バスキュラーアクセス管理と...

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15回福岡東部腎不全看護研究会 2016621日(火) 18451945 宗像医師会病院 新館3階講堂 バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について 医療法人 心信会 池田バスキュラーアクセス・透析・内科 池田

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第15回福岡東部腎不全看護研究会2016年6月21日(火) 18:45~19:45

宗像医師会病院 新館3階講堂

バスキュラーアクセス管理と透析管理の関連について

医療法人 心信会池田バスキュラーアクセス・透析・内科

池田 潔

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院長自己紹介

1991年 福岡赤十字病院 腎センターに勤務1992年 同上 福岡で初のガンバイオプシーを開始1993年 同上 人工血管移植術を開始1995年 同上 シャントPTAを開始1999年 同上 パラシュートテクニック変法を開始し

腎不全外科で2006年発表2004年 同上 シャントトラブルスコアリングを発表2008年 同上 PTAの低圧拡張法を第12回アクセス研究会で発表2009年 同上 第13回アクセス研究会を開催2010年 池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック開院2012年 EDTAで低圧拡張法を発表2014年 EDTAにて低圧頻回拡張とSuper-non-compliance

の有意性を発表2015年 医)心信会 池田バスキュラーアクセス・透析・内科

2012年 Importance of low-pressure enhancing that controls endothelial lining damage in VAIVT Paris

2014年 New Low Pressure Technique (LPT) to Improve Patency Period Amsterdam

2015年 4 STEP SURGICAL TECHNIQUE TO CONTROL EXCESS VASCULAR ACCESS BLOO4D FLOW London

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52th ERA-EDTA Congress

May 30 2015, ExCel London

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医)心信会 池田バスキュラーアクセス・透析・内科

2010年9月1日 開院

・腎臓内科

・人工透析

・一般内科

・バスキュラーアクセス

シャントPTA

日帰りシャント手術

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透析室1F:34台、2F:15台

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透析中の定期的超音波モニタリング

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管理栄養士 臨床工学技士 看護師

医師

メディカルクラーク

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手術室とCアーム

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バスキュラーアクセスを極める

第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復①PTA法

1)PTAの一般的手技・方針の立て方2)PTA法の実際

②関連機材の進歩1)バルーン関連2)エコー診断装置

③保険診療との兼ね合い

バスキュラーアクセスインターベンションの最前線-3ヵ月以上維持するためのコツー

編集グラフト利用その他の期待される新しいデバイス

2011年版

「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン」

第5章 バスキュラーアクセストラブルの管理 (6)感染

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本日の話

1) 2004年スコアリングの成立

2) エコー活用と臨床工学技士の活躍

3) 栄養士とメディカルクラークの活躍

4) 閉塞とDW管理

5) ミルキング法の変法

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1994:The Treatment Of Vascular Access Graft Dysfunction:A Nephrologist`s View And Experience

Gerald A.Beathard

‘Advances in Renal Replacement Therapy’

表1.Clinical Indicators for Venous Stenosis

1)静脈圧の上昇

2)繰り返す血栓形成

3)止血時間の延長

4)穿刺困難

5)疼痛

6)上肢の腫脹

7)再循環

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*3点以上でDSA or PTAを検討

1) 異常なし

2) 狭窄音を聴取

3) 狭窄部位を触知

4) 静脈圧の上昇160mmHg以上

5) 止血時間の延長

6) 脱血不良(開始時に逆行性に穿刺)

7) 透析後半1時間での血流不全

8) シャント音の低下

9) ピロー部の圧の低下

10) 不整脈

(自家:1,グラフト:3)

(自家:2,グラフト:3)

Co-medical staff のために

表2:シャント トラブル スコアリング (S.T.S) 第Ⅰ版

臨床透析:「インターベンション治療ー適応範囲と新しい器材・技術の発展ー」2005;21

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PTA施行患者のシャントトラブル症状

患者名

症状発見年月日 4月第1週 4月第2週 4月第3週 4月第4週

シャントトラブルスコア 点数

1)狭窄音を聴取 1

2)狭窄部位を触知 2

3)静脈圧の上昇160以上(自家:グラフト) 1:3

4)止血時間の延長 2

5)脱血不良(開始時に逆行性穿刺) 5

6)透析後半1時間での血流不全 2

7)シャント音の低下(自家:グラフト) 2:3

8)ピロー部の圧の低下 2

9)不整脈 1

3点以上でDSA,6点以上でPTA.

合計点数

PTA施行日

症状出現~PTA施行までの日数

図1:シャントトラブル スコアリング シート

毎 週 観 察

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「バスキュラーアクセス実践ガイド」2007

表3.シャント トラブル スコアリング (S.T.S)

大項目 1)脱血不良(血流200ml/min以下)

2)再循環による透析効率の低下(10%以上)

3)吻合部でのスリル(またはシャント音)の低下(拍動の増強)

4)血栓性閉塞

以上のどれかがあれば絶対的PTAの適応となります。

小項目 A)駆血にて狭窄部位の触知

B)狭窄部位での狭窄音の聴取(高調音の聴取)

C)静脈圧の上昇(Graft留置時またはPTA直後と比較して50mmHgの上昇)

D)止血時間の延長(以前より明らかに5分以上延長)

E)不整脈

F)ピロー部の圧の低下

以上のうち2項目あればシャント造影を実施、3項目以上あれば

早期DSAあるいはPTAとなります。

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本日の話

1) 2004年スコアリングの成立

2) エコー活用と臨床工学技士の活躍

3) 栄養士とメディカルクラークの活躍

4) 閉塞とDW管理

5) ミルキング法の変法

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年月日 発表者 タイトル 学会名

2011/02/〇 谷口 グラフト狭窄の早期発見 -エコーを使った経過観察 福岡市バスキュラーアクセス研究会

2011/09/19 谷口LOGIQP5(GE Health Care社)を使用した遅超音波検査によるバスキュラーアクセスの機能評価の有効性

第15回日本アクセス研究会

2012/02/〇 川原田 AVFにおけるバスキュラーアクセス管理についての検討 福岡市バスキュラーアクセス研究会

2012/06/22 川原田 AVFにおけるバスキュラーアクセス管理についての検討 第57回日本透析医学会

2012/06/22 上野 積層型ダイアライザ―AN69による下肢の血流改善効果の検討 第57回日本透析医学会

2012/10/13 谷口 VAIVTにおけるAVFでの F.V.・R.I.・P.I.の評価検討 第16回日本アクセス研究会

2012/10/13 川原田 当クリニックにおける エコーレポート作成の報告 第16回日本アクセス研究会

2012/12/02 川原田 当クリニックにおける エコーレポート作成の報告 第45回九州人工透析研究会総会

2013/06/20 谷口 AVFにおける 超音波検査によるVA管理 第58回日本透析医学会

2013/06/20 岩下 当院でのバスキュラーアクセス(VA)管理の現状 第58回日本透析医学会

2013/09/21 谷口 PTAにおける血管エコー検査によるAVFのVA管理 第17回日本アクセス研究会

2013/09/21 岩下 当院でのバスキュラーアクセス(VA)管理の現状 第17回日本アクセス研究会

2013/11/24 川原田 AVFにおける当院のVA管理 第46回九州人工透析研究会

2013/11/30 谷口 エコーガイド下穿刺のすすめ第1回九州バスキュラーアクセスライブフォーラム

表1:当院における活動報告

― 臨床工学技士 ―

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年月日 発表者 タイトル 学会名

2014/06/13 川原田 当クリニックの穿刺の現状 第59回日本透析医学会

2014/11/29 飯田 当院におけるエコー下穿刺の現状 第18回日本アクセス研究会

2014/11/30 川原田 当院におけるエコー下穿刺の現状 第47回九州人工透析研究会

2015/05/23 川原田 当院のチーム医療における臨床工学技士の役割 第25回日本臨床工学会

2015/06/27 谷口VAIVTによるスパズム(攣縮)の影響における超音波検査の機能評価

第60回日本透析医学会

2015/07/11 岩下当院で留置カテーテルにて在宅血液透析導入を行った症例の管理方法

第18回在宅血液透析研究会

2015/09/12 川原田 当院における穿刺教育 -穿刺実績の集計に基づいて- 第19回日本アクセス研究会

2015/09/12 谷口 VAIVT施行によるスパズム(血管攣縮)との関連因子の検討 第19回日本アクセス研究会

2015/12/06 杉本 留置カテーテルを用いた在宅血液透析の可能性 第48回九州人工透析研究会

2015/12/06 川原田 透析室スタッフにおけるエコーの積極的活用の紹介 第9回 Vascular Access超音波研究会

2016/02/20 杉本 在宅血液透析始めました!~全部解決!立ち上げノウハウ~ 第1回腎代替療法研究会

2016/03/19 川原田 透析室に求められること~体重管理からみるVA管理~日本医工学治療学会第32回学術大会

2016/05/01 川原田 体重管理からみるVA管理第43回日本血液浄化技術学会学術大会・総会

表2:当院における活動報告

― 臨床工学技士 ―

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年月日 発表者 タイトル 学会名

2016/05/15 川原田 臨床工学技士におけるエコーとVA管理の関わり 第26回日本臨床工学会

2016/05/15 岩下在宅血液透析でのWEBカメラを使用した透析装置モニタリングの使用経験

第26回日本臨床工学会

2016/06/12 川原田 新たなVA管理~加圧式VAマッサージ~ 第61回日本透析医学会

2016/06/19 川原田 新たなVA管理~加圧式VAマッサージ~ 第24回福岡県臨床工学会

表3:当院における活動報告

― 臨床工学技士 ―

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年月日 発表者 タイトル 学会名

2012/06/22 平口 当院透析患者におけるカルニチンの有用性について 第57回日本透析医学会

2012/06/22 山部当院におけるフットケアの 現状と課題~総合病院との連携を通して~

第57回日本透析医学会

2012/12/02 山部 病診連携にて改善した 足病患者の一例 第45回九州人工透析研究会総会

2013/06/20 米田・松尾 当院における外来透析導入の評価検討 第58回日本透析医学会

2013/06/20 平川・兼光 当院における外来手術の現状 第58回日本透析医学会

2013/11/24 松尾・米田 当院における外来透析導入の現状評価 第46回九州人工透析研究会

2013/11/24 平川・兼光 当クリニックにおける外来手術の現状 第46回九州人工透析研究会

2014/06/14 鎌田・野中 当院における導入期指導の現状評価 第59回日本透析医学会

2014/11/30 野中 当院における導入期指導の現状評価 第47回九州人工透析研究会

2015/06/28 松田透析導入者の受容過程と外来導入の適応を検討~患者の思いを聞いて~

第60回日本透析医学会

2015/11/14 北島 透析業務指導要領の改正と導入の報告 第18回日本腎不全看護学会

2015/11/21 森藤 在宅⾎液透析の⽀援-看護師の関わり- 平成27年度福岡一地区支部研修

2015/12/06 三木 抜針事故対応の デモンストレーション実施の評価 第48回九州人工透析研究会

2016/06/10 山本バスキュラーアクセス感染対策に向けた手洗い動画の放映効果 ~意識付け~

第61回日本透析医学会

表4:当院における活動報告

― 看護師 ―

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抜針事故対応のデモンストレーション実施の評価

〇三木久美子 北島 久美 上野 庸介安田 透 池田 潔

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背景

操作ミス

53%

抜針21%

空気混入5%

与薬5%

その他16%

事故報告書

操作ミス53% 抜針21%

空気混入5% 与薬5%

その他16%

当院は透析室スタッフ19名で、透析業務経験が平均約8年である。返血側の自然抜針事故が発

生したことを受け、アンケートを実施し、マニュアル改訂・運用を開始した。その一環として、事故対応未経験者を対象に、返血側の抜針事故対応のデモンストレーションを導入した。

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技術面の向上を目指し、デモンストレーションを取り入れた

活動内容を報告する。

目的

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期間:平成27年2月から7月

対象:事故対応未経者4名

方法:デモンストレーション3回実施、

前後で技術面・変化を評価するためのアンケート調査を

実施した

研究期間・対象・方法

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デモンストレーション前のアンケート結果

・どう対応していいかわからない

・イメージがわかない

・マニュアルか、表のようなものが欲しい

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デモンストレーションの流れ

返血側抜針事故時対応台本

状況:Bさん 86歳 男性 透析歴20年 原疾患 糖尿病性腎症認知症あり。月水金のAM 右シャント 血圧自動測定60分定期チェックは30分ごとに行っている。ADLは、一部介助がないと行なえない。透析中に大きな声で妻を呼んだり見当識障害がみられるため、個室で透析を行っている。透析2時間目頃の11時に透析機器の警報アラームが鳴った。腕を曲げてしまったかと思い、スタッフ1がすぐにベッドサイドにかけつけたところ、シャント肢周囲に出血の跡とベッドの下に血だまりが出来ており、返血側のラインが抜けていた。顔面蒼白で、意識消失し、小刻みに痙攣しているBさんがいた。当日は、総除水量2.000ml、除水速度410ml/hQB160ml/min.発見される10分前まで下肢処置を施しており、処置中は傾眠傾向で目立った体動・行動はなにひとつなかった。その時の動けるスタッフは、リーダー1人、看護師フリーA・Bの2人だった。

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(看護師A) :発見する。Bさん。Bさん聞こえますか?誰か来てください。(大きな声で)血液ポンプ停止。

AVルートをクランプし出血部位を圧迫止血しながら意識確認。反応なし

(看護リーダー) :どうしましたか?(すぐに駆け付ける)

(看護師A) :抜針事故です。先生とスタッフをもう一人呼んでください。

(看護リーダー) :わかりました。(医師へ報告とスタッフ3に声かけを行う)

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~6ヶ月

項目 担当 サイン 一人で可

見学当日の担当者

説明

・リーダー業務内容 当日の・コスト入力 担当者・透析後の記録整理

(デモスト参加)・急変時の対応・自己抜針時の対応・空気混入時の対応・回路交換

実施

・リーダー業務 当日の・コスト入力 担当者・透析後の記録整理

(デモスト参加)・急変時の対応・空気混入時の対応・回路交換

備考新規作成した

透析業務指導要領

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医師へ報告

医師へ報告

応援を呼ぶ

医師へ報告

返血側

抜針

血液ポンプOFF

止血、意識の確認

意識有

再穿刺し 透析再開

透析終了

意識無 AV逆接し補液

意識無追加補液、投

薬意識回復 透析終了

意識回復 透析終了

モデルケース表

カンファレンスまとめ

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固定テープの変更定時観察の時間短縮目の届く大部屋へ移動カルテ記載法の統一回路固定方法の検討

月 内容 対象者

12月 デモスト実施 全員対象

1月

2月

3月 デモスト実施 新人対象

4月

5月

6月 デモスト実施 全員対象

7月

8月

9月 デモスト実施 新人対象

10月

11月

年間計画表

事故防止対応策

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デモンストレーション手技が分からない場面

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デモンストレーション台本を確認している場面

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デモンストレーション実践

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・手技がイメージしやすくなった

・流れが理解ができた

・定期的にやって欲しい

デモンストレーション後のアンケート結果

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返血側抜針事故対応のデモンストレーションを取り入れた

ことで、手技の再確認と統一化を図り、抜針事故対応への

意識と技術が高まった。言葉での説明や紙面での学習よ

りも、デモンストレーションを行った方が、学習効果が上

がった。

今回は、事故対応未経験者での実施だったが、透析経験

の長いスタッフにも応用が適応できると考える。

考察

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返血側抜針事故対応のデモンストレーションに着目し導入

したことで、手技習得の効果が得られた。今後は、3カ月に

1度スタッフ全員を対象にデモンストレーションを実施。年間

活動の中に組み込み活動を継続中。活動実績はまだ少な

いが、スタッフの事故対応に対する意識は高まっている。

まとめ

Page 37: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

○山本由育 川原田貴士 植木愛 鎌田紗貴子

谷口英治 安田透 池田潔

バスキュラーアクセス感染対策に向けた手洗い動画の放映効果

~意識付け~

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背景

当院では他院からの転院時や透析導入時にはバスキュラー

アクセス(以下、VA)感染予防のため正しい手洗い法を指

導している。このたび、グラフト感染症例が発生した事か

ら手洗いの実態調査および感染予防に対する意識の向上を

目指した。

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維持透析患者において、手洗いの現状及び感染予防意識に

対する手洗い動画についての検討を報告する。

目的

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対象

当院維持透析患者104名(対象外15名)

平均年齢(±SD)62.4±13.1歳

男性:女性 59:30

AVF:AVG 81:8

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①透析待合室にて感染対策動画(7分)放映動画放映期間 平成27年12月11日~15日

方法

②下記内容でアンケート調査を4回実施

③スワブ法による皮膚常在菌検査を実施当院維持透析歴3年以上の患者14名(穿刺部より採取)AVF:7名 AVG:7名

手洗い指導受けたことがあるか(Yes or No)現在の手洗いの実施状況(Yes or No)VAについての心配事(自由記入)

動画を見たか(Yes or No)現在の手洗いの実施状況(Yes or No)動画視聴後の変化(自由記入)

現在の手洗いの実施状況(Yes or No)動画視聴後の変化(自由記入)VAについての心配事(自由記入)VAについて気を付けていること(自由記入)

放映前

放映後

放映1か月,3か月後

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※動画放映の様子 ※皮膚常在菌検査

※動画の内容(手洗いの方法や感染についての解説など)

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結果

77%70%

77%67%

23%30%

23%33%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

放映前 放映後 1か月後 3か月後

AVF患者の手洗い実施率の変化

洗っている 洗っていない

n=65 n=44 n=48 n=43

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75%

100%

71%

56%

25% 29%

44%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

放映前 放映後 1か月後 3か月後

AVG患者の手洗い実施率の変化

洗っている 洗っていない

n=8 n=8 n=8n=7

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皮膚常在菌検査 陽性患者

放映前 放映後

2名14名 14名

0名

※陽性患者より検出された、ブドウ球菌、アシネトバクター

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#1放映前のアンケートでは手関節から末梢までの手洗い実施率が分かった。放映後は前腕部まで洗えている事が「Yes」とするようにアンケートを変更している。しかしながらAVG患者は手洗い実施率100%が達成できた。

その後AVF・AVG患者ともに手洗い実施率は徐々に低下している。

#2放映後も手洗いの必要性を感じない患者もいた。

#3常在菌検査は放映前が陽性2名、放映後は陽性はいなかった。放映前の陽性患者は2名ともAVGであり、放映前も手洗いは行っていたが、放映後は穿刺部までしっかりと手洗いを行うようになった。

#4アンケートを取ることによりAVFの中には11人は自己のVAが分からないという患者がいた。

アンケート結果の一部(自由記入)

①時間が合わず、動画が見られなかった。(放映後)②手洗いは手指の洗浄だけだと思っていた。(放映後)③自宅で洗って来ているから病院では洗わない。(放映後)④定期的に動画を流してほしい。(1か月後)⑤麻酔テープを貼っていると洗えない。(放映後)

Page 47: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

#1 アンケート結果の中に、放映時間や頻度の意見があった。継続して放映することで、より強く意識づけができると考える。

#2 アンケート結果より、放映後1~3ヶ月での手洗い実施率の低下がみられた。

#3 手洗い=手関節から末梢までの手洗いと認識している患者が多く、放映により穿刺部までの手洗いを意識づけることができた。

考察

Page 48: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

#1 手洗い動画の放映は意識の向上、手洗い方法の見直しに有用である。

#2 結果より偶数月の第2週(月・火)に手洗い動画を放映し、継続的な働きかけを行っている。

#3 細菌検査結果により、穿刺前の手洗いはVA感染予防に有用である。

まとめ

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図1:技士のVA外来での役割

<血管エコー検査中>

上腕動脈にプローブを当てる。

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< F.V.(血流量) ・ P.I.(拍動指数)・R.I.(抵抗指数)の計算式>

・F.V.(ml/min)=

Vm-mean×area×60(s)×100

・P.I.=PSV-EDV/TAMV

・R.I.=PSV-EDV/PSV

PSV:収縮期最大速度EDV:拡張期最大速度TAMV:平均血流速度Vm-mean:時間積分値の平均速度(cm/s)Area:血管断面を正円と仮定したときの

血管径より求められた断面積(㎠)

PSVEDVTAMV

図2:技士のVA外来での役割

<血管エコー検査>

①機能的評価(透析に必要な機能が確保できているか)

Page 51: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

VAIVT後F.V.(ml/min)

200~249

~199

700~749

250~299

300~349 400~449 500~549 600~649

350~399 450~499 550~599 650~699 750~

n=273

3ヵ月開存しなかった割合

3ヵ月開存した割合

図3:VAIVT後F.V.(血流量)における3ヵ月開存の割合

Page 52: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

Dr.

Ns.

Tc.

Nt.

MC

Pt.

図4:チーム回診の様子

Page 53: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

本日の話

1) 2004年スコアリングの成立

2) エコー活用と臨床工学技士の活躍

3) エコー下穿刺とエコー検査

4) 閉塞とDW管理

5) ミルキング法の変法

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図1:簡易的VAシート

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【背景】

<透析室>

①穿刺困難患者の受け入れ

(※通常臨時透析も受け入れています)

②エコー下穿刺

③維持患者におけるVA管理

臨床工学技士のVA管理

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動画1:エコーの動画

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動画2:エコーガイド下穿刺

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97.68%

2.26% 0.06%

臨床工学技士 看護師 医師

『業種別穿刺割合』

【内容・方法】

①穿刺難易度を、A群(初級)・B群(中級)・C群(上級)3段階に分類

※難易度評価は、臨床工学技士7名の評価平均を基に分類。(難易度評価は年1回見直し・更新)

性別年齢透析経験年数

(技士年数)集計期間

総穿刺者数

難易度別穿刺率

A(初級)

B(中級)

C(上級)

技士① 男 50 22(22) 12ヶ月 2340 61% 31% 8%

技士② 男 35 12(12) 12ヶ月 2351 49% 32% 19%

技士③ 女 34 10(12) 7ヵ月 636 73% 25% 2%

技士④ 男 30 8(8) 12ヶ月 2695 41% 38% 21%

技士⑤ 男 28 7(7) 12ヶ月 2527 48% 35% 18%

技士⑥ 女 28 6(6) 12ヶ月 2495 60% 33% 7%

技士⑦ 男 35 3(13) 12ヶ月 2528 45% 37% 18%

図2表1

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②年間再穿刺率を算出

・総穿刺回数=(延べ穿刺対象患者×2)+総再穿刺回数

・年間再穿刺率=総再穿刺回数

総穿刺回数

×100

BIRD社製「SITE RITE 5」

<使用装置>

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③再穿刺率をエコー下と非エコー下に分けて算出し、t検定を用いて有意差検定

<エコー下穿刺>

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A群(初級) B群(中級) C群(上級) 全体

難易度割合 46% 32% 22% 延べ15572名

AVF 83% 84% 91% 85%

AVG 17% 16% 2% 13%

動脈表在化 0% 0% 8% 2%

男性 69% 64% 66% 67%

女性 31% 36% 34% 33%

平均年齢 64.2 62.5 64.5 63.7

最高年齢 87 86 92 92

最低年齢 35 34 28 28

表2

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・年間再穿刺率=330

31474

×100 = 1.05%

※年間再穿刺率は1.05%

0 5 19

58

128120

A(初級) B(中級) C(上級)

『難易度別再穿刺回数』

:非エコー下:エコー下

年間再穿刺回数=330回

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0.09% 0.05% 0.13% 0.17%0.04% 0.09% 0.08% 0.04% 0.08% 0.11% 0.12%

0.00%

2.71%

1.09%0.97%

0.59%0.77%

0.93%

1.55%

0.65%

1.45%

1.02%0.92% 0.88%

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

図3:エコー下と非エコー下における再穿刺率の比較(月別)

・非エコー下での年間再穿刺率=1.07%

・エコー下での年間再穿刺率=0.08%

P<0.001 有意差あり

:非エコー下

:エコー下

・エコー下穿刺実施率=0.7%(203回):2013年

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2.3%

4.6%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

4.0%

4.5%

5.0%

2014年 2015年

675/回

1244/回

図4:エコー下穿刺実施率(2014,2015)

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図5:エコーレポート(改訂版)

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0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

2010年9月~12月 2011年5月~8月 2012年1月~4月 2012年9月~12月

②エコー下穿刺2011年8月開始

④ VAエコーレポート2012年9月開始2012年2月開始

③VAの情報共有

図6:VAトラブル発生率と検査項目の継時的推移(4ヶ月おき)

2010年9月開始①簡易的VAシート+S.T.S+血管エコー

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図7:VAエコー件数

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2014年 2015年

維持患者

外来患者

1487件 1553件

1188(80%)

1243(80%)

299(20%) 310(20%)

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年月日 発表者 タイトル 学会名

2014/6/14 山田 栄養士から見たチーム医療による透析室回診の報告 第59回日本透析医学会

2014/11/30 山田 栄養士からみたチーム医療による透析室回診の報告 第47回九州人工透析研究会

2016/03/13 山田 透析患者の食事療法 第34回沖縄県人工透析研究会

表3:当院における活動報告

― 管理栄養士 ―

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【回診時のスタッフの役割】

医師

<管理栄養士>・食生活把握の為、家族を含めた情報収集

・栄養指導の実施、提案・栄養相談

<メディカルクラーク>・他院との連携(他院受診日の調整)・紹介状の作成

<看護師>患者背景を基に透析条件だけでなく、生活背景を考慮した上申・提案・看護ケア

<臨床工学技士>・回診時にiPadを用いた情報提供

旅行透析依頼方法

◆患者への確認事項 ・臨時透析日程 ・希望シフト(昼/夜間) ・滞在先住所 ・移動手段

◇依頼先を決める①   ・患者の希望先があれば、そこへ依頼

②   ・希望先が無い場合は、患者の滞在先を聞き、〇〇駅~△△駅周辺と大まかな希望は聞く

・透析会員名簿(受付にあるグリーンの冊子)で該当する施設をコピーし、池田先生と相談しながら決定  ※該当施設のホームページを事前にチェックした方が良い   ※ホームページが無い施設は透析環境が分からない為、NG

◇依頼先へTEL ・旅行透析の受入れをしているか ・依頼日程でベッドが空いているか ・希望シフト ・患者名 ・食事 (透析先手配/患者持込み)   ※所定のフォーマットに必要事項を記入しFAXが必要な施設もあり   ※受入れ可能と返答があったら、透析条件等の書類を後日FAXする旨伝える

◇受持ち看護師へ報告し、透析条件・患者基礎情報・透析記録(過去3回分)を依頼  ※透析時間や詳細の依頼は、直接看護師から行ってもらうこと

◆患者へ施設先のホームページを印刷し渡す ・日にちの確認 ・シフトの確認 ・食事について ◇書類のFAX ⇒ 確認TEL①   診療情報提供書(池田先生のチェックを受ける)、検査結果、定期処方,透析条件、患者基礎情報、透析記録

・日にちの再確認・シフトの再確認・来院時間・食事についての報告 ※持ち物については、FAXを依頼する

≪一般的な持ち物≫  ●保険証、特定疾病療養受領、医療証  ●支払い一時金  ●止血ベルト  ●スリッパ  ●透析を受ける時の服装(パジャマまたは、Tシャツにズボン)  ●タオル(大小各1枚)  ●食事 ◇定期処方渡し日にかかる場合は、事前に渡しておく(患者と事前に話し合っておく)

◇封筒を作成し、最終日にリーダーへ書類一式を渡し、患者に渡してもらう  ※透析記録は、最終日を含め、過去3回分に差し替えてもらうこと

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本日の話

1) 2004年スコアリングの成立

2) エコー活用と臨床工学技士の活躍

3) エコー下穿刺とエコー検査

4) 閉塞とDW管理

5) ミルキング法の変法

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図1:超音波検査の外来患者数(他院からの紹介患者)2015年

9099

176

89

3427 27

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 4ヶ月後 5ヶ月後 6ヶ月後 その他

(人数)

実人数 271人

延べ人数 813人

2015.1.1~2015.12.31

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期間:2015年1月1日~2015年12月31日

VAトラブル519回

PTA:354回 手術:165回

AVF:259回 AVG:95回

ウロキナーゼ6万単位ヘパリン5000単位

1例(2.9%)

PTA 9例(26.5%)

血栓吸引+PTA21例(61.8%)

閉塞:31例

PTA 12例(48.0%)

血栓吸引+PTA 13例(52.0%)

閉塞:25例 カフ型カテーテル挿入 6例(14.6%)

血栓除去+再建 11例(26.8%)

再建 7例(17.1%)

血栓除去 10例(24.4%)

(以下:hybrid手術)血栓除去⇒ PTA⇒再建 1例(2.4%)

血栓除去+PTA 5例(12.2%)

閉塞:41例

68.2% 31.8%

73.2% 26.8%24.8%

26.3%12.0%

図2:紹介アクセストラブル患者の処置の内訳

Page 73: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

図3:2015年月別閉塞症例数(VA外来)

76 6

2

910 10

13

9

5

89

0

2

4

6

8

10

12

14

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

・他施設:82例・維持患者:12例

年間閉塞数:94例

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図4:2015年福岡県月別平均気温(参考データ:気象庁HP)

7.9 7.611.1

16.2

20.722.6

26 27.4

23.2

18.916

10.3

0

5

10

15

20

25

30

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

Page 75: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

7 6 6

2

9 10 10

13

9

5

8 9

7.9 7.6

11.1

16.2

20.722.6

2627.4

23.2

18.9

16

10.3

0

5

10

15

20

25

30

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

閉塞症例数 平均気温

図5:2015年月別の平均気温と閉塞数

(℃/症例)

• 平均気温の上昇とともに閉塞数も上昇。

• 気温の最も高い8月に閉塞数が最も多い。

• 冬場に閉塞数が再上昇。

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図6:VA外来で技士による積極的ヒアリング

最近、血圧はどれぐらいですか?

汗は結構かきますか?

昨日は外出してましたか?

最近の心胸比は覚えてます?

普段どれくらい除水してます?

透析中は問題なく経過してますか?

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VA外来での閉塞患者の返答(水分に関して)

• 「畑仕事で水分補給はほとんどしませんでした。」

• 「外出して大量に汗をかきました。」

• 「私は、水分をとらないように気を付けています。」

• 「サウナで体重落そうと思って・・・。」

• 「飲み会で飲み過ぎて・・・嘔吐しました。」

夏場の閉塞は血管内脱水による突然閉塞や水分管理に厳格な方に多い。

Page 78: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

患者指導(水分管理)~少しまとめ~

※夏場の食欲低下や夏バテにより、DWを下げるのは当然ですが

• 季節(気温)に応じた、柔軟な水分補給の指導が必要。

• 脱水による体のしくみ、VAとの関わりを理解してもらう。

• 自身の発汗量を把握し、適切な水分補給を促す。

VA外来や透析室での適切な指導が閉塞軽減へのカギ

Page 79: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

透析室で何ができるのか?

• 理学的所見「診・聴・触」

• 穿刺部位の選択(穿刺部位を増やす)

• 除水制限(リフィリングの観察)

• 患者指導(水分管理)

• 適正体重管理(正しいDW)

• VAマッサージ(ミルキング)

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DWの見極め

• 心胸比(胸部レントゲン)

• 血圧(自宅・透析中)

• 血液データ(h-ANP、BNPなど)

• 浮腫(手指・下肢)

• 吊り(手指・下肢)

• 血液濃縮(透析後半)

• 透析後シャント音

• 心胸比(胸部レントゲン)

• 血圧(自宅・透析中)

• 血液データ(h-ANP、BNPなど)

• 浮腫(手指・下肢)

• 吊り(手指・下肢)

• 血液濃縮(透析後半)

• 透析後シャント音

多くの施設が見極め項目

• BCM測定 当院で追加した項目

Page 81: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

BCM

ody

omposition

onitor

BCMとは?

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BCM®は電気抵抗の原理を使った体組成分析装置である。

体内に微弱な電流を流し、その電気抵抗を利用して水分量や体脂肪、筋肉量を間接的に求める最新の方法が採用されている。家庭用体脂肪計を想像するとわかりやすい。

BCM(BodyCompositionMonitor:体組成計)

電気は水分に沿って流れ、水分の量によって伝導性が違う。・脂肪の多い人(筋肉の少ない人)⇒電気抵抗値が大きい・脂肪の少ない人(筋肉の多い人)⇒電気抵抗値が小さい

この電気抵抗値の違いを元に分析し、数値で示される。

プレゼニウスメディカル社製 BCM

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<基礎情報の入力>①身長②体重③年齢④性別

BCM(BodyCompostionMonitor:体組成計)

Page 84: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

3分の検査

BCM(BodyCompostionMonitor:体組成計)

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BCM結果

過剰水分量[L]

理想乾燥体重[kg]

DWと理想の差[kg]

肥満係数[kg/m2]

BCM(BodyCompostionMonitor:体組成計)

Page 86: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

70 60 54

13.418

30

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

新生児(3.5kg) 成人(70kg) 高齢者(65kg)

水分 たんぱく 脂肪 無機塩類

図7:年齢による体水分の変化

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脂肪

細胞の中

細胞の外

脂肪以外

筋肉

細胞の中

細胞の外

皮膚・臓器・必須脂質骨・ミネラル

過剰水分

Page 88: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

BCM

血圧

心胸比 脂肪

細胞の中

細胞の外

脂肪以外

筋肉

細胞の中

細胞の外

皮膚・臓器・必須脂質骨・ミネラル

過剰水分

ドライウエイト

すべての結果を考慮し、DWを評価していく。

Page 89: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

例えば・・・

血圧が高いですね!心胸比は問題ないし、ドライウエイトを下げましょう!

Page 90: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

シャント閉塞!!!

BCMの結果、過剰水分はなかった血圧や心胸比だけで判断することは危険かもしれない。

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2011年 脳血管障害による死亡

透析患者 一般住民

死亡総数に占める割合 7.7% 9.9%

1番目 脳内出血 脳梗塞

2番目 脳梗塞 脳内出血

3番目 クモ膜下出血 大動脈瘤および解離

4番目 その他の脳血管疾患 クモ膜下出血

『透析患者における common disease の特徴』より

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原疾患との関連

慢性腎炎 糖尿病

脳梗塞 36% 50%

脳出血 52% 38%

『最新透析医学』より

慢性腎炎患者では血管壊死の閉塞化が少なく、破裂して出血をきたす可能性が高い。

脳出血の危険因子

高血圧

透析患者では・・・

低栄養状態

坑凝固薬

の影響

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脳梗塞の血行力学機序

動脈硬化

低灌流=虚血

血圧低下

脳の主幹動脈の高度狭窄や閉塞がある例では、血圧低下により末梢は虚血状態に陥る。

『最新透析医学』より

Page 94: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

脳血管障害の発症の時間帯

脳梗塞発症例のうち34%がHD中、終了直後に発症していた。

100%

80%

60%

40%

20%

0%

HD中

HD後30分以内

その他

脳梗塞 脳出血 クモ膜下出血

『最新透析医学』より

対象:1980~2002年で福岡赤十字病院の維持HD患者で脳血管障害を発症したHD患者151人

Page 95: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

一般住民と透析患者の死亡率

一般住民は、脳梗塞、脳内出血、クモ膜下出血の順で、透析患者は脳内出血、脳梗塞、クモ膜下出血の順で、死亡率が高い(一般住民の死亡率は透析患者の年齢分布で補正)。

死亡率(1万人年あたり)

0

5

10

15

20

一般住民 透析患者

脳内出血

脳梗塞

クモ膜下出血

新潟大学 臓器連関研究センター 学会発表データより

Page 96: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

0

5

10

15

20

25

1年未満 1年~ 5年~ 10年~ 15年~

脳内出血

脳梗塞

クモ膜下出血

透析歴別 死亡率いずれの透析歴でも、脳内出血、脳梗塞、クモ膜下出血の順で死亡率が高い。(エラーバーは95%信頼区間を示す。ただし、本図では、年齢補正をしていない点に注意。)

透析歴(年)

死亡率(1万人年あたり)

新潟大学 臓器連関研究センター 学会発表データより

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(Case1) S.F 51歳 M

原疾患 : 糖尿病性腎症

透析歴 : 5年6か月

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(Case1) S.F 51歳 M

39.4

42.9

40.8

40.139.8

42.341.9

38.7

41.341.7

43.5

42

43

41.7

43.2

44.4

43.443.1

44.5

43.944.1

43.3

43.9

45.4

46.947.4

44.1

44.1

47.2

44.5

47.1

48.7

48.1

35

40

45

50

2011年4月 2011年10月 2012年4月 2012年12月 2013年7月 2014年3月 2014年11月 2015年9月 2016年3月

心胸比(%)

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(Case1) 51歳 M

DW-理想体重(kg)

-1.7

-0.5

-1.8

-0.5

0.3

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

2015/07/01 2015/09/19 2015/12/28 2016/01/13 2016/01/25

脳梗塞を発症

BCMでの理想体重からの乖離

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BCM検査

透析後の下大静脈径の測定

心胸郭比

血圧

DWの指標

Page 101: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

7 6 6

2

9 10 1013

9

58 9

7.9 7.611.1

16.2

20.722.6

26 27.423.2

18.916

10.3

0

5

10

15

20

25

30

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

閉塞症例数 平均気温

図8:2015年月別平均気温と閉塞数

• 冬場に閉塞数が再上昇。

DWが夏(痩せていた時期)のまま。

食欲が増して太ったら、DWは上げましょう。

22例中13例が体液不足

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【目的】

• 頻回VAIVT症例におけるBCMによる体重管理について検証

【期間】

• 2014年1月~2015年12月

【対象】

• PTAを施行した当院維持透析患者108症例中頻回PTA95症例(21名)

• AVF:16名、AVG:5名

【当院での検証】

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【方法】

①頻回PTA患者へBCMを実施し、DWと理想体重の差を算出

②2014年(BCM消極的活用)と2015年(BCM積極的活用)の

VA一次開存率をKaplan-Meier法にて算出

【当院での検証】

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【結果①】

DWとの誤差平均-0.72㎏(T検定)

体液不足最大値:4.0㎏不足

体液過剰最大値:0.8㎏過剰

頻回PTA患者には、1.0㎏以上の体液過剰はいなかった

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【考察】

#1 BCMによって、体液不足が開存期間短縮の原因となること

が示唆された。

#2 DWを適正に管理することで、一次開存率の延長がみられた。

#3 DWが厳しめに設定されている患者に頻回PTAの傾向がみら

れた。

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本日の話

1) 2004年スコアリングの成立

2) エコー活用と臨床工学技士の活躍

3) エコー下穿刺とエコー検査

4) 閉塞とDW管理

5) ミルキング法の変法

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第24回福岡県臨床工学会にて

当院 臨床工学技士 川原田が

最優秀賞を受賞しました

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新たなVA管理~加圧式VAマッサージ~

○川原田貴士 杉本謄寿 飯田輝昭 岩下廉史 上野庸介

秋穂寿嗣 谷口英治 安田透 池田潔

第24回福岡県臨床工学会 久留米シティプラザ

2016年6月19日(日) セッション「Best Presentation Award」

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【背景・目的】バスキュラーアクセス(以下、VA)の開存期間は様々な取り組みを行うものの、その延長は容易ではない。

石田らは2013年日本透析医学会にて「シャント

血管ミルキング法による狭窄音消失の報告」を発表している。当院ではそれを改良した加圧式VAマッサージ(以下、PVM)に取り組んでいる。

そのマッサージ法の実施経験を報告する。

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【加圧式VAマッサージ(PVM)】

~ポイント~

当院の加圧式VAマッサージは、両手で狭窄部位を挟むようにして行う。

①片方の手は狭窄の中枢でシャントの流れを一時的に遮断。

②もう片方の手で末梢から血管を加圧する。

※これにより狭窄部位の血管を伸展させる方法である。

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ここに狭窄がある場合

【加圧式VAマッサージ(PVM)】

Page 112: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【加圧式VAマッサージ(PVM)】

①駆血する(慣れれば不要)

Page 113: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【加圧式VAマッサージ(PVM)】

②中枢側のシャント血管を圧迫しシャントの流れを遮断する

①駆血する(慣れれば不要)

Page 114: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

③4指、3指、2指の順に圧迫し血液を狭窄部に向けて送りこむ(加圧)血管が怒張し狭窄部位が伸展していく

2指

3指

4指

【加圧式VAマッサージ(PVM)】

②中枢側のシャント血管を圧迫しシャントの流れを遮断する

①駆血する(慣れれば不要)

Page 115: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

※穿刺前に30~60秒間施行

③4指、3指、2指の順に圧迫し血液を狭窄部に向けて送りこむ(加圧)血管が怒張し狭窄部位が伸展していく

2指

3指

4指

②中枢側のシャント血管を圧迫しシャントの流れを遮断する

①駆血する(慣れれば不要)

【加圧式VAマッサージ(PVM)】

Page 116: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【期間・対象】 2015年1月から12月における、同一病変の狭窄により頻回PTAとなっている当院維持透析患者2名

症例① 67歳男性 左前腕AVF 透析歴9年

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症例② 37歳女性 右前腕AVF 透析歴19年

【期間・対象】 2015年1月から12月における、同一病変の狭窄により頻回PTAとなっている当院維持透析患者2名

Page 118: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【方法】①週3回、穿刺前に狭窄部位へのPVMを30~60秒施行

狭窄部位(加圧ポイント)

上流から狭窄病変へ血液を送り込む

Page 119: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【方法】②PVM前後における超音波検査データの改善率を算出

③PVM取り組み前後における開存期間の比較

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【結果】 超音波検査データ

1.46

0.63

1.16

1.89

0.570.94

0

1

2

3

4

5

6

7

狭窄径(mm) FV(mL/min) RI PI

加圧式VAマッサージ直前

加圧式VAマッサージ直後

1.57

0.420.57

2.04

0.33 0.41

0

1

2

3

4

5

6

狭窄径(mm) FV(mL/min) RI PI

加圧式VAマッサージ直前

加圧式VAマッサージ直後490

610

420

480

(+29.5%)

(+24.5%)

(+9.5%)(+19.5%)

※(改善率%) ※(改善率%)

(+29.9%)

(+14.3%)

(+21.4%) (+28.1%)

急性効果において改善の傾向がみられた。

症例① 症例②

Page 121: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【結果】 開存期間(Day)

58.6

111

0

20

40

60

80

100

120

VAマッサージ開始前 VAマッサージ開始後

70

124

0

20

40

60

80

100

120

140

VAマッサージ開始前 VAマッサージ開始後

n=6 n=4

症例① 症例②

3ヵ月ルールに寄与する結果が得られた。

Page 122: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

最も関わる透析室スタッフの取り組みが重要

VAエコー

VAエコー

透析室 透析室

VAエコー

VAエコー

VAエコー

VAIVTVAIVTVAIVT

【ポイント】

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【考察】

#1 血流の改善傾向がみられた。

#2 3ヵ月以上の開存期間を得ることができた。

#3 忙しい時間帯ではあるが約60秒という施行時間の

ため業務に支障をきたすことはなかった。

#4 この方法は高額な医療機器をまったく必要とせず、

どこの施設でも明日から行える取り組みである。

効果の期待できる症例は多いことが予想される。

今後の報告が積み重ねられることを期待する。

Page 124: バスキュラーアクセス管理と 透析管理の関連について±部...バスキュラーアクセスを極める 第5章 VA機能の修復 2.PTA法による修復 ①PTA法

【まとめ】

加圧式VAマッサージは、開存期間を延長しPTA3ヵ月ルールに寄与する事が示唆された。

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第24回福岡県臨床工学会

CO I 開示筆頭発表者名 川原田 貴士

演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある

企業などはありません。

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図1:PTA患者の紹介先医療機関 期間:2015年1月~12月

福岡市

18件46%福岡市

以外14件36%

他県

7件18%

当院

47件13%

他院

305件87%

当院患者21人、平均3.9回

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動画1:(Case1) K M 氏 57 Yrs. M

2014.8.7 PTADORADO 5mmX4cm

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表1:3ヶ月以内に行ったVAIVT症例数の割合

期間 全症例数3ヶ月以内

実施VAIVT数比率(%)

AVF

2010/9/1~2012/3/31 199 56 28.1

2012/4/1~2013/3/31 179 34 19.0

2013/4/1~2013/12/31 146 39 26.7

2014/1/1~2014/12/31 286 131 45.8

2015/1/1~2015/12/31 258 81 31.4

2016/1/1~2016/3/31 65 14 21.5

AVG

2010/9/1~2012/3/31 137 44 32.1

2012/4/1~2013/3/31 98 16 16.3

2013/4/1~2013/12/31 64 20 31.2

2014/1/1~2014/12/31 96 48 50

2015/1/1~2015/12/31 94 14 14.9

2016/1/1~2016/3/31 16 2 12.5

期間:2010年9月~2016年3月

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【まとめ】

#1 超音波によるVA管理と保護(穿刺ミスの回避)の有用性

#2 過剰除水がもたらす閉塞の危険性

#3 VAIVT治療では、低圧から拡張による血管破裂の防御、疼痛の軽減

#4 多方面からVA管理を行う事で、透析の全身管理にも結び付けている。

#5 閉塞、狭窄などのトラブル回避(短期PTAの回避)のために、DW管理などに着目する必要がある。