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変わりゆくソフトウェアビジネス
OECD/RIETIカンファレンス2008年10月6日
講演マイケル A. クスマノマサチューセッツ工科大学
スローン経営大学院[email protected]
© 2008
2
ソフトウェア製品事業• 新規企業の売上(または価格)の低下
– 例外はヒット商品と“プラットフォーム”製品だけか?
• サービス・メンテナンス事業の売上成長– インターネット・ブームとY2Kに起因する技術の過剰供給
– フリーウェアやオープンソースの普及が、一部ソフトの価格をゼロにまで押し下げ
– 高額商品への顧客の反発
• 新たなビジネスモデル・価格決定モデルの登場Saas(Software as a Service:サービスとして提供される
ソフトウェア)―サポート・メンテナンス込みのより安価な製品(例:Salesforce.com)
無料じゃない無料―広告収入がサポートするソフトウェア(例:Google、Yahoo、Windows Live)
3
Siebel
0102030405060708090
100
1995
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上高
に占
める割
合(%)
新製品
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百万
ドル
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Oracle
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2005
総売
上高
に占
める
割合
( %)
新製品
サービス・メンテ
Oracle
02000400060008000
1000012000
1992
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2006
百万
ドル 新製品
サービス・メンテ
7
ビジネスかライフサイクルモデルか?
0102030405060708090
製品
ハイフリ゙ッ
トゾリ
ューショ
ン
サー
ビス
総売
上高
に占
める
割合
(%)
製品
サービス
5出典:M.クスマノ、『ソフトウェア企業の競争戦略』 (2004年)
0 の99% = 0? 利幅は低すぎる?
6
パブリックソフトウェア製品企業米国株式市場に上場している企業数 (SIC 7372)
050
100
150
200
250
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350
400
(mea
n) d
ensity
all
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006fyadj
Number of Firms in the Industry - All Sampleソフトウェア企業数 ― 全サンプル
(平
均)全
数
年度(調整後)
7出典:Andreas Goeldi の調査(MIT 修士論文、2007年) n=108
ウェブベースのエンタープライズソフトウェア業者Year of Company Formation
0
5
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20
25
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1982
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1985
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2000
2001
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2006
Year
.00%
20.00%
40.00%
60.00%
80.00%
100.00%
120.00%
Frequency
Cumulative %
年
実数
累積割合(%)
企業設立年
8
新たなビジネスモデルの特性収益モデル
提供モデル
顧客
ローカルクライアントへのインストール
ローカルサーバへのインストール
リモートウェブベース
リモートの専有ソフトウェア(ホスト型のSAPなど)
前払方式のライセンス料
定期利用契約/SaaS
広告ベース
トランザクションベース
無料だが無料でない(バンドル)
無料(サービスから収益獲得)
ハードウェア製品にバンドル
主流個人顧客
アーリーアダプターの個人顧客
小規模企業
主流の企業顧客
アーリーアダプターの企業顧客
出典: 2006年MIT学生チームKrishna Boppana、Andreas Göldi、Bettina Hein、Paul Hsu、Tim Jones (クスマノ著 『ソフトウェア企業の競争戦略』、15.358)
従来
9
0102030405060708090
実数n=180
Business Models
ウェブベースのエンタープライズソフトウェア業者108社
月額料金
無料
前払方式のライセンス料
専門サービス
オープンソース
広告
ペイパーユース(従量課金)
89
29 30
6 216
出典:Andreas Goeldi の調査(MIT 修士論文、2007年)
7
従来
ビジネスモデル
10
異なる展開曲線製品、プロセス、そして次はサービス?
注目対象、収益
時間
製品革新プロセス革新
サービス革新
出典:UtterbackおよびAbernathyより
異なるS字曲線を描くダイナミクス製品プラットフォームの崩壊が
新たなサービスとビジネスモデルを生むか?
実績
時間
醸成
急成長
成熟
プラットフォームの崩壊
新サービス?新ビジネスモデル?
12
サービスの増加や新たなビジネスモデルは
一時的か永続的か?
• “一時的”論者:
戦略上の疑問
現在は、プラットフォームやビジネスモデルの革新における移行期(クライアントサーバからインターネット、ウェブサービスへと移行中)
• “永続的”論者:今やソフトウェアは日用品化(commoditize)しており、標準製品に関しては価格がゼロ近くまで低下するだろう。将来的には、ソフトウェアはサービスもしくは広告等の間接収入に支えられる“無料だが無料でない”商品となる。 家電製品や自動車を始め、数多くの技術ベースのグローバル産業が同じ道を辿るのか?
13
ソフトウェア製品企業データベース調査
• フェルナンド・スアレス教授(ボストン大学)およびスティーブ・カール(シカゴ大学GSB)との共同研究プロジェクト
• パブリックソフトウェア“製品企業”約500社を特定(SICコード7372・プリパッケージソフトウェア分類で米国株式市場に
上場している企業)
• 2003年から、Compustat、Mergentおよび直接10Kリポー
トからデータをダウンロード
• 年間3000件以上の有効な観測結果
• 1990年以降の平均10余年にわたる詳細な財務データ
14
.2.3
.4.5
.6.7
.8
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006fyadj
(mean) servpctsales (mean) prodpctsales
Service vs Product as % Sales - Average All Sample
注:メンテナンスを含むサービス(企業のサービス収益の約55%)
ビデオゲームを除く
売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%)―全サンプル平均
年度(調整後)
(平均)売上高に占めるサービス割合 (平均)売上高に占める製品割合
15
ビデオゲームを含む
売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%)―8カテゴリー全体
年度(調整後)
サービス 製品
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
414045
81
91
121
109101
121
145137140
154154145
138144
135133132
120115
108
64
77
58
45 42
3224
1817 20
63
0.1.2.3.4.5.6.7.8.91Fr
eque
ncy
0 .2 .4 .6 .8 1servpctsales
Histogram of Service as % of Sales - All Sample 1990-2006
100% 製品 100% サービス
売上高に占めるサービス割合(%)の分布―全サンプル 1990~2006年
売上高に占めるサービス割合
実数
17 17
Service/Maintenance vs. Product Revenues売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―業務用アプリケーション
年度(調整後)
サービス 製品
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
年度(調整後)
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―ネットワーク構築
18 18
Service/Maintenance vs. Product Revenues売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―ビジネスインテリジェンス(BI)
年度(調整後)
サービス 製品
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
年度(調整後)
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―データベース
19 19
Service/Maintenance vs. Product Revenues売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―オペレーティングシステム(OS)
サービス 製品
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
年度(調整後)
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―マルチメディア
年度(調整後)
20
売上高に占めるサービスおよび製品の割合(%) ―ビデオゲーム
サービス 製品
年度(調整後)
総売
上高
に占
める
サー
ビス
また
は製
品の
割合
21
.2.3
.4.5
.6.7
.8A
vera
ge P
ct S
ervi
ces
over
Sal
es
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36Age of the Firm
Service Percent of Sales vs. Firm Age - All Sample売上高に占めるサービス割合(%)と企業の設立年数―全サンプル売
上高
に占
める
サー
ビス
割合
の平
均
企業の設立年数
22
以下の進行とともに、総売上高に占める
サービス売上の割合が増大• 企業設立年数(年1.8%の割合でサービスが増大)
• 製品売上高成長の減速
• 業界統合(成熟度、価格競争)
• 業界不況(2001~2003年―価格の下落)
• インターネット製品の登場(崩壊?)
企業効果による ―年数、製品成長の遅滞、総売上高の遅滞 ―最も重要な効果
ソフトウェア製品企業の多くがサービスへ移行するのは何故か?
(回帰分析)
23
成長指標
サービス
製品
成長指標
サービス
製品
A: 製品とサービスが互
いの収益を補強しあっている企業のケース
B: 製品とサービスが互
いの収益を補強しあっていない企業のケース
時間
時間
24
データ分析補足• サービス売上高が総売上高の60%程度に達すると、製品企業の
営業利益にプラスの影響を与える– 収益性の観点からは、製品売上高が70%程度を占めるのが最適
• ハイブリッド企業 は、平均的な“純粋” (100%製品売上の) ソフトウェア製品企業よりも、一般に (1)利益は安定して大きく 、(2)市場評価額も高い
- しかし、こうした純粋製品企業は、ソフトウェア業界から姿を消しつつある
• ソフトウェア製品企業ではサービス収益の約55~60%をメンテナンスが占め、この分の粗利益が高い– サービス・メンテナンス総収益に占めるメンテナンスの割合が10%増加する
ごとに、サービス・メンテナンスの粗利益が5%増大する
25 7
サービスが利益および市場価値に与える影響:
スイートスポット対サワースポット
0102030405060708090
製品
ハイフリ゙ッ
トゾリ
ューショ
ン
サー
ビス
総売
上高
に占
める
割合
(%)
製品
サービス
スイートスポット?
中央から
抜け出せない?
規模/多角化の経済が始まっている?
20% 60%
サンプル:ソフトウェア製品企業25
26
ソフトウェア業界の変化がSI企業やIT企業に及ぼす影響とは?
• クライアントサーバ方式からインターネットへの変化により、米国ではパブリックITサービス企業が大幅に増加
• 一方、 ITサービス企業の間で業界内合併や製品事業の統合も見られる– データベース中の上場企業数が、2000年の約550社から2005年には400社を
切るほどまで減少(概算推定値、複数のSICコードを含む)
– サービス企業における製品売上高は 20% を占めていたが、現在は 3% まで急激に低下したと推定
• ソフトウェア製品やその他の技術企業は、自らサービス事業をより広く手がけられたはず ー 将来的には、もっとサービス事業に大きく乗り出してゆくだろう
27
パブリックITサービス企業米国の株式上場企業
0
100
200
300
400
500
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9019
9119
9219
9319
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9519
9619
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9920
0020
0120
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0320
04
Num
ber o
f firm
s
APAC(***) firmsEMEA(**) firmsNA(*) firms
* ケイマン諸島、バミューダ諸島を含む北米地域 ** ヨーロッパ・中東地域 *** アジア・太平洋地域
(コンピュータサービス業(SICコード:7370, 7371, 7373)および経営コンサルティング関連ITサービス業(8742))
企業
数
企業
企業
企業
28
ITサービス企業の売上構成
0
20
40
60
80
100
12019
90
1991
1992
1993
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1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
$ Bi
llion Services
Products
10億
ドル サービス
製品
29
主要ハードウェア企業の売上高に占めるサービスの割合(%)
0
10
20
30
40
50
60
1996
1997
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2000
2001
2002
2003
2004
2005
売上
高に
占め
る割
合(%
)
IBM
HP
サン・マイクロシステムズ
EMC
シスコ
デル
結論• 一部のプラットフォーム・リーダーおよびヒット商品企業を除き、純
粋なソフトウェア製品企業は姿を消しつつある
• “純粋な”ITサービス企業もまた消えつつある。インドなどから提供される低価格高品質のサービスもIT企業を脅かしている
• これまで製品企業のパートナーであったITサービス企業は、今や
同じサービス収益を製品企業と奪い合わなければならない!
• しかしサービスは、非日用化製品技術にとって不可欠であり、新たな収益・利益源となる:
ハイブリッドビジネスモデル
– 製品は、新たなサービス・メンテナンス収益を生み出す“エンジン”として重要であり続ける
– あらゆる企業がサービス力を強化しなければならない
30
31
ソフトウェア業界の変化がIT企業に及ぼす影響とは?
• クライアントサーバ方式からインターネットへの変化により、米国ではパブリックITサービス企業が大幅に増加
• 一方、 ITサービス企業の間で業界内合併や製品事業の統合も見られる– 上場企業数が、1999年の約500社から2006年には250社を切るほどまで減少
(概算推定値、複数のSICコードを含む)
– サービス企業における製品売上高は 20% を占めていたが、現在は 3% まで急激に低下したと推定
• ソフトウェア製品企業の戦い:今や、これまでパートナーであったまたは現在パートナーであるIT・SI企業と同じサービス収益を奪い合わなければならない!