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Copyright © 2016 IPA. All rights reserved. 2016年4月27日 独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部 「IT人材白書2016」概要

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2016年4月27日

独立行政法人情報処理推進機構

IT人材育成本部

「IT人材白書2016」概要

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「IT人材白書」は、情報処理推進機構(IPA)が年に1度実施している、IT関連産業における人材動

向、産学におけるIT教育等の状況、IT人材個人の意識を把握すること等を目的とした調査の結果を取りま

とめた書籍である。本資料は、IT人材に関する白書として8冊目となる「IT人材白書2016」の概要となる。

はじめに

・IT人材白書2015 新たなステージは見えているか ~ITで“次なる世界”をデザインせよ~(2015年4月)

・IT人材白書2014 「作る」から「創る」へ、「使う」から「活かす」へ ~価値を生み出すプロの力~(2014年4月)

・IT人材白書2013 強みを活かし多様化の波に乗れ ~グローバルIT人材、WEB人材に求められるスキルとは~(2013年3月)

・IT人材白書2012 行動こそが未来を拓く ~進むクラウド、動かぬIT人材~(2012年5月)

・IT人材白書2011 未来指向の波を作れ ~今、求められる人材のイノベーション~(2011年5月)

・IT人材白書2010 岐路に立つIT人材 ~変革期こそ飛躍のチャンス~(2010年5月)

・IT人材白書2009(2009年5月)

刊行している「IT人材白書」とそのタイトル

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Ⅰ.「IT人材白書2016」の全体構成、実施調査一覧・概観

Ⅱ.「IT人材白書2016」のサブタイトル、メッセージ

Ⅲ.調査結果のポイント

1・・・ 戦略的なIT人材育成に挑むEU,目の前の人材不足対応に追われる日本

2・・・ IoT,ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

3・・・ IoTに携わる技術者の新しい学び方

4・・・ 自らの技術力で生きるフリーランス

5・・・ 情報教育動向

目次

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Ⅰ.「IT人材白書2016」の全体構成 ~白書目次~

第1部 「IT人材白書2016」の概要

第1章 「IT人材白書2016」のメッセージとポイント

第2章 わが国のIT人材の全体像

第3章 「IT人材白書2016」調査事業概要

第2部 IT人材の現状と動向第1章 IoT、ビッグデータ時代に活躍するIT人材

1節 IoT、ビッグデータビジネス実現への第一歩2節 IoTに対応した事業への企業の取り組み3節 IT人材のIoT・ビッグデータへの関わりと

必要な技術力

第2章 IT人材の新しい働き方「フリーランス」1節 会社に依存せずに活躍するフリーランス2節 フリーランスの人物像3節 企業のフリーランス活用

第3部 ヨーロッパと日本のIT人材動向第1章 ヨーロッパ各国と日本の職種別人材比較

1節 ヨーロッパ各国と日本の職種別人材比較2節 IT人材の職種区分別の増減傾向3節 まとめ

第2章 デジタル化する社会をリードする人材1節 ヨーロッパで検討されるeリーダーシップ

2節 デジタル化する社会への日本の対応

3節 まとめ

第4部 2015年度 調査結果第1章 IT企業におけるIT人材の動向第2章 ユーザー企業におけるIT人材の動向第3章 ネット企業および部門動向第4章 IT企業IT技術者の動向第5章 ユーザー企業IT技術者の動向第6章 組込み技術者の動向

第5部 教育機関動向第1章 情報科教育機関におけるIT人材育成動向第2章 大学学部各学科における情報教育動向

第6部 IT人材育成の主な活動(IT人材育成本部)

第1章 2015年度のIT人材育成の主な取り組み

=コラム=

新技術の調達先・コラボレーション先としてのベンチャー企業

イノベーションを創出する人材のための組織環境の整備

MOOCの活用

フリーランスの居住地別の傾向

プロフェッショナルレベルの IT 人材が所属する業種

日本の企業が重要と考える「IT 人材に必要な能力」

世界各国で普及が進むMOOC

Key Enabling Technologies(KETs)

enPIT 全国15大学院の高い専門性と産業界の豊富な知見を融合

プログラミング教育の現状4

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対象 調査名

アンケート方法 調査対象 回答数

概要編中マーク

企業・情報教育機関向け

IT人材動向調査(IT企業向け調査)

ウェブ・他 IT企業 3,000社 1,031

IT人材動向調査(ユーザー企業向け調査)

ウェブ・他 上場企業(IT企業除く) 3,000社 780

IT人材動向調査(ネット企業および部門向け調査)

ウェブ・他 ネット企業および部門 1,000社 163

IT(情報・通信)およびその活用に関する研究・開発状況調査

ウェブ・他IT(情報・通信)およびその活用に関する研究・開発実施企業1,000社

189

情報系教育動向調査(教育機関向け調査)

ウェブ・他教育機関(大学院、大学学部、高専、専門学校)の情報系学科 602学科・専攻

299

情報系以外の情報教育動向調査(教育機関向け調査)

ウェブ・他学内に情報系学科を有する機械、電気電子、建築・土木・環境、化学・生命科学、農学、社会・経営工学、意匠・デザイン、文理共通/経営情報等および経済・経営の各学部 552学科

232

個人向け

IT技術者動向調査 ウェブ

IT業務に従事するIT人材- IT企業IT技術者 (1,050名)- ユーザー企業IT技術者 (1,050名)- 組込み技術者 (449名)- フリーランス (473名)

3,022

個人向け

IoT関連技術に携わる人材 ウェブ

MCPCの検定試験受験者、MCPC主催のセミナー参加者

データサイエンティスト協会 一般、法人会員等

358

172

企業・

個人

インタビュー調査インタビュー

IoT関連実施している企業、フリーランスの現状把握 8

ユーザー企業

IT人材

IT企業

2015年度 実施調査一覧Ⅰ.「IT人材白書2016」

ネット企業

R&D部門

情報系教育

フリーランス

情報教育(情報系以外)

ネットワーク技術者

データ活用人材

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IT人材

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IT企業

ユーザー企業

Ⅰ.「IT人材白書2016」の全体構成 ~実施調査/概観~

継続調査

フリーランス

R&D部門

2015年度新規調査

EU調査

EU調査(EU統計局(Eurostat)が保有する労働力調査(EU LFS)の結果を調査会社であるempiricaが入手し分析したものを利用している。IT人材全体を産業分野別に定量的に把握し、需給予測などを行うとともに、EC(欧州委員会)で定義した分類に依る職種別の人材の定量的な把握などを行っている)

ネット企業/部門

ネットワーク技術者 データ活用人材

情報系教育 情報教育(情報系以外)

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Ⅱ.「IT人材白書2016」のサブタイトル

多様な文化へ踏み出す覚悟~デジタルトランスフォーメーションへの対応を急げ~

7

サブタイトルに込めた意図

既存のビジネスを変革する、革新的なITサービスが世界中で次々に生まれている。IoTやビッグデータ、人工知能など技術革新の進展がこの動きを加速し、Fintechのように社会や産業、企業、人のあり方や働き方に、多大な影響を及ぼしつつある。

本白書に示したEU(欧州連合)における戦略的なIT人材育成の動きは従来の流れの延長上にはなく、こうした技術革新の進展を真正面から見据えたものと考えられる。インターネットが促すグローバルでボーダレスな世界を考えたとき、日本のIT人材も否応なしに多様な文化や人、あるいは異質な文化や人と交わっていかなければ、蚊帳の外に置かれてしまうであろう。

こうした危機感を、我々は「IT人材白書2016」のサブタイトルである「多様な文化へ踏み出す覚悟」に込めた。既存の組織や企業、国の壁や枠組みにとらわれない発想で物事を捉え、社会の課題を認識して多様な文化や人と交わる。そして社会を変える高い志を持ち、覚悟を持って社会で活躍するIT人材であって欲しいと願っている。

「デジタルトランスフォーメーションへの対応を急げ」は経営層に向けたものである。IT人材が活躍できるかどうかは、経営者のビジョンやマインドに大きく依存する。ビジネスのプロセスを変革し、新しいビジネスモデルを構築する覚悟が今、経営者に強く求められている。

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Ⅱ.「IT人材白書2016」のメッセージ

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企業、情報教育機関、IT人材個人に向けたメッセージ

価値創造ビジネスに世界中はシフトしている。受託開発等既存

ビジネスの成長には限界がある。これからは、IT企業から技術提

案を行い、業務プラットフォームを構築していく時代ではないか。

既存技術にとらわれず、新技術の概念から新たなビジネスモデル

構築につながる価値提案を行わなければ、ビジネス拡大は望め

ない。

ITを活用し、企業価値を高めるために、ITで組織を有機的

に繋ぎ、組み合わせることがIT部門の役割である。企業の新

たな力を創造するための場を作り、従来のIT部門の殻を破れ。

未来を繋ぐ者たちがITの知識や技能を学ぶことのできる情報教

育は重要な役割を担っている。他分野・他教育機関ともコラボ

レーションし、社会のために学びたいとの志を持つ人材に場を作り、

拡げ、提供し、未来に繋げよう。

IoTや人工知能を始めとした急激な技術・データ革新が起き

ている今、自己研鑽しないと未来はない。時代の潮流に敏感

な専門分野の人材は、まさに自己研鑽を継続している。自

己研鑽こそ自分自身を高め、プライドを生む。自己の枠を壊

し多様な人材と交われ! 活躍の場は無限に拡がる。

IT企業 ユーザー企業(IT部門)

IT人材個人情報教育機関

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1.戦略的なIT人材育成に挑むEU

目の前の人材不足対応に追われる日本

戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

Ⅲ.調査結果のポイント

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日本とEUにおける「IT企業」と「IT企業以外の企業」におけるIT人材の割合を調査。

「IT企業以外」に所属するIT人材は、EUでは半数以上、日本では2割半程度。

日本とEUのIT人材の所属先

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-1よりIT企業・IT企業以外の企業におけるIT人材の割合戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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EUでは、北部にマネジメント層[■]が多く、南部ではテクニシャンレベル[■ ■]が多い傾向がある。

日本とEUの職種区分別構成比は、全体として似た割合となっている。

日本とEUにおけるIT人材の職種別構成

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-2より日本とEUにおけるIT人材の職種区分別構成戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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英独仏IT人材は、近年マネジメント層へシフトしているが、日本では変化が見られない。

各国のIT人材総数には大きな変化はない。

日本と英独仏のIT人材の経年推移

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-3より日本、英独仏別のIT人材の職種別割合の変化戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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日本では2011年以降、IT人材の不足感が高まり続けている。人材の獲得も進んでいると考えられるが、実際

に増加しているのは前頁で示した「コアITエンジニア テクニシャンレベル」である。昨今の社会保障・税番号(マ

イナンバー)制度に伴うシステム開発や、複数の大手銀行のシステム統合の受託開発といった特需に対して

人材を集めていることが背景であると推測される。

日本のIT企業の人材の“量”の過不足

日本のIT企業の人材の“量”の過不足【過去5年間の変化】

「IT人材白書2016」図表1-1-4

戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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起業家精神があり急成長する中小企業で必要な能力要件について、調査結果から提示されている

eリーダーシップスキルトライアングルにおける能力要件

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-6より質的調査により得られた能力要件戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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e リーダーの人材は、6割がビジネス部門、4割がIT関連部門に所属。

EUにおける eリーダーシップ

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-5より

2015年のEU(28か国)におけるeリーダーの人数(左)と所属する部門(右)の推計戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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必要とされる教育内容や育成手段、期間など、eリーダーシップ育成の具体的な道のりや枠組みが提示されている。

EUのeリーダーシップジャーニー

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-7よりeリーダーシップジャーニー

戦略的なIT人材育成に挑むEU、目の前の人材不足対応に追われる日本

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2. IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

Ⅲ.調査結果のポイント

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センサやビッグデータの活用により、新たなビジネスサイクル ①→②→③→① が実現してきている。

新たなサービスの提供も始まってきているが、個々の技術や枠組みを超えて、IoT全体を俯瞰できる人材が求められる。

ITを活用する企業IoTとビッグデータによる変革

① ② ③

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-8よりIoTとビッグデータによって変革される現実世界(イメージ図)

7―http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shojo/johokeizai/pdf/report01_02_00.pdf

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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IT企業がIoT事業に関わる際には、ユーザー企業が実施するIoT関連事業の提案や支援を行う場合や、自らIoT関

連サービスを事業として実施する場合などが考えられるが、ここではユーザー企業に対する提案や支援を行う位置付けと

して捉え、現状を聞いた。最も割合が高いのは、「機器からの自動データ取得活用」の16.6%で、次が「クラウド上での

データ蓄積・分析用アプリ」の15.9%であった。

IoTに関する業務実施状況 IT企業

「IT人材白書2016」図表2-1-6より

Ⅲ.調査結果のポイント

IT企業のIoT関連技術を活用した事業の提案、支援、協業の実施内容IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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IoT関連技術を活用した「既存事業の変革」や「新規事業の創出」は、主に事業部門が中心となって実施している。

IT部門では「補助、支援」が多く、IoTに関わる事業部門を補助する立場となっている。

IoTに関する業務(対象)の実施部門 ユーザー企業

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-1-11より

ユーザー企業におけるIoT関連技術を活用した事業拡大、創出、変革の実施部門

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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「機器からの自動データ取得活用」は、事業部門が約3割実施と多いが、IT部門も1割以上が中心となっている。

「技術全般に対する判断・評価」は、主にIT部門が実施している。

ユーザー企業IoTに関する業務(技術)の実施部門

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-1-12、13よりユーザー企業におけるIoT関連技術を使った業務を実施している部門IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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【ネット企業】 ヒト(SNSやモバイル)からのデータ取得やクラウド上でのデータ蓄積・分析用アプリの実施が比較的多い。

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-10より

ネット企業および部門におけるIoT関連技術を活用した新事業・新サービスの実施方法

ネット企業

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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ネット企業/部門におけるIoTに関する新事業・新サービス

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機器(センサやGPS)からの自動データ取得やデータの分析・活用を行うテーマが比較的多い。

R&D部門

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表1-1-11より

R&D部門におけるIoTに関する研究開発の実施状況

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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R&D部門におけるIoTに関する研究開発の実施状況

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IoT時代の人材に必要とされる能力とは? IT企業ユーザー企業

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-1-7より

新たな事業やサービスの創出には、

「ビジネスアイデア構想力」や「技術力」

が特に重要となっている。

「技術力」の中でも重要視されている

力は、事業全体の技術を俯瞰し、

全体を設計する力となっている。

I oT関連技術を活用した事業変革・新事業・新サービスの創出を実施する人材に必要な能力(上)、技術力(下)

ネット企業

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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ユーザー企業及びIT企業では、社内人材の活用が4割以上。

ネット企業では、中途採用が半数以上で、外部の人材を重視している傾向にある。(流動性大)

IoT関連事業の人材獲得・確保方法 IT企業 ユーザー企業

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-1-9より

実施または検討中の事業変革・新事業・新サービスに必要な人材の獲得方法【企業区分別】

ネット企業

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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新事業・新サービスを開発、事業化していくに当たり、一般的なシステム開発体制であるIT部門からIT企業への発注

から、事業部門を中心としたIT企業への発注や共同開発等への変化が起こってきている。

ネット企業の台頭により、あらゆる部門からのクラウドサービス利用が進展してきている。

企業の開発体制の変化 IT企業 ユーザー企業

「IT人材白書2016」図表2-1-27より

IoT関連事業における開発体制と外部サービスの利用

Ⅲ.調査結果のポイント

ネット企業

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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IT企業 ユーザー企業インタビュー記事

Ⅲ.調査結果のポイント

IoT関連事業に対するインタビュー記事

ネット企業

IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業

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IoTに関連する事業の主体は事業部門であるが、IT部門の積極的な参画を期待する声がある。

IoT関連事業への取り組みに関しては、事業会社とIT企業、ネットワーク技術などの特定の技術を提供する企業が共

同開発を行い、試行錯誤しながら事業化している。

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3. IoTに携わる技術者の新しい学び方

IoTに携わる技術者の新しい学び方

Ⅲ.調査結果のポイント

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スキルアップのため、「個人負担で」9割を超える方が雑誌や書籍等での独学などで自己研鑽をしている 。

「個人負担」で所属企業以外の研修、セミナー、コミュニティ活動に取り組んでいる。

ネットワーク技術者のスキルアップ方法は?

調査対象:(高レベルモニタ)MCPC検定試験受験者、セミナー参加者等

「IT人材白書2016」図表2-1-46より

ネットワーク技術者がスキルアップやキャリアアップのために取り組んでいる内容

Ⅲ.調査結果のポイント

ネットワーク技術者

IoTに携わる技術者の新しい学び方

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スキルアップのため、「個人負担」で9割を超える方が雑誌や書籍等での独学などで自己研鑽をしている 。

データ活用人材については、「社会人のためのデータサイエンス入門」といった講座が開設されたこともあり、

MOOCの利用の割合が2割ある。

データ活用人材のスキルアップ方法は?

データ活用人材がスキルアップやキャリアアップのために取り組んでいる内容

調査対象:(高レベルモニタ)データサイエンティスト協会一般、法人会員等

「IT人材白書2016」図表2-1-55より

データ活用人材

IoTに携わる技術者の新しい学び方

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すべての技術者に共通して、「顧客分析力、企画力」は重要。

「組込み技術者」は、「アプリケーション技術」を重視。

「データ活用人材」は、「データ解析」を重視。

「ネットワーク技術者」は、「ネットワーク技術」に加え、「情報セキュリティ技術」も重視。

専門分野をもつ技術者に必要な技術力 IT人材(組込み技術者)

「IT人材白書2016」図表2-1-8より

現在必要な技術力(回答数等を加味した補正値の比較)

Ⅲ.調査結果のポイント

IoTに携わる技術者の新しい学び方

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4.自らの技術力で生きるフリーランス

自らの技術力で生きるフリーランスのIT技術者

Ⅲ.調査結果のポイント

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フリーランスでは、IT企業IT技術者と比べ、受託系の割合が少なく、ウェブサービス企画・構築やコンサルタントが多い。

フリーランスの事業内容

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フリーランス

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-2-9より

フリーランスが担当する仕事の事業内容【IT企業IT技術者との比較】

自らの技術力で生きるフリーランスのIT技術者

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フリーランスになった目的として、「ライフプランに合わせるため」の割合が最も多く、8割以上が実現できている。

フリーランスになった目的として、「収入を増やすため」の割合が2番目に多く、半数程度は実現できている。

フリーランスになった目的及び実現度

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フリーランス

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-2-14より

フリーランスになった目的と、その目的を実現できた割合

自らの技術力で生きるフリーランスのIT技術者

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仕事の満足度は、IT企業IT技術者(企業雇用者)に比べ、フリーランスは満足度が高い。(30-40代で比較)

フリーランスの働き方フリーランス

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-2-16よりフリーランスの仕事に対する満足度【IT企業IT技術者との比較】

年齢による偏りを考慮し、30-40代を抽出して比較を行っている

自らの技術力で生きるフリーランスのIT技術者

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39歳以下の若い世代では、「コミュニティ等の個人的なつながり」や「クラウドソーシング」等、多様な方法で顧客獲得。

フリーランスにおける顧客の獲得方法フリーランス

Ⅲ.調査結果のポイント

「IT人材白書2016」図表2-2-7より

フリーランスの顧客(契約先)の獲得方法【年代別】

自らの技術力で生きるフリーランスのIT技術者

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5.情報教育動向情報教育動向

Ⅲ.調査結果のポイント

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「プログラミング、アルゴリズムなどのコンピュータ基礎理論」が中心になっている。特に、機械系、建築・環境系、社会・経

営工学系では「データ解析(統計・機械学習)」の割合が高い。電気・電子系では「ソフトウェア工学など情報システ

ムの基礎」、「ネットワーク、データベース、セキュリティなどの技術要素」が情報系と同程度の割合で実施されている。

各学科で実施している情報教育の内容

Ⅲ.調査結果のポイント

・情報系と経済・経営系に「データ解析」の選択肢はない・経済・経営系に「ソフトウェア工学など情報システム基礎」の選択肢はない

「IT人材白書2016」図表5-2-9より各学科における実施している情報教育の内容

情報教育動向

情報系教育情報教育

(情報系以外)

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「IT人材白書2016」について

(IPAウェブサイト)

URL:http://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/about.html