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LED いた 70350515 a) Fundamental Experiments on Visible Light Communications using LED as Light Receptor Device Hiroshi YAMAMOTO a) あらまし LED いた しい されている。 、こ した LED るために、 LED について、 によって られる った。 によって LED けて じるこ し、 LED LED せによる LED による影 についてま めた。 LED GL5UR3K1(Sharp )LED GL5SR082B0S(Sharp ) した して じた。こ から、 LED LED それぞれに められる について した。 キーワード , Visible Light Communications, VLC, LED, ダイオード, , 1. はじめに した ある Visible Light Communication; VLC す)について いる。VLC ように に悪影 いこ インフラストラクチャー して きるこ されており、 大きい。 これま VLC LED Light Emitting Diodeい、 フォト ダイオード いる が一 あった。しかし がら、こ よう しく、 が一 られる いう がある。 する して に他 いる いる えられてい る。ただし、こういった大 いる VLC コスト いった われてしまう。 これに対して、 LED 大学 Faculty of Environmental Information, Keio University, 5322 Endo, Fujisawa, Kanagawa, 252-0816 Japan a) E-mail: {takefuji, t03052hy}@sfc.keio.ac.jp いる いう しい VLC され めた。LED により する して あるが、 けるこ させるこ ある。こ よう LED LED によって、 がら するこ いう大き メリットが まれた。 LED いた VLC んに あろう される。 LED を活かすこ いう 3つ れたインフラストラク チャーが する い。 LED LED において、 よう LED しているかを るために った。 LED せて、LED それら について た。 2. VLC まず、 ある VLC について す。VLC 域を った あり、 れる。 大きく けて、Bluetooth LAN いら れている 、X 、そして まれる される。 およそ 2006 年度秋学期 卒業制作 1

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卒業制作

LEDを受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験

環境情報学部4年70350515 山本 浩之†a)

Fundamental Experiments on Visible Light Communications using LED as Light

Receptor Device

Hiroshi YAMAMOTO†a)

あらまし LEDを受光素子に用いた新しい方式の可視光通信技術が開発されている。本研究では、この方式に適した LEDを調べるために、市販の LEDについて、受光によって得られる起電力を調べる実験を行った。本稿では、光電効果によって LEDが光を受けて起電力を生じることを示し、受光側 LEDと発光側 LEDの組み合わせによる特性と、LED間の距離による影響についてまとめた。実験の結果、受光用 LEDを GL5UR3K1(Sharp

社製)、発光用 LEDを GL5SR082B0S(Sharp社製)とした場合に突出して高い起電力が生じた。このことから、受光用 LED と発光用 LED のそれぞれに求められる特性について考察した。

キーワード 可視光通信, Visible Light Communications, VLC, LED, 発光ダイオード, 起電力, 光電効果

1. は じ め に

 可視光を通信媒体とした無線通信である可視光通

信(Visible Light Communication; 以下、VLCと記

す)についての研究、開発が進んでいる。VLC は電

波のように機器に悪影響を与えないことや、既存の照

明インフラストラクチャーや光源を通信路として利用

できることが評価されており、次世代の通信技術とし

ての期待も大きい。

 これまでのVLC通信装置では、送信に LED(Light

Emitting Diode)などの光源を用い、受信にはフォト

ダイオードなどの受光専用の素子を用いるのが一般的

であった。しかしながら、このような装置の場合、発

光側と受光側の2点間での双方向通信が難しく、利用

場面が一方向通信に限られるという欠点がある。双方

向通信を実現する提案としては、返信に他の通信方式

を用いる方法や、反射鏡を用いる方法が考えられてい

る。ただし、こういった大規模な装置を用いる場合、

VLC の低コストや装置の簡便さといった利点が損な

われてしまう。

 これに対して、近年、受光にも LEDなどの発光可

†慶應義塾大学環境情報学部,神奈川県Faculty of Environmental Information, Keio University, 5322

Endo, Fujisawa, Kanagawa, 252-0816 Japan

a) E-mail: {takefuji, t03052hy}@sfc.keio.ac.jp

能な素子を用いるという新しい方式の VLC通信装置

が研究・開発され始めた。LEDは電力により発光する

素子として有名であるが、逆に光を受けることで電力

を発生させることも可能である。このような LED対

LEDでの通信技術の開発によって、発光しながら受光

することも出来るという大きなメリットが生まれた。

今後、LEDを受光素子に用いた VLC技術の研究、開

発が盛んになるであろうと予想される。又、LED の

光起電効果を活かすことで、照明、通信、発電という

3つの要素を併せもつ非常に優れたインフラストラク

チャーが誕生する可能性も高い。

 本研究では、LED対 LEDでの通信において、どの

ような LEDが適しているかを調べるために基礎実験

を行った。実験では、様々な種類の LEDを組み合わ

せて、LED 同士の距離とそれらの起電力についての

関係を調べた。

2. VLC

 まず、本研究の基盤である VLC技術について記

す。VLC は電磁波の可視光領域を使った無線通信技

術であり、可視光通信とも呼ばれる。電磁波は大きく

分けて、Bluetoothや現行の無線 LANなどで用いら

れている電波、X線などの放射線、そして可視光や赤

外線が含まれる光に分類される。光の中でもおよそ

2006 年度秋学期 卒業制作 1

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2006 年度秋学期 卒業制作

200THz から 300THz の周波数(波長では約 380 か

ら 780nm)に属するものを可視光と呼ぶ。VLCでは、

主に LEDやレーザダイオードによる発光を媒体とし

て情報通信を行う。

2. 1 VLCの特徴

  VLCの最大の特徴は、通信媒体が目に見える光

であるという点にある。光は人間の生活に密着してお

り、照明や交通信号などのインフラストラクチャーも

広く普及している。このため、VLC は既存のインフ

ラストラクチャーを利用して、低コストで実現するこ

とが出来る。そのほか、電波では精密機器に悪影響を

与えるの恐れがある病院や宇宙船などの場所で安全に

使用できることが大きな利点である。又、人間の目に

見えるため、電送範囲の制御が容易である。更に、通

信が行われていることを容易に確認することが出来る

ため、実験や検証も行いやすい。

2. 2 VLCの普及

  VLCの普及には、VLCの技術自体の発展ととも

に、LEDなどの照明技術の発展も欠かせない。VLC

の技術開発については、まず最近 10年の間にVLCと

いうものの可能性が認められ、研究題材にされるよう

になった。その結果、2003 年に可視光通信コンソー

シアム(VLC Consortium;以下、VLCC [11])が発

足され、産学連携の体制がとられたことにより、現在

では VLC 技術を利用した製品の開発が進んでいる。

VLCCでは総務省と合同で標準化を進める活動も行っ

ている。そして将来、製品化が進めば、より重要な通

信にも VLC 技術が利用されていくと予想している。

一方、照明技術の発展については、白色 LEDが発明

され、LEDを照明として利用する可能性が生まれたこ

とが大きな前進であった。現在 LEDの発光効率は蛍

光灯と並ぶまでに発達しており、近い将来には蛍光灯

を上回ると考えられている。更に、2010年には LED

の低価格化が進むと言われている [6]。

 照明が LEDへと置き換わっていくとする根拠だが、

第一には前述したように、LED は発光効率が良いこ

とが挙げられる。LED が登場した 1960 年から 1970

年代には、その発光効率は数 lm/W であったが(注1)、

2000年に入って数十 lm/Wまで伸び、更に今日では

60lm/Wにまで達し急速な成長を見せている。一方、

(注1):lm(ルーメン):光束 (luminous flux)、光の量

白色電球の発光効率は 10~20lm/W、蛍光灯では約

70lm/Wであるとされているが、これらの値は既に伸

びを止めている [1]。もう1つの根拠として、LEDは

長寿命であることが挙げられる。白色電球の寿命は約

1,000 時間、蛍光灯は約 10,000 時間と言われている

が、寿命についてもこの2者はほとんど伸びが見られ

ない。一方、LEDの寿命は現段階で 40,000~50,000

時間であり、既に他の照明を大きく抜いている [5]。発

光効率においては電球を越え、蛍光灯を追い抜こう

としており、寿命については既に画期的な値を示して

いる LED は、次世代の照明としての期待が大きい。

LEDの発光効率の推移を図 1、 2に示す。

 以上のように、VLC技術の研究と LEDの改良、両

者の発展を並べて考えると、VLC 普及のロードマッ

プが見えてくる。LEDの照明への利用が、VLCを普

及させる鍵になるであろう。又、日本は VLC技術の

先進国であるといえ、国内で多くの情報を得ることが

出来る点も有利である。

図 1 LED の発光効率推移 [6]

図 2 InGaN 系 LED の発光効率推移 [6]

2

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2. 3 関 連 研 究

 現在取り組まれている VLCの研究では、照明光

を利用した通信や照明から位置情報を発信する技術が

開発されている。その他にも、LED のディスプレイ

から情報を発信するサービスや、信号機や街灯と、自

動車や歩行者との通信により交通の安全や効率化を目

指した ITS(Intelligent Transport Systems:高度道

路交通システム)への利用などが考えられている。

2. 3. 1 照明光通信

  VLCを使用して室内でのネットワークを構築す

る手法として照明光通信が考えられている。VLC と

ともに次世代のネットワークとして研究されている通

信技術に PLC(Power Line Communication:電力線

通信)がある。これは送電線をデータ伝送に使用する

通信で、VLCを PLCと組み合わせて照明設備を利用

した通信インフラストラクチャーを構築することが出

来る [11]。既存の設備を利用して新たなネットワーク

を構築する手段は敷設コストを低減することができ、

電話回線を利用したインターネット接続である ADSL

(Asymmetric Digital Subscriber Line)が普及した

ように、社会の受容性が高い。又、照明設備の多くに

は比較的大きな電力供給が確保されているため、この

電力を利用して大容量の通信を行うことも可能となる。

2. 3. 2 緊急位置情報

 緊急時に位置情報を発信する手法にも VLC を

利用する研究が行われている。現在主流である GPS

(Global Positioning System:全地球測位システム)

を用いた位置情報の取得では二次元的な情報しか得る

ことが出来ず、発信者が建物の何階の何号室にいるか

までは分からない。VLCを用いた位置情報発信では、

現在いる場所の照明から発信される位置情報を携帯端

末で受信し、その情報を基地局や警察、消防署などへ

送信することで正確な位置情報を伝えることが出来る。

又、発信者が広い空間にいる場合でも、照明光が届く

狭い範囲に位置を特定することができ非常に精度が高

い。

2. 3. 3 双方向通信

  VLCを通信に使用する上で、双方向通信を実現

することは非常に望ましい。双方向通信のモデルを考

えたとき、特殊な機器同士ならば双方に光源を設ける

ことは容易である。しかしながら、VLCが普及する上

で最も大規模になると予想される双方向通信モデルは

通信装置と携帯端末間での通信である。この場合、携

帯端末に光源を設置することは電力的にも、また外観

としてもあまり現実的ではない。端末からのアップリ

ンクの方法については、赤外線や電波など他の通信媒

体を使用する方式のほかに、画期的な提案として、受

信した光のエネルギーをリフレクタによって送信に利

用する方式などが考えられている [2] [3]。参考として、

双方向通信への利用が考案されているコーナキューブ

リフレクタ(CCR)を図 3, 4に示す。

図 3 Corner Cube Reflector [12]

図 4 Corner Cube Reflector [13]

3

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2006 年度秋学期 卒業制作

3. LEDと起電力

  LEDが光を受けて電力を発生する現象の論理的

な解釈を、発光ダイオードの発光原理と太陽電池の発

電原理とを比較して示す。

 そして、エネルギーの状態遷移における物理的な理

論から、LED の特性と起電力の関係について実験前

に予想した。

3. 1 発光ダイオードの原理

 発光ダイオードの発光原理を図 5に示す。発光ダ

イオードのp側からn側へ電流が流れると、p側電極

から正孔が、n側電極から電子が注入され、正孔はp

層を、電子はn層を移動し、pn結合が起こる。正孔

及び電子のエネルギーが拡散電圧を超えると、正孔は

pn結合を乗り越えてn層へこぼれ出し、ここにある

電子と再結合する [7]。再結合は電子と正孔が元々もっ

ていたエネルギーより小さくなり、この余剰分が光と

なり発光現象が起きる。

図 5 LED の発光原理 [7]

3. 2 太 陽 電 池

 光から電力を得る素子として太陽電池がある。太

陽電池は、ダイオードに光が入射したときに起こる光

電効果を利用して発電する。

 光電効果とは、金属などの物質に一定以上のエネル

ギーの光を当てると、金属内の自由電子が光子の衝突

によって励起して飛び出してくる現象をいう [8]。とり

わけ、金属から電子が放出される光電効果を外部光電

効果といい、光の照射により物質内の電子が増加する

ものを内部光電効果という。内部光電効果のうち、太

陽電池などで電力が発生する場合を特に光起電力効果

という。

 太陽電池の発電原理を図 6に示す。pn接合をもっ

たダイオードに光が入射すると、電子はn側に、正孔

はp側に拡散し、両電極部に集まって電位が発生する。

[10]

 このように、LED と太陽電池は同様な構造をした

素子を正反対の目的に利用している関係がある。故に、

可逆的な反応が可能で、LED は光を受けた際に起電

力を生じるのである。又、太陽電池のセルは、シリコ

ンを使ったものと化合物を使ったものに大別できる。

化合物を使ったセルには GaAs(ガリウム・砒素)や

InP(インジウム・リン)などを原料にしたものがあ

り、これは LEDの発光材料と同じである。

図 6 太陽電池の発電原理 [8]

3. 3 エネルギーの状態遷移

 光を含む電磁波は、電子のエネルギー状態が遷移

することによって発生する。特に、高いエネルギー準

位にある電子が、エネルギーを光として放出しながら

低いエネルギー準位に遷移する現象を発光と呼ぶ。

 波長 (m)をλ、低い準位のエネルギー (eV)をE1、高

い準位のエネルギー (eV)をE2、光速 (3×108 m/sec)

をC、プランク定数 (4.136×10−15eV sec)を h(注2)と

すると、以下の式 1が成り立つ。 [7]

λ =C

(E2 − E1)/h=

1.24

(E2 − E1)(1)

 このことから、光の波長とエネルギーの状態遷移に

は逆数の関係があり、波長が短い光ほどエネルギー遷

移の幅(バンドギャップ)が広いといえる。又、前述

の光起電力効果の原理から、バンドギャップが広いほ

ど電子が励起しにくくなるといえる。よって、波長が

(注2):プランク定数(Planck’s constant)は通常 6.626 × 10−34J

sec と示されるが、これを 1eV = 1.602 × 10−19J として換算した値である。

4

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卒業制作/LED を受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験

長い光を発光する LEDほどバンドギャップが低く、起

電力が高いことが予想できる。

4. 実 験 条 件

 実験に使用した装置と LED、及び実験手順につ

いて記す。

4. 1 使用した装置

 実験に使用した装置の概略図を図 7に、写真を図

8に示す。図 7のように基板上に発光用 LEDを設置

し、その上方に受光用 LEDを固定した。又、外部の

光に影響されないよう、LED をポリプロピレン製の

黒色の管で覆った。この状態で受光用 LEDに測定器

を接続し、電圧と電流を測定した。

 測定器の性能について、電圧は最小 0.001Vまで測

定でき、電流は最小 0.1マイクロ Aまで測定できるも

のを使った。

図 7 実験装置の概略図

4. 2 使用した LED

 実験に使用した LEDの性能と、発光させる回路

の設定に用いた順方向電圧及び順方向電流を図 9の表

にまとめた。数値は全て定格の代表値を使用した。又、

本稿では、LED に個別の番号を付け、これを型番の

末尾の括弧内に示す。

 実験に使用した LED は、購入店で型番が明記

されておりデータシートが入手できるものを全て

用意した。Sharp 社製の GL5UR3K1(赤, 1)、及

び LINKMAN 社製の BL304V2CA2A01(赤, 2),

BL304A2CA1A01(橙, 3), BL304Y2CA2A01(黄,

4), BL304G6CA3C02(緑, 5), BL304G4CA2A01

(黄緑, 6), BL304B2CA1A01(青, 7)、そしてROHM

社製の SLI580UT(赤, 8), SLI580DT(橙, 9),

図 8 実験装置の写真

SLI580YT(黄,10)となる。

 更に、可視光 LED と比較するために OSIR5113A

(赤外線, A)、OSSV5111A(紫外線, B)を用意した

(OptoSupply社製)。

 加えて、LED対 LEDによる VLC装置の試作機に

使用されている LEDである GL5SR082B0S(赤, X)

を用意した(Sharp社製)。

4. 3 測 定

 測定した環境について、摂氏 24 度に空調された

室内で行った。室内は照明が点灯している状態で測定

した。ただし、LEDの発光以外の光に影響されないよ

う、前述のように LEDをポリプロピレン製の黒色の

管で覆った。電圧及び電流の測定方法について、自動

的に最大測定値を記憶する機能を使い、1組の LED

について3回測定したうちの最大値を記録した。

5. 実 験 結 果

  LEDの起電力を調べる実験を行った。はじめに、

LED同士を密着させた状態(距離 0mm)での全ての

LED の組み合わせについて起電力を調べた。この結

果から、起電力が高い組み合わせについて LED同士

の距離を離した状態での起電力を調べていった。

5

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No

Type

ManufacturerRay Colorwavelength(nm)

Luminous

Mold

Dice Material

Vf(V)

IF(mA)

Intensity(mcd)

�Ó(mm)Height(mm)

Color

1GL5UR3K1

Sharp

Red

660

3000

4.8

7.8

Clear

GaAlAs on GaAlAs

1.85

20

2BL304V2CA2A01LINKMAN

Red

630

700

3.0

4.3

Clear

AlGaInP on GaAs

1.80

20

3BL304A2CA1A01LINKMAN

Orange

606

1500

3.0

4.3

Clear

AlGaInP on GaAs

1.80

20

4BL304Y2CA2A01LINKMAN

Yellow

590

1300

3.0

4.3

Clear

AlGaInP on GaAs

1.90

20

5BL304G6CA3C02LINKMAN

Green

518

3000

3.0

4.3

Clear

InGaN

3.20

20

6BL304G4CA2A01LINKMAN

LiteGreen

573

500

3.0

4.3

Clear

AlGaInP on GaAs

1.90

20

7BL304B2CA1A01LINKMAN

Blue

461

1700

3.0

4.3

Clear

InGaN

3.00

20

8SLI580UT

ROHM

Red

630

5000

5.0

7.5

Clear

AlGaInP on�@GaAs

1.90

20

9SLI580DT

ROHM

Orange

611

5000

5.0

7.5

Clear

AlGaInP on�@GaAs

1.90

20

10SLI580YT

ROHM

Yellow

591

5000

5.0

7.5

Clear

AlGaInP on�@GaAs

1.90

20

AOSIR5113A

OptoSupply

IR940

unknown

5.0

7.7

Green

unknown

1.25

20

BOSSV5111A

OptoSupply

UV

400

200

5.0

7.7

Clear

unknown

3.40

20

XGL5SR082B0S

Sharp

Red

655

unknown

4.8

7.8

Clear

AlGaInP

2.10

20

図 9 使用した LED の性能

5. 1 0mmでの測定

 まず、LED同士を密着させた状態での起電力を調

べた。測定した LEDの電圧及び電流を図 10, 11に、

測定値から算出した電力を図 12の表にまとめた。

 補足として、図 10 で測定値が 0.000V と記載さ

れているものは、使用した測定器では測定不能だった

ことを表している。同じく、図 11 で測定値が 0.0 マ

イクロ A と記載されているものについても測定不能

だったことを表している。又、図 12で算出値が 0.000

マイクロW と記載されているものは、電圧、もしく

は電流が測定不能だったため算出出来なかったことを

表している。

 算出した起電力のグラフを図 13 に示す。縦軸を起

電力、横軸を受光側の LED とし、受光 LED ごとに

組み合わせた発光 LEDでの起電力を示している。

 グラフから、赤外線 LEDであるOSIR5113A(A)

同士の組み合わせは起電力が高かった。又、

GL5UR3K1(1) を受光 LED とした場合の起電力も

高かった。特に、GL5SR082B0S(X) を発光側とし、

GL5UR3K1(1) を受光側とした場合の起電力が極

めて高く、赤外線 LED 同士の起電力を超えた。し

かしながら、同じ赤色でも BL304V2CA2A01(2) や

SLI580UT(8)で受光した場合には起電力が低かった。

そのほか、青色の BL304B2CA1A01(7)を発光側とし

て、橙の SLI580DT(9)と黄の SLI580YT(10)を受光

側とした場合に起電力が高かった。それ以外の組み合

わせでは起電力が低かった。

5. 2 100mmでの測定

 次に、LED 同士の距離を 100mm 離した状

態での起電力を測定した。測定した LED は、

GL5SR082B0S(X)同士の組み合わせを指標とし、距

離 0mmの測定においてこれと同等かそれ以上の起電

力を得たものを選んだ。GL5SR082B0S(X)は実際に

VLC 装置の試作機に使用されている LED であるの

で、これと同等の起電力が発生するものならば、VLC

に利用できる可能性が高いと考えた。

 電圧、電流の測定値、及び算出した電力とそのグラ

フを図 15 に示す。比較として、距離 0mm での測定

の抜粋を図 14に示す。

 結果を見ると、赤外線 LEDであるOSIR5113A(A)

や、GL5UR3K1(1)を受光側としたときに、起電力が

高かった。青色の BL304B2CA1A01(7)を発光側とし

て、橙の SLI580DT(9)と黄の SLI580YT(10)を受光

6

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卒業制作/LED を受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験

側とした組み合わせは、GL5SR082B0S(X)同士の組

み合わせより起電力が落ちた。GL5SR082B0S(X)を

発光側とし、GL5UR3K1(1)を受光側とした場合の起

電力が突出して高かった。

5. 3 200mmでの測定

 最後に、LED 同士の距離を 200mm 離した状態

での起電力を測定した。測定した LEDは、100mmで

の測定と同じ組み合わせを用いた。電圧、電流の測定

値、及び算出した電力とそのグラフを図 16に示す。

  100mmでの測定と比べて、全体的に起電力が大きく

落ちた。青色のBL304B2CA1A01(7)を発光側として、

橙の SLI580DT(9)と黄の SLI580YT(10)を受光側と

した組み合わせは、微少な電力しか得られなかった。

GL5SR082B0S(X)を発光側とし、GL5UR3K1(1)を

受光側とした場合の起電力も大きく落ちたが、相対的

にみると突出して高い。

 今回使用した実験装置では、これ以上距離を離し

た状態では LED 同士の焦点を固定することが困難

だった。

V /0mm

Send Receive

12

34

56

78

910

AB

X

Red

Red

Orange

Yellow

Green

LiteGreen

Blue

Red

Orange

Yellow

IRUV

Red

1GL5UR3K1

Red

1.480

1.319

0.079

0.021

0.009

0.002

0.001

1.408

0.227

0.012

0.705

0.000

1.499

2BL304V2CA2A01

Red

1.465

1.448

0.814

0.151

0.000

0.029

0.000

1.515

1.369

0.208

0.735

0.000

1.488

3BL304A2CA1A01

Orange

1.444

1.459

1.448

1.102

0.016

0.172

0.000

1.510

1.473

1.270

0.696

0.000

1.491

4BL304Y2CA2A01

Yellow

1.380

1.414

1.417

1.530

0.003

1.029

0.000

1.472

1.449

1.466

0.637

0.000

1.459

5BL304G6CA3C02

Green

1.278

1.469

1.528

1.597

0.171

1.629

0.002

1.505

1.506

1.538

0.621

0.000

1.504

6BL304G4CA2A01LiteGreen

1.266

1.311

1.333

1.492

0.000

1.464

0.000

1.373

1.369

1.395

0.663

0.000

1.411

7BL304B2CA1A01

Blue

1.249

1.396

1.546

1.562

1.903

1.541

1.291

1.490

1.533

1.549

0.667

0.000

1.472

8SLI580UT

Red

1.442

1.435

1.321

0.070

0.001

0.014

0.000

1.445

1.292

0.190

0.692

0.000

1.508

9SLI580DT

Orange

1.416

1.435

1.430

1.113

0.000

0.077

0.000

1.438

1.470

1.111

0.679

0.000

1.493

10SLI580YT

Yellow

1.388

1.365

1.405

1.505

0.000

0.482

0.000

1.425

1.451

1.453

0.621

0.000

1.462

AOSIR5113A

IR0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.001

0.000

0.000

0.930

0.000

0.000

BOSSV5111A

UV

1.196

0.309

0.140

0.241

1.674

0.489

2.068

0.405

0.640

0.508

0.647

2.412

0.843

XGL5SR082B0S

Red

1.488

1.331

0.128

0.032

0.000

0.003

0.000

1.443

0.523

0.040

0.756

0.000

1.527

図 10 測定した電圧及び電流

7

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2006 年度秋学期 卒業制作

micro A /0mm

Send Receive

12

34

56

78

910

AB

X

Red

Red

Orange

Yellow

Green

LiteGreen

Blue

Red

Orange

Yellow

IRUV

Red

1GL5UR3K1

Red

22.8

0.3

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.1

0.0

0.0

0.5

0.0

0.9

2BL304V2CA2A01

Red

22.9

1.8

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

1.8

0.2

0.0

0.3

0.0

2.1

3BL304A2CA1A01

Orange

10.8

2.5

0.3

0.1

0.0

0.0

0.0

1.6

1.4

0.1

0.3

0.0

1.5

4BL304Y2CA2A01

Yellow

3.3

1.1

0.2

0.9

0.0

0.1

0.0

0.8

0.6

0.6

0.1

0.0

1.0

5BL304G6CA3C02

Green

0.6

2.8

1.8

2.9

0.0

2.7

0.0

2.0

2.7

2.4

0.0

0.0

2.8

6BL304G4CA2A01LiteGreen

0.3

0.3

0.1

0.6

0.0

0.2

0.0

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0

0.3

7BL304B2CA1A01

Blue

0.3

0.8

1.3

1.5

1.2

1.2

0.0

1.1

4.5

3.5

0.3

0.0

0.8

8SLI580UT

Red

21.9

1.9

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

1.9

0.1

0.0

0.3

0.0

2.7

9SLI580DT

Orange

15.9

1.3

0.3

0.1

0.0

0.0

0.0

1.6

1.5

0.0

0.2

0.0

1.9

10SLI580YT

Yellow

4.2

0.5

0.2

0.6

0.0

0.0

0.0

0.9

0.9

0.7

0.0

0.0

1.2

AOSIR5113A

IR0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

40.2

0.0

0.0

BOSSV5111A

UV

0.2

0.0

0.0

0.0

1.2

0.0

2.4

0.0

0.0

0.0

0.2

0.3

0.0

XGL5SR082B0S

Red

44.9

0.3

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.5

0.0

0.0

0.9

0.0

3.9

図 11 測定した電圧及び電流

micro W /0mm

Send Receive

12

34

56

78

910

AB

X

Red

Red

Orange

Yellow

Green

LiteGreen

Blue

Red

Orange

Yellow

IRUV

Red

1GL5UR3K1

Red

33.744

0.396

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.141

0.000

0.000

0.353

0.000

1.349

2BL304V2CA2A01

Red

33.549

2.606

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

2.727

0.274

0.000

0.221

0.000

3.125

3BL304A2CA1A01

Orange

15.595

3.648

0.434

0.110

0.000

0.000

0.000

2.416

2.062

0.127

0.209

0.000

2.237

4BL304Y2CA2A01

Yellow

4.554

1.555

0.283

1.377

0.000

0.103

0.000

1.178

0.869

0.880

0.064

0.000

1.459

5BL304G6CA3C02

Green

0.767

4.113

2.750

4.631

0.000

4.398

0.000

3.010

4.066

3.691

0.000

0.000

4.211

6BL304G4CA2A01LiteGreen

0.380

0.393

0.133

0.895

0.000

0.293

0.000

0.549

0.411

0.279

0.066

0.000

0.423

7BL304B2CA1A01

Blue

0.375

1.117

2.010

2.343

2.284

1.849

0.000

1.639

6.899

5.422

0.200

0.000

1.178

8SLI580UT

Red

31.580

2.727

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

2.746

0.129

0.000

0.208

0.000

4.072

9SLI580DT

Orange

22.514

1.866

0.429

0.111

0.000

0.000

0.000

2.301

2.205

0.000

0.136

0.000

2.837

10SLI580YT

Yellow

5.830

0.683

0.281

0.903

0.000

0.000

0.000

1.283

1.306

1.017

0.000

0.000

1.754

AOSIR5113A

IR0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

37.386

0.000

0.000

BOSSV5111A

UV

0.239

0.000

0.000

0.000

2.009

0.000

4.963

0.000

0.000

0.000

0.129

0.724

0.000

XGL5SR082B0S

Red

66.811

0.399

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.722

0.000

0.000

0.680

0.000

5.955

図 12 算出した電力

8

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卒業制作/LED を受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験

図 13 電力のグラフ

9

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2006 年度秋学期 卒業制作

V /0mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 1.480

2 BL304V2CA2A01 Red 1.465

3 BL304A2CA1A01 Orange 1.444

7 BL304B2CA1A01 Blue 1.533 1.549

8 SLI580UT Red 1.442

9 SLI580DT Orange 1.416

10 SLI580YT Yellow 1.388

A OSIR5113A IR 0.930

X GL5SR082B0S Red 1.488 1.527

micro A /0mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 22.8

2 BL304V2CA2A01 Red 22.9

3 BL304A2CA1A01 Orange 10.8

7 BL304B2CA1A01 Blue 4.5 3.5

8 SLI580UT Red 21.9

9 SLI580DT Orange 15.9

10 SLI580YT Yellow 4.2

A OSIR5113A IR 40.2

X GL5SR082B0S Red 44.9 3.9

micro W /0mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 33.744

2 BL304V2CA2A01 Red 33.549

3 BL304A2CA1A01 Orange 15.595

7 BL304B2CA1A01 Blue 6.899 5.422

8 SLI580UT Red 31.580

9 SLI580DT Orange 22.514

10 SLI580YT Yellow 5.830

A OSIR5113A IR 37.386

X GL5SR082B0S Red 66.811 5.955

0.000

5.000

10.000

15.000

20.000

25.000

30.000

35.000

40.000

Red Orange Yellow IR Red

1 9 10 A X

1

2

3

7

8

9

10

A

X

図 14 距離 0mm での起電力(抜粋)

10

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卒業制作/LED を受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験

V /100mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 1.445

2 BL304V2CA2A01 Red 1.424

3 BL304A2CA1A01 Orange 1.390

7 BL304B2CA1A01 Blue 1.477 1.505

8 SLI580UT Red 1.444

9 SLI580DT Orange 1.421

10 SLI580YT Yellow 1.354

A OSIR5113A IR 0.870

X GL5SR082B0S Red 1.486 1.528

micro A /100mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 12.8

2 BL304V2CA2A01 Red 7.4

3 BL304A2CA1A01 Orange 3.5

7 BL304B2CA1A01 Blue 2.2 1.5

8 SLI580UT Red 10.0

9 SLI580DT Orange 7.2

10 SLI580YT Yellow 2.4

A OSIR5113A IR 12.7

X GL5SR082B0S Red 35.9 3.7

micro W /100mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 18.496

2 BL304V2CA2A01 Red 10.538

3 BL304A2CA1A01 Orange 4.865

7 BL304B2CA1A01 Blue 3.249 2.258

8 SLI580UT Red 14.440

9 SLI580DT Orange 10.231

10 SLI580YT Yellow 3.250

A OSIR5113A IR 11.049

X GL5SR082B0S Red 53.347 5.654

0.000

5.000

10.000

15.000

20.000

25.000

30.000

35.000

40.000

Red Orange Yellow IR Red

1 9 10 A X

1

2

3

7

8

9

10

A

X

図 15 距離 100mm での起電力

11

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2006 年度秋学期 卒業制作

V /200mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 1.414

2 BL304V2CA2A01 Red 1.398

3 BL304A2CA1A01 Orange 1.356

7 BL304B2CA1A01 Blue 1.408 1.457

8 SLI580UT Red 1.414

9 SLI580DT Orange 1.406

10 SLI580YT Yellow 1.326

A OSIR5113A IR 0.836

X GL5SR082B0S Red 1.456 1.463

micro A /200mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 6.9

2 BL304V2CA2A01 Red 4.9

3 BL304A2CA1A01 Orange 2.1

7 BL304B2CA1A01 Blue 0.4 0.4

8 SLI580UT Red 6.8

9 SLI580DT Orange 4.4

10 SLI580YT Yellow 1.1

A OSIR5113A IR 6.2

X GL5SR082B0S Red 18.1 1.9

micro W /200mm

Send Receive1 9 10 A X

Red Orange Yellow IR Red

1 GL5UR3K1 Red 9.757

2 BL304V2CA2A01 Red 6.850

3 BL304A2CA1A01 Orange 2.848

7 BL304B2CA1A01 Blue 0.563 0.583

8 SLI580UT Red 9.615

9 SLI580DT Orange 6.186

10 SLI580YT Yellow 1.459

A OSIR5113A IR 5.183

X GL5SR082B0S Red 26.354 2.780

0.000

5.000

10.000

15.000

20.000

25.000

30.000

35.000

40.000

Red Orange Yellow IR Red

1 9 10 A X

1

2

3

7

8

9

10

A

X

図 16 距離 200mm での起電力

12

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卒業制作/LED を受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験

6. 結 論

 以上の実験結果から、本研究の評価を記す。

今回の実験に使用した LED では、発光用 LED を

GL5SR082B0S(X)、受光用 LED を GL5UR3K1(1)

とした組み合わせが最適であった。同じ LED同士で

はなく、違う LED同士の組み合わせであることが興

味深い。

  GL5SR082B0S(X) を発光側 LED に用いた場合、

GL5UR3K1(1) を受光側とした場合にのみ突出して

高い起電力を得た。逆に、他の LEDと組み合わせた

場合の起電力は、相対的に見て低い。この組み合わ

せは起電力が突出して高く、減衰も少ない。他の組み

合わせでは 0mmでの測定と比べて起電力が7割から

9割の減衰しているが、GL5SR082B0S(X)で発光し

GL5UR3K1(1) で受光した場合の減衰は 60.6 %、発

光・受光ともに GL5SR082B0S(X)を用いた場合の減

衰は 53.3%であった。

6. 1 発光用 LEDの特性

 まず、GL5SR082B0S(X) が発光側 LED として

適している理由を考察する。

 仮説として、GL5SR082B0S(X)は指向特性が非常

に鋭角であり、受光側 LEDであるGL5UR3K1(1)の

ダイオード面に直射する光の割合が大きいことが考え

られる。このため、GL5SR082B0S(X)は発光する光

が収束しており、受光されたときの起電力が高く、ま

た減衰も少ないと考えられる。

 ただし、GL5SR082B0S(X) は開発中の VLC 用デ

バイスに使用されているものを拝借してきた LEDで

あり、外部からデータシートを得ることが出来なかっ

た。簡単な仕様書のみ入手できたが、他の LEDと比

べて得られる情報が少なく、指向特性や光度、輝度な

どについての正確な数値は分からなかった。

6. 2 受光用 LEDの特性

 次に、GL5UR3K1(1)が受光側 LEDに適してい

る理由を考察する。図 9から、GL5UR3K1(1)の波長

は 660nmと他の可視光 LEDよりも高い。又、前述の

ように、波長が長い LEDほど起電力が高いと考えら

れる。故に、波長の長い光を発光するGL5UR3K1(1)

は高い起電力が発生すると考えられる。

 しかしながら、波長が長い LED が全ての組み合

わせで高い起電力を得たわけではない。波長が最

も長い赤外線を発光する OSIR5113A(A) は、同じ

OSIR5113A(A)以外では起電力が得られなかった。こ

の理由について考察すると、可視光の発光スペクトル

は色が近いもの同士の波長が密接しており、互いに重

なり合っている領域がある。これに対し、赤外線の発

光スペクトルは可視光とは離れた領域に存在してい

る。例として、高輝度 LEDの場合、赤色の発光スペ

クトルは約 580nmから 670nmの領域に存在し、橙色

の発光スペクトルは約 550nm から 660nm の領域に

存在する。又、黄色の発光スペクトルは約 540nm か

ら 625nm の領域に存在し、これらの波長には重なり

合っている領域が存在する。このため、本実験でも赤

色 LED と黄色 LED など波長が近い色の組み合わせ

では起電力が得られた。これに対して、赤外線 LED

の発光スペクトルは約 900nmから 1100nmの領域に

存在し、可視光 LEDの波長と重なる領域がない。

 そのほか、LED の発光スペクトルは単純な単色の

放物曲線ではなく、いくつかのスペクトルが合成され

た多重の放物曲線を描き、これらの光が合成されて目

的の色を発光している。このことから、主となる色の

スペクトルだけでなく、同時に発光されている他のス

ペクトルを受光することでも起電力が生じている可能

性がある。本実験では、これらを合計してその LED

の起電力としているので、発光側と受光側のスペクト

ルの形状が似ているほど、多くの光を受光して起電力

が高くなることも考えられる。

 以上のことから、受光側の LEDは波長が長いこと

が求められると同時に、発光側の LEDと発光スペク

トルの領域を共有している必要があると考えられる。

又、発光側の LEDと同じ種類の光を多く含むほど起

電力が高くなる可能性がある。

7. お わ り に

 本研究では、LED を受光素子として用いた場合

に受け取ることが出来る電力について、最も基本的な

実験を行いデータを得た。又、実験データの中で、非

常に高い起電力を発生する LEDの組み合わせを発見

した。実験結果から発光用 LED と受光用 LED それ

ぞれに求められる特性について考察した。

 本研究の展望として、LED対 LEDによる双方向の

可視光通信技術の開発があり、更には照明、通信、発

電という3つの役割を果たす優れたインフラストラク

チャーの構築に繋がる。

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Page 14: 卒業制作 - Keio Universityweb.sfc.keio.ac.jp/~yama/paper/gthesis.pdf卒業制作/LED を受光素子に用いた可視光通信技術の基礎実験 2.3 関連研究 現在取り組まれているVLC

2006 年度秋学期 卒業制作

 参考までに、今回の実験で突出して高い起電力を発

生した GL5UR3K1(1) と GL5SR082B0S(X) の組み

合わせについて発電効率を算出してみた。発光側 LED

である GL5SR082B0S(X)の順方向電圧は 2.1Vであ

り、今回使用した実験装置の回路では 20mAの電流を

用いたので、消費電力は 42ミリWとなる。一方、受

光側 LEDである GL5UR3K1(1)は LED間の距離が

0mm では 66.811 マイクロW の起電力を得たので、

この LEDの組み合わせでの発電効率は 0.15907%と

なる。非常に小さな値に感じられるが、これは LED

パッケージに実装された微細な素子1つについての発

電効率である。本研究で考察した受光側 LEDの特性

を考慮し、この素子を改良、集積することによって大

規模な発電も可能になると考えられる。

7. 1 課 題

 今回作成した実験装置では、200mm 以上距離を

離した状態では LED同士の焦点を固定することが困

難であったが、装置を改良して更に距離を離したとき

の実験を行いたいと考えている。又、本実験では測定

中の最大値にのみ注目しており、測定値が時間と共に

変化するかについては記録していない。受光中の起電

力の経年変化についても何らかの特性がある可能性が

あり、実験してみたいと思う。

 評価について、今回の実験ではスペクトルアナライ

ザや波長計、分光計といった計測機器を用意していな

かったため、考察を証明するに至っていない。今後の

研究では、これらの機器を使用できる環境で実験を行

いたい。

 そのほか、LEDの発光はチップの正面から発せられ

る光のほかに、チップの横面から発せられる光もある。

この性質と起電力の関係を調べるためには、LEDパッ

ケージの構造についても考慮する必要がある。LED

パッケージの構造については、メーカーのノウハウで

あるため公開されているデータから情報を得ることは

難しい。機会があれば、メーカーから情報を提供して

頂き、更に精密な実験を行いたい。

謝辞 本研究について貴重な意見や助言を頂いた慶

應義塾大学環境情報学部の武藤佳恭教授、京セラ株式

会社FCマーケティング部の川端一司氏に深く感謝す

る。又、実験について機材の提供や使用方法の教授を

して頂いた慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科

博士課程の竹之内博史氏、同所属の直江健介氏に深く

感謝する。

文 献[1] 春山真一郎, ”可視光通信” (電子情報通信学会論文誌 A

Vol.J86-A No.12 pp.1284-1291 Dec.2003)

[2] 中川正雄, ”ユビキタス可視光通信” (電子情報通信学会論文誌 B Vol.J86-B No.2 pp.351-359 2005)

[3] T. Komine, S. Haruyama, and M. Nakagawa, ”Bidi-

rectional visible-light communication using corner

cube modulator,” The 3rd IAESTED (The Interna-

tional Association of Science and Technology for De-

velopment) International Conference on Wireless and

Optical Communications (WOC 2003), pp.598-603,

July. 2003.

[4] T. Komine, M. Nakagawa, ”Intergrated system

of white LED visible-light communication,” IEEE

Trans. Consum. Electron., vol.49, no.1, pp.71-79,

Feb. 2003.

[5] 可視光通信が情報伝達手段の未来を照らす (日経エレクトロニクス 2004.6.7)

[6] 環境省エネ型 LED 照明機器システムの総合的普及戦略に関する調査研究 (JRCM 財団法人 金属系材料研究開発センター, 開発・調査報告書, 2003)

[7] オプト・デバイスの基礎と応用(蝦名清志, ISBN4-7898-

3035-7, CQ 出版社, 2005)[8] 太陽電池システムのはなし(山本重雄, ISBN4-526-04858-

5, 日刊工業新聞社, 2001)[9] 太陽電池(谷辰夫, 安藤静敏, 平田陽一, 関口直俊, ISBN4-

8277-2210-2, パワー社, 2004)[10] 太陽電池とその応用(桑野幸徳, 中野昭一, 岸靖雄, 大西三

千年, ISBN4-8277-2261-7, パワー社, 1994)[11] VLCC (可視光通信コンソーシアム:http://www.vlcc.net/)

[12] Richard Fitzpatrick (Associate Professor of Physics,

The University of Texas at Austin)

(http://farside.ph.utexas.edu/)

[13] The University of Iowa, Physics and Astronomy Lec-

ture Demonstrations

(http://faraday.physics.uiowa.edu/)

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