基本的な制御ループは,広範囲な回転速度を高精度,
高応答で制御する速度制御ループ(ASR),励磁電i充とトルク
電ラ充をオフセット誤差なしに高応答で制御する電i充制御ルー
プ(ん/′9 ACR)及び電動機の各相電流を主回路定数に影響
されずに高速に制御する電卓充制御ループ(タイV ACR)から構成
される。ベクトル制御では,誘導電動機の二次抵抗の変化に
4,00
3,00
0
0
5
「【)
(∈n上世増収直
0
0
0
0
~■入∧YYIYモ六×Xl入
(DTRS
lNV
(lM
1・
ご■′\二′
壷③
⑥ノ′′′′_′′/
Eチ≠努′
;\′′/ノノノ∴
\、、
4
(循環電流)○
○
(無循環電流)
三1■甑壬玩軌範THYINV・
リ叫餞
⑤ サイクロ
コ:/ノヾ一夕(1M・SM)(丑
汎用THY
lNV(州) 転\
350 1,000 3.000 5,000 15,000
容 量(kW)
注:(D~⑦は,表1のNo.に対応する。
図I AC化適用マップ ACドライブには各種方式があり,用途及び電
動機仕様に最適な方式を選定することが重要である。
Jd*指令演算
山1
辣
RAMP.G
指令
レニ十
e¢制御
++ +
¢書
+
Jd一
石i
+
ポ
+
+
ASR
OBS
+
』山3
二次抵抗補 償
むノ1
ed
eq
速 度
検出・演算
よりトルク精度が低下するが,直軸電圧β。によりスリップを補
償(』山S)して高精度なトルク特性を確保している。
ところで,AC化のメリットの一つに,可変速範囲を大幅に
拡大することによるギャレス化と電動機の小形化があるが,
最近このニーズが特に強くなってきている。これを実現する
ためには,まず零速度近傍から最高速度までの広範囲な回転
速度を高精度,高応答で検出できる速度検出器が必要となる。
また,広範囲な界磁弱め制御(例えば速度比1:6)を行なう
と,最高速度,過負荷運転で電動機電ラ充に占める励一遍電i先の
割合は数パーセント以下に減少するため,トルク変化時に電
動機一遍束が変動しやすくなる。これはトルク電i充成分と励磁
電流成分の相互の影響によるものであり,トルク電流成分と
励‡滋電i充成分の非干渉化制御によりそれぞれを高精度に制御
する技術が必要となる。更に,速度制御性能の高度化を阻ん
でいた軸振動を積極的に抑制制御する必要が生じてきた。
また,大容量圧延主機駆動に用いるサイクロコンバータで
は,出力電圧が正弦波となるためサイリスタレオナードに比
べて,電子原の平均力率が低下する。これら重要課題の対応策
について,以下に述/ヾる。
3.1 高精度速度検出器
今1司製品化したサインエンコーダは,特殊な高精度回転ス
リットディスクを用いており,従来のパルス発信機に比べ下
記の特徴を実現している。
(1)計測時問ピッチを短縮し,かつ高精度化を図るために
パルス数を約10倍化した。
(2)パルス信号のほかに正弦波信号をもち,低速から零速
度では正弦波の信号処理により中,高速と同一の短計測時間
ピッチ及び高精度を実現した。
3.2 励磁電流l。とトルク電i充l。の非干渉制御
ベクトル制御は,電動機電i充を励磁電i充成分とトルク電手先
成分に分離して制御するので,磁束とトルクをそれぞれ制御
できることになるが,各電i充成分に基づく電動機内電圧降下
電源トランス
TJq
R
C
′′
C
&
C
▼Jd
A
D
山′ノ
Reg,
Comp.
Vd
Vq
Jd
Jq
m
OS
S
C
(方形波パルス及び正弦波)
如珊/州㈲
∪,V,W
(3相)
\
d,q
(2相)
+
「-「■■
「卜J一
∵㌫…
l
一
r■■■+
十
+
R
軸ACGPG
GPG
サイタロ
コンバータ
Vムー-I′,Vv-Ⅵ′,VⅣ-U
lM
PT
(変成器)
CT
(変流器)
′′誘導電動機
サイン
エンコーダ
注:略語説明RAMP・G(ランプゼネレク),ASR(AutomaticSpeedRegu】ator),ACR(仙omatioC〕rre〔tRegulator),DCC(De¢叩仙gControl),OBS(Obser〉er)パPG(GateP山5eGenerator),d,q(d軌脚を示す。)
*(指令債を示す。)¢(磁軋fc(循環電軌i〟(電動機電軌叫(電動機電源の角周波軌叫(電動機回転角周波軌山s(スリップ角周波数)
図2 ベクトル制御サイタロコンバータドライブシステム構成 ベクトル制御サイタロコンバータにより,かご形誘導電動機をドライブL,非干渉
制御(DCC)と二次抵抗補償及びオブザーバ(OBS〉により高精度,高応答を得る制御方式である。
12
の変動が,各電流成分間の干渉原因となる。各電i充成分信号
を用いて電動機内部電圧降下をフィードフォワード的に補イ賞
することにより,電盲充成分間の干i歩を取-)除くのが非干渉制
御であl),これにより高応答制御が可能となる。
3.3 軸振動抑制制御
軸振動を軽減する方法としては,(1)フィルタの利用,(2)速
度もしくは軸トルクのフィードバック,(3)指令パターンの_l二
夫など種々の方法が提案されている。特に,第2の方法はフ
4.0
3.0
樹▲埋
慧 2・0
..ゝ
一+
1.0
注:◇10%速度軸振動抑制なし
△ 77%速度軸顕動抑制なし
010%速度軸振動抑制あり
●77%速度軸振動抑制あり
.エl
l
ll
l
l
l
l
J
l
′
ll
l
′′■--ヽl
/ヽヽ
\ヽ
ーー
±多′′
、、、
l
0 5 1015 20 25
加療周波数(Hz)
軸共振周波数=19Hz
図3 オブサーバによる軸振動抑制効果 外乱トルクに対する軸トル
クの増幅率の周)度数特性を示Lたもので,共振周波数近傍の振動を著Lく)成衰
させている。
圧延機用ACドライブシステム 621
イードバック信号を用いるので軸振動の抑制効果はメこきいが,
機械側になんらかのセンサを必要とすることが欠点であった。
これに対して日立製作所では,現代制御理論の状態オブザー
バ5)を用いて機械側のセンサを不安とした軸振動抑制制御方式
を開発した。開発した負荷トルクオブザーバはトルク電流′。,
磁束指令値¢*及び速度検出値叫から電動機の負荷トルクを
推定する方式である。速度検出著旨にサインエンコーダを使用
しているグ)で,前述のように極低速領域まで非常に高い分解
能と精度で速度検出が可能である。この結果,オブザ【バの
演算を行なうマイクロコンピュータのサンプリング周期を短
く選ぶことが吋能となり,高応答な負荷トルク推定が実現さ
れている。
軸振動抑制制御は,オブザーバによって得られた負荷トル
ク推定値をトルク電i充成分に換算して,電動機のトルク電さ充
成分の指令値に加算することで構成する。一例として,負荷
機との間で約19Hzの軸共振周波数をもつ100kWの誘導電動
機を用いて,軸振動抑制効果の評価試験を行なった。負荷機
から正弦波トルクで加】辰L、軸トルクを測定した結果を匡13
にホす。今回開発Lた方式により,共振周波数近傍の振動が
著しく少なくなっており,その有効性が明らかとなった。
3.4 サイクロコンバータの力率改善
ノJ率改善のための各種制御方式を図4に示す。三i欠調波重
畳はサイクロコンバータの人力電圧を約15%程度下げても,
線間電圧として所定の基本波電圧が得られるので力率改善が
図られる。非対称制子卸Ⅰはサイリスタ変換器を2段縦続接続
時に上段側ブリッジに正の直流.バイアスを加算し,下段側ブ
リッジに負の直流バイアスを加えることにより,2段の合計
出力には直i充分が生じないようにし,制御角を零度又は180度
に近づけて運転し,電源力率を改善する方式である。非対称
制御ⅠⅠは2段縦続接続されたブリッジの一方を固定位相とL,
他方を移相制御する方式である。固定位相側の制御角は10~
15度又は155~160度にできるので,力率改善効果は最も良い
が出力電圧の脈動が増加する。
循環電さ充制御の場合には,負荷電1充と循環電流が同一の平
滑リアクトルに流れるため,相互干渉が生じる。これを防ぐ
には循環電さ充を負荷電流の約20%と大きくする必要があり,
力率を大幅に低下させることになる。今回,負荷電流と循環
対 称制 御 三次調波重畳
gol十2
eoいPo2
、■一一′
、■一`Pol⊥2 1・15eol+2
201IeO2ヽ、′ノ
非対称制御Ⅰ 非対称制御Il
el)1+2()2
201
上'2
本章
本来
本来
重要 -M
Pol+2
eol
eo2
eol eo2
上1β
′′一■-ヽ
ヽ、一一′
注:且β(直流バイアス) ピ02
本来
茶菓
図4 力率改善制御方式 各種力率改善制御時のサイクロコンパークの出力電圧波形を示すr
13
622 日立評論 VOし.68 No.8=986-8)
電動機電流
循環電流
(a)非干渉制御適用前
電動機電流
循環電流
(b)非干渉制御適用後
100
訳 50
坦0
肝-50
-100
0
0
0
0
■hJ(訳)喋
紆-50
-100
循環電流ヱ0亡.・
出力電流古エ【ノr
出力電圧
0 0.1
時 間(s)
(c)シミュレーション波形
0.2
注:略語説明
J上(.「(∪相負荷電涜〉
上ou(u相循環電涜)
図5 非干渉制御時の負荷電流と循環電流のシミュレーション結果
(b)の波形及び非干渉制御適用時のシミュレーション結果(c)を示す。
電流の非干渉制御を適用し,循環電享充を大幅に低減した。非
干渉制御を適用した場合の負荷電流と循環電流のシミュレー
ション結果を図5に示す。
巴 ミル主機駆動5,000kWサイタロコンバータシステム
株式会社中山製鋼所納め5,000kWサイクロコンバータシス
テムの社内組∴合せ試験による性能の検証を完了したので,概
要及び試験結果について紹介する。
表2に電動機及びサイクロコンバータの仕様を,図6にシ
ステム構成を示す。電動機は固定子2分割及び無循環電i充制
御方式のために16極,定格周波数16Hzとした。
4.15,000kWミル用誘導電動機
本システムに使用する誘導電動機は,ミル駆動特有の大ト
ルタかつ頻繁な負荷変動に耐えられるように設計されてお-),
これまでの圧延機用直音充電動機で確立した技術を各部に反映
BPU
メモリ
共 通
メモリ
BPU
メモリ
共 通
メモリ
HSSP
メモリ
共
メモリ
HSSP
GPG
GPG
BPU
指令
Ry
各 種
故障信号
光Rけ0
Dり′0
Dl
HSSP
SPDT
注:略語説明
BP](BasioProcess什唱Unit)
HSSP(High Speed SignalProcessor)
SPDT(SpeedDetector)
Rl/0(Remotelnput O]tP]t)
ベクト
ル検出
電流検出
負荷電流と循環電流制御系に非干渉制御を適用Lない場合(a)と,適用Lた場合
表2 5′000kWミル用誘導電動機及びサイクロコンバータの主な仕
様 ベクトル制御時の誘導電動機の主な仕様を示す。直流機と同様の性能を
もっている。
項 日 仕 様
電 動 機
形 式 三相かご形誘導電動機
出 力 5′000kW
極 致 16ポール
回転速度 60・120「pm
定格電圧 2′了00・2′780V
定 格
100%連続
常用:225・200%1分
非常:275・250%1分
適用規格 JEC-37,+EM-1157-1
冷却方式 強制内冷ろ盾環(クーラマウント)
サイタロコンバータ
形 式 72アーム無循環電〉売方式
容 量 6′Z70kVA
電 圧 2′700V
定 格 100%三重続,215% 1分,260% 20秒
出力周)度数 8・16Hz
フ令却方式 強制風冷方式
3-4,870/2,435×2kVA
△
△ 人
△
△ 人
DCCT
△
△ 人
22kV/1,285V
P.AMP
P.AMP
…‾‥‾ヒ同 上 :
+‥___J
‾‾∴‾‾1=ト●
+_____+‾-
DCPT
/(
、
鯵6,270kVA
72アーム(12パルス)サイクロコンバータ
GPG(Gate PuIseGenerator)
P.AMP(PuIseAMP)
DCCT(DC Current Transformer)
DCPT(DC PotentialTransformer)サイン
エンコーダ
lM
5,000kW
16極60・120「pm
図6 72アームサイクロコンバータのシステム構成図 共通メモリによるマルチプロセッサシステム及びシグナルプロセッサにより高速演算処理を実
現Lている。
14
圧延機用ACドライブシステム 623
して,信束副生の高い電動機としている。
性能面では,起動時から周波数制御が行なえるので,大き
な始動トルク特性をもつ特殊かご形とする必要がなく,各部
の漏れインピーダンスを極力小さくして,運転特性の良い高
出力電動機としている。また,直i充電動機と異なり,整流+二
の制限がないため,回転子の直径を小さくし,C∂2の低減を
図っている。以上から,直流電動機に対Lて約20%の(;β2の
低i成及び約1.5%の効率向上を実現している。本電動機の外観
を図7に示す。
(1)回 転 子
シャフトは,直流電動機と同様にスキンストレス,△アーム
構造を採用しTAF(TorqueAmplificationFactor)を十分に
考慮した構造となっている。回転子は,かみ込み時に大きな
衝撃トルクを受けるので,ロータバーには特殊鋼合金を使い,
スロット内に強固に固定する構造とした。また,ロータバー
エンド部は,直ラ充電動機と比較Lて十分高い剛性をもってお
り,機1戒耐力の高い構造となっている。
(2)固 定 子
据付け,保守時の省力化を図るため,直i充電動機と同様に
固定子の2分割構造を採用している。従来の2層巻では,コ
イルエンドでの接続が必要となり,現地での接続作業が煩雑
となるため,電動機の極数を4の倍数に選定し,巻線を1ス
ロット当たり1コイルしか収めない一層巻として,わたり線
だけの接続で容易に2分割できる構造としている。また,従
来の大形誘導電動機では実績のない急しゅんな可逆運転を行
なうため,固定子コアとフレームの国定は,特殊ダブテール
構造によりトルク伝達を行なうように考慮してある。
固定子の設計に当たっては,有限要素法による詳細な構造
解析を行ない,十分な剛性をもつようにし,かつ工場試験で
実際に過負荷トルクを発生させ,固定子のたわみ量を確認し
計算の妥当性を検証した。有限要素法による固定子強度解析
例を図8に示す。
固定子コイルは,大形交ラ充機で豊富な実績のあるF種70リプ
レグ絶縁方式をj采用し,特に,頻繁な負荷変動によるコイル
一博≡
図7 5′000kWミル用誘導電動機の外観 固定子を2分割とL,冷却
はクーラマウント方式を採用Lている。
∴′;. ■∴′/1.:ト ′r、・ \
_・∠・l ∴.丁ニ‡プ・.\、-、・,\・∴・‾壬l■′ノこl′ ユノけ・′\・.・・・ イ‾′㌻プー、
・1ノ′二l ;・■・し㌍∴\∴い■・・、\…‾芸事三三-■≡■■∴・り1■【′/1■■・■・・・ゝ■こ・∴で∴ノ■、
ル;l:・凄モボし謙二打r∴-■・⊥■、;、・し上磯'′ご芸事‡≡三業;しこJ÷三軌ン・・執■・Lい二£エーfてぃ一九ナ・rl
l
1
≒′l‾.
,イ:J∠■、′
、・ゴ′
J
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班■1、.\、L
イか‾L′■\て乏菰岸藤野・1、/\l
七ゝ一
・・F`-・抑に≡・-・l・▲一芸義盛きノ′■
′`う7‾一環‾7
、、ミ.‾ンニ‾▼`‾‾こ∴ベイ
図8 有限要素法による固定子強度解析例 解析及び工場試軌二よ
り,十分な剛性をもっていることを確認した。
の熟伸びに対し,十分な強度をもつように配慮している。
また,コイルエンド部は,基礎からの衝撃荷重を受けるの
で,十分な強度をもつようにコイルエンド支持装置やコイル
相互の糸しばりにより強固なものとしている。
4,2 サイタロコンバータ
今回の5,000kW誘導電動機駆動用サイクロコンバータの主
回路は,非対称制御による力率改善制御が行なえるように72
アーム方式を採用した。サイリスタ素子は,並列通風方式及
び低熟抵抗冷却フィンの採用によr),素子の電i充利用率を高
くし,4,000V,1,000Aを1SIPで構成した。また,サイリス
タフやリッジが2セット直列接続されるので,電i充断続時の過
電圧防止のために,ゲートパルスは広幅方式を採用した。
無循環電流制御方式サイタロコンバータでは,トルクリプ
ル低減のため,高速かつ確実に逆並列切換えを行なうことが
望ましい。このためサイリスタアノード~カソード間電圧の
有無を切換論理回路に取り込む方式を採用したが,機器の信
頼性向上及びコンパクト化を図るために光電圧検出方式とし
た。また,今回のサイクロコンバータ盤は,従来の直流.用サ
イリスタ変換器に比べ回路電圧が約4倍高いが,絶縁性の良
好な絶縁材料を使用し盤の小形化を図った。これにより,同
容量の対称制御される直流用サイリスタ変換器の体積に比べ,
約20%の低減が図れた。
4.3 制御装置
72アームサイクロコンバータの制御内容は,サイリスタレ
オナードに比べてはるかに複雑であり,更に交流の波形を制
御するため高速処理が必要である。これは約1桁の性能アッ
プに相当し,従来のシングルプロセッサに対し図6に示すよ
うに,BPU3台から成るマルチプロセッサ構成及びコプロセ
ッサとしてシグナルプロセッサを採用し数値演算を分担させ
て,高速処理を実現した。マルチプロセッサは,任意の2台
のプロセッサ間にそれぞれ共通メモリをもつ方式としたので,
共通メモリに対する同時アクセスによる処理待ちが発生する
確率は,グローバルメモリ方式に比べ÷に減少する。シグナルプロセッサは積和演算が250nsと非常に高速であるので,オ
ブザーバや非干渉制御の清算時間短縮にその威力をいかんな
15
624 日立評論 〉OL.68 No.8(198618)
速度指令山r*
速度r小
トルク基準J/ヰ
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図10 速度のインディシヤル応答 ピーク値までの到達時間が80nlSで,遮断角周波数r′ノC≒40rad sを実現Lている。
く発揮している。
4.4 運転特性
図9は4象限加減速特性を示し,0-Top2秒の急速加減速
がスムーズに行なわれている。
図10は速度のインディシャル応答を示し,ピーク値までの
到達時間は80msであり遮断角周波数臼。二ご40rad/sを実現し
ている。
■l 結 言
以上,圧延主機用AC可変速ドライブシステムであるサイク
ロコンバータヘ各種高性能化技術を適用することにより,DC
ドライブ以上の高精度化及び高応答化を図る技術を確立した。
本ドライブシステムは,圧延製品の高品質化及び歩留まり向
上に寄与する点が大で,かつ省エネルギーの点でも有利であ
るため圧延機ドライブに最適.と考えられる。
16
今後,需要の多様化に対し,フレキシブルでコストパフォ
ーマンスの高いドライブシステムを提供するため,新技術,
新システムの開発にまい進する考えである。
参考文献
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