GE流 成功の方程式 日本エネルギー産業の健全な成 …...1994...
Transcript of GE流 成功の方程式 日本エネルギー産業の健全な成 …...1994...
1
エネルギー産業先進国を目指して
日本エネルギー産業の健全な成長と国際競争力の強化の一助として
2012年5月15日 GE Energy 大西 英之
第2回エネルギービジネス戦略研究会
2
目次
1. GE エナジーの歴史
2. 成長手法 ① GEグローバルリサーチセンター
② ベンチャー企業のインキュベーション
③ M&A
④ パートナーリング
3. GEの人事戦略
4. エネルギー産業政策への提言
3
1. GE エナジーの歴史
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
45,000
50,000
GE Energy Revenue
‘90 ‘95 ‘00 ‘05 ‘10
($ million)
20年でエネルギーインフラ関連部門の売上は7.7倍に伸展
Data: GE Annual Report ’90-’02: GE Power Systems, ‘03-: GE Energy + Oil & Gas
1990
$5,804
(Million)
2011
$44,743
(Million)
Power Generation事業による成長
(ガスタービン) 事業の多角化、買収等
による成長
4
2. 成長手法: ① GEグローバルリサーチセンター (本社R&D)
GEにおけるイノベーションの原動力
米国・ニスカユナ
インド・バンガロール
中国・上海
ドイツ・ミュンヘン
5か所のリサーチセンター合計で約3,000名の研究者 (うち、
ほとんどは博士号取得者)
社内間での技術的なシナジー効果醸成を促進
GEの全ビジネスを支援するために年間$6億ドル(研究開発費
の10%に相当)を拠出。GEエナジーは一番多い投資対象
最先端技術獲得に向け、日本やロシア、イスラエルでの専門
スタッフ・施設
予算の~20%が政府機関の補助、~30%が本社、~50%が
各ビジネスから
ブラジル・リオデジャネイロ
5
再生可能エネルギー分野
スマートグリッド 分野
天然資源分野
* Since 2006; excludes several undisclosed investments
2. 成長手法: ② ベンチャー企業のインキュベーション (エナジーファイナンシャルサービス)
as of March 2012
検証段階 パイロット段階 導入期 ($2-10MM)
成長期 ($30-200MM)
6
2. 成長手法: ③ M&A(大規模案件)
戦略的な製品・サービスのポートフォリオを構築
実施年 M&Aの狙い 取得した会社 主な製品・サービス
1994 技術・チャネル・市場 Nuovo Pignone Oil & Gas
1997 技術 Stewart & Stevenson Service Gas Turbine Service
2000 技術・市場 Alstom Heavy Duty Gas Turbine
技術・市場 Global Nuclear Fuel Nuclear Fuel
2002 技術・市場 Enron Wind Wind Turbine
技術 Betz-Dearborn Water
技術・チャネル・市場 Bently Nevada Measurement & Control
2003 技術 AGFA NDT Measurement & Control
技術・市場 Jenbacher AG Gas Engine
2007 技術 PrimeStar Solar
技術・チャネル Vetco Gray Oil & Gas
2011 技術・チャネル・市場 Dresser Flow & Process Technology
技術・市場 Converteam Power Conversion
技術 Lineage Power Energy Management
技術 Wellstream Oil & Gas
7
最近のエナジーにおけるM&A例
1) e-Solar社
• 10基の集熱タワー経由、50MW発電用スチームが 発生
2) ScanWind社
• 海上風力発電用にダイレクトドライブ方式を採用したScanWind社(本社スゥェーデン)を買収
3) Beta社
• 輸送機器のために開発されたバッテリー技術を応用
• ナトリウム金属ハロゲン化物 (NaMx)を含む電力貯蔵シス テムを開発
2. 成長手法: ③ M&A(小規模案件)
8
2. 成長手法: ④ パートナーリング(歴史・戦略)
現地企業と密接な連携をし、Win-Winの関係を築く
パートナーリング
① 現地企業とパートナーシップを結んで展開
② 長期的Win-Winの関係を築くためにはライセンス供与も行う (蒸気タービン、ガスタービン、原子力など)
「国ノ力ハ電力カラ」:発電機の荷揚げ
(昭和31年 1956年)
高品質かつコスト競争力のあるメーター供給をおこなうことを目的に、2011年2月に設立。
【事例】GE富士電機メーター
【富士電機】 日本市場の専門知識
日本の優れた技術力
【GE】 世界での導入実績 世界での展開力
+
9
2. 成長手法: ④ パートナーリング(日本)
• 小型ビジネスジェット用エンジン
• 次世代原子力発電
• スマートメーター
• ガスタービン
• コンバインドサイクル向け次世代
蒸気タービン
• 超電導共同技術開発
• LEDパートナーシップ
• バイオサイエンス装置
これまでの実績
日本企業とGEの優れた技術を世界に展開
• 日本企業との技術提携を最重要戦略の 1つと位置づけ、2004年よりジャパン・ テクノロジー・イニシアチブを展開
• オープン・イノベーション、Win-Winの技術、
パートナーシップを重視
• 経産省がGEを“日本企業の優れた技術と
の協業でグローバル・ビジネスに取り組む外資系企業”として紹介(2008)
ジャパン・テクノロジー・イニシアチブ
10
GE Opal since 2010
•持ち分: 100%
•従業員数: 20
GE Energy Services since 2011 (Former TGE)
•持ち分: 100%
•従業員数: 159
アジア地域における GE Energyの
事業の拡大事例
オーストラリア
シンガポール
インドネシア
PT GE Nusantara Turbine Services since 1991
• パートナー: PT DI
•持ち分: GE 50.6%, IP DI : 49.4%
•従業員数: 38
GE Keppel since 1974
•パートナー: Keppel Integrated Engineering
•持ち分: GE 50+%; KIE 50-%
•従業員数: 239 GE Vetco Gray since 1970
•持ち分: 100%
•従業員数: 460
GE Vetco Gray since 1985
•持ち分: 100%
•従業員数: 105
マレーシア
GE Motors & Control (GEMAC) since 1982
• 持ち分: 100%
• 従業員数: 479
GE Water & Process Tech since 1983
•持ち分: 100%
•従業員数: 118
韓国
ベトナム
GE Water & Process Technologies since 1994
•持ち分: 100%
•従業員数: 61
GE Vietnam Haiphong since 2008
•持ち分: 100%
•従業員数: 463
東芝GEタービンサービス since 1996 • パートナー: 東芝 •持ち分: GE 51%;東芝49% •従業員数: 50
日本
グローバルニュークリアフュエルsince 1967 • パートナー: 日立・東芝 •持ち分: GE 60%; 東芝 14%; 日立 26% •従業員数: 449
GEPMICI since 1971, JV since 1985 • パートナー: Manila Electric Co. •持ち分: GE 65%, MERALCO 35% •従業員数: 27
フィリピン
Manuf. & Assembly Service & Repair
GETROL since 1971
•持ち分: 100%
•従業員数: 114
GE Power O&M Korea since 2005
•持ち分: 100%
•従業員数: 478
GE Sensing Korea, Ltd since 2005
•持ち分: 100%
•従業員数: 102
GE Vetco Gray Repair Center since 1991
•持ち分: 100%
•従業員数: 42
ドレッサー since 2011
• 持ち分: 100%
• 従業員数: 327
GE Oil and Gas (Jandakot) since 2011
•持ち分: 100%
•従業員数:
ニュージーランド
GE Commtest since 2011
•持ち分: 100%
•従業員数: 27
GE 富士電機メーターsince 2011 • パートナー: 富士電機 •持ち分: GE 49.99%, 富士電機50.01% •従業員数: 320
2. 成長手法: ④ パートナーリング(アジア)
11
経営戦略と人材戦略の一致
→ 世界中で均一の文化
人材・組織レビュー(「セッションC」)のプロセス化
→ 経営トップが人材評価・育成にコミット
実力主義の徹底
→ フェアな評価で社員が最大限実力を発揮
コンピテンシーの明確化
→ GEバリュー、Growth Traits
学習する文化とリーダー育成メカニズム
3.GEの人事戦略 GEの力強い成長をサポート
企業の継続的成長をサポートするためのカルチャー・風土を醸成する → 人事戦略の役割
12
3.GEの人事戦略 : Growth Values(グロースバリュー)
外部志向
幅広いステークホルダーと効果的に連携する
お客さまや環境の変化に敏感でトレンドを見据えている
グローバルでの課題について知識を持つとともに世界の出来事に関心を持つ
明確でわかり やすい思考
曖昧さや不確実性を受け入れ、適応力がある
戦略と目標を結びつけ、それを効果的にコミュニケーションする
知識、経験、ネットワーク、直視力を生かして、決断することができる
想像力と勇気
革新的なアイデアを生み出し、実現する
リスクを取ることを奨励するとともに、成功と失敗から学ぶ
官僚主義や価値を生まない業務に反対を唱え、スピードと簡素化を促進する
包容力
反対意見やアイデアを歓迎する他の意見に耳を傾け、謙虚である
他部門と協力しあって業務を行う個人や文化の違いを尊重する
社員のエンゲージメントとコミットメントを促進する
専門性
専門領域を持ち、経験と実績に基づく信頼を得ている
常に自分をレベルアップさせるとともに、他者の育成にも熱心である
テクノロジーを最大限活用する
13
パフォーマンス
パフォーマンスとバリューの2軸で評価
高
グロースバリュー 高 低
“A” プレイヤー
もっとも求められる人材
更なるチャレンジ・昇進
ミスマッチ
GEにあわない
再チャレンジ
業績結果を出すための
チャンスを与える
警告・指導
GEバリューに関する指導
短期的に結果は出すが 長期的には会社にとって
マイナス
3. GEの人事戦略:パフォーマンスとバリューによる人事評価
低
Excellent
Excellent Strong
Contributor
Dev. Needed
Dev. Needed
14
これまでの製造業:
0
20
40
60
80
100
1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007
(出典:小川紘一「製品アーキテクチュアのダイナミズムと日本型イノベーション・システム」)
DRAMメモリー
液晶パネル
DVDプレイヤー
太陽光パネル
カーナビ
世界市場シェア(%)
4. エネルギー産業政策への提言
製品投入直後は、日本企業が圧倒的なシェアを誇るが、グローバル市場でビジネスが
展開される段階になると、後発社(とくにアジア系企業)に追いつかれ、急速にシェアを
落とす。 例)リチウムイオン電池
2000年 韓国勢シェア 1.4% → 2008年 韓国勢シェア 22.0%
20-30年前に比べ、より早期にシェアが低下する。
製品シェアが落ちた後も素材産業はシェアを保ち続ける
リチウムイオン 電池
Start Up Growth Mature Decline
海外
製造技術 品質管理
品質8割 価格5割
技術の流出
基礎技術の展開
素材産業 基礎技術
人 リバースエンジニアリング 製造(装置メーカーのタ-ンキー)
市場
シェア
産業クラスター
なぜシェアを落とすのか:
経営力(スピード、戦略性)
15
1.グラウンドルールの設定・・・産業界との係わり
産業の将来像を示し,自由競争の秩序をつくる。その際ルールの変更は最小限に
将来像にそったスコアカードを設定 (エネルギー自給率、発電効率…)
国内の国際化...国内独特のルールは少なくする(電事法、環境アセス etc)
契約概念の徹底化(別途協議では成り立たない)
2.Japan Inc. という視点 (企業と国のスコアカードは同一ではない)
国と国の競争という観点、そこから生まれる成長戦略
国策には国策 (税制、資金調達、プロモーション)
3.戦略マインドの弱さ
国、社会、企業としてのスコアカード、個人と組織の動きを規定する
産学連携強化やグローバル人材の活用による「人財」の確保
インキュベーション、ベンチャー、M&Aを活用した新技術の取り込み
サンシャイン計画、ムーンライト計画などのビジョニングプロジェクト
4. エネルギー産業政策への提言