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J・ハーバーマスの社会認識論に基づいた 社会認識形成論...
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J・ハーバーマスの社会認識論に基づいた社会認識形成論―小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」を通して―
2011年2月4日 福井駿
発表の目的発表の目的
本発表の目的は、社会科教育の可能性を探るため、J・ハーバーマスの社会認識論に立脚した社会認識形成論とはどのようなものかを明らの社会認識論に立脚した社会認識形成論とはどのようなものかを明らかにする事にある。
明らかにする方法明らかにする方法
・ハーバーマスの思想を概観しつつ、ハーバーマスの社会認識論を示す。
・ハーバーマスの社会認識論を前提としていると思われる社会科授業を使い ハーバーマスの社会認識論に立脚した社会認識形成論を明らを使い、ハーバーマスの社会認識論に立脚した社会認識形成論を明らかにする。
・その社会認識形成論が妥当なものか、つまりハーバーマスの社会認識論が社会科教育の成立基盤として存立しうるかを考察する。
発表構成発表構成
ハーバーマス ハーバーマ 授業にみる社会科の可ハ バ マス
の思想スの社会認
識論社会認識形
成論
社会科の可能性へ
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
Jürgen Habermas(1929〜)
・1929年、ドイツのデュッセルドルフに生まれた。少年期をナチス政権下で過ごし、家族は政権を積極的に支持したわけではないが、受け入れてはいた。。
・戦後、アメリカの主導下に実施された「再教育」(民主主義教育)を受けるける。
・青年時代M・ハイデガーに夢中になりながらも F・シェリングに関する・青年時代M・ハイデガ に夢中になりながらも、F・シェリングに関する論文で、博士号を取得した。
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
Jürgen Habermas(1929〜)
・1956年、T・W・アドルノの助手として、フランクフルトの社会研究所の一員となる。
・1961年からハイデンブルク大学、1964年からフランクフルト大学の教授職をつとめる授職をつとめる。
・1994年に教授職を退き 著述活動のかたわら アメリカで非常勤講師1994年に教授職を退き、著述活動のかたわら、アメリカで非常勤講師として教鞭をとっている。
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの思想
ハーバーマスは何をしたいのか…
「未完のプロジェクト」たるモダンの完成
ここには2つの考え方が含まれている。
ダンが未完であるという考え方・モダンが未完であるという考え方・モダンは完成させなければならないという考え方
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの思想
性 時代モダンとは… 理性の時代
我考える故に我ありモダンの起源と言わ 我考える故に我ありモダンの起源と言われるR・デカルト
これがどうしてモダンの始まりなのか?
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの思想
性 時代モダンとは… 理性の時代
これまで神の存在から始めてなにかを認識しようとしていたのに対し、他のなにかに頼らずに自分の中だけで証明したと主張しているしている。
人間には理性という力があり、それを正しく使う事によ て真理が認識できると考えられるよう事によって真理が認識できると考えられるようになった。
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの思想
「主体」の中に理性が存在するという考え方では 安定した社
モダンは未完である
「主体」の中に理性が存在するという考え方では、安定した社会秩序は作れなかった。
モダンは完成させなければならない
理性的なものをあきらめるような考え方(ポスト・モダン)は社会的秩序を全 破壊する
モダンは完成させなければならない
会的秩序を全て破壊する。
人と人のコミュニケーションの中に理性を見出そう見出そう。
思想 社会認識論社会認識形
成論可能性
社会認識論社会をわかる
とはどういう事かとはどういう事か
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
問題を解決すればよい?
デ イの主張
我々の社会をわかろうとする起点は
デューイの主張
我々の社会をわかろうとする起点は、個人の日常経験上の問題状況であり、我々はその問題を解決するという目的我々はその問題を解決するという目的に沿って社会をわかっていく。
社会をわかるためには、問題状況を解決しようとすれば良い決しようとすれば良い。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
行為を理解しなければならない?
ディルタイの主張
自然科学の原因と結果による説明だけでは、人間の生活(社会)をわかるにはでは、人間の生活(社会)をわかるには不十分である。
例えば、科学は、人間の体が、どのようにして走るのかについては適切な物理学的な説明をする事が出来るが、しかし、自分の横を走りぬけていく人が急いでいるのか、逃げているのか、それとも運動中なのか、それを教えてはくれない。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
行為を理解しなければならない?
ディルタイの主張
自然科学の原因と結果による説明だけでは、人間の生活(社会)をわかるにはでは、人間の生活(社会)をわかるには不十分である。
主観的な人間の行為は、その行為者の眼からも解釈して、十分にわかったといえる。つまり、人間の生活(社会)を十分にわかろうとする場合、人間の行為を理解しなければならない。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
意味を理解しなければならない?
ウェーバーの主張
自然科学の原因と結果による説明だけでは、人間の生活(社会)をわかるにはでは、人間の生活(社会)をわかるには不十分である。
人間の行為を目的と手段の関係で関連づけていくと 人間の生活(社会)が連づけていくと、人間の生活(社会)がわかる事ができる。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
説明できない部分はあきらめる?
ポパーの主張
社会におけるさまざまな行為は科学的に社会におけるさまざまな行為は科学的に説明することが可能な部分だけを説明するべきである。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
説明できない部分もあきらめられない
ハーバーマスの主張
われわれの行為はシステムによって強制され
ハーバーマスの主張
わ わ 強ているかもしれない。だから社会科学(社会を明らかにするということ)はシステムに対して批判的でなくてはいけない。
批判的社会科学
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
批判的社会科学
システムとはわれわれの道具的行為から生まれるものである。例えば、徴税というシステムは、元々われわれが、例えば、徴税というシステムは、元々われわれが、福祉等のサービスを受けるために、道具的にわれわれが行った行為である。
道具的行為とは
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
道具的行為とは
ある目的のための最良の手段を計算した結果としてなある目的のための最良の手段を計算した結果 してなされるような行為である。
批判的社会科学
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
批判的社会科学
システムとはわれわれの道具的行為から生まれるものである。例えば、徴税というシステムは、元々われわれが、例えば、徴税というシステムは、元々われわれが、福祉等のサービスを受けるために、道具的にわれわれが行った行為である。しかし
システムに慣れてくると、行為の目的を反省しないようになる。
例えば、徴税というものが当たり前だと考えるようになる。
その結果、目的は行為者の中ではなく、システムの中に存在する事になり、行為者はそれに従属させられるようになっていく。
ようになる。
例えば、福祉等のサービスは減っても良いので、税金を安くして欲しい、といったようなシステムに対する変更が考えられなくなってくる
批判的社会科学
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
批判的社会科学
システムは行為者が作ったものにも関わらず 強制力として働く可能性があるず、強制力として働く可能性がある。
この強制から人間を解放することをハーバーマこの強制から人間を解放することをハ バ マスの社会科学(社会を明らかにする営み)は課題とする。題とする。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
批判的社会科学の方法
では批判的社会科学は社会認識をどのようにでは批判的社会科学は社会認識をどのように考えているのだろうか?
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
批判的社会科学の方法
批判的社会科学は社会認識をどのように考えているのだろうか?
社会を認識するという事は 社会事象が因社会を認識するという事は、社会事象が因果的に運動している法則がわかるとともに、その法則が人間によって どのように生みその法則が人間によって、どのように生み出されたかがわかることである。
社会認識には 対象の認識とその認識の批判が含まれている社会認識には、対象の認識とその認識の批判が含まれている。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
批判的社会科学の方法人間と人間のある意図をもった活動の生産物
批判的社会科学は社会認識をどのように考えているのだろうか?
事象を分析することによ て 法則は分
をもった活動の生産物であるが、その意図は
消去されている。
社会を認識するという事は 社会事象が因
によって、法則は分かる。
社会を認識するという事は、社会事象が因果的に運動している法則がわかるとともに、その法則が人間によって どのように生みその法則が人間によって、どのように生み出されたかがわかることである。
社会認識には 対象の認識とその認識の批判が含まれている社会認識には、対象の認識とその認識の批判が含まれている。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
対象の認識とその認識の批判はどのようにして可能になるか。
科学の認識方法が援用出来る
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
対象の認識とその認識の批判はどのようにして可能になるか。
解釈学の認識方法が援用出来る
法則が人間に強制している事は、今のわれわれの意図にあっているのかを批判出来るようにするには…
対象の法則は人間のどのような意図に結びついているのか、を理解する事によって可能になる。ているのか、を理解する事によって可能になる。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
対象の認識とその認識の批判はどのようにして可能になるか。。
説明 理解
説明→理解で捉え直す:「説明的理解」説明 理解で捉え直す: 説明的理解」
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
授業に見る社会認識形成論
どのようにして社会をわからせているか会認識形成論
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
みていく授業について
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」
「国家・社会の形成者」を育成する中学校社会科授業として開発された小単元である。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」の目標
制度の背後にある民主主義観を取り出し 現在の日本に望ましい選挙り出し、現在の日本に望ましい選挙制度と社会のあり方を批判的に考える事ができるえる事ができる。
そのために、①多様な選挙制度それぞそのために、①多様な選挙制度それぞれには、内在する理念が民主主義観としてあるということ、②制度は社会を規定し、社会を作るということを理解する。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」の展開
導入 特定の選挙制度は特定の社会を作ろうとしていることを示唆し、その関係を問題として提出し、本単元の中心発問とする
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」の展開
導入導入
展開1 代表的な選挙制度には比例代表制と小選挙区制という2つがあり、ちがった民主主義社会を作ろうとしているた民主主義社会を作ろうとしていることを示唆する。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」の展開
導入
展開1展開1
展開2 比例代表制を取り上げ、その制度が持っている民主主義観と社会像を分持 る民 義観 社会像を分析する。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」の展開
導入導入
展開1
展開2
展開3 小選挙区制を取り上げ、その制度が持っている民主主義観と社会像を分持っている民主主義観と社会像を分析する。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
小単元案「選挙制度から民主主義社会を考える」の展開
導入導入
展開1
展開2展開2
展開3
終結 2つの選挙制度と民主主義観と社会終結 2つの選挙制度と民主主義観と社会像の関係を1つの図式にまとめる。我が国の選挙制度を取り上げ、学習した分析的枠組みにもとづいて どんなた分析的枠組みにもとづいて、どんな民主主義観や社会像を示しているいるかを解明し、それを批判するように促している促している。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの社会認識論に立脚した教材選択
選挙制度というシステムはわれわれの道具的行為から生まれたものであるが 現在それが果たそうとから生まれたものであるが、現在それが果たそうとしている目的と関連づけて議論される事が少ない
選挙制度は行為者の目的から離れて、強制力として働く可能性がある
ハーバーマスにならって、システムの強制
力として働く可能性がある。
から人間を解放することが社会を分かるという事なら、選挙制度というのは取り上げるべき教材になる。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの社会認識論に立脚した社会認識形成の仕組み
終結において明らかなように、この授業では生徒に現在の日本に望ま授業では生徒に現在の日本に望ましい選挙制度と社会のあり方を批判的に考えるために、生徒が右の図を成 が 考完成させることが必要であると考え
てられている。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
ハーバーマスの社会認識論に立脚した社会認識形成の仕組み組み
授業 成され う故に、この授業で形成されようとしている社会認識はこの図そのものであるといえるるといえる。
社会認識の内容背景 社会認識論
社会認識形成論
可能性
制度が生み出す社会の実態の理解
制度そのものの理解制度の背後にある民主 制度そのものの理解制度の背後にある民主主義観の理解
ハーバーマス「われわれがある行為の意味を理解するのは、それを受け入れ可能にしているものが何であるかを知っているときなのである。」
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
では、この授業では、どのようにこの社会認授識が形成されているのであろうか。
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
社会認識形成の仕組み
展開2 展開3
比例代表制とは、どのような制度か。
小選挙区制とは、どのような制度か。
制度そのものの理解比例代表制を支持する人たちは民主主義
小選挙区制を支持する人たちは民主主義
制度の背後にある民主主義観の理解
る人たちは民主主義社会をどのようにかんがえているのか。
比例代表制の背後に
る人たちは民主主義社会をどのようにかんがえているのか。
小選挙区制の背後に制度の背後にある民主主義観の理解
比例代表制の背後にある理念を実現すると、いったいどういう社会になるのだろうか。
小選挙区制の背後にある理念を実現すると、いったいどういう社会になるのだろうか。
制度が生み出す社会の実態の理解
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
社会認識形成の仕組み
制度そのものの理解説明によって制度そのものを認識する段階
説明
制度の背後にある民主主義観の理解理解人間によってその制度がどのように生み制度の背後にある民主主義観の理解理解 度がどのように生み出されたかを理解する段階
制度が生み出す社会の実態の理解
社会認識形成の仕組み
つまり…この授業は説明的理解によって社会認識を形成の授業は説明的理解によって社会認識を形成させている。
社会科の可能性
背景 社会認識論社会認識形
成論可能性
社会科の可能性
ハーバーマスの社会認識論が社会科教育の成立基盤として存立しうるか教育の成立基盤として存立しうるか。
新しい社会を形成していくために現在の社会を批判的にみる事が必要在の社会を批判的にみる事が必要であると考えるなら、ハーバーマスの社会認識論に立脚した社会認識形社会認識論に立脚した社会認識形成論は妥当であると言える。
参考文献参考文献• J・ハーバーマス(清水多吉ほか訳)『社会科学の論理によせて』国文社、1970(1991)年
• J・ハーバーマス(河上倫逸ほか訳)『コミュニケーション的行為の理論上』未來社 1981(1985)年上』未來社、1981(1985)年
• 野平慎二『ハーバーマスと教育』世織書房、2007年• 池野範男「批判的歴史授業の授業構成」『史学研究』vol 148 広島史• 池野範男「批判的歴史授業の授業構成」『史学研究』vol.148、広島史学研究会、pp.48‐66