ローカルプラットフォーマー ~エネルギー×モビリティを軸 …...6...

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© 2020 Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved. ローカルプラットフォーマー ~エネルギー×モビリティを軸とした生活サービス提供モデル~ みずほ産業調査 Vol. 65 「日本産業が世界に存在感を示すためのトランスフォーメーション ~コロナ後の長期的な目指す姿の実現に向けて~」 みずほ銀行 産業調査部 みずほフィナンシャルグループ リサーチ&コンサルティングユニット

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  • © 2020 Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.

    ローカルプラットフォーマー~エネルギー×モビリティを軸とした生活サービス提供モデル~

    みずほ産業調査 Vol. 65

    「日本産業が世界に存在感を示すためのトランスフォーメーション

    ~コロナ後の長期的な目指す姿の実現に向けて~」

    みずほ銀行 産業調査部

    みずほフィナンシャルグループ

    リサーチ&コンサルティングユニット

  • 1

    サマリー

    2040年に向けて、日本では人口動態の変化により、特に地方部において人口減少・高齢化が進展

    し、生活インフラ・サービスの維持が困難になる等の諸課題が顕在化する。

    地方部で顕在化する課題の解決にあたっては、脱炭素の潮流も踏まえつつ、エネルギー領域及びモ

    ビリティ領域で新たな技術トレンドを活用しつつ、地域エコシステムを再構築することが鍵となる。

    2040年に向けた地域エコシステムの再構築とは、新たな技術トレンドの活用と同時に、地域特性や

    地域の経済規模に応じて、現状、各産業別に縦割りとなっている生活インフラ・サービスの供給体制

    をバンドルすることで、供給コストの低減を実現し、持続可能な生活インフラ・サービス供給体制を構

    築することである。

    具体的には、エネルギー領域においては系統から独立したオフグリッド化と電気自動車を活用した

    充電・蓄電・送電であり、モビリティ領域においては自動運転電気自動車の活用であり、これらを生

    活サービスと連携させ、IoT・コネクテッド技術で制御し、多様なサービスを一体的に供給することで、

    地域エコシステムの再構築が図られるとみる。

    地域エコシステムにおいては、地域のニーズを熟知し、ラストワンマイルを担う地域密着型の事業者

    であるローカルオペレーターと、ローカルオペレーターに対して生活インフラ・サービスの効率的供給

    に資するプラットフォームを提供するローカルプラットフォーマーの役割分担を想定する。

    地域特性を踏まえつつ、最適な地域エコシステムを構築することが重要であり、事業者毎にコアコン

    ピタンスや異業種連携の可能性を模索しつつ、地域における役割(ポジショニング)を検討することが

    求められる。

    ローカルプラットフォーマー

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

  • 2

    外部環境の変化

  • 3

    エネルギー及びモビリティにおいては、2040年に向けて、①人口減少・高齢化という日本固有の人口動態の変化、②

    グローバルでの脱炭素化、といった外部環境変化が見込まれる

    ― 外部環境の変化に対しては、エネルギー及びモビリティにおける技術トレンドを踏まえた取り組みが鍵となる

    技術トレンド

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    2040年に向けて変化する外部環境と期待される技術トレンド

    2040年に向けて変化する外部環境と期待される技術トレンド

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    外部環境変化

    脱炭素化(気候変動問題)需要家の脱炭素ニーズの高まり

    エネルギー供給構造変化の必要性

    再エネ普及・分散化 自動運転車エネルギー領域での技術トレンド モビリティ領域での技術トレンド

    電気自動車

    人口減少・高齢化経済縮小・需要減少生産人口減少(担い手不足)

    地方部で特に顕在化

    地方部で特に顕在化する人口減少・高齢化に伴う諸課題の解決に向けた

    新たな技術トレンドを活用した「地域エコシステムの再構築」本レポートのテーマ

    IoT/Connected

    外部環境変化に対応するうえで期待される技術トレンド

  • 4

    15,945 15,075 14,073 13,212 12,457 11,936 11,384 10,767 10,123 9,508 8,975

    77,28274,058

    71,70168,754

    64,94259,777

    55,84552,750

    50,276 47,928 45,291

    33,86836,192

    36,77137,160

    37,817

    39,20639,192

    38,40637,042

    35,40333,810

    0

    20,000

    40,000

    60,000

    80,000

    100,000

    120,000

    140,000

    2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060 2065

    0~14歳 15~64歳 65歳以上

    (千人)

    (CY)

    127,095

    88,077

    110,919

    13 12 12 11 11 11 11 11 10 10 10

    61 59 59 58 56 54 53 52 52 52 51

    27 29 30 31 3335 37 38 38 38 38

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060 2065

    0~14歳 15~64歳 65歳以上

    (CY)

    (%)

    今後進展する人口減少・少子高齢化

    国内人口はピークを迎えており総人口および労働人口(15~64歳)は減少の一途

    ― また、2065年にかけて、高齢化が進展し、約4割程度が65歳以上となる見通し

    一方、高齢化は進展するものの、高齢者の数は2040年代にむけてピークアウトし、2065年は2015年とほぼ同数とな

    る見通し

    (出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)結果の概要」より、みずほ銀行産業調査部作成

    人口減少の推移と推計値 人口の年齢別比率推移

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

  • 5

    人口減少社会において進展する過疎化

    人口減少に伴い、特に地方部を中心として、過疎化が進展するおそれ

    ― 首都圏等では人口増加が見込まれるエリアも一部で存在するが、地方部を中心に人口減少(含む非居住地化)が

    見込まれるエリアが多い

    人口が大幅減少するエリアが増えていく中で、地方部で事業展開する企業は事業構造の転換が求められる

    (出所)国土交通省資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    人口増減率(2010~2050年)地点別割合(ブロック別)

    (注)1km2毎地点の将来人口見通し

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    47%

    17%

    7%

    13%

    13%

    13%

    22%

    25%

    17%

    13%

    40%

    51%

    30%

    33%

    37%

    37%

    48%

    48%

    46%

    26%

    12%

    31%

    60%

    52%

    48%

    48%

    29%

    27%

    36%

    44%

    1%

    1%

    3%

    3%

    2%

    2%

    1%

    0%

    1%

    16%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    北海道

    東北圏

    首都圏

    中部圏

    北陸圏

    近畿圏

    中国圏

    四国圏

    九州圏

    沖縄圏

    100%減少(非居住地化) 50%以上減少 0%以上50%未満減少 増加

  • 6

    (参考)地方部において進展する過疎化

    国内では、20~30歳代を中心に、地方部から東京への人口の移動が進展するとともに、地方部内でも都市部への人

    口集中が進展しており、地方部の人口減少にどのように対応するかが地方経済維持の大きな課題に

    (出所)総務省資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    北海道エリアの純転入者数(2019年) 東北エリアの純転入者数(2019年)

    【東京圏】男性 2,442人女性 4,145人

    (注1)東京圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 名古屋圏:愛知県、岐阜県、三重県 大阪圏:大阪府、兵庫県、京都府、奈良県(注2)純転入者 = 転出者と転入者を相殺した人数と定義

    【名古屋圏】総数 74人【大阪圏】総数 423人

    北海道内⇒札幌 北海道⇒東京都

    【東京圏】男性 12,303人女性 17,727人

    【名古屋圏】総数 241人【大阪圏】総数 1,482人

    東北他県⇒宮城県 東北地方⇒東京都

    【福島⇒宮城】男性 195人、女性 509人

    【山形⇒宮城】男性 266人、女性 520人

    【秋田⇒宮城】男性 247人、女性 430人

    【青森⇒宮城】男性 426人女性 642人

    【岩手⇒宮城】男性 538人女性 936人

    【北海道内⇒札幌】男性 4,876人女性 7,313人

    【新潟⇒宮城】男性 71人、女性 73人

    東京

    【仙台市⇒東京】男性 1,066人女性 1,287人

    【新潟⇒東京】男性 1,389人女性 1,920人

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000男 女(人)

    ▲ 1,000

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    6,000

    7,000男 女(人)

    ▲ 250

    0

    250

    500

    750

    1,000

    1,250

    1,500

    1,750男 女(人)

    ▲ 500

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500男 女(人)

  • 7

    高齢化

    生活の利便性の低下、地域の魅力の低下

    日本の人口動態の変化に伴う諸課題

    人口動態の変化に伴い、需要の減少や生産人口の減少、移動可能距離の低下といった諸課題が顕在化することで、

    地域のインフラ維持が困難となり、雇用が減少し、新規投資を呼び込めなくなり、自治体の税収の減少が想定される

    ― 結果として、生活の利便性の低下、地域の魅力の低下が更なる人口減少をもたらすおそれ

    日本の人口動態の変化に伴う諸課題

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    日本における人口動態の変化

    人口減少

    需要の減少(経済の縮小)

    地方部の人口分散

    デジタルデバイド 移動可能距離の低下生産人口の減少

    雇用減少

    追加的な支援体制の構築の必要性

    新規投資意欲低下

    自治体税収減少

    インフラ維持困難

    更なる人口減少

    支援体制構築は困難

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    解決策①人口動態の変化に伴う

    負のスパイラルを抑制

    負のスパイラル

    解決策②新しい技術トレンドを活用した生活サービス提供体制の

    再構築

    今次テーマ

  • 8

    (参考)2040年に向けた日本の都市の人口動態の変化例(政府推計値)

    (出所)都市構造可視化計画ウェブサイトより、みずほ銀行産業調査部作成

    高齢化・人口減少により、街そのものの維持が厳しくなるエリアが出現する可能性

    地方都市(例:花巻市)

    三大都市圏(例:東京23区)

    2015年

    2040年

    <凡例>

    政令指定都市(例:仙台市)

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    2040年に向けた日本の都市の人口動態の変化例

  • 9

    (参考)交通の衰退と地域の疲弊が連鎖して加速

    地方部では人口動態の変化と行政対応の限界もあり、交通の衰退と地域の疲弊が連鎖して加速している状況

    現状の延長線上でかかる状況の改善は見込めず、地域公共交通のあり方の議論が求められる状況

    負のスパイラル

    「交通難民」の増加

    出歩かない高齢者・不健康な住民の増加

    人を惹きつける魅力の無いまちに

    負のスパイラル

    医療・福祉コストの上昇、財政の悪化

    更に人口が流出・減少

    利用者の減少

    経営余力の喪失

    運賃・フリークエンシー(頻度)等の悪化サービスの低下

    交通機関(企業)への影響 まちへの影響

    (出所)各種資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    外部環境変化

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    地方部における交通の衰退と地域の疲弊の連鎖のイメージ

    人口減少 高齢化

  • 10

    温室効果ガス排出量削減目標に向けた大胆な取り組みの必要性

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    1,400

    1,600

    (出所)EDMC等各種資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    (百万t-CO2)

    (年度)

    長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)達成による

    2013年度対比26%削減

    大胆な取り組み

    2050年度の温室効果ガス排出可能量

    (2013年度比80%減とした場合)

    2050年までの温室効果ガス80%削減目標のイメージ

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    技術革新・イノベーション

    コスト低減

    新規ビジネスモデル構築

    日本は、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」 において、2050年までに温室効果ガス80%削減を掲げる

    ― 最終到達点としての「脱炭素社会」に向けて、①技術革新・イノベーション、②コスト低減、③新規ビジネスモデル構築、といった大胆な取り組みが不可欠である

  • 11

    再生可能エネルギーの目指すべき将来像

    各再エネ電源の課題はコストであることから、コスト低減を通じた自立化を目指す

    ― 各電源種毎に目指す方向性は「自家消費・地産地消」「市場売電・大型電源化」「地域との共生」に類型

    再生可能エネルギーの目指すべき将来像

    (出所)経済産業省資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    自家消費

    地産地消

    コスト低減

    小規模案件のメンテナンス確保・再投資

    FIT買取終了後設備の活用

    ̶ 2019年卒FIT家庭用太陽光 等

    将来発生するパネル廃棄への対策

    太陽光

    蓄電池を活用しつつ需要地近接で小規模の地産地消

    大型電源として活用

    コスト低減

    洋上風力の事業環境整備

    ̶ 海域占有長期化・利害調整円滑化

    環境アセスメントの迅速化

    系統制約の克服

    風力

    新規地点の開拓

    系統制約の克服

    コスト低下の道筋明確化

    地域密着で事業実施

    既存設備を活用した再投資(リプレース)等により緩やかにFITから自立化

    市場売電・

    大型電源

    地域産業等

    と合わせて

    多面的に推進

    現在の課題と解決の方向性 各再エネ電源の方向性

    大型電源として活用

    地熱

    バイオマス

    中小水力

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    コスト低減を通じた再エネの自立化

  • 12

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    2018年 2020年 2025年 2030年

    蓄電池の価格低減

    蓄電池価格はリチウムイオンバッテリーセル価格の低減に伴い低下

    ― バッテリーの主たる用途となっていく電気自動車(EV)を製造する完成車メーカーは、今後もバッテリーセル価格は

    低減していくと予測

    量産効果やバッテリー性能の向上、次世代電池の開発がなされることで、今後も蓄電池価格の低減が期待される

    (出所)各社公表資料、各種報道等より、みずほ銀行産業調査部作成

    ($/kWh)

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    (注)Tesla、Ford、GMの各社が公表したバッテリーセル価格の予測値を元に作成

    ・・・

    ・・・

    量産効果主たる用途であるEV向け需要の拡大による量産効果によりコストを低減

    バッテリー性能向上

    エネルギー密度の向上等により、容量対比でのコストを低減

    次世代電池開発

    全固体電池等の次世代電池の開発により、更なる技術革新と既存電池の弱点克服による電池システム全体でコストを低減

    蓄電池価格が低減する要因リチウムイオンバッテリーセルの価格推移(推定)

    (CY)

  • 13

    中長期的なストレージパリティの達成とオフグリッド化拡大の可能性

    太陽光発電(PV)及び蓄電池のコストが低下することで、将来、ストレージパリティを達成する可能性

    ― 電気料金水準の高い低圧から、順次ストレージパリティの達成を見込む

    ストレージパリティを通じたオフグリッド化の経済性向上により、分散化への動きが加速する可能性

    中長期的なストレージパリティの可能性

    (出所)経済産業省資料等より、みずほ銀行産業調査部作成

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    オフグリッド化(独立系統化)

    (出所)経済産業省資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    主要系統独立

    系統化

    常時接続せず

    一般送配電事業者(系統運用・小売供給)

    【イメージ】

    送配電線を撤去し、平時より独立運用

    一般送配電事業者が系統運用と小売供給を一体的に行う仕組み

    経済的合理性の判断供給コスト増と設備コスト減の比較

    安定供給面の評価電源由来 / 系統由来の停電リスクの比較

    概要

    課題

    2015年 2020年 2032年以降

    PV

    蓄電池

    投資回収済み

    PV

    蓄電池

    蓄電池

    PV

    蓄電池

    価格・コスト円/kWh

    低圧小売料金

    高圧小売料金

    卸売価格

    既設卒FIT家庭用PV+ 蓄電池設置の

    ストレージパリティ

    新規家庭用PV+ 蓄電池設置の

    ストレージパリティ(低圧)

    既設卒FIT事業用PV蓄電池追加設置の

    安定電源化新規PV

    + 蓄電池設置のストレージパリティ

    (高圧)

    投資回収済み

    (注)ストレージパリティとは、太陽光発電のコストに加え、蓄電システムのコストを加えた値と電気料金が同水準に至る状態

  • 14

    電気自動車の普及可能性

    日本の燃費規制(2030年度時点)環境規制の強化と主要メーカーの電動車投入計画

    環境規制が強化される中、完成車メーカー各社は電気自動車(EV)をはじめとする電動車の投入を推進

    ― 日本においては、2030年度に2016年度対比32%の燃費改善を求める規制を導入し、EV及びプラグインハイブ

    リッド(PHEV)の普及率が20~30%となる想定

    EV需要拡大にあたっては、生産規模拡大と技術進化による、車両コストの低減と利便性の向上が寄与

    燃費規制 排ガス規制EV生産・販売

    義務化

    2030年に100万台以上のEV・FCVの年間新車販売を計画

    トヨタ

    2023年までに国内で2車種、グローバルで8車種を超えるEVを投入する計画

    日産

    2030年に新車販売の15%をEVとFCVにする計画ホンダ

    ガソリン車販売禁止方針

    政府の規制・方針がEVをはじめとする

    環境対応車両の進展を後押し

    (2030年度目標)

    25.4km/L(2016年度実績)

    19.2km/L32%改善

    (注)各メーカーは各々の経営戦略や技術戦略に応じて燃費基準を達成すれば良く、各パワートレインで個別の普及目標達成を要求されるものではない

    EV需要拡大の方向性

    (出所) 経済産業省「総合資源エネルギー調査会」資料、各国・地域規制当局資料等より、みずほ銀行産業調査部作成(出所) 各社公表資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    利便性向上

    充電時間短縮

    航続距離伸長

    充電網拡充

    生産規模の拡大 技術の進化

    コスト低減

    車両価格低減

    電費改善

    残価改善

    政府が想定するEV・PHEV比率(2030年):20~30%

    燃費目標

  • 15

    自動運転車の導入可能性

    日本における自動運転移動サービスの導入ロードマップ自動運転車両投入を巡る開発競争

    完全自動運転EV「e-Palette」の2023年の市場投入を計画

    トヨタ

    無人配車サービス事業に2020年代早期に参入する方針

    日産

    自動運転車両を2025年迄に投入する計画

    – 2020年に量産用自動運転シャトルを発表

    GM

    ホンダ

    ドライバーレスを可能にする自動運転車両の開発は、完成車メーカーだけでなく他業種も含めて、競争が活発化

    ― 多くの企業が今後5年の間に限定地域で走行可能な無人自動運転車両を投入する計画

    日本でも、2020年に限定地域での自動運転移動サービスが実現、2025年に全国規模でサービス化を展望

    — 24時間稼働可能でドライバーレスの自動運転サービスは、地域の移動を支える存在に

    限定地域での無人自動運転移動サービス(Lv4)

    高速道路でのハンズ・アイズオフ自動運転(Lv2以上)

    全国各地での無人自動運転移動サービス実現(Lv4)

    自動運転タクシーサービスを2018年に開始

    – 2019年には完全無人車両を投入Waymo

    自動運転の商業化を2020年代半ばを目途に大規模に開始

    Volks

    wagen

    完成車メーカーやIT大手企業の自動運転開発競争が活発化今後5年の間に各社は自動運転車両を投入予定

    トヨタとの共同開発の自動運転車両を2021年に投入予定

    Uber

    オンデマンド化24時間稼働

    ドライバーレス(人件費不要)

    (出所)「官民 ITS 構想・ロードマップ 2019」等より、みずほ銀行産業調査部作成(出所)各社公表資料、報道より、みずほ銀行産業調査部作成

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    移動サービスの収益性改善

    (車両価格低減が前提)

    車の所有から利用へのシフト

    (所有コスト不要)

    完成車メーカーの売り切りモデル

    からの脱却

    <無人自動運転移動サービスの導入効果>

    2020年迄

    2025年目途

    2025年代迄

  • 16

    オフグリッドにも必要に応じて電力供給

    将来におけるエネルギー×モビリティのイメージ

    2040年におけるエネルギー×モビリティのイメージ

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    自動運転電気自動車(EV)が電力を充電する、蓄電する、放電することで、無人で「ヒト・モノ・電力を移動させる」存在

    になると共に、電力の過不足等に合わせて需給調整を図るエネルギーマネジメント(エネルギーIoT)の役割を担う

    火力発電

    風力発電

    原子力発電

    太陽光発電

    ショッピングセンター

    充放電器

    充放電器

    充放電器

    太陽光発電

    家ビル 充放電器 小売店

    送配電網

    工場

    ビル

    充放電器

    充放電器

    太陽光発電

    都市内マイクログリッド自動運転EV自動運転EV

    オフピーク時:充電( = 買電)

    ピーク時・災害時:放電( = 売電)

    自動運転EV

    充電・放電による電力需給調整自動運転EVによるヒト・モノ移動

    再エネ電力の

    地産地消

    etc.

    大規模電源エリア

    オフグリッドエリア

    太陽光発電 充放電器

  • 17

    電気自動車(EV)を活用した仮想発電所(バーチャルパワープラント:VPP)

    (出所)日産自動車ホームページより、みずほ銀行産業調査部作成

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    バーチャルパワープラント

    (仮想発電所:VPP)

    太陽光発電等の再生可能エネルギーによる発電機能、定置用蓄電池を活用した蓄電機能が、工

    場、ビル、住宅等に設置されることで、分散型エネルギーリソースが普及する中で、個々の小規模な

    分散型エネルギーリソースを、IoTを活用した高度なエネルギーマネジメント技術によって束ね(アグ

    リゲーション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整を行い、あたかも一つの発電所

    のように機能させるもの

    電気自動車(EV)は、再生可能エネルギーによる発電の出力が大きく、余剰が見込まれる場合に車

    両に充電し、反対に電力の不足が見込まれる場合に車両への充電を停止して住宅などへ電力を供

    給する役割を担う

    EVの活用

    充放電 EVアグリゲーター

    充放電監視 リソース

    アグリゲーター

    ±MWh提供

    報酬

    再エネ事業者

    送配電事業者

    小売電気事業者

    サービス提供

    サービス対価

    誘導制御

    < EVを活用したVPP >

    EV(電気を蓄える、運ぶ機能)活用の効果発電: 再エネ発電の最大化送配電: 系統インフラ維持コストの低減、電力調整力の調達小売: 電力調達コストの低減

  • 18

    2040年における都市の区分とエネルギー及びモビリティの姿(イメージ)

    2040年における各都市の区分は、①大都市、②都市部、③郊外、④地方部、と想定

    ― エネルギー及びモビリティは都市区分に応じて在り様が大きく異なると見込む

    ― 本レポートでは、人口減少等でエネルギー及びモビリティの在り様が大きく変化する「③郊外・④地方部」に焦点

    ①採り上げる産業 / テーマの現状・課題ローカルプラットフォーマー

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    2040年における都市の区分とエネルギー及びモビリティの姿(イメージ)

    大都市(三大都市)

    都市部(政令指定都市・地方中核都市)

    郊外 地方部(含む過疎部)

    前提

    人口密度

    将来変化

    都市化・人口集中

    高~中 中~低

    少子高齢化、人口維持

    人口減少・高齢化深刻化

    エネルギー

    電気

    ガス

    ガソリン

    電源:大規模電源由来をベースに一部で都市内マイクログリッド

    都市ガス:減少(電化で再エネ由来電力に転換)

    ガソリン:減少(自動車でエンジンから電気に転換)

    電源:地産地消

    都市ガス・LPG:減少(再エネ由来電力に転換)

    ガソリン:減少(ガソリンスタンド減少)

    電源:地産地消・オフグリッド

    LPG:供給不能(供給体制維持不能で電化)

    ガソリン:供給不能(ガソリンスタンド消滅)

    モビリティ

    主な移動手段

    自家用車社用車

    バス・タクシー・シェアカー

    鉄道・徒歩(自動車は非保有)

    電気自動車(含む超小型)(買い物・宅配等の短距離)

    バス:自動運転電気自動車タクシー・シェアカー:電気自動車

    鉄道(都市間移動)・自動車(都市・郊外内・間移動)(郊外:自動車は1家1~2台保有)

    電気自動車(買い物・送迎等の短距離)プラグインハイブリッド車(通勤等の中長距離)

    バス:自動運転電気自動車(ハブ:道の駅・ショッピングセンター)シェアカー:電気自動車

    自動車(1家非保有~1台保有)バス・シェアカー

    電気自動車(含む超小型)(高齢者の近距離)

    バス・シェアカー:自動運転電気自動車(オンデマンド)

    +ピーク時大規模電源由来

  • 19

    人口動態の変化が事業環境に与える影響

  • 20

    9795

    9295

    91 90 90 90 88 88 89 89 89 89 89 89 88 88 88 88 88 88

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    200

    7

    2008

    2009

    2010

    2011

    201

    2

    201

    3

    201

    4

    201

    5

    201

    6

    201

    7

    201

    8

    201

    9

    202

    0

    202

    1

    202

    2

    202

    3

    202

    4

    202

    5

    202

    6

    202

    7

    202

    8

    北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄

    市場の縮小① ~人口減少に伴う電力需要および小売需要の減少可能性~

    電力需要は、経済成長が見込まれる一方で、人口減少や省エネの進展等を受けて、2028年度にかけて全国ベース

    では横ばいから微減となる見通し

    小売市場は、当面は人口減少を高齢世帯と単身世帯の増加が下支えするものの、総世帯数の減少の影響が大きく

    出始めることで、2040年には市場規模が100兆円を割り込む見通し

    今後の電力需要想定(送電端)

    (出所)電力広域的運営推進機関「2019年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について」より、みずほ銀行産業調査部作成

    (百億kWh)

    実績 想定

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

    (注1)2017年の財支出×各年の世帯数により算出した数値をもとに、平均世帯人員の減少影響を補正して算出

    (注2)本シナリオは経済成長や物価変動を考慮していないため、推計値は「消費の基礎部分」としての位置づけ。経済成長が持続すれば市場規模の押し上げ要因となる一方、可処分所得・消費性向の低下は下振れ要因となる

    (出所)経済産業省「商業動態統計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」、総務省「家計調査」等より、みずほ銀行産業調査部作成

    90

    95

    100

    105

    110

    115

    2015 2016 2017 2018 2040e

    (兆円) 2040年には100兆円を割り込む

    小売市場の将来推計

    (CY)

    (FY)

  • 21

    81 101144 173

    398432

    448459

    274261

    257246

    651 619586 570

    278 269 247 234

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    90%

    100%

    2015年 2025年 2035年 2040年

    ▲33▲32

    ▲4▲7

    ▲9 ▲8

    +16+34

    +43+202000人未満

    2000人~1万人未満

    1万~2万人未満

    1万~10万人未満

    10万人以上

    ▲16

    ▲11

    ▲13

    +11

    +29

    (参考)小売・サービス業の物理的立地が困難となるエリアは増加

    人口が減少することで、商圏を広く取って大きな需要人口を必要とする百貨店・総合スーパー、食品スーパーといった

    業態は存立自体が困難に

    小さな需要人口を前提とする業態でも、競合や店舗効率の悪化が生じる可能性

    映画館・美術館・劇場

    百貨店・総合SM・ショッピングセンター

    各種商品小売

    食品スーパー

    医薬品化粧品小売・衣料品身の回り品小売

    コンビニエンスストア、燃料小売業

    (出所)国立社会保障・人口問題研究所資料、国土交通省「国土のグランドデザイン2050」より、みずほ銀行産業調査部作成

    人口別に見る自治体数の推移(2015年以降)需要人口を勘案して存続確率が50~80%となる対家計サービス

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

  • 22

    (参考)財物別エリア別個人消費への影響(2015年→2040年の変化率)

    個人消費の減少幅は、財及び地域によって異なる

    ― 食料の減少幅は、関東で▲1.5%、北海道・東北及び四国では約▲16%、その他地域では約▲10%の見込み

    ― 被服の減少幅は、関東で▲3.9%、北海道・東北及び四国では約▲18%、その他地域では約▲10%の見込み

    人手不足によるコスト上昇も勘案すると、店舗の存続が困難となる地域が多数生じる可能性

    (出所)両図ともに、国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」、経済産業省「商業動態統計」、総務省「家計調査」より、みずほ銀行産業調査部作成

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

    個人消費(食料)への影響

    ▲ 20.0

    ▲ 18.0

    ▲ 16.0

    ▲ 14.0

    ▲ 12.0

    ▲ 10.0

    ▲ 8.0

    ▲ 6.0

    ▲ 4.0

    ▲ 2.0

    0.0

    ▲1.5%

    ▲7.0%

    ▲9.5%▲10.3%

    ▲16.1% ▲15.9%

    ▲8.4%

    個人消費(被服及び履物)への影響

    ▲ 20.0

    ▲ 18.0

    ▲ 16.0

    ▲ 14.0

    ▲ 12.0

    ▲ 10.0

    ▲ 8.0

    ▲ 6.0

    ▲ 4.0

    ▲ 2.0

    0.0

    ▲3.9%

    ▲9.1%

    ▲11.4%▲11.0%

    ▲18.9%▲17.5%

    ▲10.2%

    (%) (%)

  • 23

    837

    19,912

    14,149

    9,479

    2781,713

    ▲ 560

    3,547

    6,213

    1,293

    ▲ 123

    282

    ▲ 70%

    0%

    70%

    140%

    210%

    280%

    350%

    ▲ 5,000

    0

    5,000

    10,000

    15,000

    20,000

    25,000

    営業収益 営業損益

    営業利益率(右軸)

    459

    333287

    167

    83

    39

    64

    ▲ 87▲ 12 ▲ 3

    17

    ▲ 30%

    ▲ 15%

    0%

    15%

    30%

    45%

    60%

    75%

    ▲ 200

    ▲ 100

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    営業収益 営業損益

    営業利益率(右軸)

    市場の縮小② ~人口減少に伴う地方部の公共交通需要の減少可能性~

    地域別に鉄道事業をみると、大手民鉄が事業を展開する三大都市圏等の鉄道事業は黒字で収益性も高い

    その他地域では札幌市営地下鉄を有する北海道は相応の収益を計上しているが、全体としては厳しい収支

    JR旅客6社の業績は、東京・大阪の大都市圏内を抱えるJR東日本・JR西日本や、東海道新幹線を抱えるJR東海が

    高収益を計上する一方で、北海道・四国・九州のいわゆる「三島会社」の鉄道事業収支は厳しい

    地域別鉄道収支(FY2017)

    (出所)国土交通省「鉄道統計年報」より、みずほ銀行産業調査部作成

    JR旅客会社三大都市圏+九州 その他地域

    (億円) (億円) (億円)

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

    16,065

    2,096

    7,196

    643

    3,126

    308

    1,419

    430%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    0

    3,000

    6,000

    9,000

    12,000

    15,000

    18,000

    営業収益 営業損益

    営業利益率(右軸)

  • 24

    利用者の変化 ~高齢者の課題(移動とITリテラシー)~

    高齢化に伴い、来店客の移動可能な距離が短くなり、来店頻度が低下することで、不採算店舗が増加する可能性

    高齢者のIT利用率は上昇傾向であるものの、地方部はスマホ利用率が低く、IT等を通じた高齢者支援も容易でない

    (出所)国土交通省「全国都市交通特性調査」より、みずほ銀行産業調査部作成

    年齢別の歩行距離と標準的業態年齢別、地域別インターネット及びスマホ利用状況

    年代

    インターネット利用

    スマホ利用

    20

    代98.7% 88.7%

    30

    代97.9% 87.5%

    40

    代96.7% 82.9%

    50

    代93.0% 72.6%

    60

    代76.6% 46.4%

    70

    代51.0% 19.7%

    80

    代以上

    21.5% 4.6%

    地域インター

    ネット利用スマホ利用

    全体 79.8% 59.5%

    北海道 76.1% 54.4%

    東北 72.4% 51.5%

    北関東 78.2% 58.6%

    南関東 85.4% 66.1%

    北陸 75.5% 53.2%

    甲信越 72.9% 51.9%

    東海 79.7% 59.5%

    近畿 82.7% 61.7%

    中国 76.2% 54.0%

    四国 72.9% 52.4%

    九州沖縄

    74.5% 54.6%

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

    2%

    5%

    21%

    3%

    5%

    10%

    10%

    10%

    16%

    24%

    21%

    22%

    12%

    12%

    10%

    50%

    48%

    20%

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    18~64歳

    65~74歳

    75歳~

    地方

    都市

    100mまで 300mまで 500mまで 1kmまで 1.5kmまで 1.5km以上

    コンビニ ドラッグストア食品

    スーパーGMS / 百貨店

    ホームセンター等

    75歳~

    65歳~74歳

    90~95% 80~90% 59~80% 50~70%

    70~80% 55~70% 30~55% 20~30%

    75歳以上の約半数が食品スーパーまでの移動も困難に(出所)総務省「通信利用動向調査(平成30年)」より、みずほ銀行

    産業調査部作成

  • 25

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    1,000

    1,050

    1,100

    1,150

    1,200

    1,250

    1,300

    1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5

    2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

    (%)(円) 平均時給額(全国) 対前年増加率(右軸)

    69.2%

    61.0%

    37.3%

    18.9%

    15.5%

    7.4%

    0% 20% 40% 60% 80%

    後継者がいないため

    得意先の高齢化・減少のため

    収入の確保が難しくなったため

    電力との競合による経営の悪化のため

    同業者との競合による経営悪化のため

    液石法の登録要件が継続できなくなるため

    人手の不足 ~LPGやSS事業者は人材不足に伴い事業の担い手確保が困難に~

    LPG小売事業者・ガソリンスタンド(Service Station:SS)事業者の廃業は、後継者不足や従業員不足が大きな要因

    一方、パートタイム労働者(アルバイト、契約社員含む)の時給は上昇傾向にあり、事業の担い手確保が益々困難に

    (出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査」より、みずほ銀行産業調査部作成

    人手不足によるLPG・SS事業者の廃業 パートタイム労働者の平均時給および対前年増加率の推移

    【LPG小売事業者の廃業理由(2018年)(注1) (注2) 】

    【SS事業者の廃業理由(2016年)】

    供給サイドの要因:約6割

    需要サイドの要因:約4割

    (注1)複数回答含む (注2)10,000社に対するアンケート(回収率40.4%)(出所)エルピーガス振興センター資料、全国石油協会資料より、みずほ銀行

    産業調査部作成

    24%

    20%

    11%4%4%

    2%

    3%

    15%

    17%

    施設老朽化

    後継者不在

    地下タンク規制強化への対応

    運転資金

    従業員確保が困難

    その他(供給サイド)

    その他(需要サイド)

    粗利益減少

    燃料油販売の減少

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

  • 26

    地域エコシステム再構築の必要性

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    現状のイメージ

    現状は各社・各業種が地域において生活インフラを提供

    ― 2040年にむけて、人口減少等により経済規模が縮小することで、生活インフラの提供が困難となるおそれ

    地域エコシステムの再構築によるコスト削減を通じ、持続可能な生活インフラ供給を目指す

    ②産業構造の変化ローカルプラットフォーマー

    2040年時点のイメージ

    生活インフラA(事業者A)

    生活インフラB(事業者B)

    生活インフラC(事業者C)

    地域経済

    生活インフラA(事業者A)

    生活インフラB(事業者B)

    生活インフラC(事業者C)

    生活インフラA+B+C(事業者X)

    供 給 コ ス ト

    事業者の利潤

    人口減少・高齢化等による経済規模の縮小

    地域経済

    地域エコシステム再構築(事業のバンドルによるコスト削減)

    地域経済

    経済規模の縮小に伴い、生活インフラの維持が困難となるおそれ

    持続可能な地域エコシステムを再構築

    供給コスト

    事業者の利潤次世代技術トレンドを活用したコスト低減

    (再エネ普及・分散化、自動運転等)

    供 給 コ ス ト

  • 27

    中長期的な地域エコシステム

  • 28

    地方部における地域エコシステム(弊行仮説)

    地方部では高齢化・人口減少によりインフラの維持が困難となるため、異業種が連携し、生活インフラを提供

    ― 地域のニーズを熟知するローカルオペレーター(地元密着型事業者)とローカルプラットフォーマーが地域を支える

    ― エネルギーでは「オール電化」と「オフグリッド化」、モビリティでは「自動運転オンデマンドEVバス」を活用

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    地方部における地域エコシステム(弊行仮説)

    オール電化×オフグリット化

    少子高齢化・人口減少により、生活インフラが維持困難に。地元事業者がマルチタスク・密着型で生活サービス提供

    高齢化で移動困難者が増加し、自動運転オンデマンドEVバス・ロボットタクシー、超小型EVが近距離移動の中心に

    電力:系統接続しないオフグリッドの地産地消エネルギーモデル

    LPG:人口減少で供給体制維持が困難でオール電化が選択肢

    ガソリン:人口減・ガソリン車減で、ガソリンスタンド(SS)の燃料

    油事業維持が困難で電力事業等へのシフトが選択肢に

    周辺サービス

    小売

    宿泊

    医療福祉

    金融

    観光

    ×

    ③プレイヤーローカルプラットフォーマー

    地域資源活用型発電所

    充放電機器ラストワンマイルサービス

    ローカルオペレーターマルチタスク・地域密着で生活サービス提供

    宅配等サービス

    自動運転EVバス

    ラストワンマイルサービス

    ローカルオペレーター

    自動運転EVバス

    充放電機器

    車両整備

    小売

    ローカルプラットフォーマー

    プラットフォーム

    プラットフォーム

    自治体×

    エネルギーシステム

    再エネ発電機器 充放電機器 エネルギーマネジメント

    システム

    モビリティシステム

    自動運転EV車両 メンテサービス オンデマンドシステム

    都市構造

    モビリティ構造

    エネルギー構造

  • 29

    ローカルプラットフォーマー・ローカルオペレーターの事業モデル(弊行仮説)

    ローカルオペレーター(地元密着型事業者)は、多種多様なサービスを物理的に地域に提供する「マルチタスク型サー

    ビサー」としてエネルギー×モビリティ×物販・サービスで地域を支える

    ローカルプラットフォーマーは、ローカルオペレーターにオペレーションシステム等を提供する裏方的存在

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    ローカルプラットフォーマー・ローカルオペレーターの事業モデル(弊行仮説)

    ③プレイヤーローカルプラットフォーマー

    ローカルオペレーター

    再エネ発電EV給電

    自動運転EVオンデマンドバス 自動運転EVの

    メンテナンス自動倉庫 娯楽

    自動運転EV物流トラック

    自動運転ドローン

    小売

    ローカルプラットフォーマー

    自動運転EVオンデマンドバス・ドローンのアセット保有、車両リース、オペレーションシステム提供

    再エネ発電機器・EV充放電器のアセット保有、機器リース、エネルギーマネジメントシステム提供

    自動運転EVのメンテナンス機能、物流拠点・宅配オペレーションシステム提供

    フィットネスクラブや外食・娯楽、小売等のオペレーションシステム提供 etc.

    外食

  • 30

    地域エコシステムにおけるプレーヤーごとの役割

    地域エコシステムにおいて、ローカルオペレーターとローカルプラットフォーマーは、役割が異なると想定

    ― ローカルオペレーターは、地域のニーズを熟知し、ラストワンマイルを担う地域密着型事業者

    ― ローカルプラットフォーマーは、地域のニーズを集約し、生活インフラの効率化に資するプラットフォームを提供

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    地域エコシステムにおけるプレーヤーごとの役割

    ③プレイヤーローカルプラットフォーマー

    ローカルオペレーター ローカルプラットフォーマー

    担い手

    地域との関係

    プラットフォームの利用側か提供側か

    プラットフォームを通じて享受する便益

    ラストワンマイルを担う地域密着型事業者(SS、地元スーパー、公共交通等)

    地元住民と定期的な接点があり、地域のニーズを熟知

    ローカルプラットフォーマーから提供されるプラットフォームを利用

    複数サービスを顧客に提供することで、生活インフラの維持コストを低減

    広域で事業展開する企業(電力会社、石油元売、全国チェーンスーパー、

    完成車メーカー等)

    ローカルオペレーターから地域のニーズを吸い上げ、集約

    生活インフラの効率化に資するプラットフォームを提供

    ローカルオペレーターからプラットフォーム利用の対価を徴収

  • 31

    地域エコシステムにおける各事業者のポジショニングの方向性

    地域エコシステムにおける各事業者のポジショニングの方向性

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    ③プレイヤー

    2040年に向け、地域特性を踏まえた地域にとって最適なエコシステムの再構築が重要に

    ― 地域特性を踏まえつつ、各事業者はコアコンピタンスを活かしたポジショニング・異業種連携が重要に

    ローカルプラットフォーマー

    石油元売 EV化の進展ローカル

    プラットフォーマー

    電力会社 電化の進展ローカル

    プラットフォーマー

    公共交通事業者(公営バス)生産人口減少

    自動運転の実現ローカル

    オペレーター

    完成車メーカーEV化の進展

    移動困難者の増加・自動運転の実現ローカル

    プラットフォーマー

    生活必需品小売事業者商圏における移動困難者の増加生産人口減少・高齢化の進展

    ローカルオペレーター

    大型商業施設 交流人口の減少ローカル

    プラットフォーマー

    専門小売事業者交流人口の減少

    生産人口減少・高齢化の進展ローカル

    オペレーターローカル

    プラットフォーマー

    LP事業者電化の進展

    商圏における移動困難者の増加ローカル

    オペレーター

    SS事業者EV化の進展

    商圏における移動困難者の増加ローカル

    オペレーター

    事業者 2040年に向けた事業環境の変化 ポジショニングの方向性

    異業種連携も選択肢に

  • 32

    (参考)都市部のエコシステム(弊行仮説)

    都心では都市化が進み、鉄道・タクシー・バス等、様々な都市交通手段の最適化が図られる

    ― 商業・オフィスエリアでは一部でEVのロボットタクシーやオンデマンドバス、超小型EVを用いた営業車がみられる

    ― 住宅エリアではEV保有世帯が増加、近隣駐車場では超小型EVのカーシェアを買物に利用

    SSは将来的にEVシェア拠点 + 急速充電 + ガソリン給油の機能を持つ可能性

    ― ガソリン車、HEV、EVが並存し、ガソリン需要はある程度、残存する想定

    都心部のエコシステム(弊行仮説)

    ③プレイヤーローカルプラットフォーマー

    住宅エリア 商業・オフィスエリア大規模電源と接続

    EV

    SS超小型EVシェア

    + 急速充電

    + ガソリン給油

    SS 超小型EVシェア

    + 急速充電

    + ガソリン給油

    超小型EVP

    超小型EVP

    エネルギー

    モビリティ

    都市構造

    都市化・人口集中が止まらず、密度が上昇

    特に昼間は中心部へ人が集中し、交通渋滞が課題に

    都市部の大宗は、既存系統と引き続き、接続

    鉄道が移動手段の中心も、バス・タクシー等、様々な交通手段の組合せにより、都市交通が最適化

    商業・オフィスエリアはEVが中心、ロ

    ボットタクシーやオンデマンドバス、超小型EV営業車が走行

    住宅エリアでもEV保有世帯が増加、近隣駐車場では超小型EVのカーシェアを買物に利用

    電力:電力需要が高く、引き続き大規模電源が主力であるものの、一部では都市内マイクログリッドも活用

    都市ガス:脱炭素化の進展により、ガスから再エネ由来電力への転換が進展する可能性

    石油:ガソリン車の割合は減少も、引き続き一定のガソリン需要が存在

    周辺サービス

    検索

    予約

    決済

    小売

    宿泊

    医療福祉

    金融

    観光様々な個別交通モード

    プラットフォーム(含む都市交通の最適化)

    都市内

    マイクロ

    グリッド

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

  • 33

    地域エコシステムの担い手の現状のベンチマーク事例

  • 34

    柏の葉

    地域エコシステムにおける階層構造

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    スギ

    ホールディングス日産

    チョイソコ

    山万

    特約店事例

    (配置販売)

    コミュニティソーラー

    特約店事例

    (集約)

    (交通

    オペレーター)

    第1層

    第2層

    エネルギー エネルギー+モビリティ

    モビリティモビリティ+サービス

    サービス

    最終消費者

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    現状のイメージ(ベンチマーク事例マッピング)

    MONET自動検針日立ディズニー

    共通のデジタル基盤の上に、少数のローカルプラットフォーマーの機能が実装され、複数のローカルオペレーターは

    最終消費者に対してローカルプラットフォーマーの機能を活用し必要な生活サービスを提供

    現状は各社・各業種が地域におけるプラットフォーマーを目指し、各々の領域で競合

    ― 2040年には、地域エコシステムが現状の2層構造から3層構造になるものと推察

    第2層

    第3層

    デジタル基盤提供者

    第1層

    ローカルプラットフォーマー_aローカルプラットフォーマー_b

    ローカルオペレーター_1

    ローカルオペレーター_2

    ローカルオペレーター_N

    ・・・

    最終消費者

    2040年時点のイメージ

    エネルギー+モビリティ+ サービス

    エネルギー+モビリティ+ サービス

    エネルギー+モビリティ+ サービス

    地域エコシステム

  • 35

    IoT/Connected

    (参考)デジタル基盤を活用した分野横断での全体最適化

    異分野のデータの重ね合わせ、掛け合わせが可能となることで、既存のサービスの拡充や、新規サービスの誕生、事業者間での連携等を通じた全体最適化が可能に

    都市OSは、フィジカル世界で起きていることをデジタル化し、モビリティやエネルギーといった社会課題を解決するサービスと結びつけるデータ連携基盤

    都市OSを核としたデータ連携データ連携による分野横断的全体最適化(イメージ)

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    ローカルプラットフォーマー

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    データ取得

    データ利用

    データ蓄積統合分析

    モビリティ 物販・サービス

    データ連携によるエネルギー×モビリティ×物販・サービスの

    分野横断的な全体最適化

    連携

    データ連携による全体最適化

    エネルギー

    データ データ データ データ

    IoTプラットフォーム

    連携

    連携

    ④ベンチマーク

    データ連携基盤(都市OS(Operating System))

    地図データ

    決済モビリティ(MaaS)

    エネルギーマネジメント

    ユーザー(住民・来街者・企業・行政etc)

    物販・サービス

    決済データ

    人・物流データ

    行政データ

    気象データ

    街(ハードインフラ・地形・人物流・気象etc)

    標準API(Application Programming Interface)

    標準API

  • 36

    【現状/第1層】石油販売業界:効率化事例

    地域のSS維持のための経営統合(福井県大野市の例)

    SS SS

    強みを活かして統合統合により6SSから4SSに

    (株)大油屋商店

    指定整備工場を持ち車検に強い

    燃料油の配送やタイヤ販売に強い

    酒井商事(株)

    SS

    灯油配置販売方式(大分県杵築市の例)

    (出所)資源エネルギー庁資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    大分県 杵築市

    無償レンタル

    90㍑ホームタンク

    一部負担

    SS

    補助

    当該事業者小関石油

    灯油「配置販売」方式の仕組み①

    灯油「配置販売」方式の仕組み②SS

    SS

    大分石油販売店をバックアップ• 初期在庫(90㍑分)• 配送サポート

    小関石油

    給油(40㍑)

    給油(18㍑)

    給油(20㍑)

    • コースを決めて巡回• 使用量に応じて月1~3回配送• 使用量分を給油して請求

    (富山の置き薬方式)

    住民の灯油購入支援

    「見守りパトロール」の役割

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    福井県大野市では、地方部のインフラ維持のため、拠点集約化を実施

    ― 共倒れシナリオではなく、集約・移転シナリオに向けたビジネスモデルの大胆な見直しがカギに

    大分県杵築市では、灯油の配置販売方式を導入し、配送を効率化

  • 37

    【現状/第1-2層】チョイソコ:モビリティを通じた地域エコシステム

    愛知県豊明市では、民間事業者が自治体と連携し、高齢者向けモビリティサービスであるチョイソコ事業を実施

    ― チョイソコは、地方の交通不便を解消し、主に高齢者の外出促進に貢献

    利用者 コールセンター

    乗り合い最適ルート設定

    目的地

    (出所)アイシン精機HP、豊明市資料、各種報道より、みずほ銀行産業調査部作成

    利用対象者:65歳以上または障がい者手帳保有者

    運行時間:平日9:00-16:00

    運賃:200円 / 回 (コミュニティバスは100円)

    スマホに不慣れな方には電話予約も実施(アプリ予約も可能)

    地元タクシー会社がドライバーを提供

    提供するもの メリット

    チョイソコ運営

    事業者(アイシン

    精機)

    市区町村

    目的地事業者

    交通事業者

    乗り合い最適ルート設定システム

    コールセンター業務

    補助金高齢者への周知

    賛助金バス停スペース

    バスのドライバー

    MaaS時代でのビジネスモデル模索

    コミュニティバス赤字削減高齢者の外出促進→要介護者減

    高齢者の来店促進地元への貢献

    低稼働な平日昼間の収益化

    カラオケ大会、健康マージャン、陶芸教室

    高齢者向けプログラム(健康体操、健康チェック等)

    自治体・参加企業が高齢者向けイベント・企画・販売促進

    各事業者の役割・メリットチョイソコ事業概要(豊明市)

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    チョイソコ

    高齢者の外出促進に貢献

  • 38

    【現状/第1-2層】山万 ユーカリが丘:デベロッパーが街を運営

    千葉県佐倉市のユーカリが丘は、デベロッパーである山万が約50年前から開発を手掛ける総面積245haの街

    デベロッパーが街の開発だけでなく、運営に深く関与している点が特徴

    ― 鉄道を直接運営しているほか、リフォーム、ホテル、商業施設、保育園、介護福祉施設、警備などの機能も提供

    また、住宅を大量に建設し一気に分譲するのではなく、年200~300戸の供給に抑えているためまだ用途が決まって

    いない土地が多く、地元のニーズに応じ、保育園や公園を増やす事が可能

    ― 100人以上の社員を常駐させ、住民の声を直接聞いた上で、施設やサービスを整備

    「山万 ユーカリが丘」概要

    (出所)当社HP、各種公開情報より、みずほ銀行産業調査部作成

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    • 分譲開始以降、住宅供給量をコントロール

    • 世代が偏らないように人口バランスを維持

    • ショッピングモールを誘致• 再開発を計画• 保育園や高齢者施設を開設

    ・ ・ ・• 新交通システム「こあら号」を運用• タウン内に6つの駅を設置

    • コミュニティバスを運用• 住宅内や近隣ショッピングセンターへの「お買い物バス」として利用可能

    • 「ハッピーサイクルシステム」の下、ライフサイクルに応じた住まいの提供と共に街の若返りを図る

    • 循環型地域社会を目指す

    • 100人以上の社員を常駐

  • 39

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    セルフケアのプラットフォーマーを目指すビジネスモデルのイメージ

    (出所)スギホールディングスウェブサイトより、みずほ銀行産業調査部作成

    食事管理の必要な人に、冷凍療養食の提案

    自治体と地域活性化包括連携協定→送迎サービスのPoCで医療機関や

    SMなどをつなぐ

    運動管理

    食事管理

    食事支援

    小売店舗

    Offline Online

    食生活指導や運動による予防医療プログラムなど、アプリと店舗を組み合わせたサービスを今後提供予定

    ミールデリバリー各種改善プログラム

    ライフログアプリ

    App

    • 販促やサービス提案へ活用

    アプリで生活データを収集

    店頭での購買データを取得

    • 【プレミアム会員】月額550円→医師・薬剤師・管理栄養士への

    相談や冷凍療養食が1割引に

    顧客理解 / データ×店舗

    健康サポートサービス会員モデル

    ×

    顧客理解の仕組みをベースに地域にコミットするサービス事業へ

    2019年1月に「スギサポアプリ」をリリースし、新しいビジネスモデル構築を志向

    ドラッグストア店舗を核として、予防・健康増進・介護・看護までトータルサポートすることを目指し、ベンチャー企業や、

    地元企業、地元自治体と提携

    【現状/第1-2層】スギホールディングス:セルフケアのプラットフォームを目指す

  • 40

    【現状/第2層】コミュニティーソーラー

    米国では、地域の太陽光発電所を住民がシェアするコミュニティソーラーの導入量が増加傾向

    ― 一部の州では、コミュニティーソーラーに対する支援策を実施

    コミュニティソーラーにより、自身の土地・家屋に太陽光発電設備を設置できない需要家も太陽光発電設置に関与す

    ることが可能に

    コミュニティソーラーのスキーム(例)

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    米国におけるコミュニティーソーラー導入状況

    (出所)NREL資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    (MW)

    第三者デベロッパー保有

    電力会社

    長期電力販売契約(20年)

    希望する容量に応じた毎月固定支払

    発電量に応じたクレジット

    電力料金 - 発電量に応じたクレジット需要家

    同一の行政区分もしくは

    隣接する行政区画

    (CY)

  • 41

    【現状/第2層】自動検針:アナログメーターからスマートメーターへのシフト

    日本の電力会社は、人手をかけて検針をしてきたアナログのメーターから、自動計測と各種操作の遠隔対応が可能

    なスマートメーターへの置き換えを2014年度以降実施

    電力スマートメーターの通信システムを活用し、月次の検針が必要なガス、水道の検針自動化への取り組みが一部

    地域で開始

    遠隔による計量値の把握 電力スマートメーターを活用したガス、水道の検針自動化

    検針

    容量変更・開閉

    データ取得

    遠隔操作

    電力会社

    導入後従来

    遠隔での検針や容量変更、

    電気の入り切りが可能に

    スマートメーター

    スマートメーター

    検針員

    施工員

    水道 ガス 電気

    集中監視システム 集中監視システム 集中監視システム

    共同検針や業務効率化の検討

    緊急遮断

    検針値・警報開閉制御

    検針値

    電力スマートメーター 柱上基地局

    ガスメーター

    水道メーター

    ※中部電力パワーグリッド管内は2015年度から導入し、2022年度に設置を完了する予定

    (出所)中部電力パワーグリッド公表資料より、みずほ銀行産業調査部作成 (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

  • 42

    【現状/第2層】日産:EVを活用した地域課題解決

    (出所)日産自動車プレスリリース、三郷町スマートシティ構想より、みずほ銀行産業調査部作成

    ④ベンチマーク

    日産は、奈良県三郷町と電気自動車(EV)を活用した包括連携協定を締結し、EVを防災・交通で活用

    日産は、EVを充電、蓄電、放電するツールと位置付け、EV関連ソリューションを推進

    ローカルプラットフォーマー

    防災・減災

    (自立型分散電源 等)

    三郷町スマートシティ構想の実現

    奈良県三郷町とのEVを活用した包括連携協定

    奈良県三郷町(人口2.3万人)

    ① 町内イベント時の電力供給② 災害時のEV無償貸与と給電③ 予約制乗合タクシーのEV化促進、V2H活用④ 交通弱者向けモビリティソリューション検討

    主な施策

    包括連携協定(温室効果ガス削減、災害対策強化、地域課題解決)

    日産のEV関連ソリューション「Nissan Energy」

    交通

    (交通手段の拡充)

    産業振興(アグリ・観光)

    健康長寿日本一

    クルマとエネルギー・システムをつなぐ

    「Nissan Energy」発表(2018年11月)

    1. Nissan Energy Supply自宅や外出先、旅先でも充電可能なサービス提供

    2. Nissan Energy ShareEVに蓄えた電力を住宅やビルに給電可能とし、EVと電力網をつなげ、VPP(Virtual Power Plant)や効率的なエネルギーマネジメントを推進

    3. Nissan Energy Storage車載バッテリーの二次利用の推進

    < 日産「リーフ」によるV2H電力供給 >

    電子レンジ、電気ストーブ、パソコン、スマホ、電気ケトル、炊飯器、扇風機、テレビ、ドライヤー、冷蔵庫、洗濯機 etc.

    パワームーバー最大出力4,500W

    日産自動車

    日産リーフ

    (注)V2H:電気自動車のバッテリーに蓄えた電気を家で使う仕組み

  • 43

    【現状/第2層】日立製作所:テーマパークを街に見立てた運営支援の構想

    2019年10月、日立製作所はウォルトディズニーとの提携とIoT プラットフォームであるLumadaを活用したテーマパー

    クの運営支援を公表

    ― まず、アトラクションからのデータ収集に基づく、予兆分析、保守の効率化・高度化を進める予定

    ― 将来的には、混雑状況のシミュレーションやアトラクションの最適配置場所など、Disney Resortの最適な運営に日

    立製作所のLumadaを活用する構想

    Lumada×ディズニー Lumadaのコンセプト

    (出所)両図ともに、日立製作所公表資料等より、みずほ銀行産業調査部作成

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーの総称

    Lumadaとは

    Disney Resortを街に見立てゲストのハピネスに貢献

    ウォルトディズニー

    データ

    Walt Disney World Resort

    Disneyland Resort

    一部アトラクションにセンサーを設置し故障の予兆分析や保守の効率化からスタート

    混雑状況シミュレーション

    アトラクションの配置

    セキュリティー対策提供

    将来構想

    日立製作所

    OTアセット現場データ

    ITアセットビジネスデータ

    LUMADA

    お客さま・パートナーとの協創(NEXPERIENCEなど)

    業種・業務ノウハウ(ソリューション・ユースケース)

    プラットフォーム製品とテクノロジー(IoTプラットフォーム)

    協創

    お客さま

    課題分析 仮説構築プロトタイピングと

    価値検証お客さまに提供、運用

    日立製作所

    Lumada

    Hitachi Vantara

    (日立製作所100%子会社)

  • 44

    【現状/第2層】 MONET:車両データ統合とモビリティサービス開発

    MONETプラットフォームを活用したMaaSエコシステムの構築

    多種多様なデータを統合することでMaaSエコシステムを構築し、新たなサービスを創出

    車両メーカー(8社) MONET サービサー(400社超)

    MaaS車両企画 データ連携 / 運行システム開発 サービス企画

    コンビニ 宅配

    スーパー 医療

    サービスAPI

    データベース

    車両・配車API車両データ

    デマンドデータ

    MONETを通じたビジネスマッチング

    車両データの提供MaaS車両の企画

    車両・人流データをサービサーへ提供

    データを活用した新たなサービスの創出

    etc.

    (出所)MONET Technologies公表資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    e-palette

    バス

    タクシー 等

    MONET Technologiesは多種多様な車両データと人流データ等の活用によるMaaSエコシステムの構築を目指す

    完成車メーカーは、MONETプラットフォームに車両データを提供することでMaaSのエコシステムに参画するほか、

    MONETを通じたビジネスマッチングも活用しMaaS車両の企画に取り組む

    サービサーはデマンドデータを活用して新たなサービスを創出

  • 45

    【現状/第2層】柏の葉スマートシティコンソーシアム:データプラットフォーム

    柏の葉スマートシティでは、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅を中心とする半径2キロ圏におけるデータ駆動型

    のタウンマネジメントを目指す

    民間データと公共データに分かれたデータプラットフォームを構築し、モビリティ、エネルギー、パブリックスペース、

    ウェルネスのテーマ別のデータ利活用を想定

    柏の葉における都市OSの活用

    (出所)両図ともに、三井不動産公表資料より、みずほ銀行産業調査部作成

    ④ベンチマークローカルプラットフォーマー

    データ収集

    データ連携

    民間データ

    民間型プラットフォーム

    公共データ

    公共型プラットフォーム

    人・モノ・情報・サービスを通じて集まるデータ

    人流・環境

    オフィス、住宅、商業、ホテル、カンファレンス

    公共サービスを通じて集まり蓄積されるデータ

    行政データ

    各種統計、公共施設、

    行政サービス

    レセプトデータ

    健康保険、医療機関等

    交通データ

    ライフログ 鉄道、バス、ETC2.0、レンタサイ

    クル

    3Dマップ基盤

    分散管理型データプラットフォーム

    連携

    スマートシティ実現に向けたモデル事業の取組内容

    分散立地する拠点施設の活用環境・健康交流を育む自立した都市運営

    駅を中心とするSmart Compact City

    駅周辺エリアに集まるデータの収集と連携

    「公・民・学連携×データ駆動」による地域運営

    モビリティ エネルギー

    パブリックスペース ウェルネス

    センシングデータ

    個人データ

    施設データ 空間データ

    課題

  • 46

    地域エコシステム実現の効果と課題

  • 47

    地域エコシステム実現により想定される定量的な経済効果のイメージ

    地域エコシステムが実現した場合に想定される定量的な経済効果を地方都市A市をベースに試算。同エコシステム実

    現により合計約200~300億円の経済効果が期待される

    ― A市は人口減少・高齢化が進み将来的に生活インフラの維持が困難になることが想定される地方都市

    ― 通勤・通学者の約8割が市内移動であり域内生活/経済圏が成立しているが、同維持には地域エコシステム実現が不可欠

    地方都市A市の概要と定量的インパクトのイメージ

    人口

    高齢化率

    市内総生産

    10万人

    30%

    3,500億円

    現在

    7万人

    40%

    縮小懸念

    将来(2040年)

    (出所)各種公開資料より、 みずほ銀行産業調査部作成

    電力消費量

    ガス消費量

    送電延長

    導管延長

    約80km

    1,100千m3(注)

    約80km

    550,000 kWh バス/タクシー

    商業施設

    貨物車両

    SS

    6,000台

    大規模15店舗中規模10店舗

    40店舗

    150台/120台

    ⑤地域エコシステム実現の効果と課題ローカルプラットフォーマー

    地域エコシステムを実現することにより、年間200~300億円の経済効果をもたらす可能性

    地域エコシステムの実現

    <定量的インパクト試算の前提条件>

    (注)都市ガス:LPガス=55:45

  • 48

    (参考)地域エコシステム実現により期待される経済効果(例)

    地域エコシステムが実現した場合に期待される経済効果は以下のとおり

    エネルギーオフグリット化

    送電線建設・維持費 削減

    現在 将来(2040年) 経済効果

    地域エコシステム実現により期待される経済効果(例)

    家庭電源オール電力化

    LPガス・灯油輸送費 削減ガス管建設・維持費 削減

    (出所)各種公開資料より、 みずほ銀行産業調査部作成

    大規模電源 ローカル電源

    SSLP/灯油

    都市ガス

    ローカルプラットフォーマー

    モビリティEV化

    ガソリン輸送費 削減

    公共交通/物流デマンド化

    車両・人件費 削減

    SSSS

    ガソリン

    公共交通/物流自動運転化

    人件費 削減

    大規模電源からの送電 オフグリッド化(地産地消)

    オール電力化

    EVガソリン車

    バス 定時定路線タクシー1台1顧客

    バス デマンド化タクシー デマンド/相乗り化

    公共交通・物流(運転手あり) 公共交通・物流(自動運転)

    ⑤地域エコシステム実現の効果と課題

  • 49

    地域エコシステムにおける民間と公共の役割分担のイメージ

    持続可能な地域エコシステムの構築にあたっては、民間でのローカルオペレーターの創出、公共での支援が重要に

    地域エコシステム

    税収上昇

    地域に不可欠な生活インフラの維持

    + 必要に応じ規制緩和

    検討

    民間による取組を支援

    民間

    公共

    効果

    地域での事業継続(効率化(コスト削減)による採算の確保)

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    持続可能な地域エコシステムの構築に向けた

    仕組み作り(協議会の設立等)

    + 収益性確保が困難な事業へ補助金を支給

    地域エコシステムにおける民間と公共の役割分担のイメージ

    ローカルプラットフォーマー

    エネルギー モビリティ 小売その他

    サービス

    各種サービスをバンドル

    複数サービスをバンドルしたマルチタスク型のラストワンマイルを担う地域密着型事業者

    ローカルオペレーター

    ⑤地域エコシステム実現の効果と課題

  • 50

    地域エコシステム再構築に向けた課題(例)

    (出所)みずほ銀行産業調査部作成

    地域エコシステム再構築に向けた課題(例)

    ローカルプラットフォーマー

    技術革新・

    コスト低減

    次世代技術トレンドを活用した既存生活サービスインフラの再構築が前提

    次世代技術開発が未成熟であるため、現時点での地域エコシステム最適化には一定の課題が

    存在

    ― 例えば、自動運転等の技術を採用することで人件費の削減効果が見込まれるものの、現行

    の技術水準では、実現が難しい

    現行技術のコスト水準では、次世代技術活用を通じた経済効果が限定的

    ― 例えば、蓄電池価格が低下することで、電動車を活用したエネルギーマネジメントやオフグ

    リッド化の経済効果が得られる可能性があるが、現行のコスト水準では実現が難しい

    新規ビジネスモデル構築

    地域エコシステムにおいては、ローカルオペレーターのマルチタスク化やローカルプラットフォーマーの異業種連携等を通じた新規ビジネスモデル構築(産業構造のバンドル)が重要

    中長期的な新規ビジネスモデル構築(産業構造のバンドル)には、地域の事業者間における将来ビジョンの協創・共有が肝に

    ― 地域特性を踏まえた、地域でドミナントな事業者を軸としたマルチタスク化とローカルプラットフォーマーとの役割分担が必要となるものの、現状、将来ビジョンの協創・共有が限定的

    規制緩和

    マルチタスク化(産業構造のバンドル)にむけ、規制(保安・安全等)が障壁となる場合も

    地域経済の維持のため、中長期的には地域ごとの特性に応じた柔軟な規制緩和が必要

    ⑤地域エコシステム実現の効果と課題

  • 51

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    編集/発行 みずほ銀行産業調査部 東京都千代田区大手町1-5-5 [email protected]

    みずほ産業調査/65 2020 No.2 2020年10月6日発行

    産業調査部 資源・エネルギーチーム 岡本 伊織 [email protected]

    自動車・機械チーム 豊福 亘

    資源・エネルギーチーム 野村 卓人

    資源・エネルギーチーム 北尾 愛

    自動車・機械チーム 田村 多恵

    次世代インフラ・サービス室

    社会インフラチーム 斉藤 智美

    社会インフラチーム 杉浦 卓

    戦略プロジェクトチーム 松尾 紀史

    戦略プロジェクトチーム 平澤 祐典