Foreign Language Teaching and Research Centre Vol.1 外国語教 … ·...

8
学習院大学 外国語教育研究センター Foreign Language Teaching and Research Centre April 1 2007 1 Vol. CONTENTS 所長の言葉 Success awaits you : Get ready to study English ( 英語 ) ドイツ語の世界へようこそ ( ドイツ語 ) 〈フラ語〉習得への近道 ( フランス語 ) 中国語は楽勝科目? ( 中国語 ) 未知との遭遇 ( その他の外国語 ) Through the glass doors – Introducing the foreign language self-study room – ( 自習室について ) 外国語教育研究センターについて 1 2 3 4 6 7 8 8 学部、大学院を通した 体験型外国語教育 教養教育としての外国語教育が専門教育で十分機 能しないという意見も良く耳にします。何のための外 国語教育か、なぜ外国語を学ぶのかという学生諸君 の意識の希薄さにその原因を帰せず、センターでは 昨年、4学部(法学部、経済学部、文学部、理学部) の先生方と話し合いの場をもち、学部の実情に合う体 験 型教育を実施しようとのプロジェクトを立ち上げま した。このプロジェクトにそって、まず理学部とセンター では今年から、外国人講師を理学部に派遣し、学生・ 院生が国際学会で論文を発表するプレゼンテーショ ンの方法や投稿論文の書き方などの指導、ゼミへの 外国人講師の参加など新たな教育を行います。この 授業は研究室所属の4年生や大学院生が対象となり ますが、参加する学年に制限はなく、従来の教育と 全く異なるスタイルの教育です。理学部だけではなく、 他の学部でも、個々の学部に合った体験型授業を今 後行っていきたいと考えています。 外国語教育におけるセンターに注目して欲しい。セ ンターは、全学における外国語教育を統括する部署 として、本学に学ぶすべての学生・院生に、本学の外 国語教育を通じて、複数の外国語について、実社会 においても十分活躍できる外国語の能力を身につけさ けせることを目指して、教職員が一丸となって取り組 んでいます。 最終的な人格形成機関である大学は、教養を基礎 に置きながら専門性を育てる場です。いまその大学で、 専門性を重視するあまり、大切な教養教育の空洞化 が起きています。教養なき専門家、中途半端な多くの 専門家が大学から巣立っていきます。その結果、社 会貢献できない専門家が問題になり、社会のあらゆ るところから悲鳴すら聞こえてきます。なぜ大学では 教養教育が必要なのでしょうか。それは学問体系の 専門化が進むほどその専門化した学問や社会全体を 多面的かつ柔軟に見渡せる教育が必要だと考えるか らなのです。 教養教育としての英語教育を含めた外国語教育は いったいどうあるべきかの議論は、義務教育の場の みならず高等教育の場でも真剣になされています。多 くの人が自分の経験を踏まえて、それぞれの立場で意 見を展開しています。学習院大学では、 「複数の外国 語について高い運用能力をもち、深い国際的な教養 を備えると共に自国の言語・文化・社会にも通暁した 人材を養成する」という基本理念を実現するために「外 国語教育研究センター」があります。センターでは本 学の学生に、専門教育をうける前までの2年間だけ でなく卒業するまでの4年間、場合によっては大学院 教育を通して、複数の外国語について、実社会にお いても十分評 価に耐えうるレベルのスキルを身につけ させることを目標として、教育方法の工夫、カリキュラ ムと学習環境の整備をめざしています。このためセン ターの教員は教育力を磨き、学内でいち早く授業評 価も実施し、学生諸君がどのような気持ちで外国語 授業に臨み、センターの教育にどのような要望を持っ ているか、などについて調査をしてきました。 学部、大学院を通した 体験型外国語教育 外国語教育研究センター所長 持 田 邦 夫(理学部教授)

Transcript of Foreign Language Teaching and Research Centre Vol.1 外国語教 … ·...

学習院大学外国語教育研究センター

Foreign LanguageTeaching and Research Centre

April 1 20071Vol. CONTENTS

所長の言葉Success awaits you : Get ready to study English ( 英語 )ドイツ語の世界へようこそ ( ドイツ語 )

〈フラ語〉習得への近道 ( フランス語 )中国語は楽勝科目? ( 中国語 )未知との遭遇 ( その他の外国語 )Through the glass doors – Introducing the foreign language self-study room – ( 自習室について )外国語教育研究センターについて

1234678

8

学部、大学院を通した体験型外国語教育

 教養教育としての外国語教育が専門教育で十分機能しないという意見も良く耳にします。何のための外国語教育か、なぜ外国語を学ぶのかという学生諸君の意識の希薄さにその原因を帰せず、センターでは昨年、4学部(法学部、経済学部、文学部、理学部)の先生方と話し合いの場をもち、学部の実情に合う体験型教育を実施しようとのプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトにそって、まず理学部とセンターでは今年から、外国人講師を理学部に派遣し、学生・院生が国際学会で論文を発表するプレゼンテーションの方法や投稿論文の書き方などの指導、ゼミへの外国人講師の参加など新たな教育を行います。この授業は研究室所属の4年生や大学院生が対象となりますが、参加する学年に制限はなく、従来の教育と全く異なるスタイルの教育です。理学部だけではなく、他の学部でも、個々の学部に合った体験型授業を今後行っていきたいと考えています。 外国語教育におけるセンターに注目して欲しい。センターは、全学における外国語教育を統括する部署として、本学に学ぶすべての学生・院生に、本学の外国語教育を通じて、複数の外国語について、実社会においても十分活躍できる外国語の能力を身につけさけせることを目指して、教職員が一丸となって取り組んでいます。

 最終的な人格形成機関である大学は、教養を基礎に置きながら専門性を育てる場です。いまその大学で、専門性を重視するあまり、大切な教養教育の空洞化が起きています。教養なき専門家、中途半端な多くの専門家が大学から巣立っていきます。その結果、社会貢献できない専門家が問題になり、社会のあらゆるところから悲鳴すら聞こえてきます。なぜ大学では教養教育が必要なのでしょうか。それは学問体系の専門化が進むほどその専門化した学問や社会全体を多面的かつ柔軟に見渡せる教育が必要だと考えるからなのです。 教養教育としての英語教育を含めた外国語教育はいったいどうあるべきかの議論は、義務教育の場のみならず高等教育の場でも真剣になされています。多くの人が自分の経験を踏まえて、それぞれの立場で意見を展開しています。学習院大学では、「複数の外国語について高い運用能力をもち、深い国際的な教養を備えると共に自国の言語・文化・社会にも通暁した人材を養成する」という基本理念を実現するために「外国語教育研究センター」があります。センターでは本学の学生に、専門教育をうける前までの2年間だけでなく卒業するまでの4年間、場合によっては大学院教育を通して、複数の外国語について、実社会においても十分評価に耐えうるレベルのスキルを身につけさせることを目標として、教育方法の工夫、カリキュラムと学習環境の整備をめざしています。このためセンターの教員は教育力を磨き、学内でいち早く授業評価も実施し、学生諸君がどのような気持ちで外国語授業に臨み、センターの教育にどのような要望を持っているか、などについて調査をしてきました。

学部、大学院を通した体験型外国語教育

外国語教育研究センター所長

持 田 邦 夫(理学部教授)

IIIIIIIVV

VI

I

IIIIIIIVVVI

II

IIIIV

V

VI

  Get ready to study: bring your textbook, notebook , pen s and penc i l s , and dictionary to class.

  Listen to what your teacher says in English, even if you cannot follow all of what they are saying. Little by little, it

will get easier. However, you must try. When you have trouble understanding, ask questions to a classmate or the teacher. Don’t just say, “I don’t understand.” Be specific: I don’t understand what to do. I don’t understand what this word means. I don’t understand what this expression means.Make your questions clear and it will be easier for you to get what you need.

  Use your dictionary (unless your teacher asks you not to). Take it out of your bag and use it to look up words you want

to know or check. Many students bring their dictionary to class, but never open it. Using an electronic dictionary is OK. Be careful though! When you use an electronic dictionary, make sure that you get the right meaning for what you want to say. Use these three steps to use your electronic dictionary successfully to get what you want.

Japanese → English 1. Input a Japanese word into your 和英 dictionary and find the English word you think is right. 2. Check the English word in your 英和 dictionary to make sure it is the right one. 3. Find the English word in your 英英 dictionary and learn how to use it correctly.

Success awaits you: Get ready to study English

Laura MacGregor

4. The example sentences in 英和 and 和英 dictionaries are sometimes not very good because they are old-fashioned or too formal. So, compare the example sentences i n a l l t h ree dictionaries.

English → Japanese Use the same three steps as for checking an English word: 1. 英和 then 2. 和英 and 3. 英英 .

Thesaurus Your electronic dictionary probably contains a thesaurus. This is a special dictionary of the same or similar meanings of words. It is useful for advanced students to find different vocabulary, especially when you are writing.

  Keep a section in your notebook for a vocabulary list. Write new words, their meanings and examples of how to use

them in it. Review the list and use your new vocabulary.

  Speak English in class. If you try from the first day, your ability will surely improve. L it t le by l it t le you wil l speak more

correctly and more confidently. It’s true!

  If you review your lessons and notes, and use the new words and expressions that you have learned, your English will

improve.

So, take charge of your English study and make this year successful!

Are you taking English classes this year? Here are some hints on how to make your English study successful.

せっかくドイツ語を学ぶのだから、生のドイツ語や、ドイツ文化に触れてみたいものです。ここでは、その方法を紹介しましょう。

1 ドイツ語の授業 学習院にもドイツ人の授業があります。初級だと、リタ・ブリール先生。中級だとユタ・コバリク先生。中級特だとマリオン・ゼッテコルン先生。いずれもどの学科の学生でも参加できる楽しい授業ですので、コミュニケーション重視の人は、ぜひこの先生たちのクラスを訪ねてください。

2 テレビ いろいろとドイツの情報を入手して身近に感じることはとても有効です。 お勧めなのは、NHK テレビのドイツ語講座。この番組には、去年からドイツ語圏文化学科の保阪良子先生が出演しています。ドイツ語を学ぶだけでなく、さまざまなドイツ情報を知ることができます。

3 日独協会 ㈶日独協会は日独の文化交流を行っている団体です。ドイツ語やドイツ文化に触れる催し物を多く開催しています。中でも毎月開催している JG シュタムティッシュは在日ドイツ人とドイツに関心を持つ日本人の交流会で、毎回たくさんの参加者を迎え大変にぎわっています。学んだドイツ語を使ってみる良いチャンスですし、日本語の上手なドイツ人も多く参加しますのでぜひ覗いてみてください。申込み方法などについてはホームページ http://jdg-tokyo.jp/にアクセスして情報を見てみましょう! 

ドイツ語の世界へようこそ

4 語学学校 語学学校に通うことも、またモティベーションを高めるきっかけになりますし、集中的にドイツ語を勉強することができます。 たとえば、南青山のドイツ文化会館にはゲーテ・インスティテュートという語学学校があります http://www.goethe.de/ins/jp/tok/jaindex.htm。 ほかにも、欧日協会 http://www.ohnichi.de/ や、ハイデルベルクドイツ語学院 http://www.alles.or.jp/~heidel/など、いろいろなドイツ語学校があるので、興味のある方はアクセスしてみてください。ドイツに関する情報も見られます。

5 短期留学  夏休みや春休みを使ってドイツで1ヶ月か2ヶ月ドイツ語学校に通うのもとても楽しいし、ドイツ語がよく身につきます。 ドイツで語学学校に通うことの楽しみは、同世代の外国人と国際交流をしながら、ドイツ語を身につけることができるということでしょう。これは、一般のツアー旅行では決して味わえない喜びです。また、その地に暮らしながら勉強しますから、旅行者では経験できない、ドイツの普通の生活を味わうことができます。もちろん、土日には自分で計画をたてて、旅行をすることができます。1ヶ月の滞在でも3,4回は旅行ができますから、ドイツ各地を見て歩くことができるでしょう。値段は、語学学校によってそれぞれ違いますが、ツアーにくらべると、はるかに割安です。以下には、安心して参加できるものを紹介します。● 学習院は、バイロイト大学と協定を結んでおり、

毎年夏にバイロイト大学で開催されるドイツ語夏季セミナーを斡旋しています。5月にドイツ語圏文化学科で説明会があるので、興味のある人は、5月になったら、説明会の日程をドイツ語圏文化学科に問い合わせてください。ドイツ語をつかって意欲的に勉強したい人にお勧めです。

● フライブルク大学でも夏にドイツ語セミナーを開いています。学習院で非常勤講師をしているダニエル・ケルン先生もこの時期はフライブルクで教えています。こちらの特徴は、日本人向けのクラスがあることです。ドイツには行きたいけれど、ドイツ語にはまだ自信が持てない人、とにかく一度行って慣れたいという人にお勧めです。パンフレットは、北2号館 10 階、外国語教育研究セ

加 藤

最近では様々な学習辞書がでていますから、手にとってみて、好みの辞書を選ぶといいでしょう。選ぶときには以下のことを参考にしてください。● 語数は5万語以上のものがお勧めです。2年生になっても充分使

えますし、将来何かを調べるときにも役立ちます。● 例文がたくさん出ている辞書を選びましょう。ドイツ語の辞書を

上手に使うコツは、例文を見ることです。いい例文があると、単語の使い方がよく解ります。

● 電子辞書もありますが、最初は紙の辞書をお薦めします。電子辞書は単語にたどりつくまでは速いですが、単語にたどり着いてからは、紙の辞書の方が速いです。全体が見渡せるので、どんな用法があるか一目瞭然ですし、例文も見つけやすいです。周辺情報

(派生語など)が見えるので、感覚的にも単語のニュアンスを捉えやすいです。たとえて言うなら、電子辞書がデジタル時計、紙の辞書がアナログ時計です。

ドイツ語の辞書選び

その1:気楽にはじめよう! 「 中学、高校と6年も英語を学習したのに英語が使えない。それなのに新しい外国語を始めるなんて…」という声を聞きます。気持ちはわかりますが、大学の第 2 外国語はこれまでの英語とはアプローチの方法がちがいます。初級では文のしくみ(ベーシック)を自分で理解し、簡単な意思伝達の表現(コミュニケーション)を実践的に学びます。 きっかけは何でも OK. 「 なんとなくおしゃれだから」という理由でフランス語を選ぶ人も多くいます。気負わず、軽い気持ちで始めましょう。3つ目の外国語に挑戦する学生、必要な単位としてではなく履修する学生も各クラスにいます。さあ、気になる言語の教室へ!  

〈フラ語〉習得への近道

ンター事務室においてあります。これは、自分でインターネットから申し込みます。締め切りが早いので、行きたい人はなるべく早く申し込んでください。

● ドイツ各地にゲーテ・インスティテュートがあります。詳しい情報は、南青山のゲーテに行けばパンフレットがあります。または、インターネットからでも申し込みができます。

 他にもいろいろと夏期講座はありますが、初めての人はどうしていいのかわからないことも多いでしょうから、上記のいずれかからはじめると安心です。他に探す場合は、ドイツの各大学が開講しているものや、日本の語学学校が斡旋しているものなどは、安心して参加できると思います。

その2:まちがいをおそれず、とにかく使ってみよう! 言葉はまず〈音〉です。授業中に積極的に声に出して言ってみましょう。フランス語ならボンジュール(こんにちは)は知っていると思いますが、実際は「ボンジュー」に近く聞こえることも自然とわかります。 「知識はあるのに話せない」(と皆さんが感じている)英語とちがって、ゼロから出発の第 2 外国語は、まちがえて当たり前。習ったばかりの限られた表現を確実にして、使い回せるよう目指しましょう。

その3:〈ペラペラ幻想〉を捨てよう! 「 先生なのだから、フランス語はペラペラなんでしょう?」と言われることがあります。この場合のペラペラとは、ネイティブの話していることがすべて理解でき、ネイティブと同じように話せるというイメージのようです。「そんなことないです」と否定しても、さらに追い打ちをかけるように「フランス語がペラペラなら、英語もペラペラなんでしょう?」と訊かれます。この質問には、「フランス語でつちかった度胸で中学生程度の英語を使えるだけです」と答えることにしています。

堀内ゆかり

6 長期留学ドイツの大学で勉強したいという人は、国際交流センターの奨学金制度にトライしてみるといいでしょう。興味のある人は、西5号館の4階にいってみましょう。

 どんな方法でも、自発的にドイツ語に取り組んでいけば、興味はどんどん増していくはずです。ぜひ、積極的にチャレンジしてください。

フランス語はいつのころからか学生たちに〈フラ語〉と呼ばれ親しまれて(?)います。ここではフランス語にかぎらず大学で始める未修外国語が身につくコツを伝授しましょう。

 外国語を習得(マスター)するとは、そんな大それたことではありません。自分の置かれた状況のなかで大まかな理解ができ、自分の言いたいことが伝えられる。英語について、「話せない」と感じている人でも、実は習得まで後一歩のところにいます。必要に迫られて英語を使わざるを得ない状況に置かれれば誰でも使えるようになるものです。ネイティブと同じように、という強迫観念から脱け出ましょう。第2外国語についても、在学中に基本はマスターしたと実感できます。(初級修了で「仏検」4級、中級修了で3級、4年間学習すれば準2級から2級程度)

その4:想像力をはたらかせよう! 陸つづきのヨーロッパ諸国では、場合によっては日帰りの外国旅行も可能です。パスポートを取得して「 海外旅行」に出かけていく日本人とは感覚がちがうのです。 日本にいるかぎり、英語を含めて外国語は必要ありません。その一方で、「 英語ぐらい話せるようになりたい」と思っている人がいかに多いか、英会話学校の広告があふれていることからもわかります。皆さんのなかにも、こうした相矛盾する思いを抱いている人も多いのではありませんか? 英会話学校も、大学の教室も、現実の世界とはちがいます。そこで想像力が必要になってくるのです。新しい言い回しが出てきたら、実際にどんな場面で使えるのかを考え、自分がその場面で使っているつもりになって声に出してみましょう。

その5:好きこそものの上手なれ 単位さえ取れればいいや、という学生と、何らかのきっかけでその気になった学生では大きな差がでてきます。この点に関して、われわれ教師は手助けしかできません。

「単位をモノにするために語学を取る」という発想から「語学をモノにするために単位を取る」という発想への転換ができるかにかかっていると思う―これはフランス語を履修したある学生の言葉です。 英語のほかにもうひとつ外国語を習得する。これは自分のなかに、英語以外のもうひとつの尺度をもつことであり、自分が開かれていくこと、これこそ真の〈国際化〉なのです。

辞書には辞書編集者の叡智と情熱が込められています。膨大な時間と労力が費された知の結晶と言ってもいいでしょう。自分のレベルに合ったものを選ぶことが第一ですが、実際に手にとってみて内容を吟味し相性のいいものを選びましょう。フランス語圏文化学科の学生は「基礎演習 I」の時間に指示があります。

◎ 初学者〜中級者向け学習辞書(1)クラウン仏和辞典 ( 第 6 版 ), 三省堂 , 2006 年 , 4 万 7000 語 , 4,095

円 : 発音・数詞・動詞活用形を収録した CD 付。(2)プチロワイヤル仏和辞典 ( 第 3 版 ), 旺文社 , 2003 年 , 4 万語 , 3,885

円 : 音声 CD 付きの版は 3,990 円(3)ディコ仏和辞典 ( 第 2 版 ), 白水社 , 2003 年 , 3 万 5000 語 , 3,990

円 : 付録として「発音と綴り字」・「会話表現」音声シングル CD 付き(4)プログレッシブ仏和辞典 ( 初版 ), 小学館 , 1992 年 , 3 万 5000 語 ,

3,675 円 : 語源や用法などについての豆知識を読むのが楽しい辞書。長らく改訂されていないので、IT 用語などの新語には対応していない。

◎ 本格的にやるなら ( 専門課程でもフランス語を使う人向け)(5)ロワイヤル仏和中辞典 ( 第 2 版 ), 旺文社 , 2005 年 , 9 万語 , 6,300

円 : 付録の CD は、同辞書のコンテンツを html 形式で電子化したもの。ただし Windows(Internet Explorer) 専用。

(6)新スタンダード仏和辞典 , 大修館 , 1987 年 , 6 万 5000 語 , 3,990円 : 文学作品からの引用が多く、仏和辞典として歴史と定評のある一冊。

○ おまけ(7)パスポート初級仏和辞典 ( 第 3 版 ), 白水社 , 2005 年 , 5000 語 , 2,730

円 : 入門用。基本語彙の学習に重点を置いた辞書です。ただし単語数は限られているので、第 2 学期以降は上記の辞書と併用する必要があるでしょう。CD 付。

(8)ポケットプログレッシブ仏和・和仏辞典 ( 第 3 版 ), 小学館 , 仏和 5万 5000 語 , 和仏 1 万項目 , 2006 年 ,2,520 円 : (4)のプログレッシブ仏和辞典のポケット版。改訂もされ語彙数も多く和仏辞典もついていてコンパクトで実用的な仏和辞典。ただし、例文が少ないので初学者には向かない。ある程度フランス語の知識がついてから携帯用として持っていたい一冊。

フランス語の辞書

高柳信夫

 中国語を始めてまず必要になるのが「中日辞典」です。そこで、ここではそれに絞って紹介しましょう。日本で出版されている中日辞典は、マーケットの大きさの問題もあって、英和辞典などと比べてかなり値段が高いものが中心になっています。しかし、多少値段は張っても、最初から少し大きめのものを揃えた方が良いでしょう。入門向けと銘打った小さな辞書もありますが、中級以上になると、すぐに語彙が足りなくなってしまいます。 現在のところ、標準的な中日辞典としては、

(1)中日辞典第2版(小学館、2003 年、6615 円)(2)講談社中日辞典第2版(講談社、2002 年、6825 円)(3)白水社中国語辞典(白水社、2002 年、8190 円)

の3点がありますが、出版年が少し新しい分、(1) が最も一般的といっていいでしょう。また、(3) はややレベルが高い人向けで、初学者には

少し 難しいかもしれません。その他、(4)東方中国語辞典(東方書店、2004 年、5250 円)

は、やや割安なのがメリットですが、多少情報量は少なくなります。他に、(5)現代中国語辞典(光生館、1982 年、6615 円)、(6)岩波中国語辞典(岩波書店、1990 年、3360 円)、(7)中日大辞典(増訂第二版)(大修館書店、1987 年、9030 円)

などもありますが、初学者向けではありません。 経済的な理由で、上記のクラスのものが買えない(買いたくない?)人のために、大きさの割に情報量の多いものを2点あげておきますが、一定のレベル以上になると、より大きな辞書が確実に必要になってきます。

(8)クラウン中日辞典(小型版)(三省堂、2004 年、2940 円)(9)プログレッシブ中国語辞典(コンパクト版)(小学館、2004 年、2730 円)

 大学に入ると、これまで勉強してきた英語以外に、もう一つ(あるいはそれ以上)の外国語を履修することになる人が多いはずです(英語以外の外国語を集中的に勉強してきた人もいるかもしれませんが、ここでは最も割合の高いケースを考えます)。中には、「外国語は英語さえできればそれで十分」という意見を持つ人もいるかもしれませんが、そのような方には、

「学習院」の名前のもとにもなった『論語』の中にある「 今、女

なんじ

は画かぎ

れり」という言葉をお贈りしておきましょう(さすがに「朽木は雕

るべからず」とまでは言いませんが…)。 さて、現在、本学では、英語以外の外国語を履修する人のうち、中国語の選択者の人数が、ドイツ語やフランス語とほぼ同じ位になっています。私が大学に入った頃は、中国語は 「 特殊な人」が勉強するものというイメージがまだ残っていたことを思うと、全く隔世の感があります。こうした変化の原因としては、中国が日本にとって、かつてとは比べものにならないほど重要な存在になってきたということが第一に挙げられますが、その他に、学生の側に「中国語は他の外国語に比べて単位を取りやすい」という認識が広まってきていることも一因かもしれません。 では、中国語は他の外国語に比べて「楽勝科目」なのでしょうか? 答えは、明らかに “yes” です。こんなことを言うと、真面目な先生方から怒られるかもしれませんが、我々日本人は、「 漢字」という世界でも独自の特徴を持つ文字に子供の頃から親しんでおり、その点で、欧米系の人などと比べ、中国語を勉強するにあたって、とてつもない advantage を予め与えられていることは否定できません。その意味で、大学生として普通に勉強すれば、中国語は、他の外国語に比べて学びやすい言語であることは確かです。 ただし、中国語が「楽勝科目」であるのは、あくまで「大学生として普通に勉強すれば」です。大学は、いうまでもなく「自分で勉強する」ところです。教員

は、勉強する気のある人の手助けは色 と々できますが、やる気の無い人に勉強をさせることはできません。 中国語は、文字として漢字を使っているとはいっても、あくまで「外国語」です。発音や文法は日本語とは全く別の体系を持っていますし、漢字自体の形も日本とは大分違っています。ですから、そこそこのレベルの中国語を身につけるためにも、一定の努力が必要です。授業に出てもボーッとしていて、授業時間以外には自習を全くしないし、辞書を引いたことすらない、といった人に単位をあげるほど、我々は優しくはありません。 例えば、中国語の発音は、アルファベットを用いたピンインという独自のシステムで表記されていますが、毎年、一人か二人、「試験にはピンインも覚えなくちゃいけないんですか」などと聞いてくる人がいます。もちろん、本気で言っているのではないとは思いますが、これは日本語を勉強する外国人が「仮名も覚えなくちゃいけないんですか」というのと同じようなことで、大学生としてはとても「 恥ずかしい」質問です。 いま一度繰り返しますが、大学での勉学は「自己責任」の世界です。それは外国語の場合でも変わりありません。ただ、同時に、本学では、皆さんが外国語を勉強するために、充実したスタッフや施設を揃えています。そして、それらを自らすすんで活用しさえすれば、中国語が 「 楽勝科目」となることは間違いありません。 もちろん、何の努力もしないで単位が取れなかったからといって、くれぐれも「楽勝科目と言ってたのに、単位をくれないのはおかしい」などとは言わないように。「君子は諸

れを己れに求む。小人は諸こ

れを人に求む」(『論語』)です。

中国語は楽勝科目?

中国語の辞書

学習院大学では、英語・ドイツ語・フランス語・中国語の他に、ロシア語・スペイン語・イタリア語・朝鮮語・アラビア語の授業を受講することができます。(また、留学生のために外国語科目としての日本語も開設されています。)

英語も満足に話せないのにそれ以外の外国語なんて、あるいは、すでに第二外国語を学んでいるのにさらに第三の外国語なんてと、尻込みしてしまう人もいるかもしれません。しかし、自明のことですが世界にはさまざまな言語があり、英語を話さない人たちも数多く存在します。この人たちとのコミュニケーションは当然のことながら英語以外の言語でなされるほかはありません。ですから、大学にさまざまな言語を学ぶ場があるのはきわめて自然なことであり、そこは知的好奇心さえあれば誰でも気軽に足を踏み入れることのできる場所なのです。

世界は多様であり、新しい言葉を学ぶことは、その多様性の一端に触れる絶好の機会です。興味があるなら積極的に覗いてみましょう。また、もし新しい語学を同時に複数学ぶことに不安があるなら、時期をずらしてやってみてはどうでしょう。案ずるより産むが易し、です。必ずや、新たな発見がたくさんあるはずです。実際、本学には自分の専門分野とは関係のない語学、卒業単位として認められない語学を純粋に個人的な興味から学んでいる学生も少なからずいます。また、3年次・4年次で新しい語学を始める学生もいます。そして、それがきっかけでその言葉が話されている国を訪れたり、より本格的にその言葉を修得しようとする人たちもいます。

未知との遭遇水野雅司

というわけで、繰り返しますが、外国語を学ぶのに必要なのは、将来それが役に立つかどうかということよりも、未知のものに対する知的好奇心です。その意味では、本学で受講することのできる言語のバリエーションは決して十分とは言えないかもしれません。それでも確実に皆さんの前にはこれまでとは違う新たな世界の扉が開かれているのです。

大学は、社会に出るための準備期間であり、将来役に立つことを学ぶ場です。しかしそれは単に資格や専門的技能を身につけることだけを意味するわけではありません。さまざまな考え方やものの見方に触れ、知見を広げ、柔軟な思考力を養っておくこと、単なる知識ではなく知性の幅(知識を使うための知識)を広げておくこともまた、大学でしかできない将来のための重要な投資であり、それはさまざまな場面で「役に立つ」ことでしょう。新しい外国語を学ぶこともそのような投資の一つであり、もしかしたら皆さんの生き方を決定的に変えてしまうかもしれません。

 西1号館2FにはLL自習室(204 号室)があります。学習用のヘッドセットを備えた 20 台のコンピュータがあり、語学学習用のさまざまな教材(DVD, Video やコンピュータ用のマルチメディア教材)を利用して外国語を学ぶことができます。また、学内ネットワークにログインして、NetAcademy, Web Exercise, CASEC などのオンライン教材を利用することもできます。

 また自習室の書棚には英語の「多読」ライブラリがあり、最近注目されている外国語学習法のひとつである「多読」―自分に合ったレベルの文章を数多く読みこなすこと― を実際に試してみることができます。ライブラリには、古典、スリラー、回想録、冒険小説、伝奇物語、ビジネス、ノンフィクションといった様々なジャンルがあります。是非、利用してみてください。

LL 自習室開室時間 :月曜日―金曜日 : 8:50―16:30土曜日   : 8:50―12:30

●LL自習室

 外国語教育研究センターの掲示板は、北1号館西側掲示板( 計算機センター掲示板の隣)と、西1号館1階の正面入口掲示場〔 中央教室(ピラミッド型校舎)側入口〕があります。 西1号館1階正面入口掲示場には、4月の授業開講時に、「 指定クラス履修者リスト」や「各クラス定員締切り情報」など、外国語科目の履修に関する情報を掲示します。 両方の掲示板を確認するようにしてください。

On the second floor of West-1 Building you will find the Foreign Language Centre’s Self-Study Room (Room 204). It’s usually busy everyday with students preparing for class, doing homework, and pursuing their language studies in their spare time. The Self-Study Room is open to all Gakushuin University students, so if you’re new to Gakushuin, or if you haven’t been inside the room before, come and have a look! No matter which language you are interested in learning, you will find a variety of resources and material here to help you in your studies.

T he room i s equ ipped w i t h 20 computers, a l l f it ted with headphones and all linked to the Internet. Once you have logged on, you can access a huge variety of language sites and resources. You can watch the news in German, for example, or listen to French radio, or read Chinese newspapers and magazines. You can use web-based dictionaries to help you write English emails, or you can try one of the specially designed online language programmes, such as Net Academy, Web Exercise or CASEC.

A lot of students use the Self-Study Room computers to watch DVDs. We have a growing collection of foreign-language films, TV programmes, documentaries, etc., all of which can be watched here. Many of the DVDs (especially English-language ones) have subtitles in the original language as well as Japanese, which means that you can listen and read at the same time – an excellent and enjoyable way to improve your listening skills, reading speed, and pronunciation.

Not all of the resources in the Self-Study Room require a computer. The Self-Study collection also has many video, CD and cassette-based language courses, listening and pronunciation courses, and a number of language-learning magazines, which include a CD for listening exercises. All of these can be found on display, or borrowed from the nearby Language Lab office (LL 準 備 室 ), and used on the video, CD and cassette players in the Self-Study Room.

Another great language-learning resource, at least for learners of English, is the Graded Readers library, which is also housed in the Self-Study Room. The bookcases here contain hundreds of books, all

recently published. Aimed at learners of English who enjoy reading interesting books, the library covers a wide range of genres, including classic novels, thrillers, memoirs, adventure, romance, business and general non-f ict ion. The Readers are

divided (or graded) into different levels of difficulty, and to make it easier for you to find the right level, most of the books are coded with one of seven coloured stickers, from Beginner (pink) to Advanced (black). Before you choose your first Reader, look at the chart located beside the bookcase. Find which level is equivalent to your TOEIC or TOEFL score, and choose a book from below that level. The books are meant to be read quickly and easily, and the more books you read, the sooner you will be able to progress to the next level.

For more information on using online language programmes, Graded Readers, and all of the other resources mentioned here, go to:http://www.gakushuin.ac.jp/univ/fltrc/index.html

Passport No.1 2007 年 4 月 1 日 発行学習院大学外国語教育研究センター171-8588 東京都豊島区目白 1-5-1TEL : 03-3986-0221( 代表 ) 内線 6270FAX : 03-5992-1061( 直通 )URL: http://www.gakushuin.ac.jp/univ/fltrc/

月~金 9:00 ~ 11:30 12:30 ~ 16:30土   9:00 ~ 12:00

日曜日・祝日・開学記念日(5/15)・開院記念日(10/17)夏期冬期休業中の一定期間、大学祭期間、入学試験期間

北1号館

西5号館

北2号館

外国語教育研究センター事務室(10F)

N

■ 掲 示 板

■ 閉室予定日

■ 事務室受付時間

THROUGH THE GLASS DOORSINTRODUCING THE FOREIGN LANGUAGE SELF-STUDY ROOM