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オカダトカゲの色彩パタンの進化 誌名 誌名 日本生態學會誌 ISSN ISSN 00215007 巻/号 巻/号 623 掲載ページ 掲載ページ p. 329-338 発行年月 発行年月 2012年11月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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オカダトカゲの色彩パタンの進化

誌名誌名 日本生態學會誌

ISSNISSN 00215007

巻/号巻/号 623

掲載ページ掲載ページ p. 329-338

発行年月発行年月 2012年11月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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日本生態学会誌 62:329 -338 (2012)

特集 1種間相互作用の島l興生物地理

オカダトカゲの色彩パタンの進化

-捕食者に対応した地理的変異一

栗山武夫

東京大学/東邦大学

Geographical color variation of island lizards adapts local predators

Takeo Kuriyama

School of Agriculture and Life Sciences, the University of Tokyo / Faculty of Science, Toho University

要旨・伊豆諸島はフィリピン海プレート上に形成された南北に連なる海洋島である。本土から数 100kmほどしか離れ

ていないため、種の供給地となったであろう日本本土の生物相との比較も行いやすい。本研究で紹介するのは、伊豆諸

島と伊豆半島に生息する被食者(オカダトカゲPlestiodonlatiscutatus)の形質が地域によって異なること、その淘汰圧

として異なる捕食者相(イタチ:晴乳類、シマヘビ:ヘピ類、アカコッコ.鳥類)にさらされていること、さらにその

被食者一捕食者系がどのような進化史をたどってきたのかを分子系統地理学により解明する試みの 3点である。今回は

特に、捕食者の注意を引き付け、胴体や頭部への攻撃をそらす機能をもっ尾の色に注目する。

オカダトカゲは、異なる色覚をもっ捕食者(イタチ、シマヘビ、鳥類)に対応した尾の色を進化させていることが、至

近要因(色素細胞の構造)の解明と究極要因(捕食者の色覚との関係、捕食被食関係の成立)の考察により示唆され

た。至近要因の解明により、体色は皮膚にある 3種類の色素細胞(黄色素胞・虹色素胞・黒色素胞)の組合せで作られ、

尾部の茶色・緑色・青色の割合は反射小板の厚さの異なる虹色素胞と黄色素胞の出現位置が体軸にそって前後に移動す

ることで尾の色の地理的な変異を引き起こしていることが示唆された。また究極要因として考えられる捕食者の色覚と

尾の色を比較すると、同所的に生息する捕食者の色覚の違いによってヘビ・イタチには目立つ青色を、色覚が最も発達

した鳥類には目立たない茶色に適応してきた結果であることが考えられた。また、各島でのオカダトカゲと捕食者の侵

入年代のずれによって、トカゲの尾部の色彩は侵入してきた捕食者に応じて複数回にわたり変化した可能性が高いこと

が予想された。

キーワード:被食一捕食関係、色彩パタン、色覚、色素細胞

伊豆諸島とその周辺部の成立過程

伊豆諸島は、小笠原諸島を含む南北約 1200kmにもお

よぶ伊豆・小笠原孤と呼ばれるフィリピン海プレート上

にある海底大山脈の一部である(藤岡ほか 2004)。これ

らの島々は、フィリピン海プレートの下に太平洋プレー

トが沈み込むことによって生じた島弧における火山活動

で形成された海洋島である。伊豆諸島を含む伊豆・小笠

原孤はおよそ 2500から 2000万年前に急速に成長し、フ

2012年2月27日受付、 2012年 9月3日受理

e-mail: [email protected]

329

イリピン海プレートの北上に伴い、約 1500万年前頃から

本州への衝突(付加)を始めた。フィリピン海プレート

は本州を形成するユーラシアプレートの下に潜り込むが、

潜りこめない地塊が陸上へ押し上げられ、現在の丹沢山

地や伊豆半島を形成したと考えられている(青池 1999)。

地学的な研究では約 1500一1300万年前に巨摩山地、約

1300 -800万年前に御坂山地、約 800-500万年前に丹

沢山地、約 250万年から現在まで伊豆半島が次々と本州

に付加したことが明らかにされている(青池 1999:平田

ほか 2010)。

これらの地学的な研究から明らかにされたフィリピン

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栗山武夫

海プレートの活動に伴う海洋島の形成と本州への衝突・

付加というダイナミックな地史的イベントは、島への生

物の移入や絶滅といった生物相の形成規則の研究のみな

らず、生物問相互作用の研究にとって絶好の機会を与え

てくれる。本稿では、はじめに伊豆諸島を中心に行われ

てきた研究を紹介し、その後、 トカゲとその捕食者の生

物間相互作用がどのような進化史を持つのかを、 トカゲ

の捕食回避形質である尾の色彩の定量的な研究と、捕食

者の分子系統学的な解析により考察してみたい。

伊豆諸島を中心とした研究

伊豆諸島を中心とした生物の進化・生態学的な研究は

数多く行われてきた(例えば鳥類:Higuchi 1976 ;ネズミ

類・ Kageyamaet al. 2009 ; Takada et al. 2006 ;腿虫類:

Hasegawa and Moriguchi 1989 ; Has巴gawa1990, 1994, 1999,

2003 ;被食者捕食者関係・ Moriand Hasegawa 1999 ;植

物一動物関係:Abe et al. 2006 ; Inoue and Amano 1986)0

伊豆諸島のような海洋島では生物種がいない状態から生

物相の形成が開始されるため、種の供給源である本州か

らどのように生物種が侵入してきたのかを分子系統学的

な手法を用いて明らかにし、注目すべき種間相互作用が

いつ形成されたのかを考察しなければならない。しかし、

伊豆諸島において、いつごろ生物種の侵入があったのか

を分子系統学的な手法で明らかにした研究は少なく、ホ

タルブクロ属 Campanulaの植物 (Inoueand Kawahara

1990 ; Oiki et al. 2001)、マイマイ属 Euhαdrαのカタツム

リ (Hayashiand Chiba 2004)、お よび アカ ネズ ミ属

Apodemusのネズミ (Suzukiet al. 2004 ; Tomozawa and

Suzuki2008)で、行われているのみである。

オカダトカゲの地理的変異と捕食者の関係

本稿で紹介するオカダトカゲは、地域ごとに生活史特

性や体色に地理的な変異があり、その変異パタンは同所

的に生息する捕食者の構成(イタチ・シマヘピ・鳥類の

組み合わせ)に対応している。トカゲの生活史特性は、

大島のような捕食者の構成がイタチ・シマヘピ・鳥類で

ある場合(主要な捕食者はイタチ)、早熟 (2才)で毎年

繁殖し、小卵(約 400mg)多産(約 8.8個)となるが、

三宅島や青ヶ島のような鳥類のみの場合は晩熟(3-4才)

で隔年繁殖し、大卵(約 600mg)少産(約 7個)となる

(Hasegawa 1994)。また、利島・式根島・神津島ではシマ

ヘピと鳥類が捕食者となり(主要な捕食者はシマヘピ)、

330

生活史特性は前述した 2地域の中間となる (Hasegawa

1994)。

生活史特性と同様に、体色にも捕食者の構成に対応し

た地理的変異が見られる(栗山・長谷川未発表データ)。

オカダトカゲを含む Plestiodon属の幼体は一般的に胴体

部が黒地に黄白色のストライプ、尾部は青色である。成

体になると全体的に茶色に体色が変化する (Richmond

2006)。しかし、オカダトカゲは幼体期の胴体のストライ

プ模様と尾の色が地域によって大きく異なる(図 1)。イ

タチを主な捕食者とする集団(伊豆半島と伊豆大島)は、

胴体に明瞭なストライプ模様と付け根まで鮮やかな青色

の尾を持つ。シマヘピを主な捕食者とする集団(利島か

ら神津島の北伊豆諸島と御蔵島)では、胴体に明瞭なス

トライプ模様と付け根から茶色、緑色、青色に変化する

尾を持つ。鳥類のみが捕食者となっている集団(三宅島、

八丈小島、八丈島、青ヶ島)では、体色はほぼ均ーな茶

色で、胴体のストライプ模様がほとんどなく、先端のみ

青色の尾を持つ。このことから、生活史形質と同様に、

体色の地理的な変異はそれぞれの地域で捕食者に対して

適応した形質であると予測される。本稿では特に捕食者

の注意を引き付け、攻撃をそらす機能を持つ尾部の色彩

に注目して、まず①尾部の色彩がどのような仕組みでで

きているかを皮膚の色素細胞より明らかにし、次に②尾

の色彩は同所的に生息する捕食者に見えているのかを捕

食者の色覚の関係から考察した後、最後に③対捕食形質

がどのように進化したのかを、捕食者の系統地理学的解

析を用いた生物問相互作用の歴史推定を行うことで、推

測してみたい。

トカゲの青い尾は捕食者の攻撃をそらす

オカダトカゲのような青色の尾は、 トカゲ類の多くの

グループで独立に何度も進化した形質で、捕食者の注意

と攻撃を尾部に引き付けて、胴体への攻撃を逸らす機能

を持つと考えられている (Piankaand Vi抗 2003)。

トカゲの尾部の青色のような生存にとって重要ではな

い部位をより目立たせて、捕食者の攻撃を向けさせる防

御戦術を deflection(そらすこと)といい (Ruxtonet al.

2004)、捕食者が被食者の特定の部位を狙って攻撃すると

いう性質 (B1est1957 ; Lyytinen et al. 2003 ; Smith 1973)

を逆手にとった捕食回避戦術である。例えば、 Powell

(1982) はオコジョ (Mustelaermin印)の黒色の尾部の先

端が、タカの攻撃を誘導するという仮説を立て、模型(黒

色の有無と尻尾の長短の組合せ)を用いた行動実験によ

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トカゲの色彩パタンの進化

ォ?司君、熟語官判

官:iuaト桂ν尾部(茶色~緑色~青色)

巻、官:説

図 l オカダトカゲの色彩パタンの地理的変異と捕食者の構成。捕食者のイラストの

大きさは、各島における捕食者としての重要度を表す。

り実証を試みた。この結果、タカが攻撃を失敗する

模型は黒色・長い尾であり、この黒色が捕食者の攻

撃を引き付け胴体からの攻撃を遠ざける効果がある

ことを明らかにした。 また魚の目玉模様 (Daleand

Pappantoniou 1986 ; McPhail 1977 ; Winemiller 1990)やチ

ョウ類の麹に見られる偽の頭 (Robbins1980, 1981 ;

Tonner et al. 1993 ; Wourms and Wasserman 1985) などが

Deflection機能をもっと考えられている。

トカゲの青い尾が本当に捕食者からの攻撃を回避する

形質であるかを行動実験 (Cooperand Vitt 1985 ; Viit and

Cooper 1986)や、鳥類を対象とした野外実験 (Castillaet

al. 1999)で実証しようという研究が過去に行われてきた。

また、シマへどと同所的に生息するオカダトカゲは、同

所的でない集団よりも、シマヘピの匂いに反応し青い尾

を振ることが行動実験により明らかにされている (Mori

and Hasegawa 1999)。しかし、尾部の青色がどのような仕

組み・構造によって作られているのか、捕食者にどう見

えているかといった基本的な情報は明らかにされていな

い。そこで、地域によって異なる捕食者にさらされ、捕

食者の種類構成に対応した尾の色彩変異が見られる伊豆

331

諸島・伊豆半島のオカダトカゲを研究対象に、捕食回避

効果を持つ尾の色がどのような仕組みで生じているのか

を組織学的なアプローチにより明らかにした。

体色を作る色素細胞

トカゲの尻尾の色がどのような仕組みでできているか

を説明する前に、脊椎動物の体色を作る皮膚の色素細胞

を簡単に紹介する。聴虫類を含む脊椎動物の体色は皮膚

の色素細胞によって作られる (Bagnaraand Hadley 1973)。

脊椎動物の色素細胞は現在までに 6種類(黒色素胞、黄

色素胞、赤色素胞、虹色素胞、白色素胞、青色素胞)が

見つかっている (Bagnara1998)。腿虫類ではそのうち 4

種類(黄色素胞、赤色素胞、虹色素胞、黒色素胞)が確

認されている (Bagnara1998)。黄色素胞と赤色素胞は細

胞内にプテリジンまたはカロテノイドの頼粒を多く含ん

でおり、光を吸収することで黄~赤色を呈する(図 2A)。

虹色素胞は細胞内にグアニンでできた結品をもち、特定

の波長の光を反射することで、さまざまな色を生み出す

(図 2B,C)。黒色素胞はメラニン頼粒を多く含み、可視

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栗山武夫

図2.オカダトカゲの体色を作る色素細胞。(A)黄色素胞;(B)

茶色部の虹色素胞;(C)青色部の虹色素胞 ;(D)黒色素胞。

PT:プテリノソーム(プテリ ジンの穎粒); C:反射小板;H:

空洞化した反射小板;EM:表皮性黒色素胞 ;DM:真皮性黒

色素胞;mel:メラノソーム。

光線のほとんどを吸収するため茶色~黒色を呈する(図

2D)。

体色はこれらの色素細胞の構成、色素細胞内部の穎粒

の形状や物質の組み合わせによ って生み出される。色素

細胞の垂直方向での組み合わせが色彩を決め、その構成

単位の 2次元的展開が色彩パタンを決めている。例えば、

皮膚を緑色から茶色まで変化させるグリーンアノール

Anolis carolinensisの緑色の皮膚は体表側から黄色・虹色・

黒色素胞が順に並んで、いるが、中間の虹色素胞が光の干

332

渉により青色を反射し、上部にある黄色素胞がフィルタ

ーの役割をすることで緑色を出すことが知られている

(Alexander and Fahrenbach 1969 ; Taylor and Hadley 1970)。

またアノールの緑色から茶色への体色変化は、黒色素胞

内のメラニン頼粒が細胞内骨格(微小官・アクチンフィ

ラメント)に沿って移動し、 黄色・虹色素胞の上部を覆

うことで実現される。

!随虫類の色素細胞の研究は、他の脊椎動物のグループ

と比較すると少ないが、透過型電子顕微鏡 (TEM) を用

いた詳細な研究は、ヘピ類ではヨ ーロッパヤマカガシ

Natrαnatrix (Miscalencu and Ionescu 1972),ハナダカクサ

リヘビ Viperaammodytes (Miscalencu and Ionescu 1973),

トカゲ類ではグリーンアノール Anoliscarolinensis

(Alexander and Fahrenbach 1969)、マルオツノトカゲ

Phrynosoma modestum (Sherbrooke and Frost 1989)、ハリ

トカゲ類 Scelopurusjerrovii、S.magister、S.undulatus

erァthrochelis(Morrison 1995 ; Morrison et al. 1995)、ニシ

キノボリユタトカゲ Urosaurusornatus (Morrison et al.

1996)、ワニ類ではナイルワニ Crocodylusniloticus (Alibardi

2011) において行われている。

オカダトカゲの体色を作る色素細胞

オカダトカゲの尾部の色彩の地理的変異がどのような

色素細胞の構成の変化によ って生じているのか明らかに

するために、尾部に茶色 ・緑色・ 青色のすべての色をも

っ神津島のトカゲを対象に形態学的な観察を行った

(Kuriyama巴tal. 2006)。オカダトカゲの尾部からは、黄色

素胞、虹色素胞、黒色素胞の 3種類の色素細胞が見つか

り(図 2)、茶色・緑色・ 青色の皮膚はそれぞれ異なる色

素細胞の構成をしていた。茶色・緑色の部位は 3種類の

色素細胞(表皮側から黄色素胞、虹色素胞、黒色素胞)、

青色は 2種類の色素細胞(表皮側から虹、黒色素胞)を

持っていた (図 3A-C)。また、虹色素胞の反射小板の

厚さが、茶色・緑色・青色の順で薄くなっていた(図 3D

-F)。虹色素胞内の反射小板は色素ではなく、それ自体

で光を反射し干渉・散乱・屈折などの光学現象を起こす

ことで、さまざまな波長の光を生み出すことが知られて

いるので、詳細な解析を下記に示す。

トカゲの青い尾部は虹色素胞が作る構造色

虹色素胞内の反射小板は、何層にも重なることで、あ

る特定の波長を反射する重層薄膜干渉という光学現象を

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トカゲの色彩パタンの進化

⑥ プテ リノソーム

ー=一反射小板

I 4・メラノソーム

L与茶色 緑色 青色

黄色細胞 糠蚕罰f顎露機 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一三重量l[三重三主._._._._ . . ~.~.-.-.

図3 オカダトカゲの尾部の各体色を作る真皮性色素細胞の構成。 (A~C) および各部の虹色素胞

内の反射小板 (D~ F) 0 (A),(D)茶色部;(B),(E)緑色部;(C),(F)青色部;(G)各体色の色

素細胞の配置、内部下流の相対的な特徴を模式的に示した。

起こす(藤井 2001;木下 2005)。色素による光吸収で色

を呈するのではなく、細胞内小器官の物質層や表面構造

光の干渉・回折・散乱などの要因によるこのような色を

構造色という(木下 2005)。構造色は生物の多様なグル

ープに見られ、モルフォチョウ (木下 2005)やタマムシ

(Hariyama et al. 2005)などの見虫類、デパスズメダイ (F吋11

et al. 1989)やネオンテトラ (Nagaishiand Oshima 1992)

などの魚類、さらにハ ト (Yoshiokaet al. 2007)やクジャ

クの羽 (Yoshiokaand Kinoshita 2002) の鮮やかな色彩を

生み出している。虹色素胞がどの波長域を反射するかは、

細胞内の微細構造に基づいて、以下の式により推定でき

る(詳しくは、藤井 2001; Kuriyama et al. 2006)。

NAは反射小板聞の細胞質の屈折率 (1.37)、DAは細胞

質の厚さ、 Nsは反射小板の屈折率 (1.83)、 Dsは反射小

板の厚さである(詳しい説明は藤井 2001; Kuriyama et al.

2006を参照)。神津島のトカゲの尾部の茶色・緑色・青

色部分で反射小板と反射小板聞を測定したところ(それ

ぞれ3個体)、反射小板の厚さは茶色部分で 65nm (平均

値)、緑色部分で 52nm、青色部分で 32nm、反射小板間

の厚さは茶色部分で 93nm、緑色部分で 96nm、青色部分

で 94nmであった(図 4)。反射小板間の厚さは体色聞で

ほとんど変化が見られないが、反射小板の厚さが茶色か

ら緑色、青色と段々薄くなっているのがわかる。この測

定値から虹色素胞が反射するピーク波長を式 lを用いて

推定してみると、茶色部分では 492nm、緑色部分では

ピーク波長 (λmax)= 2(NADA+NsDs) 式 1 453 nm、青色部分では 334nmとなった。この推定された

333

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栗山武夫

位置が体軸に沿って前後に移動することで引き起こされ

ている可能性がある。この変異は トカゲが卵から瞬化 し

た時点で見られるので、 Rf発生過程での各色素細胞の出

現パタンの違いが地理的変異を起こす重要な要因である

と示唆される。そのため今後、体色が異なる集団関の臨

発生過程の観察を行う予定である。

青色

(334nm) 緑色

35

20

語Mm骨

G山県ずで認出

G直hh倒制

30

25

15

10 尾部の体色の地理的変異と捕食者の色覚の関係

尾部の体色の地理的な変異が色素細胞の構成の変化に

よって生じた機構を述べてきたが、その体色が実際に捕

食回避効果を持つのかどうか、それぞれの捕食者の色覚

と比較して考察してみたい。

脊椎動物は目の網膜にある錐体細胞を使っ て色を認識

している。lつの錐体細胞は lつの吸収ピークをもつため、

2-4種類の錐体細胞を同時に持つことによって色の区

別をしている。オカダトカゲの捕食者の色覚は明らかに

なっていないので、本稿では、すでに研究が行われてい

る近縁種の結果を参考にした。はじめに、イタチと 同属

のフェ レット (Mustelaputoriusルro・Calderoneand Jacobs

2003)の研究を参考にした。フェレッ トは 430nmと550

nmを吸収ピークとする 2種類の錐体細胞を持っている。

次に、シマヘピと同じナミヘピ科のガータースネークを

検討した (Thamnophissirtalis: Sillman et al. 1997)。ガータ

ースネークは 360、482、554nmを吸収ピークとする 3種

類の錐体細胞を持っている。さらに、鳥類の色覚は、鳥

類の中でオカダ トカゲの捕食者のーっとして知られるア

カコッコと同属のクロ ウタドリ(日rdusmerula: Hart et al.

2000) を参考にした。クロウタドリは、 370、450、500、

557 nmを吸収ピークとする 4種類の錐体細胞を持ってい

る。つまり 、オカダトカ ゲは異なる色覚を持つ捕食者の

脅威にさらされており、一見すると同じ青色に見える尾

の色も異なることが予想される。例えばイタチ、シマヘ

ビとそれぞれ同所的に生息するトカゲは鮮やかな青い尾

をもつが、それぞれの捕食者の色覚が異なり 、イタチは

青色を感知する錐体細胞を持つが、シマヘピは青色に加

え紫外域を感知する錐体細胞を持っている。 より 目立つ

ためには、イタチには青色を、ヘビ類には青色と紫外域

を反射させる必要がある。シマヘビと同所的に生息する

神津島のトカゲは虹色素胞で紫外域を反射させているこ

とが示唆されたが、実際にどの波長域を反射しているか

を定量的に測定する必要がある。今後、異なる捕食者を

持つ トカゲ集団の尾の反射光特性を明らかにした後、捕

食者の色覚を比較する予定である。

20

図4 虹色素胞内の反射小板の厚さと垂直方向に並ぶ枚数o .は

平均値、パーは SDを示す。

波長域は実際にヒ トが トカゲの尾を見たときの色の波長

域(茶色は 600nm、緑色は 550nm、青色は 450nmのピ

ークをもっ)と差があり、いずれの体色でも推定値が低

かった。この誤差が起きた理由として、茶色・緑色部分

では、虹色素胞の上部に黄色素胞があるために、黄色素

胞がフィルターの役割を果たし、 実際の皮膚がより長波

長を反射していると考えられる。また、黄色素胞がない

青色部分は、おもに反射小板が紫外域を反射しているた

めであることが示唆された。そのため今後、実際の皮膚

の反射光を測定し、虹色素胞の反射光と黄色素胞のフィ

ルター効果を比較検証する必要がある。

また、どの くらい明るくするかという反射率は皮膚に

垂直に並ぶ反射小板の枚数が決めてお り、枚数が多いほ

ど高い反射率を示す(藤井 2001;木下 2005)。オカダト

カゲの各体色で反射小板の枚数を計測した ところ、 茶色

部分では約 9枚、緑色部分では約 14枚、青色部分では約

20枚であった(図 4)。これは、茶色より青色の部分の方

が反射率が高く、 捕食者にとって目立つことを示唆して

いる。よって、青色は固として目立たせる機能があると

いう仮説が支持される。

40

反射小板の厚さ (nm)

60 80

5

334

体色の地理的変異を生み出す色素細胞

神津島のトカゲの尾部の茶色・緑色・青色の違いは、

①黄色素胞の有無と②虹色素胞内の反射小板の厚さが作

り出しているこ とがわかった(図 5)。このこ とから尾の

茶色・緑色・青色部分の割合が、 地域によって異なるのは、

黄色素胞と異なる厚さの反射小板を持つ虹色素胞の出現

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トカゲの色彩パタンの進化

固十伊豆半島「一

一L 一医亘

|御蔵書iG

医国+東北・度

京都+四国

8 |新島+式根島!

rt 一 一!神津島+祇苗島|

|利島 i

四国・九州

-神奈J11

M村田隈

M村田間

推定年代(百万年)

M M ~ M M M ~ ~ ~ 現在

図 5. シマヘピの系統関係と分岐年代の推定。 Kuriyama巴tal目 (2011)を改編した。

被食一捕食者関係の成立年代の推定

捕食者に対応したトカゲの色彩の地理的な変異は、

つ生じたのか。この疑問を解決するためには、被食者と

捕食者がいつ島に侵入し、同所的に生息しはじめたのか

を明らかにする必要がある。

被食者(オカダトカゲ)の各島の侵入年代は現在解析

中であるが、オカダトカゲの祖先は、中期更新世以前に

伊豆半島・伊豆諸島の元となる海洋島へ隔離されていた

と考えられている (Okamoto巴tal. 2006 ; Brandley et al.

2011)。 よって、オカダトカゲの伊豆諸島への侵入は、

600 万年~ 100万年前と想定される。また、 600万年前は

フィリピン海プレートがユーラシアプレートと衝突し、

丹沢山地が形成されたころで、伊豆半島や伊豆諸島の原

基となったであろう海洋島は存在していたかもしれない。

次に捕食者であるが、対象としたのは、モザイク状に

分布するシマヘピである(図 1)。最も分散能力のある鳥

類と、大島のみに自然分布するイタチは今後の課題とし

た。伊豆諸島のシマヘピがいつどこから来たのか明らか

にするために、ミトコンドリア DNAを用いた分子系統学

的な解析を行った (Kuriyamaet al. 2011)。対象地は、伊

豆諸島 7島(大島、利島、新島、式根島、神津島、抵百島、

御蔵島)と本州の太平洋沿岸の約 20地点で、合計約 350

個体を用いた。分子マーカーはミトコンドリア DNAチト

クローム b領域(約 1000bp)使用し、塩基配列を決定し

い {た後、ベイズ法を用いて系統樹を作成し、分岐年代を

relaxed molecular clock 法 (Burbrinkand Lawson 2007 ;

Drummond et al. 2006 ; Drummond and Rambaut 2007) を用

いて推定した。

シマヘピの分子系統学的な解析により計 41個のハプロ

タイプが検出され、分子系統樹は大きく 2つのクレード(α

とs) に分かれた(図 5)。クレードαは、主に東日本の

本州と伊豆諸島の大島と御蔵島の個体で構成されていた。

このクレードが多様化した年代を推定したところ約 58開 13

万年前となった。伊豆諸島の御蔵島個体群はいくつかの

ハプロタイプで構成されていたが、単系統群を形成し、

約 30万年前に侵入したと考えられた。一方、大島の個体

群は単系統群を形成せず、 αクレー ド内に散在している

ことから複数回島へ移住した可能性が考えられた。クレ

ードpは伊豆諸島の利島、新島、式根島、神津島、祇苗

島と西日本の個体で構成されており、このクレードが多

様化したのは 52-11万年前と推定された。伊豆諸島の利

島から祇苗島までは単系統群を形成し、内部では近い島

同士が近縁であることが明らかとなった。

分子系統地理学的な解析により、オカダトカゲがシマ

ヘピよりも早い時期に伊豆諸島に侵入したことが推定さ

335

Page 9: オカダトカゲの色彩パタンの進化 - agriknowledge.affrc.go.jp · 生活史特性は前述した 2地域の中間となる (Hasegawa 1994) 。 生活史特性と同様に、体色にも捕食者の構成に対応し

栗山武夫

れたので、トカゲの尾の色がどのような進化史をたどっ

て現在のような地理的変異が見られるようになったのか

を予想してみる。まず、オカダトカゲとニホントカゲの

共通祖先の尾の色はおそらくニホントカゲの様に、尾部

は根元から青色であったと想像される。なぜなら

Plesatidon属のほとんどの種は幼体期に根元まで青い尾部

を持つからである (Hikida1993 : Richmond and R田 der

2002)。捕食者の島への侵入は、おそらく分散能力の最も

高い鳥類、シマヘピ、イタチの順であろうと考えられる。

つまり、派手な色彩パタンを持っていたオカダトカゲの

祖先種が島へ侵入した当初の捕食者は、最も分散能力の

高い鳥類であったと考えられる。この時期にトカゲは鳥

類からの捕食を回避するために、茶色い隠蔽的な体色に

変化したのではないか。その後、数十万年前にいくつか

の島にシマヘピが侵入し、シマヘピからの捕食を回避す

るために再び尾部の青色を鮮やかにした。さらに、大島・

伊豆半島でイタチと同所的になり、祖先種が有していた

胴体部のストライプと根元から青い体色に適応し、現在

見られる地理的変異が生じたと考えられる。このシナリ

オをより詳細に検証するために、オカダトカゲの系統地

理と体色変化を明らかにし、鳥類とイタチの侵入年代を

推定する予定である。

まとめ

オカダトカゲは、異なる色覚をもっ捕食者(イタチ、

シマヘピ、鳥類)に対応した尾の色を進化させているこ

とが、至近要因(色素細胞の構造)の解明と究極要因(捕

食者の色覚との関係、捕食一被食関係の成立)の考察に

より示唆された。要約すると、至近要因(色素細胞)の

解明により、体色は皮膚にある 3種類の色素細胞(黄色

素胞・虹色素胞・黒色素胞)の組合せで作られ、尾部の

茶色・緑色・青色の割合は反射小板の厚さの異なる虹色

素胞と黄色素胞の出現位置が体軸にそって前後に移動す

ることで地理的な変異を引き起こしていることが示唆さ

れた。また究極要因として考えられる捕食者の色覚と尾

の色を比較すると、同所的に生息する捕食者の色覚の違

いによってヘビ・イタチには目立つ青色を、色覚が最も

発達した鳥類には目立たない茶色に適応してきた結果で

あることが考えられた。また、各島でのオカダトカゲと

捕食者の侵入年代のずれによって、トカゲの尾部の色彩

は侵入してきた捕食者に応じて複数回にわたり変化した

可能性が高いことが予想された。

336

謝辞

この研究を行うにあたり、東邦大学の長谷川雅美氏・

宮地和幸氏・杉本雅純氏から研究計画や実験方法に関し

て的確な指摘・助言をいただいた。また、現地での試料

採集に協力していただいた大津幸一氏・高橋洋生氏・高

橋守氏・富津一也氏・深沢悟氏・水田拓氏と、有益な助

言をいただいた関啓一氏・武田広子氏、ならびに真山春

菜氏・中係竜太氏の両氏には模式図の作成を補助してい

ただいた。また、分子系統学的な解析において Matt

Brandley氏に多大な協力をいただいた。なおこの研究の

一部は笹川科学研究助成および財団法人藤原ナチュラル

ヒストリー振興財団の研究助成によって行われたもので

ある。

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