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材料工学コースシラバス (平成 18 年度 : 24 年次用) 物理工学科 材料工学コース (平成 18 4 月作成)

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材料工学コースシラバス (平成 18 年度 : 2~4 年次用)

物理工学科 材料工学コース (平成 18 年 4 月作成)

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材料工学コースシラバス (平成 18 年度 : 2~4 年次用)

物理工学科 材料工学コース (平成 18 年 4 月作成)

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目 次 材料工学コース 教育プログラムの基本方針 Ⅰ

材料工学コース 学習・教育目標 Ⅱ

卒業要件 Ⅲ

講座配属要件 Ⅳ

進級要件 Ⅴ

物理工学科(材料工学コース) 各授業科目シラバス 専門基礎科目 物理工学概論(1年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

図学(1 年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

コンピュータ・リテラシーおよびプログラミング(1 年 前期,必修) (工学部シラバス参照)

原子物理学(1 年 後期,選択) (工学部シラバス参照)

物理化学(1 年 後期,選択) 1

数学1及び演習(2 年 前期,必修) 4

数学2及び演習(2 年 後期,必修) 6

量子力学 A(2年 後期,選択必修) 8

結晶物理学(2年 前期,必修) 11

移動現象論(2年 後期,必修) 13

材料物理化学(2年 前期,必修) 15

統計力学 A(3年 前期,選択必修) 18

無機化学(2 年 前期,選択必修) 20

材料力学第 1(2 年 前期,必修) 23

材料力学第 2(2 年 後期,必修) 26

材料物理学(2年 後期,必修) 28

材料物理化学演習(2年 後期,選択必修) 31

応用熱力学(2年 後期,選択必修) 33

分析化学第 1(2 年 後期,必修) 36

材料工学実験基礎(2年 後期,必修) 39

材料物理学演習(3 年 前期,選択必修) 42

材料工学設計製図(3年 前期,必修) 45

専門科目 材料成形学(2年 後期,選択) 48

材料工学実験第 1(3年 前期,必修) 51

材料工学実験第 2(3年前期,必修) 55

金属材料学第 1(3年 前期,選択必修) 57

プロセス数学・数値解析学(3 年 前期,選択必修) 59

格子欠陥論(3年 前期,選択必修) 61

表面物理化学(3年 前期,選択必修) 63

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材料物性学(3年 前期,選択必修) 66

半導体材料学(3年 前期,選択必修) 69

分析化学第 2(3 年 前期,選択必修) 71

金属反応論(3年 前期,選択必修) 74

複合材料工学(3年 前期,選択必修) 76

弾塑性学(3 年 前期,選択) 79

材料設計学(3年 後期,選択必修) 82

材料強度学(3年 後期,選択必修) 85

反応プロセスエ学(3年 後期,選択必修) 87

相変換工学(3年 後期,選択必修) 90

材料塑性加工学(3 年 後期,選択必修) 92

熱加エプロセスエ学(3 年 後期,選択必修) 94

材料プロセス計測工学(3年 後期,選択必修) 97

セラミック材料学(3年 後期,選択) 99

微粒子材料学(3年 後期,選択) 102

素材プロセスエ学第 1(3年 後期,選択) 104

素材プロセスエ学第 2(3年 後期,選択) 107

金属材料学第 2(3年 後期,選択) 110

磁性材料学(3年 後期,選択) 112

光機能材料学(3年 後期,選択) 115

電子材料学(3年 後期,選択) 118

薄膜・結晶成長論(3年 後期,選択) 120

有機材料学(4年 前期,選択) 123

材料工学演習第 1(4年 前期,選択必修) 126

材料工学演習第 2(4年 後期,選択必修) 127

材料工学特別講義 A1~A4(4 年 前・後期,選択) 128

光・半導体物性(4 年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

量子材料化学(4年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

卒業研究A・B(4年 前・後期,必修) 130

関連専門科目 工学概論第 1(1 年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

工学概論第 2(4 年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

工学倫理(1 年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

工場管理(4 年 後期,選択) (工学部シラバス参照)

工業経済(4 年 後期,選択) (工学部シラバス参照)

電気工学通論第 1(3年 前期,選択) (工学部シラバス参照)

電気工学通論第 2(3年 後期,選択) (工学部シラバス参照)

特許法(4年 後期,選択) (工学部シラバス参照)

機械工学通論(3年 前期,選択) 133

材料工学特別講義 B1~B4 (4 年 前・後期,選択) 135

工場見学(3 年 前期,選択) 137

工場実習(3 年 前期,選択) 138

職業指導(4 年 後期,選択) (工学部シラバス参照)

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材料工学コース教育プログラムの基本方針

物理工学科材料工学コースでは学部教育の目的を「地球的規模の視野により、地球環境の持続

性とグローバル化した産業構造を理解して、創意改善しながら工学の基礎知識を応用する能力の

ある材料技術者・研究者の養成」においている。当該コースの学部専門教育を担当する大学院工

学研究科マテリアル理工学専攻材料工学分野では、各種材料の種類による伝統的な学問体系(縦

糸)と材料の機能やプロセスに共通の原理・法則による学問体系(横糸)を有機的に組み合わせ

た教育・研究を展開している。その特徴を生かして、材料工学コース教育プログラムの専門教育

では、材料の構造や性質にかかわる基礎知識のみならず、材料の製造・加工に関する広範囲のプ

ロセス技術や各種材料の製造・性質に関する特徴などを広く教育することを目指している。 さらに、1999 年 11 月に発足した日本技術者教育認定機構(JABEE)による技術者教育の認

定制度にも対応するべく、次ページに示すように同認定基準を考慮した学習・教育目標を具体的

に設定し、その目標に合わせたカリキュラムが構成されている。その中には、材料工学に関する

専門知識の修得のみならず、自然や社会との関わりについても考える習慣を身に付け、企画力,

創造力,協調性,プレゼンテーション能力を高めるための科目も含まれている。

本シラバスでは、物理工学科材料工学コースに配属される 2~4 年次の学生を対象に開講され

ている学部専門系科目に関する講義情報をまとめたものである。シラバスは、開講される授業全

体の設計書であり、学生が履修計画を立て、科目選択を行うために参考となる情報であり、教室

内外で行う学習の指針となるものである。そして、シラバスは学生と教員の接点でもあり、学習・

教育目標が適切に達成されるためには何を学ぶのか、そして何を教育するのかを双方が常に意識

することが望まれる。

材料工学コース教育プログラム検討委員会 委員長 平澤 政廣

- I -

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材料工学コース 学習・教育目標

(A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の 一員

として、地球環境の持続性との関わりについて継続的に学習し考える。

(B) 新材料の開発と工業利用の意義について、自然や社会との関わり、地球環境への

負荷について常に考え、材料技術者としての責任を自覚する。

(C) 材料の開発・改良の指針となる原理を理解するため、材料の構造・性質の基本を

理解し、そのために必要な自然科学の基礎知識と応用能力を身に付ける。

(D) 素材の創製から製品の加工までの材料に関わるプロセスの基本を理解し、そのた

めに必要な自然科学の基礎知識と応用能力を身に付ける。

(E) 各種の材料を適材適所で利用するための設計・利用・評価の基本を理解し、さら

に材料の循環的利用に関する基礎知識を身に付ける。

(F) 限られた時間とグループの中で、実験・演習の目的を理解し、計画的に実行して

データを解析し、その結果を論理的にまとめて記述する能力を養う。

(G) 材料技術に関する社会の要求を自ら見出して、自然科学や材料工学の基礎知識を

応用して解決方法を企画・遂行する創造性と、その成果を論理的にまとめて発表

し討議する能力を養う。

(H) 国際的な情報メディアから必要な知識と情報を常に収集し、整理し、自己の発展

に利用するための情報基礎技術を習得し、国際的な情報発信とコミュニケーショ

ンができる外国語の基礎能力を養う。

(I) 日本における「ものづくり」の歴史、文化、産業の特徴を理解し、材料技術者と

してグローバル化した産業構造に対応して国際的に活躍できる能力を養う。

- II -

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 卒   業   要   件

必要最小単位数 チェック

2

英語 6

その他外国語(*) 6

2

16

文系基礎科目 

文系教養科目

23

4

必要最小単位数 チェック

材料工学実験基礎 2

材料工学設計製図 1.5

その他の必修科目 22

材料物理化学演習 1.5

材料物理学演習 1.5

その他の選必科目 W

X

専門基礎科目の総和条件 (28.5+W+X)>=35.5

材料工学実験第1 2

材料工学実験第2 2

卒業研究(A及びB) 5

材料工学演習1~2 1

その他の選必科目 Y

選択科目 Z

専門科目の総和条件 (10+Y+Z)>=38

(4+W+Y)>=28

3.5

77

(*)外国人留学生は日本語も可。

   

全 学 教 育 科 目

     科目区分

全学基礎科目

基礎セミナー

言語文化

(小計)

健康・スポーツ科学

合計 53単位以上

理系教養科目

4

理系基礎科目

数学関係(微分積分学Ⅰ、Ⅱ、線形代数学Ⅰ、Ⅱ、複素関数論)

物理学関係(力学Ⅰ、Ⅱ、電磁気学Ⅰ、Ⅱ、物理学実験)

化学関係(化学基礎Ⅰ、Ⅱ、化学実験)

9.5(必修)

5.5(必修)

8

科目区分

専門基礎科目

専門科目

必修科目

選択必修科目

必修科目

選択必修科目

関連専門科目

(選択必修科目に対する条件)

合計   (35.5+38+3.5)

選択科目

(小計)

全学教養科目

開放科目2

- III -

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講 座 配 属 要 件 ( 3 年 次 後 期 ま で )

科 目 区 分 必要最小単位数 チェック

基礎セミナー 2

英語 6 言語文化

その他外国語(*) 6

健康・スポーツ科学 2

全学基礎科目

(小計) 16

文系基礎科目

文系教養科目 4

数学関係(微分積分学Ⅰ,Ⅱ,線形代

数学Ⅰ,Ⅱ,複素関数論) 8

物理学関係(力学Ⅰ,Ⅱ,電磁気学

Ⅰ,Ⅱ,物理学実験) 9.5(必修)

化学関係(化学基礎Ⅰ,Ⅱ,化学実

験) 5.5(必修)

理系基礎科目

(小計) 23

理系教養科目 4

全学教養科目

開放科目 2

合 計 53 単位以上

(*) 外国人留学生は日本語も可.

科 目 区 分 必要最小単位数 チェック

材料工学実験基礎 2

材料工学設計製図 1.5 必修科目(**)

その他の必修科目 18

材料物理化学演習 1.5

材料物理学演習 1.5

専門基礎科目

選択必修科目

及び選択科目 その他の選択科目

及び選択必修科目 3 科目 6

材料工学実験第 1 2 必修科目

材料工学実験第 2 2 専門科目

選択必修科目 8 科目 16

合 計 50.5

(**) 専門基礎科目の必修科目の単位を 21.5 単位以上取得している場合,その超過単位を専門

基礎科目の選択科目,あるいは,専門科目の選択必修科目の単位に加えることができる.

平沢政広
テキストボックス
-Ⅳ-
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  進  級  要  件  (2年次後期末まで)

チェック

物理学実験

化学実験

数学関係 1)

物理学関係 2)

化学関係 3)

6 5

4.5 6

(*)外国人留学生は日本語も可。

1) 微分積分学Ⅰ、Ⅱ、線形代数学Ⅰ、Ⅱ、複素関数論2)3) 化学基礎Ⅰ、Ⅱ

全 学 教 育 科 目

科目区分

言語文化英語 ま

たは

左の組み合わせの何れか

力学Ⅰ、Ⅱ、電磁気学Ⅰ、Ⅱ

理系基礎科目

必要最小単位数

1.5

16

41

その他の外国語(*)

全学基礎科目、文系基礎科目、文系教養科目、理系基礎科目、理系教養科目、全学教養科目、開放科目、言語文化科目の合計

- V -

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物理工学科(材料工学コース)

各授業科目シラバス

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専門基礎科目

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◆科目名: 物理化学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 1年後期

◆授業時限: 物理化学A 木曜2限(10:30〜12:00)

物理化学B 火曜2限(10:30〜12:00)

◆担当者:

興戸正純(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 537 室,Tel:789-3353,

[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

武田邦彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 443 室,Tel:789-3360,

[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/

市野良一(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 539 室,Tel:789-3352,

[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打合せる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

多くの材料プロセス、とりわけ素材製造プロセスにおいては、各種の化学反応が利用されて

いる。化学反応を取り扱うためには、化学熱力学と反応速度論の知識が必要不可欠である。反

応速度論はまさに化学反応のスピードを扱い、いわば自動車のアクセルとブレーキに相当する。

一方、化学熱力学により反応の方向とゴールを知ることができ、いわば自動車のハンドルと地

図(カーナビ)に相当する。すなわち、両者は車の両輪の関係にあると言えよう。

素材製造プロセスは大きく分けて、乾式製錬と湿式製錬に分けられる。乾式製錬においては

高温反応場を利用するため、化学熱力学に従って反応が進行する。一方、湿式製錬は、水溶液

反応場において電気分解を利用するため、電気化学に従って反応が進行する。電気分解に用い

られる電気は、自動車の加給器(ターボ)に相当すると言える。

専門基礎科目Bの化学基礎 II においては、化学熱力学の基礎的事項について学ぶが、ここ

では、化学反応速度論と電気化学について講義する。それにより物理化学の基礎についての理

解を深める。

- 1 -

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◆授業計画:

化学反応速度論

化学反応の速度を研究したり学習する理由の一つは、ある反応混合物がどれくらい速く平衡

に接近するかを予測する実用上の重要さと、反応速度を研究すれば反応の機構を理解したり、

一連の素反応に分解したりできるようになることである。条件を適切に選べば速度を最大に

したりあるいは緩やかに進むように制御することもできる。

○第1週、第2週、第3週(武田):経験的な反応速度論

反応の速度論的な解析の第一歩は測定することから始まる。ここでは、反応速度をどのよ

うにして測るか、測定結果をどう解析するかを示して、速度論の原理を説明する。

1. 実験法:反応の進行度の追跡方法、これら分析手段の適用のしかた

2. 反応速度:速度の定義、速度則と速度定数、反応次数、速度則の決定

3. 積分型速度則:一次反応、二次反応

4. 半減期:一次反応の半減期、二次反応の半減期

5. 平衡に近づく反応

6. 反応速度の温度依存性:アレニウスの式、アレニウスの式の簡単な考察

○第4週、第5週(武田):速度則の解釈

速度データの解析の第 2 段階に進み、それを反応機構を仮定することによって解釈する問

題について説明する。

7. 素反応

8. 逐次素反応:濃度の時間変化、律速段階、定常状態の近似、前駆平衡

9. 触媒作用:触媒とは、触媒の分類、均一触媒の作用のしかた

電気化学

電気化学反応は、電位(電圧)あるいは電流を変化させることにより、反応の種類、反応速

度を制御することができる。そこで、電気化学における平衡論と速度論に関する基礎的事項

について理解する。

○第6週:電気化学反応と反応場(興戸)

電気化学反応と化学反応の違いについて説明する。

1.電気化学の概念

○第7週、第8週、第9週、第 10 週、第 11 週(興戸):電気化学反応の熱力学

電気化学的平衡論から見た電極反応の素反応と電極構成因子による電極の安定性につい

て説明する。

2.化学ポテンシャルと電気化学ポテンシャル

3.相と相の接触

4.電池の起電力

5.電解質溶液の電気伝導

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6.ネルンストの式

7.電位-pH図とその作成方法

○第 12 週、第 13 週、第 14 週、第 15 週(市野):電気化学反応の速度論

電極界面の構成と自発的反応・非自発的反応、競争反応など電極反応速度に影響するの諸

因子について説明する。

8.過電圧の種類

9.単一電極反応の反応速度(バトラーボルマーの式)

10.複合電極反応系の反応速度

11.同時析出と析出分離

○第 16 週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。本、ノート、配布プリントや電卓等の持ち

込みは許可しない。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

化学基礎I・II

◆教科書:

金属化学入門シリーズ4 材料電子化学 編集・発行 日本金属学会 丸善

(必要に応じてプリント資料も配布する)

◆参考書:

1.物理化学(上,下) アトキンス著, 千葉・中村訳(東京化学同人)

2.理工系学生・エンジニアのための 改訂 電気化学 ―問題とそのとき方― 増子昇、高

橋雅雄著、アグネ社

◆成績評価の方法:

小テストおよび期末試験

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◆科目名: 数学1及び演習

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義及び演習

◆単位数: 3単位

◆開講時期: 2年 前期

◆授業時限: 金曜 1、2限( 8:45 ~ 12:00 )

◆担当者: 村田 純教(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 435室,Tel:789-3232 ,[email protected]

滝田 光晴(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 333室,Tel:789-3371 ,[email protected]

◆ 問合せへの対応:随時。ただし、事前に e-mail にて随時(村田):電話かメールで時間を打

ち合わせる(滝田)

――――――――――――――――――――――

◆ 授業のねらいと内容:

専門基礎科目 Bとして数学及び物理学等を学んだ後,さらに進んで工学への応用を視野に入

れてベクトル解析と常微分方程式を修得します。力学や電磁気に関連する分野,物質や熱等の

移動現象を伴う分野など工学の多くの問題には、座標変換、ベクトル場、線積分などベクトル

解析の知識とその応用が必要になります。また、放射性物質の半減期、振動、電気回路、原子

拡散を定量的に扱う上で、微分方程式を使いこなせることが必要となります。そこで、この授

業ではベクトル解析および常微分方程式について学び、演習を通じてそれらの知識を実際の工

学上の問題に利用できるよう修得することを目的とします。

◆授業計画:

○第1週(滝田):ガイダンス

材料工学における数学の役割を概説するとともに、授業で行う演習の方法,

レポート提出,成績評価について説明する。

○第2週(滝田):ベクトル解析(1)スカラーとベクトル:

工学におけるベクトル解析の有用性について解説する。

ベクトルの相等,ベクトル計算,線形独立性,線形従属性位置ベクトル,

ベクトルの成分表示について講義と演習を行。

○第3週(滝田):ベクトル解析(2)スカラー積とベクトル積:

正射影,スカラー積,ベクトル積,三重積,直線・平面の方程式,ベクト

ルのモーメントに関する講義と演習を行う。

○第4週(滝田):ベクトル解析(3)ベクトル値関数の微分法・積分法

微分法,曲線,点の運動,曲面関する講義と演習を行う。

○第5週(滝田):ベクトル解析(4)スカラー場とベクトル場:

等位面,勾配,流線に関する講義と演習を行う。

○第6週(滝田):ベクトル解析(5)スカラー場,ベクトル場の微分法:

ナブラ演算子,ベクトル場の発散,回転,諸公式に関する講義と演習を行う。

○ 第7週(滝田):ベクトル解析(6)スカラー場,ベクトル場の積分法:

線積分,面積分,体積積分に関する講義と演習を行う。

○第8週(村田):一階の常微分方程式(1):常微分方程式の基本的な概念を示し、変数分離法、

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Page 18: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

完全微分方程式、積分因子に関する講義と演習を行う。

○第9週(村田):一階の常微分方程式(2):一階線形微分方程式、定数変化法に関する講義と

演習を行う。

○ 第10週(村田):線形常微分方程式(1):ニ階の同次線形微分方程式、定数係

数の二階の同次方程式、一般解、基底、初期値問題に関する講義と演習を

行う。

○ 第11週(村田):線形常微分方程式(2):特性方程式、微分演算子、コーシーの方程式に

関する講義と演習を行う。

○第12週(村田):線形常微分方程式(3):任意階数の定数係数の同次線形方程式

と非同次線形方程式を解く一般的方法、および連立微分方程式に関する講

義と演習を行う。

○第13週(村田):べき級数解、直交関数(1):べき級数法の理論的基礎、べき級

数法、ルジャンドル方程式とルジャンドル多項式に関する講義と 演習を行

う。

○第14週(村田):べき級数解、直交関数(2):拡張されたべき級数法、ベッセルの方程式と

ベッセル関数に関する講義と演習を行う。

○第15週(村田):べき級数解、直交関数(3):ルジャンドル多項式とベッセル関数の直交性

に関する講義と演習を行う。

○第16週(滝田、村田):定期試験:筆記試験によって講義および演習内容の理解度を試験す

る。自筆のノート、レポート及び教科書,参考書,配布プリントの持ち込

みを可とする。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

専門基礎科目 B

◆教科書:

・ベクトル解析とその応用 竹之内脩著 サイエンス社(滝田)。

・ 技術者のための高等数学1(Advanced engineering Mathematics: E.Kreyszig)近藤次郎・

堀素夫監訳:培風館(村田)

◆参考書:

・ 微分方程式概論上(佐々木重吉著:槙書店)

・ Advanced Mathematics for Engineers and scientists (Schaum’s outline series) M.R.

Spiegel, McGraw-Hill Inc., (1990).

・ Mathematical Methods in the Physical Sciences, 2nd Ed.,M.L.Boas, John Wiley & Sons,

(1983).

◆成績評価の方法:

出席およびレポート15回(50%)

期末試験(50%)

以上の割合で、講義の目的が達成されたかを判断し、55%以上の達成を合格と

します。

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◆科目名:数学2及び演習

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義及び演習

◆単位数: 3単位

◆開講時期: 2年 後期

◆授業時限: 金曜1、2限(8:45~12:00)

◆担当者: 岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 631 室,Tel:789-4649,[email protected]

◆問合せへの対応:E-mail にて随時

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

物理現象を微分方程式で表現する方法とその微分方程式の解法を修得する。具体的には、

工学でよく取り扱われる波動方程式、拡散方程式、ラプラス方程式を例題として、偏微分方

程式の種々の解法を学ぶ。解法のツールとしては変数分離法、フーリエ級数展開、フーリエ

変換、ラプラス変換を取りあげる。さらに、直角座標系以外の座標系を用いたときに現れる

特殊関数(ベッセル関数)についても触れる。

◆授業計画:

○第1週:微分方程式の基礎

微分方程式で現れる用語の説明

合成関数の微分

○第2週:変数分離法と微分方程式の導出

2階偏微分方程式の変数分離法による解法

物理現象を偏微分方程式で表現する方法

○第3週:ダランベール(D’Alembert)の解

ダランベールの解の導出

○第4、5,6週:フーリエ級数展開と微分方程式への応用

周期関数のフーリエ級数展開

フーリエ級数展開を使った偏微分方程式の解法

○第7,8,9週:フーリエ変換と微分方程式への応用

フーリエ積分表示とフーリエ変換

フーリエ変換の性質

フーリエ変換を使った偏微分方程式の解法

○第10,11、12週:ラプラス変換と微分方程式への応用

ラプラス変換とその性質

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ラプラス変換を利用した微分方程式の解法

○第13,14週:特殊関数と微分方程式への応用

ベッセル方程式とベッセル関数の性質

フーリエベッセル級数展開と偏微分方程式への応用

○第15,16週:まとめと定期試験

定期試験は持ち込み不可

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

数学1及び演習

◆教科書:

使用しない。ノートをとれば、そのまま教科書になります。

◆参考書:

特に指定なし。必要と感じたら、わかりやすいと思う本を図書館で探してください。

◆成績評価の方法:

○定期試験(90%以上)

○演習(10%以下)

55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

予告なしに試験をすることがあるので、毎回復習すること。

試験は持ち込み不可

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◆科目名: 量子力学A

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年生後期

◆授業時間: 火曜日 第3時限

◆担当者: 松井正顯(工学研究科 結晶工学専攻)

工学部5号館 349 号室 Tel:789-3567,[email protected]

浅野秀文(工学研究科 結晶工学専攻)

工学部5号館 351 号室 Tel:789-3568,[email protected]

◆問い合わせへの対応:電話か e-mail で

◆授業のねらいと内容

量子力学は材料の物理的・化学的性質を電子レベルで記述できる最も基本となる学問の一つであ

る。特に物性学的観点から半導体材料、磁性材料、誘電体材料、超伝導材料などの電気的、磁気的、

光学的、熱的性質を本質的に理解する上で欠かすことができない基礎科目である。その場合、電子

などの運動の量子化や不確定性原理などといった特殊な物理学的概念を理解し、複雑な数式を駆使

する波動方程式の解法を修得し、得られた結果が実験に裏付けられた物質の本質的側面であること

を理解できる程度のレベルに達することが最小限必要である。ここでは、光や電子が波動と粒子と

いう両面性を持つことからはじめて、量子力学の最も基本的な法則と基礎的問題を解決する方法を

学び、その演習によって問題解決能力を修得する。また、さらに高いレベルの量子力学的諸問題を

学習できるような基礎的素養を修得することを目指す。なお、講義範囲における演習問題の解答例

を配布して一層の理解を促す。

◆授業計画

○第1週:量子論発展の歴史的概観

光電効果などのような、ニュートン力学では説明不能の現象を説明することができた前期

量子論と、その過程で得られた基本的な数式を理解する。演習問題を解くことによってさ

らなる理解を深める。

○第2週:粒子と波動性(1)

光子や電子の波動性と粒子性の両面を兼ね備えたシュレーディンガー波動方程式の導出

と関連する演習問題の解法を修得することを目指す。

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○第3週:粒子と波動性(2)

第2週に続いて、シュレーディンガー波動方程式の解法の基礎を学ぶ。特に、調和振動子

に関連する演習を行い、その固有値、固有関数について学習する。

○第4週:量子力学の基本法則(1)

粒子の力学的諸量、状態関数(固有関数)の物理的意味とその規格化、直交性、縮退、完

備系について学習する。また演算子を導入し、力学量を表す演算子のエルミット性につい

て学ぶ。

○第5週:量子力学の基本法則(2)

連続固有値とデルタ関数について学習し、前週を含めた範囲の演習問題を解く。またその

解法を示す。

○第6週:量子力学の基本法則(3)

ある種のポテンシャルエネルギーが存在する空間における電子の運動に関連する演習問

題の解法を講義する。具体的には井戸型ポテンシャルとトンネル効果に関する問題を与え

て演習を行い、その解答例を示す。

○第7週:交換関係と不確定性関係(1)

演算子の交換関係を学び、演算子の可換性とその量の同時観測可能性について学び、ハイ

ゼンベルグの不確定性原理に至る過程を理解する。

○第8週:交換関係と不確定性関係(2)

演算子の交換関係と不確定原理に関する演習問題を解くことを学び、不確定性原理の理解

を深める。

○第9週:角運動量と方向量子化(1)

電子の角運動量の固有値、交換関係、合成について学ぶ。また、方向量子化を講義し、量

子化に関する基礎的な理解を深める。

○第10週:角運動量と方向量子化(2)

電子の角運動量、合成角運動量の固有値に関する演習問題を解くことを通じて、量子力

学における角運動量の重要性を学ぶ。

○第11週:中心力場の電子(1)

中心力場における電子のポテンシャルが実際の原子内電子において適用できることを

学ぶ。またスピンとその演算子、固有値、固有関数についても学ぶ。水素原子のシュレ

ーディンガー波動方程式を導出する。

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○第12週:中心力場の電子(2)

水素原子のシュレーディンガー波動方程式の解法を学習する。またその結果を利用して、

演習問題で1s軌道の電子波動関数を計算する。

○第13週:二中心力場の電子(3)

前週に引き続き、2pと3d電子の波動関数を学ぶ。

○第14週:二電子問題(1)

原子内電子が2個以上存在するときの変分原理、一体近似、パウリの排他律について学

習する。

○第15週:二電子問題(2)

二電子問題におけるエネルギー積分を学習し、交換相互作用の起源を学ぶ。また、初歩

的摂動論に関しても学ぶ。二電子問題に関連する簡単な演習問題を解く。

○第16週:定期試験

筆記試験により講義内容の理解度を試験する。教科書、配布演習問題解答集、参考書、

ノートなどの持ち込みは不可。

◆バックグラウンドとなる科目

物理学基礎、原子物理学、数学及び数学演習

◆教科書

量子力学:山内恭彦(培風館)

◆参考書

量子力学:シッフ(吉岡書店)

量子力学(ⅠⅡ):小出昭一郎(裳華房)

量子力学演習:小出昭一郎、水野幸夫(裳華房)など

◆成績評価の方法

○演習問題に関するレポート5回(30%)

○定期試験の成績(70%)

とし、これらの合計で 55%以上修得した者を合格とする。

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◆科目名: 結晶物理学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年 前期

◆授業時限: 火曜 3時限( 13:00 -14:30)

◆担当者: 佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)

5号館 339号室,Tel:789-3350 ,[email protected]

[email protected]

黒田光太郎(工学研究科量子工学専攻)

5号館 343号室,Tel:789-3349 ,[email protected]

◆問い合せへの対応: 随時

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◆授業のねらいと内容:

現在用いられている無機工業材料のほとんどは結晶質である。本講義は、将来、無機結晶材料

について学習するために必要な結晶学の基礎知織を教授する。

◆授業計画:

○第1週(佐々木,黒田):結晶構造と空間格子

結晶構造、空間格子、単位格子の定義について講義する。

○第2週(佐々木,黒田):ミラー指数

結晶学的方向、結晶面の記述方法について講義する。

○第3週(佐々木,黒田):代表的な結晶構造

元素の結晶構造、化合物の結晶構造について代表的なものを例に挙げて講義する。

○第4週(佐々木,黒田):空間投影

結晶を立体的に表示する方法である結晶儀について講義する。

○第5週(佐々木,黒田):ステレオ投影(1)

3次元的な結晶儀上の点を2次元的に表示する方法であるステレオ投影の基本について講義

する。

○第6週(佐々木,黒田):ステレオ投影(2)

最も基本的な結晶構造である立方晶について.ステレオ投影を用いた標準投影について講義

する。

○第7週(佐々木,黒田):ステレオ投影(3)

ステレオ投影の応用について、結晶の回転、極点間の角度の測定、方向および面の決定につ

いて講義する。

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○第8週(佐々木,黒田):ステレオ投影(4)

第7週の続き

○第9週(佐々木,黒田):逆格子

逆格子の定義、面間隔の計算などについて講義する。

○第10週(佐々木,黒田):結晶による回折現象

平面波の定義、原子による散乱,単位胞による散乱について講義する。

○第11週(佐々木,黒田):反射球、エワルド球

回折現象を逆空間で理解する方法としての反射球あるいはエワルド球について講義する。

○第12週(佐々木,黒田):構造因子

結晶構造と回折現象について講義する。

○第13週(佐々木,黒田):結晶の外形に依る逆格子点の広がり。

結晶の外形と回折現象の関係について講義する。

○第14週:予備

○第15週:定期試験

教科書、参考書、プリント、返却済みレポート、過去問題およびその解答例などあらゆるも

のの持ち込みを可とする。

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◆バックグラウンドとなる科目:

◆教科書:

・結晶電子顕微鏡学:坂公恭(内田老鶴圃)

◆参考書:

なし

◆成績評価の方法;

定期試験の結果を最優先する。

但し、毎回のレポート、課題の評価は最大20%まで考慮する。

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆ 科目名:移動現象論

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年後期

◆授業時限: 火曜2限( 10:30 〜 12:00 )

◆ 担当者: 野村宏之(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 335 号室、TEL: 789-3370、[email protected]

桑原 守(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 553 号室、TEL: 789-3251、[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P2/kuwabara/index-j.html

◆ 問い合わせへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

工業反応装置内の諸現象に留まらず、身近に起こっている多くの自然現象は実はこの移動

現象論に基づいている。例えば、大気、雲、海洋、地球内部のマントル流、洗濯機内の水、

エンジン内部での気体等の流れや、煙突からの浮遊塵や汚染物質の拡散、太陽から地球、逆

に、地球から宇宙への放射伝熱と対流を含めた地球の熱バランス、凝固における熱流と液体

流動、相変化に伴う物質と熱の移動等、全てが物質、熱、運動量の移動が絡む移動現象であ

る。ここでは、工学基礎としての移動現象(運動量,熱,物質移動)の原理と応用を学び、

材料製造プロセスにおいて起こっている移動現象を理解し、また、装置を設計するために必

要な基礎知識を修得します。

◆ 授業計画:

○ 第1週:(前半の8週は、桑原が担当)

講義のガイダンスを行う。先ず、授業で行う演習の方法,レポート提出,成績評価につい

て説明します。次に、材料製造プロセスと移動現象のかかわり合いを実例に基づいて解説し、

移動現象論の体系と本講の学習の意義をわかりやすく説明します。

○第2週:移動現象の基礎的法則

基本物理量、流束、移動係数の単位と概念、および、物質、熱、運動量移動における現象

の相似性と保存式の基本形について述べます。

○第3週:数式シミュレーションの基礎①

任意の流束に関する微分方程式の導出法と、初期および境界条件の考え方を示し、ベクト

ル解析に基づく式の一般化表現についても考えます。

○第4週:数式シミュレーションの基礎②

移動方程式の解析的および数値的解法の概要とその数学的基礎を学習します。

○第5週:運動量移動①

ベクトル量の概念だけでは扱えない運動量の微分収支式(運動方程式)について考えま

す。また、ベクトルおよびテンソル解析の数学的基礎を説明します。

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○第6週:運動量移動②

運動方程式と質量保存式(連続の式)の一般式から出発し、各種の簡単な系における非

圧縮性流体の定常流を解析してみます。

○第7週:基礎式の無次元化と次元解析

系を支配する無次元パラメータを、各種の移動方程式の無次元化、または、次元解析に

よって抽出する方法を説明します。

○ 第 8週:(この週以降、野村担当)

熱の移動現象とは?伝熱工学では何を学ぶのか?また実生活との関係は?これらについ

てわかりやすく説明します。

○ 第 9週:熱伝導①

伝熱方程式の導出とその簡略化について述べます。簡単な例題で理解を深めます。

○ 第 10 週:熱伝導②

前回の式を活用して各種の例題を考えてみます。熱伝導の合成問題も考えます。

○ 第 11 週:対流熱伝達①

対流により、熱が運ばれるメカニズムについて説明し、対流の強さにより使われる伝熱

式とそのパラメータを提示します。

○ 第 12 週:対流熱伝達②

前回の式を活用して各種例題を考え、また熱伝導との連結問題にもアプローチします。

○ 第 13 週:放射伝熱①

前二者とまったく異なる熱移動現象である放射伝熱のメカニズムをわかりやすく説明し

ます。

○ 第 14 週:放射伝熱②

太陽からの放射など、理解しやすい例に基づいて放射伝熱の計算法を会得します。

○ 第 15 週:定期試験

ノート、参考書などの持ち込みは不可とします。

◆バックグラウンドとなる科目:

数学 1及び演習、数学 2 及び演習,物理学基礎、化学基礎

◆教科書:

使用しない。(必要に応じてプリント資料を配布する)

◆参考書:

城塚正ら:移動現象論、オーム社

大中逸雄ら:輸送現象論、大阪大学出版会

◆ 成績評価の方法:

○演習で行うレポート:2回(20%)

○定期試験(80%)

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料物理化学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年前期

◆授業時限: 木曜3限(13:00〜14:30)

◆担当者: 藤澤敏治(エコトピア科学研究所)

共同教育研究施設2号館 426 室,Tel:789-5863,

[email protected]

◆問合せへの対応:講義終了直後の講義室、あるいは教員室(事前に電話かメールで時間を打合

せること)にて受け付ける。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

多くの材料プロセス、とりわけ素材製造プロセスにおいては、各種の化学反応が利用されて

いる。化学反応を取り扱うためには、化学熱力学と反応速度論の知識が必要不可欠である。反

応速度論はまさに化学反応のスピードを扱い、いわば自動車のアクセルとブレーキに相当する。

一方、化学熱力学により反応の方向とゴールを知ることができ、いわば自動車のハンドルと地

図(カーナビ)に相当する。すなわち、両者は車の両輪の関係にあると言えよう。専門基礎科

目Bの化学基礎 II においては、化学熱力学の基礎的事項について学ぶが、ここでは、化学熱

力学についての知識をさらに深めることを目指して、材料プロセッシングにおいて重要な自由

エネルギーと化学平衡を中心に講義する。

達成目標

1. 溶体の自由エネルギーと構成成分の熱力学的諸量の関係を理解し、説明できる。

2. 熱力学的な平衡条件を理解し、説明できる。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンス+確認テスト

バックグラウンドとなる科目(化学基礎 II、物理化学)の内容のうちで、本講義の内容を

理解するために不可欠な知識についての理解度を確認するための簡単なテストを実施する

(ただし、このテストの成績は本講義の成績評価には加えない)。

I. 熱力学の基礎

化学基礎 II の内容の復習をかねて、熱力学の基礎的内容について講義する。

○第2週、第3週:熱力学の基礎

系、状態量、示強因子、示量因子

熱力学第1法則(内部エネルギー、エンタルピー、熱容量)

熱力学第2法則(エントロピー)

熱力学第3法則

ギブスの自由エネルギー

II. 溶体の熱力学の基礎

溶体とは 2 つ以上の成分を含む均一相のことであり液相である溶液のみならず固相である

固溶体もその中に含まれる。素材プロセッシングにおいては、この溶体が関与する場合がほ

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とんどであり、溶体の化学的性質を定量的に知ることは、素材プロセッシングにおける反応

の制御にとって不可欠である。ここでは溶体の熱力学的な取扱い方について概説する。

○第4週、第5週、第6週、第7週、第8週、第9週:溶体の熱力学の基礎

ラウールの法則とヘンリーの法則

化学ポテンシャルと部分モル量

部分モル量と化学ポテンシャル

Gibbs-Duhem の式

モル量と部分モル量

化学ポテンシャルと活量

理想気体の化学ポテンシャル

理想気体混合物

純粋な固体や液体(凝縮相)の化学ポテンシャル

溶体中の成分の化学ポテンシャルと活量

(1) 理想溶体

(2) 活量係数

一般的に採用される標準状態

混合の自由エネルギー変化

理想溶体と実在溶体

溶体の分類

理想溶体

正則溶体

実在溶体

III. 化学反応と熱力学的平衡

化学反応の熱力学的な平衡条件について、具体例として気体の間の反応平衡を用いて説明す

る。また、凝縮系純物質(固体や液体の純物質)と気体を含む系の反応平衡関係についてエ

リンガム図を用いて説明する。

○第 10 週、第 11 週:化学平衡

質量作用の法則

熱力学的な平衡の条件

GΔ による反応方向の予測

平衡定数への温度の影響

平衡定数への圧力の影響

○第 12 週:気相反応

反応に伴う系の自由エネルギーの変化

気相反応平衡の例

(1) SO2-O2-SO3系の反応平衡

(2) H2O-H2およびCO2-CO混合ガス平衡

○第 13 週、第 14 週、第 15 週:凝縮系純物質と気体を含む系の反応(エリンガム図)

エリンガム図の描き方

エリンガム図の基本的使い方

補助スケールについて

エリンガム図の応用的使い方

○第 16 週:定期試験

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筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。本、ノート、配布プリントや電卓等の持ち

込みは許可しない。ただし、A4 用紙一枚の手書きメモの持ち込みは許可する。

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◆バックグラウンドとなる科目:

化学基礎 II,物理化学

◆教科書:

使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)

◆参考書:

1. 金属化学入門シリーズ1 金属物理化学 編集・発行 日本金属学会 発売 丸善

2. Introduction to the Thermodynamics of Materials, Third Edition by David R. Gaskell, Taylor & Francis Publishers

◆成績評価の方法:

達成目標に対する評価の重みは同等。

宿題レポート(20%)と定期試験(80%)で評価し、全体で 55%以上のポイントを獲得した

学生に単位を認定する。

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◆科目名: 統計力学 A

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限: 月曜日 3時限(13:00 ~14 :30 )

◆担当者: 高井 治(エコトピア科学研究機構ナノマテリアル科学研究部門)

9号館 521号室,Tel:789-3259, [email protected]

齋藤永宏(工学研究科物質制御工学専攻)

9号館515号室,Tel:789-2796, [email protected]

URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/

◆問合せへの対応:随時。ただし、事前に電子メール等で予定を確認すること。

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◆授業のねらいと内容:

蒸気機関の発明は、産業革命を引き起こし、より効率の高い蒸気機関を開発しようという科学

者・技術者の熱意によって、熱力学という新しい学問が発展した。熱力学は、物理学だけでなく

化学,生物学,宇宙科学等の基礎科学分野や、種々の工学分野の基礎として重要な学問となって

いる。さらに、物質に関する理解が深まるにつれ、物質を分子あるいはその集合体としてとらえ

る分子論が生まれてきた。この分子論的立場から、熱力学を考察する基礎が統計力学である。『統

計力学A』では、材料工学を学ぶ上で重要な統計力学の基本的概念について学ぶ。

◆授業計画:

○第1~3週(齋藤):熱力学

第1週では、本講義の内容と日程および成績評価についてのガイダンスを行う。 統計力学を学

んでいく上で必要な熱力学について、復習をかねて講義を行う。

○第4~6週(齋藤):気体分子の分布と運動

物質を構成する分子の運動を力学的に扱い、物質のさまざまな性質を説明しようとする理論を

分子運動論という。ここでは、気体の圧力や温度などの熱力学状態を、分子論的に扱う理論と数

学的テクニックについて学ぶ。統計力学によって物質の熱力学的性質を扱うための基礎となる。

○第7~10週(齋藤):古典統計力学

互いに独立して運動する分子の集まりとして気体を扱う理論を拡張して、液体や固体にも適用

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できる理論へと展開していく。それぞれの分子を、ニュートン力学に従う質点としてあつかうた

め、古典統計力学と呼ばれている。

○第11~14週(高井):量子統計力学

古典力学(ニュートン力学)では、エネルギーは連続的に変えることのできる量である。量子

力学では、エネルギーはとびとびの値しか取ることのできない離散的な量であると教えている。

通常の状態では、この量子的な効果は現れないが、低温になると顕著に現れてくる。とくに、分

子や原子が狭い空間に閉じこめられている固体では、量子効果が著しく、場合によっては常温で

も量子効果が現れてくる。ここでは、量子効果を考慮に入れて物質の振舞いを考察する量子統計

力学について学ぶ。固体物性を広く扱う材料工学では、量子統計に関する基礎的な素養が必要不

可欠である。例えば、金属や半導体中の電子の振舞いは、量子統計なしに説明することができな

い。

○第15週:定期試験

・筆記試験

・教科書、ノート等の資料は持ち込み不可。

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◆バックグラウンドとなる科目:

◆教科書:

・熱・統計力学:戸田盛和(岩波書店)

◆参考書:

・統計物理:バークレイ物理学コース(丸善)

・統計物理:キッテル(サイエンス)

・熱力学・統計力学:原島(培風館)

・統計力学:長岡洋介(岩波書店)

◆成績評価の方法:

定期試験で55%以上のポイントを得た場合に単位を認定する。

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◆科目名: 無機化学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年 前期

◆授業時限: 月曜日 3時限(13:00- 14:30)

◆担当者: 平澤政廣(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 543号室、TEL: 789-5309、[email protected]

◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打合せる

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◆授業のねらいと内容:

無機化学は,有機化学の対象である炭素化合物を除いて,周期表のすべての元素の化合物

にわたる極めて広い範囲の物質を取り扱い,物質・材料の性質や構造,物質・材料の関わる

化学反応を,原子,分子論,およびエネルギー論的に理解するための基礎学問である.種々

の工業製品を構成する,金属やセラミックスなどの各種の固体材料の研究・開発においては,

無機化学の知識が応用され,材料科学に関わる技術者,研究者にとって,無機化学の知識は

重要である.また,生体材料の構造や機能の研究においても,無機化学の関わる分野が拡大

している.本講義では,極めて広範な無機化学の知識の中でも,基礎的に重要な事項につい

て講義する.講義で取り上げるトピックスは,化学結合の理論,無機化学反応の基礎として

の酸・塩基および酸化と還元の概念,各種の元素の典型的な化合物の構造と性質などである.

達成目標

1.化学結合について電子論的に理解し,説明できる.

2.分子の構造と特性について化学結合の観点から理解し,説明できる.

3.無機化学反応をエネルギー的な観点から理解し,説明できる. 4.典型的な無機化合物について,構造や特性を理解し,説明できる.

◆授業計画:

○第1週:元素と周期表

化学結合の理解のためには,原子内の電子状態の基本的な理解が必要である.このため,

1年次の化学基礎で学んだシュレーディンガー方程式の基礎を復習し,原子内の電子配置と

元素の周期表の関係に関する基礎知識を得る.

○第2,3週:分子とそのモデル

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化学結合の基礎的理論として,共有結合に関する分子軌道法,原子価結合法を学び,混成

軌道の概念,分子の立体構造と極性などの考え方を理解する.

○第4,5週:イオン性固体と金属

固体の構造と固体内の原子間の結合について学ぶ.化学結合のイオン性,金属結合,バン

ド理論などの考え方を理解する.

○第6,7週:酸と塩基および酸化と還元

酸と塩基の定義,酸塩基の関与する反応とその化学平衡,酸化と還元の定義,酸化還元反

応とその化学平衡について理解し,化学反応についてのエネルギー的観点の理解を深める.

○第8,9週:水素および典型金属(s-ブロック,p-ブロック金属)の化学

水素,および,典型金属と呼ばれるアルカリ金属,アルカリ土類金属,アルミニウムなど

の単体,化合物の性質,構造,および,それらの関わる化学反応などについての知識を得る.

○第10,11週:13-18族の非金属元素の化学

第2周期のホウ素,炭素,ケイ素,窒素,酸素,フッ素,ネオン,および,第3周期のケイ

素,リン,硫黄,塩素,アルゴンなどの,非金属元素の単体,化合物の性質,構造,および,

それらの関わる化学反応などについての知識を得る.

○第12,13週:遷移金属(d-ブロック,f-ブロック金属)の化学

第4周期のスカンジウムから亜鉛まで,第5周期のイットリウムからカドミウムまで,また,

第6周期のランタノイドから水銀まで(および第7周期のアクチノイド)は,一般に遷移金属

と呼ばれる.これらの広範な元素の単体,化合物について,概観し,代表的な物質について,

単体,化合物の性質,構造,および,それらの関わる化学反応などについての知識を得る.

○第14週:遷移金属錯体

遷移金属錯体の構造,結晶場の理論,配位子場の理論などについて学び,錯体の形成反応

について理解する.

○第15週:有機金属化合物

アルキル基などと金属の結合した有機金属化合物として知られる各種の化合物がある.こ

れらには,潤滑剤として使用されるケイ素化合物や,鉄の化合物である血液中のヘモグロビ

ンなど身近なものも多い.これら有機金属化合物の構造,性質などについて,基礎的な知識

を得る.

○第16週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。教科書,ノート,配布プリントや電卓等

の持ち込みは許可しない.ただし,A4用紙一枚の手書きメモの持ち込みは許可する.

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◆バックグラウンドとなる科目:

化学基礎Ⅰ,Ⅱ

◆教科書:

・「基本無機化学」,荻野博・飛田博美・岡崎雅明 著,(東京化学同人)

◆参考書:

・ヒューイ 無機化学 上・下,(東京化学同人)

・Inorganic Chemistry 3rd ed., by Shriver & Atkins, Oxford University Press

◆成綾評価の方法:

講義中の小テスト(20%)

定期試験(80%)

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する.

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◆科目名: 材料力学第1

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義と演習,本科目は工学技術者としての基本科目であるため,2クラス制並行

授業を実施し,効果的な修得を目指す.

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年前期

◆授業時限: 金曜3限(13:00〜14:30)

◆担当者:A組担当:宮田隆司(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 243 室,Tel:789-3235,[email protected]

B組担当:田川哲哉(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 241 室,Tel:789-3577,[email protected]

◆問合せへの対応:随時

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

機械や構造物に使用される材料の力学的応答(材料の変形と強さ,安定性など)について

学ぶ.簡単な計算で近似解を得るという材料力学の特色を理解し,機械部品や構造物の設計

の基礎となる基礎知識修得を目指す.基本的に毎回の講義で演習と宿題を課し,講義内容を

復習する形で理解を深めていく.

◆授業計画:

○第1週:ガイダンス

材料力学の位置づけ,授業の内容,教科書,成績評価方法について説明する.静力学の

基本法則である力のつりあいを理解し,簡単なトラス問題を解く.

○第2週:基本法則1

応力の定義と力との関係,ひずみの定義に関して説明する.また,材料力学の基本法則

であるフックの法則を修得し,重ね合わせの原理を用いることの優位性について理解する.

演習と宿題により理解を確認する.

○第3週:基本法則2

実材料の力学的応答を概説し,材料力学が対象とする問題の範囲に関して理解する.

○第4週:1軸変形問題の基礎

軸力を受ける棒の変形に関して説明し,演習と宿題により理解を確認する.

○第5週:1軸変形問題の応用例

軸力を受ける棒の変形に関する応用例(複雑なトラス,不静定トラス)に関して説明し,

演習と宿題により理解を確認する.

○第6週:ねじり変形問題の基礎

ねじり変形の基本的概念を説明し,解を導く.演習と宿題により理解を確認する.

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○第7週:ねじり変形問題の応用例

ねじり変形問題の応用例(コイルバネ,伝導シャフト)を説明し,演習と宿題により理

解を確認する.

○第8週:平面問題

3次元問題を近似する1手法である「平面応力」,「平面ひずみ」についてその意味を説

明し,演習と宿題により理解を確認する.

○第9週:応力・ひずみの座標変換

ある応力状態にある2次元板に回転座標を与えた場合の各応力・ひずみ成分の変化を説

明し,主応力,主ひずみ,主せん断面などに関して理解するとともに,演習と宿題により

理解を確認する.

○第 10 週:真直はり内部の力

真直はりが種々の荷重(集中荷重,等分布荷重,曲げモーメント)を受けた場合に,は

り任意断面の受けるせん断力,曲げモーメントの解を導く.演習と宿題により理解を確認

する.

○第 11 週:真直はりの応力とひずみ1

曲げモーメントを受けるはりの変形概念を説明し,生じる応力とひずみを導く.この計

算に必要な断面二次モーメントとはり断面の形状について説明する.演習と宿題により理

解を確認する.

○第 12 週:真直はりの応力とひずみ2

せん断力を受けるはり断面内部のせん断応力をを導く.演習と宿題により理解を確認す

る.

○第 13 週:総合問題1

ラーメン構造を含む複雑なトラス問題を解くことで,軸力と曲げが重畳した問題を解き,

演習と宿題により理解を確認する.

○第 14 週:

軸力とねじり,曲げと引張など,複雑な負荷をうけ棒やはりの問題を重ね合わせの原理

に基づき説明し,演習と宿題により理解を確認する.

○第 15 週:定期試験

筆記試験により,講義内容の理解を確認する.教科書・参考書,ノートの持ち込みは不

可.

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

物理学基礎I,力学及び力学演習

◆教科書:

基礎材料力学:高橋,町田(培風館)

◆参考書:

なし

◆成績評価の方法:

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筆記試験および提出された演習と宿題

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◆科目名: 材料力学第2

◆科目区分: 専門科目基礎

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年後期

◆授業時限: 木曜1限(08:45~10:15)

◆担当者:石川孝司 (工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部5号館 249 室,Tel:789- 3256, [email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる.

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◆授業のねらいと内容:

機械や構造物を構成する各部材は例外なくなんらかの力を受けるため,それらを設計する

際には各部材に生ずる変形および抵抗力などに関して十分の知識を有し,各部材が十分の強

さと適当な剛さを有するように,材料および寸法を選定しなければならない.もし外力に対

する抵抗力に不十分な部分があれば機械はその部分から破壊するであろうし,また反対に過

大に失すれば不必要に多くの材料を用いることになって不経済である.材料力学は機械や構

造物の各部材に作用する外力の種類と大きさを想定し,これによって生ずる部材の変形およ

び抵抗などを理論と実験の両面から考究する学問である.本授業では材料力学第1に引き続

いて,材料力学のはりの変形,円管・球の変形,長柱の座屈に関する事項を講義する.知識

を身につけるだけでなく,具体的問題に即して,利用し生かすことを学ぶため,毎回演習を

行い多くの問題を解く.

◆授業計画:

○第1週:はりの変形,ガイダンス

はりのたわみ計算のための基礎微分方程式の導出と,(1)積分法,(2)面積モーメント法,

(3)簡易加算法,(4)エネルギー法の概要について説明する.問題によってどの方法が最適

かを判断できるようになるにはある程度の熟練が必要である.

○第2週:積分法によるはりの計算

はりのいろいろな拘束条件,荷重条件に対して,はりの計算の基本となる積分法による

計算方法を例題をやりながら説明する.

○第3週:面積モーメント法によるたわみの計算

面積モーメント法について説明し,その解法の特徴を理解する.特に集中荷重が作用す

るはりのたわみの計算には有効である.

○第4週:簡易加算法によるたわみの計算

片持ちはりの公式を利用した簡易化算法を学ぶ.この方法はたわみ計算の万能薬的な簡

便法で,基礎的なわずかの公式だけを記憶していれば,機械的な加算だけでほとんどのは

りの計算ができる便利な方法である.

○第5週:不静定はり,連続はり

静力学的な力の釣合い式だけでは条件不足で解が求まらない不静定はりの問題解決の手

法を学び,支点が3個以上ある連続はりの解き方を学ぶ.

○第6週:ひずみエネルギー

エネルギーの概念が力学の解法において有力な手段となることはすでに力学でも学んだ

とおりであるが,材料力学においても同じである.その基礎となるひずみエネルギーにつ

いて学ぶ.

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○第7週:仮想仕事の原理

力の平衡条件のエネルギー的な表現である仮想仕事の原理を説明し,全ポテンシャルエ

ネルギー極小の原理を学ぶ.

○第8週:カスチリアーノの定理

ひずみエネルギーと力,変位の関係式であるカスチリアーノの第1および第2定理を学

び,積分法等ではやっかいな問題をこの定理を使用して解く.

○第9週:たわみの計算演習

各種のたわみの計算法を演習問題により理解する.(中間テスト)

○第 10 週:組合わせはり

2種以上の異なる材料を組み合わせた部材のたわみ変形について学び,鉄筋コンクリー

トを例にして,そのたわみの計算手法を理解する.

○第 11 週:平等強さのはり

はりの長さに沿って最大応力が一定となる平等強さのはりの変形について学ぶ.これは

トラックなどの板ばねとして利用されている.

○第 12 週:曲がりはり

外力が作用する前から曲がっている厚肉の曲がりはりの変形について学ぶ.これはクレ

ーンなどの吊り上げ装置で物体を引っかけるワイヤー先端のフックに相当するもので,理

論に裏付けられた形状をしていることを理解する.

○第 13 週:内圧を受ける円管の変形

ガソリンや天然ガスなどを運ぶタンクローリー車などの円筒状容器に内圧が加わった場

合の変形を計算する手法を学ぶ.

○第 14 週:内圧を受ける球の変形

球形の容器に内圧がかかった場合の容器にかかる応力と変形について学ぶ.都市ガスの

備蓄タンクはその例である.

○第 15 週:長柱の座屈

細長い棒に圧縮力を作用させるとき,力がある値に達すると,突然横たわみを生じてし

まうことは日常良く経験することである.これを座屈とよび,その条件と変形について学

ぶ.

○第 16 週:定期試験

筆記試験により講義内容の理解度を試験する.教科書,参考書,ノートの持ち込み不可.

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◆バックグラウンドとなる科目:

数学基礎,力学および演習,材料力学第1

◆教科書:

基礎|材料力学:高橋,町田(培風館) (材料力学第1と同じ)

◆参考書:

◆成績評価の方法:

○講義中に行う演習またはレポート(20%)

○定期試験の成績(80%)

とし,これらの合計で 55%以上達成した者を合格とする.

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◆科目名: 材料物理学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年後期

◆授業時限: 水曜2限(10:30〜12: 00)

◆担当者: 黒田光太郎(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 343 室,Tel:789-3349, [email protected]

佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)

5号館339号室,Tel:789-3350,[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせた上で

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料とくに金属材料(合金)の性質は、合金を作っている各成分の種類によることはもち

ろんであるが、たとえ同一成分のものであっても、成分相互の割合および温度によって変化

するものである。そこで要求される性質を備えた合金を得るには、どのような元素をどのよ

うな割合に合成させ、これをどのような温度で熱処理を行えばよいか、またどのような温度

で加工すればよいかということが問題になる。これに対して適当な指示を与えるのが状態図

である。言い換えると、多数の原子が集合した系における熱力学的平衡状態を記述するのが

状態図である。状態図の理解は材料工学の多くの分野の基礎となるものである.

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスおよび序論

講義内容、進め方、成績評価について説明する。

材料の性能を引き出すには組織制御の重要であることを紹介し、状態図の知識が必要で

あり、材料組織学の基本は状態図であることを学ぶ。

○第2週:基礎的な概念と1元系状態図

平衡、系、相、成分、相律など基礎的概念について学ぶとともに、1元系状態図および

各相の自由エネルギーとの関係について理解する。

○第3週:2元状態図(1)

状態図の表示法、成分の表し方、てこの原理などについて学び、固溶体系状態図とその

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冷却曲線との対応について理解する。固溶体の概念を体得する。

○第4週:2元系状態図(2)

共晶系状態図について学ぶ。共晶反応前後での組織変化およびそれに関わる各相の組成

や量について理解する。

○第5週:2元系状態図(3)

包晶系状態図について学ぶ。包晶反応前後での組織変化およびそれに関わる各相の組成

や量について理解する。

○第6週:2元系状態図(4)

共析系、偏晶系、包析系などの状態図、中間相や化合物を含む状態図について学ぶ。実

際の状態図の読みとり方についても学ぶ。

○第7週:2元状態図の熱力学(1)

熱力学的状態量、系の平衡状態と自由エネルギーについて学び、異相平衡の条件を理解

する。

○第8週:2元状態図の熱力学(2)

置換型固溶体のエンタルピーをブラック・ウィリアムス近似で導出し、自由エネルギー

を正則溶体近似で求めて、計算による状態図の作成が可能なことを学ぶ。

○第9週:非平衡相変態

非平衡相変態によって生じる組織、例えば芯組織、とりまき組織について学ぶ。非平衡

冷却によって生じる不変反応状況についても理解する。

○第 10 週:3元系状態図(1)

3元状態図の表示法、等温切断図、垂直断面図の意味することについて理解する。3元

全率固溶体系について学ぶ。

○第 11 週:3元系状態図(2)

3相平衡領域を含む、共晶型、包晶型、共晶—包晶型について学ぶ。

○第 12 週:3元系状態図(3)

4相平衡領域を含む3元共晶系について学ぶ。

○第 13 週:3元系状態図(4)

4相平衡領域を含む3元包共晶系について学ぶ。

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○第 14 週:3元系状態図(5)

4相平衡領域を含む3元包晶系、その他の3元系状態図について学ぶ。

○第 15 週:状態図と材料組織

材料の設計、組織制御などにおいて状態図が重要な役割を果たすことのいくつかの例を紹

介し、状態図の応用についての理解を深める。

○第 16 週:定期試験

筆記試験により、講義内容の理解度を試験する。教科書、参考書、ノート持ち込み不可。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

化学基礎 II,結晶物理学,材料物理化学

◆教科書:

使用しない。講義資料を配布する。

◆参考書:

材料組織学:長村他(朝倉書店),物質の構造: ウルフ 編(岩波書店),合金状態図読本:

横山(オーム 社),金属組織学:須藤他(丸善),金属組織学序論:阿部(コロナ 社)

◆成績評価の方法:

○レポート(20%)

○定期試験(80%)

全体で 55%以上達成できた学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料物理化学演習

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修選択

◆授業形態: 演習

◆単位数: 1.5 単位

◆開講時期: 2 年後期

◆授業時限: 火曜 4 ~ 5 限(13:00 ~ 17:15)

◆担当者: 興戸正純(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5 号館 537 室,Tel:789-3353,

[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

藤澤敏治(エコトピア科学研究所)

共同教育研究施設 2号館 426 室,Tel:789-5863,

[email protected]

URL: http://www.rescwe.nagoya-u.ac.jp/rescwe/fukugou/

◆問合せへの対応:事前に下記の者と電話かメールで時間を打合せる

市野良一(工学研究科 マテリアル理工学専攻)あるいは TA

5 号館 539 室,Tel:789-3352,

[email protected]

佐野浩行(エコトピア科学研究所)あるいは TA

共同教育研究施設 2号館 425 室,Tel:789-5862,

[email protected]

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

物理化学,材料物理化学の内容に関する演習を行うことにより,講義の内容を補填し理解を

深める。

◆授業計画:

○ 第 1週、第 2 週(興戸):析出量の計算とネルンストの式、電極電位の導出

ファラディーの法則を用いて電流効率を考慮した析出量の計算、化学ポテンシャルからネル

ンストの式の導出、および様々な金属種・イオン種間における電極電位を計算する。

○ 第 3週(興戸):電位–pH 図と化学反応の関係

電位-pH図から図中における化学反応を導出する。

○ 第 4週、第 5 週、第 6週(興戸):電位–pH 図の作図

電極電位、平衡定数をもとに、H2O-金属系の電位-pH図を作図する。

○ 第 7週(興戸):半電池とイオン濃度の計算

既知の半電池を用いて未知の半電池中のイオン濃度を計算する。

○ 第 8週(興戸):電気化学における反応速度の計算

交換電流密度、腐食速度などを計算する。

○ 第 9 週(藤澤):熱力学諸量(仕事、熱量、内部エネルギー、エンタルピー、エントロピー

など)の計算

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温度差のある物質を混合したときの生成エントロピーの計算,銅を溶解するのに必要な熱量

の計算,第三法則エントロピーの計算,などを行う。

○ 第 10 週(藤澤):反応熱、自由エネルギー、反応平衡の計算

グラファイトおよびダイヤモンドを酸化したときの熱量の計算,酸化物の生成自由エネルギ

ーの計算,金属製錬における気相成分の分圧計算,などを行う。

○ 第 11 週(藤澤): 化学反応平衡

酸化鉄の還元を進めるための条件の計算,混合ガスの平衡計算,などを行う。

○ 第 12 週(藤澤):部分モル量

部分モル自由エネルギー変化を図より求める方法を導出する。組成 – 混合の自由エネルギ

ー図を描き,図から活量を求める。

○ 第 13 週(藤澤): Ellingham Diagram

酸化物のEllingham Diagramを用いて,酸素分圧,CO/CO2比,H2/H2O比などを求める。

○ 第 14 週(藤澤): 相律と状態図

種々の場合における Gibbs の相律を計算する。状態図と活量の関係を図示する。

○ 第 15 週(藤澤): 三元状態図の等温断面図

三元状態図の等温断面図を作図する。三相平衡を利用して活量を計算する。

○ 第 16 週:毎回行う演習問題のレポートにて成績評価をするので、定期試験は行わない。

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◆バックグラウンドとなる科目:

化学基礎 I, II,物理化学,材料物理化学

◆教科書:

使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)

◆参考書:

3. 金属化学入門シリーズ1 金属物理化学 編集・発行 日本金属学会 丸善

4. 金属化学入門シリーズ4 材料電子化学 編集・発行 日本金属学会 丸善

5. 理工系学生・エンジニアのための 改訂 電気化学 ―問題とそのとき方― 増子昇、高

橋雅雄著、アグネ社

6. 物理化学(上,下) アトキンス著 千葉・中村訳 東京化学同人

7. Introduction to the Thermodynamics of Materials, Third Edition by David R. Gaskell, Taylor & Francis Publishers

◆成績評価の方法:

毎回行う演習問題のレポート

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 応用熱力学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年後期

◆授業時限: 火曜1限(08:45〜10:15)

◆担当者: 藤澤敏治(エコトピア科学研究所)

共同教育研究施設2号館 426 室,Tel:789-5863,

[email protected]

◆問合せへの対応:講義終了直後の講義室、あるいは教員室(事前に電話かメールで時間を打合

せること)にて受け付ける。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

多くの材料プロセス、とりわけ素材製造プロセスにおいては、必ずといってもよいほど溶体

(溶液)が関与してくる。溶体とは 2つ以上の成分を含む均一相のことであり液相である溶液

のみならず固相である固溶体もその中に含まれる。「材料物理化学」において、諸君は、材料

プロセッシングにおいて重要な自由エネルギーと化学平衡の関係について学習した。ここでは

化学平衡を実際に利用することができるようになることを目指して、その際に知っておかねば

ならない、溶体の熱力学的取り扱い方を中心に講義する。

達成目標

1. 溶体の熱力学的取扱い方について理解し、説明できるようになる

2. 化学熱力学を利用して、具体的な化学平衡を実際に計算できるようになる。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンス

授業の内容、参考書や成績評価方法などについて説明する。

○第2週、第3週: の求め方 oGΔ化学反応の平衡を取り扱うときには、化学反応の平衡定数 K の値をまず知る必要があるが、

その反応の標準自由エネルギー変化の値である がわかれば、 の関係に

より反応の平衡定数 K を求めることができる。ここでは、 の求め方を、計算による方

法と実測による方法について説明する。

oGΔ KRTG ln−=Δ o

oGΔ

1. 熱力学データ集からの計算による方法

1.1 種々の熱的資料から を求める方法(比熱などからの計算) oGΔ1.2 標準生成自由エネルギー から求める方法 o

fGΔ1.3 他の反応の標準自由エネルギー変化から求める方法

2. 実測による方法

2.1 平衡定数の実測値から求める方法

2.2 電池の起電力から を求める方法 oGΔ

○第4週、第5週、第6週:溶体(溶液)の熱力学的取扱い

素材プロセッシングにおいては、溶体が関与する場合がほとんどであり、溶体の化学的性質

を定量的に知ることは、素材プロセッシングにおける反応の制御にとって不可欠である。「材

料物理化学」においては溶体の熱力学的な取扱い方について基礎的な事項について概説した

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が、ここでは溶体(溶液)の熱力学的取扱い方についてさらに詳細に説明する。

1. 標準状態と標準状態の変換

1.1 標準状態と基準状態

1.2 よく用いられる標準状態

Raoult 基準の標準状態 Henry 基準の標準状態 質量%表示 Henry 基準の標準状態

1.3 標準状態の変換

1.4 溶体に溶解した気体の場合

1.5 一般的な化学反応の標準自由エネルギー変化との組み合わせ使用の例

2. 多元系希薄溶体における活量係数

2.1 相互作用係数

2.2 相互作用母係数及び助係数間の関係

○第7週、第8週、第9週、第 10 週:相律と状態図(状態図の利用法)

2 つ以上の異なる相の間の平衡問題(多相平衡)の基礎は、多相平衡の一般概念を示す式で

ある相律と、状態図であろう。状態図は相律の図式表現のひとつである。相律の概念につい

ては「化学基礎 II」で既に学んでいるはずであるが、ここでは相律をその適用例を用いて

熱力学的に詳しく説明し、相律における自由度、状態図(温度―組成図)と自由エネルギー

―組成図、ならびに成分の活量の関係について説明する。

また相律は状態図の作成に大いに役立つ。化学反応平衡を扱う場合には一定温度における状

態図つまり等温断面図が必要となるが、一般に状態図集には等温断面図はほとんど載ってい

ないので、自分で作成せねばならない。等温断面図からは非常に多くの情報を得ることがで

きる。ここでは、実例をとりあげ、等温断面図の作成を試みる。

1. 相律

2. 状態図と自由度 1 元系、2 元系、3元系

3. 3 成分系状態図の等温断面図

○第 11 週、第 12 週、第 13 週、第 14 週、第 15 週:活量の求め方

各種の反応の平衡関係を扱う場合、各成分の活量は平衡定数の関係から計算することができ

るが、我々が最終的に知りたいのは各成分の活量ではなく、それらの気相における分圧や溶

体中のそれらの濃度である。つまり活量と組成の関係をあらかじめ調べておく必要がある。

ここでは各種の活量の求めかたについて説明する。

1. 実験による測定

蒸気圧測定による方法 分配平衡測定による方法 化学平衡による測定 電池の

起電力測定による方法

2. 計算による方法

(1) Gibbs-Duhem の式による計算

Gibbs-Duhem の式を用いた 2 元系の活量の計算 Gibbs-Duhem の式を用いた活量係数

の計算 α関数を用いた方法 3 元系の場合

(2) 状態図からの計算

○第 16 週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。本、ノート、配布プリントや電卓等の持ち込

みは許可しない。ただし、A4 用紙一枚の手書きメモの持ち込みは許可する。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

化学基礎 II,物理化学,材料物理化学,材料物理学

◆教科書:

使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)

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◆参考書:

1. 金属化学入門シリーズ1 金属物理化学 編集・発行 日本金属学会 発売 丸善

2. Introduction to the Thermodynamics of Materials, Third Edition by David R. Gaskell, Taylor & Francis Publishers

◆成績評価の方法:

達成目標に対する評価の重みは同等。

宿題レポート(20%)と定期試験(80%)で評価し、全体で 55%以上のポイントを獲得した

学生に単位を認定する。

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◆科目名: 分析化学第 1

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年後期

◆授業時限: 水曜1限( 8:45~10:15)

◆担当者:平出正孝(物質制御工学専攻)

5号館 463 室,Tel:789-3590,[email protected]

齋藤 徹(物質制御工学専攻)

5号館 460 室,Tel:789-3579,[email protected]

◆ 問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打合せる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

物質の原子・分子レベルでのデザイン,新しい機能を付与した材料の創出・生産,製品の評価

などいずれの過程にも分析化学は関与し,さらには生産プロセスや物質の使用・消費による環境

影響の評価においても分析化学の果たす役割は大きい。従って本講義では、高度科学技術を支え

る微量成分分析について講ずることにする。すなわち、各種分離濃縮法について、それらの原理・

特徴及び応用について解説する。特に、分析化学の基礎的素養を養うことを目的に、溶液内化学

反応に基づく化学分析法(重量分析と容量分析)について紹介する。

◆授業計画:

○第1週:化学分析の目的(平出)

今日の社会における分析化学の役割並びに今後への期待について概説する。

特に、高度技術を支える微量成分分析について、その意義と役割等を講ずる。

また、今期通しての講義内容と成績評価法についても説明する。

○第2週:分析操作の流れ(平出)

高純度材料分析や環境分析において、機器的計測に先立ち、微量成分の分離濃縮が

しばしば必要となる。分析の問題を明らかにし、目的に合ったサンプリングの重要性

を論じるとともに、分析用試料の調製(試料のはかり取り、前処理、前濃縮)の設計

・使用に際しての考慮すべき事項につき、詳しく解説する。

○第3週:成分の検出と測定(平出)

試料中の成分を把握しないとマトリックスによる妨害のために誤った分析結果を得

ることがある。ここでは、精密な分析に先立つ成分検出、分析法の選択、定量の注意

点及び結果の計算とデータの報告について具体例を挙げて述べる。

○第4週:データの評価(平出)

分析データはしばしば社会に重大な影響を及ぼす。ここでは、分析データの取り扱い

や評価のための基礎的概念(真度と精度、標準偏差、はずれ値の取り扱い)について

述べ、近年その見積りが不可欠になった不確かさとその対策についても説明する。

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○第5週:容量分析(概論及び酸塩基滴定)(平出)

容量分析の原理及び操作について概観したのち、酸塩基滴定につき溶液内での反応

平衡、終点決定、滴定曲線等について詳しく述べる。

○第6週:容量分析(錯形成反応とキレート滴定)(平出)

金属イオンと配位子による錯形成反応の基礎を概説したのち、キレート試薬(特に

EDTA)を用いる滴定につき、その原理、滴定曲線、金属指示薬、応用等について講ず

る。

○第7週:沈殿分離と重量分析(平出)

沈殿生成機構並びに溶解度に及ぼす種々の因子(溶解度積、共通イオン効果、イオン

強度、pH、沈殿粒子の大きさ、温度、有機溶媒等)について解説する。また、共沈現

象を利用する微量成分の分離濃縮や沈殿生成反応を用いる重量分析について、一般的

な操作及び応用例について述べる。

○第8週:溶媒抽出(齋藤)

物質を濃縮したり相互分離するための抽出について解説する。分配定数や分配比の概

念について述べた後、酸塩基平衡や錯形成平衡が存在する系における分配について考

え、有機化合物や金属イオンの抽出分離系を設計する指針を学ぶ

○第9週:固相抽出、固液抽出、超臨界抽出(齋藤)

気体あるいは液体中の化学成分を固相に捕集する固相抽出法について、原理、一般的

な操作及び応用を述べる。また、固体試料からの化学成分の抽出法について述べる。

さらに、超臨界流体とその特性を活かした抽出法についても紹介する。

○第 10 週:イオン交換(齋藤)

イオン交換によるイオン分離の原理を述べる。代表的なイオン交換樹脂の構造と機能

について述べるとともに、イオン交換による分離の実際について解説する。

○第 11 週:液体クロマトグラフィー(齋藤)

液体クロマトグラフィーの分離の原理や装置の構成及びその適用について解説する。

クロマトグラフィーにおける保持やカラム性能に関するパラメーターについて説明

し、物質の性質に応じた分離モードや検出法について詳しく紹介する。

○第 12 週:ガスクロマトグラフィー(齋藤)

ガスクロマトグラフィーの分離の原理や装置の構成及びその適用について解説する。

固定相の性質と保持に関する要因について述べるとともに、ガスクロマトグラフィー

で用いられる代表的な検出手段についても紹介する。

○第 13 週:電気泳動法(齋藤)

電気泳動の基本的な原理と応用について紹介した後、高分子電解質であるタンパク質

を例として、ゲル電気泳動及び等電点電気泳動の仕組みを解説する。

○第 14 週:キャピラリー電気泳動法とマイクロチップ分析法

高分解能電気泳動であるキャピラリー電気泳動について、その経緯、原理及び応用

について述べる。特に、ゲノム分析を例として、材料工学者の貢献を交えながら、電

気泳動法が果たしてきた役割を述べる。併せて、最近のマイクロチップ分析について

も紹介する。

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○第 15 週: 分離分析の実際(齋藤)

分離分析法設計の実際的なセンスを養うことを目的として抽出分離や沈殿分離のデ

モンストレーションを行う。併せて、分離した分析対象物質を測定するための戦略に

ついても述べる。

○第 16 週:定期試験

講義の理解度を判定するために筆記試験を行う。

筆記用具のみの持込とする。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目: 化学基礎 I 及び II、化学基礎実験、無機化学

◆教科書: 基本分析化学 日本分析化学会編(朝倉書店)

◆参考書: 分析化学 I, II 実用に役立つテキスト 古谷圭一監訳(丸善)

分析化学反応の基礎 演習と実験 改訂版

日本分析化学会北海道支部東北支部編(培風館)

◆成績評価の方法:

講義の節目毎の小テストやレポート 30%

定期試験 70%

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◆科目名: 材料工学実験基礎

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 実験

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 2年 後期

◆授業時限: 木曜日 3-5時限(13:00 -17:15 )

◆担当者: 岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 631 室,

Tel:789-4649 ,e-mail:[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料を作製し評価するうえで最も基礎となる項目(結晶構造、物性、機械的強度、・平衡状態

図、活量、金属組織、組成分析)について、12グループに分け(8人程度のグループ)、各テーマご

とに実習する。実験に関わる安全管理、実験原理、各種装置の原理および使用方法を習得すると

ともに、得られたデータ解析の手法.報告書のまとめ方について学習する。

◆授業計画(材料教室各教員)

各テーマは次に示すとおりである。項目1-6と項目7の実験1-6の12テーマについて、グループ

ごとに全て実習する。

1.X線回折実験

物質はその結晶構造によって物理的性質、化学的性質、機械的性質が変化することが多

く、材料特性を理解するためには材料の結晶構造を理解する必要がある。X線ディフラク

トメーターを用い、粉末X線回折法による結晶構造解析を行い、測定原理と実際的技術を

習得する。

2.半導体の電気磁性測定

半導体には、負の電荷をもつ担体(キャリア)と正の電荷を持つ担体があり、電荷の担体

の種類・密度を変化させることにより、半導体の物性、電気伝導度が変化する。半導体中

に負の電荷をもつ担体(電子)と正の電荷をもつ担体(正孔)が存在することを、ホール

(Hall)効果の実験により確かめる。また、同一材料であってもキャリア密度が何桁も異な

り得ること、材料によってキャリアの移動度が大きく異なることを確かめる。

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3.熱分析実験

物質が相変態を起こすとき熱の移動が生じ.熱は原子の集合状態を変えることに費やさ

れる。したがって、液体から固体あるいは固体から液体における温度-時間曲線から物質

の状態を知ることができる。組成の異なる合金の冷却曲線を求め、 状態図を作成する。

4.溶融合金の活量測定

素材プロセシングは化学反応・化学平衡を利用するため、反応種の部分モル量(自由エ

ネルギー、エントロピー、およびエンタルピー)が重要となる。Pb-Bi系溶融合金を取り上

げ、起電力測定法を用いてPbの活量を求めるとともに、Pbの部分モル量を求める。

5.組織観察実験

金属材料の組織は材料の諸性質と密接な関係があり、組織を理解することは材料工学を理

解する上で重要なものとなる。金属の組織観察の方法は種々あるが、ここでは顕微鏡観察

用標準試験片、実用鋼材(軟鋼および高張力鋼)の光学顕微鏡観察を行い、観察試料の調整

の仕方、組織の同定・定量化について学ぶ。

6..引張試験

構造材料には、使用部位の静荷重、衝撃荷重、繰返し荷重などの負荷に対する強度が要

求される。静荷重試験法としての軸引張試験が示す材料挙動は、一般的な機械的性質とし

て評価され、材料の強さを論じる指標となる。ここでは、軟鋼材およびアルミニウム合金

の引張試験を行い、試験方法を習得するとともに変形挙動観察および負荷荷重と変形量の

関係から材料の機械的性質(降伏応力、引張り強さ)を求める。

7.分析化学実験

化学組成は物質の物理的・化学的・機械的特性と密接な関係があり、新素材創成におい

て化学組成分析は重要な情報を与える。化学組成を知る方法は、溶液中の化学反応に基づ

いて行う湿式化学分析と、各種の物理作用と物質との相互作用に基づく機器分析に大別さ

れる。ここでは、湿式化学分析(実験1および2)を一人一人が実習し、機器分析(実験3,4,5

および6)をグループごとに実習し、分析原理を知るとともに分析方法を習得する。

実験1 鋼中のマンガンとクロムの定量

実験2 薄層クロマトグラフィーによる色素の分離

実験3 電導度滴定(水酸化ナトリウム標準溶液を用いる塩酸・酢酸混酸の中和滴定)

実験4 ガスクロマトグラフィ一(芳香族炭化水素の分離定量)

実験5 吸光光度法による鉄の定量

実験6 フレーム発光分光分析および原子吸光分析(微量ナトリウム,カルシウム,マグ

ネシウムおよび鉄の定量)

○第1週(教務幹事、教室安全委員、2年生担任):実験ガイダンス

実験グループ、実験場所およびレポート提出場所の説明、実験安全教育を行う。

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○第2-7週(各教員)

1-6班が項目 1-6(構造、物性、機械的強度、平衡状態図、活量、金属組織)を行い、7-12

班は項目7の実験1-6(組成分析法)を行う。

○第8-13週(各教員)

1-6班が項目 7の実験1-6(組成分析法)を行い、7-12班は項目 1-6(機造、物性、機械的

強度、平衡状態図、活量、金属組織)を行う。

○第14週(各教員):実験予備日

欠席者のための実験予備日。

○第15週:定期試験

毎回の実験のレポート及び出席点にて成績評価をするので, 定期試験は行わない。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

専門基礎科目

◆教科書:

・材料工学実験テキスト(名古屋大学工学部物理工学科材料工学コース編)

◆参考書:

材料工学実験テキスト中の各実験テーマごとに多数の参考書を参照。

◆成績評価の方法:

原則として全ての実験に出席し、各自が所定の期間内にレポートを提出した者について成

績を評価する。やむを得ない理由により欠席したものは、所定の手続きを行った後に1回のみ

補講を行う。

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料物理学演習

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 演習

◆単位数: 1.5単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限: 金曜日 4,5時限( 14:45- 17:15)

◆担当者: 佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)----- 結晶物理学

5号館339号室,Tel:789-3350 ,[email protected]

黒田光太郎(工学研究科 マテリアル理工学専攻)-材料物物学

5号館 343号室,Tel:789-3349 ,[email protected]

松井正顕(工学研究科結晶材料工学専攻)----量子力学A

5号館 349号室,Tel:789-3567 ,[email protected]

浅野秀文(工学研究科結晶材料工学専攻)----量子力学A

5号館 351号室,Tel:789-3568 ,[email protected]

高井 治(エコトピア科学研究機構)----統計力学A

9号館 519号室,Tel:789-3259 ,[email protected]

URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/

齋藤永宏(工学研究科物質制御工学専攻) ----統計力学A

9号館 515号室, Tel:789- 2796, [email protected]

宇治原徹(工学研究科結晶材料工学専攻)----半導体材料学

9号館420号室,Tel:789-3368 ,[email protected]

URL: http://mars.numse.nagoya-u.ac.jp/f6/indexf6j.html

◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打ち合わせること

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

電子材料を始めとする各種機能性材料の物理的性質を理解するためには、結晶物理学、材料

物親学、量子力学、統計力学、半導体材料学に関する幅広い知織が必要である。本科目では、こ

れらの内容に関する演習を行い、材料の構造・性質・機能に関する理解を深めることを目的とす

る。

◆授業計画:

○第1週(佐々木):結晶物理学に関する演習1 (結晶学の要点)

結晶象と空間格子、ミラー指数、六方用指数、代表的な結晶構造に関する演習を行う。

○第2週(佐々木):結晶物理学に関する演習2 (結晶のステレオ投影と逆格子)

空間投影、ステレオ投影の応用、逆格子に関する演習を行う。

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○第3週(佐々木):結晶物理学に関する演習3 (結晶による回折)

平面波、原子による散乱、単位胞による散乱、エワルド球、構造因子、結晶の外形による逆

格子の広がりに関する演習を行う。

○第4週(黒田):材料物理学に関する演習1

2元系状態図を読みとる練習を行う。冷却過程における合金の相解析を行い、組織変化を模

式的に記述する。

○第5週(黒田):材料物理学に関する演習2

与えられた条件のもとで、グラフ用紙上に4相平衡を含む3元状態図の展開図を描く。

○第6週(黒田):材料物理学に関する演習3

前回作成した3元状態図の等温切断図、垂直断面図を描く。

○第7週(松井、浅野):量子力学Aに関する演習1 (シュレーディンカー方程式と固有関数)

電子の軌道を理解することを目的として水素原子のシュレーディンガー波動方程式の解法

を習得し、簡単な固有関数を導く。

○第8週(松井、浅野):量子力学Aに関する演習2 (3d軌道の固有関数)

第7週で習得したシュレーディンガー波動方程式の解法をもとに3d軌道の固有関数を導出し,

その角度依存性を考察する。

○第9週(松井、浅野):量子力学Aに関する演習3 (電子トンネル現象)

電子はトンネル現象によってポテンシャル障壁を通過する。モデル的なポテンシャルにおけ

るシュレーディンガー波動方程式を解いて電子の透過または反射する確率を計算することで,

電子の基本的な挙動とトンネル現象に関する演習を行う。

○第10週(高井, 齋藤):統計力学Aに関する演習1 (熱力学と気体分子通動論)

統計力学の基礎となる熱力学と、物質を構成する分子の運動を力学的に扱い、物質のさまざ

まな性質を説明しようとする分子運動論に関する演習を行う。

○第11週(高井, 齋藤):統計力学Aに関する演習2(気体分子の運動と古典力学的体系の統計力学)

互いに独立して運動する分子の集まりとして気体をあつかう理論を拡張して、液体や固体に

も適用できる理論へと展開し、それぞれの分子をニュートン力学に従う質点として扱う古典統計

力学に関する演習を行う。

○第12週(高井, 齋藤).:統計力学Aに関する演習3 (量子論的な体系と量子統計)

個々の分子がニュートン力学ではなく量子力学に従う体系の挙動に関する演習と、分子だけ

でなく電子や光子まで含めた量子力学的体系の統計力学、すなわち量子統計に関する演習を行う。

○第13週(宇治原):半導体材料学に関する演習1

「応用物性」2章章末の演習問題を素材に、金属において、

1)結晶の持つ周期性のあるポテンシャルから電子の状態密度関数が導かれること

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2)状態密度関数と電子の総数からフェルミエネルギーが導かれることに関する理解を、具体的

な式の導出、計算を通じて深める。次に半導体に議論を延長することで、伝導帯の電子および価

電子帯の正孔の状態密度が導かれることを確認する。

○第14週(宇治原):半導体材料学に関する演習2

「応用物性」2章章末の演習問題を素材に、半導体について、

1)フェルミエネルギーの温度依存性と伝導帯の電子および価電子帯の正孔の状態密度の関係

2)真性キャリア密度の意味

について理解を深める。更に、電子・正孔密度を様々な表式で表せること、また、それらが等価

であることを実際に式変形の操作を行って確認する。この作業を通じてフェルミ分布を使った電

子・正孔密度の表現に親しむ。

○第15週(宇治原):半導体材料学に関する演習3

「応用物性」2章章末の演習問題を素材に、これまでのニ回の演習を通じて得た半導体の電

子状態に関する知識を基に、

1)特定の条件下で、電子・正孔密度などの近似表現を導出する

2)ホール係数を導出する

などの作業を行う。これを通じて半導体材料に関する理解を深めるとともに、ー般的な状態を表

す式表現から、特定の条件下での表式を導く能力を磨く。

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◆バックグラウンドとなる科目:

結晶物理学,材料物理学,量子力学A,統計力学A,半導体材料学

◆教科書:

結晶物理学,材料物理学,量子力学A,統計力学A,半導体材料学の教科書欄参鯛

◆参考書:

結晶物理学,材料物理学,基子力学A,統計力学A,半導体材料学の参考書欄参照

◆成綾評価の方法:

レポート(100%)

全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料工学設計製図

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 演習(2クラス制,CAD 演習と座学の交互に組み合わせる)

◆単位数: 1.5単位

◆開講時期: 3年前期

◆授業時限: 火曜 4限(14:45〜)

◆担当者: 宮田隆司(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 243 室,Tel:789-3235,[email protected]

石川孝司(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 249 室,Tel:789-3256,[email protected]

湯川伸樹(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 253 室,Tel:789-3572,[email protected]

田川哲哉(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 241 室,Tel:789-3577,[email protected]

阿部英嗣(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 239 室,Tel:789-3578,[email protected]

吉田佳典(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 251 室,Tel:789-3555,[email protected]

◆問合せへの対応:随時

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

機械の設計とは,ある目的を持つ機械を実現するために,アイデアをもとに,そ の機械

に必要な機能を分析して,それらを具体化し,実物の形にまとめあげていくこ とである.頭

の中で浮かんだアイデアを多くの人に理解してもらうためには, 一定 の規則に基づいて図

面を製作する製図法を学ばねばならない.本授業では,簡単な機械製図実習と機械設計の基

礎的考え方,CAD(計算機援用設計)などについて講義とパソコンを用いた演習を行う.講義

時間には設計製図に関する座学の他,工作機械の見学も行い,設計における基礎知識を養う.

CAD においては,個人毎に与えられた課題に取り組み,講義時間内に仕上がらない場合は宿題

として,完成させる.CAD 演習中は複数の教員,技術職員がコンピュータの操作方法などを個

別指導する.

◆授業計画:

○ガイダンスとイントロダクション

授業の内容,進め方,成績評価の方法などを説明する他,材料系教室コンピュータール

ームの使用方法,各個人のログインID,クラス分けを連絡する.

○コンピュータの基本操作(コンピューター演習)

コンピュータのログインの方法,CAD ソフトの基本操作を修得する.CAD を使い各個人で

書いたイラスト画を課題として提出する.

○製図の基礎とフリーハンド図 I 及びボルトの書き方(講義)

着想図から最終製図までの流れを説明し,着想図であるフリーハンド図の書き方を理解

する.また,次週の CAD 課題であるボルト,ネジの書き方,ネジの名称に関して基礎知識

を講義する.立体図のフリーハンド製図を行い,課題を提出する.

○ボルトの製図(コンピューター演習)

基本的な機械要素であるボルト,ネジの CAD 製図を行い,課題を提出する.

○フリーハンド図 II 及び許容公差、はめあい(講義)

機械組立要素で重要となるはめあい公差およびその標記記号に関して講義する.さらに,

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平面図への投影法を説明し,平面図のフリーハンド製図を課題として提出する.

○クランクシャフトの設計(1)(コンピューター演習)

クランクシャフトの最適設計を行う.CAD の特徴である演算機能を活用し,慣性モーメ

ント最小化と軽量化を目指したクランクシャフトの設計課題を説明し,CAD による形状設

計に取り組む.

○クランクシャフトの設計(2) (3) (4)(コンピューター演習)

クランクシャフトの設計課題に引き続き取り組み,課題を完成させる.

○軸継手の設計(1) (講義)

回転軸継手の強度計算を行い,与えられたスペックを満足する寸法を設計する.個人毎

に与えられる異なる要求スペックを基に,ボルト強度,フランジ強度,キー強度,シャフ

ト強度を計算し,最終的には CAD で図面を仕上げる.最終的には設計書とともに図面を提

出する.

○軸継手の設計(2) (3)

軸継手の設計課題,特に強度計算,設計書の作成に引き続き取り組む.

○軸継手の設計(4) (コンピューター演習)

軸継手の設計課題,特に CAD 製図に引き続き取り組み,課題を完成させる.

○機械工作実習(講義と見学)

設計形状を決定する上で,工作機械の種類と加工可能な形状を知っておくことは重要で

ある.ここでは旋盤,フライス盤,ボール盤,帯鋸盤といった代表的な工作機械の原理を

講義するとともに,実際の加工現場を見学することで,設計製図に反映すべき加工原理の

知識を身につける.

○課題講評(講義)

提出された課題(フリーハンド図2回,CAD イラスト画,ボルト CAD 製図,クランクシャ

フト CAD 製図,回転軸継手 CAD 製図及び設計書)の講評を行う.特にクランクシャフトで

はクラスの中で最適設計を行った学生の設計形状を発表する.

上記項目を2クラス制で進めるが,各クラスの予定と担当予定教員は次の通りであるが,詳細は

学期開始時に掲示する.

クラスA クラスB

第1週 ガイダンスとイントロダクション(宮田,石川,湯川)

第2週 コンピュータの基本操作

(湯川,阿部,吉田)

製図の基礎とフリーハンド図 I

(石川,田川)

第3週 製図の基礎とフリーハンド図 I 及びボルトの書き方

(宮田,田川)

コンピュータの基本操作

(湯川,阿部,吉田)

第4週 ボルトの製図

(阿部,吉田)

フリーハンド図 II 及びボルトの書き方

(宮田,田川)

第5週 フリーハンド図 II 及び許容公差・はめあい

(石川,田川)

ボルトの製図

(湯川,阿部,吉田)

第6週 クランクシャフトの設計(1)

(阿部,吉田)

軸継手の設計(1) 及び許容公差・はめあい

(宮田,田川)

第7週 軸継手の設計(1)(宮田) クランクシャフトの設計(1)(阿部,吉田)

第8週 クランクシャフトの設計(2)(阿部,吉田) 軸継手の設計(2)

第9週 軸継手の設計(2) クランクシャフトの設計(2)(阿部,吉田)

第 10 週 クランクシャフトの設計(3)(阿部,吉田) 機械工作実習(田川)

第 11 週 機械工作実習(田川) クランクシャフトの設計(3)(阿部,吉田)

第 12 週 軸継手の設計(3) (阿部,吉田) クランクシャフトの設計(4)(阿部,吉田)

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第 13 週 クランクシャフトの設計(4)(阿部,吉田) 軸継手の設計(3) (阿部,吉田)

第 14 週 軸継手の設計(4) (阿部,吉田) 軸継手の設計(4) (阿部,吉田)

第 15 週 課題講評(石川,阿部,吉田)

―――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

材料力学第1,第2

◆教科書:

精説機械製図(実教出版)

◆参考書:

なし

◆成績評価の方法:

課題の提出

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専門科目

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◆科目名: 材料成形学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2 単位

◆開講時期: 2 年 後 期

◆授業時限: 木 曜 2 限( 10:30 〜 12:00 )

◆担当者: 沓名くつな

宗春むねはる

(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 237 室,Tel:789-3365,[email protected]

URL: http://www.geocities.com/kustuna/kumain.html

滝田 光晴(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 333 室,Tel:789-3371,[email protected]

湯川 伸樹(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 253 室,Tel:789-3572,[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

大部分の工業材料は、製品となって始めてその役目を果たすことになる。この科目では、

各種材料から成形加工(溶接,鋳造,塑性加工,微細加工など)を利用して製品や部品をつ

くる際の成形加工法の概説を行い、受講生が材料系の学生として基本的な概念を理解するこ

とを目的としている。材料の特性も種々あり、その使用法あるいは加工法を誤れば、使用者

に重大な損害を与えるので、総合的な観点で材料加工法を考える。

専門教育を受ける前のイントロダクション的講義となるが、個々のプロセスについては3

年次に担当の各教員のより高い次元の講義を受ける場合の困難さを軽減するねらいもある。

◆授業計画:

○第1週( 滝田 ):ガイダンスおよび各種材料の成形法概論(材料加工法の意味)

授業の内容、進め方、成績評価についてまず解説する。

材料成形法、すなわち溶接・接合、鋳造および塑性加工など材料成形学の基本概念を

まず解説する。その人間社会との関わりについて理解を深める。

○第2週(沓名):溶接設計と生産

溶接法の分類を述べ、溶接により自動車、産業機械、化学プラント、発電プラント、

橋、橋梁、建築物などがどのように基本的な考え方で設計されるか、また、その生産

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において要求される品質をどのように確保するか、その基本について解説する。

○第3週(沓名):各種溶接法,レーザ加工法

アーク溶接法、炭酸ガスアーク溶接法、などの主要な溶接法について解説する。ま

た、近年、急速に発達してきた先端加工プロセスであるレーザ加工について、その原

理を理解する。

○第4週(沓名):レーザ熱加工概論

加工用レーザ熱源の種類、レーザ加工の特徴、各種レーザ加工法(溶接、切断・穴

明け、表面加工など)の特徴と応用例の紹介により新加工法に対する理解をふかめる。

○第5週(沓名):溶接の自動化と制御

コンピュータやマイクロマシーン、高精度医療機器のような精密機器の部品加工に

は近年レーザ微細加工やワイヤ放電加工などの新成形技術が適用される。これらの部

品の成形について、各種レーザ微細加工や放電加工を解説するとともに、その応用に

ついても紹介する。

○第6週(滝田):鋳造成形プロセス概論 鋳造成形プロセス、すなわち、金属を溶融させ、凝固過程で成形するプロセスにつ

いて、他の成形プロセスと比較しながら、その有用性について述べる。

○第7週(滝田):鋳造成形プロセス各論 砂型鋳造、ダイカスト及びその他のプロセスについてそれぞれの特徴、利点及び欠

点を比較しながら工業的に如何に使用されているかについて述べる。

○第8週(滝田):鋳造成形用材料概論 鋳造成形用材料に求められる特性、融点、凝固特性、凝固収縮などについて述べる。

○第9週(滝田):鋳造成形用材料各論 鋳造成形用材料について、鋳鉄、アルミニウム、その他の合金について、化学的成

分、凝固特性、機械的特性その他の機能について詳説する。

○第10週(湯川):塑性加工の概要 身の回りの塑性加工品を通して、ものづくりにおける塑性加工の位置づけを学ぶ。

また塑性加工の分類や特徴について学ぶ。

○第11週(湯川):圧延・押出し成形 素材となる板や棒を作る一次加工である、圧延や押出しの概要を学ぶ。

○第12週(湯川):板成形 板素材から製品形状に成形する、代表的二次加工の一つである板成形の概要を学ぶ。

○第13週(湯川):鍛造 塊状の素材を成形する、もう一つの代表的二次加工である鍛造の概要を学ぶ。

○第14週(湯川):塑性加工と力学 塑性加工を考える上での力学の重要性について学ぶ。またそのような力学を応用し

た 新の CAE 技術について紹介する。

○第15週 :定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する

配布プリントや参考資料、教科書の持ち込みは許可しない。

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◆バックグラウンドとなる科目:

材料物理学,材料物理化学,電磁気学,材料力学

◆ 教科書:

「溶接・接合加工の基礎」溶接学会編、丸善、

および適宜プリント資料による

◆参考書:

「レーザーの科学」,NHK Books 675, 沓名 宗春著(NHK 出版協会)

「鋳鉄の基礎」,((社)日本鋳造工学会東海支部編)

「アルミニウム鋳造の基礎」(同上編)

「塑性加工」,鈴木弘著(裳華房)

◆ 成績評価の方法:

試験および講義レポートで評価する.

全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料工学実験第1

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 実験

◆単位数: 2単位

◆開構時期: 3年 前期

◆授業時限: 水曜日 3-5時限( 13:00- 17:15)

◆担当者: 岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 631 室,Tel:789-4649,[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料工学の各分野における基礎的および応用的な実験を行い、諸材料の構造・性質の基本、

材料の設計・利用・評価.プロセシングにおける基礎理論の理解を深める。 また、実験に関

わる安全管理、各種装置の原理および使用方法を習得するとともに、限られたグループ・時

間の中で計画的な実験の遂行、データの整理・解析、成果の論理的な記述、必要に応じた情

報収集・情報整理を行う。

◆授業計画:(材料系教室各教員)

各テーマは次に示すとおりである。グループごとに14テーマについて、ローテーションに

より全て実習する。

1.溶融スラグのCO2溶解度:環境調和材料工学講座教員(マテリアル理工学専攻)

ソーダ系スラグのCO2溶解度の測定を行い.酸化物の酸・塩基の定義ならびにスラグの

製錬能力の指標である塩基度、キャパシティーの概念を学習する。Na2O-NaClおよび

Na2O-Sb2O5系への1200KにおけるのCOの溶解度を滋定する。Na2CO3-NaClあるいは

Na2C03-Sb2O5混合物を1200KにおいてCO2ガスと平衡させ、急冷して得られる試料中のCO2濃

度を定量する。CO2濃度は試料に強酸性物質を加え酸素気流中で加熱溶融することにより

吸収されていたCO2を気体として分離し、これを電量滴定法により定量する。

2.平衡電位と過電圧測定:生体機能材料工学講座教員(マテリアル理工学専攻)

工業電解、ニ次電池の充放電、腐食、電気めっきなどの電気化学プロセスを理解する

ためには、電位という基本的概念を理解する必要がある。この電位はpHと関係付けるこ

とにより、その電位-pHにおける化学種の安定種を特定することができる。ここでは亜鉛

を例にとり、見かけ上反応が生じていない平衡状態における電位-pHの関係を得る。ま

た、外部電源によりカソード反応が生じる非平衡状態を作り出し、そのときの電位(過電

圧)‐電流密度の関係を測定し、析出電位、水素過電圧について理解する。

3.炭素鋼の変態挙動:環境調和材料工学講座教員(マテリアル理工学専攻)

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通常の実用炭素鋼の炭素濃度範囲ではFe-C系の状態図が示すように、723℃を境として

相状態が異なり、加熱あるいは冷却によりその温度を通過する時、結晶構造の相状態が

変わり、変態(固相間での変態を固相変態という)する。加熱あるいは冷却が急速である

と非平衡的な変態が起きる。その変態温度は状態図で示される変態温度とはー致しない。

本実験では3 種の炭素鋼を用い、ゆっくりとした加熱あるいは冷却により炭素鋼の変態

を熱膨張測定装置および示差熱分析装置を用いて調べる。

4.シャルピ衝撃試験と各破面の電子顕微鏡観察:極限構造材料工学講座教員

(マテリアル理工学専攻)

材料の破壊形式は、 負荷形式や温度などの環境が変化すると変化し、まったく異なる

破壊挙動を示すことがある。本実験では鋼材の脆性破壊に対する抵抗力、ねばさ(靭性)

を評価するもっとも代表的な試験であるシャルピ衝撃試験を種々の温度で行い、延性・

脆性遷移現象に伴う吸収エネルギー、破面形態の変化を調べる。さらに、静的破壊特性

である引張試験による破面と、今回の衝撃試験によって得られた破面を走査型電子顕微

鏡により観察し、その特徴を理解するとともに、破壊の機構について考察する。

5.半導体の光学的特性とエネルギー構造の測定: 情報電子材料工学講座教員

(結晶材料工学専攻)

半導体はエネルギーの帯構造により特微付けられ、不純物、キャリア密度などにより

帯構造が変化する。半導体の帯構造の特徴であるエネルギーギャップを光の透過性(光の

吸収特性)の実験により明らかにし、あわせて、光の吸収の仕方には直接遷移型と間接遷

移型の2通りがあることを認識する。さらに、光の吸収の逆過程である発光の測定を行い、

エネルギーギャップに相当する光が放出されていることを確かめる。不純物の挙動につ

いても考察する。

6.単結晶の方位解析:材料評価工学講座教員(量子工学専攻)

結晶は周期的な原子配列をもつ固体物質であるため、本質的特徴として、物理的性質

および化学的性質に異方性を有する。このような材料の物性を正確に評価するには決ま

った面方位を有する目的材料の単結晶を得ることが必要となる。Fe の単結晶を用いて白

色X線を用いた背面反射Laue 法による結晶方位決定を行う。これを通して、結晶学の基

礎的知識の確認、単結晶の取り扱いおよび、X線の取り扱いに関する基礎的知識を学ぶ。

7.強磁性体の磁化温度曲線の測定:情報電子材料工学講座教員(結晶材料工学専攻)

磁性材料は、硬磁性、軟磁性、半硬磁性のどれかの特性を有し、その特徴を生かして

様々な分野で利用されている。ここでは、試料振動型磁力計によってNi-Cu合金の磁化温

度曲線を測定し、ハイゼンベルグ模型に基づいてM2vsT プロットにより試料のキュリー

温度を求める。磁化温度曲線、キュリー温度など磁性に関する基礎知識を習得する。

8.直流の電磁場下における液体中微粒子の運動:材料プロセス創成工学講座教員

(マテリアル理工学専攻)

複合材料の製造においては複合材の分散性、素材製造プロセスにおいては金属介在物

の除去あるいは偏在・濃縮性が重要となる。ここではポリスチレンを懸濁させた水モデ

ル実験を行い、模様粒子の分散性・濃縮性、移動速度に及ぼす印加電磁気力および粒子

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サイズの効果を調べる。

9.溶融金属-気泡間の反応速度:材料プロセス創成工学講座教員

(マテリアル理工学専攻)

溶融金属中にガスを吹込む反応操作は金属精錬において、しばしば用いられている。

このような気泡-メタル油反応の取り扱いに習熟するため、ここでは単一ノズルよりの

溶融銀への酸素吹込み実験を取り上げる。溶融銀-酸素間反応は、

1)酸化物を生成しないこと、2)反応速度が速く、物質移動律速であることなどにより、

高温における物質移動現象を解明する上で好適である。本実験では、溶銀中の酸素濃度

の時間変化から酸素吸収速度、酸素吸収効率を求め、理論的解析結果と比較検討するこ

とにより溶融金属-気泡間の物質移動現象を理解する。

10.材料の凝固と組織:材料プロセス創成工学講座教員(マテリアル理工学専攻)

材料成形法のーつとしての凝固プロセス成形法は.液体金属を型内に注入し凝固させ

ることでNear Net Shape成形ができる。この凝固プロセス成形法では急激な相変態を伴

うため、体積収縮などによる欠陥が生じる。本実験では材料の凝固時の伝熱現象、組織

形成など、基本的プロセスについて、実験とシミュレーションを通して、欠陥の生じな

い凝固プロセスを会得する。また、鋳型注湯、組織観察、画像解析などを実際に行い、

凝固プロセスへの理解を深める。

11.リング圧縮式摩擦試験:極限構造材料工学講座教員(マテリアル理工学専攻)

塑性加工では工具・素材間の摩擦接触は不可避であり、そこで生じるトライボ現象は、

加工の成否に直結することが多い。そこで、円柱材の-軸応力状態における変形抵抗を

求め金属材料の基本的特徴の応力-歪の関係を理解する。さらに、潤滑状態を変化させ

たリング圧縮式摩擦試験を行い摩擦係数を求めるとともに、剛性有限要素解析を併用し

て理論解折を行い、塑性加工における摩擦現象について理解する。

12.溶接部の品質保証:極限構造材料工学講座教員(マテリアル理工学専攻)

溶接部は溶融-凝固過程が短時間に生じ、それに伴い独特の欠陥が生じることがある。

欠陥が皆無であることが重要であるが、溶接部は溶接後の非破漆検査によりこれらの欠

陥を調査し、必要に応じて補修を行う。非破壊検査には内部欠陥を検査するものと表面

欠陥を検査するものの2通りあるが、ここでは、超音波深傷試験により溶接部の内部欠陥

について検査する。

13.繊維強化樹脂複合材料の作製と特性評価: 環境調和材料工学講座教員

(マテリアル理工学専攻)

複合材料は、2種類以上の異なった材料を組み合わせて、それぞれの単体では得ること

が難しい特性を有する。ここではー方向連続繊維強化複合樹脂接合材料を作製し、複合

強度に及ぼす繊維体積配合率、繊維直径の影響について調査する。また、繊維複合化に

よる弾性率・強度の強化機機について理解するとともに、複合則より得られる強度と実

測値を比較・検討し、材料接合化の意義と、複合化における注意点について考察する。

14.真空蒸着による薄膜の作製と評価: 生体機能材料工学講座教員

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(マテリアル理工学専攻)

真空蒸着法は薄膜作製法のーつであり、薄膜を作ろうとする物質を真空中で加熱蒸発

させ、その蒸気を適当な基板上へ付着させることにより成膜される。これは、成膜物質、

基板、皮膜特性において、水溶液を用いる電解めっきとは異なる特徴を有している。真

空蒸着法によりガラス基板上に金属薄膜を作製することを通して、蒸着による薄膜形成

機構について学ぶとともに、真空装置の取り扱いにおけるー般的な注意事項を会得する。

○第1週(教務幹事、安全委員、3年担任):実験ガイダンス

実験グループ、実験場所、及びレポート提出場所の説明、実験安全教育を行う。

○第2-15週(各教員)

14グループがローテーションにより各実験テーマを順次行う。

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◆バックグラウンドとなる科目:

専門基礎科目

◆教科書:

・材料工学実験テキスト(名古屋大学工学部物理工学科材料工学コース縞)

◆参考書:

材料工学実験テキスト中の各実験テーマごとに多数の参考書を参照。

◆成績評価の方法:

原則として全ての実験に出席し、各自が所定の期間内にレポートを提出した者について成

績を評価する。やむを得ない理由により欠席したものは、所定の手続きを行った後に1回のみ

補講を行う。

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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Page 69: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

◆科目名: 材料工学実験第2

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 実験

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限: 木曜日 3-5時限( 13:00 -17:15)

◆担当者: 岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 631 室,Tel:789-4649,[email protected]

◆問合せへの対応:随時。ただし、事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

以下の項目'こついて学習し、研究者としての素養を身につける。

・分析力,総合力,問題設定力,グループでの協調力を養う。

・基礎科学の応用能力を養う。

・製品,プロセスの設計能力,創造性の発揮。

・専門職的センスの素養,倫理的費任感の養成。

・現代の課題への認識と生涯学習を行うニーズの理解。

・問題解決のスキル,技術, 新のツールを使う能力。

・analysis から synthesis への発想の転換。

・plan-do, see-check-act の手順による解決へのプロセス。

・成果,実施内容の報告書作成,プレゼンテーションへの訓練。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンス(各テーマの説明を行う)

希望調査

以下に示すようなテーマから希望テーマを選択し、希望テーマを調整、決定する。

テーマ(例:平成17年度)

結晶作りに挑戦

水素を固体の中に貯えよう

身近な構造材料 スパゲッティーでモノヅクリ

ナノサイズ量子ドットを作る

ミクロの世界を探検する -走査電子顕微鏡内での加熱実験

自由な発想で多機能磁気センサーを作ってみよう

リサイクルは難しい!?

磁石で物質の運動をコントロールする

バスタブの科学で知る反応器設計

能面 作って学ぶ “ものつくり”の科学

CAE技術を用いたものづくりに挑戦!

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溶接構造体は大丈夫ですか?

材料の複合による新機能発現に挑戦

生物の「かたち」に学ぶ

科学と非科学

○第2週:メンバー確認,リーダー決定,スケジュール確認

教員によるオリエンテーソョン,アドバイスなど

○第3週:方針決定,役割分担,

資料,文献調査

機器,装置の理解,調査方法の理解

○第4-12週:実験,調査,考察,再調査

○第13週:まとめ,発表準備

○第14週:オーラルセッション,ポスターセッション

○第15週:報告書の作成

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◆バックグラウンドとなる科目:

これまで履修した科目全般

◆教科書:

特になし。

◆参考書:

テーマ毎のプリントおよび担当教員により適宜アナウンスする。

◆成績評価の方法:

テーマごとの評価、オーラルセッション、ポスターセッションの総合評価により行う。

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 金属材料学第1

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年前期

◆授業時限: 水曜1限(8:45〜10:15)

◆担当者: 田川哲哉(工学研究科マテリアル理工学専攻)

5号館 241 室,Tel:789-3577,[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

機械,建築などの構造材料として も多く使用されている鉄鋼材料に関して,各種状態図と

組織形態の関係,それを応用した各種熱処理の冶金的概要と得られる性質を学び,鋼材に要求

される特性を制御する手法を知る。金属学の基礎から現在の製鐵法,代表的な鋼材の性質と背

景にある冶金的手法といった実用的知識までの修得を目指す。

◆授業計画:

○第1および2週:金属材料学総論

授業の内容,進め方,教科書と参考書,成績評価の方法などを説明する.さらに,金属

材料学の基本概念,金属の結晶構造と塑性変形,加工硬化と再結晶など金属材料共通の基

本概念を紹介する.

○第3週:鉄鋼材料の位置づけ

金属材料の中の鉄鋼材料の位置づけに関して概説し,構造材料としての鉄鋼材料の重要

性に関して理解を深める.

○第4および5週:平衡状態図と合金

純鉄の組織と相変態,炭素鋼の状態図と含有炭素量による組織と性質の変化を解説し,

代表的な金属元素の合金化による状態図の変化を学ぶ。

○ 第6週:鋼の変態組織

鉄鋼材料の平衡変態組織,非平衡変態組織などの形成機構と顕微鏡組織形態の特徴,各

種変態組織の機械的性質に関して説明し,理解を深める。

○第7週:鋼の熱処理

炭素鋼の焼なまし,焼ならし,焼入れ,焼もどしなど,各種熱処理の冶金的概要,目的

と得られる性質を説明し,熱処理プロセスについて理解を深める。

○第8週および9週:製鐵プロセスの概要

現在の量産型製鐵プロセスの全工程を概説するとともに,各工程の冶金的理論背景や品

種の作り分けに関して理解を深める。

○ 第10週:鋼の機械的性質

炭素鋼の機械的性質の特徴と,炭素含有量や熱処理によりどのように機械的性質が変化

するかを解説し,鋼の強度特性,破壊形態に関して理解を深める。

○第11週および12週:合金鋼

合金鋼のTTT図,CCT図,溶接構造用鋼,鋼の焼入れ性などを解説し,各種元素を

合金化した場合の鋼の性質の変化に関して理解を深める。

○第13週および14週:代表的な鋼材例とその特徴

軟鋼,鋼張力鋼,工具鋼などの高強度鋼,ステンレス鋼,耐候性鋼,低温用鋼など,各

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種用途目的に応じた鋼材の特徴と冶金的背景を解説する。

○第 15 週:

筆記試験により,講義内容の理解を確認する.教科書・参考書,ノートの持ち込みは不

可.

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◆バックグラウンドとなる科目:

力学,化学,材料物理学,材料成形学

◆教科書:

鉄鋼材料 −講座・現代の金属学 材料編4−(日本金属学会)

◆参考書:

鉄鋼材料学(実教出版)

◆成績評価の方法:

期末筆記試験(70%)と小テスト(20%),出席率(10%)で評価し,総計として55%

以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆ 科目名:プロセス数学・数値解析 ◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年前期

◆授業時限: 火曜1限(8:45 ~ 10:15)

◆担当者:野村宏之(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 337 室,Tel:789-3370, [email protected]

岩井一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

6号館 631 室,Tel:789-4649, [email protected]

◆問合せへの対応:

野村:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる

岩井:E-mail で随時

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

プロセス数学

工学で良く現れるラプラス方程式、ポアソン方程式、拡散方程式、波動方程式の物理的意

味を理解し、それらの方程式で表される物理現象の解釈の一助とする。また、周期的現象の

代表的解法である複素近似法、非定常現象の解を表すデュアメルの定理についても触れる。

数値解析

工学や材料のプロセスでよく目にする数学的表現の近似解を計算機により求める方法を

種々紹介する。さらに実際に演習を通して、それらの有効性と誤差、適用限界について理解を

深めていく。

◆授業計画:

○ 第1、2、3週:微分方程式の物理的解釈(第7週まで岩井担当)

ラプラシアンの物理的意味

ラプラス方程式、ポアソン方程式、拡散方程式、波動方程式の物理的解釈

○ 第4,5週:複素近似法

複素近似法と微分方程式への応用

○ 第6,7週:デュアメルの定理

デュアメルの定理の物理的解釈

○ 第 8 週:(この週以降、野村担当)

数値解析序論、解析解と数値解の意義と役割、材料プロセスとの関わりをわかりやすく説明し

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ます。 ○ 第 9 週:代数方程式の数値解

高次方程式の解を中間値の定理やニュートン法の利用により解く方法を学びます。 ○ 第 10 週:高次連立方程式の数値解

ガウスの消去法を中心として、行列を利用して解く方法を学びます。 ○ 第 11 週:データの補間法

得られているデータを 適に、また高精度に近似する補間式を理解します。 ○ 第 12 週:数値積分法

台形公式、シンプソンの公式などから、より近似度の良い積分法まで学習します。 ○ 第 13 週:常微分方程式の数値解

ルンゲクッタ法による解き方を中心に講義と演習に基づいて理解します。 ○ 第 14 週:偏微分方程式の数値解

弦の往復運動を例にとって、式の差分化を理解し、ついで差分式から数値解を求める方法を学

びます。 ○ 第 15 周:演習 今までの復習を行います。 ○ 第16週:定期試験

テキスト、参考書などは持ち込み不可とする。 ――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

数学1及び演習、数学2及び演習

◆教科書:

プリントを配布、他には指定しない(数値解析)

◆参考書:

堀之内、酒井著「数値計算法入門」(森北出版、1993 年)

◆成績評価の方法:

成績評価は、プロセス数学 50%、数値解析 50%で行う。

全体で 55 ポイント以上取得した者を合格とする。

プロセス数学は試験 90%、授業と演習を合わせて 10%。

予告なしに試験、演習を行うことがある。

また、数値解析は授業と演習の両方で評価する。

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◆科目名: 格子欠陥論

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講菱

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限: 水曜日 1時限(8:45 -10:15)

◆担当者: 佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)

5号館 342号室,Tel:789-3350 ,[email protected]

[email protected]

黒田光太郎(工学研究科量子工学専攻)

5号館 343号室,Tel:789-3349 ,[email protected]

◆問合せへの対応:随時

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

結晶材料中には格子欠陥が存在する。材料の性質のうち、ある種のものはこういった欠陥の存

在に大きく依存する。このような性質を構造敏感な性質という。金属材料の塑性変形能はその典

型である。また、半導体においては格子欠陥の存在が致命傷となり得る。本講義では格子欠陥、

特に転位の基本的な性質について講義する。

◆授業計画:

○第1週(佐々木,黒田):結晶中の欠陥

点欠陥、線欠陥、面欠陥の定義とそのー般的な性質。

○第2週(佐々木,黒田):結晶の塑性変形と強度、転位の定義

応力-歪曲線、降伏応力の定義、結晶の理想強度、転位のー般的な定義、刃状転位お

よびらせん転位の定義

○第3週(佐々木,黒田):バーガースベクトル

転位の特性の内、 も重要なバーーカースペクトルの定義について講義する。バー

ガース回路、キルヒホッフの法則

○第4週(佐々木,黒田):点欠陥の集合体によって形成される転位ループ

点欠陥には空孔と格子間原子の2種類が存在するが、それらが集合合体することによ

って発生する転位ループの本性について講義する。

○第5週(佐々木,黒田):弾性論の要点(1)

転位の弾性的性質を学ぶ上で必要な弾性論の要点を講義する。変位、応力、歪の定

義、フックの法則、歪エネルギー密度関数

○第6週(佐々木,黒田):弾性論の要点(2)

行列による表示、座標変換、応力、歪、弾性定数の変換、力、弾性定数

○第7週(佐々木,黒田):転位の弾性論

直線らせん転位の応力場、らせん転位のエネルギー,らせん転位に働く力,鏡像力,

直線刃状転位の応力場, 刃状転位のエネルギー,刃状転位に働く力,一般の直線転位

のエネルギー

○第8週(佐々木,黒田):転位間に働く力(1)

ピーチ・ケーラーの式の適用、互いに平行な転位間に働く力

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○第9週(佐々木,黒田):転位間に働く力(2)

互いに垂直な転位間に働く力

○第10週(佐々木,黒田):FCC結晶中の不完全転位(i)

トンプソンの四面体.積層欠陥、拡張転位のパーカースペクトル

○第11週(佐々木,黒田):FCC結晶中の不完全転位(2)

フランクの部分転位とイントリンシックあるいはエクストリンシックな積層欠陥、

規則合金・金属間化合物中の超転位

○第12週(佐々木,黒田):FCC結晶中の不完全転位(3)

FCC結晶中の不完全転位の拡張幅、規則合金・金属間化合物中の超転位の拡張幅

○第13週(佐々木,黒田):溶質原子と転位の弾性的相互作用(1)

球対称ひずみ(コットレル効果)、化学的相互作用(鈴木効果)

○第14週(佐々木,黒田):溶質原子と転位の弾性的相互作用(2)

異方性ひずみとの相互作用

○第15週:定期試験

教科書、プリント、返却レポート、参考書、過去間題、過去問題の解答例などの持

ち込み可。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

結晶物理学,材料物理学

◆教科書:

結晶電子顕微鏡学:坂公恭(内田老鶴圃)

◆参考書:

◆成績評価の方法:

定期試験の結果を 優先する。

但し毎回のレポート課題の評価は 大20%まで考慮する。全体で55%以上のポイントを得た学生に

単位を認定する。

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◆科目名: 表面物理化学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限: 金曜 1限( 8:45 〜 10:15 )

◆担当者:興戸正純 (工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 535 室,Tel:789-3353,[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

市野良一 (工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 539 室,Tel:789-3352,[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打合せる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

素材プロセスに限らず、全ての物質は同相あるいは異相と接触して存在し、相の接触面で

ある表面あるいは界面を介して反応が進行する。表面エネルギー、界面現象、表面構造など

の特性を理解することは、反応プロセスの制御を可能とし、金属材料の化学的安定性を導く

ものとなる。ここでは表面・界面における特性を理解するとともに、化学的安定性、とくに

金属腐食に対する安定性と腐食の防止策についての知見を習得する。

◆授業計画:

表界面特性

物質内部は同種の元素あるいは同相に囲まれバランスを保っているが、表面・界面においては片

側は同種の元素であるがもう一方を異種元素あるいは異相と接しているため、物質内部とは異な

った特性をもっている。そこで、異相間あるいは同相間における反応場としての表面および界面

の構造、反応場の指標となる熱力学的平衡および表面エネルギーなど、表界および界面だからこ

そ持ちえる特徴について説明する。

○第1週、第2週、第3週、第4週:(興戸)

1.表面と界面の違い

2.液体および固体の表面エネルギー

3.表面過剰と吸着等温

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4.金属表面と界面現象

5.金属の表面構造

6.金属加工と表面特性

7.昇華熱と表面エネルギー

8.金属の溶解性

9.界面電気現象

金属の安定性と環境

硫化物や酸化物などの鉱石という形で天然界に存在する金属元素は、製錬プロセスによりエネル

ギーを投入されて還元され、金属単体あるいは金属間化合物、合金などとして使用される。すな

わち、金属あるいは合金などはエネルギー的に高い状態で使用されるため、使用環境下において

も安定な状態へ変化することとなる。この変化がいわゆる、酸化あるいは腐食といわれるもの

である。腐食には様々な種類と機構、因子があり、それらについて説明する。

○第5週、第6週、第7週、第8週、第9週、第 10 週:(興戸、市野)

10.乾食と湿食

11.電位とpHおよび腐食機構

12.腐食の形態

13.腐食に及ぼす環境因子

14.腐食に及ぼす材料因子

電気化学計測と腐食速度の測定

腐食の評価には観察が一番早いが、腐食速度を見積もることは出来ない。腐食速度の測定には、

秤量法をはじめとして、物理的方法、化学的方法、電気的方法などがあるが、ここでは電気化学

的手法による腐食速度の評価方法について説明する。

○第 11 週、第 12 週:(市野)

15.直流法

16.交流法

不動態と耐食性材料

電位-pH図からわかるように、酸化物あるいは水酸化物のような非伝導性・不溶性の化合物が

金属表面に形成されると金属の溶解が著しく遅くなる。ステンレスがさび難い鋼である理由は表

面に形成される不動態と呼ばれる酸化皮膜によるものである。この不動態皮膜の特徴や皮膜を形

成しやすい材料について説明する。

○第 13 週:(市野)

17.不働態皮膜の特徴

18.不動態皮膜を形成し易い合金元素と耐食性材料

表面処理による耐食性付与および表面機能化

材料を保護し安定に維持するためには、外部との反応場である表面と外部環境を遮断すればよい。

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その方法として表面処理により特徴ある皮膜の表面に形成することが挙げられる。耐食性だけで

はなく機械的、物理的、化学的、工学的、磁気的など機能性皮膜を材料表面に形成する方法につ

いて説明する。

○第 14 週、第 15 週:(市野)

19.湿式法による表面処理

20.乾式法による表面処理

○第 16 週:試験

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

物理化学,結晶物理学,化学基礎I・II

◆教科書:

使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)

◆参考書:

1.金属化学入門シリーズ4 材料電子化学 編集・発行 日本金属学会 丸善 2.理工系学生・エンジニアのための 改訂 電気化学 ―問題とそのとき方― 増子昇、高橋

雅雄著、アグネ社

3.物理化学(上,下) アトキンス著, 千葉・中村訳 東京化学同人

4.金属表面工学、大谷南海男著、日刊工業新聞社

5.腐食化学と防食技術、伊藤五郎、コロナ社

◆成績評価の方法:

期末試験

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料物性学 ◆科目区分: 専門科目 ◆必修/選択: 選択必修 ◆授業形態: 講義 ◆単位数: 2単位 ◆開講時期: 3年生前期 ◆授業時間: 月曜日 第4時限 ◆担当者: 松井正顯(工学研究科 結晶工学専攻) 工学部5号館 349 号室 Tel:789-3567,[email protected] 浅野秀文(工学研究科 結晶工学専攻) 工学部5号館 351 号室 Tel:789-3568,[email protected] ◆問い合わせへの対応:電話か e-mail で ◆授業のねらいと内容

物質の物理的性質(物性)には電気伝導、磁性、比熱、熱膨張、誘電率、弾性率などがある

が、それらはいずれも電界、磁界、圧力、温度などを変化させたときに物質が示す応答であり、

応答の強い物質が機能材料として応用される。例えば、半導体メモリー、各種半導体素子、太陽

電池、熱電材料、発光素子、レーザー素子、磁石、磁気ハードディスク、光ファイバー、液晶な

どがある。その材料の特徴を原子や電子のレベルで本質的に理解することによって、これらの機

能材料を的確に使用、製造、開発、研究することが出来る。物性を理解するということは、原子

や電子が物質の中をどのように運動し、外乱によってその運動がどのように変化するかを理解す

ることを意味している。ここでは、物質中の自由電子の挙動やフォノンのエネルギー状態に関す

る物性理論を学び、それぞれの粒子の統計分布関数から物性を計算する。各論では、具体的な機

能材料について触れ、それぞれの材料において材料物性学がどのように関わっているかを学ぶ。

◆授業計画 ○第1週:序論、自由電子モデル(1) 材料物性学の位置づけとその重要性を講義する。次に、一次元の自由電子モデルに基

づいた理論を講義する。 ○第2週:自由電子モデル(2) 3次元自由電子モデルに基づいた理論を示し、金属の電気抵抗や熱伝導との関連を、

例題を通じて学ぶ。また、自由電子モデルの限界について講義する。 ○第3週:ほとんど自由な電子のモデル(1) 周期的ポテンシャルの存在を考慮したほとんど自由な電子のモデルの理論を講義す

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る。特に、ブリルアンゾーンの存在、自由電子モデルで導出できないホール(正孔)

の存在などが明らかになる。 ○第4週:ほとんど自由な電子のモデル(2) ブリルアンゾーンの特徴、その描き方、フェルミ面とブリルアンゾーンの関係、電子

の状態密度の計算法などを講義する。 ○第5週:強く束縛された電子の近似法 ブロッホの定理を使って周期的波動関数を導出し、ポテンシャルエネルギーを入れた

簡単なバンド計算法を講義する。また、実際の物質のバンド計算結果を例示し、物性

との関わりを講義する。 ○第6週:格子振動 原子の連成振動から得られるフォノンの概念を学ぶ。具体的な振動モデルによってフ

ォノンの分散関係と状態密度に関する理論を講義する。 ○第7週:格子比熱 フォノンの統計熱力学によって格子比熱を計算する。アインシュタインモデルとデバ

イモデルの理論を講義し、物質の比熱測定と比較して理論が正しいことを学ぶ。 ○第8週:熱膨張と電気抵抗 格子振動によって熱膨張が起こることを具体的に示し、簡単な熱膨張率の計算を行い、

熱膨張の原因を考察する。また、のボーズ統計から得られるフォノンの電気抵抗の温

度変化への寄与を理論的に示す。 ○第9週:半導体の電気伝導(1) 半導体材料の種類を示す。真性半導体の電気抵抗の温度変化に関するバンド理論を講

義し、金属や絶縁体との比較を行う。 ○第10週:半導体の電気伝導(2) 不純物半導体の電気抵抗とその温度変化に関する理論を講義する。また、P/N 接合

とその整流作用について説明する。 ○第11週:超伝導体(1) 超伝導材料の種類を示す。超伝導現象の基本的実験事実を説明し、永久電流やマイ

スナー効果の起源を講義する。 ○第12週:超伝導体(2) 超伝導体の熱力学、ロンドンの侵入距離やコヒーレント長などといった超伝導の特

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性長に関する理論を講義し、優れた超伝導材料とは何かを講義する。 ○第13週:磁性体(1) 物質の磁性の起源に関する簡単な理論を示す。また、磁性体の種類を説明し、磁性

材料の磁気特性に及ぼす因子を説明する。 ○第14週:磁性体(2) 磁性材料の特徴を理解するための指標(磁気的性質)を講義し、磁性材料全体の概

略とそれぞれの特徴を説明する。また代表的な磁性材料を説明する。 ○第15週:磁性薄膜材料

磁性薄膜材料と磁気センサーについて説明する。 ○第16週:定期試験

筆記試験により講義内容の理解度を試験する。配布テキスト、参考書、ノートなど

の持ち込みは不可。 ◆バックグラウンドとなる科目 結晶物理学、量子力学A、統計力学A、数学及び数学演習 ◆教科書 配布テキストを使用する。 ◆参考書 固体物理学入門(上、下):キッテル(丸善) 固体物理学:川村 肇(共立全書)など ◆成績評価の方法 ○講義で行うレポート(10%)

○定期試験の成績(90%) とし、これらの合計で 55%以上修得した者を合格とする。

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◆科目名: 半導体材料学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2 単位

◆開講時期: 3 年 前期

◆授業時限: 水曜 2 限(10:30〜12:00)

◆担当者: 田渕雅夫(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、工学部 物理工学科)

ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 401 号室、TEL:789-5430

[email protected]

◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで問い合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

半導体は、電気伝導度の点からみて金属と絶縁体の中間の値を示す。これが半導体という

言葉の由来であるが、現実には、半導体の電気伝導度は数桁以上の範囲で人為的に制御する

ことができる。このような半導体の電気伝導特性を、固体中の電子の振る舞いという観点に

まで立ち返って理解する。この理解を元に、半導体材料を中心にして作製される様々な半導

体デバイスの動作と原理を学ぶ。

◆授業計画:

○第1週:金属と半導体と絶縁体

講義の狙いと流れについて説明した後、半導体デバイスを構成する金属、半導体、絶縁

体の基本的な性質について学習する。

○第2週:金属中の電子の分布

熱平衡状態における金属中の電子のエネルギー分布を取り上げ、フェルミディラックの

分布関数と状態密度により記述されることを理解し、フェルミ準位の概念を学習する。

○第3週:半導体中の電子分布(1)

半導体での、熱平衡状態での電子のエネルギー分布を取り上げ、それがキャリアの生成

と消滅の釣り合いの上に成り立っていることを学ぶ。運動量空間でのエネルギー帯構造や

電子の有効質量等の重要な概念を理解する。

○第4週:半導体中の電子分布(2)

真性半導体における電子・正孔密度のエネルギー分布を導出する。また、不純物添加によ

って半導体中の電子分布が大きく変化することを理解する。p型半導体、n 型半導体、とい

う概念を学習する。

○第5週:半導体中の電子分布(3)

半導体中での電子のエネルギー状態の変化(状態遷移)の概念を理解し、その過程がエネ

ルギー帯構造の影響を強く受けることを学習する。

○第6週:電界印可による電子の運動

固体に電界を印可したときの、固体中の電子の運動を学習する。有効質量の概念をより

深く理解する。また、金属と半導体の電気伝導が温度によってどのように変化するか、そ

の違いと理由を理解する。

○第7週:固体への磁界や熱の印可

固体に磁界を加えたときの固体中の電子の振る舞い(サイクロトロン運動やホール効果)

を理解する。また、熱の印可による電圧・電流の発生、電流による発熱・吸熱等、応用上も

重様な効果について学ぶ。

○第8週:金属と半導体の組み合わせ

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金属と半導体を接続したばあい、電気伝導特性として整流性示す場合と示さない場合が

ある。この違いと理由、整流性を利用したデバイスについて学習する。

○第9週:p 型と n 型の半導体の組み合わせ(1)

p 型と n 型の半導体の接合が示す整流性について学び、その理由を理解する。

○第 10 週:p 型と n 型の半導体の組み合わせ(2)

p 型と n 型の半導体の接合により様々な半導体デバイスが作られることを学び、その原理

と、動作について理解する。

○第 11 週:種類の異なる半導体の組み合わせ

禁制帯幅の異なる半導体を組み合わせることで、固体中に電子・正孔が感じるポテンシャ

ルの変化を作り出せることを理解する。これを利用して、さらに高度なデバイスの作製が

可能であることを学習する。

○第 12 週:半導体と金属/絶縁体の組み合わせ

金属/絶縁体/半導体をこの順番で接合しすることによって形成されるデバイスの動作と

その原理について学習する。

○第 13 週:単体で作製されるデバイス

複数の性質の違う材料の組み合わせではなく、一種類の材料のみで形成されるデバイス

の動作とその原理について学習する。

○第 14 週:電子の輸送現象の基礎

固体に電界を印可したときの電子の運動を考える基礎となるボルツマンの輸送方程式、

ポアソンの方程式、拡散方程式について学ぶ。

○第 15 週:電子の輸送現象と電気伝導

電子の輸送により起こる電気伝導という現象を、ボルツマンの輸送方程式を中心に理解

する。

○第 16 週:定期試験

筆記試験により、講義内容の理解度を試験する。

持ち込みは基本的に筆記具のみとし、それ以外を認める場合は別途指示する。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

数学 1および演習、数学 2および演習、電磁気学 A、結晶物理学、量子力学 A、材料物性学

◆教科書:

応用物性: 佐藤編(オーム社)

◆参考書:

なし

◆成績評価の方法:

講義中に行う小試験やレポート(30%)

定期試験(70%)

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 分析化学第2

◆科目区分: 専門科目 ◆必修/選択: 選択必修 ◆授業形態: 講義 ◆単位数: 2単位 ◆開講時期: 3年前期 ◆授業時限: 火曜2限(10:30~12:00) ◆担当者:平出正孝(物質制御工学専攻) 5号館463室,Tel:789-3590,[email protected] 齋藤 徹(物質制御工学専攻) 5号館460室,Tel:789-3579,[email protected] URL: http:// ◆ 問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打合せる。 ―――――――――――――――――――――― ◆授業のねらいと内容: 近年の材料工学の著しい進展に伴って、材料の製造、品質管理や開発においては益々の微量分

析や精密分離が求められるようになっている。さらに、金属、セラミックス、有機材料、生体材

料など様々な素材が扱われるようになり、また、材料工学の先端技術が電子機器や医療材料など

広範な分野に応用されるようになってきた。一方、材料製造過程で様々な物質が生成されること

や、材料から放出される物質の環境や生態系への影響が問題視されるようになってきた。本講義

では、分析化学Iを踏まえ、感度や選択性などの機能において優れた種々の機器分析法について

その原理や応用について論じる。材料の構造・性質に関する理解のための微量成分や構造推定に

有用なスペクトル分析、電気化学的手法、に基づく分析法について紹介する。さらに、近年進展

が著しい生物的原理に基づく分析法やその応用についても触れる。材料工学および周辺分野にお

いて現在から将来にわたって直面すると考えられる計測の諸問題に対応できる素養を身につけ

る。 ◆授業計画: ○第1週:概論(齋藤) 授業の内容、進め方、成績評価について述べ、分析化学IIで取り扱う内容を説明する。分析化

学の科学技術における意義とともに、機器分析法や分析装置の基礎について述べる。 ○第2週:紫外・可視分光分析法(齋藤) 紫外~可視光の吸収を利用する分析法の原理、装置構成及び適用について説明する。物

質定量の原理と有機化合物や金属イオンの定量への応用について述べる。 ○第3週:蛍光分析法、化学発光と生物発光(齋藤) 光の吸収とそれに続く過程について述べ、蛍光分析法の原理と特徴を説明する。有機化

合物や金属イオンの定量への適用のほか、蛍光分子プローブを用いる微視的環境測定に も触れる。併せて、化学発光や生物発光を用いた分析法についても述べる。

○第4週:赤外分析法とラマン分析法(齋藤) 赤外吸収やラマン散乱を利用する分析法の原理、装置構成及び適用について説明する。

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分子内結合の振動と赤外吸収やラマン散乱との関係を述べ、分子構造の推定に至る道筋 を示す。

○第5週:核磁気共鳴分析法(齋藤) 化合物構造解析のための核磁気共鳴分析法の基本原理と適用について概説する。核磁気

共鳴スペクトルに影響を及ぼす諸因子について説明し、分子構造推定の原理を述べる。 ○第6週:有機質量分析法(齋藤) 有機化合物からタンパク質のような生体高分子にいたる広範な物質の計測及び構造解析

の質量分析法の原理と応用を述べる。質量分析とともに、各種イオン化の原理について も説明する。

○第7週:局所分析(齋藤) 材料の高性能化・高機能化に伴って、局所(顕微・表面)の分析が重要な課題となって

いる。ここでは、電子線や電磁波を用いる顕微分析や表面分析とその適用について紹介 する。

○第8週:生物学的分析法(齋藤)

物理学的計測法と並んで、生物学の原理に基づいた分析法が急速に発展してきている。 ここでは、生物学的分析法として、バイオアッセイ、酵素分析法、イムノアッセイ並び にバイオセンサーについて概説する。

○第9週~10週:発光分析、ICP-発光分析(平出)

原子スペクトル分析の歴史を概観したのち、また,典型的な多元素同時定量法である発 光分光分析法の原理とそれを用いる分析法について紹介する。また、新しい光源である 高周波誘導結合プラズマ (ICP) を用いる発光分光分析法につき、その原理、装置構成、 特徴並びに応用について解説する。

○第11週:ICP-質量分析(平出) ICP をイオン源とした ICP-質量分析法につき、その原理、装置構成、特徴並びに応用

について解説する。また、この超高感度機器のスペクトル妨害についても説明する。 ○第12週:原子吸光分析(平出) 今日 も普及している原子スペクトル分析法である原子吸光分析法につき、その原理、装置構

成(バックグラウンド補正を含む)、特徴並びに応用について解説する。 ○ 第13週:蛍光X分析(平出) 材料の組成や微量成分分析のための 先端X線分光法として、蛍光X線分析法の原理、 装置構成、応用について説明する。装置の方式と特徴についても述べる。

○第14週:電気化学分析(平出) 電気化学分析の基礎と計測への応用について述べる。特に、ネルンスト式及びファラデ ーの法則に基づく電位差分析法及び電量分析法について、その原理・特徴を解説する。 イルコビッチ式に基づくポーラログラフィーにつき、その原理・装置構成・特徴などを 説明する。

○第15週:同上及び熱分析(平出) 電気化学分析における高感度分析法であるストリッピング・ボルタンメトリーについて 解説する。また、各種熱分析の原理・装置構成・意義について述べる。

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○第16週:定期試験 講義の理解度を判定するために筆記試験を行う。 筆記用具のみの持込とする。 ―――――――――――――――――――――― ◆バックグラウンドとなる科目: 化学基礎I 及びII、化学基礎実験、無機化学、

分析化学第1、材料工学実験基礎 有機化学や生化学の内容については講義中に解説する。 ◆教科書: 基本分析化学 日本分析化学会編(朝倉書店) ◆参考書: 第2版 機器分析の手引き1~3 泉美治ら(化学同人) 分析化学概論:水池敦・河口広司(産業図書) ◆成績評価の方法: 講義の節目毎の小テストやレポート 30% 定期試験 70%

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◆科目名: 金属反応論

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 単位 2単位

◆開講時期: 3年前期

◆授業時限: 木曜2限( 10:30 - 12:00 )

◆担当者: 桑原 守(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野)

5号館 551 室,Tel:789-4642,[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P2/kuwabara/index-j.html

楊 健(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野)

5号館 547 室,Tel:789-3250,[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P2/yang/home.html

平澤政廣(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野)

5号館 543 室,Tel:789-5309,[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

高機能金属材料の開発と製造では、資源から製品に至るまでの工程の効率的、かつ、エネ

ルギーと環境の負荷をミニマムとする設計思想が求められる。本講では、極限環境(高温、

高圧または高真空)下での均一系および不均一系の金属反応論の基礎を講義する。ことに、

金属材料の主体である鉄鋼材料の高純度化プロセスについては、ガス-メタル間、スラグー

メタル間、および、固-液間の反応の反応機構と速度論、それを応用したプロセス設計の思

想について、事例を交えて詳述する。

◆授業計画:

○第1週:金属反応論概論

授業の内容、進め方、成績評価について説明する。次に、金属反応プロセスにおける、熱

力学的平衡論と反応速度論の関係を解説する。また、Arrhenius 式等、各種の速度論的な

考え方と反応速度の解析法を紹介する。

○第2週:界面現象と反応速度

ガス-固体系に対しては、Langmuir の吸着等温式について学ぶ。ガス-液体系に対しては、

表面活性物質の効果に関して Gibbs の吸着式を学ぶ。

○第3週:物質移動(1)

Fick の拡散の第1法則と第2法則を講義する。半無限体の非定常拡散式を解き、得られた

誤差関数の解の特徴を説明するとともに、拡散係数の測定法について解説する。

○第4週:物質移動(2)

2 元系の等モル相互拡散と一方拡散の二つの特殊な場合について、速度論的な解析方法を

学習する。さらに、固体、液体、気体の拡散係数の特徴を論じる。

○第5週:物質移動(3)

流体境界層内における物質移動について学ぶ。平板状固体-流体系における流体側境界層

および境膜物質移動について学習する。

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○第6週:物質移動(4)

不均一系の反応速度式を導出し、化学反応律速、物質移動律速の判定方法について学ぶ。

○第7週:演習

物質移動の原理と解析方法の理解を深めるために、演習を行う。

○第8週:ガス-メタル間反応(1)

鉄鋼製造プロセスを例にとり、ガス-メタル間反応を説明する。化合物生成を伴わない場

合の気液反応について、液体金属へのガス吸収モデルにおける境膜説、浸透説を講義する。

○第9週:ガス-メタル間反応(2)

化合物生成を伴わない場合の気液反応について、液側物質移動律速、気体側物質移動律速、

気液両側物質移動律速、界面反応律速の場合について、それぞれの反応速度式を導出する。

○第 10 週:ガス-メタル間反応(3)

溶鉄のガス吸収と脱ガス反応における、水素、窒素、酸素の挙動に関して、それぞれの律

速段階および速度論的な解析方法を講義する。

○第 11 週:ガス-メタル間反応(4)

化合物生成を伴う場合のガス-メタル間反応について、平衡論と速度論の観点から、Fe-

X 合金系の酸化の一般論を紹介した後、Fe-C 系を重点として説明する。

○第 12 週:演習

ガス-メタル間反応の速度論的な原理と解析方法の理解を深めるために、演習を行う。

○第 13 週:スラグ-メタル間反応(1)

鉄鋼製造プロセスを例にとり、高純度鋼製造のためのスラグ-メタル間反応を説明する。

また、物質移動律速と反応律速の場合について、それぞれの速度式を導出する。また、不

純物元素の選択的除去の原理と方法を理解する。

○第 13 週:固―液系の反応(1)

鉄鋼製造プロセスにおける凝固問題を例にとり、固―液系の反応を説明する。固相内およ

び液相内の拡散または液混合の程度に基づいた場合分けをし、平衡凝固、非平衡凝固にお

ける分配係数の理論的推算法を解説する。

○第 14 週:固―液系の反応(2)

凝固時のミクロ偏析とマクロ偏析を解説する。また、凝固時に起こる、脱酸生成物、脱硫

生成物、CO ガス気泡の生成反応とその制御法を講義する。

○第 15 週:演習

スラグ-メタル間反応、および、固―液系の反応の速度論的な原理と解析方法の理解を深

めるために、演習を行う。

○第 16 週:定期試験

ノート、参考書などの持ち込みは不可とします。電卓は持参のこと。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

材料物理化学、移動現象論

◆教科書:

無し(必要に応じてプリント資料を配布する)

◆参考書:

金属化学入門シリーズ1:金属物理化学

◆ 成績評価の方法:

○演習で行うレポート:(20%)

○定期試験(80%)

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 複合材料工学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年前期

◆授業時限: 金曜2限(10:30〜12:00)

◆担当者: 金武直幸(工学研究科マテリアル理工学専攻材料工学分野)

工学部5号館 647 室,Tel:789-3359,[email protected]

◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打ち合わせる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

工業材料は使用環境に応じて様々な特性が要求されるが,その要求は常に高度化し,それに

対応できる新材料の開発や従来材料の改良が求められる。その解決手段の一つとして,複数

の個別材料を複合化して高度な特性を実現する複合材料の利用がある。本授業では,その様

な材料の複合化に関する基礎的な知識を習得して,様々な複合化による新材料の開発に応用

できる素養を身に付けることを目的としている。

授業では,すでに習得している材料の構造や性質に関する基本知識を基に,複合化の意味と

ねらい,複合材料の諸特性の考え方,複合材料の製造方法、界面現象や材料リサイクルなど

の関連事項を講義する。また,工業利用されている複合材料のいくつかを実際に例示して,

それらの利用状況や製造法を基に講義の内容を理解すると共に、材料の人工的な複合化の功

罪についても考える。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスおよび序論(なぜ複合材料か?) 授業の内容,進め方,成績評価について説明する。 ゴルフクラブなどを例示して,複合材料とはどんな材料か,なぜ複合材料が使用される

かを考える。

○第2週:複合材料の分類と工業利用の現状 航空・宇宙,スポーツ・レジャー,輸送機器などの分野を中心に,複合材料の使用状況

について説明し,現状の複合材料の種類・分類について考える。

○第3週:連続繊維複合材料の弾性特性 も単純な複合材料として,一方向連続繊維と樹脂や金属との複合材料を例として,複

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合化による弾性特性の変化を学び,複合則による特性予測の方法を理解する。

○第4週:連続繊維複合材料の強度特性 一方向連続繊維と樹脂や金属との複合材料について、強化材料とマトリックス材料の

個々の強度特性から、複合材料の繊維方向の強度を予測する考え方を理解する。

○第5週:連続繊維複合材料の強度特性(続き) 一方向連続繊維で強化した複合材料の繊維直角方向の強度について考える。また、多方

向に繊維を複合化した複合材料の強度特性について考え、要求特性に合わせた複合材料

の設計についての基本を理解する。

○第6週:不連続繊維複合材料の弾性特性 短い繊維を含んだ樹脂や金属から成る複合材料について、力学特性が向上する強化機構

を理解する。その強化機構を基に不連続繊維複合材料の弾性特性を予測する方法を学ぶ。

○第7週:不連続繊維複合材料の強度特性 短繊維で強化した複合材料の破断強度の方法を理解し、強化に必要な臨界繊維長さの考

え方を学ぶ。 ○第8週:粒子分散強化複合材料の強化機構

主に金属に微粒子を分散した複合材料には二つの分類があり、それぞれの特徴や強化機

構の考え方を理解する。

○第9週:樹脂系複合材料の製造方法 熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を連続繊維や短繊維で強化する複合材料の代表的な製造法

について学び、プリフォームやプリプレグの使い方を理解する。

○第 10 週:金属系複合材料の製造方法 アルミニウムなどの軽合金を短繊維や微粒子で強化する複合材料の製造法は、液相法と

固相法、直接成形法と素形材成形法とに分類されることを理解する。その中で、まず液

相法を中心に説明する。

○第 11 週:金属系複合材料の製造方法(続き) 前回に引き続いて、金属系複合材料の製造法の中で、固相法を中心に説明する。また、

その二次加工についても簡単に触れる。

○第 12 週:異種材料間の界面現象 異種材料が複合化する際の界面の問題について、特に液相と固相との濡れ性の考え方、

接触角と界面張力の考え方を理解する。また、異種材料界面の結合について、化学的、

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物理的、機械的な結合状態を理解する。

○第 13 週:強度特性以外の複合材料の特性

弾性特性,強度特性以外に材料の複合化によって期待される諸特性について概説する。耐

磨耗性、靭性、熱膨張率、振動吸収性、他。

○第 14 週:材料複合化の新しい展開 傾斜組成材料、多孔質材料など材料の複合化に関する新しい研究開発を紹介し、更には

自然界の動植物が有する材料構造をヒントに理想的な複合材料を考える。

○第 15 週:定期試験 筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。配布プリントや参考資料などの持ち込

みは許可しない。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

結晶物理学,材料物理学,材料物理化学、材料力学第1、第2

◆教科書:

使用しない.授業の補足資料としてプリント資料を配布する.

◆参考書:

◆成績評価の方法:

○ 授業の際のレポート課題あるいは小テスト[30%] ○ 定期試験[70%] 全体で 55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆科目名: 弾塑性学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3 年前期

◆授業時限: 月曜2限(10:30〜12:00)

◆担当者: 湯川伸樹(工学研究科マテリアル理工学専攻)

5号館 253 室,Tel:789-3572,[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P4/yukawa/dansosei

◆ 問合せへの対応:メールによる質問を随時受け付ける.

◆授業のねらいと内容:

ほとんどの工業材料は、加工されて形を与えられ製品になって初めて役に立つ。材料に

形を与える方法は多くあるが、その中でも特にプレスやロールなどで材料に大きな力を加

えて変形させる塑性加工は、生産性や材料の利用効率が高いなど特に大量生産に向いてお

り、工業上重要である。そして、材料が塑性加工中にどのような変形挙動をするかを的確

に把握することは、その製品の形状そのものや素材をその形状にするための塑性加工プロ

セス、加工を行う生産機械や金型などの設計を効率的に行う上で大切である。

プレスなどによって材料にある程度大きな加工力を加えると、材料はばねのように変形

する弾性変形と、粘土のように変形する塑性変形が複合した、弾塑性変形挙動を示す。そ

こで本講義ではこのような、材料が弾塑性変形するときの変形状態、加工力の状態、材料

流れなどを把握する手段として、応力とひずみを力学的に求める解法について学ぶ。

具体的には、簡単な変形の解析を通して応力・ひずみに関連する基礎的な事項を学習す

るとともに、実際の加工で生じるような組合せ応力下における変形やその具体的解法の一

つである剛塑性有限要素解析を学び、塑性加工の力学的解析の基礎を修得する。

◆授業計画:

○ 第1週: ガイダンス

授業の内容、進め方、教科書と参考書、成績評価方法などについて、説明する.

○ 第2週: 材料の加工についての概論

各種材料加工の方法について概説し、地球を中心とした材料の継続的流れの中での材料加

工の位置付けについて考える。またその各種加工法の中での塑性加工の位置付け、および塑

性加工法の分類、さらには塑性加工における力学の必要性について学ぶ。

○ 第3週: 塑性変形の材料科学

塑性変形のミクロ的な本質である転位による塑性変形、また材料の強度と転位の関係、材

料の組織と機械的性質との関係、延性破壊などについて、ミクロ的な視点から考える。また

マクロ的な視点から考えるいわゆるレオロジーとしての塑性力学の考え方と、ミクロ的変形

との関係について学ぶ。

○ 第4週,第5週: 一軸変形

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も基本的な変形である一軸変形(単軸引張り、単軸圧縮)を基に、応力とひずみの定義

を学ぶ。また一軸引張り試験における応力−ひずみ曲線やその数式表示、塑性変形仕事と応

力・ひずみとの関係について学ぶ。

○ 第6週,第7週: 均等曲げ変形

曲げ解析の基礎として均等曲げを取り上げ、基礎方程式となるひずみの適合条件や力の釣

合い式、モーメントの釣合い式について学ぶ。

つぎに長方形断面の棒の曲げ変形を考え、材料がn乗則に従う場合、弾完全塑性体の場合

における曲げモーメントと曲率との関係、その棒が耐えられる 大の曲げモーメントなどを

求める。

また上下非対称の断面形状をもつ棒の曲げを考え、塑性変形域の進展とそれを考慮した曲

げモーメントと曲率との関係の求め方を学ぶ。

後に曲げ荷重を加えた後の除荷時の弾性回復(スプリングバック)と材料内部に残留す

る応力に対する考え方を学ぶ。

○ 第8週,第9週: ねじり変形

基本的なせん断変形である棒のねじり変形における基礎方程式(ひずみの適合条件、力・

モーメントの釣合い式)について学ぶ。具体例として薄肉円管のねじり及び中実丸棒のねじ

りについて、ねじりトルクとねじれ角との関係を考える。

○ 第 10 週,第 11 週,第 12 週: 組合せ応力による変形

物体に3次元的な組合せ応力がかかる一般的な場合について、応力の定義、座標変換と主

応力の考え方、力のつり合い方程式およびモーメントの釣合い方程式を学ぶ。また材料が塑

性変形を開始する応力の条件である降伏条件について学ぶ。

さらに一般的なひずみの定義や主ひずみの考え方や、応力とひずみあるいはひずみ速度の

関係(いわゆる構成方程式)として、全ひずみ理論ならびにひずみ増分理論を学ぶ。

○ 第 13 週,第 14 週,第 15 週: 剛塑性有限要素解析

現在、塑性加工の CAE の分野で も広く用いられている有限要素法について学ぶ。その中

でも特に鍛造や型圧延などの解析でよく用いられる剛塑性有限要素解析を例に、前回までで

学んだ様々な基礎式をもとに有限要素法の基礎式がどのように組み立てられていくか、また

その結果得られる多元非線形方程式をどのように解くかについて学ぶ。

また解析例を参考に、このような力学的な解析技術が塑性加工分野における様々な問題の

解決にどのように役立っているかについて考える。

○ 第 16 週: 定期試験

筆記試験により、講義内容の理解度を試験する。教科書・参考書・ノート持ち込み不可。

◆バックグラウンドとなる科目:

数学基礎、力学 I、力学 II、材料力学第1、材料力学第2

◆教科書:

「工業塑性力学」増田・室田(養賢堂)

必要に応じてプリント又はファイルを配付する。

◆参考書:

「塑性加工」鈴木弘(掌華房)

「非線形有限要素法」日本塑性加工学会(コロナ社)

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◆成績評価の方法:

○講義中に行う小テスト、演習およびレポート(30%)

○定期試験の成績(70%)

とし,これらの合計で 55%以上修得した者を合格とする.

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◆科目名; 材料設計学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 後期

◆授業時限: 水曜日 1時限(8:45-10:15)

◆担当者: 森永正彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 437号室,Tel:789-4638 ,[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

現代の材料設計は、金属、半導体、セラミックス.高分子といった従来の材料の枠組みにと

らわれずに行う必要がある。そのためには、電子や原子のしベルからの材料の理解と設計が望ま

れる。また、今日のようなスーハーコンピュータの時代では、計算機援用の材料設計も必要であ

る。本授業では、このような立場の材料設計の基礎的な考え方を収得することを目的としている。

まず、材料の性質を左右する結晶構造に注目し材料結晶学の基礎を学び、材料の結晶構造の見

方を収得する。次いで、電子構造の基礎を学び、電子の立場からの材料の見方を収得する。さら

に、計算材料設計学の立場から、分子軌道法と分子動力学法の基礎について学ぶ。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスと材料設計序論

授業の内容、進め方、成績評価について説明する。

現代の材料設計の特徴について考える。

○第2週:結晶の性質と化学結合

結晶の性質が、構成原子の大きさ(原子軌道の広がり)と結晶内の原子間距離との比によって

おおよそ決まることを説明する。単原子結晶の凝集エネルギーの大小を化学結合より考える。

○第3週:金属結合と電気伝導

金属結合を自由電子モデルの成り立つ金属と遷移金属に分けて説明する。

また、金属の特徴である高い電気伝導性を熱振動と電子の働きから考える。

○第4週:材料の結晶構造(1)対称要素と点群

対称要素(回転、鏡映、反転、回反、回映)とその組み合わせからなる32稲類の点群について

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説明する。この外、結晶系とブラベー格子についても考える。

○第5週:材料の結晶構造(2)分子の対称性と点群

基礎となる対称要素の組み合わせから分子の点群を決める。

特に、Tdと0hの点群を説明する。

○第6週:材料の結晶構造(3)空間群

並進性に基づく新たな対称操作(らせん軸、映進面)を説明し、点群に並進対称性を加えること

によって発生する230種類の空間群について説明する。そして、いろいろな材料が、どの空間群

なのかを考える。

○第7週:材料の結晶構造(4)X線結晶構造解析

X線結晶機造解析について具体例を挙げて説明する。

また、併せてインターナショナル・テーブルの見方を説明する。

○第8週:材料の電子構造(1)金属電子論の基礎

波動方程式ならびにL 電子状態計算の際の断熱近似、平均場近似について説明する。全エネル

ギー、凝集エネルギー、化合物生成熱、あるいは結晶様造間のエネルギー差がどの程度の値なの

かを遷移金属で考える。また、物質の安定構造が全エネルギーの計算から予測できるようになっ

てきていることを説明する。

○第9週:材料の電子構造(2)金属、化合物の電子様造

原子軌道エネルギー準位、電気陰性度、原子半径について述べ、金属、化合物の中での電子レ

ベルの現れ方について説明する。遷移金属、非遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と非遷移金

属からなる化合物の電子構造の特徴について考える。

○第10週:材料の電子構造(3)金属、合金の特性予測

金属、合金の諸特性評価に用いられてきた方法およびパラメータについて説明する。

化合物の生成熱の予測法(ミーデマの経験則)、ポーリングの結合距離の考え方、ヒューム・ロ

ザリーの電子化合物、エンゲル・ブルワーによる結晶構造の整理法などを概観する。

○第11週:分子軌道法の基礎(1)計算方法

分子軌道法で何が議論できるかを説明する。ハートリー近似、ハートリー・フオック近似、ハ

ートリー・フオック・スレーター近似の特徴を説明する。さらに、イオン結合と共有結合の違い

を構成原子の軌道エネルギー準位から考える。

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○第12週:分子軌道法の基礎(2)材料への応用

アルミニウム金属中の点欠陥、金属間化合物 NiAl、LiAlの構造欠陥、金属酸化物NbOの点欠陥、

ZrO2の中の酸素イオン変位、金属Fe中の炭素、窒素の電子状態と格子緩和などについて実例を挙

げて説明する。

○第13週:分子動力学法の基礎(1)計算方法

分子動力学法で何が議論できるかを説明する。ヴェルレ法、ラーマンの予測子修正子法などの

計算方法を概説する。熱浴接触法についても説明する。

○第14週:分子動力学法の基礎(2)物質への応用

液体アルゴン中の原子連動、液体急冷によるアルゴンのガラス状態の作成、ルビジウムの熱運

動の飛跡および原子の拡散係数、ルビジウムの2体分布関数の温度変化などの応用例を挙げて説

明する。

○第15週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。

配布プリントや参考資料などの持ち込みは許可する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

結晶物理学,材料物理学,材料物性学,量子力学A

◆教科書:

使用しない。授業の補足資料としてプリントを配布する。

◆参考書:

特に定めない。

成績評価の方法:

出席およびレポート(30%)

◆定期試験(70%)

全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料強度学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義(宮田,田川の2教員で分担して講義を進める)

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年後期

◆授業時限: 火曜1限(8:45〜10:15)

◆担当者: 宮田隆司(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 243 室,Tel:789-3235,[email protected]

田川哲哉(工学研究科材料機能工学専攻)

5号館 241 室,Tel:789-3577,[email protected]

◆問合せへの対応:随時

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

金属材料,複合材料,セラミックス材料など,各種材料の破壊形態の特徴を実例を挙げな

がら概説し,破壊の機構と材料学的影響因子,力学的支配因子などを身につける.それに基

づき,安全性向上のための手段や,破壊力学などの工学的評価方法を概説する.

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスとイントロ(宮田)

授業の内容,進め方,教科書と参考書,成績評価の方法などを説明する.さらに,現在

身の回りにある材料の種類と強度を必要とする応用例を紹介する.

○第2週:各種材料強度試験法(宮田)

引張試験,圧縮試験,硬さ試験,衝撃試験で得られる材料強度特性とそれに及ぼす各種

因子の影響など,材料試験の基本を説明する.

○第3週:材料の理論強度と実際の強度(宮田)

理論強度を導き出し,現実の材料で理論強度を達成できない要因を理解する

○第4週:破壊形態の分類(宮田)

金属材料を中心に,破壊の巨視的形態分類,微視的な形態に基づく分類を紹介し,各破

壊形態の機構,影響因子などを説明する.

○第5週:各破壊形態の詳細(田川)

静的破壊を対象とする.実用上重要な,微小空洞合体型破壊,へき開破壊のメカニズム,

それらに及ぼす材料学的要因,力学的要因の影響を説明する.さらに鉄鋼材料に見られる

破壊形態の遷移挙動とその要因に関して説明する.

○第6週:破損の法則(田川)

大主応力説, 大せん断応力説といった破損の法則,さらに 弱リンク概念に基づく

破壊確率論に関して説明する.こうした簡易的な破壊強度評価法の利点と問題点を理解す

る.

○第7週:応力—ひずみ関係(田川)

セラミックス,金属における応力—ひずみ関係の相違,金属材料における切欠き効果,

鉄鋼材料におけるひずみ速度や温度が応力—ひずみ関係に及ぼす影響を説明する.特に塑

性材料における変形拘束の出現機構とそれが各種破壊形態に及ぼす影響に関して理解する.

○第8週:き裂の力学(田川)

き裂が存在した場合のき裂先端近傍の応力,ひずみ状態,それを評価するための応力拡

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大係数を説明し,破壊力学の基礎を修得する.

○第9週:破壊靭性とその評価法

破壊力学を基礎とした破壊靭性の示す意味を説明する.さらに,各国で規格されている

破壊靭性試験方法の概要を紹介する.

○第 10 週:疲労破壊の機構(田川)

プラスチックス材料,セラミックス材料,金属材料などに現れる疲労現象を紹介する.

さらに対象を金属材料に絞り,金属疲労の発生機構,疲労き裂の進展機構など,金属疲労

の破壊に至るまでの過程を説明する.

○第 11 週:疲労強度に影響を及ぼす諸因子(田川)

結晶粒径,表面処理,切欠きの存在,応力比といった材料学的因子,力学的因子が疲労

強度に及ぼす影響を疲労機構に基づき説明する.さらに,こうした知見を基に疲労強度向

上を図るための手法を紹介する.

○第 12 週:疲労き裂進展の評価と損傷許容設計(田川)

疲労き裂進展の機構を説明し,応力拡大係数による評価方法を説明する.そこで不随し

てくるき裂の開閉口挙動や過大荷重によるき裂進展遅延現象を紹介する.こうした知見を

基に,圧力容器や航空機などで行われている損傷許容設計の概要を理解する.

○第 13 週:高温強度(田川)

高温において金属材料の示す損傷挙動(クリープ損傷)に関して,材料の巨視的な力学

的応答変化と材料内部で生じている微視的な変化の観点から説明する.

○第 14 週:環境強度(田川)

応力腐食割れ,腐食疲労といった腐食環境下での金属材料の損傷挙動に関して概説する.

○第 15 週:

筆記試験により,講義内容の理解を確認する.教科書・参考書,ノートの持ち込みは不

可.

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

材料力学第1,第2,材料物理学,弾塑性学,金属材料学,格子欠陥論

◆教科書:

材料強度学(日本材料学会)

◆参考書:

鉄鋼材料学(実教出版)

◆成績評価の方法:

筆記試験と出席率から総合評価

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◆科目名: 反応プロセス工学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2 単位

◆開講時期: 3 年 後期

◆授業時限: 月曜 2 時限( 10:30 ~ 12:00 )

◆担当者: 浅井 滋生(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5 号館 637 室,Tel:789-4646 , [email protected]

◆問合せへの対応:電子メールによる質問は随時、面談を希望する時は電子メールにて予め日時

を確認すること。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料の強度、靱性といった特性および価格はその製造プロセスに大きく依存するため、材

料生産現場においては製造プロセスの合理的な設計と運転が主業務となっている。また、新

材料の開発にあっては、製造法の革新は必須である。この講義は専門基礎科目A の移動速度

論を基礎にして製造プロセスの合理的設計および新材料開発に必要となる専門知識の修得を

目的としている。特に、移動速度論が対象とする “物質” 、“エネルギー” 、“運動量” に加え

て、“磁束密度” が同じ移動現象として記述できることを学ぶ。この視点を踏まえ、磁場・電

場が有する機能を利用して材料を造る材料電磁プロセッシング (Electromagnetic

Processing of Materials : EPM) を中心に講義する。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスおよび序論

授業の内容、進め方、成績評価について説明。

日本語版の “材料電磁プロセッシングの世界” のビデオを見て、電場・磁場の種々の機能を概

観するとともに、それらが生産現場でいかに使用されているかを学ぶ。

○第2週:移動現象論からの電磁気現象の把握 (1)

物質の拡散に関する Fick の法則、熱伝導に関する Fourie の法則、運動量輸送に関する

Newton の法則、および物質、熱、運動量の保存則の数式表現とその物理的意味の把握。スカラ

ー量、ベクトル量、テンソル量についても触れる。

○第3週:移動現象論からの電磁気現象の把握 (2)

電磁気の Faraday's Law , Ampere's Law , Gauss's Law の数式表現とその物理的意味

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の把握。物質、熱、運動量の支配方程式の誘導。

○第4週:移動現象論からの電磁気現象の把握 (3)

直角座標、円筒座標、球座標と各々の座標系における右手系の説明。支配方程式を用い

て具体的に問題を解く方法を学ぶ。

○第5週:電磁流体力学の入門

渦度の数学的記述と物理的意味。 Navier-Stokes 方程式から渦の拡散方程式の誘導。

○第6週:磁場の拡散方程式

電磁気学の Faraday's Law , Ampere's Law , Gauss's Law からの磁場の拡散方程式の

誘導。磁場の拡散方程式と渦度の拡散方程式の相似性。

○第7週:静磁場が電気伝導性流体の流れに及ぼす効果

矩形ダクト内を流れる電気伝導性流体に外部から磁場を印加する場合(Hartmann 問題)

を想定して、既に導出した理論式から電場、磁場、速度場の関係の導出。

○第8週:磁場の拡散 (1)

半無限 1 次元電導性媒体中の交流磁場の拡散現象を磁場の拡散方程式に基づいて数式展

開。磁場分布からの磁気圧、ジュール熱の数式表現の導出。

○第9週:磁場の拡散 (2)

移動交流磁界による電磁駆動力の理論的導出。材料電磁プロセッシングに関連する無次

元数の物理的意味の把握。

○第 10 週:材料電磁プロセッシング (1)

電場・磁場が電気伝導性流体に示す諸機能(形状制御機能、流動抑制機能、波動抑制機

能、分散・凝集機能、駆動機能、振動機能、飛散機能、浮揚機能、昇温機能)の理解。

○第 11 週:材料電磁プロセッシング (2)

電場・磁場が電気伝導性流体に示す諸機能の生産現場での適用例の説明。

○第 12 週:強磁場の材料科学 (1)

非磁性物質における磁化力発現の可能性。モーゼ効果の説明。

○第 13 週:強磁場の材料科学 (2)

結晶磁気異方性、形状磁気異方性に基づく結晶配向理論、その他、強磁場に関連する材

料科学の諸現象の概観。

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○第 14 週:まとめ

英語ビデオ “The World of Electromagnetic Processing of Materials” を見て、あら

ためて材料生産現場における電場・磁場の活用例を学ぶ。学生による電場・磁場の活用の

提案を受けて、その実現の可能性について討議。

○第 15 週:まとめ、その2

電磁場の活用プロセスについて討議と演習を行う。

○第 16 週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験。

配布プリントと手書きの資料の持ち込み可。

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◆バックグラウンドとなる科目:

電磁気学,材料物理化学,移動速度論

◆教科書:

入門材料電磁プロセッシング(内田老鶴圃)

◆参考書:

材料電磁プロセッシング(東北大学出版会)

◆成績評価の方法:

毎回の授業での質問回答およびレポート課題(30%)

定期試験(70%)

全体で 55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆ 科目名: 相変換工学 ◆ 科目区分: 専門科目 ◆ 必修/選択: 選択必修 ◆ 授業形態: 講義 ◆ 単位数: 2単位 ◆ 開講時期: 3年後期 ◆ 授業時限: 月曜4限(14:45-16:15) ◆ 担当者: 野村宏之(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 335 号室、TEL: 789-3370、[email protected] ◆ 問い合わせへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる ◆ 授業のねらいと内容:

私達の身のまわりには、例えば氷、アイスクリーム、チョコレートのように液相から固相への

相変化を利用して作られたものが多く見られます。もっと目を拡げれば、鉄板、自動車エンジン、

ガラス……と相変化を経て作られ、私達の生活の中でいかされているものが数限りなくあること

を皆さんも気づくでしょう。そのように相変化というプロセスは“ものづくり”でとても大事な

役割を果たしています。 この講義では、材料にさらに高付加価値を与える相変換のプロセスについて、その意義と工学

的基礎についてわかりやすく提示していきます。また演習を通して、皆さんの理解を深めていた

だきます。この講義により基幹材料や先端材料を作っていくのに、いかに相変換工学が利用され、

また材料設計において、いかに考え方の基礎になるのか体得していただきます。

◆ 授業計画: ○ 第 1 週:ガイダンスと序論(相変換工学とは?)

相変換を利用した代表プロセスである、凝固・鋳造法について説明します。

○ 第 2 週:凝固現象の熱力学的基礎 凝固に伴う自由エネルギー変化、リャード則、ギプスートムソンの関係について学びます。

○ 第 3 週:凝固と過冷現象および核生成 純金属の過冷現象について学び、核生成との関連について理解します。

○ 第 4 週:核生成その① ─ 均一核生成 核生成現象を固体核の発生と核表面の新生の 2 つのエネルギー変化を考えることにより定式化

します。 ○ 第 5 週:核生成その② ─ 不均一核生成 核生成が、異物質の存在によりいかに容易になるか式を用いて説明します。また実際に核の

大きさ、過冷度などをわかりやすく例示し、説明します。

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○ 第 6 週:鋳造組織について① ─ マクロ組織 凝固のときに生ずる材料の組織とは?材質との関係は?について詳しく説明します。

○ 第 7 週:鋳造組織について② ─ ミクロ組織 ミクロ組織と偏析、材料特性は密接に関係する。また欠陥との関係についても説明します。

○ 第 8 週:偏析について 序論、その意義と種類を考え、実用材料の強度や特性への影響を理解します。

○ 第 9 週:偏析生成のメカニズム① ─ 平衡凝固 合金成分の拡散が速い場合に生ずる平衡凝固と実際上の問題について例に基づいて説明します。

○ 第 10 週:偏析生成のメカニズム② ─ 非平衡凝固 合金成分の拡散が遅い場合に生ずる偏析であり、例をあげて説明します。

○ 第 11 週:合金の過冷現象 純金属とは異なった過冷現象 ─ 組成的過冷について詳しく学びます。

○ 第 12 週:過冷と凝固界面形態 デンドライト凝固や界面凝固を、前回の過冷現象と結びつけて理解します。

○ 第 13 週:凝固・鋳造における伝熱現象 凝固現象は一方では伝熱現象である。その基本的考え方を紹介し、支配要因を学びます。

○ 第 14 週:凝固・鋳造プロセスのシミュレーション 前回を応用して、複雑な実際プロセスのシミュレーション法について述べ、実際にどのように

使われるのか紹介します。 ○ 第 15 週:定期試験

教科書、ノート、参考書の持ち込みは不可とします。 ○ 演習 ○

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

移動現象論、材料物理化学、材料物理学

◆教科書:

第1週に講義プリントを配布。他には指定しない。

◆参考書:

日本金属学会編「鋳造・凝固」(1992 年)など

◆成績評価の方法:

・ 講義合間に行う演習のレポート:約 20%

・ 定期試験:約 80%

全体で 55%以上取得できれば合格とします。

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◆科目名: 材料塑性加工学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年後期

◆授業時限: 火曜3限(13:00〜14:30)

◆担当者: 石川孝司(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部5号館 249 室,Tel:789- 3256, [email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる.

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◆授業のねらいと内容:

塑性加工は,主として金属材料の一部または全部に塑性変形を与えて,要求された形状・寸

法・材質の製品を作る加工法であり,今日の工業生産の中で素材から 終製品の製造に至るま

での広い範囲にわたって重要な役割を果たしている.加工方式は多種にわたり,材料工学と機

械工学との両分野にまたがる知識を必要とする。本講義では塑性加工の一般的な知識を習得し,

ものづくりの重要性を理解することを目的としている.塑性力学の基礎からはじめ,各種加工

法の原理と特徴について講義する.可能な限り実際の塑性加工製品の実例を紹介し,目的意識

をもって講義に望めるようにする.各講義に終わりに演習を行うことで理解度を確認する.

新の加工法についても可能な限り説明するが,「基礎知識の正しい理解」という方針で講義を

進める.

◆授業計画:

○第1週:ガイダンス,どうやって作るのだろう

講義の進め方についてガイダンスを行い.身の回りでなにげなく触れている塑性加工品の

作り方を考える.

○第2週:塑性加工の学問と技術の特徴

塑性加工の基礎となる学問分野は広く,塑性力学,材料工学,機械工学,トライボロジー

などであり,関連性を理解する.塑性加工で取り扱う材料が大量であることと経済的影響の

大きいことを学ぶ.

○第3週:塑性加工の材料科学

塑性加工品の主要な素材である金属材料を中心として,材料の性質を概観し,加工時の材

料の挙動について説明する.また,塑性加工による材質改善について述べる.

○第4週:塑性加工の力学1(応力とひずみ)

塑性力学は,材料が塑性変形するような力,表面変位を与えた場合に,材料内の応力,ひ

ずみ,変位,温度などがどのように分布するかを解析するもので,材料力学や弾性学と同類

の学問である.その基礎となる応力とひずみについて学ぶ.

○第5週:塑性加工の力学2(降伏条件,構成式)

弾性状態と塑性状態の移り変わりの条件を与える降伏条件と,応力とひずみを関係づける

構成式について学ぶ.

○第6週:塑性加工の解析1(スラブ法.エネルギ法)

加工力,加工圧力を計算するための近似解析法であるスラブ法とエネルギ法について学ぶ.

ここでは平面ひずみ,軸対称変形を対象として,演習により理解を深める.

○第7週:塑性加工の解析2(上界法)

加工力,加工圧力を計算するための近似解析法である上界法について学ぶ.ここでは平面

ひずみ変形を対象として,演習により理解を深める.

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○第8週:塑性加工の解析3(すべり線場法)

加工力,加工圧力を計算するための近似解析法であるすべり線場法について学ぶ.ここで

は平面ひずみ変形を対象として,演習により理解を深める.変形場の応力分布が解析できる

ことを理解する.

○第9週:板圧延

自動車の車体などに大量に使用される薄鋼鈑は,圧延加工により製造されるが,その寸法

精度,形状,性質に対する要求は厳しく,日本の圧延技術は,世界に誇ることができる技術

の一つである.圧延の原理から 新の技術までを学ぶ.

○第 10 週:形材圧延・圧延機

棒,線,管,形材(H型鋼,レールなど)も圧延により製造される.各種の圧延機が開発

され利用されているが,それらの原理,特徴について概説する.

○第 11 週:鍛造

材料の塊を押しつぶして成形する鍛造加工は,塑性加工の元祖であり,現在でも塑性加工

の重要な加工法の一つである.数多くある鍛造加工法を説明し,鍛造の特徴と利用状況,

新の技術について述べる.

○第 12 週:押出し・引抜き

複雑な断面をもった長い製品を作るのに適した押出し加工と,断面形状の高精度化のため

の引抜き加工の特徴,力学的・材料学的説明,関連する技術,新技術について述べる.

○第 13 週:板成形(プレス成形)

板材を素材とした自動車の車体や飲料缶などの成形技術を材料学および力学の面から学

び,変形挙動を理解するとともに塑性加工が材料特性と密接に関連していることを学ぶ.

○第 14 週:せん断加工,プレス機械

せん断加工の種類と特徴,加工原理を理解しせん断面の形状に影響する加工因子について

学ぶ.鍛造,板成形等に使用される代表的なプレス機械の機構と機能について理解する.

○第 15 週:塑性加工のトライボロジー・計測

どの塑性加工法の場合にも関係する材料と工具の接触面に関連する問題,すなわち,潤滑,

摩擦,摩耗等について概説する.また,応力,ひずみ,加工力,変位等の代表的な物理量の

計測方法について概説する.

○第 16 週:定期試験

筆記試験により講義内容の理解度を試験する.教科書,参考書,ノートの持ち込み不可.

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◆バックグラウンドとなる科目:

数学基礎,力学および演習,材料力学第1,材料力学第2,弾塑性学

◆教科書:

塑性加工:鈴木弘(裳華房)

◆参考書:

工業塑性力学:益田,室田(養賢堂)

◆成績評価の方法:

○講義中に行う演習またはレポート(20%)

○定期試験の成績(80%)

とし,これらの合計で 55%以上達成した者を合格とする.

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◆科目名:熱加工プロセス工学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2 単位

◆開講時期: 3 年 後 期

◆授業時限: 月 曜 1 限( 8:45 〜 10:15 )

◆担当者: 沓名くつな

宗春むねはる

(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 233 室,Tel:789-3365,[email protected]

URL: http://www.geocities.com/kustuna/kumain.html

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

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◆授業のねらいと内容:

2年生で学習した材料成形学の各論的な講義で、特にその中でも熱加工プロセス、すなわ

ち局所的熱源を材料加工にもちいる例として、溶接・接合加工について講義する。材料の特

性も種々あり、その溶接・接合加工法の選定を誤れば、破壊など使用者に重大な損害を与え

るので、総合的な観点で材料加工法を考える。

各種材料の接合性を講義し、その材料の性質を復習するとともに接合という観点からその特性

を再確認する。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスおよび序論(熱加工プロセス工学の意味)

授業の内容、進め方、成績評価について説明する。材料成形学では主にプロセスの講

義をし、理解を深めたのでここでは加工による局所熱源と材料との相互作用について論

ずる。溶接熱影響部など材料学的見地にたって、定義を与える。

○第2週:溶接金属の凝固組織

溶接金属の凝固組織は、鋳造金属の特性と極めて類似した特性を示すともに、母材と

の界面では母材の影響を受けるエピタキィシャル結晶成長など特異な現象もみられる。

溶接条件、すなわち凝固条件と現出する組織について理解をする。

○第3週:鋼溶接部の組織

とくに材料への溶接の影響は顕著であり、 初の問題として鋼溶接部 の各種組織の

現出課程を平衡状態図を用いて説明する。硬化組織ならびに熱影響部組織の粗大化課程

を講義する。溶接熱影響部は溶接すると組織変化する。硬化組織の現出と熱量による組

織制御の重要性を述べるとともに水素による鋼の遅れ割れ問題について理解を深める。

○ 第4週:各種鋼材の溶接(高張力鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼)

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高張力鋼の開発と溶接技術の関わりを示す。 炭素当量および割れ感受性指数の定義

と水素による遅れ割れの関係を明らかにし、制御圧延鋼の開発さらに TMCP 鋼の開発を

理解し、これら鋼の予熱温度の低下に対する理解を深める。また、近年の軟質継手の適

用についての注意点について講義する。

ステンレス鋼は、耐食性を高めた高クロム(ニッケル)合金であるが、溶接技術上極

めて特異な材料である。溶接時の耐食性の低下とその防止法さらには溶接時の高温割れ

生成など対処すべき項目が多い。これら複雑な諸因子を解説し材料の溶接・接合プロセ

スの問題点を解決する手法を考えたい。特殊な環境下で用いられる材料は、その特性を

発揮させる特殊な合金元素の添加が行われている。これらは、どちらかといえば溶接性

を阻害していてそれなりの注意と対策が必要である。これら、材料的な面から個々の材

料特性の復習と溶接時特有の問題点を解説する。

○ 第5週:非鉄材料(アルミニウム合金)および特殊材料の溶接

アルミニウム合金は、非鉄材料の代表的な材料であるが高い熱伝導率と固液間の水素

溶解度の大きい特性を有しており、必ずしも溶接が容易とはいえない。ここでは、凝固

割れ、水素による気孔生成および結晶粒の粗大化の問題を示し、その対策について述べ

る。また、時効性合金溶接部の硬さの経時変化とその機構について講義し、理解を高め

る。その他の非鉄材料としては、マグネシウムあるいはチタン合金の溶接・接合時の材

料学的な現象について示す。さらに、複合材料あるいは金属間化合物に代表される新素

材接合の問題点について述べ、これら材料の性質について理解を深める。

○ 第6週:溶接・接合部の機械的性質とその評価法

溶接・接合部の機械的性質の評価は構造物を建造するときに重要な因子である。溶接

部は組織的にも形状的にも不連続箇所が存在し、さらには残留応力が付与されており、

必ずしも良好な性質を保証しにくい部位である。通常の材料強度試験に加えて、溶接特

有の試験法が規格化されているので、この試験法について概説し、品質保証のあり方に

理解を高める。

溶接・接合部の機械的性質の評価は構造物を建造するときに重要な因子である。溶接

部の破壊事故例を示して、溶接部の脆性破壊特性とくに大型構造物に対する寸法効果の

観点で講義を行う。

また、疲労破壊は溶接構造物にとって も破壊事故例の多い重要な問題であり、その

対策について講義を行う。また、生産性向上の手法としての溶接・接合についても述べ

る。溶接・接合の生産効率の向上のために取られている手法を各種産業界の事例にもと

づいて示すとともに、 近の溶接機器類の進歩について講義をおこない、溶接工学の現

状を理解する。

○ 第7及び8週:溶接熱加工現象

金属材料に高温のアーク、プラズマ、レーザ、電子ビームなどの熱源が与えられたと

き、材料に冶金学的変化のみならず、熱的変化や材料特性の変化が生じる。まず、溶融

池で起こる気孔の発生機構などの冶金学的反応やスラグーメタル反応についても勧説

する。続いて、熱影響部の反応速度論についても解説し、固相での反応についても解説

する。とくに溶接割れなどの溶接欠陥について、その種類、発生機構、防止方法につい

て述べる。

つぎに熱伝導論によりどのような熱的変化が生じるかも論じる。

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○第9及び10週:

溶接部の大きな問題が溶接時に生じる内部応力(残留応力)と歪み(溶接変形)であ

る。この残留応力の発生機構とその構造物への影響について解説し、次に応力により生

じる変形についても基礎的な考え方や解析の方法についおて解説する。

○ 第11及び12週:溶接の自動化・センシング制御

溶接による構造物の組立て加工を行うとき、その生産性を向上させる自動化技術、セ

ンシング制御技術が先端生産技術では重要である。日本のロボット技術は世界 先端に

あり、溶接ロボット技術も高級なセンシング技術を持ち、自動車や電気・電子機器の組

み立て生産に利用されている。この技術を体系的に紹介するとともに、その応用上の問

題点や今後の開発動向などについて解説する。

○第13、14及び15週:先端レーザ加工技術

溶接技術のような生産技術の基盤をなす工学(学問)を先端加工技術としてとらえ、

実際の生産現場でどのように適用されているか、企業において先端加工技術を研究、開

発している実務者を講師としてお願いし、溶接技術やレーザ加工技術がいかに開発され、

研究されているか、また、現場技術者とはどのようにあるべきかなど論じてもらう。

○ 第16週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。

配布プリントや参考資料、教科書の持ち込みは許可しない。

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◆バックグラウンドとなる科目:

力学、物理、化学、材料成形学、材料強度学などの材料基礎工学

◆教科書:「溶接・接合工学の基礎」溶接学会編、丸善、

◆参考書:「溶接工学」 佐藤、向井、豊田共著、理工学社

◆ 成績評価の方法:

○定期試験(50%) ○レポート(50%)

毎週講義レポートの提出が要求され、それが評価される

全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆科目名:材料プロセス計測工学

◆科目区分: 専門基礎科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3 年 後期

◆授業時限: 水曜日 3 時限(13:00 ~14 :30 )

◆担当者: 高井 治(エコトピア科学研究機構ナノマテリアル科学研究部門)

9 号館 521 号室,Tel:789-3259, [email protected]

齋藤永宏(工学研究科物質制御工学専攻)

9 号館 515 号室,Tel:789-2796, [email protected]

URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/

◆問合せへの対応:随時。ただし、事前に電子メール等で予定を確認すること。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

『計測』は科学にとって不可分の行為である。例えば、目の前に容器に入った水たとする。その

中に手を差し入れて温かいと感じるか冷たいと感じるかは、感覚的で個人差があり、また、その

時の環境によっても変わってくる。水の温度を計測すではじめて主観の入らない客観的な判断を

下すことができるようになる。みなさんまでに行ってきた学生実験でも、さまざまな物理量・化

学量を計測してきた。どん意深く実験を行っても、計測によって客観的なデータとしなければ意

味を持たないての工業製品においても計測によって成り立っている。材料プロセス計測工学では、

物理,化学に関する基本的知識をもとに、物理量や化学量の計測に関する基礎的事ぶ。はじめに、

計測の意味と国際的な計測の標準化について、次に、正確な計測結るための基本的な概念、統計

的なバックグラウンドに基づいて計測結果を評価するデジタル信号処理による計測誤差の低減

化について学ぶ。さらに、自動制御に関す的な事項についても学ぶ。

◆授業計画:

○第 1週(高井):ガイダンス

・本講義の内容と日程および成績評価についてのガイダンスを行う。

・『はかる』ということはどういうことなのか。計測の意味とその必要性につい

学習する。

○第 2週(齋藤):計測の原点

・単位について。国際単位と単位の次元について学ぶ。

○第 3週(齋藤):計測値の精度 1

・講義の前に第 2週の講義内容の復習をかねて小演習を行う。

・計測値には多かれ少なかれ必ず誤差が含まれている。誤差とは何か、正確な測どういうことな

のか、測定値の信用度の評価の仕方等について学習する。

○第 4週(齋藤):計測値の精度 2

・講義の前に第 3週の講義内容の復習をかねて小演習を行う。関数電卓を使用するので用意する

こと。

・誤差の伝搬と 小自乗法について学ぶ。

○第 5週(齋藤):計測の基礎

・講義の前に第 4週の講義内容の復習をかねて小演習を行う。関数電卓を使用するので用意する

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こと。

・計測システム、入力・出力およびノイズについて学ぶ。

○第 6週(齋藤):デジタル化による計測データ処理

・ 近では計測データをコンピュータで処理することが一般的である。アナログの

計測データをデジタル化する A/D 変換処理について学ぶ。

・フーリエ変換について学習し、計測データ処理へのフーリエ変換の応用について学ぶ。

○第 7週(齋藤):演算による計測データ処理

・A/D 変換によってデジタル化したデータから、演算処理によってノイズを除去する

手法について学習する。

○第 8~9週(齋藤):静的計測と動的計測

・計測には、時間的に変化しない値を計測する静的計測と、時間的に変化する現象を

追跡する動的計測がある。特に、動的計測では、計測システムの時間的応答が問題

となる。計測システムの動的な応答特性を表す伝達関数を中心に講義を進める。

○第 10~11 週(齋藤):自動制御

・自動制御と計測について学習する。また、自動制御の材料プロセスへの応用について

温度制御を例にとりあげる。

○第 11~13 週(高井):計測各論

・材料製造プロセスでよく使われる計測技術について、その原理と応用について

学習する。温度,圧力,真空度,長さ,質量等の測定技術に関して講義を行う。

○第 14 週(高井): 新の計測技術

・技術の進歩により、今まではできなかった計測が可能となった。また、科学/工学の 進歩の

ために、新しい計測技術の開発が要求されている。 新の計測技術について トピックスを紹介

する。

○第 15 週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。

関数電卓を使用するので用意すること。その他、資料等の持ち込みは許可しない。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

数学 1および演習,数学 2および演習,材料物理化学,材料物理学

◆教科書:

必要に応じて参考資料を配付する。

◆参考書:

・計測工学:谷口修 他 著(森北出版)

◆成績評価の方法:

55%以上のポイントを得た場合に単位を認定する。

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◆科目名: セラミックス材料学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2 単位

◆開講時期: 3 年 後期

◆授業時限: 火曜2限(10:30〜12:00)

担当者: 野水 勉(留学生センター/工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5 号館 205 室,Tel:789-3244,[email protected]

(留学生センター・短期留学室, Tel:789-5405)

黒田 光太郎 (工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5 号館 343 室,Tel:789-3349,[email protected]

◆問合せへの対応: 事前に電子メールで問い合わせる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

近年、セラミックスがいろいろな分野で脚光を浴びるようになった。従来の陶磁器類や窯

業製品ばかりでなく、ニューセラミックス、ファインセラミックス、アドバンストセラミッ

クスという言葉も生まれ、新材料としての期待も大きい。それに応えるには従来の経験的手

法をもとにしたアプローチのみでは不足で、より体系化されたアプローチが必要である。こ

の講義ではセラミックスを材料科学の中に位置づけて、その構造や組織,合成や反応,さま

ざまな特性について学ぶことを目指している。そのため、広いセラミックスの学問の中のご

く初等的な部分を取り扱うことになる。

セラミックス材料は、古くからある陶磁器類や窯業製品から発展してきたものであるが、

近年の学術研究の進歩や製造分野における新製品開発、品質制御によって、ニューセラミッ

クス、ファインセラミックス、アドバンストセラミックスと呼ばれる新しい材料が次々と産

み出されている。本講義は、日々発展するセラミックス材料を全体的・概括的に理解するた

めの入門講義である。本講義のねらいは、セラミックス材料が、金属や高分子材料と異なる

基本的な構造・組織を理解し、セラミックスのもつ熱的、機械的、電気的などの様々な特性

を概観し、さらにその製造における重要な因子である粉末合成と焼結過程を学ぶ。

◆授業計画:

○第1週:セラミックス序論(黒田)

授業の内容、進め方、成績評価について説明する。

セラミックス材料の種類、特徴、用途などを概説する

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○第2週:セラミックスの構造-化学結合・配位数(野水)

セラミックス材料の結晶構造に深く関与するイオン結合、共有結合、金属結合の関係、イ

オン半径や配位数について考える。

○第3週:セラミックスの構造-結晶結合(野水)

セラミックス材料の幾何学的結晶構造の分類を行い、Pauling の法則に基づくイオン半

径や配位数との法則性について理解する。

○第4週:セラミックスの構造-非晶質構造(野水)

ガラス材料を含む非晶質セラミックス材料について、その定義と特性、結晶構造の考

え方について理解する。

○第5週:セラミックスの組織学-格子欠陥(黒田)

実在の結晶は種々の欠陥を含んでいる。イオン結晶でるセラミックスでは特に点欠陥

が重要である。点欠陥の表示法、不定比化合物を理解する。

○第6週:セラミックスの組織学-拡散(黒田)

セラミックスでは固相内の物質移動が製造に使われる焼結でも、イオン電導などの機

能の発現でも大きな役割を果たす。化合物の拡散について学ぶ。

○第7週:セラミックスの組織学-状態図(黒田)

セラミックスの組織を理解するためにも状態図の知識は欠かせない。さまざまな製法

においても状態図は貴重な指針を与える。状態図が使えることを身に付けよう。

○第8週:セラミックスの物性-熱的特性(野水)

セラミックスの熱的特性について、結晶構造(結合の種類、イオン半径・配位数)との関

係を考え、熱膨張、熱伝導率などの特徴を考え、具体的事例について理解する。

○第9週:セラミックスの物性-磁気的特性、電気的特性(野水)

セラミックスの磁気的特性・電気的特性について、その特性を分類し、その発現機構を探

るとともに、様々な具体事例について理解する。

○第 10 週:セラミックスの物性-誘電的特性(野水)

セラミックスの誘電的、焦電的性、圧電的特性について、その特性と発現機構を分類し、

様々な具体事例について理解する。

○第 11 週:セラミックスの物性-機械的特性(野水)

セラミックスの機械的特性について、その評価方法と関係式について理解し、特徴を

把握するとともに、破壊強度・靱性向上のための課題を考える。

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○第 12 週:セラミックスの物性-光学的、化学的特性(野水)

セラミックスの光学的特性・化学的特性について、事例をあげながら、他の金属材料・

有機高分子材料との比較を行う。

○第 13 週:セラミックスの製造-粉末合成の基礎(野水)

セラミックス製造における粉末合成のための基礎的因子(標準生成自由エネルギー、

溶解度積など)、核生成、成長、肥大化の過程を理解する。

○第 14 週:セラミックスの製造-気相法・液相法・固相法(野水)

気相法、液相法および固相法に基づく、種々のセラミックス粉末合成法について理解

する。

○第 15 週:セラミックスの製造-焼結・結晶粒成長(野水)

セラミックス製造における焼結の過程と加圧条件の違いに基づく各種焼結法を比較し、ま

た結晶粒成長の機構を理解し、不純物や異常成長粒の寄与について考える。

○第 16 週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を評価する。配布プリントや参考資料の持ち込みは許

可しない。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

物理化学,材料物理化学,結晶物理学,材料物理学,移動現象論

◆教科書:

佐久間 健人「セラミック材料学」(海文堂)

◆参考書:

水田 進・河本邦仁「セラミックス材料科学」(東京大学出版会)

Kingery・Bowen・Uhlman 著(小松和蔵他訳)「セラミックス材料学入門」(内田老鶴圃)

◆成績評価の方法:

○小テストおよびレポート課題の評価(30%)

○定期試験(70%)

2名の教員でそれぞれを評価し、合計で 55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。

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◆科目名: 微粒子材料学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 後期

◆授業時限: 金曜 3限( 13:00 〜 14:30 )

◆担当者: 伊藤 孝至(エコトピア科学研究所)

共同教育研究施設フライホイール室 201 号室,

Tel:788-6064 ,e-mail:[email protected]

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

粉末などを介した材料開発の基礎として、異方質や不均質な製品の評価やプロセスの制御

に本質的な捉え方と定量法について学ぶ。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンスおよび序論

講義内容、進め方、成績評価について説明する。序論として微粒子(粉末)の定義、そ

の定量評価、粉末プロセスについての概要を解説する。

○第2週:粒子のサイズと形状

種々の粒子径の定義とコーシーの定理について解説する。また、粒子の形状因子や形状

指数についても解説する。

○第3週:平均粒子径

個数基準、質量基準の平均粒子径の定義、代表平均径の物理的意味について解説する。

○第4週:粒度分布

種々の粒度分布関数を紹介し、それぞれの特徴について解説する。

○第5週:多変量統計学

粉末の特徴を評価する手段として必要な多変量統計学について解説する。

○第6週:粒度-形状分散図

粉末の粒度と形状という形態的特性を多変量統計学に基づいて表現する方法や個数基準

と質量基準相互の理論的な変換式について解説する。

○第7週: 小2乗法

解析手法として重要な 小2乗法について、基礎から非線形関係での取扱い方法まで解

説する。

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○第8週:ステオロジー

ステオロジーを用いた粒子切断面の情報から粒子の実寸法を推定する方法を解説する。

○第9週:粉末の流動性

粉粒体プロセスにおいて重要な特性である粉末の流動性について、実際の粉末データを

用いて解説する。

○第 10 週:粉末の充填

粉粒体プロセスにおいてもう一つの重要な特性である球形粒子の規則充填およびランダ

ム充填について解説する。

○第 11 週:粉末の充填密度の算定

球形粒子のランダム充填における見掛け密度の解析手法について解説する。

○第 12 週:粉末と短繊維の混合

実際の金属粉末と金属短繊維の混合物の見掛け密度と配合割合との関係に関する定量解

析について解析する。

○第 13 週:焼結Ⅰ

粉粒体の焼結モデルにおける幾何学について解説する。

○第 14 週:焼結Ⅱ

粉粒体の焼結初期・中期・後期過程における焼結理論について解説する。

○第 15 週:多孔質体の特性

空孔率測定における考察や吸着法による比表面積測定について解説する。

○第 16 週:期末試験

筆記試験によって講義内容の理解度を評価する。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

統計学、代数学、熱力学

◆教科書:

Y. WANIBE and T. ITOH: New Quantitative Approach to Powder Technology, John Wiley and

Sons, 1998

◆参考書:

「粉末技術の新しい展開」: 鰐部吉基, 伊藤孝至(松香堂書店, 京都, 1995)

◆成績評価の方法:

試験およびレポート

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆ 科目名:素材プロセス工学第 1 ◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 単位 2単位

◆開講時期: 3年後期

◆授業時限: 月曜3限( 13:00 - 14:30 )

担当者: 桑原 守(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野) 5号館 551 号室、TEL: 789-4642、[email protected] URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P2/kuwabara/index-j.html

楊 健(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野)

5号館 547 室,Tel:789-3250,[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P2/yang/home.html 平澤政廣(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野)

5号館 543 室,Tel:789-5309,[email protected]

◆ 問い合わせへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる ◆授業のねらいと内容:

運搬車両や輸送機、建造物や生体材料に至るまで、産業の基盤となる高機能、高強度材料

の開発と製造では、資源から製品に至るまでの工程の効率的、かつ、エネルギー・環境負荷

ミニマムを設計思想とする“匠の技”が求められる。本講では、主に鉄鋼製造プロセスを取

り上げ、高温、多相系反応が主体となる素材プロセッシング(酸化、還元、抽出、反応、凝

固等)の基礎と、それに関わる“匠の技”を、物理化学、反応速度論、移動現象論の観点よ

り科学的に論じます。

◆ 授業計画: ○第1週:素材プロセス工学概論

講義のガイダンスを行う。先ず、授業で行う演習の方法,レポート提出,成績評

価について説明します。次に、鉄鋼製造プロセスを例にとり、資源から製品に至る

一連の工程設計で果たす物理化学、反応速度論、移動現象論の役割と本講の学習の

意義を説明します。

○第2週:酸化鉄還元の基礎

酸化鉄還元の熱力学的基礎(相律、酸素ポテンシャル、自由エネルギー変化、

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還元平衡、反応熱)についての講義と演習を行います。

○第3週:高炉内における酸化鉄還元①

高炉内における間接還元の原理を化学平衡論の観点から考えます。COとH2ガス

による還元機構の差異と、CO 還元におけるブドワー反応の役割について学習する。

○第4週:高炉内における酸化鉄還元②

高温部での直接還元について補足をした後、酸化鉄還元に関する演習問題を解

き、化学平衡に及ぼすガスの種類、組成、圧力、温度の効果に関して理解を深め

ます。

○第5週:高炉内における各成分の挙動①

鉄鉱石還元に伴う酸化鉄とガスの成分変化、および、気相、固相、液相を介し

た炭素、珪素、マンガン、燐、硫黄の溶銑への移行過程について学習します。

○第6週:高炉内における各成分の挙動②

高炉系スラグの構造、塩基度、粘性について学習し、スラグ-メタル間反応にお

けるそれらの役割について考えます。

○第7週:高炉製銑法①

高炉製銑法のあらまし、設備、装入原料、原料の事前処理(コークス、焼結)、

送風条件等について説明します。

○ 第 8週:高炉製銑法②

高炉内の各部位(塊状帯、軟化融着帯、滴下帯、羽口先燃焼帯、炉床等)ごとに起こっ

ている反応と移動現象、および、その制御技術について説明します。

○ 第 9週:製鋼法概論

転炉、電気炉、炉外精錬(溶銑予備処理、二次精錬)での処理を経て造塊工程に至るま

での製鋼法の概要と原理を理解します。

○ 第 10 週:製鋼の化学①

溶鉄中不純物の酸化除去における酸化剤の選択、各種元素の除去のし易さ、反応、およ

び溶解等に関して、その化学的基礎を説明します。

○ 第 11 週:製鋼の化学②

溶鉄からの不純物除去における溶融スラグの役割、組成、構造、各種元素ごとのスラグ-

メタル間反応と分配平衡に関して、その化学的基礎を説明します。

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○ 第 12 週:転炉製鋼法

製鋼法の主力となる転炉法について、設備、操業法、反応および混合の制御法、各種成

分の推移、平衡到達度、特殊操業等について説明します。

○ 第 13 週:炉外精錬法

高炉-製鋼炉間の溶銑予備処理法と、製鋼炉-造塊工程間の二次精錬法のあらまし、原理、

操業法等について解説します。

○ 第 14 週:凝固と偏析

連続鋳造法を中心とした造塊法のあらましを説明し、また、凝固過程における伝熱、結

晶核の生成と成長、偏析等の理論的基礎について解説します。

○ 第 15 週:総括と総合演習

全講義を通じた総括を行い、素材プロセス工学に基づく材料プロセス設計の将来展望に

ついて解説します。また、学習の習熟度を確認するための演習を行う。

○ 第 16 週:定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。参考書、ノート、配布プリント

等の持ち込みは不可。ただし、電卓は持参すること。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

材料物理化学,移動現象論,金属反応論

◆教科書:

使用しない。(必要に応じてプリント資料を配布する)

◆参考書:

講座・現代の金属学 製錬編1 鉄鋼製錬:日本金属学会

◆ 成績評価の方法:

○演習で行うレポート:2回(20%)

○定期試験(80%)

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 素材プロセス工学第2

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年後期

◆授業時限: 金曜4限(14:45〜16:15)

担当者:

興戸正純(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 537 室,Tel:789-3353,

[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

武田邦彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 443 室,Tel:789-3360,

[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/

市野良一(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 539 室,Tel:789-3352,

[email protected]

URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打合せる

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

自然界に存在する金属は、単体で存在することは稀であり、硫化物、酸化物などの酸化され

た状態で産出されるため、各種のプロセスを経て金属単体にまで還元される。すなわち、金属

単体はエネルギーの凝集体ともいえる。非鉄金属材料製造プロセスは、化学熱力学を基礎とす

る乾式プロセスと電気化学を基礎とする湿式プロセスに大別される。電極反応、高温反応及び

溶液化学反応を利用した分離・精製プロセスについて述べ、その中で素材プロセッシングに関

する化学熱力学的、電気化学的諸問題の理論的取り扱いについて論じる。

◆授業計画:

非鉄金属の湿式製錬

湿式製錬においては、採掘した鉱石を電解液に変換するまでのプロセスと製造された電解液

の高純度化、電解採取、電解精製によって金属単体が得られる。代表的な非鉄金属の湿式製

造法を取り上げ、これらのプロセス中で利用されている各種の製錬・精製法とその基本原理

について説明する。

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○第1週、第2週、第3週、第4週(興戸):溶液化学反応 採掘後電解採取に至るまでのプロセスについて説明する。 選鉱 焼結 酸-塩基反応 酸化-還元反応 浸出 電位-pH図 浄液

○第5週、第6週(市野):電解採取と電解精製

現行の湿式製錬プロセスについて説明し、電解採取と電解精製の違いについて説明する。ま

た、電解効率、純度に及ぼす液中の不純物の影響について説明する。 アノードスライム 水素過電圧 浴電圧 アノード室 銅製錬 亜鉛製錬 ニッケル精錬

○第7週、第8週(市野):溶融塩電解 水溶液中からは電解析出不可能な金属は、非水溶液系の電解質を利用して電解を行う。Alを例に取り上げ、溶融塩中における特異な挙動について説明し、水溶液電解との違いについ

て説明する。 アノードエフェクト 金属霧 バイヤー法 ホールエルー法 三層式電解法

非鉄金属の乾式製錬(武田)

代表的な非鉄金属の乾式製造法を取り上げ、これらのプロセス中で利用されている各種の製

錬・精製法とその基本原理について説明する。

○第9週(武田):素材プロセッシングとその物理化学

酸化物を原料として製造される鉄以外の金属は原料鉱石は大部分が硫化物であり、実際の製

錬では多くの場合酸素と硫黄の両者に対する親和力を同時に評価することが必要となる。こ

こでは、硫黄-酸素ポテンシャル図による酸化鉱と硫化鉱の製錬の原理について説明する。

○第 10 週、第 11 週(武田):鉛製錬

鉛の乾式精錬においては、熱力学的に巧みな各種の不純物分離除去法が取られている。同じ

溶鉱炉法を用いた鉄鋼製錬と鉛製錬の比較、これらのプロセスにおける各種の精製法とその

熱力学的原理について説明する。

鉄鋼製錬との比較 焼結・焙焼 溶鉱炉 溶離法 柔鉛 ハリス法 パークス法 灰吹法

ベタートン法 電解精製法 スラグのキャパシティ

○第 12 週(武田):銅製錬

銅はその他の主要非鉄金属と異なり、硫化物鉱石から直接金属銅が製造できる。そのプロセ

スの特徴と熱力学的原理について説明する。

マット溶錬 自溶炉 転炉 精製炉 電解精錬 MI炉

○第 13 週(武田):亜鉛製錬

亜鉛はその蒸気圧が高いため、その他の非鉄金属が乾式製錬により液体状態で得られるのに

対して、気体状態を経由する。その特徴を生かした亜鉛の製造法とその精製方法について説

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Page 123: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

明する。

水平レトルト法 立型レトルト法 電熱蒸留法 ISP 法 精留塔(Pb 塔、Cd 塔) 湿式

製錬

○第 14 週(武田):各種の乾式精製法

これまでに説明してきた乾式精製法に加え、その他の各種の乾式精製法について説明する。

溶離による精製 帯融精製 蒸留による精製 第3金属の添加による精製 酸素,硫黄,塩

素などによる精製 アルカリ,アルカリ土類化合物の添加による精製 熱解離,不均化反応な

ど特殊な高温化学反応を利用する精製

○第 15 週(武田):非鉄金属のリサイクル

金属を代表とする無機系素材は、反応によりその姿を変えたり消滅する有機系化合物とは異

なり、本質的に永久不滅の資源である。循環型社会における、物質循環の 後の環を閉じる

のは、 終的に戻ってくる廃棄物の素材へのリサイクルであり、それを担うべき素材製造産

業の役目は重要である。資源循環型社会構築における素材製造産業の役割、ならびに非鉄金

属(銅、鉛、亜鉛等のいわゆる重金属)のリサイクルの現状と課題ならびに 近の研究開発

動向等について説明する。

○第 16 週:定期試験

筆記試験

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

物理化学,材料物理化学,応用熱力学,金属反応論,化学基礎I・II

◆教科書:

金属化学入門シリーズ3 金属製錬工学 編集・発行 日本金属学会 丸善

◆参考書:

非鉄金属製錬:日本金属学会

金属化学入門シリーズ4 材料電子化学 編集・発行 日本金属学会 丸善

◆成績評価の方法:

小テストおよび期末試験

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 金属材料学第2

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 後期

◆授業時限: 金曜 1限( 8:45 〜 10:15 )

◆担当者: 村田 純教(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 435室,Tel:789-3232 ,[email protected]

滝田 光晴(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

5号館 333室,Tel:789-3371 ,[email protected]

◆ 問合せへの対応:e-mail にて随時(村田)

:月曜〜金曜 8:45—17:00(滝田)

――――――――――――――――――――――

◆ 授業のねらいと内容:

金属材料の中で、鉄は も広くかつ多量に使われていますが、鉄以外の金属材料(非鉄金属材

料)も自動車,航空機、ロケット、発電設備、医療、装飾、など身の回りに多く使われています。

この講義では、非鉄金属材料として、アルミニウム合金、チタン合金、ニッケル合金、銅合金、

コバルト合金及び高い融点をもつタングステンやモリブデンなどの合金、さらに金、銀合金など

の貴金属を扱います。そして、それらの非鉄金属材料がなぜその用途に用いられるのか、どのよ

うな性質を利用しているのか、その性質はどのような方法で引き出されているのか、について修

得します。さらにそれを基に、非鉄金属材料が利用される場合に必要をされる性質を満たすには、

どのような考え方で組成設計をすればよいかという、材料設計能力も身につけることもこの講義

の達成目標の一つとします。

◆授業計画:

○ 第 1週(村田):金属材料の基礎:金属元素の物理的性質と化学的性質はどのような機構によ

って現れているかについて、遷移金属と非遷移金属で対比させて考えます。

○ 第2週(村田):金属材料の基礎:金属の原子拡散に果たす格子欠陥の重要性と、相変態に

おける拡散の重要性を講義します。その中で、非鉄金属材料でその性質を改

善するために一般的に用いられる析出熱処理の考え方を示します。

○ 第3週(滝田):非鉄金属材料概論:非鉄金属材料の歴史と現況,製造法,各種特性,用途.

新金属材料(制振材料,形状記憶合金)の紹介.ビデオ及び実際のサンプル

を用いて興味を深めてもらいます.

○ 第4週(滝田):アルミニウム合金の特性と利用(1):時効硬化現象を理解し,ジュラル

ミンを始めとした高強度アルミニウム合金の特性とその利用,(特に航空・宇

宙分野)について講義します。

○第5週(滝田):アルミニウム合金の特性と利用(2):Al-Si 合金を例に,凝固組織の改良

方法とその効果および工業的応用(特に自動車分野)ついて講義します。

○第6週(滝田):銅合金の特性と利用(1):銅合金の電気伝導性に及ぼす各種元素の影響に

ついて講義します.黄銅を例に相変化に及ぼす合金元素の影響と,その具体

的応用ついて講義します。

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○第7週(滝田):銅合金の特性と利用(2):青銅を例に合金元素の凝固時における影響につ

いて講義します。これによって,凝固偏析,鋳造欠陥の発生およびその対策

について理解を深めます.

○第8週(滝田):チタン合金の特性と利用(1):チタン合金の特徴である比強度を

向上させるための,合金元素の添加の効果と相変態ついて講義します。

○第 9週(滝田):チタン合金の特性と利用(2):チタン合金の機械的特性,特に,強度,伸び,

破壊靭性,疲労特性に及ぼす熱処理及び組織変化ついて講義します。

○第 10 週(滝田):マグネシウム合金及びその他の合金:実用合金として も密度の小さいマ

グネシウムをはじめ, 近の合金組成とプロセスの開発について講義しま

す.

○第 11 週(村田):ニッケル合金の特性と利用:いろいろな特徴をもつニッケル合金をその組

成から考え、目的とする性質を得るための組成設計の考え方を講義します。

○ 第 12 週(村田):コバルト合金の特性と利用:ニッケル合金とコバルト合金の

相違を状態図と組成から考え、それらの特性の差と利用される分野の相違を

講義します。

○ 第 13 週(村田):高融点金属の特性と利用:高融点金属の特性と、これらの金属の特長と

問題点を講義し、その利用法を示します。

○第 14 週(村田):その他の非鉄金属の特性と利用(1):原子力用非鉄金属材料および低融点

金属の特性とそれらの組成に対する考え方を講義します。

○第 15 週(村田):その他の非鉄金属の特性と利用(2):貴金属、歯科材料の特性とそれらの

組成に対する考え方を講義します。

○第 16 週(村田、滝田):定期試験:筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。ノート、

参考書などの持ち込みは不可とします。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

結晶物理学、格子欠陥論、移動現象論、材料物理学、材料設計学、金属材料学第1を修得して

おくことが望ましい。

◆教科書:

特に指定しないが、以下の参考書の利用を勧める(村田)。

以下の参考書のうち非鉄金属材料:椙山著(コロナ社)を準教科書とする(滝田)。

◆参考書:

金属組織学序論:阿部著(コロナ社)、

非鉄金属材料:椙山著(コロナ社)、

非鉄金属材料:村上著(朝倉書店)、

非鉄材料(日本金属学会:材料編5)、

などの金属組織学、金属物理学、非鉄金属材料学に関する書籍

◆成績評価の方法:

出席およびレポート3回(30%)

期末試験(70%)

以上の割合で、講義の目的が達成されたかを判断し、55%以上の達成を合格と

します。

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◆科目名: 磁性材料学 ◆科目区分: 専門科目 ◆必修/選択: 選択 ◆授業形態: 講義 ◆単位数: 2単位 ◆開講時期: 3年生後期 ◆授業時間: 金曜日 第2時限 ◆担当者: 松井正顯(工学研究科 結晶工学専攻) 工学部5号館 349 号室 Tel:789-3567,[email protected]

浅野秀文(工学研究科 結晶工学専攻) 工学部5号館 351 号室 Tel:789-3568,[email protected]

◆問い合わせへの対応:電話か e-mail で ◆授業のねらいと内容 磁性材料は、モーターやトランスの磁芯材料や永久磁石として使用されていることはよく知ら

れているが、このほかにもハードディスクやMOディスクといったコンピュータ関連機器、マイ

クロモーターをはじめとするロボット関連マイクロ機械、MRIなどの医療用診断機器、自動

車・航空機などの輸送用機械、ガン治療のための磁性材料、健康用具など、その応用範囲は実に

広く、現代社会における も重要な材料の一つである。このような磁性応用機器を製造したり使

用したりする時に、材料系技術者・研究者には物質の磁性と磁性材料に関する専門的知識が求め

られる。そのためには、まず物質の磁性・磁気学の基礎を学習し、その上で、磁性材料の使用、

製造、開発に関する基礎論を学習し、 後に具体的な各種磁性材料に関する各論を学習すること

が必要である。ここでは、磁性材料に関する基礎と応用に関する基礎知識を縦横に駆使できる材

料系技術者・研究者を育成することを目指した講義を行う。 ◆授業計画 ○第1週:ガイダンス及び序論 現代社会において磁性材料がどのようなところに使用されているかを考える。そして

磁気学・磁性材料学の重要性とその位置づけを示し、その基本となる磁性の単位につ

いて講義する。 ○第2週:磁性の起源(1)角運動量 物質磁性の基本である電子の軌道角運動量とスピン角運動量、LS多重項とフントの

規則に関して講義する。

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○第3週:磁性の起源(2)結晶電場 結晶中の電子軌道分裂と軌道角運動量の凍結および不対電子について講義する。 ○第4週:磁性の起源(3)交換相互作用 直接交換相互作用の起源を簡単に導出しその量子力学的な起源を学ぶ。 ○第5週:磁性の起源(4)その他の交換相互作用 各種の間接交換相互作用を講義する。各交換相互作用と合金・化合物との関係ならび

にそれらの原子間距離依存性を学ぶ。 ○第6週:磁性体の種類 (1)フェロ磁性 磁性体の分類とフェロ磁性に関するキューリーワイスの法則を導出する。 ○第7週:磁性体の種類 (2)その他の磁性 反強磁性、フェリ磁性、常磁性、反磁性について講義し、物質の磁性のまとめを行う。 ○第8週:磁性材料の磁気的性質を支配する因子 (1)磁気異方性エネルギー 磁気異方性エネルギー(結晶磁気異方性、形状異方性、交換異方性、誘導磁気異方性)

の起源とその表示法ならびに反磁場について学ぶ。 ○第9週:磁性材料の磁気的性質を支配する因子 (2)その他のエネルギー 磁歪(磁気弾性エネルギー)、静磁エネルギー起源と計算法について講義する。 ○第10週:磁性材料の磁気的性質を支配する因子 (3)磁壁エネルギー 磁区の境界である磁壁の重要性とそのネルギーの起源を学ぶ。 ○第11週:磁性材料の磁気的性質を支配する因子 (4)磁区構造と磁性材料の性質 磁性材料における磁区構造と磁気履歴曲線の関係、安定な磁区構造の計算例を示す。 ○第12週:各種磁性材料 (1)総論並びに軟磁性材料 磁性材料全般についての概略を講義する。次に軟磁性材料の磁気的特徴、結晶学的

材料組織的特徴を説明し、各種軟磁性材料とそれらの開発時点における着目点につ

いて講義する。 ○第13週:各種磁性材料 (2)硬磁性材料 硬磁性材料(永久磁石材料)の磁気的特徴とその表示法、磁石開発の歴史とその特

徴ならびに 近の永久磁石とその応用について講義する。

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○第14週:各種磁性材料 (3)磁歪材料 磁歪材料の定義とその応用例、磁歪材料の種類、磁気センサとしての磁歪材料の基

礎、巨大磁歪と超磁歪などに関して講義する。 ○第15週:各種磁性材料 (4)薄膜材料とその応用に関する 近の動向 磁性材料における磁性薄膜の位置づけとその作製法を例示し、光磁気記録や垂直磁

気記録をはじめとするその応用について講義する。また、巨大磁気抵抗効果(GM

R)やトンネル型磁気抵抗効果(TMR)の基礎と将来の応用に関して考える。 ○第16週:定期試験 筆記試験により講義内容の理解度を試験する。配布テキスト、参考書、ノートなど

の持ち込みは不可。 ◆バックグラウンドとなる科目 量子力学A、結晶物理学、統計力学、材料物性学 ◆教科書 配布テキストを使用する。 ◆参考書 強磁性体の物理(上、下):近角聰信(裳華房)

磁気工学の基礎(Ⅰ、Ⅱ)、太田恵三(共立出版) 化合物磁性(局在電子系、遍歴電子系):安達健五(裳華房)

◆成績評価の方法 ○講義で行うレポート(10%)

○定期試験の成績(90%) とし、これらの合計で 55%以上修得した者を合格とする。

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◆科目名: 光機能材料学(2 年生)知能材料学(3年生以上)

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年後期

◆授業時限: 火曜4限(14:45〜16:15)

◆担当者: 宇治原徹(工学研究科結晶材料工学専攻)

工9号館4階 420 室,Tel:789-3368,[email protected]

URL: http://mars.numse.nagoya-u.ac.jp/f6/

◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

物質に光が入射すると吸収されたり反射されたりする。また、外部からの刺激(外

部信号)に対し、特定の波長領域で発光を示すことがある。このような光学現象に

は物質のエネルギー帯構造や局在電子状態が関係している。本講義では、このよう

な光学現象を示す機能材料の一例として半導体を主に取り上げ、光に対する相互作

用を微視的立場から取り扱う。また、それを応用した各種発光・受光デバイスの原

理と動作を理解することを通じて、光機能材料について学ぶことを目的とする。

具体的には、半導体の光吸収や発光は特定のエネルギー状態間の電子遷移により

理解できることを学習する。また、我々の身近にある発光ダイオードや半導体レー

ザ、太陽電池など、代表的なデバイスの構造、動作原理や特性について学ぶ。

◆授業計画:

○第1週: 光機能材料とは何か

本講義のねらいと流れについての概要を説明する。

○第2週: ポアソンの方程式―エネルギー構造と容量

第2~4週では、発光・受光デバイスの基本構造となるpn接合を主に取り上げ、エネル

ギー帯構造、過剰少数キャリアの振舞い、電流-電圧特性について定量的な考察を行う。

ポアソンの方程式は電荷密度と電圧の関係を表す方程式であることから、pn接合などの

空間電荷と電位の関係を解析するのによく用いられる。ここでは、ポアソンの方程式を用

いて、ショットキー接触、pn接合のエネルギー帯構造と容量などを求め、空間電荷密度

との関連について学習する。

○第3週: 拡散方程式(1)

拡散方程式は物理量の勾配により生じる物質移動を記述する方程式である。ここでは、

拡散方程式の簡単な応用例として少数キャリアの振舞い(減衰や注入など)について学

習する。

○第4週: 拡散方程式(2)

第3週に引き続き、拡散方程式を取り扱う。理想的なpn接合について電流-電圧特性

を導き出し、その特性を微視的な視点から理解する。

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○第5週: 帯間遷移による光吸収―直接帯間遷移

価電子帯の電子が光のエネルギーを得て、伝導帯の空いた状態に遷移する過程を取り扱う。

初に、伝導帯の底と価電子帯の頂上の電子が同じ波数にある直接遷移形半導体について

考える。電子遷移にあたり、エネルギー保存則と運動量保存則の両方が満足されなければ

ならない。光吸収の大きさを表す指標として吸収係数を導入し、それが結合状態密度と深

く関係していることを学習する。

○第6週: 帯間遷移による光吸収―間接帯間遷移

第5週に引き続き、価電子帯の頂上と伝導帯の底が異なる波数にある半導体(間接遷移形

半導体)について考え、光吸収にあたり運動量保存則を満足するためにフォノンの助けが

必要であることを学習する。

○第7週: その他の光吸収

第6週に引き続き、電子―正孔の束縛状態である励起子に起因する光吸収(励起子吸収)、

伝導帯や価電子帯の中で生じる光吸収(帯内吸収)、不純物準位を介した遷移による光吸

収について、その概要を学習する。また、電子のド・ブロイ波長程度の厚みの層を有する

超格子に現れる特徴的な光吸収について学ぶ。

○第8週: 光学定数

物質の巨視的な光学応答は、吸収係数、屈折率、誘電率などの物理量(光学定数)で表現

される。複素屈折率と吸収係数の関係、外力による屈折率の変化とデバイス応用、非線形

光学効果とデバイス応用について学習する。

○第9週: 半導体の発光(1)

光を吸収して高いエネルギー状態に励起された電子はいずれ基底状態に戻る。その再結合

過程に、光の放出を伴う放射(発光)再結合と、伴わない非放射再結合があることを学習

する。放射再結合過程として、自由キャリアが関与した発光、励起子が関与した発光、等

電子トラップが関与した発光を取り上げ、その概要を学ぶ。

○第 10 週: 半導体の発光(2)、光電効果

第9週に引き続き、ドナーに捕えられた電子とアクセプタに捕えられた正孔とが再結合す

るときに生じる発光(ドナー・アクセプタ対発光)、半導体の伝導帯あるいは価電子帯と

の電子のやりとりを伴わずに生じる発光(局在中心内遷移による発光)について学習する。

また、光吸収遷移によりエネルギー帯内に発生したキャリアに起因して導電率が増加する

現象(光導電率)や、内部電界により光励起キャリアが逆方向にドリフトされた結果とし

て起電力が発生する現象(光起電力効果)について学習する。

○第 11 週: 発光ダイオード

pn接合に順バイアスを印加するとキャリアの注入が生じる。注入された過剰少数キャリア

が再結合する際に発生する光を利用するのが発光ダイオードである。ここでは、その動作原理

について学習し、順方向電流が流れているpn接合における少数キャリア分布と、それによる

発光の強さを見積もる。また、発光ダイオード用各種材料について学ぶ。

○第 12 週: レーザ(1)

レーザとは、誘導放出を利用した光増幅器のことであり、その基本構成は光共振器と光

増幅させる利得媒質からなる。ここでは、レーザの重要要素の一つである光共振器につ

いて学習する。

○第 13 週: レーザ(2)

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第 12 週に引き続き、光増幅させる利得媒質について、自然放出と誘導放出の観点から

学習する。

○第 14 週: 半導体レーザ

レーザの一つである半導体レーザの構造、特徴について学習する。特に、構造に関して

は、キャリアの閉じ込めと光の閉じ込めを可能にしたダブルヘテロ構造について学ぶ。

○第 15 週: 太陽電池・受光素子

光電効果を利用すると光を電気に変換する素子(受光素子)が実現できる。受光素子に

は光信号を取り扱う光検出器と光エネルギーを対象にする太陽電池がある。ここでは、

これらの基本的な動作原理と特性について学習する。さらに受光素子の一つである太陽

電池の動作原理と特性について学習する。さらに、太陽電池の現状と問題点について紹

介し、未来の太陽電池のあり方について、議論する。

○第 16 週: 定期試験

筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

半導体材料学、電子材料学、材料物性学

◆教科書:

応用物性(佐藤編、オーム社)

◆参考書:

◆成績評価の方法:

○講義で行うレポート: 30%

○定期試験: 70%

全体で55%以上達成できた学生に単位を認定する。

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◆科目名: 電子材料学

◆科目区分: 専門科目 ◆必修/選択: 選択 ◆授業形態: 講義 ◆単位数: 2単位 ◆開講時期: 3年 後期 ◆授業時限: 水曜 2限(10:30〜12:00) ◆担当者:竹田 美和(工学研究科 マテリアル理工学専攻、結晶材料工学専攻) 9 号館 4階 419 室,Tel:789-3363,[email protected] URL: http://mars.numse.nagoya-u.ac.jp/f6/staff.html ◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる ―――――――――――――――――――――― ◆授業のねらいと内容: 電子材料として一般に、導体、半導体、絶縁体、磁性体に分けられるが本講義では導体と絶縁体を取り上げる。導体は更に、導電材料と抵抗材料に、絶縁体は更に、誘電材料と電気光学材料へと分けて論じることができる。個々の単体としての役割と、デバイスや集積回路、通信ネットワークにおけるこれら材料の役割について述べ、材料工学者のエレクトロニクスにおける役割の重要さを示す。 ほぼ講義頃に理解を助けるための演習を行う。これは評価には用いない。 ◆授業計画: ○第1週:講義の全体構成の説明 本講義の構成の全体像について説明し、他の講義との相互関係を示す。 ○第2週:導電材料 金属中の電気伝導の復習をした後、導電材料の用途とその必要とする諸性質について紹介する。 ○第3週:抵抗材料 抵抗材料は金属とは限らないが、電流を電圧に変換する重要な素子を構成する。抵抗がゼロでない限り、電流が流れると必ずジュール熱が発生する。これを積極的に利用するのが発熱材料である。 ○第4週:誘電材料―誘電体の性質― 真空の比誘電率は1であるが、物質は一般に1より大きい比誘電率εrを持つ。比誘電率の発生理由は、電気双極子とその誘電分極である。 ○第5週:誘電材料―誘電分極の種類― 誘電分極には、電子分極、イオン分極、配向分極、空間電荷分極、界面分極があることを学ぶ。 ○第6週:誘電材料―誘電体の周波数依存性― 各種分極の発生理由とその周波数応答について学ぶ。 ○第7週:誘電材料―強誘電性― 電界の変化に対して分極がヒステリシスを持つ誘電材料を強誘電体という。その発生原理を学ぶ。また、コンデンサーとして重要な材料である。 ○第8週:絶縁材料 電気を流す導体があれば、電気を流さない絶縁体が必ず必要である。一般の絶縁材料とともに、集積回路における絶縁材料について学ぶ。 ○第9週:圧電材料と焦電材料 結晶に電界を加えると分極を生じ、結晶がひずむ場合がある。これを電気ひずみ効果という。また、機械的応力を加えると分極を生じることがある。これを圧電効果という。ナノ・レベルの測定器にな

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くてはならない素子であることなども紹介する。温度により分極に変化を生じることがある。これを焦電効果という。 ○第10週:電気光学材料―複屈折― 結晶中を進む光の屈折率が、進む方向によって異なる場合がある。これを複屈折という。光デバイスで重要な役割を果たしている。 ○第11週:電気光学材料―電気光学効果― 結晶に電界を加えると屈折率が変化する現象を電気光学効果という。カー効果、ポッケルス効果などを学ぶ。 ○第12週:電気光学材料―非線形光学効果― レーザ光などを結晶に入射すると、光電界により高次の分極が発生することがある。これを非線形光学効果という。入射光の周波数νに対して2倍(2ν)、3倍(3ν)の周波数の光を発生できる。 ○第13週:電気光学材料―液晶― 液体のような流動性を示すが、結晶のように分子が配向している物質があり、これを液晶という。テレビやデジカメ、ビデオなどのモニターディスプレイ、プロジェクターなどに多用されている。 ○第14週:電気光学材料―光ファイバ― 現在の通信ネットワークになくてはならない光通信と石英ファイバーについて学ぶ。 ○第15週:定期試験 筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。 配布プリントと手書きのノートの持ち込みを認める。 ―――――――――――――――――――――― ◆バックグラウンドとなる科目: 半導体材料学、材料物性学 ◆教科書: 電子材料・部品と計測:川端昭 著(コロナ社)(必要に応じてプリント資料を配布する) ◆参考書: 応用物性:佐藤勝昭 編著(オーム社) ◆成績評価の方法: 定期試験(100%) 全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 薄膜・結晶成長論

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2 単位

◆開講時期: 3 年 後期

◆授業時限: 木曜日 1 時限( 8:45 ~ 10:15 )

◆担当者: 高井 治 (エコトピア科学研究機構 ナノマテリアル科学研究部門)

9 号館 519 号室,Tel:789-3259 ,[email protected]

URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/

井上 泰志(エコトピア科学研究機構 環境システム・リサイクル科学研究部門)

9 号館 522 号室,Tel:789-4639 ,[email protected]

URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/

宇治原 徹(工学研究科 結晶材料工学専攻)

9 号館 420 号室,Tel:789-3368 ,[email protected]

URL: http://mars.numse.nagoya-u.ac.jp/f6/indexf6j.html

◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打ち合わせること

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

薄膜材料は、数 μm から 1 原子層レベルまでの厚さを有する材料の一形態であり、保

護膜、光学機能膜、磁性膜、エレクトロニクス素子等、様々な分野で広く利用されている。

特に、半導体デバイス作製の分野では、薄膜を作製する技術、結晶を作製する技術の両方が

必要不可欠で、非常に高度化されたこの二つの技術の上に、現在の情報化社会、ひいては我々

の生活そのものが成り立っているといっても過言ではない。

講義前半では、薄膜の特殊性や必要性など一般的な特徴を概説し、薄膜作製方法、特に

各種気相成長法について解説する。さらに薄膜材料の諸特性を評価するための手法について

も紹介する。後半では、半導体デバイス作製における結晶成長技術の重要性を理解し、結晶

成長メカニズムから具体的な成長法について学ぶ。

◆授業計画:

○第 1週(高井):ガイダンス・序論

本講義を受講するにあたってのガイダンスを行う。また、「薄膜」「結晶成長」に関する

知識が、先端技術社会においていかに重要かを論ずる。

○第 2週(井上):薄膜・序論

薄膜とは何か、なぜ薄膜という形態の材料が必要とされるのかを概説する。また、各種

薄膜形成手法の中でも、近年ますます重要度を増しつつある薄膜気相成長プロセス(ドラ

イプロセス)において、必要不可欠な技術である「真空」および「プラズマ」に関する基

礎を学ぶ。

○第 3週(井上):薄膜気相成長法 (1)

物理気相成長法(PVD)に分類される真空蒸着法、イオンプレーティング法およびスパッ

タリング法について、それらの原理と特徴を説明する。同時に、薄膜形成メカニズムの基

礎を理解する。

○第 4週(井上):薄膜気相成長法 (2)

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ガス状の原料を用いて、主に化学反応を主体として薄膜成長させる化学気相成長法(CVD)

について、反応活性化エネルギー源として熱、プラズマおよび光を用いた場合の原理と特

徴を説明する。さらに、各成膜手法において、原理上重要となる成膜パラメータを解説す

る。

○第 5週(井上):第1回演習

PVD 法、CVD 法の原理をより深く理解するために、現実の物理パラメータを用いて、薄

膜形成プロセスに関する演習を行う。

○第 6週(井上):薄膜評価法 (1)

薄膜に限らず、材料の諸特性は、原子レベルから mm オーダーまで、さまざまなレベ

ルの「構造」から決定される。結晶構造、化学結合状態、表面官能基、結晶粒界、転位等、

材料特性と密接に関わる構造を明らかにする分析手法について、それらの測定原理と特徴

を紹介する。

○第 7週(井上):薄膜評価法 (2)

特別に優れた何らかの特性を有する薄膜材料は、機能性薄膜として応用されている。

ここでは実用上重要である電気的、磁気的、光学的および機械的特性を例に、それらを評

価する手法について、測定原理と特徴を説明する。

○第 8週(井上):第2回演習

各種薄膜特性評価法の原理をより深く理解するための演習を行う。

○第 9週(宇治原):結晶成長のアウトライン

結晶は、半導体だけに限らず多くの物質で実現される。しかし、物質に関わらず、ほと

んどの結晶、融液、溶液、気相などから結晶核が析出し、それが次第に大きくなることで

成長していく。そして、これらの現象には「駆動力」が必要となる。ここでは、「駆動力」

を統計力学・熱力学から理解する。

○第 10 週(宇治原):核生成

結晶成長は、核生成により始まる。ここでは、融液などからの三次元的な核生成から、

半導体で重要である基板上の二次元的な核生成について理解する。

○第 11 週(宇治原):結晶成長機構(1)

結晶成長は、結晶に原子・分子が取り込まれることで進行する。ここでは、原子がどの

ように結晶に取り込まれていくかを理解する。

○第 12 週(宇治原):結晶成長機構(2)

結晶成長は駆動力の大きさにより、異なる成長メカニズムをとる。ここでは、 初に成

長速度の限界を求め、徐々に駆動力を小さくしていくことで、どのような成長メカニズム

が発現するかを理解する。

○第 13 週(宇治原):エピタキシャル成長法 (1)

半導体材料の結晶成長を考える上で、非常に重要な「エピタキシャル成長」という概念

を理解する。続いて、具体的な結晶成長法として液相エピタキシャル成長法(LPE 法)につい

て説明し、高品質結晶実現のためのキーポイントを理解する。

○第 14 週(宇治原):エピタキシャル成長法 (2)

気相成長による成長法が主流である。その代表的なものとして、分子線エピタキシャル

- 121 -

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成長法(MBE 法)と化学気相成長法(CVD 法)の説明を行い、具体的にこれらの手法より実現さ

れている半導体材料を紹介する。近年、話題となっている青色発光ダイオードも、これら

の手法により成長した窒化ガリウムという材料で作製されている。

○第 15 週(宇治原):ヘテロエピタキシャル成長と歪み

半導体デバイス材料の発展は、一つの半導体材料からだけではなく、異なる半導体材料

をナノサイズで積層させる、いわゆるヘテロエピタキシャル構造の実現により達成されて

きた。ヘテロエピタキシャル構造は、格子定数の差に起因する歪みが生じる。この歪みは、

ときには結晶性の劣化を招き、ときには積極的に活用することで、新たな半導体構造、半

導体機能の付加に利用される。ここでは、ヘテロエピタキシャル成長における歪みと成長

役割を過程の関連について理解する。

○ 第 16 週:定期試験

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

統計力学,量子力学,気体分子運動論,固体物理学

◆教科書:

特に定めない。

◆参考書:

薄膜:吉田貞史(培風館)

結晶成長:結晶は生きている(サイエンス社)、エピタキシャル成長のメカニズム(共立出版

◆成績評価の方法:

(1) 定期試験(80%)

(2) 演習(20%)

全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

- 122 -

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◆科目名: 有機材料学

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 4年 前期

◆授業時限: 月曜4限(14:45~16:15)

◆担当者: 武田邦彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野)

高等総合研究館411室,Tel.:789-3360,[email protected]

URL: http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/profhome.htm

高谷克彦(非常勤講師)

◆問合せへの対応: 随時,e-mailにて武田まで。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

代表的な有機材料に,プラスティックやゴムのような高分子材料がある。本講義では,主とし

てこの高分子材料に焦点を当て,有機高分子の基礎に重点をおき,構造と特性,機能・性能,材

料設計と技術原理,実用・応用について講義する。

◆授業計画:

○第1週:ガイダンス及び高分子基礎(1)

本講義の概要および「高分子基礎(1):高分子とは?」(物質と材料,分子量,高分子の証

明,分子量と機械的強度と加工性の依存性等)

○第2週:高分子基礎(2),(3)

「高分子基礎(2):主な有機材料と応用」(①プラスチックス,②合成ゴム(ゴム弾性),③

繊維,④塗料・インキ)および「高分子基礎(3):機能と性能」(化学構造,ミクロ構造,高次

構造,機能・性能の発現,高性能化・複合化,材料の強度・特性などの評価方法)

○第3週:高分子基礎(4)(5)

「高分子基礎(4):構造と応用・流動性」(液体および固体高分子の流動(レオロジー)①

分子量,②分子構造,③分岐構造(短鎖分岐,長鎖分岐))および「高分子基礎(5):有機高

分子材料の基本設計」(分子量と分布,結晶と非晶,分子鎖の絡み合い,急冷表面層と徐冷内部

層の球晶成長,融点,ガラス転移点,耐熱性)

- 123 -

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○第4週:高分子基礎(6),リビングポリマー及びグラフトコポリマー

「高分子基礎(6):ポリマー合成法」(重合反応:イオン重合,ラジカル重合,重縮合,重合

触媒:分子量と分布,共重合&分布,立体規則性(ISO,SYNDIO;SIS,TRANS;))および「リビ

ング重合と単分散ポリマー,ポリマー精密設計の実現,リビング重合,ブロックコポリマーの実

用例」

○第5週:高分子の混合と相溶性,有機材料の加工と流動性

高分子の混合と均質化,異種ポリマーの共存,高分子と高分子の親和性制御,溶解度パラメー

ター,耐薬品性,流動性の工業的意味,流動性評価法,分子構造,分子量と分子量分布,分子鎖

の絡み合い

○第6週:高分子の成形加工,固体高分子の加工

溶融成形方法(射出,ブロー,フィルム,異型押し出し,回転,粉体,発泡成形,鋼管コーテ

ィング),溶・圧着,着色技術,固体高分子の加工:延伸(1軸,2軸),熱処理,2次加工:

メッキ,塗装・染色・印刷

○第7週:光と高分子(1),光と高分子(2)

「光と高分子(1)」(光の性質(透過,反射,散乱,吸収),主な透明プラスチックの構造・性

能・特徴・製法に関する技術革新)および「光と高分子(2)」(光学用材料(レンズ,非球面レン

ズ),光情報材料(CD・DVD,光ファイバー,光通信),表面硬化技術)

○第8週:接着と高分子,摩耗と高分子

「接着と高分子」(接着とは?,材料の表面,接着原理,接着剤,工業的接着技術,高分子と

異種材料の接着,シランカップリング剤の効果)および「摩耗と高分子」(摩擦と磨耗,摩擦係

数,磨耗,潤滑剤,自己潤滑性樹脂,無潤滑ギヤー)

○第9週:劣化・疲労と高分子材料

「劣化・疲労と高分子」(①化学的劣化:ESCR,耐候性,②物理的劣化:変形,疲労)および

「加工時の劣化と使用時の劣化,安定剤の使用」

○第10週:エンジニアリングプラスチックス,難燃材料

「エンジニアリングプラスチック」(耐熱性,耐薬品性等機能樹脂の自動車,E&E,交通・宇

宙,原子力等工業製品への応用,金属の代替,スーパーエンプラ(超耐熱機能樹脂))および「難

燃材料」(物質の燃焼,高分子の燃焼性,自己消火性プラスチック材料,燃焼性評価方法(酸素

指数,コーンカロリーメータ法))

○第11週:ガスバリヤーレジン,分離膜

「ガスバリヤーレジン」(高分子材料のガス透過性(酸素,水素),ガス透過の原理,ガスバリ

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Page 139: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

ヤー性材料の設計,ガスバリヤー性材料の応用)および「ガス分離膜」(気体の混合と分離,気

体の溶解と脱着・脱離,気体の膜透過,ガス分離膜の応用)

○第12週:導電高分子材料,電池材料

「導電性材料」(絶縁性・導電性・半導体と高分子,ポリアセチレン,有機EL,導電ゴム・

面状発熱体)および「電池材料」(Li イオン二次電池,自動車用鉛蓄電池,燃料電池の構造と高

分子材料の応用)

○第13週:形状記憶材料,情報材料(1)

「形状記憶材料」(形状記憶材料の構造,メモリー効果,ガラス転移点,応用)および「情報

材料(1)」(記録材料(VTR,CD,DVD)の構造・原理,使用される高分子材料の特性と応用)

○第14週:情報材料(2),(3)

「情報材料(2)」(感光性高分子材料,光記録の方法・印刷,表示材料,プリント基板)および

「情報材料(3)」(液晶,LCP,液晶表示材料,オプトエレクトロニクス)

○第15週:環境負荷と高分子,非石油系再生可能高分子

「環境負荷と高分子」(LCA評価(省エネルギー・省資源,地球温暖化,有害性物質),資源・

エネルギー,グリーンケミストリー)および「再生可能資源系材料」(植物・微生物によるポリ

マー・モノマー合成,乳酸等生物産生高分子,生分解性プラスチックス,化石エネルギー資源と

再生可能エネルギー資源)

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

化学,物理,材料物理化学,材料物理学

◆教科書:

特に定めない。

◆参考書:

特に定めない。

◆成績評価の方法:

講義中に行う小テスト,レポート

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◆科目名: 材料工学演習第1

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 演習

◆単位数: 1単位

◆開講時期: 4年 前期

◆授業時限:

◆担当者: 各教員

◆問合せへの対応:

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

研究資料収集に関するスキルを修得し、研究計画を立案するための素養と科学技術英語の

基礎的な能力を養うこと目標とする。外国語文献(主として英語)を含めた文献調査の方法お

よび文献データベースの使用方法等について学ぶ。

◆授業計画:

自らの卒業研究テーマを例に.実際に研究資料を収集し、それを整理してまとめることで、

問題点の抽出,課題の設定,実験計画の立案を行う。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

◆教科書:

特に定めない。

◆参考書:

特に定めない。

◆成績評価の方法:

出席(30%)

中間レポート(20%)

学期末レポート(50%)

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料工学演習第2

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 選択必修

◆授業形態: 演習

◆単位数: 1単位

◆開講時期: 4年 後期

◆授業時限:

◆担当者: 各教員

◆問合せへの対応:

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

文章および口頭でのプレゼンテーションに関するスキルの修得と、質疑に対する応答や討

論に参加するためのコミュニケーション能力を整うことを目的とする。報告書・論文のまと

め方. 発表に使用するポスターやスライド等の作製,口頭発表と質疑に対する応答の仕方を

学ぶ。

◆授業計画:

自らの卒業研究テーマを例に,研究資料調査結果や実験結果をレポートとしてまとめる。

さらに、それらについての口頭発表を少人数グループで行い、実践的なプレゼンテーション

能力・コミュニケーション能力を養う。自らが発表し受け答えすることだけでなく、他人の

発表に対する討論において、積極的に発言し討論に加わることが要求される。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

◆教科書:

特に定めない

◆参考書:

特に定めない

◆成績評価の方法;

レポートとその提出状況(40%)

口頭発表(40%)

議論における発言の積極性、質問者としての貢献(20%)

全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。

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◆科目名: 材料工学特別講義A1-A4

◆科目区分: 関連専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 各1単位

◆開講時期: 4年 前期,後期

◆授業時限: 掲示にて別途通知する。

◆担当者: 非常勤講師

◆問合せへの対応:次の教員を通して担当の非常勤講師に問い合わせる。

岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 631 室,Tel:789-4649,[email protected]

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

科学技術の進展とともに、様々な分野で新材料へのニーズが生じてきている。このよ

うな背景のもとに、学外のエキスパートにより材料工学分野における 新のトピックス

について講述していただく。これによって、材料技術の 先端の知識を身に付けるとと

もに,社会の要求に答えられる材料開発のデザイン能力を養う。

基礎テーマとしては、超伝導材料、太陽電池材料、ナノマテリアル、生体材料・医用

材料、セラミック材料、建築・土木と材料、マイクロ加工・ナノ加工、材料評価法を取

り上げる。

◆授業計画(平成17年度授業計画(案))

○特別講義A1

・テーマ:セラミックス材料科学

タイトル:

講師:松田厚範(豊橋技術科学大学)

・テーマ:高分子材料

タイトル:

講師:竹市力(豊橋技術科学大学)

○特別講義A2

・テーマ:ナノマテリアル・ナノテクノロジー

タイトル:

講師:川合知二(大阪大学)

・テ-マ:電子・情報材料とナノテクノロジー

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Page 143: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

タイトル:

講師:大泊巌(早稲田大学)

○特別講義A3

・テーマ:生体材料・医療材料

タイトル:

講師: 新家光雄(東北大学)

・テーマ・バイオマテリアル

タイトル:

講師:菊池淳一(奈良先端科学技術大学院大学)

○特別講義A4

・テーマ:自動車産業と材料加工

タイトル:

講師:柴田公博(日産自動車材料研究所)

・テーマ:トライボロジー(摩擦、摩耗、潤滑学)

タイトル:

講師: 中村保(静岡大学)

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

特になし。

◆教科書:

特に定めない。

◆参考書:

特に定めない。

◆成績評価の方法:

各講義の全体を聴講し、レポート(内容、感想)を提出する。

上記8講義のうち、2講義の合格により1単位を与える。

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◆科目名: 卒業研究A・B

◆科目区分: 専門科目

◆必修/選択: 必修

◆授業形態: 実験・演習

◆単位数: 各2.5単位

◆開講時期: 4年 前期,後期

◆授業時限: 月-金曜(8:45-17:00)の内、担当教員と調整する。

◆担当者: 材料工学および関選専攻、センターの各教員

◆問合せへの対応:材料工学ホームページ http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/ の各研究テー

マ担当教員に連絡。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料工学研究のキーワードは新材料、エネルギー、 環境、 生命であり、原子レベルで制

御する材料創製から宇宙ロケットの材料開発まで多岐にわたる。したがって、材料工学者は

材料の開発能力とともに材料をシステムに取り入れることのできるエキスパートでなければ

ならない。卒業研究A・Bでは、材料の機能と創製プロセスについての基礎的原理・法則を理

解するための授業や演習・実験をべースとし材料工学や周辺分野の具体的な問題を解決する

研究テーマを行う講座を選択し、材料工学コースおよび関連専攻・センター教員の指導のも

と、研究を行う。担当教員との討論や綿密な文献調査に基づいて、研究の背景や目的を理解

するとともに、問題解決に必要とされる実験計画を立案する。同時に、実験の原理や実験に

用いる装置、機器の取り扱いを正しく理解する。得られた実験データに基づいて結果を整理

するとともに、様々な情報を交えて考察し、討論を行う能力を身につける。さらに、得られ

た成果をまとめ口頭ならびに卒業論文として発表し、滋鈴する能力を身につける。

◆授業計画:

以下の計画を基準として、指導教員と随時相談をし、研究テーマや研究の進捗状況に合わ

せて弾力的に行う。

○4月:研究カイダンスおよび講座選択、安全教育

材料工学コースおよび関連専攻・センターの講座主任が各講座で行われている研究の

概要を紹介する。学生は各講座を訪問し、 担当教員による研究テーマのガイダンスを

受ける。講座配属は学生の希望と各講座の受け入れ可能数を考慮して決定する。 また、

研究上必要とされる安全について教育する。

- 130 -

Page 145: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

○5月:情報の収集および研究の背熟・目的および意義の理解

担当教員との綿密な打合せに基づき、研究に関連する情滋報を様々なメディアを利用

して獲得し、整理する。研究テーマに関連する幅広い知識を身につけるとともに、研究

の背景・目的および意義を把握する。

○6月:実験計画の立案と実験遂行の準備

研究の目的を理解したうえで、担当教員との綿密な打合せのもとに問題を解決するた

めの実験計画の立案を行う。併行して、教科書や学術論文などの情報に基づき実験の原

理を理解する。実験に用いる装置や測定機器の使用法を身につけ、安全かつ効率的に実

験を遂行する力を身につける。

○7月-9月:実験の遂行と結果の整理・考察

実験計画に基づき、担当教員と綿密な連繋をとりつつ実験を遂行する。得られた実験

結果を解析・整理してまとめるとともに、様々な情報に基づいてその意義を考察する。

○9月:研究中間報告(1)

研究成果をその背景や目的とともに簡潔にまとめ、各説座または研究グループにおい

て報告し、討論を行う。研究の意義に関する理解をさらに深めるとともに、自らの研究

をどのように展開・発展させていくかの方針を得る。

○10月-12月:自立的かつ継続的な研究の遂行

7月までに習得した研究の方法論に則り、指導教員との綿密な打合せを行いながら、

自立的かつ継続的に研究を遂行する。得られた成果や様々な情報を有効に問題解決のた

めの実験計画にフィードバックする力を養う。

○12月下旬:研究中間報告(2)

9-12月に得られた成果をまとめ、各研究室あるいは研究グループで報告し、討議を行

う。指導教員との密接な連繋のもとに卒業研究をまとめる方針を得る。

○1-2月:研究成果の見直しおよび口頭発表の準備

研究中間報告(2)での議論を踏まえ、研究成果の見直しおよび補足実験を行う。併せ

て、自らの研究成果を聴衆の前で口頭発表するための準備を行う。

○2月中旬:卒業論文発表

自らの研究成果を研究の背景や意義を踏まえてまとめ、OHPやブロジェクターを用い

て口頭発表を行う。様々な質問に対して的確に答える。

○2月-3月:卒業論文の執筆

卒業論文発表での質問やコメントを踏まえ、卒業研究の成果を論文としてまとめる。

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研究成果とともに当該研究の背景や意義を論理的な文章や図表で記述する。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

材料工学科における授業・演習・実験

◆教科書:

担当教員が指示する。

◆参考書:

担当教員が書籍、学術論文および資料を配布する。

また、種々の情報メディアから必要な情報を入手するための方法を指導する。

◆成績評価の方法:

卒業研究A・Bを合わせ、卒業研究への取り組みを基に.以下の項目について評価を行う。

(1)研究の背景・目的に対する理解度

(2)研究礎題について文献調査し、情報収集する能力

(3)研究遂行にあたり、研究計画を立てる能力

(4)装置や機器の原理を理解し、操作方法を修得し、研究を遂行する能力

(5)研究の遂行における本人の貢献度・自立度

(6)得られた結果を解析・整理する能力

(7)課題解決のために積極的に討論する能力

(8)研究内容を口頭にて説明する能力

(9)口頭発表での質問に対して的確に回答する能力

(10)研究成果を筋道を立てて論理的に記述する能力

<評価点>

卒業研究の口頭発鎌および卒業論文の作成・提出は必須とし、4段階(下記)にて各項目を

評価する。全ての項目でA-Cの者を合格とし、Dがーつでもある場合は不合格(単位を認めな

い)とする。

A:優れている。

B:普通である。

C:やや劣っている。

D:大変劣っている。

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関連専門科目

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◆科目名: 機械工学通論

◆科目区分: 関連専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 2単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限: 火曜日 3時限( 13:00- 14:30)

◆担当者: 酒井康彦(工学研究料機械情報システム工学専攻)

2号館 311号室,Tel:789-4486 ,[email protected]

◆問合せへの対応:e-mailまたは来室。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

機械工学のうちの流体工学に関する基礎知識とその応用について学ぶ。

◆授業計画:

○第1週:流体の性質(密度,粘性,表面張力,圧縮性)

○第2週:静水力学(流体の圧力とそれによる力)

○第3週:静水力学(浮力と浮揚体の安定)

○第4週:流動の基礎(連続式,流体の加速度,連動方程式)

○第5週:流動の基礎(ベルヌーイの定理とその応用)

○第6週:流動の基礎(運動量理論とその応用)

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○第7週:演習

○第8週:流体の計測(圧力,流量計測)

○第9週:流体の計測(流速計測)

○第10週:管内の流れ(層流と乱流)

○第11週:管路の摩擦損失

○第12週:演習

○第13週:物体周りの流れ(揚力と抗力)

○第14週:飛行の理論

○第15週:演習

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

数学,力学

◆教科書:

特に定めない。

◆参考書:

・ 流体工学演習:吉野他箸(共立出版)

・ 流体力学:JSMEテキストシリーズ 日本機械学会編(丸善)

◆成績評価の方法:

筆記試験による評価

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◆科目名: 材料工学特別講義B1-B4

◆科目区分: 関連専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 講義

◆単位数: 各1単位

◆開講時期: 4年 前期,後期

◆授業時限: 掲示にて別途通知する。

◆担当者: 非常勤講師

◆問合せへの対応:次の教員を通して担当の非常勤講師に問い合わせる。

岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

工学部 5 号館 631 室,Tel:789-4649,[email protected]

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

科学技術全般が抱える問題として、地球環境、エネルギー、廃棄物処理などの諸問題がク

ローズアップされてきている。材料技術者・研究者として、これらの問題に対処していく

為には、材料分野の専門知識だけでは不十分で、関連する各種の周辺テーマについての知

識が必要である。本科目では、これらの各種周辺テーマに関する講義を通じて、様々な分

野の基盤となっている材料技術と諸問題との関わりについて考えるとともに、多くの事例

を用いた技術者倫理・工学倫理の講義と合わせて、技術者・研究者として社会に対する責

任を自覚する能力を養う。

基礎テーマとしては、海外における材料生産状況、資源・エネルギー、地球環境と科学

技術、エコマテリアル、廃棄物処理・リサイクル、技術者倫理・工学倫理、ベンチャー企

業と技術開発、特許・企画書・報告書の作成を取り上げる。

◆授業計画(平成17年度授業計画(案))

○特別講義B1

・テーマ:社会基盤材料の製造と環境

タイトル:

講師:長坂徹也(東北大学)

・テーマ:太陽電池

タイトル:

講師:松田彰久(東京理科大学)

○特別講義B2

・テーマ:材料のライフサイクルと環境対応

タイトル;

講師:柴田 清(海上技術安全研究所)

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Page 151: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

・テーマ:エネルギー変換とエクセルギー

タイトル:

講師:秋山友宏(北海道大学大学院)

○特別講義B3

・テーマ:ベンチャー起業と技術開発

タイトル:

講師:南部修太郎((有)アセット・ウイッツ)

・テーマ:ベンチャー起業と技術開発

タイトル:

講師:出川 通(テクノ・インテグレーション)

○特別講義B4

・テーマ:海外における材料生産状況

タイトル:

講師:柴田哲典(新日鐵)

・テーマ:航空・宇宙用材料

タイトル:

講師:杉浦幸彦(三菱重工業)

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

特になし。

◆教科書:

特に定めない。

◆参考書:

特に定めない。

◆成績評価の方法:

各論義の全体を聴講し、レポート(内容、感想)を提出する。

上記8講義のうち、2講義の合格により1単位を与える。

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◆科目名: 工場見学

◆科目区分: 関連専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 見学

◆単位数: 1 単位

◆開講時期: 3年 前期または後期

◆授業時限: 詳しい実施計画については6月頃(前期の場合)または11月頃(後期の場

合)、掲示にて通知する。

◆担当者: 教務委員会委員および3年生担当教員

(工学研究科 マテリアル理工学専攻)

平成18年度教務委員 沓名宗春 教授

平成18年度3年生担任教員 宇治原徹 助教授, 小橋眞 助教授

連絡先:II系(材料・原子核)事務室

4号館253室,Tel:789-3399 , [email protected]

◆問合せへの対応:掲示、事務室を通して対応する。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料工学に関する企業や研究所を見学し、最先端の技術や研究に触れることにより大

学での教育の意義を理解し、また、その内容を補足することを目的とする。

◆授業計画:

詳しい実施計画については6月頃(前期の場合)または11月頃(後期の場合)、掲示に

て通知する。

――――――――――――――――――――――

◆バックグラウンドとなる科目:

材料工学の専門科目

◆教科書:

なし

◆参考書:

なし

◆成績評価の方法:

レポート(見学後、A4で1ページ程度の報告書をII系事務室に提出)

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◆科目名: 工場実習

◆科目区分: 関連専門科目

◆必修/選択: 選択

◆授業形態: 実習

◆単位数: 1単位

◆開講時期: 3年 前期

◆授業時限:

◆担当者: 各教員(工学研究科マテリアル理工学専攻材料工学分野)

◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

――――――――――――――――――――――

◆授業のねらいと内容:

材料工学に関連した企業における実習体験を通し、エンジニアに求められている資質

を身につける。材料工学と実用上の問題との接点を身近に体験することにより、学習意

欲を喚起する。また、企業・社会に対するこれまでの漠然としたイメージを払拭し、将

来の仕事や自分の適正を考える上で有意義な体験をする。 さらに、企業人とのコミュ

ーケーションを通し、主体性、責任感、自立心の醸成に役立てる。

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◆バックグラウンドとなる科目:

材料工学の専門科目

◆教科書:

◆参考書:

◆成績評価の方法:

レポート

45時間相当以上の実習

レポートと実習先の評価を勘案して単位を認定する。

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Page 154: 材料工学コースシラバス材料工学コース 学習・教育目標 (A) 地球上の様々な異文化や価値観を理解し、人類の一員、そして材料技術者の

―材料工学コースシラバス―

編集:材料工学コース教育プログラム検討委員会

発行:名古屋大学工学部物理工学科材料工学コース

〒464-8603 名古屋市千種区不老町

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