アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 第2部 CTDの概要 (サマ...

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 第2部 CTDの概要 (サマリー) 2.7 臨床概要 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤)

第2部 CTDの概要 (サマリー)

2.7 臨床概要

2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

略語一覧

略語 内 容 5-ALA 5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid)

5-ALA HCl 5-ALA 塩酸塩

Ae 尿中排泄量

AUC 血漿中濃度-時間曲線下面積(Area Under the(blood concentration-time) Curve)

Cmax 最高血漿中濃度(Maximum drug concentration)

HPLC 高速液体クロマトグラフィー(High Performance liquid chromatography)

MED 最小紅斑量(Minimal erythema dose)

PBG ポルホビリノーゲン(Porphobilinogen)

PDD 光線力学診断(Photodynamic diagnosis)

PPIX プロトポルフィリン IX(Protoporphyrin IX)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

目次

2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 .............................................................................1 2.7.1.1 背景及び概観 .................................................................................................................1

2.7.1.1.1 外国試験で実施した分析方法 .............................................1 2.7.1.1.2 国内試験で用いた分析法 ................................................. 2

3

3

4

2.7.1.2 個々の試験結果の要約 ................................................................................................... 2.7.1.2.1 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg経口投与の 2 mg/kg静脈内

投与と比較した単回投与の生物学的利用率試験(MC-ALS.20/BV試験) .................. 2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析 .............................................................................

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

2.7.1.1 背景及び概観

5-アミノレブリン酸(5-ALA)は各種の生物に広く存在している生体内物質であり、5-ALA から

ヘムに生合成される過程で光感受性物質である Protoporphyrin IX(PPIX)に代謝される。5-ALA

の構造式を図 2.7.1.1-1 に、ヘムへの生成経路を 2.6.2.2 に示した。外部から投与された 5-ALA

も同様な経路をたどると考えられる。悪性腫瘍細胞では正常細胞に比べて PPIX 生成途中の酵素

(PBG デアミナーゼ)活性が高く、PPIX からヘム生合成を触媒する酵素(フェロケラターゼ)

活性が低いため、悪性腫瘍細胞にPPIXが多く蓄積すると考えられている(添付資料4.2.1.1-7)。

図 2.7.1.1-1 5-ALA の構造式

腫瘍細胞に蓄積した PPIX は、青色光線で励起されると赤色の蛍光を発色する。この性質を

利用して、悪性神経膠腫などの脳腫瘍切除術において、本剤投与による光線力学診断

(Photodynamic Diagnosis:PDD)により、術野で腫瘍部位が蛍光発色することで視覚化が得られ、

腫瘍組織と正常組織との識別が可能になり、腫瘍切除率の向上が報告されている 1)。

ドイツのメダック社は、経口投与製剤として、1 バイアル中に 5-ALA HCl 1.5 g を含有する

凍結乾燥製剤(以下「本剤」)を開発した。本剤には添加剤は含まれていない。臨床試験におい

ては、本剤を水 50 mL に溶解して経口投与している。

外国にて、健康成人男性における生物学的利用率試験(以下「バイオアベイラビリティ試験」)

(MC-ALS.20/BV 試験)として、本剤 20 mg/kg 経口投与時と 2.0 mg/kg 静脈内投与時との比較

を 5-ALA 及び PPIX を測定対象として実施した。

なお、患者を対象とした臨床試験で薬物動態の検討を行った国内 NPC-07-1 試験及び外国

MC-ALS.8-I/GLI 試験の分析方法を併せて記載した。これらの結果は、2.7.6.1 及び 2.7.6.3 に

記述している。

2.7.1.1.1 外国試験で実施した分析方法

(添付資料 5.3.1.1-1 参、5.3.5.1-1 参)

以下の操作はすべて黄色光下で行った。

5-ALA の濃度測定は、アセトニトリル又はトリクロロ酢酸により除蛋白を行い、アセチルア

セトン・ホルムアルデヒドで処理して 5-ALA の誘導体である 2,6-ジアセチル-1,5-ジメチル

-7-(2-カルボキシエチル)-3H-ピロリジンに変換後、蛍光検出を用いた高速液体クロマトグラフ

O

CO2H

H2N

1

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ィー(HPLC)により測定した 2-4)。定量範囲は広く、血漿中で約 30~1,000 µg/L(MC-ALS.8-I/GLI

試験)又は 100~10,000 µg/L(MC-ALS.20/BV 試験)、尿中で約 1 mg/L~50 mg/L であった。PPIX

濃度は、トリクロロ酢酸で除蛋白を行い、蛍光検出を用いた HPLC により測定した 5,6)。定量範

囲は広く血漿中で、約 5 µg/L~250 µg/L であった。

2.7.1.1.2 国内試験で用いた分析法

(添付資料 5.3.1.4-1、5.3.1.4-2)

5-ALA 及び PPIX の血漿中濃度を測定するにあたり、 で外国の試験で

用いられた測定法を検討したところ、測定結果に不安定性が認められたので、測定用試料の調

整法につき検討を行い、以下の方法を確立した。

5-ALA の濃度測定について、前処理は褐色ガラス製試験管を用いて行われ、アセチルアセト

ン及びホルムアルデヒドで処理して 5-ALA を誘導体化後、上清をろ過して測定用資料を作成し

た。測定用試料は遮光の条件下で蛍光検出を用いた、HPLC により測定された。

PPIX の測定法について、作業は全て遮光ポリプロピレン製チューブを用いて行われ、酸性蛋

白質を除去して測定用試料が作成され、HPLC により測定した。

これらの測定方法のバリデーション試験を行った結果、5-ALA については定量下限:30.00

ng/mL(RE:7.2%、CV:3.2%)、定量上限:1,000.00 ng/mL(RE:4.5%、CV:1.4%)、希釈再

現性:10 倍(RE:5.5%、CV:5.5%)、希釈再現性:100 倍(R:6.4%、CV:5.0%)、測定内変

動:(RE:-0.1~4.3%、CV:2.5~3.1%)、測定間変動(RE:6.7~7.1%、CV:3.5~5.8%)、

PPIX については定量下限:5.00 ng/mL(RE:-2.0%、CV:1.8%)、定量上限:300.00 ng/mL(RE:

-7.8%、CV:1.3%)、希釈再現性:10 倍(RE:2.1%、CV:2.6%)、測定内変動:(RE:-4.6~

1.8%、CV:1.1~1.9%)、測定間変動(RE:-7.3~-3.4%、CV:3.5~4.9%)であり、良好であ

った。

2

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2.7.1.2 個々の試験結果の要約

2.7.1.2.1 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg経口投与の 2 mg/kg静脈内投与

と比較した単回投与の生物学的利用率試験(MC-ALS.20/BV試験)

(添付資料 5.3.1.1-1 参)

本試験は、健康成人男性を対象に本剤の絶対的バイオアベイラビリティを検討することを主

目的とし、最小紅斑量を指標とした皮膚光感作期間及び対応する血漿中 PPIX 濃度の検討を併せ

て行った。本試験の試験方法を表 2.7.1.2-1 に示し、絶対的バイオアベイラビリティに関する

結果を表 2.7.1.2-2 に示した。なお、最小紅斑量に関する結果は 2.7.2.2.3 に記述した。

表 2.7.1.2-1 MC-ALS.20/BV 試験の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.20/BV

試験表題名 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg 経口投与の 2 mg/kg 静脈

内投与と比較した単回投与の生物学的利用率試験

試験の目的 健康成人男性における本剤 20 mg/kg 経口投与時の絶対的バイオアベイラビリ

ティを検討する。

試験デザイン 非盲検、単回投与、無作為化

同一被験者に、入院第 1 日に経口投与を、第 4日に静脈内投与を行った。

被験者数 12 例

対象 18~55 歳、非菜食主義者である白人健康男性

使用薬剤 投与液は次のように調整

経口投与用:本剤を 240 mL の水道水に溶解

静脈内投与用:本剤を 50 mL の 7.5%リン酸二ナトリウム溶液に溶解後、同

量の注射用水で希釈し、さらに投与液量が 10 mL となるよう蒸留水で希釈

投与方法 経口投与:本剤 20 mg/kg を 10 時間の絶食後に 1 回、経口投与

静脈内投与:本剤 2.0 mg/kg を臥位で 3分間かけて 1 回、静脈内投与

評価項目 血漿中データ(AUC∞)及び尿中排泄データ(Ae)から算出した絶対的バイオア

ベイラビリティ

(採血時間:投与前、投与後 0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12、24、

48 時間)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

試験結果(絶対的バイオアベイラビリティ評価):

(1)対象

白人健康成人男性 12 例、平均年齢(範囲):29.8 歳(20~40 歳)

3

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4

(2) 絶対的バイオアベイラビリティ

各被験者について、本剤 20 mg/kg 経口投与時の AUC∞及び尿中累積排泄量(投与後 12 時間

までの Ae)を 2 mg/kg 静脈内投与時のパラメータと比較して、絶対的バイオアベイラビリテ

ィを算出した。AUC∞及び Aeより算出した本剤 20 mg/kg 経口投与の絶対的バイオアベイラビ

リティは、それぞれ 100.02%及び 104.79%であった(表 2.7.1.2-2)。本剤(20 mg/kg 経口

投与)は、水に溶解して投与することにより消化管からの完全な吸収を示した。

なお、本試験の薬物動態及び薬力学的パラメータについては、2.7.2 に示した。

表 2.7.1.2-2 絶対的バイオアベイラビリティ

投与方法 絶対的バイオアベイ

ラビリティ(%)*

パラメータ

(5-ALA)

20 mg/kg、経口(b1) 2 mg/kg、静脈内(b2) [b1/b2 の比]

AUC∞ [mg・h/L] 33.13 (1.26) ** 3.31 (1.30) ** 100.02

Ae [mg] 420.62 (108.16)*** 45.17 (17.01) *** 104.79 * 投与量の調整後、** 幾何平均値(幾何標準偏差)、*** 算術平均値(標準偏差)

2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析

バイオアベイラビリティ試験は 1試験しか実施されていないため、該当しない。

引用文献

1) 金子貞男. 悪性脳腫瘍に対する光線力学的療法-光感受性物質 ALA を用いた PDD と PDT を

中心に-. 日本レーザー医学会誌 2008;29:135-146

2) Kajiwara M, Hara K, Takatori K, Matsumoto K. Revised structure of a

delta-aminolevulinic acid derivative. Clin Chem. 1993; 39(9):1867-71

3) Miyajima K, Hirata M, Yoshida T, et al. Study on measurement of delta-aminolevulinic

acid in plasma by high-performance liquid chromatography. J Chromatogr B Biomed Appl.

1994; 654(2):165-9

4) Morita Y, Araki S, Sakai T, et al. Determination of delta-aminolevulinic acid in plasma

using high-performance liquid chromatography: a sensitive indicator of lead effects.

Industrial Health. 1994; 32(2):85-96

5) Blake D, Poulos V, Rossi R. Diagnosis of porphyria, recommended methods for peripheral

laboratories. Clin Biochem Revs 1992; 13 (supplement): S3-S14

6) Ratnaike S, Blake D. The diagnosis and follow-up of porphyria. Pathology.

1995;27(2):142-53

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第2部 CTDの概要 (サマリー)

2.7 臨床概要

2.7.2 臨床薬理の概要

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

略語一覧

略語 内 容 5-ALA 5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid)

5-ALA HCl 5-ALA 塩酸塩

Ae 尿中排泄量

AUC 血漿中濃度-時間曲線下面積(Area Under the(blood concentration-time) Curve)

Cmax 最高血漿中濃度(Maximum drug concentration)

MED 最小紅斑量(Minimal erythema dose)

PPIX プロトポルフィリン IX(ProtoporphyrineIX)

SD 標準偏差(Standard deviation)

tmax 最高血漿中濃度到達時間(Maximum drug concentration time)

t1/2 消失半減期(Elimination half-life)

WHO 世界保健機構(World Health Organization)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

目次

2.7.2 臨床薬理の概要 ·················································································································· 1 2.7.2.1 背景及び概観 ····························································································1

2.7.2.1.1 ヒト生体試料を用いた試験 ···············································1 2.7.2.1.2 臨床薬理試験 ···························································1

2.7.2.2 個々の試験結果の要約·················································································2 2.7.2.2.1 ヒト生体試料を用いた試験 ···············································2 2.7.2.2.2 国内臨床試験(NPC-07-1 試験)···········································2 2.7.2.2.3 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg 経口投与の 2 mg/kg 静脈内

投与と比較した単回投与の生物学的利用率試験(MC-ALS.20/BV 試験)··················4 2.7.2.2.4 悪性神経膠腫蛍光誘導切除術における臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験(MC-ALS.8-I/GLI 試

験) ············································································8 2.7.2.3 全試験を通しての結果の比較と解析 ····························································· 11 2.7.2.4 特別な試験 ····························································································· 14

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

1

2.7.2 臨床薬理の概要

2.7.2.1 背景及び概観

2.7.2.1.1 ヒト生体試料を用いた試験

(添付資料 4.2.2.3-10)

ヒト血漿と 5-ALA の結合率を限外ろ過法で検討した。

なお、生体膜透過性、肝代謝及び代謝に基づく薬物相互作用について特別な試験は実施して

いない。

2.7.2.1.2 臨床薬理試験

臨床薬理試験として、国内 1試験及び外国 2試験が実施された。すなわち、国内で初発及び

再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)を対象に本剤の診断能、安全性、薬物動態を検討

した NPC-07-1 試験、外国で健康成人男性を対象として本剤の経口投与によるバイオアベイラビ

リティ及び最小紅斑量(MED)を検討した MC-ALS.20/BV 試験並びに初発の悪性神経膠腫(WHO

グレードⅢ/Ⅳ)を対象に腫瘍中心部の蛍光の範囲及び蛍光の質と用量との相関関係、薬物動

態を検討した MC-ALS.8-I/GLI 試験であった。国内外での臨床薬理試験の概要を表 2.7.2.1-1

に示した。

本剤の国内開発にあたっては、外国臨床試験の成績より本剤投与による QT 延長リスクはな

いと考えられたことから、QT/QTc 評価試験の実施は不要と判断した。

なお、NPC-07-1 試験及び MC-ALS.8-1/GLI 試験の臨床的有効性については 2.7.6 で、

MC-ALS.20/BV 試験のバイオアベイラビリティについては、2.7.1 で、それぞれ示した。

表 2.7.2.1-1 臨床薬理試験の一覧

試験

番号

試験

区分 対象 デザイン 試験内容

投与量

投与方法

被験

者数 添付資料

NPC-07-1

(国内) 第Ⅲ相

初発又は再

発の悪性神

経膠腫

非盲検

本剤による蛍光切除術

の診断能、安全性及び

薬物動態を検討した。

20 mg/kg

経口投与 45 5.3.5.2-1

MC-ALS.2

0/BV

(外国)

第Ⅰ相 白人健康成

人男性 非盲検

本剤の経口投与による

バイオアベイラビリテ

ィ及び最小紅斑量によ

る皮膚光感作期間を検

討した。

20 mg/kg

経口投与

2 mg/kg

静脈内投与

21 5.3.1.1-1

MC-ALS.8

-I/GLI

(外国)

第Ⅰ

/Ⅱ相

初発の悪性

神経膠腫 二重盲検

本剤による用量と腫瘍

中心部の蛍光の範囲、

質との用量相関関係及

び薬物動態を検討し

た。

0.2、2、20

mg/kg

経口投与

21 5.3.5.1-1

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

2

2.7.2.2 個々の試験結果の要約

2.7.2.2.1 ヒト生体試料を用いた試験

(添付資料 4.2.2.3-10)

ヒト血漿蛋白と 5-ALAとの結合率を限外ろ過報により検討した結果、ヒト血漿中における平

均蛋白結合率は、500~5,000 µg/L の濃度範囲において 12%であった。

2.7.2.2.2 国内臨床試験(NPC-07-1 試験)

(添付資料 5.3.5.2-1)

国内臨床試験(NPC-07-1 試験)は、初発及び再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)を

対象として、本剤による蛍光切除術の診断能、安全性及び薬物動態の検討を目的とした非盲検、

非対照、多施設共同試験として実施した。本試験の薬物動態の検討に関する試験方法の要約を

表 2.7.2.2-1 に示した。

なお、本試験は STEPⅠと STEPⅡから構成されているが、STEPⅠから STEPⅡへの移行の可否

の判断は有害事象の発現状況とともに本項に記述した薬物動態の結果を評価して行われた。本

試験の試験方法及び STEPⅠから STEPⅡへの移行については 2.7.6 に記載した。

表 2.7.2.2-1 NPC-07-1 試験の試験方法の要約(薬物動態)

項 目 内 容

試験番号 NPC-07-1

試験表題名 NPC-07 の悪性神経膠腫に対する第Ⅲ相臨床試験

試験の目的 初発及び再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)を対象として、本剤によ

る蛍光切除術の診断能、安全性及び薬物動態の検討を行う。

試験デザイン 非盲検、非対照、多施設共同試験

STEPⅠ及び STEPⅡで構成(薬物動態は STEPⅠで実施した。)

被験者数 薬物動態として

計画時:8例(STEPⅠ)

解析時:6例(STEPⅠの 10 例のうち、投与後 48 時間まで採血された症例)

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2~4時間)に、本剤 20 mg/kg

を単回経口投与した

薬物動態

本剤投与前、投与後 0.5、1、2、3、4、5、6、8、12、24、48 時間の血漿中

5-ALA 及び代謝物である PPIX 濃度の測定を行った。また、薬物動態パラメ

ータ(Cmax、AUCt、tmax及び t1/2)を算出した。

(1) 薬物動態

血漿中 5-ALA 及び PPIXの推移図をそれぞれ図 2.7.2.2-1 及び図 2.7.2.2-2 に示した。

STEPⅠの対象となった 10 例のうち、開頭後腫瘍部位の蛍光発色の確認及び術中迅速診断に

より適格と判断され、投与後48時間まで採血された6例が薬物動態試験の解析の対象となった。

本剤投与後、血漿中 5-ALA 濃度は速やかに上昇し、投与後 1時間に最高値に達した。その後、

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3

5-ALA は血漿中から速やかに消失し、投与後 12時間にはほぼ投与前の値まで減少した。血漿中

PPIX 濃度は緩やかに上昇し、投与後 6時間に最高値に達した。その後、PPIX は血漿中から緩や

かに消失し、投与後 48時間にはほぼ投与前の値まで減少した。

図 2.7.2.2-1 患者ごとの血漿中 5-ALA濃度の推移図(薬物動態解析対象例)

図 2.7.2.2-2 患者ごとの血漿中 PPIX 濃度の推移図(薬物動態解析対象例)

5-ALA 及び PPIX の薬物動態パラメータの基本統計量を表 2.7.2.2-2 に示した。5-ALA の Cmax

(平均値±標準偏差、以下同様。)は 34.0±12.7 mg/L、AUC∞は 77.1±40.7 mg・h/L であり、

5-ALA

○○○

●●●

□□□

■■■

△△△

▲▲▲

血漿中濃度(mg/L)

0

10

20

30

40

50

60

時間(h)

0 12 24 36 48

○○

○○

○ ○ ○●

● ● ● ● ●

□□□ □

■△

△△ △ △▲

▲▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲

PPIX

○○○

●●●

□□□

■■■

△△△

▲▲▲

血漿中濃度(μg/L)

0

100

200

300

400

500

600

時間(h)

0 12 24 36 48

○○

○●

● ●

● ●□□□

□■■■

■△△△

△ △△

△▲▲▲

▲▲ ▲

▲▲

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

4

PPIX の Cmaxは 350. 6±98.3 μg/L、AUC∞は 4187.3±1374.0 μg・h/L であった。また、5-ALA

の tmax及び t1/2はそれぞれ 0.83±0.26 時間及び 2.27±2.35 時間であり、PPIX の tmax及び t1/2は

それぞれ 6.17±0.98時間及び 4.91±1.90 時間であった。PPIX の tmax及び t1/2はいずれも 5-ALA

に比し長かった。PPIXの tmax値より、本剤を麻酔導入前 3時間(範囲:2~4時間)に経口投与

することにより、開頭後腫瘍切除が実施される時期(本剤投与後 5~10 時間)に、蛍光発色本

体である PPIX の血漿中濃度が高値を示すことは推定された。

表 2.7.2.2-2 5-ALA 及び PPIX の薬物動態パラメータ

Cmax (mg/L)

AUCt (mg・h/L)

AUC∞ (mg・h/L)

tmax (h)

t1/2 (h)

例数 6 6 6 6 6

平均値 34.009 76.764 77.086 0.83 2.27

幾何平均値 31.983 68.721 69.039 0.79 1.74

5-ALA

標準偏差 12.737 40.660 40.724 0.26 2.35

Cmax

(μg/L) AUCt

(μg・h/L) AUC∞

(μg・h/L) tmax (h)

t1/2 (h)

例数 6 6 6 6 6

平均値 350.590 4111.175 4187.289 6.17 4.91

幾何平均値 339.709 3955.512 4034.686 6.11 4.62

PPIX

標準偏差 98.343 1376.351 1373.979 0.98 1.90

注)外国の成績と比較するため平均値に加えて、幾何平均値を算出した。

2.7.2.2.3 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg 経口投与の 2 mg/kg 静脈内投与

と比較した単回投与の生物学的利用率試験(MC-ALS.20/BV 試験)

(添付資料 5.3.1.1-1 参)

本試験の主目的は、健康成人男性における本剤の 20 mg/kg 経口投与の絶対的バイオアベイ

ラビリティを 2.0 mg/kg 静脈内投与時の薬物動態と比較し評価することである。本項では、本

剤の 20 mg/kg 経口投与での薬物動態パラメータ(Cmax、tmax、t1/2、Ae)及び経口投与後の皮膚

光感作持続期間の最小紅斑量(MED)による評価に関する試験方法を表 2.7.2.2-3 に示し、結果

を以下に記述する。なお、試験の絶対的バイオアベイラビリティについては、2.7.1.2.1 に示

した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

5

表 2.7.2.2-3 MC-ALS.20/BV 試験の試験方法の要約(薬物動態、薬力学)

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.20/BV

試験表題名 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg 経口投与の 2 mg/kg 静脈

内投与と比較した単回投与の生物学的利用率試験

試験の目的 主目的:健康成人男性における本剤 20 mg/kg 経口投与時の絶対的バイオアベ

イラビリティを検討する。

副次目的:経口投与後の最小紅斑量を指標とした皮膚の光感作期間及び対応す

る PPIX 血漿中濃度を評価する。

試験デザイン 非盲検、単回投与、無作為化

被験者数 計画時:21 例、解析時:21 例

(絶対的バイオアベイラビリティ評価:12 例、薬力学的評価:21 例)

投与方法 (b1)被験薬:本剤 20 mg/kg を 10 時間の絶食後に 1回、経口投与

(b2)対照薬:本剤 2.0 mg/kg を臥位で 3分間かけて 1回、静脈内投与

評価項目 薬物動態:主要パラメータ;血漿中データ(AUC∞)及び尿中排泄データ(Ae)

から算出した絶対的バイオアベイラビリティ

副次パラメータ;本剤の tmax、t1/2、Ae、Cmax

(採血時間:投与前、投与後 0.25、0.5、1、1.5、2、 2.5、3、4、6、

8、10、12、24、48 時間)

薬力学:最小紅斑量(Minimal Erythema Dose、 以下「MED」)

血漿中 PPIX 濃度

(1) 薬物動態の結果

白人健康成人男性を対象として、本剤の経口(20 mg/kg)及び静脈内(2.0 mg/kg)投与し

た時の 5-ALA の薬物動態パラメータ 及び経口(20 mg/kg)投与した時の PPIX の薬物動態パラ

メータをそれぞれ表 2.7.2.2-4 及び表 2.7.2.2-5 それぞれに示した。また、本剤 20 mg/kg 経口

投与後の血漿中 5-ALA及び PPⅨ濃度の推移を図 2.7.2.2-3 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

6

表 2.7.2.2-4 5-ALA の薬物動態パラメータ(n=12)

薬物動態パラメータ 20 mg/kg 経口投与 2.0 mg/kg 静脈内投与

AUC∞[mg・h/L]

33.13 (1.26)

34.15

(17.94-41.17)

3.31 (1.30)

3.46

(1.76-4.93)

tmax[h]

n.a.(n.a.)

0.76

(0.50-1.00)

n.a.(n.a.)

0.17

(0.15-0.17)

t1/2 [h]

0.92 (1.17)

0.88

(0.79-1.34)

0.69 (1.36)

0.71

(0.41-1.08)

Cmax[mg/L]

20.90 (1.25)

20.76

(11.65-27.67)

6.12 (1.39)

6.77

(2.90-8.49)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、中段:中央値、下段:最小値-最大値、* 算術平均値(標準偏差)、

n.a.:not available

表 2.7.2.2-5 20 mg/kg 経口投与時の PPIX の薬物動態パラメータ(n=12)

パラメータ 20 mg/kg 経口投与

AUC∞[μg・h/L]

1875.66 (1.47)

1906.64

(970.73-3431.63)

tmax[h]

n.a.(n.a.)

4.00

(2.50-8.00)

t1/2 [h]

3.57 (1.82)

4.04

(1.19-7.76)

Cmax[μg/L]

279.05 (1.36)

259.18

(170.91-561.67)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、中段:中央値、下段:最小値-最大値、n.a.:not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

7

図 2.7.2.2-3 本剤 20 mg/kg 経口投与後の血漿中 5-ALA 及び PPⅨ濃度の平均値の推移

(2) 薬力学的評価

本試験の薬力学的評価には、健康成人男性 21 例が組み入れられ、本剤経口投与後の皮膚感作及

び血漿中 PPIX 濃度を測定した。皮膚光感作の評価では、本剤投与前、投与後 12、24 及び 48

時間において、背部及び殿部に、8段階の線量の紫外線を照射し(照射熱量:5~56 J/cm2、光

強度:約 60 mW/cm2、波長:330~450 nm)、即時反応及び遅発反応を紫外線照射開始後 16 分

及び 24 時間にそれぞれ判定し、最小紅斑量(MED)を算出した。

本剤投与後の MED(即時反応、遅発反応)及び血漿中 PPIX 濃度を表 2.7.2.2-6 に示した。

即時反応での MED は本剤投与後 12 時間及び 24 時間において、投与前に比較し有意に低下し

ていることが認められたが(P<0.0001 分散分析)、48 時間では投与前の値に複した。遅発反応

については、本剤投与後 12 時間においてのみ MEDの低下が認められた(P<0.0001 分散分析)。

血漿中 PPIX 濃度と MED値(即時及び遅発反応)との相関性を検討し、表 2.7.4.2.2-7 に示した。

ピアソン及びスピアマンによる検討の結果、相関係数は-0.1479~0.4021 と小さく、血漿中 PPIX

濃度と MED には相関関係は認められなかった。

表 2.7.2.2-6 本剤投与後の MED(即時反応、遅発反応)及び血漿中 PPIX 濃度(n=21)

照射時期 血漿中

PPIX 濃度

即時反応 遅発反応

[µg/L] MED (J/cm2) x/x0 MED (J/cm2) x/x

0

ベースライン(x0) < LLQ 18.19±4.38 - 23.81±7.59 -

投与後 12時間 104.44 7.38±3.41* 0.42±0.19 6.05±2.22* 0.28±0.14

投与後 24時間 10.12 8.52±3.39* 0.50±0.25 21.71±7.16 1.03±0.54

投与後 48時間 < LLQ 17.33±5.49 0.98±0.32 28.00±12.87 1.32±0.83

MED:最小紅斑量、LLQ:定量下限 (算術平均±SD)

* P<0.0001 分散分析

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

8

表 2.7.2.2-7 PPIX 濃度と MED との相関係数(n=21)

投与後の

時間(h)

反応 回帰直線の切片 回帰直線の傾き ピアソンの相関

スピアマンの

相関

12 即時 133.12.12 -68.5974 -0.1479 -0.0938

12 遅延 85.0494 68.6714 0.1054 0.2012

24 即時 7.7169 3.8596 0.1453 0.2262

24 遅延 6.0311 3.5230 0.2876 0.4021

2.7.2.2.4 悪性神経膠腫蛍光誘導切除術における臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.1-1 参)

本試験は、初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/IV)を対象に無作為化二重盲検法により、

本剤の 3用量(0.2、2、20 mg/kg)と有効性との関係を明らかにすることが目的であり、併せ

て血漿中 5-ALA 及び PPIX 濃度の測定を行った。表 2.7.2.2-8 に試験方法の要約を示した。本項

では、薬物動態パラメータ、血漿中 5-ALA 及び PPIX 濃度の推移について示した。

表 2.7.2.2-8 MC-ALS.8-I/GLI 試験の試験方法の要約(薬物動態)

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.8-I/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅰ/Ⅱ

相試験

試験の目的 主目的:用量(0.2、2、20 mg/kg)に対して、腫瘍中心部の蛍光の範囲(白色光

下で識別される腫瘍中心部の範囲との比較)及び腫瘍中心部の蛍光の

質(「強」「弱」「なし」)について用量相関関係を検討する。

(副次目的の一つとして、本剤(5-ALA)と PPIX の薬物動態を検討する。)

試験デザイン 無作為化、二重盲検、3群(0.2、2、20 mg/kg)比較

(病理組織診断、放射線学的診断は盲検化)

被験者数 計画時:21 例(各群 7例)、解析時:21例(各群 7例)

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2.5~3.5 時間)に本剤 0.2、

2 又は 20 mg/kg を単回経口投与する

評価項目 薬物動態:5-ALA、PPIX:t1/2、AUC∞、Cmax、tmax

(採血時間:投与前、投与後 0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、6、

7、8、10、12、18、24、48 時間)

(1) 薬物動態

初発の悪性神経膠腫患者 21 例に本剤 0.2、2 及び 20 mg/kg を経口投与した後の 5-ALA 及び

PPIX の薬物動態パラメータを表 2.7.2.2-9 及び表 2.7.2.2-10 に示した。また、血漿中 5-ALA

及び PPIX 濃度推移を図 2.7.2.2-4 及び図 2.7.2.2-5 に、それぞれ示した。本剤は経口投与後に

速やかに吸収され、0.2、 2 及び 20 mg/kg 投与群での 5-ALA の tmaxの幾何平均値(以下、同様)

はそれぞれ 0.50、 0.61、 0.94 時間であった。また、本剤は早期に排泄され、t1/2は 0.85~3.05

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

9

時間であり AUC∞、Cmax は用量に比例して上昇した。また、PPIX の血漿中濃度は 2 mg/kg 投与

群から上昇し、 AUC∞は、2 mg/kg 及び 20 mg/kg 投与群で、それぞれ 255.80μg・h/L、779.90

μg・h/L であった。なお、20mg/kg 投与での血漿中 PPIX 濃度推移に患者間のばらつきが認めら

れたため、患者ごとの PPIX 濃度を表 2.7.2.2-11 に示した。

表 2.7.2.2-9 5-ALA の薬物動態パラメータ

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

AUC∞ [mg・h/L]

0.540(1.98)

0.424(0.247-1.780)

3.326(1.60)

2.901(1.602-5.880)

26.915(1.19)

27.144(20.413-34.626)

t1/2 [h]

0.85(1.71)

0.75(0.51-2.38)

1.12(2.00)

0.84(0.45-2.44)

3.05(2.09)

1.94(1.60-10.04)

Cmax [mg/L]

0.257(1.20)

0.275(0.196-0.311)

2.104(1.57)

1.863(0.987-3.758)

8.272(1.11)

8.239(7.417-9.701)

tmax [h]

0.50(1.75)

0.50(0.23-1.00)

0.61(1.77)

0.50(0.25-1.47)

0.94(1.51)

1.00(0.52-2.00)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、下段:中央値(範囲)

表 2.7.2.2-10 PPIX の薬物動態パラメータ

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

AUC∞ [μg・h/L]

nc 255.80(2.46)

318.94(54.97-572.60)

779.90(2.73)

862.04(247.96-2655.06)

t1/2 [h]

nc 2.90(1.36)

3.19(1.62-3.83)

2.61(1.63)

3.38(1.52-4.08)

Cmax [μg・/L]

nc 32.28(2.28)

27.22(9.87-83.20)

nc

101.71(0.000-258.83)

tmax [h]

nc 4.81(1.37)

4.92(2.90-6.92)

5.73(1.58)

5.48(2.97-11.92)

nc: not calculated、上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、下段:中央値(範囲)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

10

図 2.7.2.2-4 血漿中 5-ALA 濃度平均値の推移

図 2.7.2.2-5 血漿中 PPIX 濃度平均値の推移

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

11

表 2.7.2.2-11 MC-ALS.8-I/GLI 試験における血漿中 PPIX 濃度(患者別、単位:μg/L)

患者番号

時間(h)

0.00 * * * * * * *

0.25 * * * * * * *

0.50 * * * * * * *

0.75 6.64 * * * * 10.39 5.38

1.00 19.68 * 5.50 * * 18.52 7.41

1.50 8.09 * 7.67 * * 59.68 14.27

2.00 37.21 * 12.30 * * 67.86 26.45

3.00 13.10 * 9.62 101.71 * 104.04 49.14

4.00 52.32 8.84 17.04 5.94 * 182.21 84.15

5.00 238.54 7.66 34.68 34.80 * 171.70 152.31

6.00 210.65 5.23 18.54 11.67 * 185.07 157.53

7.00 74.60 5.54 24.11 * * 258.83 -

8.00 49.21 10.72 30.27 11.60 * 206.34 140.25

10.00 65.81 12.69 28.03 12.05 * 173.20 156.66

12.00 7.06 13.71 12.62 13.51 * 148.59 63.48

18.00 * * 6.22 * * 42.99 16.63

24.00 * * * * * 18.95 6.72

48.00 * * * * * * *

*:定量下限未満(<5.18μg/L)

-:Not valid result

(添付資料 5.3.5.1-1 参)

2.7.2.3 全試験を通しての結果の比較と解析

全試験(NPC-07-1 試験、MC-ALS.20/BV 試験及び MC-ALS.8-I/GLI 試験)における、本剤 20 mg/kg

の経口投与を行った時の5-ALA及びPPIXの薬物動態パラメータをそれぞれ表2.7.2.3-1及び表

2.7.2.3-2 に示した。

5-ALA 及び PPIX の Cmax及び AUC∞は、いずれも国内で患者を対象に実施された NPC-07-1 試験

で最も高く、次いで外国で健康成人を対象に実施された MC-ALS.20/BV 試験であり、最も低かっ

たのは外国で患者を対象に実施された MC-ALS.8-I/GLI 試験であった。患者対象の NPC-07-1 試

験と健康成人対象の MC-ALS.20/BV 試験における 5-ALA及び PPIXの Cmax及び AUC∞は近い値であ

り類似性が認められたが、NPC-07-1 試験と同じく患者対象の MC-ALS.8-I/GLI 試験との間には

乖離が見られた。また、海外で実施された MC-ALS.20/BV 試験と MC-ALS.8-I/GLI 試験との間に

も乖離が認められた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

12

表 2.7.2.3-1 本剤 20 mg/kg 経口投与後の 5-ALA 薬物動態の比較

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.20/BV MC-ALS.8-I/GLI 症例数 悪性神経膠腫患者 6例 白人健康成人男性 12例 悪性神経膠腫患者 7例 Cmax (mg/L)

31.983 34.009(12.737)

30.939 (17.67-51.62)

20.90(1.25) 21.34(4.24)

20.76(11.65-27.67)

8.27(1.11) 8.31(0.85)

8.24(7.42-9.70) AUC∞ (mg・h/L)

69.039 77.086(40.724)

63.524 (38.57-143.56)

33.13(1.26) 33.88(6.78)

34.15(17.94-41.17)

26.91(1.19) 27.25(4.59)

27.14(20.41-34.63) tmax (h)

0.79 0.83 (0.26) 1.00 (0.5-1.0)

n.a. 0.75(0.26)

0.76(0.50-1.00)

0.94(1.51) 1.01(0.47)

1.00(0.52-2.00)

t1/2 (h)

1.74 2.27(2.35) 1.38(1.1-7.1)

0.92(1.17) 0.93(0.16)

0.88(0.79-1.34)

3.05(2.09) 3.92(3.21)

1.94(1.60-10.04)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、中段:平均値(標準偏差)、下段:中央値(範囲)

n.a.:not available

(NPC-07-1 試験:添付資料 5.3.5.2-1、MC-ALS.20/BV 試験:添付資料 5.3.1.1-1 参、MC-ALS.8-I/GLI 試

験:添付資料 5.3.5.1-1参)

表 2.7.2.3-2 本剤 20 mg/kg 経口投与後の PPIX 薬物動態の比較

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.20/BV MC-ALS.8-I/GLI 症例数 悪性神経膠腫患者 6例 白人健康成人 12例 悪性神経膠腫患者 7例 Cmax (μg/L)

339.709

350.590(98.343) 327.245(252.24-503.09)

279.05 (1.36) 292.45(103.38)

259.18(170.91-561.67)

算出せず

115.00(106.36) 101.71(0.00-258.83)

AUC∞ (μg・h/L)

4034.686 4187.289(1373.979)

3733.361(3163.12-6840.17)

1875.66 (1.47) 2006.36(763.26)

1906.64(970.73-3431.63)

779.90(2.73) 1127.28(998.15)

862.04(247.96-2655.06) tmax (h)

6.11 6.17(0.98)

6.00 (5.0-8.0)

n.a. 3.96(1.39) 4.00(2.50-8.00)

5.73(1.58) 6.27(3.07)

5.48(2.97-11.92) t1/2 (h)

4.62 4.91(1.90)

4.28 (3.0-7.5)

3.57 (1.82) 4.12(2.10) 4.04(1.19-7.76)

2.61(1.63) 2.84(1.22)

3.38(1.52-4.08)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、中段:平均値(標準偏差)、下段:中央値(範囲)

n.a.:not available

(NPC-07-1 試験:添付資料 5.3.5.2-1、MC-ALS.20/BV 試験:添付資料 5.3.1.1-1 参、MC-ALS.8-I/GLI 試

験:添付資料 5.3.5.1-1参)

3 試験の 5-ALA HCl 20mg/kg を経口投与した時の 5-ALA 及び PPIX の血漿中濃度の推移を

それぞれ図 2.7.2.3-1 及び図 2.7.2.3-2 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

13

図 2.7.2.3-1 血漿中 5-ALA 濃度推移

(NPC-07-1 試験、MC-ALS.20/BV 試験、MC-ALS.8-I/GLI 試験)

図 2.7.2.3-2 血漿中 PPIX 濃度推移

(NPC-07-1 試験、MC-ALS.20/BV 試験、MC-ALS.8-I/GLI 試験)

国内試験 STEPⅡ移行時の効果安全性評価委員会において、薬物動態について以下の考察がな

された。

すなわち、薬物動態について、国内試験では 5-ALA は速やかに吸収され PPIX に変換され、

被験者間のデータのばらつきも少なかった。外国の患者で認められたような血漿中 PPIX 濃度の

PPIX (平均値±標準偏差)

MC-ALS.20MC-ALS.8-INPC-07

○○○

△△△

□□□

血漿中濃度(μg/L)

0

100

200

300

400

500

600

時間(h)

0 12 24 36 48

○○

○○

○○△△

△△△

△△

△△

△ △ △

△ △□□□

□□

5-ALA (平均値±標準偏差)

MC-ALS.20MC-ALS.8-INPC-07

○○○

△△△□□□

血漿中濃度(mg/L)

0

10

20

30

40

50

60

時間(h)

0 12 24 36 48

○○○

○ ○ ○△

△△△△△

△△△

△ △ △ △ △ △ △□

□□

□ □ □

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.2 臨床薬理の概要

14

ばらつきが当初予想されたが、今回の成績ではみられなかった。これらの違いは、薬物動態測

定用検体の処理に外国試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)では問題があったと想定せざるを得ず、国

内試験では、PPIX の光での易分解性を考慮し、検体の取扱及び処理において遮光を徹底したこ

とが、成績の差異に影響したと判断することが妥当であると考えられた。従って、国内試験計

画当初は国内及び海外の患者における薬物動態成績を単純に比較することを想定していたが、

検体の取扱及び処理が比較的適切に行われた考えられる外国の健康成人における成績

(MC-ALS.20/BV 試験)と比較することが妥当と判断した。同委員会において、国内試験の Cmax

(平均値及び幾何平均値)が、外国で実施された健康成人での MC-ALS.20/BV 試験のパラメータ

と比較して 1/2 又は 2倍の範囲(50~200%)内に入り、薬物動態上、国内外の成績に大きな差

はないと判断された。なお、AUC∞については、同様の比較において 1/2 又は 2倍の範囲(50~

200%)を若干外れる結果であったが、同委員会において、安全性の観点からは AUC∞よりも Cmax

が重要であるとされた。

上記の結論及び MC-ALS.20/BV 試験での血漿中 5-ALA 並びに PPIX 濃度の推移は NPC-07-1 試

験と同様なパターンを示していることから、国内の患者においても 5-ALA は速やかに吸収され

PPIX に変換されており、国内と外国との薬物動態には類似性が認められると判断した。

以上のことから、薬物動態の結果からは、内因性民族的要因による影響を受けることは少な

いと考えられ、外国臨床試験の成績を利用することについても可能と考えた。

2.7.2.4 特別な試験

実施していない。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤)

第2部 CTDの概要 (サマリー)

2.7 臨床概要

2.7.3 臨床的有効性の概要

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

略語一覧

略語 内 容 5-ALA 5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid)

5-ALA HCl 5-ALA 塩酸塩(5-aminolevulinic acid hydrochloride)

ALT (GPT) アラニントランスアミナーゼ(Alanine transaminase)

AST (GOT) アスパラテートトランスアミナーゼ(Asparatate transaminase)

AUC 血漿中濃度-時間曲線下面積(Area Under the(blood concentration-time) Curve)

CBTRUS Central Brain Tumor Registry of the United States

Cmax 最高血漿中濃度(Maximum drug concentration)

CPMP 欧州医薬品委員会(Committee for Proprietary Medicinal Products)

CTCAE 有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)

EMA 欧州医薬品庁(European Medicine Agency)

FAS 最大解析対象集団(Full analysis set)

-GTP -グルタミルトランスペプチダーゼ(Gamma glutamyl transpeptidase)

KPS Karnofsky performance status

MRI 核磁気共鳴画像法(Magnetic resonance imaging)

NCCN National Comprehensive Cancer Network

NIH 米国国立衛生研究所(National Institute of Health)

OS 全生存期間(Overall survival)

PFS 無増悪生存期間(Progression free survival)

PPIX プロトポルフィリン IX(ProtoporphyrineIX)

PPS 実施計画書適合解析対象集団(Per protocol set)

SAS 安全性解析集団(Safety analysis set)

SD 標準偏差(Standard deviation)

tmax 最高血漿中濃度到達時間(Maximum drug concentration time)

t1/2 消失半減期(Elimination half-life)

WHO 世界保健機構(World Health Organization)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

目次

2.7.3 臨床的有効性の概要 ........................................................................................................... 1 2.7.3.1 背景及び概観 ................................................................................................................... 1

2.7.3.1.1 国内外の臨床試験の経緯 .................................................1 2.7.3.1.2 国内臨床試験のデザイン .................................................2 2.7.3.1.3 外国での臨床試験のデザイン .............................................4

2.7.3.2 個々の試験結果の要約 .................................................................................................. 12 2.7.3.2.1 国内臨床試験の要約 ....................................................12 2.7.3.2.2 外国臨床試験の要約 ....................................................17

2.7.3.3 全試験を通しての結果の比較と解析 ............................................................................ 31 2.7.3.3.1 試験対象集団 ..........................................................31 2.7.3.3.2 全有効性試験の結果の比較検討 ..........................................36

2.7.3.4 推奨用法・用量に関する臨床情報の解析 ..................................................................... 41 2.7.3.4.1外国臨床試験成績の利用.................................................41 2.7.3.4.2投与量選択に関する経緯及び文献情報.....................................41 2.7.3.4.3 用量を検討した試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)..............................42 2.7.3.4.4 本剤 20 mg/kg 投与による蛍光組織における陽性診断率 .....................43

2.7.3.5 効果の持続・耐薬性 ...................................................................................................... 44 2.7.3.6 付録................................................................................................................................ 45 引 用 文 献................................................................................................................................ 46

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

1

2.7.3 臨床的有効性の概要

2.7.3.1 背景及び概観

2.7.3.1.1 国内外の臨床試験の経緯

本剤は、アミノレブリン酸塩酸塩の凍結乾燥製剤で、ドイツの medac 社によって開発された

体内診断薬である。悪性神経膠腫の脳腫瘍切除術として、本剤投与による光線力学診断

(Photodynamic Diagnosis:PDD)により、術野で腫瘍部位が蛍光発色することで視覚化され、腫

瘍細胞が高い密度で存在する組織と正常組織との識別が可能になり、腫瘍切除率の向上が報告

されている 1) 。

本剤は、2002 年 11 月に EMA により悪性神経膠腫手術時の体内診断薬として希少疾病用医薬

品に指定され、2007 年 9 月に EMA の中央承認審査方式による販売承認を受けた。欧州における

承認申請時の臨床的有効性を検討した提出資料は、初発の悪性神経膠腫を対象とした 3試験で

あった。この 3 試験は、腫瘍部位での蛍光の範囲*・質**と投与量との関係を検討した試験

(MC-ALS.8-I/GLI 試験)、術中の生検組織を用いて腫瘍細胞陽性診断率を検討した試験

(MC-ALS.28/GLI 試験)及び蛍光誘導切除術と従来法である白色光下切除術との無作為化比較試

験(MC-ALS.3/GLI 試験)であった。また、他の試験として、承認申請時には試験中であった再発

の悪性神経膠腫を対象として術中の生検組織による腫瘍細胞陽性診断率を検討した試験

(MC-ALS.30/GLI 試験)及び初発の悪性神経膠腫を対象として安全性を主に評価した試験

(MC-ALS.32/GLI 試験)を実施し、販売承認後に成績をまとめた。

一方、ノーベルファーマ株式会社は、本剤の開発にあたり、臨床及び非臨床データパッケー

ジ並びに国内臨床試験の試験方法について、「医薬品第Ⅱ相試験終了後相談」を行い、独立行政

法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から助言を受けた(20 (平成 )年 月 日)。その中

で臨床データパッケージについては、「本邦の承認申請ににおいては、日本の医療環境下におい

て本剤の診断能について検討を行う国内第Ⅲ相試験を主要な試験と位置づけ、本剤の体内診断

薬としての有効性について、本剤投与下の蛍光誘導切除術における蛍光組織の陽性診断率、蛍

光誘導切除術後の残存腫瘍の有無に関する成績等、本剤の日本人に対する診断能に基づいた説

明がなされる必要がある。」との助言を得た。

このことから、今回、初発又は再発の悪性神経膠腫患者を対象として本剤による診断能、安

全性及び薬物動態を検討する第Ⅲ相試験(NPC-07-1 試験)を計画し、実施した。

なお、本剤の国内での開発に関しては、2010(平成 22)年 4 月開催の第 3回未承認・適応外薬

検討会議にて本剤は医療上の必要性の高い未承認薬として評価され、ノーベルファーマ株式会

社は、同年 5月に厚生労働省より開発要請を受けた。

本剤の国内外での臨床的有効性が検討された臨床試験の概要を表 2.7.3.1-1 に示した。

* 蛍光の範囲:白色光下で識別した腫瘍中心部でどの程度の範囲で蛍光を発していたかを 4段階で判定(0/3、

1/3、2/3、3/3) ** 蛍光の質:腫瘍中心部の蛍光の質を「強蛍光」「弱蛍光」「なし」の 3段階で判定

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

2

表 2.7.3.1-1 臨床試験の概要

実施場所

資料区分

試験

番号

試験

区分 対象 デザイン 試験内容

投与量

投与方法**

被験者数

(登録例

数)

添付資料

国内試験

評価資料

NPC-07-

1

第Ⅲ

初 発 又 は

再 発の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤による蛍光切

除術の診断能、安

全性及び薬物動態

を検討した。

20 mg/kg

経口投与 45 5.3.5.2-1

MC-ALS.

8-I/GLI*

第Ⅰ

/Ⅱ相

初 発 の 悪

性 神経 膠

二重盲検

本剤による用量と

腫瘍中心部の蛍光

の範囲、質との用

量相関関係を検討

した。

0.2、2、

20 mg/kg

経口投与

21 5.3.5.1-1

MC-ALS.

28/GLI*

第Ⅱ

初 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤による弱蛍光

及び強蛍光から採

取した生検標本に

おける腫瘍細胞陽

性診断率を検討し

た。

20 mg/kg

経口投与 36

5.3.5.2-2

MC-ALS.

3/GLI*

第Ⅲ

初 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検、

無作為化

本剤による蛍光切

除術の有効性と安

全性を従来法であ

る白色光切除術と

の比較により臨床

的有用性を検討し

た。

20 mg/kg

経口投与

対象群:

投与なし

本剤:207

対照:208

5.3.5.1-2

MC-ALS.

30/GLI

第Ⅱ

再 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤による弱蛍光

及び強蛍光から採

取した生検標本に

おける腫瘍細胞陽

性診断率を検討し

た。

20 mg/kg

経口投与 40

5.3.5.2-3

外国試験

参考資料

MC-ALS.

32/GLI

第Ⅲ

初 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤 20 mg/kg 投与

による悪性神経膠

腫の蛍光切除後の

有害事象発現率を

検討した。また全

生存期間について

検討した。

20 mg/kg

経口投与 243

5.3.5.2-4

* 欧州承認申請資料 ** すべての臨床試験において、メダック社品を使用した。

2.7.3.1.2 国内臨床試験のデザイン

(添付資料 5.3.5.2-1)

国内臨床試験(NPC-07-1 試験)は、非盲検、非対照、多施設共同試験で実施した。本試験は

2つの STEP で構成され、STEPⅠでは、少数例の被験者で安全性と薬物動態を中心に検討し、STEP

Ⅱでは症例数を増やし本剤の診断能と安全性を検討することとした。STEPⅠから STEPⅡへの移

行については、効果安全性評価委員会により薬物動態及び安全性について評価を行って決定す

ることとした。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

3

対象疾患は外国で実施された臨床試験と同じく、初発及び再発の悪性神経膠腫(WHO グレー

ドⅢ/Ⅳ)とした。用法・用量は、外国の臨床試験で使用され、承認用量でもある 20 mg/kg

とした。外国臨床試験では肝機能値検査値の上昇がみられており、国内臨床試験でも発現する

可能性も否定できないが、これらは一過性であり、多くの症例がグレード 2以下であり回復性

も認められたことから、国内臨床試験では STEPⅠを設定し、安全性を慎重に評価することとし

た。有効性に関する主要評価項目は、本剤の診断能の直接的な評価方法であり外国の臨床試験

成績との比較を可能とするために、蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織における腫瘍

細胞がすべて陽性と判定された患者割合)を設定した。また、評価の客観性を保持するため、

採取する生検組織の病理判定を生検組織割付け表を用いて盲検下で行うこととした。副次評価

項目では、蛍光組織での蛍光の質、生検組織ごとの陽性診断率、残存腫瘍のない患者の割合、

さらに可能な場合として非蛍光組織での陽性診断率と感度及び特異度をそれぞれ評価項目とし

て設定した。本剤の国内臨床試験の試験方法を表 2.7.3.1-2 に示した。

表 2.7.3.1-2 国内臨床試験(NPC-07-1 試験)の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 NPC-07-1

試験表題名 NPC-07 の悪性神経膠腫に対する第Ⅲ相臨床試験

試験の目的 初発及び再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)を対象として、本剤によ

る蛍光切除術の診断能、安全性及び薬物動態の検討を行う。

試験デザイン 非盲検、非対照、多施設共同試験(有効性評価の病理判定は盲検化)

STEPⅠ及び STEPⅡで構成

被験者数 解析時:45 例(STEPⅠ:10 例、STEPⅡ:35 例)

対象 主な選択基準:

・ 年齢 18~70 歳の患者

・ 放射線学的診断で初発又は再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60以上の患者

主な除外基準:

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン 2.0 mg/dL 以上) の患者

・ 肝機能障害(ALT 100 IU/L 以上、AST 100 IU/L 以上、γ-GTP 100 IU/L 以

上、又は総ビリルビン 3 mg/dL 以上)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

使用薬剤 1 バイアル中に 5-ALA HCl(以下「本薬」)を 1.5g含有する凍結乾燥製剤

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2~4時間)に、本剤 20 mg/kg

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

4

を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:

・ 蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべて陽

性と判定された患者割合)

副次評価項目:

・ 蛍光組織での蛍光の質の評価(「強」、「弱」、「なし」)

・ 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

・ 残存腫瘍のない患者の割合(術後 72 時間以内の MRI 検査による)

・ 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)におけるそれ

ぞれの生検組織ごとの陽性診断率(可能な場合に算出)

・ 感度(Sensitivity)と特異度(Specificity)(可能な場合に算出)

薬物動態

STEPⅠのみ、本剤投与前、投与後 0.5、1、2、3、4、5、6、8、12、24、48

時間の血漿中 5-ALA 及び代謝物である PPIX 濃度の測定を行った。また、薬

物動態パラメータ(Cmax、AUCt、tmax及び t1/2)を算出した。

安全性

報告されたすべての有害事象、KPS スコア、Glasgow Coma Scale、12 誘導

心電図、体温、脈拍、血圧及び臨床検査値を基に評価を行う。なお、手術

中に心電図、動脈血酸素分圧、体温、脈拍及び血圧をモニターし、臨床的

に意味のある異常が認められた場合には有害事象とする。

観察期間 本剤投与後 28 日間

試験期間 2010 年 9 月 日~2011 年 12 月 日

2.7.3.1.3 外国での臨床試験のデザイン

外国で実施された臨床的有効性を検討した臨床試験は、初発の悪性神経膠腫を対象として腫

瘍部位での蛍光の質・範囲と用量との関係を検討した試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)、術中の生検

組織による腫瘍細胞陽性診断率を検討した試験(MC-ALS.28/GLI 試験)及び蛍光誘導切除術と従

来法である白色光下切除術との無作為化比較試験(MC-ALS.3/GLI 試験)の 3試験、また、再発の

悪性神経膠腫を対象として術中の生検組織による腫瘍細胞陽性診断率を検討した試験

(MC-ALS.30/GLI 試験)並びに初発の悪性神経膠腫を対象として安全性を主に評価した試験

(MC-ALS.32/GLI 試験)の 2 試験で合計 5 試験であった。これらの試験デザインを以下に示し

た。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

5

(1) 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験

(MC-ALS.8-I/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.1-1 参)

本試験は、初発の悪性神経膠腫を対象に無作為化二重盲検法により、3用量(0.2、2、20 mg/kg)

と有効性との関係の検討を行った。併せて血漿中 5-ALA 及び PPIX 濃度を測定した。本試験の試

験方法の要約を表 2.7.3.1-3 に示した。

表 2.7.3.1-3 MC-ALS.8-I/GLI 試験の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.8-I/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術術に対する臨床第

Ⅰ/Ⅱ相試験

試験の目的 主目的:

・ 用量(0.2、2、20 mg/kg)に対して、腫瘍中心部の蛍光の範囲(白色光下で識

別される腫瘍中心部の範囲との比較)及び腫瘍中心部の蛍光の質(「強」「弱」

「なし」)について用量相関関係を検討する。

副次目的:

・ 主観的評価により蛍光の質が評価された領域を、客観的コントロールとし

て分光測定法により測定する。

・ 分光測定法の測定結果との比較のため、術中に採取した生検組織の組織学

的検査を行う。

・ 正常組織と腫瘍組織間の最適なコントラストの算出を設定したが、実施し

なかった。

・ 蛍光切除術の容易化に関する評価を実施する。

・ 本剤の安全性評価を実施する。

・ 本剤(5-ALA)と PPIXの薬物動態を検討する。

試験デザイン 無作為化、二重盲検、3群(0.2、2、20 mg/kg)比較

(病理組織診断、放射線学的診断は盲検化)

被験者数 解析時:21 例(各群 7例)

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)

と推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍手術であり、前治療がされていない患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 70以上の患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

6

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5g 含有する凍結乾燥製剤

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2.5~3.5 時間)に本剤 0.2、

2 又は 20 mg/kg を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:腫瘍中心部での蛍光の範囲及び蛍光の質と投与量との用量相関

関係

・ 腫瘍中心部での蛍光の範囲と 3用量の用量相関関係

蛍光の範囲:白色光下で識別した腫瘍中心部でどの程度の範囲で蛍光を

発していたかを 4段階で判定(0/3、1/3、2/3、3/3)

・ 腫瘍中心部での蛍光の質と 3用量の用量相関関係

蛍光の質:腫瘍中心部の蛍光の質を「強蛍光」「弱蛍光」「なし」の 3段

階で判定

副次評価項目:

・ 蛍光の質に関する主観的評価を客観化:蛍光の質に対応した領域の分光測

定法による測定

・ 分光計測定法による蛍光の質と採取した生検組織の腫瘍細胞密度(腫瘍細

胞によって占められている切片上の面積比率の平均)の分析

・ 蛍光誘導切除術による容易化の評価(4段階)

薬物動態:5-ALA、PPIX:t1/2、AUC∞、Cmax、tmax

(採血時間:投与前、投与後 0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、6、

7、8、10、12、18、24、48 時間)

安全性:有害事象, 臨床検査、一般状態(KPS スコア)、神経学的状態(NIH Stroke

Scale)

観察期間 投与後 28 日間

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

(2) 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅱ相試験

(MC-ALS.28/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.2-2 参)

本試験は、初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢまたはⅣ)を対象疾患とした非盲検、非対

照、多施設共同試験で実施した。本試験の試験方法の要約を表 2.7.3.1-4 に示した。

表 2.7.3.1-4 MC-ALS.28/GLI 試験の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.28/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅱ相試

試験の目的 弱及び強蛍光を発する領域から採取した生検組織における腫瘍細胞がすべて

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

7

陽性と判定される患者の割合と定義される蛍光組織の陽性診断率を求める。

試験デザイン 非盲検、単一群、非対照、多施設共同、

中央判定(病理組織診断、神経放射学的診断)

被験者数 解析時:36 例

対象 主な選択基準:

・放射線学的診断(MRI検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・外科的腫瘍切除の適応がある患者

・初回の腫瘍手術であり、前治療がされていない患者

・Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60 以上の患者

主な除外基準:

・ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL) の患者

・肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60 %、 -GTP

>100 U/L)の患者

・他の悪性腫瘍の治療中の患者

・妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5g 含有する凍結乾燥製剤

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3 時間(範囲:2.5~3.5 時間)に、本剤 20

mg/kg を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:

・蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべて陽性

と判定された患者割合)

副次評価項目:

・蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

・蛍光の質、蛍光強度、腫瘍細胞密度、組織学的評価との相関関係

‐分光測定法で測定された蛍光強度

‐腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の面積比率の平

均)

‐組織学的評価(活性、充実性、増殖性腫瘍;浸潤腫瘍;壊死;正常組織)

・蛍光切除術による切除の容易化の評価

・術中に観察された残存蛍光部位の評価と術後早期(72 時間以内)の MRI 検

査でのコントラスト増強(残存腫瘍)との比較

・本剤の安全性評価

観察期間 投与後 28 日間

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

(3) 5-アミノレブリン酸による悪性神経膠腫の蛍光誘導切除術と従来法である白色光切除術と

の比較試験(MC-ALS.3/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.1-2 参)

本試験は、本剤投与による初発の悪性神経膠腫における蛍光切除術と従来法である白色切除

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

8

術との有効性及び安全性を比較により評価し、臨床的有用性を検討することを目的に無作為化、

群間比較、多施設共同試験で実施した。なお、主要評価項目の、術後 6ヵ月の無増悪生存期間

(PFS)については、試験開始後である2002年2月にEMAの「Points to consider on the evalustion

of diagnostic agents(CPMP2001)」に準拠し、診断薬の臨床的有用性の評価のために追加され

た。本試験の試験方法の要約を表 2.7.3.1-5 に示した。

表 2.7.3.1-5 MC-ALS.3/GLI 試験の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.3/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸による悪性神経膠腫の蛍光誘導切除術と従来法である白

色光切除術との比較試験

試験の目的 本剤による悪性神経膠腫の蛍光切除術の有効性と安全性を、従来法である白色

光切除術との比較により評価し、本剤による蛍光切除術の臨床的有用性を検討

する。

試験デザイン 無作為化、評価者の盲検化、群間比較、多施設共同

中央判定(病理組織診断、放射線学的診断)

被験者数 解析時:合計 415 例

本剤群:207 例、白色光源下での切除術群(対照群):208 例

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発、単一病変の悪性神経膠腫(WHO グレー

ドⅢ/Ⅳ)と推定された患者

・ MRI 検査でリング状の形状を有するが、二次性(secondary)悪性神経膠腫

を除外するために顕著な非増強性腫瘍組織を認めない、完全切除が可能な

患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍切除であり、腫瘍に対する前治療がされていない患者

・ Karnofsky Perfomance Status(KPS)スコア 70 以上の患者

主な除外基準:

・ 腫瘍部位が正中線上、基底核、小脳又は脳幹にある患者

・ 原発病変とは無関係の複数の造影される病変を有する患者、又は大脳以外

に転移を有する患者

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L) の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5g 含有する凍結乾燥製剤

投与方法 本剤群:悪性神経膠腫手術時の麻酔導入 3 時間前(範囲:2~4 時間)に、本

剤 20 mg/kg を単回経口投与する。

なお、対照群は、白色光下で行う切除術であり、薬剤投与は行わない。

評価項目 主要評価項目:

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

9

組織学的に悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と確認された患者を対象とし

・ 残存腫瘍のない患者の割合(術後 72 時間以内の MRI 検査による)

・ 術後 6ヵ月の無増悪生存率(PFS)

副次評価項目:

・ 残存腫瘍の容積

・ 術後 9、12、15、18 ヵ月後の無増悪生存率

・ 死亡までの全生存期間、ただし最後の組み入れ患者の術後 18 ヵ月以内

・ 本剤の安全性評価

・ 初回手術後 7日、6、12週、6、9、12、18 ヵ月の神経学的状態

・ 蛍光診断結果(術中残存腫瘍)と術後早期 MRI 診断結果(残存腫瘍)との

比較

観察期間 投与後 18 ヵ月間

試験期間 1999 年 10 月 8 日~2004 年 7 月 19 日

(4) 5-アミノレブリン酸塩酸塩の再発治療での悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅱ相試

験(MC-ALS.30/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.2-3 参)

本試験は、再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)を対象疾患とした非盲検、非対照、

多施設共同試験で実施した。本試験の試験方法の要約を表 2.7.3.1-6 に示した。

表 2.7.3.1-6 MC-ALS.30/GLI 試験の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.30/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の再発治療での悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対す

る第Ⅱ相試験

試験の目的 弱及び強蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべて陽性と判定された患

者の割合として定義し、蛍光組織の陽性診断率を求める。

試験デザイ

非盲検、単一群、非対照、非無作為化、多施設共同

中央判定(病理組織診断、放射線学的診断)

被験者数 解析時:40 例(有効性 36 例、安全性 40 例)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

10

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)

と推定された患者

・ 外科的腫瘍再切除の適応がある患者

・ 悪性神経膠腫と診断され開頭切除術の既往がある患者(切除術プラス、標

準的な放射線治療を受けた患者を含むが、バイオプシーのみの患者は含ま

ない)

・ Karnofsky Performance Status (KPS)スコア 60 以上の患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン>3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP >

100 U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

使用薬剤 1バイアル中に本薬を 1.5g 含有する凍結乾燥製剤

投与方法 再発悪性神経膠腫の手術の麻酔導入 3 時間前(範囲:2.5~3.5 時間)に、本剤

20 mg/kg を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:

・蛍光組織の陽性診断率(複数の蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべ

て陽性と判定された患者の割合)

副次評価項目:

・蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率(腫瘍細胞が陽性であった生検標本

数の割合)

・残存腫瘍のない患者の割合

・全生存期間

・再切除前後の神経学的状態(NIH Stroke Scale)と一般状態(KPS スコア)

の変化

・本剤の安全性評価

観察期間 最終組み入れ症例の投与後 6ヵ月

(最大 21.2 ヶ月)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

(5) 5-アミノレブリン酸の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する臨床試験(MC-ALS.32/GLI 試

験)

(添付資料 5.3.5.2-4 参)

本試験は、初発の悪性神経膠腫患者を対象とした非盲検、多施設共同試験で実施した。本試

験の試験方法の要約を表 2.7.3.1-7 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

11

表 2.7.3.1-7 MC-ALS.32/GLI 試験の試験方法の要約

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.32/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する臨床試験

試験の目的 主目的:

・ 本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する蛍光切除術後の有害

事象発現率を検討する。

副次目的:

・ 本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する蛍光切除術後の身体

状態の変化を Karnofsky Performance Status スコアを用いて検討する。

・ 悪性神経膠腫患者(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する蛍光切除術後の全生存

率を最後の患者登録後 6週間まで検討する。

試験デザイン 非盲検、単一群、多施設共同

被験者数 解析時:243 例(SAS:243 例、FAS:219 例)

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ Karnofsky Performance Status スコア 70%以上の患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ 術前と術中の病理診断が悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と不一致の

患者

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5g 含有する凍結乾燥製剤

投与方法 悪性神経膠腫手術前 3 時間(範囲:2~6 時間)に、本剤 20mg/kg を単回経口

投与する。

評価項目 有効性:

全生存期間(OS);悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)の蛍光切除術から

死亡までの生存期間。評価は、最終患者登録後 6週間までとする(副

次評価項目)

安全性:

主要評価項目:本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する光切

除術後の有害事象発現率。

副次評価項目:蛍光切除術後の身体状態の変化(KPS による術後 7日及び

6週の評価)

観察期間 最終組み入れ症例の投与後 6ヵ月

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

12

(最大 27.4 ヶ月)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2.7.3.2 個々の試験結果の要約

表 2.7.3.1-1 に示した本剤の臨床的有効性が検討された臨床試験結果の要約を以下に示した。

2.7.3.2.1 国内臨床試験の要約

(添付資料 5.3.5.2-1)

(1) 解析したデータセット

本試験では、本剤が投与された 45 例を安全性解析対象例とした。そのうち、術中迅速診断

で基準(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に合致しない又は腫瘍本体が蛍光しない 7例を除いた 38 例(初

発 22 例、再発 16 例)を最大の解析対象集団(Full Analysis Set、以下「FAS」)とした。

(2) 人口統計学的及び他の基準値の特性

FAS を対象とした被験者の年齢(平均値±標準偏差)は 54.0±11.6 歳、体重は 60.4±12.2 kg

であった。男女比率に大きな偏りはなく、初発及び再発の割合にも大きな偏りはなかった。中

央病理判定において、WHO グレードⅢの被験者は 13 例(34.2%)、WHO グレードⅣの被験者が

23 例(60.5%)、WHO グレードⅢ/Ⅳに該当しなかった被験者が 2例(5.3%)であった。被験

者背景の要約を表 2.7.3.2-1 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

13

表 2.7.3.2-1 被験者背景の要約(FAS) 項目 例数 (%)

(N=38)

平均値 54.0

標準偏差 11.6

最小値 24 中央値 58.0

年齢 (歳)

最大値 70 男性 20 ( 52.6) 性別 女性 18 ( 47.4)

平均値 161.4

標準偏差 9.2

最小値 145.0

中央値 161.5

身長(cm)

最大値 181.1

平均値 60.4

標準偏差 12.2

最小値 40.1

中央値 61.4

体重 (kg)

最大値 86.0

初発 22 ( 57.9) 初発/再発

再発 16 ( 42.1)

Ⅲ 13 ( 34.2)

Ⅳ 23 ( 60.5)

中央病理判定 WHO グレード

その他 2 ( 5.3)

Anaplastic astrocytoma 4 ( 10.5)

Glioblastoma 23 ( 60.5)

Anaplastic oligodendroglioma 5 ( 13.2)

Anaplastic oligoastrocytoma 3 ( 7.9)

Anaplastic epedymoma 1 ( 2.6)

中央病理判定 判定別症例数

Others 2 ( 5.3)

(3) 主要評価項目

FAS を対象とした蛍光組織の陽性診断率を表 2.7.3.2-2 に示した。生検標本は、白色光下で

腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して採取した。

FASを対象とした38例のうち蛍光組織の生検標本のすべてが腫瘍細胞陽性と判定された患者

の割合(陽性診断率)は 65.8%(95%信頼区間:48.6~80.4%、90%信頼区間:51.2~78.4%)

であった。また、FAS で強蛍光及び弱蛍光別で集計を行ったところ陽性診断率はそれぞれ 94.4%

(95%信頼区間:81.3~99.3%、90%信頼区間:83.5~99.0%)及び 65.8%(95%信頼区間:

48.6~80.4%、90%信頼区間:51.2~78.4%)であり、強蛍光の陽性診断率は弱蛍光より高か

った。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

14

表 2.7.3.2-2 蛍光組織の陽性診断率(FAS)

区分 例数 蛍光組織の生検標本

すべてが腫瘍細胞陽性と 判定された患者数

陽性診断率 (%)

95%信頼区間 (%)

90%信頼区間 (%)

38 25 65.8 48.6 - 80.4 51.2 - 78.4

強蛍光 36 34 94.4 81.3 - 99.3 83.5 - 99.0

弱蛍光 38 25 65.8 48.6 - 80.4 51.2 - 78.4

注) 強蛍光及び弱蛍光の評価対象例数は、それぞれ 1検体以上が採取できた例数とした。

(4) 副次評価項目

1) 蛍光組織での蛍光の質の評価

FAS を対象とした 38 例のうち、白色光下で腫瘍部位を切除した後に、強蛍光領域で 3検体を

採取できたのは 36 例であり、再発例であった 2例で強蛍光の検体を採取できなかった。弱蛍光

は 38 例全例から 3検体の組織を採取できた。非蛍光領域については、可能であれば組織を採取

することとしていたが、腫瘍近接部位で、2検体を採取できたのは 34 例、1検体のみを採取で

きたのは 2例、2例が採取できなかった。非蛍光遠隔部位では、2検体を採取できたのは 31 症

例、1検体のみを採取できたのは 1例、6例が採取できなかった。

2) 蛍光組織での組織ごとの陽性診断率

FAS を対象とした蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率を強蛍光、弱蛍光及び強蛍光+弱

蛍光別に表2.7.3.2-3に示した。強蛍光+弱蛍光の生検組織における陽性診断率は85.6%(95%

信頼区間:80.3~89.9%)であった。強蛍光の生検組織における陽性診断率は 94.4%(95%信

頼区間:88.3~97.9%)であり、弱蛍光の生検組織では陽性診断率は 77.2%(95%信頼区間:

68.4~84.5%)であった。36 例では、強蛍光領域で採取した 102 検体がすべて腫瘍細胞陽性と

判定された。残る 2 例では強蛍光で採取された 3 検体すべてが腫瘍陽性判定陰性であり、2 例

ともに再発例であった。陽性診断率は強蛍光の生検組織の方が高かった。

表 2.7.3.2-3 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率(FAS)

生検組織 組織数 陽性判定数 陽性診断率(%) 95%信頼区間(%)

強蛍光 108 102 94.4 88.3 - 97.9

弱蛍光 114 88 77.2 68.4 - 84.5

強蛍光+弱蛍光 222 190 85.6 80.3 - 89.9

注)評価例数 N=38

3) 残存腫瘍のない患者の割合

術後 72 時間以内に MRI 検査を実施し、各被験者における腫瘍の摘出率を判定した。残存腫瘍

のない患者の割合及び腫瘍摘出率の分布について、FAS を対象とした結果を表 2.7.3.2-4 に示

した。MRI 検査で確認された残存腫瘍のない被験者は 39.5%(95%信頼区間:24.0~56.6%)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

15

であり、約 60%の被験者に残存腫瘍が確認された。腫瘍摘出率の分布から、腫瘍摘出率が 95%

以上の被験者は 71.1%であった。また、腫瘍摘出率が 50%未満の被験者はいなかった。

表 2.7.3.2-4 残存腫瘍のない患者の割合及び腫瘍摘出率の分布(FAS)

例数(%) 95%信頼区間(%)

残存腫瘍のない患者の割合 15 ( 39.5) 24.0 - 56.6

腫瘍摘出率の分布

100% 15 ( 39.5)

95% 12 ( 31.6)

90% 3 ( 7.9)

75% 6 ( 15.8)

50% 2 ( 5.3)

50%未満 0 ( 0.0)

注) 評価例数 N=38

4) 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)におけるそれぞれの生検組織

ごとの陽性診断率

FAS を対象とした、蛍光領域に近接した非蛍光領域及び腫瘍から遠隔の非蛍光領域における

生検組織ごとの陽性診断率の結果を表 2.7.3.2-5 に示した。生検組織ごとの陽性診断率は、

近接領域では 61.1%(95%信頼区間:48.9~72.4%)、遠隔領域では 47.5%(95%信頼区間:

34.6~60.7%)であった。非蛍光である近接領域及び遠隔領域のいずれの領域においても、

腫瘍細胞が浸潤していることが示された。

表 2.7.3.2-5 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)

における生検組織ごとの陽性診断率(FAS)

生検組織 組織数 陽性判定数 陽性率(%) 95%信頼区間(%)

近接領域 72 44 61.1 48.9 - 72.4

遠隔領域 61 29 47.5 34.6 - 60.7

注) 評価例数 N=38

5) 感度と特異度

診断薬としての感度及び特異度について、FAS を対象とした結果を表 2.7.3.2-6 に示した。

腫瘍細胞陽性と判定された計 263 検体中、蛍光が確認されたものは 190 検体であり、感度は

72.2%(95%信頼区間:66.4~77.6%、90%信頼区間:67.3~76.8%)であった。また、腫

瘍細胞陰性と判定された計 92 検体中、蛍光が確認されなかったものは 60 検体であり、特異

度は 65.2%(95%信頼区間:54.6~74.9%、90%信頼区間:56.2~73.5%)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

16

表 2.7.3.2-6 感度及び特異度(FAS)

陽性 陰性 95%信頼区間(%) 90%信頼区間(%)

蛍光組織 190 32 感度(%) 72.2 66.4 - 77.6 67.3 - 76.8

非蛍光組織 73 60 特異度(%) 65.2 54.6 - 74.9 56.2 - 73.5

合計 263 92

注) 評価例数 N=38

(5) 初発/再発別の陽性診断率

蛍光組織の陽性診断率及び蛍光組織の生検組織ごとの陽性診断率について、悪性神経膠腫の

初発・再発別の集計を行った。

1) 蛍光組織の陽性診断率

FAS を対象とした蛍光組織での陽性診断率の結果を、初発及び再発別に表 2.7.3.2-7 に示し

た。初発及び再発別の陽性診断率は、初発が 63.6%(95%信頼区間:40.7~82.8%、90%信頼

区間:43.9~80.4%)、再発が 68.8%(95%信頼区間:41.3~89.0%、90%信頼区間:45.2~

86.8%)であり、初発及び再発による大きな差はなかった。また、強蛍光及び弱蛍光別の陽性

診断率においても、初発及び再発による大きな差はなかった。

表 2.7.3.2-7 初発及び再発別の蛍光組織の陽性診断率(FAS)

区分 例数 蛍光組織の生検標本

すべてが腫瘍細胞陽性と判定された患者数

陽性診断率

(%)

95%信頼区間

(%)

90%信頼区間

(%)

22 14 63.6 40.7 - 82.8 43.9 - 80.4

強蛍光 22 22 100.0 84.6 - 100.0 87.3 - 100.0 初発

弱蛍光 22 14 63.6 40.7 - 82.8 43.9 - 80.4

16 11 68.8 41.3 - 89.0 45.2 - 86.8

強蛍光 14 12 85.7 57.2 - 98.2 61.5 - 97.4 再発

弱蛍光 16 11 68.8 41.3 - 89.0 45.2 - 86.8

注) 強蛍光及び弱蛍光の評価対象例数は、それぞれ 1検体以上が採取、測定できた例数とした。

2) 蛍光組織の生検組織ごとの陽性診断率

FAS を対象とした蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率の結果を、初発及び再発別に表

2.7.3.2-8 に示した。再発患者における強蛍光組織の陽性診断率は、初発患者に比しやや低い

傾向が見られたが、大きな差はなかった。また、弱蛍光組織の陽性診断率は、再発患者と初発

患者で差はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

17

表 2.7.3.2-8 初発及び再発別の蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率(FAS)

生検組織 組織数 陽性判定数 陽性率(%) 95%信頼区間(%)

強蛍光 66 66 100.0 94.6 - 100.0

弱蛍光 66 51 77.3 65.3 - 86.7

初発

強蛍光+弱蛍光 132 117 88.6 82.0 - 93.5

強蛍光 42 36 85.7 71.5 - 94.6

弱蛍光 48 37 77.1 62.7 - 88.0

再発

強蛍光+弱蛍光 90 73 81.1 71.5 - 88.6

注) 評価例数 初発:N=22 再発:N=16

(6) 5-ALA 及び PPIX の薬物動態、STEPⅡへの移行

本試験の 5-ALA 及び PPIX の薬物動態については、2.7.2.2.2 に記載した。

STEPⅡへの移行について、移行する際の薬物動態及び安全性に関する検討の内容を

2.7.6.1.2 に記載した。

(7) 有効性のまとめ

本剤投与により高い陽性診断率が示され、特に強蛍光領域ではほぼ 100%の診断率であるこ

とから、腫瘍組織を特異的に視覚化できた。これに対し、弱蛍光領域では正常細胞が混在して

おり、強蛍光領域に比べると腫瘍細胞数が少ない領域であることから、本剤投与により 70%

の陽性診断率を示したことは妥当な結果と考えられた。これらの結果から、従来法である白色

光下では境界が不鮮明で腫瘍組織が切除されずに残存していたと考えられるが、強蛍光領域を

積極的に腫瘍を切除することが可能となり、また、弱蛍光領域では、正常細胞が混在しており

腫瘍細胞密度が低いために、重要な神経機能に近接して機能障害の問題がない領域であれば切

除することが可能となることから、本剤投与による切除率の向上が期待される。

2.7.3.2.2 外国臨床試験の要約

2.7.3.2.2.1 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅰ/Ⅱ相試験

(MC-ALS.8-I/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.1-1 参)

(1) 解析のデータセット

21 例全例(各群 7例)が有効性の解析対象とされた。

(2) 人口統計学的データ及び最終診断名

各投与群の人口統計学的データ及び最終診断名を表 2.7.3.2-9 に示す。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

18

表 2.7.3.2-9 人口統計学的データ及び最終診断名

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

(歳)

中央値(範囲)

平均値(SD)

≦55

>55

59.0(57-65)

59.7( 2.5)

0

7( 100%)

63.0(51-70)

61.3( 6.9)

1( 14%)

6( 86%)

62.0(37-69)

56.0(13.5)

3( 43%)

4( 57%)

男性

女性

4(57%)

3(43%)

4(57%)

3(43%)

6(86%)

1(14%)

(kg)

中央値(範囲)

平均値(SD)

70.0(66.0-102.0)

75.8( 12.80)

73.0(52.0-101.5)

78.8( 19.68)

74.0(62.0-82.0)

72.9( 6.54)

最 終 診 断 名

退形成性星細胞腫

膠芽腫

膠肉腫

0

7(100%)

0

0

5(71%)

2(29%)

1(14%)

6(86%)

0

(3) 主要評価項目

図 2.7.3.2-1 に投与量ごとの腫瘍中心部での蛍光の範囲、図 2.7.3.2-2 に投与量ごとの腫瘍

中心部での蛍光の質を示した。

腫瘍中心部において、投与量と蛍光の範囲及び蛍光の質との間には増加傾向が認められた(蛍

光の質及び範囲、いずれも P<0.0001 Jonckheere- Terpstra 検定)。また、3用量群間で、蛍光

の範囲及び蛍光の質に関して、統計学的に有意差が見られた(Wilcoxon-Mann-Whitney 検定)。

最高投与量である 20 mg/kg では腫瘍中心部の蛍光の質及び範囲において最も効果的であった。

図 2.7.3.2-1 投与量ごとの腫瘍中心部での蛍光の範囲

蛍光の範囲(腫瘍中心部)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

19

図 2.7.3.2-2 投与量ごとの腫瘍中心部での蛍光の質

(4) 副次評価項目

1) 分光測定法により測定した腫瘍中心部及び腫瘍境界部の蛍光強度と主観的に評価された

蛍光の質との比較

主観的に評価した蛍光の質(「強蛍光」、「弱蛍光」、「なし」)が弱蛍光から強蛍光になるに

従って、分光測定法による蛍光強度は有意な増加を示した。「強蛍光」と評価された蛍光の質

は、分光測定法による高度の蛍光強度と有意に一致することを示した。この一致は、腫瘍中

心部及び腫瘍境界部のいずれにおいても同様にみられ、統計学的に有意であった(いずれも

P<0.0001 Jonckheere-Terpstra 検定)。

腫瘍中心部における 3つの蛍光の質は、それぞれお互いに有意に異なっていた(なし対弱:

P=0.001、弱対強:P=0.002、なし対強:P<0.0001 Wilcoxon-Mann-Whitney 検定)。

2) 分光測定法による蛍光の測定結果と生検組織の組織学的検査

20 mg/kg 群において、腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の面積比率

の平均)と分光測定法による蛍光強度との間には有意な正の相関が認められた(P=0.011

Spearman Correlation Coefficient 0.5)。

3) 蛍光切除術による容易化の評価

蛍光切除術は、術者による 4 段階の印象による評価により、腫瘍切除を容易にしたとの評

価と用量の相関が傾向検定により示され、最高用量(20 mg/kg 群)では最も容易化したとさ

れた(P<0.0001 Jonckheere-Terpstra 検定)。

なお、正常組織と腫瘍組織間の最適なコントラストの算出は、正常組織の蛍光強度の測定

がこの試験では必須ではなかったことから、実施されなかった。

蛍光の質(腫瘍中心部)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

20

(5) 有効性のまとめ

各用量と腫瘍中心部における蛍光範囲及び質との間に用量―有効性の正の関係が明らかと

なった。最高投与量の 20 mg/kg が最も有効であると判定された。腫瘍中心部及び腫瘍境界部と

もに主観的に評価した蛍光の質(「強度」、「微弱」、「なし」)と分光測定法により測定した蛍光

強度は有意に一致しており、腫瘍中心部及び腫瘍境界部ともに当てはまった。蛍光切除術は、

術者による 4段階の印象による評価により、腫瘍切除を容易にしたとの評価と用量の相関が傾

向検定により示され、最高用量の 20 mg/kg 群では最も容易化したとされた。

本試験の安全性評価を加味したリスク/ベネフィットから、悪性神経膠腫蛍光切除には本剤

20 mg/kg が最適な用量であると判断した。

2.7.3.2.2.2 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅱ相試験

(MC-ALS.28/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.2-2 参)

(1) 解析データセット

FAS である 33 例が有効性の解析対象とされた。

(2) 人口統計学的データ及び最終診断名

FAS における人口統計学データ及び最終診断名を表 2.7.3.2-10 に示した。

表 2.7.3.2-10 人口統計学及び最終診断名(FAS)

項目 例数

男性 18 ( 54.5%) 性

女性 15 ( 45.5%)

≦55 13 ( 39.4%)

>55 20 ( 60.6%)

平均値(SD) 56.6 ( 13.4) 年齢(歳)

中央値(範囲) 61.0 ( 21-72)

平均値(SD) 77.1 ( 11.7)

体重(kg) 中央値(範囲) 75.0 (58-105)

WHO グレードⅢ 4 ( 12.1%)

退形成性星細胞腫 4 ( 12.1%)

WHO グレードⅣ 29 ( 87.9%)

膠芽腫

膠肉腫

28 ( 84.8%)

1 ( 3.0%)

(3) 主要評価項目

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

21

蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の

面積比率の平均)を表2.7.3.2-11に示した。強蛍光の生検組織における腫瘍細胞密度は、

平均 79.09±20.09%であるのに対し、弱蛍光では、平均 30.78±27.88%であった。4.5%

の最小腫瘍細胞密度は、術者により「弱」蛍光としての判定が可能であった。

すべての蛍光(強及び弱蛍光)による腫瘍細胞密度は、平均 79.12±19.78%であった。

表 2.7.3.2-11 蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度

腫瘍細胞密度(%) 蛍光の質 例数

平均 SD 中央値 範囲

強蛍光 32 79.09 20.09 88.20 12.6-88.2

弱蛍光 30 30.78 27.88 12.60 4.5-88.2

すべての蛍光 33 79.12 19.78 88.20 12.6-88.2

注)腫瘍細胞密度:腫瘍細胞によって占められる切片上の面積比率

主要評価項目である蛍光誘導による陽性診断率を、表 2.7.3.2-12 に示す。生検標本は、白

色光下で腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して採取し

た。蛍光が「強」の場合の陽性診断率 100.0%(90%信頼区間:91.1~100.0%)は、蛍光が「弱」

の場合の 83.3%(90%信頼区間:68.1~93.2%)よりも高かった。全体として、「強」、「弱」

の蛍光を発する領域から採取したすべての生検組織において腫瘍細胞が認められた患者は 28

例であり、その陽性診断率は 84.8%(90%信頼区間:70.7~93.8%)であった。

表 2.7.3.2-12 蛍光誘導による陽性診断率

(4) 副次評価項目

1) 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

白色光下で腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して

採取した 185 検体が評価された。その陽性診断率を表 2.7.3.2-13 に示す。すべての蛍光を発

する領域から採取された生検組織の陽性診断率は 96.2%(90%信頼区間:93.0~98.2%)で、

強蛍光の生検組織の陽性診断率(100%、90%信頼区間:96.9~100%)は、弱蛍光の生検組

織(92.2%、90%信頼区間:85.9~96.3%)よりも高かった。

蛍光の質 例数 陽性生検

例数

陽性診断率

(%)

90%信頼区間

(%)

強蛍光 32 32 100 91.1-100

弱蛍光 30 25 83.3 68.1-93.2

すべての蛍光 33 28 84.8 70.7-93.8

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

22

表 2.7.3.2-13 生検組織ごとの陽性診断率

蛍光の質 検体数 陽性生検

検体数

陽性診断率

(%)

90%信頼区間

(%)

強蛍光 95 95 100 96.9-100

弱蛍光 90 83 92.2 85.9-96.3

すべての蛍光 185 178 96.2 93.0-98.2

2) 蛍光の質、蛍光強度、腫瘍細胞密度、組織学的評価との相関関係

a) 蛍光の質と蛍光強度との相関関係

症例ごとの蛍光の質と強度の違いは有意であった(P<0.0001 Friedman-test)。また、対比

較(強/弱、強/なし(蛍光近接領域)、強/なし(腫瘍からの遠隔領域)、弱/なし(蛍光近接

領域)、弱/なし(腫瘍からの遠隔領域))ではいずれの対でも有意であった(P<0.0001 Wilcoxon

検定)。生検ごとの比較でも、症例ごとの比較と同様な結果であった。蛍光の質が強である蛍

光と、分光測定法により測定された高度の蛍光強度は、良く相関していた。(P<0.0001

Kruskal-Wallis-test)。

b) 蛍光の質と腫瘍細胞密度との相関関係

症例ごとの蛍光の質と腫瘍細胞密度とは相関した。強蛍光は高い腫瘍細胞密度と、弱蛍光

は低い腫瘍細胞密度と相関し、蛍光を発しない生検標本では最も低い腫瘍細胞密度を示した。

これらの違いは統計学的に有意であった(P<0.0001 Friedman-test)。生検ごとでも同様な結

果であった。

c) 蛍光の質と組織学的評価との相関関係

強蛍光を示した部位からの生検は、大部分(82.3%)が活性、充実性、増殖性腫瘍であり、

浸潤腫瘍(14.6%)や壊死(2.1%)は少数であった。弱蛍光を示した部位の生検では主要な

組織タイプとしての浸潤腫瘍(70.0%)であり、正常組織(16.7%)、活性、充実性、増殖性腫

瘍(13.3%)であった。

3) 蛍光使用による切除の容易化の評価

蛍光誘導が切除の手順を容易化したかどうかの判定を術者により実施し、63.6%の患者で

著明な容易化、30.3%で中等度の容易化であると判定された。容易化されていない及びあま

り容易化されていないと判定されたのはそれぞれ 1例(3%)あった。

4) 術中に観察された残存蛍光部位(残存腫瘍)と術後早期(72 時間以内)の MRI 検査でのコ

ントラスト増強(残存腫瘍)との比較

術中の蛍光により残存腫瘍は 23 例に確認されたが、術後 MRI 検査により残存コントラスト

増強が認められたのは 23 例中 15 例(65.2%)であった。一方、術中評価で残存蛍光腫瘍が

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

23

認められなかった10例中2例(20%)にコントラスト増強が認められたが(増強なし6例(60%)、

評価不能 2例(20%))、2例とも術中に確認が期待できない摘出空洞よりも遠隔部位の腫瘍で

あった。術中の残存腫瘍が疑われた 42 部位の中で、10 部位(23.8%)は白色光下及び蛍光下

で検出された。残りの 32 部位(76.2%)は蛍光下のみで検出された。

なお、術後 MRI 検査により残存腫瘍のない患者の割合は、残存コントラスト増強が認めら

れなかった 14 例(42.4%)であった。

(5) 有効性のまとめ

本剤投与の蛍光誘導による悪性神経膠腫に対する高い陽性診断率が示された。また、強蛍光

部位は、活性、充実性、増殖性腫瘍に、弱蛍光部位は浸潤腫瘍に相関を示した。主観的に評価

された蛍光の質は、分光測定法で測定された客観的な蛍光強度と一致した。残存腫瘍の検出能

力は、本剤による蛍光診断が MRI 検査よりも高い感度を示した。

2.7.3.2.2.3 5-アミノレブリン酸による悪性神経膠腫の蛍光誘導切除術と従来法である白色光切

除術との比較試験(MC-ALS.3/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.1-2 参)

(1) 解析データセット

FAS である 349 例(本剤群 176 例、対照群 173 例)が有効性の解析対象とされた。

(2) 人口統計学的データ及び他のベースラインでの特徴

FAS における人口統計学的データ、病理診断結果及びベースラインでの KPS スコアを表

2.7.3.2-14 に示した。両群間で大きな差はなく両群間で比較可能であった。また、その他、手

術前の MRI 画像データ、ベースラインでの兆候、症状、合併症、NIH Stroke Scale、臨床検査

値についても両群間で比較可能であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

24

表 2.7.3.2-14 人口統計学的データ、病理診断結果、KPS スコア(ベースライン)

項目 本剤群

N=176

対照群

N=173

合計

N=349

年齢(歳) 平均値 (SD)

中央値 (範囲)

≦55

>55

58.3(10.04)

61.0(23-73)

55(31.3%)

121(68.8%)

58.9(9.27)

60.0(30-73)

52(30.1%)

121(69.9%)

58.6(9.65)

60.0(23-73)

107(30.7%)

242(69.3%)

性別 男性

女性

102(58.0%)

74(42.0%)

111(64.2%)

62(35.8%)

213(61.0%)

136(39.0%)

学 体重(kg) 平均値 (SD)

中央値 (範囲)

79.1(14.87)

78.0(50-120)

79.1(15.05)

80.0(43-119)

79.1(14.94)

78.5(43-120)

データ未取得 0 1 ( 0.6%) 1 ( 0.3%)

WHO グレードⅢ

退形成性乏突起星細胞腫

退形成性乏突起膠腫

退形成性星細胞腫

4 ( 2.3%)

0

0

4 ( 2.3%)

6 ( 3.5%)

1 ( 0.6%)

2 ( 1.2%)

3 ( 1.7%)

10 ( 2.9%)

1 ( 0.3%)

2 ( 0.6%)

7 ( 2.0%)

WHO グレードⅣ

膠肉腫

巨細胞膠芽腫

膠芽腫

171 (97.2%)

10 ( 5.7%)

5 ( 2.8%)

156 (88.6%)

166 (96.0%)

11 ( 6.4%)

2 ( 1.2%)

153 (88.4%)

337 (96.6%)

21 ( 6.0%)

7 ( 2.0%)

309 (88.5%)

その他

星芽腫

1 ( 0.6%)

1 ( 0.6%)

0

0

1 ( 0.3%)

1 ( 0.3%)

60

70

80

90

100

中央値 (範囲)

1 ( 0.6%)

15 ( 8.5%)

21 (11.9%)

87 (49.4%)

52 (29.5%)

90 (60-100)

0

19 (11.0%)

22 (12.7%)

77 (44.5%)

55 (31.8%)

90 (70-100)

1 ( 0.3%)

34 ( 9.7%)

43 (12.3%)

164 (47.0%)

107 (30.7%)

90 (60-100)

(4) 主要評価項目

1) 残存腫瘍のない患者の割合

術後 MRI 検査による残存腫瘍のない患者の割合は、本剤群で 63.6%、対照群で 37.6%であ

り両群間に統計学的に有意差が認められた(P<0.0001χ2 検定、図 2.7.3.2-3)。オッズ比は

2.91(95%信頼区間:1.88~4.49)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

26

図 2.7.3.2-4 Kaplan-Meier 法による無増悪生存期間

FL:本剤群 WL:対照群

(5) 副次評価項目

1) 残存腫瘍容積

術後 MRI検査において、残存腫瘍容積の中央値(範囲)は 本剤群で 0.0 cm3(0.0~45.1 cm3)、

対照群で 0.5 cm3(0.0~32.6 cm3)であり、分布の 75%点は本剤群で 0.7 cm3、対照群で 2.1

cm3であり、これらの大きさの差は統計学的に有意であった(P<0.0001 Wilcoxon-Mann-Whitney

検定)。

2) 無増悪生存率(9、12、15、18 ヵ月時点)

術後 9、12、15 及び 18ヵ月後における無増悪生存率は、いずれの時点においても両群間に

差はなかったが、本剤群で高い無増悪生存率を示していた。

3) 全生存期間

蛍光切除術等の手順が遵守された患者に焦点をあてて解析するために、PPS による解析を採

用した。Kaplan-Meier 生存曲線では、全生存期間の中央値は本剤群及び対照群でそれぞれ

14.3 ヵ月及び 13.7 ヵ月であり、統計学的に有意ではなかった。ハザード比は 0.99(95%信

頼区間:0.78~1.24)であった。術後 1年の生存率は両群ともに 58%であった。

(6)有効性のまとめ

本剤を体内診断薬として使用した蛍光誘導による悪性神経膠腫の腫瘍摘出術では、従来の白

無増悪生存率

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

27

色光下の切除術に比べ、残存腫瘍のない患者の割合が高く、残存腫瘍容積が小さくなったこと

より、本剤は悪性神経膠腫の腫瘍組織を視覚化する診断薬として有用であると考えられた。

2.7.3.2.2.4 5-アミノレブリン酸塩酸塩の再発治療での悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第

Ⅱ相試験(MC-ALS.30/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.2-3 参)

(1) 解析データセット

FAS である 36 例が有効性の解析対象とされた。

(2) 人口統計学的データ及び最終診断名

FAS における人口統計学的データ及び最終診断名を表 2.7.3.2-15 に示した。

表 2.7.3.2-15 人口統計学的データ及び最終診断名(FAS)

項目 例数

男性 25 ( 69.4%) 性

女性 11 ( 30.6%)

≧55 17 ( 47.2%)

<55 19 ( 52.8%)

平均値(SD) 52.7 ( 12.7) 年齢(歳)

中央値(範囲) 56.0 ( 22-74)

平均値(SD) 81.9 ( 13.2)

体重(kg) 中央値(範囲) 79.5 (55-110)

WHO グレードⅢ 6( 16.7%)

退形成性星細胞腫 6( 16.7%)

WHO グレードⅣ 30 ( 83.3%)

膠肉腫 4( 11.1%)

巨細胞膠芽腫 1( 2.8%)

膠芽腫 24( 66.7%)

悪性星状腫瘍 1( 2.8%)

(3) 主要評価項目

生検標本は、白色光下で腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光

を確認して採取した。腫瘍の部位及び蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によ

って占められている切片上の平均面積の比率)を表 2.7.3.2-16 に示した。腫瘍部位は、非蛍光

下でも腫瘍と推定できる病理学的に変化した組織と病理学的に変化した組織を切除した後に非

蛍光下では外見上正常組織か腫瘍組織か判別できない腫瘍境界部とで層別した。病理学的に変

化した組織において、強蛍光では活性、充実性、増殖性腫瘍での腫瘍細胞密度は平均 48.5±

34.6%であったが、弱蛍光では活性、充実性、増殖性腫瘍と浸潤腫瘍において 35%程度であっ

た。腫瘍境界部では強蛍光及び弱蛍光ともに浸潤腫瘍での腫瘍細胞密度は 40%を超えていた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

28

表 2.7.3.2-16 腫瘍の部位及び蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度

腫瘍細胞密度(%) 腫瘍の部位

(白色光下)

蛍光の質

(蛍光下) 組織学的所見 例数

平均値 SD 中央値

活性、充実性、増殖性腫瘍 36 48.5 34.6 56.7 強蛍光

浸潤腫瘍 36 29.2 31.1 19.0

活性、充実性、増殖性腫瘍 34 34.7 31.1 29.5

病理学的に

変化した組織 弱蛍光

浸潤腫瘍 34 38.8 29.4 38.0

活性、充実性、増殖性腫瘍 24 17.1 26.1 3.3 強蛍光

浸潤腫瘍 24 56.5 28.7 63.0

活性、充実性、増殖性腫瘍 34 25.9 30.2 11.8 腫瘍境界部

弱蛍光 浸潤腫瘍 34 43.4 32.3 44.2

主要評価項目である蛍光組織の陽性診断率を表 2.7.3.2-17 に示した。病理学的に変化した

組織では陽性診断率が 97.2%(95%信頼区間:85.5~99.9%)であり、腫瘍境界部での 79.4%

(95%信頼区間:62.1~91.3%)に比較して高い診断率を示した。また、すべての組織では強

蛍光(91.7%、95%信頼区間:77.5~98.2%)は弱蛍光(83.3%、95%信頼区間:67.2~93.6%)

に比較して高い陽性診断率を示し、全ての蛍光では 77.8%(95%信頼区間:60.8~89.9%)の

陽性診断率を示した。また、陽性診断率は、腫瘍境界部に比べ病理学的に変化した組織で高く、

また、弱蛍光領域に比べ強蛍光領域で高かった。

表 2.7.3.2-17 蛍光組織の陽性診断率

腫瘍の部位

(白色光下)

蛍光の質

(蛍光下) 例数

陽性判定

例数

陽性診断率

(%)

95%信頼区間

(%)

強蛍光 36 35 97.2 85.5-99.9

弱蛍光 34 34 100 89.7-100 病理学的に

変化した組織 すべての蛍光 36 35 97.2 85.5-99.9

強蛍光 24 22 91.7 73.0-99.0

弱蛍光 34 28 82.4 65.5-93.2 腫瘍境界部

すべての蛍光 34 27 79.4 62.1-91.3

強蛍光 36 33 91.7 77.5-98.2

弱蛍光 36 30 83.3 67.2-93.6 すべての組織

すべての蛍光 36 28 77.8 60.8-89.9

(5) 副次評価項目

1) 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率を表 2.7.3.2-18 に示した。白色光下で腫瘍部位を

切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して採取したすべての生検組

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

29

織 354 検体における陽性診断率は、96.6%(95%信頼区間:94.2~98.2%)で、強蛍光部位

の生検の陽性診断率 98.2%(95%信頼区間:94.7~99.6%)は、弱蛍光の 95.3%(95%信頼

区間:91.2~97.8%)よりも高かった。

表 2.7.3.2-18 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

腫瘍の部位

(白色光下)

蛍光の質

(蛍光下) 組織数

陽性

判定数

陽性率

(%)

95%信頼区間

(%)

強蛍光 100 99 99.0 94.6-100.0

弱蛍光 97 97 100.0 96.3-100.0 病理学的に

変化した組織 すべての蛍光 197 196 99.5 97.2-100.0

強蛍光 64 62 96.9 89.2-99.6

弱蛍光 93 84 90.3 82.4-95.5 腫瘍境界部

すべての蛍光 157 146 93.0 87.8-96.5

強蛍光 164 161 98.2 94.7-99.6

弱蛍光 190 181 95.3 91.2-97.8 すべての組織

すべての蛍光 354 342 96.6 94.2-98.2

2) 残存腫瘍のない患者の割合

術後 MRI 検査(中央判定)では、19.4%(7/36 例)で完全切除が認められたが、69.4%(25/36

例)は完全切除ではなかった。なお、36 例中 4例では残存腫瘍の評価ができなかった。残存

腫瘍は、25例の中で合計41部位が残存し、脳の機能的重要部位(eloquent area )31.7%(13/41

部位)及び基底核、視床、錐体路様構造が含まれていた。58.5%(24/41 部位)の残存部位は

脳の機能的重要部位に関連しなかったが、術者が認識できないような極小あるいは切除術空

洞から離れた位置にあるものが多かった。

3) 全生存期間

全生存期間の中央値は 7.9 ヵ月(95%信頼区間:4.5~13.2 か月)であった。WHO グレード

Ⅳの患者では 7.4 ヵ月に対し、WHO グレードⅢでは 9.9 ヵ月であったが統計学的には有意では

なかった。また、69.4%(25/36 例)の患者で術後に化学療法が実施され、テモゾロミド 50%

(18/36 例)、PCV 療法 11.1%(4/36例)であった。切除術及びその後の治療にもかかわらず、

36 例中 20 例で 6ヵ月以内に再発がみられた。

注)PCV 療法:プロカルバジン/Procarvazine、ロムスチン/CCNU、ビンクリスチン/Vincristine の

3つの抗がん剤を組み合わせて行う癌化学療法

(6)有効性のまとめ

再発悪性神経膠腫患者に対して、本剤投与により高い陽性診断率が示された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

30

2.7.3.2.2.5 5-アミノレブリン酸の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する臨床試験

(MC-ALS.32/GLI 試験)

(添付資料 5.3.5.2-4 参)

(1) 解析データセット

FAS である 219 例が有効性の解析対象とされた。

(2) 人口統計学的データ及び最終診断名

人口統計学的データ及び最終診断名を表 2.7.3.2-19 に示す。

表 2.7.3.2-19 人口統計学的データ及び最終診断名

年齢(歳) 平均値(SD)

中央値(範囲)

60.7(10.4)

63.0(21-80)

性別 男性

女性

144(65.8%)

75(34.2%)

体重(kg) 平均値(SD)

中央値(範囲)

80.1(15.5)

80.0(37-130)

WHO グレードⅢ

退形成性乏突起星細胞腫

退形成性乏突起膠腫

退形成性星細胞腫

13( 5.9%)

3( 1.4%)

3( 1.4%)

7( 3.2%) 最終診断名

WHO グレードⅣ

膠肉腫

巨細胞膠芽腫

膠芽腫

206(94.1%)

4( 1.8%)

10( 4.6%)

192(87.7%)

(4) 生存率・生存期間

全患者における 12 ヵ月生存率は 59.2%(95%信頼区間:50.6~66.8%)で、生存期間の中

央値は 14.7 ヵ月であった。予想通り、WHO グレードⅣの神経膠腫の患者の 12 ヵ月生存率は

58.4%(95%信頼区間:49.5~66.4%)とわずかに低く、生存期間の中央値も 14.1ヵ月とわず

かに短かった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

31

2.7.3.3 全試験を通しての結果の比較と解析

本剤の国内外で実施された悪性神経膠腫患者を対象とした臨床試験は、国内 1 試験、外国 5

試験であり、その内容を表 2.7.3.3-1 に示した。なお、被験者数は最大解析対象集団(FAS)で

示した。

表 2.7.3.3-1 臨床的有効性成績が得られた臨床試験一覧表

国内

/外国

試験

番号

試験

区分 対象

投与量

投与方法 被験者数 観察期間

国内試験 NPC-07-1 第Ⅲ相 初発又は再発の悪性

神経膠腫

20 mg/kg

経口投与 38 28 日

0.2mg/kg

経口投与 7

2 mg/kg

経口投与 7 MC-ALS.8-I/GLI 第Ⅰ/Ⅱ相 初発の悪性神経膠腫

20 mg/kg

経口投与 7

28 日

MC-ALS.28/GLI 第Ⅱ相 初発の悪性神経膠腫 20 mg/kg

経口投与 33 28 日

20 mg/kg

経口投与 本剤:176

MC-ALS.3/GLI 第Ⅲ相 初発の悪性神経膠腫 対照群

薬剤投与なし 対照:173

18 ヵ月

MC-ALS.30/GLI 第Ⅱ相 再発の悪性神経膠腫 20 mg/kg

経口投与 36

最終組入れ

症例 6ヵ月

外国試験

MC-ALS.32/GLI 第Ⅲ相 初発の悪性神経膠腫 20 mg/kg

経口投与 219

最終組入れ

症例 6ヵ月

2.7.3.3.1 試験対象集団

(1) 選択基準及び除外基準一覧表

国内 1 試験及び外国 5 試験での選択基準の一覧表を表 2.7.3.3-2、除外基準の一覧表を表

2.7.3.3-3 にそれぞれ示した。初発の悪性神経膠腫のみを対象としたのは 4 試験であり、

NPC-07-1 試験は初発又は再発の悪性神経膠腫、MC-ALS.30/GLI 試験は再発の悪性神経膠腫を対

象とした。これらの規定を除き、各試験の選択基準並びに除外基準はほぼ同様な基準で設定さ

れていた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

32

表 2.7.3.3-2 選択基準一覧表

試験番号 選択基準

NPC-07-1 ・ 年齢 18~70歳の患者

・ 放射線学的診断で初発又は再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と推定さ

れた患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60 以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 来院スケジュール等、治験実施計画書の要件を遵守できる患者

MC-ALS.8-I/GLI ・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と推

定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍手術であり、前治療がされていない患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 70 以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75歳の患者

MC-ALS.28/GLI ・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHOグレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍手術であり、前治療がされていない患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60 以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

MC-ALS.3/GLI ・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発、単一病変の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/

Ⅳ)と推定された患者

・ MRI 検査でリング状の形状を有するが、二次性(secondary)悪性神経膠腫を除

外するために顕著な非増強性腫瘍組織を認めない、完全切除が可能な患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍切除であり、腫瘍に対する前治療がされていない患者

・ Karnofsky Perfomance Status(KPS)スコア 70以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~72歳の患者

MC-ALS.30/GLI ・ 放射線額的診断(MRI 検査)で再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と推

定された患者

・ 外科的腫瘍再切除の適応がある患者

・ 悪性神経膠腫と診断され開頭切除術の既往がある患者(切除術プラス、標準的

な放射線治療を受けた患者を含むが、バイオプシーのみの患者は含まない)

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60 以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75歳の患者

MC-ALS.32/GLI ・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と推定

された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 70%以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75歳の患者

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

33

表 2.7.3.3-3 除外基準一覧表

試験番号 除外基準

NPC-07-1 ・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン 2.0 mg/dL 以上) の患者

・ 肝機能障害(ALT 100 IU/L 以上、AST 100 IU/L 以上、γ-GTP 100 IU/L 以上、又

は総ビリルビン 3 mg/dl 以上)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 本治験前 1ヵ月以内に他の治験に参加した患者

MC-ALS.8-I/GLI ・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL) の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP >100

U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解不可能にする精神状態及びそれによる文書同

意不能の患者

・ 本治験前 30日以内に他の治験に参加した患者

MC-ALS.28/GLI ・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL) の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60 %、 -GTP >100

U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解不可能にする精神状態及びそれによる文書同

意不能の患者

・ 本治験前 30日以内に他の治験に参加した患者

MC-ALS.3/GLI ・ 腫瘍部位が正中線上、基底核、小脳又は脳幹にある患者

・ 原発病変とは無関係の複数の造影される病変を有する患者、又は大脳以外に転

移を有する患者

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP >100

U/L) の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 本治験前 30日以内に他の治験に参加した患者

MC-ALS.30/GLI ・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン>3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP >100

U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解不可能にする精神状態及びそれによる文書同

意不能の患者

・ 本治験前 30日以内に他の治験に参加した患者

・ 以前に本剤の MC-ALS.3/GLI 試験に参加した患者

MC-ALS.32/GLI ・ 術前と術中の病理診断が悪性神経膠腫(WHOグレードⅢ/Ⅳ)と不一致の患者

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP >100

U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解不可能にする精神状態及びそれによる文書同

意不能の患者

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

34

(2) 人口統計学的特性

国内 1試験及び外国 5試験での人口統計学的特性を表 2.7.3.3-4 に示した。年齢及び性別に

ついては、国内試験及び外国試験ともに同様な結果であったが、外国試験では体重が重かった。

表 2.7.3.3-4 人口統計学的特性

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.8-I/GLI MC-ALS.28/GLI MC-ALS.3/GLI MC-ALS.30/GLI MC-ALS.32/GLI

被験者数 N=38 N=21 N=33 N=176 N=36 N=219

年齢(歳)

平均値(標準偏差) 54.0(11.6) 59.0(8.7) 56.6(13.4) 58.3(10.0) 52.7(12.7) 60.7(10.4)

中央値(範囲) 58.0(24-70) 59.0(37-70) 61.0(21-72) 61.0(23-73) 56.0(22-74) 63.0(21-80)

性別 被験者数(%)

男性 20(52.6) 14(66.7) 18(54.5) 102(58.0) 25(69.4) 144(65.8)

女性 18(47.4) 7(33.3) 15(45.5) 74(42.0) 11(30.6) 75(34.2)

体重(kg)

平均値(標準偏差) 60.4(12.2) 75.8(13.6) 77.1(11.7) 79.1(14.9) 81.9(13.2) 80.1(15.5)

中央値(範囲) 61.4

(40.1-86.0)

72.5

(52-102)

75.0

(58-105)

78

(50-120)

79.5

(55-110)

80.0

(37-130)

(3) 病理組織学的診断

国内 1試験及び外国 5試験での病理組織学的診断結果の一覧表を表 2.7.3.3-5 に示した。国

内試験である NPC-07-1 試験では、WHO グレードⅢ及びⅣの割合がそれぞれ 34.2%及び 60.5%で

あったの対して、外国の臨床試験ではそれぞれ 2.3~16.7%及び 83.3~97.2%であり、外国の

臨床試験で WHO グレードⅣの割合が高い結果であった。

表 2.7.3.3-5 病理組織学的診断結果

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.8-I/

GLI

MC-ALS.28/

GLI

MC-ALS.3/

GLI

MC-ALS.30/

GLI

MC-ALS.32/

GLI

被験者数 例数(%)

N=38

例数(%)

N=21

例数(%)

N=33

例数(%)

N=176

例数(%)

N=36

例数(%)

N=219

WHO グレードⅢ 13(34.2) 1(4.8) 4(12.1) 4(2.3) 6(16.7) 13(5.9)

退形成性星細胞腫 4(10.5) 1(4.8) 4(12.1) 4(2.3) 6(16.7) 7(3.2)

退形成性乏突起膠腫 5(13.2) 0 0 0 0 3(1.4)

退形成性乏突起星細胞腫 3(7.9) 0 0 0 0 3(1.4)

退形成性上衣腫 1(2.6) 0 0 0 0 0

WHO グレードⅣ 23(60.5) 20(95.2) 29(87.9) 171(97.2) 30(83.3) 206(94.1)

膠芽腫 23(60.5) 18(85.7) 28(84.8) 156(88.6) 24(66.7) 192(87.7)

膠肉腫 0 2(9.5) 0 10(5.7) 4(11.1) 4(1.8)

巨細胞膠芽腫 0 0 1(3.0) 5(2.8) 1(2.8) 10(4.6)

悪性星状腫瘍 0 0 0 0 1(2.8) 0

その他 2(5.3) 0 0 1(0.6) 0 0

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

35

(4) 主要評価項目及び副次評価項目

国内 1試験及び外国 5試験での主要評価項目及び副次評価項目を表 2.7.3.3-6 に示した。国

内試験である NPC-07-1 試験は、蛍光組織の陽性診断率を主要評価項目、蛍光組織の生検組織ご

との陽性診断率を副次評価項目とした。同様に蛍光組織の陽性診断率を主要評価項目として設

定した外国の臨床試験としては、初発の悪性神経膠腫を対象とした MC-ALS.28/GLI 試験、再発

の悪性神経膠腫を対象とした MC-ALS.30/GLI 試験であった。

表 2.7.3.3-6 主要評価項目及び副次評価項目の一覧表

試験 主要評価項目 副次評価項目

NPC-07-1 蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織

における腫瘍細胞がすべて陽性と判定され

た患者割合)

・ 蛍光組織での蛍光の質の評価

・ 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断

・ 残存腫瘍のない患者の割合(術後 72

時間以内の MRI 検査による)

・ 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍から

の遠隔領域(非蛍光)におけるそれぞ

れの生検組織ごとの陽性診断率(可能

な場合に算出)

・ 感 度 (Sensitivity) と 特 異 度

(Specificity)(可能な場合に算出)

MC-ALS.8-I/GLI 腫瘍中心部での蛍光の範囲及び蛍光の質と

投与量との用量相関関係

・ 蛍光の質に関する主観的評価を客観

化:蛍光の質に対応した領域の分光測

定法による測定

・ 分光計測定による蛍光の質と採取した

生検組織の腫瘍細胞密度の分析

・ 蛍光切除術による容易化の評価(4 段

階)

MC-ALS.28/GLI 蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織

における腫瘍細胞がすべて陽性と判定され

た患者割合)

・ 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断

・ 蛍光の質、腫瘍細胞密度、組織学的評

価との相関関係

‐分光測定法で測定された蛍光強度

‐腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占

められている切片上の面積比率の平

均)

‐組織学的評価(活性、充実性、増殖性

腫瘍;浸潤腫瘍;壊死;正常組織)

・ 蛍光切除術による切除の容易化の評価

・ 術中に観察された残存蛍光部位の評価

と術後早期(72時間以内)の MRI 検査

でのコントラスト増強(残存腫瘍)と

の比較

・ 本剤の安全性評価

MC-ALS.3/GLI ・ 残存腫瘍のない患者の割合(術後 72 時

間以内の MRI 検査による)

・ 術後 6ヵ月の無増悪生存期間(PFS)

・ 残存腫瘍の容積

・ 術後 9、12、15、18 ヵ月後の無増悪生

存率

・ 死亡までの全生存期間、ただし最後の

組み入れ患者の術後 18ヵ月以内

・ 本剤の安全性評価

・ 初回手術後 7日、6、12週、6、9、12、

18 ヵ月の神経学的状態

・ 蛍光診断結果(術中残存腫瘍)と術後

早期 MRI 診断結果(残存腫瘍)との比

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

36

MC-ALS.30/GLI 蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織

における腫瘍細胞がすべて陽性と判定され

た患者割合)

・ 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断

率(腫瘍細胞が陽性であった生検標本

数の割合)

・ 残存腫瘍のない患者の割合

・ 全生存期間

・ 再切除前後の神経学的状態(NIH

Stroke Scale)と一般状態(KPS スコ

ア)の変化

・ 本剤の安全性評価

MC-ALS.32/GLI 本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)

に対する光切除術後の有害事象発現率

・ 全生存期間(OS);悪性神経膠腫(WHO

グレードⅢ/Ⅳ)の蛍光切除術から死

亡までの生存期間。評価は、最終患者

登録後 6 週間までとする(副次評価項

目)

・ 蛍光切除術後の身体状態の変化(KPS

スコアによる術後7日及び6週の評価)

2.7.3.3.2 全有効性試験の結果の比較検討

(1) 蛍光領域の陽性診断率

蛍光組織の陽性診断率を主要評価項目として設定した国内外の臨床試験における陽性診断

率を表 2.7.3.3-7 に、生検組織ごとの陽性診断率を表 2.7.3.3-8 に示した。

国内外の臨床試験において、本剤投与により蛍光組織において高い陽性診断率が示され、特

に強蛍光領域では高い陽性診断率を示し、腫瘍組織を特異的に視覚化できた。強蛍光領域の診

断率は、初発例では国内外ともに 100%、再発例でも 85.7~91.7%と高い値であった。これに

対し、弱蛍光領域では腫瘍細胞と正常細胞が混在しており、強蛍光領域に比べると腫瘍細胞数

が少ない領域であることから、国内外ともに初発例、再発例の陽性診断率は 63.6~83.3%と強

蛍光領域に比べやや低くなる傾向であった。また、国内外ともに初発例、再発例の陽性診断率

に大きな差は見られなかった。

一方、生検組織ごとの陽性診断率についても同様に検討した結果、蛍光組織の陽性診断率と

同じ傾向を示していた。

NPC-07-1 試験における弱蛍光領域の陽性診断率は、外国試験に比べて低い傾向が見られたが、

強蛍光ではほぼ同様な陽性診断率であり、悪性神経膠腫における本剤の診断能は国内外で大き

な差はないと考えられた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

37

表 2.7.3.3-7 NPC-07-1 試験、MC-ALS.28/GLI 試験、MC-ALS.30/GLI 試験での

蛍光組織の陽性診断率(患者の割合)

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.28/GLI MC-ALS.30/GLI

対象 初発/再発 初発 再発

陽性診断率(%)

(陽性例数/評価例数)

95%信頼区間(%)

初発/再発 初発 再発

陽性診断率(%)

(陽性例数/

評価例数)

90%信頼区間(%)

陽性診断率(%)*

(陽性例数/

評価例数)

95%信頼区間(%)

強蛍光 94.4

(34/36)

81.3-99.3

100.0

(22/22)

84.6-100.0

85.7

(12/14)

57.2-98.2

100.0

(32/32)

91.1-100.0

91.7

(33/36)

77.5-98.2

弱蛍光 65.8

(25/38)

48.6-80.4

63.6

(14/22)

40.7-82.8

68.8

(11/16)

41.3-89.0

83.3

(25/30)

68.1-93.2

83.3

(30/36)

67.2-93.6

すべての

蛍光

65.8

(25/38)

48.6-80.4

63.6

(14/22)

40.7-82.8

68.8

(11/16)

41.3-89.0

84.8

(28/33)

70.7-93.8

77.8

(28/36)

60.8-89.9

*:MC-ALS.30/GLI 試験では、表 2.7.3.2-22の「すべての組織」を記載した

表 2.7.3.3-8 NPC-07-1 試験、MC-ALS.28/GLI 試験、MC-ALS.30/GLI 試験での

生検組織ごとの陽性診断率

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.28/GLI MC-ALS.30/GLI

対象 初発/再発 初発 再発

陽性診断率(%)

(陽性組織数/生検組織数)

95%信頼区間(%)

初発/再発 初発 再発

陽性診断率(%)

(陽性組織数/生検

組織数)

90%信頼区間(%)

陽性診断率(%)*

(陽性組織数/生検

組織数)

95%信頼区間(%)

強蛍光 94.4

(102/108)

88.3-97.9

100.0

(66/66)

94.6-100.0

85.7

(36/42)

71.5-94.6

100.0

(95/95)

96.9-100.0

98.2

(161/164)

94.7-99.6

弱蛍光 77.2

(88/114)

68.4-84.5

77.3

(51/66)

65.3-86.7

77.1

(37/48)

62.7-88.0

92.2

(83/90)

85.9-96.3

95.3

(181/190)

91.2-97.8

すべての

蛍光

85.6

(190/222)

80.3-89.9

88.6

(117/132)

82.0-93.5

81.1

(73/90)

71.5-88.6

96.2

(178/185)

93.0-98.2

96.6

(342/354)

94.2-98.2

*:MC-ALS.30/GLI 試験では、表 2.7.3.2-23の「すべての組織」を記載した

(2) 蛍光の質と蛍光強度、腫瘍細胞密度との関係

蛍光の質と蛍光強度、腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の面積比率の

平均)との関係については、MC-ALS.28/GLI 試験、MC-ALS.8-I/GLI 試験及び MC-ALS.30/GLI 試

験において検討した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

38

MC-ALS.28/GLI 試験では、強蛍光の生検組織における腫瘍細胞密度は、平均 79.09±20.09%

であるのに対し、弱蛍光では、平均 30.78±27.88%であり強蛍光の腫瘍細胞密度が高いことを

示した。蛍光の質を分光測定法で測定した蛍光強度は蛍光の質と相関していた。

MC-ALS.8-I/GLI 試験では、蛍光の質と蛍光強度とは腫瘍中心部及び腫瘍境界部のいずれでも

有意な相関が認められ、蛍光強度と腫瘍細胞密度においても同様な結果であった。

MC-ALS.30/GLI 試験では、病理学的に変化した組織において、強蛍光では活性、充実性、増

殖性腫瘍での腫瘍細胞密度は平均 48.5±34.6%であり、腫瘍境界部では強蛍光及び弱蛍光とも

に浸潤腫瘍での腫瘍細胞密度は 40%を超えていた。

これらの結果から、主観的に判断した蛍光の質は客観的な分光測定法による蛍光強度と相関

し、かつ腫瘍細胞密度の高さを表していた。

(3) 残存腫瘍のない患者の割合

残存腫瘍のない患者の割合を、表 2.7.3.3-9 に示した。

残存腫瘍のない患者の割合は、NPC-07-1 試験では 39.5%(15/38 例)、MC-ALS.28/GLI 試験

では 42.4%(14/33 例)、MC-ALS.30/GLI 試験では、19.4%(7/36 例)であった。これらの違い

は、これら 3試験ともに腫瘍摘出が完全にできる対象を選択基準として設定しないために、症

例ごとの腫瘍の発生状況(腫瘍発生部位、腫瘍の大きさ、浸潤度合いなど)の影響が大きいと

推定される。

一方、MC-ALS.3/GLI 試験では、腫瘍を完全切除可能な患者を選択基準としており、残存腫瘍

のない患者の割合は 63.6%であった(図 2.7.3.2-3 参照)。

表 2.7.3.3-9 残存腫瘍のない患者の割合

NPC-07-1 試験 MC-ALS.28/GLI 試験 MC-ALS.30/GLI 試験

39.5%(15/38 例) 42.4%(14/33) 19.4%(7/36 例)

(4) 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)での生検組織ごとの陽性診断

NPC-07-1 試験では、蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)での生検組

織ごとの陽性診断率は、それぞれ 61.1%(95%信頼区間:48.9~72.4%)及び 47.5%(95%

信頼区間:34.6~60.7%)であった(表 2.7.3.2-5 参照)。

一方、MC-ALS.28/GLI 試験では、非蛍光である近接領域及び遠隔領域での陽性診断率を算出

していないが、表 2.7.3.3-10 に示したとおり、本試験での陽性診断率の算出と同様に1%以

上の腫瘍細胞密度を示した検体数で算出した生検組織ごとの陽性診断率は、近接領域での非蛍

光組織では 81.8%(54/66 検体)、遠隔領域では 64.6%(31/48 検体)であった。これらの結

果から、いずれの試験においても、蛍光を認識するには至らないものの、非蛍光である近接領

域及び遠隔領域においても、腫瘍細胞が浸潤していることが示された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

39

表 2.7.3.3-10 MC-ALS.28/GLI 試験での非蛍光領域での

腫瘍細胞密度及び陽性診断率

蛍光の質 近接領域

(非蛍光)

遠隔領域

(非蛍光)

腫瘍細胞密度 検体数 検体数

合計 66 48

0% 11 16

1-25% 42 26

26-50% 7 2

51-75% 2 1

76-100% 3 2

missing 1 1

陽性診断率 81.8%

(54/66 検体)

64.6%

(31/48 検体)

(添付資料 5.3.5.2-2、Table 14.2.3 から引用)

(5) 感度及び特異度

NPC-07-1 試験にて評価した感度及び特異度については、外国の臨床試験では評価していない

ことから、国内外の試験間での考察は出来なかった。

(6) 外国臨床試験データの利用について

本剤の臨床的有効性を評価する上で、外国の臨床試験成績を利用することについては、以下

の検討から、外因性及び内因性民族学的要因による影響を受けにくいと考えられ、その利用は

妥当であると判断した。

1) 外因性民族学的要因について

a) 悪性神経膠腫の疫学

脳腫瘍全国統計委員会による調査(1984~2000 年)では、原発性脳腫瘍において神経膠腫は

25.8%を占めており、悪性神経膠腫では、膠芽腫 9.1%、退形成性星細胞腫 4.7%、退形成性

乏突起膠腫 0.2%などと報告されている 2)。米国においては、Central Brain Tumor Registry

of the United States(CBTRUS 2012)によれば、原発性脳腫瘍において神経膠腫は 33.0%の発

生頻度であり、悪性神経膠腫として、膠芽腫 16.3%、退形成性星細胞腫 2.0%、退形成性乏

突起膠腫 0.6%などと報告されている 3)。米国での膠芽腫の発生割合がやや高い傾向があるが、

日本及び米国での悪性神経膠腫の発生割合には大きな差はないと考えられた。

b) 神経膠腫の病理診断

World Health Organization (WHO)は組織発生(細胞由来)と異型度(分化度、悪性度)に

基づいて、中枢神経系腫瘍の病理組織学的分類を制定しており、組織分類(第 4版、WHO2007)

では腫瘍の悪性度に応じてより細かい組織分類が規定されている。国内でも WHO 分類に従っ

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

40

て病理組織学的分類を行っていることから、病理診断における国内外での差異はないと考え

られた。

c) 悪性神経膠腫に対する治療方法

国内外ともに神経膠腫の一般的な治療法は、手術療法、放射線療法、化学療法である。

米国の NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン 4)において、初発の悪

性神経膠腫では、腫瘍切除術で最大限に腫瘍を切除し、その後 Gliadel® Wafer を腫瘍部位に

留置し、術後療法として放射線治療及び化学療法を実施することが推奨されている、また、

再発の悪性神経膠腫では、再切除を行い放射線の再照射の実施が推奨されている。

国内における悪性神経膠腫に対する治療は、脳腫瘍取扱い規約(2010 年 7 月、第 3 版)に

おいて、手術による腫瘍の可及的切除、切除術後の放射線療法及び化学療法の併用療法が推

奨されており、特に初発患者では可能な限り多くの腫瘍組織を切除することとされている5)。

したがって、悪性神経膠腫に対する治療方法については国内外で大きな差はないと考えられ

た。

以上から、悪性神経膠腫の疫学、神経膠腫の病理診断、悪性神経膠腫に対する治療方法につ

いて国内外の検討を行った結果、外国の臨床試験成績を利用する上で、外因性民族学的要因

による影響を受けることは少ないと判断した。

2) 内因性民族学的要因について

a) 薬物動態

国内及び外国試験の薬物動態の比較において、MC-ALS.8-I/GLI 試験での患者ごとの血漿中

PPIX 濃度の推移から判断し、MC-ALS.20/BV 試験における健康成人の血漿中 5-ALA、PPIX 濃度

推移との比較は妥当であると考えられた。

検討の結果、NPC-07-1 試験の Cmax(平均値及び幾何平均値)が、外国で実施された健康成

人での MC-ALS.20/BV 試験のパラメータと比較して 2 倍又は 1/2 の範囲(50~200%)内に入

り、また、血漿中 5-ALA 及び PPIX 濃度の推移に類似性が見られることから、薬物動態上、国

内外の成績に大きな差はないと判断された。なお、詳細は 2.7.2.3 に記載した。

b) 診断能

初発及び再発の悪性神経膠腫を対象とした国内試験のNPC-07-1試験と初発の悪性神経膠腫

を対象とした MC-ALS.28/GLI 試験及び再発の悪性神経膠腫を対象とした MC-ALS.30/GLI 試験

の外国の臨床試験は、いずれも蛍光組織の陽性診断率を主要評価項目とし、対象患者の選択、

除外基準もほぼ同じ基準で実施された。患者背景で体重と WHO グレード分類でやや異なるも

ののほぼ同じ背景の対象集団と考えられた。いずれの試験においても良好な診断能を示し、

本剤の診断能については国内外で差は認められなかった(表 2.7.3.3-7 及び表 2.7.3.3-8 )。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

41

以上から、本剤投与後による薬物動態及び蛍光組織の陽性診断率を外国の臨床試験と比較検

討し、内因性民族学的要因の評価を行った結果、外国の臨床試験成績を利用する上で内因性民

族学的要因の影響を受けることは少ないと判断した。

2.7.3.4 推奨用法・用量に関する臨床情報の解析

本剤の推奨する用法・用量である「通常、成人には、アミノレブリン酸塩酸塩として 20 mg/kg

を、手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2~4時間)に、水に溶解して経口投与する」を設定す

る上で、臨床的有効性から裏付けられる臨床情報を以下に示した。

2.7.3.4.1外国臨床試験成績の利用

本剤の臨床的有効性を評価する上で、前述した種々の検討(2.7.3.3.2 全有効性試験の結果

の比較検討 参照)により、外因性及び内因性民族学的要因による影響を受けにくいと考えられ、

外国の臨床試験成績を利用して臨床推奨用量の妥当性を説明することは可能と判断した。

2.7.3.4.2投与量選択に関する経緯及び文献情報

本剤の用量と有効性との関係を検討した MC-ALS.8-I/GLI 試験にて、最高投与量として 20

mg/kg を選択した経緯は以下のとおりである。

5-ALA は脳腫瘍の診断に対して使用される前から、異なる投与量や投与経路(膀胱内投与、

静脈内投与、経口投与)により腫瘍組織の視覚化のために使用されてきた。消化器癌、家族性

大腸腺腫症、口腔癌などに対する光線力学療法として、5-ALA の 30~60 mg/kg 経口投与が行わ

れ、副作用の報告がされている 6-8)。すなわち、Regula(1995)ら 6)は、5-ALA(30~60 mg/kg)

を用いて、光線力学療法を施行した食道癌、胆管癌、大腸癌の 18 例のうち、2例に軽度光線過

敏症(48 時間後に消失)、5例に嘔気・嘔吐、6例に AST の一過性上昇、3例にビリルビンの上

昇、2例にγ-GTP の上昇、1例に ALP の上昇が認められた。AST 上昇は 60 mg/kg では 2/3の症

例に、30 mg/kg では 1/5 の症例にみられた。Mlkvy(1995)7) らは、家族性大腸腺腫症 6 例に

対して、5-ALA(30~60 mg/kg)を用いて光線力学療法を施行し、1例に顔面潮紅(光線過敏症

による)、2例に悪心、3例に ASTの一過性の上昇が認められた。Fan(1996)8)らは、口腔癌 18

例について、5-ALA(60 mg/kg)を用いて光線力学療法を施行し、肝酵素上昇が 9例に認められ

た。5例は AST 上昇であり、2例でビリルビン上昇を伴っていた。1例で掻痒性皮疹が認められ

苔癬状反応と診断された、とそれぞれ報告した。

そのような状況で、Stummer ら 9)は悪性神経膠腫に対する初期の検討で、投与量として、10

mg/kg 経口投与を選択し、9例の多形膠芽腫及び退形成性星細胞腫について臨床試験を実施し

た。その結果、悪性腫瘍組織及び肉眼では正常と見える組織との間にある移行領域から合計 89

検体の生検を実施し、蛍光組織での悪性腫瘍診断で感度 85%、特異性 100%を示し、かつ安全

性に問題がない結果が得られたことを報告している。しかし、この 9例の被験者から採取され

た計 89 検体の診断結果を整理すると、表 2.7.3.4-1 のようになる。すなわち、蛍光部位での

腫瘍陽性率は 100%であるが、感度(腫瘍組織のうち蛍光したもの)は 66%、特異度(蛍光し

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

42

なかった組織のうち腫瘍でなかったもの)は 25%となり、より診断能を高めることが望まれる

と考えられた。

表 2.7.3.4-1 Stummer ら 9)の論文における

診断能の集計(10 mg/kg 投与)

腫瘍組織(検体)

陽性 陰性

陽性 53 0 蛍光(検体)

陰性 27 9

Stummer ら 10)は、20 mg/kg の経口投与によって、52例の多形膠芽腫について術後早期の MRI

検査の評価により 63%(33/52 例)の完全切除率が確認され、有効性(診断能)及び安全性に

問題がないことを示した。

このような経緯から、用量検討試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)では、最高投与量として 20 mg/kg

を選択し、20 mg/kg を超す用量の検討は不要と判断した。

2.7.3.4.3 用量を検討した試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)

MC-ALS.8-I/GLI 試験では、2.7.3.2.2.1 で示したとおり、0.2、2、20 mg/kg の 3 用量につい

て、二重盲検法により用量ごとの腫瘍中心部での蛍光の範囲及び蛍光の質を検討し、腫瘍中心

部において、投与量と蛍光の範囲及び蛍光の質との間に相関性が認められた(蛍光の範囲及び

質、いずれも P<0.0001 Jonckheere-Terpstra 検定)。図 2.7.3.4-1 及び図 2.7.3.4-2 に投与量

ごとの腫瘍中心部での蛍光の範囲及び蛍光の質をそれぞれ示した。また、3 用量群間で、蛍光

の範囲及び蛍光の質に関して、統計学的に有意差が見られた(Wilcoxon-Mann-Whitney 検定)。

また、各用量と 5-ALAの AUC∞に用量相関性が認められた。

以上から、最高投与量である 20 mg/kg は腫瘍中心部の蛍光の範囲及び質において最も効果

的に作用する用量であると判断した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

44

された。特に強蛍光領域ではほぼ 100%の診断率が得られ、腫瘍組織を特異的に視覚化するこ

とができた。この結果は、国内においても外国と同様に有効性の観点から本剤の 20 mg/kg 投与

が推奨される用量であることを示していると考えられた。

また、NPC-07-1 試験では、血漿中 PPIX 濃度の Cmaxは 6.17±0.98 時間(mean±S.D.)、t1/2は

4.91±1.90 時間であることから、麻酔導入前 3時間での投与により、麻酔導入後約 3時間で血

漿中 PPIX 濃度は最大になることが予想され、腫瘍切除時(本剤投与後 5~10 時間)には PPIX

による十分な蛍光が得られると推定された。

さらに、本剤投与から麻酔導入開始までの時間は、FAS 対象例において、国内試験では 38 例

中 37 例が 2~4時間の範囲内であった。また、外国試験(MC-ALS.28/GLI 試験)では、33 例中

32 例が 2~4 時間の範囲内であった。いずれの試験においても本剤投与から麻酔導入開始まで

の時間が 2~4時間の症例では、腫瘍組織の蛍光が認められ、陽性診断率の評価が実施された。

以上から、本剤の推奨する用法・用量は、「通常、成人には、アミノレブリン酸塩酸塩とし

て 20 mg/kg を、手術時の麻酔導入前 3 時間(範囲:2~4 時間)に、水に溶解して経口投与す

る」と設定することが適切であると判断した。

表 2.7.3.4-2 蛍光組織における陽性診断率

試験 NPC-07-1 MC-ALS.28/GLI MC-ALS.30/GLI

用量 20 mg/kg

経口投与

20 mg/kg

経口投与

20 mg/kg

経口投与

対象 初発/再発 初発 再発

陽性診断率(%)

(陽性例数/評価例数)

95%信頼区間(%)

初発/再発 初発 再発

陽性診断率(%)

(陽性例数/

評価例数)

90%信頼区間(%)

陽性診断率(%)*

(陽性例数/

評価例数)

95%信頼区間(%)

強蛍光 94.4

(34/36)

81.3-99.3

100.0

(22/22)

84.6-100.0

85.7

(12/14)

57.2-98.2

100.0

(32/32)

91.1-100.0

91.7

(33/36)

77.5-98.2

弱蛍光 65.8

(25/36)

48.6-80.4

63.6

(14/22)

40.7-82.8

68.8

(11/16)

41.3-89.0

83.3

(25/30)

68.1-93.2

83.3

(30/36)

67.2-93.6

すべての

蛍光

65.8

(25/38)

48.6-80.4

63.6

(14/22)

40.7-82.8

68.8

(11/16)

41.3-89.0

84.8

(28/33)

70.7-93.8

77.8

(28/36)

60.8-89.9

2.7.3.5 効果の持続・耐薬性

本剤は手術前の1回投与により蛍光本体であるPPIXが腫瘍組織中に蓄積して手術中に蛍光を

発することにより腫瘍組織の視覚化が得られるが、腫瘍組織中の PPIX 濃度は測定していない。

なお、NPC-07-1 試験における血漿中 PPIX 濃度の推移は、tmax 6.17 時間、t1/2 4.91 時間であっ

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

45

たことより、本剤を麻酔導入前 3時間に投与することにより、開頭後腫瘍切除が実施される時

期(本剤投与後 5~10 時間)に血漿中 PPIX 濃度が高値を示すことから、腫瘍細胞中においても

高濃度が維持されていると推定される。

なお、本剤は 1回投与であるために効果の耐薬性に関する臨床試験成績はない。

2.7.3.6 付録

2.7.3 に付録はない。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.3 臨床的有効性の概要

46

引 用 文 献

1) Stummer W, et al. Fluorescene-guided surgery with 5-aminolevulinic acid for resection

of malignant glioma: a randomised controlled multicentre phase III trial. Lancet Oncol

2006; 7: 392-401

2) The Committee of Brain Tumor Registry of Japan. Report of Brain Tumor Registry of

Japan (1984-2000) 12th Edition. Neurologia Medical-Chirurgia 2009; Vol.49,

Supplement

3) Central Brain Tumor Registry of the United States: CBTRUS (2012). Statistical report:

primary brain tumors in the United States, 2004-2008

4) National Comprehensive Cancer Network(NCCN) Clinical Practice Guidelines in

Oncology-v.1.2009

5) 日本脳神経外科学会・日本病理学会編.臨床・病理 脳腫瘍取扱い規約,第 3 版,金原出

版;2010,232-244

6) Regula J, et al. Photosensitisation and photodynamic therapy of oesophageal, duodenal,

and colorectal tumours using 5 aminolaevulinic acid induced protoporphyrin IX ‒ a

pilot study. Gut. 1995;36(1): 67-75

7) Mlkvy P, et al. Photodynamic Therapy for Polyps in Familial Adenomatous Polyposis-

A Pilot Study. Eur J Cancer 1995;31A(7/8): 1160-1165

8) Fan KF, et al. Photodynamic Therapy Using 5-Aminolevulinic Acid for Premalignant and

Malignant Lesions of the Oral Cavity. Cancer 1996;78(7): 1374-1383

9) Stummer W, et al. Intraoperative Detection of Malignant Glioma by 5-Aminolevulinic

Acid-induced Porphyrin Fluorescence. Nuerosurgery 1998; 42(3):518-526

10) Stummer W, et al.Fluorescene-guided resection of glioblastoma multiforme by using

5-aminolevulinic acid-induced porphyrins:a prospective study in 52 consecutive

patients. J Neurosurg. 2000; 93: 1003-1013

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤)

第2部 CTDの概要 (サマリー)

2.7 臨床概要

2.7.4 臨床的安全性の概要

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

略語一覧

略語 内 容 5-ALA 5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid)

5-ALA HCl 5-ALA 塩酸塩(5-aminolevulinic acid hydrochloride)

Al-P アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase)

ALT (GPT) アラニントランスアミナーゼ(Alanine transaminase)

AST (GOT) アスパラテートトランスアミナーゼ(Asparatate transaminase)

CK クレアチニンキナーゼ(Creatinine kinase)

CT コンピュータ断層撮影(Computed tomography)

CTC 有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria)

CTCAE 有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)

EMA 欧州医薬品庁(European Medicine Agency)

-GTP -グルタミルトランスペプチダーゼ(Gamma glutamyl transpeptidase)

GCS グラスゴー昏睡尺度/グラスゴー コマ スケール(Glasgow Coma Scale)

KPS カルノフスキー パフォーマンス ステータス(Karnofsky performance status)

LDH 乳酸脱水酵素(Lactete dehydrogenase)

NIH 米国国立衛生研究所(National Institute of Health)

PT 基本語(Preferred term)

SAS 安全性解析集団(Safety analysis set)

SOC 器官別大分類(System organ class)

WHO 世界保健機構(World Health Organization)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

2.7.4 臨床的安全性の概要

2.7.4.1 医薬品への曝露 .........................................................1 2.7.4.1.1 総括的安全性評価計画及び安全性試験の記述 ...........................1 2.7.4.1.2 全般的な暴露状況 ...................................................3 2.7.4.1.3 試験対象集団の人口統計学的特性及び他の特性 .........................4

2.7.4.2 有害事象 ...............................................................6 2.7.4.2.1 有害事象の解析 .....................................................6

2.7.4.2.1.1 比較的よく見られる有害事象......................................6 2.7.4.2.1.1.1 有害事象及び副作用..............................................................................6 2.7.4.2.1.1.2 試験別の有害事象及び副作用 .............................................................21 2.7.4.2.1.1.3 重症度別の有害事象及び副作用 .........................................................24 2.7.4.2.1.1.4 性別の有害事象及び副作用.................................................................26 2.7.4.2.1.1.5 体重別の有害事象及び副作用 .............................................................29 2.7.4.2.1.1.6 発現時期別の有害事象及び副作用......................................................32 2.7.4.2.1.1.7 悪性神経膠腫の初発・再発別の有害事象及び副作用 ........................35 2.7.4.2.1.1.8 腫瘍病理判定 WHO グレード別の有害事象及び副作用 ........................39 2.7.4.2.1.1.9 KPS スコア別の有害事象及び副作用 ...................................................42

2.7.4.2.1.2 死亡...........................................................44 2.7.4.2.1.3 その他の重篤な有害事象.........................................46 2.7.4.2.1.4 その他の重要な有害事象.........................................50 2.7.4.2.1.5 器官又は症候群別有害事象の解析.................................51 2.7.4.2.1.6 患者 20 mg/kg 経口投与の有害事象の解析..........................51 2.7.4.2.1.7 まとめ.........................................................53

2.7.4.2.2 個別有害事象の文章による説明 ......................................55 2.7.4.3 臨床検査値の評価 ......................................................55

2.7.4.3.1 肝機能検査の評価 ..................................................55 2.7.4.3.2 その他の臨床検査値の評価 ..........................................66

2.7.4.4 バイタルサイン、身体的所見及び安全性に関連する他の観察項目 ............68 2.7.4.5 特別な患者集団及び状況下における安全性 ................................71

2.7.4.5.1 内因性要因 ........................................................71 2.7.4.5.2 外因性要因 ........................................................72 2.7.4.5.3 薬物相互作用 ......................................................72 2.7.4.5.4 妊娠及び授乳時の使用 ..............................................72 2.7.4.5.5 過量投与 ..........................................................72 2.7.4.5.6 薬物乱用 ..........................................................72 2.7.4.5.7 離脱症状及び反跳現象 ..............................................72 2.7.4.5.8 自動車運転及び機械操作に対する影響又は精神機能の障害 ..............72

2.7.4.6 市販後データ ..........................................................72 2.7.4.6.1 世界における使用経験の程度 ........................................72 2.7.4.6.2 市販後に CIOMS により報告された重篤な有害事象 ......................73

2.7.4.7 付録 ..................................................................73

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

1

2.7.4 臨床的安全性の概要

2.7.4.1 医薬品への曝露

2.7.4.1.1 総括的安全性評価計画及び安全性試験の記述

(1) 総括的安全性評価計画

本剤は、5-ALA HCl の凍結乾燥製剤で、ドイツのメダック社によって開発された体内診断薬

であり、2007年 9 月に EMA の中央承認審査方式による販売承認を受けた。欧州における承認申

請時の提出資料の中での臨床試験は、健康成人におけるバイオアベイラビリティ試験

(MC-ALS.20/BV 試験)、本剤 3用量で用量相関性を検討した試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)、初発

の悪性神経膠腫に対する腫瘍細胞陽性診断率を検討した試験(MC-ALS.28/GLI 試験)及び蛍光誘

導切除術と従来法である白色光下切除術との無作為化比較試験(MC-ALS.3/GLI試験)の計4試験

であった。また、他の試験として、承認申請時には試験中であった再発の悪性神経膠腫を対象

として術中の生検組織による腫瘍細胞陽性診断率を検討した試験(MC-ALS.30/GLI 試験)及び

初発の悪性神経膠腫を対象とした試験(MC-ALS.32/GLI 試験)を実施し、販売承認後に成績を

まとめた。

一方、本剤の国内での開発に関しては、PMDA への「医薬品第Ⅱ相試験終了後相談」(20 (平

成 )年 月 日)の結果をもとに、初発又は再発の悪性神経膠腫患者を対象として本剤によ

る診断能、安全性及び薬物動態を検討する第Ⅲ相試験(NPC-07-1 試験)を実施した。

安全性の評価は、国内試験の成績を中心に評価することとし、上述した外国試験 6試験(健

康成人対象試験を除く 5試験は 2.7.3 臨床的有効性の項で評価)についても併せて安全性を検

討した。

本剤に関する重要な安全性データが得られ、評価対象とした国内外の臨床試験(計 7試験)

を表 2.7.4.1.1-1 に記載する。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

2

表 2.7.4.1.1-1 安全性に関わる臨床試験一覧

実施場所

資料区分

試験

番号

試験

区分 対象

デザイ

ン 試験内容

投与量

投与方法**

被験者数

(例) 添付資料

国内試験

評価資料

NPC-07-

1

第Ⅲ

初 発 又 は

再 発の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤による蛍光切

除術の診断能、安

全性及び薬物動態

を検討した。

20 mg/kg

経口投与 45 5.3.5.2-1

MC-ALS.

20/BV*

第Ⅰ

白 人 健 康

成人男性 非盲検

健康成人男性にお

ける経口投与時の

絶対的バイオアベ

イラビリティを検

討した。

20 mg/kg

経口投与、

2 mg/kg 静

脈内投与

21

12***

5.3.1.1-1

MC-ALS.

8-I/GLI*

第Ⅰ

/Ⅱ相

初 発 の 悪

性 神経 膠

二重盲

本剤による用量と

腫瘍中心部の蛍光

の範囲、質との用

量相関関係を検討

した。

0.2、2、20

mg/kg

経口投与

21

(各投与

群 7例)

5.3.5.1-1

MC-ALS.

28/GLI*

第Ⅱ

初 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤による弱蛍光

及び強蛍光から採

取した生検標本に

おける腫瘍細胞陽

性診断率を検討し

た。

20 mg/kg

経口投与 36

5.3.5.2-2

MC-ALS.

3/GLI*

第Ⅲ

初 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検、

無作為

本剤による蛍光切

除術の有効性と安

全性を従来法であ

る白色光切除術と

の比較により臨床

的有用性を検討し

た。

20 mg/kg

経口投与

対照群:投

与なし

本剤:201

対照:173

5.3.5.1-2

MC-ALS.

30/GLI

第Ⅱ

再 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤による弱蛍光

及び強蛍光から採

取した生検標本に

おける腫瘍細胞陽

性診断率を検討し

た。

20 mg/kg

経口投与 40

5.3.5.2-3

外国試験

参考資料

MC-ALS.

32/GLI

第Ⅲ

初 発 の 悪

性 神経 膠

非盲検

本剤 20 mg/kg 投与

による悪性神経膠

腫の蛍光切除後の

有害事象発現率を

検討した。また全

生存期間について

検討した。

20 mg/kg

経口投与 243

5.3.5.2-4

* 欧州承認申請資料 ** すべての臨床試験において、メダック社品を使用した。 *** 20 mg/kg 経口単回投与後に 2.0 mg/kg静脈内単回投与を行った。

(2) 安全性試験の記述

国内試験における有害事象名については、MedDRA バージョン 14.1 を用いた。

外国試験での有害事象名は、MC-ALS.20/BV 試験では医師報告による、MC-ALS.8-I/GLI 試験、

MC-ALS.28/GLI 試験、MC-ALS.3/GLI 試験及び MC-ALS.30/GLI 試験では NCI-CTC(National Cancer

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

3

Institute-Common Toxicity Criteria)による、MC-ALS.32/GLI 試験では MedDRA(バージョン

情報なし)による分類をそれぞれ使用していたため、これらを MedDRA の PT及び器官別大分類

(SOC)に分類し直した。MedDRA へ分類する際に、NCI-CTC の「Other Findings」については、

医師報告の「Reported Term」をもとに MedDRA へ変換した。

有害事象の重症度は、国内試験で CTCAE バージョン 4.0 を、外国試験の MC-ALS8-I/GLI、

MC-ALS28/GLI、MC-ALS3/GLI及びMC-ALS30/GLI試験ではCTCAEバージョン1.0を使用しており、

重症度分類の評価結果は同じものとして集計した。また、MC-ALS20/BV 及び MC-ALS32/GLI 試験

では CTCAE に準じた重症度分類の定義を使用していることより、CTCAE の重症度分類と同様に

集計した。

「2.7.4.3.1 肝機能検査の評価」では、外国試験の臨床検査値の結果を CTCAE の定義に従っ

て分類し、再集計した。

国内試験における、被験者の安全性に関する観察検査項目及び観察期間を表 2.7.4.1.1-2 に

示した。

表 2.7.4.1.1-2 国内試験における観察・検査項目

試験番号 観察・検査項目 観察期間

(0日目 = 本剤投与日)

有害事象 28 日目まで

バイタルサイン

・脈拍、血圧、体温

・12誘導心電図

・動脈血酸素分圧

・投与前、0、1、3、7、14、28 日目

・投与前、0、1、3~7、14、28 日目

・0日

臨床検査

・血液学的検査(白血球分画、WBC、RBC、Hb、

Ht、Plt)

・血液生化学的検査(AST、ALT、Al-P、γ―GTP、

総蛋白、アルブミン、アミラーゼ、総ビリ

ルビン、糖、総コレステロール、HDL―コ

レステロール、トリグリセリド、CK、LDH、

BUN、クレアチニン、尿酸、Na、K、Cl)

・尿検査(蛋白、糖、ウロビリノーゲン、潜血)

投与前、1、3、7、14、28 日目

KPS スコア 投与前、3、7、14、28 日目

NPC-07-1

Glasgow Coma Scale 投与前、3、7、14、28 日目

2.7.4.1.2 全般的な暴露状況

国内試験及び外国試験における投与量及び投与経路別の患者数の集計を、それぞれ表

2.7.4.1.2-1 並びに表 2.7.4.1.2-2 に示した。国内試験では、本剤 20 mg/kg を 45 例に経口投

与、外国試験の 6 試験では、健康成人男性 21 例及び悪性神経膠腫患者 527 例に本剤 20 mg/kg

を、悪性神経膠腫患者に 0.2(7 例)及び 2 mg/kg(7 例)を経口投与した。また、絶対的バイ

オアベイラビリティの検討を目的として、健康成人男性 12 例に対して 2.0 mg/kg を静脈内投

与した。いずれも単回投与であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

4

表 2.7.4.1.2-1 投与量及び投与経路別の患者数(安全性解析対象集団)(国内)

投与量 投与経路 投与した被験者/患者数

20 mg/kg単回投与 経口投与 45

表 2.7.4.1.2-2 投与量及び投与経路別の患者数(安全性解析対象集団)(外国)

投与量 投与経路 投与した被験者/患者数

2.0 mg/kg単回投与 静脈内投与 12* (健康成人男性)

0.2 mg/kg単回投与 経口投与 7

2 mg/kg 単回投与 経口投与 7

20 mg/kg単回投与 経口投与 548*(健康成人男性 21 例を含む)

* MC-ALS.20/BV 試験 12例は、入院 1日目に 20 mg/kg 単回経口投与、4日目に 2.0 mg/kg 単回静脈内投与

2.7.4.1.3 試験対象集団の人口統計学的特性及び他の特性

安全性解析対象例の試験ごとの人口統計学的特性を表 2.7.4.1.3-1 に示した。

国内で実施した NPC-07-1 試験では本剤が投与された 45 例が安全性解析対象例とされ、平均

年齢は 52.3±11.7 歳、平均体重は 61.9±12.9 kg であった。男女比率、初発及び再発の割合に

も大きな偏りはなかった。病理組織学的診断結果である WHO グレードは、中央病理診断結果を

記載した。

外国で実施された患者を対象とした試験では、性別は ALS.30/GLI 試験で男性が 40 例中 28

例であるなど男性が多かったものの、男女比率に大きな偏りはなかった。年齢についても、患

者を対象とした試験では、各試験の間に大きな違いはなかった。

一方で体重は、外国の全試験で平均体重が 70 kg を超えており、国内試験よりも重い結果で

あった。また、国内、外国ともに、WHO グレードⅢに比較して、グレードⅣの患者が多かった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

5

表 2.7.4.1.3-1 試験ごとの人口統計学的特性 日本 外国

試験番号 NPC-07

-1

MC-ALS.20/

GLI* MC-ALS.8-I/GLI

MC-ALS.

28/GLI ALS.3

MC-ALS.

30/GLI

MC-ALS.

32/GLI

投与群(mg/kg) 20 20 20** 0.2 2 20 20 20 WL*** 20 20

対象症例数(例) 45 9 12 7 7 7 36 201 173 40 243

性別 男 25 9 12 4 4 6 19 119 111 28 159

女 20 0 0 3 3 1 17 82 62 12 84

年齢 平均 52.3 29.0 29.8 59.7 61.3 56.0 56.8 57.6 58.8 52.3 60.2

(歳) 標準偏差 11.7 7.3 6.2 2.5 6.9 13.5 13.1 10.7 9.2 12.9 10.6

体重 ≦60kg 18 0 0 0 1 0 4 25 18 1 22

>60kg 27 9 12 7 6 7 32 176 154 39 219

不明 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 2

平均 61.9 76.1 79.9 75.8 78.8 72.9 76.4 78.7 79.2 82.0 80.4

標準偏差 12.9 9.4 8.5 12.8 19.7 6.5 11.7 14.7 15.0 13.9 15.4

初発 25 - - 7 7 7 36 201 173 0 243 初発/再発 再発 20 - - 0 0 0 0 0 0 40 0

GradeⅢ 13 - - 0 0 1 4 6 6 6 13

GradeⅣ 23 - - 7 7 6 29 173 166 32 212

Ⅲ/Ⅳ以外 2 - - 0 0 0 2 20 1 2 18

病理グ

レード

データなし 7 - - 0 0 0 1 2 0 0 0

60-70 13 - - 0 1 1 5 19 19 11 26

80-100 32 - - 7 6 6 31 182 154 29 216

KPS

スコア

不明 0 - - 0 0 0 0 0 0 0 1

* ALS.20 のみ健康成人男性を対象、他は患者対象の試験

** 20 mg/kg 経口単回投与後、2.0 mg/kg 静脈内単回投与。

*** WL:白色光下切除術群(本剤未投与)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

6

2.7.4.2 有害事象

2.7.4.2.1 有害事象の解析

2.7.4.2.1.1 比較的よく見られる有害事象

2.7.4.2.1.1.1 有害事象及び副作用

(1) 有害事象

国内試験と外国試験のすべての有害事象を表 2.7.4.2.1.1-1 に示した。

国内試験 45 例中 42 例(93.3%)に有害事象の発現が認められた。器官別有害事象のうち主

な事象は、「胃腸障害」が 25 例(55.6%)、「神経系障害」が 23 例(51.1%)、「臨床検査」

が 21 例(46.7%)、「一般・全身障害および投与部位の状態」が 15 例(33.3%)、「皮膚およ

び皮下組織障害」が 11例(24.4%)及び「傷害、中毒および処置合併症」が 10 例(22.2%)

であった。

外国試験の本剤投与 562 例における有害事象は、325 例(57.8%)に認められた。器官別有

害事象のうち頻度が高かったのは「神経系障害」が 212 例(37.7%)であった。次いで「血管

障害」が 48 例(8.5%)、「感染症および寄生虫症」が 47 例(8.4%)、「眼障害」が 46 例(8.2%)

であったが、いずれも 10%未満であった。

国内外試験で多く発現した「神経系障害」の内訳は、国内試験では頭痛 12 例(26.7%)、

痙攣 4例(8.9%)、脳梗塞 3例(6.7%)、不全片麻痺 3例(6.7%)及び片麻痺 2例(4.4%)

であった。外国試験では、会話障害 46 例(8.2%)、運動機能麻痺 43 例(7.7%)、痙攣 32

例(5.7%)、不全片麻痺 32 例(5.7%)及び頭痛 31 例(5.5%)であり、国内外試験で類似し

ていた。

国内試験では、外国試験に比較して全体の発現率が高く、「胃腸障害」の悪心、嘔吐や「臨

床検査」が多く報告された。臨床検査値に関して、外国試験でも基準値範囲外となる変動はあ

ったものの、有害事象として報告されたのは 8例(1.4%)、肝酵素上昇が 1例(0.2%)であ

った。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

7

表 2.7.4.2.1.1-1 国内試験と外国試験の有害事象比較

日本/外国 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20

外国試験

対象症例数(例) 45 562

発現症例数(例(%)) 42 (93.3) 325 (57.8)

血液およびリンパ系障害 4 (8.9) 9 (1.6)

貧血 3 (6.7) 1 (0.2)

凝血異常 - 1 (0.2)

好酸球増加症 1 (2.2) 0 (0.0)

白血球増加症 - 1 (0.2)

白血球減少症 - 1 (0.2)

好中球減少症 - 1 (0.2)

汎血球減少症 - 1 (0.2)

血小板減少症 - 6 (1.1)

心臓障害 1 (2.2) 11 (2.0)

不整脈 - 5 (0.9)

心不全 - 1 (0.2)

頻脈 1 (2.2) 0 (0.0)

心室細動 - 1 (0.2)

心障害 - 5 (0.9)

先天性、家族性および遺伝性障

害 - 2 (0.4)

嚢胞性リンパ管腫 - 2 (0.4)

耳および迷路障害 - 7 (1.2)

聴覚障害 - 6 (1.1)

聴力低下 - 1 (0.2)

内分泌障害 - 2 (0.4)

急性副腎皮質機能不全 - 1 (0.2)

クッシング症候群 - 1 (0.2)

眼障害 5 (11.1) 46 (8.2)

複視 - 1 (0.2)

眼乾燥 1 (2.2) 1 (0.2)

眼瞼浮腫 4 (8.9) 0 (0.0)

閃輝暗点 - 1 (0.2)

視力障害 - 44 (7.8)

胃腸障害 25 (55.6) 27 (4.8)

腹部不快感 2 (4.4) 0 (0.0)

上腹部痛 - 1 (0.2)

便秘 6 (13.3) 1 (0.2)

下痢 4 (8.9) 3 (0.5)

消化不良 - 1 (0.2)

胃出血 - 1 (0.2)

痔核 1 (2.2) 0 (0.0)

悪心 14 (31.1) 16 (2.8)

食道炎 - 2 (0.4)

嘔吐 14 (31.1) 11 (2.0)

心窩部不快感 - 1 (0.2)

一般・全身障害および投与部位

の状態 15 (33.3) 41 (7.3)

胸部不快感 1 (2.2) 0 (0.0)

悪寒 1 (2.2) 1 (0.2)

状態悪化 - 3 (0.5)

嚢胞 - 2 (0.4)

死亡 - 1 (0.2)

顔面浮腫 2 (4.4) 0 (0.0)

疲労 - 4 (0.7)

治癒不良 - 4 (0.7)

倦怠感 2 (4.4) 0 (0.0)

粘膜の炎症 - 1 (0.2)

日本/外国 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20

外国試験

浮腫 1 (2.2) 1 (0.2)

末梢性浮腫 1 (2.2) 0 (0.0)

疼痛 - 4 (0.7)

発熱 9 (20.0) 23 (4.1)

全身健康状態低下 - 3 (0.5)

肝胆道系障害 5 (11.1) 1 (0.2)

胆石症 - 1 (0.2)

肝機能異常 5 (11.1) 0 (0.0)

免疫系障害 - 10 (1.8)

薬物過敏症 - 5 (0.9)

過敏症 - 3 (0.5)

季節性アレルギー - 2 (0.4)

感染症および寄生虫症 7 (15.6) 47 (8.4)

膿瘍 - 2 (0.4)

外耳道膿瘍 - 1 (0.2)

脳膿瘍 - 1 (0.2)

気管支炎 1 (2.2) 1 (0.2)

気管支肺炎 - 1 (0.2)

カンジダ症 - 1 (0.2)

膀胱炎 - 1 (0.2)

憩室炎 - 1 (0.2)

蓄膿 - 1 (0.2)

真菌感染 1 (2.2) 0 (0.0)

単純ヘルペス - 1 (0.2)

帯状疱疹 1 (2.2) 0 (0.0)

感染 - 16 (2.8)

大葉性肺炎 - 1 (0.2)

髄膜炎 - 3 (0.5)

細菌性髄膜炎 1 (2.2) 0 (0.0)

外耳炎 1 (2.2) 0 (0.0)

中耳炎 1 (2.2) 0 (0.0)

肺炎 - 9 (1.6)

術後創感染 1 (2.2) 1 (0.2)

偽膜性大腸炎 1 (2.2) 0 (0.0)

回帰熱 - 1 (0.2)

敗血症 - 3 (0.5)

敗血症性ショック 1 (2.2) 0 (0.0)

硬膜下蓄膿症 - 1 (0.2)

足部白癬 - 1 (0.2)

気管気管支炎 - 1 (0.2)

尿路感染 1 (2.2) 3 (0.5)

外陰部腟炎 - 1 (0.2)

創傷感染 - 1 (0.2)

ブドウ球菌感染 - 1 (0.2)

椎間板炎 - 2 (0.4)

傷害、中毒および処置合併症 10 (22.2) 40 (7.1)

麻酔からの覚醒遅延 - 1 (0.2)

硬膜外血腫 - 1 (0.2)

転倒 - 3 (0.5)

大腿骨頚部骨折 - 1 (0.2)

裂傷 - 1 (0.2)

処置後局所反応 1 (2.2) 0 (0.0)

硬膜下血腫 - 3 (0.5)

挫傷 - 2 (0.4)

処置後出血 2 (4.4) 9 (1.6)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

8

日本/外国 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20

外国試験

創合併症 5 (11.1) 3 (0.5)

処置合併症 2 (4.4) 0 (0.0)

処置後合併症 - 9 (1.6)

膀胱損傷 - 1 (0.2)

処置による低血圧 - 1 (0.2)

処置後血腫 - 3 (0.5)

放射線皮膚損傷 1 (2.2) 3 (0.5)

臨床検査 21 (46.7) 8 (1.4)

ALT(GPT)増加 1 (2.2) 0 (0.0)

血中アミラーゼ増加 3 (6.7) 0 (0.0)

血中ビリルビン増加 2 (4.4) 0 (0.0)

血中 CK 増加 2 (4.4) 0 (0.0)

血中クレアチニン増加 - 1 (0.2)

血中 LDH増加 1 (2.2) 0 (0.0)

血中乳酸増加 - 1 (0.2)

血圧上昇 1 (2.2) 0 (0.0)

C-反応性蛋白増加 3 (6.7) 0 (0.0)

γ-GTP 増加 5 (11.1) 1 (0.2)

尿中ブドウ糖陽性 1 (2.2) 0 (0.0)

尿中血陽性 1 (2.2) 0 (0.0)

ヘモグロビン減少 - 1 (0.2)

心拍数減少 1 (2.2) 0 (0.0)

リンパ球数減少 3 (6.7) 0 (0.0)

好中球数減少 3 (6.7) 0 (0.0)

好中球数増加 1 (2.2) 0 (0.0)

酸素飽和度低下 - 1 (0.2)

血小板数減少 2 (4.4) 0 (0.0)

体重減少 - 2 (0.4)

体重増加 - 1 (0.2)

白血球数減少 3 (6.7) 0 (0.0)

白血球数増加 1 (2.2) 0 (0.0)

肝酵素上昇 - 1 (0.2)

代謝および栄養障害 5 (11.1) 19 (3.4)

糖尿病 - 1 (0.2)

体液貯留 1 (2.2) 6 (1.1)

痛風 - 1 (0.2)

高ナトリウム血症 - 1 (0.2)

低アルブミン血症 1 (2.2) 0 (0.0)

低カリウム血症 - 1 (0.2)

低ナトリウム血症 - 4 (0.7)

肥満 - 2 (0.4)

食欲障害 - 2 (0.4)

食欲減退 3 (6.7) 1 (0.2)

筋骨格系および結合組織障害 5 (11.1) 11 (2.0)

強直性脊椎炎 - 2 (0.4)

関節痛 1 (2.2) 0 (0.0)

背部痛 3 (6.7) 1 (0.2)

筋攣縮 - 1 (0.2)

筋力低下 - 1 (0.2)

頚部痛 1 (2.2) 1 (0.2)

変形性関節症 - 2 (0.4)

四肢痛 - 2 (0.4)

肩回旋筋腱板症候群 - 1 (0.2)

椎間板突出 - 1 (0.2)

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む)

1 (2.2) 3 (0.5)

副腎転移 - 1 (0.2)

日本/外国 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20

外国試験

小細胞肺癌、病期不明 - 1 (0.2)

腫瘍出血 1 (2.2) 0 (0.0)

脳ヒグローマ - 2 (0.4)

神経系障害 23 (51.1) 212 (37.7)

失読 - 1 (0.2)

失語症 - 27 (4.8)

失行症 - 1 (0.2)

運動失調 - 15 (2.7)

小脳出血 - 1 (0.2)

脳出血 - 4 (0.7)

脳梗塞 3 (6.7) 3 (0.5)

脳血栓症 - 1 (0.2)

脳血管障害 - 3 (0.5)

痙攣 4 (8.9) 32 (5.7)

協調運動異常 - 1 (0.2)

意識レベルの低下 - 1 (0.2)

注意力障害 - 4 (0.7)

浮動性めまい 1 (2.2) 8 (1.4)

構語障害 - 1 (0.2)

ジスキネジー - 1 (0.2)

てんかん - 2 (0.4)

大発作痙攣 - 9 (1.6)

頭痛 12 (26.7) 31 (5.5)

半盲 - 5 (0.9)

同名性半盲 - 1 (0.2)

不全片麻痺 3 (6.7) 32 (5.7)

片麻痺 2 (4.4) 8 (1.4)

水頭症 1 (2.2) 1 (0.2)

感覚鈍麻 1 (2.2) 3 (0.5)

筋緊張低下 - 1 (0.2)

嗜眠 - 1 (0.2)

記憶障害 - 4 (0.7)

不全単麻痺 - 4 (0.7)

単麻痺 - 1 (0.2)

運動障害 - 3 (0.5)

錯感覚 - 1 (0.2)

橈骨神経麻痺 1 (2.2) 1 (0.2)

感覚障害 - 14 (2.5)

会話障害 - 46 (8.2)

てんかん重積状態 - 1 (0.2)

昏迷 - 1 (0.2)

振戦 - 2 (0.4)

視野欠損 - 1 (0.2)

ゲルストマン症候群 - 1 (0.2)

硬膜下ヒグローマ - 1 (0.2)

脳浮腫 - 3 (0.5)

第7脳神経麻痺 - 12 (2.1)

顔面不全麻痺 - 4 (0.7)

脳脊髄瘻 - 1 (0.2)

間代性痙攣 - 1 (0.2)

大脳障害 - 15 (2.7)

認知障害 - 1 (0.2)

神経学的症状 - 1 (0.2)

運動機能障害 - 43 (7.7)

部分発作 1 (2.2) 1 (0.2)

顔面神経障害 - 1 (0.2)

感覚運動障害 - 1 (0.2)

髄液貯留 - 2 (0.4)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

9

日本/外国 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20

外国試験

微細運動遅延 - 1 (0.2)

半側無視 - 5 (0.9)

精神障害 7 (15.6) 41 (7.3)

急性精神病 - 1 (0.2)

激越 - 1 (0.2)

不安 1 (2.2) 0 (0.0)

錯乱状態 - 1 (0.2)

譫妄 1 (2.2) 0 (0.0)

うつ病 2 (4.4) 2 (0.4)

失見当識 - 1 (0.2)

幻覚 - 2 (0.4)

不眠症 3 (6.7) 0 (0.0)

言葉もれ - 2 (0.4)

気分変化 - 7 (1.2)

パニック発作 - 1 (0.2)

人格変化 - 20 (3.6)

落ち着きのなさ 3 (6.7) 0 (0.0)

不安障害 - 1 (0.2)

身体疾患による精神障害 - 4 (0.7)

精神病性障害 - 3 (0.5)

腎および尿路障害 2 (4.4) 9 (1.6)

無尿 - 1 (0.2)

出血性膀胱炎 - 1 (0.2)

血尿 2 (4.4) 4 (0.7)

失禁 - 2 (0.4)

排尿異常 - 1 (0.2)

尿路痛 - 1 (0.2)

生殖系および乳房障害 - 2 (0.4)

良性前立腺肥大症 - 2 (0.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 3 (6.7) 26 (4.6)

喘息 - 1 (0.2)

咳嗽 - 4 (0.7)

呼吸困難 - 2 (0.4)

しゃっくり 1 (2.2) 0 (0.0)

誤嚥性肺炎 1 (2.2) 0 (0.0)

肺臓炎 - 1 (0.2)

気胸 - 2 (0.4)

日本/外国 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20

外国試験

肺塞栓症 - 14 (2.5)

呼吸不全 - 2 (0.4)

口腔咽頭痛 1 (2.2) 0 (0.0)

皮膚および皮下組織障害 11 (24.4) 16 (2.8)

脱毛症 - 4 (0.7)

褥瘡性潰瘍 2 (4.4) 0 (0.0)

薬疹 2 (4.4) 1 (0.2)

湿疹 - 1 (0.2)

紅斑 1 (2.2) 1 (0.2)

皮下出血 2 (4.4) 0 (0.0)

多汗症 - 1 (0.2)

過角化 - 1 (0.2)

皮膚疼痛 - 1 (0.2)

光線過敏性反応 - 2 (0.4)

そう痒症 3 (6.7) 0 (0.0)

発疹 1 (2.2) 1 (0.2)

全身性皮疹 1 (2.2) 0 (0.0)

脂漏性皮膚炎 - 1 (0.2)

皮膚障害 - 3 (0.5)

皮膚剥脱 1 (2.2) 0 (0.0)

顔面腫脹 - 3 (0.5)

蕁麻疹 1 (2.2) 0 (0.0)

光線性皮膚症 - 1 (0.2)

血管障害 1 (2.2) 48 (8.5)

空気塞栓症 - 1 (0.2)

循環虚脱 - 2 (0.4)

動脈塞栓症 - 1 (0.2)

血腫 - 3 (0.5)

高血圧 1 (2.2) 15 (2.7)

低血圧 - 6 (1.1)

静脈炎 - 7 (1.2)

血栓性静脈炎 - 1 (0.2)

血栓症 - 3 (0.5)

静脈血栓症 - 2 (0.4)

深部静脈血栓症 - 8 (1.4)

虚血 - 1 (0.2)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

10

外国試験の試験別有害事象を表 2.7.4.2.1.1-2 及び表 2.7.4.2.1.1-3 に、さらに国内試験及

び外国試験の発現率 5%以上の有害事象を表 2.7.4.2.1.1-4 及び表 2.7.4.2.1.1-5 に示した。

表 2.7.4.2.1.1-2 試験別の有害事象(外国試験) 1/2 日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.20

/GLI MC-ALS.8-I/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 0.2 2 20

対象症例数(例) 21 7 7 7

発現症例数(例(%)) 1 (4.8) 6 (85.7) 6 (85.7) 7 (100.0)

心臓障害 - 2 (28.6) 1 (14.3) 1 (14.3)

不整脈 - - 1 (14.3) 1 (14.3)

心障害 - 2 (28.6) 1 (14.3) -

耳および迷路障害 - - 1 (14.3) -

聴覚障害 - - 1 (14.3) -

眼障害 - 2 (28.6) 1 (14.3) 2 (28.6)

視力障害 - 2 (28.6) 1 (14.3) 2 (28.6)

胃腸障害 1 (4.8) 1 (14.3) 2 (28.6) -

下痢 - 1 (14.3) - -

悪心 1 (4.8) 1 (14.3) 2 (28.6) -

嘔吐 - - 1 (14.3) -

一般・全身障害および投与部位の状態 - 2 (28.6) 3 (42.9) 3 (42.9)

浮腫 - - - 1 (14.3)

疼痛 - 1 (14.3) 1 (14.3) -

発熱 - 2 (28.6) 2 (28.6) 3 (42.9)

免疫系障害 - 1 (14.3) 1 (14.3) 1 (14.3)

薬物過敏症 - 1 (14.3) - -

季節性アレルギー - - 1 (14.3) 1 (14.3)

感染症および寄生虫症 - 1 (14.3) 2 (28.6) 2 (28.6)

膀胱炎 - 1 (14.3) - -

感染 - - 2 (28.6) 1 (14.3)

肺炎 - 1 (14.3) - -

椎間板炎 - - - 1 (14.3)

傷害、中毒および処置合併症 - 1 (14.3) - -

挫傷 - 1 (14.3) - -

臨床検査 - - 1 (14.3) -

ヘモグロビン減少 - - 1 (14.3) -

代謝および栄養障害 - - 2 (28.6) 1 (14.3)

痛風 - - - 1 (14.3)

肥満 - - 2 (28.6) -

筋骨格系および結合組織障害 - 1 (14.3) 2 (28.6) -

強直性脊椎炎 - 1 (14.3) 1 (14.3) -

変形性関節症 - - 1 (14.3) -

神経系障害 - 6 (85.7) 5 (71.4) 5 (71.4)

脳出血 - 1 (14.3) - -

痙攣 - - - 1 (14.3)

頭痛 - - 2 (28.6) 2 (28.6)

感覚障害 - 1 (14.3) - -

会話障害 - 3 (42.9) 3 (42.9) 1 (14.3)

振戦 - - - 2 (28.6)

第7脳神経麻痺 - 1 (14.3) 1 (14.3) -

大脳障害 - - 1 (14.3) 1 (14.3)

運動機能障害 - 1 (14.3) 1 (14.3) 1 (14.3)

精神障害 - 3 (42.9) - -

気分変化 - 1 (14.3) - -

人格変化 - 2 (28.6) - -

腎および尿路障害 - - - 1 (14.3)

血尿 - - - 1 (14.3)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

11

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.20

/GLI MC-ALS.8-I/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 0.2 2 20

生殖系および乳房障害 - 1 (14.3) - 1 (14.3)

良性前立腺肥大症 - 1 (14.3) - 1 (14.3)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 - 1 (14.3) 2 (28.6) -

喘息 - - 1 (14.3) -

咳嗽 - - 1 (14.3) -

呼吸困難 - 1 (14.3) - -

皮膚および皮下組織障害 - 1 (14.3) - 1 (14.3)

過角化 - - - 1 (14.3)

光線過敏性反応 - - - 1 (14.3)

脂漏性皮膚炎 - 1 (14.3) - -

光線性皮膚症 - - - 1 (14.3)

血管障害 - 3 (42.9) 4 (57.1) 4 (57.1)

高血圧 - 2 (28.6) 3 (42.9) 4 (57.1)

低血圧 - 2 (28.6) 1 (14.3) -

表 2.7.4.2.1.1-3 試験別の有害事象(外国試験) 2/2 日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28/GLI

MC-ALS.3/GLI MC-ALS.30/GLI

MC-ALS.32/GLI

SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

対象症例数(例) 36 201 173 40 243

発現症例数(例(%)) 27 (75.0) 130 (64.7) 117 (67.6) 22 (55.0) 126 (51.9)

血液およびリンパ系障害 - - - - 9 (3.7)

貧血 - - - - 1 (0.4)

凝血異常 - - - - 1 (0.4)

白血球増加症 - - - - 1 (0.4)

白血球減少症 - - - - 1 (0.4)

好中球減少症 - - - - 1 (0.4)

汎血球減少症 - - - - 1 (0.4)

血小板減少症 - - - - 6 (2.5)

心臓障害 1 (2.8) 6 (3.0) 3 (1.7) - - 不整脈 - 3 (1.5) 2 (1.2) - - 心不全 - 1 (0.5) 2 (1.2) - - 心室細動 - 1 (0.5) - - - 心障害 1 (2.8) 1 (0.5) - - -

先天性、家族性および遺伝性障害 - 2 (1.0) - - - 嚢胞性リンパ管腫 - 2 (1.0) - - -

耳および迷路障害 - 5 (2.5) 2 (1.2) - 1 (0.4)

聴覚障害 - 5 (2.5) 2 (1.2) - - 聴力低下 - - - - 1 (0.4)

内分泌障害 - - 1 (0.6) - 2 (0.8)

副腎機能不全 - - 1 (0.6) - - 急性副腎皮質機能不全 - - - - 1 (0.4)

クッシング症候群 - - - - 1 (0.4)

眼障害 7 (19.4) 26 (12.9) 17 (9.8) 5 (12.5) 3 (1.2)

複視 - - - - 1 (0.4)

眼乾燥 - 1 (0.5) - - - 眼出血 - - 2 (1.2) - - 眼部腫脹 - - 1 (0.6) - - 眼瞼浮腫 - - - - - 流涙増加 - - 1 (0.6) - - 閃輝暗点 - - - - 1 (0.4)

視力障害 7 (19.4) 26 (12.9) 13 (7.5) 5 (12.5) 1 (0.4)

胃腸障害 4 (11.1) 10 (5.0) 13 (7.5) 3 (7.5) 6 (2.5)

上腹部痛 - - - - 1 (0.4)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

12

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

便秘 - - 1 (0.6) - 1 (0.4)

下痢 1 (2.8) 1 (0.5) 2 (1.2) - - 消化不良 1 (2.8) - 1 (0.6) - - 鼓腸 - - 1 (0.6) - - 胃出血 - - - - 1 (0.4)

出血性胃潰瘍 - - 1 (0.6) - - 悪心 3 (8.3) 6 (3.0) 8 (4.6) 2 (5.0) 1 (0.4)

食道炎 - 1 (0.5) - 1 (2.5) - 後腹膜出血 - - 1 (0.6) - - 嘔吐 4 (11.1) 3 (1.5) 5 (2.9) 1 (2.5) 2 (0.8)

心窩部不快感 - - - - 1 (0.4)

一般・全身障害および投与部位の状態 7 (19.4) - 20 (11.6) - 4 (1.6)

無力症 - - 1 (0.6) - - 悪寒 1 (2.8) - 1 (0.6) - - 状態悪化 - 3 (1.5) 2 (1.2) - - 嚢胞 - 2 (1.0) 1 (0.6) - - 死亡 - 1 (0.5) - - - 疲労 - 4 (2.0) 5 (2.9) - - 治癒不良 - 3 (1.5) 1 (0.6) - 1 (0.4)

粘膜の炎症 1 (2.8) - - - - 疼痛 - 2 (1.0) 6 (3.5) - - 発熱 6 (16.7) 8 (4.0) 4 (2.3) - 2 (0.8)

全身健康状態低下 - 1 (0.5) 1 (0.6) - 2 (0.8)

医療機器合併症 - - 1 (0.6) - -

肝胆道系障害 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 胆石症 - 1 (0.5) - - - 黄疸 - - 1 (0.6) - -

免疫系障害 1 (2.8) 5 (2.5) 1 (0.6) - 1 (0.4)

薬物過敏症 1 (2.8) 3 (1.5) 1 (0.6) - - 過敏症 - 2 (1.0) - - 1 (0.4)

感染症および寄生虫症 4 (11.1) 19 (9.5) 23 (13.3) 3 (7.5) 16 (6.6)

膿瘍 - 2 (1.0) 2 (1.2) - - 外耳道膿瘍 - 1 (0.5) - - - 脳膿瘍 - - - - 1 (0.4)

気管支炎 - - 1 (0.6) - 1 (0.4)

気管支肺炎 - - - - 1 (0.4)

カンジダ症 - 1 (0.5) - - - 憩室炎 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 耳感染 - - 1 (0.6) - - 蓄膿 - - - - 1 (0.4)

皮膚真菌感染 - - 1 (0.6) - - 単純ヘルペス - - - - 1 (0.4)

感染 2 (5.6) 8 (4.0) 9 (5.2) 3 (7.5) - 大葉性肺炎 - 1 (0.5) - - - 髄膜炎 - - 1 (0.6) - 3 (1.2)

肺炎 - 5 (2.5) 6 (3.5) - 3 (1.2)

術後創感染 - - - - 1 (0.4)

回帰熱 - - - - 1 (0.4)

敗血症 - - 1 (0.6) - 3 (1.2)

硬膜下蓄膿症 - - - - 1 (0.4)

足部白癬 1 (2.8) - - - - 気管気管支炎 - - - - 1 (0.4)

尿路感染 - - 1 (0.6) - 3 (1.2)

外陰部腟炎 1 (2.8) - - - - 創傷感染 - - - - 1 (0.4)

ブドウ球菌感染 - - - - 1 (0.4)

椎間板炎 - - - - 1 (0.4)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

13

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

傷害、中毒および処置合併症 1 (2.8) 3 (1.5) 5 (2.9) 1 (2.5) 34 (14.0)

節足動物咬傷 - - 1 (0.6) - - 麻酔からの覚醒遅延 - - - - 1 (0.4)

硬膜外血腫 - - - - 1 (0.4)

転倒 1 (2.8) - 2 (1.2) - 2 (0.8)

大腿骨頚部骨折 - - - - 1 (0.4)

裂傷 - - - - 1 (0.4)

硬膜下血腫 - - - - 3 (1.2)

創し開 - - 1 (0.6) - - 挫傷 1 (2.8) - - - - 処置後出血 - - - - 9 (3.7)

創合併症 - - - 1 (2.5) 2 (0.8)

処置後合併症 - - - - 9 (3.7)

膀胱損傷 - - - - 1 (0.4)

処置による低血圧 - - - - 1 (0.4)

処置後血腫 - - - - 3 (1.2)

放射線皮膚損傷 - 3 (1.5) 1 (0.6) - -

臨床検査 1 (2.8) 3 (1.5) 1 (0.6) - 3 (1.2)

血中クレアチニン増加 - - - - 1 (0.4)

血中乳酸増加 - 1 (0.5) - - - γ-GTP 増加 - - - - 1 (0.4)

酸素飽和度低下 1 (2.8) - - - - 体重減少 1 (2.8) 1 (0.5) - - - 体重増加 - 1 (0.5) - - - 神経学的検査異常 - - 1 (0.6) - - 肝酵素上昇 - - - - 1 (0.4)

代謝および栄養障害 - 2 (1.0) 2 (1.2) 6 (15.0) 8 (3.3)

糖尿病 - - - - 1 (0.4)

体液貯留 - - - 6 (15.0) - 高血糖 - - 1 (0.6) - - 高ナトリウム血症 - - - - 1 (0.4)

低カリウム血症 - - - - 1 (0.4)

低ナトリウム血症 - - - - 4 (1.6)

食欲障害 - 2 (1.0) 1 (0.6) - - 食欲減退 - - - - 1 (0.4)

筋骨格系および結合組織障害 2 (5.6) 2 (1.0) - - 4 (1.6)

背部痛 1 (2.8) - - - - 筋攣縮 - - - - 1 (0.4)

筋力低下 - - - - 1 (0.4)

頚部痛 - 1 (0.5) - - - 変形性関節症 - 1 (0.5) - - - 四肢痛 1 (2.8) - - - 1 (0.4)

肩回旋筋腱板症候群 - - - - 1 (0.4)

椎間板突出 - - - - 1 (0.4)

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) - - 2 (1.2) - 3 (1.2)

気管支癌 - - 1 (0.6) - - 副腎転移 - - - - 1 (0.4)

小細胞肺癌、病期不明 - - - - 1 (0.4)

脳ヒグローマ - - 1 (0.6) - 2 (0.8)

神経系障害 22 (61.1) 88 (43.8) 88 (50.9) 13 (32.5) 73 (30.0)

失読 - 1 (0.5) - - - 失語症 2 (5.6) 7 (3.5) 1 (0.6) - 18 (7.4)

失行症 - - - - 1 (0.4)

運動失調 2 (5.6) 13 (6.5) 6 (3.5) - - 小脳出血 - 1 (0.5) - - - 小脳症候群 - - 2 (1.2) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

14

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

脳出血 - 2 (1.0) 3 (1.7) - 1 (0.4)

脳梗塞 - - - - 3 (1.2)

脳血栓症 - 1 (0.5) - - -

脳血管障害 2 (5.6) 1 (0.5) - - - 痙攣 3 (8.3) 22 (10.9) 15 (8.7) 1 (2.5) 5 (2.1)

協調運動異常 - - - - 1 (0.4)

意識レベルの低下 - - - - 1 (0.4)

注意力障害 - - - - 4 (1.6)

浮動性めまい 1 (2.8) 7 (3.5) 6 (3.5) - - 構語障害 - - - - 1 (0.4)

味覚異常 - - 2 (1.2) - - ジスキネジー - 1 (0.5) - - - 失読症 - - 2 (1.2) - - 脳症 - - 1 (0.6) - - てんかん - 1 (0.5) - - 1 (0.4)

錐体外路障害 - - 1 (0.6) - - 大発作痙攣 - 7 (3.5) 5 (2.9) - 2 (0.8)

頭蓋内出血 - - 1 (0.6) - - 頭痛 4 (11.1) 15 (7.5) 13 (7.5) - 8 (3.3)

半盲 - - - - 5 (2.1)

同名性半盲 - - - - 1 (0.4)

不全片麻痺 1 (2.8) 8 (4.0) 4 (2.3) - 23 (9.5)

片麻痺 - - - - 8 (3.3)

水頭症 - 1 (0.5) - - - 感覚鈍麻 - - - - 3 (1.2)

筋緊張低下 - - - - 1 (0.4)

頭蓋内圧上昇 - - 4 (2.3) - - 嗜眠 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 記憶障害 - - 2 (1.2) 1 (2.5) 3 (1.2)

不全単麻痺 - - - - 4 (1.6)

単麻痺 - - - - 1 (0.4)

運動障害 - - - - 3 (1.2)

錯感覚 - - - - 1 (0.4)

不全麻痺 - - 1 (0.6) - - 橈骨神経麻痺 - - - - 1 (0.4)

感覚障害 4 (11.1) 6 (3.0) 3 (1.7) 2 (5.0) 1 (0.4)

会話障害 7 (19.4) 24 (11.9) 23 (13.3) 7 (17.5) 1 (0.4)

てんかん重積状態 - - - - 1 (0.4)

昏迷 - 1 (0.5) 3 (1.7) - - 振戦 - - 1 (0.6) - - 視野欠損 - - - - 1 (0.4)

ゲルストマン症候群 - 1 (0.5) - - - 硬膜下ヒグローマ - - - - 1 (0.4)

脳浮腫 - 1 (0.5) 1 (0.6) - 2 (0.8)

第7脳神経麻痺 - 7 (3.5) 7 (4.0) 3 (7.5) - 顔面不全麻痺 - - - - 4 (1.6)

脳脊髄瘻 - - - - 1 (0.4)

間代性痙攣 - - - - 1 (0.4)

大脳障害 3 (8.3) 9 (4.5) 7 (4.0) 1 (2.5) - 認知障害 - - - 1 (2.5) - 神経学的症状 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 運動機能障害 7 (19.4) 25 (12.4) 20 (11.6) 8 (20.0) - 部分発作 - - - - 1 (0.4)

顔面神経障害 - - - - 1 (0.4)

感覚運動障害 - - - - 1 (0.4)

髄液貯留 1 (2.8) 1 (0.5) 1 (0.6) - - 微細運動遅延 - - - - 1 (0.4)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

15

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

半側無視 1 (2.8) 1 (0.5) - 1 (2.5) 2 (0.8)

精神障害 1 (2.8) 22 (10.9) 16 (9.2) 1 (2.5) 14 (5.8)

急性精神病 - - - - 1 (0.4)

激越 - - - - 1 (0.4)

錯乱状態 - - 2 (1.2) - 1 (0.4)

うつ病 - - - - 2 (0.8)

失見当識 - - - - 1 (0.4)

幻覚 1 (2.8) - - - 1 (0.4)

言葉もれ - - - - 2 (0.8)

気分変化 1 (2.8) 4 (2.0) 5 (2.9) 1 (2.5) - パニック発作 - - - - 1 (0.4)

人格変化 - 17 (8.5) 9 (5.2) - 1 (0.4)

自殺企図 - - 1 (0.6) - - 不安障害 - - - - 1 (0.4)

身体疾患による精神障害 - - - 1 (2.5) 3 (1.2)

精神病性障害 - 3 (1.5) 1 (0.6) - -

腎および尿路障害 3 (8.3) 1 (0.5) 2 (1.2) 1 (2.5) 3 (1.2)

無尿 - - - - 1 (0.4)

出血性膀胱炎 1 (2.8) - - - - 排尿困難 - - 1 (0.6) - - 血尿 1 (2.8) - - - 2 (0.8)

失禁 - 1 (0.5) - 1 (2.5) - 排尿異常 - - - - 1 (0.4)

ネフローゼ症候群 - - 1 (0.6) - - 尿路痛 1 (2.8) - - - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 1 (2.8) 18 (9.0) 5 (2.9) - 4 (1.6)

咳嗽 - 3 (1.5) - - - 呼吸困難 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - しゃっくり - - 2 (1.2) - - 肺臓炎 1 (2.8) - - - - 気胸 - - - - 2 (0.8)

肺塞栓症 - 13 (6.5) 2 (1.2) - 1 (0.4)

呼吸不全 - 1 (0.5) - - 1 (0.4)

皮膚および皮下組織障害 2 (5.6) 8 (4.0) 6 (3.5) - 4 (1.6)

脱毛症 - 3 (1.5) 1 (0.6) - 1 (0.4)

褥瘡性潰瘍 - - 1 (0.6) - - 薬疹 - - - - 1 (0.4)

湿疹 - 1 (0.5) - - - 紅斑 - - - - 1 (0.4)

多汗症 - 1 (0.5) - - - 皮膚疼痛 - 1 (0.5) - - - 光線過敏性反応 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 発疹 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 皮膚障害 2 (5.6) 1 (0.5) - - - 皮膚病変 - - 1 (0.6) - - 顔面腫脹 - 1 (0.5) - - 2 (0.8)

皮膚毒性 - - 1 (0.6) - -

血管障害 6 (16.7) 17 (8.5) 13 (7.5) - 14 (5.8)

空気塞栓症 - 1 (0.5) - - - 循環虚脱 - 1 (0.5) - - 1 (0.4)

動脈塞栓症 - 1 (0.5) - - - 血腫 - 2 (1.0) 2 (1.2) - 1 (0.4)

高血圧 1 (2.8) - - 2 (0.8)

低血圧 3 (8.3)

3 (1.5)

- 1 (0.6) - - 静脈炎 2 (5.6) 5 (2.5) 6 (3.5) - - 血栓性静脈炎 - - - - 1 (0.4)

血栓症 - 3 (1.5) 3 (1.7) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

16

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

静脈血栓症 - - 1 (0.6) - 2 (0.8)

深部静脈血栓症 - 1 (0.5) 1 (0.6) - 7 (2.9)

虚血 - 1 (0.5) - - - * WL:白色光下切除術群(本剤未投与)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

17

表 2.7.4.2.1.1-4 試験別の有害事象(発現率 5%以上)1/2 日本/外国 日本 外国

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.20

/GLI MC-ALS.8-I/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 0.2 2 20

対象症例数(例) 45 21 7 7 7

発現症例数(例(%)) 42 (93.3) 1 (4.8) 6 (85.7) 6 (85.7) 7 (100.0)

血液およびリンパ系障害 4 (8.9) - - - -

貧血 3 (6.7) - - - -

心臓障害 1 (2.2) - 2 (28.6) 1 (14.3) 1 (14.3)

心障害 - - 2 (28.6) 1 (14.3) -

耳および迷路障害 - - - 1 (14.3) -

聴覚障害 - - - 1 (14.3) -

眼障害 5 (11.1) - 2 (28.6) 1 (14.3) 2 (28.6)

眼瞼浮腫 4 (8.9) - - - -

視力障害 - - 2 (28.6) 1 (14.3) 2 (28.6)

胃腸障害 25 (55.6) 1 (4.8) 1 (14.3) 2 (28.6) -

便秘 6 (13.3) - - - -

下痢 4 (8.9) - 1 (14.3) - -

悪心 14 (31.1) 1 (4.8) 1 (14.3) 2 (28.6) -

嘔吐 14 (31.1) - - 1 (14.3) -

一般・全身障害および投与部位の状態 15 (33.3) - 2 (28.6) 3 (42.9) 3 (42.9)

浮腫 1 (2.2) - - - 1 (14.3)

疼痛 - - 1 (14.3) 1 (14.3) -

発熱 9 (20.0) - 2 (28.6) 2 (28.6) 3 (42.9)

肝胆道系障害 5 (11.1) - - - -

肝機能異常 5 (11.1) - - - -

免疫系障害 - - 1 (14.3) 1 (14.3) 1 (14.3)

薬物過敏症 - - 1 (14.3) - -

季節性アレルギー - - - 1 (14.3) 1 (14.3)

感染症および寄生虫症 7 (15.6) - 1 (14.3) 2 (28.6) 2 (28.6)

膀胱炎 - - 1 (14.3) - -

感染 - - - 2 (28.6) 1 (14.3)

肺炎 - - 1 (14.3) - -

椎間板炎 - - - - 1 (14.3)

傷害、中毒および処置合併症 10 (22.2) - 1 (14.3) - -

挫傷 - - 1 (14.3) - -

創合併症 5 (11.1) - - - -

臨床検査 21 (46.7) - - 1 (14.3) -

血中アミラーゼ増加 3 (6.7) - - - -

C-反応性蛋白増加 3 (6.7) - - - -

γ-GTP増加 5 (11.1) - - - -

ヘモグロビン減少 - - - 1 (14.3) -

リンパ球数減少 3 (6.7) - - - -

好中球数減少 3 (6.7) - - - -

白血球数減少 3 (6.7) - - - -

白血球数増加 1 (2.2) - - - -

代謝および栄養障害 5 (11.1) - - 2 (28.6) 1 (14.3)

痛風 - - - - 1 (14.3)

肥満 - - - 2 (28.6) -

食欲減退 3 (6.7) - - - -

筋骨格系および結合組織障害 5 (11.1) - 1 (14.3) 2 (28.6) -

強直性脊椎炎 - - 1 (14.3) 1 (14.3) -

背部痛 3 (6.7) - - - -

変形性関節症 - - - 1 (14.3) -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) 1 (2.2) - - - -

神経系障害 23 (51.1) - 6 (85.7) 5 (71.4) 5 (71.4)

脳出血 - - 1 (14.3) - -

脳梗塞 3 (6.7) - - - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

18

日本/外国 日本 外国

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.20

/GLI MC-ALS.8-I/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 0.2 2 20

痙攣 4 (8.9) - - - 1 (14.3)

頭痛 12 (26.7) - - 2 (28.6) 2 (28.6)

不全片麻痺 3 (6.7) - - - -

感覚障害 - - 1 (14.3) - -

会話障害 - - 3 (42.9) 3 (42.9) 1 (14.3)

振戦 - - - - 2 (28.6)

第7脳神経麻痺 - - 1 (14.3) 1 (14.3) -

大脳障害 - - - 1 (14.3) 1 (14.3)

運動機能障害 - - 1 (14.3) 1 (14.3) 1 (14.3)

精神障害 7 (15.6) - 3 (42.9) - -

不眠症 3 (6.7) - - - -

気分変化 - - 1 (14.3) - -

人格変化 - - 2 (28.6) - -

落ち着きのなさ 3 (6.7) - - - -

腎および尿路障害 2 (4.4) - - - 1 (14.3)

血尿 2 (4.4) - - - 1 (14.3)

生殖系および乳房障害 - - 1 (14.3) - 1 (14.3)

良性前立腺肥大症 - - 1 (14.3) - 1 (14.3)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 3 (6.7) - 1 (14.3) 2 (28.6) -

喘息 - - - 1 (14.3) -

咳嗽 - - - 1 (14.3) -

呼吸困難 - - 1 (14.3) - -

皮膚および皮下組織障害 11 (24.4) - 1 (14.3) - 1 (14.3)

過角化 - - - - 1 (14.3)

光線過敏性反応 - - - - 1 (14.3)

そう痒症 3 (6.7) - - - -

脂漏性皮膚炎 - - 1 (14.3) - -

光線性皮膚症 - - - - 1 (14.3)

血管障害 1 (2.2) - 3 (42.9) 4 (57.1) 4 (57.1)

高血圧 1 (2.2) - 2 (28.6) 3 (42.9) 4 (57.1)

低血圧 - - 2 (28.6) 1 (14.3) -

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

表 2.7.4.2.1.1-5 試験別の有害事象(発現率 5%以上)2/2 日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI 外国合計 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

対象症例数(例) 36 201 173 40 243 562

発現症例数(例(%)) 27 (75.0) 130 (64.7) 117 (67.6) 22 (55.0) 126 (51.9) 324 (57.7)

血液およびリンパ系障害 - - - - 9 (3.7) 9 (1.6)

心臓障害 1 (2.8) 6 (3.0) 3 (1.7) - - 11 (2.0)

先天性、家族性および遺伝性障害 - 2 (1.0) - - - 2 (0.4)

耳および迷路障害 - 5 (2.5) 2 (1.2) - 1 (0.4) 7 (1.2)

内分泌障害 - - 1 (0.6) - 2 (0.8) 2 (0.4)

眼障害 7 (19.4) 26 (12.9) 17 (9.8) 5 (12.5) 3 (1.2) 46 (8.2)

視力障害 7 (19.4) 26 (12.9) 13 (7.5) 5 (12.5) 1 (0.4) 44 (7.8)

胃腸障害 4 (11.1) 10 (5.0) 13 (7.5) 3 (7.5) 6 (2.5) 27 (4.8)

悪心 3 (8.3) 6 (3.0) 8 (4.6) 2 (5.0) 1 (0.4) 16 (2.8)

嘔吐 4 (11.1) 3 (1.5) 5 (2.9) 1 (2.5) 2 (0.8) 11 (2.0)

一般・全身障害および投与部位の状態 7 (19.4) - 20 (11.6) - 4 (1.6) 41 (7.3)

発熱 6 (16.7) 8 (4.0) 4 (2.3) - 2 (0.8) 23 (4.1)

肝胆道系障害 - 1 (0.5) 1 (0.6) - - 1 (0.2)

免疫系障害

1 (2.8)

5 (2.5)

1 (0.6)

-

1 (0.4)

10 (1.8)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

19

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI 外国合計 SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 WL* 20 20

感染症および寄生虫症 4 (11.1) 19 (9.5) 23 (13.3) 3 (7.5) 16 (6.6) 47 (8.4)

感染 2 (5.6) 8 (4.0) 9 (5.2) 3 (7.5) - 16 (2.8)

傷害、中毒および処置合併症 1 (2.8) 3 (1.5) 5 (2.9) 1 (2.5) 34 (14.0) 40 (7.1)

臨床検査 1 (2.8) 3 (1.5) 1 (0.6) - 3 (1.2) 8 (1.4)

代謝および栄養障害 - 2 (1.0) 2 (1.2) 6 (15.0) 8 (3.3) 19 (3.4)

体液貯留 - - - 6 (15.0) - 6 (1.1)

筋骨格系および結合組織障害 2 (5.6) 2 (1.0) - - 4 (1.6) 11 (2.0)

良性、悪性および詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む)

- - 2 (1.2) - 3 (1.2) 3 (0.5)

神経系障害 22 (61.1) 88 (43.8) 88 (50.9) 13 (32.5) 73 (30.0) 212 (37.7)

失語症 2 (5.6) 7 (3.5) 1 (0.6) - 18 (7.4) 27 (4.8)

運動失調 2 (5.6) 13 (6.5) 6 (3.5) - - 15 (2.7)

脳血管障害 2 (5.6) 1 (0.5) - - - 3 (0.5)

痙攣 3 (8.3) 22 (10.9) 15 (8.7) 1 (2.5) 5 (2.1) 32 (5.7)

頭痛 4 (11.1) 15 (7.5) 13 (7.5) - 8 (3.3) 31 (5.5)

不全片麻痺 1 (2.8) 8 (4.0) 4 (2.3) - 23 (9.5) 32 (5.7)

感覚障害 4 (11.1) 6 (3.0) 3 (1.7) 2 (5.0) 1 (0.4) 14 (2.5)

会話障害 7 (19.4) 24 (11.9) 23 (13.3) 7 (17.5) 1 (0.4) 46 (8.2)

第7脳神経麻痺 - 7 (3.5) 7 (4.0) 3 (7.5) - 12 (2.1)

大脳障害 3 (8.3) 9 (4.5) 7 (4.0) 1 (2.5) - 15 (2.7)

運動機能障害 7 (19.4) 25 (12.4) 20 (11.6) 8 (20.0) - 43 (7.7)

精神障害 1 (2.8) 22 (10.9) 16 (9.2) 1 (2.5) 14 (5.8) 41 (7.3)

人格変化 - 17 (8.5) 9 (5.2) - 1 (0.4) 20 (3.6)

腎および尿路障害 3 (8.3) 1 (0.5) 2 (1.2) 1 (2.5) 3 (1.2) 9 (1.6)

生殖系および乳房障害 - - - - - 2 (0.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 1 (2.8) 18 (9.0) 5 (2.9) - 4 (1.6) 26 (4.6)

肺塞栓症 - 13 (6.5) 2 (1.2) - 1 (0.4) 14 (2.5)

皮膚および皮下組織障害 2 (5.6) 8 (4.0) 6 (3.5) - 4 (1.6) 16 (2.8)

皮膚障害 2 (5.6) 1 (0.5) - - - 3 (0.5)

血管障害 6 (16.7) 17 (8.5) 13 (7.5) - 14 (5.8) 48 (8.5)

低血圧 3 (8.3) - 1 (0.6) - - 6 (1.1)

静脈炎 2 (5.6) 5 (2.5) 6 (3.5) - - 7 (1.2)

* WL:白色光下切除術群(本剤未投与)

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 副作用

個々の試験の副作用を表 2.7.4.2.1.1-6 に示した。

国内で実施された NPC-07-1 試験では、本剤を投与した 45 例の中で 11 例(24.4%)に本剤

との因果関係が否定できないと判定された副作用が発現した。「胃腸障害」が 3例(6.7%)で、

内訳は悪心 3例(6.7%)、嘔吐 2例(4.4%)であった。発熱は 2例(4.4%)で発現した。ま

た、肝機能異常は 2 例(4.4%)で、他に「臨床検査」が 3 例(6.7%)で、LDH 増加、γ-GTP

増加、リンパ球数減少、血小板数減少がそれぞれ 1例(2.2%)であった。

外国試験では、562 例中 12 例(2.1%)に、本剤との因果関係が少なくとも「関連があるか

もしれない」と判断された副作用が発現した。「胃腸障害」が 3例(0.5%)で、内訳は下痢、

悪心及び嘔吐がそれぞれ 1例(0.2%)であった。「一般・全身障害および投与部位の状態」が

2例(0.4%)で、内訳は悪寒及び発熱がそれぞれ 1例(0.2%)であった。「神経障害」は 2例

(0.4%)で、内訳は感覚障害及び脳浮腫がそれぞれ 1例(0.2%)であった。「皮膚および皮下

組織障害」は 2例(0.4%)で、内訳は光線過敏性反応が 2例(0.4%)、光線性皮膚症が 1例(0.2%)

であった。「血管障害」は 2例(0.4%)で、内訳は低血圧及び深部静脈血栓症がそれぞれ 1例

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

20

(0.2%)であった。他は、処置による低血圧及び呼吸不全がそれぞれ 1例(0.2%)であった。

副作用発現は、すべて 20 mg/kg 経口投与の症例であった。

国内試験では外国試験に比較して全体の副作用発現率が高かったが、PT 分類で複数発現した

のは悪心、嘔吐、発熱及び肝機能異常であった。悪心及び嘔吐の重症度はいずれも軽度であり、

安全性上大きな問題とはならないと考えられた。発熱がみられた 2 例のうち、1 例は本剤投与

当日に発現しているが、重症度は軽度であった。1例は本剤投与後11日の発現で中等度であり、

治験責任医師は何らかの感染症を疑ったが「本剤との関連は低いと考えるが、否定できない」

と判断した。肝機能異常については、2.7.4.3.1 で記述しているとおり、その多くが CTCAE グ

レード 2以下にとどまり、CTCAE グレード 3以上の推移は外国試験と同程度であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

21

表 2.7.4.2.1.1-6 個々の試験の副作用 SOC/PT 日本/外国 日本 外国

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS.20

/GLI

MC-ALS.8-I

/GLI***

MC-ALS.28

/GLI

MC-ALS.3

/GLI

MC-ALS.32

/GLI

投与量 20 mg/kg 20 mg/kg 20 mg/kg 20 mg/kg 20 mg/kg 20 mg/kg

外国合計

対象症例数(例) 45 21 7 36 201 243 562

発現症例数(例(%)) 11 (24.4) 1 (4.8) 1 (14.3) 4 (11.1) 3 (1.5) 3 (1.2) 12 (2.1)

胃腸障害 3 (6.7) 1 (4.8) - 1 (2.8) 1 (0.5) - 3 (0.5)

下痢 - - - 1 (2.8) - - 1 (0.2)

悪心 3 (6.7) 1 (4.8) - - - - 1 (0.2)

嘔吐 2 (4.4) - - - 1 (0.5) - 1 (0.2)

一般・全身障害および投

与部位の状態 2 (4.4) - 1 (14.3) 1 (2.8) - - 2 (0.4)

悪寒 - - - 1 (2.8) - - 1 (0.2)

発熱 2 (4.4) - 1 (14.3) - - - 1 (0.2)

肝胆道系障害 2 (4.4) - - - - - -

肝機能異常 2 (4.4) - - - - - -

傷害、中毒および処置合

併症 - - - - - 1 (0.4) 1 (0.2)

処置による低血圧 - - - - - 1 (0.4) 1 (0.2)

臨床検査 3 (6.7) - - - - 1 (0.4) 1 (0.2)

血中 LDH増加 1 (2.2) - - - - - -

γ-GTP 増加 1 (2.2) - - - - - -

リンパ球数減少 1 (2.2) - - - - - -

血小板数減少 1 (2.2) - - - - - -

肝酵素上昇 - - - - - 1 (0.4) 1 (0.2)

神経系障害 - - - 1 (2.8) - 1 (0.4) 2 (0.4)

感覚障害 - - - 1 (2.8) - - 1 (0.2)

脳浮腫 - - - - - 1 (0.4) 1 (0.2)

腎および尿路障害 1 (2.2) - - - - - -

血尿 1 (2.2) - - - - - -

呼吸器、胸郭および縦隔

障害 - - - - 1 (0.5) - 1 (0.2)

呼吸不全 - - - - 1 (0.5) - 1 (0.2)

皮膚および皮下組織障

害 - - 1 (14.3) - 1 (0.5) - 2 (0.4)

光線過敏性反応 - - 1 (14.3) - 1 (0.5) - 2 (0.4)

光線性皮膚症 - - 1 (14.3) - - - 1 (0.2)

血管障害 - - - 1 (2.8) - 1 (0.4) 2 (0.4)

低血圧 - - - 1 (2.8) - - 1 (0.2)

深部静脈血栓症 - - - - - 1 (0.4) 1 (0.2)

* 0.2, 2 mg/kg 投与群(対象症例数、各 7 例)は副作用発現がなかった。外国合計の対象症例数に 14 例は含

めた。

** 本剤投与前より視力障害を発現していた1例を、メダック社と同様の取扱いとし、副作用に集計しなかった。

注)MC-ALS.30/GLI 試験では副作用発現がなかったが、外国の対象症例数の合計に本試験の 40例は含めた。

2.7.4.2.1.1.2 試験別の有害事象及び副作用

(1) NPC-07-1 試験

有害事象については、2.7.4.2.1.1 に記述した。

副作用は 45 例中 11例(24.4%)に発現した。器官別副作用は、「胃腸障害」が 3例(6.7%)、

「臨床検査」が 3例(6.7%)、「一般・全身障害および投与部位の状態」が 2例(4.4%)、

「肝胆道系障害」が 2例(4.4%)及び「腎および尿路障害」が 1例(2.2%)であった。

「胃腸障害」の内訳は、悪心が 3例、嘔吐が 2例であった。すべてが本剤投与日に発現した

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

22

が、程度はいずれも中等症以下であった。「臨床検査」の内訳は、血中 LDH 増加、γ-GTP 増加、

リンパ球数減少及び血小板数減少がそれぞれ 1例であった。程度は、血小板数減少が重症、そ

の他の事象はいずれも中等症以下であった。「肝胆道系障害」の内訳は 2例とも肝機能異常で

あり、程度は 1例が重症、1例が死亡であった。死亡した症例の肝機能異常を治験責任医師は、

重症度を「死亡」と報告したが、転帰として死亡となったことによる記載であったが、死亡の

原因は敗血症性ショックであり、当該事象は死亡の原因ではないと治験責任医師は判定した。

「一般・全身障害および投与部位の状態」の内訳は、すべて発熱であり、程度はいずれも中等

症以下であった。「腎および尿路障害」の内訳は血尿が 1例であり、程度は軽症であった。

(2) MC-ALS.8-I/GLI試験

初発の悪性神経膠腫患者における第Ⅰ/Ⅱ相試験で、本剤 0.2、2 又は 20 mg/kg を経口投与

した(1投与量群につき 7例)。

有害事象の発現率は、各群それぞれ 6例(85.7%)、6例(85.7%)、7例(100.0%)であっ

た。最も多かった有害事象は、器官別有害事象で「神経系障害」がそれぞれ 6例(85.7%)、5

例(71.4%)、5例(71.4%)であった。有害事象の全体の発現率は各群において類似していた。

重篤な有害事象は、0.2 mg/kg 群が 2例(肺炎 1例、挫傷 1例)、2 mg/kg 群が 1例(ヘモグ

ロビン減少)、20 mg/kg 群が 2例(発熱、1例、感染 1例)であった。本剤との因果関係が否定

できない副作用は、20 mg/kg で 1 例に軽度の光線過敏性反応、軽度の光線性皮膚症及び中等度

の発熱が発現した。

肝機能検査(γ-GTP、AST(GOT)、ALT(GPT))及びアミラーゼ上昇は一過性で臨床症状を伴

うものではなかった。

(3) MC-ALS.28/GLI 試験

本試験は、初発の悪性神経膠腫を対象とした。安全性解析対象 36 例で、有害事象の全体の発

現率は 27 例(75.0%)であった。発現頻度が最も高かった有害事象は、器官別有害事象の「神

経系障害」が 22 例(61.1%)であった。重篤な有害事象は、8例(22.2%)で、「神経系障害」

が 7例(19.4%)であった。本剤投与後 28 日間の観察期間において、1例が梗塞(両側、多発

性)により死亡した。死亡と治験薬との関連性はないらしいと判断された。副作用は 4例報告

され、軽度の下痢、中等度の悪寒、中等度の感覚障害が各 1例及び 1例が本剤投与後 1~2時間

に血圧が 90/60mmHg となり、低血圧で重篤と判定された。

(4) MC-ALS.3/GLI 試験

本試験は、初発の悪性神経膠腫を対象とした比較対照試験であり、安全性解析対象は本剤群

201 例、対照群(白色光下腫瘍切除、WL群)173 例であった。

両群での有害事象全体の発現率は、本剤投与群が 130 例(64.7%)、対照群が 117 例(67.6%)

で同程度であった。最も多く観察された有害事象は両群ともに、器官別有害事象の「神経系障

害」であり、本剤投与群が 88 例(43.8%)、対照群が 88 例(50.9%)であった。重篤な有害

事象は、それぞれ 60 例(29.9%)、40 例(23.1%)であり、頻度の高いのは両群ともに「神

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

23

経系障害」で、それぞれ本剤投与群が 29 例(14.4%)、対照群が 22 例(12.7%)であった。

本剤投与(手術)後 30日以内の死亡は、本剤投与群で 5例(2.5%)、対照群で 3例(1.7%)

であった。本剤投与群の死亡症例については、2.7.4.2.1.2 に記述した。ALT(GPT)、AST(GOT)

及びγ-GTP における施設基準値上限値で除した倍数の推移では、本剤群が術後 24 時間又は 7

日をピークとして一過性の上昇を示した。対照群との比較では、本剤投与後 24 時間のみでいず

れの検査項目ともに対照群と差が認められた。安全性の成績は、対照群と類似していた。

本剤群の副作用は、軽度の嘔吐及び軽度の光線過敏性反応がそれぞれ 1例と、本剤の過剰投

与(1580 mg のところ 3000 mg)により呼吸不全が発現した 1例であった。呼吸不全は、重篤な

副作用と判定され、人工呼吸器使用後に回復した。

(5) MC-ALS.30/GLI 試験

再発の悪性神経膠腫を対象に試験を実施し、安全性解析対象は本剤投与例の 40 例であった。

メダック社の総括報告書では、プロトコール不適格例で本剤投与後 7日に観察を終了した 4例

を除いた最大解析対象集団(Full Analysis Set)36例で有害事象を集計されているが、本 CTD

(2.7.4)では安全性解析対象である 40例で集計した。

有害事象の発現率は 22 例(55.0%)であった。発現頻度が最も高かった有害事象は、器官

別有害事象の「神経系障害」が 13 例(32.5%)であった。重篤な有害事象の発現は、4例(10.0%)

で「神経系障害」が 3例(7.5%)であった。本剤投与後 30 日以内の死亡は、原疾患である悪

性神経膠腫の悪化による死亡が 1例報告された。本剤との因果関係が否定されない副作用の発

現はなかった。

臨床検査値の肝機能検査については、ALT(GPT)、AST(GOT)及びγ-GTP で本剤投与後 4~

14 日間にピークを示す一過性の上昇が観察された。

(6) MC-ALS.32/GLI 試験

安全性解析対象は 243 例、有害事象の発現率は 126 例(51.9%)であった。発現頻度が最も

高かった有害事象は、器官別有害事象の「神経系障害」が 73 例(30.0%)であった。重篤な有

害事象は 49 例(20.2%)で、「神経系障害」31 例(12.8%)、「傷害、中毒および処置合併

症」12 例(4.9%)、「感染症および寄生虫症」11例(4.5%)であった。本剤投与後 30 日以

内の死亡は、3例(1.2%)であった。死亡症例については、2.7.4.2.1.2 に記述した。本剤と

因果関係が否定されない副作用は軽度の深部静脈血栓症が 1例、軽度の肝酵素上昇が 1例であ

り、重症の脳浮腫及び重症の処置による低血圧が発現した症例が 1例であった。重篤な副作用

の発現は報告されなかった。

(7) MC-ALS20/BV 試験

本試験は、白人健康成人男性を対象とし、2 つの投与群を設定した。1 つの投与群(12 例)

には、絶対的アベイラビリティ検討を目的として、1日目に本剤 20 mg/kg を単回経口投与し、

4 日目に 2 mg/kg を単回静脈内投与した。もう一方の投与群(9 例)は、20 mg/kg の単回経口

投与のみであった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

24

20 mg/kg 経口投与された 1 例において、投与後 2.02 時間に軽度の悪心がみられ、本剤との

因果関係は「多分あり」と評価されたが、処置は実施されず 3時間後には消失した。その他、

臨床検査値異常、血圧、心拍数、心電図、身体所見などに特に問題となる所見は認められなか

った。また、2 mg/kg 単回静脈内投与では、有害事象は発現しなかった。

健康成人において、本剤 20 mg/kg 単回経口投与時の良好な忍容性が認められた。

2.7.4.2.1.1.3 重症度別の有害事象及び副作用

(1) 重症度別の有害事象

発現した有害事象を重症度別(CTCAE グレード 1+2、3、4、5 の 4 段階)に、国内試験及び

外国試験(発現率 5%以上)をそれぞれ表 2.7.4.2.1.1-7 及び表 2.7.4.2.1.1-8 に示した。

CTCAE グレード 1+2の有害事象は、国内試験 45 例中 40 例(88.9%)、外国試験 562 例中 272

例(48.4%)であり、国内試験で多かった。CTCAEグレード3は、国内試験で45例中9例(20.0%)、

外国試験で 562 例中 126例(22.4%)であり同程度であった。国内試験で発現した CTCAE グレ

ード 3の有害事象は、「臨床検査」が 5例(11.1%)、「肝胆道系障害」が 3例(6.7%)であっ

た。

CTCAE グレード 4及び 5の有害事象の国内試験における発現は、それぞれ 0例(0.0%)及び

1例(2.2%)であり、外国試験合計のそれぞれ 28例(5.0%)及び 17 例(3.0%)よりも少な

かった。

以上より国内試験では有害事象発現率全体は高く、CTCAE グレード 1 又は 2 の発現は外国試

験よりも多かったが、安全性上問題となる CTCAE グレード 3以上の有害事象の発現率は外国試

験と比較して同程度であった。

なお、国内試験の CTCAE グレード 5で報告された「感染症および寄生虫症」及び「肝胆道系

障害」は同一症例に発現し、敗血症性ショックによる死亡した症例であった。「感染症および寄

生虫症」の敗血症性ショックは術後感染症によるものとして本剤との因果関係は否定されてお

り、「肝胆道系障害」の肝機能異常は死亡との関連性はないと治験責任医師は判断している。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

25

表 2.7.4.2.1.1-7 国内試験の重症度別の有害事象(発現率 5%以上) 日本(NPC-07-1 試験)

SOC/PT CTCAE グレード 1+2 3 4 5

対象症例数(例) 45

発現症例数(例(%)) 40 (88.9) 9 (20.0) - 1 (2.2)

血液およびリンパ系障害 4 (8.9) - - -

貧血 3 (6.7) - - -

心臓障害 1 (2.2) - - -

眼障害 5 (11.1) - - -

眼瞼浮腫 4 (8.9) - - -

胃腸障害 25 (55.6) - - -

便秘 6 (13.3) - - -

下痢 4 (8.9) - - -

悪心 14 (31.1) - - -

嘔吐 14 (31.1) - - -

一般・全身障害および投与部位の状態 14 (31.1) 1 (2.2) - -

発熱 8 (17.8) 1 (2.2) - -

肝胆道系障害 1 (2.2) 3 (6.7) - 1 (2.2)

肝機能異常 1 (2.2) 3 (6.7) - 1 (2.2)

感染症および寄生虫症 5 (11.1) 2 (4.4) - 1 (2.2)

傷害、中毒および処置合併症 9 (20.0) 1 (2.2) - -

創合併症 5 (11.1) - - -

臨床検査 18 (40.0) 5 (11.1) - -

血中アミラーゼ増加 3 (6.7) - - -

C-反応性蛋白増加 3 (6.7) - - -

γ-GTP 増加 4 (8.9) 1 (2.2) - -

リンパ球数減少 3 (6.7) - - -

代謝および栄養障害 5 (11.1) - - -

食欲減退 3 (6.7) - - -

筋骨格系および結合組織障害 5 (11.1) - - -

背部痛 3 (6.7) - - -

良性、悪性および詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む)

- 1 (2.2) - -

神経系障害 22 (48.9) 1 (2.2) - -

脳梗塞 3 (6.7) - - -

痙攣 4 (8.9) - - -

頭痛 12 (26.7) - - -

不全片麻痺 3 (6.7) - - -

精神障害 7 (15.6) - - -

不眠症 3 (6.7) - - -

落ち着きのなさ 3 (6.7) - - -

腎および尿路障害 2 (4.4) - - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 3 (6.7) - - -

皮膚および皮下組織障害 11 (24.4) - - -

そう痒症 3 (6.7) - - -

血管障害 1 (2.2) - - -

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

26

表 2.7.4.2.1.1-8 外国試験の重症度別の有害事象(発現率 5%以上) 外国試験*

SOC/PT CTCAE グレード 1+2 3 4 5

対象症例数(例) 562

発現症例数(例(%)) 272 (48.4) 126 (22.4) 28 (5.0) 17 (3.0)

血液およびリンパ系障害 7 (1.2) 2 (0.4) - -

心臓障害 6 (1.1) 2 (0.4) 2 (0.4) 1 (0.2)

先天性、家族性および遺伝性障害 - 2 (0.4) - -

耳および迷路障害 7 (1.2) - - -

内分泌障害 1 (0.2) 1 (0.2) - -

眼障害 41 (7.3) 6 (1.1) - -

視力障害 38 (6.8) 6 (1.1) - -

胃腸障害 26 (4.6) 2 (0.4) - -

一般・全身障害および投与部位の状態 30 (5.3) 9 (1.6) 1 (0.2) 3 (0.5)

肝胆道系障害 - 1 (0.2) - -

免疫系障害 9 (1.6) 1 (0.2) - -

感染症および寄生虫症 25 (4.4) 17 (3.0) 9 (1.6) 1 (0.2)

傷害、中毒および処置合併症 32 (5.7) 6 (1.1) 2 (0.4) -

臨床検査 6 (1.1) 3 (0.5) - -

代謝および栄養障害 17 (3.0) 2 (0.4) - -

筋骨格系および結合組織障害 11 (2.0) - - -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) 3 (0.5) - - -

神経系障害 167 (29.7) 74 (13.2) 11 (2.0) 3 (0.5)

会話障害 40 (7.1) 6 (1.1) - -

精神障害 32 (5.7) 10 (1.8) - -

腎および尿路障害 8 (1.4) 1 (0.2) - -

生殖系および乳房障害 2 (0.4) - - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 6 (1.1) 7 (1.2) 5 (0.9) 8 (1.4)

皮膚および皮下組織障害 14 (2.5) 3 (0.5) - -

血管障害 32 (5.7) 12 (2.1) 5 (0.9) 1 (0.2)

* 対象試験:MC-ALS.20/BV、MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び

MC-ALS.32/GL 試験

注) PTで発現率5%以上の事象を記載し、SOCは5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 重症度別の副作用

CTCAE グレード 1+2 の副作用は、国内試験では 9 例(20.0%)、外国では 10 例(1.8%)で

あった。国内で多く発現した器官別副作用は、「胃腸障害」3 例(6.7%)及び「臨床検査」3

例(6.7%)であった。外国では器官別副作用で 1%を超えるものはなかった。

CTCAE グレード 3 以上の副作用は、国内試験では肝機能異常でグレード 3 及びグレード 5 が

それぞれ 1 例、血小板数減少(グレード 3)が 1 例であった。外国試験では、処置による低血

圧(グレード 3)及び脳浮腫(グレード 3)が同一の症例に、呼吸不全(グレード 3)と低血圧

(グレード 3)がそれぞれ 1例報告された。

2.7.4.2.1.1.4 性別の有害事象及び副作用

(1) 性別の有害事象

5%以上発現した有害事象を性別に集計し、国内試験及び外国試験を表 2.7.4.2.1.1-9 に示し

た。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

27

国内試験では、器官別有害事象は「肝胆道系障害」が男性 4例(16.0%)に対して女性 1例

(5.0%)、「傷害、中毒および処置合併症」が男性 7例(28.0%)に対して女性 3例(15.0%)

であった。有害事象全体では、男性 25 例中 24 例(96.0%)、女性 20 例中 18 例(90.0%)であ

り、性別間で有害事象発現率に差はなかった。

外国試験においても、男性 360 例中 200 例(55.6%)、女性 202 例中 125 例(61.9%)であり、

性別間で差はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

28

表 2.7.4.2.1.1-9 性別の有害事象

(国内と外国試験の比較、発現率 5%以上) 日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

男 女 男 女

対象症例数(例) 25 20 360 202

発現症例数(例(%)) 24 (96.0) 18 (90.0) 200 (55.6) 125 (61.9)

血液およびリンパ系障害 2 (8.0) 2 (10.0) 5 (1.4) 4 (2.0)

貧血 1 (4.0) 2 (10.0) - 1 (0.5)

心臓障害 1 (4.0) - 6 (1.7) 5 (2.5)

先天性、家族性および遺伝性障害 - - 1 (0.3) 1 (0.5)

耳および迷路障害 - - 3 (0.8) 4 (2.0)

内分泌障害 - - 1 (0.3) 1 (0.5)

眼障害 3 (12.0) 2 (10.0) 29 (8.1) 17 (8.4)

眼瞼浮腫 2 (8.0) 2 (10.0) - -

視力障害 - - 28 (7.8) 16 (7.9)

胃腸障害 14 (56.0) 11 (55.0) 14 (3.9) 13 (6.4)

腹部不快感 1 (4.0) 1 (5.0) - -

便秘 5 (20.0) 1 (5.0) 1 (0.3) -

下痢 3 (12.0) 1 (5.0) 1 (0.3) 2 (1.0)

悪心 5 (20.0) 9 (45.0) 8 (2.2) 8 (4.0)

嘔吐 5 (20.0) 9 (45.0) 4 (1.1) 7 (3.5)

一般・全身障害および投与部位の状態

9 (36.0) 6 (30.0) 21 (5.8) 20 (9.9)

顔面浮腫 1 (4.0) 1 (5.0) - -

倦怠感 1 (4.0) 1 (5.0) - -

末梢性浮腫 - 1 (5.0) - -

発熱 5 (20.0) 4 (20.0) 14 (3.9) 9 (4.5)

肝胆道系障害 4 (16.0) 1 (5.0) 1 (0.3) -

肝機能異常 4 (16.0) 1 (5.0) - -

免疫系障害 - - 6 (1.7) 4 (2.0)

感染症および寄生虫症 4 (16.0) 3 (15.0) 31 (8.6) 16 (7.9)

気管支炎 - 1 (5.0) 1 (0.3) -

外耳炎 - 1 (5.0) - -

中耳炎 - 1 (5.0) - -

尿路感染 - 1 (5.0) 3 (0.8) -

傷害、中毒および処置合併症 7 (28.0) 3 (15.0) 26 (7.2) 14 (6.9)

処置後出血 1 (4.0) 1 (5.0) 8 (2.2) 1 (0.5)

創合併症 3 (12.0) 2 (10.0) 2 (0.6) 1 (0.5)

処置合併症 2 (8.0) - - -

臨床検査 10 (40.0) 11 (55.0) 5 (1.4) 3 (1.5)

血中アミラーゼ増加 - 3 (15.0) - -

血中ビリルビン増加 1 (4.0) 1 (5.0) - -

血中 CK 増加 2 (8.0) - - -

血中 LDH増加 - 1 (5.0) - -

血圧上昇 - 1 (5.0) - -

C-反応性蛋白増加 2 (8.0) 1 (5.0) - -

γ-GTP 増加 4 (16.0) 1 (5.0) 1 (0.3) -

尿中ブドウ糖陽性 - 1 (5.0) - -

尿中血陽性 - 1 (5.0) - -

心拍数減少 - 1 (5.0) - -

リンパ球数減少 1 (4.0) 2 (10.0) - -

好中球数減少 - 3 (15.0) - -

血小板数減少 - 2 (10.0) - -

白血球数減少 - 3 (15.0) - -

代謝および栄養障害 3 (12.0) 2 (10.0) 11 (3.1) 8 (4.0)

食欲減退 1 (4.0) 2 (10.0) - 1 (0.5)

筋骨格系および結合組織障害 3 (12.0) 2 (10.0) 7 (1.9) 4 (2.0)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

29

日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

男 女 男 女

関節痛 - 1 (5.0) - -

背部痛 2 (8.0) 1 (5.0) 1 (0.3) -

良性、悪性および詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む)

- 1 (5.0) 2 (0.6) 1 (0.5)

腫瘍出血 - 1 (5.0) - -

神経系障害 14 (56.0) 9 (45.0) 127 (35.3) 85 (42.1)

失語症 - - 16 (4.4) 11 (5.4)

脳梗塞 1 (4.0) 2 (10.0) 2 (0.6) 1 (0.5)

痙攣 3 (12.0) 1 (5.0) 16 (4.4) 16 (7.9)

頭痛 7 (28.0) 5 (25.0) 24 (6.7) 7 (3.5)

不全片麻痺 2 (8.0) 1 (5.0) 20 (5.6) 12 (5.9)

片麻痺 2 (8.0) - 7 (1.9) 1 (0.5)

感覚鈍麻 - 1 (5.0) 2 (0.6) 1 (0.5)

会話障害 - - 24 (6.7) 22 (10.9)

運動機能障害 - - 26 (7.2) 17 (8.4)

精神障害 4 (16.0) 3 (15.0) 22 (6.1) 19 (9.4)

不安 - 1 (5.0) - -

うつ病 1 (4.0) 1 (5.0) 1 (0.3) 1 (0.5)

不眠症 1 (4.0) 2 (10.0) - -

人格変化 - - 10 (2.8) 10 (5.0)

落ち着きのなさ 2 (8.0) 1 (5.0) - -

腎および尿路障害 1 (4.0) 1 (5.0) 7 (1.9) 2 (1.0)

血尿 1 (4.0) 1 (5.0) 4 (1.1) -

生殖系および乳房障害 - - 2 (0.6) -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 2 (8.0) 1 (5.0) 13 (3.6) 13 (6.4)

口腔咽頭痛 - 1 (5.0) - -

皮膚および皮下組織障害 5 (20.0) 6 (30.0) 8 (2.2) 8 (4.0)

褥瘡性潰瘍 - 2 (10.0) - -

薬疹 1

(4.0) 1 (5.0) - 1 (0.5)

紅斑 - 1 (5.0) 1 (0.3) -

皮下出血 - 2 (10.0) - -

そう痒症 2 (8.0) 1 (5.0) - -

皮膚剥脱 - 1 (5.0) - -

血管障害 1 (4.0) - 30 (8.3) 18 (8.9)

* 対象試験:MC-ALS.20/BV、MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び

MC-ALS.32/GL 試験

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 性別の副作用

性別による副作用は、国内試験で男性が 25 例中 5例(20.0%)、女性が 20例中 6例(30.0%)

であり、外国試験では男性が 360 例中 8例(2.2%)、女性が 202 例中 4例(2.0%)であった。

国内外試験ともに、副作用発現率に性別による差は認められなかった。

2.7.4.2.1.1.5 体重別の有害事象及び副作用

(1) 体重別の有害事象

発現率が 5%以上の有害事象を国内試験及び外国試験について、体重 60 kg 以下(「≦60 kg」)

及び 60 kg を越える(「>60 kg」)で層別した集計を表 2.7.4.2.1.1-10 に示した。

層別された患者数は国内試験では、「≦60 kg」が 18 例、「>60 kg」が 27例であった。有害

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

30

事象全体では、「≦60 kg」18 例中 17 例(94.4%)、「>60 kg」27 例中 25例(92.6%)であり、

同程度であった。器官別有害事象では、「呼吸器、胸郭および縦隔傷害」が「>60 kg」と「≦

60 kg」でそれぞれ 3例(11.1%)と 0例(0.0%)、「傷害、中毒および処置合併症」がそれぞ

れ 8例(29.6%)と 2例(11.1%)、「肝胆道系傷害」がそれぞれ 4例(14.8%)と 1例(5.6%)、

「筋骨格系および結合組織障害」がそれぞれ 4例(14.8%)と 1例(5.6%)と「>60 kg」で

多く発現したが、発現例数が少ないことより体重の影響は明らかではなかった。

外国試験においては、対象症例は「≦60 kg」(53例)が「>60 kg」(507例)と比較して多

かった。有害事象全体の発現率は、「≦60 kg」が 35例(66.0%)、「>60 kg」が 289 例(57.0%)

であり、体重別による差はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

31

表 2.7.4.2.1.1-10 体重別の有害事象

(国内と外国試験の比較、発現率 5%以上) 日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

≦60kg >60kg ≦60kg >60kg

対象症例数(例) 18 27 53 507

発現症例数(例(%)) 17 (94.4) 25 (92.6) 35 (66.0) 289 (57.0)

血液およびリンパ系障害 2 (11.1) 2 (7.4) 1 (1.9) 8 (1.6)

貧血 2 (11.1) 1 (3.7) 1 (1.9) -

心臓障害 - 1 (3.7) - 11 (2.2)

先天性、家族性および遺伝性障害 - - 1 (1.9) 1 (0.2)

耳および迷路障害 - - 1 (1.9) 6 (1.2)

内分泌障害 - - - 2 (0.4)

眼障害 3 (16.7) 2 (7.4) 5 (9.4) 41 (8.1)

眼瞼浮腫 3 (16.7) 1 (3.7) - -

視力障害 - - 5 (9.4) 39 (7.7)

胃腸障害 10 (55.6) 15 (55.6) 2 (3.8) 25 (4.9)

腹部不快感 1 (5.6) 1 (3.7) - -

便秘 2 (11.1) 4 (14.8) - 1 (0.2)

下痢 1 (5.6) 3 (11.1) - 3 (0.6)

悪心 6 (33.3) 8 (29.6) 2 (3.8) 14 (2.8)

嘔吐 7 (38.9) 7 (25.9) - 11 (2.2)

一般・全身障害および投与部位の状態

7 (38.9) 8 (29.6) 4 (7.5) 37 (7.3)

顔面浮腫 - 2 (7.4) - -

倦怠感 1 (5.6) 1 (3.7) - -

発熱 6 (33.3) 3 (11.1) 1 (1.9) 22 (4.3)

肝胆道系障害 1 (5.6) 4 (14.8) - 1 (0.2)

肝機能異常 1 (5.6) 4 (14.8) - -

免疫系障害 - - 2 (3.8) 8 (1.6)

感染症および寄生虫症 3 (16.7) 4 (14.8) 5 (9.4) 42 (8.3)

外耳炎 1 (5.6) - - -

中耳炎 1 (5.6) - - -

敗血症性ショック 1 (5.6) - - -

傷害、中毒および処置合併症 2 (11.1) 8 (29.6) 5 (9.4) 34 (6.7)

処置後出血 1 (5.6) 1 (3.7) - 9 (1.8)

創合併症 1 (5.6) 4 (14.8) 1 (1.9) 2 (0.4)

処置合併症 - 2 (7.4) - -

臨床検査 12 (66.7) 9 (33.3) 1 (1.9) 7 (1.4)

血中アミラーゼ増加 2 (11.1) 1 (3.7) - -

血中ビリルビン増加 1 (5.6) 1 (3.7) - -

血中 LDH増加 1 (5.6) - - -

血圧上昇 1 (5.6) - - -

C-反応性蛋白増加 - 3 (11.1) - -

γ-GTP 増加 3 (16.7) 2 (7.4) - 1 (0.2)

尿中ブドウ糖陽性 1 (5.6) - - -

尿中血陽性 1 (5.6) - - -

リンパ球数減少 2 (11.1) 1 (3.7) - -

好中球数減少 2 (11.1) 1 (3.7) - -

好中球数増加 1 (5.6) - - -

血小板数減少 2 (11.1) - - -

白血球数減少 2 (11.1) 1 (3.7) - -

白血球数増加 1 (5.6) - - -

代謝および栄養障害 2 (11.1) 3 (11.1) 1 (1.9) 18 (3.6)

食欲減退 2 (11.1) 1 (3.7) - 1 (0.2)

筋骨格系および結合組織障害 1 (5.6) 4 (14.8) 2 (3.8) 8 (1.6)

背部痛 1 (5.6) 2 (7.4) - 1 (0.2)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

32

日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

≦60kg >60kg ≦60kg >60kg

良性、悪性および詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む)

1 (5.6) - - 3 (0.6)

腫瘍出血 1 (5.6) - - -

神経系障害 10 (55.6) 13 (48.1) 25 (47.2) 187 (36.9)

失語症 - - 4 (7.5) 23 (4.5)

運動失調 - - 4 (7.5) 11 (2.2)

脳梗塞 1 (5.6) 2 (7.4) - 3 (0.6)

痙攣 2 (11.1) 2 (7.4) 4 (7.5) 28 (5.5)

大発作痙攣 - - 3 (5.7) 6 (1.2)

頭痛 6 (33.3) 6 (22.2) 4 (7.5) 27 (5.3)

不全片麻痺 1 (5.6) 2 (7.4) 5 (9.4) 27 (5.3)

片麻痺 1 (5.6) 1 (3.7) - 8 (1.6)

感覚鈍麻 1 (5.6) - - 3 (0.6)

会話障害 - - 4 (7.5) 42 (8.3)

大脳障害 - - 4 (7.5) 11 (2.2)

運動機能障害 - - 3 (5.7) 40 (7.9)

精神障害 2 (11.1) 5 (18.5) 6 (11.3) 35 (6.9)

不安 1 (5.6) - - -

うつ病 - 2 (7.4) - 2 (0.4)

不眠症 - 3 (11.1) - -

人格変化 - - 4 (7.5) 16 (3.2)

落ち着きのなさ 1 (5.6) 2 (7.4) - -

腎および尿路障害 1 (5.6) 1 (3.7) - 9 (1.8)

血尿 1 (5.6) 1 (3.7) - 4 (0.8)

生殖系および乳房障害 - - - 2 (0.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 - 3 (11.1) 1 (1.9) 24 (4.7)

皮膚および皮下組織障害 6 (33.3) 5 (18.5) 3 (5.7) 13 (2.6)

褥瘡性潰瘍 2 (11.1) - - -

薬疹 1 (5.6) 1 (3.7) 1 (1.9) -

紅斑 1 (5.6) - - 1 (0.2)

皮下出血 2 (11.1) - - -

そう痒症 1 (5.6) 2 (7.4) - -

皮膚剥脱 1 (5.6) - - -

血管障害 1 (5.6) - 3 (5.7) 45 (8.9)

高血圧 1 (5.6) - 1 (1.9) 14 (2.8)

* 対象試験:MC-ALS.20/BV、MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び

MC-ALS.32/GL 試験

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 体重別の副作用

体重別の副作用の発現率は、国内試験の「≦60 kg」が 18 例中 6例(33.3%)、「>60 kg」が

27 例中 5例(18.5%)であった。明らかな体重別による差は認められなかった。外国試験では、

副作用が発現した 12 例すべてが「>60 kg」であった(507 例中 12 例、2.4%)。

2.7.4.2.1.1.6 発現時期別の有害事象及び副作用

(1) 発現時期別の有害事象

発現率が 5%以上の有害事象を発現時期別(本剤投与後「2日以内」、「3日以降~7日以内」、

「8 日以降~28 日以内」、「29 日以降」)に集計した結果を、国内試験及び外国試験についてそ

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

33

れぞれ表 2.7.4.2.1.1-11 及び表 2.7.4.2.1.1-12 に示した。

国内試験の安全性解析対象 45 例において有害事象発現率は、本剤投与後「2日以内」、「3日

以降~7日以内」、「8日以降~28 日以内」のそれぞれで 35 例(77.8%)、22 例(48.9%)及び

24 例(53.3%)であった。外国試験では 562 例中、それぞれ 203 例(36.1%)、95 例(16.9%)、

64 例(11.4%)であり、また「29 日以降」が 95 例(16.9%)、発現時期不明が 31 例(5.5%)

であった。国内試験及び外国試験ともに、本剤投与後 2日以内に有害事象が多かった。

国内試験において、本剤投与後 2日以内に頻度が高かった器官別有害事象は「神経系障害」

が 16 例(35.6%)、「胃腸障害」が 13 例(28.9%)、「臨床検査」が 12 例(26.7%)、であった。

3日以降~7日以内では、「胃腸障害」、「臨床検査」及び「神経系障害」がそれぞれ 6例(13.3%)

であった。8日以降~28 日以内では、「胃腸障害」が 11 例(24.4%)及び「臨床検査」が 6例

(13.3%)であった。いずれも外国試験において報告されている有害事象であり、国内外試験

で大きな差はないと考えられた。

国内外試験ともに本剤投与後 3日以降に発現率の増加する有害事象はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

34

表 2.7.4.2.1.1-11 国内試験の発現時期別の有害事象(発現率 5%以上) 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量 20 mg/kg

発現時期(投与後) 0~2 日 3~7 日 8~28日 29 日~

対象症例数(例) 45

発現症例数(例(%)) 35 (77.8) 22 (48.9) 24 (53.3) 2 (4.4)

血液およびリンパ系障害 3 (6.7) - 1 (2.2) -

貧血 3 (6.7) - - -

心臓障害 1 (2.2) - - -

眼障害 3 (6.7) 1 (2.2) 1 (2.2) -

眼瞼浮腫 3 (6.7) 1 (2.2) - -

胃腸障害 13 (28.9) 6 (13.3) 11 (24.4) 1 (2.2)

便秘 1 (2.2) 3 (6.7) 2 (4.4) -

下痢 - - 3 (6.7) 1 (2.2)

悪心 8 (17.8) 1 (2.2) 5 (11.1) -

嘔吐 10 (22.2) 1 (2.2) 3 (6.7) -

一般・全身障害および投与部位の状態 9 (20.0) 3 (6.7) 4 (8.9) -

発熱 6 (13.3) - 3 (6.7) -

肝胆道系障害 1 (2.2) 1 (2.2) 3 (6.7) -

肝機能異常 1 (2.2) 1 (2.2) 3 (6.7) -

感染症および寄生虫症 2 (4.4) 2 (4.4) 5 (11.1) -

傷害、中毒および処置合併症 9 (20.0) - 1 (2.2) -

創合併症 5 (11.1) - - -

臨床検査 12 (26.7) 6 (13.3) 6 (13.3) 1 (2.2)

血中アミラーゼ増加 3 (6.7) - - -

γ-GTP 増加 - 4 (8.9) 1 (2.2) -

リンパ球数減少 3 (6.7) - - -

好中球数減少 - - 3 (6.7) -

代謝および栄養障害 - 2 (4.4) 3 (6.7) -

食欲減退 - - 3 (6.7) -

筋骨格系および結合組織障害 3 (6.7) - 2 (4.4) -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) - - 1 (2.2) -

神経系障害 16 (35.6) 6 (13.3) 4 (8.9) -

脳梗塞 3 (6.7) - - -

頭痛 9 (20.0) 2 (4.4) 1 (2.2) -

不全片麻痺 3 (6.7) - - -

精神障害 3 (6.7) 3 (6.7) 2 (4.4) -

腎および尿路障害 1 (2.2) 1 (2.2) - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 2 (4.4) 1 (2.2) - -

皮膚および皮下組織障害 5 (11.1) 2 (4.4) 4 (8.9) 1 (2.2)

血管障害 1 (2.2) - - -

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

35

表 2.7.4.2.1.1-12 外国試験の発現時期別の有害事象(発現率 5%以上)

SOC/PT 外国試験*

発現時期(投与後) 0~2 日 3~7 日 8~28日 29 日~ 不明

対象症例数(例) 562

発現症例数(例(%)) 203 (36.1) 95 (16.9) 64 (11.4) 95 (16.9) 31 (5.5)

血液およびリンパ系障害 2 (0.4) - 2 (0.4) 3 (0.5) 3 (0.5)

心臓障害 9 (1.6) 2 (0.4) - - -

耳および迷路障害 2 (0.4) 1 (0.2) - 3 (0.5) 1 (0.2)

内分泌障害 - - 1 (0.2) - 1 (0.2)

眼障害 23 (4.1) 11 (2.0) 2 (0.4) 11 (2.0) -

胃腸障害 11 (2.0) 6 (1.1) 4 (0.7) 6 (1.1) 1 (0.2)

一般・全身障害および投与部位の状態 16 (2.8) 9 (1.6) 4 (0.7) 11 (2.0) 3 (0.5)

肝胆道系障害 - - - 1 (0.2) -

免疫系障害 3 (0.5) 1 (0.2) 1 (0.2) 4 (0.7) 1 (0.2)

感染症および寄生虫症 6 (1.1) 13 (2.3) 16 (2.8) 11 (2.0) 3 (0.5)

傷害、中毒および処置合併症 22 (3.9) 7 (1.2) 9 (1.6) 3 (0.5) -

臨床検査 4 (0.7) - 2 (0.4) 2 (0.4) 1 (0.2)

代謝および栄養障害 5 (0.9) 6 (1.1) 4 (0.7) 2 (0.4) 2 (0.4)

筋骨格系および結合組織障害 4 (0.7) 1 (0.2) 2 (0.4) 3 (0.5) 1 (0.2)

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) 1 (0.2) 1 (0.2) 1 (0.2) - -

神経系障害 138 (24.6) 38 (6.8) 18 (3.2) 57 (10.1) 12 (2.1)

会話障害 29 (5.2) 4 (0.7) 2 (0.4) 9 (1.6) 2 (0.4)

運動機能障害 29 (5.2) 2 (0.4) - 9 (1.6) 3 (0.5)

精神障害 19 (3.4) 6 (1.1) 5 (0.9) 11 (2.0) 2 (0.4)

腎および尿路障害 3 (0.5) 4 (0.7) 3 (0.5) - -

生殖系および乳房障害 2 (0.4) - - - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 7 (1.2) 1 (0.2) 5 (0.9) 12 (2.1) 1 (0.2)

皮膚および皮下組織障害 6 (1.1) 2 (0.4) 4 (0.7) 4 (0.7) 2 (0.4)

血管障害 23 (4.1) 11 (2.0) 3 (0.5) 9 (1.6) 4 (0.7)

* 対象試験:MC-ALS.20/BV、MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び

MC-ALS.32/GL 試験

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 発現時期別の副作用

副作用の発現率は国内試験において、本剤投与後「2日以内」、「3日以降~7日以内」、「8日

以降~28 日以内」及び「29 日以降」は、それぞれ 5例(11.1%)、3例(6.7%)、3例(6.7%)

及び 1例(2.2%)であった。外国試験おいては、それぞれ 9例(1.6%)、2例(0.4%)、0例(0.0%)

及び 1例(0.2%)であった。

有害事象と同様に、投与初期である本剤投与後 2日以内に発現する副作用が多い傾向を示し

た。

2.7.4.2.1.1.7 悪性神経膠腫の初発・再発別の有害事象及び副作用

(1) 悪性神経膠腫の初発・再発別の有害事象

発現率が 5%以上の有害事象を初発・再発別に集計した結果を、国内試験及び外国試験につ

いて表 2.7.4.2.1.1-13 に示した。

国内試験の安全性解析対象は、初発が 25 例、再発が 20 例であった。報告された有害事象

は、器官別有害事象で「腎及び尿路傷害」が初発及び再発でそれぞれ2例(8.0%)及び0例(0.0%)、

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

36

「傷害、中毒および処置合併症」がそれぞれ 8例(32.0%)及び 2例(10.0%)、「眼傷害」が

それぞれ 4 例(16.0%)及び 1 例(5.0%)であった。有害事象全体の発現率は、初発では 25

例中 24 例(96.0%)、再発では 20 例中 18 例(90.0%)であり、同程度であった。

外国試験においては、対象症例は初発(501 例)であり再発(40 例)と比較して多かった。

有害事象全体の発現率は、初発が 302 例(60.3%)、再発が 22 例(55.0%)であり、同程度で

あった。初発のみで報告された有害事象として、「血管障害」で 48 例(9.6%)、「一般・全身障

害および投与部位の状態」で 41 例(8.2%)などがあげられるが、発現率はいずれも 10%未満

であった。「代謝および栄養障害」は、初発 13 例(2.6%)に対して、再発 6例(15.0%)であ

り、再発で多く報告された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

37

表 2.7.4.2.1.1-13 初発・再発別の有害事象(国内と外国試験の比較、発現率 5%以上) 日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

初発 再発 初発 再発

対象症例数(例) 25 20 501 40

発現症例数(例(%)) 24 (96.0) 18 (90.0) 302 (60.3) 22 (55.0)

血液およびリンパ系障害 2 (8.0) 2 (10.0) 9 (1.8) -

貧血 2 (8.0) 1 (5.0) 1 (0.2) -

好酸球増加症 - 1 (5.0) - -

心臓障害 - 1 (5.0) 11 (2.2) -

不整脈 - - 5 (1.0) -

頻脈 - 1 (5.0) - -

心障害 - - 5 (1.0) -

先天性、家族性および遺伝性障害 - - 2 (0.4) -

耳および迷路障害 - - 7 (1.4) -

聴覚障害 - - 6 (1.2) -

内分泌障害 - - 2 (0.4) -

眼障害 4 (16.0) 1 (5.0) 41 (8.2) 5 (12.5)

眼瞼浮腫 3 (12.0) 1 (5.0) - -

視力障害 - - 39 (7.8) 5 (12.5)

胃腸障害 14 (56.0) 11 (55.0) 23 (4.6) 3 (7.5)

腹部不快感 1 (4.0) 1 (5.0) - -

便秘 3 (12.0) 3 (15.0) 1 (0.2) -

下痢 1 (4.0) 3 (15.0) 3 (0.6) -

悪心 8 (32.0) 6 (30.0) 13 (2.6) 2 (5.0)

嘔吐 8 (32.0) 6 (30.0) 10 (2.0) 1 (2.5)

一般・全身障害および投与部位の状態 7 (28.0) 8 (40.0) 41 (8.2) -

胸部不快感 - 1 (5.0) - -

悪寒 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

顔面浮腫 1 (4.0) 1 (5.0) - -

倦怠感 2 (8.0) - - -

浮腫 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

疼痛 - - 4 (0.8) -

発熱 4 (16.0) 5 (25.0) 23 (4.6) -

肝胆道系障害 3 (12.0) 2 (10.0) 1 (0.2) -

肝機能異常 3 (12.0) 2 (10.0) - -

免疫系障害 - - 10 (2.0) -

薬物過敏症 - - 5 (1.0) -

季節性アレルギー - - 2 (0.4) -

感染症および寄生虫症 3 (12.0) 4 (20.0) 44 (8.8) 3 (7.5)

膀胱炎 - - 1 (0.2) -

真菌感染 - 1 (5.0) - -

帯状疱疹 - 1 (5.0) - -

感染 - - 13 (2.6) 3 (7.5)

細菌性髄膜炎 - 1 (5.0) - -

外耳炎 - 1 (5.0) - -

肺炎 - - 9 (1.8) -

術後創感染 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

偽膜性大腸炎 - 1 (5.0) - -

椎間板炎 - - 2 (0.4) -

傷害、中毒および処置合併症 8 (32.0) 2 (10.0) 39 (7.8) 1 (2.5)

挫傷 - - 2 (0.4) -

処置後出血 1 (4.0) 1 (5.0) 9 (1.8) -

創合併症 4 (16.0) 1 (5.0) 2 (0.4) 1 (2.5)

処置合併症 2 (8.0) - - -

臨床検査 13 (52.0) 8 (40.0) 8 (1.6) -

血中アミラーゼ増加 3 (12.0) - - -

血中ビリルビン増加 1 (4.0) 1 (5.0) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

38

日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

初発 再発 初発 再発

血中 CK 増加 2 (8.0) - - -

C-反応性蛋白増加 1 (4.0) 2 (10.0) - -

γ-GTP 増加 1 (4.0) 4 (20.0) 1 (0.2) -

尿中ブドウ糖陽性 - 1 (5.0) - -

尿中血陽性 - 1 (5.0) - -

ヘモグロビン減少 - - 1 (0.2) -

リンパ球数減少 2 (8.0) 1 (5.0) - -

好中球数減少 2 (8.0) 1 (5.0) - -

血小板数減少 1 (4.0) 1 (5.0) - -

白血球数減少 2 (8.0) 1 (5.0) - -

代謝および栄養障害 2 (8.0) 3 (15.0) 13 (2.6) 6 (15.0)

体液貯留 - 1 (5.0) - 6 (15.0)

痛風 - - 1 (0.2) -

低アルブミン血症 - 1 (5.0) - -

肥満 - - 2 (0.4) -

食欲減退 2 (8.0) 1 (5.0) 1 (0.2) -

筋骨格系および結合組織障害 3 (12.0) 2 (10.0) 11 (2.2) -

強直性脊椎炎 - - 2 (0.4) -

背部痛 2 (8.0) 1 (5.0) 1 (0.2) -

頚部痛 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

変形性関節症 - - 2 (0.4) -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) 1 (4.0) - 3 (0.6) -

神経系障害 14 (56.0) 9 (45.0) 199 (39.7) 13 (32.5)

失語症 - - 27 (5.4) -

運動失調 - - 15 (3.0) -

脳出血 - - 4 (0.8) -

脳梗塞 1 (4.0) 2 (10.0) 3 (0.6) -

脳血管障害 - - 3 (0.6) -

痙攣 2 (8.0) 2 (10.0) 31 (6.2) 1 (2.5)

頭痛 6 (24.0) 6 (30.0) 31 (6.2) -

不全片麻痺 3 (12.0) - 32 (6.4) -

片麻痺 1 (4.0) 1 (5.0) 8 (1.6) -

水頭症 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

感覚障害 - - 12 (2.4) 2 (5.0)

会話障害 - - 39 (7.8) 7 (17.5)

振戦 - - 2 (0.4) -

第7脳神経麻痺 - - 9 (1.8) 3 (7.5)

大脳障害 - - 14 (2.8) 1 (2.5)

運動機能障害 - - 35 (7.0) 8 (20.0)

部分発作 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

精神障害 5 (20.0) 2 (10.0) 40 (8.0) 1 (2.5)

うつ病 2 (8.0) - 2 (0.4) -

不眠症 3 (12.0) - - -

気分変化 - - 6 (1.2) 1 (2.5)

人格変化 - - 20 (4.0) -

落ち着きのなさ 1 (4.0) 2 (10.0) - -

腎および尿路障害 2 (8.0) - 8 (1.6) 1 (2.5)

血尿 2 (8.0) - 4 (0.8) -

生殖系および乳房障害 - - 2 (0.4) -

良性前立腺肥大症 - - 2 (0.4) -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 1 (4.0) 2 (10.0) 26 (5.2) -

喘息 - - 1 (0.2) -

咳嗽 - - 4 (0.8) -

呼吸困難 - - 2 (0.4) -

誤嚥性肺炎 - 1 (5.0) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

39

日本

試験番号 NPC-07-1

投与量 20 mg/kg

外国試験* SOC/PT

初発 再発 初発 再発

肺塞栓症 - - 14 (2.8) -

口腔咽頭痛 - 1 (5.0) - -

皮膚および皮下組織障害 6 (24.0) 5 (25.0) 16 (3.2) -

褥瘡性潰瘍 1 (4.0) 1 (5.0) - -

薬疹 1 (4.0) 1 (5.0) 1 (0.2) -

紅斑 - 1 (5.0) 1 (0.2) -

皮下出血 2 (8.0) - - -

過角化 - - 1 (0.2) -

光線過敏性反応 - - 2 (0.4) -

そう痒症 1 (4.0) 2 (10.0) - -

全身性皮疹 - 1 (5.0) - -

脂漏性皮膚炎 - - 1 (0.2) -

皮膚障害 - - 3 (0.6) -

光線性皮膚症 - - 1 (0.2) -

血管障害 - 1 (5.0) 48 (9.6) -

高血圧 - 1 (5.0) 15 (3.0) -

低血圧 - - 6 (1.2) -

静脈炎 - - 7 (1.4) -

* 対象試験:MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び MC-ALS.32/GL 試験

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 悪性神経膠腫の初発・再発別の副作用

副作用の発現率は、国内試験の初発で 25 例中 4例(16.0%)、再発で 20 例中 7例(35.0%)

であった。外国試験では、初発で 501 例中 11 例(2.2%)であったが、再発患者では副作用が

報告されなかった。なお、健康成人で発現した副作用 1例は、悪性神経膠腫の初発・再発別の

副作用には集計されていない。

2.7.4.2.1.1.8 腫瘍病理判定WHOグレード別の有害事象及び副作用

(1) 腫瘍病理タイプ別の有害事象

発現率が 5%以上の有害事象を悪性神経膠腫 WHO グレードⅢ及びⅣに層別して集計し、国内

試験及び外国試験をそれぞれ表 2.7.4.2.1.1-14 及び表 2.7.4.2.1.1-15 に示した。

国内試験においては、WHO グレードⅢが 13 例中 12 例(92.3%)、WHO グレードⅣが 23 例中

21 例(91.3%)に有害事象が発現し、同程度であった。器官別有害事象では、WHO グレードⅣ

にのみ発現している有害事象として「精神障害」が 7例(30.4%)、「代謝および栄養障害」及

び「筋骨格系および結合組織障害」がそれぞれ 4例(17.4%)などであった。その他、「障害、

中毒および処置合併症」が WHO グレードⅣで 7 例(30.4%)、WHO グレードⅢで 1 例(7.7%)、

「一般・全身障害および投与部位の状態」が WHO グレードⅣで 11 例(47.8%)、WHO グレード

Ⅲで 2例(15.4%)などが報告された。

外国試験で層別した患者数は、WHO グレードⅢが 30 例、WHO グレードⅣが 466 例であり、WHO

グレードⅣの症例が多かった。発現の多い有害事象である「神経系障害」は、WHO グレードⅢ、

Ⅳでそれぞれ 12 例(40.0%)、194 例(41.6%)で見られ、国内試験での WHO グレードⅢ6 例

(46.2%)、WHO グレードⅣ11 例(47.8%)と同程度であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

40

表 2.7.4.2.1.1-14 腫瘍病理タイプ別の有害事象

(NPC-07-1 試験、発現率 5%以上) 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量 20 mg/kg

WHO グレード Ⅲ Ⅳ Ⅲ/Ⅳ以外 データなし

対象症例数(例) 13 23 2 7

発現症例数(例(%)) 12 (92.3) 21 (91.3) 2 (100.0) 7 (100.0)

血液およびリンパ系障害 - 3 (13.0) - 1 (14.3)

貧血 - 3 (13.0) - -

好酸球増加症 - - - 1 (14.3)

心臓障害 - 1 (4.3) - -

眼障害 2 (15.4) 3 (13.0) - -

眼瞼浮腫 2 (15.4) 2 (8.7) - -

胃腸障害 7 (53.8) 14 (60.9) - 4 (57.1)

腹部不快感 - 1 (4.3) - 1 (14.3)

便秘 1 (7.7) 4 (17.4) - 1 (14.3)

下痢 - 2 (8.7) - 2 (28.6)

悪心 4 (30.8) 9 (39.1) - 1 (14.3)

嘔吐 5 (38.5) 6 (26.1) - 3 (42.9)

一般・全身障害および投与部位の状態 2 (15.4) 11 (47.8) - 2 (28.6)

胸部不快感 - - - 1 (14.3)

顔面浮腫 - 2 (8.7) - -

倦怠感 - 2 (8.7) - -

浮腫 1 (7.7) - - -

発熱 1 (7.7) 7 (30.4) - 1 (14.3)

肝胆道系障害 2 (15.4) 2 (8.7) - 1 (14.3)

肝機能異常 2 (15.4) 2 (8.7) - 1 (14.3)

感染症および寄生虫症 1 (7.7) 4 (17.4) 1 (50.0) 1 (14.3)

真菌感染 1 (7.7) - - -

細菌性髄膜炎 - - - 1 (14.3)

中耳炎 - - 1 (50.0) -

術後創感染 1 (7.7) - - -

偽膜性大腸炎 1 (7.7) - - -

傷害、中毒および処置合併症 1 (7.7) 7 (30.4) - 2 (28.6)

処置後局所反応 - - - 1 (14.3)

処置後出血 1 (7.7) 1 (4.3) - -

創合併症 - 4 (17.4) - 1 (14.3)

処置合併症 - 1 (4.3) - 1 (14.3)

臨床検査 6 (46.2) 11 (47.8) - 4 (57.1)

血中アミラーゼ増加 2 (15.4) 1 (4.3) - -

血中ビリルビン増加 - 1 (4.3) - 1 (14.3)

血中 CK 増加 1 (7.7) 1 (4.3) - -

血中 LDH増加 1 (7.7) - - -

血圧上昇 1 (7.7) - - -

C-反応性蛋白増加 1 (7.7) 1 (4.3) - 1 (14.3)

γ-GTP 増加 1 (7.7) 3 (13.0) - 1 (14.3)

心拍数減少 1 (7.7) - - -

リンパ球数減少 - 3 (13.0) - -

好中球数減少 - 2 (8.7) - 1 (14.3)

血小板数減少 - 2 (8.7) - -

白血球数減少 - 2 (8.7) - 1 (14.3)

代謝および栄養障害 - 4 (17.4) - 1 (14.3)

低アルブミン血症 - - - 1 (14.3)

食欲減退 - 3 (13.0) - -

筋骨格系および結合組織障害 - 4 (17.4) 1 (50.0) -

背部痛 - 2 (8.7) 1 (50.0) -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) - 1 (4.3) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

41

日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量 20 mg/kg

WHO グレード Ⅲ Ⅳ Ⅲ/Ⅳ以外 データなし

神経系障害 6 (46.2) 11 (47.8) 2 (100.0) 4 (57.1)

脳梗塞 - 1 (4.3) 1 (50.0) 1 (14.3)

痙攣 1 (7.7) 1 (4.3) - 2 (28.6)

浮動性めまい 1 (7.7) - - -

頭痛 3 (23.1) 7 (30.4) 1 (50.0) 1 (14.3)

不全片麻痺 - 2 (8.7) - 1 (14.3)

片麻痺 1 (7.7) 1 (4.3) - -

水頭症 - - - 1 (14.3)

感覚鈍麻 1 (7.7) - - -

部分発作 - - - 1 (14.3)

精神障害 - 7 (30.4) - -

うつ病 - 2 (8.7) - -

不眠症 - 3 (13.0) - -

落ち着きのなさ - 3 (13.0) - -

身体疾患による精神障害 - - - -

腎および尿路障害 - 2 (8.7) - -

血尿 - 2 (8.7) - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 - 1 (4.3) - 2 (28.6)

誤嚥性肺炎 - - - 1 (14.3)

口腔咽頭痛 - - - 1 (14.3)

皮膚および皮下組織障害 2 (15.4) 7 (30.4) 1 (50.0) 1 (14.3)

褥瘡性潰瘍 - 1 (4.3) 1 (50.0) -

薬疹 - 1 (4.3) - 1 (14.3)

皮下出血 1 (7.7) 1 (4.3) - -

そう痒症 1 (7.7) 2 (8.7) - -

皮膚剥脱 1 (7.7) - - -

蕁麻疹 1 (7.7) - - -

血管障害 1 (7.7) - - -

高血圧 1 (7.7) - - -

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

表 2.7.4.2.1.1-15 腫瘍病理タイプ別の有害事象

(外国試験、発現率 5%以上)

SOC/PT 外国試験*

WHO グレード Ⅲ Ⅳ Ⅲ/Ⅳ以外 データなし

対象症例数(例) 30 466 42 3

発現症例数(例(%)) 18 (60.0) 290 (62.2) 14 (33.3) 2 (66.7)

血液およびリンパ系障害 - 9 (1.9) - -

心臓障害 - 10 (2.1) - 1 (33.3)

不整脈 - 4 (0.9) - 1 (33.3)

先天性、家族性および遺伝性障害 - 2 (0.4) - -

耳および迷路障害 - 7 (1.5) - -

内分泌障害 - 2 (0.4) - -

眼障害 2 (6.7) 43 (9.2) 1 (2.4) -

視力障害 2 (6.7) 41 (8.8) 1 (2.4) -

胃腸障害 2 (6.7) 22 (4.7) 2 (4.8) -

一般・全身障害および投与部位の状態 2 (6.7) 39 (8.4) - -

発熱 2 (6.7) 21 (4.5) - -

肝胆道系障害 - 1 (0.2) - -

免疫系障害 - 10 (2.1) - -

感染症および寄生虫症 2 (6.7) 44 (9.4) 1 (2.4) -

傷害、中毒および処置合併症 1 (3.3) 37 (7.9) 2 (4.8) -

臨床検査 - 8 (1.7) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

42

SOC/PT 外国試験*

WHO グレード Ⅲ Ⅳ Ⅲ/Ⅳ以外 データなし

代謝および栄養障害 2 (6.7) 17 (3.6) - -

体液貯留 1 (3.3) 5 (1.1) - -

筋骨格系および結合組織障害 1 (3.3) 10 (2.1) - -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) - 2 (0.4) 1 (2.4) -

神経系障害 12 (40.0) 194 (41.6) 5 (11.9) 1 (33.3)

失語症 1 (3.3) 24 (5.2) 2 (4.8) -

痙攣 - 30 (6.4) 1 (2.4) 1 (33.3)

頭痛 5 (16.7) 26 (5.6) - -

不全片麻痺 1 (3.3) 31 (6.7) - -

会話障害 3 (10.0) 42 (9.0) 1 (2.4) -

第7脳神経麻痺 2 (6.7) 10 (2.1) - -

運動機能障害 2 (6.7) 41 (8.8) - -

精神障害 3 (10.0) 36 (7.7) 2 (4.8) -

腎および尿路障害 1 (3.3) 7 (1.5) 1 (2.4) -

生殖系および乳房障害 - 2 (0.4) - -

呼吸器、胸郭および縦隔障害 - 26 (5.6) - -

皮膚および皮下組織障害 2 (6.7) 13 (2.8) 1 (2.4) -

血管障害 4 (13.3) 42 (9.0) 1 (2.4) 1 (33.3)

動脈塞栓症 - - - 1 (33.3)

高血圧 2 (6.7) 13 (2.8) - -

低血圧 2 (6.7) 4 (0.9) - -

* 対象試験:MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び MC-ALS.32/GL 試験

注)PTで発現率 5%以上の事象を記載し、SOC は 5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) 腫瘍病理タイプ別の副作用

国内試験の副作用の発現率は、WHO グレードⅢで 13 例中 3例(23.1%)、WHO グレードⅣで

23 例中 5例(21.7%)であった。また外国試験では、WHO グレードⅢで 30例中 2例(6.7%)、

WHO グレードⅣで 466 例中 9 例(1.9%)であった。なお、健康成人で発現した副作用 1 例は、

腫瘍病理タイプ別の副作用には集計されていない。

2.7.4.2.1.1.9 KPSスコア別の有害事象及び副作用

(1) KPS スコア別の有害事象

国内試験及び外国試験で5%以上発現した有害事象をKPSスコア60~70及び80~100に層別

して集計した結果を表 2.7.4.2.1.1-16 に示した。

国内試験で有害事象発現は、KPS スコア 60~70で 13 例中 12 例(92.3%)、80~100 で 32 例

中 30 例(93.8%)であった。外国試験では KPS スコア 60~70 で 63 例中 37 例(58.7%)、80

~100 で 477 例中 286 例(60.0%)であり、同程度であった。

国内試験で報告された有害事象は、「血液およびリンパ系傷害」が KPS スコア 60~70 及び 80

~100 でそれぞれ 3例(23.1%)及び 1例(3.1%)、「眼傷害」がそれぞれ 3例(23.1%)及び

2例(6.3%)であった。外国試験では、「感染症および寄生虫症」が KPS スコア 60~70 及び 80

~100 でそれぞれ 3 例(4.8%)及び 43 例(9.0%)、「免疫系障害」が KPS スコア 60~70 及び

80~100 でそれぞれ 0例(0.0%)及び 10 例(2.1%)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

43

表 2.7.4.2.1.1-16 KPS スコア別の有害事象

(国内と外国試験の比較、発現率 5%以上) 日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量 20 mg/kg

外国試験*

KPS スコア 60-70 80-100 60-70 80-100

対象症例数(例) 13 32 63 477

発現症例数(例(%)) 12 (92.3) 30 (93.8) 37 (58.7) 286 (60.0)

血液およびリンパ系障害 3 (23.1) 1 (3.1) - 9 (1.9)

貧血 2 (15.4) 1 (3.1) - 1 (0.2)

好酸球増加症 1 (7.7) - - -

心臓障害 - 1 (3.1) 1 (1.6) 10 (2.1)

先天性、家族性および遺伝性障害 - - 1 (1.6) 1 (0.2)

耳および迷路障害 - - 1 (1.6) 6 (1.3)

内分泌障害 - - - 2 (0.4)

眼障害 3 (23.1) 2 (6.3) 2 (3.2) 44 (9.2)

眼乾燥 1 (7.7) - - 1 (0.2)

眼瞼浮腫 2 (15.4) 2 (6.3) - -

視力障害 - - 2 (3.2) 42 (8.8)

胃腸障害 6 (46.2) 19 (59.4) 3 (4.8) 22 (4.6)

腹部不快感 2 (15.4) - - -

便秘 1 (7.7) 5 (15.6) - 1 (0.2)

下痢 1 (7.7) 3 (9.4) - 3 (0.6)

痔核 1 (7.7) - - -

悪心 5 (38.5) 9 (28.1) 1 (1.6) 14 (2.9)

嘔吐 1 (7.7) 13 (40.6) 2 (3.2) 9 (1.9)

一般・全身障害および投与部位の状

態 5 (38.5) 10 (31.3) 7 (11.1) 34 (7.1)

胸部不快感 1 (7.7) - - -

顔面浮腫 - 2 (6.3) - -

倦怠感 2 (15.4) - - -

末梢性浮腫 1 (7.7) - - -

発熱 2 (15.4) 7 (21.9) 4 (6.3) 19 (4.0)

肝胆道系障害 2 (15.4) 3 (9.4) - 1 (0.2)

肝機能異常 2 (15.4) 3 (9.4) - -

黄疸 - - - -

免疫系障害 - - - 10 (2.1)

薬物過敏症 - - - 5 (1.0)

季節性アレルギー - - - 2 (0.4)

感染症および寄生虫症 2 (15.4) 5 (15.6) 3 (4.8) 43 (9.0)

気管支炎 1 (7.7) - - 1 (0.2)

真菌感染 1 (7.7) - - -

術後創感染 1 (7.7) - - 1 (0.2)

偽膜性大腸炎 1 (7.7) - - -

尿路感染 1 (7.7) - - 2 (0.4)

傷害、中毒および処置合併症 4 (30.8) 6 (18.8) 6 (9.5) 34 (7.1)

処置後出血 1 (7.7) 1 (3.1) 2 (3.2) 7 (1.5)

創合併症 2 (15.4) 3 (9.4) 1 (1.6) 2 (0.4)

放射線皮膚損傷 1 (7.7) - - 3 (0.6)

臨床検査 4 (30.8) 17 (53.1) 1 (1.6) 7 (1.5)

ALT(GPT)増加 1 (7.7) - - -

血中アミラーゼ増加 1 (7.7) 2 (6.3) - -

血中ビリルビン増加 - 2 (6.3) - -

血中 CK 増加 1 (7.7) 1 (3.1) - -

C-反応性蛋白増加 1 (7.7) 2 (6.3) - -

γ-GTP 増加 1 (7.7) 4 (12.5) - 1 (0.2)

リンパ球数減少 1 (7.7) 2 (6.3) - -

好中球数減少 - 3 (9.4) - -

血小板数減少 - 2 (6.3) - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

44

日本

試験番号 NPC-07-1 SOC/PT

投与量 20 mg/kg

外国試験*

KPS スコア 60-70 80-100 60-70 80-100

白血球数減少 - 3 (9.4) - -

代謝および栄養障害 2 (15.4) 3 (9.4) 3 (4.8) 16 (3.4)

食欲減退 2 (15.4) 1 (3.1) - 1 (0.2)

筋骨格系および結合組織障害 2 (15.4) 3 (9.4) 1 (1.6) 10 (2.1)

背部痛 2 (15.4) 1 (3.1) - 1 (0.2)

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) - 1 (3.1) 1 (1.6) 2 (0.4)

神経系障害 6 (46.2) 17 (53.1) 25 (39.7) 186 (39.0)

失語症 - - 4 (6.3) 23 (4.8)

脳梗塞 1 (7.7) 2 (6.3) - 3 (0.6)

痙攣 - 4 (12.5) 4 (6.3) 27 (5.7)

頭痛 2 (15.4) 10 (31.3) 2 (3.2) 29 (6.1)

不全片麻痺 2 (15.4) 1 (3.1) 1 (1.6) 31 (6.5)

橈骨神経麻痺 1 (7.7) - - 1 (0.2)

会話障害 - - 7 (11.1) 39 (8.2)

運動機能障害 - - 4 (6.3) 39 (8.2)

部分発作 1 (7.7) - - 1 (0.2)

精神障害 3 (23.1) 4 (12.5) 4 (6.3) 37 (7.8)

不安 1 (7.7) - - -

譫妄 1 (7.7) - - -

うつ病 1 (7.7) 1 (3.1) - 2 (0.4)

不眠症 1 (7.7) 2 (6.3) - -

落ち着きのなさ 1 (7.7) 2 (6.3) - -

腎および尿路障害 1 (7.7) 1 (3.1) - 8 (1.7)

血尿 1 (7.7) 1 (3.1) - 3 (0.6)

生殖系および乳房障害 - - - 2 (0.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 1 (7.7) 2 (6.3) 5 (7.9) 21 (4.4)

しゃっくり 1 (7.7) - - -

皮膚および皮下組織障害 5 (38.5) 6 (18.8) 2 (3.2) 14 (2.9)

褥瘡性潰瘍 2 (15.4) - - -

薬疹 1 (7.7) 1 (3.1) - 1 (0.2)

皮下出血 1 (7.7) 1 (3.1) - -

そう痒症 - 3 (9.4) - -

発疹 1 (7.7) - 1 (1.6) -

血管障害 - 1 (3.1) 7 (11.1) 40 (8.4)

* 対象試験:MC-ALS.8-I/GLI、MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.3/GLI(本剤群)、MC-ALS.30/GLI 及び MC-ALS.32/GL 試験

注 1)ALS.32/GLI試験で KPS不明 1例を集計せず。本症例の有害事象は 8件(胃出血、敗血症、尿路感染、痙

攣、片麻痺、血尿、深部静脈血栓症)

注2)PTで発現率5%以上の事象を記載し、SOCは5%未満であっても有害事象発現症例があるものは記載した。

(2) KPS スコア別の副作用

国内試験の副作用の発現率は、KPS スコア 60~70 で 13 例中 1 例(7.7%)、KPS スコア 80~

100 で 32 例中 10 例(31.3%)であった。KPS スコア 80~100 で多い傾向であった。外国試験で

は、KPS スコア 60~70が 63 例中 1例(1.6%)、KPS スコア 80~100 が 477例中 10 例(2.1%)

であった。なお、健康成人で発現した副作用 1 例は、KPS スコア別の副作用には集計されてい

ない。

2.7.4.2.1.2 死亡

本剤投与後 28(又は 30 日)以内の死亡について、表 2.7.4.2.1.2-1 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

45

本剤投与後 28(又は 30)日までの死亡は、国内試験で 1 例、外国試験で 10 例、合計 11 例

であった。11 例のうち治験薬に関連していると判定されたものはなく、全て悪性神経膠腫切除

手術又は既存の心臓疾患によるものであると判断された。

なお、観察期間は、国内試験、外国 MC-ALS.8-I/GLI 試験及び MC-ALS.28/GLI 試験では投与後

28 日とし、MC-ALS.3/GLI 試験、MC-ALS.30/GLI 試験及び MC-ALS.32/GLI 試験では 30 日とした。

MC-ALS.20/BV 試験では、4(又は 6)日とした。

表 2.7.4.2.1.2-1 投与後 28(又は 30)日以内の死亡

試験番号

MC-ALS.3/GLI NPC-07-1

MC-ALS.

20/BV

MC-ALS.

8-I/GLI

MC-ALS.

28/GLI 本剤群 対照群

MC-ALS.

30/GLI

MC-ALS.

32/GLI

対象症例数 45 21 21 36 201 173 40 243

追跡期間 28 日 4(6)日 28 日 28 日 30 日 30 日 30 日 30 日

死亡数(%) 1 (2.2%) 0 0 1 (2.8%) 5 (2.5%) 3 (1.7%) 1 (2.5%) 3 (1.2%)

(1) NPC-07-1 試験

NPC-07-1 試験のおける本剤投与後 28日以内の死亡に関して、以下に記述する。

患者番号 :本剤投与後 5日、66 歳の男性に敗血症が発現した。当該被験者は発

現の 2 日後、敗血症性ショックにより死亡した。当該被験者より採取した

静脈血よりグラム陰性桿菌が検出され、敗血症は手術後の感染症であった

とし、本剤との因果関係は「なし」と判定された。

なお、本症例において、肝機能上昇(ALT、AST、Al-P、γ-GTP)が重篤な

有害事象として報告され、本剤投与後 5 日のγ-GTP は 2200 IU/L(CTCAE

グレード 4)であった。本事象について本剤との因果関係は「あり」とされ

たが、死亡の原因ではないと判定された。

(2) MC-ALS.28/GLI 試験

MC-ALS.28/GLI 試験のおける本剤投与後 28 日以内の死亡に関して、以下に記述する。

患者番号 :患者は術後意識が回復することはなかった。この女性患者は伸展痙攣を経

験し、CT 画像検査により両半球に複数の梗塞があることがわかり、本剤投

与後 4 日に死亡した。脳梗塞の原因は不明である。この患者は、糖尿病、

動脈性高血圧、及び頻脈の病歴があったが、既知の血栓塞栓性事象はなか

った。剖検は行われなかった。

本事象は治験薬との関連ありそうにないと判断された。

(3) MC-ALS.3/GLI 試験

MC-ALS.3/GLI 試験のおける本剤投与後 30 日以内の死亡(本剤群)に関して、以下に記述す

る。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

46

患者番号 :本剤投与後 1 日で死亡し、重症肺塞栓症と推定された。本事象は治験薬と

の関連なしと判断された。

患者番号 :本剤投与後 20日に、急性の肺機能不全のため死亡した。重症肺塞栓症のた

めと推定された。本事象は治験薬との関連なしと判断された。

患者番号 :本剤投与後 10 日に大脳性痙攣及び昏睡を生じ、CT 画像検査で脳浮腫を認め

た。本剤投与後 14 日にテント切痕ヘルニアのために死亡した。事象は治験

薬との関連なしと判断された。

患者番号 :本剤投与後 20日に死亡し、肺塞栓症のためと推定された。死後剖検は実施

されなかった。本事象は治験薬との関連なしと判断された。

患者番号 :本剤投与後 1 日に心室細動を発症し、死亡した。患者背景は、心筋梗塞、

大動脈冠動脈バイパス手術(4 回)、高血圧症合併であった。本事象は治験

薬との関連なしと判断された。

(4) MC-ALS.30/GLI 試験

MC-ALS.30/GLI 試験のおける本剤投与後 30 日以内の死亡に関して、1例が原疾患の悪化によ

り死亡した。

患者番号 :原疾患である悪性神経膠腫の悪化増大のため、本剤投与後19日に死亡した。

(5) MC-ALS.32/GLI 試験

MC-ALS.32/GLI 試験のおける本剤投与後 30 日以内の死亡に関して、以下に記述する。

患者番号 :本剤投与後 2日に急性循環虚脱のために死亡した。

患者番号 :本剤投与後 18 日に死亡した。本症例は、腫瘍切除術後に状態の悪化、術後

血小板数減少、硬膜下血腫による死亡が報告されていた。死亡後検査は実

施しなかった。

患者番号 :本剤投与後20日に、下肢深部静脈血栓に伴う急性肺塞栓症により死亡した。

2.7.4.2.1.3 その他の重篤な有害事象

個々の試験で報告されたすべての重篤な有害事象を表 2.7.4.2.1.3-1 及び表 2.7.4.2.1.3-2

に示した。

国内 NPC-07-1 試験の重篤な有害事象発現率は 45例中 7例(15.6%)であり、外国試験の発

現率 562 例中 125 例(22.2%)と同程度であった。また、器官別の重篤な有害事象では国内試

験のみで報告されている事象はなく、外国試験結果と大きな違いはなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

47

表 2.7.4.2.1.3-1 個々の試験のすべての重篤な有害事象 1/2 日本/外国 日本 外国

試験番号 NPC-07-1 MC-ALS. 20/GLI

MC.ALS.8-I/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 0.2 2 20

対象症例数(例) 45 21 7 7 7

発現症例数(例(%)) 7 (15.6) - 2 (28.6) 1 (14.3) 1 (14.3)

一般・全身障害および投与部位の状態 1 (2.2) - - - 1 (14.3) 発熱 1 (2.2) - - - 1 (14.3)

肝胆道系障害 2 (4.4) - - - -

肝機能異常 2 (4.4) - - - -

感染症および寄生虫症 3 (6.7) - 1 (14.3) - 1 (14.3) 感染 - - - - 1 (14.3) 細菌性髄膜炎 1 (2.2) - - - -

肺炎 - - 1 (14.3) - -

術後創感染 1 (2.2) - - - -

敗血症性ショック 1 (2.2) - - - -

傷害、中毒および処置合併症 - - 1 (14.3) - -

挫傷 - - 1 (14.3) - -

臨床検査 1 (2.2) - - 1 (14.3) -

ヘモグロビン減少 - - - 1 (14.3) -

血小板数減少 1 (2.2) - - - -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) 1 (2.2) - - - -

腫瘍出血 1 (2.2) - - - -

神経系障害 1 (2.2) - - - -

水頭症 1 (2.2) - - - -

皮膚および皮下組織障害 1 (2.2) - - - -

薬疹 1 (2.2) - - - -

表 2.7.4.2.1.3-2 個々の試験のすべての重篤な有害事象 2/2 日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28/GLI

MC-ALS.3/GLI MC-ALS.30/GLI

MC-ALS.32/GLI

SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 対照群 20 20

対象症例数(例) 36 201 173 40 243

発現症例数(例(%)) 8 (22.2) 60 (29.9) 40 (23.1) 4 (10.0) 49 (20.2)

心臓障害 - 5 (2.5) 2 (1.2) - -

不整脈 - 3 (1.5) 1 (0.6) - -

心不全 - 1 (0.5) 2 (1.2) - -

心室細動 - 1 (0.5) - - -

先天性、家族性および遺伝性障害 - 2 (1.0) - - -

嚢胞性リンパ管腫 - 2 (1.0) - - -

内分泌障害 - - 1 (0.6) - -

副腎機能不全 - - 1 (0.6) - -

眼障害 - 1 (0.5) - - -

視力障害 - 1 (0.5) - - -

胃腸障害 - 1 (0.5) 1 (0.6) - -

出血性胃潰瘍 - - 1 (0.6) - -

食道炎 - 1 (0.5) - - -

後腹膜出血 - - 1 (0.6) - -

一般・全身障害および投与部位の状態 - 6 (3.0) 4 (2.3) - 1 (0.4)

状態悪化 - 3 (1.5) 2 (1.2) - -

嚢胞 - 2 (1.0) 1 (0.6) - -

死亡 - 1 (0.5) - - -

治癒不良 - 1 (0.5) - - 1 (0.4)

発熱 - 1 (0.5) 1 (0.6) - -

肝胆道系障害 - 1 (0.5) 1 (0.6) - -

胆石症 - 1 (0.5) - - -

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

48

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 対照群 20 20

黄疸 - - 1 (0.6) - -

免疫系障害 - 1 (0.5) - - -

過敏症 - 1 (0.5) - - -

感染症および寄生虫症 1 (2.8) 9 (4.5) 12 (6.9) 1 (2.5) 11 (4.5)

膿瘍 - 2 (1.0) 2 (1.2) - -

脳膿瘍 - - - - 1 (0.4)

気管支炎 - - 1 (0.6) - -

憩室炎 - 1 (0.5) - - -

蓄膿 - - - - 1 (0.4)

感染 1 (2.8) 1 (0.5) 1 (0.6) 1 (2.5) -

大葉性肺炎 - 1 (0.5) - - -

髄膜炎 - - 1 (0.6) - 3 (1.2)

肺炎 - 4 (2.0) 5 (2.9) - 1 (0.4)

術後創感染 - - - - 1 (0.4)

敗血症 - - 1 (0.6) - 3 (1.2)

硬膜下蓄膿症 - - - - 1 (0.4)

気管気管支炎 - - - - 1 (0.4)

尿路感染 - - 1 (0.6) - -

創傷感染 - - - - 1 (0.4)

傷害、中毒および処置合併症 - - - - 12 (4.9)

硬膜外血腫 - - - - 1 (0.4)

大腿骨頚部骨折 - - - - 1 (0.4)

硬膜下血腫 - - - - 1 (0.4)

処置後出血 - - - - 6 (2.5)

処置後合併症 - - - - 3 (1.2)

臨床検査 - - - - 1 (0.4)

血中クレアチニン増加 - - - - 1 (0.4)

代謝および栄養障害 - - 1 (0.6) 1 (2.5) -

体液貯留 - - - 1 (2.5) -

高血糖 - - 1 (0.6) - -

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) - - 1 (0.6) - -

気管支癌 - - 1 (0.6) - -

神経系障害 7 (19.4) 29 (14.4) 22 (12.7) 3 (7.5) 31 (12.8)

失語症 2 (5.6) 7 (3.5) 1 (0.6) - 3 (1.2)

小脳出血 - 1 (0.5) - - -

脳出血 - 1 (0.5) 1 (0.6) - 1 (0.4)

脳梗塞 - - - - 2 (0.8)

脳血栓症 - 1 (0.5) - - -

脳血管障害 2 (5.6) 1 (0.5) - - -

痙攣 3 (8.3) 12 (6.0) 5 (2.9) - 1 (0.4)

意識レベルの低下 - - - - 1 (0.4)

脳症 - - 1 (0.6) - -

てんかん - - - - 1 (0.4)

大発作痙攣 - 7 (3.5) 5 (2.9) - -

頭蓋内出血 - - 1 (0.6) - -

頭痛 - - - - 1 (0.4)

半盲 - - - - 1 (0.4)

不全片麻痺 1 (2.8) 8 (4.0) 4 (2.3) - 15 (6.2)

片麻痺 - - - - 7 (2.9)

水頭症 - 1 (0.5) - - -

頭蓋内圧上昇 - - 4 (2.3) - -

不全単麻痺 - - - - 2 (0.8)

単麻痺 - - - - 1 (0.4)

不全麻痺 - - 1 (0.6) - -

てんかん重積状態 - - - - 1 (0.4)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

49

日本/外国 外国

試験番号 MC-ALS.28

/GLI MC-ALS.3/GLI

MC-ALS.30

/GLI

MC-ALS.32

/GLI SOC/PT

投与量(mg/kg) 20 20 対照群 20 20

昏迷 - 1 (0.5) 3 (1.7) - -

硬膜下ヒグローマ - - - - 1 (0.4)

脳浮腫 - 1 (0.5) 1 (0.6) - -

顔面不全麻痺 - - - - 1 (0.4)

運動機能障害 - - - 3 (7.5) -

精神障害 - 3 (1.5) 2 (1.2) - -

錯乱状態 - - 1 (0.6) - -

自殺企図 - - 1 (0.6) - -

精神病性障害 - 3 (1.5) 1 (0.6) - -

腎および尿路障害 - - - - 1 (0.4)

血尿 - - - - 1 (0.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 1 (2.8) 15 (7.5) 3 (1.7) - 2 (0.8)

呼吸困難 - 1 (0.5) 1 (0.6) - -

肺臓炎 1 (2.8) - - - -

気胸 - - - - 1 (0.4)

肺塞栓症 - 13 (6.5) 2 (1.2) - 1 (0.4)

呼吸不全 - 1 (0.5) - - -

皮膚および皮下組織障害 - 1 (0.5) - - -

皮膚障害 - 1 (0.5) - - -

血管障害 1 (2.8) 8 (4.0) 6 (3.5) - 1 (0.4)

循環虚脱 - 1 (0.5) - - 1 (0.4)

動脈塞栓症 - 1 (0.5) - - -

血腫 - 2 (1.0) 1 (0.6) - -

低血圧 1 (2.8) - - - -

血栓症 - 3 (1.5) 3 (1.7) - -

静脈血栓症 - - 1 (0.6) - -

深部静脈血栓症 - 1 (0.5) 1 (0.6) - -

本剤に関連した重篤な副作用の内容を表 2.7.4.2.1.3-3 に示した。

重篤な副作用の報告は、国内試験で 3例、外国試験で 2例の合計 5例のみであった。国内試

験では、肝機能上昇(ALT、AST、Al-P、γ-GTP)(患者番号 )、血小板数減少(患者

番号 )及び発熱(患者番号 )が重篤な副作用として報告され、当該 3症例

については 2.7.4.2.1.1.2 に記述した。外国試験では 2 例に認められ、1 例(患者番号 、

ALS.3/GLI 試験)では本剤の過量投与後に呼吸不全に陥ったが、人工呼吸器の装着後にこの事

象は消失した。もう 1例(患者番号 、ALS.28/GLI 試験)は本剤投与後に低血圧となったが、

適切な治療によりこの事象は消失した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

50

表 2.7.4.2.1.3-3 本剤に関連した重篤な有害事象

試験番号 患者番号 事象の内容

肝機能上昇(ALT、AST、Al-P、γ-GTP)が発現し、本剤投与後 5 日

のγ-GTPは 2200 IU/L(CTCAE グレード 4)であった。

治験責任医師は、「本剤投与後に肝機能検査値が上昇していることか

ら、本剤との因果関係を完全に否定することは困難である」と判断

し、因果関係がありと判定した。なお、この患者は敗血症性ショッ

クを併発し死亡したが、治験責任医師は「事象の発現に本剤の関与

が否定できないが、重症化には敗血症及び敗血症の治療に対して投

与された薬剤の寄与が大きい」と考察し、また、「肝機能異常の重

症度を「死亡」と報告したが、転帰として死亡となったことによる

記載であり、当該事象は死亡の原因ではない」と判定した。

本剤投与後 32 日に、CTCAEグレード 3の血小板数減少(PLT:34000/

μl)が発現した。出血傾向は認められなかった。処置により、その

3日後に軽快、7日後に回復したと判断された。

治験責任医師は、「当該事象はテモダールの影響である可能性も考

えられるが、この患者がこれまでのテモダール服用時に経験した程

度よりも、著明な血小板数減少が見られた」として、また、「当該

事象は本剤投与後の事象であったことから、本剤との因果関係は完

全には否定できない」と判断し、因果関係がありと判定した。なお、

当該被験者の悪性神経膠腫は再発であり、以前の脳腫瘍摘出手術に

おいても 5-ALA(研究用)を服用したが、血小板数の減少は認められ

ていなかった。

NPC-07-1

本剤投与後 22 日に中等症の発熱が発現した。感染を疑い抗生剤の投

与を行い、当該事象発現後 14 日に回復と判断した。

治験責任医師は、当該事象は感染に起因する可能性が考えられたが

感染源を特定することができず、本剤投与後に発現していることか

ら、本剤との因果関係は完全には否定できないと判断し因果関係が

ありと判定した。

ALS.20/BV - -

ALS.8-I/GLI - -

ALS.28/GLI 低血圧(90/60 mmHg、本剤投与後 1~2時間)

ALS.3/GLI

患者は本剤を偶発的に過量投与された(1580 mgの代わりに 3000 mg)。

手術中に患者は呼吸不全に陥ったが、人工呼吸器の装着により管理

された。この有害事象は完全に消失した。

ALS.30/GLI - -

ALS.32/GLI - -

2.7.4.2.1.4 その他の重要な有害事象

国内試験では、肝機能検査値が CTCAEグレード 3以上に上昇した場合に、重要な有害事象と

して取り扱った。本基準に基づき報告された重要な有害事象 5 例の発現した内容を表

2.7.4.2.1.4 に示した。2例の肝機能異常で本剤との因果関係がありと判定され、1例(患者番

号 )は敗血症性ショックにより死亡した患者であり、表 2.7.4.2.1.3-3 に記述した。

もう 1 例(患者番号 )は細菌性髄膜炎及び水頭症が発現した症例で細菌性髄膜炎の

発症 2日後に肝機能異常が認められ、翌日 ALT が CTCAE グレード 3となった。なお、本事象の

その後の経過は回復であった。細菌性髄膜炎の発現後に、複数の抗生剤を含む併用薬が使用さ

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

51

れており、それらによる要因も考えられたが、本剤投与後であるために本剤との因果関係は「否

定できない」と判断された。

本剤の肝機能検査の評価については、2.7.4.3.1 に記述した。

他に著しい血液学的異常やその他の臨床検査値異常により重大な介入に至った事象は、いず

れの試験でも発現しなかった。

表 2.7.4.2.1.4 重要な有害事象一覧(NPC-07-1 試験)

患者番号 有害事象名

(SOC/PT/医師記載) 発現日 (投与後)

重症度 重篤度 転帰 治験薬との 因果関係

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能障害 (AST、ALT、γ-GTP 上昇)

19 日 重症 非重篤 消失又は回復 なし

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能障害 (AST、ALT ALP γ-GTP)

9 日 重症 重篤 消失せず又は 未回復*

なし

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能障害 (AST ALT γ-GTP の上昇)

10 日 重症 非重篤 消失又は回復 あり

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能値上昇 (AST、ALT、ALP、γ-GTP)

4 日 死亡** 重篤 その他 あり

臨床検査 /γ-GTP 増加 /γ-GTP 上昇

4日 重症 非重篤 消失せず又は 未回復*

なし

*:治験薬との因果関係がないことより、追跡を終了した。

**:敗血症性ショック(治験薬との因果関係なし)により死亡した症例であり、重症度を「死亡」と報告

したが、転帰として死亡となったことによる記載であり、肝機能異常は死亡の原因ではないと判定した。

2.7.4.2.1.5 器官又は症候群別有害事象の解析

器官別有害事象「神経系障害」が国内外試験で発現が多かった。国内試験では 51.1%(45

例中 23 例)に発現したが、重篤な有害事象は水頭症の 1例であった。本事象は、(術後の)髄

膜炎後水頭症と報告されたが、事象の消失は確認されており、本剤との因果関係は否定された。

外国試験では、器官別有害事象で「神経系障害」は 37.7%(562 例中 212例)であった。本

剤投与群と対照群を比較した MC-ALS.3/GLI 試験では、器官別有害事象の「神経系障害」の PT

分類の種類並びに発現率に差はなかった。

脳腫瘍切除手術後の患者の生活の質に及ぼす影響を特徴付けるため評価項目に採用した KPS

スコア及び GCS(国内試験)又は NIH Stroke Scale に関しては、2.7.4.4 に記述した。

2.7.4.2.1.6 患者20 mg/kg経口投与の有害事象の解析

外国試験における本剤 20 mg/kg 経口投与時の悪性神経膠腫患者における有害事象を集計し、

発現率 5%以上の結果を表 2.7.4.2.1.6 に示した。患者への 20 mg/kg 経口投与時の有害事象全

体の発現率は、527 例中 312 例(59.2%)であり、副作用は 527 例中 11 例(2.1%)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

52

有害事象及び副作用ともに、2.7.4.2.1.1 で記述した外国試験合計の結果と比較して安全性の

プロファイルに大きな相違はなかった。

表 2.7.4.2.1.6 20 mg/kg 経口投与の患者における有害事象(発現率 5%以上)

SOC/PT 外国患者

20 mg/kg 合計

外国患者

20 mg/kg 以外合計

外国合計

対象症例数 527 35 562

発現症例数 312 (59.2) 13 (37.1) 325 (57.8)

発現件数 780 64 844

血液およびリンパ系障害 9 (1.7) - 9 (1.6)

心臓障害 8 (1.5) 3 (8.6) 11 (2.0)

心障害 2 (0.4) 3 (8.6) 5 (0.9)

先天性、家族性および遺伝性障害 2 (0.4) - 2 (0.4)

耳および迷路障害 6 (1.1) 1 (2.9) 7 (1.2)

内分泌障害 2 (0.4) - 2 (0.4)

眼障害 43 (8.2) 3 (8.6) 46 (8.2)

視力障害 41 (7.8) 3 (8.6) 44 (7.8)

胃腸障害 23 (4.4) 4 (11.4) 27 (4.8)

悪心 12 (2.3) 4 (11.4) 16 (2.8)

一般・全身障害および投与部位の状態 36 (6.8) 5 (14.3) 41 (7.3)

疼痛 2 (0.4) 2 (5.7) 4 (0.7)

発熱 19 (3.6) 4 (11.4) 23 (4.1)

肝胆道系障害 1 (0.2) - 1 (0.2)

免疫系障害 8 (1.5) 2 (5.7) 10 (1.8)

感染症および寄生虫症 44 (8.3) 3 (8.6) 47 (8.4)

感染 14 (2.7) 2 (5.7) 16 (2.8)

傷害、中毒および処置合併症 39 (7.4) 1 (2.9) 40 (7.1)

臨床検査 7 (1.3) 1 (2.9) 8 (1.4)

代謝および栄養障害 17 (3.2) 2 (5.7) 19 (3.4)

肥満 - 2 (5.7) 2 (0.4)

筋骨格系および結合組織障害 8 (1.5) 3 (8.6) 11 (2.0)

強直性脊椎炎 - 2 (5.7) 2 (0.4)

良性、悪性および詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む)

3 (0.6) - 3 (0.5)

神経系障害 201 (38.1) 11 (31.4) 212 (37.7)

失語症 27 (5.1) - 27 (4.8)

痙攣 32 (6.1) - 32 (5.7)

頭痛 29 (5.5) 2 (5.7) 31 (5.5)

不全片麻痺 32 (6.1) - 32 (5.7)

会話障害 40 (7.6) 6 (17.1) 46 (8.2)

第7脳神経麻痺 10 (1.9) 2 (5.7) 12 (2.1)

運動機能障害 41 (7.8) 2 (5.7) 43 (7.7)

精神障害 38 (7.2) 3 (8.6) 41 (7.3)

人格変化 18 (3.4) 2 (5.7) 20 (3.6)

腎および尿路障害 9 (1.7) - 9 (1.6)

生殖系および乳房障害 1 (0.2) 1 (2.9) 2 (0.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 23 (4.4) 3 (8.6) 26 (4.6)

皮膚および皮下組織障害 15 (2.8) 1 (2.9) 16 (2.8)

血管障害 41 (7.8) 7 (20.0) 48 (8.5)

高血圧 10 (1.9) 5 (14.3) 15 (2.7)

低血圧 3 (0.6) 3 (8.6) 6 (1.1)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

53

2.7.4.2.1.7 まとめ

(1) 比較的よく見られる有害事象

国内試験の本剤を投与した 45 例における有害事象の発現は、42 例(93.3%)に認められた。

器官別有害事象のうち主な事象は、「胃腸障害」が 25 例(55.6%)、「神経系障害」が 23例

(51.1%)、「臨床検査」が 21 例(46.7%)、「一般・全身障害および投与部位の状態」が

15 例(33.3%)、「皮膚および皮下組織障害」が 11 例(24.4%)及び「傷害、中毒および処置

合併症」が 10 例(22.2%)であった。

外国試験の本剤を投与した 562 例における有害事象は、324 例(57.7%)に認められた。器

官別有害事象のうち頻度が高かったのは「神経系障害」が 212 例(37.7%)であった。次いで

「血管障害」が 48 例(8.5%)、「感染症および寄生虫症」が 47 例(8.4%)、「眼障害」が

46 例(8.2%)であったが、いずれも 10%未満であった。

国内試験では、外国試験に比較して全体の発現率が高く、その内訳は「胃腸障害」の悪心、

嘔吐や「臨床検査」が多く報告された。臨床検査値に関して、外国試験でも基準値範囲外とな

る変動はあったものの、有害事象として報告されたのは 8例(1.4%)、肝酵素上昇が 1例(0.2%)

であった。

(2) 比較的よく見られる副作用

国内試験で、本剤を投与した 45 例中 11 例(24.4%)に本剤との因果関係が否定できないと

判断された副作用が発現した。「胃腸障害」が 3例(6.7%)で、内訳は悪心 3例(6.7%)、嘔

吐 2例(4.4%)であった。発熱は 2例(4.4%)で発現した。また、肝機能異常は 2例(4.4%)

で、他に「臨床検査」が 3 例(6.7%)であり、内訳は LDH 増加、γ-GTP 増加、リンパ球数減

少、血小板数減少がそれぞれ 1例(2.2%)であった。

国内試験で複数発現があった副作用の中で、悪心、嘔吐はすべて程度が軽度であり、発熱は

2例中 1例は軽度、1例は中等度であったが治験責任医師は「本剤との関係は低いが、否定でき

ない」と判定している。肝機能異常については、その多くが CTCAE グレード 2以下にとどまり、

CTCAE グレード 3以上の推移は外国試験と同程度であった。

外国試験では、562 例中 12 例(2.1%)に、本剤との因果関係が少なくとも「関連があるか

もしれない」と判断された副作用が発現し、「胃腸障害」が 3例(0.5%)で、内訳は下痢、悪

心及び嘔吐がそれぞれ 1例(0.2%)であった。他には「一般・全身障害および投与部位の状態」、

「神経系障害」、「皮膚および皮下組織障害」及び「血管障害」がそれぞれ 2例(0.4%)であっ

た。副作用発現は、すべて 20 mg/kg 経口投与の症例であった。また、外国試験では、健康成人

21 例を対象とした試験で発現した悪心 1例が含まれている。

(3) 層別の有害事象の検討

有害事象の重症度別の検討では、国内試験で CTCAEグレード 2以下の発現が外国試験より多

かった(国内 88.9%、外国 48.2%)。CTCAE グレード 3の有害事象は、国内外試験ともに 20%

程度であった。CTCAE グレード 4 及び 5 の有害事象の国内試験における発現は、それぞれ 0 例

(0.0%)、1例(2.2%)で、外国試験のそれぞれ 28 例(5.0%)、17 例(3.0%)よりも少なか

った。従って、国内試験では、有害事象全体の発現率は外国試験よりも高く、CTCAE グレード 2

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

54

以下の発現が外国試験より多かったが、安全性上問題となる CTCAE グレード 3以上の有害事象

の発現率は外国試験と同程度であった。

また、有害事象の発現時期別の検討では、本剤投与後 48 時間/2日以内で国内試験 77.8%、

外国試験 36.1%に発現がみられたが、国内外試験ともに本剤投与後 3日以降に発現率の上昇或

は増加する事象はなかった。

性別、体重別、初発・再発別、病理タイプ別、KPS スコア別での検討では、有害事象発現に明

らかに影響を及ぼす項目はなく、それは国内外試験ともに同様の傾向を示していた。

以上、有害事象の発現時期は本剤投与後 2 日以内が多く、その重症度は CTCAE グレード 2

以下の事象が多かった。

(5) 死亡、重篤な有害事象及び重要な有害事象

本剤投与後 28 又は 30 日までに観察された死亡は、国内試験で 1 例、外国試験で 10 例、合

計 11 例であった。11 例のうち治験薬に関連していると判定されたものはなかった。死亡は全

て悪性神経膠腫切除手術又は既存の心臓疾患による結果であると判断された。

国内試験における重篤な有害事象発現は 7例(15.6%)であり、外国試験における発現率 562

例中 125 例(22.2%)と同程度であった。また、報告件数が少ないが、器官別重篤な有害事象

では国内試験のみで報告されている事象はなく、外国試験の成績と大きな違いはなかった。

国内試験では、重要な有害事象として肝機能検査値 CTCAE グレード 3以上に悪化した症例が

5例報告されたが、2.7.4.3.1 に記述のとおり、肝機能検査の CTCAE グレード 3以上の推移は、

外国試験の成績と同程度であった。また、外国の試験では、肝機能検査値は、術後に一過性の

上昇であった。

以上より、国内試験において重篤な有害事象や肝機能異常を示した重要な有害事象が認めら

れたが、手術による影響、手術後の合併症やその治療薬、他の抗癌剤の治療による影響など、

本剤以外の原因によるところは否定できないと考えられた。有害事象の追跡調査の結果、敗血

症性ショックにより死亡した 1例で発現した肝機能異常を除き、すべての有害事象で、その消

失あるいは因果関係が否定されて追跡が不要と判断されるまで確認され、問題はなかった。ま

た、国内試験の結果は、外国試験における安全性のプロファイルと相違はなかった。

本剤は悪性神経膠腫の摘出術前に投与される。本剤投与後の経過については、術前、術中及

び術後ともに入院管理の下で把握されることから、肝機能検査などを注意深く観察することで、

本剤の使用について大きな問題とはなりにくいと考えられる。

上記の考察より、悪性神経膠腫における本剤 20mg/kg 経口投与は、悪性神経膠腫の腫瘍摘出

術中における腫瘍組織の視覚化を目的とする体内診断薬として、投与に当たって安全性の観察

に十分留意することで、安全に使用できると考えた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

55

2.7.4.2.2 個別有害事象の文章による説明

患者の死亡、その他の重篤及び重要な有害事象に関する個々の記述の所在について、表

2.7.4.2.2 に示した。

表 2.7.4.2.2 患者の死亡、その他の重篤及び重要な

有害事象に関する個々の記述の所在

試験番号 記述の所在(資料番号)

NPC-07-1 5.3.5.2-1

MC-ALS.20/BD 記載なし

MC-ALS.8-I/GLI 5.3.5.1-1 参

MC-ALS.28/GLI 5.3.5.2-2 参

MC-ALS.3/GLI 5.3.5.1-2 参

MC-ALS.30/GLI 5.3.5.2-3 参

MC-ALS.32/GLI 記載なし

2.7.4.3 臨床検査値の評価

2.7.4.3.1 肝機能検査の評価

(1) 国内試験の肝機能検査の評価

国内試験の肝機能検査値の AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、総ビリルビンについて検討した

結果を表 2.7.4.3.1-1 に示す。

国内試験では、当該試験で重要な有害事象の判定基準とした CATCAE グレード 3以上の肝機能

検査値の上昇は、ASTは 0例、ALTは 28日後に1例(2.3%)、γ-GTPは2例で3日後1例(2.2%)、

7 日後 1 例(2.3%)、14 日後 2 例(4.5%)、28 日後 1 例(2.3%)であり、グレード 4 を示し

たのはγ-GTP の 28 日後 1例(2.3%)のみであった。

本試験での肝機能検査のグレード 3以上の推移は、以下の項で示す外国試験の成績と比較す

ると、悪性神経膠腫に同じ用量の 20 mg/kg を投与した結果と同程度であった。

また、外国の比較対照 MC-ALS.3/GLI 試験で、本剤投与後 24 時間の施設基準値上限で除した

倍数の推移は、対照群に比較して本剤投与群で有意な上昇が認められたが、国内試験の本剤投

与後 24 時間の肝機能検査値は、すべて CTCAE グレード 2以下であった。、

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

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表 2.7.4.3.1-1 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(NPC-07-1 試験、20 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 45 3 ( 6.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 45 9 ( 20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 45 3 ( 6.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 44 4 ( 9.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 44 3 ( 6.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

28 日 43 4 ( 9.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 45 9 ( 20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 45 7 ( 15.6) 2 ( 4.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 45 9 ( 20.0) 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 44 14 ( 31.8) 4 ( 9.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 44 9 ( 20.5) 2 ( 4.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

28 日 43 5 ( 11.6) 0 ( 0.0) 1 ( 2.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 45 11 ( 24.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 45 5 ( 11.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 45 12 ( 26.7) 1 ( 2.2) 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 44 18 ( 40.9) 5 ( 11.4) 1 ( 2.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 44 10 ( 22.7) 4 ( 9.1) 2 ( 4.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

28 日 43 11 ( 25.6) 2 ( 4.7) 0 ( 0.0) 1 ( 2.3) 0 ( 0.0)

投与開始前 45 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 45 6 ( 13.3) 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 45 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 44 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 44 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

28 日 43 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

(2) 外国 MC-ALS.20/BV 試験の肝機能検査の評価

健康成人男性を対象とした MC-ALS.20/BV 試験の結果を、表 2.7.4.3.1-2 及び表 2.7.4.3.1-3

に示した。本試験では、肝機能検査に大きな変動は示さなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

57

表 2.7.4.3.1-2 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.20/BV 試験、健康成人男性 経口投与+静脈内投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

2 日* 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

5 日** 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

2 日* 12 1 (8.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

5 日** 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

2 日* 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

5 日** 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

2 日* 12 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

5 日** 12 0 ( 0.0) 1 (8.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

注)0日に 20 mg/kg 経口投与、3日に 0.2 mg/kg 静脈内投与

* 経口投与後 2日かつ静脈内投与前日、** 静脈内投与後 2日

表 2.7.4.3.1-3 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.20/BV 試験、健康成人男性 20 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) AST(GOT)

3 日 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) ALT(GPT)

2 日 9 1 (11.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) γ-GTP

2 日 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 総ビリルビン

2 日 9 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

(3) 外国 MC-ALS.8-I/GLI 試験の肝機能検査の評価

初発の悪性神経膠腫患者に本剤 0.2、2、20 mg/kg をそれぞれ 7例に経口投与した結果を、用

量の順に表 2.7.4.3.1-4、表 2.7.4.3.1-5 及び表 2.7.4.3.1-6 に示した。肝機能査検査値の重

症度別患者数では、20mg/kg の CTCAE グレード 3以上の肝機能検査値上昇は、AST が本剤投与後

7日 1例(14.3%)、ALT が本剤投与後 7日及び 14日にそれぞれ 2例(28.6%)、γ-GTP が本剤

投与後 7日及び 14 日にそれぞれ 2例(28.6%)及び 3例(50.0%)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

58

表 2.7.4.3.1-4 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.8-I/GLI 試験、0.2 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 1 (20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 0 ( 0.0) 1 (16.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 5 (71.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

28 日 7 4 ( 9.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 3 (42.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 (20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 (16.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 2 (28.6) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 4 (57.1) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 5 (71.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

28 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 3 (42.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 1 (20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 0 ( 0.0) 1 (16.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 3 (42.9) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

28 日 7 1 (14.3) 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

28 日 6 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

59

表 2.7.4.3.1-5 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.8-1/GLI 試験、2 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 1 (16.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 6 (85.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 3 (42.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

28 日 7 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 1 (16.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 3 (42.9) 1 (14.3) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

28 日 7 1 (14.3) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 2 (28.6) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

28 日 7 2 (28.6) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 6 1 (16.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

28 日 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

60

表 2.7.4.3-6.1 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.8-I/GLI 試験、20 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 7 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 6 (85.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 6 (85.7) 0 ( 0.0) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 1 (14.3) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

28 日 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 4 (57.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 1 (20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 7 3 (42.9) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 2 (28.6) 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 3 (42.9) 2 (28.6) 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 7 3 (42.9) 0 ( 0.0) 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

28 日 5 1 (20.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 4 (57.1) 1 (14.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 3 (60.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 7 2 (28.6) 3 (42.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 3 (42.9) 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 0 ( 0.0) 3 (42.9) 2 (28.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 6 1 (16.7) 1 (16.7) 3 (50.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

28 日 5 2 (40.0) 2 (40.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 24:00 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 18:00 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 日 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 5 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

28 日 7 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

(4) 外国 MC-ALS.28/GLI 試験の肝機能検査の評価

初発の悪性神経膠腫患者 36 例を対象に本剤 20 mg/kg を経口投与した結果を表 2.7.4.3.1-7

に示した。肝機能検査値の重症度別患者数では、肝機能検査値の上昇は、AST が本剤投与後 28

日に CTCAE グレード 3 が 1 例(3.1%)であった。ALT は本剤投与後 14 日に CTCAE グレード 3

が 3例(10.3%)であったが投与後 28 日には 1例(3.1%)になった。γ-GTPは本剤投与後 14

日に CTCAE グレード 3が 8例(27.6%)であり、投与後 28 日は 7例(21.9%)であった。CTCAE

グレード 4以上の肝機能検査値の上昇はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

61

表 2.7.4.3.1-7 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.28/GLI 試験、20 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 32 3 ( 9.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 22:00 32 4 (12.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 33 11 (33.3) 1 ( 3.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

4 日 31 15 (48.4) 1 ( 3.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 32 13 (40.6) 1 ( 3.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 28 9 (32.1) 1 ( 3.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

28 日 32 6 (18.8) 0 ( 0.0) 1 ( 3.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 32 17 (53.1) 1 ( 3.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 22:00 32 16 (50.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 33 16 (48.5) 2 ( 6.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

4 日 31 14 (45.2) 5 (16.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 32 18 (56.3) 3 ( 9.4) 3 ( 9.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 29 11 (37.9) 5 (17.2) 3 (10.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

28 日 32 13 (40.6) 2 ( 6.3) 1 ( 3.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 31 13 (41.9) 4 (12.9) 1 ( 3.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

0 日 22:00 29 8 (27.6) 4 (13.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 32 11 (34.4) 4 (12.5) 1 ( 3.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

4 日 27 6 (22.2) 6 (22.2) 6 (22.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 32 7 (21.9) 9 (28.1) 7 (21.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

14 日 29 5 (17.2) 6 (20.7) 8 (27.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

28 日 32 8 (25.0) 6 (18.8) 7 (21.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

(5) 外国 MC-ALS.3/GLI 試験の肝機能検査の評価

初発の悪性神経膠腫患者を対象にした比較対象試験では、本剤群及び対照群(白色光下切除

術)の結果をそれぞれ表 2.7.4.3.1-8 及び表 2.7.4.3.1-9 に示した。

本剤群で AST、ALT 及びγ-GTP が本剤投与後 7日をピークとして一過性の上昇を示し、24 時

間でのみ対照群に比べて統計学的有意差が認められた(本項後述)。γ-GTP は本剤投与後 6 週

まで異常を示したが、AST、ALT は基準値内に回復した。これらの指標では対照群でも術後 7日

で上昇を認め、γ-GTPは術後 6週まで異常を示した。

また、これらの肝機能検査値の本剤投与後 24 時間の分布を見ると、本剤群での 24 時間にお

ける重症度(患者比率)では、AST で CTCAE グレード 1、2及び 3はそれぞれ 31.2%、3.2%及

び 1.6%、ALT でそれぞれ 39.7%、10.1%及び 3.7%、 -GTP で 35.4%、6.9%及び 2.1%であ

った。同様に対照群では、AST でそれぞれ 7.7%、1.3%及び 0.0%、ALT でそれぞれ 26.1%、

3.3%及び 2.6%、γ-GTP でそれぞれ 23.7%、3.3%及び 1.3%であった。本剤投与後 24 時間で

は、本剤群で肝機能検査値異常の発現は多い傾向を示したが、一過性であり、重症度は軽度及

び中等度であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

62

表 2.7.4.3.1-8 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.3/GLI 試験、20 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 200 12 ( 6.0) 1 ( 0.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 189 59 (31.2) 6 ( 3.2) 3 ( 1.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 183 38 (20.8) 7 ( 3.8) 1 ( 0.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

6 週 151 14 ( 9.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 200 48 (24.0) 1 ( 0.5) 2 ( 1.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 189 75 (39.7) 19 (10.1) 7 ( 3.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 184 97 (52.7) 17 ( 9.2) 13 ( 7.1) 2 ( 1.1) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

6 週 152 45 (29.6) 4 ( 2.6) 1 ( 0.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 200 53 (26.5) 10 ( 5.0) 1 ( 0.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 189 67 (35.4) 13 ( 6.9) 4 ( 2.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 183 92 (50.3) 17 ( 9.3) 16 ( 8.7) 5 ( 2.7) 0 ( 0.0)

γ-GTP

6 週 151 39 (25.8) 19 (12.6) 11 ( 7.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 196 10 ( 5.1) 3 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 179 24 (13.4) 13 ( 7.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 175 4 ( 2.3) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

6 週 147 5 ( 3.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

表 2.7.4.3.1-9 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.3/GLI 試験、対照群:本剤投与なし)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

手術開始前 171 10 ( 5.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 156 12 ( 7.7) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 154 20 (13.9) 3 ( 1.9) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

6 週 123 9 ( 7.3) 0 ( 0.0) 1 ( 0.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

手術開始前 171 57 (33.3) 5 ( 2.9) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 153 40 (26.1) 5 ( 3.3) 4 ( 2.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 155 89 (57.4) 11 ( 7.1) 9 ( 5.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

6 週 125 34 (27.2) 1 ( 0.8) 1 ( 0.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

手術開始前 168 37 (22.0) 8 ( 4.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 152 36 (23.7) 5 ( 3.3) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 153 60 (39.2) 26 (17.0) 10 ( 6.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

6 週 120 25 (20.8) 17 (14.2) 7 ( 5.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

手術開始前 166 13 ( 7.8) 3 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日(24h) 148 14 ( 9.5) 5 ( 3.4) 1 ( 0.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 151 5 ( 3.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

6 週 116 1 ( 0.9) 0 ( 0.0) 1 ( 0.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

また、本剤群と対照群との比較をするため、ALT、AST、γ-GTP 及び総ビリルビンについて、

箱ひげ図を図 2.7.4.3.1-1、図 2.7.4.3.1-2、図 2.7.4.3.1-3 及び図 2.7.4.3.1-4 に示す。

施設基準値上限値で除した倍数の推移では、本剤群で ALT、AST 及びγ-GTP が本剤投与(手

術)後 24 時間又は 7日をピークとして一過性の上昇を示し、本剤投与(手術)後 24 時間での

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

63

み対照群に比べて統計学的有意差が認められた。本剤投与(手術)後 6週では、γ-GTPは基準

値上限を超える症例が半数以上認められたが、ALT、AST はほとんどの症例が基準値内に回復し

た。これらの指標では対照群でも手術後 7日で上昇を認め、γ-GTPは手術後 6週まで基準値上

限を超える症例が半数以上を示した。総ビリルビンは、本剤投与(手術)後 24 時間でわずかな

上昇が認められたが、いずれの時点でも両群間に有意差は認められず、本剤投与(手術)後 7

日及び 6週には基準値内に回復した。また、試験期間を通して総ビリルビンの中央値は基準値

内であった。

図 2.7.4.3.1-1 MC-ALS.3/GLI 試験 施設基準値上限値で除した倍数平均値の推移(ALT)

FL:本剤群(n=201)、WL:対照群(n=173)、検定は Wilcoxon-MannWhitney 検定

(施設基準値の上限は男女とも概ね 30U/L)

←最大値

←75%点

←中央値

←25%点

←最小値

P<0.001

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

64

図 2.7.4.3.1-2 MC-ALS.3/GLI 試験 施設基準値上限値で除した倍数平均値の推移(AST)

FL:本剤群(n=201)、WL:対照群(n=173)、検定は Wilcoxon-MannWhitney 検定

(施設基準値の上限は男女とも概ね 30U/L)

図 2.7.4.3.1-3 MC-ALS.3/GLI 試験 施設基準値上限値で除した倍数平均値の推移( -GTP)

FL:本剤群(n=201)、WL:対照群(n=173)、検定は Wilcoxon-MannWhitney 検定

(施設基準値の上限は概ね男性 45 U/L、女性 30U/L)

←最大値

←75%点

←中央値

←25%点

←最小値

←最大値

←75%点

←中央値

←25%点

←最小値

P<0.001

P=0.004

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

65

図 2.7.4.3.1-4 MC-ALS.3/GLI 試験 施設基準値上限値で除した倍数平均値の推移

(総ビリルビン)

FL:本剤群(n=201)、WL:対照群(n=173)、有意差は認められなかった(Wilcoxon-MannWhitney検定)

(施設基準値の上限は男女とも概ね 1.1mg/dL)

(6) 外国 MC-ALS.30/GLI 試験の肝機能検査の評価

再発の悪性神経膠腫患者 40 例を対象に本剤 20 mg/kg を経口投与した結果を表 2.7.4.3.1-10

に示した。肝機能検査値の重症度別患者数では、CTCAE グレード 3 以上の肝機能検査値の上昇

は、AST では発現しなかった。ALT は本剤投与後 7日に CTCAE グレード 3が 1例(3.7%)に発

現したが、本剤投与後 6週では消失した。γ-GTP は本剤投与後 7日に CTCAE グレード 3が 2例

(6.9%)であったが、本剤投与後 6週では消失した。グレード 4以上の肝機能検査値の上昇は

なかった。

←最大値

←75%点

←中央値

←25%点

←最小値

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

66

表 2.7.4.3.1-10 肝機能検査の CTCAE グレード判定の集計

(MC-ALS.30/GLI 試験、20 mg/kg 経口投与)

グレード

1 2 3 4 5 検査項目 時期 評価例数

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

投与開始前 40 1 ( 2.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 34 5 (14.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 28 3 (10.7) 1 ( 3.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

AST(GOT)

6 週 20 1 ( 5.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 39 6 (15.4) 1 ( 2.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 32 6 (18.8) 2 ( 6.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 27 13 (48.1) 2 ( 7.4) 1 ( 3.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

ALT(GPT)

6 週 21 4 (19.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 39 16 (41.0) 1 ( 2.6) 1 ( 2.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 33 10(30.3) 0 ( 0.0) 1 ( 3.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 29 9 (31.0) 5 (17.2) 2 ( 6.9) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

γ-GTP

6 週 20 6 (30.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

投与開始前 39 1 ( 2.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

1 日 31 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

7 日 25 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

総ビリルビン

6 週 15 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

以上に示したとおり、国内試験では CTCAE グレード 4を示したγ-GTP 上昇が 1例に認められ

たものの、多くの症例はグレード 1又は 2を示しており、グレード 3以上の推移は外国試験の

推移と同程度であった。特に外国比較対照試験では本剤投与後 24 時間で、対照群に比較して本

剤群で AST、ALT 及びγ-GTP が有意に高値を示し、術後 24 時間又は術後 7日をピークとして一

過性の上昇を示した。しかしながら、いずれも一過性であり、その多くが CTCAE グレード 2以

下にとどまり、対照群においても術後 7日以降の推移は、同様の傾向を示した。従って、注意

深い観察は必要であるものの悪性神経膠腫摘出予定患者への本剤投与の支障にはならないと考

えられた。

2.7.4.3.2 その他の臨床検査値の評価

(1) NPC-07-1 試験

臨床検査値の異常変動ありと判定された症例数及び発現頻度を表 2.7.4.3.2 に示した。

主な異常変動は、γ-GTPが 10 例(22.2%)、白血球数及び好中球がそれぞれ 7例(15.6%)、

ALT(GPT)が 6 例(13.3%)、CK が 5 例(11.4%) 、AST(GOT)が 5 例(11.1%)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

67

表2.7.4.3.2 臨床検査値の異常変動の集計(NPC-07-1試験)

異常変動(N=45) あり なし 検査種類 検査項目

例数 (%) 例数 (%)

赤血球数 2 ( 4.4) 43 ( 95.6)

ヘモグロビン値 2 ( 4.4) 43 ( 95.6)

ヘマトクリット値 2 ( 4.4) 43 ( 95.6)

白血球数 7 ( 15.6) 38 ( 84.4)

好中球 7 ( 15.6) 38 ( 84.4)

好塩基球 0 ( 0.0) 45 (100.0)

好酸球 1 ( 2.2) 44 ( 97.8)

単球 0 ( 0.0) 45 (100.0)

リンパ球 4 ( 8.9) 41 ( 91.1)

血液学的検査

血小板数 3 ( 6.7) 42 ( 93.3)

総蛋白 0 ( 0.0) 45 (100.0)

アルブミン 1 ( 2.2) 44 ( 97.8)

AST(GOT) 5 ( 11.1) 40 ( 88.9)

ALT(GPT) 6 ( 13.3) 39 ( 86.7)

Al-P 2 ( 4.4) 43 ( 95.6)

γ-GTP 10 ( 22.2) 35 ( 77.8)

LDH 1 ( 2.2) 44 ( 97.8)

アミラーゼ 3 ( 6.7) 42 ( 93.3)

総ビリルビン 2 ( 4.4) 43 ( 95.6)

総コレステロール 0 ( 0.0) 45 (100.0)

HDL-コレステロール 0 ( 0.0) 45 (100.0)

トリグリセリド 0 ( 0.0) 45 (100.0)

BUN 0 ( 0.0) 45 (100.0)

クレアチニン 0 ( 0.0) 45 (100.0)

尿酸 0 ( 0.0) 45 (100.0)

CK* 5 ( 11.4) 39 ( 88.6)

糖 0 ( 0.0) 45 (100.0)

Na 0 ( 0.0) 45 (100.0)

K 0 ( 0.0) 45 (100.0)

血液生化学検査

Cl 0 ( 0.0) 45 (100.0)

蛋白 0 ( 0.0) 45 (100.0)

糖 1 ( 2.2) 44 ( 97.8)

ウロビリノーゲン 0 ( 0.0) 45 (100.0)

尿検査

潜血 3 ( 6.7) 42 ( 93.3)

*:N = 44

(2) 外国試験

血液学的検査値については、本剤投与後に赤血球数、ヘマトクリット値及びヘモグロビン値

の低下及び白血球数の増加が認められたが、脳腫瘍切除手術のストレスの影響が否定できない

と考えられた。MC-AL3.30/GLI 試験では、当該変動は 6 週間以内に投与前のレベルに戻った。

MC-AL3.8-I/GLI 試験において投与量による群間差、MC-AL3.3/GLI 試験における対照群に対する

群間差は認められなかった。

電解質、腎機能及び凝固に関連する臨床検査については、数値の大きな変動はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

68

その他の血液生化学検査については、MC-AL.3/GLI 試験のアミラーゼのみで CTCAE グレード 3

以上の症例が認められたが、他の試験では臨床的に意味のある変動は認められなかった。他の

検査項目についても、臨床的に意味のある変動は認められなかった。

臨床検査値について、MC-ALS.8-I/GLI 試験において投与量による用量群間差、MC-ALS.3/GLI

試験における対照群に対する群間差は認められなかった。

なお、MC-ALS.32/GLI試験で、観察期間内にルーチンで測定した臨床検査値はなかった。

外国試験で、本剤との関連が否定されなかった基準範囲からの逸脱の主な項目は ALT、AST、

γ-GTP、アミラーゼであった。MC-ALS.8-I/GLI 試験では、程度が重症で本剤との関連が否定さ

れなかったのは、ALT で 0.2、2 及び 20 mg/kg 投与群でそれぞれ 7 例中 2例(29%)、7 例中 1

例(14%)及び 7例中 3例(43%)、γ-GTP でそれぞれ 7例中 0例(0%)、7例中 0例(0%)

及び 7例中 4例(57%)、アミラーゼでそれぞれ 7例中 1例(14%)、7例中 2例(29%)及び 7

例中 1例(14%)であった。MC-ALS.3/GLI 試験では、ALT(24~47%)、AST(4~24%)、γ-GTP

(30~47%)、アミラーゼ(5~16%)に加えて LDHが、本剤との関連が否定できないと判定さ

れる頻度が 5~14%と高かった。

2.7.4.4 バイタルサイン、身体的所見及び安全性に関連する他の観察項目

(1) KPS スコア

国内試験にける KPS スコアの基本統計量の推移を表 2.7.4.4-1 に示した。本剤投与後 3日に

KPS スコア 50 以下に悪化した症例は 8 例認められた。本剤投与後 28 日には回復する症例があ

り、KPS スコア 50 以下の症例は 4例であった。

一方、外国試験で KPSスコアの観察時期が同じである、初発を対象とした MC-ALS.28/GLI 試

験試験の KPS スコアのベースラインとの比較を表 2.7.4.4-2 に示した。外国の比較対照試験で

も、本剤投与後に 72.7%の症例で KPS スコアの悪化が認められたが、悪化した症例数は徐々に

減少し、本剤投与後 28日には改善した症例と同程度となった。

なお、外国の比較対照試験(MC-ALS.3/GLI 試験)では、国内試験と異なる観察時期の本剤投

与(手術)後 6 週間、3 ヵ月及び 6 ヵ月であったが、結果は本剤投与(手術)後 6 週間及び 3

ヵ月では対照群との差はなく、本剤投与(手術)後 6 ヵ月では本剤群は対照群に比較し、KPS

スコアの改善した症例が多く、悪化した症例が少なかった。

以上より、国内試験における本剤投与による KPSスコアの変動は外国試験と同程度であり、

本剤投与あるいは本剤投与による蛍光誘導切除術は、KPS スコアを指標とした一般状態に悪い

影響を与えなかったと考えられた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

69

表 2.7.4.4-1 国内試験の KPS スコアの基本統計量

(NPC-07-1 試験)

投与開始前 3日後 7日後 14 日後 28 日後

(N=45) (N=45) (N=44) (N=44) (N=43)

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)

100-80 32 ( 71.1) 23 ( 51.1) 26 ( 59.1) 29 ( 65.9) 28 ( 65.1)

70-60 13 ( 28.9) 14 ( 31.1) 13 ( 29.5) 11 ( 25.0) 11 ( 25.6)

KPS スコア

50-0 0 ( 0.0) 8 ( 17.8) 5 ( 11.4) 4 ( 9.1) 4 ( 9.3)

表 2.7.4.4-2 外国試験における KPS スコアのベースラインと比較した変化の分類

(MC-ALS.28/GLI 試験)

例数 欠測 悪化

例数(%)

変化なし

例数(%)

改善

例数(%)

3 日後

7 日後

14 日後

28 日後

32

32

30

31

1

0

2

1

24 (72.7)

19 (59.4)

16 (50.0)

10 (31.3)

5 (15.2)

10 (31.3)

11 (34.4)

13 (40.6)

3 (9.1)

3 (9.4)

3 (9.4)

8 (25.0)

注)最大解析対象集団(Full Analyisis Set)での集計結果

(2) GCS、NIH Stroke Scale

国内試験にける GCSの基本統計量の推移を表 2.7.4.4-3 に示した。国内の試験では、手術後

スコアの悪化が認められる症例が認められたが、その悪化の程度は小さく、本剤投与後 28日に

はほぼ投与前のスコアに復していた。

一方、外国試験で NIH Stroke Scale の観察時期が類似する、初発を対象とした MC-ALS.28/GLI

試験試験の NIH Stroke Scale のベースラインとの比較を表 2.7.4.4-4 に示した。本試験では、

本剤投与後に 39.4%の症例で NIH Stroke Scale の悪化が認められたが、悪化した症例数は徐々

に減少し、本剤投与後 28 日には改善した症例数が悪化した症例数を上回った。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

70

表 2.7.4.4-3 Glasgow Coma Scale(GCS)の基本統計量

(NPC-07-1 試験)

投与開始前 3日後 7日後 14 日後 28 日後 (N=45) (N=45) (N=44) (N=44) (N=43) GCS スコア

例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 1 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

2 0 ( 0.0) 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 0 ( 0.0) 2 ( 4.4) 1 ( 2.3) 1 ( 2.3) 0 ( 0.0)

E:開眼機能

4 45 (100.0) 42 ( 93.3) 43 ( 97.7) 43 ( 97.7) 43 (100.0)

1 0 ( 0.0) 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 2.3)

2 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 0 ( 0.0) 1 ( 2.2) 1 ( 2.3) 1 ( 2.3) 0 ( 0.0)

4 10 ( 22.2) 15 ( 33.3) 12 ( 27.3) 8 ( 18.2) 7 ( 16.3)

V:言語機能

5 35 ( 77.8) 28 ( 62.2) 31 ( 70.5) 35 ( 79.5) 35 ( 81.4)

1 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

2 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

3 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

4 0 ( 0.0) 1 ( 2.2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

5 0 ( 0.0) 2 ( 4.4) 1 ( 2.3) 1 ( 2.3) 1 ( 2.3)

M:運動機能

6 45 (100.0) 42 ( 93.3) 43 ( 97.7) 43 ( 97.7) 42 ( 97.7)

表 2.7.4.4-4 外国試験における NIH Stroke Scale のベースラインと比較した変化の分類

(MC-ALS.28/GLI 試験)

例数 欠測 悪化

例数(%)

変化なし

例数(%)

改善

例数(%)

2 日後

3 日後

7 日後

14 日後

28 日後

31

31

31

29

30

2

2

1

3

2

13 (39.4)

13 (39.4)

11 (34.4)

6 (18.8)

6 (18.8)

9 (27.3)

10 (30.3)

14 (43.8)

13 (40.6)

11 (34.4)

9 (27.3)

8 (24.2)

6 (18.8)

10 (31.3)

13 (40.6)

注)最大解析対象集団(Full Analyisis Set)での集計結果

(3) 血圧及び脈拍

いずれの試験においても、収縮期及び拡張期血圧並びに脈拍数は、観察期間中に臨床的に意

義がある変動はなかった。

(4) 心電図

国内NPC-07-1試験において、12誘導心電図に臨床的に意味のある変動は認められなかった。

MC-ALS.20/BV 試験において、本剤投与前及び最終観察時の心拍数、PQ 時間、QRS 時間、QT

時間、及び QT 補正間隔の平均値はほぼ一定のままであった。

MC-ALS.8-I/GLI 試験において、本剤投与後の 12誘導心電図は、各投与群で本剤投与後 30、

60 及び 120 分に測定し、観察されたのは治療的介入を必要としない非特異的な小さな変化(心

臓軸の変化、軽度徐脈など)のみであった。投与群間で、差はみられなかった。

MC-ALS.28/GLI 試験においても、臨床的に意義のある変動はなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

71

MC-ALS.3/GLI 試験、MC-ALS.30/GLI 試験及び MC-ALS.32/GLI 試験では、心電図はモニターさ

れなかった。

本剤は QT 延長及び催不整脈リスクの評価が必要な薬剤に該当するが、本剤による QT 延長リ

スクについては、以下のように考える。

非臨床試験の反復毒性試験(イヌ、4 週間反復経口投与、1, 3, 10 mg/kg)における心電図

検査の成績では、心拍数、PR 間隔、QSR 間隔、QT 間隔及び QTc 間隔に被験物質(5-アミノレブ

リン酸塩酸塩)投与に起因すると考えられる変動は認められなかった(CTD4.2.3.2-5 p20)。

外国の健康成人を対象とした MC-ALS.20/BV 試験において、本剤投与前及び最終観察時

(CTD2.7.6.2 p18)の 12 誘導心電図の結果は、心拍数、PQ 時間、QRS 時間、QT 時間、及び QT

補正間隔の平均値はほぼ一定のままであった。用量設定試験である MC-ALS.8-I/GLI 試験におい

て、本剤投与後の 12 誘導心電図は、各投与群で本剤投与後 30、60 及び 120 分に測定し、観察

されたのは治療的介入を必要としない非特異的な軽度の変化(心臓軸の変化、軽度徐脈など)

のみであった。投与群間で、差はみられなかった。MC-ALS.28/GLI 試験においても、臨床的に

意義のある変動はなかった。MC-ALS.3/GLI 試験、MC-ALS.30/GLI 試験及び MC-ALS.32/GLI 試験

では、心電図はモニターされなかった。

有害事象としては、MC-ALS. 20/BV 試験では、2mg/kg 投与群で 7例中不整脈が 1例(14.3%)

発現したが、本剤との因果関係はないと判定された。また、従来法である白色光切除術と比較

した第Ⅲ相試験(MC-ALS.3/GLI 試験)では、本剤投与群で 201 例中不整脈 3例(1.5%)、心不

全 1例(0.5%)及び心室細動 1例(0.5%)が発現しているが、いずれも本剤との因果関係は

ないと判定されている。なお、対照群でも、173例中不整脈 2例(1.2%)、心不全 2例(1.2%)

が発現している。外国の他の臨床試験では、不整脈に関連する有害事象の発現はなかった。ま

た、2007 年 9 月欧州での販売承認以来、欧州では多くの患者に使用されているが QT 延長に関

連する有害事象の報告は見当たらず、添付文書にも記載がない。

国内試験においては、心電図検査を検査項目として設定し、手術中の心電図モニターを実施

した。その結果、術中頻脈が 1例 1件に発現したが、軽度であり、本剤との因果関係はないと

判定された。この 1例以外に心電図検査に関連する所見の異常は認められなかた。国内試験結

果からも本剤の QT 延長リスクはないと考えられた。

以上の非臨床試験成績、外国臨床試験成績、欧州での使用状況及び国内臨床試験成績より、

本剤投与による QT 延長リスクはないと考えられた。

2.7.4.5 特別な患者集団及び状況下における安全性

2.7.4.5.1 内因性要因

特異的な内因性要因を有する患者に関する特別な試験やサブグループ解析は実施しなかっ

た。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

72

2.7.4.5.2 外因性要因

特異的な外因性要因を有する患者に関する特別な試験やサブグループ解析は実施しなかった。

2.7.4.5.3 薬物相互作用

薬物相互作用試験は実施しなかった。すべての臨床試験において、光毒性があると思われる

薬剤との併用は禁止した。

2.7.4.5.4 妊娠及び授乳時の使用

情報はない。

2.7.4.5.5 過量投与

外国 MC-ALS.3/GLI 試験において、1名(患者番号 )で偶発的に計画よりも多い量が投与

された。この男性患者は、(1580 mg の代わりに)3000 mg の本剤を投与されたが、これは約 40

mg/kg に相当する。手術中、この患者は呼吸不全に陥ったが、人工呼吸器の装着により管理さ

れ回復した。なお、本有害事象は、本剤との因果関係は否定されず重篤な副作用と判定された。

特異的な解毒剤はない。

2.7.4.5.6 薬物乱用

情報はない。

2.7.4.5.7 離脱症状及び反跳現象

本剤は術前に 1度投与するだけなので、該当しない。

2.7.4.5.8 自動車運転及び機械操作に対する影響又は精神機能の障害

手術前に本剤を投与した後、患者に麻酔をかけるため、該当しない。

2.7.4.6 市販後データ

2.7.4.6.1 世界における使用経験の程度

外国における本剤の許可国数は EU(30 ヵ国)及び韓国の計 31 ヵ国(平成 24 年 5 月現在)

である。なお、EU においては、中央審査方式による審査にて申請・承認されている。

なお、外国において市販されている製剤は、いずれの国においても、アミノレブリン酸塩酸

塩として 1.5 g(5-アミノレブリン酸 1.17 g 相当量)を含有する凍結乾燥製剤で添加物を含ま

ない注射用バイアルであり、今回の承認申請する本剤と同一のものである。

定期的安全性最新報告(PSUR)に基づいて世界で出荷された数量からののべ患者数は、2012

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

73

年 3 月までの期間で 例と推計される。

2.7.4.6.2 市販後に CIOMS により報告された重篤な有害事象

外国で販売しているメダック社より、CIOMS により報告された重篤な有害事象は、2012 年 5

月までの期間で、血小板減少症、中毒性肝炎、不全片麻痺及び肺塞栓症が各 1件、合計 4件で

ある。

表 2.7.4.6.2 市販後に報告された重篤な有害事象

重篤な有害事象(SOC) 重篤な有害事象(PT) 件数

血液およびリンパ系障害 血小板減少症 1

肝胆道系障害 中毒性肝炎 1

神経系障害 不全片麻痺 1

呼吸器、胸郭および縦隔障害 肺塞栓症 1

2.7.4.7 付録

付録 1 死亡症例一覧表(試験ごと)

付録 2 重篤な副作用症例一覧(試験ごと)

付録 3 重篤な有害事象症例一覧(試験ごと)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

74

2.7.4.7 付録 1 死亡症例一覧(試験ごと)

表 2.7.4.7.1-1 死亡症例一覧

(NPC-07-1 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤度 転帰

男 66 発熱 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

片麻痺 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

白血球数増加 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

好中球数増加 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

肝機能異常 4 4 あり 5 重篤 敗血症性ショック

のため死亡

敗血症性ショック 5 3 なし 5 重篤 死亡

処置後出血 0 2 なし 3 非重篤 消失又は回復

表 2.7.4.7.1-2 死亡症例一覧

(MC-ALS.28/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

女 70 高血圧 0 2 不明 4 非重篤 不明

脳血管障害 4 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

n.a. not available

表 2.7.4.7.1-3 死亡症例一覧

(MC-ALS.3/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

女 64 肺塞栓症 1 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

男 64 痙攣 1 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

不全片麻痺 1 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 後遺症

肺塞栓症 20 n.a. なし 5 重篤 死亡

男 60 会話障害 2 n.a. 関連ないら

しい 3 非重篤 n.a.

痙攣 8 n.a. なし 4 重篤 不明

脳浮腫 11 n.a. なし 5 重篤 死亡

男 49 肺塞栓症 20 n.a. なし 5 重篤 死亡

男 73 心室細動 1 n.a. なし 5 重篤 死亡

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

75

表 2.7.4.7.1-4 死亡症例一覧

(MC-ALS.30/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 46 大脳障害 1 n.a. なし 2 非重篤 継続

会話障害 1 n.a. なし 2 非重篤 継続

半側無視 1 n.a. なし 2 非重篤 継続

n.a. not available

表 2.7.4.7.1-5 死亡症例一覧

(MC-ALS.32/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 63 循環虚脱 2 1 なし 4 重篤 死亡

処置後出血 0 1 なし 3 重篤 回復

男 75 硬膜下血腫 2 1 なし 3 重篤 回復

男 59 転倒 2 1 なし 2 非重篤 回復

不全片麻痺 0 8 なし 1 非重篤 回復

感覚鈍麻 0 21 なし 1 非重篤 回復

肺塞栓症 20 1 関連ないら

しい 4 重篤 死亡

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

76

2.7.4.7 付録 2 重篤な副作用症例一覧(試験ごと)

表 2.7.4.7.2-1 重篤な副作用症例一覧

(NPC-07-1 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 66 発熱 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

片麻痺 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

白血球数増加 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

好中球数増加 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

肝機能異常 4 4 あり 5 重篤 敗血症性ショック

のため死亡

敗血症性ショッ

ク 5 3 なし 5 重篤 死亡

処置後出血 0 2 なし 3 非重篤 消失又は回復

女 66 血小板数減少 32 12 あり 3 重篤 消失又は回復

外耳炎 25 21 なし 1 非重篤 消失又は回復

悪心 0 2 なし 1 非重篤 消失又は回復

悪心 11 1 なし 1 非重篤 消失又は回復

そう痒症 34 1 なし 1 非重篤 消失又は回復

紅斑 34 1 なし 1 非重篤 消失又は回復

リンパ球数減少 1 4 あり 1 非重篤 消失又は回復

血中ビリルビン

増加 1 4 なし 1 非重篤 消失又は回復

尿中ブドウ糖陽

性 1 4 なし 1 非重篤 消失又は回復

尿中血陽性 1 4 なし 1 非重篤 消失又は回復

男 58 痙攣 1 10 なし 2 非重篤 消失又は回復

落ち着きのなさ 5 33 なし 1 非重篤 消失又は回復

頭痛 1 32 なし 1 非重篤 消失又は回復

発熱 22 15 あり 2 重篤 消失又は回復

γ-GTP 増加 23 14 なし 1 非重篤 消失せず又は未回

下痢 31 3 なし 1 非重篤 消失又は回復

発熱 11 8 あり 2 非重篤 消失又は回復

表 2.7.4.7.2-2 重篤な副作用症例一覧

(MC-ALS.28/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 61 低血圧 0 n.a. あり 3 重篤 回復

失語症 0 n.a. なし 3 重篤 不明

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

77

表 2.7.4.7.2-3 重篤な副作用症例一覧

(MC-ALS.3/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 63 呼吸不全 0 n.a. 多分関連あ

り 3 重篤 回復

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

78

2.7.4.7 付録 3 重篤な有害事象症例一覧(試験ごと)

表 2.7.4.7.3-1 重篤な有害事象症例一覧

(NPC-07-1 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

女 64 血小板数減少 22 10 なし 2 非重篤 消失又は回復

薬疹 27 20 なし 2 重篤 消失又は回復

発熱 26 6 なし 2 非重篤 消失又は回復

男 49 術後創感染 5 51 なし 3 重篤 消失又は回復

肝機能異常 9 81 なし 3 重篤 消失せず又は未回

真菌感染 9 46 なし 1 非重篤 消失又は回復

C-反応性蛋白

増加 5 85 なし 2 非重篤

消失せず又は未回

偽膜性大腸炎 12 10 なし 1 非重篤 消失又は回復

男 36 肝機能異常 10 36 あり 3 非重篤 消失又は回復

脳梗塞 1 28 なし 2 非重篤 消失せず又は未回

誤嚥性肺炎 1 6 なし 1 非重篤 消失又は回復

C-反応性蛋白

増加 1 28 なし 2 非重篤 消失又は回復

頭痛 0 29 なし 1 非重篤 消失せず又は未回

嘔吐 7 22 なし 1 非重篤 消失又は回復

細菌性髄膜炎 8 21 なし 3 重篤 消失せず又は未回

低アルブミン血

症 3 26 なし 2 非重篤 消失又は回復

下痢 12 17 なし 1 非重篤 消失せず又は未回

水頭症 27 2 なし 2 重篤 消失せず又は未回

男 66 発熱 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

片麻痺 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

白血球数増加 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

好中球数増加 1 7 なし 3 非重篤 敗血症性ショック

のため死亡

肝機能異常 4 4 あり 5 重篤 敗血症性ショック

のため死亡

敗血症性ショッ

ク 5 3 なし 5 重篤 死亡

処置後出血 0 2 なし 3 非重篤 消失又は回復

女 66 血小板数減少 32 12 あり 3 重篤 消失又は回復

外耳炎 25 21 なし 1 非重篤 消失又は回復

悪心 0 2 なし 1 非重篤 消失又は回復

悪心 11 1 なし 1 非重篤 消失又は回復

そう痒症 34 1 なし 1 非重篤 消失又は回復

紅斑 34 1 なし 1 非重篤 消失又は回復

リンパ球数減少 1 4 あり 1 非重篤 消失又は回復

血中ビリルビン

増加 1 4 なし 1 非重篤 消失又は回復

尿中ブドウ糖陽

性 1 4 なし 1 非重篤 消失又は回復

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

79

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

尿中血陽性 1 4 なし 1 非重篤 消失又は回復

男 58 痙攣 1 10 なし 2 非重篤 消失又は回復

落ち着きのなさ 5 33 なし 1 非重篤 消失又は回復

頭痛 1 32 なし 1 非重篤 消失又は回復

発熱 22 15 あり 2 重篤 消失又は回復

γ-GTP 増加 23 14 なし 1 非重篤 消失せず又は未回

下痢 31 3 なし 1 非重篤 消失又は回復

発熱 11 8 あり 2 非重篤 消失又は回復

女 62 頭痛 1 8 なし 1 非重篤 消失又は回復

嘔吐 2 2 なし 1 非重篤 消失又は回復

悪心 4 2 なし 1 非重篤 消失又は回復

腫瘍出血 21 36 なし 3 重篤 消失せず又は未回

頭痛 19 6 なし 1 非重篤 消失又は回復

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

80

表 2.7.4.7.3-2 重篤な有害事象症例一覧

(MC-ALS.8-I/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 68 高血圧 0 なし 3 非重篤 n.a.

良性前立腺肥大

症 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

痛風 0 なし 1 非重篤 n.a.

頭痛 2 6 なし 2 非重篤 n.a.

発熱 7 6 なし 3 重篤 回復

頭痛 9 6 なし 2 非重篤 n.a.

振戦 8 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

感染 8 2 なし 2 非重篤 n.a.

感染 9 3 なし 3 重篤 回復

男 59 心障害 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

低血圧 0 1 なし 1 非重篤 n.a.

薬物過敏症 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

挫傷 0 1 なし 4 重篤 回復

発熱 0 4 なし 1 非重篤 n.a.

強直性脊椎炎 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

良性前立腺肥大

症 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

第7脳神経麻痺 1 6 なし 1 非重篤 n.a.

女 70 会話障害 0 9 なし 1 非重篤 n.a.

発熱 1 9 なし 1 非重篤 n.a.

低血圧 5 5 なし 1 非重篤 n.a.

ヘモグロビン減

少 0 13 なし 3 重篤 回復

女 57 高血圧 0 1 なし 3 非重篤 n.a.

運動機能障害 0 3 なし 1 非重篤 n.a.

人格変化 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

視力障害 0 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

発熱 1 3 なし 1 非重篤 n.a.

疼痛 3 8 なし 1 非重篤 n.a.

悪心 4 2 なし 1 非重篤 n.a.

下痢 4 2 なし 1 非重篤 n.a.

低血圧 4 15 なし 2 非重篤 n.a.

発熱 4 8 なし 2 非重篤 n.a.

膀胱炎 5 3 なし 2 非重篤 n.a.

呼吸困難 7 3 なし 3 非重篤 n.a.

肺炎 7 5 なし 3 重篤 回復

発熱 12 7 なし 1 非重篤 n.a.

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

81

表 2.7.4.7.3-3 重篤な有害事象症例一覧

(MC-ALS.28/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 68 出血性膀胱炎 3 7 関連ないら

しい 3 非重篤 不明

発熱 3 1 関連ないら

しい 2 非重篤 不明

悪寒 3 1 関連あるか

もしれない 2 非重篤 継続

痙攣 4 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

女 45 悪心 1 2 関連ないら

しい 2 非重篤 不明

嘔吐 1 1 関連ないら

しい 2 非重篤 不明

感覚障害 1 25 なし 1 非重篤 継続

尿路痛 1 1 関連ないら

しい 2 非重篤 不明

四肢痛 3 5 関連ないら

しい 1 非重篤 不明

消化不良 2 1 関連ないら

しい 1 非重篤 不明

痙攣 19 なし 3 重篤 回復

女 69 会話障害 7 n.a. なし 1 非重篤 不明

会話障害 7 7 なし 1 非重篤 不明

痙攣 5 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

女 70 高血圧 0 2 不明 4 非重篤 不明

脳血管障害 4 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

女 59 静脈炎 23 22 なし 3 非重篤 継続

運動機能障害 1 31 なし 3 非重篤 不明

大脳障害 2 2 なし 1 非重篤 不明

皮膚障害 11 16 なし 2 非重篤 不明

失語症 5 n.a. なし 3 重篤 回復

不全片麻痺 5 n.a. なし 3 重篤 回復

男 72 肺臓炎 19 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 死亡

脳血管障害 1 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 不明

女 21 皮膚障害 19 1 不明 1 非重篤 不明

感染 5 n.a. なし 3 重篤 回復

男 61 低血圧 0 n.a. あり 3 重篤 回復

失語症 0 n.a. なし 3 重篤 不明

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

82

表 2.7.4.7.3-4 重篤な有害事象症例一覧

(MC-ALS.3/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

女 43 失語症 1 n.a. なし 3 重篤 回復

男 64 人格変化 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

人格変化 2 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

痙攣 93 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

呼吸困難 58 n.a. なし 3 重篤 回復

男 60 運動機能障害 1 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

頭痛 2 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

運動機能障害 2 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

視力障害 2 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

大脳障害 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

肺塞栓症 n.a. n.a. なし 3 重篤 回復

血栓症 n.a. n.a. なし 3 重篤 回復

女 64 肺塞栓症 1 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

女 57 運動機能障害 1 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

大脳障害 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

痙攣 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

大脳障害 90 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

会話障害 90 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

運動機能障害 90 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

肺塞栓症 108 n.a. なし 5 重篤 死亡

血腫 1 n.a. なし 3 重篤 回復

男 53 心不全 0 n.a. なし 4 重篤 回復

肺炎 7 n.a. なし 3 重篤 回復

男 19 嘔吐 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

血腫 1 n.a. なし 4 重篤 回復

女 61 痙攣 32 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

女 70 視力障害 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

失語症 15 n.a. なし 3 重篤 回復

痙攣 15 n.a. なし 3 重篤 回復

憩室炎 3 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

男 65 発熱 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

痙攣 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

状態悪化 120 n.a. なし 5 重篤 死亡

発熱 6 n.a. なし 3 重篤 回復

治癒不良 7 n.a. なし 3 重篤 改善

男 63 呼吸不全 0 n.a. 多分関連あ

り 3 重篤 回復

男 71 運動機能障害 90 n.a. なし 2 非重篤

肺炎 77 n.a. なし 3 重篤 改善

女 60 虚血 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

循環虚脱 168 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

失語症 1 n.a. なし 3 重篤 改善

不全片麻痺 1 n.a. なし 3 重篤 継続

男 64 痙攣 1 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

不全片麻痺 1 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 後遺症

肺塞栓症 20 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 61 状態悪化 35 n.a. なし 5 重篤 死亡

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

84

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

咳嗽 180 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

会話障害 270 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

大発作痙攣 166 n.a. なし 3 重篤 回復

男 49 肺塞栓症 20 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 58 大脳障害 2 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

感染 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

薬物過敏症 270 n.a. 関連ないら

しい 1 非重篤 n.a.

痙攣 360 n.a. 関連ないら

しい 2 非重篤 n.a.

視力障害 360 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

大発作痙攣 66 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

男 73 心室細動 1 n.a. なし 5 重篤 死亡

男 52 頭痛 42 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

脱毛症 42 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

会話障害 42 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

皮膚障害 43 n.a. なし 3 重篤 回復

男 63 感染 7 n.a. 関連ないら

しい 2 非重篤 n.a.

静脈炎 90 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

大発作痙攣 39 n.a. なし 3 重篤 回復

不全片麻痺 0 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 後遺症

男 61 会話障害 2 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

痙攣 31 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

不整脈 0 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

肺塞栓症 32 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

肺炎 31 n.a. なし 4 重篤 回復

女 68 運動機能障害 1 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

人格変化 1 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

運動機能障害 2 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

大脳障害 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

感覚障害 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

嚢胞性リンパ管

腫 1 n.a. なし 3 重篤 回復

女 68 会話障害 90 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

人格変化 90 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

会話障害 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

失語症 1 n.a. なし 3 重篤 後遺症

痙攣 1 n.a. なし 3 重篤 後遺症

血栓症 37 n.a. なし 4 重篤 回復

精神病性障害 1 n.a. なし 3 重篤 後遺症

女 43 死亡 73 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 56 痙攣 n.a. n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

運動機能障害 n.a. n.a. なし 1 非重篤 n.a.

脳出血 1 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

男 63 運動失調 90 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

不全片麻痺 79 n.a. なし 3 重篤 後遺症

男 55 疼痛 90 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

大発作痙攣 89 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

85

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

女 64 大発作痙攣 57 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

脳血管障害 0 n.a. なし 3 重篤 継続

男 59 痙攣 7 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

動脈塞栓症 32 n.a. なし 4 重篤 回復

女 59 嚢胞 6 n.a. なし 3 重篤 回復

男 59 大葉性肺炎 21 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

女 55 視力障害 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

視力障害 15 n.a. なし 3 重篤 回復

男 69 髄液貯留 2 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

運動失調 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

治癒不良 42 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

脱毛症 n.a. n.a. なし 3 非重篤 n.a.

過敏症 119 n.a. なし 3 重篤 回復

大発作痙攣 62 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

男 64 高血圧 2 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

失語症 94 n.a. なし 3 重篤 後遺症

不全片麻痺 94 n.a. なし 3 重篤 後遺症

男 63 血中乳酸増加 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

発熱 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

肺塞栓症 33 n.a. なし 3 重篤 回復

男 70 運動失調 1 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

外耳道膿瘍 42 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

水頭症 159 n.a. なし 3 重篤 回復

女 71 運動失調 2 n.a. 関連ないら

しい 2 非重篤 n.a.

感覚障害 2 n.a. 関連ないら

しい 2 非重篤 n.a.

多汗症 7 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

変形性関節症 42 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

人格変化 90 n.a. なし 3 非重篤 n.a.

カンジダ症 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

深部静脈血栓症 6 n.a. なし 3 重篤 回復

女 56 脳血栓症 1 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

男 63 気分変化 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

失禁 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

膿瘍 27 n.a. なし 3 重篤 回復

男 70 視力障害 2 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

視力障害 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

人格変化 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

感染 17 n.a. なし 3 重篤 回復

女 50 肺塞栓症 38 n.a. なし 4 重篤 回復

女 59 疲労 1 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

会話障害 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

会話障害 7 n.a. なし 1 非重篤 n.a.

感染 42 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

聴覚障害 42 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

人格変化 90 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

痙攣 1 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

不全片麻痺 1 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

肺塞栓症 1 n.a. 関連ないら

しい 4 重篤 回復

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

86

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

女 70 会話障害 2 n.a. なし 2 非重篤 n.a.

肺塞栓症 41 n.a. 関連ないら

しい 5 重篤 死亡

男 67 不整脈 0 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復

男 69 痙攣 28 n.a. なし 3 重篤 回復

血栓症 28 n.a. なし 3 重篤 回復

女 59 失語症 0 n.a. なし 33 重篤 継続

痙攣 0 n.a. なし 3 重篤 回復

不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 回復

肺塞栓症 35 n.a. なし 5 重篤 死亡

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

87

表 2.7.4.7.3-5 重篤な有害事象症例一覧

(MC-ALS.3/GLI 試験:対照群)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 42 不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 回復

男 64 肺塞栓症 2 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 65 不全片麻痺 1 n.a. なし 3 重篤 継続

肺炎 n.a. n.a. なし 5 重篤 死亡

男 57 痙攣 93 n.a. なし 3 重篤 回復

脳症 n.a. n.a. なし 3 重篤 死亡

男 67 大発作痙攣 29 n.a. なし 4 重篤 回復

昏迷 13 n.a. なし 4 重篤 継続

肺炎 13 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 66 不全片麻痺 62 n.a. なし 4 重篤 継続

昏迷 62 n.a. なし 4 重篤 継続

女 52 不全麻痺 1 n.a. なし 3 重篤 回復

女 69 運動機能障害 1 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

頭蓋内圧上昇 2 n.a. なし 4 重篤 継続

男 69 心不全 2 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 61 静脈炎 90 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

感染 90 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

痙攣 69 n.a. なし 3 重篤 回復

尿路感染 69 n.a. なし 3 重篤 回復

深部静脈血栓症 69 n.a. なし 3 重篤 回復

男 53 状態悪化 28 n.a. なし 3 重篤 回復

男 69 視力障害 2 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

痙攣 2 n.a. なし 4 重篤 回復

大発作痙攣 103 n.a. なし 3 重篤 回復

男 63 肺炎 39 n.a. なし 5 重篤 死亡

男 58 会話障害 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

静脈血栓症 138 n.a. なし 4 重篤 回復

男 52 状態悪化 79 n.a. なし 5 重篤 死亡

脳出血 1 n.a. なし 4 重篤 回復

男 64 会話障害 1 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

人格変化 270 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

失語症 86 n.a. なし 3 重篤 回復

血腫 1 n.a. なし 3 重篤 回復

膿瘍 86 n.a. なし 3 重篤 回復

男 58 頭痛 7 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

頭痛 90 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

脳浮腫 75 n.a. なし 3 重篤 回復

女 56 心不全 89 n.a. なし 5 重篤 死亡

出血性胃潰瘍 22 n.a. なし 3 重篤 回復

不整脈 64 n.a. なし 4 重篤 改善

高血糖 64 n.a. なし 3 重篤 改善

後腹膜出血 74 n.a. なし 4 重篤 継続

気管支炎 64 n.a. なし 3 重篤 改善

女 65 感染 127 n.a. なし 3 重篤 回復

男 61 錯乱状態 112 n.a. なし 3 重篤 不明

不全片麻痺 112 n.a. なし 3 重篤 不明

黄疸 112 n.a. なし 3 重篤 不明

精神病性障害 112 n.a. なし 3 重篤 不明

男 64 静脈炎 7 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

頭蓋内圧上昇 13 n.a. なし 4 重篤 後遺症

髄膜炎 13 n.a. なし 4 重篤 回復

副腎機能不全 36 n.a. なし 4 重篤 回復

男 73 会話障害 90 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

88

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

運動機能障害 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

呼吸困難 149 n.a. なし 5 重篤 死亡

男 60 大発作痙攣 171 n.a. なし 4 重篤 回復

男 52 人格変化 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

自殺企図 143 n.a. なし 4 重篤 回復

男 51 会話障害 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

血栓症 42 n.a. なし 3 重篤 回復

男 59 大発作痙攣 167 n.a. なし 3 重篤 回復

男 42 疲労 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

痙攣 78 n.a. なし 3 重篤 回復

頭蓋内圧上昇 90 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 37 悪心 1 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

嘔吐 1 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

嚢胞 8 n.a. なし 3 重篤 回復

男 65 頭痛 1 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

しゃっくり 7 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

運動失調 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

血栓症 61 n.a. なし 3 重篤 回復

男 63 肺炎 86 n.a. なし 5 重篤 死亡

女 63 感染 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

疼痛 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

頭蓋内圧上昇 51 n.a. なし 3 重篤 回復

男 66 便秘 90 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

発熱 12 n.a. なし 3 重篤 回復

女 63 運動失調 2 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

会話障害 2 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

膿瘍 39 n.a. なし 3 重篤 回復

女 60 無力症 90 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

昏迷 17 n.a. なし 3 重篤 回復

男 64 運動機能障害 1 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

感染 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

感染 90 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

頭蓋内出血 2 n.a. なし 4 重篤 後遺症

女 72 悪心 7 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

嘔吐 7 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

転倒 7 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

下痢 7 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

敗血症 8 n.a. なし 3 重篤 回復

男 58 消化不良 42 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

大発作痙攣 50 n.a. なし 3 重篤 改善

女 69 錯乱状態 7 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

浮動性めまい 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

悪心 90 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

気管支癌 40 n.a. なし 4 重篤 後遺症

肺炎 40 n.a. なし 3 重篤 後遺症

男 65 憩室炎 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

発疹 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

肺塞栓症 99 n.a. なし 3 重篤 回復

血栓症 93 n.a. なし 3 重篤 回復

女 68 気分変化 2 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

嘔吐 7 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

振戦 42 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

発熱 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

悪寒 42 n.a. 不明 2 非重篤 n.a.

静脈炎 42 n.a. 不明 3 非重篤 n.a.

放射線皮膚損傷 90 n.a. 不明 1 非重篤 n.a.

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

89

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続

日数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

痙攣 4 n.a. なし 3 重篤 回復

痙攣 76 n.a. なし 3 重篤 回復

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

90

表 2.7.4.7.3-6 重篤な有害事象症例一覧

(MC-ALS.30/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 60 感染 3 17 なし 2 重篤 回復

男 56 運動機能障害 1 n.a. 関連ないら

しい 1 重篤 回復(後遺症あり)

第7脳神経麻痺 6 n.a. なし 1 非重篤 回復

男 50 感覚障害 1 n.a. なし 1 非重篤 回復(後遺症あり)

運動機能障害 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

第7脳神経麻痺 1 n.a. なし 1 非重篤 回復(後遺症あり)

女 49 食道炎 1 n.a. なし 2 非重篤 回復

失禁 7 9 なし 2 非重篤 回復

運動機能障害 1 n.a. なし 3 重篤 継続

第7脳神経麻痺 1 n.a. なし 2 非重篤 回復(後遺症あり)

気分変化 7 9 なし 2 非重篤 回復

身体疾患による

精神障害 7 9 なし 1 非重篤 回復

体液貯留 9 7 なし 2 重篤 回復

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

91

表 2.7.4.7.3-7 重篤な有害事象症例一覧

(MC-ALS.32/GLI 試験:20 mg/kg 経口単回投与)

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

男 65 構語障害 2 n.a. なし 1 非重篤 継続

不全単麻痺 2 n.a. なし 3 重篤 継続

顔面不全麻痺 2 n.a. なし 2 非重篤 継続

女 66 失語症 0 n.a. なし 3 重篤 継続

脳膿瘍 36 19 なし 4 重篤 死亡

不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 継続

男 62 不全片麻痺 33 n.a. なし 2 重篤 回復(後遺症あり)

嘔吐 33 3 なし 2 非重篤 回復

男 69 不全片麻痺 1 n.a. なし 2 重篤 継続

男 63 不全片麻痺 1 n.a. なし 2 重篤 回復(後遺症あり)

処置後出血 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

女 60 処置後出血 0 1 なし 2 重篤 回復

身体疾患による

精神障害 1 n.a.

関連ないら

しい 2 非重篤 不明

男 62 意識レベルの低

下 0 7

関連ないら

しい 4 重篤 回復

肺炎 0 7 関連ないら

しい 4 重篤 回復

男 50 失語症 0 9 なし 2 非重篤 回復

不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

男 66 不全片麻痺 0 n.a. なし 2 重篤 回復(後遺症あり)

男 65 脳出血 1 1 なし 2 重篤 回復

半盲 1 7 なし 1 非重篤 回復

不全片麻痺 1 7 なし 1 非重篤 回復

脳浮腫 3 5 関連ないら

しい 2 非重篤 回復

不安障害 1 7 なし 2 非重篤 回復

男 63 循環虚脱 2 1 なし 4 重篤 死亡

処置後出血 0 1 なし 3 重篤 回復

女 43 気胸 0 7 なし 4 重篤 回復

男 64 不全片麻痺 3 n.a. なし 2 重篤 回復(後遺症あり)

男 66 脳梗塞 0 n.a. 関連ないら

しい 3 非重篤 継続

片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 継続

回帰熱 3 6 関連ないら

しい 3 非重篤 回復

ブドウ球菌感染 1 28 なし 1 非重篤 回復

男 67 注意力障害 11 10 関連ないら

しい 2 非重篤 回復

頭痛 11 n.a. 関連ないら

しい 2 非重篤 不明

同名性半盲 35 n.a. なし 2 非重篤 継続

不全片麻痺 11 10 なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

処置後血腫 2 1 なし 2 非重篤 回復

半側無視 35 n.a. なし 2 非重篤 継続

男 68 失語症 2 n.a. なし 3 非重篤 継続

頭痛 5 2 関連ないら

しい 3 重篤 回復

男 37 不全片麻痺 0 578 なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

女 50 うつ病 1 43 なし 2 非重篤 回復

不全単麻痺 0 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 回復(後遺症あり)

女 53 処置後合併症 27 62 なし 2 重篤 回復

男 74 蓄膿 20 2 なし 4 重篤 回復

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

92

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

血尿 9 32 なし 2 非重篤 回復

片麻痺 20 n.a. なし 3 重篤 継続

排尿異常 1 n.a. なし 2 非重篤 継続

単麻痺 13 n.a. なし 3 重篤 継続

肺炎 13 28 なし 2 非重篤 回復

気胸 22 19 なし 2 非重篤 回復

気管気管支炎 28 7 なし 3 重篤 回復

尿路感染 13 28 なし 2 非重篤 回復

女 62 不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 継続

男 75 硬膜下血腫 2 1 なし 3 重篤 回復

女 61 片麻痺 0 n.a. 関連ないら

しい 3 重篤 継続

白血球減少症 36 n.a. なし 1 非重篤 不明

血小板減少症 36 n.a. なし 1 非重篤 不明

男 76 処置後合併症 12 10 なし 2 重篤 回復

男 71 錯乱状態 1 14 なし 2 非重篤 回復

痙攣 0 1 なし 2 非重篤 回復

注意力障害 1 14 なし 2 非重篤 回復

治癒不良 21 15 なし 4 重篤 死亡

敗血症 21 15 なし 4 重篤 死亡

深部静脈血栓症 5 10 関連ないら

しい 2 非重篤 回復

女 59 髄膜炎 13 21 なし 3 重篤 回復

術後創感染 13 21 なし 3 重篤 回復

男 77 失語症 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

男 70 てんかん 6 1 なし 2 重篤 回復

男 70 失語症 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

処置後出血 0 1 なし 3 重篤 回復

男 67 失見当識 4 3 なし 3 非重篤 回復

硬膜下蓄膿症 16 2 なし 4 重篤 回復

処置後出血 4 3 なし 2 非重篤 回復

男 63 髄膜炎 12 14 関連ないら

しい 3 重篤 回復

男 66 血中クレアチニ

ン増加 15 7

関連ないら

しい 3 重篤 回復

血小板減少症 15 7 関連ないら

しい 1 非重篤 回復

男 65 髄膜炎 4 27 関連ないら

しい 3 重篤 回復

肩回旋筋腱板症

候群 n.a. n.a. なし 2 非重篤 回復

椎間板炎 n.a. n.a. なし 2 非重篤 回復

男 69 処置後出血 16 12 なし 4 重篤 死亡

男 65 急性副腎皮質機

能不全 19 n.a. なし 3 非重篤 回復

低カリウム血症 4 1 なし 2 非重篤 回復

発熱 19 n.a. なし 3 非重篤 回復

敗血症 19 3 なし 4 重篤 回復

全身健康状態低

下 19 n.a. なし 3 非重篤 回復

男 65 運動障害 8 8 関連ないら

しい 2 非重篤 回復

硬膜下ヒグロー

マ 9 7 なし 3 重篤 回復

男 48 脳梗塞 13 1 なし 3 重篤 回復

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.4 臨床的安全性の概要

93

症例番号 性

齢 有害事象

発現日

(投与後)

持続日

数 因果関係

重症度

(Grade) 重篤性 転帰

硬膜外血腫 15 1 なし 4 重篤 回復

てんかん重積状

態 9 1 なし 4 重篤 回復

脳ヒグローマ 13 4 なし 2 非重篤 回復

男 69 片麻痺 0 なし 1 重篤 継続

高ナトリウム血

症 24 42 なし 1 非重篤 回復

男 62 片麻痺 0 なし 3 重篤 継続

低ナトリウム血

症 9 24 なし 1 非重篤 回復

白血球増加症 34 n.a. なし 2 非重篤 不明

処置後出血 0 n.a. なし 2 重篤 回復(後遺症あり)

顔面不全麻痺 1 n.a. なし 2 重篤 継続

半側無視 1 n.a. なし 2 非重篤 不明

女 51 痙攣 37 1 なし 2 重篤 回復

顔面不全麻痺 0 n.a. なし 1 非重篤 継続

女 23 半盲 1 n.a. なし 2 重篤 継続

不全片麻痺 1 n.a. なし 3 重篤 継続

女 57 脳梗塞 2 1 なし 4 重篤 回復(後遺症あり)

不全片麻痺 1 n.a. なし 3 重篤 継続

女 75 大腿骨頚部骨折 22 2 なし 3 重篤 回復(後遺症あり)

女 71 不全片麻痺 0 14 なし 3 重篤 回復

硬膜下血腫 9 n.a. なし 1 非重篤 不明

脳ヒグローマ 0 n.a. なし 1 非重篤 不明

男 59 創傷感染 13 12 なし 2 重篤 回復

男 59 転倒 2 1 なし 2 非重篤 回復

不全片麻痺 0 8 なし 1 非重篤 回復

感覚鈍麻 0 21 なし 1 非重篤 回復

肺塞栓症 20 1 関連ないら

しい 4 重篤 死亡

男 57 頭痛 0 2 なし 2 非重篤 回復

処置後合併症 5 12 なし 2 重篤 回復

女 55 不全片麻痺 0 n.a. なし 3 重篤 継続

男 62 痙攣 n.a. n.a. なし 2 非重篤 継続

胃出血 17 18 なし 2 非重篤 回復

血尿 8 40 なし 2 重篤 回復

片麻痺 0 48 なし 3 重篤 回復

敗血症 8 40 なし 2 重篤 回復

尿路感染 26 14 なし 2 非重篤 回復

深部静脈血栓症 17 23 なし 2 非重篤 回復

n.a. not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤)

第2部 CTDの概要 (サマリー)

2.7 臨床概要

2.7.5 参考文献

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

目次

2.7.5 参考文献 1 2.7.5.1 「2.7.1で引用した文献」 1 2.7.5.2 「2.7.3で引用した文献」 2

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.5 参考文献

1

2.7.5 参考文献

2.7.5.1 「2.7.1で引用した文献」

1) 金子貞男. 悪性脳腫瘍に対する光線力学的療法-光感受性物質 ALA を用いた PDD と PDT を

中心に-. 日本レーザー医学会誌 2008;29:135-146

2) Kajiwara M, Hara K, Takatori K, Matsumoto K. Revised structure of a

delta-aminolevulinic acid derivative. Clin Chem. 1993; 39(9):1867-71

3) Miyajima K, Hirata M, Yoshida T, et al. Study on measurement of delta-aminolevulinic

acid in plasma by high-performance liquid chromatography. J Chromatogr B Biomed Appl.

1994; 654(2):165-9

4) Morita Y, Araki S, Sakai T, et al. Determination of delta-aminolevulinic acid in plasma

using high-performance liquid chromatography: a sensitive indicator of lead effects.

Industrial Health. 1994; 32(2):85-96

5) Blake D, Poulos V, Rossi R. Diagnosis of porphyria, recommended methods for peripheral

laboratories. Clin Biochem Revs 1992; 13 (supplement): S3-S14

6) Ratnaike S, Blake D. The diagnosis and follow-up of porphyria. Pathology.

1995;27(2):142-53

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.5 参考文献

2

2.7.5.2 「2.7.3で引用した文献」

1) Stummer W, et al. Fluorescene-guided surgery with 5-aminolevulinic acid for resection

of malignant glioma: a randomised controlled multicentre phase III trial. Lancet Oncol

2006; 7: 392-401

2) The Committee of Brain Tumor Registry of Japan. Report of Brain Tumor Registry of

Japan (1984-2000) 12th Edition. Neurologia Medical-Chirurgia 2009; Vol.49,

Supplement

3) Central Brain Tumor Registry of the United States: CBTRUS (2012). Statistical report:

primary brain tumors in the United States, 2004-2008

4) National Comprehensive Cancer Network(NCCN) Clinical Practice Guidelines in

Oncology-v.1.2009

5) 日本脳神経外科学会・日本病理学会編.臨床・病理 脳腫瘍取扱い規約,第 3 版,金原出

版;2010, 232-244

6) Regula J, et al. Photosensitisation and photodynamic therapy of oesophageal, duodenal,

and colorectal tumours using 5 aminolaevulinic acid induced protoporphyrin IX ‒ a

pilot study. Gut. 1995;36(1): 67-75

7) Mlkvy P, et al. Photodynamic Therapy for Polyps in Familial Adenomatous Polyposis-

A Pilot Study. Eur J Cancer 1995;31A(7/8): 1160-1165

8) Fan KF, et al. Photodynamic Therapy Using 5-Aminolevulinic Acid for Premalignant and

Malignant Lesions of the Oral Cavity. Cancer 1996;78(7): 1374-1383

9) Stummer W, et al. Intraoperative Detection of Malignant Glioma by 5-Aminolevulinic

Acid-induced Porphyrin Fluorescence. Nuerosurgery 1998; 42(3):518-526

10) Stummer W, et al.Fluorescene-guided resection of glioblastoma multiforme by using

5-aminolevulinic acid-induced porphyrins:a prospective study in 52 consecutive

patients. J Neurosurg. 2000; 93: 1003-1013

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤)

第2部 CTDの概要 (サマリー)

2.7 臨床概要

2.7.6 個々の試験のまとめ

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

略語一覧

略語 内 容 5-ALA 5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid)

5-ALA HCl 5-ALA 塩酸塩(5-aminolevulinic acid hydrochloride)

Ae 尿中排泄量

ALP アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase)

ALT (GPT) アラニントランスアミナーゼ(Alanine transaminase)

AST (GOT) アスパラテートトランスアミナーゼ(Asparatate transaminase)

AUC 血漿中濃度-時間曲線下面積(Area Under the(blood concentration-time) Curve)

BMI ボディマス指標(Body mass index)

CK クレアチニンキナーゼ(Creatinine kinase)

Cmax 最高血漿中濃度(Maximum drug concentration)

CTC 有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria)

CTCAE 有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)

FAS 最大解析対象集団(Full analysis set)

-GTP -グルタミルトランスペプチダーゼ(Gamma glutamyl transpeptidase)

KPS Karnofsky performance status

MED 最小紅斑量(Minimal erythema dose)

MRI 核磁気共鳴画像法(Magnetic resonance imaging)

NIH 米国国立衛生研究所(National Institute of Health)

OS 全生存期間(Overall survival)

PFS 無増悪生存期間(Progression free survival)

PPIX プロトポルフィリン IX(ProtoporphyrineIX)

PPS 実施計画書適合解析対象集団(Per protocol set)

PT 基本語(Preferred term)

SAS 安全性解析集団(Safety analysis set)

SD 標準偏差(Standard deviation)

SOC 器官別別大分類(System organ class)

tmax 最高血漿中濃度到達時間(Maximum drug concentration time)

t1/2 消失半減期(Elimination half-life)

WHO 世界保健機構(World Health Organization)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

目次

2.7.6 個々の試験のまとめ

2.7.6.1 NPC-07-1 試験 ..............................................................1 2.7.6.1.1 試験方法 ...............................................................1 2.7.6.1.2 試験結果 ...............................................................2

2.7.6.2 MC-ALS.20/BV 試験 .........................................................18 2.7.6.2.1 試験方法 ..............................................................18 2.7.6.2.2 試験結果 ..............................................................19

2.7.6.3 MC-ALS.8-I/GLI 試験 .......................................................23 2.7.6.3.1 方法 ..................................................................23 2.7.6.3.2 試験結果 ..............................................................25

2.7.6.4 MC-ALS.28/GLI 試験 ........................................................33 2.7.6.4.1 試験方法 ..............................................................33 2.7.6.4.2 試験結果 ..............................................................35

2.7.6.5 MC-ALS.3/GLI 試験 .........................................................42 2.7.6.5.1 試験方法 ..............................................................42 2.7.6.5.2 試験結果 ..............................................................43

2.7.6.6 MC-ALS.30/GLI 試験 ........................................................53 2.7.6.6.1 試験方法 ..............................................................53 2.7.6.6.2 試験結果 ..............................................................54

2.7.6.7 MC-ALS.32/GLI 試験 ........................................................61 2.7.6.7.1 試験方法 ..............................................................61 2.7.6.7.2 試験結果 ..............................................................62

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

1

2.7.6.1 NPC-07-1 試験

(添付資料 5.3.5.2-1)

2.7.6.1.1 試験方法

項 目 内 容

試験番号 NPC-07-1

試験表題名 NPC-07 の悪性神経膠腫に対する第Ⅲ相臨床試験

試験の目的 初発及び再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)を対象として、本剤によ

る蛍光切除術の診断能、安全性及び薬物動態の検討を行う。

試験デザイン 非盲検、非対照、多施設共同(有効性評価の病理判定は盲検化)

STEPⅠ及び STEPⅡで構成

被験者数 計画時:36 例(STEPⅠ:8例、STEPⅡ:28 例)

解析時:45 例(STEPⅠ:10 例、STEPⅡ:35 例)

対象 選択基準:

・ 年齢 18~70 歳の患者

・ 放射線学的診断で初発又は再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 来院スケジュール等、治験実施計画書の要件を遵守できる患者

除外基準:

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン 2.0 mg/dL 以上) の患者

・ 肝機能障害(ALT 100 IU/L 以上、AST 100 IU/L 以上、γ-GTP 100 IU/L 以

上、又は総ビリルビン 3 mg/dL 以上)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 本治験前 1ヵ月以内に他の治験に参加した患者

・ その他、治験責任(分担)医師が治験参加に不適当と判断した患者

使用薬剤 1 バイアル中に 5-ALA HCl(以下「本薬」)を 1.5 g含有する凍結乾燥製剤

ロット番号 STEPⅠ: 、STEPⅡ:

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2~4時間)に、本剤 20 mg/kg

を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:

・ 蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべて陽

性と判定された患者割合)

副次評価項目:

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

2

・ 蛍光組織での蛍光の質の評価(「強」、「弱」、「なし」)

・ 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

・ 残存腫瘍のない患者の割合(術後 72 時間以内の MRI 検査による)

・ 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)におけるそれ

ぞれの生検組織ごとの陽性診断率(可能な場合に算出)

・ 感度(Sensitivity)と特異度(Specificity)(可能な場合に算出)

薬物動態

STEPⅠのみ、本剤投与前、投与後 0.5、1、2、3、4、5、6、8、12、24、48

時間の血漿中 5-ALA 及び代謝物である PPIX 濃度の測定を行った。また、薬

物動態パラメータ(Cmax、AUCt、tmax及び t1/2)を算出した。

安全性

報告されたすべての有害事象、KPS スコア、Glasgow Coma Scale、12 誘導

心電図、体温、脈拍、血圧及び臨床検査値を基に評価を行う。なお、手術

中に心電図、動脈血酸素分圧、体温、脈拍及び血圧をモニターし、臨床的

に意味のある異常が認められた場合には有害事象とする。

観察期間 本剤投与後 28 日間

症例数 MC-ALS.28/GLI、MC-ALS.30/GLI 試験の症例数及び国内推定患者数が少ないこ

とから実施可能性を考慮して 36 例とした。症例数を 36 例とした場合、蛍光組

織の陽性診断率を 81%(初発での 84.8%と再発での 77.8%の平均値)、「蛍光

組織の陽性診断率」の 95%信頼下限を 53%とした時の検出力は 93%となり、

充分な検出力を示した。(症例数の算出は Exact Method を使用した。)また、

MC-ALS.8-I/GLI 試験の 1 群の例数が 7 例であることより、STEPⅠでは薬物動

態の評価可能症例数を 8 例とした。STEPⅡでは合計が 36 例となるように、28

例と設定した。

解析方法 主要評価項目は、蛍光組織の陽性診断率及びその 95%信頼区間を求めた。な

お、外国で実施された同様の試験(MC-ALS.8-I/GLI)データでは 90%信頼区間

が用いられており、本試験のデータと外国データを比較するため、外国のデー

タに合わせて参考までに蛍光組織の陽性診断率の 90%信頼区間を求めた。

治験実施施設

国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科 他

計 10 施設

試験期間 2010 年 9 月 日~2011 年 12 月 日

2.7.6.1.2 試験結果

(1) 症例の構成

本試験では 48 例の被験者が仮登録され、本登録前に 3 例が中止となった。本登録された 45

例全例に本剤が投与された。

本剤の投与を受けた全 45 例全例を安全性解析対象例とし、有効性の FAS は安全性解析対象

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

3

集団から術中迅速診断で基準(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に合致しない又は腫瘍本体に蛍光がなか

った 7例を除いた 38 例(初発 22 例、再発 16 例)であった。また、PPS は FAS から中央病理診

断で WHO グレードⅢ/Ⅳに該当しなかった被験者 2例を除いた 36 例であった。本試験における

解析対象集団の内訳を図 2.7.6.1-1 に示した。

本剤投与例 45 例

安全性解析対象例 45 例 本剤投与例から除外 0 例

有効性解析対象例(FAS) 38 例 安全性解析対象例から除外 7 例

有効性解析対象例(PPS) 36 例 有効性解析対象例(FAS)から除外 2 例

図 2.7.6.1-1 解析対象集団の内訳

(2) 有効性

1) 解析データセット

FAS である 38 例が有効性の解析対象とされた。また、PPS は 36 例であった。

2) 人口統計学的データ及び最終診断名

FAS における人口統計学データ及び中央病理判定の診断名を表 2.7.6.1-1 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

4

表 2.7.6.1-1 被験者背景の要約(FAS) 項目 例数 (%)

(N=38)

平均値 54.0

標準偏差 11.6

最小値 24 中央値 58.0

年齢 (歳)

最大値 70 男性 20 ( 52.6) 性別 女性 18 ( 47.4)

平均値 161.4

標準偏差 9.2

最小値 145.0

中央値 161.5

身長(cm)

最大値 181.1

平均値 60.4

標準偏差 12.2

最小値 40.1

中央値 61.4

体重 (kg)

最大値 86.0

初発 22 ( 57.9) 初発/再発

再発 16 ( 42.1)

Ⅲ 13 ( 34.2)

Ⅳ 23 ( 60.5)

中央病理判定 WHO グレード

その他 2 ( 5.3)

Anaplastic astrocytoma 4 ( 10.5)

Glioblastoma 23 ( 60.5)

Anaplastic oligodendroglioma 5 ( 13.2)

Anaplastic oligoastrocytoma 3 ( 7.9)

Anaplastic epedymoma 1 ( 2.6)

中央病理判定 判定別症例数

Others 2 ( 5.3)

3) 主要評価項目

FAS を対象とした蛍光組織の陽性診断率を表 2.7.6.1-2 に示した。生検標本は、白色光下で

腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して採取した。

FAS を対象とした 38 例のうち蛍光組織の生検標本における腫瘍細胞がすべて陽性と判定さ

れた患者の割合(陽性診断率)は 65.8%(95%信頼区間:48.6~80.4%、90%信頼区間:51.2

~78.4%)であった。また、FAS で強蛍光及び弱蛍光別の陽性診断率はそれぞれ 94.4%(95%

信頼区間:81.3~99.3%、90%信頼区間:83.5~99.0%)及び 65.8%(95%信頼区間:48.6

~80.4%、90%信頼区間:51.2~78.4%)であり、強蛍光の陽性診断率は弱蛍光より高かっ

た。なお、FAS 及び PPSでの腫瘍評価項目の評価に違いはなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

5

表 2.7.6.1-2 蛍光組織の陽性診断率(FAS)

区分 例数 蛍光組織の生検標本

すべてが腫瘍細胞陽性と 判定された患者数

陽性診断率 (%)

95%信頼区間 (%)

90%信頼区間 (%)

38 25 65.8 48.6 - 80.4 51.2 - 78.4

強蛍光 36 34 94.4 81.3 - 99.3 83.5 - 99.0

弱蛍光 38 25 65.8 48.6 - 80.4 51.2 - 78.4

注) 強蛍光及び弱蛍光の評価対象例数は、それぞれ 1検体以上が採取できた例数とした。

4) 副次評価項目

a) 蛍光組織での蛍光の質の評価

FAS を対象とした 38 例のうち、白色光下で腫瘍部位を切除した後に、強蛍光領域で 3 検体

を採取できたのは 36 例であり、再発例であった 2例で強蛍光の検体を採取できなかった。弱

蛍光は 38 例全例から 3検体の組織を採取できた。非蛍光領域については、可能であれば組織

を採取することとしていたが、腫瘍近接部位で、2 検体を採取できたのは 34 例、1 検体のみ

を採取できたのは 2例、2例が採取できなかった。非蛍光遠隔部位では、2検体を採取できた

のは 31 症例、1 検体のみを採取できたのは 1 例、6 例が採取できなかった。なお、FAS 及び

PPS での蛍光の質の評価に違いはなかった。

b) 蛍光組織での組織ごとの陽性診断率

FAS を対象とした蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率を強蛍光、弱蛍光及び強蛍光+弱

蛍光別に表 2.7.6.1-3 に示した。強蛍光+弱蛍光の生検組織における陽性診断率は 85.6%

(95%信頼区間:80.3~89.9%)であった。強蛍光の生検組織における陽性診断率は 94.4%

(95%信頼区間:88.3~97.9%)であり、弱蛍光の生検組織では陽性診断率は 77.2%(95%

信頼区間:68.4~84.5%)であった。36 例では、強蛍光領域で採取した 102 検体がすべて腫

瘍細胞陽性と判定された。残る 2 例では強蛍光で採取された 3 検体すべてが腫瘍陽性判定陰

性であり、2例とも再発例であった。なお、FAS及び PPS の生検組織ごとの陽性診断率の結果

に違いはなく、陽性診断率は強蛍光の生検組織の方が高かった。

表 2.7.6.1-3 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率(FAS)

生検組織 組織数 陽性判定数 陽性診断率(%) 95%信頼区間(%)

強蛍光 108 102 94.4 88.3 - 97.9

弱蛍光 114 88 77.2 68.4 - 84.5

強蛍光+弱蛍光 222 190 85.6 80.3 - 89.9

注)評価例数 N=38

c) 残存腫瘍のない患者の割合

術後 72 時間以内に MRI検査を実施し、各被験者における腫瘍の摘出率を判定した。残存腫

瘍のない患者の割合及び腫瘍摘出率の分布について、FAS を対象とした結果を表 2.7.6.1-4

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

6

に示した。MRI 検査で確認された残存腫瘍のない被験者は 39.5%(95%信頼区間:24.0~

56.6%)であり、約 60%の被験者に残存腫瘍が確認された。腫瘍摘出率の分布から、腫瘍摘

出率が 95%以上の被験者は 71.1%であった。また、腫瘍摘出率が 50%未満の被験者はいなか

った。FAS 及び PPS の残存腫瘍のない患者の割合及び腫瘍摘出率の分布の結果に違いはなかっ

た。

表 2.7.6.1-4 残存腫瘍のない患者の割合及び腫瘍摘出率の分布(FAS)

例数(%) 95%信頼区間(%)

残存腫瘍のない患者の割合 15 ( 39.5) 24.0 - 56.6

腫瘍摘出率の分布

100% 15 ( 39.5)

95% 12 ( 31.6)

90% 3 ( 7.9)

75% 6 ( 15.8)

50% 2 ( 5.3)

50%未満 0 ( 0.0)

注) 評価例数 N=38

d) 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)におけるそれぞれの生検組織

ごとの陽性診断率

FAS を対象とした、蛍光領域に近接した非蛍光領域及び腫瘍から遠隔の非蛍光領域におけ

る生検組織ごとの陽性診断率の結果を表2.7.6.1-5に示した。生検組織ごとの陽性診断率は、

近接領域では 61.1%(95%信頼区間:48.9~72.4%)、遠隔領域では 47.5%(95%信頼区間:

34.6~60.7%)であった。非蛍光である近接領域及び遠隔領域のいずれの領域においても、

腫瘍細胞が浸潤していることが示された。FAS 及び PPS の蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍か

らの遠隔領域(非蛍光)における生検組織ごとの陽性診断率に違いはなかった。

表 2.7.6.1-5 蛍光近接領域(非蛍光)及び腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)における

生検組織ごとの陽性診断率(FAS)

生検組織 組織数 陽性判定数 陽性率(%) 95%信頼区間(%)

近接領域 72 44 61.1 48.9 - 72.4

遠隔領域 61 29 47.5 34.6 - 60.7

注) 評価例数 N=38

e) 感度と特異度

診断薬としての感度及び特異度について、FAS を対象とした結果を表 2.7.6.1-6 に示した。

FAS を対象とした結果では、腫瘍細胞陽性と判定された計 263 検体中、蛍光が確認されたも

のは 190 検体であり、感度は 72.2%(95%信頼区間:66.4~77.6%、90%信頼区間:67.3~

76.8%)であった。また、腫瘍細胞陰性と判定された計 92 検体中、蛍光が確認されなかった

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

7

ものは 60 検体であり、特異度は 65.2%(95%信頼区間:54.6~74.9%、90%信頼区間:56.2

~73.5%)であった。FAS 及び PPS の感度及び特異度に違いはなかった。

表 2.7.6.1-6 感度及び特異度(FAS)

陽性 陰性 95%信頼区間(%) 90%信頼区間(%)

蛍光組織 190 32 感度(%) 72.2 66.4 - 77.6 67.3 - 76.8

非蛍光組織 73 60 特異度(%) 65.2 54.6 - 74.9 56.2 - 73.5

合計 263 92

注) 評価例数 N=38

5) 初発/再発別の陽性診断率

蛍光組織の陽性診断率及び蛍光組織の生検組織ごとの陽性診断率について、悪性神経膠腫

の初発・再発別の集計を行った。

a) 初発/再発別の蛍光組織の陽性診断率

FAS を対象とした蛍光組織での陽性診断率の結果を、初発及び再発別に表 2.7.6.1-7 に示し

た。初発及び再発別の陽性診断率は、初発が 63.6%(95%信頼区間:40.7~82.8%、90%信

頼区間:43.9~80.4%)、再発が 68.8%(95%信頼区間:41.3~89.0%、90%信頼区間:45.2

~86.8%)であった。初発及び再発による大きな差はなかった。また、強蛍光及び弱蛍光別

の陽性診断率においても、初発及び再発による大きな差はなかった。FAS 及び PPS の陽性診断

率に違いはなかった。

表 2.7.6.1-7 初発及び再発別の蛍光組織の陽性診断率(FAS)

区分 例数 蛍光組織の生検標本

すべてが腫瘍細胞陽性と判定された患者数

陽性診断率

(%)

95%信頼区間

(%)

90%信頼区間

(%)

22 14 63.6 40.7 - 82.8 43.9 - 80.4

強蛍光 22 22 100.0 84.6 - 100.0 87.3 - 100.0 初発

弱蛍光 22 14 63.6 40.7 - 82.8 43.9 - 80.4

16 11 68.8 41.3 - 89.0 45.2 - 86.8

強蛍光 14 12 85.7 57.2 - 98.2 61.5 - 97.4 再発

弱蛍光 16 11 68.8 41.3 - 89.0 45.2 - 86.8

注) 強蛍光及び弱蛍光の評価対象例数は、それぞれ 1検体以上が採取、測定できた例数とした。

b) 初発/再発別の蛍光組織の生検組織ごとの陽性診断率

FAS を対象とした蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率の結果を、初発及び再発別に表

2.7.6.1-8 に示した。再発患者における強蛍光組織の陽性診断率は、初発患者に比しやや低い

傾向が見られたが、大きな差はなかった。また、弱蛍光組織の陽性診断率は、再発患者と初

発患者で差はなかった。FAS 及び PPS の陽性診断率に違いはなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

8

表 2.7.6.1-8 初発及び再発別の蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率(FAS)

生検組織 組織数 陽性判定数 陽性率(%) 95%信頼区間(%)

強蛍光 66 66 100.0 94.6 - 100.0

弱蛍光 66 51 77.3 65.3 - 86.7

初発

強蛍光+弱蛍光 132 117 88.6 82.0 - 93.5

強蛍光 42 36 85.7 71.5 - 94.6

弱蛍光 48 37 77.1 62.7 - 88.0

再発

強蛍光+弱蛍光 90 73 81.1 71.5 - 88.6

注) 評価例数 初発:N=22 再発:N=16

6) 5-ALA 及び PPIX の薬物動態

本試験では、STEPⅠにおいてのみ、本剤を 20mg/kg 単回経口投与時の血漿中濃度の測定及

び薬物動態パラメータの算出を行った。薬物動態評価対象例(本剤投与後 48 時間までの採血

が実施された症例)は 6例であった。

本剤投与後、血漿中 5-ALA 濃度は速やかに上昇し、投与後 1 時間に最高値に達した。その

後、5-ALA は血漿中から速やかに消失し、投与後 12 時間にはほぼ投与前の値まで減少した。

血漿中 PPIX 濃度は緩やかに上昇し、投与後 6時間に最高値に達した。その後、PPIX は血漿中

から緩やかに消失し、投与後48時間にはほぼ投与前の値まで減少した。血漿中5-ALA及びPPIX

の推移図をそれぞれ図 2.7.6.1-2 及び図 2.7.6.1-3 に示した。

5-ALA 及び PPIX の薬物動態パラメータの基本統計量を表 2.7.6.1-9 に示した。5-ALA の Cmax

(平均値±標準偏差、以下同様。)は 34.0±12.7 mg/L、AUC∞は 77.1±40.7 mg・h/L であり、

PPIX の Cmaxは 350. 6±98.3 μg/L、AUC∞は 4187.3±1374.0 μg・h/L であった。また、5-ALA

の tmax及び t1/2はそれぞれ 0.83±0.26 時間及び 2.27±2.35 時間であり、PPIX の tmax及び t1/2

はそれぞれ 6.17±0.98 時間及び 4.91±1.90 時間であった。PPIX の tmax及び t1/2はいずれも

5-ALA に比し長かった。PPIX の tmax値より、本剤を麻酔導入前 3 時間(範囲:2~4 時間)に

経口投与することにより、開頭後腫瘍切除が実施される時期に、蛍光発色本体である PPIX の

血漿中濃度が高値を示すことが推定された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

9

図 2.7.6.1-2 患者ごとの血漿中 5-ALA濃度の推移図(薬物動態解析対象例)

図 2.7.6.1-3 患者ごとの血漿中 PPIX 濃度の推移図(薬物動態解析対象例)

5-ALA

○○○

●●●

□□□

■■■

△△△

▲▲▲

血漿中濃度(mg/L)

0

10

20

30

40

50

60

時間(h)

0 12 24 36 48

○○

○○

○ ○ ○●

● ● ●□

□□□ □ □ □

■ ■△

△△ △ △▲

▲▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲

PPIX

○○○

●●●

□□□

■■■

△△△

▲▲▲

血漿中濃度(μg/L)

0

100

200

300

400

500

600

時間(h)

0 12 24 36 48

○●

● ●

●□

□■■■

■△△

△ △△

△▲▲▲

▲▲ ▲

▲▲

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

10

表 2.7.6.1-9 5-ALA 及び PPIX の薬物動態パラメータの基本統計量

Cmax (mg/L)

AUCt (mg・h/L)

AUC∞ (mg・h/L)

tmax (h)

t1/2 (h)

例数 6 6 6 6 6

平均値 34.009 76.764 77.086 0.83 2.27

幾何平均値 31.983 68.721 69.039 0.79 1.74

5-ALA

標準偏差 12.737 40.660 40.724 0.26 2.35

Cmax

(μg/L) AUCt

(μg・h/L) AUC∞

(μg・h/L) tmax (h)

t1/2 (h)

例数 6 6 6 6 6

平均値 350.590 4111.175 4187.289 6.17 4.91

幾何平均値 339.709 3955.512 4034.686 6.11 4.62

PPIX

標準偏差 98.343 1376.351 1373.979 0.98 1.90

注)外国の成績と比較するため平均値に加えて、幾何平均値を算出した。

7) STEPⅡへの移行

本試験では、STEPⅠの 5-ALA 及び PPIX 血漿中濃度でのそれぞれの AUC∞及び Cmax(それぞれ

平均値)が、外国で実施された悪性神経膠腫患者での MC-ALS.8-Ⅰ/GLI 試験における同パラ

メータと比較して、1/2 又は 2倍又はの範囲である場合、薬物動態上外国の成績と大きな差は

ないと判断し、STEPⅡへの移行を可能とする設定とした。

本試験と外国試験における 5-ALA 及び PPIX の薬物動態パラメータ(Cmax及び AUC∞)をそれ

ぞれ表 2.7.6.1-10 及び表 2.7.6.1-11 に示した。本試験では、比較を行った薬物動態パラメ

ータは当該基準を満たさなかったが、STEPⅡ移行時の第2回効果安全性評価委員会において、

薬物動態について以下の考察がなされた。すなわち、薬物動態について、本試験では 5-ALA

は速やかに吸収され PPIX に変換され、被験者間のデータのばらつきも少なかった。外国の患

者で認められたような血漿中 PPIX 濃度のばらつきが当初予想されたが、今回の成績ではみら

れなかった。これらの違いは、薬物動態測定用検体の処理に外国試験(MC-ALS.8-I/GLI 試験)

では問題があったと想定せざるを得ない。国内試験では PPIX の光での易分解性を考慮し、検

体の取扱及び処理において遮光を徹底したが、これが成績の差異に影響したと判断すること

が妥当で考えられた。従って、国内試験計画当初は国内及び外国の患者における薬物動態成

績を単純に比較することを想定していたが、検体の取扱及び処理が比較的適切に行われたと

考えられる外国健康成人における成績(MC-ALS/20/VA 試験)と比較することが妥当と判断し

た。なお、表 2.7.6.1-11 において、MC-ALS.8-I/GLI 試験における PPIX の薬物動態パラメー

タの集計では、血漿中 PPIX 濃度がすべての測定点で検出限界以下を示した 1例を Cmaxの集計

から除き、また、すべて及び多数の検出限界以下を示した 2例を AUC∞の集計から除いた。

本試験の Cmax(平均値及び幾何平均値)が、外国で実施された健康成人での MC-ALS.20/BV

試験のパラメータと比較して 1/2 又は 2倍の範囲(50~200%)内に入り、薬物動態上、国内

外の成績に大きな差はないと判断された。なお、AUC∞については、同様の比較において 1/2

又は 2倍の範囲(50~200%)を若干外れる結果であったが、同委員会において、安全性の観

点からは AUC∞よりも Cmaxが重要であるとされた。

一方、安全性評価については、STEPⅠで検討された 10 例中重篤な有害事象が 1例 2件に発

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

11

現した(被験者番号 :細菌性髄膜炎、水頭症)が、いずれも手術後の感染症であり

本剤との因果関係は否定されたことが報告された。また、CTCAE グレード 3以上の肝機能値の

上昇が 2 例(被験者番号 及び )に認められたが、肝機能値の上昇は 2

週間程度で回復し、程度も重篤な事象ではないことより、本剤の STEPⅠの安全性評価として

は、問題ないことが確認された。

以上の議論に基づいて、効果安全性委員会は STEP Ⅱへの移行を提言した。治験依頼者は効

果安全性評価委員会の提言に基づき、STEPⅡへの移行が可能と判断した。

表 2.7.6.1-10 NPC-07-01、MC-ALS.8-Ⅰ/GLI 及び MC-ALS.20/BV における

5-ALA の Cmax及び AUC∞

NPC-07-01

(国内 患者対象)

MC-ALS.8-Ⅰ/GLI

(外国 患者対象)

MC-ALS.20/BV

(外国 健康成人対象)

パラメー

タ Cmax (mg/L)

AUC∞ (mg・h/L)

Cmax (mg/L)

AUC∞ (mg・h/L)

Cmax (mg/L)

AUC∞ (mg・h/L)

例数 6 6 7 7 12 12

平均値 34.01 77.09 8.31 27.25 21.34 33.88

幾何平均

31.98 69.04 8.27 26.91 20.90 33.13

標準偏差 12.74 40.72 0.85 4.59 4.24 6.78

変動係数 37.5 52.8 10.2 16.9 19.9 20.0

表 2.7.6.1-11 NPC-07-01、MC-ALS.8-Ⅰ/GLI 及び MC-ALS.20/BV における

PPIX の Cmax及び AUC∞

NPC-07-01

(国内 患者対象)

MC-ALS.8-Ⅰ/GLI

(外国 患者対象)

MC-ALS.20/BV

(外国 健康成人対象)

パラメー

タ Cmax

(μg/L) AUC∞

(μg・h/L) Cmax

(μg/L) AUC∞

(μg・h/L) Cmax

(μg/L) AUC∞

(μg・h/L)

例数 6 6 6* 5** 12 12

平均値 350.59 4187.29 134.17 1127.20 292.45 2006.36

幾何平均

339.71 4034.69 88.19 779.86 279.05 1875.66

標準偏差 98.34 1373.98 102.41 998.11 103.38 763.26

変動係数 28.1 32.8 76.3 88.5 35.4 38.0

*すべての値が検出限界以下を示した症例(1例:患者番号 )を除く集計

**すべての値が検出限界及び多数の検出限界以下の値を有する症例(2例:患者番号 、 )を除く集計パ

ラメータの平均値及び幾何平均値

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

12

(3) 安全性

1) 有害事象

本試験の有害事象の集計を表 2.7.6.1-12 に示した。

有害事象は本剤投与例 45 例中 42 例(93.3%)に 210 件認められた。器官別有害事象のう

ち主な事象は、「胃腸障害」が 25 例(55.6%)46 件、「神経系障害」が 23 例(51.1%)34

件、「臨床検査」が 21 例(46.7%)34 件、「一般・全身障害および投与部位の状態」が 15

例(33.3%)18 件、「皮膚および皮下組織障害」が 11 例(24.4%)14 件及び「傷害、中毒お

よび処置合併症」が 10例(22.2%)12件であった。

また、有害事象の発現時期別の集計では、投与時から 2日目までに 33 例(73.3%)が、投

与 3日目から 7日目までに 7例(15.6%)が、投与 8日目以降に 2例(4.4%)が発現してお

り、有害事象のうちほとんどの事象は本剤投与後 2日目までに発現した。

表 2.7.6.1-12 有害事象(PT 別)発現例数の集計

器官別大分類(SOC) 基本語(PT)

件数 例数 (%) (N=45)

すべての有害事象 210 42 ( 93.3) 血液およびリンパ系障害 4 4 ( 8.9)

貧血 3 3 ( 6.7) 好酸球増加症 1 1 ( 2.2)

心臓障害 1 1 ( 2.2) 頻脈 1 1 ( 2.2) 眼障害 5 5 ( 11.1)

眼乾燥 1 1 ( 2.2)

眼瞼浮腫 4 4 ( 8.9)

胃腸障害 46 25 ( 55.6)

腹部不快感 2 2 ( 4.4)

便秘 6 6 ( 13.3)

下痢 4 4 ( 8.9)

痔核 1 1 ( 2.2)

悪心 17 14 ( 31.1) 嘔吐 16 14 ( 31.1)

一般・全身障害および投与部位の状態 18 15 ( 33.3)

胸部不快感 1 1 ( 2.2)

悪寒 1 1 ( 2.2)

顔面浮腫 2 2 ( 4.4)

倦怠感 2 2 ( 4.4)

浮腫 1 1 ( 2.2)

末梢性浮腫 1 1 ( 2.2)

発熱 10 9 ( 20.0)

肝胆道系障害 5 5 ( 11.1)

肝機能異常 5 5 ( 11.1)

感染症および寄生虫症 10 7 ( 15.6)

気管支炎 1 1 ( 2.2)

真菌感染 1 1 ( 2.2)

帯状疱疹 1 1 ( 2.2)

細菌性髄膜炎 1 1 ( 2.2)

外耳炎 1 1 ( 2.2)

中耳炎 1 1 ( 2.2)

術後創感染 1 1 ( 2.2)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

13

器官別大分類(SOC) 基本語(PT)

件数 例数 (%) (N=45)

偽膜性大腸炎 1 1 ( 2.2)

敗血症性ショック 1 1 ( 2.2)

尿路感染 1 1 ( 2.2)

傷害、中毒および処置合併症 12 10 ( 22.2)

処置後局所反応 1 1 ( 2.2)

処置後出血 3 2 ( 4.4)

創合併症 5 5 ( 11.1)

処置合併症 2 2 ( 4.4)

放射線皮膚損傷 1 1 ( 2.2)

臨床検査 34 21 ( 46.7) アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加

1 1 ( 2.2)

血中アミラーゼ増加 3 3 ( 6.7)

血中ビリルビン増加 2 2 ( 4.4) 血中クレアチンホスホキナーゼ増加

2 2 ( 4.4)

血中乳酸脱水素酵素増加 1 1 ( 2.2)

血圧上昇 1 1 ( 2.2)

C-反応性蛋白増加 3 3 ( 6.7) γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加

5 5 ( 11.1)

尿中ブドウ糖陽性 1 1 ( 2.2)

尿中血陽性 1 1 ( 2.2)

心拍数減少 1 1 ( 2.2)

リンパ球数減少 3 3 ( 6.7)

好中球数減少 3 3 ( 6.7)

好中球数増加 1 1 ( 2.2)

血小板数減少 2 2 ( 4.4)

白血球数減少 3 3 ( 6.7)

白血球数増加 1 1 ( 2.2)

代謝および栄養障害 5 5 ( 11.1)

体液貯留 1 1 ( 2.2)

低アルブミン血症 1 1 ( 2.2) 食欲減退 3 3 ( 6.7)

筋骨格系および結合組織障害 5 5 ( 11.1)

関節痛 1 1 ( 2.2)

背部痛 3 3 ( 6.7) 頚部痛 1 1 ( 2.2) 良性、悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)

1 1 ( 2.2)

腫瘍出血 1 1 ( 2.2)

神経系障害 34 23 ( 51.1)

脳梗塞 3 3 ( 6.7)

痙攣 4 4 ( 8.9)

浮動性めまい 1 1 ( 2.2)

頭痛 16 12 ( 26.7)

不全片麻痺 3 3 ( 6.7)

片麻痺 2 2 ( 4.4)

水頭症 1 1 ( 2.2)

感覚鈍麻 2 1 ( 2.2)

橈骨神経麻痺 1 1 ( 2.2) 部分発作 1 1 ( 2.2)

精神障害 10 7 ( 15.6)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

14

器官別大分類(SOC) 基本語(PT)

件数 例数 (%) (N=45)

不安 1 1 ( 2.2)

譫妄 1 1 ( 2.2)

うつ病 2 2 ( 4.4)

不眠症 3 3 ( 6.7) 落ち着きのなさ 3 3 ( 6.7)

腎および尿路障害 2 2 ( 4.4)

血尿 2 2 ( 4.4)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 3 3 ( 6.7)

しゃっくり 1 1 ( 2.2)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 誤嚥性肺炎 1 1 ( 2.2)

口腔咽頭痛 1 1 ( 2.2)

皮膚および皮下組織障害 14 11 ( 24.4)

褥瘡性潰瘍 2 2 ( 4.4)

薬疹 2 2 ( 4.4)

紅斑 1 1 ( 2.2)

皮下出血 2 2 ( 4.4)

そう痒症 3 3 ( 6.7)

発疹 1 1 ( 2.2)

全身性皮疹 1 1 ( 2.2)

皮膚剥脱 1 1 ( 2.2)

蕁麻疹 1 1 ( 2.2)

血管障害 1 1 ( 2.2)

高血圧 1 1 ( 2.2)

2) 副作用

本試験の副作用の集計を表 2.7.6.1-13 に示した。

副作用は 45 例中 11 例(24.4%)に 15 件発現した。器官別副作用は、「胃腸障害」が 3例

(6.7%)5件、「臨床検査」が 3例(6.7%)4件、「一般・全身障害および投与部位の状態」

が 2例(4.4%)3件、「肝胆道系障害」が 2例(4.4%)2件及び「腎および尿路障害」が 1

例(2.2%)1件であった。

「胃腸障害」の内訳は、悪心が 3 例 3 件、嘔吐が 2 例 2 件であった。すべてが本剤投与日

に発現したが、程度はいずれも中等症以下であった。「臨床検査」の内訳は、血中乳酸脱水

素酵素増加、γ-GTP 増加、リンパ球数減少及び血小板数減少がそれぞれ 1 例 1 件であった。

程度は、血小板数減少が重症、残りの事象は中等症以下であった。「肝胆道系障害」の内訳

は 2例とも肝機能異常であり、1例は重症、1例は死亡であった。死亡した症例の肝機能異常

を治験責任医師は、重症度を「死亡」と報告したが、転帰として死亡となったことによる記

載であり、当該事象は死亡の原因ではないと判定した。「一般・全身障害および投与部位の

状態」の内訳は、すべて発熱であり、程度はいずれも中等症以下であった。「腎および尿路

障害」の内訳は血尿が 1例 1件であり、程度は軽症であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

15

表 2.7.6.1-13 副作用(PT 別)発現例数の集計

器官別大分類(SOC) 基本語(PT)

件数 例数 (%) (N=45)

すべての副作用 15 11 ( 24.4)

胃腸障害 5 3 ( 6.7) 悪心 3 3 ( 6.7) 嘔吐 2 2 ( 4.4)

一般・全身障害および投与部位の状態 3 2 ( 4.4) 発熱 3 2 ( 4.4) 肝胆道系障害 2 2 ( 4.4) 肝機能異常 2 2 ( 4.4)

臨床検査 4 3 ( 6.7)

血中乳酸脱水素酵素増加 1 1 ( 2.2) γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加

1 1 ( 2.2)

リンパ球数減少 1 1 ( 2.2)

血小板数減少 1 1 ( 2.2)

腎および尿路障害 1 1 ( 2.2)

血尿 1 1 ( 2.2)

3) 死亡、その他の重篤な有害事象及び他の重要な有害事象

本試験において、1 例(被験者番号: )が死亡した。当該被験者には 2 件の重篤

な有害事象が発現し、その内訳は敗血症性ショック及び肝機能異常がそれぞれ1件であった。

これらのうち、死亡の原因は敗血症性ショックであり、治験責任医師は本剤との因果関係は

否定したが、肝機能異常は本剤との因果関係がありと判定した。当該肝機能異常について、

治験責任医師は「事象の発現に本剤の関与が否定できないが、重症化には敗血症及び敗血症

の治療に対して投与された薬剤の寄与が大きい」と考察した。また、肝機能異常の重症度を

「死亡」と報告したが、転帰として死亡となったことによる記載であり、当該事象は死亡の

原因ではないと判定した。

本試験において、その他の重篤な有害事象は 6 例に 8 件認められ、その内訳は薬疹、術後

創感染と肝機能異常、細菌性髄膜炎と水頭症、血小板数減少、発熱及び腫瘍出血がそれぞれ 1

例であった。これらのうち、血小板数減少及び発熱を本剤との因果関係がありと治験責任医

師は判定した。本剤と関連した重篤な有害事象の内容を表 2.7.6.1-14 に示した。

本試験では、肝機能検査値が CTCAEグレード 3以上に上昇した場合に、重要な有害事象とし

て取り扱った。重要な有害事象の内容を表 2.7.6.1-15 に示した。2例の肝機能異常で本剤との

因果関係がありと判定され、1 例(患者番号 )は敗血症性ショックにより死亡した

患者であり、上述した。もう 1 例(患者番号 )は細菌性髄膜炎及び水頭症が発現し

た症例で細菌性髄膜炎の発症 2日後に肝機能異常が認められ、翌日 ALT が CTCAE グレード 3と

なった。なお、本事象のその後の経過は回復であった。細菌性髄膜炎の発現後に、複数の抗生

剤を含む併用薬が使用されており、それらによる要因も考えられたが、本剤投与後であるため

に本剤との因果関係は否定できないと判断された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

16

表 2.7.6.1-14 本剤に関連した重篤な有害事象

患者番号 事象の内容

肝機能上昇(ALT、AST、Al-P、γ-GTP)が発現し、本剤投与後 5日のγ-GTPは 2200 IU/L

(CTCAE グレード 4)であった。

治験責任医師は、本剤投与後に肝機能検査値が上昇していることから、本剤との因果

関係を完全に否定することは困難であると判断し、因果関係がありと判定した。なお、

この患者は敗血症性ショックを併発し死亡したが、治験責任医師は「事象の発現に本

剤の関与が否定できないが、重症化には敗血症及び敗血症の治療に対して投与された

薬剤の寄与が大きい」と考察した。また、肝機能異常の重症度を「死亡」と報告した

が、転帰として死亡となったことによる記載であり、当該事象は死亡の原因ではない

と判定した。

本剤投与後 32 日に、CTCAE グレード 3 の血小板数減少(PLT:34000/μl)が発現し

た。出血傾向は認められなかった。処置により、その 3日後に軽快、7日後に回復し

たと判断された。

当該事象はテモダールの影響である可能性も考えられるが、この患者がこれまでの

テモダール服用時に経験した程度よりも、著明な血小板数減少が見られた。また、当

該事象は本剤投与後の事象であったことから、治験責任医師は本剤との因果関係は完

全には否定できないと判断し、因果関係がありと判定した。なお、当該被験者の悪性

神経膠腫は再発であり、以前の脳腫瘍摘出手術においても 5-ALA(研究用)を服用し

たが、血小板数の減少は認められていなかった。

本剤投与後 22 日に中等症の発熱が発現した。処置を行い、当該事象発現後 14日に回

復と判断した。

治験責任医師は、当該事象は感染に起因する可能性が考えられたが感染源を特定する

ことができず、本剤投与後に発現していることから、本剤との因果関係は完全には否

定できないと判断し因果関係がありと判定した。

表 2.7.6.1-15 重要な有害事象一覧

患者番号 有害事象名

(SOC/PT/医師記載) 発現日 (投与後)

重症度 重篤度 転帰 治験薬との 因果関係

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能障害 (AST、ALT、γ-GTP 上昇)

19 日 重症 非重篤 消失又は回復 なし

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能障害 (AST、ALT、ALP、γ-GTP)

9 日 重症 重篤 消失せず又は 未回復*

なし

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能障害 (AST、ALT、γ-GTP の上昇)

10 日 重症 非重篤 消失又は回復 あり

肝胆道系障害 /肝機能異常 /肝機能値上昇 (AST、ALT、ALP、γ-GTP)

4 日 死亡** 重篤 その他 あり

臨床検査 /γ-GTP 増加 /γ-GTP 上昇

4日 重症 非重篤 消失せず又は 未回復*

なし

* :治験薬との因果関係がないことより、追跡を終了した。

** :敗血症性ショック(治験薬との因果関係なし)により死亡した症例であり、重症度を「死亡」と報告

したが、転帰として死亡となったことによる記載であり、肝機能異常は死亡の原因ではないと判定した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

17

(4) まとめ

本剤投与により高い陽性診断率が示され、特に強蛍光領域ではほぼ 100%の診断率であるこ

とから、腫瘍組織を特異的に視覚化できた。これに対し、弱蛍光領域では正常細胞が混在して

おり、強蛍光領域に比べると腫瘍細胞数が極めて少ない領域であることから、本剤投与により

70%の陽性診断率を示したことは妥当な結果と考えられた。これらの結果から、悪性神経膠腫

における強蛍光領域では確実に腫瘍を切除することが可能となり、また、弱蛍光領域では少な

からず腫瘍細胞が存在していることがわかり、安全性に問題がなければ切除することが可能と

なることから、本剤投与による切除率の向上が期待される。

また、本剤投与により良好な薬物動態を示し、本剤を麻酔導入前 3時間(範囲:2~4時間)

に経口投与することにより、開頭後腫瘍切除が実施される時期に、蛍光発色本体である PPIX

の血漿中濃度が高値を示すことが推定され、薬物動態的にも本剤の投与タイミングの適切性が

示された。

本試験で見られた副作用は、いずれも外国で報告されているものであり、国内外の安全性の

プロファイルに大きな差はないと考えられた。

本試験において重篤な有害事象や肝機能異常を示した重要な有害事象が認められたが、手術

による影響、手術後の合併症やその治療薬、他の抗癌剤によるの治療による影響など、本剤以

外の要因によるところは否定できないと考えられた。悪性神経膠腫における本剤の投与に当た

っては、これらの要因に十分留意することで、安全に使用できると考えた。

以上の有効性及び安全性の結果から、本剤 20 mg/kg 経口投与は悪性神経膠腫の腫瘍摘出術

中における腫瘍組織の視覚化を目的とする体内診断薬として有用であり、腫瘍摘出術の向上に

寄与することができると考えられた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

18

2.7.6.2 MC-ALS.20/BV 試験

(添付資料 5.3.1.1-1 参)

2.7.6.2.1 試験方法

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.20/BV

試験表題名 健康成人男性における 5-アミノレブリン酸 20 mg/kg 経口投与の 2 mg/kg 静脈

内投与と比較した単回投与の生物学的利用率試験

試験の目的 主目的:健康成人男性における本剤 20 mg/kg 経口投与時の絶対的バイオアベ

イラビリティを検討する。

副次目的:経口投与後の最小紅斑量を指標とした皮膚の光感作期間及び対応す

る PPIX 血漿中濃度を評価する。

試験デザイン 非盲検、単回投与、無作為化

被験者数 計画時:21 例、解析時:21 例

(絶対的バイオアベイラビリティ評価:12 例、薬力学的評価:21 例)

対象 18~55 歳、非菜食主義者である白人健康男性

使用薬剤 被験薬:本薬を水に溶解し経口投与用に調製

ロット番号 、

対照薬:本薬を静脈内投与用に調製

ロット番号

投与方法 (b1)被験薬:本剤 20 mg/kg を 10 時間の絶食後に 1回、経口投与

(b2)対照薬:本剤 2.0 mg/kg を臥位で 3分間かけて 1回、静脈内投与

評価項目 薬物動態:主要パラメータ;血漿中データ(AUC∞)及び尿中排泄データ(Ae)

から算出した絶対的バイオアベイラビリティ

副次パラメータ;本剤の tmax、t1/2、Ae、Cmax

(採血時間:投与前、投与後 0.25、0.5、1、1.5、2、 2.5、3、4、6、

8、10、12、24、48 時間)

薬力学:最小紅斑量(Minimal Erythema Dose、 以下「MED」)

血漿中 PPIX 濃度

安全性:身体所見、バイタルサイン、心電図、有害事象、血液生化学検査、血

液学検査、尿検査

観察期間 薬物動態・薬力学評価群:6日間(b2 投与後 2日まで)

薬力学のみ評価群 :4 日間(b1 投与後 3日まで)

解析方法 薬物動態:各被験者の血漿中 5-ALA 濃度及び薬物動態パラメータ;幾何平均

値、算術平均値、標準偏差、変動係数、中央値、範囲を統計的に記述

した。

薬力学:MED;投与前との比較について算術平均値、標準偏差、変動係数、中

央値、範囲によって統計的に記述した。くり返しの測定値は時間の要

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

19

因を含む反復測定分散分析を実施。MED と対応する血漿中 PPIX 濃度

はグラフで示した。

安全性:すべての有害事象を、発現時期、持続期間、頻度、重症度、重篤性、

治験薬との関連性、転帰、処置に関する情報と共に記載した。

施設名 (ドイツ)(1施設)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2.7.6.2.2 試験結果

試験に組み入れられた白人健康成人男性 21 例は、無作為に下記の 2 つのグループに割付ら

れ、全例が解析対象とされた。

グループ 1:12 例(入院第 1日 b1投与、第 4日 b2 投与)

グループ 2:9例(入院第 1日 b1投与)

平均年齢は、29.4±6.6歳(範囲:20~45 歳)、平均体重 78.3±8.9 kg(範囲:64~95 kg)、

BMI 24.8±2.0 kg/m2(範囲:21.7~28.4 kg/m2)であった。

(1) 薬物動態

1)薬物動態パラメータ

a) 本剤の薬物動態パラメータ

本剤 20 mg/kg 経口投与及び 2.0 mg/kg 静脈内投与後の薬物動態パラメータを表 2.7.6.2-1

に示す。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

20

表 2.7.6.2-1 NPC-07 20 mg/kg 経口投与及び 2.0 mg/kg 静脈内投与後の

5-ALA 薬物動態パラメータ(n=12)

薬物動態パラメータ 20 mg/kg 経口投与(b1) 2.0 mg/kg 静脈内投与(b2)

AUC∞[mg・h/L]

33.13 (1.26)

34.15

(17.94-41.17)

3.31 (1.30)

3.46

(1.76-4.93)

tmax[h]

n.a.(n.a.)

0.76

(0.50-1.00)

n.a.(n.a.)

0.17

(0.15-0.17)

t1/2 [h]

0.92 (1.17)

0.88

(0.79-1.34)

0.69 (1.36)

0.71

(0.41-1.08)

Cmax[mg/L]

20.90 (1.25)

20.76

(11.65-27.67)

6.12 (1.39)

6.77

(2.90-8.49)

Ae [mg]

420.62 (108.16) *

398.68

(300.83-673.03)

45.17 (17.01) *

43.73

(15.50-73.27)

Ae [% of dose]

33.62 (7.93) *

30.58

(27.08-56.61)

35.40 (12.84) *

32.30

(15.72-61.62)

AUC∞ratio[%]

1000.16 (1.14)

979.70

(784.68-1311.63)

n.a.(reference)

Ae ratio[%]

1047.93 (336.47) *

951.28

(727.08-1943.00)

n.a.(reference)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、中段:中央値、下段:最小値-最大値、* 算術平均値(標準偏差)、

n.a.:not available

注)b2群の Ae値:n=10

b) PPIX の薬物動態パラメータ

PPIX の薬物動態パラメータを表 2.7.6.2-2 に示す。

表 2.7.6.2-2 NPC-07 20mg/kg 経口投与後の PPIX 薬物動態パラメータ(n=12)

パラメータ 20 mg/kg 経口投与(b1)

AUC∞[μg・h/L]

1875.66 (1.47)

1906.64

(970.73-3431.63)

tmax[h]

n.a.(n.a.)

4.00

(2.50-8.00)

t1/2 [h]

3.57 (1.82)

4.04

(1.19-7.76)

Cmax[μg/L]

279.05 (1.36)

259.18

(170.91-561.67)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、中段:中央値、下段:最小値-最大値、n.a.:not available

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

21

2) 血漿中濃度推移

本剤 20 mg/kg 経口投与後の血漿中 5-ALA 及び PPIX濃度の推移を図 2.7.6.2-1 に示す。

図 2.7.6.2-1 NPC-07 経口投与後の血漿中 5-ALA 及び PPIX 濃度の推移

3) 絶対的バイオアベイラビリティ

本剤 20 mg/kg 単回経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティを表 2.7.6.2-3 に示す。

各被験者について、本剤 20 mg/kg 経口投与時の AUC∞及び尿中累積排泄量(投与後 12 時間

までの Ae)を 2 mg/kg 静脈内投与時のパラメータと比較して、絶対的バイオアベイラビリテ

ィを算出した。AUC∞及び Aeより算出した本剤 20 mg/kg 経口投与の絶対的バイオアベイラビ

リティは、それぞれ 100.02%及び 104.79%であった。本剤(20 mg/kg 経口投与)は消化管か

らの完全な吸収を示した。

表 2.7.6.2-3 絶対的バイオアベイラビリティ

投与量・投与方法 絶対的 BA(%)* パラメータ

(5-ALA) b1(20 mg/kg,経口) b2(2 mg/kg,静脈内) [Ratio b1/b2]

AUC∞[mg・h/L] 33.13 (1.26) ** 3.31 (1.30) ** 100.02

Ae[mg] 420.62 (108.16) *** 45.17 (17.01) *** 104.79 * 投与量の調整後、** 幾何平均値(幾何標準偏差)、*** 算術平均値(標準偏差)

(2) 薬力学的評価

1) 最小紅斑量(MED)

本試験の薬力学的評価には、健康成人男性 21 例が組み入れられ、経口投与後の最小紅斑量

(MED)及びその血漿中 PPIX 濃度を観察した。皮膚光感作の評価では、本剤投与前、投与後

12、24 及び 48 時間において、背部及び殿部の一部分に、8段階の線量の紫外線を照射した(照

射熱量:5~56 J/cm2、光強度:約 60 mW/cm2、波長:330~450 nm)。即時反応及び遅発反応

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

22

は、紫外線照射開始後 16 分及び 24 時間にそれぞれ判定した。

本剤投与後の MED(即時反応、遅発反応)及び血漿中 PPIX 濃度を表 2.7.6.2-4 に示した。

即時反応での MED は本剤投与後 12 時間及び 24 時間において、投与前に比較し有意に低下

していることが認められたが(P<0.0001 分散分析)、48 時間では投与前の値に複した。遅発

反応については、本剤投与後 12 時間においてのみ MED の低下が認められた。また、血漿中 PPIX

濃度と MED 値(即時及び遅発反応)との相関性を検討し、表 2.7.6.2-5 に示した(P<0.0001 分

散分析)。ピアソン及びスピアマンによる検討の結果、相関係数は-0.1479~0.4021 と小さく、

血漿中 PPIX 濃度と MEDには相関関係は認められなかった。

表 2.7.6.2-4 NPC-07 投与後の MED(即時反応、遅発反応)及び血漿中 PPIX濃度(n=21)

照射時期 血 漿 中

PPIX 濃度

即時反応 遅発反応

[μg/L] MED (J/cm2) x/x0 MED (J/cm2) x/x

0

ベースライン(x0) < LLQ 18.19±4.38 1.00±0.00 23.81±7.59 1.00±0.00

投与後 12時間 104.44 7.38±3.41 0.42±0.19 6.05±2.22 0.28±0.14

投与後 24時間 10.12 8.52±3.39 0.50±0.25 21.71±7.16 1.03±0.54

投与後 48時間 < LLQ 17.33±5.49 0.98±0.32 28.00±12.87 1.32±0.83

MED = 最小紅斑量 LLQ = 定量下限

表 2.7.6.2-5 PPIX 濃度と MED との相関係数(n=21)

投与後の

時間(h)

反応 回帰直線の切片 回帰直線の傾き ピアソンの相関

スピアマンの

相関

12 即時 133.12.12 -68.5974 -0.1479 -0.0938

12 遅延 85.0494 68.6714 0.1054 0.2012

24 即時 7.7169 3.8596 0.1453 0.2262

24 遅延 6.0311 3.5230 0.2876 0.4021

2) 血漿中 PPIX 濃度と MED との相関関係

即時反応では投与後 12 時間及び 24 時間の MED の低下が認められ、遅延反応では投与後 12

時間の MED の低下が認められたが、血漿中 PPIX濃度との明らかな相関関係は認められなかっ

た。

(3) 安全性

20 mg/kg 経口投与された 1 例において、投与後 2.02 時間に軽度の悪心がみられ、薬剤と多

分関係ありと評価されたが、処置なく 3時間後には消失した。その他、臨床検査値異常、血圧、

心拍数、心電図、身体所見などに特に異常は認められなかった。

健常成人において、本剤 20 mg/kg 単回経口投与時の良好な忍容性が認められた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

23

2.7.6.3 MC-ALS.8-I/GLI 試験

(添付資料 5.3.5.1-1 参)

2.7.6.3.1 方法

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.8-I/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅰ/Ⅱ

相試験

試験の目的 主目的:

・ 用量(0.2、2、20 mg/kg)に対して、腫瘍中心部の蛍光の範囲(白色光下で識

別される腫瘍中心部の範囲との比較)及び腫瘍中心部の蛍光の質(「強」「弱」

「なし」)について用量相関関係を検討する。

副次目的:

・ 主観的評価により蛍光の質が評価された領域を、客観的コントロールとし

て分光測定法により測定する。

・ 分光測定法の測定結果との比較のため、術中に採取した生検組織の組織学

的検査を行う。

・ 正常組織と腫瘍組織間の最適なコントラストの算出を設定したが、実施し

なかった。

・ 蛍光切除術の容易化に関する評価を実施する。

・ 本剤の安全性評価を実施する。

・ 本剤(5-ALA)と PPIXの薬物動態を検討する。

試験デザイン 無作為化、二重盲検、3群(0.2、2、20 mg/kg)比較

(病理組織診断、放射線学的診断は盲検化)

被験者数 計画時:21 例(各群 7例)、解析時:21例(各群 7例)

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)

と推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍手術であり、前治療がされていない患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 70以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L)の患者

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

24

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解を不可能にする精神状態及びそれによる

文書同意不能の患者

・ 本治験前 30 日以内に他の治験に参加した患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5 g 含有する凍結乾燥製剤

ロット番号

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3時間(範囲:2.5~3.5 時間)に本剤 0.2、

2 又は 20 mg/kg を単回経口投与する

評価項目 主要評価項目:腫瘍中心部での蛍光の範囲及び蛍光の質と投与量との用量相関

関係

・ 腫瘍中心部での蛍光の範囲と 3用量の用量相関関係

蛍光の範囲:白色光下で識別した腫瘍中心部でどの程度の範囲で蛍光を

発していたかを 4段階で判定(0/3、1/3、2/3、3/3)

・ 腫瘍中心部での蛍光の質と 3用量の用量相関関係

蛍光の質:腫瘍中心部の蛍光の質を「強蛍光」、「弱蛍光」、「なし」の 3

段階で判定

検査領域及び生検

検査領域 生検箇所の数 生検数/箇所

腫瘍中心部

強い蛍光領域

弱い蛍光領域

非蛍光領域

腫瘍境界部

強い蛍光領域

弱い蛍光領域

非蛍光領域

正常部

2

2

2

2

2

2

3(可能な場合)

1

1

1

1

1

1

1

副次評価項目:

・ 蛍光の質に関する主観的評価を客観化:蛍光の質に対応した領域の分光測

定法による測定

・ 分光計測定法による蛍光の質と採取した生検組織の腫瘍細胞密度の分析

・ 蛍光誘導切除術による容易化の評価(4段階)

薬物動態:5-ALA、PPIX:t1/2、AUC∞、Cmax、tmax

(採血時間:投与前、投与後 0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、6、

7、8、10、12、18、24、48 時間)

安全性:有害事象, 臨床検査、一般状態(KPS スコア)、神経学的状態(NIH Stroke

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

25

Scale)

観察期間 投与後 28 日間

症例数 症例数を算出するために、蛍光強度/質(腫瘍中心部での完全対不完全蛍光)

の2つの属性のみを目標変数とした二項モデルを選択した。低用量で完全な蛍

光範囲・質を示す患者の割合 10%未満、中用量では 50%、高用量では 90%と

仮定し、片側検定の第一種の過誤 5%、検出率 90%とすると、評価に必要な例

数は、1群 7例と算出された。

解析方法 腫瘍中心部の蛍光の範囲及び腫瘍部の質との用量相関性についてJonckheere-

Terpstra 検定を用いる。また、対比較では Wilcoxon-Mann-Whitney 検定を用

いる。

施設名 (ドイツ)

(1施設)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2.7.6.3.2 試験結果

(1) 症例の構成

21 例全例が無作為化され、治験薬が投与され、全例が切除術後 28 日間の観察期間を終了し

た。21 例全例が選択基準を満足し、有効性、安全性の解析対象とされた。

(2) 有効性

1) 解析のデータセット

21 例全例(各群 7例)が有効性の解析対象とされた。

2) 人口統計学的データ及び最終診断名

各投与群の人口統計学的データ及び最終診断名を表 2.7.6.3-1 に示す。

表 2.7.6.3-1 人口統計学的データ及び最終診断名

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

(歳)

中央値(範囲)

平均値(SD)

≦55

>55

59.0(57-65)

59.7( 2.5)

0

7( 100%)

63.0(51-70)

61.3( 6.9)

1( 14%)

6( 86%)

62.0(37-69)

56.0(13.5)

3( 43%)

4( 57%)

男性

女性

4(57%)

3(43%)

4(57%)

3(43%)

6(86%)

1(14%)

(kg)

中央値(範囲)

平均値(SD)

70.0(66.0-102.0)

75.8( 12.80)

73.0(52.0-101.5)

78.8( 19.68)

74.0(62.0-82.0)

72.9( 6.54)

最 終 診 断 名

退形成性星細胞腫

膠芽腫

膠肉腫

0

7(100%)

0

0

5(71%)

2(29%)

1(14%)

6(86%)

0

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

26

3) 主要評価項目

図 2.7.6.3-1 に投与量ごとの腫瘍中心部での蛍光の範囲、図 2.7.6.3-2 に投与量ごとの腫

瘍中心部での蛍光の質を示した。

腫瘍中心部において、投与量と蛍光の範囲及び蛍光の質との間には増加傾向が認められた

(蛍光の範囲及び質、いずれも P<0.0001 Jonckheere-Terpstra 検定)。また、3 用量群間で、

蛍光の範囲及び蛍光の質に関して、統計学的に有意差が見られた(Wilcoxon-Mann-Whitney

検定)。最高投与量である 20 mg/kg では腫瘍中心部の蛍光の範囲及び質において最も効果的

であった。

図 2.7.6.3-1 投与量ごとの腫瘍中心部での蛍光の範囲

蛍光の範囲(腫瘍中心部)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

27

図 2.7.6.3-2 投与量ごとの腫瘍中心部での蛍光の質

4) 副次評価項目

a) 分光測定法により測定した腫瘍中心部及び腫瘍境界部の蛍光強度と主観的に評価された

蛍光の質との比較

主観的に評価した蛍光の質(「強蛍光」、「弱蛍光」、「なし」)と、分光測定法による蛍光強

度とは有意な増加傾向を示した。「強蛍光」と評価された蛍光の質は、分光測定法による高度

の蛍光強度と有意に一致することを示した。この一致は、腫瘍中心部及び腫瘍境界部のいず

れにおいても同様にみられ、統計学的に有意であった(いずれも P<0.0001

Jonckheere-Terpstra 検定)。

腫瘍中心部における 3つの蛍光の質は、それぞれお互いに有意に異なっていた(なし対弱:

P=0.001、弱対強:P=0.002、なし対強:P<0.0001 Wilcoxon-Mann-Whitney 検定)。

b) 分光測定法による蛍光の測定結果と生検組織の組織学的検査

20mg/kg 投与群において、腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の面積比

率の平均)と分光測定法による蛍光強度との間には有意な正相関が認められた(P=0.011

Spearman Correlation Coefficient 0.5)。

c) 蛍光誘導切除術による容易化の評価

蛍光誘導切除術は術者による 4 段階の印象による評価により、腫瘍切除を容易にしたとの

評価と用量の相関が傾向検定により示され、最高用量(20 mg/kg 投与群)では最も容易化し

たとされた(P<0.0001 Jonckheere-Terpstra 検定)。

なお、正常組織と腫瘍組織間の最適なコントラストの算出は、正常組織の蛍光強度の測定

がこの試験では必須ではなかったことから、実施されなかった。

蛍光の質(腫瘍中心部)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

28

(3) 薬物動態

本剤は経口投与後に速やかに吸収され、0.2、 2 及び 20 mg/kg 投与群での 5-ALA の tmaxの幾

何平均値(以下、同様)はそれぞれ 0.50、 0.61、 0.94 時間であった。また、本剤は早期に排

泄され、t1/2は 0.85~3.05 時間で、AUC∞と Cmax は用量に比例して上昇した。また、PPIXの血

漿中濃度は 2 mg/kg 群から上昇し、 AUC∞は、2 mg/kg 及び 20 mg/kg 投与群で、それぞれ 255.80

μg・h/L、779.90 μg・h/L であった。表 2.7.6.3-2 に本剤単回投与後の 5-ALA 薬物動態パラメ

ータ、表 2.7.6.3-3 に本剤単回投与後の PPIX 薬物動態パラメータをそれぞれ示した。また、

20mg/kg 投与での血漿中 PPIX 濃度推移に患者間のばらつきが認められた。患者ごとの PPIX 濃

度を表 2.7.6.3-4 に示した。

表 2.7.6.3-2 NPC-07 単回投与後の 5-ALA 薬物動態パラメータ

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

AUC∞ [mg・h/L]

0.540(1.98)

0.424(0.247-1.780)

3.326(1.60)

2.901(1.602-5.880)

26.915(1.19)

27.144(20.413-34.626)

t1/2 [h]

0.85(1.71)

0.75(0.51-2.38)

1.12(2.00)

0.84(0.45-2.44)

3.05(2.09)

1.94(1.60-10.04)

Cmax [mg/L]

0.257(1.20)

0.275(0.196-0.311)

2.104(1.57)

1.863(0.987-3.758)

8.272(1.11)

8.239(7.417-9.701)

tmax [h]

0.50(1.75)

0.50(0.23-1.00)

0.61(1.77)

0.50(0.25-1.47)

0.94(1.51)

1.00(0.52-2.00)

上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、下段:中央値(範囲)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

29

表 2.7.6.3-3 NPC-07 単回投与後の PPIX薬物動態パラメータ

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

AUC∞ [μg・h/L]

n.c. 255.80(2.46)

318.94(54.97-572.60)

779.90(2.73)

862.04(247.96-2655.06)

t1/2 [h]

n.c. 2.90(1.36)

3.19(1.62-3.83)

2.61(1.63)

3.38(1.52-4.08)

Cmax [μg・/L]

n.c. 32.28(2.28)

27.22(9.87-83.20)

nc

101.71(0.000-258.83)

tmax [h]

n.c. 4.81(1.37)

4.92(2.90-6.92)

5.73(1.58)

5.48(2.97-11.92)

n.c.: not calculated、上段:幾何平均値(幾何標準偏差)、下段:中央値(範囲)

表 2.7.6.3-4 血漿中 PPIX 濃度(患者別、単位:μg/L)

患者番号

時間(h)

0.00 * * * * * * *

0.25 * * * * * * *

0.50 * * * * * * *

0.75 6.64 * * * * 10.39 5.38

1.00 19.68 * 5.50 * * 18.52 7.41

1.50 8.09 * 7.67 * * 59.68 14.27

2.00 37.21 * 12.30 * * 67.86 26.45

3.00 13.10 * 9.62 101.71 * 104.04 49.14

4.00 52.32 8.84 17.04 5.94 * 182.21 84.15

5.00 238.54 7.66 34.68 34.80 * 171.70 152.31

6.00 210.65 5.23 18.54 11.67 * 185.07 157.53

7.00 74.60 5.54 24.11 * * 258.83 -

8.00 49.21 10.72 30.27 11.60 * 206.34 140.25

10.00 65.81 12.69 28.03 12.05 * 173.20 156.66

12.00 7.06 13.71 12.62 13.51 * 148.59 63.48

18.00 * * 6.22 * * 42.99 16.63

24.00 * * * * * 18.95 6.72

48.00 * * * * * * *

*:定量下限未満(<5.18μg/L)

-:Not valid result

(4) 安全性

21 例(各群 7例)全例が安全性の解析対象とされた。

1) 有害事象

全体的な有害事象の発現は 3群ともに類似しており、0.2 mg/kg 投与群 6/7 例、2 mg/kg 投

与群 6/7 例、20 mg/kg 投与群 7/7 例であった。発現内容は表 2.7.6.3-5 に示した。3 群とも

に共通して多く発現した有害事象は、CTC 分類の神経系で、言語障害、頭痛、及び神経-運動

系に関連するものであった。20 mg/kg 投与群の 1例に、治療が必要である軽度の日光皮膚炎、

軽度の光線過敏症、中等度の発熱が認められ、治験薬との関連性があると判断された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

30

表 2.7.6.3-5 有害事象一覧表

8-I/GLI

0.2 mg/kg

PO

2 mg/kg

PO

20 mg/kg

PO 計 身体所見 / 有害事象

N = 7 N = 7 N = 7 N = 21

有害事象例数 4 (57.1%) 4 (57.1%) 5 (71.4%) 13 (61.9%)

消化管 1 (14.3%) 2 (28.6%) 0 3 (14.3%)

悪心 1 (14.3%) 2 (28.6%) 0 3 (14.3%)

嘔吐 0 1 (14.3%) 0 1 ( 4.8%)

下痢 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

心臓全般 2 (28.6%) 3 (42.9%) 3 (42.9%) 8 (38.1%)

律動異常 0 1 (14.3%) 0 1 ( 4.8%)

その他心臓全般 0 1 (14.3%) 0 1 ( 4.8%)

高血圧 1 (14.3%) 2 (28.6%) 3 (42.9%) 6 (28.6%)

低血圧 2 (28.6%) 1 (14.3%) 0 3 (14.3%)

浮腫 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

肺 1 (14.3%) 1 (14.3%) 0 2 ( 9.5%)

呼吸困難 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

肺炎 (非感染) 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

咳 0 1 (14.3%) 0 1 ( 4.8%)

腎 / 膀胱 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

血尿 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

神経系 2 (28.6%) 2 (28.6%) 1 (14.3%) 5 (23.8%)

神経障害:運動性 0 1 (14.3%) 0 1 ( 4.8%)

神経障害:大脳皮質性 0 1 (14.3%) 0 1 ( 4.8%)

神経障害:気分性 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

頭痛 0 2 (28.6%) 1 (14.3%) 13 (61.9%)

人格変化 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

言語障害 2 (28.6%) 0 0 2 ( 9.5%)

振戦 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

皮膚科 / アレルギー 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

日光皮膚炎 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

光線過敏症 0 0 1 (14.3%) 1 ( 4.8%)

全身症状 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

打撲 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

発熱 / 感染 / 感冒症状 2 (28.6%) 4 (57.1%) 3 (42.9%) 9 (42.9%)

全身状態 2 (28.6%) 0 1 (14.3%) 3 (14.3%)

術後中枢神経出血 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

疼痛 1 (14.3%) 0 0 1 ( 4.8%)

2) 死亡

治験薬の投与期間中及び 28 日間の追跡観察期間中に死亡例はなかった。

3) 重篤な有害事象

重篤な有害事象は、0.2mg /kg 投与群 2 例(29%)、2 mg/kg 投与群 1 例(14%)、20 mg/kg

投与群 1 例(14%)に認められた。0.2 mg/kg 投与群の 1 例は術後の帽状腱膜下出血、他の 1

例は術後 7日の肺炎(呼吸困難、発熱)であった。2 mg/kg 投与群の 1例では創傷部からの術後

出血、20 mg/kg投与群の1例では軽度の髄膜症及び発熱であった(抗生剤で早期に回復した)。

いずれの重篤な有害事象も治験薬との関連性はないと報告された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

31

4) 臨床検査

血液学的検査では、治験薬に関連した臨床的に重要な変動はみられなかった。血液学検査

値の推移は、Hb、Ht、WBC 増加など、一般的に悪性神経膠腫の切除術を受ける患者で予想され

るものであり、各投与群ともに類似した推移であった。電解質及び腎機能では、治験薬に関

連した臨床的に重要な変動はみられなかった。γ-GTP、ALT、AST で一過性の増加がみられ、

その傾向は最高用量群(20 mg/kg)において最も顕著であった。表 2.7.6.3-6 に、肝機能検

査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値を示した。

表 2.7.6.3-6 肝機能検査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値(平均値 (SD))

投与群 0.2 mg/kg 2 mg/kg 20 mg/kg

検査日 ‒1 +2 +7 +28 ‒1 +2 +7 +28 ‒1 +2 +7 +28

ALT

N-fold ULN

1.131

(0.747)

1.356

(1.972)

1.804

(1.194)

0.756

(0.390)

0.816

(0.225)

0.664

(0.238)

1.321

(0.571)

1.376

(1.327)

1.531

(0.886)

1.370

(0.892)

3.829

(3.059)

0.776

(0.296)

AST

N-fold ULN

0.546

(0.162)

1.087

(0.981)

1.521

(0.631)

0.576

(0.161)

0.511

(0.137)

0.837

(0.160)

1.436

(0.805)

0.780

(0.351)

0.671

(0.286)

1.187

(0.588)

2.443

(1.587)

0.470

(0.060)

-GTP

N-fold ULN

0.847

(0.302)

0.827

(0.943)

1.234

(0.838)

1.607

(1.500)

0.896

(0.203)

0.594

(0.121)

1.141

(0.504)

1.480

(1.187)

1.613

(1.072)

1.597

(1.048)

4.167

(3.335)

2.446

(1.219)

総ビリルビン

N-fold ULN

0.446

(0.180)

0.413

(0.139)

0.380

(0.189)

0.317

(0.131)

0.693

(0.220)

0.676

(0.380)

0.457

(0.174)

0.604

(0.314)

0.440

(0.301)

0.439

(0.130)

0.367

(0.162)

0.306

(0.058)

N-fold ULN:基準値上限に対する倍数換算値

凝固因子(PT、PTT)には、臨床的に重要な変動傾向はみられなかった。生化学検査(CK、

ALP 等)では臨床的に意味のある変動はみられなかった。

ALT、AST、γ-GTP では 14~57%の症例で大きく異常値を示し、薬剤と関連ありと判定され

た。総ビリルビン、ALP、アミラーゼ、CK では、数例が薬剤とおそらく関連ありとして報告さ

れた。その他の投与後異常あるいは悪化した大部分の検査値変動は、治験担当医師により薬

剤との関連はないと判定された。

5)一般状態(KPS スコア)及び神経学的状態(NIH Stroke Scale)

一般状態:術後に KPS スコアが、不変又は改善した患者数は増加し、28 日後では少なくと

も 71%の患者が不変又は改善を示したが、3用量群間では明らかな違いはみられなかった。

神経学的状態 NIH Stroke Scale では、術後及びフォローアップ期間を通して変化は認めら

れなかった。

(5) まとめ

各用量と腫瘍中心部における蛍光範囲及び質との間に用量―有効性の正の関係が明らかと

なった。最高投与量の 20 mg/kg が最も有効であると判定された。腫瘍中心部及び腫瘍境界部と

もに主観的に評価した蛍光の質(「強度」、「微弱」、「なし」)と分光測定法により測定した蛍光

強度は有意に一致しており、腫瘍中心部及び腫瘍境界部ともに当てはまった。蛍光切除術は、

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

32

術者による 4段階の印象による評価により、腫瘍切除を容易にしたとの評価と用量の相関が傾

向検定により示され、最高投与量の 20 mg/kg 投与群では最も容易化したとされた。

薬物動態学的に、本剤は経口投与後に速やかに吸収され、3用量における 5-ALA の t1/2は 0.85

~3.05 時間であった。PPIX の血漿中濃度は 2 mg/kg 投与群から上昇し、 AUC∞は、2 mg/kg 及

び 20 mg/kg 投与群で、それぞれ 255.80 μg・h/L、779.90 μg・h/L であった。

投与した用量のいずれについても、治験薬の使用による安全性の懸念は認められなかった。

有害事象データ及び安全性に関する臨床検査結果は、試験を実施した 3用量群において同等で

あり、悪性神経膠腫摘出の大手術を受けた患者に特徴的なものであった。肝酵素(γ-GTP、

AST/GOT、ALT/GPT)及びアミラーゼ上昇は一過性で臨床症状を伴うものではなかった。

本試験のリスク/ベネフィットから、悪性神経膠腫蛍光誘導切除には本剤 20 mg/kg が最適な

用量であると判断した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

33

2.7.6.4 MC-ALS.28/GLI 試験

(添付資料 5.3.5.2-2 参)

2.7.6.4.1 試験方法

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.28/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する第Ⅱ相試

試験の目的 弱及び強蛍光を発する領域から採取した生検組織における腫瘍細胞がすべて

陽性と判定される患者の割合と定義される蛍光組織の陽性診断率を求める。

試験デザイン 非盲検、単一群、非対照、多施設共同、

中央判定(病理組織診断、神経放射学的診断)

被験者数 計画時:33 例、解析時:36 例

対象 主な選択基準:

・放射線学的診断(MRI検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・外科的腫瘍切除の適応がある患者

・初回の腫瘍手術であり、前治療がされていない患者

・Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60 以上の患者

・文書同意が得られる患者

・年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL) の患者

・肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60 %、 -GTP >

100 U/L)の患者

・他の悪性腫瘍の治療中の患者

・妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・認知症の患者若しくは治療の理解を不可能にする精神状態及びそれによる文

書同意不能の患者

・本治験前 30 日以内に他の治験に参加した患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5 g 含有する凍結乾燥製剤

ロット番号 、 、

投与方法 悪性神経膠腫手術時の麻酔導入前 3 時間(範囲:2.5~3.5 時間)に、本剤 20

mg/kg を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:

・蛍光組織の陽性診断率(蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべて陽性

と判定された患者割合)

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34

副次評価項目:

・蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

・蛍光の質、蛍光強度、腫瘍細胞密度、組織学的評価との相関関係

‐分光測定法で測定された蛍光強度

‐腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の面積比率の平

均)

‐組織学的評価(活性、充実性、増殖性腫瘍;浸潤腫瘍;壊死;正常組織)

・蛍光切除術による切除の容易化の評価

・術中に観察された残存蛍光部位の評価と術後早期(72 時間以内)の MRI 検

査でのコントラスト増強(残存腫瘍)との比較

・本剤の安全性評価

検査領域及び生検

検査領域 生検箇所の数 生検数/箇所

強い蛍光領域

弱い蛍光領域

蛍光近接領域(非蛍光)

腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)(Tumor

distant cortex)

3

3

2(可能な場合)

2(可能な場合)

1

1

1

1

観察期間 投与後 28 日間

症例数 本試験における例数設計は、仮説検定ではなく推定の立場で設定することとし

た。そこで、陽性診断率の 90%信頼区間が検出力 80%で特定の信頼幅に収ま

ることを前提に、陽性診断率の期待値を 90%、最小限の信頼幅を±20%と設

定する時、評価に必要な症例数は 33 例と算出された。

解析方法 正確法である Clopper-Peason 法により得られる 90%信頼区間が陽性診断率の

推定に適用され、また蛍光の質により層別解析された。陽性診断率は同様に生

検との関連性の観点からも解析された。蛍光の質と蛍光の強度又は腫瘍細胞質

との相関はそれぞれ患者内の個人分散を考慮に入れながら患者ベースの方法

で数量化された。Friedman 検定が蛍光の質間の全般的な均質性の探索のため

適用され、対応ある比較のため Wilcoxon 符号付順位検定で確認された。生検

と関連した観点で追加の解析が行われた。ノンパラメトリックな Kruskal

Wallis 検定が、蛍光の質間の全般的な均質性の評価のため使用され、対応あ

る Wilcoxon-Mann-Whitney 検定で確認された。

代表施設名 (ドイツ)(計 4施設)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

35

2.7.6.4.2 試験結果

(1) 症例の構成

切除術前に MRI 検査にて悪性神経膠腫の疑いと判断された 39 例の患者が 4 施設において登

録された。

39 例のうち 6例が除外され、33 例が最大の解析対象集団(Full Analysis Set 、以下「FAS」)

とされ有効性の解析対象とされた。

除外 6例の内訳は、組織所見が選択基準に合致せず 2例、治験薬服用せず 3例、挿管不能の

ため手術が実施されず 1例であった。

また、39例のうち、治験薬が投与されなかった3例を除く36例が安全性解析対象集団(Safety

Analysis Set、以下「SAS」)とされた。

(2) 有効性

1) 解析データセット

FAS である 33 例が有効性の解析対象とされた。

2) 人口統計学的データ及び最終診断名

FAS における人口統計学データ及び最終診断名を表 2.7.6.4-1 に示した。

表 2.7.6.4-1 人口統計学及び最終診断名(FAS)

項目 例数

男性 18 ( 54.5%) 性

女性 15 ( 45.5%)

≦55 13 ( 39.4%)

>55 20 ( 60.6%)

平均値(SD) 56.6 ( 13.4) 年齢(歳)

中央値(範囲) 61.0 ( 21-72)

平均値(SD) 77.1 ( 11.7)

体重(kg) 中央値(範囲) 75.0 (58-105)

WHO グレードⅢ 4 ( 12.1%)

退形成性星細胞腫 4 ( 12.1%)

WHO グレードⅣ 29 ( 87.9%)

名 膠芽腫

膠肉腫

28 ( 84.8%)

1 ( 3.0%)

3) 主要評価項目

蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度(腫瘍細胞によって占められている切片上の面積

比率の平均)を表 2.7.6.4-2 に示した。生検標本は、白色光下で腫瘍部位を切除した後、励

起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して採取した。

強蛍光の生検組織における腫瘍細胞密度は、平均 79.09±20.09%であるのに対し、弱蛍光

では、平均 30.78±27.88%であった。また、4.5%の最小腫瘍細胞密度は、術者により「弱」

蛍光としての判定が可能であった。さらに、すべての蛍光(強及び弱蛍光)による腫瘍細胞

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

36

密度は、平均 79.12±19.78%であった。

表 2.7.6.4-2 蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度

腫瘍細胞密度(%) 蛍光の質 例数

平均 SD 中央値 範囲

強蛍光 32 79.09 20.09 88.20 12.6-88.2

弱蛍光 30 30.78 27.88 12.60 4.5-88.2

すべての蛍光 33 79.12 19.78 88.20 12.6-88.2

注)腫瘍細胞密度:腫瘍細胞によって占められる切片上の面積比率

主要評価項目である蛍光誘導による陽性診断率を、表 2.7.6.4-3 に示す。蛍光が「強」の

場合の陽性診断率 100.0%( 90%信頼区間:91.1~100.0%)は、蛍光が「弱」の場合の 83.3%

(90% 信頼区間:68.1~93.2%)よりも高かった。全体として、「強」、「弱」の蛍光を発す

る領域から採取したすべての生検組織において腫瘍細胞が認められた患者は 28 例であり、そ

の陽性診断率は 84.8%(90%信頼区間:70.7~93.8%)であった。

表 2.7.6.4-3 蛍光誘導による陽性診断率

4) 副次評価項目

a) 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

白色光下で腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して

採取した 185 検体が評価された。その陽性診断率を表 2.7.6.4-4 に示す。すべての蛍光を発

する領域から採取された生検組織の陽性診断率は 96.2%(90%信頼区間:93.0~98.2%)で、

強蛍光の生検組織の陽性診断率(100%、90%信頼区間:96.9~100%)は、弱蛍光の生検組

織(92.2%、90%信頼区間:85.9~96.3%)よりも高かった。

表 2.7.6.4-4 生検組織ごとの陽性診断率

蛍光の質 検体数 陽性生検

検体数

陽性診断率

(%)

90%信頼区間

(%)

強蛍光 95 95 100 96.9-100

弱蛍光 90 83 92.2 85.9-96.3

すべての蛍光 185 178 96.2 93.0-98.2

b) 蛍光の質、蛍光強度、腫瘍細胞密度、組織学的評価との相関関係

蛍光の質 例数 陽性生検

例数

陽性診断率

(%)

90%信頼区間

(%)

強蛍光 32 32 100 91.1-100

弱蛍光 30 25 83.3 68.1-93.2

すべての蛍光 33 28 84.8 70.7-93.8

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

37

①蛍光の質と蛍光強度との相関関係

症例ごとの蛍光の質と強度の違いは有意であった(P<0.0001 Friedman-test)。また、対比

較(強/弱、強/なし(蛍光近接領域)、強/なし(腫瘍からの遠隔領域)、弱/なし(蛍光近

接領域)、弱/なし(腫瘍からの遠隔領域))ではいずれの対でも有意であった(P<0.0001

Wilcoxon 検定)。生検ごとの比較でも、症例ごとの比較と同様な結果であった。蛍光の質が

強である蛍光と、分光測定法により測定された高度の蛍光強度は、良く相関していた。

(P<0.0001 Kruskal-Wallis-test)。

② 蛍光の質と腫瘍細胞密度との相関関係

症例ごとの蛍光の質と腫瘍細胞密度とは相関した。強蛍光は高い腫瘍細胞密度と、弱蛍光

は低い腫瘍細胞密度と相関し、蛍光を発しない生検標本では最も低い腫瘍細胞密度を示した。

これらの違いは統計学的に有意であった(P<0.0001 Friedman-test)。生検ごとでも同様な

結果であった。

③ 蛍光の質と組織学的評価との相関関係

生検の組織学的評価を以下の 4段階で評価した。

・ 活性、充実性、増殖性腫瘍(vital, solid, proliferating tumor):壊死していない活

性のある組織であり、腫瘍組織が密度の高い塊となっ

ている充実性の、増殖性腫瘍組織

・ 浸潤腫瘍(infiltrated tumor):塊ではなく、浸潤した腫瘍細胞を含む状態の組織(増

殖性や悪性度の強弱は表していない)

・ 壊死組織(necrosis)

・ 正常組織(normal tissue)

強蛍光を示した部位からの生検は、大部分(82.3%)が活性、充実性、増殖性腫瘍であり、

浸潤腫瘍(14.6%)や壊死組織(2.1%)は少数であった。弱蛍光を示した部位の生検では

主要な組織タイプとしての浸潤腫瘍(70.0%)であり、正常組織(16.7%)、活性、充実性、増

殖性腫瘍(13.3%)であった。

c) 蛍光使用による切除の容易化の評価

蛍光誘導が切除の手順を容易化したかどうかの判定を術者により実施し、63.6%の患者で

著明な容易化、30.3%で中等度の容易化であると判定された。容易化されていない及びあま

り容易化されていないと判定されたのはそれぞれ 1例(3%)あった。

d) 術中に観察された残存蛍光部位(残存腫瘍)と術後早期(72 時間以内)の MRI検査でのコ

ントラスト増強(残存腫瘍)との比較

術中の蛍光により残存腫瘍は 23 例に確認されたが、術後 MRI 検査により残存コントラスト

増強が認められたのは 15 例(65.2%)であった。一方、術中評価で残存蛍光腫瘍が認められ

なかった 10 例中 2 例(20%)にコントラスト増強が認められたが(増強なし 6 例(60%)、

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

38

評価不能 2例(20%))、2例とも術中に確認が期待できない摘出空洞よりも遠隔部位の腫瘍で

あった。術中の残存腫瘍が疑われる 42 部位の中で、10 部位(23.8%)は白色光下及び蛍光下

で検出された。残りの 32 部位(76.2%)は蛍光下のみで検出された。

なお、術後 MRI 検査により残存腫瘍のない患者の割合は、残存コントラスト増強が認めら

れなかった 14 例(42.4%)であった。

(3)安全性

SAS である 36 例が安全性の解析対象とされた。平均総投与量(±SD)は 1528±235 mg であり、

投与から挿管までの平均時間(±SD)は 2.92±0.28時間であった。

1) 有害事象

69.4%の患者に有害事象(重篤な有害事象を除く)の発現がみられた。その内容を表

2.7.6.4-5 に示した。有害事象の 50%は神経系によるもので、その内訳は言語障害(19.4%)、

運動障害(19.4%)、頭痛(11.1%)、感覚障害(8.3%)であった。CTC グレード 3 の有害事

象は 30.6%の患者にみられ、不全片麻痺 16.7%、失語症 5.6%であった。2例(5.6%)に CTC

グレード 3の血栓症、1例(2.8%)に CTC グレード 4の筋緊張亢進が伴っていた。

治験薬との関連性が否定できない有害事象は 3 例(8.3%)に認められ、それぞれ下痢(軽

度)、感覚鈍麻(中等度)、悪寒(中等度)であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

39

表 2.7.6.4-5 有害事象一覧表(n=36)

CTC 分類 / 有害事象 例数 (%)

総発現例数 25 69.4

消化器 5 13.9

悪心 3 8.3

嘔吐 4 11.1

下痢 1* 2.8

粘膜炎 1 2.8

心臓全般 6 16.7

その他心臓全般 1 2.8

高血圧 1 2.8

低血圧 2 5.6

静脈炎 / 血栓症、塞栓症 2 5.6

腎 / 膀胱 2 5.6

血尿 1 2.8

出血性膀胱炎 1 2.8

神経系 18 50.0

神経障害-感覚性 4* 11.1

神経障害-運動性 7 19.4

神経障害-大脳皮質性 3 8.3

神経障害-気分性 1 2.8

神経障害-頭痛 4 11.1

めまい 1 2.8

言語障害 7 19.4

運動失調 2 5.6

感覚器 7 19.4

視覚障害 7 19.4

皮膚科学 / アレルギー 3 8.3

皮膚変色 2 5.6

アレルギー(薬物) 1 2.8

全身症状 2 5.6

体重減少 1 2.8

打撲 1 2.8

発熱 / 感染 / 感冒症状 6 16.7

発熱 6 16.7

感染 1 2.8

悪寒 1* 2.8

全身状態 8 22.2

脊髄液左側頭部蓄積 1 2.8

足部白癬 1 2.8

尿道カテーテル灼熱感 1 2.8

幻覚 1 2.8

無関心 1 2.8

酸素低飽和 1 2.8

左肢疼痛 1 2.8

胸やけ 1 2.8

転倒・転落傾向 1 2.8

外陰部膣炎 1 2.8

背部痛 1 2.8 * 各 1例が治験薬との関連性が否定されなかった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

40

2) 死亡

術後 28 日間の観察期間において、1 例が両脳球梗塞により死亡した。死亡と治験薬との関

連性はないらしいと判断された。

3) 重篤な有害事象

重篤な有害事象は 8 例(22.2%)に発現した。悪性神経膠腫の患者でよくみられる中枢神

経系の重篤な有害事象は、失語症 2件(5.6%)、けいれん 3件(8.3%)、不全片麻痺 1件(2.8%)

であった。他は、低血圧 1件(2.8%)、術後感染症 1件(2.8%)、誤嚥性肺炎 1件(2.8%)、

脳梗塞 2件(5.6%)であった。これらの有害事象のうち、治験薬と関係ありと判定されたの

は低血圧 1件で、本剤投与後 1~2時間に血圧が 90/60 mmHg となった。その他の有害事象は、

治験薬と関係なし或は関係ないらしいと判定された。

4) 臨床検査

血液学検査値の推移は、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球の低下、一過性の白血球

増加など、一般的に悪性神経膠腫の切除術を受ける患者で予想されるものであった。電解質

及び腎機能では、治験薬に関連した臨床的に重要な変動はみられなかった。

ALT、AST 及びγ-GTP で、それぞれ 68.6%、44.4%及び 65.7%の症例で手術後 4~14 日間

にピーク値を示す一過性の増加が観察された。γ-GTP、ALT のピーク値は、それぞれ 22.9%、

8.6%の症例で CTC グレード 3であるのに対し、ASTのピーク値は 1例を除いて軽度/中等度で

あった。表 2.7.6.4-6 に、肝機能検査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値を示した。

表 2.7.6.4-6 肝機能検査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値(平均値 (SD))

検査日 Baseline

(day -1)

Day 0

(12:00)

Day +1 Day +2 Day +4 Day + 7 Day +14 Day +28

ALT

N-fold ULN

1.282

(0.751)

1.029

(0.680)

1.349

(0.873)

1.598

(1.320)

1.750

(1.210)

2.146

(1.400)

2.287

(2.144)

1.525

(1.228)

AST

N-fold ULN

0.669

(0.271)

0.527

(0.197)

0.965

(0.628)

1.152

(0.860)

1.203

(0.797)

1.303

(0.862)

1.048

(0.7973)

0.938

(1.015)

-GTP

N-fold ULN

1.500

(1.166)

1.068

(0.924)

1.428

(1.394)

1.651

(1.389)

3.096

(3.267)

3.513

(3.004)

3.779

(4.033)

3.713

(4.485)

N-fold ULN:基準値上限に対する倍数換算値

凝固因子には変動はみられなかった。アミラーゼでは、36.1%の症例に手術後に一過性の

増加がみられた(11.1%は CTC グレード 4)。

5)一般状態(KPS スコア)、神経学的状態(NIH Stroke Scale)

一般状態:術前の KPS スコアの中央値は 90(70~100)であったが、術後 3 日では 80(10

~100)に低下し、7日及び 14 日後では変化はなかったが、28 日後には 90(20~100)に回復

した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

41

神経学的状態:NIH Stroke Scale は術後 2 日では、スコアの改善及び不変を示した患者の

割合がそれぞれ 27.3%であったが、39.4%の患者で悪化が認められた。悪化の比率は経日的に

減少し、28 日後では、悪化は 18.8%であったが、多くの患者(40.6%)は改善を示した。

(4) まとめ

本剤投与の蛍光誘導による悪性神経膠腫に対する高い陽性診断率が示された。また、強蛍光

部位は、活性、充実性、増殖性腫瘍に、弱蛍光部位は浸潤腫瘍に相関を示した。主観的に評価

された蛍光の質は、分光測定法で測定された定量的な蛍光強度との一致した。残存腫瘍の検出

能力は、本剤による蛍光診断が MRI 検査よりも高い感度を示した。

安全性の成績は、悪性神経膠腫の摘出術で予測される範囲内であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

42

2.7.6.5 MC-ALS.3/GLI 試験

(添付資料 5.3.5.1-2 参)

2.7.6.5.1 試験方法

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.3/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸による悪性神経膠腫の蛍光誘導切除術と従来法である白

色光切除術との比較試験

試験の目的 本剤による悪性神経膠腫の蛍光切除術の有効性と安全性を、従来法である白色

光切除術との比較により評価し、本剤による蛍光切除術の臨床的有用性を検討

する。

試験デザイン 無作為化、評価者の盲検化、群間比較、多施設共同

中央判定(病理組織診断、放射線学的診断)

被験者数 計画時:合計 270 例(主要評価項目:術後 6ヵ月 PFS で有意差を検出できない

場合は、350 例まで登録可能)

解析時:合計 415 例

本剤群:207 例、白色光源下での切除術群(対照群):208 例

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発、単一病変の悪性神経膠腫(WHO グレー

ドⅢ/Ⅳ)と推定された患者

・ MRI 検査でリング状の形状を有するが、二次性(secondary)悪性神経膠腫

を除外するために顕著な非増強性腫瘍組織を認めない、完全切除が可能な

患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ 初回の腫瘍切除であり、腫瘍に対する前治療がされていない患者

・ Karnofsky Perfomance Status(KPS)スコア 70 以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~72 歳の患者

主な除外基準:

・ 腫瘍部位が正中線上、基底核、小脳又は脳幹にある患者

・ 原発病変とは無関係の複数の造影される病変を有する患者、又は大脳以外

に転移を有する患者

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L) の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

43

・ 本治験前 30 日以内に他の治験に参加した患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5 g 含有する凍結乾燥製剤

ロット番号 、 、 、 、

投与方法 本剤群:悪性神経膠腫手術時の麻酔導入 3 時間前(範囲:2~4 時間)に、本

剤 20 mg/kg を単回経口投与する。

なお、対照群は、白色光下で行う切除術であり、薬剤投与は行わない。

評価項目 主要評価項目:

組織学的に悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と確認された患者を対象とし

た。

・ 残存腫瘍のない患者の割合(術後 72 時間以内の MRI 検査による)

・ 術後 6ヵ月の無増悪生存率(PFS)

副次評価項目:

・ 残存腫瘍の容積

・ 術後 9、12、15、18 ヵ月後の無増悪生存率

・ 死亡までの全生存期間、ただし最後の組み入れ患者の術後 18 ヵ月以内

・ 本剤の安全性評価

・ 初回手術後 7日、6、12週、6、9、12、18 ヵ月の神経学的状態

・ 蛍光診断結果(術中残存腫瘍)と術後早期 MRI 診断結果(残存腫瘍)との

比較

観察期間 投与後 18 ヵ月間

症例数 腫瘍完全切除 20%差(本剤群 50%、対照群 30%)、6 ヵ月後の PFS が 15%差

(本剤群 40%、対照群 25%)と仮定、第 1 種の過誤 5%、検出率 80%とする

と、評価に必要な例数は最大の解析対象集団(Full Analysis Set、以下「FAS」)

として 350 例と算出された。

解析方法 すべての検定は両側 5%と設定。主要評価項目ではχ2検定、時間-発生事象指

標では Kaplan-Meier 法により、比較は log rank 検定で解析した。感度分析は

Cox 回帰分析により解析した。副次及び安全性パラメータの探索的な検定は

Mann-Whitney -Wilcoxon により、χ2検定及び Fisher’s 直接確率法は 2値デ

ータ解析に使用された。

代表施設名 Klinikum Großhadern Neurosurgery Department(ドイツ)

(計 19 施設)

試験期間 1999 年 10 月 8 日~2004 年 7 月 19 日

2.7.6.5.2 試験結果

(1) 症例の構成

415 例が登録され、本剤群 207 例、従来法の白色光切除術である対照群 208 例に無作為に割

りつけられた。有効性の解析から除外されたのは、本剤群及び対照群で、それぞれ 31 例及び

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

44

35 例であった。それらの理由は、「病理学的診断基準に合致しなかった」で 21 例及び 20 例、「放

射線学的診断基準に合致しなかった」で 5例及び 10例、「手術前の同意撤回」で 2例及び 3例、

「腫瘍切除なし」で 2例及び 1例、その他が 1例ずつであった。これらの除外例を除く 349例

(本剤群 176 例、対照群 173 例)が FASとされ、有効性の解析対象とされた。有効性評価対象

例のうち本剤群では 176 例全例で試験完了したが、対照群では 173 例中、170 例で試験完了し 3

例が試験中止となった(「追跡不能」1例、「手術後に同意の撤回」2例)。また、415 例中 41 例

(本剤群:治験薬が投与されなかた 6例、対照群:有効性除外例 35 例)を除外した 374 例(本

剤群 201 例、対照群 173例)が安全性解析対象集団(Safety Analysis Set 以下「SAS」)とさ

れた。なお、全生存期間の解析対象とした PPS は、本剤群では FAS より 12 例を除外した 164

例、対照群では 11 例を除外した 162 例の合計 326例であった。

(2) 有効性

1) 解析データセット

FAS である 349 例(本剤群 176 例、対照群 173 例)が有効性の解析対象とされた。

2) 人口統計学的データ及び他のベースラインでの特徴

FAS における人口統計学的データ、病理診断結果及びベースラインでの KPS スコアを表

2.7.6.5-1 に示した。両群間で大きな差はなく両群間で比較可能であった。また、その他、手

術前の MRI 検査画像データ、ベースラインでの兆候、症状、合併症、NIH Stroke Scale、臨

床検査値についても両群間で比較可能であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

45

表 2.7.6.5-1 人口統計学的データ、病理診断結果、KPS スコア(ベースライン)

項目 本剤群

N=176

対照群

N=173

合計

N=349

年齢 (歳) 平均値 (SD)

中央値 (範囲)

≦55

>55

58.3(10.04)

61.0(23-73)

55(31.3%)

121(68.8%)

58.9(9.27)

60.0(30-73)

52(30.1%)

121(69.9%)

58.6(9.65)

60.0(23-73)

107(30.7%)

242(69.3%)

性別 男性

女性

102(58.0%)

74(42.0%)

111(64.2%)

62(35.8%)

213(61.0%)

136(39.0%)

学 体重(kg) 平均値 (SD)

中央値 (範囲)

79.1(14.87)

78.0(50-120)

79.1(15.05)

80.0(43-119)

79.1(14.94)

78.5(43-120)

データ未取得 0 1 ( 0.6%) 1 ( 0.3%)

WHO グレードⅢ

退形成性乏突起星細胞腫

退形成性乏突起膠腫

退形成性星細胞腫

4 ( 2.3%)

0

0

4 ( 2.3%)

6 ( 3.5%)

1 ( 0.6%)

2 ( 1.2%)

3 ( 1.7%)

10 ( 2.9%)

1 ( 0.3%)

2 ( 0.6%)

7 ( 2.0%)

WHO グレードⅣ

膠肉腫

巨細胞膠芽腫

膠芽腫

171 (97.2%)

10 ( 5.7%)

5 ( 2.8%)

156 (88.6%)

166 (96.0%)

11 ( 6.4%)

2 ( 1.2%)

153 (88.4%)

337 (96.6%)

21 ( 6.0%)

7 ( 2.0%)

309 (88.5%)

その他

星芽腫

1 ( 0.6%)

1 ( 0.6%)

0

0

1 ( 0.3%)

1 ( 0.3%)

60

70

80

90

100

中央値 (範囲)

1 ( 0.6%)

15 ( 8.5%)

21 (11.9%)

87 (49.4%)

52 (29.5%)

90 (60-100)

0

19 (11.0%)

22 (12.7%)

77 (44.5%)

55 (31.8%)

90 (70-100)

1 ( 0.3%)

34 ( 9.7%)

43 (12.3%)

164 (47.0%)

107 (30.7%)

90 (60-100%)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

47

で、本剤群のハザード比 0.792(95%信頼区間:0.638~0.983)が得られ、放射線画像診断上

増悪とされるリスクが 21%低下したことが示された(P=0.0341)。

図 2.7.6.5-2 Kaplan-Meier 法による無増悪生存期間

4) 副次評価項目

a) 残存腫瘍容積

術後 MRI検査において、残存腫瘍容積の中央値(範囲)は、本剤群で 0.0 cm3(0.0~45.1 cm3)、

対照群で 0.5 cm3(0.0~32.6 cm3)であり、分布の 75%点は本剤群で 0.7 cm3、対照群で 2.1

cm3 で あ り 、 こ れ ら の 大 き さ の 差 は 統 計 学 的 に 有 意 で あ っ た ( P<0.0001

Wilcoxon-Mann-Whitney 検定)。

b) 無増悪生存率(9、12、15、18 ヵ月時点)

術後 9、12、15 及び 18ヵ月後における無増悪生存率は、いずれの時点においても両群間に

差はなかったが、本剤群で高い無増悪生存率を示していた。

c) 全生存期間

蛍光切除術等の手順が遵守された患者に焦点をあてて解析するために、PPS による解析を採

用した。Kaplan-Meier 生存曲線では、全生存期間の中央値は NPC-07 群及び対照群でそれぞ

れ 14.3 ヵ月及び 13.7 ヵ月であり、統計学的に有意ではなかった。ハザード比は 0.99(95%

信頼区間:0.78~1.24)であった。術後 1年の生存率は両群ともに 58%であった。

(3) 安全性

無増悪生存率

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

48

SAS である 374 例(本剤群 201 例、対照群 173 例)が安全性の解析対象とされた。

年齢、性別、体重、KPS スコア、 NIH Stroke Scale で両群間に差はなく、比較可能であっ

た。NPC-07 群での投与量は平均 1581±311.6 mg(中央値 1570 mg)、投与~麻酔開始までの時

間は平均 2.39±0.79時間(中央値 2.50 時間)であった。

1) 有害事象

重篤な有害事象を除く有害事象の発現率は、本剤群 58.7%、対照群 57.8%であり両群で類

似していた。CTC 分類別有害事象を表 2.7.6.5-2 に示す。両群共に神経症状の発現率が高く、

本剤群 42.8%、対照群 44.5%であったが、これらは対象疾患の特徴と思われた。また、発現

した有害事象のうち 5%以上の患者に発現した有害事象を表 2.7.6.5-3 に示す。

表 2.7.6.5-2 CTC 分類別有害事象発現状況

有害事象の CTC 分類 本剤群 対照群

対象例数 201 (100%) 173 (100%)

有害事象発現例数 118 (58.7%) 100 (57.8%)

消化器 9 (4.5%) 11 (6.4%)

心臓 10 (5.0%) 8 (4.6%)

肺 / 呼吸器 4 (2.0%) 1 (0.6%)

腎 / 膀胱 1 (0.5%) 1(0.6%)

神経系 86 (42.8%) 77 (44.5%)

感覚器 31 (15.4%) 15 (8.7%)

皮膚科学 / アレルギー 6 (3.0%) 3 (1.7%)

全身症状 5 (2.5%) 2 (1.2%)

発熱 / 感染 / 感冒症状 16 (8.0%) 10 (5.8%)

全身状態 24 (11.9%) 34 (19.7%)

表 2.7.6.5-3 5%以上の患者に発現した有害事象

有害事象名 本剤群 対照群

対象例数 201 (100%) 173 (100%)

神経系

神経障害-運動性 25(12.4%) 20 (11.6%)

神経障害-大脳皮質性 11 (5.5%) 7 (4.0%)

神経障害-頭痛 15 (7.5%) 13 (7.5%)

人格変化 17 (8.5%) 9(5.2%)

言語障害 27 (13.4%) 23 (13.3%)

痙攣 11 (5.5%) 10 (5.8%)

運動失調 13 (6.5%) 6 (3.5%)

感覚器

視覚障害 27 (13.4%) 13 (7.5%)

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

49

本剤に関連すると判断された有害事象は、2 例(1.0%)のみであった。内容は、嘔吐1例

(術後 48 時間、軽度)と光線過敏症1例(術後 48時間、軽度)であった。

2) 死亡

本剤群 5例(2.5%)、対照群 3例(1.7%)が術後 30 日以内に死亡した。死因は、本剤群 5

例のうち、3例は肺塞栓症の疑い、1例は両後部動脈の梗塞に続く脳浮腫によるテント切痕内

ヘルニア、1例は心臓死(心室細動)であった。いずれも治験薬との関連性はないと判断され

た。対照群 3 例では、肺塞栓、敗血症及び循環不全、心臓突然死(死後に肺塞栓症の疑い)

がそれぞれ 1例であった。

3) 重篤な有害事象

重篤な有害事象は本剤群 60 例(29.9%)、対照群 40 例(23.1%)に認められた。術後 180

日以内に認められた重篤な有害事象を表 2.7.6.5-4 に示した。本剤群に肺塞栓が多く認めら

れたが(P=0.015)、出血、凝固異常などに差はみられなかった。SAE の多くは神経系の事象で、

痙攣が本剤群で 6.0%、対照群 2.9%、不全片麻痺がそれぞれ 4.0%、2.3%、失語症が 3.5%、

0.6%であったが、統計学的に有意ではなかった。

本剤との関連性が疑われた重篤な有害事象は呼吸不全の 1 例であった。本有害事象の患者

は本剤を偶発的に過量投与された(1580 mg の代わりに 3000 mg)。手術中に患者は呼吸不全

に陥ったが、人工呼吸器の装着により管理された。この有害事象は完全に消失した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

50

表 2.7.6.5-4 術後 180日以内の重篤な有害事象

器官別大分類(SOC)/基本語(PT) 本剤群 対照群 P値

対象例数 201 (100%) 173 (100%)

全身状態 ‒ 一般的な障害

状態の悪化 3 (1.5%) 2 (1.2%) 1.000

心血管障害

心不全 1 (0.5%) 2 (1.2%) 0.598

中枢、末梢神経障害

失語症 7 (3.5%) 1 (0.6%) 0.074

痙攣 12 (6.0%) 5 (2.9%) 0.214

大発作痙攣 7 (3.5%) 5 (2.9%) 0.779

不全片麻痺 8 (4.0%) 4 (2.3%) 0.396

頭蓋内血圧上昇 0 4 (2.3%) 0.045

昏睡 1 (0.5%) 3 (1.7%) 0.340

心拍数、リズム障害

不整脈 3 (1.5%) 1 (0.6%) 0.627

血小板 / 出血 / 凝固障害

肺塞栓 13 (6.5%) 2 (1.2%) 0.015

血腫 2 (1.0%) 1 (0.6%) 1.000

血栓 3 (1.5%) 3 (1.7%) 1.000

精神障害

精神病 3 (1.5%) 1 (0.6%) 0.627

抵抗機能障害

膿瘍 2 (1.0%) 2 (1.2%) 1.000

呼吸器系障害

肺炎 4 (2.0%) 5 (2.9%) 0.738

二次的事象

嚢胞 2 (1.0%) 1 (0.6%) 1.000

皮膚及び付属器障害

水骨性嚢腫 2 (1.0%) 0 0.501

4) 臨床検査

血液学的検査、凝固因子、電解質、腎機能、生化学的検査において、本剤に関連し、臨床

的に重要な変動はみられなかった。本剤群のγ-GTPは、手術後 7日で 2.80(施設基準値上限

値で除した倍数平均値)、対照群 2.00 であり、両群間では差がなく投与後 6 週間でも高値で

あった。投与後 24 時間のみ統計学的に有意であった(P=0.004)。ALT は手術後 7 日に一過性

の増加を示し(本剤群:2.36、対照群:1.86、統計学的に有意差なし)、6 週後に投与前値に

回復した。投与後 24 時間のみ統計学的に有意であった(P<0.001)。AST では、軽度で一過性

の増加を示した(手術後 24 時間、本剤群:1.1、対照群:0.60、P<0.001)。手術後 7日の AST

は、両群ともに正常範囲内であった。表 2.7.6.5-5 に、肝機能検査値を施設基準値上限値で

除した倍数平均値を示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

51

表 2.7.6.5-5 肝機能検査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値(平均値 (SD))

検査日 Baseline 24 hours 7 days 6 weeks

比較群 NPC-07 群 対照群 NPC-07 群 対照群 NPC-07 群 対照群 NPC-07 群 対照群

ALT

N-fold ULN

0.915

(0.844)

1.061

(0.854)

1.630

(1.476)

1.089

(1.140)

2.364

(3.482)

1.859

(2.078)

0.973

(0.815)

0.994

(1.498)

AST

N-fold ULN

0.593

(0.439)

0.581

(0.335)

1.096

(0.924)

0.604

(0.449)

0.901

(0.876)

0.759

(0.736)

0.596

(0.301)

0.594

(0.523)

-GTP

N-fold ULN

0.997

(0.869)

0.937

(0.692)

1.290

(1.332)

1.009

(0.999)

2.802

(4.524)

1.997

(1.976)

1.825

(2.425)

1.632

(2.132)

総ビリルビン

N-fold ULN

0.544

(0.288)

0.580

(0.315)

0.779

(0.463)

0.686

(0.410)

0.495

(0.256)

0.474

(0.235)

0.442

(0.228)

0.475

(0.420)

N-fold ULN:基準値上限に対する倍数換算値

肝機能検査値の重症度(CTC グレード分類)の分布の推移を表 2.7.6.5-6 に示した。総ビリ

ルビンを除いて、いずれの項目も術後 24 時間において対照群とは差異が認められたが、7 日

後には殆ど差は認められなかった。

表 2.7.6.5-6 重症度別肝機能検査値 [%]

検査日 Baseline 24 hours 7 days 6 weeks

比較群 NPC-07 群 対照群 NPC-07 群 対照群 NPC-07 群 対照群 NPC-07 群 対照群

対象例数 201 173 201 173 199 171 194 166

missing 0.5 1.2 6.0 11.6 7.5 9.4 21.6 24.7

grade 0 74.1 61.8 43.8 60.1 27.6 26.9 52.6 53.6

grade 1-2 24.4 35.8 46.8 26.0 57.3 58.5 25.3 21.1 ALT

grade 3-4 1.0 0.6 3.5 2.3 7.5 5.3 0.5 0.6

missing 0.5 1.2 6.5 9.8 8.0 9.9 22.2 25.9

grade 0 93.0 91.9 59.7 81.5 67.8 75.4 70.6 68.1

grade 1-2 6.5 5.8 32.3 8.1 22.6 13.5 7.2 5.4 AST

grade 3-4 0 0 1.5 0 0.5 0.6 0 0.6

missing 0.5 2.9 6.0 12.1 8.0 10.5 22.2 27.7

grade 0 67.2 71.1 51.7 63.0 26.6 33.3 41.8 42.8

grade 1-2 31.3 26.0 39.8 23.7 54.8 50.3 29.9 25.3 -GTP

grade 3-4 0.5 0 2.0 1.2 10.6 5.8 5.7 4.2

missing 2.5 4.0 10.9 14.5 12.1 11.7 24.2 30.1

grade 0 90.5 86.1 70.6 74.0 84.9 84.2 72.7 66.9

grade 1-2 6.5 9.2 18.4 11.0 2.5 2.9 2.6 0.6 総ビリルビン

grade 3-4 0 0 0 0.6 0 0 0 0.6

missing :データ未取得

5) 一般状態 (KPS スコア)

術後 6 週間及び 3 ヵ月での KPS スコアでは、両群間に差はなかったが、術後 6 ヵ月では、

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

52

本剤群では対照群に比べ、改善した症例が多く、悪化した症例は少なかった。

6)神経学的状態(NIH Stroke Scale)

NIH Stroke Scale のカテゴリー分類では、術後 48 時間の本剤群で悪化症例の割合が高かっ

たが、それ以外の観察期間では大部分の患者でNIH Stroke Scaleに変化は認められなかった。

(4) まとめ

有効性評価の主要評価項目の成績及び追加で実施した層別解析の結果より、本剤は悪性神経

膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の視覚化を目的とする体内診断薬として有用であり、従

来の白色光下の切除術に比べ、腫瘍摘出術の向上に寄与することができると考えられた。

また、安全性では、本剤に関連する重大な安全性の問題は生じなかった。安全性の成績は、

白色光下の切除術群と類似しており、悪性神経膠腫の摘出術あるいは過去の本剤の臨床試験で

認められた結果で予測される範囲内であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

53

2.7.6.6 MC-ALS.30/GLI 試験

(添付資料 5.3.5.2-3 参)

2.7.6.6.1 試験方法

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.30/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸塩酸塩の再発治療での悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対す

る第Ⅱ相試験

試験の目的 弱及び強蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべて陽性と判定された患

者の割合として定義し、蛍光組織の陽性診断率を求める。

試験デザイン 非盲検、単一群、非対照、非無作為化、多施設共同

中央判定(病理組織診断、放射線学的診断)

被験者数 計画時:36 例、解析時:40 例(有効性 36 例、安全性 40 例)

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で再発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)

と推定された患者

・ 外科的腫瘍再切除の適応がある患者

・ 悪性神経膠腫と診断され開頭切除術の既往がある患者(切除術プラス、標

準的な放射線治療を受けた患者を含むが、バイオプシーのみの患者は含ま

ない)

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 60以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン>3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解を不可能にする精神状態及びそれによ

る文書同意不能の患者

・ 本治験前 30 日以内に他の治験に参加した患者

・ 以前に本剤の MC-ALS.3/GLI 試験に参加した患者

使用薬剤 1バイアル中に本薬を 1.5 g 含有する凍結乾燥製剤

ロット番号

投与方法 再発悪性神経膠腫の手術の麻酔導入 3 時間前(範囲:2.5~3.5 時間)に、本

剤 20 mg/kg を単回経口投与する。

評価項目 主要評価項目:

・蛍光組織の陽性診断率(複数の蛍光組織の生検組織における腫瘍細胞がすべ

て陽性と判定された患者の割合)

副次評価項目:

・蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率(腫瘍細胞が陽性であった生検標本

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

54

数の割合)

・残存腫瘍のない患者の割合

・全生存期間

・再切除前後の神経学的状態(NIH Stroke Scale)と一般状態(KPS スコア)

の変化

・本剤の安全性評価

検査領域及び生検

検査領域 生検箇所の数 生検数/箇所

腫瘍病変部

強い蛍光領域

弱い蛍光領域

腫瘍境界部(外観正常部)

強い蛍光領域

弱い蛍光領域

蛍光近接部(非蛍光)

腫瘍からの遠隔領域(非蛍光)(Tumor

distant cortex)

その他(例:のう胞壁)

3

3

3

3

2

2

任意

1

1

1

1

1

1

1 観察期間 最終組み入れ症例の投与後 6ヵ月

(最大 21.2 ヶ月)

症例数 陽性診断率の 95%信頼区間が検出力 80%で特定の信頼幅に収まることを前提

に、陽性診断率の期待値を 90%、最小限の信頼幅を±20%と設定する時、評価

に必要な症例数は 33 例と算出された。

解析方法 正確法である Clopper-Peason 法により得られる 95%信頼区間が陽性診断率の

推定に適用され、また蛍光の質により層別解析された。陽性診断率は同様に生

検組織との関連性の観点でも解析された。

代表施設名 (ドイツ)(計 4施設)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2.7.6.6.2 試験結果

(1) 症例の構成

切除術前にMRI検査にて再発の悪性神経膠腫と推定された40例の患者が4施設において登録さ

れ、全例に本剤が投与された。そのうち 4 例(組織学的に合致せず 2 例、以前に手術未実施 1

例、マイクロスコープの不具合 1 例)で手術が実施されず、36 例について手術が実施された。

そのうち 1例で追跡調査未実施のため治験中止となり、完了例は 35 例であったが、手術が実施

された 36 例全例が最大の解析対象集団(Full Analysis Set、以下「FAS」)とされた。また、

本剤が投与された 40 例全例が安全性解析対象集団(Safety Analysis Set、以下「SAS」)とさ

れた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

55

(2) 有効性

1) 解析データセット

FAS である 36 例が有効性の解析対象とされた。

2) 人口統計学的データ及び最終診断名

FAS における人口統計学的データ及び最終診断名を表 2.7.6.6-1 に示した。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

56

表 2.7.6.6-1 人口統計学的データ及び最終診断名(FAS)

項目 例数

男性 25 ( 69.4%) 性

女性 11 ( 30.6%)

≧55 17 ( 47.2%)

<55 19 ( 52.8%)

平均値(SD) 52.7 ( 12.7) 年齢(歳)

中央値(範囲) 56.0 ( 22-74)

平均値(SD) 81.9 ( 13.2)

体重(kg) 中央値(範囲) 79.5 (55-110)

WHO グレードⅢ 6( 16.7%)

退形成性星細胞腫 6( 16.7%)

WHO グレードⅣ 30 ( 83.3%)

膠肉腫 4( 11.1%)

巨細胞膠芽腫 1( 2.8%)

膠芽腫 24 ( 66.7%)

悪性星状腫瘍 1( 2.8%)

3) 主要評価項目

生検標本は、白色光下で腫瘍部位を切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発

光を確認して採取した。腫瘍の部位及び蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度(腫瘍細胞

によって占められている切片上の平均面積の比率)を表 2.7.6.6-2 に示した。腫瘍部位は、

非蛍光下でも腫瘍と推定できる病理学的に変化した組織と病理学的に変化した組織を切除し

た後に非蛍光下では外見上正常組織か腫瘍組織か判別できない腫瘍境界部とで層別した。組

織学的な評価は、以下の基準に基づいて行った。

・ 活性、充実性、増殖性腫瘍(vital, solid, proliferating tumor):壊死していない活

性のある組織であり、腫瘍組織が密度の高い塊となっ

ている充実性の、増殖性腫瘍組織

・ 浸潤腫瘍(infiltrated tumor):塊ではなく、浸潤した腫瘍細胞を含む状態での組織(増

殖性や悪性度の強弱は表していない)

病理学的に変化した組織において、強蛍光では活性、充実性、増殖性腫瘍での腫瘍細胞密

度は 48.5%であったが、弱蛍光では活性、充実性、増殖性腫瘍と浸潤腫瘍において 35%程度

であった。腫瘍境界部では強蛍光及び弱蛍光ともに浸潤腫瘍での腫瘍細胞密度は 40%を超え

ていた。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

57

表 2.7.6.6-2 腫瘍の部位及び蛍光の質によって層別した腫瘍細胞密度

腫瘍細胞密度(%) 腫瘍の部位

(白色光下)

蛍光の質

(蛍光下) 組織学的所見 例数

平均値 SD 中央値

活性、充実性、増殖性腫瘍 36 48.5 34.6 56.7 強蛍光

浸潤腫瘍 36 29.2 31.1 19.0

活性、充実性、増殖性腫瘍 34 34.7 31.1 29.5

病理学的に

変化した組織 弱蛍光

浸潤腫瘍 34 38.8 29.4 38.0

活性、充実性、増殖性腫瘍 24 17.1 26.1 3.3 強蛍光

浸潤腫瘍 24 56.5 28.7 63.0

活性、充実性、増殖性腫瘍 34 25.9 30.2 11.8 腫瘍境界部

弱蛍光 浸潤腫瘍 34 43.4 32.3 44.2

主要評価項目である蛍光組織の陽性診断率を表 2.7.6.6-3 に示した。病理学的に変化した

組織では陽性診断率が 97.2%(95%信頼区間:85.5~99.9%)であり、腫瘍境界での 79.4%

(95%信頼区間:62.1~91.3%)に比較して高い診断率を示した。また、すべての組織では

強蛍光(91.7%、95%信頼区間:77.5~98.2%)は弱蛍光(83.3%、95%信頼区間:67.2~

93.6%)に比較して高い陽性診断率を示し、全ての蛍光では 77.8%(95%信頼区間:60.8~

89.9%)の陽性診断率を示した。

陽性診断率は、腫瘍境界に比べ病理学的に変化した組織で高く、また、弱蛍光領域に比べ

強蛍光領域で高かった。

表 2.7.6.6-3 蛍光組織の陽性診断率

腫瘍の部位

(白色光下)

蛍光の質

(蛍光下) 例数

陽性判定

例数

陽性診断率

(%)

95%信頼区間

(%)

強蛍光 36 35 97.2 85.5-99.9

弱蛍光 34 34 100.0 89.7-100 病理学的に

変化した組織 すべての蛍光 36 35 97.2 85.5-99.9

強蛍光 24 22 91.7 73.0-99.0

弱蛍光 34 28 82.4 65.5-93.2 腫瘍境界部

すべての蛍光 34 27 79.4 62.1-91.3

強蛍光 36 33 91.7 77.5-98.2

弱蛍光 36 30 83.3 67.2-93.6 すべての組織

すべての蛍光 36 28 77.8 60.8-89.9

4) 副次評価項目

a) 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率を表 2.7.6.6-4 に示した。白色光下で腫瘍部位を

切除した後、励起光(青色光)を照射し赤色の蛍光発光を確認して採取したすべての生検組

織 354 検体における陽性診断率は、343/354 検体で 96.6%(95%信頼区間:94.2~98.2%)

であった。また、強蛍光部位の生検の陽性診断率は 161/164 検体で 98.2%(95%信頼区間:

94.7~99.6%)であり、弱蛍光の 181/190 検体で 95.3%(95%信頼区間:91.2~97.8%)よ

りも高かった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

58

表 2.7.6.6-4 蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率

腫瘍の部位

(白色光下)

蛍光の質

(蛍光下) 組織数

陽性

判定数

陽性率

(%)

95%信頼区間

(%)

強蛍光 100 99 99.0 94.6-100.0

弱蛍光 97 97 100.0 96.3-100.0 病理学的に

変化した組織 すべての蛍光 197 196 99.5 97.2-100.0

強蛍光 64 62 96.9 89.2-99.6

弱蛍光 93 84 90.3 82.4-95.5 腫瘍境界部

すべての蛍光 157 146 93.0 87.8-96.5

強蛍光 164 161 98.2 94.7-99.6

弱蛍光 190 181 95.3 91.2-97.8 すべての組織

すべての蛍光 354 342 96.6 94.2-98.2

b) 残存腫瘍のない患者の割合

術後 MRI 検査(中央判定)では、19.4%(7/36 例)で完全切除が認められたが、69.4%(25/36

例)は完全切除ではなかった。なお、36 例中 4例では残存腫瘍の評価ができなかった。残存

腫瘍は、25 例の中で合計 41 部位が残存し、脳の機能的重要部位(eloquent area)31.7%(13/41

部位)及び基底核、視床、錐体路様構造が含まれていた。58.5%(24/41 部位)の残存部位は

脳の機能的重要部位(eloquent are)に関連しなかったが、術者が認識できないような極小

あるいは切除術空洞から離れた位置にあるものが多かった。

c) 全生存期間

全生存期間の中央値は 7.9 ヵ月(95%信頼区間:4.5~13.2 か月)であった。WHO グレード

Ⅳの患者では 7.4 ヵ月に対し、WHO グレードⅢでは 9.9 ヵ月であったが統計学的には有意では

なかった。また、69.4%(25/36 例)の患者で術後に化学療法が実施され、テモゾロミド例

50%(18/36)、PCV 療法 11.1%(4/36 例)であった。切除術及びその後の治療にもかかわら

ず、36 例中 20 例で 6ヵ月以内に再発がみられた。

注)PCV 療法:プロカルバジン/Procarvazine、ロムスチン/CCNU、ビンクリスチン/Vincristine の

3つの抗がん剤を組み合わせて行う癌化学療法

(3)安全性

SAS である 40 例が安全性の解析対象とされた。

平均総投与量は 1639±278 mg であり、投与から挿管までの平均時間は 2.74±0.88 時間であ

った。

1) 有害事象

有害事象一覧を表 2.7.6.6-5 に示した。有害事象は 55.0%の患者にみられ、最も多く報告

されたのは CTC 分類の神経系(32.5%)であり、内訳は運動障害(20.0%)、言語障害(17.5%)、

顔面神経麻痺(7.5%)であった。5例(12.5%)に CTC グレード 3の有害事象が認められた。

内訳は 2例(5.0%)が不全片麻痺(重篤な有害事象として報告)及び言語障害(担当医師:

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

59

失語症)、1例(2.5%)で術後の尿路感染症が認められたが、治験薬に関連した有害事象はみ

られなかった。

表 2.7.6.6-5 有害事象一覧表

CTC 分類 / 有害事象 例数 (%)

発現例数 22 55.0

消化器 3 7.5

悪心 2 5.0

嘔吐 1 2.5

食道炎 / 嚥下障害 1 2.5

腎 / 膀胱 1 2.5

失禁 1 2.5

神経系 13 32.5

神経障害-知覚性 2 5.0

神経障害-運動性 8 20.0

顔面神経麻痺 3 7.5

神経障害-大脳皮質性 1 2.5

神経障害-気分性 1 2.5

言語障害 7 17.5

けいれん発作 1 2.5

感覚器 5 12.5

視覚 5 12.5

発熱 / 感染 / 感冒症状 3 7.5

感染 3 7.5

全身状態 8 20.0

理解障害 1 2.5

記憶障害 1 2.5

無関心増悪 1 2.5

器質性脳症候群 1 2.5

皮下脊髄液蓄積 6 15.0

創傷部腫脹 1 2.5

2) 死亡

治験薬投与期間中及び術後 28 日間の治験期間中には、原疾患の悪化により 1例が死亡した

が、有害事象による死亡例はなかった。

6 ヵ月間のフォローアップ期間で 17 例が死亡したが、治験薬と関連した死亡はなく、腫瘍

の増大又は腫瘍の増大に合併した結果であると判断された。さらに 21 ヵ月までフォローアッ

プ期間を拡大したところさらに 7 例の死亡がみられたが、いずれも原疾患によるものであっ

た。重篤な有害事象による死亡は認められなかった。

3) 重篤な有害事象

術後 28 日間で 4例(10.0%)に SAE が認められた(重篤な有害事象として報告された 5例

中 4例)。2例は不全片麻痺、1例は片麻痺で、この 1例は脊髄液の皮下貯留を伴っていた。1

例に発熱を伴う肺炎が認められた。これらの重篤な有害事象は治験薬と関係なしあるいは関

係ないらしいと判断された。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

60

4) 臨床検査

血液学検査値の推移は、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球の低下、一過性の白血球

増加など、一般的に悪性神経膠腫の切除術を受ける患者で予想されるものであった。電解質

及び腎機能では、治験薬に関連した臨床的に重要な変動はみられなかった。ALT、AST 及びγ

-GTP で、それぞれ 40.0%、12.5%及び 40.0%の症例で手術後 4~14 日間にピーク値を示す一

過性の増加が観察された。γ-GTP、ALT 及び AST のピーク値は、それぞれ CTC グレード 3であ

った。表 2.7.6.6-6 に、肝機能検査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値を示した。

表 2.7.6.6-6 肝機能検査値を施設基準値上限値で除した倍数平均値(平均値 (SD))

検査日 Baseline Day +1 Day + 7 Week 6

ALT

N-fold ULN

0.843

(0.689)

0.972

(0.946)

1.862

(2.928)

0.843

(0.602)

AST

N-fold ULN

0.534

(0.168)

0.669

(0.399)

0.690

(0.617)

0.608

(0.264)

-GTP

N-fold ULN

1.175

(1.181)

1.019

(0.939)

1.900

(2.023)

0.822

(0.543)

総ビリルビン

N-fold ULN

0.404

(0.222)

0.472

(0.176)

0.364

(0.155)

0.348

(0.113)

N-fold ULN:基準値上限に対する倍数換算値

凝固因子には変動はみられなかった。アミラーゼの一過性の上昇が、15%の症例に手術後

にみられた(患者の 11.1%は CTC グレード 4)。

5) 一般状態(KPS スコア)と 神経学的状態(NIH Stroke Scale)の変化

一般状態:KPS スコア中央値は、術前の 80(範囲 60~100)から、術後 7日目 75(範囲 50

~90)とわずかに低下した。術後 6 週後では 70(範囲 40~100)となり、術後 3 か月まで変

化は見られなかったが、6ヵ月では、80(範囲 40~100)まで回復した。なお、フォローアッ

プ期間中に死亡した症例などすべての症例を含めた場合の 6 ヶ月後の KPS スコア中央値は 45

(範囲 0~100)であった。

神経学的状態:フォローアップ期間中の各評価時期において NIH Stroke Scale は、多くの

患者(45.7~52.8%)が不変、約 1/3 の患者(28.6~36.8%)が悪化したが、ベースライン

に比べ、10.5~22.9%の患者で改善がみられた。

(4) まとめ

再発悪性神経攻守患者に対して、本剤投与により高い陽性診断率が示された。

安全性の成績は、悪性神経膠腫の摘出術或いは本剤における過去の臨床試験結果から予測さ

れる範囲内であった。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

61

2.7.6.7 MC-ALS.32/GLI 試験

(添付資料 5.3.5.2-4 参)

2.7.6.7.1 試験方法

項 目 内 容

試験番号 MC-ALS.32/GLI

試験表題名 5-アミノレブリン酸の悪性神経膠腫蛍光誘導切除術に対する臨床試験

試験の目的 主目的:

・ 本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する蛍光切除術後の有害

事象発現率を検討する。

副次目的:

・ 本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する蛍光切除術後の身体

状態の変化を Karnofsky Performance Status スコアを用いて検討する。

・ 悪性神経膠腫患者(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する蛍光切除術後の全生存

率を最後の患者登録後 6週間まで検討する。

試験デザイン 非盲検、単一群、多施設共同

被験者数 計画時:160 例、解析時:243 例(SAS:243 例、FAS:219 例)

対象 主な選択基準:

・ 放射線学的診断(MRI 検査)で初発の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と

推定された患者

・ 外科的腫瘍切除の適応がある患者

・ Karnofsky Performance Status(KPS)スコア 70%以上の患者

・ 文書同意が得られる患者

・ 年齢 18~75 歳の患者

主な除外基準:

・ 術前と術中の病理診断が悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)と不一致の

患者

・ ポルフィリン症又はポルフィリン過敏症の患者

・ 腎機能障害(クレアチニン >2.0 mg/dL)の患者

・ 肝機能障害(総ビリルビン >3 mg/dL、プロトロンビン試験 <60%、 -GTP

>100 U/L)の患者

・ 他の悪性腫瘍の治療中の患者

・ 妊娠中/妊娠予定/授乳中の女性の患者

・ 認知症の患者若しくは治療の理解を不可能にする精神状態及びそれによる

文書同意不能の患者

使用薬剤 1 バイアル中に本薬を 1.5 g 含有する凍結乾燥製剤

ロット番号 、 、

投与方法 悪性神経膠腫手術前 3 時間(範囲:2~6 時間)に、本剤 20mg/kg を単回経口

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

62

投与する。

評価項目 有効性:

全生存期間(OS);悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)の蛍光切除術から

死亡までの生存期間。評価は、最終患者登録後 6週間までとする(副

次評価項目)。

安全性:

主要評価項目;本剤の悪性神経膠腫(WHO グレードⅢ/Ⅳ)に対する光切

除術後の有害事象発現率

副次評価項目;蛍光切除術後の身体状態の変化(KPS スコアによる術後 7

日及び 6週の評価)

観察期間 最終組み入れ症例の投与後 6ヵ月

(最大 27.4 ヶ月)

解析方法 解析対象集団は、治験薬が投与され、術前・術中に組織学的に悪性神経膠腫と

診断され、かつ実際に手術が実施されたすべての患者とした。主要評価項目は

安全性であるので、有効性の主要評価項目は設定しなかった。副次評価項目は

全生存期間であり、腫瘍切除から死亡までの期間と定義した。通常の

Kaplan-Meier 法によって生存期間の解析を実施した。

代表施設名 (ドイツ)

(計 24 施設)

試験期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2.7.6.7.2 試験結果

(1) 症例の構成

245 例が登録され、118 例(48%)が治験終了し、127 例(52%)が途中で中止された。中止の

主な理由は死亡であった(92 例、38%)。登録例 245例中 26 例が除外された。その内訳は、「本

剤が投薬されず」が 1例、「本剤が投薬されずかつ組織学的検査の結果が悪性神経膠腫ではなか

った」が 1例、「組織学的検査で WHO グレードⅢ/Ⅳではなかった」が 18 例、「悪性神経膠腫の

再発」が 6例であった。その結果、219 例が最大の解析対象集団(Full Analysis Set、以下「FAS」)

とされ、有効性の解析対象とされた。また、登録例 245 から、治験薬が投与されなかった 2例

を除外した 243 例が安全性の解析対象集団(Safety Analysis Set、以下「SAS」) とされた。

(2) 有効性

1) 解析データセト

FAS である 219 例が有効性の解析対象とされた。

2) 人口統計学的データ及び最終診断名

人口統計学的データ及び最終診断名を表 2.7.6.7 に示す。

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

63

表 2.7.6.7 人口統計学的データ及び最終診断名

年齢(歳) 平均値(SD)

中央値(範囲)

60.7(10.4)

63.0(21-80)

性別 男性

女性

144(65.8%)

75(34.2%)

体重(kg) 平均値(SD)

中央値(範囲)

80.1(15.5)

80.0(37-130)

WHO グレードⅢ

退形成性乏突起星細胞腫

退形成性乏突起膠腫

退形成性星細胞腫

13( 5.9%)

3( 1.4%)

3( 1.4%)

7( 3.2%) 最終診断名

WHO グレードⅣ

膠肉腫

巨細胞膠芽腫

膠芽腫

206(94.1%)

4( 1.8%)

10( 4.6%)

192(87.7%)

3) 有効性

a) 生存率・生存期間

全患者における 12 ヵ月生存率は 59.2%(95%信頼区間:50.6~66.8%)で、生存期間の中

央値は 14.7 ヵ月であった。予想通り、WHO グレードⅣの神経膠腫の患者の 12 ヵ月生存率は

58.4%(95%信頼区間:49.5~66.4%)とわずかに低く、生存期間の中央値も 14.1 ヵ月とわ

ずかに短かった。

b) Stupp 療法を受けた患者の生存率・生存期間

Stupp 療法(放射線療法とテモゾロミドの同時併用療法)を受けている患者の 12 ヵ月生存

率は、64.7%(95%信頼区間:52.8~74.2%)、 生存期間中央値 16.3 ヵ月に対し、この治療

を受けていない患者はそれぞれ、52.0%(95%信頼区間:39.1~63.5%)、 12.4 ヵ月であった。

Stupp 療法を受けている患者の 12 ヵ月生存率は高く、生存期間中央値の延長も認められた。

Stupp 療法を受けている WHO グレードⅣの神経膠腫患者の 12 ヵ月生存率は 64.8%(95%信

頼区間:52.8~74.5%) 生存期間中央値は 16.3 ヵ月に対し、この治療を受けていない患者

ではそれぞれ 49.2%(95%信頼区間:35.5~61.5%)、 11.9 ヵ月であった。12 ヵ月生存率の

違いは、統計学的に有意であった(P=0.0194 log rank)。Stupp 療法を受けている患者では、

12 ヵ月生存率は高く、生存期間中央値の延長も認められた。

(3) 安全性

SAS である 243 例が、安全性の解析対象とされた。追跡期間の中央値は、11.8 ヵ月であった。

1)有害事象

243 例中 126 例(51.9%)に有害事象が見られた。大部分の有害事象は神経系障害(30.0%)

であり、次いで、傷害、中毒、合併症の処置(14.0%)であった。

報告された 73 例の神経系障害のうち、よく見られた有害事象の件数は、不完全片麻痺 23

件、失語症 18 件、頭痛 8件、片麻痺 8件であった。SAS における有害事象の発現割合は、不

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アミノレブリン酸塩酸塩(製剤) 2.7.6 個々の試験のまとめ

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完全片麻痺 9.5%、失語症 7.4%、頭痛 3.3%、片麻痺 3.3%であった。薬剤に起因した有害

事象は 3例 4件のみで、低血圧、肝酵素上昇、脳浮腫、深部静脈血栓であった。

術後 48 時間以内に、64例(26.3%)に有害事象が見られ、大部分は神経系障害(18.1%)

であった。薬剤に起因した有害事象は 1例 2件のみで、低血圧と脳浮腫であった。

2) CTC グレード 3/4の有害事象

CTC グレード 3/4の有害事象が 46 例(18.9%)に見られた。その内訳は、大部分は神経系

障害(10.7%)で、感染症(4.1%)、傷害、中毒、合併症の処置(3.3%)が続いた。

報告された 26 例の神経系疾患のうち、よく見られた有害事象の件数は、不完全片麻痺 12

件、失語症 6件、片麻痺 6件、脳梗塞 3件であった。

術後 48 時間以内に見られた CTC グレード 3/4 の有害事象 24 例(9.9%)の内訳は、大部

分は神経系障害(8.2%)で、傷害、中毒、処置合併症(1.6%)、呼吸器、胸部、縦隔障害(0.8%)、

感染症(0.4%)が続いた。報告された 20 例の神経系障害のうち、よく見られた有害事象の

件数は、不完全片麻痺 11件、失語症 5件、片麻痺 5件であった。薬剤に起因した有害事象は

1例 2件のみで、低血圧と脳浮腫であった。

3) 死亡

術後 30 日以内に 3例が死亡した。

4) 重篤な有害事象

重篤な有害事象(SAE)は 49 例(20.2%)に見られた。大部分の SAE は神経系障害(12.8%)

で、最もよく見られた SAE は不完全片麻痺 15 件、片麻痺 7件、失語症 3件、脳梗塞 2件、不

全単麻痺 2件であった。術後 48 時間以内に 24 例(9.9%)に SAE が見られた。

5) 一般状態

術前の KPS スコア中央値は 90(範囲:70~100)で、術後 7日と 6週の KPSスコア中央値は

80(範囲 20~100)であった。

術後6週間の KPS スコアの術前との比較では、悪化は 46.3%、不変は 34.9%、改善は 11.0%

(不明 7.8%)の患者で観察された。術後 7日と 6週の KPS スコアの値は異ならなかった。

臨床検査値、バイタルサインと身体所見に関するデータは、入手出来なかった。

(4) まとめ

悪性神経膠腫摘出術に対しする本剤投与では、全般的に本剤投与に関連する安全性上の問題

は認められなかった。

中央値 11.8 ヵ月の追跡調査における、悪性神経膠腫の全生存期間の中央値は 14.7 ヵ月であ

り、Stupp 療法又は術後補助療法(放射線療法+テモゾロミド療法)を受けた患者の生存期間

が最も長かった。