イノベーション創生のメカニズム ~ シリコンバレー発展の秘訣 · ©2012...

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ベンチャーエコシステム活性化のために ~ シリコンバレーからの視点 ~ 新生VEC発足記念講演会 2012427石井正純 Managing Director – AZCA, Inc. Venture Partner - Noventi 静岡大学工学部大学院、早稲田大学ビジネススクール 客員教授

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ベンチャーエコシステム活性化のために

~ シリコンバレーからの視点 ~

新生VEC発足記念講演会

2012年4月27日

石井正純

Managing Director – AZCA, Inc.

Venture Partner - Noventi

静岡大学工学部大学院、早稲田大学ビジネススクール 客員教授

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米国ベンチャーキャピタルの貢献 (2010年)

イノベーションの80%

民間雇用の11%(1,190万人) ソフトウェア雇用の90%

バイオテクノロジー雇用の74%

半導体・エレクトロニクス雇用の72%

コンピュータ雇用の54%

通信雇用の48%

米国GDPの21%($3.08Trillion = 3.08兆ドル) 半導体/エレクトロニクス売上げの88%

バイオテクオロジー売上げの67%

コンピュータ売り上げの46%

ソフトウェア売り上げの40%

ITサービス売り上げの39%

出典: Venture Impact by HIS Global Insight 1

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シリコンバレーのベンチャーエコシステム

アイデア 新製品

起業家

VC 優れた大学・研究機関

弁護士事務所

会計事務所

コンサルタント

ヘッドハンター

投資銀行

調査会社

etc.

イノベーションのネットワーク

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サポートインフラと米国ベンチャー企業

ベンチャー企業

高成長

対象市場 リスクと

成功報酬

Openness, Tolerance for Failure

アイデアを実行に移す風土

その他の

サポート・ストラクチャー ベンチャーキャピタル

シリアル・アントレ

プルナー

企業・大学

・研究機関

強力な

経営陣

革新的技術、

サービス

強力な

役員構成

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シリコンバレーの持続的なイノベーション

キーワード1: Openness (オープンネス)

多様な文化的背景の人たち、初対面の人たち(所属先や肩書きに関係なく)に対するオープンネス

新しいアイデア(技術、ビジネスモデル)に対するオープンネス

“Out of the Box Thinking”

キーワード2: Tolerance for Failure(やり直しがきく)

「3つの成功の背景には1,000以上の打球」 (Many, many

attempts behind a few success )

起業家にとってのリスクは低い(Low risk high return)

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ベンチャーのエコシステム

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大学・研究機関

大企業

ベンチャー企業

ベンチャー

キャピタル

株式公開

M&A

清算

投資家 投資家 投資家

VC投資

LP投資

キャピタルゲイン

キャピタルゲイン

スピンアウト

スピンアウト

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: 日本では十分に機能

しているとはいえない? ?

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ベンチャーエコシステム醸成のための課題

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歴史や風土が作った環境 (短期間では変わらないが変化への努力は継続して必要) 人口構成

• 日本: 単一民族かつ急速な高齢化

• 米国: グローバルな移民国家

精神風土 • 日本: 「出る杭は打たれる」「失敗は個人を社会的に厳しい状況へ」

• 米国: 「成功者は名誉もお金も」「挑戦における失敗には寛容」

人為的に変化を促せる環境 (教育や研修など人材養成へのコンセンサス) 大学・大学院・専門大学院(ビジネススクール)など、企業関係教育の充実

法律事務所、会計事務所、コンサルタントなど、プロフェッショナルの充実

投資判断のみならず、ハンズオンまで出来るベンチャーキャピタリストの醸成

産学連携の推進

社会システムとしての金融・財政・税制 (政策課題の官産学共有) 大学・年金等のベンチャー資金供給のための規制緩和

税制によるエンジェル育成制度の拡充

ストックオプション、種類株式等のツール整備

年金のポータブル化の充実

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日本企業の3つのタイプ

既存の大企業

高度成長時代に作れば売れる右肩上がりで業績を伸ばしてきた

2000年以降伸び悩んでいる

成長について多くが成り行き予測型

国内の中小・ベンチャー企業を見下すカルチャー?

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ニューブリード

経営基盤に起業家精神

創業以来、不況下でも急成長を実現してきた

過去のしがらみは無く、成長のビジョンが明確で構造変革型

グローバル・モデルで事業展開

ニューブリード予備軍

世界に問える技術力

技術を事業に育てる経営力が不足しているケースあり

金も人材も不足しているケースあり

VCが大きく貢献できるはず

大企業はより注目すべき

今後の成長

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大企業のベンチャー企業のM&A促進

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ベンチャー企業

ベンチャー

キャピタル

株式公開

M&A

清算

投資家 投資家

政府・機関投資家

VC投資

キャピタルゲイン

キャピタルゲイン

スピンアウト

技術・人材

スピンアウト

技術・人材

大企業 大企業 大企業

戦略的LP投資

戦略的提携、M&A

共同投資

キャピタルゲイン

LP投資

大学・研究機関 大学・研究機関 大学・研究機関

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VCの投資

米国におけるVC投資とエグジットの変遷

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2004

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2006

2007

2008

2009

2010

IPO M&A

9 出典: NVCA

ブラック

マンデー

シリコンバレーブーム

ネットバブル

ネットバブルの崩壊

ベンチャー企業のエグジット

Billion 件

リーマン

ショック

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SVインフラ活用による頭脳循環の促進

経済産業省:日本からシリコンバレーVCへの派遣プログラム

産業革新機構:シリコンバレーとのネッワーク強化

大企業:CVCの促進、シリコンバレーで人材育成、グローバル人材の雇用

ベンチャー企業:JETRO BICプログラムの活用

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日本人プロフェッショナル(VCなど)

中小・ベンチャー企業

日本

SVの大学・ 研究機関

SVの

ベンチャーキャピタル

SVの

企業

日本人のプロフェッショナルネットワーク

日本からの進出企業支援

システム

(JETRO BIC)

シリコンバレー

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ディスカッション

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石井正純 略歴

1972年東京大学工学部計数工学科卒業後、1976年日本IBMからスタンフォード大学大学院に留学、コンピュータサイエンス修士号取得。1981年 McKinsey & Company 社に入社、日米欧の主要クライアントに対し、特に情報通信、エレクトロニクスの分野で多角化戦略、海外戦略などの経営コンサルティング活動を行なう。1985年ハイテク分野での新規事業育成を目標としてシリコンバレーにAZCA, Inc. を設立。以後、米国ハイテクベンチャー企業のアジアにおける新規市場参入、日本企業の米国市場参入および米国ハイテクベンチャーとの提携等による新規事業開拓と東西両国の事業展開の掛け橋として活躍。最近は特に「グローバル市場での競争力の源泉となるイノベーション力を日本企業に如何に根付かせるか、またその力を如何に事業成長に結びつけるか」を主なテーマとして仕事を続けている。AZCAを主宰する一方、2004年3月ベンチャーキャピタル会社Noventiにマネジングディレクターとして参画、シリコンバレーにおける新エネルギー・環境分野のベンチャー企業への投資、事業開発も積極的に行なっている。2005年より静岡大学大学院, 2012年より早稲田大学ビジネススクール客員教授。2006年よりPARC(Palo Alto Research Center)のExecutive Advisor兼任。また、現在、北加日本商工会議所(2007年度は会頭)およびJapan Society of Northern Californiaの理事を兼任。新聞、雑誌での論文発表および日米各種会議、大学等での講演多数。共著「マッキンゼー成熟期の差別化戦略」、「Venture Capital Best Practices」、「感性を活かす」など。

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