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GROUPNEWS AUMUND No. 4 // 2016 Products. Projects. Progress. クリンカークーラーの影響及び下流側機器 “最新のクリンカークーラーでは、1.7から2.0 Nm3/kgの外気をロータリーキルンからの 1400℃以上のクリンカーを100℃以下の吐 出温度へ冷却するのに必要です。このよう なクリンカークーラーは、クリンカー内のほ とんど熱エネルギーを回収し、焼成工程用 の二次空気、予備焼成用の三次空気を提供 し、熱効率は75%若しくはそれ以上に到達し ます。クリンカークーラーは、キルン変動用 のバッファーとして必要であり、プレヒータ ー、仮焼炉、キルン、燃料バーナーから構成 される上流の焼成工程に与える影響は全く 無いか、小さなもののみです。 ”とOneStone Consulting S.L.社 バルセロナ/スペインの Dr. Joachim Harderは分析しており、ZKG Internatioinal誌のissue 7/8-2015で公表さ れております。 連絡先: [email protected] AUMUND Fördertechnik GmbH www.aumund.com W E C O N V E Y Q U A L I T Y 主な特徴 新型のクーラーはビルトインの モジュラー設計で、日量1000から 12000トン以上の処理量に対応 幅広い最新型クリンカークーラ ーの設計仕様 クーラーから貯蔵設備までのク リンカー搬送用として、異なった 型式のコンベアーが使用されてい Technical data subject to change without notice. © 2016 AUMUND Holding B.V. All rights reserved. AUMUND

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Products. Projects. Progress.

クリンカークーラーの影響及び下流側機器“最新のクリンカークーラーでは、1.7から2.0 Nm3/kgの外気をロータリーキルンからの1400℃以上のクリンカーを100℃以下の吐出温度へ冷却するのに必要です。このようなクリンカークーラーは、クリンカー内のほとんど熱エネルギーを回収し、焼成工程用の二次空気、予備焼成用の三次空気を提供し、熱効率は75%若しくはそれ以上に到達します。クリンカークーラーは、キルン変動用のバッファーとして必要であり、プレヒーター、仮焼炉、キルン、燃料バーナーから構成される上流の焼成工程に与える影響は全く無いか、小さなもののみです。”とOneStone

Consulting S.L.社 バルセロナ/スペインのDr. Joachim Harderは分析しており、ZKG Internatioinal誌のissue 7/8-2015で公表されております。

連絡先:[email protected] AUMUND Fördertechnik GmbHwww.aumund.com

W E C O N V E Y Q U A L I T Y

主な特徴

新型のクーラーはビルトインのモジュラー設計で、日量1000から12000トン以上の処理量に対応

幅広い最新型クリンカークーラーの設計仕様

クーラーから貯蔵設備までのクリンカー搬送用として、異なった型式のコンベアーが使用されている

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<AUMUNDセメント産業向け日本代理店> 日本海事産業株式会社 〒105-0003 東京都港区西新橋1-17-6 TEL : 03-3508-8861 / FAX : 03-3593-0639 E-mail ; [email protected] Web-site ; http://www.japanmaritime.co.jp
Hirokazu
タイプライターテキスト
日本語訳:日本海事産業株式会社
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クーラー後のパンコンベアー

上の高熱のクリンカー ONESTONE CONSULTING S.L.

クリンカークーラーの影響及び下流側機器

1. イントロダクション最新のクリンカークーラーでは、1.7から2.0 Nm3/kgefiの外気をロータリーキルンからの1400℃以上のクリンカーを100℃以下の吐出温度へ冷却するのに必要です。このようなクリンカークーラーは、クリンカー内のほとんど熱エネルギーを回収し、焼成工程用の二次空気、予備焼成用の三次空

気を提供し、熱効率は75%若しくはそれ以上に到達します。クリンカークーラーは、キルン変動用のバッファーとして必要であり、プレヒーター、仮焼炉、キルン、燃料バーナーから構成される上流の焼成工程に与える影響は全く無いか、小さなもののみと言われております。ある人はこれが可能であると信じておりますが、実際はそうではありません。キルンの変動は完全に緩衝させる事はできず、キルンシステムとの相互作用によりクーラーの能力及び効率は常時変化し、クーラーからのクリンカーの最終温度が一定でないという結果をもたらします。

2. クーラー設計及びプロセス技術今日ほとんど全て新設のクーラーには、最新の焼成システム用の二次空気及び三次空気の提供ができ、クリンカーからの高いエネルギー回収能力がある、グレートクーラーが採用されております。新世代の最新型クリンカーククーラーには、高い信頼性があります。前世代の技術に比べるとグレートプレートの摩耗は著しく少なくなっており、グレートプ

本論稿は”ZKG International” 誌7/8 – 2015に掲載されました。 Page 1/8

1 グレートクーラ

ーの図解

今日のセメント焼成工程で使用されるクリンカークーラーは、キルンの超過状態でも非常に信頼性があると考えられております。しかしながら、超過状態でのクーラー及び上流側焼成工程との相互作用とはいかなるもので、下流側の機器にはどのような影響を及ぼすのでしょうか?以下の論稿ではこのプロセスが解析され、この質問に対する答えが示されております。

本文 Dr. Joachim Harder, OneStone Consulting S.L., バルセロナ/スペイン

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レートの耐用時間は3年以上に到達しております。クーラーにはグレート用の振るい落としが装備されないか、最小装備となります。クーラーはモジュラー設計内に組み込まれ、1000から12000t/d以上の処理能力を装備します[1]。Figure 1は三式の独立したグレート、及び中間ローラーブレーカーを装備した最新型グレートクーラーの略図、及び主な各境界での状態を示しております。流入のマスフローは、クリンカー、キルンから再循環したクリンカーダスト及び冷却エアであり、セパレートファンを装備する区画型エアレーションチャンバーから提供されます。出力側は冷却されたクリンカー、二次、三次及び排気エア及びダスト、キルンへ循環するダストにより構成されます。冷却エアはクリンカーに対し交差する流れとして供給されます。クリンカーのクーラー内での滞留時間は通常の条件であれば20-40分程度ですが、設計、クリンカーベッドの高さ、クリンカーの搬送速度などにより異なります。クリンカーに対する冷却効果は、主にクーラー内でのクリンカーベッドの高さ、クリンカー内でのエア分配の影響を受けます。各クリンカー量に対しては、冷却効率が最大となる、最適な平均ベッド高さがあります(Fig.2) 最新型クリンカーの稼働レンジでは、ベッドの高さが0.6から0.8(0.9)m程度となります。ベッドの高さが低い場合、クリンカーから冷却エアへの十分な熱交換を達成するにはクリンカーのクーラー内での滞留時間が短くなり過ぎます。ベッドの高さが高すぎる場合、クリンカー内へのエアブローは不十分なエア分配となります。クリンカーベッドの高さは、入口から出口までの間、異なる高さとなります。グレート1では主に高さはグレートの傾斜の影響を受け、グレート2及び3ではグレート部の速度(ストロークの長さ、及びクリンカー搬送機構の振動数)の影響を受けます。主に最新のクーラー設計には三つの異なった仕様があります。全ての仕様では共通して、静的な最初のグレートは動作型ゲートでは無く、又はクリンカー搬送装置が伴いません。静的なグレートは1984年にKIDS-SystemとしてIKNにより最初に開発され(Fig.3)、新型のグレートプレート(薄板型グレートプレートであるIKN Coanda)が採用され、グレート上部表面での冷却効果が改善され、独立した通気用のエアビームに接続されるグレートの配置方法と組み合わされる事により、細粒のベッド表面への上昇効果が改善されました。このシステムは他のサプライヤーにより修正を受け、クリンカー分配及びエアパルスによるスノーボールと呼ばれる現象を無くす改善が行われました。固定型グレートはクーラーの稼働状態を安定させ、20-100 kcal/kgefi熱量節減の結果をもたらしました。静的なグレートに適したグレートプレートの配置方法として、グレートの着地部でキルンからの細粒や粗いクリンカーが狭められ、クーラー入口部でのクリンカー分布が一定となるように、ホースショーやV型設計が採用されました。最新型のクーラー設計で最も共通している点は、動作型グレートプレートが装備される事です。市場からは

従来型設計の往復型グレートがほとんど姿を消す一方で、振り子懸架型設計が広く受け入れられました。これらのデザインは、IKN及びCemProTecより提供されております。“振り子”型クーラーは末端部にローラークラッシャーを装備するシングルグレート型又は中間クラッシャーを装備するダブルグレート型として設計されます。動作用フレームは、鋼鉄製又はコンクリート製の支柱から垂直方向での支持を受ける鋼製スプリングスタンドから構成される、耐摩耗仕様の振り子懸架部から吊り下げられます(Fig.4)。動作用フレームは、潤滑又は消耗及び保守作業を完全に無くすように、縦方向へガイドされます。グレートふるい用として、引き出し用コンベアーを装備するホッパーが配置されます。1997年にFLSmidthは、静的グレート床及び機械的な搬送機構となるグレートプレート上部で動作する推進バーに特色のある、クロスバー型クーラーを開発しま

2 クーラーの効率性とベッド高さ

の関係

3 静的なクーラーグレート

4 振り子型クーラーの組み立て

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した。クロスバーの積極的効果は、クリンカーの異なった横断面での混合です。しかしながらクロスバーがクリンカー内で動作するため、耐用寿命は限られるものとなります。グレートプレートは高さを減らし、グレートによるふるいが発生しないように、水平に配置されます。クロスバーの代わりに搬送用トラックを装備する同様のシステムがThyssenKrupp Industrial Solutionより開発されており、同様の水平型グレートプレートを装備し、Polytrackクーラーを装備します。クリンカーベッドを運ぶ際に搬送用トラックが前方へ同時に移動し、各トラックが独立して後方に戻ります。静的なエアレーションユニットがエアレーション用フロアーに装備され、自生方法による摩耗保護としてクリンカーが永久的に充填されます。この設計方法は、Sinoma及びその他中国のグレートクーラーサプライヤーで使用されております。これ以外の機械的搬送システムとして、歩行床又はシャトル原理があり、Claudius Peters(CP)、KHD Humboldt

Wedag、Fons Technologyのライセンスを取得したFons and Sinoma(TCDRI)により使用されております。CPは2004年にスイスのセメント工場で、同意語となるETAクーラーという名称でシステムを公表しております[2]。ETAクーラーは完全にモジュラー仕様となり

(Fig.6)、クーラー本体の下部セクションに二つの独立したモジュールを採用し、冷却能力を1000から10000 t/dの間で確保できるように組み合せる事ができます。歩行床型システムは、より長いストローク長、少ないストローク回数となり、クリンカーベッドの高さ制御及び機械的な摩耗の点で効果的です。また、自生型の表面保護によるグレートプレートの設計が行われております。ETAクーラーでは、鉄とクリンカーが接触するのはグレート面積の7%程度のみとなります。ローラークラッシャーは従来のハンマー型クラッシャーと比較した場合、その高い粉砕能力、少ないダスト発生、耐摩耗又は耐溶融性能から、粒径の大きいクリンカーを減らす技術としてはスタンダードなものとなり、ローラークラッシャー(Fig.7)は空冷型の油圧又は機械駆動型ローラーから構成され、動作幅はクーラーグレートと全く同じ幅となります。ローラークラッシャーは、2つめのグレート後の熱回収ゾーンの最後に配置される場合に最も効果的です。ローラーの設計方法により、2メートルまでの大きな塊を粉砕する事ができ、粉砕されたクリンカーは最終のグレートで効果的に冷却されます。ローラークラッシャーをクーラーの最終部に装備すると、粉砕されたクリンカーの冷却されていない高熱のスポットが、下流側の機器に運ばれてしまう事になります。

3. クリンカー投入の変動及び冷却作用キルンの超過状態は、油、ガス又は石炭などの従来型の燃料を使用していた頃のセメント産業においても、常に重要な問題でありました。代替燃料の使用が増

5 ローラークラッシャーを装備

するクロスバー型クーラー

6 ローラークラッシャーを装備

するETAクーラー

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え、それに関連した塩素、硫黄、又はアルカリ分のプレヒーター/キルンシステム内での凝着、原料の滞留又は付着といった問題も増え、従来に無い不安定なキルン稼働が頻繁になり、より過酷となっております。一方で先進的なプロセス制御技術、キルン監視又は投入ガス分析などにより、キルンサイクルに関する問題が改善されている事は否定できないでしょう。但し、問題は依然発生しており、最新の制御技術を使用する場合であっても、安定的なキルン稼働は保証されません。問題は、プレヒーター内の高温ミールから始まります。塩素又は硫黄分を含んだ化合物は、燃料が燃焼と同時に塩化水素及び硫黄酸化物に変換される際に発生します。これら両方の化合物はアルカリ分と高い親和性があり、非常に強い反応力があります。化合物は主に流入する原料ミール上に凝結し、揮発性のある化合物が再蒸発するキルンゾーンへ再循環し、プレヒーターへと逆戻ります。これは均衡的なプロセスで、プレヒーターサイクロン、立管ダクト、浸漬配管の低温の壁に塩素及び硫黄塩の凝縮、堆積を引き起こします。何らの対策も取られなかった場合、堆積物は最終的にサイクロン又はダクトの閉止を引き起こし、高温のミール

7 中間ローラークラッシャー

8 表面固着状態と低減方法

9 プレヒーターに装備されたエアキャノン

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のキルン又はクリンカークーラー内への流入といった突然の事故を導きます。Figure 8は二つの代表的な塩素及び硫黄化合物の許容凝縮率を示すもので、バイパスシステムによりどのように減少できるかを示しております。しかしながら、より多くの量が表面固着増大のリスクを負う事になります。均衡的な凝縮作用が高すぎる場合、塩素バイパスが塩素分を許容レベルまで低減させるために必要となるでしょう。もし塩素バイパスの配置が制限される場合、プレヒーター内の清掃が必要となります。堆積した物資を稼働中にエアキャノン(Fig.9)、エア又はウォーターランス、ジャッキハンマーなどを使用して清掃する事が一般的です。プレヒーター内の滞留物の除去を人手による技術に頼っているプラントもありますが、エアキャノンを使用した自動化システムが一般的になってきております。キルン内での耐溶融ライニング上の表面固着は、この表面固着が温度ショックやキルン内の高い燃焼温度からライニングを保護するために必要であり、許容できるものと考えられております。安定的で望ましい表面固着の形成は、キルンへの投入、クリンカーの特性、耐溶融ライニング素材、及び燃料の安定的な品質、燃焼状態などに大きな影響を受ける、キルン内での作用原理[3]などに依るものとなります。キルンへの投入、燃料搬送率、キルン投入に対する燃焼効率、燃料の燃焼がメインバーナーで行われるかクーラーからの二次空気による燃焼に変わるかなどは、キルン内の温度分布及びコーティングの形成に影響を与えます。不安定なキルン稼働の問題は、過度な表面固着及びキルン内でのリング形成が原因となり(Fig.10)、これはキルン内の異なった場所での量、流動特性又は液相などに依るものとなります。キルンリングはキルンの焼結、焼成及び転移ゾーンで形成される可能性があります。硫黄分、炭酸塩、スパ

ー石又はアルカリ分が誘導する発生源は、濃度が高いものもあれば多孔状のものもあり、また、ゆっくりと広がるもの、数時間で広がるものもあります。リングの形成が過密の場合、リングが崩壊し、クーラーへの不燃焼物資の流出の原因となる事があります。その他の現象としてスノーボールと呼ばれるものがあり、ほとんどの場合長期間使用されていないフレームがキルン内での温度を上昇させ、焼成ゾーンの長さを低減させる事により形成されます。転移ゾーンで形成されるスノーボールは、温度が1100℃程度あり、溶融する亜硫酸塩が少ないため原料ミールに凝集するものとなります。ボールが燃焼ゾーンに到達すると、より多くの液相が伴う大口径となり、キルンをブロックする事もあり得ます。プレヒーター及びキルンの不安定な状態により、クーラーへのクリンカーの投入が変動する結果となります(Fig.11)。主に低レベルから高レベルまでの三つの異なった変動が観察されます。安定的なプレヒーター及びキルンの稼働条件での低レベルの変動は、簡単にクーラーで緩衝する事ができます。クーラーでのクリンカー滞留時間がより長いものであれば、不安定なキルン稼働から生じる、安定的な状態から3倍程度の中レベルの変動もおそらく緩衝できるでしょう。キルンの超過状態から生じる高レベルの変動は、プレヒーター内の遮蔽物、キルンリング又はスノーボールなどを突然吐出させるもので、安定的な状態から5から7倍程度の大きさであり、クーラーにより緩衝させる事は不可能となります。定格能力と比較して極めて高いクリンカー変動は、クリンカークーラーから上流側のキルンシステムに影響を与え、より大きな流量のクリンカー、高い最終温度のクリンカーを下流側の機器に送るものとなります。プレヒーター及びキルンの超過状態はクーラーからキルンへのダストの再循環を増大させ、一般的に二次及び三次空気の温度を上昇させ、グレート速度上昇又はクリンカークーラー制御による冷却エア量の増大から、多くの場合二次空気の流量を増加させます。これによりキルン内での火炎形成に影響を与え、燃料投入率や吸引ファン速度の調整の必要が伴う他のキルンの不安定な稼働につながります。新たな安定的な稼働状態を達成するまでには数時間の時間がかかるでしょう。下流部側の機器では、定格でのパラメーターは適合しません。キルンの超過状態ではクーラーに後続するクリンカーコンベアーは、非常に高いクリンカー温度、高い負荷による影響を受けます。クリンカーの定格最終温度はクリンカーの平均温度であり、保温容器に関する保証条件のために計測される事は予め理解しておく事が重要でしょう。クリンカーの表面温度が高い場合であっても、中核部では未だ高い

10 キルン内でのリング形成

11 クリンカー変動 12 クリンカーコンベアーの寸法[4]

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温度を保持しております。仮にローラークラッシャー又はクーラーの最終部に装備されるハンマークラッシャーからのクリンカーが、いわゆるホットスポットを伴うクリンカーの平均温度である場合、温度は定格の100℃から約250℃の間となります。超過状態ではクリンカーの処理後の平均温度が350℃程度に上昇し、ホットスポットを伴う場合には600℃まで上昇するでしょう。

4. 下流側への搬送及び保管キルンの超過状態をカバーするため、クーラーに接続するクリンカーコンベアーはキルンの定格能力以上のより高い能力で設計する必要があります。しかしながら、クーラー内でのより高い緩衝能力を持たせる最新のクーラー設計によりコンベアーの寸法は変わってきております。Fig.12 は過去の時点での処理能力が3000 t/dから10000 t/dまでの四つの異なったプラントのクリンカーコンベアーの寸法を示しており、これらが今日どのように変わったかを示しております[4]。最新型クーラーが開発される以前では、クリンカーコンベアーの寸法はキルン能力と比較して1.8から2.0倍程度大きいもので、3000 t/dのキルンには250 t/hの能力、10000 t/dのキルンには750 t/hの能力が採用されております。最新のクーラーでは3000 t/dのキルンに対し190 t/h、10000 t/dのキルンに対し625 t/hと能力が変わっており、定格能力の1.5倍程度となります。クリンカークーラーからクリンカー貯蔵設備までの搬送用としては、主に三つの異なった型式のコンベアーが使用されております。最も使用されている技術は深絞り型パンコンベアーです。このコンベアー(Fig.13)は1000 t/hまでの能力で設計でき、700℃までの温度で安全に使用できます。コンベアーは75m程度までの高さへの搬送、30°までの傾斜で使用する事ができます。100mまでのより高い高所及び60°までの傾斜には、このコンベアーにバケットを装備するものが使用されます。ベルトエプロン型のハイブリッドコンベアーでは耐熱温度が600℃となりこれ以外の選択肢となりますが、未だ市場では深く浸透しておりません。耐熱仕様のベルトコンベアーはクーラー後のクリンカー搬送用として時折テストされておりますが、今現在まで商業上の成功条件を達成しておりません。今日、適切なクリンカー貯蔵容量は、予定していない

キルン停止又は各年の休止期間用として、2から3週間程度のクリンカー生産量を保持できるように設計されております。最適化された各年の休止管理、クリンカー及びセメントの複合的な貯蔵により長期間クリンカー生産を行わない事が可能となった事などにより、ここ数年で安全用の貯蔵量は低下してきております。しかしながら、これらのケースの増加に伴うクリンカー量の低下は、クリンカークーラーからセメントミルへ緩衝時間を持たせる事なくクリンカーを搬送するものとなります。結果として、クリンカー貯蔵用サイロからのクリンカーコンベアーは(Fig.14)、クーラーからの高い最終温度の影響を受けるものとなります。Figure 15 はクリンカークーラーから下流側機器への一般的なクリンカー温度の概算数値を示し、クーラー後のパンコンベアー、クリンカー貯蔵設備、貯蔵設備からの吐出時、ミルへの搬送時の温度を示しております。通常の状態であれば、クリンカーの処理後の温度はクーラー後で105℃(85℃プラス外気温20℃)であり、クリンカーは更に70℃程度まで冷却します。この温度はスラグ粉砕工程では十分に高い温度では無く、傾向として、これらの用途に適合させるためにクリンカーの温度をクーラー後で180℃から200℃に特定しております。この温度はローラーブレーカーがクーラーの最終に設置され、ホットスポットの存在が考慮されている場合に達成可能です。超過状態においては問題が発生する事になり、クリンカー温度が350℃以上の場合は、貯蔵及び搬送中に100℃以下になる事はありません。非常に重要な局面として、クリンカー貯蔵内での異なった温度による混合という事があります(Fig.16)。混合の効果はクリンカー貯蔵設備の設計、及び貯蔵施設の下に設置され同時に稼働される搬出用トンネルの数などに依ります。例えば通常の状態の85℃の温度、及び超過状態の285℃のクリンカーを貯蔵する場合、50%の混合効果によりクリンカーの平均温度は185℃となります。実際の条件では混合効果は20-30%か、それを上回る程度が現実的でしょう。クリンカー貯蔵設備からの現実的な平均温度は、超過状態の回数、最終温度が高温とな

13 クリンカー用パンコ

ンベアー

14 貯蔵されたクリンカーの吐出

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ったクリンカーの頻度、及びこれらが貯蔵される時間的な期間などに依るものとなります。超過状態の記録回数が多くなるほど、クリンカーの平均温度は高くなります。最新型のクリンカークーラーの能力が向上しているという仮定条件を根拠に、クリンカー貯蔵設備よりセメントミル(Fig.17)及びミルとの中間サイロへのクリンカー搬送用として、ベルトコンベアーが使用される事が増えております。ベルトコンベアーは鋼製のパンコンベアーと比較した場合に設置コストが低くなりますが、保守コストは著しく高くなり、ライフサイクルでのコストはパンコンベアーの方がほぼ有利で、特にベルトコンベアー設置に伴うフィルターのコストが比較上含まれる場合に顕著です。耐高温仕様のベルトコンベアーは常に改良されておりますが、コスト上のアドバンテージではほぼ皆無でしょう。ベルトコンベアーが良好に稼働するケースはありますが、従来のパンコンベアーへ交換する事が必要であったケースもあります。

5. 排気エア及びWHRシステム75%の効率性の最新型ゲートクーラーでは、約45%から50%の冷却エアが燃焼(二次及び三次空気)に使用され、残りの50-55%が排気エアとなります。1.7から2.0Nm3/kgefiの特定の冷却エア量では、約0.85から1.1 Nm3/kgefiが排気エアとなります。通常の状態では、排気エアの温度は250℃から350℃であり、キルン

の超過状態では400℃から500℃へ上昇します。クーラーの排気エア内に含まれるダスト濃縮量は30から90g/Nm3のレンジ内で、超過状態ではダストの濃縮量が200 g/Nm3以上に増加します。より厳しい排気基準により、クリンカークーラーのダスト排出システムはこの数年の間に著しく変わりました[5]。静電沈着型バグフィルターは、通常時と超過状態では流量に変化が生じ、クリンカーダストの高い摩耗及び負荷による影響を受けるにも関わらず、現在では主に使用されております。クリンカークーラーからの排気ガス状態に対応するため、サイクロン及び空気熱交換器がフィルターの上流側に設置される事になります[Fig.18]。サイクロンはダスト濃縮量を、熱交換器のために70%となる75 g/Nm3程度まで減らします。熱交換器は排気ガスを150℃から180℃程度に冷却するため、ポリエステル又はNomex製のフィルターバッグに対応できるものとなります。温度ピークを減らすために、多くの場合ウォタースプレー装置又は制御型清水ダンパーが設置されます。高い冷却効率により、クリンカークーラーからの廃熱回収(WHR)の潜在的可能性は低減しております。しかしこれは、有機作動媒体又は二元的な水-アンモニア混合物が従来蒸気サイクルとして使用されていた水に代わり作動媒体として使用される、ORC(有機ランキンサイクル)又はカリーナサイクルなどに関する潜在性を示すものです[6]。これらの作動媒体は水に比べて著しく低い蒸発温度となり、より高い蒸気圧力に対応し、排気温度が300℃以下の低い温度レンジのクリンカークーラーでは、水蒸気回路で可能であったものより高い次元の効率性を実現します。この結果、この技術は数多くのサプライヤーより提供されております。標準のコンテナ化されたWHRプラントでは、クーラーからの4.5MWの廃熱から、約0.65から0.7MWの電力を得る機会があります。

6. 展望過去数年の間で、クリンカーの定格の最終温度は105℃から85℃ないし65℃(プラス外気温度)に低下しました。しかし混合セメント、スラグセメント粉砕に対する需要が増えるのに伴い、この傾向が変化し、クーラーの設計仕様におけるクリンカーの最終温度は著しく高くなっております。セメント生産会社は、いかにクリンカーの最終温度を高くするかをクーラーサプライヤーに問い合わせております。現在ある設計仕様

15 クリンカーの下流側での温度 16 温度混合効果

17 下流側クリンカー用コンベアー

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GROUPNEWS AUMUND No. 4 // 2016

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では、クリンカーの最終温度が180℃から200℃になる事が必要になっております。最新型のクリンカークーラーでは、いわゆる余分な設備を少なくするソリューションを採用する傾向があります。装備縮小は、クリンカーコンベアーの設計能力を150%又は200%程度から、125%程度へ減らす事を意味します。このようなソリューションは一般的にクリンカークーラーが更新される際に選択され、クリンカークーラー稼働に纏わる障害が取り除かれるものとなります。コンベアー能力に125%程度の安全率が含まれていれば、新規のクリンカーコンベアーを設置する必要はありません。それ以上にプラント配置におけるクリンカークーラー後の予備コンベアーは、数年前の程度までに必要となる事は無いでしょう。

参考文献[1] Harder, J.: Latest Trends in Clinker Cooling. ZKG International 3/2011, pp. 32 - 42[2] Vos, A.: Five Years‘ Experience with the ETA Cooler. Cement International 2/2009, pp. 62 - 65[3] Clark, M.: More Clinker Ring Issues. ICR/5/2015, pp. 52 - 54[4] Aumund: Clinker Handling. ICR 3/2003, pp. 41 - 44[5] Harder, J.: Process Filter Trends in the Cement Industry. ZKG International 9/2009, pp 59 - 72[6] Harder, J.: Latest Waste Heat Utilisation Trends in Cement Plants. ZKG International 6/2013, pp. 26 - 39

18 クリンカークーラー用バグフィルター

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本論稿は”ZKG International” 誌7/8 – 2015に掲載されました。 Page 8/8