我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化...

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我が国の対外収支の 変化と世界経済 第Ⅰ部

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我が国の対外収支の 変化と世界経済

第Ⅰ部

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我が国の 対外収支の変化

第1節 我が国の対外収支動向

第2節 経常収支構造の国際比較

第1章

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第1章

我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、第 2部の分析の切り口となる対外的な稼ぎ方の 3つの力、即ち①輸出する力、②呼びこむ力、③外で稼ぐ力、の視点を提示する。 経常収支の内訳は、貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の 3つに大別され、貿易・サービス収支は貿易収支とサービス収支とに分けられる(第Ⅰ-1-1-0-1 図)。本章では、まず、我が国の貿易収支、サービス収支、第一次所得収支に焦点を当てて分析を行う。次に我が国の経常収支全体の構造を概観し、主要国との国際比較によって特徴や課題を考える。

その上で、日本の対外的な稼ぎ方について考察を行う。

我が国の対外収支動向第1節

(1)貿易収支動向の概観 まず、「輸出する力」を表す貿易収支の動向を様々な視点から見ていく。我が国の貿易収支は 2011 年に赤字に転じ、その後も年々赤字幅を拡大している。2014 年の貿易収支は-12 兆 8,161 億円と過去最大の赤字となった(財務省「貿易統計」ベース)。しかしながら、その拡大幅(前年差)を見てみると、2012 年に 4.4 兆円、2013 年に 4.5 兆円であったものが、2014年には 1.3 兆円となり、赤字拡大幅は限定的となっている 1(第Ⅰ-1-1-1-1 図)。 輸出入額の動きを見てみると、輸出入額ともに増加しているが、その増加率は輸入額の方が大きい。輸出額は一般機械や電気機器、輸送用機器等の輸出増を背景に、前年比 4.8%増の 73 兆 930 億円となった(2年連続の増加)。一方、輸入額は電気機器や一般機械、原料別製品等の輸入増を背景に、前年比 5.7%増の 85

兆 9,091 億円と過去最大の輸入額となった(5年連続の増加)。 直近の状況を月次で見てみると、貿易赤字幅は縮小

1.貿易収支の動向

1 本項の数値は、2014 年以前は確定値、2015 年 3 月以前の輸出は確報値、2015 年 2 月以前の輸入は確報値、2015 年 3 月の輸入は 9桁速報値を使用。

第Ⅰ-1-1-0-1 図 経常収支の内訳

経常収支 貿易・サービス収支(財貨・サービスの取引)貿易収支(財貨の取引)

第一次所得収支(直接投資・証券投資による所得(配当・現地内部留保等))第二次所得収支(援助や労働者送金)

サービス収支(サービスの取引(旅行者の消費・知的財産権等使用料(ロイヤリティ)等))

第Ⅰ-1-1-1-1 図 貿易収支の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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(兆円) (兆円)

輸入額

貿易収支(右軸)輸出額

貿易収支前年差(右軸)

2013

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2009

2007

2005

2003

2001

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(年)

4 2015 White Paper on International Economy and Trade

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傾向にある。2014 年 1 月以降の貿易収支(季節調整値)を月次で見てみると、2014 年初には、4月の消費税率引上げを前にした駆け込み需要の影響等により、1月には 1.8 兆円、3月には 1.9 兆円の赤字を計上していた。しかし、4月から 11 月までの期間は 0.9 兆円程度の赤字でほぼ横ばいに推移し、12 月以降は赤字幅縮小基調で推移しており、2015 年 3 月には 49 カ月ぶり

の黒字となった(第Ⅰ-1-1-1-2 図)。なお、1月と 2月の数値に変動が見られるのは、春節(旧暦の正月)の影響が出ているものと考えられる(コラム 1参照)。

(2)相手国・地域別、品目別の貿易動向 国・地域別に見ると、2014 年の最大の輸出相手国は米国(13.6 兆円)、最大の輸入相手国は中国(19.2兆円)であったが、輸出入額の和である貿易額で見ると中国が最大の相手国(32.6 兆円)となった(第Ⅰ-1-1-1-3 表、第Ⅰ-1-1-1-4 図、第Ⅰ-1-1-1-5 図)。 対米国貿易は、6兆 1,066 億円の黒字となった。輸出額は、自動車の輸出が大きく落ち込んだものの、原動機や鉄鋼等の輸出が増加したことにより、前年比で5.6%増加した(13 兆 6,493 億円)。一方輸入額は、穀物類や液化石油ガス、原動機等の輸入増加により、前年比で 10.7%増加した(7兆 5,427 億円)。 対EU貿易は、5,835 億円の赤字となった。輸出額は、自動車等の輸出増加により、前年比で 8.4%増加した(7兆 5,853 億円)。一方輸入額は、自動車や肉類、液化天然ガス等の輸入増加により、前年比で 6.8%増加となり(8兆 1,688 億円)、対EU貿易としては過去最高の輸入額となった。

第Ⅰ-1-1-1-2 図 貿易収支の推移(季節調整値、2014 年 1月~2015 年 3月)

備考:�数値はいずれも季節調整値。資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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(兆円) (兆円)

(年月)510241021 2 3 1 2 34 5 6 7 8 9 10 11 12

貿易収支(右軸) 輸出額輸入額 貿易収支前年差(右軸)

33 億円の黒字

貿易額(兆円)

輸出額(兆円) (輸出伸率) 輸入額

(兆円) (輸入伸率) 貿易収支(兆円)

世界 159.0 73.1 4.8% 85.9 5.7% -12.8

米国 21.2� 13.6 5.6% 7.5 10.7% 6.1�

EU 15.8� 7.6 8.4% 8.2 6.8% -0.6�

中国 32.6� 13.4 6.0% 19.2 8.6% -5.8�

ASEAN 23.3� 11.1 2.3% 12.3 6.7% -1.2�

中東 18.8� 3.0 20.6% 15.8 1.0% -12.8�

資料:財務省「貿易統計」から作成。

第Ⅰ-1-1-1-3 表 我が国の貿易額(相手国・地域別)

第Ⅰ-1-1-1-4 図 主要国・地域別の輸出額の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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(兆円)

2014(年)201320122011201020092008

その他 中東 (豪州) ASEAN (台湾)中国(韓国) 米国EU

15.415.4

10.010.0

12.812.8 12.512.5 11.911.912.712.7

13.213.2

81.081.0

54.254.2

67.467.4 65.565.563.763.7

69.869.873.173.1

3.53.5

2.02.0

2.22.2 2.02.0 2.32.32.52.5 3.03.01.81.8

1.11.1

1.41.4 1.41.4 1.51.51.71.7 1.51.510.710.7

7.57.5

9.99.9 9.89.8 10.310.310.810.8 11.111.14.84.8

3.43.44.64.6 4.14.1 3.73.7

4.14.1 4.24.26.26.2

4.44.45.55.5 5.35.3 4.94.9

5.55.5 5.55.512.912.9

10.210.213.113.1 12.912.9 11.511.5 12.612.6 13.413.4

11.411.4

6.76.7 7.67.6 7.67.6 6.56.5 7.07.0 7.67.6

14.214.2 8.78.7 10.410.4 10.010.0 11.211.2 12.912.9 13.613.6

第Ⅰ-1-1-1-5 図 主要国・地域別の輸入額の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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100908070605040302010

(兆円)

2014201320122011201020092008

その他 中東 (豪州) ASEAN (台湾)中国(韓国) 米国EU

10.110.1

6.16.1

7.97.98.88.8 9.49.4

11.211.211.811.8

79.079.0

51.551.5

60.860.8

68.168.1 70.770.7

81.281.285.985.9

17.417.4

8.68.610.410.4

12.812.8 13.513.515.715.7

15.815.8

4.94.9

3.23.23.93.9

4.54.5 4.54.55.05.0

5.15.1

11.111.1

7.37.38.88.8 10.010.0 10.310.3

11.511.512.312.3

2.32.3

1.71.72.02.0 1.91.9 1.91.9

2.32.3 2.62.6

3.13.12.12.1 2.52.5 3.23.2 3.23.2

3.53.5 3.53.5

14.814.811.411.4 13.413.4 14.614.6 15.015.0 17.717.7 19.219.2

7.37.35.55.5 5.85.8 6.46.4 6.66.6 7.67.6 8.28.2

8.08.0 5.55.5 5.95.9 5.95.9 6.16.1 6.86.8 7.57.5

(年)

第1章

第Ⅰ部

通商白書 2015 5

第1節我が国の対外収支動向

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 対中国貿易は、5兆 7,950 億円の赤字となった。輸出額は、科学光学機器や自動車等の輸出増加により、前年比で 6.0%増加した(13 兆 3,815 億円)。一方輸入額は、半導体等電子部品や通信機等の輸入増加により、前年比で 8.6%増加し(19 兆 1,765 億円)、対中国貿易としては、輸出入額ともに過去最高額となった。 対ASEAN貿易は、1兆 1,720 億円の赤字となった。輸出額は、自動車の部品等の輸出が落ち込んだものの、半導体等電子部品等の輸出増加により、前年比で 2.3%増加した(11 兆 800 億円)。一方輸入額は、原油及び粗油等の輸入が減少したものの、衣類・同付属品や非鉄金属鉱等の輸入増加により、前年比 6.7%増加した(12 兆 2,520 億円)。 対中東貿易は、12 兆 8,384 億円の赤字となった。輸出額は、自動車等の輸出増加により、前年比で 20.6%増加した(2兆 9,875 億円)。一方輸入額は、原油及び粗油等の輸入が減少したものの、液化天然ガスや石油製品等の輸入増加により、前年比で 1.0%増加した(15

兆 8,260 億円)。 次に主要品目別に見ると、輸出は、一般機械(前年比+6.4%)、電気機器(同+ 5.0%)、輸送用機器(同+3.5%)が特に大きな伸びを見せた。概況品ベースで見ると、自動車が大きく牽引した形である。輸入は、一般機械(前年比+13.3%)、原料別製品(同+12.0%)、電気機器(同+11.9%)を中心に全ての品目で伸びが見られた。概況品ベースで見ると、液化天然ガスが特に大きな伸びを見せた(第Ⅰ-1-1-1-6 表、第Ⅰ-1-1-1-7 図、第Ⅰ-1-1-1-8 図)。 最後に貿易相手国・地域別の主要商品ごとの輸出額増減寄与度(前年比)を見ると、輸出に関しては、主に中東向け輸送用機器(輸出総額前年比寄与度0.44%)、米国向け一般機械(同 0.39%)、中国向け電気機器(同 0.34%)、EU向け輸送用機器(同 0.32%)等の増加が輸出額増加に寄与している。同様に輸入に関しては、主に中国からの電気機器(輸入総額前年比寄与度 0.30%)、ASEANからの電気機器(同 0.24%)、

輸出額(兆円) (輸出伸率) 輸入額

(兆円) (輸入伸率) 貿易収支(兆円)

全品目 73.1 4.8% 85.9 5.7% -12.8

食料品 0.5 10.5% 6.7 4.0% -6.3

原料品 1.2 -1.0% 5.6 4.3% -4.4

鉱物性燃料 1.5 -1.0% 27.7 0.9% -26.2

化学製品 7.8 4.1% 6.9 6.2% 1.0

原料別製品 9.5 3.1% 7.0 12.0% 2.5

一般機械 14.2 6.4% 6.8 13.3% 7.5

電気機器 12.7 5.0% 11.5 11.9% 1.1

輸送用機器 16.9 3.5% 3.1 9.6% 13.9

その他 8.8 8.2% 10.7 4.9% -1.8

資料:財務省「貿易統計」から作成。

第Ⅰ-1-1-1-6 表 我が国の品目別輸出入額

第Ⅰ-1-1-1-7 図 主要品目別の輸出額の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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(兆円)

2014201320122011201020092008

12.212.2

9.19.1

10.510.5 10.510.5 9.79.711.311.3 12.012.0

81.081.0

54.254.2

67.467.4 65.565.5 63.763.769.869.8

73.173.1

20.120.1

11.911.9

15.315.3 14.014.0 15.015.016.316.3 16.916.9

15.415.4

10.810.8

12.712.7 11.611.6 11.411.4 12.112.1 12.712.7

15.915.9

9.79.713.313.3 13.813.8 12.812.8 13.413.4 14.214.2

10.210.27.07.0 8.88.8 8.88.8 8.48.4 9.29.2 9.59.5

7.37.3 5.85.8 6.96.9 6.86.8 6.46.4 7.57.5 7.87.8

(年)

その他 輸送用機器 電気機器一般機械 原料別製品 化学製品

第Ⅰ-1-1-1-8 図 主要品目別の輸入額の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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(兆円)

201320122011201020092008

その他 輸送用機器 電気機器化学製品 鉱物性燃料

一般機械 原料別製品原料品 食料品

2014(年)

9.59.5

7.77.7

8.08.08.38.3 8.88.8

10.210.210.710.779.0

51.5

60.8

68.1 70.7

81.285.9

2.32.3

1.51.5

1.71.71.71.7 2.32.3

2.82.83.13.1

8.68.6

6.56.5

8.18.18.08.0 8.48.4

10.310.311.511.5

6.16.1

4.24.24.84.8

5.05.0 5.05.06.06.0 6.86.8

7.37.3

4.34.35.45.4

6.16.1 5.55.56.26.2 7.07.0

5.75.7

4.64.65.45.4

6.16.1 5.95.96.56.5 6.96.9

27.727.7

14.214.217.417.4

21.821.8 24.124.1 27.427.4 27.727.7

5.55.5 3.43.4 4.84.8 5.35.3 4.84.8 5.45.4 5.65.66.26.2 5.05.0 5.25.2 5.95.9 5.95.9 6.56.5 6.76.7

6 2015 White Paper on International Economy and Trade

第1章 我が国の対外収支の変化

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米国からの食料品(同 0.24%)、EUからの一般機械(同0.23%)等の増加が輸入額増加に寄与している(第Ⅰ-1-1-1-9 表、第Ⅰ-1-1-1-10 表)。

(3)数量・価格要因から見た貿易動向 2014 年の貿易収支は、2013 年に比べ 1.3 兆円貿易赤字が拡大した。この貿易収支の差を輸出数量要因、輸出価格要因、輸入数量要因、輸入価格要因の 4つの要因に分解する 2と、2014 年の貿易赤字の最大の要因は輸入価格の上昇であることが分かる(第Ⅰ-1-1-1-11 図)。 各要因の影響を見ていくと、輸出価格の上昇(前年差で黒字方向に 2.9 兆円寄与)と輸出数量の増加(同0.4 兆円寄与)が黒字方向へ寄与(同 3.3 兆円寄与)し、輸入価格の上昇(前年差で赤字方向に 4.1 兆円寄与)と輸入数量の増加(同 0.4 兆円寄与)が赤字方向へ寄与(同 4.5 兆円寄与)していることがわかる。なお、輸出数量の増加、つまり為替の影響や名目上の価格上昇の影響等を除いた実質的な輸出の増加、が見られたのは、2010 年以来 4年ぶりとなる。 直近の状況を季節調整値で見てみると、2013 年度中(2013 年第 2四半期から 2014 年第 1四半期まで)は、輸入価格の上昇が一貫して貿易収支の赤字幅拡大

に寄与していたことがわかる。さらに、2013 年半ば以降は、消費税率引上げ前の駆け込み消費に向けた輸入数量の増加もあり、貿易収支赤字幅は拡大が続いた。この間、輸出価格は上昇し貿易収支の赤字幅を一定程度縮小させる要因になったものの、輸出数量の増加は見られなかった(第Ⅰ-1-1-1-12 図)。 2014 年 4月の消費税率引上げ後は、国内個人消費が駆け込み需要の反動により大幅に減少した。こうした動きに伴い、輸入数量も大きく減少し、貿易収支赤字幅は消費税率引上げ前に比べて縮小することとなった。 2014 年 10-12 月期以降は、輸出数量が緩やかに増加に向かっており、貿易収支赤字幅の縮小に寄与して

総額 食料品 原料品 鉱物性燃料 化学製品 原料別製品 一般機械 電気機器 輸送用機器 その他世界 4.76% 0.07% -0.02% -0.02% 0.44% 0.41% 1.23% 0.86% 0.82% 0.96%

米国 1.03% 0.01% 0.02% -0.03% 0.07% 0.17% 0.39% 0.14% 0.14% 0.12%

EU 0.84% 0.00% -0.02% -0.06% 0.07% 0.05% 0.25% 0.13% 0.32% 0.11%

中国 1.09% 0.01% -0.05% -0.01% 0.05% 0.09% 0.14% 0.34% 0.19% 0.31%

ASEAN 0.36% 0.01% 0.03% 0.01% 0.12% -0.01% 0.05% 0.15% -0.15% 0.16%

中東 0.73% 0.00% 0.00% 0.00% 0.01% 0.09% 0.13% 0.05% 0.44% 0.01%

その他 0.71% 0.03% -0.01% 0.08% 0.12% 0.01% 0.27% 0.06% -0.12% 0.26%

資料:財務省「貿易統計」から作成。

第Ⅰ-1-1-1-9 表 貿易相手国・地域別の輸出額増減寄与度

総額 食料品 原料品 鉱物性燃料 化学製品 原料別製品 一般機械 電気機器 輸送用機器 その他世界 5.74% 0.32% 0.29% 0.31% 0.49% 0.92% 0.97% 1.51% 0.33% 0.61%

米国 0.89% 0.24% 0.06% 0.03% 0.13% 0.04% 0.14% 0.16% 0.04% 0.06%

EU 0.72% 0.00% -0.01% 0.01% -0.05% 0.08% 0.23% 0.10% 0.13% 0.23%

中国 0.93% 0.01% -0.04% -0.01% 0.04% 0.08% 0.12% 0.30% 0.17% 0.27%

ASEAN 0.94% 0.07% 0.11% -0.20% 0.08% 0.13% 0.13% 0.24% 0.05% 0.34%

中東 0.19% 0.00% 0.01% 0.08% 0.02% 0.05% 0.00% 0.03% 0.00% 0.00%

その他 2.06% -0.01% 0.17% 0.40% 0.27% 0.55% 0.35% 0.69% -0.06% -0.29%

資料:財務省「貿易統計」から作成。

第Ⅰ-1-1-1-10 表 貿易相手国・地域別の輸入額増減寄与度

第Ⅰ-1-1-1-11 図 貿易収支前年差の要因分解

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

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0

-5

-10

(兆円)

20142013201220112010

-1.2-1.2

0.40.4

-4.4-4.4

-1.0-1.0

-4.3

-3.0-3.0

-9.1

-2.0-2.04.14.1

13.113.1

輸出価格要因

貿易収支(前年差)

輸出数量要因輸入数量要因輸入価格要因

(年)

2 本章における要因分解では、前年(同期)の各指数の数値に前年(同期)比伸び率を乗じて各要因を算出している。グラフによっては近似誤差が大きくなっている場合があるが、その補正は行っていない。

第1章

第Ⅰ部

通商白書 2015 7

第1節我が国の対外収支動向

Page 7: 我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、 第2部の分析の切り口となる対外的な

いる。為替の円安方向での推移に伴い、輸出価格が上昇することも貿易収支の赤字幅縮小に寄与している。

(4)輸入額に見る原油価格下落の影響 2014 年後半から始まった原油価格の下落が、我が国の輸入に与えた影響について見てみる。原粗油や液化天然ガス(以下、LNG)に代表される鉱物性燃料は、2011 年以降輸入総額の 30%以上となるなど、我が国の輸入において特に大きな割合を占めている。原粗油と LNGの年間輸入額について見てみると、2013 年と比較して 2014 年は、原粗油は 3,714 億円減少(前年比 2.6%減)しているのに対し、LNGは 7,919 億円増加(前年比 11.2%増)していることが分かる(第Ⅰ-1-1-1-13 図)。 輸入増加額の前年同期差を四半期ベースで見てみる

と、2014 年後半から国際的な原油価格の下落が始まったことを受け、特に 2014 年第 4四半期から原粗油の輸入額が大きく減少している。同様に LNGの輸入額について見てみると、定常的に増加していたが、2015年第 1四半期に減少に転じていることが分かる(第Ⅰ-1-1-1-14 図、第Ⅰ-1-1-1-15 図)。 原粗油と LNG、それぞれの数量、価格、金額の伸び率を四半期で見てみると、原油安の影響が大きかったことが分かる(第Ⅰ-1-1-1-16 表、第Ⅰ-1-1-1-17 図、第Ⅰ-1-1-1-18 表)。原粗油は第 1四半期には数量、価格ともに前年同期比プラスであったものの、第 2四半期には数量がマイナスとなり、第 4四半期には原油安の影響を受けて価格もマイナスとなった。2015 年第 1四半期には、価格が前年同期比 -41.9%の大幅なマイナスとなったことが大きく影響し、輸入金額は伸

第Ⅰ-1-1-1-13 図 鉱物性燃料輸入額及び輸入総額の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

0

90

80

70

60

50

40

30

20

10

(兆円)

20142013201220112010

その他輸入総額その他の鉱物性燃料 液化天然ガス

原油及び粗油 鉱物性燃料

(年)

43.443.4

17.417.4

46.346.3

21.821.8

46.646.6

24.124.1

53.853.8

27.427.4

58.258.2

27.727.7

60.860.868.168.1 70.770.7

81.285.9

4.54.55.65.6 5.85.8 6.16.1 6.06.0

3.53.5 4.84.8 6.06.0 7.17.1 7.97.9

9.49.4 11.411.4 12.212.2 14.214.2 13.913.9

第Ⅰ-1-1-1-14 図 鉱物性燃料輸入額前年同期差の推移

資料:�財務省「貿易統計」から作成。

-3.0

2.01.51.00.50.0-0.5-1.0-1.5-2.0-2.5

(兆円)

Q4Q3Q2Q4Q3Q22010 2011 2012 2013 2014 20152015

Q1 Q1 Q4Q3Q2Q1 Q4Q3Q2Q1 Q4Q3Q2Q1 Q1(年期)

原油及び粗油液化天然ガスその他の鉱物性燃料

第Ⅰ-1-1-1-15 図 原油の国際価格の推移

資料:�IMF「Primary�Commodity�Prices」から作成。

0

120

100

80

60

40

20

(ドル/バレル)

原油価格(West Texas Intermediate)

201520141 2 3 1 2 34 5 6 7 8 9 10 11 12

第Ⅰ-1-1-1-12 図 貿易収支(季節調整値)前期差の要因分解

備考:�内閣府による季節調整値。資料:�財務省「貿易統計」、内閣府資料から作成。

-2.5

2.52.01.51.00.50.0-0.5-1.0-1.5-2.0

(前期差、兆円)

Q12015(年期)

Q4Q3Q2Q12014

Q4Q3Q2Q12013

輸入価格要因

貿易収支(前期差)

輸入数量要因輸出価格要因 輸出数量要因

8 2015 White Paper on International Economy and Trade

第1章 我が国の対外収支の変化

Page 8: 我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、 第2部の分析の切り口となる対外的な

び率で前年同期比 -48.6%、実数値で前年同期差 -2 兆144 億円の輸入額減少を記録した。原粗油輸入額前年同期差を要因分解すると、価格下落による輸入額減少幅は 1.5 兆円超と試算できる。 一方、LNGは 2014 年の年間では数量が前年比+1.2%、価格が前年比 +9.9%の伸びとなり、輸入金額は伸び率で前年比 +11.2%、実数値で前年同期差+7,919 億円の輸入増となった。また、2015 年第 1四半期には、価格が前年同期比-5.8%のマイナスとなったことを受け、輸入金額は伸び率で前年同期比-3.5%、実数値で前年同期差-742億円の輸入額減少を記録した。

(5)まとめ 「輸出する力」を見る出発点として、2014 年の貿易動向を概観した。2014 年は輸出数量の前年比増や、原粗油の輸入額減少等により、収支では赤字縮小傾向が見られた。「輸出する力」を見るには、輸出の変動が何に影響されているかを見る必要がある。また、世界のどの市場において伸びているか、またどのような品目で競合していたり、輸出を伸ばしているかを見る必要がある。これらの分析については第Ⅱ部第 1章第1節で行う。

数量(伸び率)

価格(単価)(伸び率)

金額(伸び率)

金額(実数値)

2014 年

Q1 4.4% 11.4% 16.3% +5,816 億円

Q2 -11.9% 5.8% -6.7% -2,253 億円

Q3 -6.1% 6.1% -0.4% -135 億円

Q4 -9.0% -10.4% -18.4% -7,142 億円

年間 -5.5% 3.0% -2.6% -3,714 億円

2015 年 Q1 -11.5% -41.9% -48.6% -2 兆 144 億円

資料:財務省「貿易統計」から作成。

第Ⅰ-1-1-1-16 表 原粗油の輸入に関する前年同期との比較(2014 年)

数量(伸び率)

価格(単価)(伸び率)

金額(伸び率)

金額(実数値)

2014 年

Q1 1.0% 14.3% 15.5% +2,835 億円

Q2 3.1% 4.1% 7.3% +1,221 億円

Q3 4.3% 5.5% 10.1% +1,726 億円

Q4 -3.3% 15.4% 11.5% +2,137 億円

年間 1.2% 9.9% 11.2% +7,919 億円

2015 年 Q1 2.4% -5.8% -3.5% -742 億円

資料:財務省「貿易統計」から作成。

第Ⅰ-1-1-1-18 表 液化天然ガス(LNG)の輸入に関する前年同期との比較(2014 年)

第Ⅰ-1-1-1-17 図 原粗油輸入額前年同期差の要因分解

備考:�2015 年第 1四半期については、1-3 月確速から算出。資料:�財務省「貿易統計」

-2.5

1.0

0.5

0.0

-0.5

-1.0

-1.5

-2.0

(兆円)

Q1(年期)

Q4Q3Q2Q1

価格要因数量要因貿易収支(前年差)

2014 2015

第1章

第Ⅰ部

通商白書 2015 9

第1節我が国の対外収支動向

Page 9: 我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、 第2部の分析の切り口となる対外的な

 貿易収支に続き、その他の経常収支項目についても順次見ていく。サービス収支とは、各種サービスの取引に係る収支を計上するもので、「輸送収支」「旅行収支」「その他サービス収支」の 3つに大別される。なお、「その他サービス収支」には、ロイヤリティ等を計上する「知的財産権等使用料」や「建設」、「通信・コンピュータ・情報サービス」等が含まれる(第Ⅰ-1-1-2-1 図)。 我が国のサービス収支は、赤字で推移してきたが、近年その赤字幅は縮小しつつあり、2014 年は、-3 兆801 億円と過去 3番目に小さい赤字額となった(第Ⅰ-1-1-2-2 図)。その要因として、旅行収支の赤字幅縮小と知的財産権等使用料収支の黒字幅拡大等が挙げられ、それぞれ過去最小の赤字額、過去最大の黒字額を記録した。 旅行収支の赤字は 2000 年代前半にはサービス収支赤字の半分に相当したが、近年その赤字幅は縮小しつつある(第Ⅰ-1-1-2-3 図)。旅行収支の赤字が縮小している主な要因としては、訪日外国人の増加が挙げられ、2014 年の年間訪日外国人数は 1,341 万人と過去最

高を記録している。旅行を通したヒトの呼び込みは、「呼びこむ力」を表すものとして、第Ⅱ部第 1章第 2節でより詳しく分析する。 知的財産権等使用料収支は、2003 年に黒字に転じてからその黒字幅を拡大してきており、2014 年は 1兆 6,973 億円と過去最大の黒字となった(第Ⅰ-1-1-2-4 図)。その要因としては、産業財産権等使用料(ロイヤリティ等)の受取増加が挙げられ、その額は2014 年には前年比 27.4%増の 3.7 兆円で過去最大となっている。一方、著作権等使用料(ソフトウェア等の使用権料等)の収支はその赤字幅を拡大させている。知的財産権等使用料は「外で稼ぐ力」を表すものとして、第Ⅱ部第 1章第 3節の我が国の海外現地法人の分析の中でより詳しく検証する。

2.サービス収支の動向

第Ⅰ-1-1-2-1 図 サービス収支の内訳

サービス収支 輸送収支(海上・航空等による旅客・貨物の輸送)

その他サービス収支(上記に該当しない全てのサービス収支)知的財産権等使用料 等(ロイヤリティや著作権等の取引)

旅行収支(旅行者が滞在先で取得した財貨・サービスの取引)

第Ⅰ-1-1-2-2 図 サービス収支の推移

資料:�財務省「国際収支状況」から作成。

-7

3210-1-2-3-4-5-6

(兆円)

201420132012201120102009200820072006200520042003200220012000

公的サービス等

サービス収支

知的財産権等使用料金融サービス 建設

輸送委託加工サービス維持修理サービス保険・年金サービス

通信・コンピュータ・情報サービス

旅行

その他業務サービス個人・文化・娯楽サービス

(年)

第Ⅰ-1-1-2-3 図 旅行収支、訪日外客数、出国日本人数の推移

資料:�日本銀行「国際収支統計」、日本政府観光局資料から作成。

0

5

4

3

2

1

0

2,500

2,000

1,500

1,000

500

(兆円) (万人)

201420132012201120102009200820072006200520042003200220012000 (年)

旅行 受取出国日本人数(右軸)旅行 支払

訪日外客数(右軸)

10 2015 White Paper on International Economy and Trade

第1章 我が国の対外収支の変化

Page 10: 我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、 第2部の分析の切り口となる対外的な

 第一次所得収支とは、直接投資や証券投資等に係る収益を計上するもので、「雇用者報酬」「投資収益」「その他第一次所得収支」の 3つに大別される。「投資収益」は、海外現地法人からの還流や内部留保が計上される「直接投資収益」のほか、「証券投資収益」と「その他投資収益」が含まれている(第Ⅰ-1-1-3-1 図)。 第一次所得収支は黒字で推移してきており、2014年は 18 兆 1,203 億円と過去最大の黒字となった。その主な要因としては直接投資収益と証券投資収益の黒字幅拡大が挙げられる(第Ⅰ-1-1-3-2 図)。 第一次所得収支の推移を見てみると、2008 年からの世界経済危機と 2011 年に発生した東日本大震災の影響を受けて落ち込みが見られたものの、基本的には一貫して増加基調を維持しており、直近では、2013 年、2014 年と 2年連続で過去最大の黒字を記録した。これは対外投資残高の増加に伴う、直接投資収益と証券投資収益双方の受取の増加によるもので、直接投資収益は 2014 年に 6兆 5,477 億円と過去最大の黒字となり、証券投資収益は 10 兆 9,896 億円と過去 3番目の大きさの黒字となった(第Ⅰ-1-1-3-3 図)。 直接投資収益の黒字幅拡大の主な要因としては、配当金・配分済支店収益の受取増加が挙げられる(第Ⅰ-1-1-3-4 図)。また、証券投資の黒字幅拡大の主な要因としては、債券利子(中長期債)の受取増加が挙げられる(第Ⅰ-1-1-3-5 図)。

 我が国の直接投資収益と証券投資収益について、双方とも黒字幅が拡大していることが確認できたが、その収益率は国際的に見てどのような水準にあるのだろうか。主要国との比較を行う。比較対象国は、GDP上位国である米国、英国、フランス、ドイツ、中国に、近隣国として韓国を加えた 6カ国とし、2005 年から2013 年までの各国の対外投資残高と収益率をドルベースで比較する。

3.第一次所得収支の動向

第Ⅰ-1-1-2-4 図 産業財産権等使用料・著作権等使用料(受取・支払)の推移

資料:�日本銀行「国際収支統計」 から作成。

-0.5

4.0

3.5

3.0

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0.0

(兆円)

2014(年)20132012201120102009200820072006200520042003200220012000

産業財産権等使用料 受取 産業財産権等使用料 支払著作権等使用料 受取 著作権等使用料 支払知的財産権等使用料 収支

第Ⅰ-1-1-3-1 図 第一次所得収支の内訳

第一次所得収支 雇用者報酬(企業と雇用関係にある個人が得た報酬)投資収益(各種投資にかかる配当金や利子等)

配当金・配分済支店収益(配当金や本社に送金された収益)再投資収益(内部留保として積み立てられた収益)利子所得等(貸付・借入利子や債権利子)

証券投資収益(直接投資に該当しない配当金や債権利子)

配当金(直接投資に該当しない配当金)債券利子(直接投資に該当しない債権利子)

その他投資収益(直接投資・証券投資に該当しない投資収益)

直接投資収益(議決権の割合が10%以上の法人等に対するクロス

ボーダー投資)

その他第一次所得(天然資源の採掘等に係る賃貸料や生産物等に課され  る税等)

第1章

第Ⅰ部

通商白書 2015 11

第1節我が国の対外収支動向

Page 11: 我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、 第2部の分析の切り口となる対外的な

第Ⅰ-1-1-3-2 図 第一次所得収支の推移

資料:�財務省「国際収支状況」から作成。

-5

20

15

10

5

0

(兆円)

2014(年)20132012201120102009200820072006200520042003200220012000

その他投資収益第一次所得収支証券投資収益

直接投資収益その他第一次所得

雇用者報酬

第Ⅰ-1-1-3-3 図 対外投資残高及び投資収益の推移

備考:�IMF 国際収支マニュアル第 5版ベースによる。資料:�財務省「国際収支状況」から作成。

0

400

350

300

250

200

150

100

50

0

16

14

12

10

8

6

4

2

(兆円) (兆円)

20132012201120102009200820072006200520042003200220012000 (年)

直接投資残高直接投資収益 受取(右軸) 証券投資収益 受取(右軸)

証券投資残高

第Ⅰ-1-1-3-5 図 証券投資収益の推移(2000 年~2014 年)

資料:�財務省「国際収支状況」から作成。

0

14

12

10

8

6

4

2

(兆円)

201420132012201120102009200820072006200520042003200220012000 (年)

債券利子 証券投資収益配当金

-5

20

15

10

5

0

(兆円)

2014201320122011201020092008200720062005200420032002200120001999

債権利子(短期債)受取債権利子(中長期債)受取配当金 受取配当金 支払

証券投資収益

債権利子(中長期債)支払債権利子(短期債)支払

(年)

第Ⅰ-1-1-3-4 図 直接投資収益の推移(2000 年~2014 年)

資料:�財務省「国際収支状況」から作成。

0

7

6

5

4

3

2

1

(兆円)

2014(年)20132012201120102009200820072006200520042003200220012000

利子所得等直接投資収益再投資収益

配当金・配分済支店収益

-2

10

8

6

4

2

0

(兆円)

2014(年)201320122011201020092008200720062005200420032002200120001999

利子所得等 受取再投資収益 支払 再投資収益 受取

配当金・配分済支店収益 受取直接投資収益配当金・配分済支店収益 支払

利子所得等 支払

12 2015 White Paper on International Economy and Trade

第1章 我が国の対外収支の変化

Page 12: 我が国の対外収支の 変化と世界経済€¦ · 第1章 我が国の対外収支の変化 本章では、我が国の近年の経常収支の動向を分析し、 第2部の分析の切り口となる対外的な

 まず主要国の対外直接投資残高を見ると、世界経済危機の際に米国を始めとする一部の国において落ち込みが見られたものの、各国ともおおむね増加傾向にある。米国の残高が他国に比べ突出して多く、その増加幅も他国を上回っている。日本も緩やかな増加傾向にはあるが、相対的に低い水準にとどまっている(第Ⅰ-1-1-3-6 図)。 その上で各国の直接投資収益率を見てみると、2011年以降は全体的に低下傾向にあることが分かる。特に英国と米国の下げ幅は大きく、2013 年には、2011 年比でそれぞれ 3.5%と 2.6%の低下となっている。2013年時点の収益率の水準を見ると、日本はドイツ、中国、フランスよりも高い水準にあるが、米国、韓国よりも低い水準となっている(第Ⅰ-1-1-3-7 図)。 次に、対外証券投資についても同様に比較を行う。但し、中国と韓国はその他の国と比較して残高が小さいため、対外証券投資に関しては比較対象から除くこととする。

 対外証券投資残高を見ると、世界経済危機の際に落ち込んだものの、各国ともおおむね増加傾向にある。対外直接投資と同様、米国の残高が他国に比べ突出して多く、その増加幅も他国を上回っている。日本は、米国、英国に次ぐ水準となっている(第Ⅰ-1-1-3-8 図)。 対外証券投資収益率を見ると、直接投資収益率と同様に、2011 年以降は全体のトレンドとして低下傾向にあることが分かる。特にドイツと英国の下げ幅は大きく、2013 年には 2011 年比でそれぞれ 1.2%と 0.8%の低下となっている。また、比較対象の 5か国の中で収益率を比較すると、日本は 2005 年以降最も高い水準を維持している(第Ⅰ-1-1-3-9 図)。 ここまで、第一次所得収支の動向を見てきたが、特に直接投資収益に含まれる配当金・配分済支店収益等の受取の動向は、「外で稼ぐ力」を表すものとして、第Ⅱ部第 1章第 3節における我が国海外現地法人の分析の中でより詳しく検証する。

第Ⅰ-1-1-3-8 図 各国の証券投資残高の推移

資料:�IMF「IIP」から作成。

0

5

4

3

2

1

0

10987654321

(兆ドル) (兆ドル)

201320122011201020092008200720062005 (年)

ドイツフランス米国(右軸)

英国日本

第Ⅰ-1-1-3-6 図 各国の直接投資残高の推移

資料:�IMF「IIP」から作成。

0

4

3

2

1

0

8

7

6

5

4

3

2

1

(兆ドル) (兆ドル)

2013(年)20122011201020092008200720062005

韓国フランス 日本

中国 米国(右軸)英国 ドイツ

第Ⅰ-1-1-3-9 図 各国の証券投資収益率の推移

資料:�IMF「BOP」、「IIP」から作成。

0

7

6

5

4

3

2

1

(%)

201320122011201020092008200720062005 (年)

英国 フランス日本ドイツ

米国

第Ⅰ-1-1-3-7 図 各国の直接投資収益率の推移

資料:�IMF「BOP」、「IIP」から作成。

0

14

12

10

8

6

4

2

(%)

201320122011201020092008200720062005 (年)

中国米国 ドイツフランス英国日本 韓国

第1章

第Ⅰ部

通商白書 2015 13

第1節我が国の対外収支動向